説明

光沢を有する透明部品の製造方法

【課題】発光状態を表現する部品として、見栄えの良い光沢を有する透明部品を製造する方法を提供する。
【解決手段】透明部品の製造方法であって、ホログラムシートをラミネート加工する加工工程と、前記ラミネート加工がなされたシートに凹凸を付加する成形工程と、前記成形がなされたシートを、所定形状に切り抜く切抜工程とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光沢を有する透明部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるプラモデル(登録商標)と呼ばれるような組み立て玩具の部品には、透明材料を使った部品が含まれる。
【0003】
このような透明部品にはポリスチレンが使われていた(特許文献1を参照)が、壊れやすく、接着剤で白濁することもあるために、近年はPET(ポリエチレン・テレフタラート)材が使用されている。
【0004】
このようなPET材を使用する場合、PET材にオフセット印刷を行い、真空成形をした後、抜き刃をつかって所望の形状に切り抜いていた。
【特許文献1】特開2005−342124号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようにして加工したPET素材の透明部品は耐性に優れるが、発光状態を表現する光沢部品(例えば、光を表現する部品)としては、必ずしも満足のいくレベルには無かった。
【0006】
そこで、本発明は、発光状態を表現する部品として、見栄えの良い光沢を有する透明部品を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明は、光沢を有する透明部品の製造方法であって、ホログラムシートをラミネート加工する加工工程と、前記ラミネート加工がなされたシートに凹凸を付加する成形工程と、前記成形がなされたシートを、所定形状に切り抜く切抜工程とを備えることを特徴とする。
【0008】
上記方法において、前記成形工程は、前記ラミネート加工がなされたシートに圧空成形または真空成形により凹凸を付加してもよい。
【0009】
上記方法において、前記ホログラムシートにグラビア印刷を行う印刷工程をさらに備え、前記加工工程では、前記グラビア印刷がなされたシートに対して前記ラミネート加工を施してもよい。
【0010】
上記方法において、前記加工工程では、ポリエチレン・テレフタラート材により、ラミネート加工を行ってもよい。
【0011】
上記方法において、前記ホログラムシートは、未延伸ポリプロピレン製であってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、発光状態を表現する部品として、見栄えの良い光沢を有する透明部品を製造する方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0014】
本発明の実施形態に対応する、光沢を有する透明部品の製造方法を、図1のフローチャートに従って説明する。
【0015】
ステップS101では、ホログラムシートに、所望の色や模様をグラビア印刷する。ホログラムシートとは、プリズム効果を利用して、シートに入射した光を虹色に反射する性質を持った特殊フィルムのことをいう。また、シートの素材には、OPP(延伸ポリプロピレン)、CPP(未延伸ポリプロピレン)、PET等がある。このうちOPPフィルムは、CPPフィルムに比べて透明度があり、ラミネートが剥がれにくい性質を有するので、本発明の透明部品の材料としては好適である。
【0016】
次に、ステップS102では、ステップS101でグラビア印刷が施されたホログラムシートをPET材でラミネート加工する。なお、ラミネート加工技術は、公知の技術であるので、本明細書では詳細な説明を省略する。
【0017】
次に、ステップS103では、ラミネート加工されたホログラムシートを成形し、所望の凹凸をシートの表面に付与する。成形方法としては圧空成形を利用できる。圧空成形とは、加熱軟化させたシートを、3〜5kg/cmの圧縮空気により型に密着させ、所定の形状を得る成形方法である。この圧空成形は、成形素材に対して均一に力が掛かり、また、形状が表面にはっきり出やすくなっている。なお、圧空成形の他に、真空成形を利用することもできる。
【0018】
次に、ステップS104では、抜き刃により所望形状に切り抜き、これにより最終的に透明部品が完成する。
【0019】
このようにして製造された透明部品は、玩具(組み立て玩具を含む)の一部構成する部品として利用して、外観に光沢を持たせることができる。
【0020】
なお、ステップS101におけるグラビア印刷の工程は、完成品の透明部品に特定の色や模様を付加する必要がなければ、必ずしも実行する必要はなく省略することができる。
【0021】
なお、ステップS101のグラビア印刷では、ホログラムシートは1枚の長さに制約があり(700mm程度)、グラビア印刷を行うためにホログラムシートどうしをつなげている。そのため、ホログラムシートどうしを接続している約1mmのジョイント部ができるので、このジョイント部が完成品である透明部品に入ってこないように、ホログラムシートのジョイントピッチと成形用金型のサイズを調節している。
【0022】
次に、図2を参照して、図1のフローチャートに対応する透明部品の製造方法を実行するための、製造システムについて説明する。
【0023】
図2において、グラビア印刷部201は、図1のステップS101に対応するホログラムシートのグラビア印刷処理を行う。
【0024】
ラミネート加工部202は、グラビア印刷が行われたホログラムシートに、図1のステップS102に対応するPET材によるラミネート加工を施す。
【0025】
成形部203は、ラミネート加工されたホログラムシートに、図1のステップS103に対応する成形を施して、シート表面に所望の形状を付与する。成形方法には、圧空成形と真空成形とがある。
【0026】
抜き部204は、成形により模様が施されたシートを、抜き刃を利用して所望の形状に切り出す。
【0027】
図3は、本実施形態に対応する方法により製造された、光沢を有する透明部品の外観の一例を示す図である。図3に示すように、透明部品300の表面には、ホログラムシートによる光沢301が生じている。この光沢301は、透明部品300の傾きを変えれば任意に変化する。また、透明部品300の表面には凹凸302が形成されている。
【0028】
以上、本実施形態によれば、組み立て玩具において、発光状態を表現する部品として見栄えの良い透明部品を製造する方法、および、該方法により製造された透明部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】発明の実施形態に対応する透明部品の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【図2】発明の実施形態に対応する透明部品の製造方法を実施するシステムの一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に対応する透明部品の外観の一例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光沢を有する透明部品の製造方法であって、
ホログラムシートをラミネート加工する加工工程と、
前記ラミネート加工がなされたシートに凹凸を付加する成形工程と、
前記成形がなされたシートを、所定形状に切り抜く切抜工程と
を備えることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記成形工程は、前記ラミネート加工がなされたシートに、圧空成形または真空成形により凹凸を付加することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記ホログラムシートにグラビア印刷を行う印刷工程をさらに備え、
前記加工工程では、前記グラビア印刷がなされたシートに対して前記ラミネート加工を施すことを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記加工工程では、ポリエチレン・テレフタラート材により、ラミネート加工を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ホログラムシートは、未延伸ポリプロピレン製であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−73118(P2009−73118A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−246066(P2007−246066)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000135748)株式会社バンダイ (246)
【Fターム(参考)】