説明

光生成器

光源を備えるシーンを照明するための構造化光生成器であり、光導波路(304)が、長手方向軸線を有し、かつ万華鏡風にシーンに向かって光源の個別の画像の配列を投射するように配置される略反射側部を有する筒状部を備え、前記光生成器は、投射軸線および光導波路軸線が互いに対して傾斜しているように光を再配向する光偏向素子を含む。このように、概して細長い構造体である光導波路は、光投射の方向から遠ざかるように「折り畳まれる」ことができ、それにより、投射の方向の厚さが望ましく最小限にされる光生成器のパッケージによって利点が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像測距システムなどの測距装置で使用され得るようなシーンを照明するための構造化光生成器に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像測距システムは、頻繁にシーンを照明し、距離情報を決定するようにシーンから反射される光を画像化する。
【0003】
1つの知られているシステム、いわゆる三角測量方式は、スポットがシーンに現われるように、光線でシーンを照明するように配置される光源を使用する。検出器は、シーンの中の光のスポットの位置が距離情報を現すように光源に対して所定の方式で方向付けられる。光線は、シーン全体の向こう側から距離情報を生成するようにシーンを横切って方位角および仰角の両方で走査され得る。いくつかのシステムでは、光線は、1次元距離情報が同時に集められるように直線ビームであることができ、直線ビームは、他の次元の距離情報を得るように垂直方向に走査される。
【0004】
この種の照明システムは、頻繁にレーザシステムを用いる。レーザシステムは、安全との係わり合いを有し、複雑で比較的高価な走査機構を必要とする場合がある。レーザは、小さいまま、小さなパワーで作動することができるが、スペックルなどの論点が依然として潜在的な問題である。
【0005】
他のタイプの照明システムが、米国特許第6,377,353号明細書に説明されている。ここで、構造化光生成器が説明され、この構造化光生成器は、その中に開口の配列を有するパターン状スライドの前に配置される光源を備えている。光源からの光は、開口を通過するだけであり、シーンの上にスポットの配列を投射する。この装置の距離情報は、形成されるスポットのサイズおよび形状を解析することによって決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,377,353号明細書
【特許文献2】国際公開第2004/044523号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このタイプの照明システムは、光源によって生成される光の一部を遮り、したがって、要求される照明を生成するように比較的高出力の電源を必要とする。さらに、照明システムの被写界深度が幾分制限され、識別が短距離で困難である。
【0008】
国際公開第2004/044523号は、筒状部の入力面の一部を照明するように配置される光源をその代わりとして使用する構造化光生成器を説明しており、この筒状部は、略反射側部を有し、シーンに向かって光源の画像の配列を投射するように投射光学系と共に配置される。光導波路は、実質的に万華鏡として作動する。光源からの光は、筒状部の側部から反射され、筒状部内でいくつかの反射径路を受けることができる。結果は、光源の複数の画像が生成され、シーンの上に投射されることである。1つの説明された実施形態は、2〜3mmの辺長を有する四角形断面の筒状部である。光導波路は、数十ミリメートルの長さを有することができ、光導波路は、長さが10mmと70mmとの間であることができる。
【0009】
構造化光は、知られている幾何学的形状について複数の認識可能な特徴を有するパターンを指すことが理解されよう。共通の構造化光パターンには、規則的な配列スポット、平行線、または格子線がある。
【0010】
本発明の目的は、改良された構造化光生成器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様によれば、光導波路の入力面の一部を照明するように配置される光源を備えるシーンを照明するための構造化光生成器にして、光導波路が、長手方向軸線を有しかつ略反射側部を有しかつシーンに向かって光源の個別の画像の配列を投射するように投射光学系と共に配置される筒状部を備える構造化光生成器であって、前記光生成器は、前記画像の配列の投射の方向が長手方向軸線に対してある角度をなしているように、光を再配向するように適応する光偏向素子を含む、構造化光生成器が提供される。
【0012】
このように、概して細長い構造体である光導波路は、光投射の方向から離れて「折り曲げられる」ことができ、それにより、投射の方向の厚さが望ましく最小限にされる光生成器のパッケージングについて利点が提供される。これは、携帯電話の例でよくあることである。また、構成が基板の表面に沿ってまたはその下に取り付けられることができ、投射の方向が基板の平面外である場合に、機械的利点が提供され得る。たとえばチップの表面の中に適切な光導波路を一体化することができる場合がある。
【0013】
ある実施形態では、光偏向は、光出力パターンの方向を変更するが、パターン自体を実質的に変化しないままにしておくように適応することが好ましい。したがって、1つの実施形態では、光偏向素子は、前記光導波路と前記投射光学系との間に配置される平面反射体である。この場合には、光導波路の光軸および投射光学系の光軸は、互いに対して傾斜していることが好ましい。
【0014】
投射の方向に最小厚さを実現するために、光導波路は、投射方向に垂直に置かれているように90°を介して「折り畳まれる」ことが望ましい。
【0015】
実施形態では、光偏向素子としてプリズムが使用されるが、また、基準ミラーが使用されることもある。ある実施形態では、下記でより詳細に説明されるように、ミラーまたはプリズムは、光導波路と一体化され得る。
【0016】
本発明は、添付の図面を参照して本明細書において説明されるように、実質的に方法、装置、および/または使用に及ぶ。
【0017】
本発明の1つの態様の任意の特徴は、任意の適切な組み合わせを用いて本発明の他の態様に適用され得る。特に、方法の態様は、装置の態様に適用されることができ、逆もまた同じである。
【0018】
次に、本発明の好ましい特徴が、添付の図面を参照して、単に例示として説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】先行技術の構造化光源を示す図である。
【図2】先行技術の構造化光源を示す図である。
【図3】本発明による構造化光生成器を示す図である。
【図4】本発明の実施形態の、ある一定のパラメータを示す図である。
【図5】一体化された構成部品を有する光プロジェクタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
全体的に示される構造化光源2が、図1に示されている。光源4は、万華鏡6の入力面に隣接して配置される。他の端部に、簡単な投射レンズ8が配置される。投射レンズは、明瞭さの目的のために万華鏡から間隔を置いて示されるが、通常、万華鏡の出力面に隣接して配置されることになる。
【0021】
この例では、光源4は、赤外線発光ダイオード(LED)である。赤外線は、投射スポットの配列が取得されている視覚画像をいじる必要がなく、赤外線LEDおよび検出器が適度に割安であるので、測距用途に有用である。しかしながら、当業者は、他の波長および他の光源が本発明の趣旨を逸脱することなく他の用途に使用され得ることを理解するであろう。
【0022】
万華鏡は、内部反射壁を有する中空の筒状部である。万華鏡は、適切な剛性を有する任意の材料、および適切な誘電体被膜で被覆された内部壁から作られることもできる。しかしながら、当業者は、万華鏡が中実の棒を備えることもできることを理解するであろう。透明な光学ガラスなどの、LEDの動作波長で透明である任意の材料で十分であろう。材料は、万華鏡と周囲の空気との間の界面で光が万華鏡内で全く内部に反射されるように、配置される必要があるであろう。また、反射は、特に潜在的に屈折率整合セメント/エポキシ樹脂等を用いて接着され得る領域で、追加の(銀めっき)被膜を用いて実現されることもできる。高い投射角度が要求される場合、これは、万華鏡の全長が反射材料で覆われる必要があることもある。理想的な万華鏡は、100%の反射力を有する完全に直線で囲まれた壁を有することになる。万華鏡筒状部の効果は、LEDの複数の画像が万華鏡の出力端部のところで見られ得るようなものである。
【0023】
投射レンズ8は、万華鏡の端部に配置される簡単なシングレットレンズであり、シーンの上にLED4の画像の配列を投射するように選択される。さらに、投射ジオメトリが、用途および要求される被写界深度に従って選択され得るが、簡単なジオメトリが、レンズの焦点面のところにまたはそれの近くにスポットの配列を配置することになる。本発明の実施形態によるプロジェクタ構成の有用な特徴は、全てのビームが万華鏡の端部を通過し、万華鏡の出力面の中心から生じたように考えられ得ることである。したがって、投射レンズ8は、半球状レンズであることができ、出射面の中心と一致するその軸線で配置された場合には、ビームの見かけ上の原点を保持するであろう。図2は、万華鏡26と一体に形成される半球状レンズ28を示している。したがって、本発明によるプロジェクタは、広範囲にわたって万華鏡の入力面の画像を投射する際に有利である。
【0024】
図3は、本発明による構造化光生成器の実施形態を示している。
【0025】
細長い光導波路または筒304の光軸302は、投射レンズ308の光軸306(および投射の方向)に実質的に垂直に配置されていることが見られ得る。装置の全体の奥行または厚さ310が著しく減少されることが見られ得る。直角プリズムが、投射レンズと同心にするように、90°を介して光導波路から出射する光を再配向するように光導波路と投射レンズとの間に配置される。いくつかの実施形態では、プリズムは、全体の半球状レンズ厚さの一部として考えられることができ、したがって、そのコリメーションレンズの大きさおよび重量の低減を助けるという追加の利益を有する。プリズムまたは反射体は、光が投射レンズを通過した後に光を再配向するように配置されることもできるが、これは、現在考えられる用途に魅力がありそうもない。
【0026】
他の実施形態では、特定の用途に適合するように、90°以外の角度で光を再配向することが有利であり得る。また、プリズムまたは偏向素子は、光がそのレンズの軸線に沿って投射レンズに入らないように、光を再配向するように配置されることもある。
【0027】
図4は、図3の配置構成の「展開」を概略的に示している。
【0028】
図4を考慮すると、万華鏡がレンズの後ろにプリズムで折り畳まれる場合には、最大出射角(プロジェクタの視界)がプリズムの開口によって影響されることが見られ得る。直線寸法hのキュービックプリズムおよび幅pを有する光導波路の場合、視界θ(1/2角度)は、
Tanθ=(h−p)/2h
である。
【0029】
したがって、この実施形態では、θは、非常に小さな筒の場合(すなわち、p→0の場合)、+/−26.5°で最大である。また、プリズムの中心から遠ざかるように筒の位置を偏位させると、−0°から+45°の理論限界まで視界を偏らせるように使用され得る。
【0030】
図3に関して言及したように、プリズムまたは偏向素子は、投射光学系と一体化され得る。図5は、プリズムが光導波路と一体化された実施形態を示している。光導波路502の出力面504は、所望の角度で切断され、反射を促進するように磨かれまたは銀めっきされ得る。これは、たとえば単一の成形部品で実現されることもできる。これにより、光インターフェイスの数が減少され、正確な心出しが確保される。また、破線508で示されるように、いくつかの実施形態では、投射レンズ506は、単一の構造体に組み込まれ得る。
【0031】
専用の投射レンズの別法として、実施形態では、プリズムまたは反射体が光を再配向するようにばかりでなく、投射のための適切な整形機能を与えるようにも配置することができる場合がある。この種の実施形態では、たとえば、傾斜した球面鏡が使用されることもできる。
【0032】
本発明は単に例示として上記で説明されており、細部の改変が本発明の範囲内で行われ得ることが理解されよう。
【0033】
説明で開示された各特徴、ならびに(適切な場合には)特許請求の範囲および図面は、独立してまたは任意の適切な組み合わせを用いて提供され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導波路の入力面の一部を照明するように配置される光源を備えるシーンを照明するための構造化光生成器にして、光導波路が、長手方向軸線を有しかつ略反射側部を有しかつシーンに向かって光源の個別の画像の配列を投射するように投射光学系と共に配置される筒状部を備える構造化光生成器であって、前記光生成器は、前記画像の配列の投射の方向が長手方向軸線に対してある角度をなしているように、光を再配向するように適応する光偏向素子を含む、構造化光生成器。
【請求項2】
前記光偏向素子が、前記光導波路と前記投射光学系との間に配置される平面反射体である、請求項1に記載の構造化光生成器。
【請求項3】
前記光導波路の光軸および前記投射光学系の光軸が、互いに対して傾斜している、請求項1または2に記載の構造化光生成器。
【請求項4】
前記画像の配列の投射の方向が、前記光導波路軸線に実質的に垂直である、請求項1から3のいずれか一項に記載の構造化光生成器。
【請求項5】
前記光偏向素子がプリズムを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の構造化光生成器。
【請求項6】
光導波路が、一定の横断面を有する筒状部を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の構造化光生成器。
【請求項7】
筒状部の横断面が、正多角形である、請求項6に記載の構造化光生成器。
【請求項8】
光偏向素子が、投射光学系と一体化される、請求項1から7のいずれか一項に記載の構造化光生成器。
【請求項9】
光偏向素子が、光導波路と一体化される、請求項1から8のいずれか一項に記載の構造化光生成器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−519100(P2013−519100A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552454(P2012−552454)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際出願番号】PCT/GB2011/000148
【国際公開番号】WO2011/098751
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(511247389)キネテイツク・リミテツド (7)
【Fターム(参考)】