説明

光硬化性樹脂組成物、そのドライフィルム、パターン形成方法及び電気・電子部品保護用皮膜

【解決手段】(A)式(1)で示される繰り返し単位を有するエポキシ基含有高分子化合物、


(B)光酸発生剤:特定構造のスルホニウム塩を含有する光硬化性樹脂組成物。
【効果】平坦な基板上及び凹凸のある基板において、上記エポキシ基含有高分子化合物のエポキシ基同士が架橋し、幅広い波長領域の光で、幅広い膜厚に亘り微細なパターン形成を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なエポキシ基含有高分子化合物及び光酸発生剤を含有する光硬化性樹脂組成物、そのドライフィルム、これらを用いたパターン形成方法、更にはこの組成物又はドライフィルムを用いた積層体、基板、回路及び配線等の電気・電子部品保護用皮膜に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パソコン、デジタルカメラ、携帯電話等、様々な電子機器の小型化や高性能化に伴い、半導体素子においても更なる小型化、薄型化及び高密度化への要求が急速に高まっている。このため、生産性向上における基板面積の増大に対応でき、かつチップサイズパッケージ、チップスケールパッケージ(CSP)又は三次元積層といった高密度実装技術において、基板上に微細でアスペクト比の高い凹凸を持つような構造体に対応し、かつ積層基板間の接着剤として有効な感光性絶縁材料の開発が望まれている。
【0003】
上述したような感光性絶縁材料として、半導体素子製造工程において常用されるスピンコート法により幅広い膜厚に亘り塗布可能で、かつ幅広い波長領域において微細なパターン形成が可能であり、低温の後硬化により可とう性、耐熱性、電気特性、密着性、信頼性及び薬品耐性に優れる電気・電子部品保護用皮膜を与える光硬化性樹脂組成物が提案されている(特許文献1:特開2008−184571号公報)。しかし、上記光硬化性樹脂組成物をスピンコート法により表面に凹凸がある基板に塗布する際、基板をほぼ均一に被覆することは困難であるため、基板上の段差部分に光硬化性樹脂層の隙間を生じやすく、平坦性や段差被覆性の更なる改善が待たれていた。
【0004】
また、上記スピンコート法に替わる他の塗布方法として、スプレー法が提案されている(特許文献2:特開2009−200315号公報)。しかし、その原理上基板の凹凸に由来する高低差、あるいはパターンエッジでの膜切れ及び凹部底面のピンホールといった欠陥が生じやすい。また、基板の高低差が大きい場合、必要な膜厚を得るための組成物の粘性が高くなり、平坦性や段差被覆性に係る問題が未だ十分に解決されていない。
【0005】
また、多官能エポキシ樹脂とフェノール系硬化剤からなり、高アスペクト比でのパターン形成が可能である光硬化性樹脂組成物が提案されており(特許文献3:特表2007−522531号公報)、この組成物を用いた厚さ1〜100μmのドライフィルムとそれらの材料の適用についても提案されているが、樹脂の内部応力が大きく、基板貼り合わせでの可とう性の改善が必要である他、樹脂の透明性が劣るため、皮膜での吸収が発生し、厚膜パターン形成時の感度低下、皮膜自身の吸収によりレジスト表層と底面部に露光エネルギー差が発生し、それを原因とする形状(矩形性)の悪化、凹凸が大きい基板面内において感度が不均一等の問題があった。また、基板貼り合わせ用途においては、基板接着性と共に素子形成工程において、貼り合わせ欠陥を誘起する脱ガスの発生がない皮膜の形成が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−184571号公報
【特許文献2】特開2009−200315号公報
【特許文献3】特表2007−522531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、厚膜で微細なパターン形成を容易に行うことができ、かつパターン形状の垂直性に優れ、凹凸を有する基板上においても高感度でのパターン形成が容易であり、しかも低温の後硬化であっても、各種フィルム特性、特に回路基板に使用される基材に対しての密着性に優れ、加えて、電気・電子部品としての信頼性に優れ、基板接合材料としても高い信頼性を有する皮膜を形成することができる光硬化性樹脂組成物、そのドライフィルム、これらを用いた積層体、パターン形成方法及び電気・電子部品保護用皮膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有し、重量平均分子量が3,000〜500,000のエポキシ基含有高分子化合物、及び下記一般式(8)で示され、特に波長190〜500nmの光によって分解して酸を発生する光酸発生剤を含む光硬化性樹脂組成物が、電気・電子部品保護用皮膜として優れることを見出した。また、上記光硬化性樹脂組成物は、幅広い膜厚範囲で皮膜形成でき、後述するパターン形成方法により微細かつ垂直性に優れたパターンを形成することが可能であることを見出した。更に、上記光硬化性樹脂組成物及びこのドライフィルムを用いたパターン形成方法により得られる硬化皮膜は、パターン性、耐熱性、電気絶縁性、絶縁保護膜としての信頼性、特に基板との密着性に優れた皮膜であることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0009】
従って、本発明は、下記光硬化性樹脂組成物、そのドライフィルム、これらを用いた積層体、パターン形成方法及び電気・電子部品保護用皮膜を提供する。
請求項1:
(A)下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有し、重量平均分子量が3,000〜500,000のエポキシ基含有高分子化合物 100質量部、
【化1】


[式中、R1〜R4は同一でも異なっていてもよい炭素数1〜8の1価炭化水素基を示す。mは1〜100の整数であり、a、b、c及びdは全繰り返し単位数に占める各繰り返し単位の割合を示し、0又は正数であり、但し、c及びdが同時に0になることはなく、かつ0<(c+d)/(a+b+c+d)≦1.0である。X及びYはそれぞれ下記一般式(2)又は(3)で示される2価の有機基であるが、式(3)で示される2価の有機基を少なくとも1個有する。
【化2】


(式中、Zは、
【化3】

のいずれかより選ばれる2価の有機基であり、nは0又は1である。R5及びR6は、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基であり、相互に異なっていても同一でもよい。kは0、1及び2のいずれかである。)
【化4】


(式中、Vは、
【化5】


のいずれかより選ばれる2価の有機基であり、pは0又は1である。R7及びR8は、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基であり、相互に異なっていても同一でもよい。hは0、1及び2のいずれかである。)]
(B)下記式(8)で示される光酸発生剤 0.05〜20質量部、
【化6】

(C)溶剤
を含有することを特徴とする光硬化性樹脂組成物。
請求項2:
(A)成分の式(1)において、Xが一般式(2)で示される2価の有機基であり、Yが一般式(3)で示される2価の有機基である請求項1記載の光硬化性樹脂組成物。
請求項3:
上記一般式(1)において、0.05≦c/(a+b+c+d)≦0.5であることを特徴とする請求項1又は2記載の光硬化性樹脂組成物。
請求項4:
上記一般式(1)において、0.05≦d/(a+b+c+d)≦0.5であることを特徴とする請求項1又は2記載の光硬化性樹脂組成物。
請求項5:
更に、(D)架橋剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の光硬化性樹脂組成物。
請求項6:
(D)架橋剤が、1分子中に平均して2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物の1種又は2種以上であることを特徴とする請求項5記載の光硬化性樹脂組成物。
請求項7:
更に、(E)塩基性化合物を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の光硬化性樹脂組成物。
請求項8:
請求項1〜7のいずれか1項記載の光硬化性樹脂組成物を支持フィルムに塗布・乾燥して得られる光硬化性ドライフィルム。
請求項9:
開口幅が10〜100μmであり、かつ深さが10〜120μmである溝及び/又は孔を有する基板に請求項1〜7のいずれか1項記載の光硬化性樹脂組成物又は請求項8記載の光硬化性ドライフィルムの硬化物層が積層されてなる積層体。
請求項10:
(i)請求項1〜7のいずれか1項記載の光硬化性樹脂組成物を基板上に塗布後、必要により加熱することにより、又は請求項8記載の光硬化性ドライフィルムを基板に密着させた後、必要により加熱することにより、上記基板上に光硬化性樹脂層を形成する工程、
(ii)フォトマスクを介して露光する工程、
(iii)露光後の加熱処理を行った後、現像液にて現像して非露光部を溶解除去する工程
を含むことを特徴とするパターン形成方法。
請求項11:
更に、(iv)現像によりパターン形成された皮膜を100〜250℃の温度で後硬化する工程を含むことを特徴とする請求項10記載のパターン形成方法。
請求項12:
基板が、開口幅が10〜100μmであり、かつ深さが10〜120μmである溝及び/又は孔を有するものである請求項10又は11記載のパターン形成方法。
請求項13:
請求項10又は11記載のパターン形成方法により得られた硬化皮膜からなる電気・電子部品保護用皮膜。
請求項14:
請求項10又は11記載のパターン形成方法により得られた硬化皮膜からなる基板接合用皮膜。
【発明の効果】
【0010】
本発明のエポキシ基含有高分子化合物及び光酸発生剤を含有する光硬化性樹脂組成物又は光硬化性ドライフィルムを使用することにより、平坦な基板上及び凹凸のある基板において、上記エポキシ基含有高分子化合物のエポキシ基同士が架橋し、幅広い波長領域の光で、幅広い膜厚に亘り、微細なパターン形成を行うことができる。そして、本発明の光硬化性樹脂組成物が特に少量のエポキシ化合物を架橋剤として含有すると、更に架橋が促進されて好ましい。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、光架橋反応及び熱架橋反応において副反応ガスの発生がないため、基板貼り合わせ用途においては貼り合わせ欠陥を誘起しない。また、本発明の光硬化性樹脂組成物は、露光波長領域において高い透明性を有するため、基板上の光硬化性樹脂層が厚くなった場合においても、樹脂層自身の光吸収が少なく、高感度でのパターン形成が可能である。
本発明の光硬化性樹脂組成物又は光硬化性ドライフィルムは、光によるパターン形成後に250℃以下の低温の加熱処理を行うことにより、電子部品や半導体素子、回路基板に使用される基板に対する密着性、機械的特性及び電気絶縁性に優れ、その絶縁保護膜としての信頼性が高く、さらに保護膜のクラック発生を防止可能であるため、回路基板、半導体素子、表示素子等の各種電気・電子部品保護用皮膜の形成に好適に用いられる。また、基板接合材料としても優れた皮膜を容易に形成できる。特に、この皮膜は、その耐熱性、絶縁性及び可とう性から、再配線用を含む半導体素子用絶縁膜、多層プリント基板用絶縁膜、シリコン基板貫通配線(TSV)の貫通電極用絶縁膜、カバーレイフィルムとして使用することができ、かつ接着性を有することから基板貼り合わせ用途等に使用することができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の光硬化性樹脂組成物は、(A)下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有し、重量平均分子量が3,000〜500,000のエポキシ基含有高分子化合物、(B)下記一般式(8)で示される光酸発生剤、及び(C)溶剤を含有する。
【0012】
光硬化性樹脂組成物
[(A)エポキシ基含有高分子化合物]
(A)成分は、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有し、重量平均分子量が3,000〜500,000のエポキシ基含有高分子化合物である。
【0013】
【化7】

式中、R1〜R4は同一でも異なってもよい炭素数1〜8、好ましくは1〜6の1価炭化水素基を示す。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
【0014】
また、後述する架橋剤及び光酸発生剤との相溶性及び光硬化性の観点から、mは1〜100、好ましくは1〜80の整数である。また、a、b、c及びdは全繰り返し単位数に占める各繰り返し単位の割合を示し、基板に対する密着性、電気特性、信頼性の観点から、0又は正数であり、但しc及びdが同時に0になることはなく、かつ0<(c+d)/(a+b+c+d)≦1.0であり、好ましくは0.1≦(c+d)/(a+b+c+d)≦0.5、更に好ましくは0.15≦(c+d)/(a+b+c+d)≦0.25である。
【0015】
この場合、0.05≦c/(a+b+c+d)≦0.5、好ましくは0.05≦c/(a+b+c+d)≦0.3、特に0.05≦c/(a+b+c+d)≦0.15であり、0.05≦d/(a+b+c+d)≦0.5、好ましくは0.05≦d/(a+b+c+d)≦0.3、特に0.1≦d/(a+b+c+d)≦0.2であることが熱硬化後の硬化皮膜強度を良好にする点から好ましい。なお、a+b+c+d=1であり、a+bは残部であるが、a及びbのいずれかが0であってもよい。
【0016】
更に、X及びYは、それぞれ下記一般式(2)又は(3)で示される2価の有機基であが、本発明の高分子化合物は、式(3)で示される2価の有機基を少なくとも1個有し、Xは式(2)、Yは式(3)であることが好ましい。
【化8】


(式中、Zは、
【化9】


のいずれかより選ばれる2価の有機基であり、nは0又は1である。また、R5及びR6は、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基であり、相互に異なっていても同一でもよい。kは各々独立に0、1及び2のいずれかである。)
【0017】
5及びR6の具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基等が挙げられる。
【0018】
【化10】


(式中、Vは、
【化11】


のいずれかより選ばれる2価の有機基であり、pは0又は1である。また、R7及びR8は、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基であり、相互に異なっていても同一でもよい。hは各々独立に0、1及び2のいずれかである。)
7及びR8の具体例としては、R5及びR6と同様なものが挙げられる。
【0019】
上記エポキシ基含有高分子化合物の重量平均分子量は、3,000〜500,000、好ましくは5,000〜300,000である。重量平均分子量が3,000〜500,000であれば、このエポキシ基含有高分子化合物を用いた上記光硬化性樹脂組成物の相溶性及び光硬化性、かつ上記光硬化性樹脂組成物からなる硬化皮膜の機械的特性の観点から好ましい。なお、本発明において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値である。
【0020】
本発明のエポキシ基含有高分子化合物は、下記式(4)のハイドロジェンシルフェニレン(1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン)、
【化12】


及び/又は下記一般式(5)のジヒドロオルガノシロキサン
【化13】

(式中、R1、R2、R3、R4及びmは、上記と同一である。)
と、下記一般式(6)で示されるジアリル基を有する特定のエポキシ基含有化合物、
【化14】


(式中、V、R7、R8、p、hは、上記と同一である。)
更に、下記一般式(7)で示されるジアリル基を有する特定のフェノール化合物
【化15】


(式中、Z、R5、R6、n、kは、上記と同一である。)
とを、触媒の存在下に所謂「ハイドロシリレーション」重合反応を行うことにより、製造することができる。
【0021】
なお、本発明の式(1)で示される繰り返し単位を有するエポキシ基含有高分子化合物の重量平均分子量は、上記式(6)及び上記式(7)で表されるフェノール化合物のアリル基総数と上記式(4)で示されるハイドロジェンシルフェニレン、及び/又は上記式(5)で示されるジヒドロオルガノシロキサンのヒドロシリル基総数との比(アリル基総数/ヒドロシリル基総数)を調整することにより容易に制御することが可能である。あるいは、上記ジアリルフェノール化合物とハイドロジェンシルフェニレン及びジヒドロオルガノシロキサンの重合時に、例えば、o−アリルフェノールのようなモノアリル化合物、又はトリエチルヒドロシランのようなモノヒドロシランやモノヒドロシロキサンを分子量調整剤として使用することにより、上記重量平均分子量は容易に制御することが可能である。
【0022】
上記重合反応において、触媒としては、例えば白金(白金黒を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;H2PtCl4・xH2O、H2PtCl6・xH2O、NaHPtCl6・xH2O、KHPtCl6・xH2O、Na2PtCl6・xH2O、K2PtCl4・xH2O、PtCl4・xH2O、PtCl2、Na2HPtCl4・xH2O(式中、xは0〜6の整数が好ましく、特に0又は6が好ましい。)等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金酸(米国特許第3,220,972号明細書);塩化白金酸とオレフィンとの錯体(米国特許第3,159,601号明細書、米国特許第3,159,662号明細書、米国特許第3,775,452号明細書);白金黒やパラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの;ロジウム−オレフィン錯体;クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(所謂ウィルキンソン触媒);塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサン(特にビニル基含有環状シロキサン)との錯体等が挙げられる。
【0023】
その使用量は触媒量であり、通常、白金族金属として反応重合物の総量に対して0.001〜0.1質量%であることが好ましい。
【0024】
上記重合反応においては、必要に応じて溶剤を使用してもよい。溶剤としては、例えばトルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤が好ましい。
上記重合条件として、触媒が失活せず、かつ短時間で重合の完結が可能という観点から、重合温度は、例えば40〜150℃、特に60〜120℃が好ましい。
重合時間は、重合物の種類及び量にもよるが、重合系中に湿気の介入を防ぐため、およそ0.5〜100時間、特に0.5〜30時間で終了するのが好ましい。このようにして重合反応を終了後、溶剤を使用した場合はこれを留去することにより、本発明の式(1)で示されるエポキシ基含有高分子化合物を得ることができる。
【0025】
なお、エポキシ基含有高分子化合物の重量平均分子量が低下すると、上記エポキシ基含有高分子化合物の粘度は低下する。そのため、上記エポキシ基含有高分子化合物を用いた光硬化性樹脂層の粘性率も低下する。また、エポキシ基含有高分子化合物の分子内において、直鎖状ポリシロキサンを含む分子ユニットの割合[一般式(1)のb及びd]が増加すると、相対的にシルフェニレン等の芳香族化合物を含む分子ユニットの割合[一般式(1)のa及びc]が減少し、上記エポキシ基含有高分子化合物の粘度は低下する。そのため、上記エポキシ基含有高分子化合物を用いた光硬化性樹脂層の粘性率も低下する。更に、エポキシ基含有高分子化合物の分子内において、直鎖状ポリシロキサンの分子鎖長が増加すると、即ち、一般式(1)のmの値が増加すると、上記エポキシ基含有高分子化合物の粘度は低下する。そのため、上記エポキシ基含有高分子化合物を用いた光硬化性樹脂層の粘性率も低下する。
【0026】
[(B)光酸発生剤]
本発明の光硬化性樹脂組成物は、(B)光酸発生剤を含有する。光酸発生剤は、下記式(8)で示される化合物であり、特に190〜500nmの波長の光によって分解して酸を発生し、硬化触媒となるものである。
【化16】

【0027】
上記光酸発生剤の配合量は、光硬化性の観点から、エポキシ基含有高分子化合物100質量部に対して0.05〜20質量部が好ましく、0.05〜5質量部が特に好ましい。式(8)の光酸発生剤の量が0.05質量部未満の場合は酸の発生量が不足し、架橋反応が十分に進行しない。また、20質量部を超えると酸発生剤自身の吸光度が増大するため、透明性が低下するといった問題が生じる。
【0028】
[(C)溶剤]
本発明の光硬化性樹脂組成物は、(C)溶剤を含有する。上述したエポキシ基含有高分子化合物、光酸発生剤、及び後述する架橋剤、塩基性化合物、その他各種添加剤が溶解可能な溶剤を選択し、配合するが、有機溶剤がこれら成分の溶解性に優れている。
【0029】
有機溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類;3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコール−モノ−tert−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。特に、光酸発生剤の溶解性が最も優れている乳酸エチル、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン及びその混合溶剤が好ましい。
【0030】
上記溶剤の使用量は、光硬化性樹脂組成物の相溶性及び粘度の観点から、エポキシ基含有高分子化合物、光酸発生剤の使用量の合計100質量部に対して50〜2,000質量部が好ましく、50〜1,000質量部がより好ましく、50〜100質量部が特に好ましい。
【0031】
[(D)架橋剤]
更に、本発明の光硬化性樹脂組成物は、(D)架橋剤を含有することが好ましい。(D)架橋剤としては特に限定されないが、1分子中に平均して2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物を含有することができる。上記架橋剤は、(A)成分の式(2)におけるフェノール基、あるいはR5及び/又はR6のアルコキシ基と縮合反応を起こし、パターンの形成を容易になし得るための成分であると共に、硬化物の強度を更に上げる成分として有効である。上記架橋剤の重量平均分子量は、光硬化性と耐熱性の観点から、150〜10,000が好ましく、200〜3,000が特に好ましい。
【0032】
上記架橋剤としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールアルカン型エポキシ樹脂及びその重合物、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂等が挙げられる。上記架橋剤の中でもビスフェノール型エポキシ樹脂及びノボラック型エポキシ樹脂が好ましく用いられる。上記架橋剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができ、可とう性、薬品耐性及び基板に対する密着性の観点から、(A)成分のエポキシ基含有高分子化合物100質量部に対して0〜50質量部が好ましく、0〜30質量部がより好ましく、0.1〜30質量部が特に好ましい。
【0033】
[(E)塩基性化合物]
更に、本発明の光硬化性樹脂組成物は、(E)塩基性化合物を含有することができる。塩基性化合物としては、光酸発生剤より発生した酸が光硬化性樹脂層内を拡散する際の拡散速度を抑制することができる化合物が適している。そして、上記塩基性化合物の配合により、解像度が向上し、露光後の感度変化を抑制し、基板依存性又は環境依存性を少なくし、露光余裕度やパターン形状を向上させることができる。
【0034】
上記塩基性化合物としては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシル基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、ヒドロキシル基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体、イミド誘導体等が挙げられる。
【0035】
具体的には、第一級の脂肪族アミン類として、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0036】
第二級の脂肪族アミン類として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N−ジメチルメチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0037】
第三級の脂肪族アミン類として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0038】
また、混成アミン類としては、例えば、ジメチルエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が例示される。
【0039】
芳香族アミン類及び複素環アミン類の具体例としては、アニリン誘導体(例えば、アニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン等)、ジフェニル(p−トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えば、ピロール、2H−ピロール、1−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、N−メチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えば、オキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えば、チアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えば、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えば、ピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えば、ピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン、N−メチルピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えば、ピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、1−メチル−2−ピリジン、4−ピロリジノピリジン、1−メチル−4−フェニルピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H−インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えば、キノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
【0040】
更に、カルボキシル基を有する含窒素化合物としては、例えば、アミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸誘導体(例えば、ニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、メトキシアラニン等)等が例示される。
【0041】
スルホニル基を有する含窒素化合物としては、3−ピリジンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム等が例示される。
【0042】
ヒドロキシ基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物としては、2−ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’−イミノジエタノール、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、8−ヒドロキシユロリジン、3−クイヌクリジノール、3−トロパノール、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、1−アジリジンエタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が例示される。
【0043】
アミド誘導体としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド等が例示される。
【0044】
イミド誘導体としては、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が例示される。
【0045】
更に、下記一般式(9)で示される塩基性化合物から選ばれる1種又は2種以上を添加することもできる。
N(α)q(β)3-q (9)
上記一般式(9)中、qは1、2又は3である。側鎖αは同一でも異なっていてもよく、下記一般式(10)〜(12)で表されるいずれかの置換基である。側鎖βは同一又は異種の、水素原子又は直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜20のアルキル基を示し、エーテル結合又はヒドロキシル基を含んでもよい。また、α同士が結合して環を形成してもよい。
【0046】
【化17】

【0047】
ここで、上記式中、R300、R302、R305は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R301、R304は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基であり、ヒドロキシル基、エーテル結合、エステル結合、ラクトン環を1又は複数個含んでいてもよい。R303は単結合、又は炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基であり、R306は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシル基、エーテル結合、エステル結合、及びラクトン環を1又は複数個含んでいてもよい。
【0048】
上記一般式(9)で表される化合物は、具体的には下記に例示される。
トリス[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミン、トリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アミン、トリス[2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル]アミン、トリス[2−(1−メトキシエトキシ)エチル]アミン、トリス[2−(1−エトキシエトキシ)エチル]アミン、トリス[2−(1−エトキシプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン、1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザビシクロオクタデカン、1−アザ−12−クラウン−4、1−アザ−15−クラウン−5、1−アザ−18−クラウン−6、トリス(2−ホルミルオキシエチル)アミン、トリス(2−アセトキシエチル)アミン、トリス(2−プロピオニルオキシエチル)アミン、トリス(2−ブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−イソブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−バレリルオキシエチル)アミン、トリス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(アセトキシアセトキシ)エチルアミン、トリス(2−メトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス(2−tert−ブトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス[2−(2−オキソプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2−(メトキシカルボニルメチル)オキシエチル]アミン、トリス[2−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス[2−(シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス(2−メトキシカルボニルエチル)アミン、トリス(2−エトキシカルボニルエチル)アミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−アセトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(4−ヒドロキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(4−ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(2−ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−メトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−メトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチル]アミン、N−メチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−エチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−メチルビス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N−エチルビス[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、N−エチルビス[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、トリス(メトキシカルボニルメチル)アミン、トリス(エトキシカルボニルメチル)アミン、N−ブチルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、N−ヘキシルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、β−(ジエチルアミノ)−δ−バレロラクトンを例示できるが、これらに制限されない。
なお、上記塩基性化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、感度の観点から、(A)成分のエポキシ基含有高分子化合物100質量部に対して0〜3質量部が好ましく、0.01〜1質量部が特に好ましい。
【0049】
[その他の添加剤]
本発明の光硬化性樹脂組成物には、上述した各成分以外に、更に添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、塗布性を向上させるために慣用されている界面活性剤を添加することができる。
【0050】
上記界面活性剤としては、非イオン性のものが好ましく、例えばフッ素系界面活性剤、具体的にはパーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール、フッ素化アルキルエステル、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、含フッ素オルガノシロキサン系化合物等が挙げられる。
これらは、市販されているものを用いることができ、例えば、フロラード「FC−430」(住友スリーエム(株)製)、サーフロン「S−141」及び「S−145」(いずれも旭硝子(株)製)、ユニダイン「DS−401」、「DS−4031」及び「DS−451」(いずれもダイキン工業(株)製)、メガファック「F−8151」(大日本インキ工業(株)製)、「X−70−093」(信越化学工業(株)製)等が挙げられる。これらの中でも好ましくは、フロラード「FC−430」(住友スリーエム(株)製)及び「X−70−093」(信越化学工業(株)製)である。
【0051】
また、他の添加剤としては、光酸発生剤の光吸収効率を向上させるために吸光剤を添加することもできる。そのような吸光剤としては、例えば、ジアリールスルホキシド、ジアリールスルホン、9,10−ジメチルアントラセン、9−フルオレノン等が挙げられる。
【0052】
本発明の光硬化性樹脂組成物の調製は通常の方法で行われる。上記各成分を撹拌混合し、その後必要に応じて固形分をフィルター等により濾過することにより、本発明の光硬化性樹脂組成物を調製することができる。
【0053】
このようにして調製された本発明の光硬化性樹脂組成物は、例えば、半導体素子の保護膜、配線の保護膜、カバーレイフィルム、ソルダーマスク、貫通電極用絶縁膜(TSV用)の材料、更には、三次元積層における積層基板間の接着剤として好適に用いられる。
【0054】
パターン形成方法
次に、上記光硬化性樹脂組成物を用いた本発明のパターン形成方法について説明する。
本発明のパターン形成方法は、下記の工程を含むパターン形成方法である。
(i)光硬化性樹脂組成物を基板上に塗布後、必要により加熱することにより、光硬化性樹脂層を形成する工程、
(ii)フォトマスクを介して露光する工程、
(iii)露光後の加熱処理を行った後、現像液にて現像して非露光部を溶解除去する工程、
更に、
(iv)現像によりパターン形成された皮膜を加熱処理により後硬化する工程。
これらの工程を経て、最終目的の電気・電子部品保護用皮膜を得ることができる。
【0055】
光硬化性樹脂組成物によるパターン形成においては、まず(i)光硬化性樹脂組成物を基板上に塗布し、光硬化性樹脂層を形成する。上記基板としては、例えばシリコンウェハ、貫通電極用シリコンウェハ、裏面研磨により薄膜化したシリコンウェハ、プラスチックやセラミック基板、イオンスパッタリング法やめっき法などにより基板全面又は基板の一部にNi、Auなどの金属を有する基板等が挙げられる。開口幅が10〜100μmかつ深さが10〜120μmである溝や孔を有する基板が使用されることもある。
【0056】
塗布方法としては公知のリソグラフィー技術を採用して行うことができる。例えば、ディップ法、スピンコート法、ロールコート法等の手法により塗布することができる。塗布量は目的に応じて適宜選択することができるが、膜厚が0.1〜200μm、好ましくは1〜150μmとなる光硬化性樹脂層を形成する塗布量である。基板面における膜厚均一性を向上させる目的で、光硬化性樹脂組成物を塗布する前に溶剤を基板に滴下してもよい(プリウェット法)。滴下する溶剤と量は、目的に応じて適宜選択することができるが、溶剤として使用される有機溶剤系、例えばイソプロピルアルコール(IPA)等のアルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類、更に、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール等が好ましいが、光硬化性樹脂組成物に使用される溶剤を用いることも可能である。
【0057】
ここで、光硬化反応を効率的に行うため、必要に応じて予備加熱(プリベーク:PB)により溶剤等を予め揮発させておいてもよい。予備加熱は、例えば40〜140℃で1分〜1時間程度行うことができる。
【0058】
次いで、(ii)フォトマスクを介して露光する。露光波長としては、一般的には1〜600nm、好ましくは10〜600nm、特に好ましくは190〜500nmである。この場合、フォトマスクは、例えば所望のパターンをくり貫いたものであってもよい。なお、フォトマスクの材質は特に限定されないが、上記波長の光を遮蔽するものが好ましく、例えばクロム等が好適に用いられるが、これに限定されるものではない。上記波長の光としては、例えば放射線発生装置により発生された種々の波長の光、例えば、g線、h線、i線等の紫外線光、遠紫外線光(248nm、193nm)等が挙げられ、好ましくは波長248〜436nmである。露光量は10〜10,000mJ/cm2が好ましい。
【0059】
更に、(iii)現像感度を高めるために、露光後加熱処理(PEB(ポストエクスポジュアーベイク))を行う。露光後の加熱処理は、40〜150℃で0.5〜10分間とすることが好ましい。このように加熱処理することで、露光部分が架橋して現像液である下記溶剤に不溶な不溶化パターンが形成される。
【0060】
上記露光後の加熱処理後、現像液にて現像する。現像液としては、溶剤として使用される有機溶剤系、例えばイソプロピルアルコール(IPA)等のアルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類、更に、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール等が好ましいが、光硬化性樹脂組成物に使用される溶剤を用いることが可能である。上記現像方法は通常の方法、例えばパターン形成された基板を上記現像液に浸漬する方法等が挙げられる。その後、必要に応じて洗浄、リンス、乾燥等を行い、所望のパターンを有する光硬化性樹脂組成物の皮膜が得られる。
【0061】
ところで、パターンを形成する必要のない場合、例えば単なる均一な皮膜を形成したい場合は、上記フォトマスクを介さずに適切な波長の光で露光する工程を採用し、上述したパターン形成方法によって皮膜形成を行えばよい。
【0062】
更に、本発明の光硬化性樹脂組成物は、基板接着剤であって、熱及び圧力の好適な条件下で、2つの基板間に接着性結合が形成されるように、本発明の組成物で皮膜を形成した基板を第2の基板と接合させる接着剤としても使用できる。皮膜を形成した基板及び第2の基板のいずれか一方又は両方が、ダイシング加工などによりチップ化されることもある。接合条件として、加熱温度は50〜200℃、1〜60分間とすることが好ましい。接合装置として、ウェハボンダ装置を使用し、荷重を加えながら減圧下でのウェハ同士の貼り付け、あるいはフリップチップボンダ装置を用いたチップ−ウェハ又はチップ−チップ接合を行うこともできる。基板間に形成された接着層は、後述する後硬化処理により結合力が高まり、永久接合となる。
【0063】
パターン形成した基板又はパターン形成後に接合を行った基板は、オーブンやホットプレートを用いて、温度100〜250℃、好ましくは150〜220℃で後硬化する。なお、後硬化温度が100〜250℃であれば、光硬化性樹脂組成物の架橋密度を上げ、残存する揮発成分を除去でき、基板に対する密着力、耐熱性や強度、電気特性、更に接合強度の観点から好ましい。貼り付けを行った基板は上記後硬化処理により樹脂皮膜の架橋密度が増し、基板接着力を高めることができる。なお、本発明における架橋反応では、脱ガスを伴う副反応が生じないため、特に基板接着剤として使用した場合において、貼り合わせ欠陥(ボイド)を誘起しない。後硬化時間は10分間〜10時間、特に10分間〜3時間とすることができる。
本発明の光硬化性樹脂組成物によって得られる皮膜の膜厚は、通常1〜200μm、好ましくは5〜50μmである。
【0064】
光硬化性ドライフィルム
本発明の光硬化性ドライフィルムは、上記方法により調製した光硬化性樹脂組成物を支持フィルムに塗布・乾燥して得られる光硬化性樹脂層が、上記支持フィルム及び保護フィルムで挟まれた構造を有する。
【0065】
本発明において、光硬化性ドライフィルムは固体であり、光硬化性樹脂層が溶剤を含有しないため、その揮発による気泡が上記光硬化性樹脂層の内部及び凹凸のある基板との間に残留するおそれがない。凹凸のある基板上での平坦性と段差被覆性あるいは基板積層間隔を考慮すると、適切な膜厚範囲は存在する。従って、上記光硬化性樹脂層の膜厚は、その平坦性及び段差被覆性、基板積層間隔の観点から、5〜200μm、好ましくは10〜100μmである。
【0066】
また、上記光硬化性樹脂層の粘性率と流動性は密接に関係しており、上記光硬化性樹脂層は適切な粘性率範囲において適切な流動性を発揮でき、狭い隙間の奥まで入っていったり、樹脂が軟化することにより基板との接着性が強くなったりすることができる。従って、上記光硬化性樹脂層の粘性率は、上記光硬化性樹脂層の流動性の観点から、温度80〜120℃において10〜5,000Pa・sであり、好ましくは30〜2,000Pa・s、特に好ましくは50〜300Pa・sである。
【0067】
本発明の光硬化性ドライフィルムは、凹凸を持つ基板に密着させる際に、光硬化性樹脂層が上記凹凸に追随して被覆され、高い平坦性を達成できる。特に、本発明の光硬化性樹脂層の主成分が光硬化性シリコーン組成物の場合、低い表面張力が特徴であるため、より高い平坦性を達成できる。更に、上記光硬化性樹脂層を真空環境下で上記基板に密着させると、それらの隙間の発生をより効果的に防止できる。
【0068】
次に、本発明における光硬化性ドライフィルムの製造方法について説明する。
上記光硬化性ドライフィルムの製造装置は、一般的に粘着剤製品を製造するためのフィルムコーターが使用できる。上記フィルムコーターとしては、例えば、コンマコーター、コンマリバースコーター、マルチコーター、ダイコーター、リップコーター、リップリバースコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、3本ボトムリバースコーター、4本ボトムリバースコーター等が挙げられる。
【0069】
支持フィルムを上記フィルムコーターの巻出軸から巻き出し、上記フィルムコーターのコーターヘッドを通過させるとき、上記支持フィルム上に光硬化性樹脂組成物を所定の厚みで塗布した後、所定の温度と所定の時間で熱風循環オーブンを通過させ、上記支持フィルム上で乾燥させた光硬化性樹脂層を上記フィルムコーターの別の巻出軸から巻き出された保護フィルムと共に、所定の圧力でラミネートロールを通過させて上記支持フィルム上の上記光硬化性樹脂層と貼り合わせた後、上記フィルムコーターの巻取軸に巻き取ることによって製造される。この場合、上記温度としては25〜150℃が好ましく、上記時間としては1〜100分間が好ましく、上記圧力としては0.01〜5MPaが好ましい。
【0070】
本発明の光硬化性ドライフィルムにおいて使用される支持フィルムは、単一でも複数の重合体フィルムを積層した多層フィルムでもよい。材質としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルムであるが、適度の可とう性、機械的強度及び耐熱性を有するポリエチレンテレフタレートが好ましい。また、これらのフィルムについては、コロナ処理や剥離剤が塗布されたような各種処理が行われたものでもよい。これらは市販品を使用することができ、例えばセラピールWZ(RX)、セラピールBX8(R)(以上、東レフィルム加工(株)製)、E7302、E7304(以上、東洋紡績(株)製)、ピューレックスG31、ピューレックスG71T1(以上、帝人デュポンフィルム(株)製)、PET38×1−A3、PET38×1−V8、PET38×1−X08(以上、ニッパ(株)製)等が挙げられる。
【0071】
一方、本発明の光硬化性ドライフィルムにおいて使用される保護フィルムは、上述した支持フィルムと同様のものを用いることができるが、適度の可とう性を有するポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンが好ましい。これらは市販品を使用することができ、ポリエチレンテレフタレートとしてはすでに例示したもの、ポリエチレンとしては、例えばGF−8(タマポリ(株)製)、PEフィルム0タイプ(ニッパ(株)製)等が挙げられる。
【0072】
上記支持フィルム及び保護フィルムの厚みは、光硬化性ドライフィルム製造の安定性及び巻き芯に対する巻き癖、所謂カール防止の観点から、いずれも好ましくは10〜100μm、特に好ましくは25〜50μmである。
【0073】
パターン形成方法
光硬化性ドライフィルムによるパターン形成においては、まず、光硬化性ドライフィルムから保護フィルムを剥がした後、フィルム貼り付け装置を用いて基板に密着させる。上記基板としては、例えばシリコンウェハ、貫通電極用シリコンウェハ、裏面研磨により薄膜化したシリコンウェハ、プラスチックやセラミック基板、イオンスパッタリング法やめっき法などにより基板全面又は基板の一部にNi、Auなどの金属を有する基板等が挙げられる。開口幅が10〜100μmかつ深さが10〜120μmである溝や孔を有する基板が使用されることもある。上記フィルム貼り付け装置としては、真空ラミネーターが好ましい。上記光硬化性ドライフィルムの保護フィルムを剥離し、露出した上記光硬化性樹脂層を所定真空度の真空チャンバー内において、所定の圧力の貼り付けロールを用いて、所定の温度のテーブル上で上記基板に密着させる。なお、上記温度としては60〜120℃が好ましく、上記圧力としては0〜5.0MPaが好ましく、上記真空度としては50〜500Paが好ましい。
【0074】
必要な厚さの光硬化性樹脂層を得るために、必要に応じてフィルムを複数回貼り付けてもよい。貼り付け回数は例えば1〜10回程度で、10〜1,000μm、特に100〜500μm厚程度の樹脂層を得ることができる。
【0075】
上記光硬化性樹脂層の光硬化反応を効率的に行うため、及び光硬化性樹脂層と基板との密着性を向上させるため、必要に応じて予備加熱(プリベーク)を行ってもよい。プリベークは、例えば40〜140℃で1分間〜1時間程度行うことができる。基板に貼り付けた光硬化性樹脂層は、上記光硬化性樹脂組成物と同様に、露光、現像、必要であれば基板接合、及び後硬化加熱処理をすることができる。なお、光硬化性ドライフィルムの支持フィルムは、プロセスに応じてプリベーク前、又はPEB前に剥がすか、他の方法で除去する。
【0076】
上記光硬化性樹脂組成物及び光硬化性ドライフィルムから得られる硬化皮膜は、耐熱性、可とう性、電気絶縁性、機械的特性及び基板との密着性に優れ、半導体素子等の電気・電子部品保護用皮膜として好適に用いられる。
【実施例】
【0077】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。なお、下記例において、部は質量部を示す。
【0078】
エポキシ基含有高分子化合物の合成
まず、本発明の合成例において使用する化合物(M−1)〜(M−5)の化学構造式を以下に示す。
【化18】

【0079】
[合成例1]
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した5Lフラスコ内に化合物(M−1)396.9g、化合物(M−2)45.0gをトルエン1,875gに溶解後、化合物(M−3)949.6g、化合物(M−4)6.1gを加え、60℃に加温した。その後、カーボン担持白金触媒(5質量%)2.2gを投入し、内部反応温度が65〜67℃に昇温するのを確認後、更に、3時間、90℃まで加温し、再び60℃まで冷却して、カーボン担持白金触媒(5質量%)2.2gを投入し、化合物(M−5)107.3gを1時間かけてフラスコ内に滴下した。このときフラスコ内温度は、78℃まで上昇した。滴下終了後、更に、90℃で3時間熟成した後、室温まで冷却し、メチルイソブチルケトン1,700gを加え、本反応溶液をフィルターにて加圧濾過することで白金触媒を取り除いた。更に、得られた高分子化合物溶液に純水760gを加えて撹拌、静置分液を行い、下層の水層を除去した。この分液水洗操作を6回繰り返し、高分子化合物溶液中の微量酸成分を取り除いた。この高分子化合物溶液中の溶剤を減圧留去すると共に、シクロペンタノンを950g添加して、固形分濃度60質量%のシクロペンタノンを主溶剤とする高分子化合物溶液(A−1)を得た。
この高分子化合物溶液中の高分子化合物の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量62,000であり、式(1)におけるa、b、c、dは原料(M−1)乃至(M−5)の使用量からモル計算して求めた(以下、同じ)。具体的には、aは0.594、bは0.351、cは0.061、dは0.039であった。また、X,Yは下記の通りであり、m=1〜40であった。
【化19】

【0080】
[合成例2]
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した5Lフラスコ内に化合物(M−1)352.8g、化合物(M−2)90.0gをトルエン1,875gに溶解後、化合物(M−3)949.6g、化合物(M−4)6.1gを加え、60℃に加温した。その後、カーボン担持白金触媒(5質量%)2.2gを投入し、内部反応温度が65〜67℃に昇温するのを確認後、更に、3時間,90℃まで加温し、再び60℃まで冷却して、カーボン担持白金触媒(5質量%)2.2gを投入し、化合物(M−5)107.3gを1時間かけてフラスコ内に滴下した。このときフラスコ内温度は、79℃まで上昇した。滴下終了後、更に、90℃で3時間熟成した後、室温まで冷却し、メチルイソブチルケトン1,700gを加え、本反応溶液をフィルターにて加圧濾過することで白金触媒を取り除いた。更に、得られた高分子化合物溶液に純水760gを加えて撹拌、静置分液を行い、下層の水層を除去した。この分液水洗操作を6回繰り返し、高分子化合物溶液中の微量酸成分を取り除いた。この高分子化合物溶液中の溶剤を減圧留去すると共に、シクロペンタノンを980g添加して、固形分濃度60質量%のシクロペンタノンを主溶剤とする高分子化合物溶液(A−2)を得た。
この高分子化合物溶液中の高分子化合物の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量64,000であり、式(1)におけるaは0.480、bは0.320、cは0.120、dは0.080であった。また、X,Y,mは合成例1と同様であった。
【0081】
[合成例3]
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した5Lフラスコ内に化合物(M−1)308.7g、化合物(M−2)135.0gをトルエン1,875gに溶解後、化合物(M−3)949.6g、化合物(M−4)6.1gを加え、60℃に加温した。その後、カーボン担持白金触媒(5質量%)2.2gを投入し、内部反応温度が65〜67℃に昇温するのを確認後、更に、3時間,90℃まで加温し、再び60℃まで冷却して、カーボン担持白金触媒(5質量%)2.2gを投入し、化合物(M−5)107.3gを1時間かけてフラスコ内に滴下した。このときフラスコ内温度は、80℃まで上昇した。滴下終了後、更に、90℃で3時間熟成した後、室温まで冷却し、メチルイソブチルケトン1,700gを加え、本反応溶液をフィルターにて加圧濾過することで白金触媒を取り除いた。更に、得られた高分子化合物溶液に純水760gを加えて撹拌、静置分液を行い、下層の水層を除去した。この分液水洗操作を6回繰り返し、高分子化合物溶液中の微量酸成分を取り除いた。この高分子化合物溶液中の溶剤を減圧留去すると共に、シクロペンタノンを900g添加して、固形分濃度60質量%のシクロペンタノンを主溶剤とする高分子化合物溶液(A−3)を得た。
この高分子化合物溶液中の高分子化合物の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量68,000であり、式(1)におけるaは0.420、bは0.280、cは0.180、dは0.120であった。また、X,Y,mは合成例1と同様であった。
【0082】
[合成例4]
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した5Lフラスコ内に化合物(M−1)220.5g、化合物(M−2)225.0gをトルエン1,875gに溶解後、化合物(M−3)949.6g、化合物(M−4)6.1gを加え、60℃に加温した。その後、カーボン担持白金触媒(5質量%)2.2gを投入し、内部反応温度が65〜67℃に昇温するのを確認後、更に、3時間,90℃まで加温し、再び60℃まで冷却して、カーボン担持白金触媒(5質量%)2.2gを投入し、化合物(M−5)107.3gを1時間かけてフラスコ内に滴下した。このときフラスコ内温度は、80℃まで上昇した。滴下終了後、更に、90℃で3時間熟成した後、室温まで冷却し、メチルイソブチルケトン1,700gを加え、本反応溶液をフィルターにて加圧濾過することで白金触媒を取り除いた。更に、得られた高分子化合物溶液に純水760gを加えて撹拌、静置分液を行い、下層の水層を除去した。この分液水洗操作を6回繰り返し、高分子化合物溶液中の微量酸成分を取り除いた。この高分子化合物溶液中の溶剤を減圧留去すると共に、シクロペンタノンを950g添加して、固形分濃度60質量%のシクロペンタノンを主溶剤とする高分子化合物溶液(A−4)を得た。
この高分子化合物溶液中の高分子化合物の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量75,000であり、式(1)におけるaは0.294、bは0.206、cは0.306、dは0.194であった。また、X,Y,mは合成例1と同様であった。
【0083】
[合成例5]
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した5Lフラスコ内に化合物(M−1)441.0gをトルエン1,875gに溶解後、化合物(M−3)949.6g、化合物(M−4)6.1gを加え、60℃に加温した。その後、カーボン担持白金触媒(5質量%)2.2gを投入し、内部反応温度が65〜67℃に昇温するのを確認後、更に、3時間,90℃まで加温し、再び60℃まで冷却して、カーボン担持白金触媒(5質量%)2.2gを投入し、化合物(M−5)107.3gを1時間かけてフラスコ内に滴下した。このときフラスコ内温度は、78℃まで上昇した。滴下終了後、更に、90℃で5時間熟成した後、室温まで冷却し、メチルイソブチルケトン1,700gを加え、本反応溶液をフィルターにて加圧濾過することで白金触媒を取り除いた。更に、得られた高分子化合物溶液に純水760gを加えて撹拌、静置分液を行い、下層の水層を除去した。この分液水洗操作を6回繰り返し、高分子化合物溶液中の微量酸成分を取り除いた。この高分子化合物溶液中の溶剤を減圧留去すると共に、シクロペンタノンを950g添加して、固形分濃度60質量%のシクロペンタノンを主溶剤とする高分子化合物溶液(B−1)を得た。
この高分子化合物溶液中の高分子化合物の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量51,000であり、式(1)におけるaは0.590、bは0.410、cは0、dは0であった。
【0084】
[実施例1〜8、比較例1〜5]
光硬化性樹脂組成物の調製
表1記載の配合量に従って、エポキシ基含有高分子化合物、光酸発生剤、架橋剤及び溶剤を配合し、その後常温にて撹拌、混合、溶解した後、テフロン(登録商標)製1.0μmフィルターで精密濾過を行い、実施例1〜8及び比較例1〜5の光硬化性樹脂組成物を得た。
【0085】
【表1】

【0086】
表1に記載した光酸発生剤は以下の通りである。
【化20】

【0087】
また、表1に記載した架橋剤は以下の通りである。
【化21】

【0088】
その他の架橋剤として、
H−1:アルキル化メラミン樹脂((株)三和ケミカル製)
を使用した。
【0089】
[実施例9〜16、比較例6〜10]
光硬化性ドライフィルムの作製
フィルムコーターとしてダイコーター、支持フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ38μm)を用いて、実施例1〜8及び比較例1〜5の光硬化性樹脂組成物をそれぞれ上記支持フィルム上に塗布した。次いで、100℃に設定された熱風循環オーブン(長さ4m)を5分間で通過させることにより、支持フィルム上に光硬化性樹脂層を形成した。光硬化性樹脂層の膜厚は100μmとした。上記光硬化性樹脂層の上から、保護フィルムとしてポリエチレンフィルム(厚さ50μm)を用いて、上記保護フィルムとラミネートロールを圧力1MPaにて貼り合わせ、光硬化性ドライフィルムを作製した。
【0090】
特性評価
次いで、上記光硬化性樹脂組成物及び光硬化性ドライフィルムの各特性について、下記方法に従って評価を実施し、その結果について表2,3に記載した。
【0091】
解像性:
無処理の6インチシリコンウェハに、スピンコーターを使用して、表2記載の膜厚で実施例1〜8及び比較例1〜5の光硬化性樹脂組成物を塗布した。面内膜厚均一性向上のため、ウェハ上にシクロペンタノンを滴下し、ウェハ全面に広げてから各組成物(レジスト)を滴下した(プリウェット法)。溶剤を除去するため、ホットプレートにより130℃で3分間プリベークを行い、光硬化性樹脂層を形成した。
次いで、等間隔のラインとスペースを有する線幅10〜200μmの石英製マスクを介して、表2記載の露光量(波長365nmにおける値)で光を照射した。なお、露光機はコンタクトアライナ型露光装置MA−8(ズース・マイクロテック社製)を使用した。光照射後、ホットプレートにより130℃で5分間PEBを行った後に冷却した。その後、上記塗布基板をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いて10回50秒パドル、更にイソプロピルアルコール(IPA)を用いて1分間のスプレー現像を行った。
【0092】
実施例9〜16及び比較例6〜10の光硬化性ドライフィルムについては、保護フィルムを剥離し、真空ラミネーターTEAM−100RF(タカトリ社製)を用いて、真空チャンバー内の真空度80Paに設定し、支持フィルム上の光硬化性樹脂層を上記基板に密着させた。温度条件は110℃とした。常圧に戻した後、上記基板を真空ラミネーターから取り出し、支持フィルムを剥離した。次に、基板との密着性を高めるため、ホットプレートにより130℃で5分間プリベークを行った。得られた光硬化性樹脂層に対して上記と同様にコンタクトアライナ型露光装置を使用して露光した。光照射後、ホットプレートにより130℃で5分間PEBを行った後冷却し、上記基板をPGMEAにて10回50秒パドル、続けて更にIPAを用いて1分間スプレー現像を行った。
【0093】
上記方法によりパターンを形成した、ウェハ上の光硬化性樹脂層をオーブンを用いて180℃で2時間、窒素パージしながら後硬化した。その後、走査型電子顕微鏡(SEM)観察により、現像後の膜厚、200μmラインアンドスペースパターンの解像、ライン幅及びスペース幅が等間隔となる露光量とその露光量におけるパターン側壁角度を測定した。
【0094】
埋め込み性:
実施例9〜16及び比較例6〜10の光硬化性ドライフィルムについて、保護フィルムを剥離し、真空ラミネーターTEAM−100RF(タカトリ社製)を用いて、真空チャンバー内の真空度80Paに設定し、支持フィルム上の光硬化性樹脂層を開口幅10〜100μmかつ深さが10〜120μmである孔を有する基板(ウェハ)に密着させた。温度条件は110℃とした。常圧に戻した後、上記基板を真空ラミネーターから取り出し、支持フィルムを剥離した。基板上に得られた光硬化樹脂層に対して光照射し、続けてホットプレートによる130℃で5分間のPEBを行った後、冷却した。更にオーブンを用いて180℃で2時間、窒素パージしながら後硬化した。なお、光照射から後硬化までの工程はウェハ断面形状観察を容易にするためである。
その後、光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡(SEM)観察により孔への光硬化性ドライフィルムの埋め込み欠陥を確認した。
【0095】
電気特性(絶縁破壊強さ):
光硬化性樹脂組成物又は光硬化性ドライフィルムからなる硬化皮膜の絶縁破壊強さを評価するため、実施例1〜8及び比較例1〜5の各光硬化性樹脂組成物を13cm×15cm、厚さ0.7mmの鉄板上にバーコーターにて塗布し、180℃のオーブンで2時間加熱して、硬化皮膜を得た。光硬化性樹脂組成物は、硬化後の膜厚が0.2μmとなるよう塗布した。
実施例9〜16及び比較例6〜10の光硬化性ドライフィルムは、常圧にて複数回上記鉄板に貼り付けし、180℃のオーブンで2時間加熱して、膜厚0.2μmの硬化皮膜を得た。この硬化皮膜を利用して、絶縁破壊試験機TM−5031AM(多摩電測(株)製)により、それぞれの光硬化性樹脂組成物の硬化皮膜の絶縁破壊強さを測定した。
【0096】
接着性:
光硬化性樹脂組成物及び光硬化性ドライフィルムからなる硬化皮膜について、基板間接着結合性能を評価するため、実施例1〜8及び比較例1〜5の光硬化性樹脂組成物と実施例9〜16及び比較例6〜10の光硬化性ドライフィルムを、それぞれ無処理の8インチシリコンウェハにスピンコーターによる塗布又は真空ラミネーターによる貼り付けを行った。膜厚は表2記載の膜厚である。プリベークを行い、光硬化性樹脂層を形成した。
次いで、石英マスクを介さずに、コンタクトアライナ型露光装置MA−8(ズース・マイクロテック社製)にて露光を行った。光照射後、ホットプレートにより130℃,5分間のPEBを行ったシリコンウェハを、無処理の8インチ石英ガラス又はテンパックスガラスと貼り合わせ、ホットプレートにて160℃,5分間の仮接合加熱を行った。その後オーブンにて180℃,2時間の後硬化を行い、基板間接着層を形成した。
接合後のウェハを再度、窒素パージしながらオーブンにより220℃で3時間加熱し、誘起された貼り合わせ欠陥の有無を確認した。
【0097】
ウェハ反り測定:
光硬化性樹脂組成物又は光硬化性ドライフィルムからなる硬化性皮膜の可とう性を評価するため、実施例1〜8及び比較例1〜5の各光硬化性樹脂組成物と実施例9〜16及び比較例6〜10の光硬化性ドライフィルムを、それぞれ無処理の8インチシリコンウェハにスピンコーターによる塗布又は真空ラミネーターによる貼り付けを行った。膜厚は表2記載の膜厚である。プリベークを行い、光硬化性樹脂層を形成した。
次いで、石英マスクを介さずに、コンタクトアライナ型露光装置MA−8(ズース・マイクロテック社製)にて露光を行った。光照射後、ホットプレートにより130℃で5分間PEBを行った。更に上記方法により得られたウェハ上の光硬化性樹脂層を、オーブンを用いて180℃で2時間、窒素パージしながら後硬化した。
光硬化性樹脂層形成前と後硬化後のウェハの反りをFLX−2320−S(東朋テクノロジー社製)にて測定し、反り変化量を算出した。
【0098】
【表2】

【0099】
【表3】

【0100】
[実施例17]
実施例3の光硬化性樹脂組成物に、更にトリエタノールアミン0.02部を加えて、実施例9の光硬化性樹脂組成物を得た。
この光硬化性樹脂組成物について実施例3と同様に評価したところ、現像後のフィルム膜厚は100μmで、200μmでのパターン解像性露光量は6,000mJ/cm2であった。また、絶縁破壊強さ、接着性欠陥誘起、反り変化量は、実施例3と同様、特に問題はなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有し、重量平均分子量が3,000〜500,000のエポキシ基含有高分子化合物 100質量部、
【化1】


[式中、R1〜R4は同一でも異なっていてもよい炭素数1〜8の1価炭化水素基を示す。mは1〜100の整数であり、a、b、c及びdは全繰り返し単位数に占める各繰り返し単位の割合を示し、0又は正数であり、但し、c及びdが同時に0になることはなく、かつ0<(c+d)/(a+b+c+d)≦1.0である。X及びYはそれぞれ下記一般式(2)又は(3)で示される2価の有機基であるが、式(3)で示される2価の有機基を少なくとも1個有する。
【化2】


(式中、Zは、
【化3】

のいずれかより選ばれる2価の有機基であり、nは0又は1である。R5及びR6は、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基であり、相互に異なっていても同一でもよい。kは0、1及び2のいずれかである。)
【化4】


(式中、Vは、
【化5】


のいずれかより選ばれる2価の有機基であり、pは0又は1である。R7及びR8は、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基であり、相互に異なっていても同一でもよい。hは0、1及び2のいずれかである。)]
(B)下記式(8)で示される光酸発生剤 0.05〜20質量部、
【化6】

(C)溶剤
を含有することを特徴とする光硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
(A)成分の式(1)において、Xが一般式(2)で示される2価の有機基であり、Yが一般式(3)で示される2価の有機基である請求項1記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
上記一般式(1)において、0.05≦c/(a+b+c+d)≦0.5であることを特徴とする請求項1又は2記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
上記一般式(1)において、0.05≦d/(a+b+c+d)≦0.5であることを特徴とする請求項1又は2記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
更に、(D)架橋剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
(D)架橋剤が、1分子中に平均して2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物の1種又は2種以上であることを特徴とする請求項5記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
更に、(E)塩基性化合物を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項記載の光硬化性樹脂組成物を支持フィルムに塗布・乾燥して得られる光硬化性ドライフィルム。
【請求項9】
開口幅が10〜100μmであり、かつ深さが10〜120μmである溝及び/又は孔を有する基板に請求項1〜7のいずれか1項記載の光硬化性樹脂組成物又は請求項8記載の光硬化性ドライフィルムの硬化物層が積層されてなる積層体。
【請求項10】
(i)請求項1〜7のいずれか1項記載の光硬化性樹脂組成物を基板上に塗布後、必要により加熱することにより、又は請求項8記載の光硬化性ドライフィルムを基板に密着させた後、必要により加熱することにより、上記基板上に光硬化性樹脂層を形成する工程、
(ii)フォトマスクを介して露光する工程、
(iii)露光後の加熱処理を行った後、現像液にて現像して非露光部を溶解除去する工程
を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項11】
更に、(iv)現像によりパターン形成された皮膜を100〜250℃の温度で後硬化する工程を含むことを特徴とする請求項10記載のパターン形成方法。
【請求項12】
基板が、開口幅が10〜100μmであり、かつ深さが10〜120μmである溝及び/又は孔を有するものである請求項10又は11記載のパターン形成方法。
【請求項13】
請求項10又は11記載のパターン形成方法により得られた硬化皮膜からなる電気・電子部品保護用皮膜。
【請求項14】
請求項10又は11記載のパターン形成方法により得られた硬化皮膜からなる基板接合用皮膜。

【公開番号】特開2012−103688(P2012−103688A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223048(P2011−223048)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】