説明

光硬化性組成物並びにこれを用いた金属ナノ粒子分散膜及び導電性薄膜の製造方法

【課題】 金属ナノ粒子の分散性に優れ、粒径の揃った金属ナノ粒子分散膜を簡便かつ容易に製造する方法を提供すること。
【解決手段】 金属ナノ粒子分散膜を製造するために用いられる光硬化性組成物であって、少なくとも以下の[A]〜[C]:
[A]還元により金属微粒子を生成可能な金属化合物
[B]金属化合物[A]を構成する金属イオン又は金属錯体と相互作用し、かつ、還元
により析出した金属微粒子の表面に吸着可能な官能基(Q)を有し、かつラジカル重
合性基を2以上有する多官能単量体
[C]光ラジカル重合開始剤
を含み、組成物中の多官能単量体[B]の配合量が、組成物の全量100質量%に対し50質量%を越え95質量%未満の範囲である光硬化性組成物並びにこの光硬化性組成物を用いる金属ナノ粒子分散膜の製造方法および導電性薄膜の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線を用いて金属ナノ粒子を生成させると同時に三次元架橋構造を形成することが可能な光硬化性組成物並びにこれを用いる金属ナノ粒子分散膜及び導電性薄膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属の粒子径をナノサイズまで小さくすると、特異な光化学的、電気的性質を示すようになるため、この現象を新しい用途や高機能材料等へ応用することが期待されており、ナノサイズの金属粒子の配線材料、センサー、色材等の分野での利用が活発に研究されている。
【0003】
ところで、金属ナノ粒子の製造方法としては大きく2種類が知られている。即ち、CVD法や噴霧熱分解法などの気相法と、化学的な還元反応を利用した湿式法である。このうち、従来の湿式法では、製造された微粒子の凝集性が強く、単分散粒子が得られ難いため、凝集が少ない高純度の銀微粒子などは多くが気相法によって製造されていた。一方、気相法によって得た金属微粒子は単分散性に優れるが、製造コストが高く、かつ粒度制御が難しいと云う問題がある。
【0004】
そこで、湿式法、例えば、酸化銀、硝酸銀などの銀化合物を溶媒中で還元剤により還元する公知の湿式製造方法によりながら、分散性に優れた金属微粒子を製造することが試みられている。
【0005】
例えば、特許文献1には、硝酸銀溶液をクエン酸ソーダの存在下、硫酸第一鉄によって還元して銀微粒子を製造する方法が開示され、クエン酸ソーダと硫酸第一鉄の水溶液に、硝酸銀水溶液を短時間で添加することによって銀ナノ粒子を製造できるとしている。
【0006】
また、特許文献2では、還元性ラジカル活性種の前駆体と金属イオン又は金属錯体とを含んだ媒体に、2種類の励起光を照射することにより発生する活性ラジカル種からの電子移動を用いて、金属ナノ粒子が製造できるとしている。
【0007】
このほかにも、特許文献3では、水溶液中で、還元剤としてテトラヒドロほう酸ナトリウムを、金属ナノ粒子分散剤としてポリマーを使用し、硝酸銀を還元するに当たり、その時の水溶液温度、分散剤の量を調整することで、還元される銀ナノ粒子の形状を制御することができ、対応する銀ナノ粒子のプラズモン共鳴の吸収特性を制御して化粧品着色剤へ応用できるとしている。
【0008】
また、特許文献4には、大気条件下での安定性、小さな粒径、高い費用効率、及び高い処理量歩留りという条件を満たし、高い費用効率でより容易に製造し使用することができるインクの製造方法として、銅塩に光ラジカル発生剤を加え、汎用のUV光を照射することで粒子径の小さな銅を還元する方法が示されている。
【0009】
しかしながら、これらの金属ナノ粒子を膜材に配合しようとした場合、バインダー樹脂や、架橋成分などの相溶性、分散性において制約をうける場合がある。また、混合する際の熱履歴などにより金属ナノ粒子の凝集が発生してしまい、粒径が変化したり金属が沈降するなどして、金属ナノ粒子に期待される性能が発現しないといった問題も有している。
【0010】
更にまた、金属ナノ粒子を含む樹脂溶液あるいは硬化性組成物は、金属ナノ粒子の製造工程に由来する余剰の分散剤や還元剤、イオン性不純物等の影響で保存安定性が悪く、長期にわたり金属ナノ粒子の高分散状態を保つことが困難であった。
【0011】
一方、非特許文献1には、銀源として硝酸銀を、膜剤としてポリビニルアルコールを、分散剤としてドデシル硫酸ナトリウムを用い、ポリビニルアルコール水溶液中で紫外線を照射することで銀ナノ粒子を生成させる方法が示されている。しかしながら、この方法では、硝酸銀が還元されて銀ナノ粒子が生成し始めるまでに30分以上の時間を要し、かつ、膜化する場合は溶媒である水を蒸発させて製膜する必要があるため、時間とコストの面で実用的とは言えなかった。
【0012】
すなわち、金属ナノ粒子をバインダー樹脂等と複合化させ、機能を発現させる場合には金属ナノ粒子の製造方法と複合化の両方の工程で問題があり、実用的な方法はなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2006−45655号公報
【特許文献2】特開2007−70723号公報
【特許文献3】特開2009−221140号公報
【特許文献4】特開2009−280812号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】化学工学会 第75年会 予稿集L117
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、金属ナノ粒子の分散性に優れ、粒径の揃った金属ナノ粒子分散膜を簡便かつ容易に製造する方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題に対して本発明者らは鋭意研究した結果、形成される金属ナノ粒子と相互作用する官能基を有し、かつラジカル反応部位を有する特定の多官能モノマー、光ラジカル開始剤、ナノ粒子の金属源となる各種金属塩を含む光硬化性組成物を用い、これに活性エネルギー線を照射することにより、分散性に優れ、粒径の揃った金属ナノ粒子分散膜を簡便かつ容易に製造できることを見出し、本発明に至った。
【0017】
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[10]の態様を含むものである。
【0018】
[1]金属ナノ粒子分散膜を製造するために用いられる光硬化性組成物であって、少なく
とも以下の[A]〜[C]:
[A]還元により金属微粒子を生成可能な金属化合物
[B]金属化合物[A]を構成する金属イオン又は金属錯体と相互作用し、かつ、還元
により析出した金属微粒子の表面に吸着可能な官能基(Q)を有し、かつラジカル重
合性基を2以上有する多官能単量体
[C]光ラジカル重合開始剤
を含み、組成物中の多官能単量体[B]の配合量が、組成物の全量100質量%に対し53〜93質量%の範囲である光硬化性組成物。
【0019】
[2]前記金属化合物[A]が、水溶液の状態で添加されたものである前記[1]の光硬
化性組成物。
【0020】
[3]水分量が20質量%以下である前記[1]または[2]の光硬化性組成物。
【0021】
[4]前記金属化合物[A]が、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、白金、金、銀お
よび銅よりなる群から選択された少なくとも1種の金属の金属塩又は金属錯体である前
記[1]ないし[3]の何れかに記載の光硬化性組成物。
【0022】
[5]前記多官能単量体[B]において、官能基(Q)が、窒素原子、酸素原子及び硫黄 原子よりなる群から選択された少なくとも1種のヘテロ原子を有する官能基又はハロゲ ン原子である前記[1]ないし[4]の何れかに記載の光硬化性組成物。
【0023】
[6]前記多官能単量体[B]において、官能基(Q)が、ヒドロキシル基、エーテル基
、カルボニル基、カルボキシル基及びカルボキシル基の塩から選択される1種又は2
種以上の官能基である前記[1]ないし[5]の何れかに記載の光硬化性組成物。
【0024】
[7]前記多官能単量体[B]が、多官能(メタ)アクリル酸エステルである前記[1]
ないし[6]の何れかに記載の光硬化性組成物。
【0025】
[8]さらに、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩から選択されるラジカル重合性の単官能単量体[D]を含有する前記[1]ないし[7]
の何れかに記載の光硬化性組成物。
【0026】
[9]前記[1]ないし[8]の何れかに記載の光硬化性組成物を基板に塗布し、活性エ
ネルギー線を照射することにより金属ナノ粒子の形成と硬化膜の形成とを一工程で行う
ことを特徴とする、金属ナノ粒子分散膜の製造方法。
【0027】
[10]前記[1]ないし[8]の何れかに記載の光硬化性組成物を基板に塗布し、活性
エネルギー線を照射することにより硬化させて金属ナノ粒子分散膜を得る硬化工程と、
該金属ナノ粒子分散膜を焼成して基板上に導電性金属膜を形成させる焼成工程を含む導
電性薄膜の製造方法。
【発明の効果】
【0028】
本発明の光硬化性組成物を使用することにより、簡便な方法で、分散性に優れ、かつ粒径の揃った金属ナノ粒子分散膜を製造することができる。
【0029】
本発明の金属ナノ粒子分散膜の製造方法では、金属イオンが還元されると同時に多官能単量体により三次元網目構造が生成されるため、この三次元網目構造中に金属ナノ粒子が閉じ込められ、分散性に優れた金属ナノ粒子分散膜が得られる。また、金属イオンは多官能単量体中の官能基(Q)に吸着された状態で還元されるため、その粒径は多官能単量体の種類や添加量によりほぼ均一となり、粒径の揃った金属ナノ粒子の分散膜が得られる。更に、金属ナノ粒子は製膜時に形成されるため、金属ナノ粒子と樹脂や架橋成分との混合による金属ナノ粒子の凝集や、混合後の経時変化による金属ナノ粒子の凝集に配慮する必要がない。
【0030】
そして、本発明で得られた金属ナノ粒子分散膜からは焼成により容易に導電性薄膜を形成することができるので、導電性薄膜、生体センサー、抗菌コート、塗料用色材、屈折率制御膜等として、あるいはそれらの原料として種々の用途に応用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施例1で得られた銀ナノ粒子分散膜中の銀ナノ粒子の透過型電子顕微鏡写真(TEM)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
上記光硬化性組成物に用いられる金属化合物[A]としては、金属ナノ粒子とすべき金属(以下、「目的金属」ということがある)を含む化合物であればよく、目的金属の金属塩や、金属錯体が用いられる。このうち、金属塩としては、例えば、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、塩化物などの無機塩;酢酸塩、クエン酸塩などの有機酸塩などが挙げられる。また、金属錯体としては、例えば、アンミン錯体、シアノ錯体、ハロゲノ錯体、アセチルアセトン錯体などが挙げられる。
【0033】
この金属化合物[A]での目的金属としては、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、白金、金、銀、銅などが挙げられる。導電性薄膜など配線材料として使用する場合は、導電膜の比抵抗を低くすることができる点で金、銀、銅が好ましい。
【0034】
好ましい金属化合物[A]の具体的な例としては、塩化金酸、塩化金酸カリウム、三塩化金、硝酸銀、塩化白金酸、塩化白金酸カリウム、白金アセチルアセトン錯体、塩化パラジウム、パラジウムアセチルアセトン錯体、塩化銅、銅アセチルアセトン錯体、塩化鉄、塩化コバルト、塩化ニッケルなどが挙げられる。
【0035】
上記に挙げた金属化合物[A]は、2種以上の異なる目的金属の混合物を用いることもでき、この場合は、2種以上の異なる金属からなる複合金属ナノ粒子分散膜を形成することができる。
【0036】
本発明の光硬化性組成物における金属化合物[A]の配合量は、組成物の全量100質量%に対し、0.01〜50質量%(以下、単に「%」で示す)の範囲が好ましく、0.1〜40%がより好ましい。金属化合物[A]の含有量が上記目的金属濃度範囲を超えて大きくなると、配合時に金属化合物が析出したり、得られる金属ナノ粒子分散膜において金属ナノ粒子の分散が悪くなる場合がある。また、金属化合物[A]の含有量が上記目的金属濃度範囲未満であると金属ナノ粒子分散膜中の金属ナノ粒子濃度が低くなり、所望の機能が発現されない場合がある。
【0037】
金属化合物[A]は、そのまま組成物に添加してもよいし、水溶液で、或いは後述する溶媒[E]に溶解あるいは分散させて添加してもよい。金属化合物[A]を水溶液で組成物に添加する場合は、光硬化性組成物中の水分量が20%以下となるように水溶液の濃度及び添加量を調節することが望ましい。組成物中の水分量が20%を越えると、配合時に金属化合物が析出したり、得られる金属ナノ粒子分散膜が不均一になり好ましくない。
【0038】
また、本発明の光硬化性組成物に用いられる多官能単量体[B]は、前記金属イオン又は金属錯体と相互作用し、かつ還元により析出した金属微粒子の表面に吸着可能な官能基(Q)を有し、かつラジカル重合性基を2以上有するものである。
【0039】
このような官能基(Q)としては、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選択された少なくとも1種のヘテロ原子を有する官能基又はハロゲン原子を挙げることができる。
【0040】
上記官能基のうち、窒素原子を有するもののより具体的な例としては、例えば、アミノ基(−NH);ジアルキルアミノ基などの置換アミノ基;イミノ基(−NH−);ピリジル基、カルバゾール基、モルホリニル基、ピロリジニル基などの窒素環基;アミド基(−CON<);イミド基;カルバモイル基(−CONH);シアノ基;ニトロ基などが挙げられる。
【0041】
また、酸素原子を有する官能基の具体例としては、例えば、ヒドロキシル基;エーテル基(−O−);ホルミル基;カルボニル基(−CO−);エステル基(−COO−);カルボキシル基(−COOH)及びその塩;テトラヒドロピラニル基などの酸素環基などが挙げられる。
【0042】
更に、硫黄原子を有する官能基としては、例えば、チオール基;チオエーテル基(−S−);チオカルボニル基(>S=O);スルホ基(−SOH)及びその塩;スルファモイル基;スルホニル基(−SO−)などが挙げられる。
【0043】
更にまた、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など
が挙げられる。
【0044】
これらの官能基の中でも、酸素原子を有する官能基が好ましく、特にヒドロキシル基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基及びカルボキシル基の塩が好ましい。エーテ基としては、オキシアルキレン基が好ましく、ポリオキシアルキレン基がより好ましい。カルボキシル基の塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などが好ましい。
【0045】
多官能単量体[B]は、これらの官能基を1又は2以上有しているものが用いられるが、異なる官能基を2種以上組み合わせて有していてもよい。
【0046】
また、多官能単量体[B]はラジカル重合性基を2以上有し、三次元架橋構造を形成可能なものであるが、三次元架橋速度が金属イオンの還元より遅い場合は、還元された金属の凝集が先行し、ナノサイズの金属微粒子が得られず、所望の機能が発現されない。このため、多官能単量体[B]は金属化合物[A]が還元されるより速く三次元架橋構造を生成することが望ましい。このような多官能単量体[B]としては、具体的には、多官能(メタ)アクリル酸エステルや、多官能(メタ)アクリル酸アミドなど、ラジカル重合性基として2以上の(メタ)アクリロイル基を有するビニル化合物が挙げられる。
【0047】
上記の多官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のグリコール系ジ(メタ)アクリレート;グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンエチレンオキシド付加体のトリ(メタ)アクリレート等のグリセリン系ポリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド付加体のトリ(メタ)アクリレート等のトリメチロールプロパン系ポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0048】
また、多官能(メタ)アクリル酸アミドとしては、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0049】
これらの多官能単量体のなかでも、多官能(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、特に、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのグリコール系ジ(メタ)アクリレートを好適に用いることができる。
【0050】
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とはアクリル又はメタクリルを、「(メタ)アクリレート」とはアクリレート又はメタクリレートを、「(メタ)アクリロイル」とはアクリロイル又はメタクリロイルをそれぞれ意味する。
【0051】
本発明の光硬化性組成物における多官能単量体[B]の配合量は、組成物の全量100%に対し、53〜93%の範囲が好ましく、60〜90%の範囲がより好ましい。多官能単量体[B]の含有量が上記範囲以下であると、配合時に金属化合物が析出したり、得られる金属ナノ粒子分散膜において金属ナノ粒子の分散が悪くなる場合がある。また、多官能単量体[B]の含有量が上記範囲を超えて大きくなると、金属ナノ粒子分散膜中の金属ナノ粒子濃度が低くなり、所望の機能が発現されない場合がある。
【0052】
更に、本発明に光硬化性組成物において用いられる光ラジカル重合開始剤[C](以下、「開始剤[C]」ということがある)は、活性エネルギー線で結合開裂する化合物であればよく、このような性質を有している化合物であれば特に限定なく、広範な化合物を用いることができる。
【0053】
この開始剤[C]としては、例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、キサントール、フルオレイン、ベンズアルデヒド、アンスラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−メトキシアセトフェン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、p−ジアセチルベンゼン、3−メトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4’−ベンジルベンゾフェノン、3−クロロキサントーン、3,9−ジクロロキサントーン、3−クロロ−8−ノニルキサントーン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、ベンジルメトキシケタール、2−クロロチオキサントーン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0054】
これらの開始剤[C]として、以下の商品名の市販品を用いても良い。すなわち、チバスペシャルティケミカルズ社製「IRGACURE」(登録商標)184、127、2959、369、379、「DAROCURE」(登録商標)1173、MBF、TPO等の市販品を利用することができる。
【0055】
これらの開始剤[C]は単独で用いてもよいし、活性エネルギー線の波長、強度により最適化を目的に2種以上使用を併用してもよい。
【0056】
本発明の光硬化性組成物中における開始剤[C]の配合量は、組成物の全量100%に対し、通常0.0001〜20%、好ましくは0.001〜15%、より好ましくは、0.01〜10%である。開始剤[C]の濃度が上記範囲を超えて高くなると、結合開裂後の分解物が大量に発生するアウトガスの影響で、ボイドの発生等がおこり、膜としての機能が低下する恐れがある。
【0057】
本発明の光硬化性組成物には、溶媒[E]を使用してもよい。溶媒[E]は、前記多官能単量体[B]を溶解し、前記金属化合物[A]及び開始剤[C]を溶解又は分散可能なものであれば特に限定されず、混合物の種類に応じて、極性溶媒(水溶性溶媒)であっても、疎水性溶媒(非水溶性溶媒)であってもよい。
【0058】
上記の極性溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなど脂肪族多価アルコール類;ホルムアミド、アセトアミドなどのアミド類;N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド,N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのモノ又はジアシルアミド類;2−ピロリドン、3−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−3−ピロリドンなどのピロリドン類;アセトンなどのケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;酢酸などの有機カルボン酸類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類;エチルセロソルブアセテートなどアセテート類;メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピルカルビトール、ブチルカルビトールなどカルビトール類;ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらの極性溶媒は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0059】
また、疎水性溶媒としては、例えば、ヘキサン、トリメチルペンタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカンなどの脂肪族炭化水素類;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテルなどのエーテル類が挙げられる。これらの疎水性溶媒は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0060】
これらの溶媒のうち、溶解性、分散性、環境保全性及び簡便性などの観点から極性溶媒が好ましく、中でも水、アルコール類、脂肪族多価アルコール類、ピロリドン類及びこれらの混合溶媒が好ましく、特に水又は水とアルコール類、脂肪族多価アルコール類、ピロリドン類からなる群から選択された少なくとも一種の極性溶媒とを組み合わせた混合溶媒が好ましい。
【0061】
なお、溶媒として水または水を含む極性溶媒を用いる場合は、組成物中の水分量が20%を超えないようにすることが望ましい。
【0062】
さらに、金属化合物[A]と多官能単量体[B]の相溶性が不十分な場合は、金属化合物[A]の溶解性を改善する目的で、上記架橋性多官能単量体と共重合可能なラジカル重合性の単官能単量体[D]を配合してもよい。単官能単量体[D]は、得られる金属ナノ粒子の安定性の点で、多官能単量体[B]と同様に前記官能基(Q)を有することが好ましい。
【0063】
このような単官能単量体[D]としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸;(メタ)アクリル酸ナトリウムなどの不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレートなどの低級アルキルの(メタ)アクリル酸エステル;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メチルポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エチルポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのグリコール系モノ(メタ)アクリレート;無水マレイン酸などの不飽和酸無水物;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリンなどの不飽和カルボン酸アミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミドなどのマレイミド化合物;ビニルピリジン、N−ビニルピロリジノン、N−ビニルカルバゾールなどの窒素環基を有するビニル化合物;ヒドロキシスチレン、メトキシスチレンなど、含酸素基を有するスチレン誘導体;アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸などの不飽和スルホン酸及びこれらのアルカリ金属塩などが挙げられる。
【0064】
これらの中でも、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩、グリコール系モノ(メタ)アクリレートが好ましく、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩が特に好ましい。これらは単独で用いてもよいし、数種類を同時に使用してもよい。
【0065】
本発明の光硬化性組成物において単官能単量体[D]を配合する場合、その配合量は、組成物の全量100%に対し、通常1〜40%、好ましくは3〜30%である。
【0066】
上記した本発明の光硬化性組成物を用いて金属ナノ粒子分散膜を製造するには、次のようにすればよい。すなわち、上記の光硬化性組成物を基板などに塗布し、活性エネルギー線を照射することにより、金属化合物[A]の還元と前記多官能単量体[B](及び併用される場合には単官能単量体[D])のラジカル重合が同時に生起し、金属ナノ粒子と硬化膜の形成が一工程で行なわれ、金属ナノ粒子分散膜が製造される。
【0067】
光硬化性組成物を塗布する基板としては、ガラス、プラスチック、金属、紙からなる群から用途に応じて適宜選択することができる。さらに、複数の部材から構成される複合部材も選択することができる。これらの基板は、板、フィルム、紙のように平坦な形状のものでもよいし、立体的な形状のものでもよい。
【0068】
上記の基板のうちプラスチックの素材としては、例えば、ポリエステル系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、アクリル系ポリマー等の透明ポリマーが挙げられる。ポリエステル系ポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。セルロース系ポリマーとしては、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)等が挙げられる。アクリル系ポリマーとしては、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
【0069】
なお、金属ナノ粒子を屈折率制御剤として使用することは公知であり、本発明の光硬化性組成物を、PETフィルム、TACフィルムなどにコートし活性エネルギー線を照射させることで、フィルムの屈折率を制御することが可能である。
【0070】
光硬化性組成物の塗布は、常法によって行えばよく、たとえば、バーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法、ディップコート法、インクジェット塗布法及びディスペンサー塗布法、スプレー塗布法等によって行えばよい。溶剤を含む場合には、光硬化性組成物を塗布後、塗膜を50〜150℃程度で乾燥させてもよい。
【0071】
光硬化性組成物に対する活性エネルギー線の照射方法は特に限定されないが、その光ラジカル重合開始剤の性質に応じて、高圧水銀灯、低圧水銀灯、DeepUVランプ、電子線照射装置、ハロゲンランプ、発光ダイオード、半導体レーザー等による光及び電子線の照射が挙げられる。
【0072】
活性エネルギー線の照射強度としては、開始剤[C]を開裂させるに足りる照射強度以上が望ましく、通常1〜10000mW/cm、好ましくは10〜5000mW/cmであり、より好ましくは、100〜2500mW/cmである。また、活性エネルギー線の照射時間は、一般には、60秒以下ないし30秒以下程度である。
【0073】
本発明の金属ナノ粒子分散膜の製造方法では、金属イオンが還元されると同時に多官能単量体により三次元網目構造が生成されるため、この三次元網目構造中に金属ナノ粒子が閉じ込められ、得られた金属ナノ粒子分散膜は、高い分散性を有する。また、金属イオンは多官能単量体中の官能基(Q)に吸着された状態で還元されるため、その粒径は多官能単量体の種類や添加量によりほぼ均一となり、粒径の揃った金属ナノ粒子の分散膜が得られる。更に、金属ナノ粒子は製膜時に形成されるため、本発明の金属ナノ粒子の製造方法では、金属ナノ粒子と樹脂や架橋成分との混合による金属ナノ粒子の凝集や、混合後の経時変化による金属ナノ粒子の凝集に配慮する必要がない。
【0074】
そして、本発明で得られた金属ナノ粒子分散膜は、導電性薄膜、生体センサー、抗菌コート、塗料用色材、屈折率制御膜等、種々の用途に応用することができるものである。
【0075】
例えば、上記方法により得られた金属ナノ粒子分散膜を通常80〜500℃の範囲、好ましくは100〜300℃の範囲で焼成することにより、導電性薄膜を得ることができる。焼成条件は、多官能単量体[B]の種類や配合比により決めることができる。具体的には、多官能単量体[B]における架橋基の濃度(単位質量あたりの架橋基の数)が小さいほど、また、多官能単量体[B]の配合量が少ないほど、硬化膜の架橋密度が低くなり、より低い温度で焼成することができる。
【実施例】
【0076】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例に何ら制約されるものではない。
【0077】
なお、金ナノ粒子及び銀ナノ粒子においては、金属ナノ粒子由来の表面プラズモン共鳴により発色することが知られているので、以下の実施例において金属ナノ粒子の生成は、目視による発色にて確認した。
【0078】
また、各実施例での活性エネルギー線照射装置としては、スポットキュアSP−7(ウシオ電機株式会社製)を用いた〔光源:DeepUVランプ、ピーク照度:500mW/cm〕。この活性エネルギー線照射装置による紫外線の照射強度は、紫外線照度計 UIT−101(ウシオ電機株式会社製)を用い、測定した。
【0079】
更に、硬化膜を焼成して得られた金属膜(焼成膜)の導電性は、デジタル式絶縁抵抗計DG251(三和電気計器株式会社製、印加電圧125V)にて確認した。
【0080】
実 施 例 1
(1)ガラス瓶に、金属化合物[A]として50wt%に調整した硝酸銀水溶液0.5g、多官能単量体[B]としてポリエチレングリコールジアクリレート(n=14)(新中村化学株式会社製、商品名「A−600」)1g、開始剤[C]としてDC1173(チバスペシャルティケミカルズ社製、商品名「DAROCURE(ダロキュア)1173」)0.02を取り、これらを混合して光硬化性組成物を調製した。得られた組成物は無色透明の液であった。この光硬化性組成物を、ガラス基板上にバーコーターを用いて塗布し、500mW/cmの強度で15秒間紫外線を照射することによって硬化膜を得た。得られた硬化膜は濃黄色に呈色しており、銀のナノ粒子が生成していることが確認された。
【0081】
(2)上記(1)で得られた硬化膜の断面を切り出し、透過型電子顕微鏡(TEM)測定にて銀ナノ粒子の分散状態を確認した〔TEM:日本電子製、JEM−200CX型、加速電圧100KV〕。得られた画像(図1)からは、直径約10nmの銀ナノ粒子が分散されていることが判明した。
【0082】
(3)一方、上記(1)で得られた硬化膜を酸素雰囲気中200℃、または300℃で45分間焼成したところ、いずれも銀白色の焼成膜が得られた。焼成膜の導電性を確認したところ、いずれも導電性が認められた。
【0083】
実 施 例 2 〜 9
後記表1に示す配合で、実施例1と同様にして光硬化性組成物を調製した。得られた組成物はいずれも無色透明の液であった。この光硬化性組成物を、ガラス基板上にバーコーターを用いて塗布し、紫外線を照射することによって硬化膜を得た。得られた硬化膜は、いずれも淡黄色から濃黄色に呈色しており、銀のナノ粒子が生成していることが確認された。また、得られた硬化膜を200℃、または300℃で45分間焼成したところ、銀白色〜金属光沢を有する焼成膜が得られた。焼成膜の導電性の評価結果を後記表1に示す。
【0084】
比 較 例 1
実施例1において、A−600の量を0.5gとした以外は同様の配合により、光硬化性組成物を調製した。得られた組成物には、銀化合物の析出・沈降が見られた。調製直後の光硬化性組成物をガラス基板上にバーコーターを用いて塗布し、紫外線を照射することによって硬化膜を得たが、得られた硬化膜は黄褐色で亀裂やはがれが生じていた。
【0085】
比 較 例 2
実施例1において、A−600の量を10gとした以外は同様の配合により、光硬化性組成物を調製した。得られた組成物は無色透明の液であった。この光硬化性組成物を、ガラス基板上にバーコーターを用いて塗布し、紫外線を照射することによって硬化膜を得た。得られた硬化膜は、薄い淡黄色を呈していた。得られた硬化膜を、酸素雰囲気中200℃または300℃で45分間焼成したところ、いずれの焼成膜も亀裂やはがれが生じており、導電性を示さなかった。
【0086】
実 施 例 10
ガラス瓶に、単官能単量体[D]としてアクリル酸ナトリウム(40%中和)1gを投入し、これに金属化合物[A]として1mol/L塩化金酸水溶液0.5g、多官能単量体[B]としてポリエチレングリコールジアクリレート(n=14)(新中村化学株式会社製、商品名「A−600」)2g、開始剤[C]としてDC1173(チバスペシャルティケミカルズ社製、商品名「DAROCURE(ダロキュア)1173」)0.05gを加え、混合して光硬化性組成物を調製した。得られた組成物は淡黄色透明の液であった。この光硬化性組成物を、ガラス基板上にバーコーターを用いて塗布し、紫外線を照射することによって硬化膜を得た。得られた硬化膜は赤色に呈色しており、金のナノ粒子が生成していることが確認された。
【0087】
【表1】

【0088】
表1に示されるように、多官能性単量体[B]の配合量が53〜93%の範囲では、銀ナノ粒子が分散した均一な硬化膜を得ることができる。得られた硬化膜からは、300℃で焼成することによりいずれも導電性金属膜を得ることができ、また、多官能性単量体[B]の配合量が少なく、多官能単量体[B]中のオキシエチレン鎖が長い場合には、より低い温度(200℃)での焼成によって導電性金属膜を得ることができる。一方、光硬化性組成物中の多官能性単量体[B]の配合量が50%以下となり、水分量が20%を越えて多くなると、組成物中の銀化合物が析出し、均一な硬化膜を得ることができない(比較例1)。また、光硬化性組成物中の多官能性単量体[B]の配合量が95%以上になると、銀ナノ微粒子の接触が少なくなり均一な金属薄膜を得ることができず、また、導電性も得られない(比較例2)。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の光硬化性組成物を使用することにより、簡単に、分散安定性に優れ、かつ粒径の揃った金属ナノ粒子分散膜を製造することができ、得られたこの金属ナノ粒子分散膜は、導電性薄膜、生体センサー、抗菌コート、塗料用色材、屈折率制御膜等へ利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ナノ粒子分散膜を製造するために用いられる光硬化性組成物であって、少なくとも以下の[A]〜[C]:
[A]還元により金属微粒子を生成可能な金属化合物
[B]金属化合物[A]を構成する金属イオン又は金属錯体と相互作用し、かつ、還元
により析出した金属微粒子の表面に吸着可能な官能基(Q)を有し、かつラジカル重
合性基を2以上有する多官能単量体
[C]光ラジカル重合開始剤
を含み、組成物中の多官能単量体[B]の配合量が、組成物の全量100質量%に対し53〜93質量%未満の範囲である光硬化性組成物。
【請求項2】
前記金属化合物[A]が、水溶液の状態で添加されたものである請求項1記載の光硬化性組成物。
【請求項3】
水分量が20質量%以下である請求項1又は2記載の光硬化性組成物。
【請求項4】
前記金属化合物[A]が、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、白金、金、銀および銅よりなる群から選択された少なくとも1種の金属の金属塩又は金属錯体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
【請求項5】
前記多官能単量体[B]において、官能基(Q)が、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子よりなる群から選択された少なくとも1種のヘテロ原子を有する官能基又はハロゲン原子である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
【請求項6】
前記多官能単量体[B]において、官能基(Q)が、ヒドロキシル基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基及びカルボキシル基の塩から選択される1種又は2種以上の官能基である請求項1〜5のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
【請求項7】
前記多官能単量体[B]が、多官能(メタ)アクリル酸エステルである請求項1〜6のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
【請求項8】
さらに、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩から選択されるラジカル重合性の単官能単量体[D]を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項記載の光硬化性組成物を基板に塗布し、活性エネルギー線を照射することにより金属ナノ粒子の形成と硬化膜の形成とを一工程で行うことを特徴とする、金属ナノ粒子分散膜の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜8の何れか1項記載の光硬化性組成物を基板に塗布し、活性エネルギー線を照射することにより硬化させて金属ナノ粒子分散膜を得る硬化工程と、該金属ナノ粒子分散膜を焼成して基板上に導電性金属膜を形成させる焼成工程を含む導電性薄膜の製造方法。


【図1】
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【公開番号】特開2012−129133(P2012−129133A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281283(P2010−281283)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000157603)丸善石油化学株式会社 (84)
【Fターム(参考)】