説明

光老化防止用皮膚外用剤

【課題】 本発明は、皮膚の光老化防止用皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【解決手段】インターフェロン−γを配合してなる光老化防止用皮膚外用剤を提供することによって課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光老化防止用皮膚外用剤に関するものであり、とりわけ、インターフェロン−γを配合してなる光老化防止用皮膚外用剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
皮膚は生体の最も外側を構成し、外界からの刺激、例えば、乾燥、紫外線、物理的刺激、化学的刺激に最も暴露されやすい。特に、紫外線は、皮膚に有害であり、皮膚表面の黒色化、しみ、しわ、肌荒れなどを誘発するだけでなく、皮膚癌の誘発因子になるほか、コラーゲン線維、エラスチンやヒアルロン酸などの物質の減少により、皮膚の弾力性が低下し可塑化を促進する、いわゆる光老化を引き起こすことが知られている。また、紫外線による光老化は、加齢とともに深刻化するため、高齢となっても若い皮膚を保つためには、若年時からの紫外線への対策が重要である。
【0003】
ところで、地上に降り注がれる太陽光線には、皮膚にとって有害な中波長紫外線とともに、比較的安全な長波長紫外線が含まれている。近年、非特許文献1において、長波長紫外線は、皮膚においてTh1タイプのサイトカインを誘導し、中波長紫外線によるダメージ回復を促す効果を発揮することが報告されている。しかしながら、地球的規模でオゾン層での破壊により、次第に太陽光線における中波長紫外線の割合が増加しつつあり、ますます紫外線対策が重要視されている。
【0004】
紫外線対策としては、通常、紫外線吸収剤、抗酸化剤、コラーゲン、ヒアルロン酸などを配合した皮膚外用剤を皮膚に塗布する方法がある。しかしながら、これらの方法は一時凌ぎであり、美容を重視しているため、紫外線による光老化を根本的に防止する効果に乏しい。また、真皮におけるコラーゲン合成促進効果を有する物質やコラーゲン架橋を防止する物質などが配合された皮膚外用剤が市販されているが、十分な効果を発揮しているとはいえない。
【0005】
【非特許文献1】リーブ・ブイ・イー(Reeve VE)、ボスニック・エム(Bosnic M)、ニシムラ・エヌ、ジャーナル・オブ・インベストメンタル・ダーマトロジー(Journal of Investmental Dermatology)、インターフェロン−ガンマ・イズ・インボルブド・イン・フォトイムノプロテクション・バイ・ユーブイエー(320−400nm)・ラジエーション・イン・マイス(Interferon−gamma is involved in photoimmunoprotection by UVA(320−400nm) radiation in mice)、第112巻、第6号、1999年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、光老化防止用皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明者等が鋭意研究を行った結果、サイトカインの一種のインターフェロン−γ(以下、「IFN−γ」と略記する。)が、紫外線によるコラーゲン線維のダメージを防ぐとともに、紫外線によりダメージを受けた皮膚のコラーゲン線維の回復を良好に促し、皮膚の可塑化を抑制し、さらには、皮膚の過度の新陳代謝を抑えることにより光老化を防止する効果を有することを発見し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、IFN−γを配合してなる光老化防止用皮膚外用剤を提供することによって前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の皮膚外用剤は、それを皮膚に塗布することにより、皮膚組織、とりわけ、コラーゲン線維を紫外線によるダメージから防護するとともに、ダメージを受けたコラーゲン線維の回復を促進することができる。さらに、皮膚の過度の新陳代謝を抑えるので、皮膚の光老化を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明でいう皮膚の光老化とは、皮膚への紫外線照射を原因とする、皮膚において惹起される老化現象を意味し、具体的には、しみ、しわの発生、乾燥、炎症、皮膚深部のコラーゲン線維、ヒアルロン酸などの減少による皮膚の弾力性の低下による皮膚の可塑化現象をいう。本発明の光老化防止剤は、後記実験に示されるとおり、皮膚の可塑化を抑制する作用を有している。
【0011】
本発明の光老化防止用皮膚外用剤の有効成分として用いられるIFN−γは、血液細胞などから産生される天然型IFN−γであっても、IFN−γ遺伝子を適宜なベクターに組み込んで、大腸菌、動植物細胞などに導入し、培養して得られる組換え型IFN−γであってもよい。天然型IFN−γとしては、商品名『オーガンマ100』(大塚製薬株式会社販売)、遺伝子組換型IFN−γとしては、商品名『ビオガンマ』(サントリー株式会社、マルホ株式会社販売)または商品名『イムノマックス−γ』(塩野義製薬株式会社販売)などの市販品を用いることもできる。また、IFN−γの安定化、他の分子との結合、IFN−γ活性の増強または減弱などを目的としたアミノ酸残基を一部置換、欠失、付加などを施して得られるIFN−γ変異体タンパク質を用いることもできる。さらに、IFN−γの適当な部位に、ポリエチレングリコール、プルランなどの水溶性物質を結合して、安定性を高めることも随意である。これらのIFN−γは、液状、乾燥粉末、またはペースト状に調製することができる。
【0012】
本発明の光老化防止用皮膚外用剤に配合されるIFN−γは、適用方法、剤型、併用される他の成分の種類を勘案し、その配合量を適宜決定すれば良い。通常、皮膚外用剤1gあたり、100乃至100,000,000IU、好ましくは1,000乃至10,000,000IU、さらに好ましくは10,000乃至1,000,000IU配合すればよい。なお、IFN−γの活性の単位の「IU」は「国際単位」であり、国際標準物質を用いた常法のバイオアッセイ(抗ウイルス活性)により算出されるIFN−γの活性量を意味する。
【0013】
本発明の皮膚外用剤には、IFN−γの光老化防止効果を増強する目的で、他の光老化防止作用を示す物質、例えば、ビタミンA油、レチノール、酢酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンヌクレオチド等のビタミンB2 類、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート等のビタミンB6 類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸リン酸エステル、DL−トコフェロール−L−アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸DL−トコフェロール、コハク酸DL−トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンP、ビオチン等のその他のビタミン類、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)阻害剤、コラーゲン合成促進剤、又はコラーゲン架橋形成阻害剤などの1種または2種以上を配合することができ、特に、ビタミンC類、例えば、L−アスコルビン酸2−グルコシドなどのL−アスコルビン酸グリコシド、L−アスコルビン酸2−グルコシドのアシル化誘導体、テトラヘキシルデカン酸アスコルビン酸、アスコルビン酸−トコフェロールリン酸ジエステル、L−アスコルビン酸硫酸エステル、ジパルミチン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、L−アスコルビン酸ステアリル、リン酸L−アスコルビル、L−アスコルビン酸エチルなどのL−アスコルビン酸、その糖質誘導体又はアシル化誘導体を配合するのが好ましい。
【0014】
本発明の光老化防止方法には、有効成分のIFN−γ以外に、他の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、紫外線吸収剤、紫外線遮断剤、保湿剤、美白剤、抗炎症剤、抗酸化剤、抗しわ剤、細胞賦活化剤、経皮吸収促進剤、皮膚軟化剤などの1種または2種以上を併用することができる。とりわけ、本発明の光老化防止方法を日焼け防止に適用する場合、紫外線吸収剤、紫外線遮断剤、抗炎症剤、抗酸化剤などを併用するのが望ましい。
【0015】
紫外線吸収剤としては、通常、中波長紫外線吸収剤を用いることが望ましく、場合によっては、長波長紫外線吸収剤を適宜用いることができる。中波長紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸 (以下、「PABA」と略す。)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル、N,N−ジメチルPABAアミルエステル等の安息香酸系紫外線吸収剤、ジプロピレングリコールサリシレート、エチレングリコールサリシレート、ミリスチルサリシレート、メチルサリシレート、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤、オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート(2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート)、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート、メトキシケイ皮酸オクチル、3,4,5−トリメトキシケイ皮酸−3−メチル−4−[メチルビス(トリメチルシロキシ)シリル]ブチル、p−ジメトキシケイ皮酸モノエチルエステル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤、3−(4´−メチルベンジリデン)−d,1−カンファー、3−ベンジリデン−d,1−カンファー、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンテン−2−オン等のカンファー誘導体、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾオキサゾール、ジベンザラジン等を挙げることができる。長波長紫外線吸収剤としては、メチルアントラニレート、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2´−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2,2´−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2´−ヒドロキシ−5´−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4´−t−ブチルジベンゾイルメタン等を挙げることができる。
【0016】
紫外線遮断剤として、酸化チタン、タルク、カルミン、ベントナイト、カオリン、酸化亜鉛等を挙げることができる。
【0017】
保湿剤としては、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、へパリンなどのムコ多糖及びその誘導体やそれらの塩類、コラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン、ケラチン、ゼラチン、カゼインなどから選ばれるタンパク質及びそれらの部分ペプチド、グリシン、アラニン、バリン、セリン、スレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、ロイシン、チロシン、プロリン、イソロイシン、トリプトファン、ヒドロキシプロリン、テアニン、オルニンチン、シトルリン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン、リジン、ヒドロキシリジン、システイン、シスチン、アシルグルタミン酸、γ−ポリグルタミン酸などから選ばれるアミノ酸及びそれらの誘導体、キシロース、グルコース、フラクトース、マルトース、蔗糖、ラクトース、パラチノース、トレハロース、α−グリコシルトレハロース、環状四糖、異性化糖、マルトオリゴ糖、デキストリン、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、ガラクトシルグルコシド、ラクトスクロース、澱粉などの糖質、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール、パニトールなどの糖アルコール、プルラン、アルギン酸ナトリウム、寒天、アラビアガム、グアガム、トラガカントガム、キサンタンガム、カラギーナン、ローカストビーンガムなどのガム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニールアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリデキストロース、ポリアクリル酸などの水溶性高分子、ショ糖エステル、デキストリン誘導体、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、アミレングリコールなどの多価アルコール、N−(ω−アシルオキシ)アシルスフィンゴシン、N−アシルスフィンゴシン、N−アシルフィトスフィンゴシンなどのセラミド、ホスファチジド酸、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジル−N−メチルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジル−O−アミノアシルグリセロール、3´−O−リシルホスファチジルグリセロール、ホスファチジルグリセロリン酸、ジホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルイノシトール一リン酸、ホスファチジルイノシトール二リン酸、モノアルキルモノアシルグリセロリン脂質、ジアルキルグリセロリン脂質、モノアルケニルモノアシルグリセロリン脂質、ジアルケニルグリセロリン脂質、セラミドリン酸、スフィンゴミエリン、セラミドホスホリルエタノールアミン、セラミドホスホリルグリセロール、セラミドシリアチン、セラミド−N−メチルシリアチンなどのリン脂質、モノグリコシルジグリセリド、ポリグリコシルジグリセリド、モノガラクトシルジグリセリド、ポリガラクトシルジグリセリド、ガラクトシルグルコシルジグリセリド、セレブロシド、セラミドラクトシド、セラミドヘキソシド、グロボシド、ヘマトシド、ガングリオシド、ステロール配糖体、カルデノリド配糖体、サポニン、ステロイドアルカロイド配糖体、ラムノリピド、ソホロリピド、ミコシド、トリアシルグルコース、ジアシルトレハロース、リピドAなどの糖脂質、ホスファチジルグルコサミニルグリセロール、ホスファチジルイノシトールポリマンノシド、グリセロホスホリルジグルコシルジグリセリド、CDP−ジグリセリド、フィトグリコリピドなどのリン糖脂質、コンブ、サンゴモ、ワカメなどの海藻、アロエ、ローズマリーなどの保湿効果のある植物又は植物由来の成分などを挙げることができる。
【0018】
美白剤としては、例えば、乳酸、エラグ酸、トラネキサム酸、フィチン酸、グルタチオン、ハイドロキノン、アルブチン、カモミラET、ルシノール、ビタミンCまたはそれらの誘導体、カミツレエキスまたはモラシズエキスなどの美白効果を持つ植物又は植物由来成分、イオウなどの無機物などが挙げられる。
【0019】
抗炎症剤としては、例えば、アラントインアセチル−dl−メチオニン、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインジヒドロキシアルミニウム、アラントインポリガラクツロン酸などのアラントイン又はその誘導体、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸アラントイン、グリチルレチン酸グリセリン、グリチルレチン酸ステアリル、ステアリン酸グリチルレチニル、3−サクシニルオキシグリチルレチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウムなどのグリチルレチン又はその誘導体、パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル、ベンゾイルパントテニルエチルエーテル、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、アセチルパントテニルエチルエーテル、安息香酸パントテニルエチルエーテルエステル、パンテチンなどのパントテン酸又はその誘導体、ビタミンE又はその誘導体、塩酸ピリドキシン、メントール、ビオチン、カンフル、テレピン油、酸化亜鉛、アズレン、グアイアズレン及びその誘導体、メフェナム酸及びその誘導体、フェニルブタゾン及びその誘導体、インドメタシン及びその誘導体、イブプロフェン及びその誘導体、ケトプロフェン及びその誘導体、ε−アミノカプロン酸、ジクロフェナクナトリウム、ジフェンヒドラミン、トラネキサム酸及びその誘導体、デキサメタゾン、コルチゾン及びそのエステル、ヒドロコルチゾン及びそのエステル、プレドニゾン、プレドニゾロンなどの副腎皮質ホルモン、抗ヒスタミン剤、カンゾウエキス、カミツレエキス、藍などの植物抽出物が挙げられる。
【0020】
抗酸化剤としては、ビタミンA及びそれらの誘導体、ビタミンB及びそれらの誘導体、ビタミンC及びそれらの誘導体、ビタミンD及びそれらの誘導体、ビタミンE及びそれらの誘導体、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、スーパーオキシドディスムターゼ、カロチノイド、アスタキサンチン及びその誘導体、ルチン、ヘスペリジン、ケルセチン、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン及びそれらの配糖体をはじめとする各種誘導体、没食子酸及びその誘導体、グルタチオン及びその誘導体、β−カロチン及びその誘導体、ユビキノール、フラボノイド、ポリフェノール、ビリルビン、コレステロール、トリプトファン、ヒスチジン、チオタウリン、ヒポタウリンなどが挙げられる。
【0021】
抗しわ剤としては、例えば、レチノール、レチノイン酸、レチナールなどのレチノイド、パンガミン酸、カイネチン、ウルソール酸、ウコンエキス、スフィンゴシン誘導体、ケイ素、ケイ酸、N−メチル−L−セリン、メバロノラクトンなどが挙げられる。
【0022】
細胞賦活化剤としては、例えば、γ−アミノ酪酸、ε−アミノプロン酸などのアミノ酸類、レチノール、チアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、パントテン酸類などのビタミン類、グリコール酸、乳酸などのα−ヒドロキシ酸類、タンニン、フラボノイド、サポニン、アラントイン、感光素101号、感光素301号などが挙げられる。
【0023】
経皮吸収促進剤としては、例えば、尿素、乳酸、フルーツ酸、グリコール酸などのα−ヒドロキシ酸、サリチル酸などのβ−ヒドロキシ酸、オレイン酸、ウンデカノイン酸、オクタノール、ノナノール、メントール、チモール、リモネン、ジメチルスルホキシド、ドデシルメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ラウリル硫酸ナトリウム、N,N−ビス(2ヒドロキシエチル)オレイルアミン、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレート、ドデシルジメチルアンモニオプロパンスルホン酸、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、n,n−ジメチル−m−トルアミド、ジエチル−m−トルアミド、ラウロカプラム、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、N−モノ又はジ置換−p−メンタン−3−カルボキシアミド、2−(2−メトキシ−1−メチルエチル)−5−メチルシクロヘキサノ−ル、アザシクロアルカン誘導体、シクロデキストリンなどが挙げられる。
【0024】
さらに、本発明の皮膚外用剤には上記の成分に加えて、必要に応じて、通常皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、エデト酸、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウムなどの金属イオン封鎖剤、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール類、流動パラフィン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン、アーモンド油、オリーブ油、硬化油、ヒマシ油、モクロウ、ヤシ油、ミツロウ、ラノリン、カルナバロウ、パーム油などの油分、フィトステロールなどのステロール類、ラノリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸類やこれらのトリグリセリド、ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、コレステロールなどの高級アルコール類、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピルなどのエステル類、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、コハク酸、酢酸などの有機酸、リン酸などの無機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミンなどの無機或いは有機のアルカリ剤、フラーレン及びその誘導体、黄酸化鉄、チタンイエロー、カーサミンなどの着色料、感光素201号、感光素401号、プラルミンなどの感光素、赤色104号、黄色4号、緑色3号、青色1号、橙色206号などのタール色素、タルク、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイソウ土、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、α−酸化鉄、水和酸化鉄、シリカ、ヒドロキシアパタイトなどの無機粉末、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、四弗化エチレンパウダー、ジスチレンベンゼンピンホールポリマーパウダー、微結晶性セルロースなどの有機粉体、水等を本発明の皮膚外用剤に配合することができる。
【0025】
また、その他の薬効成分として、ローヤルゼリー、プロポリス、蜂蜜、幼牛血液抽出物、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、チアントール等を本発明の皮膚外用剤に配合することができる。
【0026】
さらに、本発明の皮膚外用剤に、本発明の目的を逸脱しない範囲で、インターフェロンα、インターフェロンβ、エンドセリン、マクロファージ遊走阻止因子、コロニー刺激因子、トランスファーファクター、インターロイキン−2などのリンホカイン、インシュリン、成長ホルモン、プロラクチン、エリスロポエチン、卵細胞刺激ホルモン、ステロイドなどのホルモン、ペニシリン、エリスロマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、ストレプトマイシン、硫酸カナマイシンなどの抗生物質、リパーゼ、エラスターゼ、ウロキナーゼ、プロテアーゼ、β−アミラーゼ、イソアミラーゼ、グルカナーゼ、ラクターゼなどの酵素から選ばれる1種又は2種以上を配合することも随意である。
【0027】
本発明の皮膚外用剤は、通常、医薬部外品又は化粧品に利用可能な剤型にすることができる。例えば、リニメント剤、スプレー剤、ローション剤、軟膏、クリーム、乳液、化粧水、美容液、パック剤、アンダーメークアップ、ファンデーション、ゼリー剤等の製品形態として用いることができる。また、有効成分でとしてのIFN−γに安定性又は徐放性を付与するために、リポソームやマイクロカプセルに封入することも随意である。
【0028】
本発明の光老化防止用皮膚外用剤は、紫外線が照射されることが予測される皮膚、あるいは、紫外線が照射された皮膚に直接適用される。適用方法としては、手指、刷毛、スプレー、霧吹などにより皮膚に塗布する方法、適宜の布、ガーゼ、フィルムなどに塗布又は浸漬した後にそれを皮膚に貼付する方法、イオントフォレーシス法などにより電気的に経皮吸収させる方法、浴槽、バットなどに充填して皮膚を浸漬する方法、手袋、シャツ、タオルなどに付着させておき、それを着用する方法などが挙げられる。IFN−γ適用量は、適用方法、剤型、併用される他の成分、その配合量、皮膚の状態、年齢、性別により変動するも、通常、皮膚1cm当たり、1乃至1,000,000IU、好ましくは、10乃至100,000IU、さらに好ましくは100乃至10,000IUを皮膚に適用すればよい。
【0029】
以下、実験で本発明を詳細に説明する。
【0030】
<実験1:マウスIFN−γの調製>
常法にしたがって、摘出したBALB/cマウスの脾臓からmRNAを調製し、これを鋳型として逆転写酵素によりcDNAを合成した。次に、GENBANKアクセッション番号K00083に開示されるマウスIFN−γ塩基配列(配列表における配列番号1)を参考にして、成熟型IFN−γのN末端の20番目のシステインから発現させるために、配列番号1に示される塩基配列の58番目の塩基から発現させることを試みた。すなわち、配列表における配列番号2(制限酵素NdeI切断部位、開始コドン、及び成熟型マウスIFN−γの5´末端付近の塩基配列を有する)TTCCATATGTGTTACTGCCACGGCACA、及び、配列番号3(制限酵素BamHI切断部位、終止コドン、及び成熟型マウスIFN−γの3´末端付近の塩基配列を有する)TCTCCTAGGTCAGCAGCGACTCCTTTTCCで表されるオリゴヌクレオチドプライマーを作製し、上記のcDNAを鋳型にして、常法のPCR法により、プライマー配列に特異的なDNAを増幅した。得られたDNAを制限酵素NdeI及びBamHIにより消化し、T7プロモーター領域、T7ターミネーター領域、アンピシリン耐性遺伝子領域及びColE1・Ori領域を有するプラスミドベクター(商品名『pET−3a』、ノバジェン社製)に導入した。このプラスミドを大腸菌BL21DE3株へ導入し、成熟型マウスIFN−γ産生用の大腸菌を得た。これを常法により、T−ブロス培地で培養し、遠心分離により菌体を回収した。得られた菌体を、TES緩衝液(pH8.0)にて2回洗浄後、0.2mg/mlリゾチームを含むTES緩衝液(pH8.0)(20mMトリス塩酸、10mMエチレンジアミン4酢酸、及び0.5M塩化ナトリウム)に加え、常法にしたがい超音波処理し、遠心分離し、成熟型IFN−γを含む残さを回収した。これを1%(w/v)トリトンエックス−100を含むTES緩衝液に加え、攪拌後に遠心分離して上清を除く操作を3回行い、得られた沈澱物を8Mグアニジン塩酸塩及び50mMジチオスレイトールを含む、50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.0)に加え、遮光下室温で16時間攪拌し、遠心分離して、上清を回収した。これに100倍量の1Mトリス、0.9(w/v)%塩化ナトリウム、0.4ML−アルギニン塩酸塩、2.5mM還元型グルタチオン、0.5mM酸化型グルタチオン、0.05(w/v)%ツイーン20に少量ずつ徐々に攪拌しつつ加えた後、4℃で16時間静置した。これを4倍量の0.1(w/v)%ウシ血清アルブミンを含むリン酸食塩緩衝液(pH7.2)に加え、pHを6.5乃至7.5に調整した後、常法にしたがって、抗マウスIFN−γ抗体カラムクロマトグラフィーによりマウスIFN−γ活性を有するフラクションを採取した。これをさらに、ゲル濾過クロマトグラフィー(商品名『Superdex75』、アマシャムバイオサイエンス社製造)により脱塩処理を行い、成熟型マウスIFN−γを得た。
【0031】
<実験2:ヘアレスマウスによる紫外線照射実験>
一群4匹の4週齢雌性アルビノへアレスマウス(Hos:HR−1)(株式会社星野実験動物飼育所販売)の背部皮膚に、FL20SEランプ(株式会社東芝製造)を装着した実用光源装置(NS−8F型、三和メディカル株式会社製造)を用いて、長波長紫外線と中波長紫外線の比率が3:5である紫外線を中波長紫外線換算で60mJ/cm(0.5mW/cmで120秒)照射した。その後、120mJ/cmになるまで、1週ごとに10mJ/cm(20秒)ずつ照射量を増加して、週5回10週間照射した。紫外線照射後、毎回、直ちに実施例1で得た成熟型マウスIFN−γ3.8×10IU/ml及びウシ血清アルブミン0.1%(w/v)を含む0.1Mリン酸緩衝液を照射面積1cm当たり0.1mlの割合で照射部位に塗布した。紫外線照射終了後、マウスを屠殺し、背部皮膚の片側を切り取り、20%(v/v)ホルムアルデヒド含む0.1Mリン酸緩衝液に浸漬した後、これを適量のパラフィンに包埋し、マイクロトームにより2μmの厚さの組織切片を作製した。作製した組織切片を、常法にしたがい、ヘマトキシリン・エオジン染色(細胞核、細胞質及び細胞間質を染色)、アザン染色(コラーゲン繊維を染色)、エラスチカワンギーソン染色(弾性繊維及びコラーゲン線維を染色)のいずれかにより処理した。染色切片は光学顕微鏡(商品名『デジタルHFマイクロスコープ』、株式会社キーエンス製造)で倍率100倍で観察し、表皮、真皮、皮下織の厚さを計測した。皮膚嚢胞については、直径を計測して断面積を算出し、皮下織内の占有率を求めた。なお、陰性対照として、紫外線照射するものの、IFN−γを含まないウシ血清アルブミン0.1%を含むリン酸緩衝液を塗布する群(紫外線照射IFN−γ非塗布群)、及び、紫外線照射及びIFN−γ塗布をしない群(紫外線非照射IFN−γ非塗布群)を設け、上記と同様に処理した。
また、表皮基底細胞におけるPCNA陽性率(増殖中の細胞比率)は、まず、常法の抗PCNA抗体を用いた免疫染色法(『リキッドDAB−ブラックサブストレートキット』、ザイメドラボラトリーズ社販売)により、組織切片におけるPCNA陽性細胞を染色し、続いて、その組織切片をメチルグリーン染色によりPCNA陰性細胞を染色し、これらの染色面積を比較して算出した。
それらの結果を図1乃至3及び表1に示す。
【0032】
【表1】

【0033】
表1の結果のとおり、紫外線照射IFN−γ非塗布群の光学顕微鏡下で撮影した皮膚組織の断面の写真を示す図2における、表皮1、真皮2及び皮下組織3の厚さは、紫外線非照射IFN−γ非塗布群の光学顕微鏡下で撮影した皮膚組織の断面の写真を示す図1におけるそれらの厚さに比べてどれも増加した。一方、紫外線照射IFN−γ塗布群の光学顕微鏡下で撮影した皮膚組織の断面の写真を示す図3においては、紫外線による表皮、真皮及び皮下組織の肥厚が抑制された。また、表皮基底細胞の増殖の程度を示すPCNA陽性率については、紫外線非照射IFN−γ非塗布群のレベルにまで低下した。この結果は、IFN−γ塗布は紫外線老化の代表的な現象として知られる皮膚組織の肥厚を防止する作用を有することを示している。
また、IFN−γは、皮下組織における嚢胞占有率を増加させた。ところで、ヘアレスマウスの実験系において、上記のような嚢胞占有率の増加は、皮膚の新陳代謝が低下している場合に起こることが知られている。したがって、上記のPCNA陽性率のデータを合わせて考えると、IFN−γは、皮膚の深部にまで作用し、皮膚の過度の新陳代謝を抑え、皮膚の光老化を抑制する効果を発揮するものと考えられる。
【0034】
<実験3:ヘアレスマウスの紫外線照射実験>
以下の実験は、幼若コラーゲン量測定用の『シルコールコラーゲンアッセイキット』(バイオカラー社販売)を用いて行われた。すなわち、実験2において、紫外線照射及びマウスIFN−γを塗布した群、及び、対照の2群のマウスから、それぞれ背部皮膚(表皮、真皮、皮下織を含む)1cm分を切り取り、その重量を測定した後、10mlの0.5M酢酸水溶液に浸漬して粉砕混合し、遠心分離により、上清部と沈澱部に分離しそれぞれ採取した。上清部は「酸可溶性コラーゲン画分」とし、その一部を採取し、キットに付属の塩可溶性コラーゲンに結合して沈澱する試薬を等量加え、30分間混ぜ合わせた後、遠心分離して得られた沈澱を、キット付属のアルカリ試薬1mlにより再溶解し、「塩可溶性コラーゲン画分」を調製した。一方、沈澱部は、10mgに対して10mlの1mgペプシンを含む0.5M酢酸水溶液を加え、攪拌しつつ4℃で24時間反応させ、遠心分離後、上清を採取し、「ペプシン可溶性コラーゲン画分」とした。これら3画分は、標準スペクトロメーターを用いて540nmでの吸光度を測定し、皮膚組織1g当たりのコラーゲン量を算出した。
また、常法にしたがって、それぞれの群のマウス皮膚を電子顕微鏡観察用のプレパラートに調製し、電子顕微鏡下でコラーゲン線維の直径を測定し、平均線維直径を求めた。
これらの結果を表2に示す。
【0035】
【表2】

【0036】
表2に示すとおり、紫外線照射IFN−γ非塗布群のヘアレスマウスの組織重量当たりの酸可溶性コラーゲン画分、塩可溶性コラーゲン画分及びペプシン可溶性コラーゲン画分の量が増加したことから、紫外線照射により、コラーゲン線維を再構築するために必要な幼若なコラーゲンの合成が促進された。一方、紫外線照射IFN−γ塗布群のヘアレスマウスにおいては、幼若コラーゲン量はさらに増加していた。とりわけ、分子量が比較的大きいペプシン可溶性コラーゲン量が5.3mgから8.0mgに著増したことは、コラーゲン再合成が、紫外線照射IFN−γ非塗布群よりも、より促進されることを示していると考えられる。
また、紫外線照射により、平均線維直径は減少したことから、コラーゲン線維の分解が促進されることが示された。しかしながら、IFN−γを皮膚に適用することにより、コラーゲン線維の分解をやや抑制することが示された。
【0037】
以下、実施例で本発明の光老化防止用皮膚外用剤の具体例を示す。
【実施例1】
【0038】
<ヒトIFN−γの調製>
市販の天然型IFN−γ製剤(商品名『オーガンマ100』、大塚製薬株式会社販売)を添付の溶解液により溶解し、常法にしたがい、抗IFN−γ抗体カラムにより添加剤を排除してヒトIFN−γを精製した。これを常法のバイオアッセイで活性を測定した後、0.1Mリン酸緩衝液で希釈して、濃度10,000IU/mlの水溶液に調製した。
【実施例2】
【0039】
<クリーム>
モノステアリン酸ポリオキシエチレングリコール2質量部、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン5質量部、ベヘニルアルコール3質量部、エイコサテトラエン酸2質量部、流動パラフィン5質量部、トリオクタン酸グリセリル10質量部および防腐剤の適量を常法に従って加熱溶解し、トレハロース1質量部、L−アスコルビン酸2−グルコシド(株式会社林原生物化学研究所販売)2質量部、ヒアルロン酸ナトリウム0.1質量部、グリチルリチン酸ジカリウム0.1質量部、アロエベラエキス0.1質量部、メリッサエキス0.05質量部、カミツレエキス0.05質量部、糖転移ヘスペリジン(株式会社林原生物化学研究所販売)0.5質量部、藍のエタノール抽出物1質量部、dl−乳酸ナトリウム5質量部、1,3−ブチレングリコール5質量部および精製水66質量部を加え、ホモゲナイザーにかけて乳化し、更に香料の適量を加えて撹拌混合しクリームを製造した。これに、実施例1で得たヒトIFN−γをクリーム1g当たり100IU混ぜ込み、本発明の光老化防止用クリームを得た。
本品は、IFN−γの効果により、皮膚の光老化の治療又は予防に利用できるうえ、L−アスコルビン酸2−グルコシドのコラーゲン合成促進作用、グリチルリチン酸ジカリウム、アロエベラエキスなどの抗炎症作用、糖転移ヘスペリジンの血管拡張作用が発揮される。
【実施例3】
【0040】
<日焼け止めクリーム>
セトステアリルアルコール3.5質量部、スクワラン40質量部、ミツロウ3質量部、還元ラノリン5質量部、2, 4−ジヒドロキシベンゾフェノン2質量部、エチレングリコールサリシレート2質量部、酸化チタン5質量部、1,3−ブチレングリコール6質量部、ペンチレングリコール2.5質量部、グリチルリチン酸ジカリウム0.1質量部、トレハロース2質量部、濃グリセリン5質量部、精製水10質量部にアスコルビン酸2−グルコシド2質量部、水酸化ナトリウム(10%水溶液)2.33質量部、クエン酸ナトリウム(10%水溶液)1質量部を溶解した溶液15.63質量部、精製水37.62質量部からなるクリームを常法により調製した。乳化は、ホモミキサーを使用して、加熱しながら4000rpmで5分間撹拌し、その後、撹拌しながら冷却してクリームを調製した。これに、実施例1で得たヒトIFN−γをクリーム1g当たり1,000IU混ぜ込み、本発明の光老化防止用日焼け止めクリームを得た。
本品は、IFN−γの効果により、皮膚の光老化治療又は予防に利用できるうえ、グリチルリチン酸ジカリウムの抗炎症作用、アスコルビン酸2−グルコシドのコラーゲン生産促進作用などが発揮される。また、紫外線照射される前に皮膚に適量を塗布して使用されれば、エチレングリコールサリシレートの中波長紫外線吸収作用、酸化チタンの紫外線遮断作用により、皮膚に照射される紫外線量が低減するので、皮膚の光老化の防止及び日焼け防止に有利に利用できる。
【実施例4】
【0041】
<ハンドクリーム>
トレハロース10質量部、尿素2質量部、ポリオキシエチレン(60)イソステアリン酸グリセリド2.5質量部、ステアリン酸モノグリセリド1.5質量部、セタノール4質量部、ワセリン2質量部、流動パラフィン10質量部、パラオキシケイ皮酸2−エチルヘキシル−4−テトラ−ブチル−4−メトキシベンゾイルメタン0.01質量部、酢酸dl−α−トコフェロール0.2質量部、ビタミンD0.1質量部に精製水を適量加えて、常法により100質量部のハンドクリームを調製した。これに、実施例1で得たヒトIFN−γをクリーム1g当たり100IU混ぜ込み、本発明の光老化防止用ハンドクリームを得た。
本品は、IFN−γの効果により、皮膚の光老化の治療又は予防に利用することができるうえに、酢酸dl−α−トコフェロールの血行促進作用及び抗炎症作用が発揮される。
【実施例5】
【0042】
<乳液>
ステアリン酸2.5質量部、セタノール1.5質量部、ワセリン5質量部、流動パラフィン10質量部、ポリオキシエチレンオレエート2質量部、グリチルリチン酸ジカリウム0.2質量部、ポリエチレングリコール(1500)3質量部、L−アスコルビン酸エチル3質量部、藍の水抽出物3質量部、アルブチン2質量部、糖転移ルチン(株式会社林原生物化学研究所販売)1質量部、トリエタノールアミン1質量部、トレハロース1質量部、精製水66質量部、プロピルパラベン0.1質量部を混合し、水酸化カリウムでpHを6.7に調節した後、更に適量の香料を加えて、常法により、乳液を製造した。これに、実施例1で得たヒトIFN−γを乳液1ml当たり100IU加え、本発明の光老化防止用乳液を得た。
本品は、IFN−γの効果により、皮膚の光老化の治療又は予防に使用できるうえに、藍の水抽出物及びグリチルリチン酸ジカリウムの抗炎症作用、アスコルビン酸エチルのコラーゲン生産促進作用、アルブチンの美白作用が発揮される。
【実施例6】
【0043】
<乳液>
ステアリン酸2.5質量部、セタノール1.5質量部、ワセリン5質量部、流動パラフィン10質量部、ポリオキシエチレン(10)レエート2質量部、プロピルパラベン0.1質量部、酢酸dl−α−トコフェロール0.5質量部、香料0.2質量部、ポリエチレングリコール(1500)3質量部、トリエタノールアミン1質量部、L−アスコルビン酸2−グルコシド(株式会社林原生物化学研究所販売)2質量部、トレハロース1質量部、脱イオン水を適量加え、常法により100質量部の乳液を調製した。これに、実施例1で得たヒトIFN−γを乳液1ml当たり100IU混ぜ込み、本発明の光老化防止用乳液を得た。
本品は、IFN−γの効果により、皮膚の光老化の治療又は予防に有利に利用できるうえに、酢酸dl−α−トコフェロールの血行促進作用及びL−アスコルビン酸2−グルコシドのコラーゲン合成促進作用が発揮される。
【実施例7】
【0044】
<化粧水>
グリチルリチン酸ジカリウム0.2質量部、クエン酸0.1質量部、クエン酸ナトリウム0.3質量部、トレハロース2質量部、エタノール5質量部、感光素201号0.0001質量部、エチルパラベン0.1質量部、水を加えて総量を100質量部とし、混合溶解し、化粧水を調製した。これに、実施例1で得たヒトIFN−γを化粧水1ml当たり100IU混ぜ込み、本発明の光老化防止用化粧水を得た。
本品は、IFN−γの効果により、皮膚の光老化の治療又は予防に利用できるうえに、グリチルリチン酸ジカリウムの抗炎症作用が発揮される。
【実施例8】
【0045】
<美容液>
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール0.5質量部、スクワラン1質量部、キサンタンガム0.3質量部、ヒドロキシエチルセルロース0.2質量部、トレハロース3質量部、ヒアルロン酸ナトリウム0.05質量部、エデト酸2ナトリウム0.1質量部、藍の水抽出物0.5質量部、エチルパラベン0.1質量部、水を加えて総量を100質量部とし、混合溶解し、常法により、美容液を調製した。これに、実施例1で得たヒトIFN−γを美容液1ml当たり100IU混ぜ込み、本発明の老化防止用美容液を得た。
本品は、IFN−γの効果により、皮膚の光老化の治療又は予防に利用できるうえに、藍の水抽出物の抗炎症作用が発揮される。
【実施例9】
【0046】
<美容液>
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール0.5質量部、スクワラン1質量部、キサンタンガム0.3質量部、ヒドロキシエチルセルロース0.2質量部、トレハロース3質量部、L−アスコルビン酸2質量部、ヒアルロン酸ナトリウム0.05質量部、糖転移ルチン(株式会社林原生物化学研究所販売)、1質量部、糖転移ヘスペリジン(株式会社林原生物化学研究所販売)、1質量部、エデト酸2ナトリウム0.1質量部、エチルパラベン0.1質量部、水を加えて総量を100質量部として混合溶解し、水酸化カリウムによりpHを約6.8に調製し、常法により、美容液を調製した。これに、実施例1で得たヒトIFN−γを美容液1ml当たり100IU混ぜ込み、本発明の老化防止用美容液を得た。
本品は、IFN−γの効果により、皮膚の光老化の治療又は予防に利用できるうえに、L−アスコルビン酸のコラーゲン生産促進作用及び糖転移ルチンと糖転移ヘスペリジンの血行促進作用が発揮される。
【実施例10】
【0047】
<ローション>
ヒアルロン酸ナトリウム(1%水溶液)20質量部、ソルビトール液(60%水溶液)2.1質量部、カンゾウエキス0.5質量部、カミツレエキス0.05質量部、セージエキス1質量部、アロエ液汁末0.001質量部、クエン酸0.02質量部、クエン酸ナトリウム0.18質量部、パラオキシ安息香酸メチル0.05質量部に精製水を加えて、全量を100質量部として、ローションを調製した。これに、実施例1で得たヒトIFN−γをローション1ml当たり100IU混ぜ込み、本発明の光老化防止用ローションを得た。
本品は、IFN−γの効果により、皮膚の光老化の治療又は予防に利用できるうえに、カンゾウエキスやカミツレエキスなどの抗炎症作用が発揮される。
【産業上の利用可能性】
【0048】
叙述のとおり、本発明の光老化防止用皮膚外用剤は、紫外線照射によるコラーゲン線維の分解を抑制し、かつ、分解したコラーゲン線維の再合成を促進するので、皮膚の弾力性を保持することにより、皮膚の可塑化を抑制し、さらには、皮膚の過剰な新陳代謝を抑えることにより、皮膚の光老化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】紫外線非照射IFN−γ非塗布群のへアレスマウスにつき、光学顕微鏡下で撮影した皮膚組織の断面の写真のデイスプレー上に表示した中間調画像である。
【図2】紫外線照射IFN−γ非塗布群のへアレスマウスにつき、光学顕微鏡下で撮影した皮膚組織の断面の写真のデイスプレー上に表示した中間調画像である。
【図3】紫外線照射IFN−γ塗布群のへアレスマウスにつき、光学顕微鏡下で撮影した皮膚組織の断面の写真のデイスプレー上に表示した中間調画像である。
【符号の説明】
【0050】
1 表皮層
2 真皮層
3 皮下組織層
4 皮下嚢胞

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターフェロン−γを有効成分として配合してなる光老化防止用皮膚外用剤。
【請求項2】
インターフェロン−γの配合量が1g当たり100乃至100,000,000IUであることを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−117552(P2006−117552A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−304928(P2004−304928)
【出願日】平成16年10月19日(2004.10.19)
【出願人】(000155908)株式会社林原生物化学研究所 (168)
【Fターム(参考)】