説明

光記録再生媒体の焦点誤差検出方法、およびそれに用いる発光装置のビーム分割調節器

【課題】 光記録媒体の回折構造を利用して焦点誤差信号を得る装置において、対物レンズへの照射光が一様でない場合でも、焦点誤差信号へのオフセットの発生を抑圧することができる光記録再生媒体の焦点誤差検出方法を提供すること。
【解決手段】 回転する光記録再生媒体における参照面に対し、発光装置によりレーザー光を照射して、この照射したレーザー光に対する前記周期構造からの回折光および参照面反射光、もしくは回折光および参照面透過光をファーフィールド領域内に誘導せしめ、このファーフィールド領域内に光検知器を配置して、所定速度で回転する前記光記録再生媒体の参照面上における接線方向への距離間隔s/4に対応する4つの異なる位置において、干渉する光の光強度をそれぞれ計測することによって、これらの計測したサンプリング値に基づいて演算することにより信号を生成して、前記レーザー光の集光スポットにおける焦点誤差を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学技術およびその付帯装置の改良、更に詳しくは、光記録媒体の回折構造を利用して焦点誤差信号を得る装置において、対物レンズへの照射光が一様でない場合でも、焦点誤差信号へのオフセットの発生を抑圧することができる光記録再生媒体の焦点誤差検出方法、およびそれに用いる発光装置のビーム分割調節器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の光学的な情報記録再生装置における集束光ビームの焦点位置を検出する装置としては、2分割光検知器を、光ディスクからの反射光と(円形ディスクの)接線方向への回折光が重なりあうファーフィールド領域に配置し、この2分割光検知器の差出力と和出力から焦点誤差信号を生成する方法がある(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
【0003】
また、2分割光検知器を、光ディスクからの反射光と(円形ディスクの)半径方向への回折光が重なりあうファーフィールド領域に配置して、この2分割光検知器の差出力と和出力から焦点誤差信号を生成する方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
以下、図18から図21により<特許文献1>とそれの関連論文である<非特許文献1>に述べられた従来の焦点誤差信号生成方法ついて説明する。まず、図18は<特許文献1>の一実施例として記載された焦点誤差信号生成装置であり、この装置は、レーザー光源1、レーザー光源1からのレーザー光を集束する対物レンズ2、光記録媒体である光ディスク3、光ディスク3中の情報記録面4、2分割光検知器5、情報記録面4からの反射回折光の一部を2分割光検知器5に向けて反射する半透明鏡6とから構成されている。
【0005】
なお、前記情報記録面4には、2次元回折格子として作用するピット列が刻設されており、対物レンズ2によって集光照射される光ビームは、この情報記録面4によって一部はそのまま反射されるとともに、接線方向(x方向)と半径方向(y方向)に回折される。
【0006】
また、図19には、情報記録面4のファーフィールド領域における2分割光検知器5と情報記録面4からの反射回折光の位置関係が示されており、2分割光検知器5は、情報記録面4からの反射光と情報記録面4の回折格子としての構造によって生成される接線方向(x方向)への1次回折光が重なるファーフィールド領域内に、長手方向が半径方向(y方向)に一致するように配置されている。
【0007】
更にまた、図20は、焦点誤差信号生成回路の全体構成において、2分割光検知器5の接続系統を示したものであり、2分割光検知器5のエレメント7、8の出力が、減算器9と加算器10に接続されている。
【0008】
<特許文献1>で述べられた従来の焦点誤差信号生成方法の動作によると、対物レンズ2によって集光されるレーザー光の焦点が情報記録面4に合致している場合は、上記反射光と1次回折光の間の位相差は一定となるため、上記領域内には干渉縞が生じない。
【0009】
しかし、焦点が情報記録面4からずれると、上記反射光と1次回折光の間には接線方向(x方向)に1次で変化する位相差が発生するため、上記領域内には干渉縞が発生する。
【0010】
この位相差の接線方向(x方向)の傾きは、上記焦点の情報記録面4からのずれに比例するとともに、この位相差は、焦点が接線方向に1周期分移動することによって360度変化する。
【0011】
そして、上記位相差の接線方向(x方向)への傾きを2分割光検知器5の減算器9の差出力で捉えて、加算器10の和出力を90度移相した信号を参照信号として、乗算器11の出力に焦点誤差信号を得るものである。
【0012】
また、図20に示すように、乗算器11の出力中に混入する振動成分を除去するために、低域通過フィルタ12(LPF)が追加されている。
【0013】
続いて、図21から図24に基づいて、<特許文献2>に述べられた従来の焦点誤差信号生成方法について説明する。図21は<特許文献2>の一実施例として記載された焦点誤差信号生成装置であり、3つのレーザー光源13、14、15、レーザー光源13、14、15からのレーザー光を集束する対物レンズ2、光記録媒体である光ディスク3、光ディスク3中の情報記録面4、2分割光検知器5、情報記録面4からの反射回折光の一部を2分割光検知器5に向けて反射する半透明鏡6、3つのレーザー光源13、14、15それぞれのオン、オフを行う制御回路20から構成されている。
【0014】
また、前記<特許文献1>と同様に、情報記録面4には2次元回折格子として作用するピット列が刻設されており、対物レンズ2によって集光照射される光ビームは情報記録面4によって一部はそのまま反射されるとともに、接線方向(x方向)と半径方向(y方向)に回折される。
【0015】
図22には、情報記録面4のファーフィールド領域における2分割光検知器5と情報記録面4からの反射回折光の位置関係が示されており、2分割光検知器5は、情報記録面4からの反射光と情報記録面4の回折格子としての構造によって生成される半径方向(y方向)への1次回折光が重なるファーフィールド領域内に、長手方向が接線方向(x方向)に一致するように配置されている。
【0016】
<特許文献2>での2分割光検知器5の位置は、<特許文献1>に記載された2分割光検知器5を光軸の周りに中心に90度回転させたものに相当する。
【0017】
また、図23は、3つのレーザー光源13、14、15によってそれぞれ形成される3つの光スポット16、17、18と情報トラック19(接線方向(x方向)に伸びている)の位置関係を示したものである。これら3つの光スポット16、17、18は焦点方向(情報記録面4に対して垂直なディスク深さ方向)には同じ位置(深さレベル)で集光するものとしている。
【0018】
図23において、pは情報トラック19の一周期間隔であり、光スポット16と17の中心の間隔、および、光スポット17と18の中心の間隔は、それぞれpの4分の1の距離となるように設定されている。
【0019】
また、図24は、焦点誤差信号生成回路の構成と2分割光検知器5との接続を示したものである。具体的には、2分割光検知器5のエレメント7、8の出力が、減算器9と加算器10に接続されている。
【0020】
次に、<特許文献2>で述べられた従来の焦点誤差信号生成方法の動作について説明する。まず、制御回路20はレーザー光源13、14、15を順次点滅させる。レーザー光源13が瞬時点灯した時(他の2つの光源14、15は消灯)の減算器9の出力をIDF(−π/2)、加算器10の出力をISUM(−π/2)と表現すると、これら2つの信号はそれぞれサンプルホールド回路21、24によって保持される。
【0021】
次に、レーザー光源13を消灯してレーザー光源14のみを瞬時点灯した時の減算器9の出力をIDF(0)、加算器10の出力をISUM(0)と表現すると、これら2つの信号はそれぞれサンプルホールド回路22、25によって保持される。
【0022】
最後に、レーザー光源14を消灯してレーザー光源15のみを瞬時点灯した時の減算器9の出力をIDF(π/2)、加算器10の出力をISUM(π/2)と表現すると、これら2つの信号はそれぞれサンプルホールド回路23、26によって保持される。
【0023】
これら6つのサンプルホールド回路21〜26の出力を使い、以下の式(1)に示す演算を行うことによって、集光スポットの焦点誤差信号(FES)を得るものである。
【0024】
【数1】

【0025】
この際、対物レンズ2に入射するレーザー光の強度分布は、その瞳上で一様と仮定しており、この場合にのみオフセットのない焦点誤差信号が得られる。
【0026】
従来の各文献に記載された焦点誤差検出装置の問題点について以下に述べる。まず、<特許文献1>の焦点誤差検出装置においては、焦点誤差信号を発生させるために2分割光検知器5の2つのエレメント7、8の和信号(即ち、加算器10の出力信号)を参照信号として、エレメント7、8の差信号(即ち、減算器9の出力信号)の同期検波を行っているので、和信号、差信号はともに単一周波数の時間変動信号である必要がある。
【0027】
即ち、情報記録面4に刻設された接線方向のピット列の空間周波数を一定にしなければならないという問題がある。
【0028】
また、<非特許文献1>においては、この焦点誤差検出法をアナログ・ビデオ信号が記録されたビデオディスクに適応した実験が報告されており、ビデオディスクではピットの接線方向の空間周波数が連続的に変化しているので、上記の焦点誤差検出方法の動作が適用可能である。
【0029】
ところが、コンパクトディスクのように、ピット長、ピット間隔が離散的に変調記録されている光ディスクに対しては、これから基準となる単一周波数信号を取り出すことができないため、<特許文献1>および<非特許文献1>で述べられた従来の焦点誤差検出装置では、焦点誤差検出のための信号を発生させることができない。
【0030】
さらに、光磁気ディスクのように、接線方向に周期性がない、即ち、連続な情報トラックしかない光記録媒体に対しても、<特許文献1>および<非特許文献1>で述べられた従来の焦点誤差検出装置では、焦点誤差信号を発生することができない。
【0031】
一方、<特許文献2>で述べられた焦点誤差検出装置は、<特許文献1>および<非特許文献1>で述べられた従来の焦点誤差検出装置の問題点を解消するために発明されたものであり、情報トラックに平行な方向に周期性を有していない光記録媒体に対しても、焦点誤差信号を発生することのできる焦点誤差検出装置を提供することを目的とした。
【0032】
しかしながら、この<特許文献2>で述べられた焦点誤差検出装置においても、<特許文献1>および<非特許文献1>と同様に、対物レンズ2に入射するレーザー光の強度分布が一様でなければならないという問題点があった。
【0033】
もし、対物レンズ2に入射するレーザー光の強度分布が一様でない場合には、光スポットの情報記録面4に対するずれが無い(焦点が合った)状態でも焦点誤差信号中にオフセットが発生し、正確な焦点制御ができなくなるという問題がある。特に、現在の光記録再生装置では、半導体レーザーを光源とするものがほとんどであるため、対物レンズ2に照射される光強度分布は一様ではなくなる。
【0034】
また、図25には、典型的な半導体レーザー放射角度に対する強度分布を示した。このような光源を使用した場合には、従来例に示した2分割光検知器の2つのエレメントは、位相差に伴う強度差と同時に、照射光強度分布に伴う強度差を感じ、それがオフセットとして現れるという問題がある。
【0035】
更にまた、図26には、光源として半導体レーザー(水平方向広がり角度10.5度、垂直方向広がり角度21.3度)を使い、対物レンズ入射側の開口数が0.122、対物レンズの開口数が0.53の場合、<特許文献2>で述べられた焦点誤差検出装置で得られた焦点誤差信号の一例が示されている。この焦点誤差信号のオフセットは、集光スポットの半径方向初期位置にも依存する不安定なものである。
【特許文献1】特開昭52−93223号公報
【特許文献2】特開昭63−58627号公報
【非特許文献1】「Position sensing in video disk readout」、著者 J.Braat and G.Bouwhuis、Applied Optics、Vol.17、No.3、P.P.2013−2021(1978)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0036】
本発明は、従来の光学装置に上記のような問題があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、光記録媒体の回折構造を利用して焦点誤差信号を得る装置において、対物レンズへの照射光が一様でない場合でも、焦点誤差信号へのオフセットの発生を抑圧することができる光記録再生媒体の焦点誤差検出方法を提供することを技術的課題とする。
【0037】
また、本発明は、反射もしくは透過光と回折光が重なり合う領域に配置される2分割光検知器がこの領域にあれば、焦点誤差信号にオフセットを発生させないようにすることを技術的課題とする。
【0038】
更にまた、本発明は、集光スポットの初期位置依存性も解消することができるようにすることを技術的課題とする。
【0039】
また、本発明は、複数の参照面を有するホログラム・ディスクに応用する場合に、信号光と参照光との焦点位置合わせを簡単に行うことができる光記録再生媒体の焦点誤差検出方法に用いる発光装置のビーム分割調節器を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0040】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0041】
即ち、本発明は、回転ディスク式の光記録再生媒体の内部に参照面を成形して、かつ、この参照面上には接線方向に距離sの周期間隔をもった一次元周期構造を設ける一方、
回転する前記光記録再生媒体における参照面に対し、発光装置によりレーザー光を照射して、この照射したレーザー光に対する前記周期構造からの回折光および参照面反射光、もしくは回折光および参照面透過光をファーフィールド領域内に誘導せしめ、
このファーフィールド領域内に光検知器を配置して、所定速度で回転する前記光記録再生媒体の参照面上における接線方向への距離間隔s/4に対応する4つの異なる位置において、干渉する光の光強度をそれぞれ計測することによって、これらの計測したサンプリング値に基づいて演算することにより信号を生成して、前記レーザー光の集光スポットにおける焦点誤差を検出するという技術的手段を採用したことによって、光記録再生媒体の焦点誤差検出方法を完成させた。
【0042】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、ファーフィールド領域内に設置する光検知器は少なくとも2つのエレメントからなり、この2つのエレメントからの出力の差信号および和信号を各時刻における4つのサンプル値に基づいて演算することにより信号を生成して、前記レーザー光の集光スポットにおける焦点誤差を検出するという技術的手段を採用した。
【0043】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、光記録再生媒体の参照面上における接線方向の距離間隔s/4に対応する4つの異なる位置S、S、S、S(S=0、S=s/4、S=s/2、S=3s/4と表現する)において、干渉する光の光強度をそれぞれ計測するとき、
差信号のサンプル値を、IDF(0)、IDF(s/4)、IDF(s/2)、IDF(3s/4)とする一方、
和信号のサンプル値を、ISUM(0)、ISUM(s/4)、ISUM(s/2)、ISUM(3s/4)として、
【数2】

の式により演算して、焦点誤差信号(FES)を生成するという技術的手段を採用した。
【0044】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、回転ディスク式の光記録再生媒体の内部に参照面を成形して、かつ、この参照面上には接線方向に距離sの周期間隔をもった一次元周期構造を設ける一方、
回転する前記光記録再生媒体における参照面に対し、発光装置からのレーザー光の波面の一部の位相を180度ずらして照射して、この照射したレーザー光に対する前記周期構造からの回折光および参照面反射光、もしくは回折光および参照面透過光をファーフィールド領域内に誘導せしめ、
このファーフィールド領域内に光検知器を配置して、所定速度で回転する前記光記録再生媒体の参照面上における接線方向への距離間隔s/4に対応する3つの異なる位置において、干渉する光の光強度をそれぞれ計測することによって、これらの計測したサンプリング値に基づいて演算することにより信号を生成して、前記レーザー光の集光スポットにおける焦点誤差を検出するという技術的手段を採用した。
【0045】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、ファーフィールド領域内に設置する光検知器は、2対のエレメントのペアからなる少なくとも4つのエレメントからなり、
2対のエレメントのペアのうち、一方のエレメントのペアを、180度位相がずれた部分からの回折光と、位相ずれを有していない参照面反射光もしくは参照面透過光が重なり合うファーフィールド領域に配置するとともに、
他方のエレメントのペアを、位相ずれを有していない部分からの回折光と位相ずれを有していない部分からの参照面反射光もしくは参照面透過光が重なり合うファーフィールド領域に配置し、
この4つのエレメントからの出力の差信号および和信号の各時刻における3つのサンプル値に基づいて演算することにより信号を生成して、前記レーザー光の集光スポットにおける焦点誤差を検出するという技術的手段を採用した。
【0046】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、ファーフィールド領域内に設置する光検知器は、2対のエレメントのペアからなる少なくとも4つのエレメントからなり、
2対のエレメントのペアのうち、一方のエレメントのペアを、位相ずれを有していない部分からの回折光と、180度位相がずれた部分からの参照面反射光もしくは参照面透過光が重なり合うファーフィールド領域に配置するとともに、
他方のエレメントのペアを、位相ずれを有していない部分からの回折光と位相ずれを有していない部分からの参照面反射光もしくは参照面透過光が重なり合うファーフィールド領域に配置し、
この4つのエレメントからの出力の差信号および和信号の各時刻における3つのサンプル値に基づいて演算することにより信号を生成して、前記レーザー光の集光スポットにおける焦点誤差を検出するという技術的手段を採用した。
【0047】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、光記録再生媒体の参照面上における接線方向の距離間隔s/4に対応する3つの異なる位置S、S、S(S=−s/4、S=0、S=s/4と表現する)のピット列において、干渉する光の光強度をそれぞれ計測するとき、
第1のペアについては、
差信号のサンプル値を、IDF_1(−s/4)、IDF_1(0)、IDF_1(s/4)とする一方、
和信号のサンプル値を、ISUM_1(−s/4)、ISUM_1(0)、ISUM_1(s/4)として、
かつ、第2のペアについては、
差信号のサンプル値を、IDF_2(−s/4)、IDF_2(0)、IDF_2(s/4)とする一方、
和信号のサンプル値を、ISUM_2(−s/4)、ISUM_2(0)、ISUM_2(s/4)として、
【数3】

の式により演算して、焦点誤差信号(FES)を生成するという技術的手段を採用した。
【0048】
また、本発明は、回転ディスク式の光記録再生媒体の内部に参照面を成形して、かつ、この参照面上には半径方向に距離pの周期間隔で並列するピット列を構成して、かつ、距離間隔が半径方向にp/4ずつ位置ずれしたピット列が隣り合って並列された一次元周期構造を設ける一方、
回転する前記光記録再生媒体における参照面に対し、発光装置によりレーザー光を照射して、この照射したレーザー光に対する前記周期構造からの回折光および参照面反射光、もしくは回折光および参照面透過光をファーフィールド領域内に誘導せしめ、
このファーフィールド領域内に光検知器を配置して、所定速度で回転する前記光記録再生媒体の参照面上に形成された、隣り合う各ピット列における4つの異なる位置において、干渉する光の光強度をそれぞれ計測することによって、これらの計測したサンプリング値に基づいて演算することにより信号を生成して、前記レーザー光の集光スポットにおける焦点誤差を検出するという技術的手段を採用することもできる。
【0049】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、光記録再生媒体の参照面上における半径方向の所定の距離間隔に対応する隣り合う4つの異なる位置のピット列上の位置P、P、P、P(P=0、P=p/4、P=p/2、P=3p/4と表現する)において、干渉する光の光強度をそれぞれ計測するとき、
差信号のサンプル値を、IDF(0)、IDF(p/4)、IDF(p/2)、IDF(3p/4)とする一方、
和信号のサンプル値を、ISUM(0)、ISUM(p/4)、ISUM(p/2)、ISUM(3p/4)として、
【数4】

の式により演算して、焦点誤差信号(FES)を生成するという技術的手段を採用した。
【0050】
更にまた、本発明は、回転ディスク式の光記録再生媒体の内部に参照面を成形して、かつ、この参照面上には半径方向に距離pの周期間隔で並列するピット列を構成して、かつ、距離間隔が半径方向にp/4ずつ位置ずれしたピット列が、接線方向に隣り合って並列された一次元周期構造を設ける一方、
回転する前記光記録再生媒体における参照面に対し、発光装置からのレーザー光の波面の一部の位相を180度ずらして照射して、この照射したレーザー光に対する前記周期構造からの回折光および参照面反射光、もしくは回折光および参照面透過光をファーフィールド領域内に誘導せしめ、
このファーフィールド領域内に光検知器を配置して、所定速度で回転する前記光記録再生媒体の参照面上に形成された、隣り合う各ピット列における3つの異なる位置において、干渉する光の光強度をそれぞれ計測することによって、これらの計測したサンプリング値に基づいて演算することにより信号を生成して、前記レーザー光の集光スポットにおける焦点誤差を検出するという技術的手段を採用することもできる。
【0051】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、ファーフィールド領域内に設置する光検知器は、2対のエレメントのペアからなる少なくとも4つのエレメントからなり、
2対のエレメントのペアのうち、一方のエレメントのペアを、180度位相がずれた部分からの回折光と、位相ずれを有していない参照面反射光もしくは参照面透過光が重なり合うファーフィールド領域に配置するとともに、
他方のエレメントのペアを、位相ずれを有していない部分からの回折光と位相ずれを有していない部分からの参照面反射光もしくは参照面透過光が重なり合うファーフィールド領域に配置し、
この4つのエレメントからの出力の差信号および和信号の各時刻における3つのサンプル値に基づいて演算することにより信号を生成して、前記レーザー光の集光スポットにおける焦点誤差を検出するという技術的手段を採用した。
【0052】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、ファーフィールド領域内に設置する光検知器は、2対のエレメントのペアからなる少なくとも4つのエレメントからなり、
2対のエレメントのペアのうち、一方のエレメントのペアを、位相ずれを有していない部分からの回折光と、180度位相がずれた部分からの参照面反射光もしくは参照面透過光が重なり合うファーフィールド領域に配置するとともに、
他方のエレメントのペアを、位相ずれを有していない部分からの回折光と位相ずれを有していない部分からの参照面反射光もしくは参照面透過光が重なり合うファーフィールド領域に配置し、
この4つのエレメントからの出力の差信号および和信号の各時刻における3つのサンプル値に基づいて演算することにより信号を生成して、前記レーザー光の集光スポットにおける焦点誤差を検出するという技術的手段を採用した。
【0053】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、光記録再生媒体の参照面上における3つの異なる各ピット列上の位置P、P、P(P=−p/4、P=0、P=p/4と表現する)において、干渉する光の光強度をそれぞれ計測するとき、
第1のペアについては、
差信号のサンプル値を、IDF_1(−p/4)、IDF_1(0)、IDF_1(p/4)とする一方、
和信号のサンプル値を、ISUM_1(−p/4)、ISUM_1(0)、ISUM_1(p/4)として、
かつ、第2のペアについては、
差信号のサンプル値を、IDF_2(−p/4)、IDF_2(0)、IDF_2(p/4)とする一方、
和信号のサンプル値を、ISUM_2(−p/4)、ISUM_2(0)、ISUM_2(p/4)として、
【数5】

の式により演算して、焦点誤差信号(FES)を生成するという技術的手段を採用した。
【0054】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、光記録再生媒体におけるサンプリング位置を、ディスク円周をn等分した360/n度(n≧1)毎に設けるという技術的手段を採用した。
【0055】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、光記録再生媒体が、ディスク内部に複数の参照面を有する3次元光記録再生媒体であって、発光装置による信号光ビームと参照光ビームとを、同一光軸上に集光することによってホログラムを記録するときに、各参照面における焦点誤差を検出するという技術的手段を採用した。
【0056】
また、本発明は、焦点誤差検出方法に用いるための発光装置の光照射部位に装着されるビーム分割調節器であって、
レンズ中央部の屈折度(パワー)がゼロで、かつ、その周辺部分に屈折度がゼロでない領域を設けた1以上のレンズ体を組み合わせてレンズ体群を形成し、
これら両レンズ体群が所定間隔をおいて対面して配設され、かつ、これら両レンズ体群内のレンズ間隔を増減調節可能である一方、
発光装置から照射した信号光ビームは、前記レンズ体群の屈折度がない中央部を透過する一方、発光装置から照射した参照光ビームは、前記レンズ体群の屈折度を有する周辺部分をそれぞれ透過して、
前記信号光ビームは両レンズ体群を直進的に透過する一方、参照光ビームは進行方向が複合的に屈折することにより収束または拡散されて、信号光ビームの集光位置とは深さ方向に異なる位置に集光できるようにするという技術的手段を採用したことによって、光記録再生媒体の焦点誤差検出方法に用いる発光装置のビーム分割調節器を完成させた。
【0057】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、一方の面が平面であり、かつ、他方の面には中央の凹部に円形平面部を有し、この円形平面部の外周部に傾斜凹面が形成される凹レンズ体と、
一方の面が平面であり、かつ、他方の面には中央の凸部の頭頂面に円形平面部を有し、この円形平面部の外周部に傾斜凸面が形成される凸レンズ体とを備え、
これら両レンズ体の平面側同士が所定間隔をおいて対面して配設され、かつ、これら両レンズ体の間隔を増減調節可能である一方、
発光装置から照射した信号光ビームは、前記凹レンズ体および凸レンズ体の両円形平面部を透過する一方、発光装置から照射した参照光ビームは、凹レンズ体の傾斜凹面および凸レンズ体の傾斜凸面をそれぞれ透過させるようにするという技術的手段を採用した。
【発明の効果】
【0058】
本発明は、回転ディスク式の光記録再生媒体の内部に参照面を成形して、かつ、この参照面上には接線方向に距離sの周期間隔をもった一次元周期構造を設ける一方、
回転する前記光記録再生媒体における参照面に対し、発光装置によりレーザー光を照射して、この照射したレーザー光に対する前記周期構造からの回折光および参照面反射光、もしくは回折光および参照面透過光をファーフィールド領域内に誘導せしめ、このファーフィールド領域内に光検知器を配置して、所定速度で回転する前記光記録再生媒体の参照面上における接線方向への距離間隔s/4に対応する4つの異なる位置において、干渉する光の光強度をそれぞれ計測することによって、これらの計測したサンプリング値に基づいて演算することにより信号を生成して、前記レーザー光の集光スポットにおける焦点誤差を検出することができる。
【0059】
また、本発明によれば、対物レンズに入射する照射光の強度分布が一様でない場合であっても、光記録媒体の参照面からの反射もしくは透過光と回折光が重なり合う領域の任意の位置に置かれた2分割もしくは4分割光検知器の出力を用い、これの3点もしくは4点オフセット値の積和演算によってオフセットのない焦点誤差信号を生成できるため、実用的なファーフィールド焦点誤差検出法が実現できる。
【0060】
また、本発明をデータ・ホログラムや2光子吸収を使ったピット3次元記録を行う光記録再生装置に応用すれば、複数の参照面を使って記録して、参照光ビームの集光位置を精確に制御できるため、前記ホログラムやピットの光記録媒体内での3次元座標を精確に把握することができ、かつ、深さ方向にも立体的に設定することが可能となるため、記録容量の増大が可能となる。
【0061】
また、必要に応じて、データ・ホログラムの3次元記録を行うことができる光記録再生装置において、信号光ビームと参照光ビームの集光位置を独立に制御できる光ビーム分割調節器を用いることによって、深さ方向の位置が異なる参照面を用いて、ホログラム光記録再生媒体内での座標を深さ方向にも精確に設定することが可能となるため、記録容量の増大が可能となる。
【0062】
更にまた、データ・ホログラムの3次元記録を行う光記録再生装置において、データ検出用2次元光検知器アレーを焦点誤差検出用に兼用することができるため、光記録再生装置の小型化、低廉化が可能となる。
【0063】
したがって、本発明の対物レンズへの照射光が一様でない場合でも、焦点誤差信号へのオフセットの発生を抑圧することができることから、光学装置における実用的利用価値は頗る高いものがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0064】
本発明を実施するための最良の形態を具体的に図示した図面に基づいて更に詳細に説明すると、次のとおりである。
【0065】
『第1実施形態』
本発明の第1実施形態を図1から図10に基づいて説明する。図1は本発明の焦点誤差検出方法に用いる装置を示す構成図であり、図2は本焦点誤差検出装置に使用する対物レンズに入射する光ビームの対物レンズ入射瞳上の位相分布を表わす説明図である。
【0066】
また、図3は光ディスク内に設けられた参照面を表わす概略説明図であり、図4はファーフィールド領域における、参照面反射光もしくは参照面透過光、および、参照面に刻設された回折構造による回折光ビームと、光検知器の位置関係を示した図である。
【0067】
図1において、符号31で示すものはレーザー光源、符号32で示すものはこのレーザー光源31からのレーザー光を集束する対物レンズ、符号33で示すものは光記録媒体である光ディスクである。
【0068】
また、符号34で示すものは光ディスク内に設けられた参照面、符号35で示すものは光ディスク33を回転させるスピンドルモータの回転軸、符号36で示すものは参照面34からの反射回折光の一部を後述する2分割光検知器38に向けて反射する半透過鏡である。ここでいう「半透過」とは、一方の旋光方向の円偏光成分を部分的に反射/透過することをいい、その反射/透過の比率は任意の値(例えば、反射光の比率でいうと、1%〜99.5%)をとることができる。
【0069】
また、符号37で示すものは対物レンズ32の射出瞳上での光強度分布を後述する2分割光検知器35上に結像するためのレンズ、符号38で示すものは焦点誤差信号生成用の2分割光検知器である。
【0070】
なお、図2は、対物レンズに入射するレーザー光の波面の位相が対物レンズ入射瞳面全体にわたって一定であることを示している。
【0071】
次に、図3において、符号39で示すものはレーザー光源31からレーザー光が集束された集光スポット、符号40で示すものは接線方向(前記集光スポット39が進行する方向(x方向))に参照面34上に周期距離sで刻設された一次元の周期構造である。
【0072】
なお、図4に示すファーフィールド領域とは、光ディスク33からの反射回折光ビームが集光されていない領域をいい、言い換えれば、図1での2分割光検知器38が配置された面上での集光されていない反射光ビーム41、1次回折光ビーム42、−1次回折光ビーム43の重なり状態を示しており、図4では、2分割光検知器38は、反射光ビーム41と1次回折光ビーム42が重なり合う領域である。
【0073】
本実施形態にあっては、まず、回転ディスク式の光記録再生媒体の内部に参照面を成形して、かつ、この参照面上には接線方向に距離sの周期間隔をもった一次元周期構造を設ける。
【0074】
次いで、回転する前記光記録再生媒体における参照面に対し、発光装置によりレーザー光を照射して、この照射したレーザー光に対する前記周期構造からの回折光および参照面反射光、もしくは回折光および参照面透過光をファーフィールド領域内に誘導せしめる。
【0075】
そして、このファーフィールド領域内に光検知器を配置して、所定速度で回転する前記光記録再生媒体の参照面上における接線方向への距離間隔s/4に対応する4つの異なる位置において、干渉する光の光強度をそれぞれ計測する。
【0076】
このようにして、これらの計測したサンプリング値に基づいて演算することにより信号を生成して、前記レーザー光の集光スポットにおける焦点誤差を検出するものである。
【0077】
なお、本実施形態では、光記録再生媒体におけるサンプリング位置を、ディスク円周をn等分した360/n度(n≧1)毎に設けることができる(例えば、4等分した場合には、90度(π/2rad)毎)。
【0078】
次に、本実施形態の検出方法の動作原理について説明を行う。まず、対物レンズ32に照射されるレーザー光の複素振幅分布(入射瞳関数)a(x)は、
【数6】

と表現される。
【0079】
ここでx方向は接線方向であり、簡単化のためにレーザー光の振幅、位相はx方向にのみ変化していると仮定している。また、対物レンズ33の入射瞳半径は1に正規化しており、τ(x)はx方向の振幅分布(実数)、w11は接線方向の像点横移動に対応する波面収差係数、w20は焦点ずれに対応する波面収差係数である。
【0080】
次に、Rを参照面の複素振幅反射率、R±1を参照面の±1次複素回折効率とすれば、振幅比α±1、位相差Ψ±1を使って、
【数7】

が成立する。
【0081】
図3は、接線方向(x方向)に距離sの周期で回折構造が刻設された参照面34を示しており、集光スポット39のx方向の位置によって、発生する回折光および参照面反射光との間、または回折光および参照面透過光との間に位相差が発生する。
【0082】
今、参照面のファーフィールド領域において、反射光と、+1次回折光とが重なり合う領域での光振幅分布をAD1(x’)とすれば、AD1(x’)は、式(2)を使い、
【数8】

と表現される。ここで、qは周期sを(NA/λ)で正規化した上記回折構造の周期であり、NAは対物レンズの開口数、λはレーザー光源の波長である。
【0083】
図4に示したように、中心x座標がx1、かつ、2つのエレメントの中心間隔がΔである2分割光検知器のエレメントD1,D2の出力電流ID1、ID2は、それぞれ
【数9】

【数10】

と表現される。
【0084】
ただし、2分割光検知器38のそれぞれのエレメントのx’方向の中心位置が、x−Δ/2、x+Δ/2、かつ、x’方向の幅は、y’方向の長さより十分小さく、それぞれのエレメントの受光面積は等しいとした。ここで、Kは、光検知器感度、面積に比例する定数である。また、エレメントのx’方向の幅は、2分割光検知器38が配置された面に生成される干渉縞の周期よりも十分小さい場合を考える。
【0085】
次に、対物レンズ入射瞳上でのx方向の振幅分布(実数)τ(x)が瞳中心を最大(値は1)に線形に変化している場合を考える。図5は、反射光、1次回折光の振幅分布を示しており、x’座標がエレメント間隔Δ変化すると、振幅τ(x’)はε変化する状態を示している。従って、式(4)、(5)中のτは以下のように書くことができる。
【数11】

ここで、a,b,εは定数である。式(6)を式(5)に代入すると、
【数12】

【数13】

と書けるので、定数項を以下のようにまとめることができる。ただし、εの二乗項は無視している。
【数14】

【0086】
そうすると、式(7)、(8)は、
【数15】

のように簡単化される。
【0087】
最後に、2つのエレメントの差出力IDFと和出力ISUMを、エレメント間隔Δが十分小さく、かつ、焦点ずれ量も十分小さい(W20<<1)場合について計算する。
【数16】

が成立するので、IDF、ISUMは、それぞれ、
【数17】

【数18】

と書くことができる。
【0088】
そして、式(12)を下記の式(13)を用いて整理すると、
【数19】

となり、
【数20】

が得られる。なお、δは、x方向への集光スポットの移動を表現する正規化量であり、2πが一周期sに対応する。
【0089】
続いて、焦点誤差信号FESを求める。そのために、まず、δを、−π/2、0、π/2と変化させたとき(すなわち、−s/4(3s/4)、0、s/4、s/2)の、IDF、ISUMをサンプリングする。
【0090】
そして、これら6つの量の積和演算することによって、式(15)に示すような、オフセット
【数21】

を含んだ焦点誤差信号FESが得られる。
【数22】

【0091】
上記オフセット成分は、対物レンズに照射される光強度分布が一様でないために発生するものであり、成分Kに比例することがその証左である。
【0092】
同様に、δをπ/2、π、−π/2=3π/2と変化させたときの、IDF,ISUMをサンプリングし、式(15)のFESと同様に、これら6つの量の積和演算を行い、その結果を以下のFESとする。
【数23】

【0093】
式(16)から明らかなように、FESのオフセット成分の符号はFESの逆である。よって、この2つの量を加えることにより、対物レンズに照射される光強度分布に1次の非一様性がある場合でもオフセットの発生しない以下の焦点誤差信号FES(式(17))を得ることができる。
【数24】

【0094】
この際、焦点ずれの波面収差量W20は焦点ずれに比例し、焦点前後でその符号が反転するので、適切なフィードバック回路を通して対物レンズアクチュエータを駆動すれば、光ディスクの回転に伴う情報記録面の上下動に対し、集光スポットをその情報記録面に追従させることができる。
【0095】
式(17)の導出では、図5に示したように対物レンズに照射される光強度分布がxの1次式で表現されると仮定したが、図6に示すような形で強度分布に変化がある場合にでも、FESにはオフセットが生じないことを以下に示す。
【数25】

ここで、c,d,ε,εは定数である。以下では、ε,εの二乗項は無視すると、
【数26】

と書ける。
【0096】
これらを用いると、2つのエレメントの出力電流ID1、ID2
【数27】

となり、2つのエレメントの差出力IDFと和出力ISUMは、焦点ずれがない(W20=0)とき、
【数28】

となる。ここで、定数K、K、Kは、それぞれ
【数29】

で与えられる。
【0097】
これらを用いて、δを−π/2、0、π/2、πと変化させたときの、IDF、ISUMの8つの値を求める。
【数30】

【0098】
最後に、式(23)からW20=0(焦点ずれのない)時の焦点誤差信号FES=FES+FESを求めると、次式(24)に示すように、オフセットが抑圧されゼロになることがわかる。
【数31】

【0099】
以上のように、本実施形態によれば、サンプリング箇所を4箇所(または3箇所)という少ない個数であっても、高精度な誤差検出を行うことができる。
【0100】
そして、本実施形態の検出方法の精度について、数値解析ソフト(matlab)でシミュレーションした結果について述べる。図7は、半導体レーザーを用いた典型的な光学系(半導体レーザー水平方向放射角10.5度、垂直方向放射角21.3度、コリメータレンズ開口数0.122、対物レンズ開口数0.53)において、いままで述べた方法によって焦点誤差信号を計算した一例である。
【0101】
このシミュレーションによれば、2分割光検知器は対物レンズ瞳内の中心から斜め方向にずれた位置に配置しているが、その焦点誤差信号にオフセットは発生していないことが確認できる。
【0102】
『第2実施形態』
次に、本発明の第2実施形態を図8および図9に基づいて説明する。本実施形態では、接線方向に90度ずつ位相の異なる(δが−π/2、0、π/2に対応する)3つの位置での2組の2分割光検知器71の出力に基づいて焦点誤差信号を得ることによって、誤差を検出するものである。
【0103】
本実施形態では、図8に示すように、対物レンズに照射するレーザー光の一部(図8では1/4の領域)に180度位相がずれた領域を設ける必要がある。これにより、図9に示した2分割光検知器の2つの組の一方からはFES_1、もう一方からはFES_2に相当する信号を発生することができ、これら2つの信号の和がオフセットの抑圧された焦点誤差信号FESとなる。
【0104】
これは照射光ビームの180度位相のずれた部分の反射光ビームと、照射光ビームの位相ずれのない部分から生じた1次回折光ビームが干渉するため、前出の式(3)で示される光振幅分布AD1の位相が180度進み、ひいては、式(4)、(5)で示された出力電流ID1、ID2の位相も180度進め、最終的に、IDF、ISUMの位相も180度進めるという事実に基づいている。
【0105】
本実施形態では、光記録再生媒体の参照面上における接線方向の距離間隔s/4に対応する3つの異なる位置S、S、S(S=−s/4、S=0、S=s/4と表現する)のピット列において、干渉する光の光強度をそれぞれ計測するとき、
第1のペアについては、
差信号のサンプル値を、IDF_1(−s/4)、IDF_1(0)、IDF_1(s/4)とする一方、
和信号のサンプル値を、ISUM_1(−s/4)、ISUM_1(0)、ISUM_1(s/4)として、
かつ、第2のペアについては、
差信号のサンプル値を、IDF_2(−s/4)、IDF_2(0)、IDF_2(s/4)とする一方、
和信号のサンプル値を、ISUM_2(−s/4)、ISUM_2(0)、ISUM_2(s/4)として、
【数32】

の式により演算して、焦点誤差信号(FES)を生成することができ、焦点ずれのない時の焦点誤差信号FESには、オフセットが発生しないことになる。
【0106】
『第3実施形態』
次に、本発明の第3実施形態を図10および図11に基づいて説明する。本実施形態では、半径方向に90度ずつ位相の異なる(隣り合うピット列同士の横方向にずれているもの、すなわち、δが−π/2、0、π/2、πである)4つの位置での2分割光検知器38の出力に基づいて焦点誤差信号を得ることによって、誤差を検出するものである。
【0107】
図10は、光記録再生媒体の参照面上における半径方向の所定の距離間隔に対応する隣り合う4つの異なる位置のピット列上の位置P、P、P、P(P=0、P=p/4、P=p/2、P=3p/4と表現する)における集光スポット39を示している。図10に示された4つの集光スポット39は、左側から、δが−π/2(=3π/2)、0、π/2、πにそれぞれ対応しており、それぞれの位置において、IDF、ISUMを生成する。
【0108】
図11は、本実施形態におけるファーフィールド領域での、参照面反射光と回折光、および、2分割光検知器38の位置関係を示している。なお、これは、前記第1実施形態における図4に示した位置関係を90度回転したものに相当する。
【0109】
本実施形態では、光記録再生媒体の参照面上における半径方向の所定の距離間隔に対応する隣り合う4つの異なる位置のピット列上の位置P、P、P、P(P=0、P=p/4、P=p/2、P=3p/4と表現する)において、干渉する光の光強度をそれぞれ計測するとき、
差信号のサンプル値を、IDF(0)、IDF(p/4)、IDF(p/2)、IDF(3p/4)とする一方、
和信号のサンプル値を、ISUM(0)、ISUM(p/4)、ISUM(p/2)、ISUM(3p/4)として、
【数33】

の式により演算して、焦点誤差信号(FES)を生成する。
【0110】
『第4実施形態』
次に、本発明の第4実施形態を図12に基づいて説明する。本実施形態では、対物レンズに照射するレーザー光の一部(1/4の領域)に180度位相がずれた領域を設け、半径方向に90度ずつ位相の異なる(δが−π/2、0、π/2に対応する)3つの位置での2組の2分割光検知器71の出力に基づいて焦点誤差信号を得ることによって、誤差を検出するものである。
【0111】
これにより、図12に示した2分割光検知器の2つの組の一方からはFES_1、もう一方からは、FES_2に相当する信号を発生することができ、実施例2と同様に、これら2つの信号の和がオフセットの抑圧された焦点誤差信号FESとなる。
【0112】
即ち、本実施形態における光記録再生媒体の参照面上における3つの異なる各ピット列上の位置P、P、P(P=−p/4、P=0、P=p/4と表現する)において、干渉する光の光強度をそれぞれ計測するとき、
第1のペアについては、
差信号のサンプル値を、IDF_1(−p/4)、IDF_1(0)、IDF_1(p/4)とする一方、
和信号のサンプル値を、ISUM_1(−p/4)、ISUM_1(0)、ISUM_1(p/4)として、
かつ、第2のペアについては、
差信号のサンプル値を、IDF_2(−p/4)、IDF_2(0)、IDF_2(p/4)とする一方、
和信号のサンプル値を、ISUM_2(−p/4)、ISUM_2(0)、ISUM_2(p/4)として、焦点誤差信号FESは、
【数34】

で与えられることになる。
【0113】
『発光装置のビーム分割調節器』
次に、本発明の実施変形例を図13から図17に基づいて説明する。図13は、本発明の焦点誤差検出方法に用いる装置を発展させて、ホログラム・データを光ディスクに記録再生するための装置の概略図であり、ホログラムの記録に必要な同一光源から射出したレーザービームを信号光ビーム、参照光ビームに分割し、これらのホログラム・ディスク内での焦点位置を精確、かつ、独立に制御しようとする発光装置のビーム分割調節器を示している。
【0114】
図13において、符号51で示すものはレーザー光源からの光ビームを2次元空間光変調器で変調した信号光ビーム、符号52で示すものは同じレーザー光源からの光ビームであってホログラム記録、再生に使われる参照光ビーム、符号53で示すものは光軸が同軸上になった信号光ビーム51と参照光ビーム52それぞれに独立した焦点ずれ波面収差を与え、2つの光ビームの集光位置を光軸方向(すなわち、図13でz方向)にずらせることができる凹レンズ体53aと凸レンズ体53bとから構成されるビーム分割調節器である。
【0115】
また、符号54で示すものはホログラム・ディスク57への信号光ビームおよび参照光ビームと、ホログラム・ディスクから戻ってくる信号光ビームとを2次元センサーアレー60を分離するビームスプリッタ、符号55で示すものは信号光ビーム51、参照光ビーム52をホログラム・ディスク57内に集光させる対物レンズ、符号56で示すものは対物レンズアクチュエータ、符号57で示すものは、2次元に変調された信号光ビームをホログラム記録するためのホログラム・ディスクである。
【0116】
更に、符号58・59で示すものは信号光ビーム51、参照光ビーム52のz軸方向(ディスク深さ方向)の集束位置基準を与える参照面であり、符号60で示すものはホログラム・ディスクによって再生された信号光ビームを受光して2次元データを出力するとともに、信号光ビームと参照光ビームとの焦点誤差信号を発生するのに使用する2次元センサーアレーである。
【0117】
また、符号61で示すものはサーボ用レーザーユニット、符号62で示すものはサーボ用レーザーユニット62から出射するサーボ用レーザービーム、符号63で示すものはサーボ用レーザービームの焦点基準となるサーボ基準面であり、前述の対物レンズ55によって集束されるサーボ用レーザービーム62はこのサーボ基準面61に対して焦点合わせが行われる。
【0118】
本実施形態における焦点誤差検出方法に用いるための発光装置の光照射部位に装着されるビーム分割調節器の構成は、まず、レンズ中央部の屈折度(パワー)がゼロで、かつ、その周辺部分に屈折度がゼロでない領域を設けた1枚以上のレンズ体を組み合わせてレンズ体群を形成する。そして、これら両レンズ体群が所定間隔をおいて対面して配設して、かつ、これら両レンズ体群内のレンズ間隔を増減調節可能にする。
【0119】
そして、発光装置から照射した信号光ビームは、前記レンズ体群の屈折度がない中央部を透過する一方、発光装置から照射した参照光ビームは、前記レンズ体群の屈折度を有する周辺部分をそれぞれ透過する。
【0120】
本実施形態では、一方の面が平面であり、かつ、他方の面には中央の凹部に円形平面部を有し、この円形平面部の外周部に傾斜凹面が形成される凹レンズ体と、一方の面が平面であり、かつ、他方の面には中央の凸部の頭頂面に円形平面部を有し、この円形平面部の外周部に傾斜凸面が形成される凸レンズ体とを備えている。
【0121】
なお、収差低減のために、上記凹レンズ体、および、凸レンズ体は、1個以上のレンズ体を組み合わせたレンズ体群で構成されてもよい。さらにまた、前群の凹レンズ体は凸レンズ体に置き換えることもできるが、この場合はビーム分割調節器の全長が長いものとなる。
【0122】
そして、これら両レンズ体の平面側同士が所定間隔をおいて対面して配設され、かつ、これら両レンズ体の間隔を増減調節可能である。
【0123】
こうすることにより、発光装置から照射した信号光ビームは、前記凹レンズ体および凸レンズ体の両円形平面部を透過する一方、発光装置から照射した参照光ビームは、凹レンズ体の傾斜凹面および凸レンズ体の傾斜凸面をそれぞれ透過する。
【0124】
すると、前記信号光ビームは両レンズを直進的に透過する一方、参照光ビームは進行方向が複合的に屈折することにより収束または拡散されて、信号光ビームの集光位置とは深さ方向に異なる位置に集光することができる。
【0125】
次に、本実施例における信号光ビームおよび参照光ビームの焦点位置合わせ、および、ホログラム・ディスクへの記録再生について、図14から図17を参照しながら、動作の説明を行う。
【0126】
図14は、複数の参照面を有するホログラム・ディスクの上面図、断面図および参照面の拡大図を含む本実施変形例の概略図である。また、図15は、ビーム分割調節器の構造および動作を示す説明図であり、図16は、信号光ビームが参照面の1次元回折構造によって反射回折されたとき、ファーフィールド領域における反射光ビームと回折光ビームとの重なり状況を示している。
【0127】
図17は、参照光ビームに関しても、これが参照面の1次元回折構造によって反射回折されたときに、ファーフィールド領域における反射光ビームと回折光ビームとの重なり状況を示している。
【0128】
最初に、図17に示された装置において、信号光ビーム51を参照面58に対して焦点合わせする場合について説明を行う。信号光ビーム51の焦点合わせの段階では、信号光ビーム51は、空間光変調器などによって変調されていないこと、参照光ビーム52は照射しないことに注意する。
【0129】
そして、ビーム分割調節器53およびビームスプリッタ54を透過した信号光ビーム51は対物レンズ55によってホログラム・ディスク57内の参照面58上に照射される。
【0130】
この際、図14に示されたように、参照面58上には接線方向に周期距離がsである1次元回折構造が刻設されているので、図16に示すように、反射光ビーム41とともに、1次回折光ビーム42および−1次回折光ビーム43が現れる。
【0131】
また、2次元センサーアレー60は、ファーフィールド領域に配置されているので、反射光ビーム41と1次回折光ビーム42が重なり合う範囲に入っている、2次元センサーアレー60の適切なエレメントを組み合わせることによって、前述の2分割光検知器38と同様な働きをさせることができる。そして、2次元センサーアレー60中の適切なエレメントの出力を使い、式(15)(16)(17)に従って、信号光ビームに対する焦点誤差信号を生成することができる。
【0132】
この焦点誤差信号は、図示しないサーボアンプによって、対物レンズアクチュエータ56を駆動し、信号光ビーム51の集光位置を参照面58の深さに位置させる。この場合、サーボビーム60の集光位置がサーボ基準面63からずれるので、そのずれはサーボ用レーザーユニット61に内蔵された焦点ずれ補正機構によって補正される。
【0133】
次いで、参照光ビーム52に関しては、ビーム分割調節器53の凹レンズ体53aおよび凸レンズ体53bの傾斜面を透過することによって、信号光ビーム51に対する相対的な焦点ずれ成分を与えられることにより、信号光ビーム51の参照面58とは異なる深さに配置された参照面59に対する焦点合わせが行われる。
【0134】
また、参照光ビーム52の焦点合わせの段階では、参照光ビーム52は、空間光変調器などによって変調されていないこと、信号光ビーム51は照射しないことに注意する。
【0135】
そして、ビーム分割調節器53、ビームスプリッタ54を透過した参照光ビーム52は対物レンズ55によってホログラム・ディスク57内の参照面59上に照射される。
【0136】
この際、図14に示されたように参照面58上には接線方向に周期がsである1次元回折構造が刻まれているので、図16に示すように、反射光ビーム41とともに、1次回折光ビーム42、−1次回折光ビーム43が現れる。
【0137】
また、2次元センサーアレー60はファーフィールドに配置されているので、反射光ビーム41と1次回折光ビーム42が重なり合う範囲に入っている、2次元センサーアレー60の適切なエレメントを組み合わせることによって、前述の2分割光検知器38と同様な働きをさせることができる。
【0138】
そして、2次元センサーアレー60中の適切なエレメントの出力を使い、式(15)(16)(17)に従って、信号光ビームに対する焦点誤差信号を生成することができる。
【0139】
この焦点誤差信号は、図15に示されたビーム分割調節器53中のアクチュエータを駆動して、参照光ビーム52に信号光ビーム51に対する相対的な焦点ずれを与え、参照光ビーム52を参照面59の深さに位置させることになる。
【0140】
以上に説明した手順によって、信号光ビーム51、参照光ビーム52、サーボビーム62の焦点合わせが実施され、ホログラムの記録再生中は、サーボ用レーザーユニット61によって対物レンズ55の焦点制御が連続的に行われることになり、ホログラム・ディスクの回転による上記3つのビームの焦点位置ずれは抑圧される。
【0141】
ここで、ビーム分割調節器53について、図15に示した断面図に基づいて説明する。基本的には正レンズ群(図15では1枚の凸レンズ体53b)と負レンズ群(図15では1枚の凹レンズ体53a)を組み合わせ、これらのレンズ間隔を変化可能としたものであり、基準間隔Dでは全体の屈折度(パワー、ディオプター、ディオプトリ等ともいう:焦点距離の逆数)はゼロであるアナモルフィック系である。
【0142】
ただし、図15からもわかるように、凸レンズ体と凹レンズ体の信号光ビームが通過する部分は平面、すなわち、ビーム分割調節器53の屈折度はレンズ間隔Dの大きさにかわらずゼロとなり、レンズ間隔Dを調整することにより参照光ビーム52のみに正負の屈折度を与えることができる。
【0143】
これにより、信号光ビーム51の集束位置を基準にして参照光ビーム52の集束位置をホログラムディスク57の深さ方向に調整可能とするものである。
【0144】
図15において、まず、(a)は、レンズ間隔が基準間隔Dの場合であり、信号光ビームと参照光ビームは分離されるが、双方ともに焦点ずれ波面収差は付与されない。
【0145】
また、(b)は、レンズ間隔を基準間隔Dより小さく設定した場合であり、参照光ビームには発散する波面収差成分が付与される。
【0146】
さらに、(c)は、(b)とは逆にレンズ間隔を基準間隔Dより大きく設定した場合であり、参照光ビームには集束する波面収差成分が付与される。いずれの場合においても、信号光ビームには何ら位相変化が加わっていない。このようにして、参照光ビームは進行方向を複合的に屈折させることにより収束または発散されて、信号光ビームの焦点位置対して相対的に、参照光ビームの焦点位置はディスク深さ方向に調節できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本発明の第1実施形態の焦点誤差検出方法に用いる装置を示す構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に使用する対物レンズに入射する光ビームの対物レンズ入射瞳上の位相分布を表わす説明図である。
【図3】本発明の第1実施形態の光ディスク内に設けられた参照面上に刻設された回折構造を表わす概略説明図である。
【図4】本発明の第1実施形態のファーフィールド領域における、参照面反射光もしくは参照面透過光、および、参照面に刻設された回折構造による回折光ビームと、光検知器の位置関係を示した図である。
【図5】本発明の第1実施形態の反射光、1次回折光のある振幅分布を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態の反射光、1次回折光の別の振幅分布を示す図である。
【図7】本発明の第1実施形態の半導体レーザーを用いた光学系において、2分割光検知器の位置、焦点誤差信号を計算した一例を表わす概略図である。
【図8】本発明の第2実施形態に使用する対物レンズに入射する光ビームの対物レンズ入射瞳上の位相分布を表わす説明図である。
【図9】本発明の第2実施形態のファーフィールド領域における、参照面反射光もしくは参照面透過光、および、参照面に刻設された回折構造による回折光ビームと、光検知器の位置関係を示した図である。
【図10】本発明の第3実施形態の光記録再生媒体の参照面上における半径方向の所定の距離間隔に対応する隣り合う4つの異なる位置のピット列上の位置における集光スポットを示す概略図である。
【図11】本発明の第3実施形態におけるファーフィールド領域での、参照面反射光と回折光、および、2分割光検知器の位置関係を示した図である。
【図12】本発明の第4実施形態におけるファーフィールド領域での、参照面反射光と回折光、および、2分割光検知器の位置関係を示した図である。
【図13】本発明の実施形態の焦点誤差検出方法を実装したホログラム・データを記録再生するための装置の概略図である。
【図14】本発明の実施形態におけるホログラム・ディスクの上面図、断面図および参照面の拡大図を含む概略図である。
【図15】本発明の実施形態のビーム分割調節器の構造および動作を示す説明図である。
【図16】本発明の実施形態のファーフィールド領域における、信号光ビームでの、反射光ビームと回折光ビームとの重なり状況を表わす概略図である。
【図17】本発明の実施形態のファーフィールド領域における、参照光ビームでの、反射光ビームと回折光ビームとの重なり状況を表わす概略図である。
【図18】従来の焦点誤差信号生成装置を表わす概略図である。
【図19】従来の焦点誤差信号生成装置の情報記録面のファーフィールド領域における2分割光検知器と情報記録面からの反射回折光の位置関係を表わす概略図である。
【図20】従来の焦点誤差信号生成回路の全体構成を表わす概略図である。
【図21】従来の焦点誤差信号生成装置を表わす概略図である。
【図22】従来の焦点誤差信号生成装置の情報記録面のファーフィールド領域における2分割光検知器と情報記録面からの反射回折光の位置関係を表わす概略図である。
【図23】従来の焦点誤差信号生成装置において、3つのレーザー光源によってそれぞれ形成される3つの光スポットと情報トラックの位置関係を表わす概略図である。
【図24】従来の焦点誤差信号生成回路の構成と2分割光検知器との接続を示した概略図である。
【図25】従来の半導体レーザー放射角度に対する強度分布を表わすグラフである。
【図26】従来の焦点誤差信号生成装置を焦点誤差検出装置で得られた焦点誤差信号の一例を表わす概略図である。
【符号の説明】
【0148】
1 レーザー光源
2 対物レンズ
3 光ディスク
4 情報記録面
5 2分割光検知器
6 半透明鏡
7 エレメント
8 エレメント
9 減算器
10 加算器
11 乗算器
12 低域通過フィルタ
13 レーザー光源
14 レーザー光源
15 レーザー光源
16 光スポット
17 光スポット
18 光スポット
19 情報トラック
20 制御回路
21 サンプルホールド回路
22 サンプルホールド回路
23 サンプルホールド回路
24 サンプルホールド回路
25 サンプルホールド回路
26 サンプルホールド回路
31 レーザー光源
32 対物レンズ
33 光ディスク
34 参照面
35 スピンドルモータ回転軸
36 半透明鏡
37 レンズ
38 2分割光検知器
39 集光スポット
40 周期構造
41 反射光ビーム
42 1次回折光ビーム
71 2分割光検知器
51 信号光ビーム
52 参照光ビーム
53 ビーム分割調節器
53a 凹レンズ体
53b 凸レンズ体
54 ビームスプリッタ
55 対物レンズ
56 対物レンズアクチュエータ
57 ホログラム・ディスク
58 参照面
59 参照面
60 2次元センサーアレー
61 サーボ用レーザーユニット
62 サーボ用レーザービーム
63 サーボ基準面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転ディスク式の光記録再生媒体の内部に参照面を成形して、かつ、この参照面上には接線方向に距離sの周期間隔をもった一次元周期構造を設ける一方、
回転する前記光記録再生媒体における参照面に対し、発光装置によりレーザー光を照射して、この照射したレーザー光に対する前記周期構造からの回折光および参照面反射光、もしくは回折光および参照面透過光をファーフィールド領域内に誘導せしめ、
このファーフィールド領域内に光検知器を配置して、所定速度で回転する前記光記録再生媒体の参照面上における接線方向への距離間隔s/4に対応する4つの異なる位置において、干渉する光の光強度をそれぞれ計測することによって、これらの計測したサンプリング値に基づいて演算することにより信号を生成して、前記レーザー光の集光スポットにおける焦点誤差を検出することを特徴とする光記録再生媒体の焦点誤差検出方法。
【請求項2】
ファーフィールド領域内に設置する光検知器は少なくとも2つのエレメントからなり、この2つのエレメントからの出力の差信号および和信号を各時刻における4つのサンプル値に基づいて演算することにより信号を生成して、前記レーザー光の集光スポットにおける焦点誤差を検出することを特徴とする請求項1記載の光記録再生媒体の焦点誤差検出方法。
【請求項3】
光記録再生媒体の参照面上における接線方向の距離間隔s/4に対応する4つの異なる位置S、S、S、S(S=0、S=s/4、S=s/2、S=3s/4と表現する)において、干渉する光の光強度をそれぞれ計測するとき、
差信号のサンプル値を、IDF(0)、IDF(s/4)、IDF(s/2)、IDF(3s/4)とする一方、
和信号のサンプル値を、ISUM(0)、ISUM(s/4)、ISUM(s/2)、ISUM(3s/4)として、
【数1】

の式により演算して、焦点誤差信号(FES)を生成することを特徴とする請求項1または2記載の光記録再生媒体の焦点誤差検出方法。
【請求項4】
回転ディスク式の光記録再生媒体の内部に参照面を成形して、かつ、この参照面上には接線方向に距離sの周期間隔をもった一次元周期構造を設ける一方、
回転する前記光記録再生媒体における参照面に対し、発光装置によりレーザー光の波面の一部の位相を180度ずらして照射して、この照射したレーザー光に対する前記周期構造からの回折光および参照面反射光、もしくは回折光および参照面透過光をファーフィールド領域内に誘導せしめ、
このファーフィールド領域内に光検知器を配置して、所定速度で回転する前記光記録再生媒体の参照面上における接線方向への距離間隔s/4に対応する3つの異なる位置において、干渉する光の光強度をそれぞれ計測することによって、これらの計測したサンプリング値に基づいて演算することにより信号を生成して、前記レーザー光の集光スポットにおける焦点誤差を検出することを特徴とする光記録再生媒体の焦点誤差検出方法。
【請求項5】
ファーフィールド領域内に設置する光検知器は、2対のエレメントのペアからなる少なくとも4つのエレメントからなり、
2対のエレメントのペアのうち、一方のエレメントのペアを、180度位相がずれた部分からの回折光と、位相ずれを有していない参照面反射光もしくは参照面透過光が重なり合うファーフィールド領域に配置するとともに、
他方のエレメントのペアを、位相ずれを有していない部分からの回折光と位相ずれを有していない部分からの参照面反射光もしくは参照面透過光が重なり合うファーフィールド領域に配置し、
この4つのエレメントからの出力の差信号および和信号の各時刻における3つのサンプル値に基づいて演算することにより信号を生成して、前記レーザー光の集光スポットにおける焦点誤差を検出することを特徴とする請求項4記載の光記録再生装置の焦点誤差検出方法。
【請求項6】
ファーフィールド領域内に設置する光検知器は、2対のエレメントのペアからなる少なくとも4つのエレメントからなり、
2対のエレメントのペアのうち、一方のエレメントのペアを、位相ずれを有していない部分からの回折光と、180度位相がずれた部分からの参照面反射光もしくは参照面透過光が重なり合うファーフィールド領域に配置するとともに、
他方のエレメントのペアを、位相ずれを有していない部分からの回折光と位相ずれを有していない部分からの参照面反射光もしくは参照面透過光が重なり合うファーフィールド領域に配置し、
この4つのエレメントからの出力の差信号および和信号の各時刻における3つのサンプル値に基づいて演算することにより信号を生成して、前記レーザー光の集光スポットにおける焦点誤差を検出することを特徴とする請求項4記載の光記録再生装置の焦点誤差検出方法。
【請求項7】
光記録再生媒体の参照面上における接線方向の距離間隔s/4に対応する3つの異なる位置S、S、S(S=−s/4、S=0、S=s/4と表現する)のピット列において、干渉する光の光強度をそれぞれ計測するとき、
第1のペアについては、
差信号のサンプル値を、IDF_1(−s/4)、IDF_1(0)、IDF_1(s/4)とする一方、
和信号のサンプル値を、ISUM_1(−s/4)、ISUM_1(0)、ISUM_1(s/4)として、
かつ、第2のペアについては、
差信号のサンプル値を、IDF_2(−s/4)、IDF_2(0)、IDF_2(s/4)とする一方、
和信号のサンプル値を、ISUM_2(−s/4)、ISUM_2(0)、ISUM_2(s/4)として、
【数2】

の式により演算して、焦点誤差信号(FES)を生成することを特徴とする請求項4〜6の何れか一つに記載の光記録再生媒体の焦点誤差検出方法。
【請求項8】
回転ディスク式の光記録再生媒体の内部に参照面を成形して、かつ、この参照面上には半径方向に距離pの周期間隔で並列するピット列を構成して、かつ、距離間隔が半径方向にp/4ずつ位置ずれしたピット列が隣り合って並列された一次元周期構造を設ける一方、
回転する前記光記録再生媒体における参照面に対し、発光装置によりレーザー光を照射して、この照射したレーザー光に対する前記周期構造からの回折光および参照面反射光、もしくは回折光および参照面透過光をファーフィールド領域内に誘導せしめ、
このファーフィールド領域内に光検知器を配置して、所定速度で回転する前記光記録再生媒体の参照面上に形成された、隣り合う各ピット列における4つの異なる位置において、干渉する光の光強度をそれぞれ計測することによって、これらの計測したサンプリング値に基づいて演算することにより信号を生成して、前記レーザー光の集光スポットにおける焦点誤差を検出することを特徴とする光記録再生媒体の焦点誤差検出方法。
【請求項9】
光記録再生媒体の参照面上における半径方向の所定の距離間隔に対応する隣り合う4つの異なる位置のピット列上の位置P、P、P、P(P=0、P=p/4、P=p/2、P=3p/4と表現する)において、干渉する光の光強度をそれぞれ計測するとき、
差信号のサンプル値を、IDF(0)、IDF(p/4)、IDF(p/2)、IDF(3p/4)とする一方、
和信号のサンプル値を、ISUM(0)、ISUM(p/4)、ISUM(p/2)、ISUM(3p/4)として、
【数3】

の式により演算して、焦点誤差信号(FES)を生成することを特徴とする請求項8記載の光記録再生媒体の焦点誤差検出方法。
【請求項10】
回転ディスク式の光記録再生媒体の内部に参照面を成形して、かつ、この参照面上には半径方向に距離pの周期間隔で並列するピット列を構成して、かつ、距離間隔が半径方向にp/4ずつ位置ずれしたピット列が、接線方向に隣り合って並列された一次元周期構造を設ける一方、
回転する前記光記録再生媒体における参照面に対し、発光装置によりレーザー光の波面の一部の位相を180度ずらして照射して、この照射したレーザー光に対する前記周期構造からの回折光および参照面反射光、もしくは回折光および参照面透過光をファーフィールド領域内に誘導せしめ、
このファーフィールド領域内に光検知器を配置して、所定速度で回転する前記光記録再生媒体の参照面上に形成された、隣り合う各ピット列における3つの異なる位置において、干渉する光の光強度をそれぞれ計測することによって、これらの計測したサンプリング値に基づいて演算することにより信号を生成して、前記レーザー光の集光スポットにおける焦点誤差を検出することを特徴とする光記録再生媒体の焦点誤差検出方法。
【請求項11】
ファーフィールド領域内に設置する光検知器は、2対のエレメントのペアからなる少なくとも4つのエレメントからなり、
2対のエレメントのペアのうち、一方のエレメントのペアを、180度位相がずれた部分からの回折光と、位相ずれを有していない参照面反射光もしくは参照面透過光が重なり合うファーフィールド領域に配置するとともに、
他方のエレメントのペアを、位相ずれを有していない部分からの回折光と位相ずれを有していない部分からの参照面反射光もしくは参照面透過光が重なり合うファーフィールド領域に配置し、
この4つのエレメントからの出力の差信号および和信号の各時刻における3つのサンプル値に基づいて演算することにより信号を生成して、前記レーザー光の集光スポットにおける焦点誤差を検出することを特徴とする請求項10記載の光記録再生装置の焦点誤差検出方法。
【請求項12】
ファーフィールド領域内に設置する光検知器は、2対のエレメントのペアからなる少なくとも4つのエレメントからなり、
2対のエレメントのペアのうち、一方のエレメントのペアを、位相ずれを有していない部分からの回折光と、180度位相がずれた部分からの参照面反射光もしくは参照面透過光が重なり合うファーフィールド領域に配置するとともに、
他方のエレメントのペアを、位相ずれを有していない部分からの回折光と位相ずれを有していない部分からの参照面反射光もしくは参照面透過光が重なり合うファーフィールド領域に配置し、
この4つのエレメントからの出力の差信号および和信号の各時刻における3つのサンプル値に基づいて演算することにより信号を生成して、前記レーザー光の集光スポットにおける焦点誤差を検出することを特徴とする請求項10記載の光記録再生装置の焦点誤差検出方法。
【請求項13】
光記録再生媒体の参照面上における3つの異なる各ピット列上の位置P、P、P(P=−p/4、P=0、P=p/4と表現する)において、干渉する光の光強度をそれぞれ計測するとき、
第1のペアについては、
差信号のサンプル値を、IDF_1(−p/4)、IDF_1(0)、IDF_1(p/4)とする一方、
和信号のサンプル値を、ISUM_1(−p/4)、ISUM_1(0)、ISUM_1(p/4)として、
かつ、第2のペアについては、
差信号のサンプル値を、IDF_2(−p/4)、IDF_2(0)、IDF_2(p/4)とする一方、
和信号のサンプル値を、ISUM_2(−p/4)、ISUM_2(0)、ISUM_2(p/4)として、
【数4】

の式により演算して、焦点誤差信号(FES)を生成することを特徴とする請求項10〜12の何れか一つに記載の光記録再生媒体の焦点誤差検出方法。
【請求項14】
光記録再生媒体におけるサンプリング位置が、ディスク円周をn等分した360/n度(n≧1)毎に設けられていることを特徴とする請求項1〜13の何れか一つに記載の光記録再生媒体の焦点誤差検出方法。
【請求項15】
光記録再生媒体が、ディスク内部に複数の参照面を有する3次元光記録再生媒体であって、発光装置による信号光ビームと参照光ビームとを、同一光軸上に集光することによってホログラムを記録するときに、各参照面における焦点誤差を検出することを特徴とする請求項1〜14の何れか一つに記載の光記録再生媒体の焦点誤差検出方法。
【請求項16】
焦点誤差検出方法に用いるための発光装置の光照射部位に装着されるビーム分割調節器であって、
レンズ中央部の屈折度(パワー)がゼロで、かつ、その周辺部分に屈折度がゼロでない領域を設けた1枚以上のレンズ体を組み合わせてレンズ体群を形成し、
これら両レンズ体群が所定間隔をおいて対面して配設され、かつ、これら両レンズ体群内のレンズ間隔を増減調節可能である一方、
発光装置から照射した信号光ビームは、前記レンズ体群の屈折度がない中央部を透過する一方、発光装置から照射した参照光ビームは、前記レンズ体群の屈折度を有する周辺部分をそれぞれ透過して、
前記信号光ビームは両レンズ体群を直進的に透過する一方、参照光ビームは進行方向が複合的に屈折することにより収束または拡散されて、信号光ビームの集光位置とは深さ方向に異なる位置に集光できることを特徴とする光記録再生媒体の焦点誤差検出方法に用いる発光装置のビーム分割調節器。
【請求項17】
一方の面が平面であり、かつ、他方の面には中央の凹部に円形平面部を有し、この円形平面部の外周部に傾斜凹面が形成される凹レンズ体と、
一方の面が平面であり、かつ、他方の面には中央の凸部の頭頂面に円形平面部を有し、この円形平面部の外周部に傾斜凸面が形成される凸レンズ体とを備え、
これら両レンズ体の平面側同士が所定間隔をおいて対面して配設され、かつ、これら両レンズ体の間隔を増減調節可能である一方、
発光装置から照射した信号光ビームは、前記凹レンズ体および凸レンズ体の両円形平面部を透過する一方、発光装置から照射した参照光ビームは、凹レンズ体の傾斜凹面および凸レンズ体の傾斜凸面をそれぞれ透過することを特徴とする請求項16記載の光記録再生媒体の焦点誤差検出方法に用いる発光装置のビーム分割調節器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図4】
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【図7】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−44815(P2010−44815A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206876(P2008−206876)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 
【出願人】(390013815)学校法人金井学園 (20)
【Fターム(参考)】