説明

光走査装置およびそれを備えた内視鏡装置、光走査方法

【課題】大きな画角で走査を行える光走査装置を提供する。
【解決手段】光源(1)からの光で対象領域を走査する光走査装置において、前記対象領域を走査するよう、入射した光を偏向させて前記対象領域に向けて出射する走査部(9)と、前記走査部への光路を順次選択して、光を前記走査部へ入射させる選択入射部(3)と、を備えることを特徴とする光走査装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査装置に関する。光走査装置は、例えば、内視鏡、プロジェクタ、顕微鏡等において用いられるものである。
【背景技術】
【0002】
先端に電気光学素子(電気光学結晶)を備えることにより、機械的な駆動なしで光を偏向して対象物の走査を行う内視鏡の光学系が知られている(特許文献1)。この従来技術では、電気光学素子を用いることにより、高速に光を偏向して走査が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2002-523162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、大きな偏向角を得ることは困難であり、大きな画角で走査することはできない。
【0005】
本発明は、大きな画角で走査でき、広い走査範囲を有する光走査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
光源からの光で対象領域を走査する光走査装置は、前記対象領域を走査するよう、入射した光を偏向させて前記対象領域に向けて出射する走査部と、前記走査部への光路を順次選択して、光を前記走査部へ入射させる選択入射部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光走査装置全体の画角は、走査部単独の偏向角よりも大きなものになる。光走査装置全体の走査範囲も走査部単独の走査範囲より広くなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第一実施形態に係る光走査装置を示す概略構成図である。
【図2】第一実施形態に係る内視鏡を示す概略構成図である。
【図3】第二実施形態に係る光走査装置を示す概略構成図である。
【図4】第二実施形態に係る光走査装置の変形例を示す概略構成図である。
【図5】第三実施形態に係る光走査装置を示す概略構成図である。
【図6】第四実施形態に係る光走査装置を示す概略構成図である。
【図7】第五実施形態に係る光走査装置を示す概略構成図である。
【図8】第六実施形態に係る光走査装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第一実施形態>
図1を参照して、光走査装置の第一実施形態について説明する。なお、光走査装置は、内視鏡やプロジェクタに設けられるものとして、第一実施形態を説明する。しかし、本発明はこれに限定されることなく適用可能である。例えば、光走査装置は、顕微鏡に設けられてもよい。
【0010】
光走査装置は、光源1、選択入射部3(選択入射手段)、ファイババンドル7、走査部9(走査手段)を有する。なお、ファイババンドル7は、斜視図を用いて記載されている。
【0011】
光源1は、三原色の光として赤色(R)の光(波長λr)、緑色(G)の光(波長λg)、及び青色(B)の光(波長λb)を射出する。光源1は、白色光源とRGBフィルタを備えることにより三原色の光を射出するものでよい。或いは、光源1は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光ダイオードやレーザダイオードを備えることにより、三原色の光を射出するものでもよい。偏光板19は、光源1からの光を直線偏光させる。これにより、後述の電気光学素子の偏向動作が容易になる。なお、光源1からの光がレーザ光である場合、光源1からの光は偏光しているので、偏光板19は使用しなくてもよい。また、光源1は、三原色に限らず、所望の数の所望の色の光を射出するものでもよい。
【0012】
選択入射部3は、複数nの光路から走査部9への光路を順次選択して、光を走査部9へ入射させる。複数の光路は、それぞれファイババンドル7の一本の光ファイバを通過するものである。なお、図1は、光路C1,C2,C3,C4,C5のみを示している。選択入射部3が走査部9への光路を選択することにより、走査部9への入射角度と入射位置の少なくとも一つが選択されることになる。選択入射部3は、ファイババンドル7に関して光源側に配置され、ファイババンドル7を介して光を走査部9へ入射させる。即ち、走査部9は、ファイババンドル7に関して、選択入射部3と反対側に配置される。選択入射部3は、ファイババンドル7の一方の端面(近位端)において、光源1からの光を複数のファイバのいずれか一つに選択的に入射させる。
【0013】
本実施形態において、選択入射部3は、互いに垂直な方向に偏向動作を行う第一と第二のガルバノミラー3a、3b(光路選択部)から構成される。ガルバノミラー3a、3bは、図示しないアクチュエータ(モータ等)を介して、コントローラ15により制御される。選択入射部3は、二つのガルバノミラー3a、3bを用いて、ファイババンドル7の近位端において二次元的な走査を行う。コントローラ15は、ガルバノミラー3a、3bの角度を数値的に(デジタル的に)制御してよい。コントローラ15がガルバノミラー3a、3bの角度を連続的(アナログ的に)変化させる場合でも、光が一本のファイバを通っている間、そのファイバを通る一つの光路が選択されている。
【0014】
ファイババンドル7は、束ねられた複数n本の光ファイバから構成される。各光ファイバは、ファイババンドル7の近位端において入射した光を伝送して、ファイババンドルの他方の端面(遠位端)から射出させる。なお、nは、例えば、数本から数千本である。
【0015】
選択入射部3とファイババンドル7の間には、適宜、レンズ群5が設けられる。レンズ群5は、選択入射部3から出た光がファイババンドル7のうちの一本の光ファイバに入射するよう焦点が調整されている。ファイババンドル7と走査部9の間にも、適宜、レンズ群11が設けられる。レンズ群11は、光ファイバからの光をほぼ平行光にして、走査部9に入射させる。走査部9からの光は、レンズ群13によって、走査の対象である走査対象領域(走査対象面)100に合焦する。レンズ群13により、所定倍率で走査範囲が拡大される。レンズ群5、11、13は、それぞれ一以上のレンズを含む。
【0016】
選択入射部3、レンズ群5、レンズ群11、及び、ファイババンドル7は、光源1からの光の光路を変更可能に調整する光学系17を構成する。光学系17は、光源からの光の光路を変更可能に調整し、レンズ群5、11の光軸から外れた軸外光を発生することができる。
【0017】
走査部9は、ファイババンドルの遠位端から射出した射出光を偏向させて、走査対象領域100を周期的に走査する。ファイババンドル7の一本のファイバへ光が入射している間、走査部9は、一周期又はその整数倍の周期の走査を行う。ある光路(C1,C2,C3,C4等)に含まれるファイバ(F1,F2,F3,F4等)へ光が入射している間、その光路及びファイバに対応する領域(A1,A2,A3,A4等)が走査される。各走査の間、走査位置(走査点)が、対応する領域(A1,A2,A3,A4等)内を隈なく移動する。図1では、例として、基準の走査位置(P1,P2,P3,P4)とその他の走査位置(P1',P2',P3',P4')が示されている。基準の走査位置は、走査部9が動作していない場合にファイバコアが投影される投影点に相当する。その他の走査位置は、走査部9が動作している場合に、走査部9からの光が到達する点である。
【0018】
例えば、選択入射部3により第一の光路C1が選択されている間に、走査部9が第一の領域A4を走査する。第一の光路C1は、第一の光ファイバF1を通って、選択入射部3から走査部9に至る光路である。選択入射部3により第一の光路C1と異なる第二の光路C2が選択されている間に、走査部9が第一の領域A4と異なる第二の領域A3を走査する。第二の光路C2は、第二の光ファイバF2を通って、選択入射部3から走査部9に至る光路である。第一の光路C1と第二の光路C2は隣り合い、第一の領域A4と第二の領域A3は隣接している。ここで、第一の領域A4と第二の領域A3は、重複しなくても良いし、一部重複していてもよい。本実施形態においては、簡単のため、第一の領域A4と第二の領域A3が重複しない場合について説明する。
【0019】
走査部9の走査範囲(A1,A2,A3,A4等)が互いに重複しない範囲で最大になるように、走査部9の偏向角αは設定されている。なお、本実施形態では、偏向角αは、レンズ群13から出る光線の角度が走査部9の走査により変化するときの変化量で表わされている。光路間の所定の間隔で走査部9の走査範囲が互いに重複しないよう、走査部9の偏向角αが最大の大きさに調整される。選択入射部3は、複数nの光路から走査部9への光路を順次選択するので、光走査装置全体の画角βは、走査部9単独の偏向角αよりも、数倍大きなものになる。なお、画角βは、レンズ群13から出る光線の角度の光走査装置全体での変化量で表わされている。
【0020】
走査部9は、互いに垂直な方向に偏向動作を行う2つの電気光学素子(EO)9a、9bを備える。電気光学素子9a、9bは、電気光学結晶から構成される。光の偏光方向と電圧の向きが平行である場合に、電気光学素子の偏向角は大きくなる。このため、偏光板19等により調整される光の偏光方向は、電気光学素子9bの電場方向(電圧が印加される方向)に調整されている。さらに、電気光学素子9aの電圧による偏向動作を容易にするため、2つの電気光学素子9a、9bの間にλ/2板21を設けて光の偏光方向を90度変える。これにより、電気光学素子9aの電場方向が、光の偏光方向と平行になる。
【0021】
コントローラ(制御部)15は、後段の電気光学素子9aの電極にY軸方向の電圧Vyを印加することによりY-Z面内でY軸方向の偏向動作を制御する。コントローラ15は、前段の電気光学素子9bの電極にX軸方向の電圧Vxを印加することによりX-Z面内でX軸方向の偏向動作を制御する。なお、Z軸は光軸方向の座標を示す。コントローラ15が電圧Vx、Vyを変更することにより、走査位置をX-Y面内で二次元的に移動でき、走査部9による二次元的な走査が行われる。コントローラ15は、電圧Vx、Vyの発生用の二つの電圧発生部を有する。
【0022】
電気光学素子では、電圧を印加することで屈折率の分布(屈折率分布)が生じ、電気光学素子に入射した光は、偏向して電気光学素子より出射する。また、屈折率分布は印加電圧により変化する。このため、電気光学素子への印加電圧を変化させることで、電気光学素子から出射する光線の方向が変わる。これにより対象物に照射する光のスポットを移動させることができる。例えば、電流の注入により電気光学素子(例えば、KTa1-xNbxO3)内に電荷を生じさせることにより印加電圧の方向に電界を傾斜させて、屈折率の大きな傾斜を得ることができる(特開2008-158325号公報、特開2007−310104公報等参照)。
【0023】
また、コントローラ(制御部)15は、中央演算処理装置(CPU)やメモリ等を有する。コントローラ15は、光源1や、選択入射部3のガルバノミラー3a、3b等も制御する。
【0024】
例えば、光走査装置は、図2のように、内視鏡200に搭載される。この場合には、走査位置からの反射光が検出用光ファイバ39を通して図示しない検出器により検出され、モニタ等に走査対象面100の画像が表示できる。また、例えば、光走査装置は、プロジェクタに搭載される。この場合には、スクリーン等の走査対象面100に所定の画像が表示できる。
【0025】
なお、本実施形態において、光走査装置は、ファイババンドルを除いた構成にしてもよい。
【0026】
作用効果
光走査装置は、対象領域を走査するよう、入射した光を偏向させて対象領域に向けて出射する走査部と、走査部への光路を順次選択して、光を走査部へ入射させる選択入射部と、を備える。このため、光走査装置全体の画角は、走査部単独の偏向角よりも大きなものになる。また、光走査装置全体の走査範囲は走査部単独の走査範囲より広くなる。選択入射部と走査部が、それぞれ二次元的な走査を行うことにより、光走査装置は広い二次元的な走査範囲を有する。
【0027】
選択入射部により、第一の光路が選択されている間、走査部が第一の領域を走査する。選択入射部により、第一の光路と異なる第二の光路が選択されている間、走査部が第一の領域と異なる第二の領域を走査する。さらに、第一の領域と第二の領域は重ならないか、又は一部のみ重なる。このため、光走査装置全体の走査範囲が走査部単独の走査範囲よりさらに広くなる。
【0028】
光走査装置が、複数の光ファイバからなるファイババンドルを備え、選択入射部は、ファイババンドルの光源側に配置され、ファイババンドルを介して光を走査部へ入射させる。このため、ファイババンドルを通った微小なビーム径を有する光線を用いて走査が行える。また、ファイババンドルの各ファイバが選択されることにより、走査部への光路が選択される。この選択により、走査部への光の入射角度と入射位置の少なくとも一つが選択され、光が走査部へ入射する。このため、各光路に一つの走査範囲が対応して、走査部への光路が順次変わることにより、広い走査範囲が得られる。
【0029】
走査部が電気光学素子を備えため、簡便に走査が行える。選択入射部は電気光学素子に偏光した光を入射させるため、電気光学素子の偏向角が大きくなる。走査部が、二つの電気光学素子を備えるため、二次元的な走査が行える。二つの電気光学素子は、互いに直交する方向を走査するため、走査面積を広くできる。二つの電気光学素子の間にλ/2板が配置されるため、後段の電気光学素子の電場方向と偏光方向を平行にして、後段の電気光学素子の偏向角を大きくすることができる。
【0030】
<第二実施形態>
図3を参照すると、第二実施形態では、選択入射部3が、ガルバノミラー3a、3bに代えて、光路選択部としてデジタルミラーデバイス(DMD)30を備える。他の構成は、第一実施形態と同様である。
【0031】
DMD30は複数nの微小ミラーを備える。複数の微小ミラーは、それぞれ、コントローラ15に選択され駆動されると、光源1からの光の一部を走査部9に向けて反射する。複数の微小ミラーは、例えば、電圧源を有するコントローラ15からの電圧により静電的に駆動される。即ち、各微小ミラーは、コントローラ15の指令に応じて、光源1からの光の一部をファイババンドル7側に向けて反射する。各微小ミラーからの反射光線は、微小なビーム径を有する。DMD30の微小ミラーの反射光線は、ファイババンドル7の一本のファイバを通って、走査部9に入射する。複数nの微小ミラーに対応して、複数nの光路が存在する。図3は、光路C1,C2,C3,C4,C5のみを示している。コントローラ15は、順次微小ミラーを選択し駆動する。これにより、複数nの光路から走査部9への光路が順次選択されて、光が走査部9へ入射する。ある光路(C1,C2,C3,C4等)を通って光が走査部9に入射している間、その光路に対応する領域(A1,A2,A3,A4等)が走査される。
【0032】
第二実施形態も第一実施形態と同様の作用効果を奏する。第一実施形態と同様に、選択入射部3は、複数nの光路から走査部9への光路を順次選択するので、光走査装置全体の画角βは、走査部9単独の偏向角αよりも、数倍大きなものになる。
【0033】
なお、図4のように、光走査装置は、ファイババンドルを除いた構成にしてもよい。
【0034】
<第三実施形態>
図5を参照すると、第二実施形態では、選択入射部3が、ガルバノミラー3a、3bに代えて、光路選択部としてLEDアレイ32を備える。他の構成は、第一実施形態と同様である。
【0035】
LEDアレイ32は、複数nのLED(発光ダイオード)の配列を備える。複数のLED33は、単色でも、多色でもよい。各LED33は、ファイババンドル7の対応するファイバの端に対向して設けられる。より具体的には、各LED33は、マイクロレンズアレイ(不図示)や、レンズ(不図示)を介して、ファイババンドル7に対向している。従って、各LED33からの光は、マイクロレンズアレイ、または、レンズによって集光された後、ファイババンドル7の対応するファイバの端に入射する。
【0036】
LEDアレイ32は、駆動回路34を介して、コントローラ15の指令に応じて動作する。コントローラ15が選択したLEDが発光することにより、複数n個の光路から一つの光路が選択される。ある光路(C1,C2,C3,C4等)を通って光が走査部9に入射している間、その光路に対応する領域(A1,A2,A3,A4等)が走査される。
【0037】
なお、図5においては、簡単のため、単色のLEDアレイ32を備える場合を示している。これに代えて、例えば、所望の数の色のLEDアレイを備えてもよい。この場合、一組のLED(例えば、RGB)から発せられた光は、ミラーで反射された後、合成されて、ファイババンドル7の対応するファイバの端に入射する。あるいは、一つのファイバの一方の端面が3つに分岐され、各端面に対向させて、異なる色のLEDを設けてもよい。
【0038】
また、LEDアレイ33に代えて、LD(レーザダイオード)アレイとしてもよい。
【0039】
また、光走査装置は、ファイババンドルを除いた構成にしてもよい。
【0040】
第三実施形態も第一実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0041】
<第四実施形態>
図6を参照すると、第四実施形態では、選択入射部3が、ガルバノミラー3a、3bに代えて、光路選択部として振動する単一のシングルモードファイバ36(シングルモードの光ファイバ)を備える。シングルモードファイバ36は、電気モータ等のアクチュエータにより振動的に変位する。すなわち、シングルモードファイバ36は、その一端を略固定点として、回転的に振動する。コントローラ15は、アクチュエータの動作を制御する。図6において、シングルモードファイバ36は、位置B1,B2,B3,B4,B5へ順に変位する。位置B5まで変位した後、シングルモードファイバ36は、逆に、位置B5,B4,B3,B2,B1の順に変位する。
【0042】
例えば、光ファイバ36は、所定角度ごと回転変位し、光ファイバ36が所定角度だけ回転する度に、走査部9が一周期又はその整数倍の周期走査を行ってよい。この場合、光ファイバ36が所定角度回転する度に、一つの光路が選択される。ある光路(C1,C2,C3,C4等)を通って光が走査部9に入射している間、その光路に対応する領域(A1,A2,A3,A4等)が走査される。
【0043】
なお、シングルモードファイバ36は、回転的な振動に限らず、X-Y面内で二次元的に走査できれば良い。例えば、シングルモードファイバ36の一端が固定で、他端が、非回転的な周期振動をしたり、ランダムな走査をしたりしてもよい。また、シングルモードファイバ36の両端が固定で、その一端(物体側)の向きが変化してもよい。
【0044】
第四実施形態も第一実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0045】
<第五実施形態>
図7を参照すると、第五実施形態では、走査部9が、電気光学素子9a、9bに代えて偏心レンズ38を備える。他の構成は、第一実施形態と同様である。
【0046】
偏心レンズ38は、図示しないアクチュエータにより光軸に垂直方向に移動される。又は、偏心レンズ38は、図示しないアクチュエータにより光軸に対して傾けられる。アクチュエータは、コントローラ15により制御される。これにより、偏心レンズ38は、光を偏向することができる。ある光路(C1,C2,C3,C4等)を通って光が走査部9に入射している間、偏心レンズ38が傾くか移動することにより、その光路に対応する領域(A1,A2,A3,A4等)が走査される。
【0047】
なお、光走査装置は、ファイババンドルを除いた構成にしてもよい。
【0048】
第五実施形態も第一実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0049】
<第六実施形態>
図8を参照すると、第六実施形態では、走査部9が、電気光学素子9a、9bに代えて音響光学素子40a、40bを備える。他の構成は、第一実施形態と同様である。
【0050】
音響光学素子40a、40bは、それぞれ、圧電素子からなる超音波トランスデューサにより、超音波をY軸、X軸方向に加えられる。これにより、音響光学素子40a、40bは、それぞれY軸方向、X軸方向に光を偏向することができる。
【0051】
コントローラ15は、交流電圧源を有し、音響光学素子40a、40bのそれぞれの超音波トランスデューサに交流電圧信号を加える。音響光学素子40a、40bの偏向方向は、交流電圧信号の周波数(超音波の周波数)に依存する。コントローラ15は、交流電圧信号の周波数を変化させることにより、偏向方向を変化させることができる。ある光路(C1,C2,C3,C4等)を通って光が走査部9に入射している間、音響光学素子40a、40bが動作することにより、その光路に対応する領域(A1,A2,A3,A4等)が走査される。
【0052】
なお、光走査装置は、ファイババンドルを除いた構成にしてもよい。
【0053】
第六実施形態も第一実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0054】
<その他の実施形態>
他の実施形態として、走査部9が、電気光学素子9a、9bに代えて走査を行うMEMS(マイクロ-エレクトロ-メカニカルシステム)ミラーを備えてよい。MEMSミラーは、コントローラ15により静電駆動され揺動するものでよい。MEMSミラーは、走査部9に入射した光線を反射する。MEMSミラーが揺動することにより、反射光の向きが変化して、走査が行われる。他の構成は、第一実施形態と同様である。
【0055】
本発明は上記の各実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【符号の説明】
【0056】
1 光源
3 選択入射部
3a、3b ガルバノミラー
5、11、13 レンズ群
7 ファイババンドル
9 走査部
9a、9b 電気光学素子
15 コントローラ
17 光学系
19 偏光板
21 λ/2板
30 デジタルミラーデバイス(DMD)
32 LEDアレイ
34 駆動回路
36 シングルモードファイバ
38 偏心レンズ
40a、40b 音響光学素子
100 走査対象領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光で対象領域を走査する光走査装置において、
前記対象領域を走査するよう、入射した光を偏向させて前記対象領域に向けて出射する走査部と、
前記走査部への光路を順次選択して、光を前記走査部へ入射させる選択入射部と、を備えることを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
前記選択入射部が、ガルバノミラー、デジタルミラーデバイス、LEDアレイ、LDアレイ、及び、振動的に変位する単一の光ファイバのうち少なくともいずれか一つからなる光路選択部を備えることを特徴とする、請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記選択入射部と前記走査部が、それぞれ二次元的な走査を行うことを特徴とする、請求項1に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記光走査装置が、複数の光ファイバからなるファイババンドルを備え、
前記選択入射部は、前記ファイババンドルの光源側に配置され、前記ファイババンドルを介して光を前記走査部へ入射させることを特徴とする、請求項3に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記選択入射部が、前記走査部への光路を選択することにより、前記走査部への光の入射角度と入射位置の少なくとも一つを選択して、光を前記走査部へ入射させることを特徴とする、請求項1に記載の光走査装置。
【請求項6】
前記走査部が電気光学素子を備え、前記選択入射部は前記電気光学素子に偏光した光を入射させることを特徴とする、請求項1に記載の光走査装置。
【請求項7】
前記走査部が、二つの電気光学素子を備えることを特徴とする、請求項1に記載の光走査装置。
【請求項8】
前記二つの電気光学素子は、互いに直交する方向を走査することを特徴とする、請求項7に記載の光走査装置。
【請求項9】
前記二つの電気光学素子の間にλ/2板が配置されることを特徴とする、請求項7に記載の光走査装置。
【請求項10】
前記選択入射部により、第一の光路が選択されている間、前記走査部が第一の領域を走査し、
前記選択入射部により、第一の光路と異なる第二の光路が選択されている間、前記走査部が第一の領域と異なる第二の領域を走査することを特徴とする、請求項1に記載の光走査装置。
【請求項11】
前記走査部が、電気光学素子、偏心レンズ、音響光学素子、及び、MEMSミラーのうちの少なくとも一つからなることを特徴とする、請求項1に記載の光走査装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一つに記載の前記光走査装置を備えた内視鏡装置。
【請求項13】
光源からの光で対象領域を走査する光走査方法において、
走査部への第一の光路を選択して、光を前記走査部へ入射させるステップと、
前記対象領域を走査するよう、前記走査部に第一の光路を通って入射した光を偏向させて前記対象領域に向けて出射させるステップと、
前記第一の光路と異なる前記走査部への第二の光路を選択して、光を前記走査部へ入射させるステップと、
前記対象領域を走査するよう、前記走査部に、第二の光路を通って入射した光を偏向させて前記対象領域に向けて出射させるステップと、
を含むことを特徴とする光走査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−243874(P2010−243874A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93728(P2009−93728)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】