説明

光送信機

【課題】光変調度を直接的に把握したり調整することができ、光変調度を波数に応じて最適に調整することができ、あるいは、光変調度を周波数帯や変調方式に応じて最適に調整することができる、光送信機を提供すること。
【解決手段】光送信機1は、電気信号を光信号に変換するためのLD16と、当該光送信機1に入力されてからLD16に入力される迄のいずれかの状態における電気信号のレベルに応じた検出値を出力する検波器24と、検波器24の検出値に基づいてLD16における光変調度を算定し、当該算定した光変調度に基づいて、LD16における光変調度を調整可能とするための所定の制御を行うための送信制御部30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気信号を光信号に変換して送信する光送信機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、光通信技術の進展に伴い、光ケーブルを用いた光伝送システムが普及している。この光伝送システムによれば、数10Km程度の無中継伝送が可能となるため、伝送システムを容易に広域化できる。この光伝送システムは、概略的には、送信者側に配置した光送信機と、受信者側に配置した光受信機(光回線終端装置:ONU:Optical Network Unit)とを、光ケーブルにて構成された長距離用の光伝送路を介して接続して構成されている。
【0003】
ここで、光送信機における変調方式は、直接変調方式と外部変調方式に大別される。直接変調方式においては、伝送対象となる電気信号(以下、RF信号)をLD(Laser Diode)の駆動電流に重畳させてLDを駆動することで、RF信号を光信号の輝度変化に変換し、この光信号を光ケーブルを介して送信する。
【0004】
このような光変調により生成される光信号の品質を評価する上では、光信号における光強度の変調振幅と平均光強度の比である光変調度(OMI:Optical Modulation Index)が重要になる。すなわち、光変調度はLDに入力されるRF信号のレベルに応じて変化し、光変調度が大きくなると光信号の歪性能が悪化し、光変調度が小さくなるとCNR(Carrier Per Noize Ratio)性能が悪化することが知られている。また、長距離光伝送においては、多波伝送時における各波の光変調度の総合的な変調度である総合光変調度が低下すると、SBS(誘導ブリュリアン散乱:Stimulated Brillouin Scattering)が発生して光信号の品質が低下することがあった(例えば特許文献1参照)。
【0005】
このため、従来の光送信機には、LDの前段側にAGC(Auto Gain Controller)が設けられており、RF信号をAGCで自動利得調整した上でLDに入力することで、RF信号のレベルを最適化して、光変調度を間接的に調整していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−243817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の光送信機では、単にLDに入力されるRF信号をAGCで自動利得調整することで、光変調度を間接的に調整していたので、下記のような様々な問題があった。
【0008】
すなわち、従来の光送信機では、RF信号を利得調整することで、光変調度を間接的に調整していたので、RF信号と光変調度の相関が低い場合には、光変調度を適切に調整することができなかった。
【0009】
また、ユーザが利得調整の専門知識を持っている場合、増幅器の利得は、AGCによる自動調整よりもユーザによる手動調整の方が最適化できる場合があるが、従来の光送信機には利得の手動調整を行うための手段が設けられていなかったので、利得の最適化を図ることが困難であった。また、仮に手動調整を行う手段を光送信機に設けた場合であっても、従来の光送信機にはRF信号の出力レベルをユーザが把握することができる手段が設けられていなかったので、ユーザがRF信号の出力レベルを把握するためには光送信機にレベル測定器等の外部機器を接続する必要が生じる等、手動調整に手間を要するものであった。
【0010】
また、光送信機は通常多波で運用されており、RF信号のレベルはこの多波の合計出力レベルであるため、波数が変動した場合には、RF信号のレベルの最適値も変動する。しかしながら、従来の光送信機では、AGCによる自動利得調整を行う場合には、波数に関わらず、単に多波の合計出力レベルを調整していたので、利得の最適化を図ることが困難であった。また、仮に手動調整を行う手段を光送信機に設けた場合であっても、従来の光送信機には波数をユーザが把握することができる手段が設けられていなかったので、波数に応じて利得の最適化を図ることが困難であった。
【0011】
また、RF信号のレベルは、周波数帯や変調方式によっても異なる可能性があるが、従来の光送信機では、AGCによる自動利得調整を行う場合には、周波数帯や変調方式に関わらず、単にRF信号のレベルを一律に調整していたので、利得の最適化を図ることが困難であった。また、仮に手動調整を行う手段を光送信機に設けた場合であっても、従来の光送信機には周波数帯や変調方式をユーザが把握することができる手段が設けられていなかったので、周波数帯や変調方式に応じて利得の最適化を図ることが困難であった。
【0012】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、光変調度を直接的に把握したり調整することができ、光変調度を波数に応じて最適に調整することができ、あるいは、光変調度を周波数帯や変調方式に応じて最適に調整することができる、光送信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の光送信機は、電気信号を光信号に変換して送信する光送信機であって、前記電気信号を前記光信号に変換するためのレーザダイオードと、当該光送信機に入力されてから前記レーザダイオードに入力される迄のいずれかの状態における電気信号のレベルに応じた検出値を出力する検波手段と、前記検波手段の検出値に基づいて前記レーザダイオードにおける光変調度を算定し、当該算定した光変調度に基づいて、前記レーザダイオードにおける光変調度を調整可能とするための所定の制御を行うための制御手段とを備える。
【0014】
請求項2に記載の光送信機は、請求項1に記載の光送信機において、前記電気信号は複数波の電気信号を含み、前記複数波の波数を格納するための波数格納手段を備え、前記制御手段は、前記検波手段の検出値に基づいて算定した光変調度と、前記波数格納手段にて格納された波数とに基づいて、1波毎の光変調度を算定し、当該算定した1波毎の光変調度に基づいて、当該1波毎の光変調度を調整可能とするための所定の制御を行うものである。
【0015】
請求項3に記載の光送信機は、請求項2に記載の光送信機において、前記波数格納手段は、前記複数波の波数を、前記光信号の帯域及び変調方式毎に格納し、前記制御手段は、前記検波手段の検出値に基づいて算定した光変調度と、前記波数格納手段にて格納された前記帯域及び前記変調方式毎の波数とに基づいて、前記帯域及び前記変調方式毎における前記1波毎の光変調度を算定するものである。
【0016】
請求項4に記載の光送信機は、請求項1から3のいずれか一項に記載の光送信機において、前記検波手段の検出値を光変調度に変換するための変換情報を、前記検波手段の周波数特性が異なる帯域毎に格納する変換情報格納手段を備え、前記検波手段は、前記電気信号のレベルに応じた検出値であって、当該検波手段の周波数特性に応じた検出値を出力し、前記制御手段は、前記変換情報格納手段にて格納された変換情報の中から前記電気信号の周波数に対応する前記帯域の変換情報を取得し、当該取得した変換情報に基づいて前記検波手段の検出値を変換することにより前記光変調度を算定し、当該算定した光変調度に基づいて、前記所定の制御を行うものである。
【0017】
請求項5に記載の光送信機は、請求項4に記載の光送信機において、前記変換情報格納手段は、前記変換情報を、前記光信号の変調方式毎に格納し、前記検波手段は、前記電気信号のレベルに応じた検出値であって、前記光信号の変調方式に応じた検出値を出力し、前記制御手段は、前記変換情報格納手段にて格納された変換情報の中から前記光信号の変調方式に対応する前記変換情報を取得し、当該取得した変換情報に基づいて前記検波手段の検出値を変換することにより前記光変調度を算定し、当該算定した光変調度に基づいて、前記所定の制御を行うものである。
【0018】
請求項6に記載の光送信機は、請求項1から5のいずれか一項に記載の光送信機において、前記制御手段は、前記検波手段の検出結果に対する平均化処理を行い、当該平均化処理の結果に基づいて前記光変調度を算定するものである。
【0019】
請求項7に記載の光送信機は、請求項1に記載の光送信機において、前記レーザダイオードに入力される電気信号を、周波数帯域別に伝送する複数の信号ラインを備え、前記信号ライン毎に前記検波手段を設けたものである。
【0020】
請求項8に記載の光送信機は、請求項1に記載の光送信機において、前記レーザダイオードに入力される電気信号を、周波数帯域別に伝送する複数の信号ラインと、前記検波手段を、前記複数の信号ラインに対して選択的に接続する接続手段とを備えるものである。
【0021】
請求項9に記載の光送信機は、請求項1から8のいずれか一項に記載の光送信機において、当該光送信機に入力されてから前記レーザダイオードに入力される迄のいずれかの状態における電気信号の利得を手動調整するための手動利得調整手段を備えるものである。
【0022】
請求項10に記載の光送信機は、請求項1から9のいずれか一項に記載の光送信機において、前記制御手段にて算定された光変調度に基づいて、当該光送信機に入力されてから前記レーザダイオードに入力される迄のいずれかの状態における電気信号の利得を調整するための自動利得調整手段備えるものである。
【0023】
請求項11に記載の光送信機は、請求項10に記載の光送信機において、前記検波手段を、前記自動利得調整手段より前段側に設けたものである。
【0024】
請求項12に記載の光送信機は、請求項1から11のいずれか一項に記載の光送信機において、当該光送信機に入力されてから前記レーザダイオードに入力される迄のいずれかの状態における電気信号から、各周波数毎の電気信号を取得して、前記検波手段に出力する電気信号周波数単位取得手段を備えたものである。
【0025】
請求項13に記載の光送信機は、請求項1から3のいずれか一項に記載の光送信機において、前記検波手段の周波数特性を補償するための補償手段を備えたものである。
【0026】
請求項14に記載の光送信機は、請求項1から13のいずれか一項に記載の光送信機において、前記制御手段にて算定された光変調度を表示する表示手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0027】
請求項1に記載の光送信機によれば、検波手段の検出値に基づいて光変調度が算定され、この光変調度に基づいて、レーザダイオードにおける光変調度を調整可能とするための所定の制御が行われるので、光変調度を容易かつ正確に調整することが可能となる。
【0028】
請求項2に記載の光送信機によれば、1波毎の光変調度を調整可能とするための所定の制御が行われるので、多波運用時においても、波数に応じた利得の最適化を容易かつ正確に図ることが可能となる。
【0029】
請求項3に記載の光送信機によれば、光変調度と帯域及び変調方式毎の波数とに基づいて、1波毎の光変調度が算定されるので、帯域及び変調方式毎に1波毎の光変調度が異なる場合であっても、帯域及び変調方式毎の光変調度を容易かつ正確に算定することが可能となる。
【0030】
請求項4に記載の光送信機によれば、電気信号の周波数に対応する変換情報に基づいて、検波手段の検出値を変換することにより光変調度を算定するので、検波手段の周波数特性によって検出値のレベルが変動する場合であっても、光変調度を容易かつ正確に算定することが可能となる。
【0031】
請求項5に記載の光送信機によれば、光信号の変調方式に対応する変換情報に基づいて、検波手段の検出値を変換することにより光変調度を算定するので、光信号の変調方式によって検出値のレベルが変動する場合であっても、光変調度を容易かつ正確に算定することが可能となる。
【0032】
請求項6に記載の光送信機によれば、検波手段の検出値に対する平均化処理の結果に基づいて所定の制御を行うので、検波手段の検出値のレベルが電気信号の振幅変動によって変動する場合であっても、光変調度を容易かつ正確に算定することが可能となる。
【0033】
請求項7に記載の光送信機によれば、電気信号を周波数帯域別に伝送する信号ライン毎に検波手段を備えたので、周波数帯域毎に光変調度の算定を行うことができ、周波数帯域毎に1波毎の光変調度が異なる場合であっても、周波数帯域毎の光変調度を容易かつ正確に算定することが可能となる。
【0034】
請求項8に記載の光送信機によれば、電気信号を周波数帯域別に伝送する複数の信号ラインと、検波手段を複数の信号ラインに対して選択的に接続する接続手段を備えたので、共通の検波手段を用いて複数の信号ラインにおける光変調度を検出することができ、複数の信号ラインの各々に検波手段を設ける場合に比べて、光送信機を簡易かつ安価に構成することができる。
【0035】
請求項9に記載の光送信機によれば、光変調度を手動調整するための手動利得調整手段を備えたので、光変調度を最適値に手動で調整することができる。
【0036】
請求項10に記載の光送信機によれば、電気信号の利得を調整するための自動利得調整手段を備えたので、光変調度を最適値に自動的に調整することができる。
【0037】
請求項11に記載の光送信機によれば、検波手段を自動利得調整手段より前段側に設けたので、自動利得調整手段の前段側で検出した電気信号のレベルに基づいて利得を調整することができ、利得調整の結果が電気信号のレベルの検出に反映されず、いわゆるフィードバック制御とならないため、光変調度を安定させることができる。
【0038】
請求項12に記載の光送信機によれば、各周波数毎の電気信号を取得して検波手段に出力する電気信号周波数単位取得手段を備えたので、光変調度の検出を各周波数毎に行うことができ、各波毎の光変調度を容易かつ正確に検出することが可能となる。
【0039】
請求項13に記載の光送信機によれば、検波手段の周波数特性を補償するための補償手段を備えたので、電気信号のレベルを広帯域に渡ってフラットにすることができ、検波手段の周波数特性に応じて複数の変換情報を保持する必要がなくなるため、複数の変換情報を用いなくても、光変調度を容易かつ正確に検出することが可能となる。
【0040】
請求項14に記載の光送信機によれば、制御手段にて算定された光変調度を表示する表示手段を備えたので、光変調度を表示手段を介してユーザが容易に確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態1に係る光送信機のブロック図である。
【図2】送信制御部のブロック図である。
【図3】パラメータ設定テーブルの構成例を示す図である。
【図4】変換グラフの構成例を示す図である。
【図5】光変調度調整処理のフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態2に係る光送信機のブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態3に係る光送信機のブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態4に係る光送信機のブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態5に係る光送信機のブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態6に係る光送信機のブロック図である。
【図11】本発明の実施の形態7に係る光送信機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る光送信機の各実施の形態を詳細に説明する。ただし、これらの実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0043】
〔実施の形態1〕
最初に、本発明の実施の形態1について説明する。この形態は、検波手段の検出値に基づいて光変調度を算定し、この算定した光変調度に基づいて、レーザダイオードにおける光変調度を調整可能とするための所定の制御を行う基本的な形態である。
【0044】
(構成)
まず、本実施の形態1に係る光送信機の構成について説明する。図1は本実施の形態1に係る光送信機のブロック図である。この光送信機1は、CATV(FM、VHF、及びUHFを含む)、BS、及びCSの各周波数帯域のRF信号を受信して光信号に変換するもので、入力端子10、セパレータ11、第1の信号ライン12、第2の信号ライン13、ミキサ14、分岐器15、LD16、及び光出力端子17を図示のように接続して構成されている。また、第1の信号ライン12は、アンプ18、GC(Gain Control)19、アンプ20を備え、第2の信号ライン13は、アンプ21、GC22、アンプ23を備えて構成されている。また、分岐器15には、検波器24が接続され、この検波器24には送信制御部30が接続されている。
【0045】
セパレータ11は、入力端子10に入力された送信対象となるRF信号を、CATV信号とBS・CS信号に周波数分離する分波手段である。第1の信号ライン12は、セパレータ11にて分波されたCATV信号を増幅するライン、第2の信号ライン13は、セパレータ11にて分波されたBS・CS信号を増幅するラインであり、アンプ18、21は、CATV信号またはBS・CS信号を増幅する増幅手段、GC19、22は、アンプ18、21にて増幅されたCATV信号またはBS・CS信号を固定利得で利得調整する自動利得調整手段、アンプ20、23は、GC19、22にて利得調整されたCATV信号またはBS・CS信号を増幅する増幅手段である。ミキサ14は、第1の信号ライン12で増幅されたCATV信号と第2の信号ライン13で増幅されたBS・CS信号を混合する合波手段である。分岐器15は、ミキサ14にて混合されたRF信号を分岐する分岐手段である。LD16は、RF信号を直接変調方式によって光信号に変換する電光変換手段である。光出力端子17は、LD16にて変換された光信号を図示しない光ケーブルに出力する光出力手段である。
【0046】
検波器24は、光送信機1に入力されてからLD16に入力される迄のいずれかの状態におけるRF信号のレベルに応じた検出値を出力する検波手段であり、ここでは、分岐器15にて分岐されたRF信号の信号レベルに応じた検出値を出力する検波手段である。この検波器24は、公知の検波器と同様に構成することができる。
【0047】
(構成−送信制御部)
送信制御部30は、光送信機1の各部を制御する送信制御手段であり、検波器24の検出値に基づいてLD16における光変調度を算定し、当該算定した光変調度に基づいて、LD16における光変調度を調整可能とするための所定の制御を行うための制御手段である。図2は、送信制御部30のブロック図である。この図2に示すように、送信制御部30は、制御部31、記憶部32、入力部33、及び出力部34を備える。
【0048】
制御部31は、送信制御部30の各部を制御する制御手段であり、例えば、オペアンプ又はCPUや、CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの制御プログラムや、各種の処理手順などを規定したプログラム、及び本プログラム)、及び所要プログラムや所要データを格納するための内部メモリを備えて構成される。
【0049】
記憶部32は、送信制御部30における各種の処理に必要な各種の情報を記憶する記憶手段であり、例えばフラッシュメモリやその他の記録媒体によって構成される。この記憶部32に記憶される情報については後述する。また図示は省略するが、記憶部32には、レベル調整プログラムがインストールされている。このプログラムは、図示しない書き込み装置によって記憶部32に書き込まれることで、制御部31の各部を実質的に構成する。
【0050】
入力部33は、ユーザが送信制御部30に対する各種の情報を入力するための入力手段であり、例えば、図示は省略するが、複数のボリュームや操作ボタンを備えて構成されている。あるいは、入力部33は、光送信機1の外部からの入力を受け付ける手段であってもよく、例えば、TELNETやSNMP等による遠隔制御を行うための通信インターフェースとして構成される。
【0051】
出力部34は、ユーザに対して各種の情報を出力する出力手段であり、特に、ユーザに対して各種の情報を表示出力する表示手段であって、例えば、液晶パネルを備えて構成されている。あるいは、出力部34は、光送信機1の外部に対して音声や信号を出力する出力手段であってもよく、例えば、スピーカとして構成されたり、電圧出力チェック端子として構成されたり、TELNETやSNMP等による遠隔監視を行うための通信インターフェースとして構成される。
【0052】
(構成−送信制御部−記憶情報)
次に、記憶部32に記憶される情報について説明する。ここでは、記憶部32には、パラメータ設定テーブル、変換グラフ、及びその他の設定情報が記憶される。
【0053】
パラメータ設定テーブルは、送信制御部30における各種の処理に必要な各種のパラメータが設定されたテーブルである。図3には、パラメータ設定テーブルの構成例を示す。このパラメータ設定テーブルは、伝送周波数帯域毎に設定された複数のパラメータを含んで構成されている。ここでは、伝送周波数帯域が、「CATV」と「BS・CS」に区分されており、さらに「CATV」は「アナログ波」と「デジタル波」に区分されている。
【0054】
パラメータは、「波数」、「アラーム上限閾値」、「アラーム下限閾値」、「目標光変調度」、及び「目標光変調度自動調整フラグ」である。パラメータ「波数」は、RF信号に含まれる放送波の数(以下、波数)を設定するためのパラメータであり、図3の例では、CATVのアナログ波の波数として「11」、CATVのデジタル波の波数として「80」、BS・CSの波数として「36」がそれぞれ設定されている。
【0055】
パラメータ「アラーム上限閾値」は、光変調度の上限とする閾値(以下、アラーム上限閾値)を設定するためのパラメータであり、このアラーム上限閾値としては、例えば、光送信機1の歪が規格を満足できる最大値が設定される。図3の例では、アラーム上限閾値として「35(%)」が設定されている。
【0056】
パラメータ「アラーム下限閾値」は、光変調度の下限とする閾値(以下、アラーム下限閾値)を設定するためのパラメータであり、このアラーム下限閾値としては、例えば、光送信機1のCNRが規格を満足できる最小値が設定される。図3の例では、アラーム下限閾値として「25(%)」がそれぞれ設定されている。
【0057】
パラメータ「目標光変調度」は、光変調度の目標値(以下、目標光変調度)を設定するためのパラメータであり、図3の例では、CATVのアナログ波の1波当たりの目標光変調度として「7.0」、CATVのデジタル波の目標光変調度として「2.2」、BS・CSの1波当たりの目標光変調度として「2.2」(単位はいずれも%)がそれぞれ設定されている。
【0058】
パラメータ「目標光変調度自動調整フラグ」は、光変調度を目標光変調度にするための自動調整を継続して行うか否かを示す情報(以下、目標光変調度自動調整フラグ)であり、ここでは、目標光変調度自動調整フラグ=0の場合には、自動調整を継続して行わず、目標光変調度自動調整フラグ=1の場合には、自動調整を継続して行うことを示す。
【0059】
なお、アラーム上限閾値、アラーム下限閾値、目標光変調度、及び目標光変調度自動調整フラグの設定単位としては、各波の合計出力に対する設定を行うことや、各波個別の出力に対する設定を行うことができる。図3の例では、アラーム上限閾値とアラーム下限閾値については、各波の合計出力に対して設定が行われており、目標光変調度及び目標光変調度自動調整フラグについては、各波個別の出力に対して設定が行われている。ここでは、アラーム上限閾値及びアラーム下限閾値としては、CATV帯域とBS・CS帯域の全ての波の合計出力に対する閾値が設定されており、目標光変調度は、CATV帯域のアナログ波の1波毎の出力に対する目標光変調度が設定されているものとする。
【0060】
次に、記憶部32に記憶される変換グラフについて説明する。この変換グラフは、検波器24からの出力値を光変調度に変換するための変換情報によって構成されるテーブルである。図4には、変換グラフの構成例を示す。この変換グラフにおいて、横軸は検波器24からの出力値を示し、縦軸は光変調度を示しており、これらの対応関係を示すグラフがプロットされている。
【0061】
ここで、検波器24は、通常、f特性(周波数特性)を持っており、検波したRF信号の出力レベルが同一であったとしても、このRF信号の伝送周波数によって異なる出力値を出力する可能性がある。このため、全ての伝送周波数のRF信号に関して、一つの変換グラフのみを用いて変換を行っていたのでは、f特性が反映されず、正確な変換を行うことができない可能性がある。そこで、本実施の形態においては、RF信号が取り得る伝送周波数に含まれる複数の伝送周波数のそれぞれに対応した変換グラフが記憶部32に記憶されており、RF信号の伝送周波数に最も近い伝送周波数に対応した変換グラフに基づいて、検波器24からの出力値を光変調度に変換する。
【0062】
また、RF信号の変調信号がデジタル信号である場合、その変調方式によっては、RF信号の出力レベルが同じ場合であっても、検波器24による検出値が異なる場合がある。そこで、本実施の形態においては、RF信号の複数の変調方式(ここでは、アナログとデジタル)のそれぞれに対応した変換グラフが記憶部32に記憶されており、RF信号の変調方式に対応した変換グラフに基づいて、検波器24からの出力値を光変調度に変換する。
【0063】
より具体的には、変換グラフは、RF信号が取り得る伝送周波数に応じてCATV帯域用とBS・CS帯域用に大別されており、さらにCATV帯域用の変換グラフは、アナログ用とデジタル用に大別されており、それぞれに1又は複数の変換グラフが記憶されている。すなわち、記憶部32は、検波器24による検出値を光変調度に変換するための変換情報を、検波器24の周波数特性が異なる帯域毎に格納する変換情報格納手段として機能する。
【0064】
また、記憶部32に記憶されるその他の設定情報としては、伝送周波数帯域と変調方式がある。伝送周波数帯域は、RF信号の周波数帯域である。変調方式は、RF信号の変調方式であって、ここでは、アナログ変調とデジタル変調のいずれかである。
【0065】
このように記憶部32に記憶される各種の情報は、後述する光変調度調整処理に先立って、入力部33を介してユーザによって設定される。また、ユーザは、入力部33を介してこれらの情報を任意のタイミングで変更することができる。
【0066】
あるいは、これらの情報の一部を送信制御部30の制御部31が算定して記憶部32に設定するようにしてもよい。例えば、図3のパラメータ設定テーブルを構成する情報のうち、ユーザが波数を入力部33を介して変更した場合には、当該変更前における波数に対するアラーム上限閾値、アラーム下限閾値、又は目標光変調度の比率や差分と、当該変更後の波数に基づいて、アラーム上限閾値、アラーム下限閾値、又は目標光変調度を制御部31が自動的に算定して変更するようにしてもよい。例えば、変更前が、波数=80、アラーム下限閾値=15.0%である場合、波数=72に変更された場合には、変更後のアラーム下限閾値=(72/80)1/2×15=14.2%とする。また、目標変調度は基本的に一定であるが、変更後の波数に基づいて、目標変調度も変更するようにしても良い。
【0067】
(処理)
次に、送信制御部30にて行われる光変調度調整処理について説明する。なお、この光変調度調整処理以外の光送信機1の制御や処理は、従来の光送信機と同様に行うことができるのでその説明を省略する。図5は光変調度調整処理のフローチャートである(以下、ステップは「S」と略記する)。この光変調度調整処理は、特記する場合を除いては、光送信機1の起動後に、制御部31により常時繰り返して行われているものとする。また、この処理に先立って、記憶部32には、上述のパラメータ設定処理により設定されたパラメータを含むパラメータ設定テーブルと、変換グラフとが、記憶されているものとする。
【0068】
最初に、制御部31は、RF信号の伝送周波数帯域及び変調方式を特定する(SA1)。具体的には、制御部31は、記憶部32に記憶された設定情報を参照し、光変調度の検出において一番支配的となる伝承周波数帯域及び変調方式を特定する。図3の例ではCATVアナログ波、CATVデジタル波、BS・CSの総合光変調度は目標光変調度(%)×(波数)1/2で計算され、それぞれ23.2%、19.7%、13.2%となる。これより、CATVアナログ波の光変調度が一番大きく、一番支配的となるため、制御部31は、伝送周波数帯域をCATV帯、変調方式をアナログ変調と特定する。
【0069】
次いで、制御部31は、検波器24からの出力値をRF信号の出力レベルに変換するために最適な変換グラフを特定する(SA2)。具体的には、記憶部32に記憶された複数の変換グラフの中から、SA1で特定した伝送周波数帯域に基づいて、CATV帯域用とBS・CS帯域用のいずれの変換グラフを選択するかを決定する。そして、CATV帯域用の変換グラフを選択すべきと決定した場合には、SA1で特定した変調方式に基づいて、CATV帯域用の変換グラフの中からアナログ用とデジタル用のいずれの変換グラフを選択すべきかを決定し、このように決定した変換グラフの中から、SA1で特定した伝送周波数帯域に最も近い帯域用の変換グラフを一つ選択する。あるいは、BS・CS帯域用の変換グラフを選択すべきと決定した場合には、BS・CS帯域用の変換グラフの中から、SA1で特定した伝送周波数帯域に最も近い帯域用の変換グラフを一つ選択する。このように変換グラフを選択することで、RF信号の伝送周波数帯域や変調方式に合致した特性の変換グラフを用いて変換を行うことが可能となり、光変調度の算定精度を高めることが可能となる。
【0070】
また、制御部31は、検波器24からの出力値を平均化処理する(SA3)。すなわち、検波器24の出力値(具体的には出力電圧値)は、RF信号の変調方式によって異なる場合がある。特に、変調方式がアナログ変調である場合には、RF信号の振幅変動によって映像を伝送するので、検波器24の反応速度が速い場合には当該検波器24の出力値が当該振幅変動に起因して変動する場合がある。そこで、本実施の形態においては、検波器24からの出力値を平均化処理することで、検波器24の出力値の変動による悪影響を低減する。例えば、制御部31は、検波器24からの出力値を所定時間(例えば、数10ms〜数100ms)だけ継続して取得し、当該取得した出力値の総和を算定し、当該算定した総和を当該取得数で除算することで、平均出力値を算定し、当該算定した平均出力値を、検波器24からの出力値として使用する。なお、このような平均化処理は、ソフトウェアにより行う他、ハードウェアにより行ってもよく、例えば、検波器24の出力にLPF(Low Pass Filter)を接続して平均化処理を行い、このLPFの出力を検波器24からの出力値として後段側で使用してもよい。
【0071】
次いで、制御部31は、SA3で平均化された検波器24からの出力値を、SA2で特定した変換グラフを用いて、光変調度に変換する(SA4)。そして、制御部31は、このように変換した光変調度を出力部34における液晶パネルに表示する(SA5)。このような表示を行うことにより、ユーザは、光変調度を容易かつ正確に把握することが可能になる。
【0072】
その後、制御部31は、1波当たりの光変調度を算定して表示する(SA6)。具体的には、制御部31は、SA1で特定されたRF信号の伝送周波数帯域と変調方式の組み合わせに対応する波数を、記憶部32のパラメータ設定テーブルから取得し、当該取得した波数により、SA4で変換された光変調度を除算することで、1波当たりの光変調度を算定する。例えば、図3の例ではSA4で変換された光変調度が33%であった場合、1波当たりの光変調度はCATVアナログ波で90.3dBμ、CATVデジタル波およびBS・CSで80.3dBμ%と算定される(具体的には、図3では、7.0%の波数が11、2.2%の波数が80+36である。7.0%1波は2.2%の10波分に相当するため、7.0%×11波は2.2%×110波となる。よって、図3は、2.2%が110+80+36=226波となる。これより、1波あたりの光変調度は、CATVデジタル波およびBS・CS波で30/(226)1/2=2.2%となる。また、CATVアナログ波は2.2%の10波分であるため、2.2%×(10)1/2=7.0%となる)。そして、制御部31は、このように算定した帯域毎の1波当たりの光変調度を出力部34における液晶パネルに表示する(SA6)。このような表示を行うことにより、ユーザは、1波当たりの光変調度を容易かつ正確に把握することが可能になる。
【0073】
次いで、制御部31は、SA6で算定された光変調度を、記憶部32のパラメータ設定テーブルに格納されているアラーム上限閾値と比較し、光変調度がアラーム上限閾値以上である場合には(SA7、Yes)、出力部34からオーバー光変調度アラームを出力させた後(SA8)、SA9に移行し、光変調度がアラーム上限閾値以上でない場合には(SA7、No)、出力部34からオーバー光変調度アラームを出力させることなくSA9に移行する。オーバー光変調度アラームは、光変調度がアラーム上限閾値以上となった旨をユーザに報知するための警報出力であり、この目的が達成できる限りにおいてその具体的な出力形態は任意であるが、例えば、出力部34としての液晶パネルに当該旨を示すテキストを点滅表示し、あるいは、出力部34としてのスピーカから所定の警報音を出力する(後述するロー光変調度アラームの出力形態も同様)。このようなオーバー光変調度アラームの出力を行うことにより、ユーザは、光変調度が大きすぎるために光送信機1の歪が規格を逸脱していることを、容易かつ正確に把握することが可能になる。
【0074】
また、制御部31は、SA4で変換された光変調度を、記憶部32のパラメータ設定テーブルに格納されているアラーム下限閾値と比較し、光変調度がアラーム下限閾値以下である場合には(SA9、Yes)、出力部34からロー光変調度アラームを出力させた後(SA10)、SA11に移行し、RF信号の出力レベルがアラーム下限閾値以下でない場合には(SA9、No)、出力部34からロー光変調度アラームを出力させることなくSA11に移行する。このようなロー光変調度アラームの出力を行うことにより、ユーザは、光変調度が小さすぎるために光送信機1のCNRが規格を逸脱していることを、容易かつ正確に把握することが可能になる。
【0075】
次いで、制御部31は、目標光変調度に基づく利得制御を行う(SA11)。具体的には、制御部31は、SA1で特定されたRF信号の伝送周波数帯域と変調方式の組み合わせに対応する波数と目標光変調度を、記憶部32のパラメータ設定テーブルから取得し、当該波数と目標光変調度を相互に除算することで、RF信号の出力レベルの目標光変調度を算定する。例えば、図3の例では、目標光変調度7.0%の信号波が11波、2.2%の信号波が80+36=116波であるから、目標光変調度は2.2×(11×10+116)1/2=33.1%となる。そして、制御部31は、光変調度が、当該算定した合計の目標光変調度になるようにGC19、22の利得を自動調整する。より具体的には、目標光変調度に基づいて目標出力レベル(目標とするRF信号のレベル)を算定し、RF信号のレベルが当該算定した目標出力レベルになるようにGC19、22の利得を調整する。この目標出力レベルの算定は、目標光変調度を目標出力レベルに変換するための変換グラフ、変換式、又は変換テーブルを記憶部32に予め設定しておき、これら変換グラフ等を参照することで行うことができる。
【0076】
その後、制御部31は、光変調度の自動調整を継続するか否かを判定する(SA12)。すなわち、制御部31は、記憶部32のパラメータ設定テーブルから、目標光変調度自動調整フラグを取得し、当該目標光変調度自動調整フラグ=0の場合には、自動調整を継続して行わず、当該目標光変調度自動調整フラグ=1の場合には、自動調整を継続して行うものと判定する。
【0077】
そして、制御部31は、自動調整を継続して行わないものと判定した場合には(SA12、No)、GC19、22の設定をSA9で調整した利得に固定することなく、光変調度調整処理を終了する。この場合には、その後に再び光変調度調整処理が起動されてSA11の処理が行われた時点で、必要に応じて、GC19、22の利得が再度調整されることになる。以降、光変調度調整処理が起動されてSA11の処理が繰り返される毎に、その時点の条件に応じて、GC19、22の利得が自動的に調整される。このようにGC19、22の利得の自動調整を継続することが選択されるケースとしては、以下のようなケースが該当する。すなわち、光伝送システムにおいては、通常は光変調度が決まっている場合が多いため、このような場合には、当該光変調度になるようにGC19、22の利得を常に自動で調整することが選択される。
【0078】
一方、制御部31は、自動調整を継続して行うものと判定した場合には(SA12、Yes)、GC19、22の設定をSA9で調整した利得に固定した上で(SA13)、光変調度調整処理を終了する。この場合には、その後に再び光変調度調整処理が起動されてSA11の処理が行われた場合であっても、光送信機1の電源のOFF/ONがあった場合や、その他の所定の操作によって利得調整の再開が指示されるまで、GC19、22の利得は変更せずに固定する。このようにGC19、22の利得を固定することが選択されるケースとしては、以下のようなケースが該当する。すなわち、光伝送システムにおいて伝送波数が増減する可能性があり、このような場合にまでGC19、22の自動調整を継続すると、全体としての光変調度(総合光変調度)は一定となるが、1波あたりの光変調度が変化してしまい、光受信機側でのレベル変動を引き起こす可能性があり、このような事態を防止するためには、GC19、22の利得を固定することが選択される。
【0079】
ただし、SA11からSA13の利得調整を省略してもよく、この場合には、SA5やSA6で表示した光変調度を参照しつつ、ユーザが入力部33を介して手動でGC19、22の利得が最適値になるように調整するようにしてもよい。すなわち、GC19、22に代えて、あるいはGC19、22の前段又は後段に、光送信機1に入力されてからLD16に入力される迄のいずれかの状態におけるRF信号の利得を手動調整するための手動利得調整手段としてのボリュームを設け、出力部34によって出力された光変調度を参照しながら、ユーザがボリュームを介してRF信号のレベルを手動調整するようにしてもよい。この際、出力部34には、記憶部32に記憶された目標光変調度等の参照情報を合わせて出力することで、ユーザがこの参照情報を参照して調整を行うことができるようにしてもよい。このような構成によれば、光変調度を最適値に手動で調整することができる。
【0080】
(実施の形態1の効果)
これまで説明したように実施の形態1によれば、検波器24の検出値に基づいて光変調度が算定され、この光変調度に基づいて、LD16における光変調度を調整可能とするための所定の制御が行われるので、光変調度を容易かつ正確に調整することが可能となる。
また、1波毎の光変調度を調整可能とするための所定の制御が行われるので、多波運用時においても、波数に応じた利得の最適化を容易かつ正確に図ることが可能となる。
また、光変調度を帯域及び変調方式毎の波数にて除算することにより、1波毎の光変調度が算定されるので、帯域及び変調方式毎に1波毎の光変調度が異なる場合であっても、帯域及び変調方式毎の光変調度を容易かつ正確に算定することが可能となる。
また、RF信号の周波数に対応する変換情報に基づいて、検波器24の検出値を変換することにより光変調度を算定するので、検波器24の周波数特性によって検出値のレベルが変動する場合であっても、光変調度を容易かつ正確に算定することが可能となる。
また、光信号の変調方式に対応する変換情報に基づいて、検波器24の検出値を変換することにより光変調度を算定するので、光信号の変調方式によって検出値のレベルが変動する場合であっても、光変調度を容易かつ正確に算定することが可能となる。
また、検波器24の検出値に対する平均化処理の結果に基づいて所定の制御を行うので、検波器24の検出値のレベルがRF信号の振幅変動によって変動する場合であっても、光変調度を容易かつ正確に算定することが可能となる。
また、光変調度を手動調整するためのボリュームを設けた場合には、光変調度を最適値に手動で調整することができる。
また、RF信号の利得を調整するためのGC19、22を備えたので、光変調度を最適値に自動的に調整することができる。
また、送信制御部30にて算定された光変調度を表示する出力部34を備えたので、光変調度を出力部34を介してユーザが容易に確認することが可能となる。
【0081】
〔実施の形態2〕
次に、本発明の実施の形態2について説明する。この形態は、レーザダイオードに入力される電気信号を、周波数帯域別に伝送する複数の信号ラインを備え、信号ライン毎に検波手段を設けた形態である。ただし、特に説明なき構成及び処理については、実施の形態1の構成及び処理と同じであるものとし、実施の形態1と同じ構成及び処理については、実施の形態1で使用したものと同じ符号を付することでその説明を省略する。
【0082】
(構成)
図6は、本実施の形態2に係る光送信機のブロック図である。この光送信機2は、本実施の形態1に係る光送信機1とほぼ同様に構成されているが、第1の信号ライン40には分岐器42、第2の信号ライン41には分岐器43がそれぞれ設けられており、分岐器42に検波器44が接続され、分岐器43に検波器45が接続されており、これら検波器44と検波器45に共通の送信制御部50が図示のように接続されている点において異なる。分岐器42、43は、アンプ20、23にて増幅されたRF信号を分岐する分岐手段である。検波器44、45は、分岐器42、43にて分岐されたRF信号の信号レベルに応じた検出値を出力する検波手段である。送信制御部50は、光送信機2の各部を制御する送信制御手段であり、特記する構成を除き、実施の形態1の送信制御部30と同様に構成されている。
【0083】
送信制御部50の記憶部32に記憶されているパラメータ設定テーブルは、実施の形態1に係るパラメータ設定テーブルとほぼ同様に構成されているが、アラーム上限閾値及びアラーム下限閾値の各々が、CATV帯とBS・CS帯毎に設定されている点において異なる。また、記憶部32に記憶されている変換グラフは、実施の形態1に係る変換グラフとほぼ同様に構成されているが、各変調方式の変換グラフとして、CATV帯とBS・CS帯毎にさらに大別されており、CATV帯とBS・CS帯の各々において、RF信号が取り得る伝送周波数に含まれる複数の伝送周波数のそれぞれに対応した変換グラフが記憶されている。また、これら各変換グラフは、ミキサ14のf特性も加味して作成されている。すなわち、ミキサ14の前段側に接続された検波器44、45の検出値を光変調度に変換した場合に、この光変調度は、ミキサ14を経て光出力端子17から出力される際の光変調度に合致していることが好ましいが、このミキサ14で混合された場合に光変調度は伝送周波数帯域に応じて変動するため、この変動分を含めた値に変換されるように、各変換グラフが伝送周波数毎に作成されている。
【0084】
(処理)
このように構成された光送信機2を用いて、実施の形態1とほぼ同様に光変調度調整処理が行われるが、光変調度の検出や表示は、CATV帯とBS・CS帯でそれぞれ行われる。すなわち、図5のフローチャートにおいて、SA2では、検波器44からの出力値を光変調度に変換するための変換グラフは、CATV帯の変換グラフの中から選択され、検波器45からの出力値を光変調度に変換するための変換グラフは、BS・CS帯の変換グラフの中から選択される。また、SA3では、検波器44からの出力値と、検波器45からの出力値とが、それぞれ個別的に平均化処理される。また、SA4では、SA3で平均化された検波器44からの出力値が、SA2で特定した変換グラフを用いて光変調度に変換され、SA3で平均化された検波器45からの出力値が、SA2で特定した変換グラフを用いて光変調度に変換される。このように算定された光変調度は、CATV帯とBS・CS帯とで個別的に液晶パネルに表示されると共に、その合計値も液晶パネルに表示される。また、SA6では、1波当たりの光変調度が、CATV帯とBS・CS帯でそれぞれ個別的に行われ、その結果が個別的に液晶パネルに表示されると共に、その合計値も液晶パネルに表示される。さらに、SA7〜SA11では、アラーム上限閾値やアラーム下限閾値との比較によるアラーム出力が、CATV帯とBS・CS帯でそれぞれ個別的に行われる。
【0085】
(実施の形態2の効果)
これまで説明したように実施の形態2によれば、RF信号を周波数帯域別に伝送する第1の信号ライン40と第2の信号ライン41の各々に検波器44、45を備えたので、周波数帯域毎に光変調度の検出を行うことができ、周波数帯域毎に1波毎の光変調度が異なる場合であっても、周波数帯域毎の光変調度を容易かつ正確に算定することが可能となる。
【0086】
〔実施の形態3〕
次に、本発明の実施の形態3について説明する。この形態は、レーザダイオードに入力される電気信号を周波数帯域別に伝送する複数の信号ラインと、検波手段を複数の信号ラインに対して選択的に接続する接続手段とを備える形態である。ただし、特に説明なき構成及び処理については、実施の形態2の構成及び処理と同じであるものとし、実施の形態2と同じ構成及び処理については、実施の形態2で使用したものと同じ符号を付することでその説明を省略する。
【0087】
(構成)
図7は、本実施の形態3に係る光送信機のブロック図である。この光送信機3は、本実施の形態2に係る光送信機2とほぼ同様に構成されているが、第1の信号ライン50と第2の信号ライン51の各々に設けられた分岐器42、43には共通の切り替えスイッチ53が接続されており、この切り替えスイッチ53に1台の検波器52と送信制御部60が順次図示のように接続されている点において異なる。検波器52は、分岐器42、43にて分岐されたRF信号の信号レベルに応じた検出値を出力する検波手段である。送信制御部60は、光送信機3の各部を制御する送信制御手段であり、特記する構成を除き、実施の形態2の送信制御部50と同様に構成されている。切り替えスイッチ53は、検波器52を、複数の信号ライン50、51に対して選択的に接続する接続手段であり、例えば、手動スイッチや、自動スイッチ(リレーや半導体部品)にて構成されている。
【0088】
(処理)
このように構成された光送信機3を用いて、実施の形態2とほぼ同様に光変調度調整処理が行われる。例えば、切り替えスイッチ53として手動スイッチを用いた場合、ユーザが切り替えスイッチ53を切り替えることで分岐器42を検波器52に接続し、この状態において、CATV帯のRF信号に対してのみ実施の形態2と同様に光変調度調整処理を行う。その後、ユーザが切り替えスイッチ53を切り替えることで分岐器43を検波器52に接続し、この状態において、BS・CS帯のRF信号に対してのみ実施の形態2と同様に光変調度調整処理を行う。あるいは、切り替えスイッチ53として自動スイッチを用いた場合、制御部31が切り替えスイッチ53を制御して分岐器42と分岐器43を交互に検波器52に接続することで、CATV帯とBS・CS帯に対して交互に実施の形態2と同様に光変調度調整処理を行う。
【0089】
(実施の形態3の効果)
これまで説明したように実施の形態3によれば、RF信号を周波数帯域別に伝送する複数の信号ライン50、51と、検波器52を複数の信号ライン50、51に対して選択的に接続する切り替えスイッチ53を備えたので、共通の検波器52を用いて複数の信号ライン50、51におけるRF信号のレベルを検出することができ、複数の信号ライン50、51の各々に検波器52を設ける場合に比べて、光送信機3を簡易かつ安価に構成することができる。
【0090】
〔実施の形態4〕
次に、本発明の実施の形態4について説明する。この形態は、信号ラインを1本とした形態である。ただし、特に説明なき構成及び処理については、実施の形態1の構成及び処理と同じであるものとし、実施の形態1と同じ構成及び処理については、実施の形態1で使用したものと同じ符号を付することでその説明を省略する。
【0091】
(構成)
図8は、本実施の形態4に係る光送信機のブロック図である。この光送信機4は、本実施の形態1に係る光送信機1とほぼ同様に構成されているが、第1の信号ライン12と第2の信号ライン13が1本の信号ラインとして共通化されると共に、セパレータ11とミキサ14が省略されており、CATV帯のRF信号とBS・CS帯のRF信号とが分波されることなくGC19にて利得調整される点において異なる。そして、1本の信号ラインにおけるアンプ20とLD16との間に、分岐器70が接続され、この分岐器70に検波器71と送信制御部80が順次図示のように接続されている。ここでは、アンプ18は、CATV信号及びBS・CS信号を増幅し、GC19は、アンプ18にて増幅されたCATV信号及びBS・CS信号を固定利得で利得調整し、アンプ20は、GC19にて利得調整されたCATV信号及びBS・CS信号を増幅する。分岐器70は、アンプ20にて増幅されたRF信号を分岐する分岐手段である。検波器71は、分岐器70にて分岐されたRF信号の信号レベルに応じた検出値を出力する検波手段である。送信制御部80は、光送信機4の各部を制御する送信制御手段であり、特記する構成を除き、実施の形態1の送信制御部30と同様に構成されている。
【0092】
(処理)
このように構成された光送信機4を用いて、実施の形態1とほぼ同様に光変調度調整処理が行われる。ただし、送信制御部80の制御部31は、CATV帯とBS・CS帯で個別的に利得制御は行わず、RF信号の出力レベルの制御単位はCATV帯とBS・CS帯を一括した単位となるため、波数と1波当たりの目標光変調度についても、CATV帯とBS・CS帯を一括した単位で算定し、GCにより一括して利得の調整を行う。
【0093】
(実施の形態4の効果)
これまで説明したように実施の形態4によれば、1本の信号ラインによりRF信号を伝送し、この信号ラインに対して検波器71を接続したので、複数の信号ラインの各々に検波器71を設ける場合や、複数の信号ラインの各々に共通の検波器71を切り替えスイッチで切り替え接続する場合に比べて、光送信機4を簡易かつ安価に構成することができる。
【0094】
〔実施の形態5〕
次に、本発明の実施の形態5について説明する。この形態は、検波手段を、自動利得調整手段より後段側に設けた形態である。ただし、特に説明なき構成及び処理については、実施の形態4の構成及び処理と同じであるものとし、実施の形態4と同じ構成及び処理については、実施の形態4で使用したものと同じ符号を付することでその説明を省略する。
【0095】
(構成)
図9は、本実施の形態5に係る光送信機のブロック図である。この光送信機5は、本実施の形態4に係る光送信機4とほぼ同様に構成されているが、分岐器90がアンプ18とGC19の間に配置されており、この分岐器90に検波器91と送信制御部100が順次図示のように接続されている点において異なる。分岐器90は、アンプ18にて増幅されたRF信号を分岐する分岐手段である。検波器91は、分岐器90にて分岐されたRF信号の信号レベルに応じた検出値を出力する検波手段である。送信制御部100は、光送信機5の各部を制御する送信制御手段であり、特記する構成を除き、実施の形態1の送信制御部30と同様に構成されている。
【0096】
(処理)
このように構成された光送信機5を用いて、実施の形態4とほぼ同様に光変調度調整処理が行われる。ただし、送信制御部100の制御部31は、この処理では、GC19の前段側において検波したRF信号の出力レベルにより変換された光変調度に基づいてGC19の利得を調整することになり、GC19の利得調整の結果がRF信号の出力レベルの検出に反映されず、いわゆるフィードバック制御とならないため、RF信号のレベルが安定する。ただし、ここでは、1波当たりの光変調度や総合光変調度を出力する場合には、検波器91で検波したRF信号の出力レベルに対して、GC19の利得調整による出力レベルの増減分を反映させた上で、出力を行う。
【0097】
(実施の形態5の効果)
これまで説明したように実施の形態5によれば、検波器91をGC19より前段側に設けたので、GC19の前段側で検出したRF信号の出力レベルに基づいて利得を調整することができ、利得調整の結果がRF信号の出力レベルの検出に反映されず、いわゆるフィードバック制御とならないため、RF信号のレベルを安定させることができる。
【0098】
〔実施の形態6〕
次に、本発明の実施の形態6について説明する。この形態は、各周波数毎の電気信号を検知して検波手段に出力する形態である。ただし、特に説明なき構成及び処理については、実施の形態1の構成及び処理と同じであるものとし、実施の形態1と同じ構成及び処理については、実施の形態1で使用したものと同じ符号を付することでその説明を省略する。
【0099】
(構成)
図10は、本実施の形態6に係る光送信機のブロック図である。この光送信機6は、本実施の形態1に係る光送信機1とほぼ同様に構成されているが、分岐器15と検波器24の間に、発振器110、ミキサ111、及びBPF(Band Pass Filter)112を図示のように接続して構成されている。発振器110は、所定の周波数の基準信号を出力する基準信号出力手段である。ミキサ111は、分岐器15にて分岐されたRF信号と発振器110からの基準信号を混合する周波数変換手段である。BPF112は、ミキサ111にて混合された信号から高周波成分等の不要部分を除去して所望の周波数の信号のみを通過させる周波数選択手段である。これら発振器110、ミキサ111、及びBPF112は、各周波数毎のRF信号を取得して検波器24に出力する電気信号周波数単位取得手段として機能する。
【0100】
送信制御部30の記憶部32に設定されるパラメータ設定テーブルは、本実施の形態1に係るパラメータ設定テーブルとほぼ同様に構成されているが、アラーム上限閾値、アラーム下限閾値、目標光変調度、及び目標光変調度自動調整フラグが、各波毎に設定されている。例えば、CATVについて、アナログ波が11波、デジタル波が80波である場合には、アナログ波の11波の各波毎に対して、アラーム上限閾値、アラーム下限閾値、目標光変調度、及び目標光変調度自動調整フラグが設定されており、デジタル波の80波の各々に対して、アラーム上限閾値、アラーム下限閾値、目標光変調度、及び目標光変調度自動調整フラグが設定されている。また、本実施の形態6に係る変換グラフは、本実施の形態1に係る変換グラフとほぼ同様に構成されているが、各波毎(各周波数毎)に対応した変換グラフを記憶されている。
【0101】
(処理)
このように構成された光送信機6を用いて、実施の形態1とほぼ同様に光変調度調整処理が行われるが、光変調度の検出や表示は、各波毎に行われる。すなわち、図5のフローチャートにおいて、SA1では、制御部31は、発振器110を制御して基準信号の周波数を変えながら、RF信号の伝送周波数、RF信号の変調方式、及びRF信号の波数を特定する。例えば、RF信号の波数は、信号キャリアの有無を検出することにより特定することもできる。また、制御部31は、SA2からSA11の処理を、発振器110を制御して基準信号の周波数を変えながら各波毎に行う。例えば、SA4では、SA3で平均化された検波器24からの出力値が、SA2で特定した変換グラフを用いて、光変調度に変換され、SA5では、各波毎の光変調度が液晶パネルに表示され、SA6では、各波毎の光変調度がそれぞれ個別的に液晶パネルに表示される。さらに、SA7からSA11では、アラーム上限閾値やアラーム下限閾値との比較によるアラーム出力が、各波毎に個別的に行われる。
【0102】
また、本実施の形態においては、目標光変調度の計算を制御部31に自動的に行わせることができ、この場合において、「総合光変調度最適値モード」、「上限値遵守モード」、「下限値遵守モード」、「平均値最適モード」、あるいは「中央値最適モード」の如き所定モードの中で、ユーザが入力部33を介して選択したモードによる目標光変調度の計算を行わせることができる。
【0103】
「総合光変調度最適値モード」とは、総合光変調度が最適になるように設定するモードである。このモードが選択された場合において、制御部31は、記憶部32に設定されている情報を参照して、全ての波の目標光変調度の合計値を算定し、当該算定した合計値を、総合光変調度に対する目標光変調度として、GC19、22による利得調整を行う。例えば、図3のパラメータ設定テーブルに示すように、伝送周波数帯域毎に目標光変調度が設定されている場合には、当該伝送周波数帯域毎の目標光変調度の合計値を算定し、当該算定した合計値を、総合光変調度に対する目標光変調度として、GC19、22による利得調整を行う。
【0104】
「上限値遵守モード」とは、全ての波が上限値以上にならないように設定するモードである。このモードが選択された場合、制御部31は、記憶部32に設定されている情報を参照して、各波毎のアラーム上限閾値を算定し、当該算定したアラーム上限閾値以上にならないように、GC19、22による利得調整を行う。この場合の目標光変調度は、当該算定したアラーム上限閾値に対して所定値や所定割合だけ減算したレベルを設定する。例えば、図3のパラメータ設定テーブルに示すように、総合光変調度に対してアラーム上限閾値が設定されている場合には、当該アラーム上限閾値を波数で除算することで、各波毎のアラーム上限閾値を算定することができる。
【0105】
「下限値遵守モード」とは、全ての波が下限値以下にならないように設定するモードである。このモードが選択された場合、制御部31は、記憶部32に設定されている情報を参照して、各波毎のアラーム下限閾値を算定し、当該算定したアラーム下限閾値以下にならないように、GC19、22による利得調整を行う。この場合の目標光変調度は、当該算定したアラーム下限閾値に対して所定値や所定割合だけ加算したレベルを設定する。例えば、図3のパラメータ設定テーブルに示すように、総合光変調度に対してアラーム下限閾値が設定されている場合には、当該アラーム下限閾値を波数で除算することで、各波毎のアラーム下限閾値値を算定することができる。
【0106】
「平均値最適モード」とは、総合光変調度を波数で割って得られる光変調度平均値が、1波に対する最適値となるように設定するモードである。このモードが選択された場合、制御部31は、記憶部32に設定されている情報を参照して、目標光変調度の各波に対する平均値を算定し、当該算定した平均値を、各波の出力レベルに対する目標光変調度として、GC19、22による利得調整を行う。例えば、図3のパラメータ設定テーブルに示すように、伝送周波数帯域毎に目標光変調度が設定されている場合には、当該伝送周波数帯域毎の目標光変調度をその波数で除算することで平均値を算定する。
【0107】
「中央値最適モード」とは、総合光変調度を統計的に計算して得られる光変調度の中央値が最適値となるように設定するモードである。このモードが選択された場合、制御部31は、各波に対するRF出力レベルを大きい順に並べ、その全体の中央にくる値を中央値とし、あるいは、波数が偶数の場合には、中央にある二つの値の平均値を中央値とする。そして、この中央値を、各波の出力レベルに対する目標出力レベルとして、GC19、22による利得調整を行う。
【0108】
なお、これまでに説明した「下限値遵守モード」、「平均値最適モード」、及び「中央値最適モード」の場合、ある信号がOFFまたは極端に小さくなった場合、問題が起きることがある。すなわち、「下限値遵守モード」では、RF出力レベルが小さ過ぎると、ゲインが極端に大きくなり過ぎる。また、「平均値最適」モードでは、RF出力レベルが小さ過ぎると、「下限値遵守モード」より若干改善されるものの、やはりゲインが大きくなる。また、「中央値最適モード」ではその影響はないと考えられるが、OFFしている波数が多い場合には、中央値自身がOFF時のレベルとなる可能性が出ているため、やはりゲインが大きくなり過ぎる。よって、これらのモードにおけるRF出力レベルのON/OFF判定閾値を予め設定しておき、制御部31は、これらのモードが選択された場合において、RF出力レベルが当該判定閾値を下回った場合は、当該値を標本から除外し、標本数(=波数)も当該除外した値の数だけ減じた上で、当該除外されずに残った標本と、当該減じた標本数とに基づいて、上記算定を行ってもよい。
【0109】
(実施の形態6の効果)
これまで説明したように実施の形態6によれば、各周波数毎のRF信号を取得して検波器24に出力するRF信号周波数単位取得手段を備えたので、RF信号のレベルの検出を各周波数毎に行うことができ、各波毎の光変調度を容易かつ正確に検出することが可能となる。
【0110】
〔実施の形態7〕
次に、本発明の実施の形態7について説明する。この形態は、補償手段を用いて検波器のf特性を補償する形態である。ただし、特に説明なき構成及び処理については、実施の形態1の構成及び処理と同じであるものとし、実施の形態1と同じ構成及び処理については、実施の形態1で使用したものと同じ符号を付することでその説明を省略する。
【0111】
(構成)
図11は、本実施の形態7に係る光送信機のブロック図である。この光送信機7は、本実施の形態1に係る光送信機1とほぼ同様に構成されているが、分岐器15と検波器25の間に、TILT回路120を接続して構成されている。TILT回路120は、検波器25のf特性を補償する補償手段であり、RF信号のレベルが広帯域に渡ってほぼフラットになるように、設定されている。例えば、TILT回路120は、検波器25のf特性とほぼ逆の特性により、RF信号の周波数が高くなる程、RF信号のレベルを増大させるように設定されている。また、本実施の形態において、記憶部32に記憶される変換グラフとしては、RF信号が取り得る伝送周波数に関わらず共通の変換グラフが設定されている。
【0112】
(処理)
このように構成された光送信機7を用いて、実施の形態1とほぼ同様に光変調度調整処理が行われるが、検波器25の出力値から光変調度への変換は、記憶部32に記憶された共通の変換グラフを用いて行われる。すなわち、分岐器15で分岐されたRF信号は、TILT回路120でレベル補償された後、検波器25に入力されるので、送信制御部30の制御部31は、図5のフローチャートにおいて、SA2の処理を省略し、SA4において、記憶部32に記憶された共通の変換グラフを用いて、検波器25の出力値を光変調度に変換する。
【0113】
(実施の形態7の効果)
これまで説明したように実施の形態7によれば、検波器25の周波数特性を補償するためのTILT回路120を備えたので、RF信号のレベルを広帯域に渡ってフラットにすることができ、検波器25の周波数特性に応じて複数の変換情報を保持する必要がなくなるため、複数の変換情報を用いなくても、光変調度を容易かつ正確に検出することが可能となる。
【0114】
〔変形例〕
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例の一部について説明する。
【0115】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0116】
(各実施の形態や各変形例の相互の適用について)
各実施の形態や各変形例は、その一部を相互に交換してもよい。例えば、実施の形態7において、検波器25の前段にTILT回路120を設けているが、同様に、実施の形態2における各検波器44、45の前段にもTILT回路120を設けることができる。
【0117】
(電気信号のレベルの制御について)
検波器24、44、45、52、71、91によって検波された検出値に基づいて変換された光変調度に基づく、アラーム上限閾値又はアラーム下限閾値との比較や、目標光変調度による制御は、回路構成上において可能な限りにおいて、各波毎又は複数波毎のいずれであってもよい。例えば、実施の形態1では、複数波の合計の総合光変調度に対するアラーム上限閾値及びアラーム下限閾値を設定しているが、1波毎のアラーム上限閾値及び1波毎のアラーム下限閾値を設定し、これら1波毎のアラーム上限閾値及び1波毎のアラーム下限閾値を、上述のように算定された1波毎の光変調度と比較することで、アラームの要否の判定を行うようにしてもよい。また、実施の形態1では、伝送周波数帯域毎に目標光変調度を設定しているが、複数波の合計出力レベルが制御可能な回路構成である場合には、総合光変調度に対する目標光変調度を設定し、この目標光変調度に基づいて総合光変調度を制御してもよい。あるいは、1波毎の出力レベルが制御可能な回路構成である場合には、1波毎の目標光変調度を設定し、この目標光変調度に基づいて、1波毎の目標光変調度を制御してもよい。
【0118】
(電気信号の伝送周波数帯域、変調方式、及び波数の特定について)
上記各実施の形態においては、RF信号の伝送周波数帯域、変調方式、及び波数を、記憶部32に記憶された情報を参照することで特定しているが、この他にも、RF信号を公知の方法で解析することで特定する等、他の方法にて特定することができる。
【0119】
(変換情報について)
上記各実施の形態では、記憶部32に記憶された変換グラフを用いて光変調度を算定しているが、変換グラフに代えて、変換式や変換テーブルを用いてもよい。変換式とは、検波器24、44、45、52、71、91の出力値を光変調度に変換する算定式であり、変換テーブルとは、検波器24、44、45、52、71、91の出力値と光変調度とを相互に対応させて設定されたテーブルである。例えば、変換グラフの場合と同様に、これら変換式や変換テーブルを各変調方式や各伝送周波数帯域に応じて記憶部32に複数設定しておき、各変調方式や各伝送周波数帯域に基づいて一つの変換式や変換テーブルを選択し、当該選択した変換式や変換テーブルを用いて検波器24、44、45、52、71、91の出力値を光変調度に変換することができる。
【0120】
また、これら変換グラフ、変換式、あるいは変換テーブルは、これは次のような場合にも役に立つ。すなわち、VFH帯域のアナログ放送波をメインで運用している場合には、VFH帯域のいずれかの周波数に応じて設定された変換グラフ、変換式、あるいは変換テーブルを使用して変換を行い、アナログ放送波が停波となった場合には、UHF帯域の周波数に応じて設定された変換グラフ、変換式、あるいは変換テーブルに切り替えて変換を行うことで、光変調度の検出精度を向上させることができる。このような切り替えは、ユーザが入力部33を介して手動で行ってもよく、あるいは、実施の形態1等と同様に、制御部が、周波数帯域及び変調方式を特定することで自動的に行ってもよい。
【符号の説明】
【0121】
1〜7 光送信機
10 入力端子
11 セパレータ
12、40、50 第1の信号ライン
13、41、51 第2の信号ライン
14、111 ミキサ
15、42、43、70、90 分岐器
16 LD
17 光出力端子
18、20、21、23 アンプ
19、22 GC
24、44、45、52、71、91 検波器
30、50、60、80、100 送信制御部
31 制御部
32 記憶部
33 入力部
34 出力部
53 切り替えスイッチ
110 発振器
112 BPF
120 TILT回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気信号を光信号に変換して送信する光送信機であって、
前記電気信号を前記光信号に変換するためのレーザダイオードと、
当該光送信機に入力されてから前記レーザダイオードに入力される迄のいずれかの状態における電気信号のレベルに応じた検出値を出力する検波手段と、
前記検波手段の検出値に基づいて前記レーザダイオードにおける光変調度を算定し、当該算定した光変調度に基づいて、前記レーザダイオードにおける光変調度を調整可能とするための所定の制御を行うための制御手段と、
を備える光送信機。
【請求項2】
前記電気信号は複数波の電気信号を含み、
前記複数波の波数を格納するための波数格納手段を備え、
前記制御手段は、前記検波手段の検出値に基づいて算定した光変調度と、前記波数格納手段にて格納された波数とに基づいて、1波毎の光変調度を算定し、当該算定した1波毎の光変調度に基づいて、当該1波毎の光変調度を調整可能とするための所定の制御を行う、
請求項1に記載の光送信機。
【請求項3】
前記波数格納手段は、前記複数波の波数を、前記光信号の帯域及び変調方式毎に格納し、
前記制御手段は、前記検波手段の検出値に基づいて算定した光変調度と、前記波数格納手段にて格納された前記帯域及び前記変調方式毎の波数とに基づいて、前記帯域及び前記変調方式毎における前記1波毎の光変調度を算定する、
請求項2に記載の光送信機。
【請求項4】
前記検波手段の検出値を光変調度に変換するための変換情報を、前記検波手段の周波数特性が異なる帯域毎に格納する変換情報格納手段を備え、
前記検波手段は、前記電気信号のレベルに応じた検出値であって、当該検波手段の周波数特性に応じた検出値を出力し、
前記制御手段は、前記変換情報格納手段にて格納された変換情報の中から前記電気信号の周波数に対応する前記帯域の変換情報を取得し、当該取得した変換情報に基づいて前記検波手段の検出値を変換することにより前記光変調度を算定し、当該算定した光変調度に基づいて、前記所定の制御を行う、
請求項1から3のいずれか一項に記載の光送信機。
【請求項5】
前記変換情報格納手段は、前記変換情報を、前記光信号の変調方式毎に格納し、
前記検波手段は、前記電気信号のレベルに応じた検出値であって、前記光信号の変調方式に応じた検出値を出力し、
前記制御手段は、前記変換情報格納手段にて格納された変換情報の中から前記光信号の変調方式に対応する前記変換情報を取得し、当該取得した変換情報に基づいて前記検波手段の検出値を変換することにより前記光変調度を算定し、当該算定した光変調度に基づいて、前記所定の制御を行う、
請求項4に記載の光送信機。
【請求項6】
前記制御手段は、前記検波手段の検出結果に対する平均化処理を行い、当該平均化処理の結果に基づいて前記光変調度を算定する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の光送信機。
【請求項7】
前記レーザダイオードに入力される電気信号を、周波数帯域別に伝送する複数の信号ラインを備え、
前記信号ライン毎に前記検波手段を設けた、
請求項1に記載の光送信機。
【請求項8】
前記レーザダイオードに入力される電気信号を、周波数帯域別に伝送する複数の信号ラインと、
前記検波手段を、前記複数の信号ラインに対して選択的に接続する接続手段と、
を備える請求項1に記載の光送信機。
【請求項9】
当該光送信機に入力されてから前記レーザダイオードに入力される迄のいずれかの状態における電気信号の利得を手動調整するための手動利得調整手段、
を備える請求項1から8のいずれか一項に記載の光送信機。
【請求項10】
前記制御手段にて算定された光変調度に基づいて、当該光送信機に入力されてから前記レーザダイオードに入力される迄のいずれかの状態における電気信号の利得を調整するための自動利得調整手段、
を備える請求項1から9のいずれか一項に記載の光送信機。
【請求項11】
前記検波手段を、前記自動利得調整手段より前段側に設けた、
請求項10に記載の光送信機。
【請求項12】
当該光送信機に入力されてから前記レーザダイオードに入力される迄のいずれかの状態における電気信号から、各周波数毎の電気信号を取得して、前記検波手段に出力する電気信号周波数単位取得手段を備えた、
請求項1から11のいずれか一項に記載の光送信機。
【請求項13】
前記検波手段の周波数特性を補償するための補償手段を備えた、
請求項1から3のいずれか一項に記載の光送信機。
【請求項14】
前記制御手段にて算定された光変調度を表示する表示手段を備えた、
請求項1から13のいずれか一項に記載の光送信機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−9577(P2012−9577A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143221(P2010−143221)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】