説明

光電変換素子及び太陽電池

【課題】新規で、変換効率が高く、高耐久性の化合物を用いた、高効率の光電変換素子及びそれを用いた太陽電池を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物を有することを特徴とする光電変換素子及びそれを用いた太陽電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換素子及び太陽電池に関し、さらに詳しくは、色素増感された光電変換素子及び太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無限で有害物質を発生しない太陽光の利用が精力的に検討されている。このクリーンエネルギー源である太陽光利用として現在実用化されているものは、住宅用の単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン及びテルル化カドミウムやセレン化インジウム銅等の無機系太陽電池が挙げられる。
【0003】
しかしながら、これらの無機系太陽電池の欠点としては、例えば、シリコン系では、非常に純度の高いものが要求され、当然精製の工程は複雑でプロセス数が多く、製造コストが高いことが挙げられる。
【0004】
その一方で、有機材料を使う太陽電池も多く提案されている。有機太陽電池としては、p型有機半導体と仕事関数の小さい金属を接合させるショットキー型光電変換素子、p型有機半導体とn型無機半導体、あるいはp型有機半導体と電子受容性有機化合物を接合させるヘテロ接合型光電変換素子等があり、利用される有機半導体は、クロロフィル、ペリレン等の合成色素や顔料、ポリアセチレン等の導電性高分子材料、またはそれらの複合材料等である。これらを真空蒸着法、キャスト法、またはディッピング法等により、薄膜化し電池材料が構成されている。有機材料は低コスト、大面積化が容易等の長所もあるが、変換効率は1%以下と低いものが多く、また耐久性も悪いという問題もあった。
【0005】
こうした状況の中で、良好な特性を示す太陽電池がスイスのグレッツェル博士らによって報告された(非特許文献1参照)。提案された電池は色素増感型太陽電池であり、ルテニウム錯体で分光増感された酸化チタン多孔質薄膜を作用電極とする湿式太陽電池である。この方式の利点は酸化チタン等の安価な金属化合物半導体を高純度まで精製する必要がないこと、従って安価で、更に利用できる光は広い可視光領域にまでわたっており、可視光成分の多い太陽光を有効に電気へ変換できることである。
【0006】
反面、資源的制約があるルテニウム錯体が使われているため、この太陽電池が実用化された場合に、ルテニウム錯体の供給が危ぶまれている。また、このルテニウム錯体は高価で有ることと、経時での安定性に問題があり、安価で安定な有機色素へ変更することが出来れば、この問題は解決出来る。
【0007】
この電池の色素としてトリフェニルアミン構造を有する化合物を用いると光電変換効率が高い素子が得られることが開示されている(特許文献1参照。)。しかしながら、これらの色素は酸化チタンへの吸着が低かったり、高い増感効果を得るには至っておらず、また、耐久性にも問題があることがわかった。
【特許文献1】特開2005−123033号公報
【非特許文献1】Nature,353,737(1991),B.O′ReganとM.Gratzel
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、新規で、変換効率が高く、高耐久性の化合物を用いた、高効率の光電変換素子及びそれを用いた太陽電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
【0010】
1.対向電極間に、下記一般式(1)又は下記一般式(2)で表される化合物を含有することを特徴とする光電変換素子。
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、XはO、S又はNR′を表す。R1、R2、R3およびR′は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、チオアルキル基、アミノ基、アゾ基、アリール基、水酸基、カルボキシル基、チオール基、カルボニル基、複素環基及び芳香族複素環基から選ばれる少なくとも1つの基を表す。但し、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、チオアルキル基、アミノ基、アゾ基、アリール基、カルボニル基、複素環基及び芳香族複素環基は、置換されても良い。尚、R1、R2、R3およびR′は、互いに、或いは他の結合原子を介して環状構造を形成しても良い。)
【0013】
【化2】

【0014】
(式中、XはO、S又はNR″を表す。R4、R5、R6、R7、R8、およびR″は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、チオアルキル基、アミノ基、アリール基、水酸基、カルボキシル基、チオール基、カルボニル基、複素環基及び芳香族複素環基から選ばれる少なくとも1つの基を表す。但し、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、チオアルキル基、アミノ基、アリール基、カルボニル基、複素環基及び芳香族複素環基は、置換されても良い。尚、R4、R5、R6、R7、R8、およびR″は、互いに、或いは他の結合原子を介して環状構造を形成しても良い。)
2.前記光電変換素子が、対向電極間に、上記一般式(1)又は上記一般式(2)で表される化合物を担持してなる半導体層と、電解質層とが設けられていることを特徴とする前記1に記載の光電変換素子。
【0015】
3.前記一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物が、酸性基を有することを特徴とする前記1又は2に記載の光電変換素子。
【0016】
4.前記1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子を有することを特徴とする太陽電池。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、変換効率が高く、耐久性に優れた光電変換素子及び太陽電池を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
光電変換素子及び太陽電池は、光照射による電荷発生と、それに続く電気伝導が繰り返し行われるが、我々は、これら電荷発生、電気伝導の特性が、π電子共役構造や孤立電子対を持つヘテロ原子に影響されると予想し、特に窒素、酸素、或いは硫黄原子を含む複素環の構造を有する場合に、電気的特性の向上が出来ることを見出し、本願発明を完成させた。
【0019】
本発明を更に詳しく説明する。まず、本発明の一般式(1)で表される化合物について説明する。
【0020】
一般式(1)において、XはO、S又はNR′を表す。
【0021】
一般式(1)において、R1、R2、R3およびR′で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等を挙げることができる。
【0022】
更に、R1、R2、R3およびR′で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等を挙げることができる。
【0023】
アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基、イソプロペニル基等を挙げることができる。
【0024】
アルキニル基としては、エチニル基、プロパルギル基等を挙げることができる。
【0025】
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等を挙げることができる。
【0026】
チオアルキル基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等を挙げることができる。
【0027】
アミノ基としては、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等を挙げることができる。
【0028】
アリール基としては、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等を挙げることができる。
【0029】
カルボニル基としては、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等を挙げることができる。
【0030】
複素環基としては、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等を挙げることができる。
【0031】
芳香族複素環基としては、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、フタラジニル基等を挙げることができる。
【0032】
これらの、アルキル基〜芳香族複素環基は、さらに置換基を有していてもよい。置換基としては、上記アルキル基〜芳香族複素環基を挙げることができる。
【0033】
これらの置換基において、上記一般式(1)または上記一般式(2)で表される化合物を半導体層に坦持する場合には、半導体層に積極的に吸着し、色素で発生した電荷を半導体層に速やかに移動させることの出来る構造を有することが望ましく、そのような置換基としては、孤立電子対を持ち半導体層に配位結合する構造を有することが好ましい。本発明の化合物は一般式(1)および一般式(2)で示すように孤立電子対を持つ窒素および酸素または硫黄を有する構造であり、これらの原子のみでもその効果を有するが、周辺置換基にもそのような孤立電子対を持ち配位結合する構造を有する事が望ましい。孤立電子対を持ち配位結合する構造としては、ピリジル基、ピラゾール、ピラゾリン、オキサゾール、チオアゾール、イミダゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、等の含窒素、酸素、あるいは硫黄化合物等が挙げられる。また、より好ましくは、共有結合し、より強固な結合をする、酸性基を有する事が好ましい。酸性基としては、カルボキシル基、スルホ基、スルフィノ基、スルフィニル基、ホスホリル基、ホスフィニル基、ホスホノ基、チオール基、ヒドロキシ基等が挙げられる。
【0034】
更に好ましくは、強い電子求引性基であるシアノ基を吸着基の近傍に有する事により、電荷発生部位からの電荷分離が起こり易くなり、半導体層への電荷注入が起こり易く、高い光電変換が得られる。
【0035】
上記一般式(2)において、XはO、S又はNR″を表す。また、R4、R5、R6、R7、R8、およびR″で表される、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、チオアルキル基、アミノ基、アリール基、カルボニル基、複素環基及び芳香族複素環基は、上述した一般式(1)で述べた各置換基と同義の基を挙げることができる。またアルキル基〜芳香族複素環基は、さらに置換基を有していてもよく、置換基としては、上述した一般式(1)で述べたアルキル基〜芳香族複素環基を挙げることができる。
【0036】
中でも、2−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)−オキサゾール核を有する色素は、特に耐光性が良く、耐久性のある光電変換素子が得られる。
【0037】
例示化合物A−5の合成
母核2−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)−ベンゾオキサゾールは特開平7−13369号等の公知の方法を用いて製造した。
【0038】
【化3】

【0039】
2−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)−ベンゾオキサゾール 36.2g(0.1モル)を塩化メチレン250mlに溶解し、N,N−ジメチルホルムアミド31mlを加え、氷冷下5℃でオキシ塩化リン30mlを滴下した。次いで、室温で2時間撹拌した後、約40℃で還流し、放冷後、塩化メチレン200mlで希釈し、炭酸カリウム水溶液で中和した。中和液の有機相を分取し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した後、減圧濃縮し、得られた残査をカラムクロマトグラフィーにより精製して、ホルミル化された中間体(1)を23g得た。
【0040】
上記中間体(1)の2.0g、シアノ酢酸(0.6g)、酢酸アンモニウム(0.8g)を酢酸5.0gに溶解し、120℃で加熱攪拌30分後、加熱を停止すると直ぐに固化した。室温まで冷却後、水(50ml)を加えて攪拌し、結晶を濾取し、結晶をビーカーに移し、水(100ml)で2回洗浄し、次いで2−プロパノール(50ml)で2回洗浄し、例示化合物A−5を1.5g得た。
【0041】
例示化合物A−7の合成
【0042】
【化4】

【0043】
Atkinson,R.E.;Hardy,F.E.;J.Chem.Soc.,Perkin Trans2,1972,27.に従って合成した、2−[2,2’]ビチオフェニル−5−イル−ベンゾオキサゾール28.3g(0.1モル)を塩化メチレン250mlに溶解し、N,N−ジメチルホルムアミド31mlを加え、氷冷下5℃でオキシ塩化リン30mlを滴下した。次いで、室温で2時間撹拌した後、約40℃で還流し、放冷後、塩化メチレン200mlで希釈し、炭酸カリウム水溶液で中和した。中和液の有機相を分取し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した後、減圧濃縮し、得られた残査をカラムクロマトグラフィーにより精製して、ホルミル化された中間体(2)を18g得た。
【0044】
上記中間体(2)の2.0g、マロン酸(0.6g)、酢酸アンモニウム(0.8g)を酢酸5.0gに溶解し、120℃で加熱攪拌30分後、加熱を停止すると直ぐに固化した。室温まで冷却後、水(50ml)を加えて攪拌し、結晶を濾取し、結晶をビーカーに移し、水(100ml)で2回洗浄し、次いで2−プロパノール(50ml)で2回洗浄し、例示化合物A−7を1.7g得た。
【0045】
例示化合物A−3
母核は特開昭59−231073号等公知の方法に従って合成し、上記例示化合物A−5の合成と同様にして、ホルミル化およびシアノ酢酸を反応させ、例示化合物A−3を得た。
【0046】
例示化合物A−10の合成
母核は特開平8−50341、Hamer,Cyanine Dyes and Related Compounds,1964(出版社John Wiley&Sons, New York,NY)、The Theory of the Photographic Process,(T.H.James編、第四版、Macmillan,New York,1997)等に記載された公知の方法に従って合成した。
【0047】
上記例示化合物A−5の合成と同様にして、ホルミル化およびシアノ酢酸を反応させ、例示化合物A−10を得た。
【0048】
例示化合物A−13及びA−17の合成
特開平11−160826号に従って合成し、例示化合物A−13を得た。また、特開平9−277703号に従って合成し、例示化合物A−17を得た。
【0049】
以下、本発明に係る一般式(1)及び一般式(2)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0050】
【化5】

【0051】
【化6】

【0052】
半導体に本発明の一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物(以後、本発明の化合物ともいう)を担持させる際には、本発明の化合物を単独で用いてもよいし、本発明の化合物の複数を併用することも、本発明の化合物と他の化合物(例えば米国特許第4,684,537号、同4,927,721号、同5,084,365号、同5,350,644号、同5,463,057号、同5,525,440号の各明細書、特開平7−249790号、特開2000−150007号に記載の化合物)とを混合して用いることもできる。特に光電変換素子の用途が太陽電池である場合、光電変換の波長域をできるだけ広くして太陽光を有効に利用できるように、吸収波長の異なる二種類以上の色素を混合して用いることも好ましい。このようにして、半導体に色素を担持させることにより半導体が色素吸着され色素増感される。
【0053】
吸着処理を行うには、本発明の化合物を適切な溶媒(エタノールなど)に溶解し、その溶液中によく乾燥した半導体を長時間浸漬する方法が一般的である。
【0054】
一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物を複数種類併用したり、一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物とその他の化合物を併用した光電変換素子を作製する際には、各々の化合物の混合溶液を調製して用いてもよいし、各々の化合物について溶液を用意して、各溶液に順に浸漬して作製することもできる。各化合物について別々の溶液を用意し、各溶液に順に浸漬して作製する場合は、半導体に一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物とその他の化合物を吸着させる順序がどのようであっても本発明の効果を得ることができる。また、各化合物を単独で吸着させた半導体微粒子を混合することで作製してもよい。
【0055】
吸着処理は半導体が粒子状の時に行ってもよい。また、本発明の光電変換素子は導電性支持体上に半導体層を形成した態様が好ましいので、導電性支持体上に半導体膜を形成した後に行ってもよい。
【0056】
吸着処理に用いる化合物を溶解した溶液は、それを常温で用いてもよいし、該化合物が分解せず溶液が沸騰しない温度範囲で加熱して用いてもよい。
【0057】
また、後述するように、半導体微粒子の塗布後に、本発明の化合物の吸着を実施してもよい。また、半導体微粒子と本発明の化合物とを同時に塗布することにより、本発明の化合物の吸着を実施してもよい。未吸着の本発明の化合物は洗浄によって除去する。
【0058】
本発明の光電変換素子に用いられる半導体としては、シリコン、ゲルマニウムのような単体、III−V系化合物、金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)、金属窒化物、ペロブスカイト構造を有する化合物(例えばチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等)等を使用することができる。
【0059】
好ましい金属のカルコゲニドとして、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、またはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモンまたはビスマスの硫化物、カドミウムまたは鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウム・ヒ素または銅・インジウムのセレン化物、銅−インジウムの硫化物、チタンの窒化物等が挙げられる。
【0060】
本発明の光電変換素子に用いる半導体の好ましい具体例は、Si、TiO2、SnO2、Fe23、WO3、ZnO、Nb25、CdS、ZnS、PbS、Bi23、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuInS2、CuInSe2、Ti34等であり、より好ましくはTiO2、ZnO、SnO2、Fe23、WO3、Nb25、CdS、PbS、CdSe、InP、GaAs、CuInS2、CuInSe2、Ti34であり、特に好ましくはTiO2またはNb25であり、最も好ましくはTiO2である。
【0061】
また本発明の光電変換素子に用いる半導体は、上述した複数の半導体を併用して用いてもよい。例えば、上述した金属酸化物もしくは金属硫化物の数種類を併用することもできるし、また、酸化チタン半導体に20質量%の窒化チタン(Ti34)を混合して使用してもよい。また、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,15(1999)記載の酸化亜鉛/酸化錫複合としてもよい。このとき、半導体として金属酸化物もしくは金属硫化物以外に成分を加える場合、追加成分の金属酸化物もしくは金属硫化物半導体に対する質量比は30%以下であることが好ましい。
【0062】
導電性支持体上に半導体を焼成により形成する場合は、上述の化合物の吸着は焼成後に実施することが好ましい。焼成後、半導体に水が吸着する前に、素早く化合物の吸着処理を実施することが特に好ましい。
【0063】
本発明の光電変換素子は、アミンを用いて表面処理してもよい。アミンとしては、ピリジン、4−t−ブチルピリジン及びポリビニルピリジンが好ましい。アミンが液体の場合はそのまま、固体の場合は有機溶媒に溶解した溶液を準備し、本発明の光電変換素子を液体アミンまたはアミン溶液に浸漬することで、表面処理を実施することができる。
【0064】
本発明における色素増感とは半導体自身の吸収が殆ど見られないようなスペクトル領域に、半導体の光応答を生じさせることを言い、一般には化合物固有の固有吸収の波長域で認められる。
【0065】
本発明の光電変換素子に係る導電性支持体には、金属板のような導電性材料や、ガラス板やプラスチックフイルムのような非導電性材料に導電性物質を設けた構造のものを用いることができる。導電性支持体に用いられる材料の例としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム)あるいは導電性金属酸化物(例えばインジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの)や炭素を挙げることができる。
【0066】
導電性支持体としては、少なくともその表面が導電性表面に形成された支持体が用いられる。このような支持体としては、ガラス等の耐熱性支持体上に、In23やSnO2の導電性金属酸化物薄膜を形成したものや金属等の導電性材料からなる支持体が用いられる。このような導電性支持体は従来よく知られたものである。支持体の厚さは特に制約されないが、通常、0.3〜5mmである。この導電性支持体は、透明または不透明であることができる。
【0067】
導電性支持体は実質的に透明であることが好ましく、実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることが最も好ましい。透明な導電性支持体を得るためには、ガラス板またはプラスチックフイルムの表面に、導電性金属酸化物からなる導電性層を設けることが好ましい。透明な導電性支持体を用いる場合、光は支持体側から入射させることが好ましい。
【0068】
導電性支持体は表面抵抗は、50Ω/cm2以下であることが好ましく、10Ω/cm2以下であることがさらに好ましい。
【0069】
本発明の光電変換素子が粒子状の場合には、光電変換素子を導電性支持体に塗布あるいは吹き付けて、半導体電極を作製するのがよい。また、本発明の光電変換素子が膜状であって、導電性支持体上に保持されていない場合には、光電変換素子を導電性支持体上に貼合して半導体電極を作製するのがよい。
【0070】
本発明の電解質層はレドックス電解質を含有し、導電性支持体、半導体層、対向電極に接触している。
【0071】
本発明に用いることができるレドックス電解質としては、I-/I3-系や、Br-/Br3-系、キノン/ハイドロキノン系等が挙げられる。このようなレドックス電解質は、従来公知の方法によって得ることができ、例えば、I-/I3-系の電解質は、ヨウ素のアンモニウム塩とヨウ素を混合することによって得ることができる。電解質層はこれらレドックス電解質の分散物で構成され、それら分散物は溶液である場合に液体電解質、常温において固体である高分子中に分散させた場合に固体高分子電解質、ゲル状物質に分散された場合にゲル電解質と呼ばれる。電解質層として液体電解質が用いられる場合、その溶媒としては、電気化学的に不活性なものが用いられ、例えば、アセトニトリル、炭酸プロピレン、エチレンカーボネート等が用いられる。固体高分子電解質の例としては特開2001−160427号公報記載の電解質が、ゲル電解質の例としては『表面科学』21巻、第5号288〜293頁に記載の電解質が挙げられる。
【0072】
上記電解層に変え、以下の電荷輸送層としても良い。電荷輸送層としては、固体ホールもしくは電子移動材料なども適用でき、各種金属フタロシアニン、ペリレンテトラカルボン酸、ペリレンやコロネン等多環芳香族、テトラチアフルバレン、テトラシアノキノジメタン等電荷移動錯体などの結晶性材料、あるいはAlq3、ジアミン、各種オキサジアゾール、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレンなどのアモルファス導電性高分子なども適用可能である。固体電荷輸送材料の原料は、室温では粉末状もしくは粒状もしくは板状の固体である。n型半導体電極との接合時には常圧下で固体材料の原料を半導体電極表面上に配置した後減圧する、あるいは減圧下で固体状態の原料を半導体電極表面上に配置する。引き続き固体電荷輸送材料のガラス転移温度あるいは融点以上まで加熱し、固体電荷輸送材料とn型半導体電極の接合を行うことで、良好なn型半導体電極と固体電荷輸送材料の接合を実現する。
【0073】
また、電荷輸送材料を、バインダー樹脂に溶解又は分散させた膜を形成しても良い。
用いられる、電荷輸送材料としては、下記の化合物等が挙げられる。
【0074】
【化7】

【0075】
対向電極は、導電性を有するものであればよく、任意の導電性材料が用いられるが、I3-イオン等の酸化や他のレドックスイオンの還元反応を充分な速さで行わせる触媒能を持ったものの使用が好ましい。このようなものとしては、白金電極、導電材料表面に白金めっきや白金蒸着を施したもの、ロジウム金属、ルテニウム金属、酸化ルテニウム、カーボン等が挙げられる。
【0076】
次に、光電変換素子を製造する方法を説明する。まず、半導体の微粉末を含む塗布液を作る。この半導体微粉末は、その1次粒子径が微細な程好ましく、その1次粒子径は、通常、1〜5000nm、好ましくは2〜50nmである。半導体微粉末を含む塗布液は、半導体微粉末を溶媒中に分散させることによって調製することができる。溶媒中に分散された半導体微粉末は、その1次粒子状で分散する。溶媒としては、半導体微粉末を分散し得るものであればどのようなものでもよく、特に制約されない。このような溶媒には、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合液が包含される。有機溶媒としては、メタノールやエタノール等のアルコール、メチルエチルケトン、アセトン、アセチルアセトン等のケトン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素等が用いられる。塗布液中には、必要に応じ、界面活性剤や粘度調節剤(ポリエチレングリコール等の多価アルコール等)を加えることができる。溶媒中の半導体微粉末濃度は、0.1〜70質量%、好ましくは0.1〜30質量%である。
【0077】
また、前記のようにして得られた導電性支持体上の半導体表面が本発明の化合物によって修飾されていない場合には、この時点で半導体表面に本発明の化合物を吸着する。
【0078】
吸着処理は先に説明したとおり、本発明の化合物を適切な溶媒に溶解し、その溶液に前記半導体を焼成した導電性支持体を浸漬することによって行われる。その際には半導体層を焼成した導電性支持体を、あらかじめ減圧処理したり加熱処理したりして膜中の気泡を除去し、本発明の化合物が半導体層内部深くに進入できるようにしておくことが好ましく、半導体層が多孔質構造膜である場合には特に好ましい。
【0079】
本発明の化合物を溶解するのに用いる溶媒は、本発明の化合物を溶解することができ、なおかつ半導体を溶解したり半導体と反応したりすることのないものであれば格別の制限はないが、溶媒に溶解している水分及び気体が半導体層に進入して本発明の化合物の吸着を妨げることを防ぐために、あらかじめ脱気及び蒸留精製しておくことが好ましい。本発明の化合物に対して好ましく用いられる溶媒はメタノール、エタノール、n−プロパノールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、塩化メチレン、1,1,2−トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素溶媒であり、特に好ましくはメタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、塩化メチレンである。
【0080】
前記半導体を焼成した導電性支持体を本発明の化合物の溶液に浸漬する時間は、25℃では3〜48時間が好ましい。時間が短すぎると半導体層に本発明の化合物が深く進入できず、吸着が充分に進行しないため半導体の増感が不充分となり、発明の効果が小さくなるので好ましくない。これは特に、半導体層が多孔質構造膜である場合において顕著である。一方で、時間が長すぎると本発明の化合物がわずかながら徐々に分解するため、分解生成物が半導体表面に吸着されて本発明の化合物の吸着を妨げる場合があり、これも発明の効果を充分に得る上で好ましくない。とくに好ましい浸漬時間は4〜24時間である。但し、浸漬時間は温度変化により変化するため上記の限りではない。
【0081】
浸漬しておくにあたり本発明の化合物溶液は、本発明の化合物が分解しないかぎりにおいて、沸騰しない温度にまで加熱して用いてもよい。好ましい温度範囲は10〜100℃、好ましくは25〜90℃であるが、前記のとおり溶媒が前記温度範囲で沸騰する場合はこの限りでない。
【0082】
次に、本発明の化合物の溶液を導電性支持体上に塗布、乾燥し、次いで空気中または不活性ガス中で焼成して、導電性支持体上に半導体層を形成する。
【0083】
導電性支持体上に本発明の化合物の溶液を塗布、乾燥して得られる皮膜は、半導体微粒子の集合体からなるもので、その微粒子の粒径は使用した半導体微粉末の1次粒子径に対応するものである。このようにして導電性支持体上に形成された半導体微粒子集合体膜は、導電性支持体との結合力及びその微粒子相互の結合力が弱く、機械的強度の弱いものであることから、これを焼成して機械的強度が高められ、かつ導電性支持体に強く固着した焼成物膜とする。
【0084】
本発明においては、この焼成物膜はどのような構造を有していても良いが、多孔質構造膜であることが好ましい。その厚さは少なくとも10nm、好ましくは100〜10000nmである。前記のような多孔質構造の焼成物膜は、半導体微粒子を含む塗布液を導電性支持体上に塗布、乾燥して形成された微粒子集合体膜を焼結させることによって得ることができる。この場合、焼成温度は1000℃より低く、通常、200〜800℃、好ましくは300〜800℃である。焼成温度が1000℃より高くなると、焼成物膜の焼結が進みすぎてその実表面積が小さくなり、所望する焼成物膜を得ることができない。前記見かけ表面積に対する実表面積の比は、半導体微粒子の粒径及び比表面積や、焼成温度等によりコントロールすることができる。また、加熱処理後、半導体粒子の表面積を増大させたり、半導体粒子近傍の純度を高め、本発明の化合物から半導体粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
【0085】
本発明の太陽電池は、本発明の光電変換素子を用いて太陽光により光電変換を行うことができる構造としたものである。即ち、光電変換素子に太陽光が照射されうる構造となっている。本発明の太陽電池を構成する際には、前記半導体層、電解質層及び対向電極をケース内に収納して封止するか、あるいはそれら全体を樹脂封止することが好ましい。
【0086】
本発明の太陽電池に太陽光または太陽光と同等の電磁波を照射すると、光電変換素子に吸着された本発明の化合物は、照射された光もしくは電磁波を吸収して励起する。励起によって発生した電子は半導体に移動し、次いで導電性支持体を経由して対向電極に移動して、電解質層のレドックス電解質を還元する。一方、半導体に電子を移動させた本発明の化合物は酸化体となっているが、対向電極から電解質層のレドックス電解質を経由して電子が供給されることにより、還元されて元の状態に戻り、同時に電解質層のレドックス電解質は酸化されて、再び対向電極から供給される電子により還元されうる状態に戻る。このようにして電子が流れ、本発明の光電変換素子を用いた太陽電池を構成することができる。
【実施例】
【0087】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0088】
《光電変換素子の作製》
下記に記載の手順にて、光電変換素子を作製した。
【0089】
実施例1
光電変換素子SC−1の作製
市販の酸化チタンペースト(粒径18nm)をフッ素ドープ酸化スズ(FTO)導電性ガラス支持体へドクターブレード法により塗布した。60℃で10分間加熱してペーストを乾燥させた後、500℃で30分間焼成を行い厚さ5μmの酸化チタン薄膜を得た。
【0090】
上記の合成例で示した方法で得た例示化合物A−5をエタノールに溶解させ、3×10-4モル/リットルの溶液を作製した。酸化チタンを塗布焼結させたFTOガラス支持体を、この溶液に室温で16時間浸漬させて、色素の吸着処理を行なった後、クロロホルムで洗浄、真空乾燥し、光電変換電極とした。
【0091】
電解液にはヨウ化リチウム0.4モル/リットル、ヨウ素0.05モル/リットル、4−(t−ブチル)ピリジン0.5モル/リットルを含む3−メチルプロピオニトリル溶液を用いた。
【0092】
対極に白金板を用い、先に作製した光電変換電極ならびに電解液とクランプセルで組み立てることにより光電変換素子SC−1を得た。
強度100mW/cm2のキセノンランプ照射下、半導体電極に5mm×5mm(0.25mm2)のマスクをかけた条件下で、光電変換特性の測定を行った。
【0093】
実施例2
光電変換素子SC−2〜SC−5の作製
光電変換素子SC−1の作製において、例示化合物A−5を例示化合物A−7、A−10、A−13、A−17に変更した以外は同様にして、光電変換素子SC−2〜SC−5を得た。
【0094】
比較例1
光電変換素子SC−R1及びSC−R2の作製
上記の光電変換素子SC−1の作製において、例示化合物A−5を下記のR−1及びR−2に変更した以外は同様にして、光電変換素子SC−R1及びSC−R2を作製した。
【0095】
【化8】

【0096】
光電変換素子(SE−R1)の作製
FTO電極に、アルコキシチタン溶液(松本交商:TA−25/IPA希釈)をスピンコート法にて塗布。室温で30分放置後、450℃で間焼成を行い、短絡防止層とした。続いて、市販の酸化チタンペースト(粒径18nm)を上記基盤へドクターブレード法により塗布した後、60℃で10分間加熱処理後、500℃で30分間焼成を行い、厚さ5μmの酸化チタン薄膜を有する半導体電極基盤を得た。
【0097】
色素R−1をエタノールに溶解させ、3×10-4mol/Lの溶液を調製した。上記半導体電極基盤を、この溶液に室温で16時間浸漬させて、色素の吸着処理を行なった後、クロロホルムで洗浄、真空乾燥し、光電変換電極とした。
【0098】
次に、トルエン溶媒中に、ホール輸送剤として、例示化合物(下記spiro−MeO TAD)0.17M、ホールドーピング剤としてN(PhBr)3SbCl6を0.33mM、Li[(CF3SO22N]を15mMを溶解させ、色素吸着後の上記光電変換電極上にスピンコートし、ホール移動層を形成した。更に真空蒸着法により金を30nm蒸着し、対極を作製した。
【0099】
【化9】

【0100】
光電変換素子SE−1の作製
光電変換素子SE−R1の作製において、色素R−1を例示化合物A−5に変更した以外は同様にして、光電変換素子SE−1を得た。
【0101】
〔評価方法〕
得られた光電変換素子SC−1〜SC−5、SC−R1、SC−R2、SE−1及びSE−R1について以下の評価を行い、結果を表1に示す。
【0102】
(短絡電流値及び開放電圧値)
作製した光電変換素子に強度100mW/cm2のキセノンランプ照射下、半導体電極に5×5mm(0.25mm2)のマスクをかけた条件下で、短絡電流値及び開放電圧値を測定した。示した値は、同じ構成及び作製方法の光電変換素子3つについての測定結果の平均値とした。
【0103】
(形状因子)
最大の出力電力を与える動作点における開放電圧[V]をVoc、短絡電流密度[mA・cm-2]をIsc、そのときの電流値、および電圧値をImax、Vmaxとしたとき、形状因子(F.F.)は以下の式で求められる。
【0104】
F.F.=(Vmax×Imax)/(Voc×Isc)
(変換効率)
光電変換素子の光電変換効率(η(%))は、下記式で求められる。
【0105】
η=100×(Voc×Isc×F.F.)/P
ここで、Pは入射光強度[mW/cm-2]、Vocは開放電圧[V]、Iscは短絡電流密度[mA・cm-2]、F.F.は形状因子を示す。
【0106】
(曝露後の変換効率)
作製した光電変換素子をAM1.5Gの擬似太陽光に100時間曝露させた後の変換効率を測定した。
【0107】
(効率比)
曝露後の変換効率を変換効率で除した商を表す。
【0108】
【表1】

【0109】
表1から明らかなように、本発明の一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物を用いた光電変換素子SC−1〜SC−5はいずれもRu錯体及びトリフェニルアミンを用いた光電変換素子SC−R1及びSC−R2を大幅に上回る耐光性を有することを示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向電極間に、下記一般式(1)又は下記一般式(2)で表される化合物を含有することを特徴とする光電変換素子。
【化1】

(式中、XはO、S又はNR′を表す。R1、R2、R3およびR′は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、チオアルキル基、アミノ基、アゾ基、アリール基、水酸基、カルボキシル基、チオール基、カルボニル基、複素環基及び芳香族複素環基から選ばれる少なくとも1つの基を表す。但し、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、チオアルキル基、アミノ基、アゾ基、アリール基、カルボニル基、複素環基及び芳香族複素環基は、置換されても良い。尚、R1、R2、R3およびR′は、互いに、或いは他の結合原子を介して環状構造を形成しても良い。)
【化2】

(式中、XはO、S又はNR″を表す。R4、R5、R6、R7、R8、およびR″は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、チオアルキル基、アミノ基、アリール基、水酸基、カルボキシル基、チオール基、カルボニル基、複素環基及び芳香族複素環基から選ばれる少なくとも1つの基を表す。但し、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、チオアルキル基、アミノ基、アリール基、カルボニル基、複素環基及び芳香族複素環基は、置換されても良い。尚、R4、R5、R6、R7、R8、およびR″は、互いに、或いは他の結合原子を介して環状構造を形成しても良い。)
【請求項2】
前記光電変換素子が、対向電極間に、上記一般式(1)又は上記一般式(2)で表される化合物を担持してなる半導体層と、電解質層とが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項3】
前記一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物が、酸性基を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換素子。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子を有することを特徴とする太陽電池。

【公開番号】特開2008−226688(P2008−226688A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−64681(P2007−64681)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】