説明

光電変換装置用の微結晶シリコン膜および光電変換装置

【課題】基板からの剥離を有効に抑制することができる半導体膜およびその半導体膜を含む光電変換装置を提供する。
【解決手段】基板の表面上に形成された結晶質を含む半導体膜であって、半導体膜の表面の中心を含む中心領域と、中心領域の周囲に位置する周縁領域とを有し、該半導体膜の周縁領域における結晶化率が中心領域における結晶化率よりも高い半導体膜およびその半導体膜を含む光電変換装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体膜および光電変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギ資源の枯渇の問題や大気中のCO2の増加のような地球環境問題などからクリーンなエネルギの開発が望まれており、特に太陽電池を用いた太陽光発電が新しいエネルギ源として開発、実用化され、発展の道を歩んでいる。
【0003】
現在最も普及している太陽電池は、光エネルギを電気エネルギに変換する光電変換層に単結晶シリコンまたは多結晶シリコンなどのバルク結晶を用いたバルク結晶系太陽電池であり、バルク結晶系太陽電池の生産量の拡大により太陽電池モジュールの価格が低下して、太陽光発電システムの普及が急拡大している。
【0004】
また、光電変換層を薄膜で形成することによって上記のバルク結晶系太陽電池と比べて材料の使用量を大幅に低減して製造コストをさらに低減することが可能な次世代太陽電池技術として、薄膜系太陽電池の開発が進められている。
【0005】
このような薄膜系太陽電池としては、たとえば、薄膜シリコン太陽電池(非晶質シリコン太陽電池、微結晶シリコン太陽電池、および非晶質シリコン/微結晶シリコンタンデム太陽電池など)、CIS(CuInSe2)薄膜太陽電池、CIGS(Cu(In,Ga)Se2)薄膜太陽電池、およびCdTe太陽電池などが挙げられる。
【0006】
上記の薄膜系太陽電池は、一般に、プラズマCVD装置、スパッタ装置または蒸着装置などの真空成膜装置を用いて、ガラスや金属箔などの大面積の基板上に半導体層や電極層を構成する薄膜を積層することによって作製される。
【0007】
したがって、薄膜系太陽電池は、基板表面の大面積化、およびそれに伴う製造装置の大型化によって1回の成膜で大面積の太陽電池を得ることができるため、製造効率を向上させることができ、この点からも製造コストの低減が可能となる。
【0008】
たとえば特許文献1(特開2009−38317号公報)には、薄膜系太陽電池の一例である微結晶シリコン太陽電池が開示されている。図13に、特許文献1に開示されている従来の微結晶シリコン太陽電池の模式的な断面図を示す。
【0009】
図13に示す従来の微結晶シリコン太陽電池は、透明絶縁性基板101上に、第1透明電極102、p型の微結晶Si層(p層)103、i型の微結晶Si層(i層)104、n型の微結晶Si層(n層)105、第2透明電極106および裏面電極107を順次積層することによって作製される。そして、p型の微結晶Si層(p層)103、i型の微結晶Si層(i層)104およびn型の微結晶Si層(n層)105の積層体から微結晶Si光電変換層108が構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−38317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図13に示す従来の微結晶シリコン太陽電池においては、図14(a)に示す透明絶縁性基板101の表面の中心から周縁にかけて、図14(b)に示すように微結晶シリコンの結晶化率が均一となるように微結晶Si光電変換層108が形成される。
【0012】
そのため、図14(c)に示すように、透明絶縁性基板101の表面の周縁に位置する微結晶Si光電変換層108が透明絶縁性基板101の表面の中心に位置する微結晶Si光電変換層108と比べて剥離しやすいという問題があった。
【0013】
上記の問題は、微結晶シリコン太陽電池に限られた問題ではなく、結晶質を含む半導体膜を用いた半導体デバイス全体に共通する問題である。
【0014】
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、基板からの剥離を有効に抑制することができる半導体膜およびその半導体膜を含む光電変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、基板の表面上に形成された結晶質を含む半導体膜であって、半導体膜の表面の中心を含む中心領域と、中心領域の周囲に位置する周縁領域とを有し、該半導体膜の周縁領域における結晶化率が中心領域における結晶化率よりも高い半導体膜である。
【0016】
ここで、本発明の半導体膜の周縁領域における結晶化率は4以上であることが好ましい。
【0017】
また、本発明の半導体膜の中心領域における結晶化率は2以上であることが好ましい。
また、本発明の半導体膜においては、半導体膜の表面の面積が1m2以上であることが好ましい。
【0018】
また、本発明の半導体膜においては、半導体膜の表面の中心点をA点とし、半導体膜の表面の外周上の任意の1点をB点とし、A点とB点とを結ぶ線分を線分ABとし、線分AB上の異なる2点をそれぞれC点およびD点とし、A点とC点とを結ぶ線分の長さACと、C点とD点とを結ぶ線分の長さCDと、D点とB点とを結ぶ線分の長さDBとの比を、AC:CD:DB=17:27:6としたとき、中心領域は、線分ABをA点を固定してB点を半導体膜の表面の外周上を1周させたときのC点の軌道で囲まれた領域であり、周縁領域は、線分ABをA点を固定してB点を半導体膜の表面の外周上を1周させたときのB点の軌道とD点の軌道との間の領域であって、中心領域における半導体膜の結晶化率をXaとし、周縁領域における半導体膜の結晶化率をXbとしたとき、下記の式(1)を満たすことが好ましく、下記の式(2)をさらに満たすことがより好ましい。
Xb≧Xa+1 …(1)
Xb≧Xa+2 …(2)
【0019】
また、本発明は、基板の表面上に形成された結晶質を含む半導体膜であって、半導体膜の表面の中心を含む中心領域と、中心領域の周囲に位置する周縁領域とを有し、半導体膜の表面の中心点をA点とし、半導体膜の表面の外周上の任意の1点をB点とし、A点とB点とを結ぶ線分を線分ABとし、線分AB上の異なる2点をそれぞれC点およびD点とし、A点とC点とを結ぶ線分の長さACと、C点とD点とを結ぶ線分の長さCDと、D点とB点とを結ぶ線分の長さDBとの比を、AC:CD:DB=17:27:6としたとき、中心領域は、線分ABをA点を固定してB点を半導体膜の表面の外周上を1周させたときのC点の軌道で囲まれた領域であり、周縁領域は、線分ABをA点を固定してB点を半導体膜の表面の外周上を1周させたときのB点の軌道とD点の軌道との間の領域であって、中心領域における半導体膜の結晶化率をXaとし、周縁領域における半導体膜の結晶化率をXbとしたとき、下記の式(3)および式(4)を満たす半導体膜である。
Xb≧13−Xa …(3)
Xa≧Xb …(4)
また、本発明は、上記のいずれかの半導体膜を基板上に形成して作製された光電変換装置である。
【0020】
さらに、本発明は、上記の光電変換装置の基板を切断することにより作製された光電変換装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、基板からの剥離を有効に抑制することができる半導体膜およびその半導体膜を含む光電変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の半導体膜の一例の模式的な拡大断面図である。
【図2】図1に示す半導体膜の平面視の一例の模式的な平面図である。
【図3】(a)は図1に示す半導体膜の結晶化率と半導体膜の表面の位置との関係を示す図であり、(b)に図1に示す半導体膜の剥離のしやすさと半導体膜の表面の位置との関係を示す図である。
【図4】図1に示す半導体膜の平面視の他の一例の模式的な平面図である。
【図5】図1に示す半導体膜の平面視の他の一例の模式的な平面図である。
【図6】図1に示す半導体膜を形成するための真空成膜装置の一例の模式的な構成図である。
【図7】本発明の光電変換装置の一例の模式的な断面図である。
【図8】(a)〜(c)は、本発明の光電変換装置の製造方法の一例を図解する模式的な斜視図である。
【図9】実験例1〜8の半導体膜の作製に用いられたガラス基板の模式的な平面図である。
【図10】実験例1〜8の半導体膜の表面の中心からの距離(mm)と、縦軸が結晶化率Ic/Iaとの関係を示す図である。
【図11】実験例1〜8の半導体膜の中心における結晶化率Xaと、実験例1〜8の半導体膜の外周における結晶化率Xbとの関係を示す図である。
【図12】実験例1〜8の半導体膜の剥離の有無を確認した結果を示す図である。
【図13】従来の微結晶シリコン太陽電池の模式的な断面図である。
【図14】(a)は従来の微結晶シリコン太陽電池の基板上の微結晶Si光電変換層の模式的な平面図であり、(b)は従来の微結晶シリコン太陽電池の半導体膜の表面の位置と微結晶Si光電変換層の結晶化率との関係を示す図であり、(c)は従来の微結晶シリコン太陽電池の半導体膜の表面の位置と微結晶Si光電変換層の剥離のしやすさとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
【0024】
<半導体膜の構成>
図1に、本発明の半導体膜の一例の模式的な拡大断面図を示す。図1に示される半導体膜2は基板1の表面上に設けられている。ここで、基板1の表面上に設けられた半導体膜2は結晶質を含む半導体から形成されている。
【0025】
ここで、基板1としては、たとえば、ガラス基板、ポリイミド樹脂などの透明樹脂を含む樹脂基板、またはこれらの基板の複数を積層した基板などの光を透過させることができる透光性基板を用いることができる。また、基板1としては、たとえばステンレス基板などの光を透過させない不透光性基板を用いてもよい。
【0026】
また、基板1としては、表面に透明導電膜を備えたものを用いてもよい。ここで、透明導電膜としては、たとえば酸化錫膜、ITO(Indium Tin Oxide)膜、酸化亜鉛膜、若しくはこれらの膜に微量の不純物を添加した膜の単層またはこれらを複数重ね合わせた複数層などの光を透過させることができるとともに導電性である膜を用いることができる。透明導電膜が複数層から構成される場合には、すべての層が同一の材料から形成されていてもよく、少なくとも1層が他と異なる材料から形成されていてもよい。
【0027】
基板1の表面には凹凸が形成されていることが好ましい。基板1の表面に凹凸が形成されていることによって、基板1側から入射した入射光を散乱および/または屈折させて光路長を伸ばすことができ、半導体膜2における光閉じ込め効果を高めることができる傾向にある。基板1の表面に凹凸を形成する方法としては、たとえば、エッチング法やサンドブラストのような機械加工による方法、または結晶成長を利用する方法などを用いることができる。
【0028】
基板1のサイズは少なくとも一方の幅が1m以上であることが好ましく、さらに基板1の表面の面積は1m2以上であることが好ましい。この場合には、半導体膜2の表面の面積が1m2以上となるため、大面積の表面を有する半導体膜2を用いた大面積の光電変換装置を製造することが可能となる。
【0029】
また、半導体膜2は、結晶質を含む半導体であれば特に限定されず、半導体膜2としては、たとえば、結晶質シリコンと非晶質シリコンとを含む微結晶シリコンなどを好適に用いることができる。なお、本明細書において、「微結晶シリコン」は「水素化微結晶シリコン」を含む概念である。また、「微結晶シリコン」は、O、C、N、Geなどの元素が添加されている場合を含む。
【0030】
また、半導体膜2の導電型は、p型、i型またはn型のいずれの導電型であってもよい。半導体膜2の導電型がp型である場合には、半導体膜2にドープされるp型不純物としては、たとえばボロンなどを用いることができる。半導体膜2の導電型がi型である場合には、半導体膜2にはp型不純物およびn型不純物のいずれもドープされない。半導体膜2の導電型がn型である場合には、半導体膜2にドープされるn型不純物としては、たとえばリンなどを用いることができる。
【0031】
図2に、図1に示す半導体膜2の平面視(半導体膜2の表面上方からの平面視)の一例の模式的な平面図を示す。ここで、半導体膜2の中心領域2bは、半導体膜2の表面の中心を含む図2の実線22で取り囲まれた領域の半導体膜2の部分である。また、半導体膜2の周縁領域2aは、半導体膜2の中心領域2bの周囲に位置する図2の実線21と実線23との間の領域の半導体膜2の部分である。また、半導体膜2の中間領域2cは、半導体膜2の中心領域2bと半導体膜2の周縁領域2aとの間の領域の半導体膜2の部分である。
【0032】
図3(a)に図1に示す半導体膜2の結晶化率と基板1の表面の位置との関係を示し、図3(b)に図1に示す半導体膜2の剥離のしやすさと基板1の表面の位置との関係を示す。
【0033】
図3(b)に示すように、図1に示す半導体膜2においては、半導体膜2の周縁領域(図2の実線21と実線23との間の領域)における結晶化率が、半導体膜2の中心領域(図3の実線22で取り囲まれた領域)における結晶化率よりも高くなっている。
【0034】
そのため、図1に示す半導体膜2においては、図3(b)に示すように、半導体膜2の周縁領域の基板1からの剥離を、半導体膜2の中心領域の基板1からの剥離と同程度の発生頻度に抑えることができることから、半導体膜2の基板1からの剥離を有効に抑制することができる。その理由としては、半導体膜2の剥離が生じやすい周縁領域における半導体膜2の結晶化率を中心領域における半導体膜2の結晶化率よりも高くすることによって、周縁領域における半導体膜2に生じる応力を低減することができるためと考えられる。たとえば、半導体膜2が微結晶シリコンからなる場合には、微結晶シリコンは結晶粒界が非晶質相で埋められるような構造をしていることから、半導体膜2の結晶化率が高くなるほど(非晶質相の存在比率が小さくなるほど)結晶粒界における緻密さが失われる。そのため、半導体膜2の周縁領域における結晶化率を高くすることによって、基板1からの剥離が生じやすい半導体膜2の周縁領域に生じる応力を低減することができるため、半導体膜2の剥離を有効に抑制することができる。
【0035】
ここで、結晶化率は、ラマン分光法により、縦軸がラマン散乱強度、横軸が波数で示されるラマンスペクトルを測定し、波数が約480cm-1における非晶質シリコンに起因するラマン散乱強度のピーク強度の大きさIaに対する、波数が約520cm-1における結晶シリコンに起因するラマン散乱強度のピーク強度の大きさIcのピーク強度比Ic/Iaで定義される。
【0036】
また、半導体膜2の周縁領域における結晶化率が4以上であることが好ましい。半導体膜2の周縁領域における結晶化率を4以上と高くした場合には、半導体膜2の周縁領域に生じる応力をさらに大きく低減することができるため、半導体膜2の基板1からの剥離をさらに有効に抑制することができる傾向にある。
【0037】
また、半導体膜2の中心領域における結晶化率が2以上であることが好ましい。半導体膜2の中心領域における結晶化率を2以上と高くして半導体膜2の中心領域に生じる応力を低減することによっても半導体膜2全体に生じる応力を低減することができるため、半導体膜2の基板1からの剥離をさらに有効に抑制することができる傾向にある。
【0038】
図4に、図1に示す半導体膜2の平面視の他の一例の模式的な平面図を示す。ここで、半導体膜2の表面の中心点をA点とし、半導体膜2の表面の外周上の任意の1点をB点とし、A点とB点とを結ぶ線分を線分ABとし、線分AB上の異なる2点をそれぞれC点およびD点とする。そして、A点とC点とを結ぶ線分の長さACと、C点とD点とを結ぶ線分の長さCDと、D点とB点とを結ぶ線分の長さDBとの比が、AC:CD:DB=17:27:6の関係を保ちながら線分ABをA点を固定してB点を半導体膜2の表面の外周上を1周させたときのB点の軌道(図4の実線21)とD点の軌道(図4の実線23)との間の領域の半導体膜2の部分を周縁領域2aとし、C点の軌道(図4の実線22)で囲まれた領域の半導体膜2の部分を中心領域2bとする。そして、中心領域2bの半導体膜2の結晶化率をXaとし、周縁領域2aの半導体膜2の結晶化率をXbとしたとき、下記の式(1’)の関係を満たすとともに、下記の式(1)の関係を満たすことが好ましく、下記の式(2)の関係も満たすことがより好ましく、下記の式(2’)の関係も満たすことが特に好ましい。
Xb≧Xa …(1’)
Xb≧Xa+1 …(1)
Xb≧Xa+2 …(2)
Xb≧Xa+3 …(2’)
中心領域2bにおける半導体膜2の結晶化率をXaと、周縁領域2aにおける半導体膜2の結晶化率をXbとが上記の式(1’)の関係を満たすとともに、上記の式(1)の関係を満たす場合、特に上記の式(2)の関係を満たす場合、さらには上記の式(2’)の関係を満たす場合には、半導体膜2の基板1からの剥離をさらに有効に抑制することができる傾向にある。これは、後述する実験結果から導き出されたものである。
【0039】
なお、上記においてはいずれも、周縁領域2aにおける半導体膜2の結晶化率が、中心領域2bにおける半導体膜2の結晶化率よりも高い場合について説明したが、下記の式(4)のように、中心領域2bにおける半導体膜2の結晶化率Xaが周縁領域2aにおける半導体膜2の結晶化率Xb以上となる場合でも、下記の式(3)の関係を満たす場合には、半導体膜2の基板1からの剥離を有効に抑制することができる。これは、後述する実験結果から導き出されたものである。
Xb≧13−Xa …(3)
Xa≧Xb …(4)
なお、上記の式(3)および式(4)において、Xaは図4に示す中心領域2bにおける半導体膜2の結晶化率を示し、Xbは図4に示す周縁領域2aにおける半導体膜2の結晶化率を示している。
【0040】
また、半導体膜2の表面形状は図2および図4に示すものには限定されず、たとえば、図5に示すように、半導体膜2の表面の4つの角をすべて丸めた形状の表面を有するものを用いてもよい。この場合には、半導体膜2の周縁領域2a、中心領域2bおよび中間領域2cのそれぞれの領域の4つの角もすべて丸まることになる。
【0041】
また、本発明の図面において、実線21は半導体膜2の表面の外周を示す線に一致するが、実線22および実線23は仮想線であるため半導体膜2の表面に必ずしも形成されているわけではない。
【0042】
<半導体膜の製造方法>
図1に示す半導体膜2はたとえば以下のようにして基板1の表面上に形成することができる。図6に、図1に示す半導体膜2を形成するための真空成膜装置の一例の模式的な構成を示す。
【0043】
図6に示す真空成膜装置は、成膜室41と、成膜室41の内部に設置されたカソード31と、成膜室41の内部においてカソード31と向かい合うようにして設置されたアノード32と、カソード31の内部にガスを導入するためのガス導入管33と、成膜室41の外部にガスを排出するためのガス排出管37と、ガス排出管37から排出されるガスの量を調節するためのゲートバルブ39と、成膜室41の外部に排出されるガスを吸引するためのポンプ40とを備えている。ここで、カソード31は、インピーダンス整合回路35を介して高周波電源36に接続されており、アノード32は、アースに接続されている。
【0044】
そして、半導体膜2の形成時には、まず、図6に示す真空成膜装置のアノード32の表面上に基板1を設置する。ここで、基板1は、基板1の表面がカソード31の表面に向かい合うようにしてアノード32の表面上に設置される。
【0045】
次に、ゲートバルブ39を開き、ポンプ40で吸引することによって、成膜室41の内部のガスを矢印38の方向にガス排出管37を通して成膜室41の外部に排出し、成膜室41の内部の圧力をたとえば10-4〜1Paの範囲内の圧力とする。
【0046】
次に、半導体膜2の原料となる原料ガスを矢印34の方向にガス導入管33からカソード31の内部に導入し、カソード31のアノード32側に設けられたシャワープレート穴(図示せず)からカソード31とアノード32との間に当該原料ガスを導入する。ここで、半導体膜2の原料となる原料ガスとしては、たとえば、SiH4、H2、B26、PH3およびCH4からなる群から選択された少なくとも1種のガスを用いることができる。
【0047】
次に、高周波電源36によってカソード31とアノード32との間に交流電圧を印加して、上記で導入された原料ガスのプラズマを発生させることによって、基板1の表面上に半導体膜2を形成する。
【0048】
ここで、たとえば原料ガスとしてSiH4とH2とを用いて微結晶シリコン膜からなる半導体膜2を形成する場合には、基板1の表面の中心と向かい合うカソード31の中央付近のシャワープレート穴と、基板1の表面の周縁と向かい合うカソード31の周縁付近のシャワープレート穴との系統を独立にし、それぞれの系統に独立にマスフローを取り付け、結晶化率を高くする部分に導入される原料ガス(たとえばカソード31の周縁付近のシャワープレート穴から導入される原料ガス)のガス流量比(H2流量/SiH4流量)をその他の部分に導入される原料ガス(たとえばカソード31の中央付近のシャワープレート穴から導入される原料ガス)のガス流量比(H2流量/SiH4流量)よりも高くすることによって半導体膜2を形成することができる。
【0049】
なお、上記の半導体膜2の形成時における成膜室41の内部の圧力はたとえば5×102〜1.7×103Paの範囲内の圧力とすることができる。
【0050】
また、たとえば、成膜室41の内部の圧力および/またはカソード31とアノード32との間の距離を調節することによって、半導体膜2の表面の面内方向における厚さの大小を調節することができる。
【0051】
また、たとえば、カソード31の表面のシャワープレート穴の径および/またはシャワープレート穴の数を調整することによっても、半導体膜2の表面の面内方向における厚さの大小を調節することができる。
【0052】
また、図6に示す真空成膜装置において、高周波電源36としては、連続波形(CW:Continuous Wave)の交流出力あるいはパルス変調(オンオフ制御)された交流出力のいずれを出力するものであってもよい。また、高周波電源36から出力される交流電力の周波数は13.56MHzが一般的であるがこれに限定されず、たとえば、数kHz〜VHF帯、数kHz〜UHF帯および数kHz〜マイクロ波帯の周波数を用いてもよい。
【0053】
<光電変換装置>
図7に、上述の半導体膜2を基板1の表面上に形成した本発明の光電変換装置の一例の模式的な断面図を示す。図7に示される光電変換装置は、基板1と、基板1の表面上に設けられた半導体膜2と、半導体膜2の表面上に設けられた透明導電膜9と、透明導電膜9の表面上に設けられた反射電極10と、を備えている。なお、ここでは、本発明の光電変換装置の一例として、基板1側から光を入射させるスーパーストレート型の光電変換装置について説明するが、基板1とは反対側から光を入射させるサブストレート型の光電変換装置であってもよい。
【0054】
基板1は、透光性基板51と透光性基板51の表面上に設けられた透明導電膜52とから構成されている。半導体膜2は、透明導電膜52の表面上に設けられたp型微結晶シリコン層53と、p型微結晶シリコン層53の表面上に設けられたi型微結晶シリコン層54と、i型微結晶シリコン層54の表面上に設けられたn型微結晶シリコン層55とを備えている。
【0055】
透光性基板51、透明導電膜52、および半導体膜2(p型微結晶シリコン層53、i型微結晶シリコン層54およびn型微結晶シリコン層55の積層体)についての説明はそれぞれ上記と同様であるため、ここではその説明については省略する。
【0056】
また、透明導電膜9としては、たとえば酸化錫膜、ITO膜、酸化亜鉛膜、若しくはこれらの膜に微量の不純物を添加した膜の単層またはこれらを複数重ね合わせた複数層などの光を透過させることができるとともに導電性である膜を用いることができる。透明導電膜9が複数層から構成される場合には、すべての層が同一の材料から形成されていてもよく、少なくとも1層が他と異なる材料から形成されていてもよい。
【0057】
なお、透明導電膜9を形成しなくてもよいが、入射光に対する光閉じ込め向上効果および光反射率向上効果が得られることに加えて、透明導電膜9の存在によって、反射電極10を構成する原子が半導体膜2に拡散をするのを抑制することができる点からは透明導電膜9を形成することが好ましい。
【0058】
反射電極10としては、たとえばAg(銀)層、Al(アルミニウム)層またはこれらの層の積層体などの導電性を有する層を用いることができる。反射電極10は、半導体膜2で吸収されなかった光を反射して半導体膜2に戻すことができるため、光電変換効率の向上に寄与する。なお、光電変換装置をサブストレート型の光電変換装置とする場合には、光を入射させる観点から、反射電極10は、たとえば櫛形などの光電変換装置の表面全体を覆わないような形状とされることが好ましい。
【0059】
図7に示される光電変換装置は、基板1の表面上に、基板1からの剥離を有効に抑制することができる上述の半導体膜2を備えていることから、半導体膜2の基板1からの剥離を抑制して高い歩留まりで光電変換装置を製造することが可能である。
【0060】
また、図7に示される光電変換装置においては、中心領域2bにおける半導体膜2の厚さが、周縁領域2aにおける半導体膜2の厚さよりも厚いことが好ましい。この場合には、光電変換装置の基板1の表面内における短絡電流密度のばらつきを大きく低減することができる傾向にある。
【0061】
<光電変換装置の他の形態>
たとえば、基板1の表面上に上述の半導体膜2を形成した後に基板1を切断することによっても、基板1の表面上に上述の半導体膜2を備えた光電変換装置(他の形態の光電変換装置)を製造することができる。
【0062】
たとえば、まず図8(a)の模式的斜視図に示すように基板1を用意し、次に図8(b)の模式的斜視図に示すように上記と同様にして基板1の表面上に半導体膜2を形成し、その後、図8(c)の模式的斜視図に示すように半導体膜2の形成後の基板1を破線に沿って切断して2分割し、2分割された基板1の半導体膜2のそれぞれの表面上に透明導電膜9および反射電極10を形成することにより光電変換装置を製造することもできる(以下、「第1の製法」という。)。また、基板1の表面上に、半導体膜2、透明導電膜9および反射電極10を形成した後に、基板1を2分割することによっても光電変換装置を製造することもできる(以下、「第2の製法」という。)。
【0063】
上記のようにして製造された他の形態の光電変換装置は、基板1の切断により露出した切断面1bと、基板1の切断前から露出している基板1の周縁面1aとを有している。
【0064】
また、上記においては基板1を2分割することによって光電変換装置を製造したが、基板1の分割数は2分割に限定されず、たとえば4分割または6分割等にしてもよい。
【0065】
当該他の形態の光電変換装置であるか否かは、たとえば以下のようにして判別することが可能である。
【0066】
すなわち、第1の製法により光電変換装置を製造した場合には、基板1の周縁面1aには半導体膜2の構成成分が付着することがあるが、基板1の切断面1bには半導体膜2の構成成分が付着しない。そのため、光電変換装置の基板1の側面に半導体膜2の構成成分が付着しているか否かを判断すればよい。
【0067】
また、第2の製法により光電変換装置を製造した場合には、基板1の周縁面1aには透明導電膜9および反射電極10の構成成分が付着することがあるが、基板1の切断面1bには透明導電膜9および反射電極10の構成成分が付着しない。そのため、光電変換装置の基板1の側面に透明導電膜9および反射電極10の構成成分が付着しているか否かを判断すればよい。
【実施例】
【0068】
<実験例1〜8の半導体膜の作製>
まず、図9の模式的平面図に示されるような幅1400mm×長さ1400mm×厚さ4mmの表面を有するガラス基板をマグネトロンスパッタリング装置内に設置し、上記のガラス基板の表面上にマグネトロンスパッタリング法により厚さ5000nmの酸化亜鉛層を形成して、ガラス基板と酸化亜鉛層との複合基板を形成した。
【0069】
次に、上記で作製した複合基板を真空成膜装置の成膜室内に設置し、成膜室の内部の圧力が0.1Paとなるまで成膜室内のガスを排気した後、成膜室内において複合基板の表面と向かい合うようにして設置されたカソードからH2ガスとSiH4ガスとの混合ガスからなる原料ガスを導入して、プラズマCVD法により複合基板の酸化亜鉛層の表面上に面内の平均膜厚が25000nmとなるように成膜時間を調整して微結晶シリコン膜からなる実験例1〜8の半導体膜をそれぞれ形成した。
【0070】
ここで、実験例1〜8の半導体膜はそれぞれ、真空成膜装置の成膜室内のカソードの中央付近のシャワープレート穴と、カソードの周縁付近のシャワープレート穴とから導入されるH2ガスとSiH4ガスのガス流量比(H2流量/SiH4流量)を変えて形成した。
【0071】
<実験例1〜8の半導体膜の評価>
上記のようにして作製した実験例1〜8の半導体膜のそれぞれについて、半導体膜の中心、半導体膜の中心から100mm、300mm、500mm、550mm、600mm、650mmおよび700mm離れた点のそれぞれの結晶化率Ic/Iaを測定した(半導体膜の中心以外の箇所については半導体膜の中心からの該当距離の複数箇所について測定し、その平均値を結晶化率Ic/Iaとした。)。その結果を図10に示す。なお、図10の横軸が半導体膜の表面の中心からの距離(mm)を示し、縦軸が結晶化率Ic/Iaを示す。また、結晶化率Ic/Iaは、ラマン分光法により、縦軸がラマン散乱強度、横軸が波数で示されるラマンスペクトルを測定し、波数が約480cm-1における非晶質シリコンに起因するラマン散乱強度のピーク強度の大きさIaに対する、波数が約520cm-1における結晶シリコンに起因するラマン散乱強度のピーク強度の大きさIcのピーク強度比Ic/Iaとして求めた。
【0072】
図10に示すように、実験例1〜5の半導体膜においては、周縁領域C(図9の領域C上の半導体膜)の結晶化率Ic/Iaが中心領域A(図9の領域A上の半導体膜)の結晶化率Ic/Iaよりも高くなっていた。一方、実験例6〜8の半導体膜においては、中心領域A(図9の領域A上の半導体膜)の結晶化率Ic/Iaが周縁領域C(図9の領域C上の半導体膜)の結晶化率Ic/Iaよりも高くなっていた。
【0073】
なお、図9に示すように、中心領域Aと中間領域B(図9の領域B上の半導体膜)との境界は、半導体膜の中心から半導体膜の長さ方向(幅方向)に238mmの距離だけ離れた位置にある。また、中間領域Bと周縁領域Cとの境界は、中心領域Aと中間領域Bとの境界から半導体膜の長さ方向(幅方向)に378mmの距離だけ離れた位置にある。さらに、半導体膜の外周は、中間領域Bと周縁領域Cとの境界から半導体膜の長さ方向(幅方向)に84mmの距離だけ離れた位置にある。したがって、半導体膜の中心をA点とし、半導体膜の表面の外周上の任意の1点をB点とし、A点とB点とを結ぶ線分を線分ABとし、線分ABと中心領域Aの外周との交点をC点とし、線分ABと中間領域Bの外周との交点をD点としたとき、線分ACの長さ:線分CDの長さ:線分DBの長さ=238:378:84=17:27:6となる。
【0074】
また、図11に、実験例1〜8の半導体膜のそれぞれの中心における結晶化率Xaと、実験例1〜8の半導体膜のそれぞれの外周(半導体膜の中心から700mm離れた点)における結晶化率Xbとの関係を示す。なお、図11の横軸が実験例1〜8の半導体膜のそれぞれの中心における結晶化率Xaを示し、縦軸が実験例1〜8の半導体膜のそれぞれの外周における結晶化率Xbを示す。
【0075】
図11に示すように、実験例1〜8の半導体膜のそれぞれの中心における結晶化率Xaと、実験例1〜8の半導体膜のそれぞれの外周における結晶化率Xbとは、Xb=13−Xaの式で表わされる直線関係にあることが確認された。
【0076】
次に、図10の実験例1、6および8のように、実験例1〜8の半導体膜のそれぞれの結晶化率Ic/Iaを線で結び、実験例1〜8の半導体膜のそれぞれについて、結晶化率Ic/Iaがそれぞれ2、3、4、5、6、7、8、9、10および11となる半導体膜の中心からの距離を特定し、その特定された距離の複数箇所についてそれぞれ半導体膜の剥離の有無を確認した。その結果を図12に示す。半導体膜の剥離の有無は、プラズマCVD法による実験例1〜8の半導体膜の形成後に実験例1〜8の半導体膜をそれぞれ大気中で24時間放置した後に、光学顕微鏡を用いて膜面を撮影し、得られた画像のコントラストを大きくして白黒の画像を得て、この画像中の白部分の面積の割合を算出した。半導体膜の剥離が生じた部分は、通常、輝度が大きくなるため、上記の方法で得られた白部分の面積の割合は、半導体膜の剥離が生じた部分の面積(剥離面積)の割合に対応する。なお、測定装置としては、オルボテック社製の検査機を用いた。
【0077】
なお、図12の横軸の結晶化率Xaの2〜9がそれぞれ実験例1〜8の半導体膜の表面の中心の結晶化率Ic/Iaに対応し、縦軸の結晶化率Xbの2〜11がそれぞれ実験例1〜8の半導体膜の上記の各箇所の結晶化率Ic/Iaの2〜11に対応する。また、図12のA〜Eはそれぞれ以下の評価を示している。
A…全測定箇所の99%以上の箇所において半導体膜の剥離が生じていない。
B…全測定箇所の98%以上の箇所において半導体膜の剥離が生じていない。
C…全測定箇所の95%以上の箇所において半導体膜の剥離が生じていない。
D…全測定箇所の92%以上の箇所において半導体膜の剥離が生じていない。
E…全測定箇所の90%以上の箇所において半導体膜の剥離が生じていない。
【0078】
図12に示すように、周縁領域Cの結晶化率Ic/Iaが中心領域Aの結晶化率Ic/Iaよりも高くなっている実験例1〜5の半導体膜(図12の中心の結晶化率Xaの2〜5)においては、下記の式(1’)および(1)の関係を満たす場合には上記の評価がすべてD以上となり、下記の式(2)の関係を満たす場合には上記の評価がすべてB以上となり、下記の式(2’)の関係を満たす場合には上記の評価がすべてA以上となって、いずれの場合にも半導体膜の剥離を有効に抑制できることが確認された。
Xb≧Xa …(1’)
Xb≧Xa+1 …(1)
Xb≧Xa+2 …(2)
Xb≧Xa+3 …(2’)
【0079】
また、図12に示すように、中心領域Aの結晶化率Ic/Iaが周縁領域Cの結晶化率Ic/Iaよりも高くなっている実験例6〜8の半導体膜(図12の中心の結晶化率Xaの6〜8)においては、下記の式(3)および式(4)の関係を満たす場合に上記の評価がすべてA以上となって、半導体膜の剥離を有効に抑制できることが確認された。
Xb≧13−Xa …(3)
Xa≧Xb …(4)
【0080】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、半導体膜および光電変換装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 基板、1a 周縁面、1b 切断面、2 半導体膜、2a 周縁領域、2b 中心領域、2c 中間領域、9 透明導電膜、10 反射電極、21,22,23 実線、31 カソード、32 アノード、33 ガス導入管、34,38 矢印、35 インピーダンス整合回路、36 高周波電源、37 ガス排出管、39 ゲートバルブ、40 ポンプ、41 成膜室、51 透光性基板、52 透明導電膜、53 p型微結晶シリコン層、54 i型微結晶シリコン層、55 n型微結晶シリコン層、101 透明絶縁性基板、102 第1透明電極、103 p型の微結晶Si層(p層)、104 i型の微結晶Si層(i層)、105 n型の微結晶Si層(n層)、106 第2透明電極、107 裏面電極、108 微結晶Si光電変換層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面上に形成された結晶質を含む半導体膜であって、
該半導体膜の表面の中心を含む中心領域と、前記中心領域の周囲に位置する周縁領域とを有し、
該半導体膜の前記周縁領域における結晶化率が、前記中心領域における結晶化率よりも高い、半導体膜。
【請求項2】
前記半導体膜の前記周縁領域における結晶化率が4以上である、請求項1に記載の半導体膜。
【請求項3】
前記半導体膜の前記中心領域における結晶化率が2以上である、請求項1または2に記載の半導体膜。
【請求項4】
前記半導体膜の表面の面積が1m2以上である、請求項1から3のいずれかに記載の半導体膜。
【請求項5】
前記半導体膜の表面の中心点をA点とし、
前記半導体膜の表面の外周上の任意の1点をB点とし、
前記A点と前記B点とを結ぶ線分を線分ABとし、
前記線分AB上の異なる2点をそれぞれC点およびD点とし、
前記A点と前記C点とを結ぶ線分の長さACと、前記C点と前記D点とを結ぶ線分の長さCDと、前記D点と前記B点とを結ぶ線分の長さDBとの比を、AC:CD:DB=17:27:6としたとき、
前記中心領域は、前記線分ABを前記A点を固定して前記B点を前記半導体膜の表面の外周上を1周させたときの前記C点の軌道で囲まれた領域であり、
前記周縁領域は、前記線分ABを前記A点を固定して前記B点を前記半導体膜の表面の外周上を1周させたときの前記B点の軌道と前記D点の軌道との間の領域であって、
前記中心領域における前記半導体膜の前記結晶化率をXaとし、
前記周縁領域における前記半導体膜の前記結晶化率をXbとしたとき、
下記の式(1);
Xb≧Xa+1 …(1)
を満たす、請求項1から4のいずれかに記載の半導体膜。
【請求項6】
下記の式(2);
Xb≧Xa+2 …(2)
をさらに満たす、請求項5に記載の半導体膜。
【請求項7】
基板の表面上に形成された結晶質を含む半導体膜であって、
該半導体膜の表面の中心を含む中心領域と、前記中心領域の周囲に位置する周縁領域とを有し、
前記半導体膜の表面の中心点をA点とし、
前記半導体膜の表面の外周上の任意の1点をB点とし、
前記A点と前記B点とを結ぶ線分を線分ABとし、
前記線分AB上の異なる2点をそれぞれC点およびD点とし、
前記A点と前記C点とを結ぶ線分の長さACと、前記C点と前記D点とを結ぶ線分の長さCDと、前記D点と前記B点とを結ぶ線分の長さDBとの比を、AC:CD:DB=17:27:6としたとき、
前記中心領域は、前記線分ABを前記A点を固定して前記B点を前記半導体膜の表面の外周上を1周させたときの前記C点の軌道で囲まれた領域であり、
前記周縁領域は、前記線分ABを前記A点を固定して前記B点を前記半導体膜の表面の外周上を1周させたときの前記B点の軌道と前記D点の軌道との間の領域であって、
前記中心領域における前記半導体膜の前記結晶化率をXaとし、
前記周縁領域における前記半導体膜の前記結晶化率をXbとしたとき、
下記の式(3)および式(4);
Xb≧13−Xa …(3)
Xa≧Xb …(4)
を満たす、半導体膜。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の半導体膜を基板上に形成して作製された、光電変換装置。
【請求項9】
請求項8に記載の基板を切断することにより作製された、光電変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−138979(P2011−138979A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−299094(P2009−299094)
【出願日】平成21年12月29日(2009.12.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】