説明

免疫寛容を増強するためのフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミン

哺乳動物における免疫寛容を増強するための薬剤の製造のためのフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンの使用;ならびに使用、方法ならびにこのようなフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンを含む医薬組合せおよび組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、細胞治療において、免疫寛容を増強するためのフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
単球から生じる樹状細胞(DC)は、様々な抗原に対するT細胞応答を促進および刺激することができる非常に有効な抗原提示細胞である。DCはそれ自身、免疫および寛容耐性の両方のエフェクター機能を有し、DCは腫瘍ならびに多数の細菌および他の病原体に対する免疫応答において重要な役割を果たす。DCの詳細な記載ならびに多数の他の関連ある記載として、例えばPaul (1998) Fundamental Immunology, 4th edition, Lippincott-Raven, Philadelphia参照。
【発明の開示】
【0003】
我々は驚くべきことに、フェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンが細胞治療において有用であり得て、該細胞治療は、例えば、処置の前の免疫寛容状態と比較して哺乳動物における免疫寛容を増強するために有用であり得て、例えば、フェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンが免疫抑制剤として有用であり得ることを見いだした。
【0004】
いくつかの局面において、本発明は、下記を提供する:
1.1 哺乳動物における免疫寛容を増強するための薬剤の製造のためのフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンの使用。
1.2 哺乳動物における免疫寛容を、例えば、長期間誘導するため、例えば、活性を誘導するための、薬剤の製造のためのフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンの使用。
1.3 免疫抑制剤として使用するための薬剤の製造のためのフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンの使用。
1.4 細胞治療において使用するための薬剤の製造のためのフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンの使用。
【0005】
本発明にしたがって、フェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンの存在下で成熟したときに哺乳動物から単離した単球および/または樹状細胞は、例えば、処置の前の免疫寛容状態と比較して、哺乳動物における免疫寛容を増強するために有用であり得ることを見いだした。
【0006】
他の局面において、本発明は、下記を提供する:
2.1 哺乳動物における免疫寛容を増強するための方法、または
2.2 哺乳動物における免疫寛容を、例えば、長期間誘導、例えば能動的に誘導するための方法
2.3 a)哺乳動物から単球および/または樹状細胞を単離し、
b)単球が存在するならば、所望によりフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)アミンの存在下で未成熟な樹状細胞(iDC)に分化させ、
c)工程a)および/またはb)で得られた未成熟な樹状細胞および樹状細胞を成熟剤でフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)アミンの存在下で処置し、そして
d)有効量の工程c)で得られた成熟樹状細胞を該哺乳動物に投与する
工程を含む細胞治療。
【0007】
本発明の工程a)からd)の方法は、慣用のとおり、例えば、慣用の方法にしたがって、例えば、準じて実施し得る。
【0008】
例えば、機能性単球および/または樹状細胞(DC)を、哺乳動物から、例えば、このような哺乳動物の血液サンプルから単離するための方法は既知であり、そして慣用の方法により、例えば、準じて実施され得る。例えば、単球および/または樹状細胞(DC)の単離は、例えば、Miltenyi Biotechからの、例えば、市販のキットに存在する電磁ビーズの使用により対応するプロトコールにしたがって、または、例えば、慣用の方法による、例えば、準じた他のなんらかの細胞選別法により実施され得る。
【0009】
単球をIL−4およびGM−CSFで数日間、例えば、4から8日間処置することにより未成熟な樹状細胞(iDC)に分化させることができ、分化は、所望により本発明にしたがって(約)1nMから(約)30nMの量で細胞/分化細胞混合物中に存在し得るフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)アミンの存在下で実施できる。このような分化工程で得られたiDCまたは工程a)で、例えば、血液から単離されたiDCまたはDCを工程b)で、例えば、適当な培養培地中で、成熟DCを得るために成熟剤で処置する。適当な成熟剤は、例えば、慣用の薬剤を使用し得る。成熟剤は、例えば、能動的成熟剤としてGM−CSF、LPS、IL−1−β、IL−4、アゴニストCD40−抗体TNF−α、TSLP(胸腺間質性リンホポエチン)、または1種またはそれ以上のこのような記載の活性成熟剤の組合せを含み得る。iDCを成熟剤と適当な培地中で処置することにより、iDCを成熟DCに、例えば、数時間、例えば、(約)4から(約)36時間、例えば、(約)6から(約)24時間処置することにより分化させる。単球またはiDCから成熟DCを得るための適当な分化および成熟培養(条件)は既知であるか、または当業者により見いだされ得る。
【0010】
DCの成熟(およびDCの処置)はフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)アミンの存在下で実施される。このようなフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)アミンは(約)1nMから(約)30nMの量で細胞/成熟細胞の混合物に含まれ得る。
【0011】
成熟剤およびフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)アミンでの処置は、得られたDCから成熟剤およびフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)アミンを除去するために、得られたDCの精製工程、例えば、適当な洗浄液、例えば、PBSでの洗浄が続くべきである。
【0012】
工程c)で得られたDCは、未処置単球および/またはDCを単離した哺乳動物に投与され、例えば、工程c)で処置されたこのようなDCは医薬組成物の形態で、静脈内投与により、例えば、適当なデバイスを使用する適当な方法、例えば、注射、注入により哺乳動物に投与される。
【0013】
静脈内投与のために、工程c)で得られたDCを、例えば、上記定義のとおりに精製し、精製されたDCを静脈内投与のために適当な水性媒体中で、例えば、水性媒体は、例えば、生理学的媒体と類似の水性媒体を得るために、生理学的に許容されるアジュバントを含み得る。細胞を哺乳動物に静脈内に投与するための水性媒体は既知であるか、または当業者により見いだされ得る。投与のために本発明にしたがい水性媒体で処置されるDCの濃度は生理学的条件と類似であり得るが、一般に生理学的条件下より高い濃度がインビボで効果を改善するために推奨され得る。
【0014】
他の局面において、本発明は、下記を提供する:
3.1 哺乳動物の体外でフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンの存在下で成熟され、処置された成熟樹状細胞を、薬学的に許容される賦形剤と共に含む、例えば、静脈内投与のための医薬組成物。
【0015】
本発明にしたがい処置されたDCを含む医薬組成物は、水性媒体;および、例えば、水性媒体以外に、所望によりさらなる薬学的に許容される賦形剤、例えば、哺乳動物に細胞を投与するために適当である賦形剤を含み得る。水性媒体は適当な緩衝媒体、例えば、静脈内投与のために有用であり、薬学的に許容される緩衝媒体を含み得る。
本発明により提供される医薬組成物は慣用の方法にしたがって、例えば、準じて製造でき、例えば、哺乳動物の体外でフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンの存在下で成熟され、処置され、そしてフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンおよび成熟剤を、例えば、細胞を単離することにより、例えば、細胞を洗浄することにより除去した成熟樹状細胞を含む組成物を製造し、該組成物は、例えば、DCの、例えば、水性媒体、例えば、緩衝媒体中の、エマルジョンまたは懸濁液の形態での静脈内投与のために適当である。
単離された細胞に、所望によりさらなる薬学的に許容される賦形剤、例えば、担体または希釈剤を加え得る。
【0016】
他の局面において、本発明は、下記を提供する:
4.1 a)フェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンの存在下で哺乳動物の体外で樹状細胞を成熟させ、
b)工程a)で得られた細胞を単離し、そして
c)所望により薬学的に許容される賦形剤と混合する
ことを含む、例えば、静脈内投与のための医薬組成物を製造するための方法。
【0017】
薬学的に許容される賦形剤は担体および希釈剤、例えば、生理学的に許容される緩衝媒体を含む水性媒体を含む。
【0018】
本発明の処置が、驚くべきことに哺乳動物における免疫寛容を誘導する、例えば、このような処置が、哺乳動物における免疫寛容を、処置の前の免疫寛容状態と比較して増強することを見いだした。
【0019】
例えば、インビトロでフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミン、例えば、ここで定義の化合物Aまたは化合物Bで処置された骨髄由来成熟樹状細胞での細胞治療は、マウスにおいて膵島移植拒絶反応を顕著に予防する、例えば、フェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンは長期間の能動的寛容の誘導を、例えば、なんらかのさらなる免疫抑制性レジメンと関係なく促進する。
【0020】
本発明により提供される使用または方法または医薬組成物は、本明細書で“本発明の(本発明による)使用(または方法、または医薬組成物)”としても記載されている。
【0021】
本発明に、例えば、本発明の使用、方法または医薬組成物のために有用である適当なフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンは、例えば、WO03063871に記載されているフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンを含む。本発明にしたがい有用であるフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンは、本明細書で“本発明の(本発明による)フェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)アミン”としても記載されている。
【0022】
ある局面において、本発明のフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)アミンは、式
【化1】

[式中、
はハロゲンまたはハロ(C1−4)アルキルであり、
は水素、ハロゲンまたはハロ(C1−4)アルキルであり、
はハロゲンまたはハロ(C1−4)アルキルであり、
は水素、(C1−8)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキルまたは式
−CO−R
−CO−(CH−OR
−CO−CO−R
−CO−CO−OR
−CO−N(R10)、
−CO−(CH−CO−R11
−CO−(CHR15)−O−(CH−CO−R11
−CO−(CH−O−(CH−O−(CH−R16
−CO−O−(CH−O−CO−R17
−CO−O−(CH−N(R1819)、
−CO−O−(CH−NH−CO−CH(NH)−R20、もしくは
−CO−O−(CH−NH−CO−R17の基であり、
は水素、(C1−8)アルキル、(C3−8)シクロアルキル、アミノ、(C1−4)アルキルアミノ、ジ(C1−4)アルキルアミノ、アリール、例えば、(C6−18)アリール、または、例えば、5または6個の環員および1から4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を有するヘテロシクリルであり、
は水素、(C1−4)アルキル、(C3−8)シクロアルキル、アリール、例えば、(C6−18)アリール、5または6個の環員および1から4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を有するヘテロシクリルにより置換されている(C1−4)アルキル、アミノ(C1−6)アルキル、(C1−4)アルキルアミノ(C1−6)アルキル、ジ(C1−4)アルキルアミノ(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−4)アルキルアミノ(C1−6)アルキルまたはアミノ酸残基、例えば、式−CH−CH(NH)−COOHのアミノ酸残基、または、例えば、Rが−CO−(CH−CO−Clである式Iの化合物とアミノ酸を反応させることにより得られるアミノ酸残基、アミノ酸モノ(C1−6)アルキルエステルまたはアミノ酸ジ(C1−6)アルキルエステルであり、
【0023】
およびRは互いに独立して(C1−4)アルキル、(C3−8)シクロアルキル、アリールまたは5または6個の環員および1から4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を有するヘテロシクリルであり、
およびR10は互いに独立して水素もしくは(C1−4)アルキルであるか、または
およびR10の一方が水素であり、もう一方が(C3−8)シクロアルキル、(C1−4)アルキル、アリール、例えば、(C6−18)アリール、または5または6個の環員および1から4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を有するヘテロシクリルであり、
11は(C1−4)アルキル、−OR12、−NR1314、アミノ酸残基、例えば、R11が−CO−(CHR15)−O−(CH−CO−Clである式Iの化合物とアミノ酸を反応させることにより得られるアミノ酸残基、アミノ酸モノ(C1−6)アルキルエステルまたはアミノ酸ジ(C1−6)アルキルエステルであり、
12は水素または(C1−4)アルキル、例えば、結合がアミン基を介して生じているアミノ酸残基であり;
13およびR14は互いに独立して水素、(C1−4)アルキル、アミノ(C1−6)アルキル、(C1−4)アルキルアミノ(C1−6)アルキル、ジ(C1−4)アルキルアミノ(C1−6)アルキルであり、
15は水素または(C1−4)アルキルであり、
16は水素、(C1−4)アルキル、カルボキシルまたは、例えば、カルボニル基を介して結合しているカルボン酸エステル残基であり;
17はアミノ(C1−4)アルキル、(C1−4)アルキルアミノ(C1−4)アルキルまたはジ(C1−4)アルキルアミノ(C1−4)アルキルであり、
18は水素または(C1−4)アルキルであり、
19はヒドロキシ(C1−4)アルキルであり、
20は(C1−4)アルキルまたはヒドロキシ(C1−4)アルキルであり、
mは0から4であり、nは2から8であり、oは0から4であり、pは0から4であり、qは1から8であり、rは0から4であり、sは1から4であり、tは1から4であり、uは1から6であり、そしてwは1から6である]
で示される化合物である。
【0024】
他の局面において、本発明のフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)アミンは、
がクロロまたはトリフルオロメチルであり、
が水素またはトリフルオロメチルであり、
がクロロ、フルオロまたはトリフルオロメチルであり、
が水素、(C1−4)アルキル、例えば、メチル、ヒドロキシ(C1−4)アルキル、例えばヒドロキシエチル、または式
−CO−R
−CO−(CH−OR
−CO−CO−R
−CO−CO−OR
−CO−N(R10)、
−CO−(CH−CO−R11
−CO−(CHR15)−O−(CH−CO−R11
−CO−(CH−O−(CH−O−(CH−R16
−CO−O−(CH−O−CO−R17
−CO−O−(CH−N(R1819)、
−CO−O−(CH−NH−CO−CH(NH)−R20、または
−CO−O−(CH−NH−CO−R17の基であり、
が水素、(C1−4)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、ジメチルアミノ、フェニルまたは5または6個の環員および1から4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を有するヘテロシクリル、例えば、6環員およびヘテロ原子として1個のOを有するヘテロシクリル、例えば、テトラヒドロピラニルであり、
が水素、(C1−4)アルキル、5または6個の環員および1から4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を有するヘテロシクリル、例えば、5または6個の環員およびNまたはOから選択される1または2個のヘテロ原子を有するヘテロシクリル、例えば、非置換ピロリジン、モルホリンおよびピペラジンおよび、例えば、(C1−2)アルキルまたは(C1−2)ヒドロキシアルキルにより置換されているピペラジンにより置換されている(C1−2)アルキル;アミノ(C1−4)アルキル、(C1−2)アルキルアミノ(C1−4)アルキル、ジ(C1−2)アルキルアミノ(C1−4)アルキル、ヒドロキシ(C1−3)アルキル、ヒドロキシ(C1−2)アルキルアミノ(C1−2)アルキルまたはアミノ酸残基、例えば、−CH−CH(NH)−COOHであり、
【0025】
およびRが互いに独立して(C1−2)アルキルまたはフェニルであり、
およびR10が互いに独立して水素または(C1−2)アルキルであり、
11が(C1−2)アルキル、−OR12、−NR1314、好ましくはアラニン、フェニルアラニン、グルタミン酸およびリシンからなる群から選択されるアミノ酸から生じるアミノ酸残基、それらの(C1−2)アルキルエステルまたはそれらのジ(C1−2)アルキルエステル(ここで結合はα−アミノ基を介してか、または、例えば、リシンの場合、ε−アミノ基を介して結合している)であり、
12が水素または(C1−2)アルキルであり、
13およびR14が互いに独立して水素、(C1−2)アルキル、アミノ(C1−4)アルキル、(C1−2)アルキルアミノ(C1−4)アルキル、ジ(C1−2)アルキルアミノ(C1−4)アルキルであり、
15が水素または(C1−2)アルキルであり、
16が水素、(C1−2)アルキル、カルボキシルまたは、例えば、カルボニル基を介して結合しているカルボン酸エステルであり;
17がアミノ(C1−2)アルキルであり、
18が水素または(C1−2)アルキルであり、
19がヒドロキシ(C1−2)アルキルであり、
20が(C1−2)アルキルまたはヒドロキシ(C1−2)アルキルであり、
mが0または1であり、nが2から4であり、oが0または1であり、pが0から2であり、qが2から5であり、rが0から2であり、sが2であり、tが2であり、uが1から3であり、そしてwが1から3である式Iの化合物である。
【0026】
が水素以外である式Iの化合物は、Rが水素である式Iの化合物の前駆体であると予測され、例えば、Rがクロロであり、Rが水素であり、Rがトリフルオロメチルであり、そしてRが式−CO−O−(CH−N[(COH)(CH)]の基である式Iの化合物(本明細書で“化合物A”としても示される)は、活性化合物であると判明したRがクロロであり、Rが水素であり、Rがトリフルオロメチルであり、そしてRが水素である式Iの化合物(本明細書で“化合物B”としても示される)の前駆体であると判明した。
【0027】
他の局面において、本発明のフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)アミンは、
N−[4−(3−クロロ−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−N−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン、
N−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−N−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン、
N−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−N−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン、
N−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−N−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン、および
N−[4−(3−クロロ−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−N−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン、
−(ここでアミン基は非置換であるか、
−アミン基はR(Rは上記定義のとおりである)により置換されている)
からなる群から選択される式Iの化合物である。
【0028】
他の局面において、本発明のフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンは、例えば、塩酸塩、メシル酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ベシル酸塩(一ベンゼンスルホン酸塩)またはカルシウム塩形の式
【化2】

【0029】
【化3】

【0030】
【化4】

【0031】
【化5】

【0032】
【化6】

【0033】
【化7】

【0034】
【化8】

【0035】
【化9】

【0036】
【化10】

【0037】
【化11】

【0038】
【化12】

【0039】
【化13】

からなる群から選択され、例えば、Rがクロロであり、Rが水素であり、Rがトリフルオロメチルであり、そしてRが水素である式Iの化合物(本明細書で“化合物B”としても示される)、または
がクロロであり、Rが水素であり、Rがトリフルオロメチルであり、そしてRが式
【化14】

の基である式Iの化合物(本明細書で“化合物A”としても示される)である。
【0040】
特記されない限り、本明細書で定義されたアリールはフェニルを含む。ハロゲンはフルオロ、クロロ、ブロモを含む。ハロアルキルはハロが1個またはそれ以上のハロゲンであるハロ(C1−4)アルキル、好ましくはトリフルオロメチルを含む。(C3−8)シクロアルキルは、例えば、(C3−6)シクロアルキルを含む。アミノはアミノ、(C1−4)アルキルアミノおよびジ(C1−4)アルキルアミノを含む。アミノアルキルはアミノ(C1−6)アルキル、例えば、(C1−4)アルキルアミノ(C1−6)アルキル、ジ(C1−4)アルキルアミノ(C1−6)アルキル、好ましくは、置換アミノ(C1−4)アルキルアミノ(C1−4)アルキル、例えば、ジメチル−またはジエチルアミノ(C1−4)アルキルを含む。ヒドロキシアルキルアミノはヒドロキシ(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−4)アルキルアミノ(C1−6)アルキル、好ましくはヒドロキシ(C1−3)アルキルまたはヒドロキシ(C1−2)アルキルアミノ(C1−2)アルキルを含む。アミノ酸は全ての天然および合成アミノ酸、好ましくはα−アミノ酸、例えば、アラニン、フェニルアラニン、グリシン、グルタミン酸およびリシンを含む。アミノ酸は1個またはそれ以上のアミノ酸、例えば、ジ−またはトリペプチドを含む。
【0041】
ヘテロシクリルはN、OまたはSから選択される1から4個のヘテロ原子を有する5または6員ヘテロ環式環系を含む。好ましくはヘテロシクリルはNまたはOから選択される1または2個のヘテロ原子を有する5または6員環系を含む。好ましいものはピロリジン、モルホリンおよびピペラジンである。
【0042】
すべての基は非置換であるかまたは置換されており、例えば、有機化学において慣用の基、例えば、ハロゲン、ハロアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルカルボニルアミノ、アミノアルキルカルボニルアミノ、ヒドロキシアルキルアミノ、アミノアルキルアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、5または6環員およびN、O、Sから選択される1から4個のヘテロ原子を有するヘテロシクリル;(C1−4)アルキルヘテロシクリル(ここでヘテロシクリルは5または6環員およびN、O、Sから選択される1から4個のヘテロ原子を有する);ヒドロキシ(C1−4)アルキルヘテロシクリル(ここでヘテロシクリルは5または6環員およびN、O、Sから選択される1から4個のヘテロ原子を有する);カルボキシル、(C1−4)アルキルカルボニルオキシ、アミノ(C1−4)−アルキルカルボニルオキシから選択される基により置換されている。
【0043】
本発明のフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンはなんらかの形態、例えば、遊離形、塩形、溶媒和物形ならびに塩および溶媒和物の形態のフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンを含む。このような塩は、例えば、金属塩または酸付加塩を含む薬学的に許容される塩を含む。金属塩は、例えば、アルカリまたはアルカリ土類塩;例えば、カルシウム塩を含む。酸付加塩は、例えば、無機酸および有機酸、例えば、薬学的に許容される酸、例えば、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸を含む酸との式Iの化合物の塩を含む。
【0044】
遊離形の本発明のフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンは、塩形の対応する化合物に変換され得る;逆も同様である。遊離形または塩形および溶媒和物形の本発明のフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンは、遊離形または塩形および非溶媒和物形の対応する化合物に変換され得る;逆も同様である。
【0045】
本発明のフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンは異性体、例えば、光学異性体、ジアステレオマー、シス−トランス配座異性体およびそれらの混合物の形態で存在し得る。本発明のフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンは、例えば、不斉炭素原子を含み得、したがってエナンチオマー、ジアステレオマーおよびそれらの混合物、例えば、ラセミ体の形態で存在し得る。例えば、本発明のフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンにおける不斉炭素原子に結合している置換基は、R−またはS−配置(それらの混合を含む)であり得る。本発明は、すべての異性体およびすべての異性体混合物の本発明のフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンを含む。
【0046】
本発明のフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンは、必要に応じて、例えば、慣用の方法にしたがって、例えば、準じて製造でき、例えば、式Iの化合物は、例えば、WO03063871に記載の方法にしたがって、例えば、準じて製造できる。
【0047】
本発明のフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンの医薬有用性は、例えば、動物モデルにおいて決定でき、例えば、本発明のフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンのインビボ効果は、同種膵臓膵島移植のマウスモデルにおいて決定された。本発明の化合物は、このようなモデルにおいて活性である。
【0048】
例えば、このような同種膵臓膵島移植のマウスモデルにおける“試験化合物”(また例えば、図において“TC”と略されている)としても表される本明細書の化合物Aおよび化合物Bの効果は、例えば、下記手段により研究された:
レシピエントBALB/cマウスはストレプトゾトシンの単回投与により糖尿病にされ、C57Bl/6マウスから単離した膵臓膵島を移植されている。移植マウスを移植後0日から30日まで30mg/kgまたは7.5mg/kgの用量の試験化合物の水溶性誘導体で毎日処置する。試験化合物が用量依存的に長期間膵臓膵島同種移植片の許容性を顕著に促進することを見いだした。例えば、7.5mg/kgの用量で、試験化合物は40%のレシピエントにおいて長期間移植片生着を誘導し、一方、30mg/kgで、処置されたマウスの70%が正常グルコースレベルを維持する(例えば、図1の結果、参照)。興味深いことに、長期間寛容なマウスを100日目にドナー型脾臓細胞で再攻撃することにより実証されているように、高用量の試験化合物での処置は能動的な寛容性の誘導をもたらす(例えば、図2の結果、参照)。加えて、長期間生着した移植片を有する試験化合物処置マウスの脾臓から単離された抗原提示細胞は、新たに移植されたマウスに寛容性を移す(例えば、図3の結果、参照)。移植後7および30日で実施されたエキソビボフローサイトメトリー分析は、試験化合物での処置がCD11c+脾臓のDCにおける共刺激分子(CD80、CD86、CD40)の発現のダウンレギュレーションをもたらすことを示す(例えば、図4の結果、参照)。移植された膵島の組織学分析は試験化合物処置がCD11c+DCおよびCD8+T細胞による移植片浸潤を阻害し、膵島機能を保護することを示す(図5)。これらの結果は試験化合物が特異的にDCの活性および機能を阻害する寛容原性の化合物であることを示す。
【0049】
マウスDCにおける試験化合物の効果をさらに研究するために、BALB/cマウス由来骨髄細胞を試験化合物(20nM)の存在下または非存在下で骨髄由来DC(BM−DC)にGM−CSFで分化させる。BM−DCは未成熟のままであるか、またはLPSで活性化される。試験化合物は成熟BM−DCにおいて共刺激分子、CD80、CD86およびCD40のアップレギュレーションを阻害する(例えば、図6の結果、参照)。興味深いことに、LPSで活性化されたが、未成熟でない試験化合物で処置されたレシピエント型BM−DCのマウスへの注射は、膵島同種移植片許容性を顕著に促進する(例えば、図7の結果、参照)。
【0050】
本発明の方法または医薬組成物または使用が、したがって低免疫寛容が障害または疾患状態の基礎である障害または疾患状態の処置または予防のために有用であることが示される。
【0051】
例えば、上記1.1から1.4、2.1から2.3および4.1に記載されている本発明の方法または医薬組成物または使用は、例えば、低免疫寛容により介在される疾患の処置、例えば、下記の処置を含む疾患の処置のために有用であり得る:
a)臓器または組織移植拒絶反応後の障害の処置、例えば、心臓、肺、心臓肺複合、肝臓、腎臓、膵臓、皮膚または角膜移植のレシピエントの、例えば、処置;例えば、骨髄移植後の移植片対宿主病、例えば、移植臓器における慢性拒絶反応、例えば、慢性拒絶反応の顕在化、すなわち移植片への免疫反応によりもたらされる状態および移植臓器または組織における血管壁の反応の予防。本発明の方法または使用は、慢性拒絶反応徴候を減少するため、または慢性拒絶反応によりもたらされる状態を改善するために有用であり得る。臓器または組織移植はドナーから同じまたは異なる種のレシピエントへと実施され得る。本発明の方法または使用は、したがって臓器または組織異種移植のレシピエントにおける急性または慢性拒絶反応を予防または回復するために有用であり得る。例えば、異種臓器または組織移植を含む移植臓器は、例えば、心臓、肝臓、腎臓、脾臓、肺、小腸、膵臓(完全なまたは一部、例えば、ランゲルハンス島)、皮膚および骨髄異種移植片を含み得る。
【0052】
b)自己免疫性疾患および(悪性)炎症性状態、特に自己免疫性成分を含む病因を有する炎症性状態、例えば、関節炎(例えば、リウマチ性関節炎、慢性進行性関節炎および変形性関節炎)およびリウマチ性疾患の処置。本発明の方法または使用が有用であり得る特定の自己免疫性疾患は、自己免疫性血液疾患(例えば、溶血性貧血、再生不良性貧血、赤芽球癆および特発性血小板減少症)、全身性エリテマトーデス、多発性軟骨炎、強皮症、ウェゲナー肉芽腫、皮膚筋炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、乾癬、スティーブン−ジョンソン症候群、特発性スプルー、消化器疾患、例えば、自己免疫性炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎およびクローン病)、内分泌腺眼症、グレーブス病、サルコイドーシス、多発性硬化症、原発性胆汁性肝硬変、若年性糖尿病(I型糖尿病)、ブドウ膜炎(前部および後部)、乾性角結膜炎および春期角結膜炎、間質性肺線維症、乾癬性関節炎、糸球体腎炎(例えば、特発性ネフローゼ症候群または微少変化ネフロパシーを含むネフローゼ症候群を有するまたは有さない)および若年性皮膚筋炎を含む。
【0053】
c)アレルギー性疾患、例えば、自己免疫性成分を含む病因を有するアレルギー性状態、例えば、特に幼児のアトピー性皮膚炎、蕁麻疹、特に急性蕁麻疹、アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、食物アレルギー、アレルギー性結膜炎、花粉症、類天疱瘡、産業的過敏化の処置。
【0054】
本明細書で使用される処置は処置および防止(予防)を含む。
【0055】
他の局面において、本発明は、低免疫寛容により介在される疾患、例えば、下記の疾患の処置のための、例えば、上記1.1から1.4、2.1から2.3および4.1に記載されている本発明の方法または医薬組成物または使用(例えば、下記の方法または医薬組成物または使用)を提供する:
−臓器または組織移植拒絶反応後の障害、
−自己免疫疾患、
−自己免疫性成分を含む病因を有する炎症状態、
−アレルギー疾患、
−処置を必要とする対象に治療有効量の本発明のフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンを投与することを含む低免疫寛容により介在される障害を処置する方法;
−例えば、有効量の本発明のフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンを含む低免疫寛容により介在される障害を処置するための薬剤の製造のための方法;
−低免疫寛容により介在される障害を処置するための本発明の医薬組成物の使用、または
−本発明の医薬組成物を含む、低免疫寛容により介在される障害を処置するための医薬組成物。
【0056】
本発明の方法または使用において、低免疫寛容により介在される障害を処置するために、本発明のフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンは単一の活性成分として使用され得るか、または少なくとも1種の第2の薬剤、例えば、ここで定義の第2の薬剤を組み合わせて、例えば、連続して、または同時にのいずれかで使用できる。
【0057】
このような第2の薬剤は、例えば、免疫調節化合物、例えば、免疫抑制剤、抗炎症性化合物または抗アレルギー性化合物を含む。
本発明の医薬組成物は、所望により哺乳動物の体外でフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンの存在下で成熟された成熟樹状細胞および第2の薬剤の組合せを含み得て、好ましくは本発明の医薬組成物は第2の薬剤を含まない。
【0058】
本発明の処置において、第2の薬剤の適当な用量は、もちろん、例えば、使用される第2の薬剤の化学性質および薬物動態学的データ、個々の宿主、投与経路および処置される状態の性質および重症度に依存して変化し得る。しかしながら、一般的に、大型哺乳動物、例えば、ヒトにおいて満足な結果のために示される1日用量は、例えば、1日に4回までの分割用量で投与される、
−約0.0001gから約1.5g、
−約0.01mg/kg体重から約20mg/kg体重の範囲を含む。
【0059】
本発明の組合せ(処置)の第2の薬剤は、例えば、被覆または非被覆錠剤、カプセル、(注射)溶液、注入溶液、固溶体、懸濁液、分散体、固体分散体の形態で;例えば、アンプル剤、バイアルの形態で、クリーム、ゲル、ペースト、吸入粉末、泡状物、チンキ剤、リップスティック、ドロップ、スプレー状の形態で、または座薬の形態で、なんらかの慣用の経路で、例えば、経鼻、経口内、経直腸、経口投与を例えば含む経腸;例えば、静脈内、動脈内、筋肉内、心臓内、皮下、骨内注入、経皮(表皮を介する拡散)、経粘膜(粘膜を介する拡散)、吸入投与を含む非経腸で;例えば、皮膚、経鼻、気管内投与を含む局所的によりで;腹腔内(腹腔への注入または注射)に;硬膜外(epidural)(硬膜上腔への注射または注入)に;髄腔内(髄液への注射または注入)に;硝子体内(眼を介する投与)に;または、例えば、局所送達のための医療デバイス、例えば、ステントを介して投与できる。
【0060】
第2の薬剤は薬学的に許容される塩形、または遊離形;所望により溶媒和物形で、本発明の組合せ処置において投与できる。
【0061】
一連のさらなる局面において、本発明は、下記を提供する
−少なくとも1種の第2の薬剤と組み合わせた本発明の医薬組成物の組合せ;
−少なくとも1種の第2の薬剤と組み合わせて本発明の医薬組成物を含む医薬組合せ;
−本明細書で定義のいずれかの方法において使用するための少なくとも1種の第2の薬剤と組み合わせた本発明の医薬組成物、
−例えば、組合せ処置において使用するための医薬として使用するための本発明の医薬組成物および少なくとも1種の第2の薬剤を含む医薬組合せ;
−例えば、組合せ処置において使用するための少なくとも1種の第2の薬剤と組み合わせた本発明の医薬組成物の医薬としての使用;
−第2の薬剤と組み合わせて使用するための薬剤の製造のための本発明の医薬組成物の使用;
−低免疫寛容が介在する疾患の処置のための第2の薬剤と組み合わせて使用するための薬剤の製造のための本発明の医薬組成物の使用
−例えば、医薬組合せまたは組成物形の治療有効量の本発明の医薬組成物および少なくとも1種の第2の薬剤を同時にまたは連続して共投与することを含む、処置を必要とする対象の低免疫寛容により介在される障害を処置するための方法;
−低免疫寛容が介在する疾患の処置のために使用するための薬剤の製造における使用のための少なくとも1種の第2の薬剤と組み合わせた本発明の医薬組成物。
【0062】
組合せは、本発明の医薬組成物および少なくとも1種の第2の薬剤を別々にパッケージングするが、例えば、低免疫寛容が介在する疾患の処置のための同時にまたは連続して投与するための指示書が与えられた自由な組合せを含む。
【0063】
他の局面において、本発明は、少なくとも1種の第2の薬剤に加えて本発明の医薬組成物との組合せのための指示書、例えば、組合せ処置のための指示書を含む医薬パッケージを提供する。
【0064】
本発明の組合せ処置は、単剤処置と比較して改良を提供し得る。
【0065】
他の局面において、本発明は、下記を提供する:
−例えば、同時にまたは連続して、治療有効量の本発明の化合物および第2の薬剤の共投与を含む、本発明の医薬組成物の治療的有用性を改良するための方法
−例えば、同時にまたは連続して、治療有効量の本発明の医薬組成物および第2の薬剤の共投与を含む、第2の薬剤の治療的有用性を改良するための方法。
【0066】
本発明の医薬組成物は、慣用の方法にしたがって、例えば、準じて、例えば、混合、造粒、被覆、溶解または凍結乾燥法により製造できる。単位用量形は、例えば、約0.1mgから約1500mg、例えば、1mgから約1000mgを含み得る。
【0067】
“第2の薬剤”なる用語は化学療法剤、とりわけ本発明のフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミン以外のすべての化学療法剤を意味する。
【0068】
例えば、本明細書で使用される第2の薬剤は、例えば、抗炎症性剤および/または免疫調節剤および/または抗アレルギー剤を含む。
本発明の化合物と組み合わせて有用でありそうな抗炎症性剤および/または免疫調節剤および/または抗アレルギー剤は、例えば、下記を含む:
−mTOR活性のメディエイター、例えば、阻害剤、例えば、式
【化15】

で示されるラパマイシンおよびラパマイシン誘導体、例えば
40−O−アルキル−ラパマイシン誘導体、例えば、40−O−ヒドロキシアルキル−ラパマイシン誘導体、例えば、40−O−(2−ヒドロキシ)−エチル−ラパマイシン(エバロリムス)、
32−デオキソ−ラパマイシン誘導体および32−ヒドロキシ−ラパマイシン誘導体、例えば、32−デオキソラパマイシン、
16−O−置換ラパマイシン誘導体、例えば、16−ペンタ−2−イニルオキシ−32−デオキソラパマイシン、16−ペンタ−2−イニルオキシ−32(SまたはR)−ジヒドロ−ラパマイシン、16−ペンタ−2−イニルオキシ−32(SまたはR)−ジヒドロ−40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、
酸素基で40位をアシル化されているラパマイシン誘導体、例えば、40−[3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシ−メチル)−2−プロピオン酸メチル]−ラパマイシン(CCI779としても既知)、
40位をヘテロシクリルにより弛緩されているラパマイシン誘導体、例えば、40−エピ−(テトラゾリル)−ラパマイシン(ABT578としても既知)、
いわゆる、例えば、WO9802441、WO0114387およびWO0364383に記載されているようなラパログ、例えば、AP23573および
TAFA−93、AP23464、AP23675、AP23841およびバイオリムスの名の下に記載されている化合物(例えば、バイオリムスA9);
【0069】
−カルシニューリンのメディエイター、例えば、阻害剤、例えば、シクロスポリンA、FK506;
−免疫抑制特性を有するアスコマイシン、例えば、ABT−281、ASM981;
−コルチコステロイド;シクロホスファミド;アザチオプレン;レフルノミド;ミゾルビン;
−ミコフェノール酸または、例えば、ナトリウムの塩;ミコフェノール酸モフェチル;
−15−デオキシスペルグアリンまたはそれらの免疫抑制性相同物、類似体もしくは誘導体;
−bcr−ablチロシンキナーゼ活性のメディエイター、例えば、阻害剤;
−c−kit受容体チロシンキナーゼ活性のメディエイター、例えば、阻害剤;
−PDGF受容体チロシンキナーゼ活性のメディエイター、例えば、阻害剤、例えば、グリーベック(イマチニブ);
−p38MAPキナーゼ活性のメディエイター、例えば、阻害剤、
−VEGF受容体チロシンキナーゼ活性のメディエイター、例えば、阻害剤、
−PKC活性のメディエイター、例えば、阻害剤、例えば、WO0238561またはWO0382859に記載されているような、例えば、実施例56または70の化合物;
−JAK3キナーゼ活性のメディエイター、例えば、阻害剤、例えば、N−ベンジル−3,4−ジヒドロキシ−ベンジリデン−シアノアセトアミド□−シアノ−(3,4−ジヒドロキシ)−]N−ベンジルシンナムアミド(チルホスチンAG490)、プロジギオシン25−C(PNU156804)、[4−(4’−ヒドロキシフェニル)−アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン](WHI−P131)、[4−(3’−ブロモ−4’−ヒドロキシルフェニル)−アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン](WHI−P154)、[4−(3’,5’−ジブロモ−4’−ヒドロキシルフェニル)−アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン]WHI−P97、KRX−211、遊離形または薬学的に許容される塩形の、例えば、一クエン酸塩の3−{(3R,4R)−4−メチル−3−[メチル−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−アミノ]−ピペリジン−1−イル}−3−オキソ−プロピオニトリル(CP−690,550とも呼ばれる)、またはWO2004052359またはWO2005066156に記載されているような化合物;
−S1P受容体活性のメディエイター、例えば、アゴニストまたはモジュレーター、例えば、所望によりリン酸化されているFTY720またはそれらの類似体、例えば、所望によりリン酸化されている2−アミノ−2−[4−(3−ベンジルオキシフェニルチオ)−2−クロロフェニル]エチル−1,3−プロパンジオールまたは1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸またはその薬学的に許容される塩;
−免疫抑制性モノクローナル抗体、例えば、白血球受容体に対するモノクローナル抗体、例えば、Blys/BAFF受容体、MHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD25、CD28、CD40、CD45、CD52、CD58、CD80、CD86、IL−12受容体、IL−17受容体、IL−23受容体またはそれらのリガンド;
−他の免疫調節化合物、例えば、CTLA4の少なくとも細胞外部分またはそれらの変異体を有する、例えば、非CTLA4タンパク質配列に結合しているCTLA4の少なくとも細胞外ドメイン部分またはそれらの変異体を有する、組み換え結合分子、例えば、CTLA4Ig(例えば、ATCC68629で示される)またはそれらの変異体、例えば、LEA29Y;
【0070】
−接着分子活性のメディエイター、例えば、阻害剤、例えば、LFA−1アンタゴニスト、ICAM−1または−3アンタゴニスト、VCAM−4アンタゴニストまたはVLA−4アンタゴニスト、
−CCR9活性のメディエイター、例えば、アンタゴニスト、
−MIF活性のメディエイター、例えば、阻害剤、
−5−アミノサリチル酸(5−ASA)剤、例えば、スルファサラジン、アザルフィジン(登録商標)、アサコール(登録商標)、ジペンタム(登録商標)、ペンタサ(登録商標)、ロワサ(登録商標)、カナサ(登録商標)、コラザール(登録商標)、例えば、メサラジン含有薬剤;例えば、ヘパリンと組み合わせたメサラジン;
−TNF−α活性のメディエイター、例えば、阻害剤、例えば、TNF−αに結合する抗体、例えば、インフリキシマブ(レミケード(登録商標))、サリドマイド、レナリドマイド、
−酸化窒素放出非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)、例えば、NO供与型COX阻害剤(CINOD);
−ホスホジエステラーゼ、例えば、PDE4B活性のメディエイター、例えば、阻害剤、
−カスパーゼ活性のメディエイター、例えば、阻害剤、
−Gタンパク質共役受容体、GPBAR1のメディエイター、例えば、アゴニスト、
−セラミドキナーゼ活性のメディエイター、例えば、阻害剤、
−‘多機能性抗炎症’剤(MFAID)、例えば、グリコサミノグリカンと関連している細胞質型ホスホリパーゼA2(cPLA2)阻害剤、例えば、膜結合型ホスホリパーゼA2阻害剤;
−抗生物質、例えば、ペニシリン、セファロスポリン、エリスロマイシン、テトラシクリン、スルホンアミド、例えば、スルファジアジン、スルフイソキサゾール;スルホン、例えば、ダプソーン;プレウロムチリン、フルオロキノロン、例えば、メトロニダゾール、キノロン、例えば、シプロフロキサシン;レボフロキサシン;プロバイオティクスおよび共生細菌、例えば、乳酸菌;
−抗ウイルス剤、例えば、リビビリン、ビダラビン、アシクロビア、ガンシクロビル、ザナミビル、リン酸オセルタミビル、ファムシクロビル、アタザナビル、アマンタジン、ディダノシン、エファビレンツ、フォスカルネット、インジナビル、ラミブジン、ネルフィナビル、リトナビル、サクイナビル、スタブジン、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ジドブジン。
【0071】
本発明の化合物と組み合わせて有用でありそうな抗炎症剤は、例えば、非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)、例えば、プロピオン酸誘導体(アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロクス酸、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸、およびチオキサプロフェン)、酢酸誘導体(インドメタシン、アセメタシン、アルクロフェナック、クリダナク、ジクロフェナク、フェンクロフェナック、フェンクロジン酸、フェンチアザク、フロフェナック、イブフェナック、イソキセパク、オキシピナク、スリンダク、チオピナク、トルメチン、ジドメタシン、およびゾメピラック)、フェナム酸誘導体(フルフェナム酸、メクロフェナミン酸、メフェナム酸、ニフルム酸およびトルフェナム酸)、ビフェニルカルボン酸誘導体(ジフルニサルおよびフルフェニサール)、オキシカム(イソキシカム、ピロキシカム、スドキシカムおよびテノキシカン)、サリチレート(アセチルサリチル酸、スルファサラジン)およびピラゾロン(アパゾン、ベズピペリロン、フェプラゾン、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン);シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤、例えば、セレコキシブ;ホスホジエステラーゼIV型(PDE−IV)の阻害剤;ケモカイン受容体のアンタゴニスト、とりわけCCR−1、CCR−2、およびCCR−3;コレステロール低下剤、例えば、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチンおよびプラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、および他のスタチン)、金属イオン封鎖剤(コレスチラミンおよびコレスチポール)、ニコチン酸、フェノフィブリック酸誘導体(ジェムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブレートおよびベンザフィブレート)、およびプロブコール;抗コリン剤、例えば、ムスカリン性アンタゴニスト(臭化イプラトロピウム);他の化合物、例えば、テオフィリン、スルファサラジンおよびアミノサリチル酸、例えば、5−アミノサリチル酸およびそれらのプロドラッグ、抗リウマチ剤を含む。
【0072】
本発明の化合物と組み合わせて有用でありそうな抗アレルギー剤は、例えば、抗ヒスタミン剤(H1−ヒスタミンアンタゴニスト)、例えば、ブロモフェニラミン、クロロフェニラミン、デクスクロフェニラミン、トリプロリジン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン、トリペレナミン、ヒドロキシジン、メトジラジン、プロメタジン、トリメプラジン、アザタジン、サイプロヘプタジン、アンタゾリン、フェニラミン、ピリラミン、アステミゾール、テルフェナジン、ロラタジン、セチリジン、フェキソフェナジン、デスカルボエトキシロラタジン、および非ステロイド系抗喘息剤、例えば、β2−アゴニスト(テルブタリン、メタプロテレノール、フェノテロール、イソエタリン、アルブテロール、ビトルテロール、サルメテロールおよびピルブテロール)、テオフィリン、クロモグリク酸ナトリウム、アトロピン、臭化イプラトロピウム、ロイコトリエンアンタゴニスト(ザフィルカスト、モンテルカスト、プランルカスト、イラルカスト、ポビルカスト、SKB−106,203)、ロイコトリエン生合成阻害剤(ジレウトン、BAY−1005);気管支拡張剤、抗喘息剤(肥満細胞安定剤)を含む。
【0073】
好ましくは第2の薬剤は、免疫抑制剤、例えば
−mTOR活性のメディエイター、例えば、阻害剤、
−カルシニューリンのメディエイター、例えば、阻害剤、
−免疫抑制特性を有するアスコマイシン、
−コルチコステロイド;シクロホスファミド;アザチオプレン;レフルノミド;ミゾルビン;
−ミコフェノール酸または、例えば、ナトリウムの塩;ミコフェノール酸モフェチル;
−15−デオキシスペルグアリンまたはそれらの免疫抑制相同物、類似体もしくは誘導体;
−S1P受容体活性のメディエイター、例えば、アゴニストまたはモジュレーター、
−免疫抑制性モノクローナル抗体;
−非CTLA4タンパク質配列に結合している、CTLA4の細胞外ドメインの少なくとも部分またはそれらの変異体、例えば、CTLA4の少なくとも細胞外部分またはそれらの変異体を有する組み換え結合分子、
−接着分子活性のメディエイター、例えば、阻害剤、例えば、LFA−1アンタゴニスト、
−CCR9活性のメディエイター、例えば、アンタゴニスト、
−MIF活性のメディエイター、例えば、阻害剤、
−5−アミノサリチル酸(5−ASA)剤、
−TNF−α活性のメディエイター、例えば、阻害剤、
−酸化窒素放出非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)、例えば、NO供与型COX阻害剤(CINOD);
−Gタンパク質共役受容体GPBAR1のメディエイター、例えば、アゴニスト、
−セラミドキナーゼ活性のメディエイター、例えば、阻害剤、
−“多機能性抗炎症”剤(MFAID)、
−抗生物質
を含む。
【0074】
図面の説明
図1から7のすべてにおいて、“TC”は上記定義のとおりの試験化合物である。経口投与のために化合物Aを使用し、細胞処置のために化合物Aまたは化合物Bのいずれかを使用でき、好ましくは化合物Aがまた細胞処置のために使用される。
【0075】
図1から3
試験化合物(TC)による移植可能な能動的寛容性の誘導を示す。
【0076】
図1
C57Bl/6同種ドナーから単離された膵臓膵島を移植したBALB/c雌マウスを試験化合物で移植後0から30日処置した(30または7.5mg/kg/日)。移植片生着を1週間の血液グルコースレベル測定によりモニタリングする。7.5mg/kgで、試験化合物は40%のレシピエントにおいて長期間移植片生着を誘導し、一方、30mg/kgで、処置されたマウスの70%が正常グルコースレベルを維持する。
【0077】
図2
図1で示されるとおりの処置された試験化合物(30mg/kg/日)および長期間生着した移植片を有するコントロールマウスを、100日目にドナー型脾臓細胞(3×10i.p.)で攻撃する。高用量の試験化合物での処置は能動的寛容性の誘導をもたらす。
【0078】
図3
膵島同種移植片を受け入れた試験化合物処置マウス由来脾臓細胞(30mg/kg/日)はCD90(Thy1)−発現細胞を激減させ、残りのAPC群を新たなレシピエントに注入する(5×10細胞、i.v.)。移植片生着を毎週の血液グルコースレベル測定によりモニタリングする(*両側t検定)。長期間生着した移植片を有する試験化合物処置マウスの脾臓から単離されたAPCは新たな移植マウスに寛容性を移す。
【0079】
図4
試験化合物処置マウスの脾臓における活性化DCの低い頻度を示す。
移植後7日または30日(時点ごとに群あたりn=3)の膵島同種移植片移植マウス由来脾臓細胞を、CD11c+DCによる指示される活性化マーカーの発現に対してFACSにより分析する(両側t検定:***P<0.001、**P<0.01、*P<0.05)。試験化合物での処置はCD11c+脾臓のDCにおける共刺激分子(CD80、CD86、CD40)の発現のダウンレギュレーションをもたらす。
【0080】
図5
試験化合物処置マウスの膵島同種移植片への未成熟細胞浸潤の阻害を示す。
BALB/c移植マウスにC57Bl/6膵島を移植し、塩水または試験化合物(30mg/kg/日)で経口的に処置する。移植後10日目に、腎臓を抽出し、移植片領域で低温切開し、そして示すマーカーについて染色する。
移植された膵島の組織学分析は、試験化合物処置がCD11c+DCおよびCD8+T細胞による移植片浸潤を阻害し、膵島機能を保護することを示す。
【0081】
図6および7
インビトロで試験化合物処置BMDCでの細胞治療を示す。
図6
BALB/cBM−DCを試験化合物(20nM)の存在下または非存在下でGM−CSF(20ng/ml)と共に培養された骨髄細胞から分化させる。BM−DCは未成熟(iDC)のままであるか、またはLPS(1mg/ml、mDC)で活性化される。DCを回収し、望ましいマーカーについて染色する。試験化合物は成熟BM−DCにおいて共刺激分子、CD80、CD86およびCD40のアップレギュレーションを阻害する。
【0082】
図7
BM−DCをC57Bl/6膵島同種移植片移植1日前にBALB/c糖尿病雌マウスに(3×10、i.v.)に注入する。移植片生着を1週間の血液グルコースレベル測定によりモニタリングする(*両側t検定)。LPSで活性化されたが、未成熟でない試験化合物処置されたレシピエント型BM−DCのマウスへの注射は顕著に膵島同種移植片受け入れを促進する。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】試験化合物(TC)による移植可能な能動的寛容性の誘導を示す。
【図2】試験化合物(TC)による移植可能な能動的寛容性の誘導を示す。
【図3】試験化合物(TC)による移植可能な能動的寛容性の誘導を示す。
【図4】試験化合物処置マウスの脾臓において活性化DCの著しい低下を示す。
【図5】試験化合物処置マウスの膵島同種移植片への未成熟細胞浸潤の阻害を示す。
【図6】インビトロで試験化合物処置BMDCでの細胞治療を示す。
【図7】インビトロで試験化合物処置BMDCでの細胞治療を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物における免疫寛容を増強するための薬剤の製造のためのフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンの使用。
【請求項2】
細胞治療において使用するための薬剤の製造のためのフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンの使用。
【請求項3】
哺乳動物における免疫寛容を増強するための方法、または哺乳動物における免疫寛容を誘導するための方法、または細胞治療法であって、
a)哺乳動物から単球および/または樹状細胞を単離し、
b)単球が存在するならば、所望によりフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)アミンの存在下で未成熟な樹状細胞(iDC)に分化させ、
c)工程a)および/またはb)で得られた未成熟な樹状細胞および樹状細胞を成熟剤でフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)アミンの存在下で処置し、そして
d)有効量の工程c)で得られた成熟樹状細胞を該哺乳動物に投与する
工程を含む方法。
【請求項4】
哺乳動物の体外でフェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンの存在下で成熟され、処置された成熟樹状細胞を、薬学的に許容される賦形剤と共に含む医薬組成物。
【請求項5】
a)フェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンの存在下で哺乳動物の体外で樹状細胞を成熟させ、
b)工程a)で得られた細胞を単離し、そして
c)所望により薬学的に許容される賦形剤と混合する
ことを含む医薬組成物を製造するための方法。
【請求項6】
低免疫寛容が介在する疾患の処置のための、請求項4または6のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項7】
医薬組成物が静脈内投与に適当である、請求項4から6のいずれかに記載の医薬組成物またはそれを製造するための方法。
【請求項8】
請求項4から7のいずれかに記載の医薬組成物を製造することを含む、低免疫寛容が介在する疾患の処置のための薬剤を製造するための方法。
【請求項9】
請求項4、6または7のいずれかに記載の医薬組成物と、少なくとも1種の第2の薬剤との組合せ。
【請求項10】
治療有効量の請求項4、6または7のいずれかに記載の医薬組成物を必要とする対象に投与することを含む、それを必要とする対象における低免疫寛容が介在する障害を処置するための方法。
【請求項11】
治療有効量の少なくとも1種の第2の薬剤をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
フェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンが遊離形または塩形の式
【化1】

[式中、
はハロゲンまたはハロ(C1−4)アルキルであり、
は水素、ハロゲンまたはハロ(C1−4)アルキルであり、
はハロゲンまたはハロ(C1−4)アルキルであり、
は水素、(C1−8)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキルまたは式
−CO−R
−CO−(CH−OR
−CO−CO−R
−CO−CO−OR
−CO−N(R10)、
−CO−(CH−CO−R11
−CO−(CHR15)−O−(CH−CO−R11
−CO−(CH−O−(CH−O−(CH−R16
−CO−O−(CH−O−CO−R17
−CO−O−(CH−N(R1819)、
−CO−O−(CH−NH−CO−CH(NH)−R20、もしくは
−CO−O−(CH−NH−CO−R17の基であり、
は水素、(C1−8)アルキル、(C3−8)シクロアルキル、アミノ、(C1−4)アルキルアミノ、ジ(C1−4)アルキルアミノ、アリール、例えば、(C6−18)アリール、または、例えば、5または6個の環員および1から4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を有するヘテロシクリルであり、
は水素、(C1−4)アルキル、(C3−8)シクロアルキル、アリール、例えば、(C6−18)アリール、5または6個の環員および1から4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を有するヘテロシクリルにより置換されている(C1−4)アルキル、アミノ(C1−6)アルキル、(C1−4)アルキルアミノ(C1−6)アルキル、ジ(C1−4)アルキルアミノ(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−4)アルキルアミノ(C1−6)アルキルまたはアミノ酸残基、例えば、式−CH−CH(NH)−COOHのアミノ酸残基、または、例えば、Rが−CO−(CH−CO−Clである式Iの化合物とアミノ酸を反応させることにより得られるアミノ酸残基、アミノ酸モノ(C1−6)アルキルエステルまたはアミノ酸ジ(C1−6)アルキルエステルであり、
およびRは互いに独立して(C1−4)アルキル、(C3−8)シクロアルキル、アリールまたは5または6個の環員および1から4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を有するヘテロシクリルであり、
およびR10は互いに独立して水素もしくは(C1−4)アルキルであるか、または
およびR10の一方が水素であり、もう一方が(C3−8)シクロアルキル、(C1−4)アルキル、アリール、例えば、(C6−18)アリール、または5または6個の環員および1から4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を有するヘテロシクリルであり、
11は(C1−4)アルキル、−OR12、−NR1314、アミノ酸残基、例えば、R11が−CO−(CHR15)−O−(CH−CO−Clである式Iの化合物とアミノ酸を反応させることにより得られるアミノ酸残基、アミノ酸モノ(C1−6)アルキルエステルまたはアミノ酸ジ(C1−6)アルキルエステルであり、
12は水素または(C1−4)アルキル、例えば、結合がアミン基を介して生じているアミノ酸残基であり;
13およびR14は互いに独立して水素、(C1−4)アルキル、アミノ(C1−6)アルキル、(C1−4)アルキルアミノ(C1−6)アルキル、ジ(C1−4)アルキルアミノ(C1−6)アルキルであり、
15は水素または(C1−4)アルキルであり、
16は水素、(C1−4)アルキル、カルボキシルまたは、例えば、カルボニル基を介して結合しているカルボン酸エステル残基であり;
17はアミノ(C1−4)アルキル、(C1−4)アルキルアミノ(C1−4)アルキルまたはジ(C1−4)アルキルアミノ(C1−4)アルキルであり、
18は水素または(C1−4)アルキルであり、
19はヒドロキシ(C1−4)アルキルであり、
20は(C1−4)アルキルまたはヒドロキシ(C1−4)アルキルであり、
mは0から4であり、nは2から8であり、oは0から4であり、pは0から4であり、qは1から8であり、rは0から4であり、sは1から4であり、tは1から4であり、uは1から6であり、そしてwは1から6である]
で示される化合物である、請求項1から11のいずれかに記載の使用、方法、または医薬組成物。
【請求項13】
フェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンが、Rがクロロであり、Rが水素であり、Rがトリフルオロメチルであり、そしてRが式−CO−O−(CH−N[(COH)(CH)]の基である遊離形または塩形の式Iの化合物である、請求項12に記載の使用、方法または医薬組成物。
【請求項14】
フェニル−(4−フェニル−ピリミジン−2−イル)−アミンが、Rがクロロであり、Rが水素であり、Rがトリフルオロメチルであり、そしてRが水素である遊離形または塩形の式Iの化合物である、請求項12に記載の使用、方法または医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−509995(P2009−509995A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532666(P2008−532666)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【国際出願番号】PCT/EP2006/009406
【国際公開番号】WO2007/039216
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】