説明

入出管理制御装置、方法及びプログラム

【課題】停電によりシステムダウンした後の復電時のシステム設定状態と機器の状態との整合を自動的に行う。
【解決手段】 入出管理制御盤18−1の連動制御部52は連動元機器の状態変化を検出した際に予め設定された連動情報に基づいて連動先機器を制御する。状態保存部は連動元機器の状態を不揮発メモリ60に保存する。復電処理部50は、停電後の復電時に、連動元機器の状態を検出して状態保存部に保存された停電前の状態と比較し、停電中における状態の変化を判別した場合に、変化後の連動元機器の状態に基づいて連動先機器を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設や部屋等の利用状況や人の入出状況等を管理する入出管理システムで使用する入出管理制御装置、方法及びプログラムに関する。

【背景技術】
【0002】
従来、ビルやオフィス、研究所等の施設、会議室等の利用状況や入出状況を管理する入出管理システムにあっては、センタ装置の配下に複数の入出力制御盤を伝送回線を介して接続し、各入出管理制御盤はカードリーダにより読み取られた識別情報に基づいてカード所有者を認識すると共に、予め登録された入室許可情報と照合処理し、その照合結果に基づいて電気錠の解錠動作を制御する一連の動作を実行する分散処理が採用されている。
【0003】
入出管理制御盤の制御を実行するためのプログラム及び情報は、センタ装置において適宜更新され、センタ装置から入出管理制御盤毎にダウンロードされている。
【0004】
入出管理制御に必要な情報としては入出許可情報以外に、スイッチ操作に伴う照明機器の制御情報、防犯センサによる盗難検出処理のためのセキュリティ情報等様々な情報があるが、特定の機器の状態変化に対しどのような機器を制御するかは、予め連動情報として準備されている。
【0005】
連動情報は、カードリーダ、スイッチ、防犯センサ等の連動元機器の2値状態、例えばオン、オフに対応した連動先機器に対する2値の出力制御状態の関係を設定しており、監視センタの装置で連動情報を設定し、各入出管理制御盤に制御プログラムと共にダウンロードしている。
【0006】
また従来の入出管理システムは、停電してシステムダウンした後に復電すると、運用中に設定されたデータは全てクリアされ、初期設定に戻すようにしている。
【特許文献1】特開平9−245279号公報
【特許文献2】特開2002−304652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の入出管理システムにあっては、停電によりシステムがダウンした場合、停電中においても扉が開閉されたりスイッチを操作されるなど変化があり、復電時に初期設定に戻されると、システム設定状態と機器の状態の整合がとれていない状況が発生する。
【0008】
復電時にシステム設定状態と機器の状態の整合がとれていない場合には、整合していない機器について現場に出向いてシステム設定状態に変更する操作等を必要とし、復電してから正常な運用に入るまでに手間と時間がかかる問題がある。
【0009】
本発明は、停電によりシステムダウンした後の復電時のシステム設定状態と機器の状態との整合を自動的に行うことを可能とする入出管理制御装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するため本発明は次のように構成する。本発明は、センタ装置からの伝送回線に接続された入出管理制御装置を提供する。
【0011】
本発明の入出管理制御装置は、連動元機器の状態変化を検出した際に予め設定された連動情報に基づいて連動先機器を制御する連動制御部と、連動元機器の状態を不揮発的に保存する状態保存部と、停電後の復電時に、連動元機器の状態を検出して状態保存部に保存された停電前の状態と比較し、停電中における状態の変化を判別した場合に、変化後の連動元機器の状態に基づいて連動先機器を制御する復電処理部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
ここで、連動制御部は、複数の連動元機器の何れかの状態変化を検出した際に、予め設定されたグループ連動情報に基づいて単一の連動先機器を制御し、復電処理部は、グループ連動情報に含まれる複数の連動元機器につき停電中の状態変化を判別した場合に、優先度の最も高い連動元機器の変化後の状態に基づいて連動先機器を制御する。
【0013】
連動制御部は、グループ連動情報に含まれる複数の連動元機器の状態変化を検出した場合に、最新の状態変化を有効として連動先機器を制御する。
【0014】
復電処理部は、最初の電源投入による復電時は、連動元機器の状態を検出して予め定めた初期設定状態と比較し、状態の変化を判別した場合に、変化後の連動元機器の状態に基づいて連動先機器を制御する。
【0015】
本発明は、センタ装置からの伝送回線に接続された入出管理装置の入出管理制御方法を提供する。本発明の入出管理制御方法は、
連動元機器の状態変化を検出した際に予め設定された連動情報に基づいて連動先機器を制御する連動制御ステップと、
連動元機器の状態を不揮発的に保存する状態保存ステップと、
停電後の復電時に、連動元機器の状態を検出して状態保存部に保存された停電前の状態と比較し、停電中における状態の変化を判別した場合、変化後の連動元機器の状態に基づいて連動先機器を制御する復電処理ステップと、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明は、センタ装置からの伝送回線に接続された入出管理制御装置のコンピュータにより実行されるプログラムを提供する。
【0017】
本発明のプログラムは、
連動元機器の状態変化を検出した際に予め設定された連動情報に基づいて連動先機器を制御する連動制御ステップと、
連動元機器の状態を不揮発的に保存する状態保存ステップと、
停電後の復電時に、連動元機器の状態を検出して前記状態保存部に保存された停電前の状態と比較し、停電中における状態の変化を判別した場合、変化後の連動元機器の状態に基づいて連動先機器を制御する復電処理ステップと、
を実行させることを特徴とする。
【0018】
なお、本発明の入出管理制御方法及びプログラムの詳細は、本発明の入出管理制御装置の場合と基本的に同じである。

【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、復電時に連動元機器の状態を検出し、不揮発的に保存している停電前の状態と現在の機器の状態を検出して比較することで、停電前に対し状態の変化があった場合には、連動情報に基づき現在の連動元機器の状態に対応して連動先機器を連動制御することで、停電中に扉開閉やスイッチ操作などにより変化があっても復電時に自動的にシステム設定状態と機器の状態との整合をとることができ、速やかに正常な運用状態に入ることができる。
【0020】
また連動制御には、基本的な「1入力1出力」のシングル連動に加え、「複数入力1出力」のグループ連動があるが、グループ連動については停電中に複数の連動元の状態が変化する可能性があることから、停電中の複数の連動元機器の状態変化があった場合には、複数の連動機器につき設定した優先度の最も高い連動元機器の状態変化に基づき復電時に連動制御することで、グループ連動についてもシステム設定状態と機器の状態との整合を自動的にとることができる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は本発明が適用される入出管理システムのブロック図である。図1において、施設や建物の監視センタ10にはセンタ装置12が設けられ、センタ装置12からは伝送ユニット14を介して伝送回線16が引き出され、伝送回線16に対し、例えば建物の各階ごとに設置された入出管理制御装置としての入出管理制御盤18−1,18−2,18−3を接続している。
【0022】
入出管理制御盤18−1〜18−3は、入出管理制御盤18−1に代表して示すように、例えば人の入出管理のためにカードリーダ20−1〜 20−3、ドア22−1〜22−3に設けた電気錠24−1〜24−3を設置している。このカードリーダ20−1〜20−3を利用した入出管理にあっては、例えば会社組織であれば社員に固有の識別情報を書き込んだIDカードを発行し、扉22−1の外部に設置したカードリーダ20−1にIDカードを読み取らせることで、入出管理制御盤18−1において予め登録された社員の認証情報とIDカードの読取りで得られた読取情報とを比較照合し、照合一致に基づき電気錠24−1の開錠を行う。
【0023】
また入出管理制御盤18−1には防犯センサ26が接続されており、カードリーダ20−1〜20−3と電気錠24−1〜24−3の入出管理との連携で防犯監視を行うようにしている。即ち、カードリーダ20−1〜20−3によるIDカードの読取りで建物内に人がいなくなった場合に、防犯センサ26による監視を有効とし、その間に防犯センサ26からの盗難検出信号が得られると防犯警報の出力制御を行わせる。
【0024】
この状態で、翌日出勤した社員がカードリーダ20−1でIDカードを読み込ませると、認証処理による照合一致に基づき防犯センサ26による監視を解除し、同時に電気錠24−1を開錠するようになる。
【0025】
更に入出管理制御盤18−1には、入力接点として例えば照明を点灯、消灯するためのスイッチ28−1〜28−4が接続され、これに対応して制御負荷となる照明30−1〜30−4が接続されている。この例では、スイッチ28−1〜28−4のそれぞれに対応して照明30−1〜30−4を個別に制御することができる。
【0026】
このような入出管理制御盤18−1に設けている各種の機器の制御は、予め設定された連動情報に基づいて行われる。連動情報はセンタ装置12側でシステム立上げ時に作成され、入出管理制御盤18−1〜18−3側にダウンロードされている。
【0027】
図2は本発明による入出管理制御盤の機能構成をセンタ装置と共に示したブロック図である。図2において、センタ装置12には、通信制御部32、アプリケーション実行環境34が設けられる。通信制御部32は図1の伝送ユニット14により実現される機能である。
【0028】
アプリケーション実行環境34は図1のセンタ装置12を構成するコンピュータのプログラム制御により実現される環境であり、このアプリケーション実行環境34には、システム管理部36、初期設定情報登録処理部38及び連動情報登録処理部40の機能が、プログラム制御により設けられている。またアプリケーション実行環境34に対しては、マスタ初期設定情報ファイル42とマスタ連動情報ファイル44が設けられている。
【0029】
システム管理部36は、図1に示した伝送回線16を介して接続している入出管理制御盤18−1〜18−3におけるカードリーダの読取情報に基づく入出力状況から得られた入出管理情報の収集、蓄積、管理を行う。
【0030】
初期設定情報登録処理部38は、入出管理制御盤18−1〜18−3のそれぞれにダウンロードする初期設定情報ファイルを作成してマスタ初期設定情報ファイル42に登録している。連動情報登録処理部40は、入出管理制御盤18−1〜18−3にダウンロードする連動情報ファイルを作成して、マスタ連動情報ファイル44に登録している。
【0031】
本発明による入出管理制御盤18−1には通信制御部46とアプリケーション実行環境48が設けられる。アプリケーション実行環境48は入出管理制御盤18−1を構成するコンピュータのプログラム制御により実現される実行環境である。このアプリケーション実行環境48には復電処理部50と連動制御部52が設けられている。
【0032】
またアプリケーション実行環境48に対しては初期設定情報ファイル54と連動情報ファイル56が設けられ、更に機器入出力部58−1,58−2を設けている。この例では、機器入出力部58−1側に照明を制御するためのスイッチ28−1〜28−4と、制御負荷となる照明30−1〜30−4を接続している。
【0033】
また機器入出力部58−2側には、図1に示したカードリーダ20−1、電気錠24−1、防犯センサ26などが接続される。更に、アプリケーション実行環境48に対しては状態保存部として機能する不揮発メモリ60を接続している。
【0034】
入出管理制御盤18−1のアプリケーション実行環境48に設けた連動制御部52は、連動元機器の状態変化を検出する際に、予め設定された初期設定情報ファイル54の連動情報に基づいて連動先機器を制御する。この連動制御部52で連動制御を行う際の連動元機器の状態変化は、状態変化を検出するごとに状態保存部として機能する不揮発メモリ60に記憶保存されている。
【0035】
不揮発メモリ60としては、例えばスーパーキャパシタによる電源バックアップを受けたRAMなどを使用する。停電時のバックアップとして、入出管理制御盤18−1は図示しないバッテリーによる予備電源を持っており、停電時には例えば30分程度はバッテリーで制御動作を維持することができる。不揮発メモリ60をバックアップするスーパーキャパシタは、停電があった場合にも例えば一週間程度、連動元の状態を不揮発保存することができる。
【0036】
復電処理部50は、停電後の復電時に連動元機器の状態を検出して不揮発メモリ60に保存された停電前の状態と比較し、停電中における状態の変化を判別した場合には、変化後の連動元機器の状態、即ち停電中に操作された連動元機器の状態に基づいて連動先機器を制御することで、機器の状態をシステム設定状態に自動的に整合させる。
【0037】
ここで連動制御部52による連動制御には、
(1) シングル連動
(2) グループ連動
の2つがある。
【0038】
シングル連動は1つの連動元機器に対し1つの連動先機器を制御する「1入力1出力」の連動制御である。1つの連動元機器に対し複数の連動先機器を制御することもある。これに対しグループ連動は、複数の連動元機器のいずれか1つの状態変化に対し単一の連動先機器を制御する「複数入力1出力」の連動制御である。
【0039】
またグループ連動にあっては、複数の連動元からの入力に対し後優先制御を行う。後優先制御は、例えば複数のスイッチにより単一の照明を制御する場合、あるスイッチのオンで照明を点灯し、次のスイッチのオフで照明を消灯し、更に別のスイッチのオンで照明を点灯する、というように、時間的に最新の連動元の入力に基づいて単一の連動先を制御する。
【0040】
ここで入出管理制御盤18−1のアプリケーション実行環境48に設けた連動制御部52及び復電処理部50は、入出管理制御盤18−1を構成するコンピュータのプログラムの実行により実現されており、このコンピュータを実行するためのハードウェア環境としては、CPUのバスにROM等のメモリ、通信ボードなどを接続し、本発明の入出管理制御に必要なプログラムをローディングしている。コンピュータの起動時には、メモリから入出管理制御用のプログラムを呼び出してRAM上に展開し、CPUにより実行する。
【0041】
図3は本発明による入出管理制御処理のフローチャートであり、システム電源の投入に伴い、例えば図2の入出管理制御盤18−1で実行される。図3において、まずステップS1で単一連動元と単一連動先のシングル連動の立上げ処理を実行する。次にステップS2で複数連動元と単一連動先のグループ連動立上げ処理を実行する。
【0042】
この立上げ処理が終了すると、ステップS3で接続機器からの入力によるイベント発生の有無をチェックしており、イベント発生を判別するとステップS4に進み、連動元の状態変化か否かチェックする。連動元の状態変化であればステップS5に進み、連動元の状態変化を不揮発メモリ60に保存した後、ステップS6で連動情報ファイル56の連動情報に基づいて連動先の制御を行う。
【0043】
またステップS4で連動元の状態変化でなかった場合には、ステップS7に進み、連動制御以外の処理を実行する。このようなステップS1〜S7の処理を、ステップS8で停止指示があるまで繰り返す。
【0044】
次に図3のステップS1におけるシングル連動立上げ処理について説明する。シングル連動に対応して、図2の初期設定情報ファイル54には図4に示すシングル連動用初期設定情報ファイル54−1がダウンロードされて保存されており、また図2の連動情報ファイル56には図5に示すシングル連動情報ファイル56−1がダウンロードされて保存されている。
【0045】
図4のシングル連動用初期設定情報ファイル54−1は、例えば図2の照明スイッチ28−1〜28−4と照明30−1〜30−4のシングル連動を例にとっている。シングル連動用初期設定情報ファイル54−1には、連動先として名称に示すスイッチ28−1〜28−4が登録され、その初期設定状態は全て「オフ」としている。また連動先として照明30−1〜30−4が登録され、その初期設定状態は全て「消灯」としている。
【0046】
図5のシングル連動情報ファイル56−1は、連動元としてスイッチ28−1〜28−4を登録し、その連動元の状態は状態1と状態2の2値状態であり、状態1が「オフ」、状態2が「オン」となっている。
【0047】
また連動先として照明30−1〜30−4が登録され、連動先の状態は状態1と状態2の2つであり、これは連動元の状態1と状態2に対応しており、連動先の状態1は「消灯」であり、状態2は「点灯」となっている。
【0048】
図6はシングル連動について入出管理システムで停電が起きた場合の停電前と復電時の現在状態における連動元の状態検出情報の一例である。図6(A)は不揮発メモリ60に保存されている停電前状態検出情報62であり、連動元となるスイッチ28−1のみが「オン」であり、それ以外のスイッチ28−2〜28−4は「オフ」となっている。
【0049】
この停電前状態検出情報62に対し、復電時に検出された図6(B)の連動元の現在状態検出情報64にあっては、スイッチ28−1の検出状態が「オフ」となっており、これは停電前の検出状態「オン」と異なっている。
【0050】
このような停電前と復電時のスイッチ28−1の検出状態の「オン」から「オフ」への変化を、図2のアプリケーション実行環境48に設けた復電処理部50が検出して判別すると、図5のシングル連動ファイル56−1におけるスイッチ28−1の連動元の現在の検出状態である状態1の「オフ」に対応した連動先となる照明30−1の状態1の「消灯」となるように、照明30−1を連動制御する。
【0051】
即ち、図6(A)(B)の停電前と復電後の現在の状態検出情報から停電中にスイッチ28−1のオンからオフへの操作が行われており、このようなスイッチ28−1の操作が復電時に判別されて、変化後のスイッチ28−1のオフに対応した照明30−1の消灯制御が連動制御として自動的に行われ、機器の状態とシステム設定状態とを自動的に整合させることができる。
【0052】
図7は図3のステップS2のシングル連動立上げ処理のフローチャートである。図7において、シングル連動立上げ処理は、ステップS1で連動元の現在状態を検出した後、ステップS2で最初の電源投入か否かチェックする。最初の電源投入であった場合には、不揮発メモリ60には電源投入前の情報は保存されていないことから、この場合にはステップS3に進み、連動元の現在の状態を図4に示したシングル連動用初期設定情報ファイル54−1の設定状態即ち初期設定状態と比較する。
【0053】
そして、ステップS5で連動元の状態に変化があれば、ステップS6に進み、連動情報に基づき連動先を制御する。即ち本発明の復電制御にあっては、停電時のみならずシステムの最初の電源立上げ時についても、初期設定情報ファイルの連動元情報を使用して実際の検出状態と比較することで、状態に変化があれば連動情報に基づき連動先を制御することで、システム立上げ時の際にも機器の状態とシステム設定状態とを自動的に整合させることができる。
【0054】
一方、ステップS2で最初の電源投入でなかった場合、即ちシステム運用中の停電後の復電時であった場合には、ステップS4に進み、連動元の現在状態と不揮発メモリ60に保存している停電前の状態とを比較し、ステップS5で連動元の状態に変化があれば、ステップS6に進み、連動情報に基づき連動先を制御する。
【0055】
このようなステップS1〜S6のシングル連動立上げ処理を、ステップS7で全てのシングル連動元の処理が完了するまで繰り返し、処理が済んだ場合には図3のメインルーチンにリターンし、次のステップS2のグループ連動立上げ処理を実行することになる。
【0056】
図8はシングル連動を例にとって停電中に機器を操作した場合の本発明による復電時の処理を含む具体的なイベントログの説明図である。図8(A)のイベントログ66は、停電中に連動元となるスイッチ28−1を操作した場合の処理である。
【0057】
イベントログ66において、まず初期状態として、スイッチ28−1はオフ、連動先となる照明30−1は消灯となっている。続いて運用中にイベントとしてスイッチ操作が行われ、これによりスイッチ28−1が「オフ」から「オン」に状態が変化し、これに伴う連動情報に基づき、照明30−1は「消灯」から「点灯」に制御されている。
【0058】
続いて停電発生となり、このとき連動元スイッチ28−1は「オン」、照明30−1は「点灯」の設定状態にある。この停電中にイベントとしてスイッチ操作が行われると、スイッチ28−1が「オン」から「オフ」と変化するが、停電中にあることから連動先の設定状態は「点灯」のままである。
【0059】
続いて復電になると、連動元のスイッチ28−1について停電発生時の状態「オン」と復電後の状態「オフ」との比較が行われ、状態が変化していることから、現在の状態「オフ」に基づき、連動先としての照明30−1を「点灯」から「消灯」に制御し、これによって復電時の連動元と連動先の状態を整合させることができる。
【0060】
図8(B)は停電前の運用中にセンタ装置から割込点灯制御を受けた場合の本発明による復電時の処理を含むイベントログの具体例である。図8(B)のイベントログ68にあっては、初期状態でスイッチ28−1は「オフ」、連動先としての照明30−1は「消灯」となっている。
【0061】
この運用中にセンタ装置12から割込点灯制御のコマンドを受信したため、連動元のスイッチ28−1の状態は初期状態と同じ「オフ」のままであるが、連動先としての照明30−1はそれまでの「消灯」から割込制御による点灯制御の指令に基づき「点灯」に切り替わる。
【0062】
この状態で、停電が発生し、その後に復電したとすると、停電発生時のスイッチ28−1の状態は「オフ」、復電時の状態は「オフ」で、停電前と復電時の状態に変化がないことから、連動先の照明30−1については連動情報による制御は行われず、停電前にセンタ装置からの割込制御により行われた点灯制御による連動先の状態である「点灯」を、そのまま復電後も継続して維持することができる。
【0063】
次に図3のステップS2におけるグループ連動立上げ処理について説明する。このグループ連動制御のため、図2の初期設定情報ファイル54には図9に示すグループ連動初期設定情報ファイル54−2がダウンロードにより保存されており、また図2の連動情報ファイル56には図10に示すグループ情報連動ファイル56−2が、センタ装置12からのダウンロードにより保存されている。
【0064】
ここでグループ連動として図2の4つのスイッチ28−1〜28−4に対し単一の照明30−1を連動制御する場合を例にとると、図9のグループ連動用初期設定情報ファイル54−2には連動元としてスイッチ28−1〜28−4が登録され、その初期設定状態として「オフ」が設定されている。一方、連動先は単一の照明30−1であり、その初期状態は連動元の初期状態「オフ」に対応して「消灯」となっている。
【0065】
図10のグループ連動情報ファイル56−2にあっては、連動元として4つのスイッチ28−1〜28−4につき状態1と状態2の2状態が登録され、更に優先度が設定されている。連動先については単一の照明30−1につき状態1と状態2が登録されている。
【0066】
図11は複数スイッチと単一照明のグループ連動につき、システム停電が起きた場合の停電前と復電後の現在の状態検出情報の例である。図11(A)は不揮発メモリ60に保存される停電前状態検出情報70であり、4つのスイッチ28−1〜28−4につき全て検出状態は「オン」となっている。
【0067】
図11(B)は復電後に検出されたスイッチ28−1〜28−4の検出状態であり、2番目と4番目のスイッチ28−2,28−4の検出状態が停電検出前の状態「オン」から「オフ」に変化している。
【0068】
このような停電検出前と復電後の検出状態の変化につき、グループ連動立上げ処理における図2の復電処理部50にあっては、複数の連動元の状態変化を判別した場合には、図10のグループ連動情報ファイル56−2を参照して優先度の高い方の連動元、この場合には優先度の高いスイッチ28−2の検出状態「オフ」に基づき、連動情報に従って連動先となる照明30−1を「消灯」に連動制御し、グループ連動であっても、復電時にシステム設定状態と機器状態との整合を自動的にとることができる。
【0069】
図12は図3のステップS2のグループ連動立上げ処理のフローチャートである。図12において、グループ連動立上げ処理は、ステップS1で複数の連動元の現在状態を検出し、ステップS2で最初の電源投入か否かチェックする。
【0070】
最初の電源投入であった場合にはステップS3に進み、不揮発メモリ60に保存情報がないことから、複数の連動元につき現在状態と図9に示したグループ連動用初期設定情報ファイル54−2の初期設定状態とを比較する。一方、ステップS2で最初の電源投入でなかった場合、即ちシステム停電が起きた後の復電時であった場合には、ステップS4に進み、複数の連動元につき現在の状態と不揮発メモリ60に保存している停電前の状態とを比較する。
【0071】
続いてステップS5で複数の連動元の状態に変化があるか否かチェックする。連動元の状態に変化があった場合にはステップS6に進み、最も優先度の高い連動元の状態により、連動情報に基づき連動先を制御する。ステップS1で単一の連動元の状態の変化であった場合には、ステップS7に進み、シングル連動の場合と同様、その連動元の状態に基づき連動先を制御する。
【0072】
このようなステップS1〜S7の処理を、ステップS8で全てのグループ連動を構成する複数連動元の処理が完了するまで繰り返し、処理が済むと図3のメインルーチンにリターンし、ステップS7以降の処理に入る。
【0073】
図13は図1の入出管理システムで停電中に発生する可能性のある連動元の状態と優先度を具体的に示した説明図である。図13において、連動元の状態の種類としては、この例にあっては、個別回線、タイムスケジュール、電気錠の3つを例にとっている。個別回線は、図1に示した防犯センサ26やスイッチ28−1〜28−4に対応する。個別回線における変化はループ開に対しループ閉があり、これは図1のスイッチ28−1〜28−4に対応し、ループ開はスイッチオンに対応し、ループ閉はスイッチオフに対応している。
【0074】
これ以外に個別回線については、警報と警報解除、巡回中動作と巡回中動作解除、センサ監視異常発生とセンサ監視異常復旧、センサ点検異常発生とセンサ点検異常復旧がセットされている。
【0075】
タイムスケジュールは、例えば防犯センサ26による監視時間を夜間に有効とし昼間は解除するといった監視時間のスケジュールである。更に電気錠については、扉開と扉閉があり、また連続開錠、手動開錠、一時開錠に対し、施錠の関係があり、施錠エラー発生に対し施錠エラー復旧、開放放置エラー発生に対し開放放置エラー復旧がある。
【0076】
このような連動元状態の停電時に変化する可能性のある状態は、図13の例以外に、入出管理制御盤に対し接続されている機器の種別及び機器の入力に基づく制御内容により適宜に定めることができる。
【0077】
更に本発明は、入出管理制御盤18−1で実行されるプログラムを提供するものであり、このプログラムは図3、図7及び図12に示したフローチャートに従った処理内容を有するものである。
【0078】
なお、上記の実施形態にあっては、シングル連動及びグループ連動として照明用のスイッチと照明との連動関係を例にとるものであったが、本発明はこれに限定されず、入出管理システムの連動制御に適用される適宜の連動元機器と連動先機器との関係につき、復電時のシステム状態と機器状態との自動整合をとるためにそのまま適用することができる。
【0079】
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。

【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明が適用される入出管理システムのブロック図
【図2】本発明による入出力監視制御盤の機能構成をセンタ装置と共に示したブロック図
【図3】本発明による入出力監視制御処理のフローチャート
【図4】図2の初期設定情報ファイルに設けられるシングル連動用初期設定情報ファイルの説明図
【図5】図2の連動情報ファイルに設けられるシングル連動情報ファイルの説明図
【図6】シングル連動に対応した停電前状態検出情報と現在状態検出情報の説明図
【図7】図3のステップS1のシングル連動立上げ処理のフローチャート
【図8】停電中に機器を操作した場合の本発明による復電時の処理を含むイベントログの説明図
【図9】図2の初期設定情報ファイルに設けられるグループ連動用初期設定情報ファイルの説明図
【図10】図2の連動情報ファイルに設けられるグループ連動情報ファイルの説明図
【図11】グループ連動情報に対応した停電前状態検出情報と現在状態検出情報の説明図
【図12】図3のステップS2のグループ連動立上げ処理のフローチャート
【図13】図1の入出管理システムで停電中に変化する可能性のある連動元の状態と優先度を具体的に示した説明図
【符号の説明】
【0081】
10:監視センタ
12:センタ装置
14:伝送ユニット
16:伝送回線
18−1〜18−3:入出管理制御盤(入出管理制御装置)
20−1〜20−3:カードリーダ
22−1〜22−3:扉
24−1〜24−4:電気錠
26:防犯センサ
28−1〜28−4:スイッチ
30−1〜30−4:照明
32,46:通信制御部
34,48:アプリケーション実行環境
36:システム管理部
38:初期設定情報登録処理部
40:連動情報登録処理部
42:マスタ初期設定情報ファイル
44:マスタ連動情報ファイル
50:復電処理部
52:連動制御部
54:初期設定情報ファイル
54−1:シングル連動用初期設定情報ファイル
54−2:グループ連動用初期設定情報ファイル
56:連動情報ファイル
56−1:シングル連動情報ファイル
56−2:グループ連動情報ファイル
58−1,58−2:機器入出力部
60:不揮発メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センタ装置からの伝送回線に接続された入出管理制御装置に於いて、
連動元機器の状態変化を検出した際に予め設定された連動情報に基づいて連動先機器を制御する連動制御部と、
前記連動元機器の状態を不揮発的に保存する状態保存部と、
停電後の復電時に、前記連動元機器の状態を検出して前記状態保存部に保存された停電前の状態と比較し、停電中における状態の変化を判別した場合に、変化後の連動元機器の状態に基づいて連動先機器を制御する復電処理部と、
を備えたことを特徴とする入出管理制御装置。

【請求項2】
請求項1記載の入出管理制御装置に於いて、
前記連動制御部は、複数の連動元機器の何れかの状態変化を検出した際に、予め設定されたグループ連動情報に基づいて単一の連動先機器を制御し、
前記復電処理部は、前記グループ連動情報に含まれる複数の連動元機器につき停電中の状態変化を判別した場合に、優先度の最も高い連動元機器の変化後の状態に基づいて連動先機器を制御することを特徴とする入出管理制御装置。

【請求項3】
請求項1記載の入出管理制御装置に於いて、前記連動制御部は、前記グループ連動情報に含まれる複数の連動元機器の状態変化を検出した場合に、最新の状態変化を有効として連動先機器を制御することを特徴とする入出管理制御装置。

【請求項4】
請求項1記載の入出管理制御装置に於いて、
前記復電処理部は、最初の電源投入による復電時は、前記連動元機器の状態を検出して予め定めた初期設定状態と比較し、状態の変化を判別した場合に、変化後の連動元機器の状態に基づいて連動先機器を制御することを特徴とする入出管理制御装置。

【請求項5】
センタ装置からの伝送回線に接続された入出管理制御装置の入出管理制御方法に於いて、
連動元機器の状態変化を検出した際に予め設定された連動情報に基づいて連動先機器を制御する連動制御ステップと、
前記連動元機器の状態を不揮発的に保存する状態保存ステップと、
停電後の復電時に、前記連動元機器の状態を検出して前記状態保存部に保存された停電前の状態と比較し、停電中における状態の変化を判別した場合、変化後の連動元機器の状態に基づいて連動先機器を制御する復電処理ステップと、
を備えたことを特徴とする入出管理制御方法。

【請求項6】
請求項5記載の入出管理制御方法に於いて、
前記連動制御ステップは、複数の連動元機器の何れかの状態変化を検出した際に、予め設定されたグループ連動情報に基づいて単一の連動先機器を制御し、
前記復電処理ステップは、前記グループ連動情報に含まれる複数の連動元機器につき停電中の状態変化を判別した場合は、優先度の最も高い連動元機器の変化後の状態に基づいて連動先機器を制御することを特徴とする入出管理制御方法。

【請求項7】
請求項5記載の入出管理制御方法に於いて、前記連動制御ステップは、前記グループ連動情報に含まれる複数の連動元機器の状態変化を検出した場合、最新の状態変化を有効として連動先機器を制御することを特徴とする入出管理制御方法。

【請求項8】
請求項5記載の入出管理制御方法に於いて、
前記復電処理ステップは、最初の電源投入による復電時は、前記連動元機器の状態を検出して予め定めた初期設定状態と比較し、状態の変化を判別した場合、変化後の連動元機器の状態に基づいて連動先機器を制御することを特徴とする入出管理制御方法。

【請求項9】
センタ装置からの伝送回線に接続された入出管理制御装置のコンピュータに、
連動元機器の状態変化を検出した際に予め設定された連動情報に基づいて連動先機器を制御する連動制御ステップと、
前記連動元機器の状態を不揮発的に保存する状態保存ステップと、
停電後の復電時に、前記連動元機器の状態を検出して前記状態保存部に保存された停電前の状態と比較し、停電中における状態の変化を判別した場合、変化後の連動元機器の状態に基づいて連動先機器を制御する復電処理ステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。

【請求項10】
請求項9記載のプログラムに於いて、
前記連動制御ステップは、複数の連動元機器の何れかの状態変化を検出した際に、予め設定されたグループ連動情報に基づいて単一の連動先機器を制御し、
前記復電処理ステップは、前記グループ連動情報に含まれる複数の連動元機器につき停電中の状態変化を判別した場合は、優先度の最も高い連動元機器の変化後の状態に基づいて連動先機器を制御することを特徴とするプログラム。

【請求項11】
請求項9記載のプログラムに於いて、前記連動制御ステップは、前記グループ連動情報に含まれる複数の連動元機器の状態変化を検出した場合、最新の状態変化を有効として連動先機器を制御することを特徴とするプログラム。

【請求項12】
請求項9記載のプログラムに於いて、
前記復電処理ステップは、最初の電源投入による復電時は、前記連動元機器の状態を検出して予め設定された初期設定情報の初期状態と比較し、状態の変化を判別した場合、変化後の連動元機器の状態に基づいて連動先機器を制御することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−209377(P2006−209377A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−19201(P2005−19201)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】