説明

入力装置

【課題】 特に、フレキシブルプリント基板を屈曲させたときの各基板の接続部とフレキシブルプリント基板の各端子部間の接続信頼性を従来よりも向上させることが可能な入力装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 入力装置に接続されるフレキシブルプリント基板54は、可撓性基材の表面に配線部が引き回された配線領域54bと、入力装置の第1接続部に電気的に接続される第1端子部80と、入力装置の第2接続部に電気的に接続される第2端子部81と、を有して構成される。第1端子部80と第2端子部81間には外方に通じる第1の切欠部83〜85が形成されているとともに、第1端子部80と配線領域54bとの間には外方に通じる第2の切欠部86,87が形成されており、第2端子部81と配線領域54bは連続して形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材表面に透明導電層及び配線層が形成された下部基板及び上部基板と、各基板に電気的に接続されるフレキシブルプリント基板とを有し、特にフレキシブルプリント基板の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1ないし4には、基材表面に透明導電層及び配線層が形成された下部基板及び上部基板と、各基板に電気的に接続されるフレキシブルプリント基板とを備えた入力装置の構造が開示されている。
【0003】
入力装置の入力側表面のフルフラット化に伴い、フレキシブルプリント基板を各基板との接続位置近傍で下方向に屈曲させた場合、従来のフレキシブルプリント基板の構造では、フレキシブルプリント基板の全ての端子部に上方向に向く力が生じ、下部基板の接続部と、フレキシブルプリント基板の端子部との間に剥がし力が加わる。この結果、下部基板の接続部と、フレキシブルプリント基板の端子部間が剥離しやすくなり、接続信頼性が低下する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−312244号公報
【特許文献2】国際公開番号WO2009/057628号
【特許文献3】特開2006−48388号公報
【特許文献4】特開2003−288166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、特に、フレキシブルプリント基板を屈曲させたときの各基板の接続部とフレキシブルプリント基板の各端子部間の接続信頼性を従来よりも向上させることが可能な入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における入力装置は、下部基板と上部基板とが高さ方向に対向配置され、前記下部基板及び前記上部基板は、夫々、表面に透明導電層が形成された基材と、前記基材の表面にて入力領域の外側の非入力領域に形成された配線層とを有して構成され、前記下部基板に設けられた第1配線層は、フレキシブルプリント基板との接続位置まで引き延ばされて第1接続部を構成し、前記上部基板に設けられた第2配線層は、前記フレキシブルプリント基板との接続位置まで引き延ばされ、平面視にて前記第1接続部と重ならない位置にて第2接続部を構成しており、
前記フレキシブルプリント基板は、可撓性基材の表面に配線部が引き回された配線領域と、前記可撓性基材及び前記配線領域から延出した前記配線部の一部を有して前記第1接続部に電気的に接続される第1端子部と、前記可撓性基材及び前記配線領域から延出して前記配線部の一部を有して前記第2接続部に電気的に接続される第2端子部と、を有して構成されており、
前記第1端子部と前記第2端子部間には外方に通じる第1の切欠部が形成されているとともに、前記第1端子部と前記配線領域との間には外方に通じる第2の切欠部が形成されており、前記第2端子部と前記配線領域とは連続して形成されていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明では、上記によるフレキシブルプリント基板の構造により、フレキシブルプリント基板を下方に向けて屈曲させても、第1端子部に上方向に向く力が生じるのを抑制でき、したがって、第1端子部と第1接続部間に剥がし力が加わるのを抑制できる。一方、第2端子部については、フレキシブルプリント基板を下方に向けて屈曲させたときに前記第2端子部に上向きの力を生じさせることができ、第2端子部と第2接続部間に密着方向への力を加えることが可能である。以上により、フレキシブルプリント基板を下方向に屈曲させたときに、各端子部と各接続部間の接続信頼性を効果的に向上させることができる。
【0008】
本発明では、複数の前記第1接続部と複数の前記第2接続部が平面視にて交互に形成され、各第1接続部及び各第2接続部に電気的に接続される前記フレキシブルプリント基板に設けられた複数の前記第1端子部と複数の前記第2端子部が交互に並設されており、
各第1端子部と各第2端子部の間に夫々、前記第1の切欠部が形成されるとともに、各第1端子部と前記配線領域との間に夫々、前記第2の切欠部が形成されており、前記第2の切欠部のうち、前記第2端子部間に設けられた前記第1端子部に対する前記第2の切欠部は、前記第1の切欠部と一体となって外方に通じていることが好適である。
【0009】
また本発明では、前記フレキシブルプリント基板は、前記可撓性基材である下側に位置する第1基材と上側に位置する第2基材の間に前記配線部が介在する構成であり、前記第1端子部の位置で前記第1基材が除去されて、前記配線部の一部が前記可撓性基材から露出しており、前記第2端子部の位置で前記第2基材が除去されて、前記配線部の一部が前記可撓性基材から露出していることが好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の入力装置によれば、フレキシブルプリント基板を下方に向けて屈曲させても、第1端子部に上方向に向く力が生じるのを抑制でき、したがって、第1端子部と第1接続部間に剥がし力が加わるのを抑制できる。一方、第2端子部については、フレキシブルプリント基板を下方に向けて屈曲させたときに前記第2端子部に上向きの力を生じさせることができ、第2端子部と第2接続部間に密着方向への力を加えることが可能である。以上により、フレキシブルプリント基板を下方向に屈曲させたときに、各端子部と各接続部間の接続信頼性を効果的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本実施形態における入力装置(タッチパネル)の斜視図、
【図2】図2は、本実施形態における入力装置(FFP構造)の分解斜視図、
【図3】図3(a)は、図2に示すちょうど上部基材に形成された穴形状の第2空間部の位置にてA−A線に沿って切断した部分拡大縦断面図、図3(b)は、図2に示すちょうど下部基材に形成された切欠形状の第1空間部の位置にてB−B線に沿って切断した部分拡大縦断面図、
【図4】図4は、フレキシブルプリント基板の接続状態を示す入力装置の部分拡大斜視図(ただし上部基板については第2空間部と第2接続部のみ点線で図示し、上部基板よりも上の各部材については図示していない。)、
【図5】図5(a)は、本実施形態におけるフレキシブルプリント基板の平面図、図5(b)は、図5(a)に示すC−C線に沿って切断し矢印方向から見たフレキシブルプリント基板の部分拡大縦断面図、図5(c)は、図5(a)に示すD−D線に沿って切断し矢印方向から見たフレキシブルプリント基板の部分拡大縦断面図、図5(d)は、フレキシブルプリント基板に形成される配線部の透視図、
【図6】本実施形態の別の入力装置の構造(FFP構造)を示す部分拡大縦断面図、
【図7】図2とは異なる本実施形態の入力装置の構造(FP構造)を示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本実施形態における入力装置(タッチパネル)の斜視図、図2は、本実施形態における入力装置の分解斜視図、図3(a)は、図2に示すちょうど上部基材に形成された穴形状の第2空間部の位置にてA−A線に沿って切断した部分拡大縦断面図、図3(b)は、図2に示すちょうど下部基材に形成された切欠形状の第1空間部の位置にてB−B線に沿って切断した部分拡大縦断面図、図4は、フレキシブルプリント基板の接続状態を示す入力装置の部分拡大斜視図(ただし上部基板については第2空間部と第2接続部のみ点線で図示し、上部基板よりも上の各部材については図示していない。)、図5(a)は、本実施形態におけるフレキシブルプリント基板の平面図、図5(b)は、図5(a)に示すC−C線に沿って切断し矢印方向から見たフレキシブルプリント基板の部分拡大縦断面図、図5(c)は、図5(a)に示すD−D線に沿って切断し矢印方向から見たフレキシブルプリント基板の部分拡大縦断面図、図5(d)は、フレキシブルプリント基板に形成される配線部の透視図、である。
【0013】
図1に示す入力装置20は、FFP構造(Film-Film-Plastics)の抵抗式入力装置を構成する。図2に示すように入力装置20は、下部基板22、上部基板21、表面部材60及びフレキシブルプリント基板54とを有して構成される。
【0014】
図2,図3に示すように、下部基板22は、透光性基材の表面にITO等の透明導電層が形成されたフィルム状の下部基材50と第1配線層52とを有して構成される。
【0015】
ここで本実施形態では、「透光性」や「透明」は可視光線透過率が70%以上の状態を指す。更にヘイズ値が6以下であることが好適である。
【0016】
図2,図3に示すように下部基板22の下面側には透光性基材による支持板55が設けられており、下部基板22と支持板55間が、光学用透明粘着層(OCA)56を介して接合されている。支持板55は下部基板22よりも厚いプラスチック板で形成される。
【0017】
図2,図3に示すように、上部基板21は、下部基板22と高さ方向(Z)にて所定間隔を空けて対向している。上部基板21も下部基板22と同様の構成である。すなわち、上部基板21は、透光性基材の表面にITO等の透明導電層が形成されたフィルム状の上部基材66と第2配線層45とを有して構成される。
【0018】
下部基板22や上部基板21に用いられる透光性基材はポリカーボネート樹脂(PC樹脂)やポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN樹脂)、環状ポリオレフィン(COP樹脂)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(アクリル)(PMMA)等の透明基材で形成される。
【0019】
下部基板22及び上部基板21に用いられる透明導電層は、ITO(Indium Tin Oxide)、SnO2,ZnO等の無機透明導電材料を、スパッタや蒸着等で成膜して形成される。又は、これらの無機透明導電材料の微粉末を固着したものでもよい。あるいは、有機透明導電材料として、カーボンナノチューブやポリチオフィン、ポリピロール等の有機導電性ポリマーをコーティングしたものでもよい。
【0020】
各下部基材及び上部基材の表面に形成される配線層45,52は例えばAg塗膜をスクリーン印刷して形成されたものである。各配線層45,52は透光性基材の表面に形成されている透明導電層上に重ねて形成されている。あるいは配線層45,52の一部は、透明導電層が除去されて露出した透光性基材の表面に形成されてもよい。
【0021】
図2,図3に示すように、下部基板22と上部基板21の間は、入力領域20aの外周に位置する非入力領域20bにて粘着層40を介して接合されている。粘着層40は、アクリル系両面テープやアクリル系粘着剤である。
【0022】
なお図3に示すように、下部基板22の第1配線層52の表面は絶縁層53で覆われており、上部基板21の第2配線層45の表面は絶縁層57で覆われている。そして、絶縁層53,57間が粘着層40により接合されている。絶縁層53,57には、レジスト材料、熱硬化樹脂、熱可塑性樹脂等を用いることができる。
【0023】
なお入力領域20aでは、下部基板22と上部基板21との間に粘着層40は無く、空気層が設けられている。
【0024】
図2,図3に示す表面部材60は、表面層61と表面層61の下面に形成された加飾層62とを有して構成される。表面層61は、可撓性の透光性基材で形成される。加飾層62は、非入力領域20bに形成される。表面部材60と上部基板21との間は光学用透明粘着層(OCA)63を介して接合されている。
【0025】
操作者が図1に示す表面層61の表面に位置する入力領域20aを指やペンで下方向へ押圧すると、上部基板21が下方向へ撓み、入力領域20aに位置する下部基板22及び上部基板21の夫々の透明導電層同士が当接する。このとき、各透明導電層に電気的に接続された配線層にて、透明導電層同士の接触位置に対応した検出出力(電圧)を得ることができ、検出出力に基づいて入力領域20aでの操作位置を検知することが可能になっている。
【0026】
図2、図3(a)、図4に示すように、上部基板21にはX1−X2方向に間隔を空けて高さ方向(Z)に突き抜ける穴形状の第2空間部21a,21aが複数個、形成されている。各第2空間部21a,21aは非入力領域20bに形成される。
【0027】
また図2,図3(a)に示すように、上部基板21と表面部材60間に介在する光学用透明粘着層63には、上部基板21に形成された第2空間部21a,21aと高さ方向にて連通する穴形状の空間部63a,63aが形成されている。よって図3(a)に示すように加飾層62の一部が上部基板21に形成された第2空間部21a,21a及び光学用透明粘着層63に形成された空間部63aを通して下方に露出している。
【0028】
また図2,図3(b),図4に示すように、上部基板21に設けられた第2配線層45は、フレキシブルプリント基板54に形成される複数の第2端子部81,81との接続位置まで引き延ばされており、第2接続部45a,45aを構成している。図4に示すように、一方の第2接続部45aは、上部基板21に形成された各第2空間部21a,21aの間の位置に形成され、他方の第2接続部45aは、第2空間部21aのX2側に位置する側部に形成される。よって、図4に示すように、複数の第2空間部21a,21aと複数の第2接続部45a,45aとがX1−X2方向に交互に並設されている。
【0029】
図3(b)、図4に示すフレキシブルプリント基板54に形成された複数の第2端子部81,81と、上部基板21に形成された複数の第2接続部45a,45aとは電気的に接続された状態となっている。
【0030】
また、図2、図3(b)、図4に示すように、下部基板22にはX1−X2方向に間隔を空けて高さ方向(Z)に突き抜ける切欠形状の第1空間部22a,22aが複数個、形成されている。各第1空間部22a,22aは非入力領域20bに形成される。
【0031】
下部基板22に形成された第1空間部22a,22aは、図4に示すように、フレキシブルプリント基板54の第2端子部81,81と高さ方向(Z)にて対向する領域に形成される。よって、図3(b),図4に示すように、第1空間部22a,22a、第2端子部81,81及び第2接続部45a,45bが高さ方向(Z)にて一致している。
【0032】
また図2,図3(b),図4に示すように、支持板55には下部基板22に形成された第1空間部22a,22aと連続して高さ方向(Z)に抜ける穴形状の空間部55a,55aが複数個、形成されている。
【0033】
また図2,図3(b)に示すように、下部基板22と支持板55との間に介在する光学用透明粘着層56には、下部基板22に形成された第1空間部22aと連続する切欠形状の空間部56a,56aが複数個、形成されている。
【0034】
また図2,図3(a),図4に示すように、下部基板22に設けられた第1配線層52は、フレキシブルプリント基板54に形成される複数の第1端子部80,80との接続位置まで引き延ばされており、複数の第1接続部52a,52aを構成している。
【0035】
図4に示すように、一方の第1接続部52aは、下部基板22に形成された各第1空間部22a,22aの間の位置に形成され、他方の第1接続部52aは、第1空間部22aのX1側に位置する側部に形成される。よって、図4に示すように、複数の第1空間部22a,22aと複数の第1接続部52a,52aとがX1−X2方向に交互に並設されている。
【0036】
図3(a)、図4に示すフレキシブルプリント基板54に形成された複数の第1端子部80,80と、下部基板22に形成された複数の第1接続部52a,52aとは電気的に接続された状態となっている。
【0037】
続いてフレキシブルプリント基板54の構造について図5を用いて説明する。
フレキシブルプリント基板54は、図5(b)(c)に示す可撓性基材である上側に位置する第2基材70と下側に位置する第1基材75との間に図5(b)(c)(d)に示す複数本の配線部72が介在する構成となっている。
【0038】
図5(b)(c)に示すように、配線部72が介在しない箇所では、第2基材70と第1基材75とが接着層71を介して直接接合されている。
【0039】
図5(d)に示すように配線部72は全部で4本、間隔を空けて並設されており、各配線部72は、フレキシブルプリント基板54の先端(Y1側)から後端(Y2側)に向けて延出形成されている。フレキシブルプリント基板54の先端部54aは、各配線部72が引き回された配線領域54bと、配線領域54bのY1側に形成された複数の第1端子部80と複数の第2端子部81とを有して構成される。
【0040】
フレキシブルプリント基板54の配線領域54bでは、第2基材70と第1基材75との間に各配線部72が介在した状態であり、各配線部72は外部に露出していない。
【0041】
一方、第1端子部80では、図5(b)に示すように、第1基材75が除去されて配線部72の一部が下方に向けて露出している。第1端子部80の位置では、図5(d)に示すように配線部72の一部が幅広のパッド部72aとなっている。本実施形態では、第1端子部80にて露出した配線部72(パッド部72a)の表面には電極層73が形成され、更に電極層73が異方性導電層74により覆われた構造となっている。このように第1端子部80の部分は、電極層73及び異方性導電層74も加わり膜厚が厚くなっている。図3(a)に示すように第1端子部80と第1接続部52a間は、前記異方性導電層74を介して電気的に接続されている。
【0042】
また、第2端子部81では、図5(c)に示すように、第2基材70が除去されて配線部72の一部が上方に露出している。第2端子部81の位置では、図5(d)に示すように配線部72の一部が幅広のパッド部72aとなっている。本実施形態では、第2端子部81にて露出した配線部72(パッド部72a)の表面には電極層76が形成され、更に電極層76が異方性導電層77により覆われた構造となっている。このように第2端子部81の部分は、電極層76及び異方性導電層77も加わり膜厚が厚くなっている。図3(b)に示すように第2端子部81と第2接続部45a間は、前記異方性導電層77を介して電気的に接続されている。
【0043】
また図5(c)に示すように第1基材75の下面には支持板55との間で接合される粘着層(両面テープ)78が設けられる。
【0044】
第2基材70及び第1基材75は、例えばポリイミドフィルムで形成される。また配線部72は例えば主として銅箔層で形成される。また電極層73,76は例えば銀層で形成される。
【0045】
図5(a)(d)に示すように、2つの第1端子部80と2つの第2端子部81は、X1−X2方向に間隔を空けて交互に並設されている。そして、各第1端子部80と各第2端子部81との間には、Y1−Y2方向に向けて形成され、Y1側の外方に通じる第1の切欠部83,84,85が形成されている。なお、第1端子部80の一部は前記第1の切欠部83,84,85が形成されない位置で第2端子部81に繋がっている。
【0046】
また図5(a)(d)に示すように、最もX1側に形成された第1端子部80と、第1端子部80のY2側に位置する配線領域54bとの間には、X1−X2方向に向けて形成され、X1側の外方に通じる第2の切欠部86が形成されている。また図5(a)(d)に示すように、第2端子部81,81の間に位置する第1端子部80と、第1端子部80のY2側に位置する配線領域54bとの間には、X1−X2方向に向けて第2の切欠部87が形成され、この第2の切欠部87は第1の切欠部84と一体となってY1側の外方に通じている。
【0047】
また図5(a)(d)に示すように、各第2端子部81と配線領域54bとは連続して形成されている。すなわち、各第2端子部81と配線領域54bとの間には、第1端子部80と配線領域54b間と違って、Y1−Y2方向に延出して外部に通じる第2切欠部が形成されていない。
【0048】
図5(a)(d)に示す本実施形態のフレキシブルプリント基板54では、第1端子部80の一部が第2端子部81の配線領域54bに近い側の領域にてX1−X2方向に向けて繋がっているが、各第1端子部80と配線領域54bとの間に第2の切欠部86,87が形成されて各第1端子部80のパッド部72aから配線がX1−X2方向に迂回して配線領域54bに繋がるように形成されれば、第1端子部80は、第2端子部81から完全に分離されて配線領域54bに迂回路を介して繋がるように形成されていてもよい。
【0049】
一方、第2端子部81は、第1端子部80と違って配線を迂回させず、配線領域54bから略ストレートに配線を引き出して第2端子部81のパッド72aに繋げており、これにより「第2端子部81と配線領域54bとが連続して形成」された構造にできる。
【0050】
本実施形態では図1の符号Eに示すように入力装置の入力側表面のフルフラット化に伴い、入力装置20の側部から引き出されたフレキシブルプリント基板54を下方向に屈曲させる。
【0051】
あるいは図6の構造に示すように、フレキシブルプリント基板54を入力装置の内部で下方に屈曲させて、支持板55に形成される貫通孔88からフレキシブルプリント基板54を下方に延出させることもできる。
【0052】
本実施形態のフレキシブルプリント基板54には、図5(a)(d)に示すように、第1端子部80と第2端子部81との間に外部に通じる第1の切欠部83〜85が形成されるとともに、第1端子部80と配線領域54bとの間には外部に通じる第2の切欠部86,87が形成されている。
【0053】
このため上記のようにフレキシブルプリント基板54を下方向に屈曲させても第2の切欠部86,87を設けたことで配線領域54bを通じて各第1端子部80に上方向に向く力が生じにくい(生じても上向きの力を従来よりも小さくできる)。一方、配線領域54bに連続する第2端子部81には、フレキシブルプリント基板54を下方向に屈曲させることで上向きの力が生じやすくなるが、第1端子部80と第2端子部81間に第1の切欠部83〜85を形成したことで、各第2端子部81を通じて各第1端子部80に上方向に向く力が生じにくい。
【0054】
このように本実施形態のフレキシブルプリント基板54の構造によれば、フレキシブルプリント基板54を下方向に屈曲させても従来に比べて各第1端子部80に上向きの力が生じるのを抑制でき、したがって、各第1端子部80と下部基板22の各第1接続部52a,52a間に剥がし力が生じるのを抑制できる。
【0055】
一方、各第2端子部81は配線領域54bと連続して形成されるため、フレキシブルプリント基板54を下方向に屈曲させると第2端子部81には上向きの力が加わり、各第2端子部81と上部基板21に形成された各第2接続部45a,45aとの間に密着方向への力が生じる。
【0056】
以上により、本実施形態では、フレキシブルプリント基板54を下方向に屈曲させたときに各端子部と各接続部間の接続信頼性を効果的に向上させることができる。
【0057】
また本実施形態では、図5(a)(b)に示すように、複数の第1端子部80と複数の第2端子部81とがX1−X2方向に交互に並設されている。そして各第1端子部80と各第2の端子部81との間にY1−Y2方向に向く第1の切欠部83〜85が形成されるとともに、各第1端子部80と配線領域54bとの間にX1−X2方向に向く第2の切欠部86、87が形成されている。そして、第2の切欠部86,87のうち、第2端子部81、81間に位置する第1端子部80に対して形成された第2の切欠部87は、第1の切欠部84と一体となって外方に通じている。
【0058】
上記したフレキシブルプリント基板54の構造により、複数の第1端子部80に対する第1の切欠部83〜85及び第2の切欠部86,87を簡単且つ適切に形成することができる。
【0059】
本実施形態のフレキシブルプリント基板54は図5(b)(c)に示すように、可撓性基材である第2基材70と第1基材75との間に配線部72が介在する構造であり、第1端子部80の位置で、第1基材75が除去されて配線部72の一部が可撓性基材から露出しており、また第2端子部81の位置で、第2基材70が除去されて配線部72の一部が可撓性基材から露出している。更に各第1端子部80と各第2端子部81には電極層73,76が設けられている。そして、各電極層73,76と各接続部45a,52a間は、異方性導電層(ACP)74,77を介して導通した状態となっている。なお異方性導電層74,77以外の方法で導通接続させることも出来る。
【0060】
本実施形態では図5に示すフレキシブルプリント基板の積層構造とすることで簡単且つ薄型の構造で、第1端子部80及び第2端子部81を形成することができる。
【0061】
また本実施形態では図3(a)に示すFFP構造の入力装置において、上部基板21には、フレキシブルプリント基板54に形成された第1端子部80と対向する領域に第2空間部21aが形成されている。したがってフレキシブルプリント基板54の第1端子部80の厚さを上部基板21の第2空間部21aにて適切に吸収することができる(第1端子部80を第2空間部21a内に逃がすことが出来る)。
【0062】
また本実施形態では図3(b)に示すFFP構造の入力装置において、下部基板22には、フレキシブルプリント基板54に形成された第2端子部81と対向する領域に第1空間部22aが形成されている。したがってフレキシブルプリント基板54の第2端子部81の厚さを下部基板22の第1空間部22aにて適切に吸収することが出来る(第2端子部81を第1空間部22a内に逃がすことが出来る)。
【0063】
このように本実施形態ではFFP構造において、フレキシブルプリント基板54を下部基板22及び上部基板21に形成された各空間部に逃がすことができ、表面部材60の表面に凹凸が形成されるのを適切に抑制することができる。
【0064】
本実施形態におけるフレキシブルプリント基板54は、図1、図2、図3に示すFFP(Film-Film-Plastics)構造以外に図7に示すFP(Film-Plastics)構造においても本実施形態を好ましく適用することが出来る。
【0065】
図7に示す入力装置は、下から、プラスチック基材の表面に透明透明導電層及び第1配線層が形成されてなる下部基板90、粘着層91、絶縁層92、第2配線層93と表面に透明導電層が形成されたフィルム状の上部基材94とを有してなる上部基板95、加飾層96、及びフィルム状の表面層97の順に積層された構造である。なお図示していないが、加飾層96と表面層97から成る表面部材98と上部基板95との間は光学透明粘着層(OCA)により接合されている。
【0066】
そして、本実施形態のフレキシブルプリント基板54の第1端子部80,80が下部基板90の第1接続部90a,90aに電気的に接続され、フレキシブルプリント基板54の第2端子部81,81が上部基板95の第2接続部95a,95aに電気的に接続される。なお、下部基板90にはフレキシブルプリント基板54の各端子部と対向する領域に凹状部90bが形成され、前記フレキシブルプリント基板54の先端部を前記凹状部90b内に収めることができる構成とすることが好適である。
【0067】
図7に示すFP構造の入力装置において、図5に示す構造のフレキシブルプリント基板54の先端付近を下方向に屈曲させたとき、各端子部と各接続部間の接続信頼性を従来に比べて効果的に向上させることができる。
【符号の説明】
【0068】
20 入力装置
20a 入力領域
20b 非入力領域
21、95 上部基板
21a、95a 第2空間部
22、90 下部基板
22a 第1空間部
40、91 粘着層
45、93 第2配線層
45a 第2接続部
52 第1配線層
52a、90a 第1接続部
54 フレキシブルプリント基板
54a 先端部
54b 配線領域
55 支持板
55a、56a、63a 空間部
56、63 光学用透明粘着層
60、98 表面部材
61、97 表面層
62、96 加飾層
70 第2基材
72 配線部
73、76 電極層
74、77 異方性導電層
75 第1基材
80 第1端子部
81 第2端子部
83、84、85 第1の切欠部
86、87 第2の切欠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部基板と上部基板とが高さ方向に対向配置され、前記下部基板及び前記上部基板は、夫々、表面に透明導電層が形成された基材と、前記基材の表面にて入力領域の外側の非入力領域に形成された配線層とを有して構成され、前記下部基板に設けられた第1配線層は、フレキシブルプリント基板との接続位置まで引き延ばされて第1接続部を構成し、前記上部基板に設けられた第2配線層は、前記フレキシブルプリント基板との接続位置まで引き延ばされ、平面視にて前記第1接続部と重ならない位置にて第2接続部を構成しており、
前記フレキシブルプリント基板は、可撓性基材の表面に配線部が引き回された配線領域と、前記可撓性基材及び前記配線領域から延出した前記配線部の一部を有して前記第1接続部に電気的に接続される第1端子部と、前記可撓性基材及び前記配線領域から延出した前記配線部の一部を有して前記第2接続部に電気的に接続される第2端子部と、を有して構成されており、
前記第1端子部と前記第2端子部間には外方に通じる第1の切欠部が形成されているとともに、前記第1端子部と前記配線領域との間には外方に通じる第2の切欠部が形成されており、前記第2端子部と前記配線領域は連続して形成されていることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
複数の前記第1接続部と複数の前記第2接続部が平面視にて交互に形成され、各第1接続部及び各第2接続部に電気的に接続される前記フレキシブルプリント基板に設けられた複数の前記第1端子部と複数の前記第2端子部が交互に並設されており、
各第1端子部と各第2端子部の間に夫々、前記第1の切欠部が形成されるとともに、各第1端子部と前記配線領域との間に夫々、前記第2の切欠部が形成されており、前記第2の切欠部のうち、前記第2端子部間に設けられた前記第1端子部に対する前記第2の切欠部は、前記第1の切欠部と一体となって外方に通じている請求項1記載の入力装置。
【請求項3】
前記フレキシブルプリント基板は、前記可撓性基材である下側に位置する第1基材と上側に位置する第2基材の間に前記配線部が介在する構成であり、前記第1端子部の位置で前記第1基材が除去されて、前記配線部の一部が前記可撓性基材から露出しており、前記第2端子部の位置で前記第2基材が除去されて、前記配線部の一部が前記可撓性基材から露出している請求項1又は2に記載の入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−248810(P2011−248810A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123962(P2010−123962)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】