説明

全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボード、計測装置用の撮影装置、計測装置、及び微少変位計測装置

【課題】全空間テーブル化手法を適用した計測装置の測定速度及び精度を向上させるためのメモリボードを提供する。
【解決手段】メモリボード10は、コンピュータと通信可能とする制御手段と、コンピュータに接続された撮影装置15が撮影した画像のそれぞれの画素毎から得られる値Aと前記値A毎に決まる少なくとも1つの計測値Bとが1対1で対応付けられた変換テーブルを、コンピュータから取得して格納するメモリと、テーブルを参照して少なくとも1つの計測値Bを求めてコンピュータに出力する手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体や人体等の試料物体の計測を非接触かつ高精度で行い得る多数の基準面を用いた全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボード、計測装置用の撮影装置、計測装置、及び微少変位計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、基準平板をその法線方向に微小量ずつ平行移動させたときの多数の基準面を、2次元パターンの形成や、空間を分割して数値化できるパターン(以下、「空間分割パターン」という)の投影に利用することにより、投影するパターンの輝度分布が余弦波状でなくても、投影するパターンのピッチが不等間隔であっても、精度良く形状計測を行い得る、多数の基準面を用いた形状計測装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図15に、特許文献1に記載されている形状計測装置の構成図を示す。本形状計測装置は、リアルタイム形状計測装置として構成されており、基準平板11と、基準面12と、移動ステージ13と、プロジェクタ(投影装置)14と、カメラ(撮影装置)15と、PC(Personal computer)16とを備える。
【0004】
基準平板11としては、例えば液晶ディスプレイを用いる。基準平板(液晶ディスプレイ)11は、移動ステージ13上に設置されている。液晶ディスプレイ11の表面には、基準面12となる光拡散板が貼り付けられている。
【0005】
基準面12は、光拡散板が基準平板11の法線方向(z方向)に垂直になるように、従って、xy平面と平行な平面上に取り付けられている。基準面12には、所定の2次元パターン(例えば等間隔格子)が形成されるとともに、空間分割パターン(例えば等間隔格子)が投影される。
【0006】
移動ステージ13は、基準平板11を基準平板11の法線方向(z方向)に微小量ずつ平行移動させる。
【0007】
プロジェクタ14は、液晶パネルと、光源と、レンズとを備えた液晶プロジェクタである。プロジェクタ14は、移動ステージ13のz方向の平行移動の各位置(R0,R1,…,RN)において、プロジェクタ14の液晶パネルに表示されたパターン(例えば格子状の濃淡パターン)を基準面12に投影するとともに、プロジェクタ14に対して所定位置関係に設置された試料物体17に、空間分割パターンとして、プロジェクタ14の液晶パネルに表示されたパターン(例えば格子状の濃淡パターン)を投影する。なお、プロジェクタ14は、空間分割パターンを投影する際に、所定シフト量ずつ位相シフトを行う。
【0008】
カメラ15は、図15に示すように基準面12の正面に設置されており、移動ステージ13のz方向の平行移動の各位置において、基準面12にそれぞれ形成される2次元パターンを撮影した第1撮影画像に対応する第1撮影画像信号と、基準面12に投影した空間分割パターンを撮影した第2撮影画像に対応する第2撮影画像信号とをPC16に入力するとともに、試料物体17に投影した空間分割パターンを撮影した第3撮影画像に対応する第3撮影画像信号をPC16に入力する。なお、位相シフトを行いながら、空間分割パターンを撮影して第2撮影画像を得る際には、カメラ15は、前記位相シフトに同期して第2撮影画像を撮影するものとする。また、試料物体17を撮影する際には、基準面12をカメラ15に対して遠ざかるように後方に移動させる。
【0009】
PC16は、画像投影のために投影画像信号(例えば投影格子画像信号)をプロジェクタ14に入力し、移動ステージ13のz方向位置制御のためにステージ制御信号を移動ステージ13に入力し、所定の2次元パターン(等間隔格子)の表示のために生成した表示画像信号(等間隔格子画像信号)を基準平板11に入力し、カメラ15から撮影画像信号(第1撮影画像信号、第2撮影画像信号、第3撮影画像信号)を入力される。
【0010】
図16に、特許文献1に記載されている形状計測装置のPC16の機能ブロック図を示す。PC16は、校正処理部21と、連続撮影部22と、実時間解析部23と、精密解析部24とを備える。
【0011】
校正処理部21では、校正を行う。ここでは、投影された格子の位相と3次元座標との対応関係をカメラの画素毎に求めておくことを校正と呼ぶ。校正を行うために、校正処理部21は、基準面12に表示する表示画像や、プロジェクタ14から投影する投影画像(例えば格子画像)を生成したり、移動ステージ13へのステージ制御信号を生成したりする。これらを所定のタイミングに合わせて出力して、カメラ15によって基準面12の画像を撮影する。また、カメラ15によって撮影された撮影画像から画素毎に位相解析を行って投影格子の位相θを得たり、基準面12に表示された格子の位相からx座標及びy座標をそれぞれ得たりする。z座標に関しては、基準面12が移動する位置(基準平板11の移動量)がz座標に対応するため、その値を用いる。これらから、等間隔に位相を分割したときのx座標,y座標,z座標をそれぞれ補完により算出することで、空間分割パターンの位相と空間座標とを1対1で対応付けたテーブル(以下、「位相−座標テーブル」という)を作成し、作成した位相−座標テーブルを記憶装置(例えばハードディスク)へ保存する。
【0012】
連続撮影部22では、試料物体17の形状計測をリアルタイムに行うために、DMA転送を用いてカメラ15で撮影された全ての撮影画像をリングメモリに記録する。このとき、プロジェクタ14には、撮影のタイミングに合わせて空間分割パターン画像(例えば格子画像)を位相シフトさせながら投影画像として入力する。リングメモリに保存された時系列の撮影画像は、計測終了後に精密解析を行うために記憶装置へも保存される。
【0013】
実時間解析部23では、連続撮影部22のリングメモリから最新の連続する4フレームの画像I0,I1,I2,I3を取り出してバッファメモリに格納する。それぞれの画像から1画素ずつI2−I0及びI3−I1を求め、それぞれの結果から位相解析テーブルを用いて空間分割パターンの位相θを求める。得られた位相θから、校正処理部21で作成した位相−座標テーブルを用いて、x座標又はy座標と、z座標とを求め、表示画像処理を行って、z座標の分布をモニタに表示する、あるいは、x座標,y座標及びz座標を用いて立体画像(3D画像)をモニタに表示する。この一連の処理が終了すると、再度実時間解析部23の処理の始めに戻り、再度同一内容の処理を繰り返す。
【0014】
精密解析部24では、連続撮影部22で保存された時系列の撮影画像に対して順に連続する4フレームの画像I0,I1,I2,I3を取り出してバッファメモリに格納する。それぞれの画像から1画素ずつI2−I0及びI3−I1を求め、それぞれの結果から位相解析テーブルを用いて位相θを求める。得られた位相θから、校正処理部21で作成した位相−座標テーブルを用いて、x座標、y座標及びz座標をそれぞれ求め、記憶装置に形状計測結果として保存する。精密解析部24では、実時間解析部23とは異なり、全フレームに対して時系列の形状計測結果が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2008−281491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかし、ソフトウェアのみで上述の計測処理を行うと、座標分布の出力速度は数枚/秒に抑えられ、リアルタイム形状計測のためには、さらなる高速化が求められていた。
【0017】
また、全空間テーブル化手法の公知例によれば、予め位相−座標テーブルをメモリに格納することで、実際の試料計測時に高速に結果を得ることができるが、精度を上げるためには、テーブル数を増やす必要がある。しかし、テーブル数が増えるとPC内のメモリを多量に消費してしまう。例えば、640×480画素について、x座標、y座標、z座標、及びその他の情報がそれぞれ4バイトとすると、テーブル1枚につき約4.7MB必要であり、1000枚準備すると約4.7GBにもなる。そのため、さらに精度を向上させるには多量のメモリを扱えることが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述の課題を解決するために、本発明に係る全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボードは、2次元パターンが形成される基準面に投影装置から空間を分割して数値化できる空間分割パターンを投影することにより、試料物体の計測を行う全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボードであって、コンピュータと通信可能とする制御手段と、前記コンピュータに接続された前記撮影装置が撮影した画像のそれぞれの画素毎から得られる値Aと前記値A毎に決まる少なくとも1つの計測値Bとが1対1で対応付けられた変換テーブルを、前記コンピュータから取得して格納する変換テーブル用記憶手段と、前記変換テーブルを参照して前記少なくとも1つの計測値Bを求めて前記コンピュータに出力する計測データ出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボードにおいて、前記変換テーブルは、前記変換テーブルは、前記コンピュータが、前記基準面に形成される2次元パターンを撮影した第1撮影画像及び前記基準面に投影した空間分割パターンを撮影した第2撮影画像の解析をそれぞれ画素毎に行うことにより生成され、前記値Aを前記空間分割パターンの位相とし前記少なくとも1つの計測値Bを空間座標としたテーブルであり、前記計測データ出力手段は、前記試料物体に投影した前記空間分割パターンを撮影した第3撮影画像を前記コンピュータから取得し、前記変換テーブルと前記第3撮影画像とに基づいて当該試料物体の前記空間座標を求めて前記コンピュータに出力することを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボードは、更に、前記第2撮影画像の前記空間分割パターンの輝度値と該空間分割パターンの位相値とが対応付けられた位相解析テーブルを格納する位相解析テーブル用記憶手段を備え、前記コンピュータから入力される前記第3撮影画像から、前記位相解析テーブルを参照して前記第3撮影画像の画素ごとの前記空間分割パターンの位相を求めることを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボードにおいて、前記変換テーブルは、画素ごとに、前記空間分割パターンの位相と対応付けられた座標データ及び属性情報を有することを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボードにおいて、前記属性情報は、画素ごとに計測結果をモニタに表示させるか否かを表すマスクフラグデータを含むことを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係る全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボードにおいて、前記属性情報は、画素ごとに前記変換テーブルの値の確からしさを表す評価値を含むことを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係る全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボードは、更に、前記第3撮影画像を格納する位相シフト画像用記憶手段を備え、前記投影装置は格子を振動させることにより前記空間分割パターンの位相をシフトさせており、前記格子が右側から左側へ水平方向、又は上側から下側へ垂直方向に移動する経路を第1の経路とし、前記格子が前記第1の経路と正反対の方向に移動する経路を第2の経路としたときに、前記格子が第1の経路を移動する時にのみ前記第3撮影画像を前記位相シフト画像用記憶手段に格納するか、又は前記格子が第1の経路を移動する時及び第2の経路を移動する時に前記第3撮影画像を前記位相シフト画像用記憶手段に格納することを特徴とする。
【0025】
さらに、本発明に係る全空間テーブル化手法を適用した三次元形状計測装置は、2次元パターンが形成される基準面に投影装置から空間を分割して数値化できる空間分割パターンを投影することにより、試料物体の形状計測を行う全空間テーブル化手法を適用した計測装置であって、請求項1から7のいずれか一項に記載の全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボードと、前記基準平板に前記空間分割パターンを投影する投影装置と、前記基準面に形成される2次元パターンを撮影して第1撮影画像を取得し、前記基準面に投影した前記空間分割パターンを撮影して第2撮影画像を取得し、試料物体に投影した前記空間分割パターンを撮影して第3撮影画像を取得する撮影装置と、前記撮影装置から入力される前記第1撮影画像と前記第2撮影画像の解析をそれぞれ画素毎に行うことにより前記空間分割パターンの位相と空間座標とが1対1で対応付けられた変換テーブルを生成し、該変換テーブルと前記撮影装置から入力される前記第3撮影画像とを前記メモリボードに出力し、前記メモリボードから前記空間座標を取得するコンピュータと、を備えることを特徴とする。
【0026】
また、本発明に係る全空間テーブル化手法を適用した三次元形状計測装置において、前記投影装置は、等間隔格子を備え、前記等間隔格子を水平方向又は垂直方向に振動させることにより前記空間分割パターンの位相をシフトさせ、該位相がシフトした複数の格子画像を投影することを特徴とする。
【0027】
また、本発明に係る全空間テーブル化手法を適用した三次元形状計測装置において、前記投影装置は、放射状格子を備え、前記放射状格子を回転させることにより前記空間分割パターンの位相をシフトさせ、該位相がシフトした複数の格子画像を投影することを特徴とする。
【0028】
さらに、本発明に係る全空間テーブル化手法を適用した計測装置用の撮影装置は、2次元パターンが形成される基準面を含む基準平板に投影装置から空間を分割して数値化できる空間分割パターンを投影することにより、試料物体の形状計測を行う全空間テーブル化手法を適用した計測装置用の撮影装置であって、前記基準面に形成される2次元パターンを撮影して第1撮影画像を取得し、前記基準面に投影した前記空間分割パターンを撮影して第2撮影画像を取得し、試料物体に投影した前記空間分割パターンを撮影して第3撮影画像を取得する手段と、前記第1撮影画像及び前記第2撮影画像の解析をそれぞれ画素毎に行うことにより、前記空間分割パターンの位相と空間座標とが1対1で対応付けられた変換テーブルを生成する手段と、前記変換テーブルを格納する変換テーブル用記憶手段と、前記第2撮影画像の前記空間分割パターンから、該空間分割パターンの輝度値と該空間分割パターンの位相とが対応付けられており、前記第3撮影画像から、前記第3撮影画像の画素ごとの前記空間分割パターンの位相を求める位相解析テーブルを生成する手段と、前記位相解析テーブルを格納する位相解析テーブル用記憶手段と、前記位相解析テーブルと前記変換テーブルとに基づいて当該試料物体の前記空間座標を求めて出力する手段と、を備えることを特徴とする。
【0029】
さらに、全空間テーブル化手法を適用した計測装置用の撮影装置は、2次元パターンが形成される基準面に投影装置から空間を分割して数値化できる空間分割パターンを投影することにより、試料物体の形状計測を行う全空間テーブル化手法を適用した計測装置用の撮影装置であって、前記試料物体に投影した前記空間分割パターンを撮影した画像を、請求項1から7のいずれか一項に記載の全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボードに、直接転送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、ソフトウェアで行っていた処理をハードウェアで処理することで高速化を図れるようになる。また、座標以外のマスクフラグ情報を有することにより、座標分布の出力速度を高速化することができる。
【0031】
また、メモリボードを使用することによって大量のメモリを扱うことができ、テーブルを大量に準備できるため、計測精度を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボードを用いた形状計測装置を上から見た図である。
【図2】本発明による全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボードを用いた形状計測装置を横から見た図である。
【図3】PC及び本発明による全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボードの機能ブロック図である。
【図4】本発明による全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボードの第1の構成例を示す図である。
【図5】本発明による全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボードの第2の構成例を示す図である。
【図6】本発明による全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボードの第3の構成例を示す図である。
【図7】本発明による全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボードの入出力について説明する図である。
【図8】本発明による全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボードに格納される位相解析テーブルについて説明する図である。
【図9】本発明による全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボードに格納される位相−座標変換テーブルについて説明する図である。
【図10】本発明による全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のプロジェクタの一実施例を示す構成図である。
【図11】本発明による全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボード内のバッファメモリへ位相シフト画像を格納する際の格納順番を説明する図である。
【図12】メモリボードとしてFPGAメモリボードを使う場合のPC側のソフトウェアの処理フロー図である。
【図13】プロジェクタ及びカメラを一体型化したケースを、PC及び本発明による全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボードに接続した図である。
【図14】放射状格子の一例を示す図面代用写真である。
【図15】従来の形状計測装置を表す図である。
【図16】従来の形状計測装置のPCの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
コンピュータに接続された撮影装置が撮影した画像のそれぞれの画素毎から得られる値Aと、値A毎に決まる少なくとも1つの計測値Bとが1対1で対応付けられた変換テーブルを用いた計測手法を、「全空間テーブル化手法」と呼ぶ。この全空間テーブル化手法の適用の一つに形状計測がある。以下、形状計測に適用した実施例について、図面を参照して詳細に説明するが、変位計測やひずみ計測等にも適用可能である。
【0034】
図1は、本発明による全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボード(以下、単に「メモリボード」という)を用いた形状計測装置1を上からみた図である。図15に示した従来の形状計測装置と比較して、PC16の代わりに、メモリボード10が接続されたPC18を用いる点が異なる。本発明は、メモリボード10を用いることにより、高速かつ大容量のメモリに位相−座標テーブルを格納できるようになる。
【0035】
図2は、本発明によるメモリボードを用いた形状計測装置1を横から見た図である。液晶ディスプレイ11の表面には光拡散板12が貼り付けられており、液晶ディスプレイ11に表示された画像をバックライト光源からの照明光によって光拡散板12に背面から投影する構造になっている。液晶ディスプレイ11は、z方向に移動する移動ステージ13上に、ディスプレイ表面がz軸に対して垂直になるように取り付けられている。移動ステージ13は、メモリボード10が接続されたPC18からの移動ステージ制御信号によってz方向の位置を制御されている。
【0036】
図3は、PC18とメモリボード10の機能を示す機能ブロック図である。図16に示した従来の形状計測装置のPC16と比較して、PC18は実時間解析部23を備えず、メモリボード10が実時間解析部23の機能を担う点が異なる。また、メモリボード10内のメモリに位相−座標テーブルを格納するため、校正処理部21にはメモリに位相−座標テーブル用のメモリは不要となる。さらに、メモリボード10が従来の実時間解析部23では有していなかった属性情報αを有している点が異なる。属性情報αについては後述する。
【0037】
図4は、メモリボード10の第1の構成例を示す図である。第1の例では、メモリボード10は、位相解析テーブル用メモリ101と、位相−座標テーブル用メモリ102と、位相シフト画像用バッファメモリ103と、プロセッサ104とを備えており、インターフェース105を介してPC18と接続される。
【0038】
位相解析テーブル用メモリ101には、後述する位相解析テーブル106が格納され、位相−座標テーブル用メモリ102には、後述する位相−座標テーブル107が格納され、位相シフト画像用バッファメモリ103には、後述する位相シフト画像221が格納される。位相解析テーブル用メモリ101及び位相シフト画像用バッファメモリ103には高速メモリを使用し、位相−座標テーブル用メモリ102には大容量メモリを使用する。メモリボード10には1個のプロセッサ104が搭載される。なお、これらのメモリのうちの2つ又は全てを1つのメモリに統合することもできる。この点については、以下に説明する図5及び図6についても同様である。
【0039】
図5は、メモリボード10の第2の構成例を示す図である。第2の例では、メモリボード10は、2つの位相解析テーブル用メモリ101(101−1及び101−2)と、2つの位相−座標テーブル用メモリ102(102−1及び102−2)と、2つの位相シフト画像用バッファメモリ103(103−1及び103−2)と、2つのプロセッサ104(104−1及び104−2)とを備えており、インターフェース105を介してPC18と接続される。メモリボード10には2個のプロセッサ104が搭載され、それぞれのプロセッサ104がそれぞれ異なるメモリにアクセスできる。
【0040】
この第2の例では、位相解析テーブル用メモリ101と、位相−座標テーブル用メモリ102と、位相シフト画像用バッファメモリ103と、プロセッサ104とを2組ずつ有する。メモリの使用方法としては、2組のメモリ(101,102,103)うちの一方には、位相解析テーブル106、位相−座標テーブル107、及び位相シフト画像221(以下、これらをまとめて「テーブル類」という)の上半分を格納し、他方には、テーブル類の下半分を格納する。一方のプロセッサ104は上半分にアクセスし、他方のプロセッサ104は下半分にアクセスすることで、分散処理を行う。第2の例のメモリボード10の変形例として、メモリ(101,102,103)及びプロセッサ104をそれぞれ3組以上備え、テーブル類を分割して格納することもできる。
【0041】
図6は、メモリボード10の第3の構成例を示す図である。第3の例では、位相解析テーブル用メモリ101と、位相−座標テーブル用メモリ102と、位相シフト画像用バッファメモリ103と、プロセッサ104とを備えたメモリボード10(すなわち、第1の例と同じ構成のメモリボード)を複数枚有しており(10−1,10−2,…)、各メモリボード10は、各インターフェース105(105−1,105−2,…)を介してPC18と接続される。入力画面が分割されて、各メモリボード10に送られ、各メモリボード10が分散処理を行う。この場合も、第2の例と同様に、テーブル類を分割し、複数のメモリボード10内の各メモリに格納する。
【0042】
次に、メモリボード10の動作について図7から図9を参照して説明する。図7は、メモリボード10の入出力について説明する図である。メモリボード10には、図2に示した連続撮影部22から、連続する位相シフト画像221が4枚(221−1〜221−4)入力され、位相シフト画像用バッファメモリ103へ書き込まれる。ここで、位相シフト画像221とは、プロジェクタ14から基準面12に投影される位相がずれた(位相をシフトさせた)格子画像を、カメラ15で撮影した画像のことである。基準面12を移動させた各位置において本実施例では4回ずつプロジェクタ14から投影しており、この場合には位相シフト量はπ/2となる。n回ずつ投影する場合には、位相シフト量は2π/nとなる。位相シフト画像221の輝度値Ii,jは、0〜255の範囲の値を有する。ここで、添え字の(i,j)は位相シフト画像221の水平方向にi番目、垂直方向にj番目の画素を表している。
【0043】
図8は、位相解析テーブル用メモリに格納された位相解析テーブル106について説明する図である。位相解析テーブル106は、入力された4枚の位相シフト画像221から1枚の位相画像を導き出すためのテーブルであり、位相シフト画像221−1〜221−4の輝度値をそれぞれI0〜I3としたとき、I0とI2との輝度値の差をx軸、I1とI3との輝度値の差をy軸として用いることで空間分割パターンの位相を得られるようにするテーブルである。位相は、各画像の輝度値から式(1)によって算出される。
【0044】
【数1】

ここで、In(n=0〜3)は、位相シフト画像221−n(n=0〜3)の輝度値である。0≦In≦255であるため、−255≦I0−I2≦255であり、−255≦I1−I3≦255である。位相解析テーブル105の容量は、位相θを4バイトで表現すると、511×511×4バイト必要となる。
【0045】
位相解析テーブル106を参照して画素ごとの位相が得られると、この位相に基づいて位相−座標テーブル107を参照し、位相から座標への変換が行われる。図9は、メモリボード10内部に格納された位相−座標変換テーブル107について説明する図である。各画素の空間分割パターンの位相に対応付けられたx座標、y座標、z座標及び属性情報αのデータ(x,y,z,α)をVとし、このVをテーブル数分まとめたものをPとすると、このPを1画像分まとめたものが、位相−座標変換テーブル107である。
【0046】
基準平板11をその法線方向に微少量ずつ平行移動させた場合、各位置において画素ごとに位相が定められる。そのため、データV(x,y,z,α)を示すVテーブルは基準平板11の移動回数分必要となる。また、実際の移動間隔の間におけるデータを補完するための補完テーブルを有することもできる。補完テーブルを含むVテーブルを識別するために、Vテーブルにはテーブル番号が付される。テーブル番号を0,1,2,…,nTableとしたとき、nTableはテーブル数を表す。テーブル番号と位相値の対応を表1に示す。
【0047】
【表1】

例えば、テーブル数(nTable)が100であり、1画素目の位相θが位相解析テーブル106によって4π/100と決定された場合には、まず1画素目のP0,0を参照しにいく。次に、位相θ=4π/100、nTable=100であるため、テーブル番号が2のV2を参照しにいく。このような手順により、データV(x,y,z,α)を取得し、計測データ231として出力する。
【0048】
なお、Vテーブルは、空間における位置を表す位置データであれば、x座標、y座標、z座標のデータに限られない。例えば、(x,y,z)の代わりに変位データ(Δx,Δy,Δz)とすることもできる。また、(x,y,z)のうちのいずれか1つ又は2つのデータのみを有してもよく、例えば、x座標、y座標のみの形状を測定する場合には(x,y)のみを有するようにすることもできる。
【0049】
ここで、属性情報αには、用途に応じて様々な属性情報を持たせることができる。すなわち、属性情報として、αだけではなく、α,β,γ,…と複数有してもよい。また、位相θと関連付けられない情報であってもよい。属性情報は、例えば、画素ごとに計測結果をモニタに表示させるか否かを表すマスクフラグデータや、複数台のカメラで撮影した場合のカメラ番号や、モニタに表示する際の色情報や、位相−座標テーブルを分割して複数のメモリボード10に格納する場合の位置情報や、極座標などである。例えば、マスクフラグデータを用いれば、試料物体17の配置位置対応する画素のみフラグを1とし、その他の画素のフラグを0とすることにより、フラグが0の画素の表示画像処理が不要となるため、モニタへの表示速度を向上させることができる。
【0050】
また、属性情報αに、校正時に得られる位相−座標テーブル107の確からしさを示す情報を格納することもできる。従来、複数の縞画像計測データを合成する際に評価値を用いる方法が知られている(例えば、特許第3837565号明細書参照)。属性情報αとして、この評価値を用いることで、形状計測の測定精度をより向上させることができる。
【0051】
評価値は、位相シフトされた1周期分の輝度データから、画素ごとに決定する。位相シフト画像221の輝度値をI1,I2,…,Inとすると、評価値Ei,jは、Ei,j=f{I1(i,j),I2(i,j),…,In(i,j)}のような評価関数によって定義できる。ここで、添え字の(i,j)は位相シフト画像221の水平方向にi番目、垂直方向にj番目の画素を表している。格子の振幅で評価値を決める評価関数の第1例は以下の式(2)のように定義する。
【0052】
【数2】

ここで、ai,jは格子の振幅値、In(i,j)は格子の輝度値である。4回位相シフトする場合にはn=4である。ImaxとIminは、それぞれカメラ15が撮影できる最高輝度値と最低輝度値とを表す。撮影されるn枚の輝度データのうち、1つでもIminより低い輝度値、又はImaxより高い輝度値がある場合、評価値を0とする。そうでない場合、評価値を格子の振幅とする。この例の場合、コントラストが良いと評価値が高くなる。
【0053】
格子の一次周波数と高次周波数との比で評価値を決める評価関数の第2例は以下の式(3)のように定義する。
【0054】
【数3】

は、それぞれ、基本周波数成分とその高次周波数成分である。この例の場合、評価値が高いものはノイズに強い(SN比が高い)ということになる。
【0055】
次に、プロジェクタ14の構成及び位相シフト画像221の書込みについて、図10及び図11を参照して説明する。図10は、リアルタイム形状計測におけるプロジェクタ14の一例を示す構成図である。図10(a)は上から見た図であり、図10(b)は横から見た図である。プロジェクタ14は、光源(LED)141と、フレネルレンズ142と、ディフューザ143と、ピエゾステージ144と、格子ガラス145と、ピエゾステージ制御回路(図示しない)とを備える。格子投影のために格子ガラス145を用い、格子ガラス145はピエゾステージ144の上に配置される。
【0056】
ピエゾステージ144は、ストローク0.5mmの移動ステージである。PC18から移動命令がピエゾステージ制御回路に送られると、ピエゾステージ制御用回路はピエゾステージ144を移動させる。4回位相シフトさせる場合、0V,2.5V,5V,7.5Vの電圧を与えて、それぞれピエゾステージ144を0μm,125μm,250μm,375μmの位置に移動させる。ピエゾステージ144を移動させることで格子ガラス145を位相シフトさせ、位相がシフトした位相シフト画像を基準面12に投影する。カメラ15は、基準面12に投影された位相シフト画像を撮影し、撮影した画像をPC18に送る。位相シフト画像の送り方として、以下に2つの例を示す。
【0057】
図11(a)は、位相シフト画像用バッファメモリ103へ位相シフト画像221の輝度値データを格納する際の第1の格納順番例を説明する図である。位相シフト画像用バッファメモリ103の格納領域をM(I0)〜M(I3)とすると、第1の例では、M(I0),M(I1),M(I2),M(I3),M(I0),M(I1),M(I2),M(I3),…の順番で、位相シフト画像221の輝度値データを格納する。この場合、ピエゾステージ144に与える電圧は、0V,2.5V,5V,7.5V,0V,2.5V,5V,7.5V,…である。すなわち、ピエゾステージ144の往復運動について、往路の移動時にのみ、輝度値データを上記順番でバッファメモリに格納し、復路の移動時には輝度値データを格納しない。
【0058】
図11(b)は、位相シフト画像用バッファメモリ103へ位相シフト画像221の輝度値データを格納する際の第2の格納順番例を説明する図である。第2の例では、M(I0),M(I1),M(I2),M(I3),M(I2),M(I1),M(I0),M(I1),…の順番で、位相シフト画像221の輝度値データを格納する。この場合、ピエゾステージ144に与える電圧は、0V,2.5V,5V,7.5V,5V,2.5V,0V,2.5V,…である。すなわち、ピエゾステージ144の往復運動について、往路及び復路の移動時に、輝度値データを上記順番で位相シフト画像用バッファメモリ103に格納する。第2の例の順番で格納すると、第1の例の順番で格納する場合と比較して、復路の移動時にも輝度値データをバッファメモリに格納することができるため、より高速な処理が可能となる。
【0059】
また、プロジェクタ14から基準面12や試料物体17に投影する空間分割パターンとして、不等間隔格子である放射状格子を用いることもできる。図14は、放射状格子の一例を示す図面代用写真である。この放射状格子は、円板に1ピッチ3°の矩形格子を多数描いて構成されており、図14に示す放射状格子の一部分だけを使って投影を行う。位相シフトは、この放射状格子が描かれた円板を放射状格子回転投影装置(図示しない)に取り付けて、ステッピングモータを駆動することにより行う。
【0060】
図12は、メモリボード10としてFPGA(Field Programmable Gate Array)メモリボードを使う場合のPC18側のソフトウェアの処理フロー図である。メモリボード10をPC18のソフトウェアから制御するために用いるAPI(Application Program Interface)関数の例が図示されている。初めに、ステップS121では、DLLの初期化を行う。
【0061】
ステップS122にて、PC18のテーブル作成ボタンが押下されると、ステップS123に処理が進み、キャリブレーション結果である位相解析テーブル105及び位相−座標テーブル106をメモリボード10内の位相解析テーブル用メモリ101及び位相−座標テーブル用メモリ102に書き込む。
【0062】
ステップS124にて、PC18の形状計測ボタンが押下されると、ステップS125に処理が進み、PC18はカメラ15から入力される位相シフト画像221をリングメモリに格納し、連続する4枚の位相シフト画像221をメモリボード10内の位相シフト画像用バッファメモリ103に書込む。
【0063】
ステップS126にて、PC18はメモリボード10の計測ステータスを読み込み、計測処理が完了するまでステータスを監視する。
【0064】
ステップS127にて、PC18は、メモリボード10から出力される計測データ231を読み込む。
【0065】
ステップS128にて、PC18は、計測が終了したか否かを判定する。PC18は、計測が終了したと判定した場合には、処理を終了し、計測が終了していないと判定した場合には、ステップS125に処理を戻す。
【0066】
図13は、プロジェクタ14と、カメラ15と、プロジェクタ14を制御する制御回路19と、電源(図示しない)とをケース20に一体化し、その一体型ケース20をPC18とメモリボード10に接続した図である。一体化することで装置全体を小型化でき、可搬性が向上し、コンタミネーションを防止することができる。また、一体型ケース20を移動しても光学系が大きくずれることなく計測できる。
【0067】
上述の実施例は、代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができことは当業者に明らかである。従って、本発明は、上述の実施例によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、メモリボード10を、レーザ干渉縞解析を行う微小変位計測装置(例えば、特許第3265476号明細書に記載されている装置)に適用することもできる。メモリボード10を備えるレーザ干渉縞解析を行う微小変位計測装置は、従来に比べて、計測速度及び精度を向上させることができる。
【0068】
また、PC18には連続撮影部22を備えず、カメラ15が連続撮影部22に相当する機能を備える構成とすることができる。この場合、カメラ15で撮影した位相シフト画像221を、PC18を介さずに直接メモリボード10に転送できるため、PC18らメモリボード10へのDMA転送がなくなり、処理時間を短縮することができる。
【0069】
さらに、カメラ15がPC18の校正処理部21、連続撮影部22、精密解析部24、及びメモリボード10に相当する機能を備える構成とすることもできる。カメラ15とPC18とメモリボード10とを一体化することで、装置全体を小型化できるとともに、カメラ15、PC18及びメモリボード10間でデータをやりとりする際のノイズを軽減することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
このように、本発明によるメモリボードを用いれば高速かつ高精度の計測が可能となるので、物体の形状計測(例えば製造業における形状検査等)や、人体の形状計測(例えば医療福祉分野や服飾分野等)などの任意の用途に有用である。
【符号の説明】
【0071】
10 メモリボード
11 基準平板
12 基準面
13 移動ステージ
14 プロジェクタ
15 カメラ
17 試料物体
18 PC
101 位相解析テーブル用メモリ
102 位相−座標テーブル用メモリ
103 位相シフト画像用バッファメモリ
104 プロセッサ
105 インターフェース
106 位相解析テーブル
107 位相−座標テーブル
221 位相シフト画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元パターンが形成される基準面に投影装置から空間を分割して数値化できる空間分割パターンを投影することにより、試料物体の計測を行う全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボードであって、
コンピュータと通信可能とする制御手段と、
前記コンピュータに接続された前記撮影装置が撮影した画像のそれぞれの画素毎から得られる値Aと前記値A毎に決まる少なくとも1つの計測値Bとが1対1で対応付けられた変換テーブルを、前記コンピュータから取得して格納する変換テーブル用記憶手段と、
前記変換テーブルを参照して前記少なくとも1つの計測値Bを求めて前記コンピュータに出力する計測データ出力手段と、
を備えることを特徴とする全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボード。
【請求項2】
前記変換テーブルは、前記コンピュータが、前記基準面に形成される2次元パターンを撮影した第1撮影画像及び前記基準面に投影した空間分割パターンを撮影した第2撮影画像の解析をそれぞれ画素毎に行うことにより生成され、前記値Aを前記空間分割パターンの位相とし前記少なくとも1つの計測値Bを空間座標としたテーブルであり、
前記計測データ出力手段は、前記試料物体に投影した前記空間分割パターンを撮影した第3撮影画像を前記コンピュータから取得し、前記変換テーブルと前記第3撮影画像とに基づいて当該試料物体の前記空間座標を求めて前記コンピュータに出力することを特徴とする、請求項1に記載の全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボード。
【請求項3】
更に、前記第2撮影画像の前記空間分割パターンの輝度値と該空間分割パターンの位相値とが対応付けられた位相解析テーブルを格納する位相解析テーブル用記憶手段を備え、
前記コンピュータから入力される前記第3撮影画像から、前記位相解析テーブルを参照して前記第3撮影画像の画素ごとの前記空間分割パターンの位相を求めることを特徴とする、請求項2に記載の全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボード。
【請求項4】
前記変換テーブルは、画素ごとに、前記空間分割パターンの位相と対応付けられた座標データ、及び属性情報を有することを特徴とする、
請求項2又は3に記載の全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボード。
【請求項5】
前記属性情報は、画素ごとに計測結果をモニタに表示させるか否かを表すマスクフラグデータを含むことを特徴とする、
請求項4に記載の全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボード。
【請求項6】
前記属性情報は、画素ごとに前記変換テーブルの値の確からしさを表す評価値を含むことを特徴とする、
請求項4に記載の全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボード。
【請求項7】
更に、前記第3撮影画像を格納する位相シフト画像用記憶手段を備え、
前記投影装置は格子を振動させることにより前記空間分割パターンの位相をシフトさせており、
前記格子が右側から左側へ水平方向、又は上側から下側へ垂直方向に移動する経路を第1の経路とし、前記格子が前記第1の経路と正反対の方向に移動する経路を第2の経路としたときに、
前記格子が第1の経路を移動する時にのみ前記第3撮影画像を前記位相シフト画像用記憶手段に格納するか、又は前記格子が第1の経路を移動する時及び第2の経路を移動する時に前記第3撮影画像を前記位相シフト画像用記憶手段に格納することを特徴とする、
請求項2から6のいずれか一項に記載の全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボード。
【請求項8】
2次元パターンが形成される基準面に投影装置から空間を分割して数値化できる空間分割パターンを投影することにより、試料物体の形状計測を行う全空間テーブル化手法を適用した計測装置であって、
請求項1から7のいずれか一項に記載の全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボードと、
前記基準平板に前記空間分割パターンを投影する投影装置と、
前記基準面に形成される2次元パターンを撮影して第1撮影画像を取得し、前記基準面に投影した前記空間分割パターンを撮影して第2撮影画像を取得し、試料物体に投影した前記空間分割パターンを撮影して第3撮影画像を取得する撮影装置と、
前記撮影装置から入力される前記第1撮影画像と前記第2撮影画像の解析をそれぞれ画素毎に行うことにより前記空間分割パターンの位相と空間座標とが1対1で対応付けられた変換テーブルを生成し、該変換テーブルと前記撮影装置から入力される前記第3撮影画像とを前記メモリボードに出力し、前記メモリボードから前記空間座標を取得するコンピュータと、
を備えることを特徴とする、全空間テーブル化手法を適用した三次元形状計測装置。
【請求項9】
前記投影装置は、等間隔格子を備え、
前記等間隔格子を水平方向又は垂直方向に振動させることにより前記空間分割パターンの位相をシフトさせ、該位相がシフトした複数の格子画像を投影することを特徴とする、
請求項8に記載の全空間テーブル化手法を適用した三次元形状計測装置。
【請求項10】
前記投影装置は、放射状格子を備え、
前記放射状格子を回転させることにより前記位相をシフトさせ、該位相がシフトした複数の格子画像を投影することを特徴とする、
請求項8に記載の全空間テーブル化手法を適用した三次元形状計測装置。
【請求項11】
2次元パターンが形成される基準面を含む基準平板に投影装置から空間を分割して数値化できる空間分割パターンを投影することにより、試料物体の形状計測を行う全空間テーブル化手法を適用した計測装置用の撮影装置であって、
前記基準面に形成される2次元パターンを撮影して第1撮影画像を取得し、前記基準面に投影した前記空間分割パターンを撮影して第2撮影画像を取得し、試料物体に投影した前記空間分割パターンを撮影して第3撮影画像を取得する手段と、
前記第1撮影画像及び前記第2撮影画像の解析をそれぞれ画素毎に行うことにより、前記空間分割パターンの位相と空間座標とが1対1で対応付けられた変換テーブルを生成する手段と、
前記変換テーブルを格納する変換テーブル用記憶手段と、
前記第2撮影画像の前記空間分割パターンから、該空間分割パターンの輝度値と該空間分割パターンの位相とが対応付けられており、前記第3撮影画像から、前記第3撮影画像の画素ごとの前記空間分割パターンの位相を求める位相解析テーブルを生成する手段と、
前記位相解析テーブルを格納する位相解析テーブル用記憶手段と、
前記位相解析テーブルと前記変換テーブルとに基づいて当該試料物体の前記空間座標を求めて出力する手段と、
を備えることを特徴とする全空間テーブル化手法を適用した計測装置用の撮影装置。
【請求項12】
2次元パターンが形成される基準面に投影装置から空間を分割して数値化できる空間分割パターンを投影することにより、試料物体の形状計測を行う全空間テーブル化手法を適用した計測装置用の撮影装置であって、
前記試料物体に投影した前記空間分割パターンを撮影した画像を、請求項1から7のいずれか一項に記載の全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボードに、直接転送することを特徴とする、全空間テーブル化手法を適用した計測装置用の撮影装置。
【請求項13】
請求項1から7のいずれか一項に記載の全空間テーブル化手法を適用した計測装置用のメモリボードを備えるレーザ干渉縞解析を行う微小変位計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−2378(P2011−2378A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146812(P2009−146812)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(504145283)国立大学法人 和歌山大学 (62)
【Fターム(参考)】