説明

共焦点変位センサ

【課題】より簡単かつ安価に振動部を作製することが可能な共焦点変位センサを得る。
【解決手段】共焦点変位センサにおける振動部40は、固定体46と、一端41A側の側面41Sが固定体46に固着され、他端41B側に設けられた第1レンズ31を光軸に沿うように往復移動させる第1振動子41と、一端42A側の側面42Sが固定体46に固着される第2振動子42と、を含み、固定体46、第1振動子41、および第2振動子42は、平板状の部材からそれぞれ形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共焦点変位センサに関し、特に、非接触で計測対象物の表面変位を計測する共焦点変位センサに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2005−77443号公報(特許文献1)には、振動部およびレンズ部を備えた共焦点変位センサが開示される。この共焦点変位センサの振動部は、一枚の弾性板が折り曲げられることによって構成される。特許文献1は、当該構成によれば、簡単かつ安価に振動部を作製することができると述べている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−77443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、より簡単かつ安価に振動部を作製することが可能な共焦点変位センサを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に基づく共焦点変位センサは、振動部によって振動されるレンズ部を有し、投光部から出射された光が上記レンズ部を通過して計測対象物に照射され、上記計測対象物からの反射光が上記レンズ部を通過して受光部に受光される同軸共焦点光学系を備え、上記受光部における受光量が最大となる時点の上記レンズ部の位置から上記計測対象物の表面変位を計測する共焦点変位センサであって、上記レンズ部は、上記同軸共焦点光学系の光軸上に位置する第1レンズを含み、上記振動部は、固定体と、一端側の側面が上記固定体に固着され、他端側に設けられた上記第1レンズを上記光軸に沿うように往復移動させる第1振動子と、一端側の側面が上記固定体に固着される第2振動子と、を含み、上記固定体、上記第1振動子、および上記第2振動子は、平板状の部材からそれぞれ形成される。
【0006】
好ましくは、上記レンズ部は、上記同軸共焦点光学系の上記光軸上に位置し、上記第1レンズに間隔を空けて対向配置される第2レンズをさらに含み、上記第2振動子は、上記第2振動子の他端側に設けられた上記第2レンズを上記光軸に沿うように往復移動させる。
【0007】
好ましくは、上記第1振動子および上記第2振動子は、各々の一端側に比べて各々の他端側の方が幅狭に形成される。
【0008】
好ましくは、上記第1振動子および上記第2振動子は、溶接またはろう付によって上記固定体に固着される。
【0009】
好ましくは、上記固定体は、平板状の部材から形成される基台と、平板状の部材から形成され、上記基台と上記第1振動子の上記側面との間に設けられる第1スペーサ部材と、平板状の部材から形成され、上記基台と上記第2振動子の上記側面との間に設けられる第2スペーサ部材と、を有する。
【0010】
好ましくは、上記第1スペーサ部材と上記基台とは、溶接またはろう付によって互いに固着され、上記第2スペーサ部材と上記基台とは、溶接またはろう付によって互いに固着される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、より簡単かつ安価に振動部を作製することが可能な共焦点変位センサを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態における共焦点変位センサの全体構成を模式的に示す図である。
【図2】実施の形態における共焦点変位センサに用いられる振動部を示す斜視図である。
【図3】実施の形態における共焦点変位センサに用いられる振動部を分解して示す斜視図である。
【図4】実施の形態における共焦点変位センサに用いられる第1振動子、第2振動子、および固定体を示す第1斜視図である。
【図5】実施の形態における共焦点変位センサに用いられる第1振動子、第2振動子、および固定体を示す第2斜視図である。
【図6】実施の形態の第1変形例における共焦点変位センサの全体構成を模式的に示す図である。
【図7】実施の形態の第2変形例における共焦点変位センサに用いられる固定体を示す斜視図である。
【図8】実施の形態の第3変形例における共焦点変位センサに用いられる第1振動子および第2振動子を示す斜視図である。
【図9】一端側の幅と他端側の幅とが同一に構成される振動子に作用する応力分布を示す図である。
【図10】一端側の幅よりも他端側の幅が大きく構成される振動子に作用する応力分布を示す図(その1)である。
【図11】一端側の幅よりも他端側の幅が大きく構成される振動子に作用する応力分布を示す図(その2)である。
【図12】一端側の幅よりも他端側の幅が大きく構成される振動子に作用する応力分布を示す図(その3)である。
【図13】実施の形態の第4変形例における共焦点変位センサに用いられる振動子を示す図(その1)である。
【図14】実施の形態の第4変形例における共焦点変位センサに用いられる振動子を示す図(その2)である。
【図15】実施の形態の第4変形例における共焦点変位センサに用いられる振動子を示す図(その3)である。
【図16】実施の形態の第4変形例における共焦点変位センサに用いられる振動子を示す図(その4)である。
【図17】比較例1における共焦点変位センサに用いられる振動子を示す斜視図である。
【図18】比較例2における共焦点変位センサに用いられる振動子を示す斜視図である。
【図19】比較例2における共焦点変位センサに用いられる振動子に作用する内部応力(非振動時)を示す斜視図である。
【図20】比較例2における共焦点変位センサに用いられる振動子に作用する内部応力(振動時)を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に基づいた実施の形態および比較例について、以下、図面を参照しながら説明する。実施の形態の説明において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。実施の形態および比較例の説明において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0014】
(共焦点変位センサ100の構成)
図1を参照して、実施の形態における共焦点変位センサ100について説明する。計測対象物24の表面変位を計測する共焦点変位センサ100は、同軸共焦点光学系50を備える。共焦点変位センサ100における同軸共焦点光学系50は、レーザダイオード10(投光部)、コリメートレンズ12、偏光ビームスプリッタ14、集光レンズ16、絞り板18、レンズ部30、振動部40、対物レンズ20,22、結像レンズ26、およびフォトダイオード28(受光部)から構成される。
【0015】
レーザダイオード10は、その光軸が、コリメートレンズ12、偏光ビームスプリッタ14、集光レンズ16、レンズ部30、および対物レンズ20,22を挟んで計測対象物24に向くように配置される。レーザダイオード10、コリメートレンズ12、偏光ビームスプリッタ14、集光レンズ16、絞り板18、レンズ部30、および対物レンズ20,22は、互いに同軸の関係となるように間隔を空けて配置される。
【0016】
フォトダイオード28は、偏光ビームスプリッタ14を挟んでレーザダイオード10と同軸の関係となるように配置される。集光レンズ16とレンズ部30との間に配置される絞り板18には、ピンホール19が設けられる。
【0017】
レンズ部30は、互いに間隔を空けて対向配置される第1レンズ31および第2レンズ32を含む。振動部40は、第1レンズ31を往復移動させる第1振動子41、および第2レンズ32を往復移動させる第2振動子42を含む(詳細は後述する)。
【0018】
第1振動子41および第2振動子42の間には、駆動用コイル48が設けられる。駆動用コイル48に電流を流す時間と電流の供給を停止する時間とが繰り返されるとによって、第1振動子41および第2振動子42、ならびに第1レンズ31および第2レンズ32は、互いに接近する方向(矢印DR1参照)および遠ざかる方向(矢印DR2参照)に振動する。
【0019】
第1レンズ31は、レーザダイオード10からの光軸上において、この光軸に沿うように、矢印DR1,DR2方向に往復移動する。第2レンズ32は、レーザダイオード10からの光軸上において、この光軸に沿うように、矢印DR1,DR2方向に往復移動する。往復移動する第2レンズ32の変位は、第2レンズ32の近傍に設けられた位置検出センサ40Nによって検出される。
【0020】
(共焦点変位センサ100の動作)
レーザダイオード10から出射された光は、コリメートレンズ12によって平行光に変化される。この平行光は、偏光ビームスプリッタ14を通して集光レンズ16に導かれる。集光レンズ16は、この平行光をピンホール19に向けて集光する。集光レンズ16によって集光された光は、ピンホール19を通過する。
【0021】
ピンホール19を通過した光は、第1振動子41によって振動される第1レンズ31に導かれ、次に、第2振動子42によって振動される第2レンズ32に導かれる。対物レンズ20および対物レンズ22は、第2レンズ32から出射された光を受けて、計測対象物24に向かって集光する計測ビームLを生成する。対物レンズ22からの計測ビームLは、計測対象物24の表面に照射される。
【0022】
計測対象物24に向けて照射された計測ビームLは、計測対象物24の表面に反射する。計測対象物24からの反射光は、対物レンズ22、対物レンズ20、第2レンズ32、第1レンズ31、ピンホール19、集光レンズ16、偏光ビームスプリッタ14、および結像レンズ26を通して、フォトダイオード28によって受光される。
【0023】
ここで、計測ビームLの集光位置は、光軸方向にレンズ部30(第1レンズ31および第2レンズ32)が往復移動することによって変化する。対物レンズ22によって集光される計測ビームLの集光位置が、計測対象物24の表面位置に一致したとする。計測対象物24上で反射した光は、ピンホール19から第1レンズ31へ向かう光とは反対の経路を通って、ピンホール19の位置で集光する。フォトダイオード28によって受光される受光量の値は、最大(ピーク)となる。
【0024】
対物レンズ22と計測ビームLの集光位置との間の距離、ならびに位置検出センサ40Nによって検出される第2レンズ32の位置信号は、予め変換テーブルに記録されている。当該変換テーブルを使用して、フォトダイオード28における受光量が最大となる時点の第2レンズ32の位置から、計測対象物24の表面変位が計測される。共焦点変位センサ100は、以上のようにして、計測対象物24の表面変位を計測することができる。
【0025】
(振動部40)
図2〜図5を参照して、振動部40の詳細について説明する。図2に主として示すように、振動部40は、第1振動子41、第2振動子42、固定体46、台座47(図2,図3)、駆動用コイル48(図2,図3)、および支持具49(図2,図3)を備える。
【0026】
第1振動子41は、平板状の部材(平坦な金属製平板材料)から形成され、台形部41Dおよび円環部41Cを有する。第1振動子41の台形部41Dは、一端41A側に比べて他端41B側の方が幅狭となるようにテーパー状に形成される。他端41B側に、円環部41Cが設けられる。円環部41Cに設けられた開口に、第1レンズ31が取り付けられる。詳細は後述されるが、第1振動子41の一端41A側の側面41Sが、固定体46(第1スペーサ部材43)に固着される(図3の矢印AR1参照)。
【0027】
第2振動子42は、平板状の部材(平坦な金属製平板材料)から第1振動子41と同様に形成され、台形部42Dおよび円環部42Cを有する。第2振動子42の台形部42Dは、一端42A側に比べて他端42B側の方が幅狭となるようにテーパー状に形成される。他端42B側に、円環部42Cが設けられる。円環部42Cに設けられた開口に、第2レンズ32が取り付けられる。詳細は後述されるが、第2振動子42の一端42A側の側面42Sが、固定体46(第2スペーサ部材44)に固着される(図3の矢印AR4参照)。
【0028】
図3および図4に示すように、本実施の形態における固定体46は、第1スペーサ部材43、基台45、および第2スペーサ部材44を有する。第1スペーサ部材43は、平板状の部材から長方形状に形成される。第2スペーサ部材44は、第1スペーサ部材43と同様に、平板状の部材から長方形状に形成される。
【0029】
図3に示すように、基台45は、平板状の部材からL字状に形成され、第1延在部45Aおよび第2延在部45Cを有する。第1延在部45Aには、貫通孔45Rが設けられる。第2延在部45Cには、貫通孔45S,45Tが設けられる。
【0030】
第1延在部45Aの一方の面に、第1スペーサ部材43が固着される(矢印AR2参照)。第1延在部45Aの他方の面に、第2スペーサ部材44が固着される(矢印AR3参照)。第1スペーサ部材43および第2スペーサ部材44は、第1延在部45Aに対して溶接またはろう付などによって固着されるとよい。
【0031】
上述のとおり、第1振動子41は、第1スペーサ部材43の基台45に固着された面とは反対側の面に固着される(矢印AR1参照)。第1振動子41の一端41A側の側面41Sは、第1スペーサ部材43に対して溶接またはろう付などによって固着されるとよい。
【0032】
上述のとおり、第2振動子42は、第2スペーサ部材44の基台45に固着された面とは反対側の面に固着される(矢印AR4参照)。第2振動子42の一端42A側の側面42Sは、第2スペーサ部材44に対して溶接またはろう付などによって固着されるとよい。
【0033】
駆動用コイル48は、ベース部48Bおよびコイル部48Cを有する。ベース部48Bには、貫通孔48Hが設けられる。支持具49は、金属材料からL字状に形成される。支持具49の一端49A側には、貫通孔49Rが設けられる。支持具49の中央近傍には、貫通孔49P,49Qが設けられる。支持具49の一端49Aから、支持具49に駆動用コイル48が嵌め込まれる(矢印AR5および図2参照)。
【0034】
台座47は、固定部47A,47B,47C、および収容部47J,47Kを有する。固定部47Aには、ネジ孔47Rが設けられる。固定部47Bには、ネジ孔47P,47Qが設けられる。固定部47Cには、ネジ孔47S,47Tが設けられる。
【0035】
振動部40が組み立てられた状態では、基台45の貫通孔45Rおよび支持具49の貫通孔49Rを通して、ボルト(図示せず)が台座47のネジ孔47Rに螺合される。当該螺合によって、基台45の第1延在部45Aおよび支持具49の一端49Aは、台座47の固定部47Aに締結固定される。
【0036】
基台45の貫通孔45S,45Tを通して、ボルト(図示せず)が台座47のネジ孔47S,47Tに螺合される。当該螺合によって、基台45の第2延在部45Cは、台座47の固定部47Cに締結固定される。支持具49の貫通孔49P,49Qを通して、ボルト(図示せず)が台座47のネジ孔47P,47Qに螺合される。当該螺合によって、支持具49の他端49Bは、台座47の固定部47Bに締結固定される。
【0037】
振動部40が組み立てられた状態では、第2振動子42の他端42Bは、台座47の収容部47K内に配置される(矢印AR6参照)。駆動用コイル48は、台座47の収容部47J内に配置される。
【0038】
図5は、第1振動子41、第2振動子42、固定体46、および支持具49等を示す斜視図である。図5においては、図示上の便宜のため、第1振動子41の一部が破断して示されており、第2レンズ32(図4等参照)は図示されていない。図5に示すように、振動部40が組み立てられた状態では、支持具49の他端49Bは、第1振動子41の他端41B側の側面41Sと第2振動子42の他端42B側の側面42Sとの間に位置する。
【0039】
支持具49の他端49Bの一方の側面49B1と第1振動子41の側面41Sとの間には間隔41Mが設けられる。支持具49の他端49Bの他方の側面49B2と第2振動子42の側面42Sとの間には間隔42Mが設けられる。
【0040】
駆動用コイル48のコイル部48Cに電流が流されると、コイル部48Cに発生した磁界によって、支持具49は電磁石に変化する。支持具49の他端49Bの磁性は、たとえばN極に変化する。この場合、支持具49の一端49A(図3参照)の磁性はS極に変化する。
【0041】
支持具49の一端49Aに発生した磁性(S極)は、基台45、第1スペーサ部材43および第2スペーサ部材44を通して、第1振動子41および第2振動子42の磁性も変化させる。第1振動子41および第2振動子42の磁性も、支持具49の一端49Aに発生した磁性(S極)に併せて、S極に変化する。第1振動子41および第2振動子42は、支持具49の他端49B(N極)にそれぞれ引っ張られる(図1の矢印DR1参照)。
【0042】
駆動用コイル48のコイル部48Cに流されていた電流を停止すると、コイル部48Cに発生していた磁界は消滅する。第1振動子41および第2振動子42は、自身の弾性力(復元力)によって元の状態に戻る(図1における矢印DR2参照)。
【0043】
駆動用コイル48に電流を流す時間と電流の供給を停止する時間とが繰り返されることによって、第1振動子41および第2振動子42、ならびに第1レンズ31および第2レンズ32は、互いに接近する方向(図1の矢印DR1参照)および遠ざかる方向(図1における矢印DR2参照)に振動することができる。また、駆動用コイル48に流す電流の周波数を第1振動子41および第2振動子42を含む振動系の固有振動数と一致させることによって、振動系の共振を得ることができる。
【0044】
(作用・効果)
共焦点変位センサ100に用いられる振動部40は、固定体46(第1スペーサ部材43、第2スペーサ部材44、および基台45)、第1振動子41、および第2振動子42が、平板状の部材(平坦な金属製平板材料)からそれぞれ形成される。固定体46(第1スペーサ部材43、第2スペーサ部材44、および基台45)、第1振動子41、および第2振動子42を作製する上で、切削加工および湾曲変形加工を必要としていない。したがって、振動部40を備える共焦点変位センサ100は、簡単かつ安価に作製されることができる。
【0045】
[第1変形例]
上述の実施の形態における共焦点変位センサ100(図1参照)においては、レンズ部30が、第1レンズ31および第2レンズ32を含む。第1振動子41に第1レンズ31が取り付けられ、第2振動子42に第2レンズ32が取り付けられる。レンズ部30と計測対象物24との間には、対物レンズ20および対物レンズ22が設けられる。
【0046】
図6を参照して、第1変形例における共焦点変位センサ100Aは、レンズ部30Aを有する。レンズ部30Aは、第1レンズ31を含み、上述の実施の形態における第2レンズ32(図1参照)を含まない。第1振動子41に第1レンズ31が取り付けられるが、第2振動子42にはレンズとしては特に何も取り付けられない(第2振動子42は、図5に示すのような状態のままとなる)。レンズ部30Aと計測対象物24との間には、対物レンズ20が設けられ、上述の実施の形態における対物レンズ22(図1参照)は設けられない。その他の構成は、上述の実施の形態と同様である。
【0047】
共焦点変位センサ100Aのように、第1レンズ31からレンズ部30Aが構成される場合であっても、その共焦点変位センサは、上述の実施の形態と同様に簡単かつ安価に作製されることができる。
【0048】
[第2変形例]
上述の実施の形態における固定体46(図4参照)は、第1スペーサ部材43、基台45、および第2スペーサ部材44の3つの部材から構成される。
【0049】
図7を参照して、第2変形例における共焦点変位センサにおいては、1つの部材から構成される固定体46Xが用いられる。固定体46Xも、平板状の部材からL字状に構成される。第1振動子41および第2振動子42は、固定体46Xに対して溶接またはろう付などによって固着されるとよい。
【0050】
共焦点変位センサにおける振動部が固定体46Xから構成された場合であっても、その共焦点変位センサは、上述の実施の形態と同様に簡単かつ安価に作製されることができる。
【0051】
[第3変形例]
上述の実施の形態における第1振動子41および第2振動子42は、一端41A,42A側に比べて他端41B,42B側の方が幅狭となるようにテーパー状に形成される。
【0052】
図8を参照して、第3変形例における共焦点変位センサにおいては、第1振動子41Xおよび第2振動子42Xは、一端41A,42A側の幅と他端41B,42B側の幅とが同一に構成される。共焦点変位センサにおける振動部が第1振動子41Xおよび第2振動子42Xから構成される場合であっても、その共焦点変位センサは、上述の実施の形態と同様に簡単かつ安価に作製されることができる。
【0053】
ここで、振動子の一端側の幅と他端側の幅とが同一の場合(第3変形例の場合に相当する)、および振動子の一端側の幅に比べて他端側の幅が幅狭の場合(上述の実施の形態の場合に相当する)のそれぞれにおいて、振動子が振動の際に受ける応力の違いについて、図9〜図12を参照して説明する。
【0054】
図9は、振動子400が振動している際に、振動エネルギーによって振動子400が受ける応力の分布を示す図である。振動子400においては、一端側の幅W1が5mmであり、他端側の幅W10も5mmである。シミュレーション結果によると、振動子400においては、約85MPaの応力が領域R10に作用する。
【0055】
図10は、振動子410が振動している際に、振動エネルギーによって振動子410が受ける応力の分布を示す図である。振動子410においては、一端側の幅W1が5mmであり、他端側の幅W11は6mmである。シミュレーション結果によると、振動子410においては、約75MPaの応力が領域R11に作用する。図9および図10を対比すると、領域R10(85MPa:図9)よりも領域R11(75MPa:図10)の方が面積が広い。振動子410の方が振動子400に比べて応力が幅方向に分散されていることがわかる。
【0056】
図11は、振動子420が振動している際に、振動エネルギーによって振動子420が受ける応力の分布を示す図である。振動子420においては、一端側の幅W1が5mmであり、他端側の幅W12は7mmである。シミュレーション結果によると、振動子420においては、約73MPaの応力が領域R12に作用する。図10および図11を対比すると、領域R11(75MPa:図10)よりも領域R12(73MPa:図11)の方が面積が広い。振動子420の方が振動子410に比べて応力が幅方向に分散されていることがわかる。
【0057】
図12は、振動子430が振動している際に、振動エネルギーによって振動子430が受ける応力の分布を示す図である。振動子430においては、一端側の幅W1が5mmであり、他端側の幅W13は8mmである。シミュレーション結果によると、振動子430においては、約72MPaの応力が領域R13に作用する。図11および図12を対比すると、領域R12(73MPa:図11)よりも領域R13(72MPa:図12)の方が面積が広い。振動子430の方が振動子420に比べて応力が幅方向に分散されていることがわかる。
【0058】
以上のことから、振動子の一端(レンズ部)側の幅よりも他端(固定端)側の幅を大きくすることによって、振動する際に振動子が受ける応力は幅方向に分散されることがわかる。振動子が受ける応力が幅方向に分散すると、振動子に作用する最大応力も低減されるため、振動子にはより大きな振幅を発生させることができる。振動子に設けられるレンズ部においてもより大きな振幅を得ることが可能となる。結果として、共焦点変位センサの計測レンジの増加が図れる。
【0059】
共焦点変位センサの振動部を構成する第1振動子および第2振動子、レンズの重量、使用する駆動周波数、ならびに計測レンジなどの各種の仕様に基づいて、振動子の一端側の幅よりも他端側の幅を最適に大きくするとよい。
【0060】
[第4変形例]
上述の実施の形態における各振動子41,42は、一端側に比べて他端側の幅の方が幅狭となるように、一端側から他端側に向かって直線状のテーパー状に形成される。
【0061】
図13を参照して、振動子440のように、一端側に比べて他端(レンズ部30)側の幅の方が幅狭となる構成としては、一端側から他端側の途中までに向かって、その幅が指数関数的に狭くなる構成であってもよい。当該構成によっても、振動時における応力は振動の固定端側において分散されることができる。結果として、共焦点変位センサの計測レンジの増加が図れる。
【0062】
図14を参照して、振動子450のように、一端側に比べて他端(レンズ部30)側の幅の方が幅狭となる構成としては、一端側から他端側の途中までに向かって、その幅が外方に広がる円弧状に徐々に狭くなる構成であってもよい。当該構成によっても、振動時における応力は振動の固定端側において分散されることができる。結果として、共焦点変位センサの計測レンジの増加が図れる。
【0063】
図15を参照して、振動子460のように、一端側に比べて他端(レンズ部30)側の幅の方が幅狭となる構成としては、一端側から他端側の途中までに向かって、その幅が三角形状に狭くなる構成であってもよい。当該構成によっても、振動時における応力は振動の固定端側において分散されることができる。結果として、共焦点変位センサの計測レンジの増加が図れる。
【0064】
図16を参照して、振動子470のように、一端側に比べて他端(レンズ部30)側の幅の方が幅狭となる構成としては、一端側および他端側がそれぞれ矩形状(直方体状)に形成され、一端側が他端側に比べて幅狭の(段差状となる)構成であってもよい。当該構成によっても、振動時における応力は振動の固定端側において分散されることができる。結果として、共焦点変位センサの計測レンジの増加が図れる。
【0065】
[比較例1]
図17に示す振動部40Yにおいては、固定体46Yが、上述の実施の形態とは異なり第1スペーサ部材43(図4参照)および第2スペーサ部材44(図4参照)を有していない。その代わりに、第1振動子41Yに膨出部43Yが形成され、第2振動子42Yに膨出部44Yが形成される。膨出部43Y,44Yは、第1振動子41Yおよび第2振動子42Y同士の間の間隔Sを確保するために設けられる。
【0066】
ここで、膨出部43Yは、切削加工によって第1振動子41Yと一体的に作製される。膨出部44Yは、切削加工によって第2振動子42Yと一体的に作製される。切削加工は、平板状の部材を組み合わせる場合に比べて加工時間が長い。また、膨出部43Y,44Yを切削によって一端形成した後は、膨出部43Y,44Yの幅、長さ、または厚さ等を変えることも容易ではない。
【0067】
一方、上述の実施の形態における振動部40は、固定体46(第1スペーサ部材43、第2スペーサ部材44、および基台45)、第1振動子41、および第2振動子42のいずれもが、平板状の部材から構成される。したがって、上述の実施の形態における振動部40は、比較例1における振動部40Yに比べて簡単かつ安価に作製されることができる。また、第1スペーサ部材43および第2スペーサ部材44は、必要に応じて幅、長さ、または厚さが異なるものに交換されることができる。
【0068】
[比較例2]
図18に示す振動部40Zにおいては、対向配置される第1振動子41Zおよび第2振動子42Zを得るために、湾曲変形加工が施される。振動部40Zは、冒頭に説明した特開2005−77443号公報(特許文献1)に開示される振動部に相当する。
【0069】
振動部40Zにおける湾曲変形加工は、平板状の部材を組み合わせる場合に比べて高い精度を得るのが困難であり、その高い精度を得るために長い時間が必要となる。また、第1振動子41Zおよび第2振動子42Zは一体的に構成されており、分解して一部を異なる構成に交換することもできない。
【0070】
図19を参照して、また、湾曲変形加工された第1振動子41Zには、中立軸41Eの外側に引張応力が内部応力として残留し(矢印AR10参照)、中立軸41Eの内側には圧縮応力が内部応力として残留する(矢印AR11参照)。これは、第2振動子42Zにおいても同様である。曲げ半径41Rを大きくしてこれらの内部応力を緩和することもできるが、共焦点変位センサの装置全体としての増大化を招く。
【0071】
図20を参照して、さらに、振動時においては、湾曲変形加工された第1振動子41Zには、中立軸41Eの外側に引張応力が上記の内部応力に対して重畳的に作用し(矢印AR12参照)、中立軸41Eの内側には圧縮応力が上記の圧縮応力に対して重畳的に作用する(矢印AR13参照)。これは、第2振動子42Zにおいても同様である。
【0072】
一方、上述の実施の形態における振動部40(図4参照)は、固定体46(第1スペーサ部材43、第2スペーサ部材44、および基台45)、第1振動子41、および第2振動子42のいずれもが、平板状の部材から構成される。したがって、上述の実施の形態における振動部40は、比較例2における振動部40Zに比べて簡単かつ安価に作製されることができる。さらに、上述の実施の形態における振動部40は、組み立てられた状態においても内部応力はほとんど発生していない。上述の実施の形態における振動部40は、比較例2における各振動子41Z,42Zに比べて破壊し難い。結果として、共焦点変位センサの計測レンジの増加が図れる。
【0073】
以上、本発明に基づいた実施の形態、各変形例および各比較例について説明したが、今回開示された実施の形態、各変形例および各比較例はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0074】
10 レーザダイオード(投光部)、12 コリメートレンズ、14 偏光ビームスプリッタ、16 集光レンズ、18 絞り板、19 ピンホール、20,22 対物レンズ、24 計測対象物、26 結像レンズ、28 フォトダイオード(受光部)、30,30A レンズ部、31 第1レンズ、32 第2レンズ、40,40Y,40Z 振動部、40N 位置検出センサ、41,41X,41Y,41Z 第1振動子、400,410,420,430,440,450,460,470 振動子、41A,42A,49A 一端、41B,42B,49B 他端、41C,42C 円環部、41D,42D 台形部、41E 中立軸、41M,42M,S 間隔、41R 半径、41S,42S,49B1,49B2 側面、42,42X,42Y,42Z 第2振動子、43 第1スペーサ部材、43Y,44Y 膨出部、44 第2スペーサ部材、45 基台、45A 第1延在部、45C 第2延在部、45R,45S,45T,48H,49P,49Q,49R 貫通孔、46,46X,46Y 固定体、47 台座、47A,47B,47C,47C 固定部、47J,47K 収容部、47P,47Q,47R,47S,47T ネジ孔、48 駆動用コイル、48B ベース部、48C コイル部、49 支持具、50 同軸共焦点光学系、100,100A 共焦点変位センサ、AR1,AR2,AR3,AR4,AR5,AR6,AR10,AR11,AR12,AR13,DR1,DR2 矢印、L 計測ビーム、R10,R11,R12,R13 領域、W1,W10,W11,W12,W13 幅。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動部によって振動されるレンズ部を有し、投光部から出射された光が前記レンズ部を通過して計測対象物に照射され、前記計測対象物からの反射光が前記レンズ部を通過して受光部に受光される同軸共焦点光学系を備え、前記受光部における受光量が最大となる時点の前記レンズ部の位置から前記計測対象物の表面変位を計測する共焦点変位センサであって、
前記レンズ部は、前記同軸共焦点光学系の光軸上に位置する第1レンズを含み、
前記振動部は、
固定体と、
一端側の側面が前記固定体に固着され、他端側に設けられた前記第1レンズを前記光軸に沿うように往復移動させる第1振動子と、
一端側の側面が前記固定体に固着される第2振動子と、を含み、
前記固定体、前記第1振動子、および前記第2振動子は、平板状の部材からそれぞれ形成される、
共焦点変位センサ。
【請求項2】
前記レンズ部は、前記同軸共焦点光学系の前記光軸上に位置し、前記第1レンズに間隔を空けて対向配置される第2レンズをさらに含み、
前記第2振動子は、前記第2振動子の他端側に設けられた前記第2レンズを前記光軸に沿うように往復移動させる、
請求項1に記載の共焦点変位センサ。
【請求項3】
前記第1振動子および前記第2振動子は、各々の一端側に比べて各々の他端側の方が幅狭に形成される、
請求項1または2に記載の共焦点変位センサ。
【請求項4】
前記第1振動子および前記第2振動子は、溶接またはろう付によって前記固定体に固着される、
請求項1または2に記載の共焦点変位センサ。
【請求項5】
前記固定体は、
平板状の部材から形成される基台と、
平板状の部材から形成され、前記基台と前記第1振動子の前記側面との間に設けられる第1スペーサ部材と、
平板状の部材から形成され、前記基台と前記第2振動子の前記側面との間に設けられる第2スペーサ部材と、を有する、
請求項1または2に記載の共焦点変位センサ。
【請求項6】
前記第1スペーサ部材と前記基台とは、溶接またはろう付によって互いに固着され、
前記第2スペーサ部材と前記基台とは、溶接またはろう付によって互いに固着される、
請求項5に記載の共焦点変位センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−193970(P2012−193970A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56232(P2011−56232)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】