説明

内照明式の道路標識

【課題】夜間には発光ダイオードで透光文字板を明るく照射し、昼間には太陽光線を利用して発電しながら透光文字板を裏面から照射する。
【解決手段】内照明式の道路標識は、透光文字板1と照光板2と太陽電池パネル4と反射プレート5とを積層している。昼間には、透光文字板1と照光板2を透過する太陽光線を太陽電池パネル4に入射して発電して二次電池6を充電し、太陽電池パネル4を透過する太陽光線を反射プレート5で反射して、太陽電池パネル4と照光板2を透過する光で透光文字板1を裏面から照射する。夜間には、二次電池6で発光ダイオード3を点灯して照光板2から両面に光を照射し、照光板2の表面からの光で透光文字板1を裏面から照射し、照光板2の裏面からの光を太陽電池パネル4に入射して発電し、太陽電池パネル4を透過する光を反射プレート5で反射して、太陽電池パネル4と照光板2を透過する光で透光文字板1を裏面から照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部照明を有する道路標識に関し、とくに昼間に太陽電池パネルで発電して発電電力で二次電池を充電し、充電された二次電池に蓄えられる電力で夜間に内部から光を照射する内照明式の道路標識に関する。さらに、本発明は必要ならば、既設の反射式道路標識などの前面に添架することも可能で、既設の道路標識に添架することで、道路標識の表示内容を内部照明で明瞭化することもできる内照明式の道路標識に関する。
【背景技術】
【0002】
時代の変化とともに自動車性能の向上及び運転者の年齢構成の変化が甚だしく、交通事故も多くなっている。この事から「交通安全白書」においても「円滑・快適で安全な道路交通環境の整備」、「交通安全に寄与する道路交通環境の整備」が国の重要施策とされている。この事から、時代に沿った道路標識のあり方が要求されている。
それは、以下の理由に起因する。
(1) 自動車交通の変化
社会生活・物流経済の変化から自動車交通の重要性は益々増大している。
交通量の増加に伴い、道路の多車線化が進んでいる。
自動車性能の向上に伴い、走行速度が高速化している。
(2) 上記に関するマイナス要因
運転者の高齢化が進み、視力の低下(特に動体視力)とともに反射神経も衰え反応が遅くなっている。
既存の道路標識の内、経費が安いことから反射板方式が大部分である。
標識設置後、経年数と共に反射シートの劣化が進み、反射性能が衰えている。
近年の公共事業費の削減、逆に安全対策と環境対策のニーズは増大する中で道路管理者はその課題対策に苦慮している
【0003】
ところが、現在使用される道路標識は、見やすくするために、外部又は内部に光源を設けている。外部に設けた光源は、道路標識に向かって光を集束して照射する方法と蛍光灯等で直接照射する方法がある。光を集束する方法の構造は、離れたところから道路標識を光源で照射するので、内部に照明を有する道路標識と同じ明るさとするためには、光源を明るくする必要があって、光源の消費電力が大きくなる欠点がある。また、外部から直接照射する方法は、重量・風圧・メンテのための構造・予算面等高照度は得られ難い。内部に照明を有する道路標識は、消費電力を少なくできるが、光源に使用する電球や蛍光灯を定期的に交換するのに手間がかかってメンテナンス費用が高くなる欠点がある。
【0004】
内部光源に発光ダイオードを使用する内照明式の道路標識は、光源の寿命を極めて長くできることから、メンテナンス費用を少なくできる特徴がある。また、光源の消費電力を小さくしてランニングコストを低減できる。さらに、太陽電池の発電電力を二次電池に蓄えて、二次電池の電力で夜間に光源を点灯することで、さらに消費電力を削減して経済的にできる。このことを実現する道路標識は開発されている。(特許文献1参照)
【0005】
特許文献1の道路標識は、外部に太陽電池パネルを設けるので、太陽電池パネルが強風等で破損されやすく、また、風雨に晒されるので寿命が短くなる欠点がある。この欠点は、光源と太陽電池とを一体的構造として改良できる。(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−140830号公報
【特許文献2】特開2005−310896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載される発電発光ユニットは、透光性の太陽電池パネルの裏面に光源を積層している。この発電発光ユニットは、入射する太陽光線を太陽電池パネルに照射させて発電する。また、光源の光を太陽電池パネルに透過させて外部に照射する。この構造の発電発光ユニットは、道路標識を示す表示パターンを設けている透光文字板の裏面に配置して、昼間に太陽電池パネルで発電し、発電した電力を二次電池に蓄え、この電力で夜間に光源を点灯して、透光文字板を裏面から照射できる。
【0008】
しかしながら、この発電発光ユニットは、光源の光を太陽電池パネルに透過させて透光文字板を裏面から照射するので、光源の光で明るく透光文字板を照射できない欠点がある。
【0009】
本発明は、さらに以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、夜間においては発光ダイオードの光源の光を有効に利用して透光文字板を明るく照射できると共に、昼間には太陽光線を有効に利用して太陽電池パネルで発電しながら発電に利用されない太陽光線では透光文字板を裏面から照射して昼間も見やすく表示できる内照明式の道路標識を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0010】
本発明の内照明式の道路標識は、文字や図形からなる道路標識を示す表示パターンを設けてなる透光性を有する透光文字板1と、この透光文字板1の裏面に配設している所定の厚さの透明板からなる照光板2と、この照光板2に外周縁から内部に光を照射する発光ダイオード3と、照光板2の裏面に配設してなる透光性のある太陽電池パネル4と、この太陽電池パネル4の裏面に配設されて透光性の太陽電池パネル4を透過する光を反射して太陽電池パネル4に入射する反射プレート5と、太陽電池パネル4の発電電力で充電される二次電池6と、この二次電池6で発光ダイオード3を点灯する点灯回路7とを備えている。内照明式の道路標識は、透光文字板1に照射される太陽光線の一部が反射されて道路標識の表示パターンを表示すると共に、透光文字板1を透過する太陽光線が照光板2を透過して太陽電池パネル4に入射されて太陽電池パネル4で発電し、さらに太陽電池パネル4を透過する太陽光線が反射プレート5で反射されて太陽電池パネル4に入射して発電し、さらに太陽電池パネル4を透過する光が照光板2を透過して透光文字板1を裏面から照射する構造としている。また、道路標識は、太陽光線が照射されない夜間には、点灯回路7が二次電池6で発光ダイオード3を点灯して照光板2に光を照射して、照光板2が両面に光を照射し、照光板2の表面から放射される光が透光文字板1を裏面から照射して道路標識の表示パターンを表示し、照光板2の裏面に放射される光が太陽電池パネル4に入射して発電されると共に、太陽電池パネル4を透過する光が反射プレート5で反射されて太陽電池パネル4に入射して発電し、さらに太陽電池パネル4を透過する光を照光板2に透過させて透光文字板1を裏面から照射する。
【0011】
以上の内照明式の道路標識は、夜間にあっては、光源である発光ダイオードの光を有効に利用して透光文字板を明るく照射でき、さらに太陽に照射される昼間にあっては、太陽光線を有効に利用して太陽電池パネルで発電し、さらに発電に利用されない太陽光線で透光文字板を裏面から照射して見やすく表示できる特徴がある。とくに、本発明の道路標識は、照光板の裏面に配置している太陽電池パネルを透光性として、さらにその裏面に反射プレートを配置している。したがって、昼間の太陽光線は、透光文字板の表面に照射されて表示パターンを見やすく表示し、さらに、透光文字板を透過する太陽光線は、太陽電池パネルに照射されて太陽電池パネルで発電し、また、太陽電池パネルを透過した太陽光線は、反射プレートで反射されて、再び太陽電池パネルに照射されて発電に利用され、さらにまた、太陽電池パネルを透過した太陽光線は、照光板を透過して透光文字板を裏面から照射する。したがって、昼間に透光文字板に照射される太陽光線は、透光文字板を表裏から照射する光と、太陽電池パネルに照射される光とに有効に利用されて、透光文字板を判りやすく表示しながら、太陽電池パネルで有効に発電に利用される。また、夜間にあっては、発光ダイオードから照射される光が、照光板の表面側に照射される光で透光文字板を裏面から照射して表示パターンを判りやすく表示し、さらに、照光板の裏面に照射される光を太陽電池パネルに照射して、太陽電池パネルでの発電に利用し、また、太陽電池パネルを透過する光を反射プレートで反射して、再び太陽電池パネルに照射させて発電に利用し、さらにまた、太陽電池パネルを透過する光を照光板に透過させて透光文字板を裏面から照射する光に利用する。したがって、発光ダイオードから照光板に入射される光は、透光文字板を裏面から照射する光として有効に利用され、しかもその一部で太陽電池パネルの発電にも利用される。すなわち、以上の構成の内照明式の道路標識は、太陽電池パネルの表面側に照光板を配置することで、照光板の光を太陽電池パネルに透過させることなく、透光文字板を裏面から明るく照射する構造を実現しながら、照光板の裏面に配設している太陽電池パネルでは照光板を透過する太陽光線で効率よく発電し、さらに、裏面に太陽電池パネルを配設するために照光板を透明プレートとして両面に光を照射する構造としながら、裏面に照射される光を太陽電池パネルに透過させて反射プレートで反射し、さらに太陽電池パネルを透過させて透光文字板を裏面から照射するので、照光板の裏面に照射される発光ダイオードの光を有効に利用して、透光文字板を裏面から明るく照射できる。また、透光文字板の照射に利用されない発光ダイオードの光を、太陽電池パネルの発電に利用することで、発光ダイオードの光を極めて有効に利用できる特徴を実現する。
【0012】
さらに以上の内照明式の道路標識は、必要であれば、既設の道路標識を有効に利用し、リフォームして夜間に見やすくできる特徴も実現できる。このため、コストを低減して安価で経済的にできる特徴がある。また、また既存の道路標識を利用して見やすくするので、交通に支障が無く対応が早く出来る特徴も実現できる。さらにまた、反射方式を内照方式とするので、運転者が早く標識内容を視認でき、しかも太陽光線と道路標識が発光する光とを有効に利用するので、商用電源の消費電力を極力削減して見やすくできる特徴も実現できる。このため、以上の内照明式の道路標識は、高齢運転者が道路標識版の内容を余裕を持って認識出来ることから、安心して運転が出来、急激な車線変更が少なくなり、交通事故の減少が図れる等の特徴も実現できる。さらに、道路管理者としても既存の標識が活用出来ることから経済的で内照方式への変換が交通に支障なく、かつ、どの標識からでも可能であるから予算に合わせて計画的に実施出来る特徴も実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例にかかる内照明式の道路標識の概略分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施例にかかる内照明式の道路標識の昼間の使用状態を示す概略図である。
【図3】本発明の一実施例にかかる内照明式の道路標識の夜間の使用状態を示す概略図である。
【図4】本発明の他の実施例にかかる内照明式の道路標識の裏面図である。
【図5】図4に示す内照明式の道路標識の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための内照明式の道路標識を例示するものであって、本発明は道路標識を以下のものに特定しない。
【0015】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0016】
本発明の内照明式の道路標識は、主として規制標識、支持標識、警戒標識、案内標識等の本標識や種々の補助標識であるが、表面の表示を変更して、道路の状態、通行状態、道案内などを表示する全ての標識として使用することができる。
【0017】
図1ないし図3に示す内照明式の道路標識は、文字や図形からなる道路標識を示す表示パターンを設けてなる透光性を有する透光文字板1と、この透光文字板1の裏面に配設している照光板2と、この照光板2に外周縁から内部に光を照射する発光ダイオード3と、照光板2の裏面に配設している透光性のある太陽電池パネル4と、この太陽電池パネル4の裏面に配設している、太陽電池パネル4の透過光を反射して太陽電池パネル4に入射する反射プレート5と、太陽電池パネル4の発電電力で充電される二次電池6と、この二次電池6で発光ダイオード3を点灯する点灯回路7とを備えている。
【0018】
図1の分解斜視図に示す内照明式の道路標識は、透光文字板1と、照光板2と、太陽電池パネル4と、反射プレート5とを同じ外形の板状とし、これ等を積層状態として、防水構造で固定している。
【0019】
透光文字板1は、太陽光線を透過させながら、道路標識として文字や図形からなる表示パターンを設けている。透光文字板1は、透光性のあるプラスチック、ガラス、シートなどの基材の表面又は裏面に、道路標識を示す文字や図形の表示パターンを設けている。透光性のある基材は着色されず、発光ダイオードの光や太陽光線を効率よく透過させる。透光文字板は、透過させる光の波長、すなわち透過光の色で、道路標識の文字や図形を表示する。透光文字板は、道路標識の文字や図形を表示する表示パターン部分を、発光ダイオードの全ての光を透過する透光部として透過光を白色とし、その他の部分は、特定の色の光を透過させる領域として透過光を透過させる光の色にカラー着色する着色部としている。ただ、反対に表示パターン部分を、特定の色の光を透過させる着色部として透過光をカラー着色し、他の部分を発光ダイオードの全ての光を透過させる透光部として透過光を白色とすることもできる。さらにまた、表示パターン部分とその他の部分とを、異なる色の光を透過させる着色部として、表示パターン部分とその他の部分の透過光を異なる色にカラー着色して表示することもできる。
【0020】
以上の透光文字板1は、透光性がある基材の表面に、道路標識を示す文字や図形の部分を切り取った、透光性のあるカラーフィルムやカラーシートを貼り付け、または透光性のあるカラー塗料を塗布して、透光部と着色部とで文字や図形の表示パターンを設けている。カラーフィルムやカラーシートは、青色や緑色の光を透過して、その他の光を透過させないフィルムやシートで、透光文字板の着色部に貼り付けられて、発光ダイオードの光を透過して、透過光を着色された色とする。カラーフィルムやカラーシートの切り取り部分は透光部となって、透過する光を吸収しない。したがって、切り取り部分は発光ダイオードの光を全て透過する透光部となって、発光ダイオードの発光色を外部に照射する。すなわち、フィルムやシートの切り取り部分は透光部となって、道路標識を示す表示パターンを、発光ダイオードの発光色で明るく表示する。基材の表面に塗布されたカラー塗料も、カラーフィルムやカラーシートと同じように、青色や緑色の光を透過して、その他の光を透過させず、カラー塗料が塗布された着色部と、塗布されない透光部とを異なる透過光に着色して、道路標識の表示パターンを表示する。カラー塗料も、カラーフィルムやカラーシートと同じように、道路標識の表示パターンを示す領域には塗布されずに透光部とし、その他の領域に塗布されて着色部とする。この透光文字板は、表示パターンの領域を透光部として発光ダイオードの発光色とし、その他の領域を着色部として、カラー塗料の色に着色して道路標識の表示パターンを表示する。
【0021】
道路標識を示す表示パターンを透光部で表示し、その他の部分を着色部として、透光部と着色部の両方を透光性のある領域とする透光文字板は、発光ダイオードの光を効率よく透過して、全面を明るく表示できる。また、透光文字板の全面が透光性を有するので、太陽光線を効率よく透過させて、太陽電池パネルの発電電力を大きくできる特徴がある。また、この透光文字板は、着色部を透過する光の波長を、太陽電池パネルの発電電力を大きくできる波長とすることで、太陽電池パネルの発電電力を効率よくしながら、道路標識の表示パターンを表示できる特徴がある。たとえば、青色の光を効率よく吸収して発電電力を大きくできる太陽電池パネルにあっては、透光部を青色として、太陽電池パネルの発電電力を大きくしながら、表示パターンを青色で明確に表示できる。
【0022】
透光文字板は、着色部の光の透過率を高くしながら、透過光を特定の色にカラー着色できる顔料や染料を使用する。たとえば、青色にカラー着色される着色部は、青色光の透過率をできるかぎり高く、すなわち青色光の吸収をできる限り少なくして、その他の色の光を効率よく吸収する顔料や染料が使用される。この透光文字板は、太陽光線の透過率を高くして太陽電池パネルの発電電力を大きくしながら、着色部と透光部とを異なる色で表示して、道路標識の表示パターンを明確に表示できる。
【0023】
ただ、透光文字板は、着色部の光の透過率を低くして、着色部と透光部とのコントラストを高くすることもできる。この透光文字板は、着色部を、光の透過率を低い暗色に着色する。この透光文字板は、昼間に透光文字板1の透光部1Aを透過する太陽光線が、図2に示すように、裏面の照光板2と太陽電池パネル4を透過し、反射プレート5で反射されて透光文字板1を裏面から照射する。したがって、暗色塗料で文字や図形を表示している透光文字板1は、表示パターンの着色部1Bと、その他の部分の透光部1Aとのコントラストを高くして、昼間に見やすくできる。また、夜間にあっても、図3に示すように、発光ダイオード3から照射される光が、透光部1Aを効率よく透過して、着色部1Bの透過を少なく、透光部と着色部とのコントラストを大きくして文字又は図形の表示パターンを明確に表示できる。この透光文字板1は、文字又は図形の表示パターンを着色部とし、その他の領域を透光部1Aとして、着色部1Bに対する透光部1Aの面積を広くして、太陽光線の透過率を大きくできる。
【0024】
ただし、透光文字板は、着色部を透光性のない領域とすることもできる。この透光文字板は、透光部と着色部とのコントラストを極めて大きくして、表示パターンを表示できる。ただ、透光性のない着色部は、太陽光線を透過させないので、透光文字板を透過する太陽光線の強度が低下して、太陽電池パネルの発電電力が小さくなる。この弊害は、透光部を着色部よりも大きくして少なくできる。したがって、この透光文字板は、道路標識を示す表示パターンを着色部で表示して、その他の領域を透光部として、透光部の面積を大きくする。透光性のない着色部を設ける透光文字板は、着色部の内面に反射層を設ける。この透光文字板は、着色部の内面に設けた反射層で光を反射して、発光ダイオードの光を効率よく透光部から外部に照射できる。それは、発光ダイオードの光が、反射層と反射プレートとの間で反射こを繰り返して、透光部から外部に照射されるからである。
【0025】
照光板2は昼間には、図2に示すように、透光文字板1を透過する太陽光線を透過させると共に、夜間には、図3に示すように、透光文字板1を裏面から照射して、文字又は図形の表示パターンを見やすく表示する。照光板2は、アクリル樹脂などのプラスチックからなる透明プレートで、厚さを2mm〜8mmとしている。照光板2は、外周から入射される発光ダイオード3の光を両面で全反射させながら透過させると共に、この全反射する透過光を表面から外部に照射して、透光文字板1を裏面から照射する。したがって、この照光板2は、平滑な表面に、内部で全反射して透過する光を外部に照射する凹部や凸部を点在して設けている。凹部や凸部は、透過光の入射角を臨界角よりも小さくして照光板2の外部に放射する。凹部や凸部は、照光板2の全面を均一に照射するように点在して設けられる。照光板2は、太陽光線を透過して、発光ダイオード3から入射される光を表面と裏面に放射する。照光板2の表面に放射される光は、透光文字板1を裏面から照射して、夜間に文字又は図形からなる道路標識の表示パターンを明るく表示する。また、照光板2から裏面に照射される光は、太陽電池パネル4に入射されて発電に利用される。
【0026】
発光ダイオード3は、照光板2の外周部にあって、照光板2の内部に向かって光を照射する。発光ダイオード3は、照光板2の内部に照射する光を、照光板2の内部で効率よく全反射させながら全面に均一に透過できるように集光された光を照射する。発光ダイオード3は、複数個を所定の間隔に並べて、照光板2の外周面の一辺に配置され、あるいは複数の辺に設けられて、照光板2の内部に均一に光を入射する。発光ダイオード3から照光板2に入射される光は、照光板2の両面から外部に放射される。発光ダイオード3は、消費電力を大きくして、透光文字板1を明るく照射できる。発光ダイオード3の消費電力は、ひとつの発光ダイオード3の消費電力と、発光ダイオード3の個数で調整する。また、発光ダイオード3の消費電力は、透光文字板1の大きさによって最適値に設定されるが、たとえば5W〜100W、好ましくは10W〜50Wとする。
【0027】
発光ダイオードの発光色は白色である。白色の発光ダイオードは、青色に発光する発光チップと、この発光チップが発光する青色の光に励起されて発光する蛍光体とを備え、蛍光体の発光色と発光チップの発光色とが混色されて白色に発光するものが使用される。この発光ダイオードは、発光チップの青色の光に励起されて黄色に発光する蛍光体を使用して発光色を白色にできる。さらに、蛍光体で発光チップの発光色を白色にする白色の発光ダイオードは、発光チップの青色に励起されて、赤色や緑色に発光する蛍光体を含むものも使用できる。この発光ダイオードは、青色と赤色と緑色の3波長の光を放射する。さらにまた、発光色を白色とする発光ダイオードは、赤色に発光する発光チップと、青色に発光する発光チップと、緑色に発光する発光チップとからなる、赤色と、青色と、緑色の3波長の光を混合して白色とするもの、すなわち、3波長の発光チップを組み合わせることもできる。赤色と、青色と、緑色の3波長の光を放射する白色の発光ダイオードは、透光文字板に表示される、白色や緑色や青色や赤色などの領域を綺麗な色に発光できる特徴がある。たとえば、透光文字板に全面に光を透過させて、道路標識の文字や図形を白色で表示し、その他の部分を透光性のある青色や緑色や赤色とする構造にあっては、透光文字板の全面を綺麗な白色と、青色や、緑色や、赤色などに発光できる。すなわち、発光ダイオードの発光色を、透光文字板で表示する色と同じ色の光として、透光文字板を綺麗にカラー表示できる。また、発光ダイオードの発光色を、透光文字板に透過させる色と同じ色とすることで、発光ダイオードの光を効率よく透光文字板に透過して明るく表示できる。それは、透光文字板のカラー表示部は、カラー表示された色の光を透過し、その他の光を吸収して、透過する光のカラー表示している色として発光させるからである。たとえば、青色のカラー表示部は、青色の光を透過させて、青色以外の光を吸収して青色として表示するので、発光ダイオードから発光される青色の光を効率よく透過して、青色を明るく表示する。
ただし、本発明の道路標識は、発光ダイオードの発光色を白色には特定しない。それは、透光文字板のカラー表示部が、必ずしも白色には特定されないからである。
【0028】
太陽電池パネル4は、透光文字板1と照光板2を透過する太陽光線で昼間に発電される。また、発光ダイオード3を点灯する状態では、発光ダイオード3の光によっても発電する。発光ダイオード3の光は、照光板2の裏面から外部に放射されて太陽電池パネル4に入射される。太陽電池パネル4は、入射される光を透過させる透光性を有する。太陽電池パネル4は、透明基板の表面に透光性のある半導体発電層を設けて透光性を実現し、あるいは無数の貫通孔を設けて透光性を実現している。透光性のある太陽電池パネル4は、図2と図3に示すように、入射される光の一部を透過させて、裏面に配置している反射プレート5で反射させる。したがって、太陽電池パネル4を透過した光は、反射プレート5で反射されて、再び入射されて発電に利用される。裏面から入射されて、発電に利用されないで透過する光は、照光板2を透過して透光文字板1を裏面から照射する。したがって、昼間に太陽電池パネル4に入射される太陽光線は、その一部が発電に利用され、発電に利用されないで透過する光を透光文字板1の裏面から照射して、透光文字板1を明るく見やすくする。また、夜間に照光板2の裏面に照射されて太陽電池パネル4に入射される発光ダイオード3の光は、その一部が発電に利用され、発電に利用されないで透過する光は透光文字板1を裏面から照射して、透光文字板1を明るく見やすくする。
【0029】
反射プレート5は、太陽電池パネル4を透過した太陽光線や発光ダイオード3の光を反射して、再び太陽電池パネル4に入射する。この反射プレート5は、太陽光線と発光ダイオード3の光を反射するステンレス等の金属プレート、あるいは表面に鏡や白色塗料を塗布している金属プレートやガラス板である。反射プレート5は、表面を鏡面とし、あるいは無数の凹凸のある形状としている。表面を凹凸面とする反射プレート5は、入射される光を乱反射して太陽電池パネル4に入射させる。
【0030】
二次電池6は、太陽電池パネル4の発電電力で充電されるリチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池などの充電できる電池である。二次電池6は、太陽電池パネル4が発電する1日ないし10日の電力を充電できる容量としている。たとえば、1日の発電電力を300Whとする太陽電池パネル4に接続される二次電池6の充電容量は、300Wh〜3kWhとする。この二次電池6は、太陽電池パネル4で発電される電力に充電されて、満充電される状態では、消費電力を10Wとする発光ダイオード3を、30時間〜300時間点灯できる。二次電池6は、太陽電池パネル4との間に接続している充電回路8を介して充電される。充電回路8は、二次電池6が満充電されたことを検出すると、二次電池6の充電を停止する。ただし、充電回路は、必ずしも必要としない。たとえば、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池の二次電池は、太陽電池パネルの出力で常に充電することもできる。この道路標識は、太陽電池パネルの発電電力と、二次電池の容量と、発光ダイオードの消費電力とを最適値に設定することで、充電回路を介することなく、二次電池の過充電による劣化を防止できる。
【0031】
点灯回路7は、外部の明るさを明かりセンサで検出し、あるいは24時間タイマでもって夜間を判定し、夜間には二次電池6で発光ダイオード3を点灯する。太陽電池パネル4の発電容量と二次電池6の充電容量を十分に大きくする道路標識は、二次電池6の電力のみで夜間に発光ダイオード3を点灯できる。ただし、点灯回路7には、二次電池6が完全に放電されたことを検出して、商用電源9で発光ダイオード3を点灯する商用電源回路(図示せず)を設けることもできる。この道路標識は、日照量が少なくて、二次電池6が十分に充電できない状態においても、また、二次電池6が劣化して容量が小さくなる状態などにおいても、夜間には商用電源9で確実に発光ダイオード3を点灯できる。点灯回路7は、商用電源9で発光ダイオード3を点灯する状態においても、最初は二次電池6で発光ダイオード3を点灯し、二次電池6が完全に放電された後は、発光ダイオード3の点灯を二次電池6から商用電源9に切り換える。
【0032】
図4の内照明式の道路標識は、大きな透光文字板1の裏面に、照光板2と、太陽電池パネル4と、反射プレート5とを積層してなる複数の発電発光ユニット10を配置している。すなわち、照光板2と太陽電池パネル4と反射プレート5とを小さく分割して、透光文字板1の裏面に配置している。図4の道路標識は、発電発光ユニット10の外形を四角形とし、これを縦横に並べて透光文字板1の裏面に配置している。各々の発電発光ユニット10は、図1ないし図3に示すものと同じ構造として、透光文字板1に裏面から光を照射して、道路標識を見やすくしている。大きな透光文字板1の裏面に並べられる複数の発電発光ユニット10は、互いに接近して配設するために、図5に示す構造としている。この図の発電発光ユニットは、照光板2の外周縁を傾斜面2Aとし、傾斜面2Aの裏面に発光ダイオード3を配置している。発光ダイオード3から傾斜面2Aに向かって照射される光は、傾斜面2Aで全反射して、照光板2の内部に照射される。この構造の発電発光ユニット10は、発光ダイオード3を照光板2の裏面に配置するので、発光ダイオード3によって外形が大きくならない。このため、照光板2を互いに接近して配置でき、隣接する発電発光ユニット10の境界を狭くして、大きな透光文字板をその裏面から全面において明るく照射できる特徴がある。
【符号の説明】
【0033】
1…透光文字板 1A…透光部
1B…着色部
2…照光板 2A…傾斜面
3…発光ダイオード
4…太陽電池パネル
5…反射プレート
6…二次電池
7…点灯回路
8…充電回路
9…商用電源
10…発電発光ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字や図形からなる道路標識を示す表示パターンを設けてなる透光性を有する透光文字板(1)と、この透光文字板(1)の裏面に配設している所定の厚さの透明板からなる照光板(2)と、この照光板(2)に外周縁から内部に光を照射する発光ダイオード(3)と、前記照光板(2)の裏面に配設してなる透光性のある太陽電池パネル(4)と、この太陽電池パネル(4)の裏面に配設されて透光性の太陽電池パネル(4)を透過する光を反射して太陽電池パネル(4)に入射する反射プレート(5)と、前記太陽電池パネル(4)の発電電力で充電される二次電池(6)と、この二次電池(6)で前記発光ダイオード(3)を点灯する点灯回路(7)とを備えており、
前記透光文字板(1)に照射される太陽光線の一部が反射されて道路標識の表示パターンを表示すると共に、透光文字板(1)を透過する太陽光線が照光板(2)を透過して太陽電池パネル(4)に入射されて太陽電池パネル(4)で発電し、さらに太陽電池パネル(4)を透過する太陽光線が反射プレート(5)で反射されて太陽電池パネル(4)に入射して発電し、さらに太陽電池パネル(4)を透過する光が照光板(2)を透過して透光文字板(1)を裏面から照射する構造としており、
また、太陽光線が照射されない夜間は、前記点灯回路(7)が二次電池(6)で発光ダイオード(3)を点灯して照光板(2)に光を照射して、照光板(2)が両面に光を照射し、照光板(2)の表面から放射される光が透光文字板(1)を裏面から照射して道路標識の表示パターンを表示し、照光板(2)の裏面に放射される光が太陽電池パネル(4)に入射して発電されると共に、太陽電池パネル(4)を透過する光が反射プレート(5)で反射されて太陽電池パネル(4)に入射して発電し、さらに太陽電池パネル(4)を透過する光を照光板(2)に透過させて透光文字板(1)を裏面から照射するようにしてなる内照明式の道路標識。
【請求項2】
前記透光文字板(1)の裏面に、複数の発電発光ユニット(10)を積層しており、この発電発光ユニット(10)は、前記照光板(2)と前記太陽電池パネル(4)と前記反射プレート(5)を積層したもので、かつ複数の発電発光ユニット(10)が互いに接近して配設されてなる請求項1に記載される内照明式の道路標識。
【請求項3】
前記発電発光ユニット(10)の照光板(2)が、その外周縁に傾斜面(2A)を有し、この傾斜面(2A)の裏面に発光ダイオード(3)を配置している請求項2に記載される内照明式の道路標識。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−74728(P2011−74728A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229933(P2009−229933)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(301061908)株式会社ティーネットジャパン (7)
【出願人】(594192187)株式会社コート (4)
【出願人】(591104295)藤崎電機株式会社 (13)
【Fターム(参考)】