内面溝付き管とその製造方法および内面溝付き管を具備した熱交換器
【課題】熱交換器の伝熱管等に使用する内面溝付き管1において、内面に形成した螺旋状溝2のリード角を、管全長内の任意の部分において異なる角度とすることで、内部を流れる流体の撹拌を促進し、内面溝付き管1のコストパフォーマンスの向上をはかり、また、そのコストパフォーマンスの高い内面溝付き管1を容易に製造する製造方法を提供する。
【解決手段】一本の連続した内面溝付き管1の任意の領域を、所定角度でひねり加工を施すことにより、容易な加工内容で、その領域に螺旋状溝2を形成することができ、また、前述のひねり加工のひねり角度を調節することにより、螺旋溝2のリード角の角度を、他の領域のリード角の角度と異ならせ、管1内を流れる流体の撹拌作用を促進させて内面溝付き管1の機能を向上させるものである。
【解決手段】一本の連続した内面溝付き管1の任意の領域を、所定角度でひねり加工を施すことにより、容易な加工内容で、その領域に螺旋状溝2を形成することができ、また、前述のひねり加工のひねり角度を調節することにより、螺旋溝2のリード角の角度を、他の領域のリード角の角度と異ならせ、管1内を流れる流体の撹拌作用を促進させて内面溝付き管1の機能を向上させるものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器用の伝熱管等に使用される内面溝付き管とその製造方法、および内面溝付き管を用いた熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷凍装置、あるいはボイラ等の熱交換器等において、前記熱交換器を構成する伝熱管に内面溝付き管を用い、熱交換性能の向上をはかることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図17は、上記特許文献1に記載された伝熱管の内面に溝を形成するための装置の一例であって、円筒状マンドリル70の外周に、内面溝81を形成する突起71を設けた加工装置である。
【0004】
この加工装置を伝熱管80の内部に圧入することにより、伝熱管80に内面溝81を形成することができる。
【0005】
また、図18に示す如く内面溝91に一定のリード角βをもたせて螺旋状に形成する内面溝付き管90も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開昭56−100297号公報
【特許文献2】特開2005−127570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の内面溝付き管90は、リード角αを途中で変更することが困難であった。したがって、内面溝付き管90内を流れる流体は、終始一定のリード角αに沿って流れる状態にあり、撹拌され難く、例えば、熱交換器の場合であると性能の更なる向上は期待できない構成であった。
【0007】
また、リード角αの異なる内面溝付き管90を用意し、ロウ付け等によって一体化することも可能であるが、工数がかかり、またロウ付けの信頼性にも課題が残るものである。
【0008】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、一本の管において、内面溝のリード角が異なる変則部を設け、内部を流れる流体の撹拌作用を向上する内面溝付き管を提供し、また、前記変則部が容易に任意の箇所に形成できる製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明は、内面に直線状もしくは一定のリード角をもって緩やかな螺旋状に延びる複数の溝を設けた管体において、少なくとも一部に、前記リード角の角度と異なる角度で螺旋状に延びる変則部を設けた内面溝付き管とするものである。
【0010】
かかることにより、前記管体の一部に設けた変則部により、管体内を流れる流体(気体、液体、粉末等)の流れに変化をもたらすことができ、流体の状態変化あるいは複数種類の流体の混合作用等に適した管路を構成することができる。
【0011】
また、本発明は、熱交換器の流体が流れる管路を、前記変則部を設けた内面溝付き管としたもので、かかることにより、管路内を流れる流体の層流を撹拌することができ、熱交換性能の向上をはかることができる。
【0012】
さらに、本発明は、内面に直線状もしくは一定のリード角をもって緩やかな螺旋状に延びる複数の溝を設けた管体の適宜箇所をクランプ具によって固定し、前記管体を固定した状態で、該管体の端部より所定の角度のひねり加工を行うことにより、前記溝の角度が異なる変則部を、適宜箇所より形成する内面溝付き管の製造方法とするものである。
【0013】
かかることにより、前記クランプ具で固定した箇所を境にリード角の異なる内面溝を形成することができる。したがって、管体をひねる比較的単純な動作で内面溝のリード角の角度を変更することができ、安価に作成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、一本の管体において、異なるリード角をもつ内面溝付き管とすることにより、管体内を流れる流体の流れに変化をもたせることができ、流体の撹拌作用を向上することができる。したがって、管体内を流れる流体の状態変化、あるいは複数種類の流体の混合を促進することが可能となり、所望する流体の状態を生成することができる。
【0015】
また、本発明は、上記内面溝付き管を熱交換器の管路とすることにより、管路内を流れる流体の層流を乱すことができるもので、簡単な構成で、部品点数を増やすことなく、流体を撹拌することが可能となり、熱交換作用を向上することができる。
【0016】
さらに、本発明は、内面溝付き管の一部をクランプ具によって固定し、この固定箇所を中心に管を反クランプ具側より円周方向にひねり加工を行うことにより、内面溝のリード角の角度が異なる変則部を形成する方法であるため、固定箇所の位置を変えることによって任意の箇所に変則部を形成することができ、さらに、前記ひねり加工に伴うひねり角度を調節することによって、内面溝のリード角を任意の角度に設定することができるものである。
【0017】
したがって、用途に応じた内面溝付き管を、比較的簡単に形成することができ、安価に作成することができる。
【0018】
さらに、本発明は、内面溝付き管の適宜箇所を、所定間隔介して位置する複数対のクランプ具によって固定し、前記管体を前記クランプ具によって固定した状態で、少なくとも対を成す一方のクランプ具を回転させることにより、前記溝のリード角の角度が異なる変則部を形成する方法であるため、対を成すクランプ具の位置、あるいは間隔に応じて所望の箇所、領域に前記変則部を形成することができ、また、クランプ具の回転方向、回転角度によって任意の螺旋(回転)方向、角度の溝を形成することができ、さらに、深い溝から浅い溝にわたって適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
請求項1に記載の発明は、内面に管軸と平行、もしくは管軸を基準に一定のリード角をもって緩やかな螺旋状に延びる複数の溝を設けた管体において、少なくとも一部に、前記リード角の角度と異なる角度で螺旋状に延びる第一変則部を設けたものである。
【0020】
かかる構成とすることにより、管体内を流れる流体(気体、液体等)の流れを、前記第一変則部によって変化させることができ、流体の撹拌、状態変化あるいは複数種類の流体の混合作用等に適した管路を構成することができる。
【0021】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内面溝付き管において、前記第一変則部を、前記管体の複数箇所に設けたものである。
【0022】
かかることにより、前記第一変則部によって流体の状態変化を複数回生じさせることができ、流体を十分に撹拌、状態変化させることが可能となり、また複数種類の流体の混合作用においても十分な混合効果が期待できるものである。
【0023】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の内面溝付き管において、前記管体に、前記第一変則部におけるリード角の角度と異なる角度のリード角となる第二変則部を設けたものである。
【0024】
かかる構成とすることにより、流体の流れにおいて、前記第一変則部と第二変則部により、さらに異なる変化を生じさせることができ、流体に適応した状態変化を生成することができる。
【0025】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の内面溝付き管において、前記第二変則部を、前記管体の複数箇所に設けたものである。
【0026】
かかる構成とすることにより、流体が複数の第二変則部を通過する際に、さらに流体の流れに変化を生じさせることができ、流体の撹拌作用等において、流体に適応した状態変化を生成することができる。
【0027】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の内面溝付き管において、前記管を蛇行状に湾曲加工したものである。
【0028】
かかる構成とすることにより、前記第一変則部あるいは第二変則部によって、長い管路内を流れる流体の流れに状態変化を積極的に伴わせることができ、また、管路を長く形成することに伴う流れ抵抗の増大を、例えば、特に流れ抵抗が大きくなる箇所を除いて前記第一変則部あるいは第二変則部を設定し、内面溝のリード角を変えて撹拌作用の促進と流体の流れ抵抗の抑制をはかる等の策を講じることができ、流れ特性の改善をはかることができるものである。
【0029】
請求項6に記載の発明は、少なくとも内部を流体が流れる伝熱管を具備した熱交換器であって、前記伝熱管を、請求項1から5のいずれか一項に記載の内面溝付き管とした熱交換器である。
【0030】
かかることにより、伝熱管内を流れる冷媒等の流体の層流を乱すことができるもので、簡単な構成で、部品点数を増やすことなく、流体を撹拌することが可能となり、熱交換作用を向上することができる。
【0031】
請求項7に記載の発明は、内面に直線状、もしくは一定のリード角をもって緩やかな螺旋状に延びる複数の溝を設けた管体の適宜箇所をクランプ具によって固定し、前記クランプ具によって管体を固定した状態で、該管体を反クランプ具側より所定角度のひねり加工を行うことにより、前記溝の角度が異なる変則部を形成する内面溝付き管の製造方法である。
【0032】
かかる方法によれば、適宜箇所を管の中間部とすれば、クランプ具による固定箇所から中間部に亘って変則部が形成でき、また、適宜箇所を端部とすることにより、管全長に亘って螺旋溝が形成できる。さらに、ひねり加工に伴うひねり角度を調整することにより、所望するリード角の内面溝を形成することができる。
【0033】
かかる方法は、深い溝から浅い溝に亘って適用できる製造方法であり、さらに、金属あるいは樹脂を材料とする管体に適用することができる。
【0034】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の製造方法において、前記クランプ具によって前記管体の適宜箇所を固定し、該管体の反クランプ具側より所定角度のひねり加工を行う加工を、前記管体の複数箇所にわたって行うようにしたものである。
【0035】
かかることにより、一本の管体において、複数箇所に変則部を形成することができ、しかも、一様の変則部の形成が可能であり、流体の撹拌効果、状態変化が大きい内面溝付き管を得ることができる。
【0036】
請求項9に記載の発明は、内面に直線状、もしくは一定のリード角をもって緩やかな螺旋状に延びる複数の溝を設けた管体の中間部を、所定間隔介して位置する複数対のクランプ具によって固定し、その固定状態において、前記対を成す少なくとも一方のクランプ具を回転させることにより、前記溝のリード角の角度が異なる変則部を形成する内面溝付き管の製造方法である。
【0037】
かかる方法によれば、所定の領域に前記変則部を形成することができ、また、クランプ具の回転角度によって任意のリード角の内面溝を形成することができる。
【0038】
さらに、深い溝から浅い溝に亘って適用できる製造方法であるため、金属あるいは樹脂を材料とする管体に適用することもできる。
【0039】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の製造方法において、前記対を成すクランプ具における回転するクランプ具の少なくとも回転方向、もしくは回転角度を、異なる方向もしくは異なる角度としたものである。
【0040】
かかることにより、一本の管体において、複数形成した変則部の内面溝を、それぞれ異なるリード角をもつ内面溝とすることができ、流体の特性に応じた撹拌作用、状態変化が得られる管を製造することができる。
【0041】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0042】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における内面溝付き管の一部を切欠いた斜視図である。図2は、図1のA−A線による同内面溝付き管の断面図である。図3は、同内面溝付き管における基本部の管軸方向での断面図である。図4は、同内面溝付き管における第一変則部の管軸方向での断面図である。図5は、同内面溝付き管における第二変則部の管軸方向での断面図である。
【0043】
図1乃至図5において、内面溝付き管(以下、管体と称す)1はアルミニウム製の金属管で、内面には、管軸P方向に延びる多数の溝2が形成されている。
【0044】
管体1の内面に設けられた溝2は、図3に示す如く管軸Pと平行に延びる基本部aと、図4、図5に示す如く管軸Pに対してリード角が異なる第一変則部bと第二変則部cよりなり、第二変則部cのリード角は、第一変則部bのリード角の角度xよりもさらに大きな角度yに形成されている。ここで、基本部a、および第一、第二それぞれの変則部b、cにおける溝2の境界部は、分断されないでつながった状態を基本としているが、部分的に管体1の材料の塑性変形の範囲を超え、溝2を形成する壁部2aの一部が破損された状態であっても支障はない。
【0045】
上記構成の管体1は、管軸P方向においてリード角が0°の基本部aから徐々に(段階的に)リード角が大きくなる第一変則部b、第二変則部cを連続して形成しているため、例えば管体1の内部を流体である温水が流れる場合は、基本部aから管軸P方向へ流れるにつれて大きく旋回流が生成され、これに伴って温水は、第一変則部b、第二変則部cと通過するたびに撹拌され、状態が変化する。その結果、温水は、管内での流れにおいて中心部(管軸P)側と管内表面近くの層流が撹拌され、十分な撹拌効果を得ることができる。
【0046】
したがって、管体1内を流れる流体が、温水あるいは冷媒のような熱交換のための液体、気体であれば、その流れる状態を変化させることに伴って熱交換作用を十分に引き出すことができ、熱交換効率(管内熱伝達率)を高めることができる。
【0047】
なお、管体1における溝2の初期状態である基本部aは、リード角が管軸Pと平行である場合について説明したが、緩やかなリード角をもった溝2を基本部aとし、これより角度の異なるリード角を形成して第一変則部b、第二変則部cとすることもできる。
【0048】
また、変則部b、cの数は、任意に増加することができ、リード角の角度についても、任意に設定することができるものである。
【0049】
さらに、本実施の形態1においては、管体1の溝2の形態を、第一変則部aと第二変則部bを形成した構成としたが、管体1の用途等に応じて、管体1の溝2の形態を、基本部aと第一変則部b、または、基本部aと第二変則部cを組合せた形態、あるいは、第一変則部bと第二変則部cを組合せた形態とすることもできる。
【0050】
さらに、管体1内を、例えば、液体と粉体といった混合物が流れる場合は、前述の撹拌作用によって効果的に混合させることができる。
【0051】
また、管体1は、用途等に応じて、アルミニウム以外の金属管、あるいは塩化ビニル樹脂等の樹脂製の管を用いることが可能であり、同様に内面に形成した溝のリード角が異なる変則部を形成することもできる。
【0052】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2における内面溝付き管の一部を切欠いた斜視図である。図7は、同内面溝付き管における基本部の管軸方向での断面図である。図8は、同内面溝付き管における第一変則部の管軸方向での断面図である。図9は、同内面溝付き管における第二変則部の管軸方向での断面図である。
【0053】
ここで、先の実施の形態1と同じ構成要件については、同一の符号を付し、実施の形態1と相違する部分を主体に説明する。
【0054】
図6において、先の実施の形態1と異なる構成は、管体11において、第一変則部b1と第二変則部c1の間に基本部aを設け、この配置に伴って連続する溝12のリード角の方向を変えた点である。
【0055】
すなわち、基本部aのリード角の角度を、管軸Pと平行(0°)とし、第一変則部b1のリード角の角度をYとし、さらに第二変則部c1のリード角の角度を−Yとしている。
【0056】
上記構成の管体11は、管軸P方向においてリード角が0°の基本部aから第一変則部b1(リード角の角度Y)、基本部a、第二変則部c1(リード角の角度−Y)と連続して形成しているため、例えば管体11の内部を温水が流れる場合は、基本部aから管軸P方向へ流れるにつれて第一変則部b1でリード角の角度Yに伴う旋回流が生成され、そして基本部aでその旋回流が緩和され、さらに第二変則部c1でリード角の角度−Yに伴う逆方向の旋回流が生成されることになる。この変則流は、第一変則部b1、基本部a、第二変則部c1配置の連続する数に応じて継続することができる。また、流体(例えば、温水)の旋回流の旋回強さは、第一変則部b1、第二変則部c1の長さによって調整することができる。すなわち、第一変則部b1、第二変則部c1の長さが長いほどそれぞれの方向における旋回流が強く(深く)なり、基本部aが長いほどその旋回流の旋回が弱められる。
【0057】
したがって、温水は、基本部a、第一変則部b1、基本部a、第二変則部c1と通過するたびに状況が変化し、撹拌される。特に、第一変則部b1と第二変則部c1は、溝12におけるリード角の方向が逆であるため、管体11の内部を流れる温水等の流体は、複雑に変動しながら流れることになり、十分な撹拌効果を得ることができる。
【0058】
したがって、管体11内を流れる流体が、温水あるいは冷媒のような熱交換のための液体、気体であれば、熱交換(管内熱伝達)作用を十分に引き出すことができ、熱交換効率(管内熱伝達率)を高めることができる。
【0059】
なお、上記第一変則部b1、第二変則部c1は、管体11が金属製(アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等)、樹脂製(塩化ビニル樹脂等)いずれの場合であっても形成することができる。
【0060】
さらに、管体11内を、例えば、液体と粉体といった混合物が流れる場合は、前述の撹拌作用によって効果的に混合させることができる。
【0061】
なお、基本部aの初期構成、変則部b1、c1の数等については、先の実施の形態1と同様に設定できるものである。また、第一変則部b1と第二変則部c1の間に基本部aを設ける必要はなく、第一変則部b1と第二変則部c1が交互に連続する構成とすることもできる。さらに、基本部aを、管軸Pと平行なリード角を有する溝12ではなく、予め緩やかなリード角の溝12が形成された部分を基本部aとし、この基本部aにおける溝12のリード角の角度と異なる角度のリード角の溝12を有する複数の変則部で内面溝を形成することもできる。
【0062】
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3における内面溝付き管の一部を切欠いた斜視図である。図11は、同内面溝付き管を蛇行状に曲げ加工した状態を示す平面図である。
【0063】
ここで、先の実施の形態1、2と同じ構成要件については、同一の符号を付し、実施の形態1、2と相違する部分を主体に説明する。
【0064】
図10において、アルミニウム製の管体21は、その内面に、実施の形態1で説明したリード角を角度xとする第一変則部bの溝2を形成した構成を基調とし、所定位置に管軸Pと平行な溝2を形成した基本部aが設けられている。したがって、本実施の形態3における管体21は、所定長さの第一変則部bと所定長さの基本部aが交互に連続した構成であり、その内面は、リード角が角度xの溝2とリード角0°の溝2が交互に形成された構成となっている。
【0065】
そして、図11に示す如く管体21は、所定長さの直管部21aと、180°に曲げ加工された湾曲部21bが交互に連続する蛇行状に曲げ加工されている。上述の配置関係から、直管部21aの内面の溝2のリード角は、第一変則部bのリード角(角度x)であり、湾曲部21bの内面の溝2のリード角は、基本部aのリード角(0°)となっている。
【0066】
上記蛇行状の管体21を流れる流体は、まず直管部21aを流れる際に第一変則部bの溝2形状(リード角)によって旋回流となり、管軸P近辺と管内表面近くの層流が撹拌された流れが形成される。そして湾曲部21bを流れるときには基本部aの溝2形状(リード角)によってその旋回流が緩和され、さらに直管部21aを流れる際に再度旋回流となり、以下旋回流の緩和と再度の旋回流が繰り返し行われて管体21を通過する。
【0067】
したがって、流体が例えば温水等の冷媒である場合は、直管部21aでの撹拌された旋回流によって管体21表面との熱伝達(管内熱伝達)が促進され、湾曲部21bでは、湾曲に伴う管路の流速抵抗の増加を、リード角0°の溝2とすることに伴う旋回流の緩和で抑制することができ、流体の流れを円滑とすることができる。その結果、蛇行した管路形状の管体21でありながら、流体の撹拌された旋回流と、円滑な流体の流れによって、熱伝達(管内熱伝達)性能を向上することができる。
【0068】
さらに、流体の特性、あるいは流体が流れる管路の条件によっては、特に湾曲部21bでの熱伝達(管内熱伝達)を効率よく行うことができる構成を必要とする場合もある。
【0069】
例えば、直管部21aでは、積極的に流体に旋回流を生じさせず、通常の流れで熱伝達を行い、湾曲部21bで流体に旋回流を生じさせ、その旋回流に伴う撹拌作用によって流体の熱伝達を活性化させる構成を要する場合は、直管部21aに基本部aの構成を採用し、湾曲部21bに第一変則部bの構成を採用すればよい。
【0070】
このように、管体21において、リード角が異なる溝2が形成された基本部aと第一変則部bを組み合わせた配置関係を形成し、これを蛇行状に曲げ加工した管路は、流体の熱伝達(管内熱伝達)を用途に適合するように制御することができる。
【0071】
なお、溝2における異なる角度のリード角の組合せは、上述に限るものではなく、実施の形態1、2で説明した第一変則部b1、第二変則部c、c1を必要に応じて適宜配置する組合せとすることもできる。
【0072】
また、管体21は、アルミニウム以外の金属製であってもよく、また、塩化ビニル樹脂等の樹脂製であってもよい。
【0073】
(実施の形態4)
図12は、本発明の実施の形態4における内面溝付き管を具備した熱交換器の斜視図である。図13は、同熱交換器を構成する内面溝付き管の溝の配置状態を示す模式図である。
【0074】
ここで、先の実施の形態1乃至3と同じ構成要件については、同一の符号を付し、実施の形態1乃至3と相違する部分を主体に説明する。
【0075】
図12において、熱交換器31は、対角位置に流体入口32aと流体出口32bが位置する如く、上下(段)方向と左右(列)方向において直管部21aと湾曲部21bが交互に連続することによって蛇行状に湾曲形成されたアルミニウム製の伝熱管(本発明の管体に相当)32と、相互に平行となるように多数配置され、前記蛇行状に湾曲形成された伝熱管32が貫通したアルミニウム製のプレートフィン33と、このプレートフィン33の両端に配置され、該プレートフィン33と同様に伝熱管32が貫通した鉄製の端板34より構成されている。
【0076】
その結果、伝熱管32における直管部21aがプレートフィン33、端板34と密着し、湾曲部21bが端板34から露出した状態となっている。
【0077】
ここで、伝熱管32の内面には、実施の形態1乃至3で説明したように、管軸方向Pに延びる多数の溝2が形成されており、この溝2における流体入口32aから流体出口32bの間は、該溝2のリード角が複数の角度に異なって形成(配置)されている。
【0078】
次に、図13により、伝熱管32における異なる角度のリード角に形成された溝2の配置状態について説明する。ここでは、熱交換器31を、冷凍サイクルを構成する蒸発器として用いる場合について説明する。
【0079】
一般に、蒸発器において、伝熱管32内を冷媒が流れる場合、流体入口32a側では液成分が占める液相状態であり、流体出口32b側へ進むにつれて気体(ガス)成分が増加し、流体入口32aと流体出口32bの中間部分では液相と気相が混合する気液混合の二相状態となり、流体出口32b側では気体成分が占める気相状態にある。
【0080】
したがって、熱交換器31の機能を十分に発揮するためには、冷媒(流体)が流れる伝熱管32内の管内圧力損失、あるいは管内熱伝達率の分布を考慮した最適な仕様とする必要がある。
【0081】
かかることから、本実施の形態4においては、図13に示す如く流体入口32a側に近い領域Aでは、溝2のリード角を角度yとし、流体入口32aと流体出口32bの中間に位置する領域Bでは、溝2のリード角を角度x(角度y>角度x)とし、流体出口32bに近い領域Cでは、溝2のリード角を0°(管軸Pと平行)としている。
【0082】
換言すると、伝熱管32は、実施の形態1で説明した管体1の構成と同様に、基本部a、第一変則部b、第二変則部cが形成された構成であり、流体入口32aから流体出口32bにかけて第二変則部cを領域Aに、第一変則部bを領域Bに、基本部aを領域Cに配置した構成となっている。
【0083】
その結果、流体入口32aに近い領域Aでは、冷媒が液成分を占めている状態であるため、溝2のリード角の角度を大きく(角度y)することにより、冷媒の流速を速め、同時に撹拌作用を大きくすることと合わせて、熱交換作用を促進することができる。また、領域Aでは、冷媒が液相状態、もしくは大半が液相状態であるため、比較的管内圧力損失が低く、溝2のリード角の角度を大きくしても、熱交換作用において管内圧力損失に伴う影響を受け難くすることができる。
【0084】
また、冷媒の蒸発作用が進んだ領域Bにおいては、冷媒は液相と気相が混在する気液二相状態にあるため、領域Aと比較して管内圧力損失が大きい状態にあり、熱交換作用も低下する傾向にある。しかし、冷媒は、蒸発が可能な状態にあり、溝2の形成に伴う旋回流によって熱交換作用の促進効果が期待できるため、溝2のリード角の角度を小さく(角度x)することにより、管内圧力損失の影響を抑制しつつ、熱交換促進効果を得ることができる。リード角の角度xの設定については、熱交換作用において、管内圧力損失に伴うロスと熱交換促進効果のバランスを考慮し、角度y>角度xの関係が維持できる最適な値を設定すればよい。
【0085】
さらに、流体出口32bに近い領域Cにおいては、一般的に冷媒は気相が占める状態にあり、熱交換作用が大きく期待できる状態ではない。加えて、管内圧力損失も高いことから、領域Cにおいては、熱交換作用の促進よりも管内圧力損失の増加に伴う影響の抑制を重視することが好ましい。
【0086】
かかる点から、伝熱管32における領域Cでは、溝2のリード角の角度をさらに小さく(本実施の形態4では0°)することにより、冷媒の流れが円滑化され、管内圧力損失の増加を抑制することができる。その結果、管内圧力損失に伴う圧縮機(図示せず)等のエネルギーの消費を抑制しつつ、微小であるが熱交換作用の継続が期待できる。
【0087】
したがって、本実施の形態4における熱交換器31は、伝熱管32を流体入口32aから流体出口32bにかけて大きく三つの領域A、B、Cに区画し、それぞれの領域A、B、Cに対応して第二変則部c、第一変則部b、基本部aを配置する構成としたことにより、伝熱管32の内面に形成した溝2のリード角の角度yを、途中で異なるリード角の角度x、流体出口32b側で0°となるように形成し、管内圧力損失を抑制しつつ、流体(冷媒)の継続した撹拌作用を得ることができ、熱交換能力を高めることができる。
【0088】
また、1本の伝熱管32を湾曲加工する構成であるため、リード角の角度が異なる配管を接続する溶接作業が伴うこともなく、組立作業の簡素化が可能となり、溶接不良に伴う流体の漏れリスクも極めて小さい熱交換器31を得ることができる。
【0089】
なお、本実施の形態4においては、熱交換器31の作用を、冷凍サイクルを構成する蒸発器を例に説明したが、冷凍サイクルを構成する凝縮器とする場合であっても、冷媒の状態に応じて管内圧力損失、管内熱伝達率を最適値に維持できるように、伝熱管32の内面に形成した溝2のリード角の角度を設定することにより、同様の作用効果が期待できる。
【0090】
また、熱交換媒体である流体を温水、あるいは冷水等の液体、さらにはスチーム等の気体(ガス)とする熱交換器においても、同様に伝熱管32内に形成した溝2の大きさ(幅、深さ等)、およびその溝2のリード角の角度を適宜最適値に設定することにより、効率的な熱交換作用を得ることが期待できる。
【0091】
さらに、伝熱管32は、アルミニウム以外の金属(アルミニウム合金、銅、銅合金等)であってもよい。
【0092】
(実施の形態5)
図14は、本発明の実施の形態5における内面溝付き管の加工工程説明図で、(a)は、加工前の状態を示す斜視図、(b)は、同加工工程における第一工程の状態を示す斜視図、(c)は、同加工工程における第二工程の状態を示す斜視図である。
【0093】
本実施の形態5においては、実施の形態1で説明した管体1を加工形成する場合について説明し、また、実施の形態4で説明した熱交換器31を管体1の用途例として説明する。したがって、実施の形態1および実施の形態4と同じ構成要件については、同一の符号を付して説明する。
【0094】
まず、図14(a)で示すように、内面に管軸Pと平行に延びる溝2が形成された所定長さのアルミニウム製の管体1の一端をクランプ41で掴み固定する。そして、一端から基本部aを形成する位置(第一変則部bが始まる位置)をクランプ42で掴み、さらにクランプ42から第一変則部bを形成する位置(第二変則部cが始まる位置)にクランプ43を配置し、かかる初期状態から第一工程が開始される。なお、クランプ41、42、43は、本発明のクランプ具に相当するものである。ここで、各クランプ41、42、43は、該クランプ41、42、43を回転する機構の一例として、アーム41a、42a、43aを具備した構成としている。なお、必要に応じて管体1の両端に、管体1を軸方向への移動、および回転が自由に行える如く支持する支持体45を設けてもよい。
【0095】
第一工程では、図14(b)で示すように、クランプ41を掴み状態として管体1の一端部を固定し、他端部のクランプ43は離し状態で管体1が回転可能となる状態としておく。そして、クランプ42を、アーム42aを利用する等して矢印α方向に所定角度x回転し、停止する。これにより、管体1は、クランプ41を起点にひねり加工が施され、これに伴い、内面に形成された溝2は、二点鎖線で示す如く、管軸Pに対して角度xのリード角が形成され、第一工程が終了する。したがって、この状態においては、内面に形成された溝2は、クランプ42以降が第一変則部bのリード角状態(角度x)で延びている。
【0096】
第二工程では、図14(c)で示すように、少なくともクランプ42をその位置で、または初期位置に復帰させて固定し、クランプ43を掴み状態にし、上述と同様にアーム43aを利用する等して矢印α方向に角度(y−x)回転する。これにより、管体1のクランプ42とクランプ43の間は、図14(a)の時点から角度y回転した状態となり、加工工程を完了する。
【0097】
上記クランプ42、43の掴み動作と回転動作は、例えば、シーケンス制御回路によって運転が制御される自動装置にて容易に行うことができる。
【0098】
したがって、上述の加工工程を経て形成された管体1は、図中左側から、溝2のリード角が管軸Pと平行(0°)の基本部a、溝2のリード角が角度xの第一変則部b、溝2のリード角が角度y(角度y>角度x)の第二変則部cが形成された管体1となる。
【0099】
上述の如く形成された管体1を、例えば実施の形態4の熱交換器31の伝熱管32として用いる場合、第二変則部cを流体入口32a側に近い領域Aとして、第一変則部bを中間部である領域Bとして、基本部aを流体出口32cに近い領域Cとしてそれぞれ用い、適宜箇所で湾曲して蛇行状に形成することにより、実施の形態4で説明したリード角の角度配置の溝2が形成された伝熱管32が得られ、熱交換能力高めた熱交換器31を得ることができる。
【0100】
なお、クランプ41、42、43については、本発明の要旨と直接関係しないことから特に説明していないが、管体1の掴みおよび離しが可能で、掴み状態、離し状態それぞれにおいて所定の角度回転できる機構を具備した周知の装置でよいものである。
【0101】
また、本実施の形態5においては、基本部aの溝2のリード角を0°としたが、予め所定の角度のリード角に形成された溝(図示せず)を具備した管体1の場合についても、同様にクランプ41、42、43を制御することにより、管体1に、複数種類のリード角の溝を形成することができる。
【0102】
さらに、クランプの数を増やし、それぞれの回転角度を、管体1の材料が有する塑性変形許容範囲内において選択、調整することにより、管体1を破損することなく溝2に三種類以上のリード角を形成することができる。
【0103】
また、管体1の一端部を固定し、他端部を、上記クランプ等の掴み手段にて掴み固定し、その掴み手段を所定角度回転することにより、管体1の内面に形成した溝2の略全長に亘って所定角度のリード角を形成することができる。
【0104】
なお、本実施の形態5において、管体1が長尺の場合は、上述の加工工程を終えた後で、管体1を周知の手段によって軸方向に移動し、初期状態から再度上述の第一工程、第二工程を繰り返し行うことにより、基本部a、第一変則部b、第二変則部cの配置を1ストロークとする配置構成が繰り返し連続した長尺の管体1を得ることができる。そして、1ストローク単位で切断することにより、上述の伝熱管32を得ることができる。
【0105】
また、本実施の形態5における最終段のクランプ43の回転方向、および回転角度を制御することにより、第一変則部bに続く第二変則部cの溝2のリード角を0°、あるいは角度−xとする構成を得ることができる。
【0106】
(実施の形態6)
図15は、本発明の実施の形態6における内面溝付き管の加工工程説明図で、(a)は、加工前の状態を示す斜視図、(b)は、同加工工程におけるリード角形成工程の状態を示す斜視図である。図16は、同実施の形態6における内面溝付き管に設けた変則部の加工領域のパターン例を説明する熱交換器の平面図で、(a)は、単一の変則部を特定の領域に間欠して設けた場合の平面図、(b)は、異なる変則部を特定の領域に間欠して設けた場合の平面図、(c)は、異なる変則部を連続して間欠に配置した場合の平面図である。
【0107】
本実施の形態6においては、実施の形態2で説明した管体11を加工形成する場合について説明し、また、実施の形態4で説明した熱交換器31を管体11の用途例として説明する。したがって、実施の形態2および実施の形態4と同じ構成要件については、同一の符号を付して説明する。また、管体11の加工工程において、先の実施の形態5と同一の構成要件については、同一の符号を付して説明する。実施の形態2における管体11は、内面に形成した溝12のリード角が、0°(基本部a)、角度Y(第一変則部b1)、角度0°(基本部a)、角度−Y(第二変則部c1)の関係で連続した配置構成となっている。
【0108】
まず、図15(a)で示すように、内面に管軸Pと平行に延びる溝12が形成された所定長さの管体11の一端をクランプ41で掴み固定する。そして、クランプ41からリード角が、0°(基本部a)、角度Y(第一変則部b1)、角度0°(基本部a)、角度−Y(第二変則部c1)の関係(以下、1ストロークと称す)が成立する間隔を確保した箇所をクランプ(本発明のクランプ具に相当)44で掴み固定する。
【0109】
次に、第一変則部b1と第二変則部c1の間に位置する基本部aの間隔に設定されたクランプ42、43を、所定の位置(第一変則部b1と基本部aの境界部、および基本部aと第二変則部c1の境界部)で掴み固定し、リード角形成工程に移る。
【0110】
ここで、クランプ42、43は、便宜上クランプ41、44の動作に時差を設けて動作するように説明したが、予め前述の位置が設定されている状態であれば、クランプ41、44の掴み動作と一連の動作として行うことができる。
【0111】
なお、必要に応じてクランプ41、44を挟むようにして、管体11を軸方向への移動、および回転が自由に行える如く支持する支持体45を設けてもよい。
【0112】
リード角形成工程では、図15(b)で示すように、両端のクランプ41、44を掴み状態として固定し、クランプ42、43を同期して矢印α方向に所定角度Y回転し、停止することによって、1ストロークのリード角形成工程が終了する。
【0113】
したがって、管体11は、クランプ41およびクランプ44を起点にひねり加工が施される。すなわち、クランプ41とクランプ42の間では、クランプ41(または、クランプ42)を起点に角度Yのひねり加工が行われ、クランプ43とクランプ44の間では、クランプ44(または、クランプ43)を起点に角度−Yのひねり加工が行われる。
【0114】
また、クランプ42とクランプ43の間は、両クランプ42、43が同期して回転するため、溝12には異なる角度のリード角が形成されず、初期のリード角0°が維持されたままとなる。
【0115】
したがって、上述の1ストロークの終了に引き続き、各クランプ41、42、43、44を初期状態(離し状態)にし、管体1を周知の手段によって次のストローク分軸方向(図中左方向)に移動し、上述の如く各クランプ41、42、43、44を動作(掴み固定、掴み回転)することを連続することにより、内面に形成した溝12のリード角が、0°(基本部a)、角度Y(第一変則部b1)、角度0°(基本部a)、角度−Y(第二変則部c1)の関係で連続した配置構成を得ることができる。
【0116】
なお、本実施の形態6においても、管体11の内面に形成された溝12のリード角を初期値として0°とする必要は無く、予め所定角度のリード角が形成された領域を基本部aと定義することもできる。
【0117】
上述の工程を経て形成された管体11を、適宜蛇行状に湾曲加工することにより、実施の形態4で説明した熱交換器31の伝熱管として用いることができる。
【0118】
例えば、基本部aを直管部21aとし、第一変則部b1を湾曲部21bとし、次の基本部aを次段の直管部21aとし、第二変則部c1を次段の湾曲部21bとし、以下これを繰り返すことによって、特に湾曲部21bにおける流体(冷媒)の撹拌を促進し、熱交換効率を高める熱交換器31を得ることができる。
【0119】
また、逆に第一変則部b1、および第二変則部c1を直管部21aとし、基本部aを湾曲部21bとする蛇行状の伝熱管とすることもできる。かかる場合は、特に直管部21aにおけるリード角の方向が異なるため、流体をより長い距離に亘って撹拌することができ、熱交換器31における熱交換性能の向上が期待できる。
【0120】
本実施の形態6においては、各クランプ41、42、43、44の掴み状態における回転方向、および回転角度を適宜定義することにより、流体を複雑に撹拌することができ、また、各クランプ41、42、43、44の間隔を定義することにより、必要な箇所のみに複数の変則部を形成することができる。
【0121】
つまり、対とするクランプ41、42およびクランプ43、44を、それぞれ軸方向および回転方向に独立して動作させることにより、管体1の軸方向の送り動作と合わせて、基本部aのみで形成された管体11の必要な領域に、実施の形態1乃至実施の形態3で説明した第一変則部b、b1、第二変則部c、c1を形成することができる。
【0122】
次に、図16により、実施の形態4で説明した熱交換器31を基調にして、第一変則部b、b1、および第二変則部c、c1を、必要とする領域へ形成した例について説明する。なお、矢印は、流体の流れる方向を示している。
【0123】
図16(a)は、実施の形態1で説明した第一変則部bを、直管部21aのみ(特定の領域)に形成し、直管部21aを流れる流体(冷媒)の旋回流と、その旋回流を緩和する基本部aの流れを交互に発生させ、流体の撹拌を促進して管内熱伝達率を向上し、熱交換性能を向上させる構成の例である。なお、湾曲部21bの内面に形成された溝のリード角の角度は、基本部aの溝のリード角の角度に戻されている。
【0124】
かかる第一変則部bは、管体1において、実施の形態5で説明した第一工程を、管体1を管軸P方向へ間欠して送りながら行うことによって形成することができ、その後、蛇行状に湾曲加工することにより、熱交換器31への組み込みが可能な伝熱管32を得ることができる。
【0125】
なお、実施の形態5における第一工程のクランプ42の回転角度、回転方向を考慮することにより、第一変則部b(溝2のリード角)を、実施の形態1の第二変則部c、あるいは実施の形態2の第一変則部b1、第二変則部c1のいずれかとすることもできる。
【0126】
図16(b)は、実施の形態2で説明した第一変則部b1と第二変則部c1を直管部21aのみ(特定の領域)に形成した構成を示し、基本部aを挟むことによって、第一変則部b1と第二変則部c1が間欠して配置された構成となっている。
【0127】
この構成によれば、直管部21aを流れる流体(冷媒)に、第一変則部b1による旋回流と、基本部aによる旋回流の緩和と、第二変則部c1による逆方向の旋回流を与え、流体の撹拌を複雑にして流体の管内熱伝達率を向上し、熱交換性能を向上させることができる。
【0128】
かかる第一変則部b1と第二変則部c1は、本実施の形態6で説明しているリード角形成工程において、各クランプ41、42、43、44の間隔を設定し、管体1を管軸P方向へ間欠して送りながら各クランプ41、42、43、44を回転することによって形成することができ、その後、蛇行状に湾曲加工することにより、熱交換器31への組み込みが可能な伝熱管32を得ることができる。
【0129】
なお、実施の形態6におけるリード角形成工程のクランプ42、43、44の回転角度、回転方向を考慮することにより、第一変則部b1(溝2のリード角)、第二変則部c1(溝2のリード角)の角度関係を、実施の形態1の第一変則部b、第二変則部cの角度関係と同様の関係とすることもできる。
【0130】
図16(c)は、実施の形態1で説明した第一変則部bと第二変則部cを連続させ、第一変則部b、第二変則部cの配列を、基本部aを介して間欠となるように直管部21aのみ(特定の領域)に形成した構成を示している。
【0131】
この構成によれば、直管部21aを流れる流体(冷媒)の流れを、第一変則部bによる旋回流に第二変則部cによる旋回流を加えた旋回流とし、基本部aでその旋回流を緩和する流れを繰り返すこととなり、これによって流体(冷媒)の撹拌を促進して管内熱伝達率を向上し、熱交換性能を向上することができる。
【0132】
かかる第一変則部bと第二変則部cは、実施の形態5で説明した第一工程、第二工程において、各クランプ41、42、43の間隔を設定し、管体1を周知の手段にて管軸P方向へ間欠して送りながら各クランプ41、42、43を回転することによって形成することができ、その後、蛇行状に湾曲加工することにより、熱交換器31への組み込みが可能な伝熱管32を得ることができる。
【0133】
なお、実施の形態5で説明した第一工程、第二工程において、クランプ42、43の回転角度、回転方向を考慮することにより、第一変則部b(溝2のリード角の角度x)、第二変則部c(溝2のリード角の角度y)の角度関係を、実施の形態2の基本部aを介しない第一変則部b1、第二変則部c1の角度関係と同様の関係とすることもできる。
【0134】
上述の如く、本実施の形態6においては、内面に管軸P方向に延びる溝2を形成した管体1の適宜箇所を、溝2のリード角が変わるように加工することができるため、流体の流れに、該流体に適した旋回流を発生させることができ、流体を管内表面側から管軸寄りに亘って撹拌することができる。
【0135】
なお、上述の各実施の形態1乃至6においては、金属製の管体を主体に説明したが、樹脂製の管体の場合も同様に実施でき、特に樹脂製であれば、加工時に適当な熱を加えながら加工することも可能となり、金属製に比較して加工成形が容易となり、ひねり角度も大きくできる。また、金属製の管体1においても、材質によっては、加工時に適当な熱を加えることにより、加工成形を容易とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明にかかる内面溝付き管は、管全長に亘る任意の箇所における内面溝のリード角の角度を異なる角度に形成することにより、管内を流れる流体の流れ状態に変化を伴わせ、流体の撹拌を促進することができるもので、家庭用の冷蔵庫から自動販売機等の如く流体を冷媒とする熱交換器の他に、車両等に用いられるラジエーター、さらには、管内を流れる粉体の撹拌装置等、広い産業分野に亘って適用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】本発明の実施の形態1における内面溝付き管の一部を切欠いた斜視図
【図2】同実施の形態1における内面溝付き管の図1のA−A線による断面図
【図3】同実施の形態1における内面溝付き管の基本部の管軸方向での断面図
【図4】同実施の形態1における内面溝付き管の第一変則部の管軸方向での断面図
【図5】同実施の形態1における内面溝付き管の第二変則部の管軸方向での断面図
【図6】本発明の実施の形態2における内面溝付き管の一部を切欠いた斜視図
【図7】同実施の形態2における内面溝付き管の基本部の管軸方向での断面図
【図8】同実施の形態2における内面溝付き管の第一変則部の管軸方向での断面図
【図9】同実施の形態2における内面溝付き管の第二変則部の管軸方向での断面図
【図10】本発明の実施の形態3における内面溝付き管の一部を切欠いた斜視図
【図11】同実施の形態3における内面溝付き管を蛇行状に曲げ加工した状態を示す平面図
【図12】本発明の実施の形態4における内面溝付き管を具備した熱交換器の斜視図
【図13】同実施の形態4の熱交換器を構成する内面溝付き管の溝の配置状態を示す模式図
【図14】本発明の実施の形態5における内面溝付き管の加工工程説明図を示し、(a)は、加工前の状態を示す斜視図、(b)は、同加工工程における第一工程の状態を示す斜視図、(c)は、同加工工程における第二工程の状態を示す斜視図
【図15】本発明の実施の形態6における内面溝付き管の加工工程説明図を示し、(a)は、加工前の状態を示す斜視図、(b)は、同加工工程におけるリード角形成工程の状態を示す斜視図
【図16】同実施の形態6における内面溝付き管に設けた変則部の加工領域のパターン例を説明する熱交換器の平面図で、(a)は、単一の変則部を特定の領域に間欠して設けた場合の平面図、(b)は、異なる変則部を特定の領域に間欠して設けた場合の平面図、(c)は、異なる変則部を連続して間欠に配置した場合の平面図
【図17】従来例を示す伝熱管の内面に溝を形成するための装置の要部の斜視図
【図18】異なる従来例を示す内部に螺旋状の溝を形成した伝熱管の断面図
【符号の説明】
【0138】
1 管体(内面溝付き管)
2 溝
11 管体(内面溝付き管)
12 溝
21 管体(内面溝付き管)
21a 直管部
21b 湾曲部
31 熱交換器
32 伝熱管(内面溝付き管)
32a 流体入口
32b 流体出口
33 プレートフィン
34 端板
41 クランプ(クランプ具)
42 クランプ(クランプ具)
43 クランプ(クランプ具)
44 クランプ(クランプ具)
45 支持体
P 管軸
a 基本部
b 第一変則部
c 第二変則部
b1 第一変則部
c1 第二変則部
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器用の伝熱管等に使用される内面溝付き管とその製造方法、および内面溝付き管を用いた熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷凍装置、あるいはボイラ等の熱交換器等において、前記熱交換器を構成する伝熱管に内面溝付き管を用い、熱交換性能の向上をはかることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図17は、上記特許文献1に記載された伝熱管の内面に溝を形成するための装置の一例であって、円筒状マンドリル70の外周に、内面溝81を形成する突起71を設けた加工装置である。
【0004】
この加工装置を伝熱管80の内部に圧入することにより、伝熱管80に内面溝81を形成することができる。
【0005】
また、図18に示す如く内面溝91に一定のリード角βをもたせて螺旋状に形成する内面溝付き管90も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開昭56−100297号公報
【特許文献2】特開2005−127570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の内面溝付き管90は、リード角αを途中で変更することが困難であった。したがって、内面溝付き管90内を流れる流体は、終始一定のリード角αに沿って流れる状態にあり、撹拌され難く、例えば、熱交換器の場合であると性能の更なる向上は期待できない構成であった。
【0007】
また、リード角αの異なる内面溝付き管90を用意し、ロウ付け等によって一体化することも可能であるが、工数がかかり、またロウ付けの信頼性にも課題が残るものである。
【0008】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、一本の管において、内面溝のリード角が異なる変則部を設け、内部を流れる流体の撹拌作用を向上する内面溝付き管を提供し、また、前記変則部が容易に任意の箇所に形成できる製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明は、内面に直線状もしくは一定のリード角をもって緩やかな螺旋状に延びる複数の溝を設けた管体において、少なくとも一部に、前記リード角の角度と異なる角度で螺旋状に延びる変則部を設けた内面溝付き管とするものである。
【0010】
かかることにより、前記管体の一部に設けた変則部により、管体内を流れる流体(気体、液体、粉末等)の流れに変化をもたらすことができ、流体の状態変化あるいは複数種類の流体の混合作用等に適した管路を構成することができる。
【0011】
また、本発明は、熱交換器の流体が流れる管路を、前記変則部を設けた内面溝付き管としたもので、かかることにより、管路内を流れる流体の層流を撹拌することができ、熱交換性能の向上をはかることができる。
【0012】
さらに、本発明は、内面に直線状もしくは一定のリード角をもって緩やかな螺旋状に延びる複数の溝を設けた管体の適宜箇所をクランプ具によって固定し、前記管体を固定した状態で、該管体の端部より所定の角度のひねり加工を行うことにより、前記溝の角度が異なる変則部を、適宜箇所より形成する内面溝付き管の製造方法とするものである。
【0013】
かかることにより、前記クランプ具で固定した箇所を境にリード角の異なる内面溝を形成することができる。したがって、管体をひねる比較的単純な動作で内面溝のリード角の角度を変更することができ、安価に作成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、一本の管体において、異なるリード角をもつ内面溝付き管とすることにより、管体内を流れる流体の流れに変化をもたせることができ、流体の撹拌作用を向上することができる。したがって、管体内を流れる流体の状態変化、あるいは複数種類の流体の混合を促進することが可能となり、所望する流体の状態を生成することができる。
【0015】
また、本発明は、上記内面溝付き管を熱交換器の管路とすることにより、管路内を流れる流体の層流を乱すことができるもので、簡単な構成で、部品点数を増やすことなく、流体を撹拌することが可能となり、熱交換作用を向上することができる。
【0016】
さらに、本発明は、内面溝付き管の一部をクランプ具によって固定し、この固定箇所を中心に管を反クランプ具側より円周方向にひねり加工を行うことにより、内面溝のリード角の角度が異なる変則部を形成する方法であるため、固定箇所の位置を変えることによって任意の箇所に変則部を形成することができ、さらに、前記ひねり加工に伴うひねり角度を調節することによって、内面溝のリード角を任意の角度に設定することができるものである。
【0017】
したがって、用途に応じた内面溝付き管を、比較的簡単に形成することができ、安価に作成することができる。
【0018】
さらに、本発明は、内面溝付き管の適宜箇所を、所定間隔介して位置する複数対のクランプ具によって固定し、前記管体を前記クランプ具によって固定した状態で、少なくとも対を成す一方のクランプ具を回転させることにより、前記溝のリード角の角度が異なる変則部を形成する方法であるため、対を成すクランプ具の位置、あるいは間隔に応じて所望の箇所、領域に前記変則部を形成することができ、また、クランプ具の回転方向、回転角度によって任意の螺旋(回転)方向、角度の溝を形成することができ、さらに、深い溝から浅い溝にわたって適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
請求項1に記載の発明は、内面に管軸と平行、もしくは管軸を基準に一定のリード角をもって緩やかな螺旋状に延びる複数の溝を設けた管体において、少なくとも一部に、前記リード角の角度と異なる角度で螺旋状に延びる第一変則部を設けたものである。
【0020】
かかる構成とすることにより、管体内を流れる流体(気体、液体等)の流れを、前記第一変則部によって変化させることができ、流体の撹拌、状態変化あるいは複数種類の流体の混合作用等に適した管路を構成することができる。
【0021】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内面溝付き管において、前記第一変則部を、前記管体の複数箇所に設けたものである。
【0022】
かかることにより、前記第一変則部によって流体の状態変化を複数回生じさせることができ、流体を十分に撹拌、状態変化させることが可能となり、また複数種類の流体の混合作用においても十分な混合効果が期待できるものである。
【0023】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の内面溝付き管において、前記管体に、前記第一変則部におけるリード角の角度と異なる角度のリード角となる第二変則部を設けたものである。
【0024】
かかる構成とすることにより、流体の流れにおいて、前記第一変則部と第二変則部により、さらに異なる変化を生じさせることができ、流体に適応した状態変化を生成することができる。
【0025】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の内面溝付き管において、前記第二変則部を、前記管体の複数箇所に設けたものである。
【0026】
かかる構成とすることにより、流体が複数の第二変則部を通過する際に、さらに流体の流れに変化を生じさせることができ、流体の撹拌作用等において、流体に適応した状態変化を生成することができる。
【0027】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の内面溝付き管において、前記管を蛇行状に湾曲加工したものである。
【0028】
かかる構成とすることにより、前記第一変則部あるいは第二変則部によって、長い管路内を流れる流体の流れに状態変化を積極的に伴わせることができ、また、管路を長く形成することに伴う流れ抵抗の増大を、例えば、特に流れ抵抗が大きくなる箇所を除いて前記第一変則部あるいは第二変則部を設定し、内面溝のリード角を変えて撹拌作用の促進と流体の流れ抵抗の抑制をはかる等の策を講じることができ、流れ特性の改善をはかることができるものである。
【0029】
請求項6に記載の発明は、少なくとも内部を流体が流れる伝熱管を具備した熱交換器であって、前記伝熱管を、請求項1から5のいずれか一項に記載の内面溝付き管とした熱交換器である。
【0030】
かかることにより、伝熱管内を流れる冷媒等の流体の層流を乱すことができるもので、簡単な構成で、部品点数を増やすことなく、流体を撹拌することが可能となり、熱交換作用を向上することができる。
【0031】
請求項7に記載の発明は、内面に直線状、もしくは一定のリード角をもって緩やかな螺旋状に延びる複数の溝を設けた管体の適宜箇所をクランプ具によって固定し、前記クランプ具によって管体を固定した状態で、該管体を反クランプ具側より所定角度のひねり加工を行うことにより、前記溝の角度が異なる変則部を形成する内面溝付き管の製造方法である。
【0032】
かかる方法によれば、適宜箇所を管の中間部とすれば、クランプ具による固定箇所から中間部に亘って変則部が形成でき、また、適宜箇所を端部とすることにより、管全長に亘って螺旋溝が形成できる。さらに、ひねり加工に伴うひねり角度を調整することにより、所望するリード角の内面溝を形成することができる。
【0033】
かかる方法は、深い溝から浅い溝に亘って適用できる製造方法であり、さらに、金属あるいは樹脂を材料とする管体に適用することができる。
【0034】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の製造方法において、前記クランプ具によって前記管体の適宜箇所を固定し、該管体の反クランプ具側より所定角度のひねり加工を行う加工を、前記管体の複数箇所にわたって行うようにしたものである。
【0035】
かかることにより、一本の管体において、複数箇所に変則部を形成することができ、しかも、一様の変則部の形成が可能であり、流体の撹拌効果、状態変化が大きい内面溝付き管を得ることができる。
【0036】
請求項9に記載の発明は、内面に直線状、もしくは一定のリード角をもって緩やかな螺旋状に延びる複数の溝を設けた管体の中間部を、所定間隔介して位置する複数対のクランプ具によって固定し、その固定状態において、前記対を成す少なくとも一方のクランプ具を回転させることにより、前記溝のリード角の角度が異なる変則部を形成する内面溝付き管の製造方法である。
【0037】
かかる方法によれば、所定の領域に前記変則部を形成することができ、また、クランプ具の回転角度によって任意のリード角の内面溝を形成することができる。
【0038】
さらに、深い溝から浅い溝に亘って適用できる製造方法であるため、金属あるいは樹脂を材料とする管体に適用することもできる。
【0039】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の製造方法において、前記対を成すクランプ具における回転するクランプ具の少なくとも回転方向、もしくは回転角度を、異なる方向もしくは異なる角度としたものである。
【0040】
かかることにより、一本の管体において、複数形成した変則部の内面溝を、それぞれ異なるリード角をもつ内面溝とすることができ、流体の特性に応じた撹拌作用、状態変化が得られる管を製造することができる。
【0041】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0042】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における内面溝付き管の一部を切欠いた斜視図である。図2は、図1のA−A線による同内面溝付き管の断面図である。図3は、同内面溝付き管における基本部の管軸方向での断面図である。図4は、同内面溝付き管における第一変則部の管軸方向での断面図である。図5は、同内面溝付き管における第二変則部の管軸方向での断面図である。
【0043】
図1乃至図5において、内面溝付き管(以下、管体と称す)1はアルミニウム製の金属管で、内面には、管軸P方向に延びる多数の溝2が形成されている。
【0044】
管体1の内面に設けられた溝2は、図3に示す如く管軸Pと平行に延びる基本部aと、図4、図5に示す如く管軸Pに対してリード角が異なる第一変則部bと第二変則部cよりなり、第二変則部cのリード角は、第一変則部bのリード角の角度xよりもさらに大きな角度yに形成されている。ここで、基本部a、および第一、第二それぞれの変則部b、cにおける溝2の境界部は、分断されないでつながった状態を基本としているが、部分的に管体1の材料の塑性変形の範囲を超え、溝2を形成する壁部2aの一部が破損された状態であっても支障はない。
【0045】
上記構成の管体1は、管軸P方向においてリード角が0°の基本部aから徐々に(段階的に)リード角が大きくなる第一変則部b、第二変則部cを連続して形成しているため、例えば管体1の内部を流体である温水が流れる場合は、基本部aから管軸P方向へ流れるにつれて大きく旋回流が生成され、これに伴って温水は、第一変則部b、第二変則部cと通過するたびに撹拌され、状態が変化する。その結果、温水は、管内での流れにおいて中心部(管軸P)側と管内表面近くの層流が撹拌され、十分な撹拌効果を得ることができる。
【0046】
したがって、管体1内を流れる流体が、温水あるいは冷媒のような熱交換のための液体、気体であれば、その流れる状態を変化させることに伴って熱交換作用を十分に引き出すことができ、熱交換効率(管内熱伝達率)を高めることができる。
【0047】
なお、管体1における溝2の初期状態である基本部aは、リード角が管軸Pと平行である場合について説明したが、緩やかなリード角をもった溝2を基本部aとし、これより角度の異なるリード角を形成して第一変則部b、第二変則部cとすることもできる。
【0048】
また、変則部b、cの数は、任意に増加することができ、リード角の角度についても、任意に設定することができるものである。
【0049】
さらに、本実施の形態1においては、管体1の溝2の形態を、第一変則部aと第二変則部bを形成した構成としたが、管体1の用途等に応じて、管体1の溝2の形態を、基本部aと第一変則部b、または、基本部aと第二変則部cを組合せた形態、あるいは、第一変則部bと第二変則部cを組合せた形態とすることもできる。
【0050】
さらに、管体1内を、例えば、液体と粉体といった混合物が流れる場合は、前述の撹拌作用によって効果的に混合させることができる。
【0051】
また、管体1は、用途等に応じて、アルミニウム以外の金属管、あるいは塩化ビニル樹脂等の樹脂製の管を用いることが可能であり、同様に内面に形成した溝のリード角が異なる変則部を形成することもできる。
【0052】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2における内面溝付き管の一部を切欠いた斜視図である。図7は、同内面溝付き管における基本部の管軸方向での断面図である。図8は、同内面溝付き管における第一変則部の管軸方向での断面図である。図9は、同内面溝付き管における第二変則部の管軸方向での断面図である。
【0053】
ここで、先の実施の形態1と同じ構成要件については、同一の符号を付し、実施の形態1と相違する部分を主体に説明する。
【0054】
図6において、先の実施の形態1と異なる構成は、管体11において、第一変則部b1と第二変則部c1の間に基本部aを設け、この配置に伴って連続する溝12のリード角の方向を変えた点である。
【0055】
すなわち、基本部aのリード角の角度を、管軸Pと平行(0°)とし、第一変則部b1のリード角の角度をYとし、さらに第二変則部c1のリード角の角度を−Yとしている。
【0056】
上記構成の管体11は、管軸P方向においてリード角が0°の基本部aから第一変則部b1(リード角の角度Y)、基本部a、第二変則部c1(リード角の角度−Y)と連続して形成しているため、例えば管体11の内部を温水が流れる場合は、基本部aから管軸P方向へ流れるにつれて第一変則部b1でリード角の角度Yに伴う旋回流が生成され、そして基本部aでその旋回流が緩和され、さらに第二変則部c1でリード角の角度−Yに伴う逆方向の旋回流が生成されることになる。この変則流は、第一変則部b1、基本部a、第二変則部c1配置の連続する数に応じて継続することができる。また、流体(例えば、温水)の旋回流の旋回強さは、第一変則部b1、第二変則部c1の長さによって調整することができる。すなわち、第一変則部b1、第二変則部c1の長さが長いほどそれぞれの方向における旋回流が強く(深く)なり、基本部aが長いほどその旋回流の旋回が弱められる。
【0057】
したがって、温水は、基本部a、第一変則部b1、基本部a、第二変則部c1と通過するたびに状況が変化し、撹拌される。特に、第一変則部b1と第二変則部c1は、溝12におけるリード角の方向が逆であるため、管体11の内部を流れる温水等の流体は、複雑に変動しながら流れることになり、十分な撹拌効果を得ることができる。
【0058】
したがって、管体11内を流れる流体が、温水あるいは冷媒のような熱交換のための液体、気体であれば、熱交換(管内熱伝達)作用を十分に引き出すことができ、熱交換効率(管内熱伝達率)を高めることができる。
【0059】
なお、上記第一変則部b1、第二変則部c1は、管体11が金属製(アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等)、樹脂製(塩化ビニル樹脂等)いずれの場合であっても形成することができる。
【0060】
さらに、管体11内を、例えば、液体と粉体といった混合物が流れる場合は、前述の撹拌作用によって効果的に混合させることができる。
【0061】
なお、基本部aの初期構成、変則部b1、c1の数等については、先の実施の形態1と同様に設定できるものである。また、第一変則部b1と第二変則部c1の間に基本部aを設ける必要はなく、第一変則部b1と第二変則部c1が交互に連続する構成とすることもできる。さらに、基本部aを、管軸Pと平行なリード角を有する溝12ではなく、予め緩やかなリード角の溝12が形成された部分を基本部aとし、この基本部aにおける溝12のリード角の角度と異なる角度のリード角の溝12を有する複数の変則部で内面溝を形成することもできる。
【0062】
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3における内面溝付き管の一部を切欠いた斜視図である。図11は、同内面溝付き管を蛇行状に曲げ加工した状態を示す平面図である。
【0063】
ここで、先の実施の形態1、2と同じ構成要件については、同一の符号を付し、実施の形態1、2と相違する部分を主体に説明する。
【0064】
図10において、アルミニウム製の管体21は、その内面に、実施の形態1で説明したリード角を角度xとする第一変則部bの溝2を形成した構成を基調とし、所定位置に管軸Pと平行な溝2を形成した基本部aが設けられている。したがって、本実施の形態3における管体21は、所定長さの第一変則部bと所定長さの基本部aが交互に連続した構成であり、その内面は、リード角が角度xの溝2とリード角0°の溝2が交互に形成された構成となっている。
【0065】
そして、図11に示す如く管体21は、所定長さの直管部21aと、180°に曲げ加工された湾曲部21bが交互に連続する蛇行状に曲げ加工されている。上述の配置関係から、直管部21aの内面の溝2のリード角は、第一変則部bのリード角(角度x)であり、湾曲部21bの内面の溝2のリード角は、基本部aのリード角(0°)となっている。
【0066】
上記蛇行状の管体21を流れる流体は、まず直管部21aを流れる際に第一変則部bの溝2形状(リード角)によって旋回流となり、管軸P近辺と管内表面近くの層流が撹拌された流れが形成される。そして湾曲部21bを流れるときには基本部aの溝2形状(リード角)によってその旋回流が緩和され、さらに直管部21aを流れる際に再度旋回流となり、以下旋回流の緩和と再度の旋回流が繰り返し行われて管体21を通過する。
【0067】
したがって、流体が例えば温水等の冷媒である場合は、直管部21aでの撹拌された旋回流によって管体21表面との熱伝達(管内熱伝達)が促進され、湾曲部21bでは、湾曲に伴う管路の流速抵抗の増加を、リード角0°の溝2とすることに伴う旋回流の緩和で抑制することができ、流体の流れを円滑とすることができる。その結果、蛇行した管路形状の管体21でありながら、流体の撹拌された旋回流と、円滑な流体の流れによって、熱伝達(管内熱伝達)性能を向上することができる。
【0068】
さらに、流体の特性、あるいは流体が流れる管路の条件によっては、特に湾曲部21bでの熱伝達(管内熱伝達)を効率よく行うことができる構成を必要とする場合もある。
【0069】
例えば、直管部21aでは、積極的に流体に旋回流を生じさせず、通常の流れで熱伝達を行い、湾曲部21bで流体に旋回流を生じさせ、その旋回流に伴う撹拌作用によって流体の熱伝達を活性化させる構成を要する場合は、直管部21aに基本部aの構成を採用し、湾曲部21bに第一変則部bの構成を採用すればよい。
【0070】
このように、管体21において、リード角が異なる溝2が形成された基本部aと第一変則部bを組み合わせた配置関係を形成し、これを蛇行状に曲げ加工した管路は、流体の熱伝達(管内熱伝達)を用途に適合するように制御することができる。
【0071】
なお、溝2における異なる角度のリード角の組合せは、上述に限るものではなく、実施の形態1、2で説明した第一変則部b1、第二変則部c、c1を必要に応じて適宜配置する組合せとすることもできる。
【0072】
また、管体21は、アルミニウム以外の金属製であってもよく、また、塩化ビニル樹脂等の樹脂製であってもよい。
【0073】
(実施の形態4)
図12は、本発明の実施の形態4における内面溝付き管を具備した熱交換器の斜視図である。図13は、同熱交換器を構成する内面溝付き管の溝の配置状態を示す模式図である。
【0074】
ここで、先の実施の形態1乃至3と同じ構成要件については、同一の符号を付し、実施の形態1乃至3と相違する部分を主体に説明する。
【0075】
図12において、熱交換器31は、対角位置に流体入口32aと流体出口32bが位置する如く、上下(段)方向と左右(列)方向において直管部21aと湾曲部21bが交互に連続することによって蛇行状に湾曲形成されたアルミニウム製の伝熱管(本発明の管体に相当)32と、相互に平行となるように多数配置され、前記蛇行状に湾曲形成された伝熱管32が貫通したアルミニウム製のプレートフィン33と、このプレートフィン33の両端に配置され、該プレートフィン33と同様に伝熱管32が貫通した鉄製の端板34より構成されている。
【0076】
その結果、伝熱管32における直管部21aがプレートフィン33、端板34と密着し、湾曲部21bが端板34から露出した状態となっている。
【0077】
ここで、伝熱管32の内面には、実施の形態1乃至3で説明したように、管軸方向Pに延びる多数の溝2が形成されており、この溝2における流体入口32aから流体出口32bの間は、該溝2のリード角が複数の角度に異なって形成(配置)されている。
【0078】
次に、図13により、伝熱管32における異なる角度のリード角に形成された溝2の配置状態について説明する。ここでは、熱交換器31を、冷凍サイクルを構成する蒸発器として用いる場合について説明する。
【0079】
一般に、蒸発器において、伝熱管32内を冷媒が流れる場合、流体入口32a側では液成分が占める液相状態であり、流体出口32b側へ進むにつれて気体(ガス)成分が増加し、流体入口32aと流体出口32bの中間部分では液相と気相が混合する気液混合の二相状態となり、流体出口32b側では気体成分が占める気相状態にある。
【0080】
したがって、熱交換器31の機能を十分に発揮するためには、冷媒(流体)が流れる伝熱管32内の管内圧力損失、あるいは管内熱伝達率の分布を考慮した最適な仕様とする必要がある。
【0081】
かかることから、本実施の形態4においては、図13に示す如く流体入口32a側に近い領域Aでは、溝2のリード角を角度yとし、流体入口32aと流体出口32bの中間に位置する領域Bでは、溝2のリード角を角度x(角度y>角度x)とし、流体出口32bに近い領域Cでは、溝2のリード角を0°(管軸Pと平行)としている。
【0082】
換言すると、伝熱管32は、実施の形態1で説明した管体1の構成と同様に、基本部a、第一変則部b、第二変則部cが形成された構成であり、流体入口32aから流体出口32bにかけて第二変則部cを領域Aに、第一変則部bを領域Bに、基本部aを領域Cに配置した構成となっている。
【0083】
その結果、流体入口32aに近い領域Aでは、冷媒が液成分を占めている状態であるため、溝2のリード角の角度を大きく(角度y)することにより、冷媒の流速を速め、同時に撹拌作用を大きくすることと合わせて、熱交換作用を促進することができる。また、領域Aでは、冷媒が液相状態、もしくは大半が液相状態であるため、比較的管内圧力損失が低く、溝2のリード角の角度を大きくしても、熱交換作用において管内圧力損失に伴う影響を受け難くすることができる。
【0084】
また、冷媒の蒸発作用が進んだ領域Bにおいては、冷媒は液相と気相が混在する気液二相状態にあるため、領域Aと比較して管内圧力損失が大きい状態にあり、熱交換作用も低下する傾向にある。しかし、冷媒は、蒸発が可能な状態にあり、溝2の形成に伴う旋回流によって熱交換作用の促進効果が期待できるため、溝2のリード角の角度を小さく(角度x)することにより、管内圧力損失の影響を抑制しつつ、熱交換促進効果を得ることができる。リード角の角度xの設定については、熱交換作用において、管内圧力損失に伴うロスと熱交換促進効果のバランスを考慮し、角度y>角度xの関係が維持できる最適な値を設定すればよい。
【0085】
さらに、流体出口32bに近い領域Cにおいては、一般的に冷媒は気相が占める状態にあり、熱交換作用が大きく期待できる状態ではない。加えて、管内圧力損失も高いことから、領域Cにおいては、熱交換作用の促進よりも管内圧力損失の増加に伴う影響の抑制を重視することが好ましい。
【0086】
かかる点から、伝熱管32における領域Cでは、溝2のリード角の角度をさらに小さく(本実施の形態4では0°)することにより、冷媒の流れが円滑化され、管内圧力損失の増加を抑制することができる。その結果、管内圧力損失に伴う圧縮機(図示せず)等のエネルギーの消費を抑制しつつ、微小であるが熱交換作用の継続が期待できる。
【0087】
したがって、本実施の形態4における熱交換器31は、伝熱管32を流体入口32aから流体出口32bにかけて大きく三つの領域A、B、Cに区画し、それぞれの領域A、B、Cに対応して第二変則部c、第一変則部b、基本部aを配置する構成としたことにより、伝熱管32の内面に形成した溝2のリード角の角度yを、途中で異なるリード角の角度x、流体出口32b側で0°となるように形成し、管内圧力損失を抑制しつつ、流体(冷媒)の継続した撹拌作用を得ることができ、熱交換能力を高めることができる。
【0088】
また、1本の伝熱管32を湾曲加工する構成であるため、リード角の角度が異なる配管を接続する溶接作業が伴うこともなく、組立作業の簡素化が可能となり、溶接不良に伴う流体の漏れリスクも極めて小さい熱交換器31を得ることができる。
【0089】
なお、本実施の形態4においては、熱交換器31の作用を、冷凍サイクルを構成する蒸発器を例に説明したが、冷凍サイクルを構成する凝縮器とする場合であっても、冷媒の状態に応じて管内圧力損失、管内熱伝達率を最適値に維持できるように、伝熱管32の内面に形成した溝2のリード角の角度を設定することにより、同様の作用効果が期待できる。
【0090】
また、熱交換媒体である流体を温水、あるいは冷水等の液体、さらにはスチーム等の気体(ガス)とする熱交換器においても、同様に伝熱管32内に形成した溝2の大きさ(幅、深さ等)、およびその溝2のリード角の角度を適宜最適値に設定することにより、効率的な熱交換作用を得ることが期待できる。
【0091】
さらに、伝熱管32は、アルミニウム以外の金属(アルミニウム合金、銅、銅合金等)であってもよい。
【0092】
(実施の形態5)
図14は、本発明の実施の形態5における内面溝付き管の加工工程説明図で、(a)は、加工前の状態を示す斜視図、(b)は、同加工工程における第一工程の状態を示す斜視図、(c)は、同加工工程における第二工程の状態を示す斜視図である。
【0093】
本実施の形態5においては、実施の形態1で説明した管体1を加工形成する場合について説明し、また、実施の形態4で説明した熱交換器31を管体1の用途例として説明する。したがって、実施の形態1および実施の形態4と同じ構成要件については、同一の符号を付して説明する。
【0094】
まず、図14(a)で示すように、内面に管軸Pと平行に延びる溝2が形成された所定長さのアルミニウム製の管体1の一端をクランプ41で掴み固定する。そして、一端から基本部aを形成する位置(第一変則部bが始まる位置)をクランプ42で掴み、さらにクランプ42から第一変則部bを形成する位置(第二変則部cが始まる位置)にクランプ43を配置し、かかる初期状態から第一工程が開始される。なお、クランプ41、42、43は、本発明のクランプ具に相当するものである。ここで、各クランプ41、42、43は、該クランプ41、42、43を回転する機構の一例として、アーム41a、42a、43aを具備した構成としている。なお、必要に応じて管体1の両端に、管体1を軸方向への移動、および回転が自由に行える如く支持する支持体45を設けてもよい。
【0095】
第一工程では、図14(b)で示すように、クランプ41を掴み状態として管体1の一端部を固定し、他端部のクランプ43は離し状態で管体1が回転可能となる状態としておく。そして、クランプ42を、アーム42aを利用する等して矢印α方向に所定角度x回転し、停止する。これにより、管体1は、クランプ41を起点にひねり加工が施され、これに伴い、内面に形成された溝2は、二点鎖線で示す如く、管軸Pに対して角度xのリード角が形成され、第一工程が終了する。したがって、この状態においては、内面に形成された溝2は、クランプ42以降が第一変則部bのリード角状態(角度x)で延びている。
【0096】
第二工程では、図14(c)で示すように、少なくともクランプ42をその位置で、または初期位置に復帰させて固定し、クランプ43を掴み状態にし、上述と同様にアーム43aを利用する等して矢印α方向に角度(y−x)回転する。これにより、管体1のクランプ42とクランプ43の間は、図14(a)の時点から角度y回転した状態となり、加工工程を完了する。
【0097】
上記クランプ42、43の掴み動作と回転動作は、例えば、シーケンス制御回路によって運転が制御される自動装置にて容易に行うことができる。
【0098】
したがって、上述の加工工程を経て形成された管体1は、図中左側から、溝2のリード角が管軸Pと平行(0°)の基本部a、溝2のリード角が角度xの第一変則部b、溝2のリード角が角度y(角度y>角度x)の第二変則部cが形成された管体1となる。
【0099】
上述の如く形成された管体1を、例えば実施の形態4の熱交換器31の伝熱管32として用いる場合、第二変則部cを流体入口32a側に近い領域Aとして、第一変則部bを中間部である領域Bとして、基本部aを流体出口32cに近い領域Cとしてそれぞれ用い、適宜箇所で湾曲して蛇行状に形成することにより、実施の形態4で説明したリード角の角度配置の溝2が形成された伝熱管32が得られ、熱交換能力高めた熱交換器31を得ることができる。
【0100】
なお、クランプ41、42、43については、本発明の要旨と直接関係しないことから特に説明していないが、管体1の掴みおよび離しが可能で、掴み状態、離し状態それぞれにおいて所定の角度回転できる機構を具備した周知の装置でよいものである。
【0101】
また、本実施の形態5においては、基本部aの溝2のリード角を0°としたが、予め所定の角度のリード角に形成された溝(図示せず)を具備した管体1の場合についても、同様にクランプ41、42、43を制御することにより、管体1に、複数種類のリード角の溝を形成することができる。
【0102】
さらに、クランプの数を増やし、それぞれの回転角度を、管体1の材料が有する塑性変形許容範囲内において選択、調整することにより、管体1を破損することなく溝2に三種類以上のリード角を形成することができる。
【0103】
また、管体1の一端部を固定し、他端部を、上記クランプ等の掴み手段にて掴み固定し、その掴み手段を所定角度回転することにより、管体1の内面に形成した溝2の略全長に亘って所定角度のリード角を形成することができる。
【0104】
なお、本実施の形態5において、管体1が長尺の場合は、上述の加工工程を終えた後で、管体1を周知の手段によって軸方向に移動し、初期状態から再度上述の第一工程、第二工程を繰り返し行うことにより、基本部a、第一変則部b、第二変則部cの配置を1ストロークとする配置構成が繰り返し連続した長尺の管体1を得ることができる。そして、1ストローク単位で切断することにより、上述の伝熱管32を得ることができる。
【0105】
また、本実施の形態5における最終段のクランプ43の回転方向、および回転角度を制御することにより、第一変則部bに続く第二変則部cの溝2のリード角を0°、あるいは角度−xとする構成を得ることができる。
【0106】
(実施の形態6)
図15は、本発明の実施の形態6における内面溝付き管の加工工程説明図で、(a)は、加工前の状態を示す斜視図、(b)は、同加工工程におけるリード角形成工程の状態を示す斜視図である。図16は、同実施の形態6における内面溝付き管に設けた変則部の加工領域のパターン例を説明する熱交換器の平面図で、(a)は、単一の変則部を特定の領域に間欠して設けた場合の平面図、(b)は、異なる変則部を特定の領域に間欠して設けた場合の平面図、(c)は、異なる変則部を連続して間欠に配置した場合の平面図である。
【0107】
本実施の形態6においては、実施の形態2で説明した管体11を加工形成する場合について説明し、また、実施の形態4で説明した熱交換器31を管体11の用途例として説明する。したがって、実施の形態2および実施の形態4と同じ構成要件については、同一の符号を付して説明する。また、管体11の加工工程において、先の実施の形態5と同一の構成要件については、同一の符号を付して説明する。実施の形態2における管体11は、内面に形成した溝12のリード角が、0°(基本部a)、角度Y(第一変則部b1)、角度0°(基本部a)、角度−Y(第二変則部c1)の関係で連続した配置構成となっている。
【0108】
まず、図15(a)で示すように、内面に管軸Pと平行に延びる溝12が形成された所定長さの管体11の一端をクランプ41で掴み固定する。そして、クランプ41からリード角が、0°(基本部a)、角度Y(第一変則部b1)、角度0°(基本部a)、角度−Y(第二変則部c1)の関係(以下、1ストロークと称す)が成立する間隔を確保した箇所をクランプ(本発明のクランプ具に相当)44で掴み固定する。
【0109】
次に、第一変則部b1と第二変則部c1の間に位置する基本部aの間隔に設定されたクランプ42、43を、所定の位置(第一変則部b1と基本部aの境界部、および基本部aと第二変則部c1の境界部)で掴み固定し、リード角形成工程に移る。
【0110】
ここで、クランプ42、43は、便宜上クランプ41、44の動作に時差を設けて動作するように説明したが、予め前述の位置が設定されている状態であれば、クランプ41、44の掴み動作と一連の動作として行うことができる。
【0111】
なお、必要に応じてクランプ41、44を挟むようにして、管体11を軸方向への移動、および回転が自由に行える如く支持する支持体45を設けてもよい。
【0112】
リード角形成工程では、図15(b)で示すように、両端のクランプ41、44を掴み状態として固定し、クランプ42、43を同期して矢印α方向に所定角度Y回転し、停止することによって、1ストロークのリード角形成工程が終了する。
【0113】
したがって、管体11は、クランプ41およびクランプ44を起点にひねり加工が施される。すなわち、クランプ41とクランプ42の間では、クランプ41(または、クランプ42)を起点に角度Yのひねり加工が行われ、クランプ43とクランプ44の間では、クランプ44(または、クランプ43)を起点に角度−Yのひねり加工が行われる。
【0114】
また、クランプ42とクランプ43の間は、両クランプ42、43が同期して回転するため、溝12には異なる角度のリード角が形成されず、初期のリード角0°が維持されたままとなる。
【0115】
したがって、上述の1ストロークの終了に引き続き、各クランプ41、42、43、44を初期状態(離し状態)にし、管体1を周知の手段によって次のストローク分軸方向(図中左方向)に移動し、上述の如く各クランプ41、42、43、44を動作(掴み固定、掴み回転)することを連続することにより、内面に形成した溝12のリード角が、0°(基本部a)、角度Y(第一変則部b1)、角度0°(基本部a)、角度−Y(第二変則部c1)の関係で連続した配置構成を得ることができる。
【0116】
なお、本実施の形態6においても、管体11の内面に形成された溝12のリード角を初期値として0°とする必要は無く、予め所定角度のリード角が形成された領域を基本部aと定義することもできる。
【0117】
上述の工程を経て形成された管体11を、適宜蛇行状に湾曲加工することにより、実施の形態4で説明した熱交換器31の伝熱管として用いることができる。
【0118】
例えば、基本部aを直管部21aとし、第一変則部b1を湾曲部21bとし、次の基本部aを次段の直管部21aとし、第二変則部c1を次段の湾曲部21bとし、以下これを繰り返すことによって、特に湾曲部21bにおける流体(冷媒)の撹拌を促進し、熱交換効率を高める熱交換器31を得ることができる。
【0119】
また、逆に第一変則部b1、および第二変則部c1を直管部21aとし、基本部aを湾曲部21bとする蛇行状の伝熱管とすることもできる。かかる場合は、特に直管部21aにおけるリード角の方向が異なるため、流体をより長い距離に亘って撹拌することができ、熱交換器31における熱交換性能の向上が期待できる。
【0120】
本実施の形態6においては、各クランプ41、42、43、44の掴み状態における回転方向、および回転角度を適宜定義することにより、流体を複雑に撹拌することができ、また、各クランプ41、42、43、44の間隔を定義することにより、必要な箇所のみに複数の変則部を形成することができる。
【0121】
つまり、対とするクランプ41、42およびクランプ43、44を、それぞれ軸方向および回転方向に独立して動作させることにより、管体1の軸方向の送り動作と合わせて、基本部aのみで形成された管体11の必要な領域に、実施の形態1乃至実施の形態3で説明した第一変則部b、b1、第二変則部c、c1を形成することができる。
【0122】
次に、図16により、実施の形態4で説明した熱交換器31を基調にして、第一変則部b、b1、および第二変則部c、c1を、必要とする領域へ形成した例について説明する。なお、矢印は、流体の流れる方向を示している。
【0123】
図16(a)は、実施の形態1で説明した第一変則部bを、直管部21aのみ(特定の領域)に形成し、直管部21aを流れる流体(冷媒)の旋回流と、その旋回流を緩和する基本部aの流れを交互に発生させ、流体の撹拌を促進して管内熱伝達率を向上し、熱交換性能を向上させる構成の例である。なお、湾曲部21bの内面に形成された溝のリード角の角度は、基本部aの溝のリード角の角度に戻されている。
【0124】
かかる第一変則部bは、管体1において、実施の形態5で説明した第一工程を、管体1を管軸P方向へ間欠して送りながら行うことによって形成することができ、その後、蛇行状に湾曲加工することにより、熱交換器31への組み込みが可能な伝熱管32を得ることができる。
【0125】
なお、実施の形態5における第一工程のクランプ42の回転角度、回転方向を考慮することにより、第一変則部b(溝2のリード角)を、実施の形態1の第二変則部c、あるいは実施の形態2の第一変則部b1、第二変則部c1のいずれかとすることもできる。
【0126】
図16(b)は、実施の形態2で説明した第一変則部b1と第二変則部c1を直管部21aのみ(特定の領域)に形成した構成を示し、基本部aを挟むことによって、第一変則部b1と第二変則部c1が間欠して配置された構成となっている。
【0127】
この構成によれば、直管部21aを流れる流体(冷媒)に、第一変則部b1による旋回流と、基本部aによる旋回流の緩和と、第二変則部c1による逆方向の旋回流を与え、流体の撹拌を複雑にして流体の管内熱伝達率を向上し、熱交換性能を向上させることができる。
【0128】
かかる第一変則部b1と第二変則部c1は、本実施の形態6で説明しているリード角形成工程において、各クランプ41、42、43、44の間隔を設定し、管体1を管軸P方向へ間欠して送りながら各クランプ41、42、43、44を回転することによって形成することができ、その後、蛇行状に湾曲加工することにより、熱交換器31への組み込みが可能な伝熱管32を得ることができる。
【0129】
なお、実施の形態6におけるリード角形成工程のクランプ42、43、44の回転角度、回転方向を考慮することにより、第一変則部b1(溝2のリード角)、第二変則部c1(溝2のリード角)の角度関係を、実施の形態1の第一変則部b、第二変則部cの角度関係と同様の関係とすることもできる。
【0130】
図16(c)は、実施の形態1で説明した第一変則部bと第二変則部cを連続させ、第一変則部b、第二変則部cの配列を、基本部aを介して間欠となるように直管部21aのみ(特定の領域)に形成した構成を示している。
【0131】
この構成によれば、直管部21aを流れる流体(冷媒)の流れを、第一変則部bによる旋回流に第二変則部cによる旋回流を加えた旋回流とし、基本部aでその旋回流を緩和する流れを繰り返すこととなり、これによって流体(冷媒)の撹拌を促進して管内熱伝達率を向上し、熱交換性能を向上することができる。
【0132】
かかる第一変則部bと第二変則部cは、実施の形態5で説明した第一工程、第二工程において、各クランプ41、42、43の間隔を設定し、管体1を周知の手段にて管軸P方向へ間欠して送りながら各クランプ41、42、43を回転することによって形成することができ、その後、蛇行状に湾曲加工することにより、熱交換器31への組み込みが可能な伝熱管32を得ることができる。
【0133】
なお、実施の形態5で説明した第一工程、第二工程において、クランプ42、43の回転角度、回転方向を考慮することにより、第一変則部b(溝2のリード角の角度x)、第二変則部c(溝2のリード角の角度y)の角度関係を、実施の形態2の基本部aを介しない第一変則部b1、第二変則部c1の角度関係と同様の関係とすることもできる。
【0134】
上述の如く、本実施の形態6においては、内面に管軸P方向に延びる溝2を形成した管体1の適宜箇所を、溝2のリード角が変わるように加工することができるため、流体の流れに、該流体に適した旋回流を発生させることができ、流体を管内表面側から管軸寄りに亘って撹拌することができる。
【0135】
なお、上述の各実施の形態1乃至6においては、金属製の管体を主体に説明したが、樹脂製の管体の場合も同様に実施でき、特に樹脂製であれば、加工時に適当な熱を加えながら加工することも可能となり、金属製に比較して加工成形が容易となり、ひねり角度も大きくできる。また、金属製の管体1においても、材質によっては、加工時に適当な熱を加えることにより、加工成形を容易とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明にかかる内面溝付き管は、管全長に亘る任意の箇所における内面溝のリード角の角度を異なる角度に形成することにより、管内を流れる流体の流れ状態に変化を伴わせ、流体の撹拌を促進することができるもので、家庭用の冷蔵庫から自動販売機等の如く流体を冷媒とする熱交換器の他に、車両等に用いられるラジエーター、さらには、管内を流れる粉体の撹拌装置等、広い産業分野に亘って適用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】本発明の実施の形態1における内面溝付き管の一部を切欠いた斜視図
【図2】同実施の形態1における内面溝付き管の図1のA−A線による断面図
【図3】同実施の形態1における内面溝付き管の基本部の管軸方向での断面図
【図4】同実施の形態1における内面溝付き管の第一変則部の管軸方向での断面図
【図5】同実施の形態1における内面溝付き管の第二変則部の管軸方向での断面図
【図6】本発明の実施の形態2における内面溝付き管の一部を切欠いた斜視図
【図7】同実施の形態2における内面溝付き管の基本部の管軸方向での断面図
【図8】同実施の形態2における内面溝付き管の第一変則部の管軸方向での断面図
【図9】同実施の形態2における内面溝付き管の第二変則部の管軸方向での断面図
【図10】本発明の実施の形態3における内面溝付き管の一部を切欠いた斜視図
【図11】同実施の形態3における内面溝付き管を蛇行状に曲げ加工した状態を示す平面図
【図12】本発明の実施の形態4における内面溝付き管を具備した熱交換器の斜視図
【図13】同実施の形態4の熱交換器を構成する内面溝付き管の溝の配置状態を示す模式図
【図14】本発明の実施の形態5における内面溝付き管の加工工程説明図を示し、(a)は、加工前の状態を示す斜視図、(b)は、同加工工程における第一工程の状態を示す斜視図、(c)は、同加工工程における第二工程の状態を示す斜視図
【図15】本発明の実施の形態6における内面溝付き管の加工工程説明図を示し、(a)は、加工前の状態を示す斜視図、(b)は、同加工工程におけるリード角形成工程の状態を示す斜視図
【図16】同実施の形態6における内面溝付き管に設けた変則部の加工領域のパターン例を説明する熱交換器の平面図で、(a)は、単一の変則部を特定の領域に間欠して設けた場合の平面図、(b)は、異なる変則部を特定の領域に間欠して設けた場合の平面図、(c)は、異なる変則部を連続して間欠に配置した場合の平面図
【図17】従来例を示す伝熱管の内面に溝を形成するための装置の要部の斜視図
【図18】異なる従来例を示す内部に螺旋状の溝を形成した伝熱管の断面図
【符号の説明】
【0138】
1 管体(内面溝付き管)
2 溝
11 管体(内面溝付き管)
12 溝
21 管体(内面溝付き管)
21a 直管部
21b 湾曲部
31 熱交換器
32 伝熱管(内面溝付き管)
32a 流体入口
32b 流体出口
33 プレートフィン
34 端板
41 クランプ(クランプ具)
42 クランプ(クランプ具)
43 クランプ(クランプ具)
44 クランプ(クランプ具)
45 支持体
P 管軸
a 基本部
b 第一変則部
c 第二変則部
b1 第一変則部
c1 第二変則部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面に管軸と平行、もしくは管軸を基準に一定のリード角をもって緩やかな螺旋状に延びる複数の溝を設けた管体において、少なくとも一部に、前記リード角の角度と異なる角度で螺旋状に延びる第一変則部を設けた内面溝付き管。
【請求項2】
前記第一変則部を、前記管体の複数箇所に設けた請求項1に記載の内面溝付き管。
【請求項3】
前記管体に、前記第一変則部におけるリード角の角度と異なる角度のリード角となる第二変則部を設けた請求項1または2に記載の内面溝付き管。
【請求項4】
前記第二変則部を、前記管体の複数箇所に設けた請求項3に記載の内面溝付き管。
【請求項5】
前記管体を蛇行状に湾曲加工した請求項1から4のいずれか一項に記載の内面溝付き管。
【請求項6】
少なくとも内部を流体が流れる伝熱管を具備した熱交換器であって、前記伝熱管を、請求項1から5のいずれか一項に記載の内面溝付き管とした熱交換器。
【請求項7】
内面に直線状、もしくは一定のリード角をもって緩やかな螺旋状に延びる複数の溝を設けた管体の適宜箇所をクランプ具によって固定し、前記クランプ具によって管体を固定した状態で、該管体を反クランプ具側より所定角度のひねり加工を行うことにより、前記溝の角度が異なる変則部を形成する内面溝付き管の製造方法。
【請求項8】
前記クランプ具によって前記管体の適宜箇所を固定し、該管体の反クランプ具側より所定角度のひねり加工を行う加工を、前記管体の複数箇所にわたって行う請求項7に記載の内面溝付き管の製造方法。
【請求項9】
内面に直線状、もしくは一定のリード角をもって緩やかな螺旋状に延びる複数の溝を設けた管体の中間部を、所定間隔介して位置する複数対のクランプ具によって固定し、その固定状態において、前記対を成す少なくとも一方のクランプ具を回転させることにより、前記溝のリード角の角度が異なる変則部を形成する内面溝付き管の製造方法。
【請求項10】
前記対を成すクランプ具における回転するクランプ具の少なくとも回転方向、もしくは回転角度を、異なる方向もしくは異なる角度とした請求項9に記載の内面溝付き管の製造方法。
【請求項1】
内面に管軸と平行、もしくは管軸を基準に一定のリード角をもって緩やかな螺旋状に延びる複数の溝を設けた管体において、少なくとも一部に、前記リード角の角度と異なる角度で螺旋状に延びる第一変則部を設けた内面溝付き管。
【請求項2】
前記第一変則部を、前記管体の複数箇所に設けた請求項1に記載の内面溝付き管。
【請求項3】
前記管体に、前記第一変則部におけるリード角の角度と異なる角度のリード角となる第二変則部を設けた請求項1または2に記載の内面溝付き管。
【請求項4】
前記第二変則部を、前記管体の複数箇所に設けた請求項3に記載の内面溝付き管。
【請求項5】
前記管体を蛇行状に湾曲加工した請求項1から4のいずれか一項に記載の内面溝付き管。
【請求項6】
少なくとも内部を流体が流れる伝熱管を具備した熱交換器であって、前記伝熱管を、請求項1から5のいずれか一項に記載の内面溝付き管とした熱交換器。
【請求項7】
内面に直線状、もしくは一定のリード角をもって緩やかな螺旋状に延びる複数の溝を設けた管体の適宜箇所をクランプ具によって固定し、前記クランプ具によって管体を固定した状態で、該管体を反クランプ具側より所定角度のひねり加工を行うことにより、前記溝の角度が異なる変則部を形成する内面溝付き管の製造方法。
【請求項8】
前記クランプ具によって前記管体の適宜箇所を固定し、該管体の反クランプ具側より所定角度のひねり加工を行う加工を、前記管体の複数箇所にわたって行う請求項7に記載の内面溝付き管の製造方法。
【請求項9】
内面に直線状、もしくは一定のリード角をもって緩やかな螺旋状に延びる複数の溝を設けた管体の中間部を、所定間隔介して位置する複数対のクランプ具によって固定し、その固定状態において、前記対を成す少なくとも一方のクランプ具を回転させることにより、前記溝のリード角の角度が異なる変則部を形成する内面溝付き管の製造方法。
【請求項10】
前記対を成すクランプ具における回転するクランプ具の少なくとも回転方向、もしくは回転角度を、異なる方向もしくは異なる角度とした請求項9に記載の内面溝付き管の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図12】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図12】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−101508(P2010−101508A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−270592(P2008−270592)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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