説明

円盤刃物送り制御方法,装置およびそれを用いた切断装置

【課題】 モータの滑り、力率の変化に影響を受けないきめ細かい制御を可能とする。
【解決手段】 円盤刃物の送り制御に係わる。刃物回転モータの電力Pを計測し、刃物の回転速度fを計測する。刃物が回転中か否かを判断し、回転中なら、トルクT=P/(2×π×f)N・mの式に従い計算する。切断中か否かを判断し、切断中なら送り速度PID制御を開始し、トルクが一定となるように信号を刃物送りモータに送る。刃物回転モータが過負荷か否か判断し、過負荷でないとき、送り速度PID制御を行い、切断終了か否かを判断する。切断終了なら運転開始位置方向へ刃物を移動する。前記切断終了でないなら前記PID制御から後のいずれかの手順に戻る。前記過負荷判断で過負荷なら、送り速度を低下させ、基準時間内にトルクが正常化したか否かを判断し、正常化なら前記送り速度PID制御を行い、正常化でないなら、刃物を切断開始方向へ後退させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円盤刃物送り制御方法,装置およびそれを用いた切断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術の一例として、刃物の送り速度は作業者が設定し、刃物は原点から終点までこの設定速度で切断作業していた。そして、カッターモータの電流値を監視し、電流値が設定値より大きくなれば、送り速度を変更する簡単な制御を行なっていた。
また、他の例として、ドリル加工でトルクによる送り速度制御するものがあった。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−195256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら一例の技術では、電流を監視要素として制御が行なわれる一般的なものであり、モータの滑り、力率などによりきめ細かい制御が不可能であった。また、他の例の技術ではドリル加工に関し、ドリルに加わるトルクの検出手段として、磁歪式トルクセンサや、主軸モータの電流や回転速度から加工トルクを推定するトルク測定器を用いていた。
【0005】
従って、磁歪式トルクセンサは、トルクのかかる軸の近傍にセンサを取り付けるスペースが必要となる。また、電流や回転速度から加工トルクを推定する方法は、モータ毎に必要な多数のパラメータを変更する必要がある、などの問題があった。また、切断開始・終了用の検出器を必要とした。
【0006】
本発明はこの問題を解決するものであり、モータの滑り、力率の変化に影響を受けないきめ細かい制御が可能で、かつ、作業開始・終了用の検出器を必要としない円盤刃物送り制御方法,装置およびそれを用いた切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題解決手段の第1は、円盤刃物の送り制御方法であり、刃物回転モータの電力Pを計測すること、刃物の回転速度fを計測すること、刃物が回転中か否かを判断すること、回転中なら、トルクT=P/(2×π×f)N・mの式に従い計算すること、切断中か否かを判断すること、切断中なら送り速度PID制御を開始し、トルクが一定となるように信号を刃物送りモータに送ること、刃物回転モータが過負荷か否か判断すること、過負荷でないとき、送り速度PID制御を行うこと、切断終了か否かを判断すること、切断終了なら運転開始位置方向へ刃物を移動すること、前記切断終了でないなら前記PID制御から後のいずれかの手順に戻ること、前記過負荷判断で過負荷なら、送り速度を低下させること、基準時間内にトルクが正常化したか否かを判断すること、正常化なら前記送り速度PID制御を行うこと、正常化でないなら、刃物を切断開始方向へ後退させること、を含むことである。
【0008】
本発明の課題解決手段の第2は、円盤刃物の送り制御方法であり、第1手段に加え、前記正常化でないなら刃物を切断開始位置方向へ後退させることの次に、トルクが正常化したか判断すること、正常化なら低速送り運転をすること、切断開始したか判断すること、切断開始なら、パラメータを初期化して、PID制御に戻ること、を含むことである。
【0009】
本発明の課題解決手段の第3は、円盤刃物の送り制御方法であり、第1または第2手段に加え、前記過負荷でないとき、目標トルクで安定か判断することの次に、安定なら平均送り速度F、刃物ID、切断量、ワークデータを取得することを含むことである。
【0010】
本発明の課題解決手段の第4は、円盤刃物の送り制御方法であり、第1または第2手段に加え、前記過負荷でないとき、目標トルクで安定か判断することの次に、安定なら平均送り速度Fを取得すること、Fが当該切断条件でのしきい値以上か判断すること、以上でないなら刃物を交換する信号をだすことを含むことである。
【0011】
本発明の課題解決手段の第5は、円盤刃物の送り制御方法であり、第1手段に加え、前記過負荷でないとき前記送り速度PID制御を行うことの次に、刃物が材料から抜ける位置として、材料の後端隅に刃物の刃先回転軌跡円が到達したときの、ワーク後端から刃物回転中心位置までの距離L2を求め、切断終了位置として、前記抜ける位置から検知余裕幅aを加えた位置とし、切断終了なら、切断終了位置を取得すること、刃物を運転開始位置方向へ移動することを含むことである。
【0012】
本発明の課題解決手段の第6は、円盤刃物の送り制御方法であり、第1手段に加え、前記ワーク終端直前か判断する手順が直前なら、この手順において、刃物が材料から抜ける位置として、材料の後端隅に刃物の刃先回転軌跡円が到達したときの、ワーク後端から刃物回転中心位置までの距離L2を求め、切断終了位置として、前記抜ける位置から検知余裕幅aを加えた位置とし、刃物が材料から抜ける手前位置として、前記切断終了位置から検知余裕幅aより長い距離L3のだけ手前の位置を定め、この位置から刃物を低速送り運転することを含むことである。
【0013】
本発明の課題解決手段の第7は、円盤刃物の送り制御方法であり、第5または第6手段に加え、前記切断終了位置を取得することの次に、連続切断か判断すること、連続切断なら残回数有か判断すること、残回数有なら刃物を−X方向へ移動させること、刃物が前回切断開始位置より−X方向へ一定距離だけ変位した位置に到着したか判断すること、到着ならパレットを移動させること、パレットが次回切断位置に到着したか判断すること、到着なら前記切断中判断手順の手前へ戻る、到着否なら前記パレット移動手順の手前へ戻ること、前記連続切断否および残回数有が否のとき、刃物運転開始位置へ高速送り運転で移動することを含むことである。
【0014】
本発明の課題解決手段の第8は、円盤刃物の送り制御方法であり、第5または第6手段に加え、前記切断終了位置を取得することの次に、連続切断か判断すること、連続切断なら残回数有か判断すること、残回数有なら刃物を+Z方向へ移動させること、刃物を−X方向へ移動させること、パレットを移動させること、刃物が前回切断開始位置より−X方向へ一定距離だけ変位した位置に到着したか判断すること、到着ならパレットを移動させること、刃物とパレットが次回切断位置のXY座標上に到着したか判断すること、到着なら刃物を−Z方向へ移動させること、刃物とパレットが次回切断位置に到着したか判断すること、到着なら前記切断中判断手順の手前へ戻る、到着否なら前記パレット移動手順の手前へ戻ること、前記連続切断否および残回数有が否のとき、刃物運転開始位置へ高速送り運転で移動することを含むことである。
【0015】
本発明の課題解決手段の第9は、円盤刃物送り制御装置であり、刃物回転モータの電力を計測する電力計測手段と、刃物の回転速度を計測する回転速度計測手段と、刃物が回転中か否かを判断する回転判断手段と、回転中なら、トルクT=P/(2×π×f)N・mの式に従い計算するトルク計算手段と、切断中か否かを判断する切断判断手段と、切断中なら送り速度PID制御を開始し、トルクが一定となるように信号を刃物送りモータに送る送り速度制御手段と、刃物回転モータが過負荷か否か判断する過負荷判断手段と、切断終了か否かを判断する切断終了判断手段と、切断終了なら運転開始位置方向へ刃物を移動する手段と、前記過負荷判断で過負荷なら、送り速度を低下させる手段と、基準時間内にトルクが正常化したか否かを判断する時間内トルク正常判断手段と、正常化なら前記送り速度PID制御を行い、正常化でないなら、刃物を切断開始方向へ後退させる制御手段とを備えたことである。
【0016】
本発明の課題解決手段の第10は、円盤刃物送り制御装置であり、第9手段に加え、前記正常化でないなら刃物を切断開始位置方向へ後退させることの次に、トルクが正常化したか判断するトルク正常判断手段と、正常化なら低速送り運転をし、切断開始したか判断し、切断開始なら、パラメータを初期化して、PID制御に戻る制御手段とを備えたことである。
【0017】
本発明の課題解決手段の第11は、円盤刃物送り制御装置であり、第9手段または第10手段に加え、前記過負荷でないとき、目標トルクで安定か判断するトルク安定判断手段と、安定なら平均送り速度F、刃物ID、切断量、ワークデータの少なくとも1種を取得する制御手段とを備えたことである。
【0018】
本発明の課題解決手段の第12は、円盤刃物送り制御装置であり、第9手段または第10手段に加え、前記過負荷でないとき、目標トルクで安定か判断するトルク安定判断手段と、安定なら平均送り速度Fを取得し、Fが当該切断条件でのしきい値以上か判断し、以上ならΔTn、Σnを保存し、以上でないなら刃物を交換する信号をだす制御手段と、を備えたことである。
【0019】
本発明の課題解決手段の第13は、円盤刃物送り制御装置であり、第9手段に加え、
前記過負荷でないとき前記送り速度PID制御を行うことの次に、刃物が材料から抜ける位置として、材料の後端隅に刃物の刃先回転軌跡円が到達したときの、ワーク後端から刃物回転中心位置までの距離L2を求め、切断終了位置として、前記抜ける位置から検知余裕幅aを加えた位置とし、切断終了か判断する切断終了判断手段と、切断終了なら、切断終了位置を取得し、刃物を運転開始位置方向へ移動する制御手段とを備えたことである。
【0020】
本発明の課題解決手段の第14は、円盤刃物送り制御装置であり、第13手段に加え、刃物が材料から抜ける位置として、材料の後端隅に刃物の刃先回転軌跡円が到達したときの、ワーク後端から刃物回転中心位置までの距離L2を求め、切断終了位置として、前記抜ける位置から検知余裕幅aを加えた位置とし、刃物が材料から抜ける手前位置として、前記切断終了位置から検知余裕幅aより長い距離L3のだけ手前の位置を定め、ワーク後端直前か判断する直前判断手段と、この位置から刃物を低速送り運転する制御手段とを備えたことである。
【0021】
本発明の課題解決手段の第15は、円盤刃物送り制御装置であり、第13手段または第14手段に加え、前記切断終了位置を取得することの次に、連続切断か判断する連続判断手段と、連続切断なら残回数有か判断する回数判断手段と、残回数有なら刃物を−X方向へ移動させ、刃物が前回切断開始位置より−X方向へ一定距離だけ変位した位置に到着したか判断し、到着ならパレットを移動させ、パレットが次回切断位置に到着したか判断し、到着なら前記切断中判断手順の手前へ戻り、到着否なら前記パレット移動手順の手前へ戻り、前記連続切断否および残回数有が否のとき、刃物運転開始位置へ高速送り運転で移動する制御手段とを備えたことである。
【0022】
本発明の課題解決手段の第16は、円盤刃物送り制御装置であり、第13手段または第14手段に加え、前記切断終了位置を取得することの次に、連続切断か判断する連続判断手段と、連続切断なら残回数有か判断する回数判断手段と、残回数有なら刃物を+Z方向へ移動させ、刃物を−X方向へ移動させ、パレットを移動させ、刃物が前回切断開始位置より−X方向へ一定距離変位した位置に到着したか判断し、到着ならパレットを移動させ、刃物とパレットが次回切断位置のXY座標上に到着したか判断し、到着なら刃物を−Z方向へ移動させ、刃物とパレットが次回切断位置に到着したか判断し、到着なら前記切断中判断手順の手前へ戻り、到着否なら前記パレット移動手順の手前へ戻り、前記連続切断否および残回数有が否のとき、刃物運転開始位置へ高速送り運転で移動する制御手段とを備えたことである。
【0023】
本発明の課題解決手段の第17は、切断装置であり、円盤刃物を設置した刃物台と、刃物回転モータと、刃物送りモータを持つ刃物送り手段と、前記第9手段ないし第16手段のいずれかに記載の制御装置とを備えたことである。
【0024】
本発明の課題解決手段の第18は、切断装置であり、円盤刃物を設置した刃物台と、刃物回転モータと、刃物送りモータを持つ刃物送り手段と、刃物昇降手段と、パレット移動手段と、前記第9手段ないし第16手段のいずれかに記載の制御装置とを備えたことである。
【発明の効果】
【0025】
第1,第9手段の発明により、モータの一次電力とカッターの回転速度を制御パラメータとすることにより、きめ細かい制御が可能となった。即ち、電力とカッターの回転速度から簡単な式によりトルクを計算し、トルクが一定となるように制御する。そして、モータの性能上、トルクはほぼ直線的に変化するので、トルクを使うと精度の良い制御ができる。また、モータの負荷運転中は、トルクの変化の度合いが電流のそれより相当に大きいので、トルクを使うと精度の良い制御ができる。また、トルクを使えばモータの力率に関係ないので、それだけきめ細かい制御が可能となった。
【0026】
しかも、電力とカッターの回転速度から簡単な式によりトルクを求めるので、電流を用いる方法に比べて、モータ機種ごとのトルク推定用パラメータの入力が不必要であり、トルク推定のための計算負荷が小さいため、より高速な制御が可能となる。電流に変えて電力信号を用いることにより、制御に必要十分な精度の推定トルクを、簡単な式で算出することが出来る。
【0027】
また、ドリル等の棒状工具は、回転軸と加工時に負荷が加わる切れ刃部との距離が短いため、工具に加わる負荷が大きくても、大きなトルクが加わりにくいが、円盤刃物は、回転軸と加工時に負荷が加わる切れ刃部との距離が長いため、駆動系に大きなトルクが加わりやすい。さらにドリル加工では、軸方向に加わる力(スラスト力)の増大による折損が起こりやすいため、トルクだけでなく、スラスト力も考慮して送り速度を制御する必要がある。このため、本発明で適用対象としている円盤刃物による切断機は、トルク制御を行うには最適な加工機であるといえる。
【0028】
第3,第11手段の発明により、加工しながらカッターの評価ができる。
第4,第12手段の発明により、カッターの交換時期を自動的に判定できる。
第2,第10手段の発明により、難削材加工時のカッターの噛み込みを防止できる。
第5,第13手段の発明により、エアカット時間の削減ができる。また、切断開始・終了用の検出器を必要としない。
第6,第14手段の発明により、材料終端を感知してカッターが抜ける手前で減速することにより、バリとカッターへの負荷を低減できる。
第7,第8,第15、第16手段の発明により、材料の連続切断作業ができる。
【0029】
このように、本発明に示すシステムを実装することにより、切断に使用するカッターの切断性能評価を、専用の評価装置としてではなく、生産用加工機で実際に生産しながら行うことができるため、効率的に長期的なカッターの評価ができる。そのほか、エアカット時間の短縮、カッターの噛み込みを防止、カッターの交換時期の判定などが可能となった。
【0030】
また、円盤刃物(丸のこ)駆動モータの推定トルクが一定となるよう、切断送り速度をPID制御することにより、切断機の能力を十分に活用した加工が可能となる。このため、本システムは実際の生産機として活用しながら、切断送り速度のデーターを蓄積し、構築されたデータベースと比較することにより、円盤刃物の性能評価を行なうことができる。また、本発明は、円盤刃物の性能の評価機の開発を切断速度制御に活用したものという事ができる面を持ち、単なる負荷制御システムの開発からは容易になし得たものではない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明装置の第1実施例の正面図である。
【図2】刃物切断説明図である。
【図3】第1実施例の制御装置のブロック図である。
【図4】第1実施例の制御方法のフローチャートである。
【図5】第1実施例の制御方法のフローチャートである。
【図6】第1実施例の制御方法のフローチャートである。
【図7】第1実施例の制御方法のフローチャートである。
【図8】第1実施例の制御方法のフローチャートである。
【図9】本発明装置の第2実施例の正面図である。
【図10】刃物切断説明図である。
【図11】第2実施例の制御装置のブロック図である。
【図12】第2実施例の制御方法のフローチャートである。
【図13】本発明装置の第3実施例の正面図である。
【図14】第3実施例の制御方法のフローチャートである。
【図15】本発明装置の第4実施例の正面図である。
【図16】本発明装置の第4実施例の左側面図である。
【図17】モータの性能を表すグラフである。
【図18a】負荷試験時の時間に対する電流を表すグラフである。
【図18b】負荷試験時の時間に対するトルクを表すグラフである。
【図19】電圧と電流を表すグラフである。
【図20】切断作業時の刃物性能曲線(第1回目)である。
【図21】切断作業時の刃物性能曲線(第5回目)である。
【図22】切断トルク安定時の平均送り速度の変化を表すグラフである。
【図23】同一種・同一厚み材の切断速度の各種刃物に対するグラフである
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に本発明の一実施例を図面に基づき説明する。
図1において、本発明方法を実施する装置の一例を示す。
ワークWを載せたワーク台1の下方で、円盤刃物(丸鋸)2と刃物回転モータ3を取り付けた刃物台2aが、刃物送りモータ4aで回転される送りネジ棒4bで左右方向(X方向)移動する。
【0033】
サーボコントローラ30へは刃物軸に取り付けたエンコーダ21から回転速度信号、インバータ電源22に接続される刃物回転モータ3の電力検出部23から電力信号、刃物送りモータ4a(サーボモータ)の位置信号が入力する。サーボコントローラ30からは、インバータ電源22へ回転速度指令、刃物送りモータ4aへ送り速度指令が出力する。
【0034】
図2の刃物切断説明図において、運転開始位置から切断開始位置に至り、一定トルク切断速度制御に入り、刃物が材料から抜ける手前で刃物送りを減速し、切断終了を検知する。
Dmは、切断開始から切断終了までの刃物移動距離である。
Dm=L+L1−L2+aを、比較演算部で演算する。
Lは、被切断材料(ワーク)の長さ。入力装置より比較演算部に入力する。
L1= √(r2−h2) 比較演算部で演算する。
L2= √{r2−(h+t)2} 比較演算部で演算する。
L3は、送り速度減速位置。入力装置より比較演算部に入力する(デフォルト設定有)。
tは、被切断材料(ワーク)の厚さ。入力装置より比較演算部に入力する。
hは、刃物中心とワーク端面(上または下)の距離。切断機毎に決定する。
rは、刃物の半径。
aは、切断終了検知余裕幅。入力装置より比較演算部に入力する(デフォルト設定有)。
刃物の実位置情報の取得は、送りモータ(サーボモータ)の回転角情報により行なう。
【0035】
○ 運転開始位置(装置の運転開始スイッチをONした時の刃物回転中心位置であり、初期位置とも呼ぶ):刃物回転モータのトルクが0(零)でないことにより、刃物が回転していることを確認する。次いで、高速の一定速度移動し、刃物回転モータの無負荷トルクを取得する。
○ 切断開始位置;無負荷トルクに対し現在トルクが、例えば、5%上昇すれば、切断開始と判定する。この時の刃物(刃物回転中心)のワーク前端からの距離L1は、ピタゴラスの定理から求められ、後述の刃物送りの位置制御に用いる。
○ 一定トルク切断速度制御;刃物回転モータのトルクが目標値で一定となるよう、送りモータの回転速度をPID制御する。
【0036】
○ 刃物が材料から抜ける位置:材料の後端上隅に刃物の刃先回転軌跡円が到達したとき(交わった時)の、ワーク後端から刃物回転中心位置までの距離L2である。そしてこの交点からの距離L2はピタゴラスの定理から求められる。
○ 切断終了位置:前記抜ける位置から検知余裕幅aを加えた位置。
切断開始位置からこの切断終了位置までの距離がDmである。
○ 刃物が材料から抜ける手前(ワーク終端直前位置):切断終了位置から検知余裕幅aより長い距離L3だけ手前の位置である。(Dm−L3の距離をサーボモータ4aで計測する)。ここからPID制御をやめ、低速の一定速度移動に切り替える。
【0037】
切断開始後の送り量がDmとなったら(サーボモータ4aで計測する)、切断完了と判定し、次回切断開始位置、または運転開始位置に高速で移動する。また、安全のため、後述の無負荷トルクと現在トルクの比較による判定(例えば、現在トルクが無負荷トルク 1.05以下となれば切断完了と判定)を付加してもよい。
【0038】
図3のブロック図は前記サーボコントローラ30の内容を示し、中央処理部(CPU)を含むシーケンサ回路からなるものである。比較演算部31に対し入力装置32から次のものを入力する。
・目標トルク(刃物回転モータの定格トルクに効率を考慮して、×0.8〜0.9で決定する。即ち、定格トルク20N・m×0.9=18N・m)、
・ワーク情報(材種:A7075、厚みt:100mm,長さL:300mm)、
・刃物ID(刃物径、コーティング種類の情報を含む刃物識別番号)、
・切削条件(連続切断での短冊切断回数、移動ピッチ)。
【0039】
電力検出部23は刃物回転モータ3の一次電力を計測する電力計測手段であり、刃物回転モータにインバータ電源22が接続される。電力信号(0〜5V)を信号入力変換部33で実電力値P(W)に変換する。電力トランスデューサのレンジが5の場合の電力信号は次のようになる。例えば、20KWまで測れるトランスデューサを使用した場合の電力出力が2Vの場合、20÷5×2で8KWとなる。 そして、0.1秒ごとの平均をとる。
【0040】
エンコーダ21は刃物2の回転速度を計測する刃物速度計測手段であり、刃物軸に取り付けられる。回転数信号(パルス)の1秒間当たりのパルス数を、信号入力変換部33で読み取り、刃物回転検出部34で回転周波数f(HZ)に変換する。そして、0.1秒ごとの平均をとる。また、刃物が回転中か否かを判断する(回転周波数と電力が共に零か否か)。
【0041】
無負荷トルク記憶部36では、回転中なら、刃物と刃物軸の回転により、刃物軸にトルクが働くので、トルクT(Nm)として、電力値Pと回転周波数fをもとに、トルクT=P/(2×π×f)の式に従い、一定時間毎に計算する。また、このときのトルク値を、切断してないときの「無負荷トルク」として記憶しておく。切断トルク算定部35では、刃物と刃物軸の回転によるものに、ワークの切断抵抗力が加わり、刃物軸にトルクが働くので、前記トルクT(Nm)の式に従い、一定時間毎に計算する。切断開始検出部37では、切断開始位置で無負荷トルクに対し現在トルクが、例えば、5%上昇すれば、切断開始と判定する。
【0042】
出力部として送り速度制御部41は、切断トルクが一定となるように送りモータ4aへ刃物送り速度信号を出力し、速度信号は比較演算部31へフィードバックする。即ち、送り速度PID制御をするものであり、図7のフローチャートの通り、目標トルクと計測トルクの差に対し、比例制御、積分制御および微分制御を行なうものである。該制御においてフィードバック制御を行ない、送り速度Yを一定時間毎に計算し、計算値を保存し、前記計算値に対応した信号を刃物送りモータに送る。
【0043】
比較演算部31から平均送り速度演算部42、工具寿命判定部43、過負荷検出部44、切断終了検出部45へ情報が入る。切断終了検出部45は、刃物が切断終了位置に到達したかを検出する。即ち、切断開始後の送り量がDmとなったら(サーボモータで計測する)、切断完了と判定する。
切断終了検出後、送りモータ4aを駆動して刃物をワークの切断跡の隙間を、X方向に「運転開始位置」または「切断開始位置より数センチメートル程度の運転開始位置側に移動した位置」まで高速で戻す。
【0044】
これらからの信号を出力装置40に送る。出力項目は、送り速度指令値(瞬時、平均)、計測トルク、切断時間、各種警報である。また、平均送り速度演算部42、工具寿命判定部43から、刃物評価用データベース46に情報が入る。
【0045】
図4〜図8において次に、方法をフローチャートで説明する。
図4で、運転開始位置で刃物送りモータが停止している。
刃物駆動モータの一次電力を計測する。即ち、計測開始すると、刃物駆動モータの電力信号を取得し(ステップSP1)、電力値P(W)に変換し(ステップSP2)、それを平均化し(ステップSP3)、平均電力値を保存し(ステップSP4)、この手順を一定時間間隔(0.1秒)ごとに行う。
【0046】
図5で刃物の回転速度を計測する。即ち、計測開始すると、刃物の回転速度信号を取得し(ステップSf1)、回転周波数f(Hz)に変換し(ステップSf2)、それを平均化し(ステップSf3)、平均回転周波数を保存し(ステップSf4)、この手順を一定時間間隔(0.1秒)ごとに行う。
【0047】
図6で刃物軸に働くトルクを計測する。即ち、前記のように刃物駆動モータの一次電力を計測し(ステップSP),刃物の回転速度を計測する(ステップSf)。
カッターが回転中か否かを判断する(ステップS1)。(刃物回転モータの回転周波数と電力が零か否か)
回転中なら、刃物と刃物軸の回転により、刃物軸にトルクが働く。
トルクT(Nm)として、トルクT=P/(2×π×f)の式に従い、の式に従い、一定時間毎に計算する(ステップS2)。
この値を無負荷トルク値として取得する(ステップS3)。
次に刃物を高速送り運転する(ステップS4)。
現在トルクと前記無負荷トルクの比較をする(ステップS5)。
【0048】
切断中か否かを判断する(ステップS6)。(無負荷トルクに対し現在トルクが、例えば、5%上昇すれば、切断開始と判定する。)
切断中なら切断開始位置を取得する(ステップS7)。
切断中でないなら、前記現在トルクと前記無負荷トルクの比較手順の前に戻る。
【0049】
図7,8で、前記切断開始位置を取得したのち、送り速度PID制御を開始する(ステップS8)。該制御においてフィードバック制御を行ない、送り速度Yを一定時間毎に計算し、前記計算値を保存し、前記計算値に対応した信号を刃物送りモータに送る。
図7において、制御を開始すると、Kp×ΔTnを求める。
Σn=ΔTn+Σn−1からKi×Σnを求める。
Kd×(ΔTn−ΔTn−1)を求める。これらから出力Ynを経て終了する。
ここで、ΔTn=目標トルク−計測トルク Kp:比例ゲイン Ki:積分ゲイン
Kd:微分ゲイン Yn:制御送り速度 Y0:初期送り速度 Σ0:累積差分の初期値。
【0050】
図8で刃物モータが過負荷か否か判断する(ステップS9)。(基準:目標トルク×1.4で、25N・m、刃物回転モータ仕様の「短時間最大トルク」÷「定格トルク」をもとに比率を決定する)。過負荷でないとき、目標トルクで安定か判断する(ステップS10)。(基準:1秒間の平均トルクが、目標トルクに対し、±5%以内で、かつ、瞬時トルクの最大・最小値が目標トルクの±10%以内に入っていれば、安定加工状態と判定する)。
【0051】
安定なら、平均送り速度F,刃物ID,切断量,ワークデータ取得する(ステップS11)。この情報を刃物評価用データベース(ステップS12)と表示部(ステップS13)に送る。Fが当該切断条件でのしきい値以上か判断する(ステップS14)。(基準:220mm/min、図22の加工試験結果をもとに決定した)。以上でないなら、刃物を交換する信号をだす(ステップS15)。以上なら、(ΔTn,Σn)を保存する(ステップS16)。前記目標トルクで安定か判断する段階で、安定でないなら、前記(ΔTn,Σn)を保存する段階の手前に続く。
【0052】
ワーク終端直前(刃物がワークから抜ける手前)か判断する(ステップS17)。
(刃物送りモータからの信号により、切断開始位置からDm−L3の位置に到達したか)直前なら低速送り運転する(ステップS18)。
切断完了か判断する(ステップS19)。
(刃物送りモータからの信号により、切断開始位置からDmの位置に到達したか)切断終了位置を取得する(ステップS20)。
刃物運転開始位置へ高速送り運転で移動して(ステップS21)、切断終了となる。
【0053】
前記過負荷判断で過負荷なら、送り速度を低下させる(ステップS22)。
基準時間内にトルクが正常化したか判断する(ステップS23)。(基準:0.5〜1.0秒)正常化なら、前記送り速度PID制御を行う。
正常化でないなら、刃物を切断開始位置方向へ後退させる(ステップS24)。
トルクが正常化したか判断する(ステップS25)。
正常化なら低速送り運転をする(ステップS26)。
切断開始したか判断する(ステップS27)。(基準:計測トルクが無負荷に対し5%上昇したとき)
切断開始なら、パラメータ(Yn,ΔTn,Σn)を初期化して(ステップS28)、
PID制御に戻る。
【0054】
図9は他の実施例を示し、ワークWが枕材13を介して、パレット11に載せられY方向に移動して、連続切断される。刃物2はワークの上方からX方向に移動して切断するものである。即ち、ワークを載せたパレット11の上方で、門形フレーム1aに装着された刃物2と刃物回転モータ3を取り付けた刃物台2aが、刃物送りモータ4aで回転される送りネジ棒4bで左右方向(X方向)移動する。パレット11はパレット移動モータ12aと送りネジ棒12bでY方向に移動する。
【0055】
図10の刃物切断説明図のように、刃物がワークの上側から切断するので、刃物の刃先回転軌跡円とワークの前端と後端との関係は、前記図2のものと上下逆の関係になる。即ち、
○ 切断開始位置;無負荷トルクに対し現在トルクが、例えば、5%上昇すれば、切断開始と判定する。この時の刃物(刃物回転中心)のワーク前端上隅からの距離L1は、ピタゴラスの定理から求められ、後述の刃物送りの位置制御に用いる。
○ 刃物が材料から抜ける位置:材料の後端下隅に刃物の刃先回転軌跡円が到達したとき(交わった時)の、ワーク後端から刃物回転中心位置までの距離L2である。そして、刃物回転中心位置から前記軌跡円の交点までの距離L2はピタゴラスの定理から求められる。
その他の点は図2と同様である。
【0056】
図9でサーボコントローラ30へは、パレット移動モータ(サーボモータ)12aの位置信号が入力し、サーボコントローラ30からは、パレット移動モータ12aへ送り速度指令が出力する。その他は前記と同様である。
【0057】
図11のブロック図において、切断検出部45からパレット移動モータ制御部46を経て、パレット移動モータ(サーボモータ)12aに信号が出力する。即ち、切断回数に対応した切断幅に相当する移動量が入力装置32に入力されており、制御部46を経てパレット移動モータ12aに信号を送り、前記移動量だけ移動させて止まる。その他は前記と同様である。
【0058】
図12において次に、方法をフローチャートで説明する。
図8で切断終了位置取得から次の作動を行なう。
連続切断か判断する(ステップS31)。
連続切断なら残回数有か判断する(ステップS32)。
残回数有なら刃物を−X方向へ移動させる(ステップS33)。
刃物が前回切断開始位置より−X方向へ数十mm程度変位した位置に到着したか判断する(ステップS34)。
到着ならパレットを移動させる(ステップS35)。
パレットが次回切断位置に到着したか判断する(ステップS36)。
到着なら図6の2Xへ。到着否なら、パレット移動の前へ戻る。
前記連続切断否および残回数有が否のとき、刃物運転開始位置へ高速送り運転で移動する(ステップS37)。切断終了となる。
【0059】
図13は更に他の実施例を示し、ワークがパレット11に載せられY方向に移動して、連続切断される。刃物はワークの上方からX方向に移動して切断し、昇降装置5でZ方向に昇降する(図15で、刃物のZ方向の位置検出器として、上限、下限リミットスイッチ5b,5cがピストンシリンダ5の上部と下部に設けられる)。サーボコントローラ30へは、刃物昇降装置(ピストンシリンダ)5の位置信号が入力し、サーボコントローラ30からは刃物昇降装置5へ昇降指令信号が出力する。その他は前記(図9)と同様である。
【0060】
図11のブロック図で点線で示したように、切断検出部45から刃物昇降装置制御部5aを経て、刃物昇降装置5に信号が出力する。即ち、切断終了後、刃物を昇降させ、上限、下限リミットスイッチ5b,5cの信号で止める。
【0061】
図14において次に、方法をフローチャートで説明する。
図8で切断終了位置取得から次の作動を行なう。
連続切断か判断する(ステップS41)。
連続切断なら残回数有か判断する(ステップS42)。
残回数有なら刃物を+Z方向へ移動させる(ステップS43)。
刃物を−X方向へ移動させる(ステップS44a)。また、パレットを移動させる(ステップS44b)。
【0062】
刃物とパレットが次回切断位置のXY座標上に到着したか判断する(ステップS45)。
到着なら刃物を−Z方向へ移動させる(ステップS46)。
刃物とパレットが次回切断位置に到着したか判断する(ステップS47)。
到着なら図6の2Xへ。到着否なら、刃物−Z方向移動へ戻る。
前記連続切断否および残回数有が否のとき、刃物初期位置(運転開始位置)へ高速送り運転で移動する(ステップS48)。切断終了となる。
【0063】
図15,16は、刃物を昇降装置でZ方向に昇降する他の実施例を示し、ワークがパレットに載せられY方向に移動して、連続切断される。ワークを載せたパレット11の上方で、門形フレーム1aに載せられた刃物回転モータ3を取り付けた主刃物台2aが、刃物送りモータ4aで回転される送りネジ棒4bで左右方向(X方向)移動する。刃物2は副刃物台2bに取り付けられる。
【0064】
主刃物台2aの前後側面から垂下された支持ブラケット51の下部に、前後方向に延びる支持ピン52を介して、副刃物台2bが上下揺動自在に支持される。そして、副刃物台2bの先端と、前側支持ブラケット51の後面から張り出したアーム53との間に、昇降装置5のピストンシリンダがピンを介して接続される。
【0065】
後側支持ブラケット51の後面から張り出したアーム53bには、支持ピン52に同心の中間軸54が固定される。この中間軸と刃物回転モータ3との間に、ベルトとプーリからなる第1伝動手段55aが接続される。また、この中間軸と刃物軸との間に、ベルトとプーリからなる第2伝動手段55bが接続される
【0066】
図17はモータの性能を表すグラフである。これから分かることは、トルクはほぼ直線的に変化するので、トルクを使うと精度の良い制御が可能となる。電流は曲線で変化するので、精度が悪い。
【0067】
図18a,18bは各々負荷試験時の電流とトルクを表すグラフである。これらの値の変化の度合いとして最小値に対する最大値が、電流の場合は約1.8倍に対し、トルクは約6倍である。つまり、電力を制御に使った方が、きめ細かい制御が可能となる。
【0068】
図19は電圧と電流のグラフである。上側は低負荷時、下側は高負荷時である。低負荷時には電圧と電流の位相差が大きいが、高負荷時には電圧と電流の位相差が小さくなり、つまり、モータの力率が改善していることが分かる。しかし、トルクを使えば、力率に関係ないので、それだけきめ細かい精度の良い制御が可能となる。
【0069】
図20,21は前記刃物評価用データベースからの情報をもとに作図させたもので、2種の刃物で切断作業をした時の第1回目,第5回目の性能曲線である。横軸に時間、縦軸にモータトルク、送り速度、切断距離をとったものである。この曲線から、各刃物の評価が可能となる。
【0070】
図22は各種刃物の切断トルク安定時の平均送り速度の変化(1回目から5回目まで)を示し、刃物の評価が可能となる。
【0071】
図23は、同一種・同一厚み材の切断速度の各種刃物に対するグラフである。横軸は切断面積である。この図から加工しながら、長期的な工具やコーティング条件の評価が可能となる。また、この図において、切断中の一定トルク制御時の切断速度が、設定したしきい値以下になれば、工具寿命と判定して警報を出すことができる。
【0072】
以上から、前記効果の他、次のような優れた効果を発揮するのである。
前記制御装置は既存装置に後付けが可能ある。また、ネットワークで管理端末による集中管理が可能である。サーボモータにより刃物の位置制御をするので、例えば、トルク監視により位置制御するより、はるかに切断位置の検知精度が高い。従って、「抜ける直前」と「切断終了位置」の間を短くでき、ワーク端部のぎりぎりまで高速で切断できる。トルク監視によるトルクの変化で刃物を位置制御する方法を併用すると、信頼性がさらに向上する。
【0073】
なお、刃物が回転中か否かの判断は、前記方法のほか、刃物回転モータのインバータの回転速度指令に対して、速度到達信号が出力されているか否か判断する。つまり、刃物回転モータが回転指令速度に達しているか判断するようにしてもよい。
【0074】
本発明は前記した実施例や実施態様に限定されず、特許請求の範囲を逸脱せずに種々の変形を含む。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は円盤刃物の送り制御方法、装置、およびそれを用いた切断装置に利用される。
【符号の説明】
【0076】
W ワーク
1 ワーク台
2 刃物
2a 刃物台(主刃物台)
2b 副刃物台
3 刃物回転モータ
4a 刃物送りモータ
4b 送りネジ棒
5 刃物昇降手段
11 パレット
12a パレット移動モータ
21 刃物速度計測手段
23 電力計測手段
30 サーボコントローラ
31 比較演算部
32 入力装置
40 出力装置
51 ブラケット
52 支持ピン
54 中間軸
55a 第1伝動手段
55b 第2伝動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刃物回転モータの電力Pを計測すること、
刃物の回転速度fを計測すること、
刃物が回転中か否かを判断すること、
回転中なら、トルクT=P/(2×π×f)N・mの式に従い計算すること、
切断中か否かを判断すること、
切断中なら送り速度PID制御を開始し、トルクが一定となるように信号を刃物送りモータに送ること、
刃物回転モータが過負荷か否か判断すること、
過負荷でないとき、送り速度PID制御を行うこと、
切断終了か否かを判断すること、
切断終了なら運転開始位置方向へ刃物を移動すること、
前記切断終了でないなら前記PID制御から後のいずれかの手順に戻ること、
前記過負荷判断で過負荷なら、送り速度を低下させること、
基準時間内にトルクが正常化したか否かを判断すること、
正常化なら前記送り速度PID制御を行うこと、
正常化でないなら、刃物を切断開始方向へ後退させることを含む円盤刃物送り制御方法。
【請求項2】
前記正常化でないなら刃物を切断開始位置方向へ後退させることの次に、
トルクが正常化したか判断すること、
正常化なら低速送り運転をすること、
切断開始したか判断すること、
切断開始なら、パラメータを初期化して、PID制御に戻ることを含む請求項1記載の円盤刃物送り制御方法。
【請求項3】
前記過負荷でないとき、目標トルクで安定か判断することの次に、
安定なら平均送り速度F、刃物ID、切断量、ワークデータを取得することを含む請求項1または2記載の円盤刃物送り制御方法。
【請求項4】
前記過負荷でないとき、目標トルクで安定か判断することの次に、
安定なら平均送り速度Fを取得すること、
Fが当該切断条件でのしきい値以上か判断すること、
以上でないなら刃物を交換する信号をだすことを含む請求項1または2記載の円盤刃物送り制御方法。
【請求項5】
前記過負荷でないとき前記送り速度PID制御を行うことの次に、
刃物が材料から抜ける位置として、材料の後端隅に刃物の刃先回転軌跡円が到達したときの、ワーク後端から刃物回転中心位置までの距離L2を求め、
切断終了位置として、前記抜ける位置から検知余裕幅aを加えた位置とし、
切断終了なら、切断終了位置を取得すること、
刃物を運転開始位置方向へ移動することを含む請求項1記載の円盤刃物送り制御方法。
【請求項6】
前記ワーク終端直前か判断する手順が直前なら、この手順において、
刃物が材料から抜ける位置として、材料の後端隅に刃物の刃先回転軌跡円が到達したときの、ワーク後端から刃物回転中心位置までの距離L2を求め、
切断終了位置として、前記抜ける位置から検知余裕幅aを加えた位置とし、
刃物が材料から抜ける手前位置として、前記切断終了位置から検知余裕幅aより長い距離L3のだけ手前の位置を定め、
この位置から刃物を低速送り運転することを含む請求項1記載の円盤刃物送り制御方法。
【請求項7】
前記切断終了位置を取得することの次に、
連続切断か判断すること、
連続切断なら残回数有か判断すること、
残回数有なら刃物を−X方向へ移動させること、
刃物が前回切断開始位置より−X方向へ一定距離だけ変位した位置に到着したか判断すること、
到着ならパレットを移動させること、
パレットが次回切断位置に到着したか判断すること、
到着なら前記切断中判断手順の手前へ戻る、到着否なら前記パレット移動手順の手前へ戻ること、
前記連続切断否および残回数有が否のとき、刃物運転開始位置へ高速送り運転で移動することを含む請求項5または6記載の円盤刃物送り制御方法。
【請求項8】
前記切断終了位置を取得することの次に、
連続切断か判断すること、
連続切断なら残回数有か判断すること、
残回数有なら刃物を+Z方向へ移動させること、
刃物を−X方向へ移動させること、
パレットを移動させること、
刃物が前回切断開始位置より−X方向へ一定距離だけ変位した位置に到着したか判断すること、

到着ならパレットを移動させること、
刃物とパレットが次回切断位置のXY座標上に到着したか判断すること、
到着なら刃物を−Z方向へ移動させること、
刃物とパレットが次回切断位置に到着したか判断すること、
到着なら前記切断中判断手順の手前へ戻る、到着否なら前記パレット移動手順の手前へ戻ること、
前記連続切断否および残回数有が否のとき、刃物運転開始位置へ高速送り運転で移動することを含む請求項5または6記載の円盤刃物送り制御方法。
【請求項9】
刃物回転モータの電力を計測する電力計測手段と、
刃物の回転速度を計測する回転速度計測手段と、
刃物が回転中か否かを判断する回転判断手段と、
回転中なら、トルクT=P/(2×π×f)N・mの式に従い計算するトルク計算手段と、
切断中か否かを判断する切断判断手段と、
切断中なら送り速度PID制御を開始し、トルクが一定となるように信号を刃物送りモータに送る送り速度制御手段と
刃物回転モータが過負荷か否か判断する過負荷判断手段と、
切断終了か否かを判断する切断終了判断手段と、
切断終了なら運転開始位置方向へ刃物を移動する手段と、
前記過負荷判断で過負荷なら、送り速度を低下させる手段と、
基準時間内にトルクが正常化したか否かを判断する時間内トルク正常判断手段と、
正常化なら前記送り速度PID制御を行い、正常化でないなら、刃物を切断開始方向へ後退させる制御手段とを備えた円盤刃物送り制御装置。
【請求項10】
前記正常化でないなら刃物を切断開始位置方向へ後退させることの次に、
トルクが正常化したか判断するトルク正常判断手段と、
正常化なら低速送り運転をし、切断開始したか判断し、切断開始なら、パラメータを初期化して、PID制御に戻る制御手段とを備えた請求項9記載の円盤刃物送り制御装置。
【請求項11】
前記過負荷でないとき、目標トルクで安定か判断するトルク安定判断手段と、
安定なら平均送り速度F、刃物ID、切断量、ワークデータの少なくとも1種を取得する制御手段とを備えた請求項9または10記載の円盤刃物送り制御装置。
【請求項12】
前記過負荷でないとき、目標トルクで安定か判断するトルク安定判断手段と、
安定なら平均送り速度Fを取得し、Fが当該切断条件でのしきい値以上か判断し、
以上ならΔTn、Σnを保存し、以上でないなら刃物を交換する信号をだす制御手段とを備えた請求項9または10記載の円盤刃物送り制御装置。
【請求項13】
前記過負荷でないとき前記送り速度PID制御を行うことの次に、
刃物が材料から抜ける位置として、材料の後端隅に刃物の刃先回転軌跡円が到達したときの、ワーク後端から刃物回転中心位置までの距離L2を求め、切断終了位置として、前記抜ける位置から検知余裕幅aを加えた位置とし、切断終了か判断する切断終了判断手段と、
切断終了なら、切断終了位置を取得し、刃物を運転開始位置方向へ移動する制御手段とを備えた請求項9記載の円盤刃物送り制御装置。
【請求項14】
刃物が材料から抜ける位置として、材料の後端隅に刃物の刃先回転軌跡円が到達したときの、ワーク後端から刃物回転中心位置までの距離L2を求め、
切断終了位置として、前記抜ける位置から検知余裕幅aを加えた位置とし、
刃物が材料から抜ける手前位置として、前記切断終了位置から検知余裕幅aより長い距離L3のだけ手前の位置を定め、ワーク後端直前か判断する直前判断手段と、
この位置から刃物を低速送り運転する制御手段とを備えた請求項13記載の円盤刃物送り制御装置。
【請求項15】
前記切断終了位置を取得することの次に、
連続切断か判断する連続判断手段と、
連続切断なら残回数有か判断する回数判断手段と、
残回数有なら刃物を−X方向へ移動させ、刃物が前回切断開始位置より−X方向へ一定距離だけ変位した位置に到着したか判断し、到着ならパレットを移動させ、パレットが次回切断位置に到着したか判断し、到着なら前記切断中判断手順の手前へ戻り、到着否なら前記パレット移動手順の手前へ戻り、
前記連続切断否および残回数有が否のとき、刃物運転開始位置へ高速送り運転で移動する制御手段とを備えた請求項13または14記載の円盤刃物送り制御装置。
【請求項16】
前記切断終了位置を取得することの次に、
連続切断か判断する連続判断手段と、
連続切断なら残回数有か判断する回数判断手段と、
残回数有なら刃物を+Z方向へ移動させ、刃物を−X方向へ移動させ、パレットを移動させ、
刃物が前回切断開始位置より−X方向へ一定距離変位した位置に到着したか判断し、
到着ならパレットを移動させ、刃物とパレットが次回切断位置のXY座標上に到着したか判断し、
到着なら刃物を−Z方向へ移動させ、刃物とパレットが次回切断位置に到着したか判断し、
到着なら前記切断中判断手順の手前へ戻り、到着否なら前記パレット移動手順の手前へ戻り、
前記連続切断否および残回数有が否のとき、刃物運転開始位置へ高速送り運転で移動する制御手段とを備えた請求項13または14記載の円盤刃物送り制御装置。
【請求項17】
円盤刃物を設置した刃物台と、刃物回転モータと、刃物送りモータを持つ刃物送り手段と、前記請求項9ないし16のいずれかに記載の制御装置とを備えた切断装置。
【請求項18】
円盤刃物を設置した刃物台と、刃物回転モータと、刃物送りモータを持つ刃物送り手段と、
刃物昇降手段と、パレット移動手段と、
前記請求項9ないし16のいずれかに記載の制御装置とを備えた切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18a】
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【図18b】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−32869(P2012−32869A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169437(P2010−169437)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(595078024)大河内金属株式会社 (4)
【出願人】(510206235)株式会社三立電機 (1)
【出願人】(591079487)広島県 (101)
【Fターム(参考)】