再製スパッタリングターゲット及びその製造方法
【課題】 使用済みスパッタ材を徐々に使い果たす再製スパッタリングターゲット及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 背面と、少なくとも1つのエロージョン面溝を備えるエロージョン面と、周縁とを有する使用済みスパッタ材を提供するステップと、
前記使用済みスパッタ材の背面に機械加工を施すための前処理を行うステップと、
前記使用済みスパッタ材と同様の成分を有する原料粉末を用い、該使用済みスパッタ材のエロージョン面、前記エロージョン面溝及び周縁を被覆し、順次に予備加圧及び焼結処理を行うステップと、を有し、これにより再製スパッタリングターゲットを獲得することを特徴とする。
【解決手段】 背面と、少なくとも1つのエロージョン面溝を備えるエロージョン面と、周縁とを有する使用済みスパッタ材を提供するステップと、
前記使用済みスパッタ材の背面に機械加工を施すための前処理を行うステップと、
前記使用済みスパッタ材と同様の成分を有する原料粉末を用い、該使用済みスパッタ材のエロージョン面、前記エロージョン面溝及び周縁を被覆し、順次に予備加圧及び焼結処理を行うステップと、を有し、これにより再製スパッタリングターゲットを獲得することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に使用済みスパッタ材を徐々に使い果たす再製スパッタリングターゲット及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマ真空蒸着(plasma
vapor deposition)における、半導体、ハードディスク又はコンパクトディスクの成膜工程において、最も常用される部材はスパッタリングターゲットである。しかしながら、通常、スパッタリングターゲットの使用率は25%乃至40%のみであるので、使用済みスパッタ材(spent target)を廃棄することはコストの増大に繋がる。故に、使用済みスパッタ材の貴金属を回収して、使用済みスパッタ材を再溶融、粉砕、並びに電解精錬し、高純度の粉末を精製すれば、こ新たなスパッタリングターゲットを製造するために再利用することができる。
【0003】
前記精錬し回収する工程は一般に複雑なものであり、この工程を行うことは新たなスパッタリングターゲットの製造においてコストの増大に繋がることから、この業界においては、スパッタリングターゲットの再製及びスパッタリングターゲットのコスト低減が課題となっていた。
【0004】
また、再製スパッタリングターゲットにおける従来の技術としては、焼結工程(sintering process)を用いるものが多かった。
【0005】
特開昭63−93859には、使用済みスパッタ材の表面を酸液に浸して洗浄する作業を何度も繰り返した後、該使用済みスパッタ材のエロージョン面(erosion side)に、使用済みスパッタ材と同様の成分を有する原料粉末を充填し、真空ホットプレスにより焼結を行う方法を用いて再製したスパッタリングターゲットが開示された。
【0006】
また、特開昭24−225091及び特開昭20−256843には夫々、放電プラズマ焼結(discharge plasma sintering)及び溶射法(thermal spraying)によりスパッタリングターゲットを再製する方法が開示された。しかしながら、前記方法には高価な設備を使用する必要があるので、コストを増大させるおそれがある。
【0007】
また、米国US7,175,802号特許には、熱間等方圧プレス処理(hot isostatic pressing, HIP)により再製(refurbishment)したスパッタリングターゲットが開示された。
【0008】
さらに、米国US7,175,802号特許には、使用済みスパッタ材を再製スパッタリングターゲットの基底材とすることが開示され、この構成によれば、スパッタリングを行う時、該基底材はスパッタリングされない。また、前記使用済みスパッタ材のエロージョン面に、基底材と同様の又は異なる原料粉末を充填することができる。しかしながら、使用時、前記基底材をスパッタリングさせない手段が開示されていない。また、使用済みのスパッタリングターゲットをどのように使い果たすかについて何らも開示していない。
【0009】
特開昭24−35919には、使用済みスパッタ材に対して機械加工である切削(cutting)処理を施し、エロージョン面を平面にした後、スパッタリングを行うスパッタリングターゲットと拡散接合させることにより、再製スパッタリングターゲットを形成させる方法が開示された。しかしながら、前記加工方法によれば、接合面が応力により結晶欠陥が生じたり、破断してしまう恐れがある。
【0010】
【特許文献1】特開昭63−93859
【特許文献2】特開昭24−225091
【特許文献3】特開昭20−256843
【特許文献4】米国US7,175,802号特許
【特許文献5】特開昭24−35919
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来の技術には、以下のような問題がある。
前記従来の技術による従来の再製スパッタリングターゲットは、何度回収再製しても、最初の使用済みスパッタ材が消耗されないまま残留することから、何度も焼結、熱間等方圧プレスされるものであるので、品質が低下してしまう。即ち、従来の技術を用いても、再製スパッタリングターゲットの品質を改善することはできない。
【0012】
そこで、出願されたのが本発明であって、従来の、再製スパッタリングターゲットに何度も再製工程を施すことにより起こる品質低下の問題を解決するために、使用済みスパッタ材を次第に使い果たす再製スパッタリングターゲット(refurbished target)及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願の請求項1の発明は、背面と、少なくとも1つのエロージョン面溝を備えるエロージョン面と、周縁とを有する使用済みスパッタ材を提供するステップと、
前記使用済みスパッタ材の背面に機械加工を施すための前処理を行うステップと、
前記使用済みスパッタ材と同様の成分を有する原料粉末を用い、該使用済みスパッタ材のエロージョン面、前記エロージョン面溝及び周縁を被覆し、順次に予備加圧及び焼結処理を行うステップと、を有し、これにより再製スパッタリングターゲットを獲得することを特徴とする再製スパッタリングターゲットの製造方法、を提供する。
【0014】
本願の請求項2の発明は、前記使用済みスパッタ材の背面に施される機械加工をするための前処理が、切削、研磨、又は線切断であることを特徴とする請求項1に記載の再製スパッタリングターゲットの製造方法、を提供する。
【0015】
本願の請求項3の発明は、前記使用済みスパッタ材の背面に機械加工をするための前処理を行った後、前記原料粉末を用いて該使用済みスパッタ材を被覆する前に、該使用済みスパッタリング材の外面を洗浄するステップを施し、
前記洗浄ステップにおいては、超音波洗浄と、二酸化炭素洗浄と、超臨界流体洗浄と、腐食洗浄と、プラズマ洗浄とからなる群より選択される少なくとも1の方法を用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の再製スパッタリングターゲットの製造方法、を提供する。
【0016】
本願の請求項4の発明は、前記使用済みスパッタ材がルテニウム(Ru)と、白金(Pt)と、パラジウム(Pd)と、銀(Ag)と、金(Au)と、ロジウム(Rh)と、イリジウム(Ir)と、オスミウム(Os)と、該各金属の合金とからなる群より選択される少なくとも1の成分を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の再製スパッタリングターゲットの製造方法、を提供する。
【0017】
本願の請求項5の発明は、背面と、少なくとも1つのエロージョン面溝を備えるエロージョン面と、周縁とを有する使用済みスパッタ材と、
前記使用済みスパッタ材と同様の成分を有し、少なくとも該使用済みスパッタ材のエロージョン面及び前記エロージョン面溝を被覆すると共に、機械加工するための前処理が施された使用済みスパッタ材の背面から露出する原料粉末充填層と、を有することを特徴とする再製スパッタリングターゲット、を提供する。
【0018】
本願の請求項6の発明は、前記使用済みスパッタ材がルテニウム(Ru)と、白金(Pt)と、パラジウム(Pd)と、銀(Ag)と、金(Au)と、ロジウム(Rh)と、イリジウム(Ir)と、オスミウム(Os)と、該各金属の合金とからなる群より選択される少なくとも1の成分を含有することを特徴とする請求項5に記載の再製スパッタリングターゲット、を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、再製する時、機械加工するための前処理及び機械加工処理を施することにより、使用済みスパッタ材を次第に消耗させるので、再製スパッタリングターゲットの品質を維持することができる。
【0020】
また、本発明においては、回収精錬の工程が行われないので、さらにスパッタリングターゲットの生産コストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0022】
図1A乃至図1Dは本発明に係る再製スパッタリングターゲットの製造方法の各工程におけるスパッタリングターゲットの側面断面図であり、図2は本発明に用いられる使用済みスパッタ材の斜視図であり、図3は本発明に係る再製スパッタリングターゲットの機械加工処理される前の状態を示す斜視図であり、図4は本発明に係る再製スパッタリングターゲットの機械加工処理された後の状態を示す斜視図であり、図5A及び図5Bは使用済みスパッタ材及び原料粉末充填層における密度の差を超音波検査した結果を示す図であり、図6は本発明の実施例1に係る再製スパッタリングターゲットを超音波検査した結果を示す図である。
【0023】
図1A及び図2に示すように、本発明に係る再製スパッタリングターゲットの製造方法は、使用済みスパッタ材(10)を提供するステップと、該使用済みスパッタ材(10)の背面(11)に機械加工を施すための前処理を行うステップと、該使用済みスパッタ材(10)の外面を洗浄するステップと、該使用済みスパッタ材(10)と同様の成分を有する原料粉末を高温真空環境下で脱着処理するステップと、原料粉末充填層(20)を形成させるため、順次に予備加圧及び焼結処理を行うステップと、機械加工処理を行うステップとを有し、コレラあのステップを行うことにより再製スパッタリングターゲットを得る。
【0024】
前記使用済みスパッタ材(10)は、背面(11)と、少なくとも1つのエロージョン溝(14)を備えるエロージョン面(12)と、周縁(13)とを有し、該使用済みスパッタ材(10)は、例えば、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)またはオスミウム(Os)などの貴金属、または2種以上の貴金属による貴金属合金を含有するものである。
【0025】
前記使用済みスパッタ材(10)の背面(11)に機械加工を施すための前処理を行うステップでは、例えば図1Aのa曲線に沿って、該使用済みスパッタ材(10)の背面(11)を所定の厚さ(predetermined thickness)除去する。尚、前記所定の厚さは、前記使用済みスパッタ材(10)の使用率及び再製スパッタリングターゲットの寸法により決定され、また、前記機械加工処理は、切削、研磨、又は線切断などであることが好ましい。
【0026】
前記使用済みスパッタ材(10)の外面を洗浄するステップでは、二酸化炭素洗浄と、超臨界流体洗浄と、腐食洗浄と、プラズマ洗浄との何れか1以上の方法により、該使用済みスパッタ材(10)の外面を洗浄する。
【0027】
図1B及び図3に示すように、前記使用済みスパッタ材(10)と同様の成分を有する原料粉末を高温真空環境下で脱着処理するステップでは、該原料粉末を、高温(セ氏800度乃至セ氏1200度)真空環境において5時間を超えない時間で脱着処理する。
【0028】
前記脱着処理ステップの後、原料粉末充填層(20)を設けるため、原料粉末を用いて前記使用済みスパッタ材(10)のエロージョン面(12)、エロージョン溝(14)及び周縁(13)を被覆し、順次に予備加圧及び焼結処理を施すステップを行う。尚、前記焼結処理は、ホットプレス焼結と、熱間等静圧加圧焼結と、放電プラズマ焼結の何れか1の方法である。
【0029】
図1Cに示すように、前記機械加工処理を行うステップにおいては、例えば、おおよそ図1Cのb、c曲線に沿って、前記使用済みスパッタ材(10)の背面(11)、前記原料粉末充填層(20)の前表面及び側辺を、例えば切削、研磨、又は線切断等方法で裁断することにより、図1D及び図4に示すような、好適な寸法を有する再製スパッタリングターゲットを形成する。
【0030】
図5に示すように、前記使用済みスパッタ材(10)及び前記原料粉末充填層(20)に予備加圧工程が施されず、その結果、焼結された粉末の密度が不十分である場合には、超音波で検査すると、図5Aに示すように、異なる密度の部分が異なる色を現われ、最適な場合には、均一の色で現れる。
【実施例】
【0031】
以下の実施例は、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有するものが、本発明を実施できる程度に本発明の内容を理解させるため、本発明に係る再製スパッタリングターゲットの製造方法を説明するものであり、本発明の範疇を制限するためのものではない。即ち、本発明の原則及び概念による変更は、本発明の範疇を逸脱するものではない。
【実施例1】
【0032】
ルテニウム(Ruthenium)を含有する使用済みスパッタ材の背面から所定の厚さ(predetermined
thickness)を切削(cutting)した後、微粒子又は汚染物質を除去するため、二酸化炭素洗浄(CO2 spraying)を用いて使用済みスパッタ材の表面を洗浄し、該使用済みスパッタ材と同様の成分を有する原料粉末を高温(セ氏800度乃至セ氏1200度)真空環境において、5時間を超えない時間で脱着処理する。さらに、前記使用済みスパッタ材を型に入れ、前記原料粉末を用いて該使用済みスパッタ材のエロージョン面(erosion groove)、エロージョン溝及び周縁の縁部を被覆し、予備加圧(pre-pressing)及びホットプレス焼結(セ氏1200度乃至セ氏1400度、300バール乃至450バール、100分間乃至400分間)を施し、再製スパッタリングターゲットを得る。
【0033】
超音波検査法(UT)により、従来の再製スパッタリングターゲット及び前記実施例1に係る再製スパッタリングターゲットを検査する。
【0034】
図6に示すように、前記実施例1において再製スパッタリングターゲット超音波で検査した結果は、R.D.値が99.8%であり、図7に示すように、粉末焼成してなる従来の再製スパッタリングターゲットを超音波で検査した結果は、R.D.値が99.5%であった。この検査結果からも分かるように、本発明の方法により得られたスパッタリングターゲットと、粉末焼成してなる従来の再製スパッタリングターゲットとは、著しい差は見られないものの、本発明の方法によれば、原料粉末を節約することができるので、コスト削減を達成することができる。
【実施例2】
【0035】
ルテニウム(Ruthenium)を含有する使用済みスパッタ材の背面から所定の厚さ(predetermined
thickness)を線切断(wire cutting)した後、微粒子又は汚染物質を除去するため、超音波洗浄(ultrasonics)を用いて使用済みスパッタ材の表面を洗浄し、該使用済みスパッタ材と同様の成分を有する原料粉末を高温(セ氏800度乃至セ氏1200度)真空環境において、5時間を超えない時間で脱着処理を施す。さらに、前記使用済みスパッタ材を型に入れ、前記原料粉末を用いて該使用済みスパッタ材のエロージョン面(erosion groove)、エロージョン溝及び周縁の縁部を被覆し、予備加圧(pre-pressing)及び熱間等静圧加圧焼結(セ氏1000度乃至セ氏1500度、20000ポンド・平方インチ乃至35000ポンド・平方インチ、100分間乃至300分間)を施し、再製スパッタリングターゲットを得る。尚、前記再製スパッタリングターゲットは、超音波検査法(UT)により検査することができる。
【実施例3】
【0036】
ルテニウム(Ruthenium)を含有する使用済みスパッタ材の背面から所定の厚さ(predetermined
thickness)を切削(cutting)した後、微粒子又は汚染物質を除去するため、二酸化炭素超臨界流体(CO2
supercritical fluid)洗浄を用いて使用済みスパッタ材リングターゲットの表面を洗浄し、該使用済みスパッタ材と同様の成分を有する原料粉末を高温(セ氏800度乃至セ氏1200度)真空環境において、5時間を超えない時間で脱着処理を施す。さらに、前記使用済みスパッタ材を型に入れ、前記原料粉末を用いて該使用済みスパッタ材のエロージョン面(erosion groove)、エロージョン溝及び周縁の縁部を被覆し、予備加圧(pre-pressing)、ホットプレス(セ氏1200度乃至セ氏1400度、300バール乃至450バール、100分間乃至400分間)及び熱間等静圧加圧焼結(セ氏1000度乃至セ氏1500度、20000ポンド・平方インチ乃至35000ポンド・平方インチ、100分間乃至300分間)を施し、再製スパッタリングターゲットを得る。尚、前記再製スパッタリングターゲットは、超音波検査法(UT)により検査することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は上記の構成を有するので、従来の、再製スパッタリングターゲットに何度も再製工程を施すことにより起こる品質低下の問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1A】本発明に係る再製スパッタリングターゲットの製造方法の各工程におけるスパッタリングターゲットの側面断面図である。
【図1B】本発明に係る再製スパッタリングターゲットの製造方法の各工程におけるスパッタリングターゲットの側面断面図である。
【図1C】本発明に係る再製スパッタリングターゲットの製造方法の各工程におけるスパッタリングターゲットの側面断面図である。
【図1D】本発明に係る再製スパッタリングターゲットの製造方法の各工程におけるスパッタリングターゲットの側面断面図である。
【図2】本発明に用いられる使用済みスパッタ材の斜視図である。
【図3】本発明に係る再製スパッタリングターゲットの機械加工処理される前の状態を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る再製スパッタリングターゲットの機械加工処理された後の状態を示す斜視図である。
【図5A】使用済みスパッタ材及び原料粉末充填層における密度の差を超音波検査した結果を示す図である。
【図5B】使用済みスパッタ材及び原料粉末充填層における密度の差を超音波検査した結果を示す図である。
【図6】本発明の実施例1に係る再製スパッタリングターゲットを超音波検査した結果を示す図である。
【図7】粉末焼成してなる従来の再製スパッタリングターゲットに対する超音波検査の結果を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
10 使用済みスパッタ材
11 背面
12 エロージョン面
13 周縁
14 エロージョン溝
20 原料粉末充填層
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に使用済みスパッタ材を徐々に使い果たす再製スパッタリングターゲット及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマ真空蒸着(plasma
vapor deposition)における、半導体、ハードディスク又はコンパクトディスクの成膜工程において、最も常用される部材はスパッタリングターゲットである。しかしながら、通常、スパッタリングターゲットの使用率は25%乃至40%のみであるので、使用済みスパッタ材(spent target)を廃棄することはコストの増大に繋がる。故に、使用済みスパッタ材の貴金属を回収して、使用済みスパッタ材を再溶融、粉砕、並びに電解精錬し、高純度の粉末を精製すれば、こ新たなスパッタリングターゲットを製造するために再利用することができる。
【0003】
前記精錬し回収する工程は一般に複雑なものであり、この工程を行うことは新たなスパッタリングターゲットの製造においてコストの増大に繋がることから、この業界においては、スパッタリングターゲットの再製及びスパッタリングターゲットのコスト低減が課題となっていた。
【0004】
また、再製スパッタリングターゲットにおける従来の技術としては、焼結工程(sintering process)を用いるものが多かった。
【0005】
特開昭63−93859には、使用済みスパッタ材の表面を酸液に浸して洗浄する作業を何度も繰り返した後、該使用済みスパッタ材のエロージョン面(erosion side)に、使用済みスパッタ材と同様の成分を有する原料粉末を充填し、真空ホットプレスにより焼結を行う方法を用いて再製したスパッタリングターゲットが開示された。
【0006】
また、特開昭24−225091及び特開昭20−256843には夫々、放電プラズマ焼結(discharge plasma sintering)及び溶射法(thermal spraying)によりスパッタリングターゲットを再製する方法が開示された。しかしながら、前記方法には高価な設備を使用する必要があるので、コストを増大させるおそれがある。
【0007】
また、米国US7,175,802号特許には、熱間等方圧プレス処理(hot isostatic pressing, HIP)により再製(refurbishment)したスパッタリングターゲットが開示された。
【0008】
さらに、米国US7,175,802号特許には、使用済みスパッタ材を再製スパッタリングターゲットの基底材とすることが開示され、この構成によれば、スパッタリングを行う時、該基底材はスパッタリングされない。また、前記使用済みスパッタ材のエロージョン面に、基底材と同様の又は異なる原料粉末を充填することができる。しかしながら、使用時、前記基底材をスパッタリングさせない手段が開示されていない。また、使用済みのスパッタリングターゲットをどのように使い果たすかについて何らも開示していない。
【0009】
特開昭24−35919には、使用済みスパッタ材に対して機械加工である切削(cutting)処理を施し、エロージョン面を平面にした後、スパッタリングを行うスパッタリングターゲットと拡散接合させることにより、再製スパッタリングターゲットを形成させる方法が開示された。しかしながら、前記加工方法によれば、接合面が応力により結晶欠陥が生じたり、破断してしまう恐れがある。
【0010】
【特許文献1】特開昭63−93859
【特許文献2】特開昭24−225091
【特許文献3】特開昭20−256843
【特許文献4】米国US7,175,802号特許
【特許文献5】特開昭24−35919
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来の技術には、以下のような問題がある。
前記従来の技術による従来の再製スパッタリングターゲットは、何度回収再製しても、最初の使用済みスパッタ材が消耗されないまま残留することから、何度も焼結、熱間等方圧プレスされるものであるので、品質が低下してしまう。即ち、従来の技術を用いても、再製スパッタリングターゲットの品質を改善することはできない。
【0012】
そこで、出願されたのが本発明であって、従来の、再製スパッタリングターゲットに何度も再製工程を施すことにより起こる品質低下の問題を解決するために、使用済みスパッタ材を次第に使い果たす再製スパッタリングターゲット(refurbished target)及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願の請求項1の発明は、背面と、少なくとも1つのエロージョン面溝を備えるエロージョン面と、周縁とを有する使用済みスパッタ材を提供するステップと、
前記使用済みスパッタ材の背面に機械加工を施すための前処理を行うステップと、
前記使用済みスパッタ材と同様の成分を有する原料粉末を用い、該使用済みスパッタ材のエロージョン面、前記エロージョン面溝及び周縁を被覆し、順次に予備加圧及び焼結処理を行うステップと、を有し、これにより再製スパッタリングターゲットを獲得することを特徴とする再製スパッタリングターゲットの製造方法、を提供する。
【0014】
本願の請求項2の発明は、前記使用済みスパッタ材の背面に施される機械加工をするための前処理が、切削、研磨、又は線切断であることを特徴とする請求項1に記載の再製スパッタリングターゲットの製造方法、を提供する。
【0015】
本願の請求項3の発明は、前記使用済みスパッタ材の背面に機械加工をするための前処理を行った後、前記原料粉末を用いて該使用済みスパッタ材を被覆する前に、該使用済みスパッタリング材の外面を洗浄するステップを施し、
前記洗浄ステップにおいては、超音波洗浄と、二酸化炭素洗浄と、超臨界流体洗浄と、腐食洗浄と、プラズマ洗浄とからなる群より選択される少なくとも1の方法を用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の再製スパッタリングターゲットの製造方法、を提供する。
【0016】
本願の請求項4の発明は、前記使用済みスパッタ材がルテニウム(Ru)と、白金(Pt)と、パラジウム(Pd)と、銀(Ag)と、金(Au)と、ロジウム(Rh)と、イリジウム(Ir)と、オスミウム(Os)と、該各金属の合金とからなる群より選択される少なくとも1の成分を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の再製スパッタリングターゲットの製造方法、を提供する。
【0017】
本願の請求項5の発明は、背面と、少なくとも1つのエロージョン面溝を備えるエロージョン面と、周縁とを有する使用済みスパッタ材と、
前記使用済みスパッタ材と同様の成分を有し、少なくとも該使用済みスパッタ材のエロージョン面及び前記エロージョン面溝を被覆すると共に、機械加工するための前処理が施された使用済みスパッタ材の背面から露出する原料粉末充填層と、を有することを特徴とする再製スパッタリングターゲット、を提供する。
【0018】
本願の請求項6の発明は、前記使用済みスパッタ材がルテニウム(Ru)と、白金(Pt)と、パラジウム(Pd)と、銀(Ag)と、金(Au)と、ロジウム(Rh)と、イリジウム(Ir)と、オスミウム(Os)と、該各金属の合金とからなる群より選択される少なくとも1の成分を含有することを特徴とする請求項5に記載の再製スパッタリングターゲット、を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、再製する時、機械加工するための前処理及び機械加工処理を施することにより、使用済みスパッタ材を次第に消耗させるので、再製スパッタリングターゲットの品質を維持することができる。
【0020】
また、本発明においては、回収精錬の工程が行われないので、さらにスパッタリングターゲットの生産コストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0022】
図1A乃至図1Dは本発明に係る再製スパッタリングターゲットの製造方法の各工程におけるスパッタリングターゲットの側面断面図であり、図2は本発明に用いられる使用済みスパッタ材の斜視図であり、図3は本発明に係る再製スパッタリングターゲットの機械加工処理される前の状態を示す斜視図であり、図4は本発明に係る再製スパッタリングターゲットの機械加工処理された後の状態を示す斜視図であり、図5A及び図5Bは使用済みスパッタ材及び原料粉末充填層における密度の差を超音波検査した結果を示す図であり、図6は本発明の実施例1に係る再製スパッタリングターゲットを超音波検査した結果を示す図である。
【0023】
図1A及び図2に示すように、本発明に係る再製スパッタリングターゲットの製造方法は、使用済みスパッタ材(10)を提供するステップと、該使用済みスパッタ材(10)の背面(11)に機械加工を施すための前処理を行うステップと、該使用済みスパッタ材(10)の外面を洗浄するステップと、該使用済みスパッタ材(10)と同様の成分を有する原料粉末を高温真空環境下で脱着処理するステップと、原料粉末充填層(20)を形成させるため、順次に予備加圧及び焼結処理を行うステップと、機械加工処理を行うステップとを有し、コレラあのステップを行うことにより再製スパッタリングターゲットを得る。
【0024】
前記使用済みスパッタ材(10)は、背面(11)と、少なくとも1つのエロージョン溝(14)を備えるエロージョン面(12)と、周縁(13)とを有し、該使用済みスパッタ材(10)は、例えば、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)またはオスミウム(Os)などの貴金属、または2種以上の貴金属による貴金属合金を含有するものである。
【0025】
前記使用済みスパッタ材(10)の背面(11)に機械加工を施すための前処理を行うステップでは、例えば図1Aのa曲線に沿って、該使用済みスパッタ材(10)の背面(11)を所定の厚さ(predetermined thickness)除去する。尚、前記所定の厚さは、前記使用済みスパッタ材(10)の使用率及び再製スパッタリングターゲットの寸法により決定され、また、前記機械加工処理は、切削、研磨、又は線切断などであることが好ましい。
【0026】
前記使用済みスパッタ材(10)の外面を洗浄するステップでは、二酸化炭素洗浄と、超臨界流体洗浄と、腐食洗浄と、プラズマ洗浄との何れか1以上の方法により、該使用済みスパッタ材(10)の外面を洗浄する。
【0027】
図1B及び図3に示すように、前記使用済みスパッタ材(10)と同様の成分を有する原料粉末を高温真空環境下で脱着処理するステップでは、該原料粉末を、高温(セ氏800度乃至セ氏1200度)真空環境において5時間を超えない時間で脱着処理する。
【0028】
前記脱着処理ステップの後、原料粉末充填層(20)を設けるため、原料粉末を用いて前記使用済みスパッタ材(10)のエロージョン面(12)、エロージョン溝(14)及び周縁(13)を被覆し、順次に予備加圧及び焼結処理を施すステップを行う。尚、前記焼結処理は、ホットプレス焼結と、熱間等静圧加圧焼結と、放電プラズマ焼結の何れか1の方法である。
【0029】
図1Cに示すように、前記機械加工処理を行うステップにおいては、例えば、おおよそ図1Cのb、c曲線に沿って、前記使用済みスパッタ材(10)の背面(11)、前記原料粉末充填層(20)の前表面及び側辺を、例えば切削、研磨、又は線切断等方法で裁断することにより、図1D及び図4に示すような、好適な寸法を有する再製スパッタリングターゲットを形成する。
【0030】
図5に示すように、前記使用済みスパッタ材(10)及び前記原料粉末充填層(20)に予備加圧工程が施されず、その結果、焼結された粉末の密度が不十分である場合には、超音波で検査すると、図5Aに示すように、異なる密度の部分が異なる色を現われ、最適な場合には、均一の色で現れる。
【実施例】
【0031】
以下の実施例は、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有するものが、本発明を実施できる程度に本発明の内容を理解させるため、本発明に係る再製スパッタリングターゲットの製造方法を説明するものであり、本発明の範疇を制限するためのものではない。即ち、本発明の原則及び概念による変更は、本発明の範疇を逸脱するものではない。
【実施例1】
【0032】
ルテニウム(Ruthenium)を含有する使用済みスパッタ材の背面から所定の厚さ(predetermined
thickness)を切削(cutting)した後、微粒子又は汚染物質を除去するため、二酸化炭素洗浄(CO2 spraying)を用いて使用済みスパッタ材の表面を洗浄し、該使用済みスパッタ材と同様の成分を有する原料粉末を高温(セ氏800度乃至セ氏1200度)真空環境において、5時間を超えない時間で脱着処理する。さらに、前記使用済みスパッタ材を型に入れ、前記原料粉末を用いて該使用済みスパッタ材のエロージョン面(erosion groove)、エロージョン溝及び周縁の縁部を被覆し、予備加圧(pre-pressing)及びホットプレス焼結(セ氏1200度乃至セ氏1400度、300バール乃至450バール、100分間乃至400分間)を施し、再製スパッタリングターゲットを得る。
【0033】
超音波検査法(UT)により、従来の再製スパッタリングターゲット及び前記実施例1に係る再製スパッタリングターゲットを検査する。
【0034】
図6に示すように、前記実施例1において再製スパッタリングターゲット超音波で検査した結果は、R.D.値が99.8%であり、図7に示すように、粉末焼成してなる従来の再製スパッタリングターゲットを超音波で検査した結果は、R.D.値が99.5%であった。この検査結果からも分かるように、本発明の方法により得られたスパッタリングターゲットと、粉末焼成してなる従来の再製スパッタリングターゲットとは、著しい差は見られないものの、本発明の方法によれば、原料粉末を節約することができるので、コスト削減を達成することができる。
【実施例2】
【0035】
ルテニウム(Ruthenium)を含有する使用済みスパッタ材の背面から所定の厚さ(predetermined
thickness)を線切断(wire cutting)した後、微粒子又は汚染物質を除去するため、超音波洗浄(ultrasonics)を用いて使用済みスパッタ材の表面を洗浄し、該使用済みスパッタ材と同様の成分を有する原料粉末を高温(セ氏800度乃至セ氏1200度)真空環境において、5時間を超えない時間で脱着処理を施す。さらに、前記使用済みスパッタ材を型に入れ、前記原料粉末を用いて該使用済みスパッタ材のエロージョン面(erosion groove)、エロージョン溝及び周縁の縁部を被覆し、予備加圧(pre-pressing)及び熱間等静圧加圧焼結(セ氏1000度乃至セ氏1500度、20000ポンド・平方インチ乃至35000ポンド・平方インチ、100分間乃至300分間)を施し、再製スパッタリングターゲットを得る。尚、前記再製スパッタリングターゲットは、超音波検査法(UT)により検査することができる。
【実施例3】
【0036】
ルテニウム(Ruthenium)を含有する使用済みスパッタ材の背面から所定の厚さ(predetermined
thickness)を切削(cutting)した後、微粒子又は汚染物質を除去するため、二酸化炭素超臨界流体(CO2
supercritical fluid)洗浄を用いて使用済みスパッタ材リングターゲットの表面を洗浄し、該使用済みスパッタ材と同様の成分を有する原料粉末を高温(セ氏800度乃至セ氏1200度)真空環境において、5時間を超えない時間で脱着処理を施す。さらに、前記使用済みスパッタ材を型に入れ、前記原料粉末を用いて該使用済みスパッタ材のエロージョン面(erosion groove)、エロージョン溝及び周縁の縁部を被覆し、予備加圧(pre-pressing)、ホットプレス(セ氏1200度乃至セ氏1400度、300バール乃至450バール、100分間乃至400分間)及び熱間等静圧加圧焼結(セ氏1000度乃至セ氏1500度、20000ポンド・平方インチ乃至35000ポンド・平方インチ、100分間乃至300分間)を施し、再製スパッタリングターゲットを得る。尚、前記再製スパッタリングターゲットは、超音波検査法(UT)により検査することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は上記の構成を有するので、従来の、再製スパッタリングターゲットに何度も再製工程を施すことにより起こる品質低下の問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1A】本発明に係る再製スパッタリングターゲットの製造方法の各工程におけるスパッタリングターゲットの側面断面図である。
【図1B】本発明に係る再製スパッタリングターゲットの製造方法の各工程におけるスパッタリングターゲットの側面断面図である。
【図1C】本発明に係る再製スパッタリングターゲットの製造方法の各工程におけるスパッタリングターゲットの側面断面図である。
【図1D】本発明に係る再製スパッタリングターゲットの製造方法の各工程におけるスパッタリングターゲットの側面断面図である。
【図2】本発明に用いられる使用済みスパッタ材の斜視図である。
【図3】本発明に係る再製スパッタリングターゲットの機械加工処理される前の状態を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る再製スパッタリングターゲットの機械加工処理された後の状態を示す斜視図である。
【図5A】使用済みスパッタ材及び原料粉末充填層における密度の差を超音波検査した結果を示す図である。
【図5B】使用済みスパッタ材及び原料粉末充填層における密度の差を超音波検査した結果を示す図である。
【図6】本発明の実施例1に係る再製スパッタリングターゲットを超音波検査した結果を示す図である。
【図7】粉末焼成してなる従来の再製スパッタリングターゲットに対する超音波検査の結果を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
10 使用済みスパッタ材
11 背面
12 エロージョン面
13 周縁
14 エロージョン溝
20 原料粉末充填層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面と、少なくとも1つのエロージョン面溝を備えるエロージョン面と、周縁とを有する使用済みスパッタ材を提供するステップと、
前記使用済みスパッタ材の背面に機械加工を施すための前処理を行うステップと、
前記使用済みスパッタ材と同様の成分を有する原料粉末を用い、該使用済みスパッタ材のエロージョン面、前記エロージョン面溝及び周縁を被覆し、順次に予備加圧及び焼結処理を行うステップと、を有し、これにより再製スパッタリングターゲットを獲得することを特徴とする再製スパッタリングターゲットの製造方法。
【請求項2】
前記使用済みスパッタ材の背面に施される機械加工をするための前処理が、切削、研磨、又は線切断であることを特徴とする請求項1に記載の再製スパッタリングターゲットの製造方法。
【請求項3】
前記使用済みスパッタ材の背面に機械加工をするための前処理を行った後、前記原料粉末を用いて該使用済みスパッタ材を被覆する前に、該使用済みスパッタリング材の外面を洗浄するステップを施し、
前記洗浄ステップにおいては、超音波洗浄と、二酸化炭素洗浄と、超臨界流体洗浄と、腐食洗浄と、プラズマ洗浄とからなる群より選択される少なくとも1の方法を用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の再製スパッタリングターゲットの製造方法。
【請求項4】
前記使用済みスパッタ材がルテニウム(Ru)と、白金(Pt)と、パラジウム(Pd)と、銀(Ag)と、金(Au)と、ロジウム(Rh)と、イリジウム(Ir)と、オスミウム(Os)と、該各金属の合金とからなる群より選択される少なくとも1の成分を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の再製スパッタリングターゲットの製造方法。
【請求項5】
背面と、少なくとも1つのエロージョン面溝を備えるエロージョン面と、周縁とを有する使用済みスパッタ材と、
前記使用済みスパッタ材と同様の成分を有し、少なくとも該使用済みスパッタ材のエロージョン面及び前記エロージョン面溝を被覆すると共に、機械加工するための前処理が施された使用済みスパッタ材の背面から露出する原料粉末充填層と、を有することを特徴とする再製スパッタリングターゲット。
【請求項6】
前記使用済みスパッタ材がルテニウム(Ru)と、白金(Pt)と、パラジウム(Pd)と、銀(Ag)と、金(Au)と、ロジウム(Rh)と、イリジウム(Ir)と、オスミウム(Os)と、該各金属の合金とからなる群より選択される少なくとも1の成分を含有することを特徴とする請求項5に記載の再製スパッタリングターゲット。
【請求項1】
背面と、少なくとも1つのエロージョン面溝を備えるエロージョン面と、周縁とを有する使用済みスパッタ材を提供するステップと、
前記使用済みスパッタ材の背面に機械加工を施すための前処理を行うステップと、
前記使用済みスパッタ材と同様の成分を有する原料粉末を用い、該使用済みスパッタ材のエロージョン面、前記エロージョン面溝及び周縁を被覆し、順次に予備加圧及び焼結処理を行うステップと、を有し、これにより再製スパッタリングターゲットを獲得することを特徴とする再製スパッタリングターゲットの製造方法。
【請求項2】
前記使用済みスパッタ材の背面に施される機械加工をするための前処理が、切削、研磨、又は線切断であることを特徴とする請求項1に記載の再製スパッタリングターゲットの製造方法。
【請求項3】
前記使用済みスパッタ材の背面に機械加工をするための前処理を行った後、前記原料粉末を用いて該使用済みスパッタ材を被覆する前に、該使用済みスパッタリング材の外面を洗浄するステップを施し、
前記洗浄ステップにおいては、超音波洗浄と、二酸化炭素洗浄と、超臨界流体洗浄と、腐食洗浄と、プラズマ洗浄とからなる群より選択される少なくとも1の方法を用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の再製スパッタリングターゲットの製造方法。
【請求項4】
前記使用済みスパッタ材がルテニウム(Ru)と、白金(Pt)と、パラジウム(Pd)と、銀(Ag)と、金(Au)と、ロジウム(Rh)と、イリジウム(Ir)と、オスミウム(Os)と、該各金属の合金とからなる群より選択される少なくとも1の成分を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の再製スパッタリングターゲットの製造方法。
【請求項5】
背面と、少なくとも1つのエロージョン面溝を備えるエロージョン面と、周縁とを有する使用済みスパッタ材と、
前記使用済みスパッタ材と同様の成分を有し、少なくとも該使用済みスパッタ材のエロージョン面及び前記エロージョン面溝を被覆すると共に、機械加工するための前処理が施された使用済みスパッタ材の背面から露出する原料粉末充填層と、を有することを特徴とする再製スパッタリングターゲット。
【請求項6】
前記使用済みスパッタ材がルテニウム(Ru)と、白金(Pt)と、パラジウム(Pd)と、銀(Ag)と、金(Au)と、ロジウム(Rh)と、イリジウム(Ir)と、オスミウム(Os)と、該各金属の合金とからなる群より選択される少なくとも1の成分を含有することを特徴とする請求項5に記載の再製スパッタリングターゲット。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2010−159482(P2010−159482A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162353(P2009−162353)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(508335819)光洋應用材料科技股▲分▼有限公司 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(508335819)光洋應用材料科技股▲分▼有限公司 (2)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]