説明

冷却装置

【課題】冷却効果が大きいと共に温度精度良くデバイスを冷却することができ高発熱型デバイスの冷却に使用可能な冷却装置を提供する。
【解決手段】冷却装置は、バーンインボード71のソケット76に取り付けたデバイス1に放熱板23を備えた冷却体2を圧接させ、送風機3で放熱板23の間を通過するように空気を供給すると共に、圧縮空気供給系5から供給される圧縮空気をノズル6で放出させ、冷却体2の冷却上面22の一部分に直接当てるように構成されている。これらの両方の空気の冷却効果により、高発熱型デバイスを温度精度良く冷却することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面状の一面を備えていて通電されると目的とする温度より高い温度まで発熱し前記一面の温度が上昇する半導体デバイスを前記目的とする温度にするように冷却可能な冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス(以下単に「デバイス」という)のバーンイン装置としては、多数のデバイスをバーンインボードに装着し、これを恒温槽に多段に積載し、デバイスに通電すると共に、槽内で例えば125℃の一定の温度に調整された熱風をバーンインボードに対して平行に流し、多数のデバイスを一様に冷却しつつ循環させるようにした装置が一般的である(例えば特許文献1、2参照)。このようなバーンイン装置によれば,従来のデバイスであれば、循環される熱風の温度に対応して、通電によって発熱するデバイスの内部温度が150℃程度のバーンインに適当な温度になるとされていて、多数のデバイスを能率良くバーンイン試験することができた。
【0003】
又、特許文献3には、従来技術として、槽内の温度を検出してこれを一定温度にするだけでは、デバイス自体の温度を直接制御しないため、半導体チップの空きスペースにダイオードを形成し、その電気特性から半導体チップのジャンクション温度を推定することが行われていたことが記載されている。(同特許文献3参照)。
【0004】
更に上記特許文献3では、個々の半導体チップの集積回路部にその全体にわたって温度測定用配線部を配置し、集積回路部の通電用接続パッドと同様な状態で設けた接続パッドを介してチップの平均的温度を検出し、温度調整装置に個々の半導体チップに対応して配置した送風ファンから温調された空気を送り、チップの平均的温度を目的とするバーンイン温度にするように個々のチップに送る送風量を制御するようにしたバーンイン試験装置が提案されている。
【0005】
一方、最近では、通電時に例えば300W程度まで発熱する高発熱デバイスが出現してきていて、バーンイン装置やこのような高発熱デバイスを実装したプリント基板の冷却装置をこのような高発熱デバイスのバーンインに対応させる必要がある。ところが、上記の従来の一般的な熱風循環式の装置では、デバイスの一面を一種類の空気で直接的に冷却しているため、冷却面積が不足したり、冷却空気量が不足し、デバイスの発生させる高熱量を除去できなくなっている。
【0006】
これに対して、高発熱デバイスを含むデバイスを実装したプリント基板の冷却装置としては、プリント基板にデバイスに相当する低発熱素子及び高発熱素子を装着したプリント基板上の冷却室に1台の共通空冷手段である送風機から冷却空気を流し、低高発熱素子のそれぞれの表面の一部分に円筒型及びティーカップ型の蛇腹状フィンを接触させてこれらのフィンを介して素子を共通して冷却すると共に、高発熱素子に対しては、小型高圧ファンにより高圧空気通路の噴出口からティーカップ内に高圧空気を送るようにした半導体素子の冷却装置が示されている(特許文献4参照)。
【0007】
この冷却装置のティーカップ型フィンでは、フィンの内外の空気がフィンによって分離されているため、それぞれの空気が直接的に混合しないためそれぞれに独立した冷却作用をさせることができるが、1つの一体型のフィンが素子の表面の一部分に接触していると共に大きな容積を持つように広がっているため、冷却室内の空気流れが大幅に乱されること、フィンが1つであるため蛇腹状であっても冷却面積が小さいこと、素子の表面に接触する接触部へのフィンのつけ根部分の面積が小さいと共にこれが素子の表面の一部分に接触しているだけであること、送風機よりも高圧であるが高圧ファンからの送気であるため流速がそれ程大きくならないこと、等により、結局高発熱素子の冷却効果が不十分である。
【0008】
又、同様に高発熱デバイスを含むデバイスを実装したプリント基板の冷却装置として、高発熱デバイスに相当する高発熱ヒートシンクを含むヒートシンクを装着したプリント基板上の冷却室に上記と同様に共通的に冷却空気を流すと共に、ブロワから昇圧した空気を小風路に流してデバイスの発熱量に対応した大きさのオリフィスを介してデバイスの一面からデバイスに設けられた中央空間に向かって直接空気を当てるようにしたヒートシンクの直噴空気システムが示されている(特許文献5参照)。
【0009】
このシステムでは、ヒートシンクの内外の空気が中央空間によって分離されているので、それぞれの空気が直接的に混合しないためそれぞれに独立した冷却作用をさせることができるが、中央空間のような穴を持つ特別のデバイスにしか適用できないこと、送風機よりも高圧であるが吐出圧力が100KPa程度までとされているブロワからの送気であるため流速がそれ程大きくならないこと、等により、結局高発熱素子の冷却効果が不十分である。
【0010】
又、圧縮機で圧縮され冷却された空気をデバイスの両面に配置された空気噴射ノズルで噴射させて個々の対象物毎にその両面を直接冷却するようにした空気噴射式温度制御装置が知られている(特許文献6参照)。しかしこの装置では、デバイスの両面を冷却するようにしているので、デバイスの一面側をデバイスと電気的接続を図るコネクタへの装着面にしている通常のバーンイン装置には適用できないこと、面に当てる空気量だけでデバイスの全発熱量を除去するため、この空気量を制御するだけでは、デバイスの温度を十分精度よく制御することが難しいこと、デバイスの面に直接噴射空気を当てるので、その表面が汚れたり変色する等の噴射空気の影響を受けること、等の問題がある。
【特許文献1】特開平8−211122号公報(図1及び明細書の関連説明)
【特許文献2】特開平11−231943号公報(図1及び明細書の段落25)
【特許文献3】特開2000-97990号公報(図4及び明細書の段落3、4、図1、2及び明細書の関連説明)
【特許文献4】特開平1−28896号公報(特に第2図及び関連説明)
【特許文献5】米国特許第4851965号(特に第2、3図及び関連説明)
【特許文献6】特開平4−321113号公報(図1及び明細書の関連説明)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は従来技術における上記種々の問題を全て解決し、デバイス表面に影響を与えることなく、冷却効果が大きいと共に温度精度良くデバイスを冷却することができ高発熱型デバイスの冷却に使用可能な冷却装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記課題を解決するために、請求項1の発明は、平面状の一面を備えていて通電されると目的とする温度より高い温度まで発熱し前記一面の温度が上昇する半導体デバイスを前記目的とする温度にするように冷却可能な冷却装置において、
前記一面に圧接される圧接面と該圧接面の反対側の被冷却面と多数の冷却部材であって前記被冷却面のうち前記一面の中心を含む一定範囲の部分に対応する内側面の外側の外側面に一方側から他方側に空気が通過可能なように立設された多数の冷却部材とを備えた冷却体と、前記空気を供給可能な空気供給手段と、前記内側面に対向する方向から前記内側面のうち前記中心に対応する位置を含む特定範囲の部分に当たるように圧縮機で圧縮され放熱された圧縮空気を噴射器で放出して供給可能にする圧縮空気供給手段と、を有することを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明は、上記に加えて、前記半導体デバイスの温度を検出する温度検出手段と、前記圧縮空気の流量を調整可能にする圧縮空気流量調整手段と、前記温度検出手段が検出した温度が前記目的とする温度になるように前記圧縮空気流量調整手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明は、上記に加えて、前記空気の流量を調整可能にする空気流量調整手段と、前記検出した温度と前記目的とする温度との差が所定値以上のときには前記差が前記所定値になるように前記空気流量調整手段を制御する第2制御手段とを有し、前記制御手段は前記差が前記所定値より小さくなったときに前記温度検出手段が検出した温度が前記目的とする温度になるように前記圧縮空気流量調整手段を制御することを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1の発明に加えて、前記圧縮空気供給手段は前記圧縮空気と熱媒体液とを混合して前記熱媒体液を微小粒にして前記圧縮空気で供給可能にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上の如く本発明によれば、請求項1の発明においては、平面状の一面を備えていて通電されると目的とする温度より高い温度まで発熱し一面の温度が上昇する半導体デバイスを目的とする温度にするように冷却可能な冷却装置が、まず冷却体を有していて、この冷却体が上記の如く通電時に昇温する一面に圧接される圧接面とその反対側の被冷却面とを備えているので、冷却装置によって発熱するデバイスの熱を一面から圧接面を介して被冷却面に伝達することが可能になる。
【0017】
この冷却体は多数の冷却部材を備えていて、この多数の冷却部材を、被冷却面のうち昇温する一面の中心を含む一定範囲の部分に対応する内側面の外側の外側面に一方側から他方側に空気が通過可能なように立設されていると共に、冷却装置がこのような冷却用の空気を供給可能な空気供給手段を有するので、空気が多数の冷却部材を通過するように空気供給手段を作動させると、冷却部材が多数あるためその表面積が十分大きくなっていると共に、多数の冷却部材を外側面に立設させているためその付け根部分の面積が十分大きくなるので、外側面の熱を冷却部材の表面から十分に放出させることができる。
【0018】
又、被冷却面のうち、昇温する一面の中心を含む一定範囲の部分に対応する内側面に対しては、冷却装置が圧縮空気供給手段を有し、この手段により、内側面に対向する方向から、上記一定範囲の部分に対応する内側面のうち前記中心に対応する位置を含む特定範囲の部分に当たるように圧縮機で圧縮され放熱された圧縮空気を噴射器から放出させて供給可能にしているので、圧縮空気供給手段を作動させることにより、圧縮空気が噴射器から放出されて外気の圧力になった放出空気によって内側面を直接的に冷却し、内側面の熱を相当程度除去することができる。
【0019】
即ち、圧縮機で圧縮した圧縮空気を供給する装置では、圧縮空気は、圧力0.1MPaG以上の空気であり、工場等の中で各種用途に使用されるものでは通常0.5〜1MPaG程度の圧力にされ、又、圧縮機に付属して設けられることの多い空気冷却器や空気溜や配管系等で放熱された空気として環境温度である常温に近い温度にされるので、この空気を噴射器から通常大気圧になっている工場等の室内に設置される冷却装置の中で放出させて大気圧まで減圧された放出空気にすると、放出空気が極めて速い高速流になり、例えば直径1mm程度の小口の噴射器から放出されても、相当量の空気が高速で且つ周辺空気よりも低い温度で、流速や噴射器の高さ等で定まる内側面のうちの特定範囲の部分に当たり、極めて効果的にこの面及びその近傍の熱を除去することができる。
【0020】
この場合、内側面を一面の中心を含む一定範囲の部分に対応させているので、昇温する一面のうち熱が放散しにくい中心部分を含んでいるため、この中心部分の熱を放出空気で効果的に除去することができる。そしてこの放出空気は、前記特定範囲に当たって内側面に沿って流れてその面から吸熱し、更に外側面に流れてその面の直接的冷却及び冷却部材を冷却するための追加空気として利用される。
【0021】
又、空気供給手段からの供給空気と圧縮空気供給手段からの放出空気との二種類の空気をそれぞれの供給手段で別個独立に供給できるようにしているので、デバイスの発熱を除去するための総除熱量を多くすると共に、それぞれの空気量をある程度自由に定めて、デバイスの発熱を適当な比率で分担して除熱することができる。その結果、例えば放出空気で除去する熱量を供給空気で除去する熱量よりかなり小さくしておくことにより、例えば供給空気量を最大量の近い量で保持し、放出空気量を変化させることにより、デバイスの冷却熱量を細かく調節し、デバイスの温度を精度良く目的とする温度にすることができる。
【0022】
以上のように、送風冷却と圧縮空気放出による冷却との両方の冷却効果を得るために同じ気体同士を流速差によって互いに交差させるような流れ状態を実現したことにより、空気だけを用いることにより冷却媒体の系統を最も簡素にすると共に、追加設備の少ないコストの低減された冷却装置により、従来の装置では対応できなかった300Wにもなる高発熱デバイスの過大な熱量を確実に除去し、デバイスを例えばバーンインするときの150℃程度の目的とする温度に維持した運転をすることができるようになった。
【0023】
請求項2の発明においては、冷却装置が、半導体デバイスの温度を検出する温度検出手段と、圧縮空気の流量を調整可能にする圧縮空気流量調整手段と、温度検出手段が検出した温度が前記目的とする温度になるように圧縮空気流量調整手段を制御する制御手段とを有するので、空気供給手段を制御や調整することなく一定の運転状態に維持してこの手段によるデバイスの冷却効果を一定にする場合に、デバイスを自動的に精度良く目的とする温度に冷却することができる。従って、運転の省力化と温度精度の向上とを図ることができる。
【0024】
又、このような冷却装置は、通常多数のデバイスを冷却する装置として形成されるので、そのときには、空気供給手段によりそれぞれのデバイスに対する空気供給量が均一でなく、従ってデバイス間で空気供給手段による除熱量にばらつきが生することになるが、そのようなばらつきに対しても、圧縮空気からの放出空気による除熱量を変化させることにより、それぞれのデバイスの温度精度を良くすることができる。
【0025】
請求項3の発明においては、上記に加えて、空気の流量を調整可能にする空気流量調整手段と、検出した温度と目的とする温度との差が所定値以上のときにはその差が所定値になるように空気流量調整手段を制御する第2制御手段とを有し、制御手段は、前記差が前記所定値より小さくなったときに温度検出手段が検出した温度が目的とする温度になるように圧縮空気流量調整手段を制御するように構成されるので、検出温度が目的とする温度から離れているときには、多数の冷却部材を介して相対的に多量の熱量を除去できる空気供給手段の供給空気量を制御することにより、大きな除熱効果により、目的とする温度に近いがある程度離れた温度に設定することができる所定温度までは迅速に到達させ、その後は、相対的に小さい除熱作用をすることになる圧縮空気量を制御して精度良く目的とする温度を得ることができる。即ち、迅速且つ高精度の温度制御をすることができる。
【0026】
請求項4の発明は、請求項1の発明に加えて、圧縮空気供給手段が、圧縮空気と熱媒体液とを混合して熱媒体液を微小粒にして圧縮空気で供給可能にするので、発熱するデバイスの熱が伝達された冷却体に熱媒体液の微小粒を供給することにより、微小粒を気化させてデバイスの熱を多量に且つ効果的に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1及び図2は本発明を適用した冷却装置の全体構成の一例を示し、図3はその構成部分の一例を示す。なお図1、2では、通常5〜10段程度の多段に構成にされる装置の一段の部分を示している。他の段も同様の構造にされる。
【0028】
本例の冷却装置は、平面状の一面として本例では上面11を備えていて通電されると目的とする温度として本例ではほぼ150℃程度の温度tより高い温度まで発熱してこれに対応して上面11の温度も上昇するように形成されたデバイス1を温度tにするように冷却可能な冷却装置としてデバイス1のバーンインに用いられる装置であり、冷却体2、空気供給手段としての送風機3、圧縮空気供給手段を構成する圧縮機4、圧縮空気管系5及び噴射器6、等を有する。
【0029】
冷却装置の通常の構造部分としては、デバイス1を搭載するためのバーンインボード71(以下単に「ボード71」という)、これを冷却装置内で支持するための支持板72、内外ケーシング73、74、中継ボード100が電気的に結合されるコネクタ75、等が設けられている。内外ケーシング73、74の間は排気ダクトになる。
【0030】
ボード71は、プリント基板からなり、その上にソケット76が取り付けられていて、先端には、コネクタ75に着脱されるエッジコネクタ71aが形成されている。後端には取っ手71bが取り付けられている。バーンイン試験装置としては、冷却装置に加えて、冷却装置の外に配設され順次中継ボード100に結合される図示しないドライバー/テストボード、中継ボード、コントロールボード等が準備される。そしてこれらにより、デバイス1に通電し必要な電気信号を与えてバーンインのためにデバイス1を作動させることができる。
【0031】
デバイス1は、通電時に300W程度までの熱量を発生させる高発熱型のものであるが、図3(a)にも示す如く、通常のものと同様に、周辺に多数個のピン12を備えていて、バーンインボードに着脱するときにはそれらがソケット76に着脱される構造になっている。その上面11は、放熱しやすいように銅にニッケルメッキをしたような伝熱性のよい金属でできていて平坦な面になっている。下面13は通常耐熱樹脂製である。
【0032】
このような高発熱型のデバイス1には、温度管理の重要性から温度センサ14を内蔵した構造のものがある。その場合には、センサ14は、多数個のピン12の中の適当なものと接続され、ソケット76からボード71のプリント配線を介して前記図示しないコントロールボードから外部配線として取り出され、温度表示や温度制御用として使用される。温度センサ14がデバイス1に内蔵されていない場合には、デバイス1の下面13に接触するようにソケット76に代用の温度センサを取り付け、これらを同様にボード71のプリント配線に接続するような構造にされる。
【0033】
冷却体2は、図3(a)及び(b)にも示す如く、デバイス1の上面11に圧接される圧接面21とこの面の反対側の被冷却面である冷却上面22と多数の冷却部材であるフィン状の多数の放熱板23とを備えている。デバイス1は、図3(c)に示すように、本例では一辺aが4cmの角形になっていて、圧接面21は、その上面11を覆うようにこれより広い面積になっている。圧接面21の周辺には更に、冷却上面22を大きくすると共に、圧接面21が十分な圧接力で全面的に確実に上面11に圧接するように、冷却上面22の拡大部分と共に段状部24が形成されている。
【0034】
多数の放熱板23は、冷却上面22のうち、デバイスの上面11の中心Oを含む一定範囲の部分である中央部分11aに対応する内側面22aの外側の外側面22b及び22cに、一方側である送風機3の側から他方側である内側ケーシング73の側に図においてX1 方向に多数の放熱板23のそれぞれの間sを空気が通過可能なように冷却上面22の内側面22aに直角な方向に立設されている。この多数の放熱板23は、本例では中心Oに対して冷却上面22の長さX方向に間隔dを開けて両側に幅Y方向に13枚づつ合計26枚で形成されている。
【0035】
放熱板23を含む冷却体2の材料としては、例えばアルミニウムやアルミニウム合金のような軽量で熱伝導率の良いものが使用される。内側面22aの形状や大きさは、噴射器6から噴出される空気量、冷却上面22や放熱板23の大きさや形状、噴射器6の数等に対応して、冷却効果が大きくなると共に冷却体2の製造が容易になるように定められる。例えば、本例のように全ての放熱板を両側に分離した形状のものではなく、連続した放熱板の中に四角形や円形や楕円形の空間部ができるように放熱板を配置した形状のものであってもよい。
【0036】
冷却体2は、その圧接面21がデバイス1の上面11に良好に圧接するようにボード71に適当な手段で取り付けられるが、本例では図4に示す如く、固定具8として、ボード71に取り付けられた台座81、これに取り付けられたピン82、これに中心線CからC1 の間で傾倒可能に支持された内ガイド83、これと係合した外ガイド84、これに固定されたピン85、ピン82と85に係止され外ガイド84を内ガイド83の方向に引っ張るバネ86、外ガイド84と一体の爪部84a、等で形成されている。
【0037】
送風機3は、前記のようにX1 方向に多数の放熱板23のそれぞれの間sを通過可能なように空気を供給するが、本例では、図1、2に示す如く、各段のバーンインボード71上に取り付けられる4組の冷却体2のそれぞれに独立に空気を供給可能なように各段に4台設けられている。即ち、1台の送風機3は、1組の冷却体の放熱板23の幅Y方向及び高さZ方向の全体の範囲を含むように空気を供給する。
【0038】
この場合、送風機3としては、例えば吐出静圧が0.3〜0.4KPaG程度の軸流送風機が使用されるが、その羽根の直径が放熱板23の高さ及び全幅に近い程度の寸法であれば、羽根の吐出空気が適当に多少拡散して放熱板23の高さ及び全幅の範囲にほぼ放熱板に平行に空気を送ることができる。送風機3の送風量は、放熱板23の熱をできるだけ多く除去するように定められるが、その除去熱量には限界があるため、デバイス1が前記高発熱型のものであるときには、例えばその最大発熱量の80%程度の熱量を除去できるように定められる。
【0039】
なお、1段又は全段の全数の冷却体2に対して1台の送風機とそれぞれの放熱板23に対応した位置に送気用の開口とを設け、又必要に応じてダンパーを設けることにより、それぞれの放熱板23にほぼ同程度の空気が供給されるような配置にすることも可能である。
【0040】
圧縮機4及び圧縮空気管系5は、本例では冷却装置が使用される半導体製造工場等の工場全体に一般用途の圧縮空気を供給する設備として設けられている。このような圧縮空気系は、通常0.7〜0.9MPaG程度の圧力にされる。そして圧縮機4の吐出側には、図示のように空気冷却器41及び空気槽42が設けられ、空気槽42内の圧縮空気の圧力が前記範囲の圧力になるように、圧縮機が自動運転されている。
【0041】
冷却装置への圧縮空気は、このような圧縮空気系5から、元弁になる冷却装置用の主空気弁51及びそれぞれの冷却体2及び噴射器6に対応して設けられた個別空気弁52を介して前記噴射器6に供給可能にされる。なお、圧縮空気供給系がこのような工場設備として設けられていない場合には、冷却装置として小容量の同様の圧縮機等が設けられる。
【0042】
噴射器6は、通常の構造のもので詳細図示を省略するが、圧縮空気室とノズル61とを備えていて、前記内側面22aに対向する方向としてこの面の上方で高さhの位置からこの面のうち中心Oに対応する位置を含む特定範囲の部分として半径rの円の直射面22a1 に当たるように、圧縮機4で圧縮され空気冷却器41、空気槽42、圧縮空気系5の配管内等で放熱した圧縮空気を放出して供給可能にする。噴射器6から放出される空気量、流速及び上記半径rは、圧縮空気室の圧力、ノズル61の直径、上記高さh等の値によって定まるので、実際の装置では、前記空気量、流速及びrが適当な値になるように前記直径、圧力、h等が定められる。
【0043】
なお、圧縮空気供給系5に加えて熱媒体液として例えば水を供給する水供給系を追加し、噴射器6として、圧縮空気と水供給系から供給される水とを導入してこれらを混合し、水を微小粒であるミストにして圧縮空気で供給可能にするエアーミストスプレーガン等を使用するようにしてもよい。
【0044】
以上のような冷却装置は次のように運転され、その作用効果を発揮する。
送風機3は運転可能な状態にされている。又、工場等の圧縮空気供給系5は、通常使用可能な状態になっている。それぞれの個別空気弁52は予め開度調整されている。このような状態でデバイス1のバーンイン試験をするときには、まずデバイス1及び冷却体2をボード71に装着する。即ち、図3(a)の矢印に示す如く、デバイス1をボード71に取り付けられられているソケット76に装着し、圧接面21がデバイスの上面11に接触する位置に冷却体2を配置し、固定具8を中心線C1 の位置に傾倒させて圧接面21を上面11に乗せ、外ガイド84を引っ張って固定具8を中心線Cの位置にして冷却体2の段状部24の上端に引っかけ、平面位置を微調整して冷却体2の位置を安定させる。これにより、バネ86の適度な力によって圧接面21が上面11に圧接し、上面11の熱を十分小さい熱抵抗の下に冷却体2の圧接面21に移動させることができる。なお、本例の如く段状部24を形成したことにより、特に良好な圧接状態を得ることができた。
【0045】
全てのデバイス1及び冷却体2をボード71に装着すると、ボード71の幅X方向の両端を冷却装置の支持板72上に乗せ、これを冷却体2の前記幅Y方向でもある奥行きY1 方向に送り、先端のエッジコネクタ71aをコネクタ75に差し込む。これにより、デバイス1は、順次、ボード71、中継ボード100、図示しないドライバー/テストボード及び中継ボードを介してコントロールボードに接続される。
【0046】
以上のような操作によりバーンイン試験を実施可能な状態になり、試験装置を操作してデバイス1に給電し、必要な電気信号を与えてデバイス1を作動状態にする。又、これと同時にもしくは少し遅れて送風機3を運転する。デバイス1が作動状態になると、最大300W程度の電力を消費し、この電力に対応して熱が発生し、デバイス1は最初の常温状態から次第に昇温する。しかし、この初期状態では、デバイス1の上面11の温度が十分高くなっていないので、上記の如く送風機3だけを運転する。
【0047】
送風機3を運転すると、冷却装置の外部であるこの装置が配置されている室から取り入れられた温度to の空気が冷却体2に送られ、その放熱板23の間sの全ての部分を通過する。そしてデバイス1が発熱すると、この発熱が、上面11から圧接面21、冷却上面22を介して放熱板23から通過する空気によって持ち去られる。この場合、冷却上面22が放熱板23によって極めて大きい冷却面積に拡大されていると共に、放熱板23が冷却上面22の面積のうちのかなりの部分を占めているので、放熱板23と送風機3による空気供給とにより、例えばデバイス1が上記のような高発熱型のものであっても、その発熱を除去するために必要となる全除熱量の80%程度という十分大きな除熱量を得ることができる。
【0048】
このようにデバイス1を送風機3で空冷しつつ継続して給電して作動状態にしていると、デバイス1が高発熱型のものであるときには、その発熱量に対して除熱量が例えば上記の如く20%程度不足するため、デバイス1が昇温する。そのため、温度センサ14の検出温度taが目的とする温度t=150℃に接近し例えば145℃になると、圧縮空気を供給する主空気弁51を開く。これにより、個別空気弁52から噴射器6に圧縮空気が供給され、そのノズル61から冷却上面22の直射面22a1 に当たるように空気が放出される。
【0049】
その結果、送風による除熱量の不足分である20%程度の発熱量が放出空気によって除去され、taが徐々に150℃に到達し、以後この温度に保持されることになる。又、個別空気弁52では、全除熱量ではなくその20%程度の除熱量を与えるように流量調整することになるので、精度の良い除熱量を得てバーンイン温度の精度を良くすることができる。なお、個別空気弁52を予め調整しているので、どのデバイスでも150℃に近いバーンイン温度の許容範囲内のtaを得ることができるが、運転条件の変動等によって特定のデバイスのtaが150℃から許容範囲を超えるほど変動したときには、そのデバイスに対応した個別空気弁52の開度を更に調整することになる。
【0050】
圧縮空気による除熱について更に説明すると以下のとおりである。
個別空気弁52で調整された後の噴射器6のノズル前の圧力がPで放出後の圧力が大気圧Paであれば、この圧力差(P−Pa)=ΔP及びノズルの直径に対応してノズルを通過する空気の流速V及び流量qが定まる。この流速Vは非常に高速であるため、放出空気は、送風機3による空気流れを突き抜くように放射状に進むが、このとき進路部分及び周辺の空気を随伴しつつ、図1に示す如く高さhの距離を進むと半径rの円内の直射面22a1 に当たることになる。そして、その面から放射状に冷却上面22に沿って広がり特に送風機の空気流れの方向であるX1 方向に多く流れ、その流れと一体化される。
【0051】
実験によれば、図1に示す噴射器6の高さhを約50mmとし、ノズル61の直径を1mmとし、これから圧力0.6MPaA程度の圧縮空気を放出させると、図3(b)に示す直射面22a1 の半径rを約50mmという適当な大きさにすることができた。従って、圧縮空気の放出により、直接的にはこの直射面22a1 及びこれから放射状に拡大した一定範囲の部分を低温空気で効果的に冷却することができると共に、間接的には、放熱板23のうちの上流側のもの23bを冷却して温度上昇した送風機3の供給空気の温度をある程度低下させ、下流側の放熱板23aにおける冷却効果を補助することができる。この場合、放出空気が直射面22a1 に衝突するように流れるので、従来のように冷却上面22に平行に空気を流すような通常のバーンイン装置に較べて、大幅に熱交換性を良くして、冷却効果を向上させることができる。
【0052】
その結果、噴射器6が小型でノズル61が例えば1mm程度の十分小さい直径のものであっても、圧縮空気の供給によって必要な除熱量の20%程度を得ることができる。そして、噴射器6を小型にすることにより、これを冷却上面22の内側面22aの上方でこれに近い位置に配置し、冷却上面22に確実に放出空気を当てて上記の除熱量を確実に得ることができる。
【0053】
なお、このような効果的な冷却効果を得るためには、送風空気を適当に随伴した放出空気を確実に冷却上面22に到達させる必要があると共に、ノズル61からの空気の放出位置を冷却体2の内側面22の上方で放熱板23の高さの範囲内の高さにして、放出空気で冷却する随伴空気を送風機の供給空気にすることが望ましい。そのときには、噴射器6をその全体又は一部分が放熱板23の高さより低い位置になるように設置しなければならない場合があるが、圧縮空気の供給により噴射器6を小型のものにすることができるため、これが放熱板23aと23bの間に存在しても、供給空気の流れを大きく妨げることはない。
【0054】
以上のような送風冷却と圧縮空気放出冷却との組合せによれば、空気だけを用いて冷却媒体の系統を最も簡素にすると共に、追加設備の少ないコストの低減された冷却装置により、従来の装置では対応できなかった300Wにもなる高発熱デバイスの過大な熱量を確実に除去し、デバイスをバーンインするときの150℃程度の目的とする温度に維持した運転をすることができる。なお、本例では1組の冷却体2に対して噴射器6を1個だけ設ける構成にしたが、この個数を適当に増やすことにより、更に高い冷却効果を得ることができる。又、前記の如く噴射器6としてエアーミストスプレーガン等を使用し、水をミストにして圧縮空気で供給するような装置にすれば、発熱するデバイスの熱が伝達された冷却体2の冷却上面22に空気ミスト混合体を当てて、ミストの気化熱を利用して高発熱するデバイスの熱を一層多量に且つ効果的に除去することができる。
【0055】
バーンイン時間が経過して試験を終了するときには、デバイスへの供給電力を下げて行き、最終的には通電を停止する。このときには、taが大幅に低下して行くので、圧縮空気系5の主空気弁51を閉にして圧縮空気の放出冷却を停止させ、taが常温に近くなると送風機3の運転を停止する。1回のバーンイン試験が終了すると、エッジコネクタ71aをコネクタ75から引き抜いてバーンインボード71を冷却装置から抜き出し、固定具8を外してまず冷却体2を取り出し、続いてデバイス1をソケット76から取り外す。そして,これまで説明した操作を繰り返し、多数のデバイスのバーンイン試験をすることになる。この場合、冷却体2の着脱はワンタッチ的な簡単な操作であり、送風機3の発停や圧縮空気の主空気弁51の開閉も簡単である。従って、本発明の冷却装置を使用することにより、簡単な操作でバーンイン試験をすることができる。
【0056】
図5は冷却体の他の例を示す。
本例の冷却体2では、冷却部材としてフィン状の放熱板23に代えて、冷却上面22にに多数の放熱棒25を取り付けている。放熱棒25は適当に配置されればよいが、本例のものは千鳥配置にされている。このようにすれば、送風機3からの供給空気の乱れが大きくなり熱交換性能を良くすることができる。このような放熱棒25を備えた冷却体でも、冷却面積及び冷却上面22への接触面積を大きくし、デバイス1の発熱を除去する除熱量を十分大きくすることができる。
【0057】
図6は冷却装置を自動化したときの構成例を示す。
本例の装置は、デバイス1の温度を検出する温度検出手段としての前記温度センサ14、圧縮空気の流量を調整可能にする圧縮空気流量調整手段としての個別空気自動調整弁53(以下「自動弁」と略す)及びこれを駆動する弁駆動器54、温度センサ14が検出した温度taが目的する温度としてバーンインするときのデバイス1の設定温度tsになるように弁駆動器54を介して自動弁53を調整可能にする制御手段としての温度制御器9、等を有する構成の装置である。温度制御器9及び後述する温度設定器91は制御装置90に設けられている。
【0058】
なお、本例の冷却装置は多列多段に多数のデバイスを冷却し、温度センサ14、自動弁53、弁駆動器54、温度制御器9等はデバイス1に対応して多数設けられるが、本例では仮にその中の2つだけを−1、−2として示している。他のものも同様に設けられる。但し、以下の説明では上記の数を示す表示を省略する。
【0059】
温度センサ14の信号は、前記の如くソケット76、バーンインボード71から中継ボード等を介して図示しないコントロールボードから取り出されるが、図では仮にバーンインボード71から取り出されるように示している。自動弁53は、例えばパルス信号nが与えられることによってそれに対応して回転する図示しないモータで駆動される。
【0060】
設定温度tsは、制御装置90に設けられた温度設定器91で任意の温度に設定可能にされていて、例えば前記150℃にされる。このtsは温度制御器9に送信されている。なお、デバイス1が温度センサ14を内蔵していない場合には、前記の如く仮温度センサを取り付けてその検出温度ta1 によって制御する。その場合には、予め別の試験等によってtaとta1 との対応を明らかにしておく。
【0061】
taとtsが与えられると、温度制御器9から自動弁53に与えられるパルス信号nは、(ta−ts)=Δtの値に対応した大きさにされる。即ち、Δt=0のときに自動弁53がある開度になっている場合に、taが150℃以上になりΔtが大きくなると、このΔtの値に対応した量だけ自動弁53の開度が大きくなり、taが150℃以下になってΔtがマイナスになると、その値に対応して、即ち、Δtの絶対値が大きくなるとその値に対応した量だけ自動弁53の開度が小さくなるように制御される。
【0062】
このような制御装置90によれば、80%程度の主たる除熱量を与える送風機3を一定の定格運転状態に維持して、20%程度の補助的除熱量を与える圧縮空気の流量を自動調整することにより、圧縮空気系の圧力が変化したり試験時の環境温度が変化してtaとtsとに一定の許容範囲を超える差が生じても、自動的に目的とする範囲内のバーンイン温度が得られ、図1の装置における個別空気弁52の事前調整や運転中の再調整が不要になり、運転操作の省力化を図ることができる。そしてこの場合、20%という少ない除熱量の範囲を制御するので、一定の制御可能範囲において得られるバーンイン温度の精度を良くすることができる。
【0063】
又、図2に示すように送風機4台をそれぞれのデバイス1及び冷却体2に独立して設けるのではなく、1台の送風機だけを設けてダクトや開口でそれぞれの冷却体2に分配して流すような装置では、それぞれの冷却体2における送風冷却にばらつきが生じやすいが、そのような冷却装置に対しても、本例の如く圧縮空気からの放出空気による除熱量を自動的に変化させることにより、前記ばらつきを修正してそれぞれのデバイスの温度精度を良くすることができる。
【0064】
図7は冷却装置を自動化したときの他の構成例を示す。
本例の装置は、図6の装置に加えて、空気の流量として送風機3からの供給空気の流量を調整調整可能にする供給空気流量調整手段としての本例では送風機3のモータ31及びこれを秒単位の短い時間周期で発停させる駆動器32、温度センサ14が検出した温度taと設定温度tsとの差Δtが所定値として例えば5℃以上のときにはΔtが5℃になるように駆動器32を制御にする第2制御手段としての第2温度制御器33、及び本例ではこれとは別に設けていて温度制御器9又は第2温度制御器33の何れかを選択する選択手段となる切換制御器10を有し、Δtが5℃より小さくなったときには、温度制御器9がtaをtsにする図6のものと同じ制御をするように構成されている。温度制御器9及び温度設定器91と共に切換制御器10及び第2温度制御器33は制御装置90に設けられている。
【0065】
この制御によれば、例えばtaが157℃になり(ta−ts)=ΔtとすればΔt=7℃のときに、切換制御器10はこのΔtを第2温度制御器33の方に送信し、第2温度制御器33がこのΔtに対応して、送風機3の運転時間を長くして除熱量を多くし、速く目的とするΔt=5℃に到達させるように制御し、到達した後には、今度はΔtを温度制御器9に送り、温度制御器9が5℃より小さいΔtに対応して、自動弁53の開度を大きくして圧縮空気の流量を多くし、送風空気の除熱量の増加より十分小さい除熱量の増加により、細かく除熱制御しつつ精度良くtaをtsに従ってΔt=0℃に到達させるように制御することになる。
【0066】
一方、taとtsとの差として(ts−ta)=Δtが5℃以上で例えば7℃になったときには、その差に対応して送風空気の除熱量を減少させ、即ち(ta−ts)=−7℃とすればその差に対応して大きく除熱量をマイナス即ち大きく減少させるように制御し、速く−5℃に到達させ、差が−5℃より0℃に近くなれば、同様にその値に対応して圧縮空気の除熱量を減少させるが、その程度を送風空気の場合より十分小さくし、細かく制御して精度良くtaをtsに到達させることになる。
【0067】
このような制御はバーンイン試験の開始時にも効果的に作用する。即ち、デバイス1の温度が低くtaがtsより大幅に小さくΔtが大きい間は、切換制御器10は第2温度制御器33を選択し、第2温度制御器33は供給空気の流量を十分小さくするように、送風機3のモータ31の駆動器32に一定の発停周期の中の運転時間を短くし停止時間を十分長くするようにパルスを与える制御をし、デバイス1を必要以上に過度に冷却してその温度上昇を遅らせることなく、デバイス1を速くtsに到達させるように制御して試験能率を良くすることができる。
【0068】
なお、図7では切換制御器10を設ける例を示したが、その機能を温度制御器9及び第2温度制御器33に包含させ、それぞれに、入力したΔtがそれぞれの制御範囲に入っているかどうかを判断する機能を具備させ、例えば前記5℃を境とした制御範囲に入っている制御器だけに制御動作をさせるような構成にしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、半導体デバイスのうち特に発熱量の大きいもののバーンイン装置に好都合に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明を適用した冷却装置の構成の一例を示す説明図である。
【図2】上記装置に用いられる噴射器の一例を示す断面図である。
【図3】(a)乃至(c)はそれぞれ冷却体とデバイスとソケットとを分離させた状態を示す正面図、冷却体の平面図及びデバイスの平面図である。
【図4】冷却体をバーンインボードに固定する固定具の正面図である。
【図5】冷却体の他の例を示し(a)は正面図で(b)は平面図である。
【図6】制御装置部分を含む冷却装置の構成を示す説明図である。
【図7】他の制御装置部分を含む冷却装置の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0071】
1 デバイス(半導体デバイス)
2 冷却体
3 送風機(空気供給手段)
4 圧縮機(圧縮空気供給手段)
5 圧縮空気系(圧縮空気供給手段)
6 噴射器(圧縮空気供給手段)
9 温度制御器(制御手段)
10 切換制御器(第2制御手段)
11 上面(一面)
11a 中央部分(一定範囲の部分)
14 温度センサ(温度検出手段)
21 圧接面
22 冷却上面(被冷却面)
22a 内側面
22a1 直射面(特定範囲の部分)
22b,22c 外側面
23 放熱板(冷却部材)
31 モータ(供給空気流量調整手段)
32 駆動器(供給空気流量調整手段)
33 第2温度制御器(第2制御手段)
53 自動弁、個別空気自動調整弁(圧縮空気流量調整手段)
O 上面の中心(一面の中心)
t 目的とする温度
ta 検出した温度
ts 設定温度(目的とする温度)
Δt 検出した温度と目的とする温度との差
1 一方側から他方側の方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状の一面を備えていて通電されると目的とする温度より高い温度まで発熱し前記一面の温度が上昇する半導体デバイスを前記目的とする温度にするように冷却可能な冷却装置において、
前記一面に圧接される圧接面と該圧接面の反対側の被冷却面と多数の冷却部材であって前記被冷却面のうち前記一面の中心を含む一定範囲の部分に対応する内側面の外側の外側面に一方側から他方側に空気が通過可能なように立設された多数の冷却部材とを備えた冷却体と、前記空気を供給可能な空気供給手段と、前記内側面に対向する方向から前記内側面のうち前記中心に対応する位置を含む特定範囲の部分に当たるように圧縮機で圧縮され放熱された圧縮空気を噴射器で放出して供給可能にする圧縮空気供給手段と、を有することを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記半導体デバイスの温度を検出する温度検出手段と、前記圧縮空気の流量を調整可能にする圧縮空気流量調整手段と、前記温度検出手段が検出した温度が前記目的とする温度になるように前記圧縮空気流量調整手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記空気の流量を調整可能にする空気流量調整手段と、前記検出した温度と前記目的とする温度との差が所定値以上のときには前記差が前記所定値になるように前記空気流量調整手段を制御する第2制御手段とを有し、前記制御手段は前記差が前記所定値より小さくなったときに前記温度検出手段が検出した温度が前記目的とする温度になるように前記圧縮空気流量調整手段を制御することを特徴とする請求項2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記圧縮空気供給手段は前記圧縮空気と熱媒体液とを混合して前記熱媒体液を微小粒にして前記圧縮空気で供給可能にすることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−49389(P2006−49389A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−224857(P2004−224857)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000108797)エスペック株式会社 (282)
【Fターム(参考)】