説明

処理液供給装置

【課題】融通性が高く、設計から組み立てまでの時間を短縮でき、さらに改造も容易な処理液供給装置を提供する。
【解決手段】この薬液キャビネットは、電気部品ブロック1と、ガス配管部品ブロック2と、薬液循環ブロック3と、薬液調合ブロック4とを備えている。これらのブロック1〜4は、それぞれの構成部品群を固定した筐体11,12,13,14をそれぞれ備えている。これらの筐体11〜14が互いに結合されることによって、ブロック1〜4が一体化されて薬液キャビネットが形成されるようになっている。電気部品ブロック1は、基板処理装置の複数の仕様に共通に適用可能である。薬液循環ブロック3は、基板処理装置の仕様に応じて、構成および個数の変更を要する。薬液調合ブロック4は、採用される薬液調合方式に応じて異なる構成をとる。また、薬液調合ブロック4が不必要な場合もある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、処理液によって基板を処理する基板処理装置に処理液を供給する処理液供給装置に関する。基板処理装置による処理対象の基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板その他の被処理基板が含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置などの製造工程では、基板を処理液によって処理する基板処理装置が用いられる。基板処理装置は、基板に対して、薬液や純水を処理液として供給し、基板の表面に対して、エッチング処理および洗浄処理に代表される液処理を施す。
基板処理装置に対して薬液を供給するために、基板処理装置には、別置の薬液キャビネットが接続される。薬液キャビネットは、たとえば、処理内容に応じて調合された薬液を貯留する薬液槽と、この薬液槽に貯留された薬液を基板処理装置に送り出すポンプと、薬液を流通させるための薬液配管と、この薬液配管に介装されたエア弁と、このエア弁を駆動するための気体(エア)を流通させるエア配管と、ポンプおよびエア弁その他の構成部品の動作を制御する電気コントローラとを含む。また、薬液キャビネットには、必要に応じて、薬液を調合するための薬液調合部が備えられる場合もある。従来からの薬液キャビネットは、これらの構成要素を1つのキャビネットに固定して構成されていた。
【0003】
薬液の調合方式は、大きく3つの方式に分けられる。第1の方式は、複数種類の処理液を異なる配管から各所定流量で供給し、これらを配管の途中で合流させることによって所定混合比率の薬液を調合する方式である。第2の方式は、薬液槽に基本となる処理液(たとえば純水)を貯留しておき、そこに少量の厳密に計量された薬液を注入する方式である。そして、第3の方式は、複数種類の処理液をそれぞれ秤量容器中で秤量しておき、それらを薬液槽に供給して混合させる方式である。
【特許文献1】特開平10−014523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
薬液キャビネットは、基板処理装置とは別置される装置でありながら、基板処理装置の仕様にその構成が依存しており、基板処理装置の機種に対して専用の薬液キャビネットを設計しなければならない。
より具体的には、薬液調合部の有無、薬液調合の方式、基板処理装置における基板処理ユニットの数などに応じて、薬液キャビネットを個別に設計し、多数の構成要素を1つの筐体に共通に組み付けて専用の薬液キャビネットを組み立てる必要がある。薬液調合方式を変更する場合でさえ、薬液キャビネットの改造は容易ではなく、やはり設計をやり直さなければならない。
【0005】
このように、従来からの薬液キャビネットは融通性が低く、設計から組み立てまでに長時間を要するうえに、改造も困難であるという問題があった。
そこで、この発明の目的は、融通性が高く、設計から組み立てまでの時間を短縮でき、さらに改造も容易な処理液供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板(78)に処理液を供給して処理を行う基板処理装置に接続されて用いられ、当該基板処理装置に処理液を供給するための処理液供給装置であって、複数の仕様の基板処理装置に共通に適用される第1構成要素群を第1筐体(11)に固定した第1ブロック(1)と、前記基板処理装置の仕様に応じて変更される第2構成要素群を、前記第1筐体に結合可能な第2筐体(13)に固定した第2ブロック(13)とを含むことを特徴とする処理液供給装置である。なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
【0007】
この構成によれば、基板処理装置の仕様に応じた構成の第2ブロックを第1ブロックと組み合わせ、それらの第1および第2筐体を結合することによって、一体化された処理液供給装置を構成することができる。したがって、基板処理装置の仕様に応じた設計を要するのは第2ブロックのみであるので、設計から組み立てまでの時間を短縮できる。また、基板処理装置の仕様変更が生じたときには、当該仕様に対応した構成の第2ブロックを従前の第2ブロックと交換すればよいので、改造も容易である。このようにして、融通性の高い処理液供給装置を提供できる。
【0008】
さらには、予め基板処理装置の複数の仕様に応じた複数種類の第2ブロックを準備しておけば、基板処理装置の仕様決定から処理液供給装置の組み立てまでの時間を短縮することができる。
請求項2記載の発明は、前記第2ブロックを、前記基板処理装置の仕様に応じた個数分備えていることを特徴とする請求項1記載の処理液供給装置である。
【0009】
この構成によれば、基板処理装置の仕様に応じた個数の第2ブロックが備えられる。換言すれば、基板処理装置の仕様に応じて第2ブロックの個数を変更することができ、基板処理装置の複数の仕様に柔軟に対応することができる。むろん、基板処理装置の仕様変更による第2ブロックの個数変更にも即座に対応できる。
請求項3記載の発明は、前記第1筐体および前記第2筐体の少なくともいずれか一方は、前記基板処理装置の仕様に応じて必要とされる第3構成要素群を第3筐体(14)に固定した第3ブロック(4)を固定するための第3ブロック固定部(13a)を備えていることを特徴とする請求項1または2記載の処理液供給装置である。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記第3ブロックをさらに含むことを特徴とする請求項3記載の処理液供給装置である。
これらの構成によれば、基板処理装置の仕様に応じて、さらに第3ブロックを追加し、その第3筐体を、第1および/または第2筐体と結合して一体化することができる。これにより、基板処理装置のさまざまな仕様に対して、さらに柔軟に対応することができる。
【0011】
請求項5記載の発明は、前記第1ブロックの第1構成要素群は、液配管以外の構成要素のみを含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の処理液供給装置である。
液配管の設計は、基板処理装置の仕様に応じて変更を要する場合が多い。そこで、この発明では、液配管以外の構成要素のみで第1ブロックを形成することにしている。これにより、第1ブロックを基板処理装置の複数の仕様に対して共用することができる。
【0012】
請求項6記載の発明は、前記第2ブロックの第2構成要素群は、処理液を貯留する処理液槽(30)と、この処理液槽内の処理液を基板処理装置に送出するためのポンプ(31)とを含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の処理液供給装置である。
処理液槽およびポンプを含む処理液を取り扱う部分は、基板処理装置の仕様に応じた設計が必要となる可能性が高い。このような部分を、基板処理装置の仕様に応じた構成とされる第2ブロックに集めることにより、第1ブロックを基板処理装置の複数の仕様に対して共用しやすくなる。
【0013】
請求項7記載の発明は、前記第2ブロックの第2構成要素群は、処理液を貯留する処理液槽(30)と、この処理液槽内の処理液を基板処理装置に送出するためのポンプ(31)とを含み、前記第3ブロックの第3構成要素群は、前記処理液槽に供給すべき処理液の原液を貯留する原液タンク(35,36)を含むことを特徴とする請求項3または請求項4または請求項3もしくは4に係る請求項5記載の処理液供給装置である。
【0014】
この構成によれば、第3ブロックには、原液タンクが備えられており、この原液タンクに貯留された処理液原液が第2ブロックの処理液槽に供給されるようになっている。
たとえば、処理液槽内に第1の種類の原液(たとえば純水)が貯留されていて、この処理液槽に原液タンク内の第2の種類の原液(主として薬液)を所定量だけ計量して供給することにより、処理液槽内において所定の調合比率の処理液を調合できる。
【0015】
また、たとえば、第1の種類の原液(たとえば純水)を所定流量で処理液槽に供給すると同時に、原液タンク内の第2の種類の原液(主として薬液)を所定流量で処理液槽に向けて供給することにより、調合された処理液を処理液槽内に貯留することもできる。この場合、原液の混合は、処理液槽よりも上流の処理液配管内において行われてもよいし、処理液槽内で原液が混合されるようにしてもよい。
【0016】
さらに、たとえば、第1の種類の原液を第1の秤量槽で秤量し、第2の種類の原液を第2の秤量槽で秤量し、第1および第2の秤量槽で秤量された第1および第2の種類の原液を処理液槽に供給することによって、調合された処理液を処理液槽に貯留するようにしてもよい。
第3ブロックには、互いに種類の異なる複数種類の原液(とくに薬液)をそれぞれ貯留する複数の原液タンクが備えられていてもよい。これにより、複数種類の原液を調合した処理液を第2ブロックの処理液槽に貯留することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る処理液供給装置としての薬液キャビネットの構成を説明するための図解的な斜視図である。この薬液キャビネットは、電気部品ブロック1と、ガス配管部品ブロック2と、薬液循環ブロック3と、薬液調合ブロック4とを備えている。これらのブロック1〜4は、それぞれの構成部品群を固定した筐体11,12,13,14をそれぞれ備えている。筐体11〜14は、この実施形態では、いずれもほぼ直方体形状の枠体からなり、これらの筐体11〜14が互いに結合されることによって、ブロック1〜4が一体化されている。より具体的には、電気部品ブロック1およびガス配管部品ブロック2は上下に積層配置されている。また、薬液循環ブロック3の筐体13は、筐体11,12の左側面に結合されて固定されている。さらに、薬液調合ブロック4の筐体14は、薬液循環ブロック3の筐体13の左側面に結合されて固定されている。筐体11〜14の相互間の結合は、たとえば、筐体11〜14に形成された貫通孔またはねじ孔に挿通または螺合するボルト(および必要に応じてナット)とを用いて達成されている。
【0018】
図2は、電気部品ブロック1、ガス配管部品ブロック2、薬液循環ブロック3、および薬液調合ブロック4を単体に分解した状態を示す図解的な分解斜視図である。
電気部品ブロック1は、当該薬液キャビネットの各部を制御するためのコントローラ20と、当該薬液キャビネットの動作を設定するための操作パネル21と、処理液の温度調節のための温度調節器32に電力を供給する温度調節器電源22と、前記温度調節器32の制御のための温度調節制御部23と、複数の流量計表示部24とを備え、これらの構成要素群が筐体11に固定されている。
【0019】
ガス配管部品ブロック2は、複数のアナログ型圧力計25(25A,25B)と、複数のデジタル型圧力計26(26A,26B)と、これらにそれぞれ対応して設けられた複数のレギュレータ摘み27と、空気、不活性ガス(窒素ガスなど)その他のガス配管(図示せず)とを備え、これらの構成要素群が筐体12に固定されている。圧力計25および26を視認しながらレギュレータ摘み27を回動操作することによって、各種ガス配管内のガス圧力を調節することができる。
【0020】
薬液循環ブロック3は、基板処理装置(図示せず)に供給すべき薬液(調合済み処理液)が貯留される薬液槽30と、この薬液槽30に貯留された薬液を基板処理装置に向けて送り出すポンプ31と、処理液の温度調節のための温度調節器32と、排液が集められるドレントラップ33と、各種処理液配管(図示せず)とを備え、これらの構成要素群が筐体13に固定されている。
【0021】
薬液調合ブロック4は、種類の異なる薬液(原液)を貯留した第1および第2原液タンク35,36と、処理液を流通させる配管(図示せず)と、配管内の流量を調節するための複数のニードルバルブ37(37A,37B,37C)と、この複数のニードルバルブ37にそれぞれ対応して設けられた流量計38(38A,38B,38C)とを備え、これらの構成要素群が筐体14に固定されている。
【0022】
筐体11〜14の両側面11a〜14aには、ボルト挿通孔またはねじ孔40(以下「ボルト挿通孔等」という。)が複数箇所に形成されており、このボルト挿通孔等40にボルト(図示せず)を挿通または螺合させて、隣接する筐体11〜14同士を互いに結合することができるようになっている。
図3は、前記薬液キャビネット内における処理液および気体の流通系統を説明するための配管系統図である。薬液調合ブロック4は、前述の第1および第2原液タンク35,36にそれぞれ貯留された2種類の薬液と純水(脱イオン化された純水)とを配管途中の混合室45で混合することによって、調合された薬液を生成するものである。第1原液タンク35には、第1原液供給配管46を介して第1薬液が供給されるようになっており、この第1原液供給配管46には、手動弁47、エア弁48およびニードルバルブ49が介装されている。同様に、第2原液タンク36には、第2原液供給配管50を介して第2薬液が供給されるようになっており、この第2原液供給配管50には、手動弁51、エア弁52およびニードルバルブ53が介装されている。
【0023】
第1原液タンク35および第2原液タンク36には、それぞれ、高さの異なる複数の位置に液面センサ54,55が付設されている。当該薬液キャビネットの運転状態では、手動弁47,51は開かれていて、液面センサ54,55の出力に応じて、必要時にエア弁48,52が開かれる。これにより、ニードルバルブ49,53で設定した流量で第1および第2原液タンク35,36に第1および第2薬液がそれぞれ供給され、第1および第2原液タンク35,36は、その内部に薬液が貯留された状態に保持される。
【0024】
第1原液タンク35に貯留された薬液は、第1原液調合配管56を介して混合室45へと導かれるようになっている。この第1原液調合配管56には、流量計38A、ニードルバルブ37Aおよびエア弁57が順に介装されている。同様に、第2原液タンク36に貯留された薬液は、第2原液調合配管60を介して混合室45へと導かれるようになっている。この第2原液調合配管60には、流量計38B、ニードルバルブ37Bおよびエア弁61が順に介装されている。
【0025】
第1および第2原液タンク35,36の内部空間は密閉空間となっており、この空間には、加圧された不活性ガスが、ガス配管部品ブロック2から、第1不活性ガス供給配管95および第2不活性ガス供給配管96を介して供給されるようになっている。これにより、第1および第2原液タンク35,36の内部が一定圧力に加圧されるようになっており、この圧力を受けて、それらの内部の薬液が、第1および第2原液調合配管56,60へと送り出される。したがって、エア弁57,61が開かれると、ニードルバルブ37A,37Bによってそれぞれ設定された流量で、第1および第2原液タンク35,36内の薬液が混合室45へと供給されることになる。
【0026】
混合室45には、さらに、純水供給配管63を介して純水が供給されるようになっている。純水供給配管63には、純水供給源側から順に、手動バルブ64、エア弁65、ニードルバルブ37C、レギュレータ67、流量計38Cおよびエア弁69が介装されている。当該薬液キャビネットの運転中には、手動バルブ64は開かれた状態に保持されている。したがって、エア弁65,69を開くことにより、ニードルバルブ37Cによって設定された流量で、かつ、レギュレータ67によって圧力された状態で、混合室45へと純水が流入することになる。
【0027】
このようにして、混合室45には、それぞれニードルバルブ37A,37B,37Cによって設定された流量で2種類の薬液と純水とが流入し、これらが所定の比率で混合されることになる。こうして調合済み薬液が作成される。この調合済み薬液は、調合済み薬液供給配管70を介して薬液循環ブロック3の薬液槽30へと供給されるようになっている。
【0028】
薬液循環ブロック3は、薬液槽30と、この薬液槽30から基板処理装置へと薬液を供給する薬液供給配管34とを備えている。薬液供給配管34には、温度調節器32、ポンプ31およびパルスダンパ73が介装されている。温度調節器32は、薬液供給配管34内を流通する薬液を加熱または冷却するものであり、たとえば、薬液を冷却するときには電子冷熱機(ペルチエ素子)が適用され、薬液を加熱するときにはヒータが適用される。ポンプ31は、この実施形態では、ガス配管部品ブロック2から駆動エア配管74を介する駆動エアの供給を受けて動作するエア駆動式のポンプ(たとえばダイヤフラムポンプ)であり、パルスダンパ73は、ポンプ31の駆動に伴う薬液の脈動を低減するものである。
【0029】
薬液供給配管34は、基板処理装置に備えられた三方弁76に接続されている。三方弁76には、基板保持機構としてのスピンチャック77に保持された基板78に薬液を供給する薬液ノズル79が接続されている。また、三方弁76には、薬液槽30へと薬液を帰還させるためのリターン配管80が接続されている。基板78に薬液を供給するときには、三方弁76は薬液ノズル79側へと開かれる。一方、基板78に薬液を供給しない待機期間中には、三方弁76はリターン配管80側へと開かれ、薬液が薬液槽30へと帰還させられる。これにより、待機期間中には、薬液は、薬液槽30、薬液供給配管34、三方弁76およびリターン配管80を通る循環経路を通って循環させられ、その過程で、温度調節器32による温度調節を受ける。
【0030】
一方、基板処理装置において基板78に供給された使用済み薬液を回収して再利用するために、薬液回収配管81が設けられており、この薬液回収配管81は、薬液槽30に接続されている。
ドレントラップ33には、薬液槽30の底面に接続された排液配管83と、薬液槽30の側壁の所定高さ位置に接続されたオーバーフロー配管84とが接続されている。排液配管83には、エア弁85が介装されていて、このエア弁85は、薬液槽30内の薬液を排液するときに開かれる。オーバーフロー配管84は、薬液槽30内の薬液が所定量以上となると、その薬液をドレントラップ33へとオーバーフローさせ、液面の上昇を防ぐ。
【0031】
薬液槽30の側面には、薬液槽30内の液面の検出のための液面検出用配管86が、その上端位置に接続されている。液面検出用配管86は、薬液槽30の側面に沿って垂下し、排液配管83においてエア弁85よりも上流側(薬液槽30側)に接続されている。そして、この液面検出用配管86には、高さの異なる位置に液面センサ91,92,93,94が配置されていて、これらによって、薬液槽30内の薬液の液面高さが検出されるようになっている。最下方の液面センサ91は、薬液槽30内の液面の下限高さを検出するものであり、この下限高さを液面が下回ると、基板処理装置および薬液キャビネットは動作停止する。最上方の液面センサ94は、薬液槽30内の液面の上限高さ(オーバーフロー液面高よりも高い)を検出するものであり、この上限高さを液面が上回ると、基板処理装置および薬液キャビネットは動作停止する。下から2番目の液面センサ92は、薬液補給液面高を検出するものであり、下から3番目の液面センサ93は薬液補給停止液面高を検出するものである。薬液槽30内の液面が薬液補給液面高まで降下すると、薬液調合ブロック4から薬液槽30への薬液の補給が始まり、その液面が薬液補給停止液面高に達すると、薬液の補給が停止される。こうして、通常動作時には、薬液槽30内の液面高は、液面センサ92,93の検出高の間に保持されるようになっている。
【0032】
ガス配管部品ブロック2は、第1および第2原液タンク35,36に不活性ガスを供給する第1および第2不活性ガス供給配管95,96と、ポンプ31に駆動エアを供給する駆動エア配管74と、この駆動エア配管74に結合されたポンプ用電磁弁97と、エア弁85,57,61,48,52,69,65にそれぞれ駆動エアを供給するためのエア弁用電磁弁98−1〜98−7とを備えている。第1および第2不活性ガス供給配管95,96には、不活性ガス供給源からの不活性ガスが、手動弁99を介し、さらにレギュレータ100で圧力調整されて供給されるようになっている。レギュレータ100には、デジタル型圧力計26Aが付設されており、このデジタル型圧力計26Aによって検出される圧力が所定の上限値と下限値との間の適正範囲外の圧力となると、警報が発せられて、当該薬液キャビネットの動作が停止するようになっている。
【0033】
第1不活性ガス供給配管95には、異物除去のためのフィルタ101と、圧力調節のためのレギュレータ102と、逆止弁103と、電磁弁104とが、この順序で介装されている。同様に、第2不活性ガス供給配管96には、異物除去のためのフィルタ105と、圧力調節のためのレギュレータ106と、逆止弁107と、電磁弁108とが、この順に介装されている。
【0034】
この構成により、電磁弁104,108が開かれると、レギュレータ102,106で圧力調整された不活性ガスが第1および第2不活性ガス供給配管95,96から第1および第2原液タンク35,36に供給される。
ポンプ用電磁弁97とポンプ31との間は、駆動エア配管74および排気エア配管75によって接続されている。また、ポンプ用電磁弁97には、エア供給源からの圧縮空気を流通させるための駆動エア配管111と、排気エア配管112とが結合されている。駆動エア配管111には、レギュレータ113が介装されていて、このレギュレータ113にはアナログ型圧力計25Aが付設されている。この駆動エア配管111には、圧縮空気供給源からの圧縮空気が、レギュレータ114によって圧力調整されて供給されるようになっている。レギュレータ114には、デジタル型圧力計26Bが付設されており、圧縮空気供給源から供給される圧縮空気の圧力が所定の下限値を下回ると、警報が発生せられて、当該薬液キャビネットが動作停止するようになっている。
【0035】
この構成により、ポンプ用電磁弁97を周期的に駆動することによって、ポンプ31へと所定圧力の駆動エアを供給し、かつ、必要な排気を行って、ポンプ31を駆動することができる。
一方、レギュレータ114によって圧力調整された圧縮空気は、エア弁駆動エア供給配管115へも供給されるようになっている。このエア弁駆動エア供給配管115は、エア弁用電磁弁98−1〜98−7が分岐接続されたマニホールド116に結合されており、これらの電磁弁98−1〜98−7にエア弁駆動用の圧縮空気を供給する。マニホールド116には、排気エア配管117が接続されており、この排気エア配管117は前述の排気エア配管112に合流している。
【0036】
エア弁駆動エア供給配管115には、エア弁を適切な圧力で駆動するために圧力調整を行うレギュレータ118が介装されている。このレギュレータ118には、アナログ型圧力計25Bが付設されており、この圧力計25Bの指示値を確認しながら、駆動エアの圧力を調整できるようになっている。
この構成によって、電磁弁98−1〜98−7の駆動によって、それぞれエア弁85,57,61,48,52,69,65に駆動エアを供給して、これらを開閉することができる。
【0037】
電気部品ブロック1のコントローラ20は、電磁弁98−1〜98−7の開閉を制御することにより、エア弁85,57,61,48,52,69,65の開閉を制御する。また、コントローラ20は、電磁弁104,108を制御し、第1および第2原液タンク35,36からの薬液の供給圧力を制御する。さらに、電気部品ブロック1の温度調節制御部23は、温度調節器電源22から温度調節器32への給電を制御することによって、基板処理装置に供給される薬液の温度を調節する。
【0038】
このように電気部品ブロック1は、液配管以外の構成要素のみを含み、液配管のない非液配管部を構成している。また、ガス配管部品ブロック2は、気体が流通する気体配管を含むものの、液体が流通する配管を含んでおらず、このガス配管部品ブロック2も非液配管部となっている。
図4は、基板処理装置の仕様等に応じた薬液キャビネットの変形を説明するための図解図である。図4(a)は、電気部品ブロック1、ガス配管部品ブロック2、薬液循環ブロック3および薬液調合ブロック4を備えた前述の図1の構成を示す。図4(b)は、前記4つのブロックのうちの薬液調合ブロック4を省いた構成を示す。すなわち、薬液循環ブロック3の薬液槽30に、調合済みの薬液が直接供給される場合には、図4(b)の構成が採られる。このように、薬液調合ブロック4の要否に応じて、容易に構成を変更できる。
【0039】
また、図4(c)は、薬液調合ブロック4とは調合方式の異なる薬液調合ブロック4Aを組み合わせた例を示す。この薬液調合ブロック4Aは、薬液循環ブロック3の筐体13の左側面に結合可能な筐体を有しており、原液タンク等を含むものである。この薬液調合ブロック4Aは、たとえば、複数種類の原液をそれぞれ秤量する複数の秤量槽を備え、この複数の秤量槽で秤量された原液を薬液循環ブロック3の薬液槽30に供給するものであってもよい。また、薬液調合ブロック4Aは、薬液槽30に予め所定の処理液(たとえば純水)を貯留させた状態で、所定量の薬液原液を精密に計量して供給するシリンジを備えたものであってもよい。このように、薬液の調合方式に応じて適切な構成の薬液調合ブロック4Aを従前の薬液調合ブロック4と置き換えることによって、薬液キャビネットの構成を容易に変更することができる。
【0040】
図4(d)は、薬液循環ブロック3の個数を増やした例を示す。たとえば、薬液循環ブロック3は、基板処理装置に備えられる基板処理ユニットの個数に応じてその数が定められる。図4(d)の例では、複数の薬液循環ブロック3の側面同士が結合されている。こうして、必要な個数の薬液循環ブロック3を容易に備えることができる。
むろん、薬液循環ブロック3の仕様は、基板処理装置の仕様に応じて変更することができる。たとえば、予め、複数の仕様に対応した複数種類の薬液循環ブロック3を準備しておけば、基板処理装置の仕様に対応した薬液循環ブロック3を選択して組み付けるだけで、所要の仕様条件を満たす薬液キャビネットを構成することができる。薬液循環ブロック3の複数の種類としては、温度調節器32の種類が異なるものや、その有無が異なるものを挙げることができる。
【0041】
ガス配管部品ブロック2についても同様であり、基板処理装置の仕様に応じて構成の変更を要する場合があるが、その交換は容易であり、基板処理装置の仕様に対応したガス配管部品ブロック2を選択して組み付けるだけで所要の仕様条件を満たすことができる。
電気部品ブロック1は、複数の仕様の基板処理装置に共通に適用可能な構成要素群を備えており、基本的には、基板処理装置の仕様に依存しない。
【0042】
以上のようにこの実施形態によれば、電気部品ブロック1、ガス配管部品ブロック2、薬液循環ブロック3および薬液調合ブロック4が、それぞれの構成要素群を筐体11〜14に固定して形成されており、これらの筐体11〜14を結合して一体化することによって薬液キャビネットが形成されるようになっている。そのため、基板処理装置の仕様に柔軟に対応することができるとともに、基板処理装置の仕様変更に伴う改造も容易であり、融通性の高い薬液キャビネットを提供することができる。こうして、薬液キャビネットの設計から組み立てまでの時間を短縮することができ、ひいては、基板処理装置の仕様決定から薬液キャビネットの組み立てまでの時間を短縮できる。
【0043】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、電気部品ブロック1およびガス配管部品ブロック2の筐体11,12を分割しているが、ガス配管部品ブロック2の構成要素群が複数の基板処理装置の仕様に共通に適用できる場合には、電気部品ブロック1およびガス配管部品ブロック2の構成要素群を共通の筐体に固定して、一つのブロックを形成するようにしてもよい。
【0044】
また、前述の実施形態では、筐体11〜14の側面同士を対向させてそれらを横方向に結合する構成について説明したが、複数の筐体を上下方向に積層して結合するようにしてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明の一実施形態に係る処理液供給装置としての薬液キャビネットの構成を説明するための図解的な斜視図である。
【図2】電気部品ブロック、ガス配管部品ブロック、薬液循環ブロックおよび薬液調合ブロックを単体に分解した状態で示す図解的な分解斜視図である。
【図3】前記薬液キャビネットの処理液流通系統を説明するための配管系統図である。
【図4】基板処理装置の仕様等に応じた薬液キャビネットの変形を説明するための図解図である。
【符号の説明】
【0046】
1 電気部品ブロック
2 ガス配管部品ブロック
3 薬液循環ブロック
4 薬液調合ブロック
4A 薬液調合ブロック
11〜14 筐体
11a〜14a 筐体の側面
20 コントローラ
21 操作パネル
22 温度調節器電源
23 温度調節制御部
24 流量計表示部
25,25A,25B アナログ型圧力計
26,26A,26B デジタル型圧力計
27 レギュレータ摘み
30 薬液槽
31 ポンプ
32 温度調節器
33 ドレントラップ
34 薬液供給配管
35 第1原液タンク
36 第2原液タンク
37,37A,37B,37C ニードルバルブ
38,38A,38B,38C 流量計
40 ボルト挿通孔等
45 混合室
46 第1原液供給配管
47 手動弁
48 エア弁
49 ニードルバルブ
50 第2原液供給配管
51 手動弁
52 エア弁
53 ニードルバルブ
54,55 液面センサ
56 第1原液調合配管
57 エア弁
60 第2原液調合配管
61 エア弁
63 純水供給配管
64 手動バルブ
65 エア弁
67 レギュレータ
69 エア弁
70 薬液供給配管
73 パルスダンパ
74 駆動エア配管
75 排気エア配管
76 三方弁
77 スピンチャック
78 基板
79 薬液ノズル
80 リターン配管
81 薬液回収配管
83 排液配管
84 オーバーフロー配管
85 エア弁
86 液面検出用配管
91〜94 液面センサ
95 第1不活性ガス供給配管
96 第2不活性ガス供給配管
97 ポンプ用電磁弁
98−1〜98−7 エア弁用電磁弁
99 手動弁
100 レギュレータ
101 フィルタ
102 レギュレータ
103 逆止弁
104 電磁弁
105 フィルタ
106 レギュレータ
107 逆止弁
108 電磁弁
111 駆動エア配管
112 排気エア配管
113 レギュレータ
114 レギュレータ
115 エア弁駆動エア供給配管
116 マニホールド
117 排気エア配管
118 レギュレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に処理液を供給して処理を行う基板処理装置に接続されて用いられ、当該基板処理装置に処理液を供給するための処理液供給装置であって、
複数の仕様の基板処理装置に共通に適用される第1構成要素群を第1筐体に固定した第1ブロックと、
前記基板処理装置の仕様に応じて変更される第2構成要素群を、前記第1筐体に結合可能な第2筐体に固定した第2ブロックとを含むことを特徴とする処理液供給装置。
【請求項2】
前記第2ブロックを、前記基板処理装置の仕様に応じた個数分備えていることを特徴とする請求項1記載の処理液供給装置。
【請求項3】
前記第1筐体および前記第2筐体の少なくともいずれか一方は、前記基板処理装置の仕様に応じて必要とされる第3構成要素群を第3筐体に固定した第3ブロックを固定するための第3ブロック固定部を備えていることを特徴とする請求項1または2記載の処理液供給装置。
【請求項4】
前記第3ブロックをさらに含むことを特徴とする請求項3記載の処理液供給装置。
【請求項5】
前記第1ブロックの第1構成要素群は、液配管以外の構成要素のみを含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の処理液供給装置。
【請求項6】
前記第2ブロックの第2構成要素群は、処理液を貯留する処理液槽と、この処理液槽内の処理液を基板処理装置に送出するためのポンプとを含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の処理液供給装置。
【請求項7】
前記第2ブロックの第2構成要素群は、処理液を貯留する処理液槽と、この処理液槽内の処理液を基板処理装置に送出するためのポンプとを含み、
前記第3ブロックの第3構成要素群は、前記処理液槽に供給すべき処理液の原液を貯留する原液タンクを含むことを特徴とする請求項3または請求項4または請求項3もしくは4に係る請求項5記載の処理液供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−351709(P2006−351709A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−173907(P2005−173907)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】