説明

処理装置及び処理液供給方法及び処理液供給プログラム

【課題】 ノズルより処理液を吐出する圧力(特に吐出開始時の圧力)の再現性を改善して、処理品質を向上させること。
【解決手段】 このレジスト液供給機構132は、レジスト液Rを貯留するボトル146より吸入管148を介して少なくとも塗布処理1回分のレジスト液Rをポンプ150に予め充填しておき、塗布処理時にポンプ150よりレジスト液を吐出管136を介してレジストノズル134に所定の圧力で圧送し、レジストノズル136から基板G上にレジスト液Rを所定の流量で吐出するようになっている。コントローラ160は、プログラムされたシーケンスおよび各種設定値にしたがってレジスト液供給機構132の各開閉弁152,158,162、ポンプ150やノズル移動機構134を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理基板にノズルより所定の処理液を供給して所望の処理を施す処理装置、処理液供給方法および処理液供給プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、LCD等のフラットパネルディスプレイ(FPD)の製造プロセスにおけるフォトリソグラフィー工程には、スリット状の吐出口を有する長尺型のレジストノズルを用いて被処理基板(ガラス基板等)上にレジスト液をスピンレス法で塗布する塗布装置がよく用いられている。
【0003】
このようなスピンレス方式の塗布装置では、たとえば特許文献1に開示されるように、載置台またはステージ上に基板を水平に載置して、このステージ上の基板と長尺型レジストノズルの吐出口との間に100μm程度の微小なギャップを設定し、基板上方でレジストノズルを走査方向(一般にノズル長手方向と直交する水平方向)に移動させながら基板上にレジスト液を帯状に吐出させて塗布する。長尺型レジストノズルを基板の一端から他端まで1回移動させるだけで、レジスト液を基板の外に落とさずに所望の膜厚でレジスト塗布膜を形成することができる。
【特許文献1】特開平10−156255
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなスピンレス方式の塗布装置で重視されている要求性能は、レジスト膜厚の均一性であり、特に塗布開始直後の再現性である。塗布処理の中で、走査速度は十分高い精度で再現性を確保できるものの、吐出動作の再現性が課題となっている。
【0005】
通常、この種の塗布装置では、レジスト供給部のポンプにピストンポンプを使用し、1回分つまり基板1枚分の塗布処理で吐出するレジスト液の液量に応じた一定のストロークでピストンを往復運動させるようにしている。すなわち、塗布処理に先立ってピストンを設定ストロークだけ復動させてレジスト供給源より設定量のレジスト液をポンプに吸入または充填しておく。そして、塗布処理が開始されると、ノズル走査と連動してピストンを設定ストロークつまり復動時と同じストロークだけ所定の速度で往動させて、ポンプより設定量(先に吸入しておいた量)のレジスト液を所定の圧力でノズルに向けて圧送し、ノズルから基板上にレジスト液を所定の流量で吐出するようにしている。
【0006】
しかしながら、塗布開始時のポンプ圧力にばらつきがあり、再現性の高い膜厚制御が困難になっている。特に、塗布開始時にポンプ内圧が高すぎてノズルからレジスト液がぼた落ちしたり、逆にポンプ内圧が低すぎてノズル吐出口から気泡がレジスト液の中に混入することがある。さらに、塗布開始時のポンプ内圧の誤差が塗布中のポンプ吐出圧力にも影響して塗布膜全体の膜厚が設定通りにならないこともある。
【0007】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、ノズルより処理液を吐出する圧力(特に吐出開始時の圧力)の再現性を改善して、処理品質を向上させる処理装置、処理液供給方法および処理液供給プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するためにするために、本発明の処理装置は、被処理基板に対して所定の処理液を吐出するノズルと、前記処理液を貯留する貯留部と、前記貯留部より第1の配管を介して前記処理液を吸入し、前記処理液を前記ノズルに向けて第2の配管を介して圧送するポンプと、前記第1の配管に設けられる第1の弁と、前記第2の配管に設けられる第2の弁と、前記ポンプが前記貯留部より前記処理液を吸入し終えた後に、前記第2の弁が閉まっている状態の下で前記ポンプと前記第2の弁との間の流路内に留まる前記処理液の圧力を予め設定した基準待機圧力に一致させるように圧力フィードバック方式で前記ポンプを制御する待機圧力制御部とを有する。
【0009】
本発明の処理液供給方法は、貯留部に貯留されている処理液を第1の弁が設けられている第1の配管を介してポンプに充填し、このポンプから第2の弁が設けられている第2の配管を介して処理液をノズルに圧送し、該ノズルより処理液を吐出して被処理基板に供給する処理液供給方法であって、第1の弁を開状態にするとともに第2の弁を閉状態にして、ポンプに所定ストロークの吸入動作を行わせ、貯留部より処理液を該ストロークに応じた液量だけポンプに充填する第1のステップと、第2の弁を閉状態に保ったまま第1の弁を開状態から閉状態に切り替えて、ポンプと第2の弁との間の流路内に留まる処理液の圧力を所望の基準待機圧力に一致させるように圧力フィードバック方式でポンプを制御する第2のステップと、第1の弁を閉状態に保ったまま第2の弁を閉状態から開状態に切り替えて、ポンプに所定ストロークの吐出動作を行わせ、ノズルより基板に向けて処理液を該ストロークに応じた液量だけ吐出する第3のステップとを有する。
【0010】
また、本発明の処理液供給プログラムは、貯留部に貯留されている処理液を第1の弁が設けられている第1の配管を介してポンプに充填し、このポンプから第2の弁が設けられている第2の配管を介して処理液をノズルに圧送し、このノズルより処理液を吐出して被処理基板に供給する処理液供給プログラムであって、第1の弁を開状態にするとともに第2の弁を閉状態にして、ポンプに所定ストロークの吸入動作を行わせ、貯留部より処理液を該ストロークに応じた液量だけポンプに充填する第1のステップと、第2の弁を閉状態に保ったまま第1の弁を開状態から閉状態に切り替えて、ポンプと第2の弁との間の流路内に留まる処理液の圧力を所望の基準待機圧力に一致させるように圧力フィードバック方式でポンプを制御する第2のステップと、第1の弁を閉状態に保ったまま第2の弁を閉状態から開状態に切り替えてポンプに所定ストロークの吐出動作を行わせ、ノズルより基板に向けて処理液を該ストロークに応じた液量だけ吐出する第3のステップとを実行する。
【0011】
本発明においては、吐出動作によってポンプより処理液を吐出した後に、吸入動作を行ってポンプに処理液を再充填し、圧力フィードバック制御によりポンプ出側の圧力を基準待機圧力に一致させ、この状態で次の吐出動作に備える。これにより、次の被処理基板に対して処理液吐出動作を開始する際に、ノズルにおいてぼた落ちや気泡の混入を確実に防止できるとともに、ポンプ圧力を一定の立ち上がり特性で所望の吐出圧力に立ち上がらせ、安定した流量で処理液を基板に供給することができる。
【0012】
本発明の好適な一態様によれば、ポンプが、処理液を収容する容積可変のポンプ室と、このポンプ室の容積を変えるための所定の行路上で双方向に移動可能な往復動部材と、待機圧力制御部より与えられる制御信号にしたがって往復動部材を移動させる駆動部とを有する。さらに好ましくは、往復動部材が、直線的な行路上で双方向に直進移動可能なピストンを有してよい。駆動部が電気モータとこの電気モータの回転駆動力をピストンの直進駆動力に変換する伝動機構とを有してよい。
【0013】
また、好適な一態様によれば、待機圧力制御部が、ポンプと第2の弁との間で第2の配管内の処理液の圧力を測定する第1の圧力測定部と、この第1の圧力測定部により測定される処理液の圧力を基準待機圧力と比較して比較誤差を求める第1の比較部と、駆動部に与える制御信号を比較誤差に基づいて生成する第1の制御信号生成部とを有する。この場合、待機圧力制御部が、第1の比較部より得られる比較誤差を所定のしきい値と比較し、比較誤差がしきい値よりも小さくなった時点でポンプに対する圧力フィードバック制御を停止してよい。
【0014】
また、好適な一態様によれば、第1の圧力測定部が、処理液の圧力を大気圧に対する相対的な圧力として測定する。また、基準待機圧力が大気圧に実質的に等しい値に設定される。
【0015】
あるいは、別の好適な一態様によれば、基準待機圧力として、ノズル内または第2の弁とノズルの吐出口との間の流路内に留まる処理液の圧力を用いる。この場合、待機圧力制御部が、ノズル内または第2の弁とノズルとの間の第2の配管内の処理液の圧力を基準待機圧力として測定する第2の圧力測定部をさらに有する構成としてよい。
【0016】
また、本発明の好適な一態様によれば、基板上に処理液を塗布するために、第2の弁を閉状態から開状態に切り替えてポンプを所定のストロークだけ往動させる。この場合、ポンプより処理液をノズルに向けて圧送する際に、ポンプの圧力が予め設定した基準吐出圧力に倣うように圧力フィードバック方式でポンプを制御する吐出圧力制御部が備えられてよい。
【0017】
また、好適な一態様によれば、この吐出圧力制御部が、第1の圧力測定部により測定される処理液の圧力を基準吐出圧力と比較して比較誤差を求める第2の比較部と、ポンプに与える制御信号を比較誤差に基づいて生成する第2の制御信号生成部とを有する。
【0018】
また、本発明の好適な一態様によれば、基板上に処理液を塗布した後に、ポンプに処理液を再充填するために、第2の弁を開状態から閉状態に切り替えるとともに第1の弁を閉状態から開状態に切り替えて、ポンプを該所定ストロークだけ復動させる。
【0019】
また、本発明の好適な一態様によれば、基板上に処理液を塗布する際に、ポンプの往動運動と連動してノズルを基板に対して所定の方向に相対的に移動させる走査部が設けられる。この走査部は、好ましくは、処理液の吐出を開始してから所定時間遅れてノズルの相対移動を開始し、ポンプの圧力が立ち上がって安定値に到達するタイミングに合わせてノズルの相対移動速度を設定速度まで立ち上げてよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の処理装置、処理液供給方法または処理液供給プログラムによれば、上記のような構成および作用を有することより、ノズルより処理液を吐出する圧力(特に吐出開始時の圧力)の再現性を改善して、処理品質を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付図を参照して本発明の好適な実施の形態を説明する。
【0022】
図1に、本発明の処理装置、処理液供給方法および処理液供給プログラムを適用できる一構成例としての塗布現像処理システムを示す。この塗布現像処理システム10は、クリーンルーム内に設置され、たとえばLCD基板を被処理基板とし、LCD製造プロセスにおいてフォトリソグラフィー工程の中の洗浄、レジスト塗布、プリベーク、現像およびポストベーク等の一連の処理を行うものである。露光処理は、この処理システムに隣接して設置される外部の露光装置12で行われる。
【0023】
この塗布現像処理システム10は、中心部に横長のプロセスステーション(P /S)16を配置し、その長手方向(X方向)両端部にカセットステーション(C/S)14とインタフェースステーション(I/F)18とを配置している。
【0024】
カセットステーション(C/S)14は、システム10のカセット搬入出ポートであり、角型のガラス基板Gを多段に積み重ねるようにして複数枚収容可能なカセットCを水平方向たとえばY方向に4個まで並べて載置可能なカセットステージ20と、このステージ20上のカセットCに対して基板Gの出し入れを行う搬送機構22とを備えている。搬送機構22は、基板Gを保持できる手段たとえば搬送アーム22aを有し、X,Y,Z,θの4軸で動作可能であり、隣接するプロセスステーション(P/S)16側と基板Gの受け渡しを行えるようになっている。
【0025】
プロセスステーション(P/S)16は、システム長手方向(X方向)に延在する平行かつ逆向きの一対のラインA,Bに各処理部をプロセスフローまたは工程の順に配置している。より詳細には、カセットステーション(C/S)14側からインタフェースステーション(I/F)18側へ向う上流部のプロセスラインAには、洗浄プロセス部24と、第1の熱的処理部26と、塗布プロセス部28と、第2の熱的処理部30とを横一列に配置している。一方、インタフェースステーション(I/F)18側からカセットステーション(C/S)14側へ向う下流部のプロセスラインBには、第2の熱的処理部30と、現像プロセス部32と、脱色プロセス部34と、第3の熱的処理部36とを横一列に配置している。このライン形態では、第2の熱的処理部30が、上流側のプロセスラインAの最後尾に位置するとともに下流側のプロセスラインBの先頭に位置しており、両ラインA,B間に跨っている。
【0026】
両プロセスラインA,Bの間には補助搬送空間38が設けられており、基板Gを1枚単位で水平に載置可能なシャトル40が図示しない駆動機構によってライン方向(X方向)で双方向に移動できるようになっている。
【0027】
上流部のプロセスラインAにおいて、洗浄プロセス部24は、スクラバ洗浄ユニット(SCR)42を含んでおり、このスクラバ洗浄ユニット(SCR)42内のカセットステーション(C/S)10と隣接する場所にエキシマUV照射ユニット(e−UV)41を配置している。スクラバ洗浄ユニット(SCR)42内の洗浄部は、基板Gをコロ搬送またはベルト搬送により水平姿勢でラインA方向に搬送しながら基板Gの上面(被処理面)にブラッシング洗浄やブロー洗浄を施すようになっている。
【0028】
洗浄プロセス部24の下流側に隣接する第1の熱的処理部26は、プロセスラインAに沿って中心部に縦型の搬送機構46を設け、その前後両側に複数の枚葉式オーブンユニットを基板受け渡し用のパスユニットと一緒に多段に積層配置してなる多段ユニット部またはオーブンタワー(TB)44,48を設けている。
【0029】
たとえば、図2に示すように、上流側のオーブンタワー(TB)44には、基板搬入用のパスユニット(PASSL)50、脱水ベーク用の加熱ユニット(DHP)52,54およびアドヒージョンユニット(AD)56が下から順に積み重ねられる。ここで、パスユニット(PASSL)50は、スクラバ洗浄ユニット(SCR)42からの洗浄処理の済んだ基板Gを第1の熱的処理部26内に搬入するためのスペースを提供する。下流側のオーブンタワー(TB)48には、基板搬出用のパスユニット(PASSR)60、基板温度調整用の冷却ユニット(CL)62,64およびアドヒージョンユニット(AD)66が下から順に積み重ねられる。ここで、パスユニット(PASSR)60は、第1の熱的処理部26で所要の熱処理の済んだ基板Gを下流側の塗布プロセス部28へ搬出するためのスペースを提供する。
【0030】
図2において、搬送機構46は、鉛直方向に延在するガイドレール68に沿って昇降移動可能な昇降搬送体70と、この昇降搬送体70上でθ方向に回転または旋回可能な旋回搬送体72と、この旋回搬送体72上で基板Gを支持しながら前後方向に進退または伸縮可能な搬送アームまたはピンセット74とを有している。昇降搬送体70を昇降駆動するための駆動部76が垂直ガイドレール68の基端側に設けられ、旋回搬送体72を旋回駆動するための駆動部78が昇降搬送体70に取り付けられ、搬送アーム74を進退駆動するための駆動部80が回転搬送体72に取り付けられている。各駆動部76,78,80はたとえば電気モータ等で構成されてよい。
【0031】
上記のように構成された搬送機構46は、高速に昇降ないし旋回運動して両隣のオーブンタワー(TB)44,48の中の任意のユニットにアクセス可能であり、補助搬送空間38側のシャトル40とも基板Gを受け渡しできるようになっている。
【0032】
第1の熱的処理部26の下流側に隣接する塗布プロセス部28は、図1に示すように、レジスト塗布ユニット(CT)82と減圧乾燥ユニット(VD)84とをプロセスラインAに沿って一列に配置している。塗布プロセス部28内の構成は後に詳細に説明する。
【0033】
塗布プロセス部28の下流側に隣接する第2の熱的処理部30は、上記第1の熱的処理部26と同様の構成を有しており、両プロセスラインA,Bの間に縦型の搬送機構90を設け、プロセスラインA側(最後尾)に一方のオーブンタワー(TB)88を設け、プロセスラインB側(先頭)に他方のオーブンタワー(TB)92を設けている。
【0034】
図示省略するが、たとえば、プロセスラインA側のオーブンタワー(TB)88には、最下段に基板搬入用のパスユニット(PASSL)が配置され、その上にプリベーク用の加熱ユニット(PREBAKE)がたとえば3段積みに重ねられてよい。また、プロセスラインB側のオーブンタワー(TB)92には、最下段に基板搬出用のパスユニット(PASSR)が配置され、その上に基板温度調整用の冷却ユニット(COL)がたとえば1段重ねられ、その上にプリベーク用の加熱ユニット(PREBAKE)がたとえば2段積みに重ねられてよい。
【0035】
第2の熱的処理部30における搬送機構90は、両オーブンタワー(TB)88,92のそれぞれのパスユニット(PASSL),(PASSR)を介して塗布プロセス部28および現像プロセス部32と基板Gを1枚単位で受け渡しできるだけでなく、補助搬送空間38内のシャトル40や後述するインタフェースステーション(I/F)18とも基板Gを1枚単位で受け渡しできるようになっている。
【0036】
下流部のプロセスラインBにおいて、現像プロセス部32は、基板Gを水平姿勢で搬送しながら一連の現像処理工程を行う、いわゆる平流し方式の現像ユニット(DEV)94を含んでいる。
【0037】
現像プロセス部32の下流側には脱色プロセス部34を挟んで第3の熱的処理部36が配置される。脱色プロセス部34は、基板Gの被処理面にi線(波長365nm)を照射して脱色処理を行うためのi線UV照射ユニット(i−UV)96を備えている。
【0038】
第3の熱的処理部36は、上記第1の熱的処理部26や第2の熱的処理部30と同様の構成を有しており、プロセスラインBに沿って縦型の搬送機構100とその前後両側に一対のオーブンタワー(TB)98,102を設けている。
【0039】
図示省略するが、たとえば、上流側のオーブンタワー(TB)98には、最下段に基板搬入用のパスユニット(PASSL)が置かれ、その上にポストベーキング用の加熱ユニット(POBAKE)がたとえば3段積みに重ねられてよい。また、下流側のオーブンタワー(TB)102には、最下段にポストベーキング・ユニット(POBAKE)が置かれ、その上に基板搬出および冷却用のパス・クーリングユニット(PASSR・COL)が1段重ねられ、その上にポストベーキング用の加熱ユニット(POBAKE)が2段積みに重ねられてよい。
【0040】
第3の熱的処理部36における搬送機構100は、両多段ユニット部(TB)98,102のパスユニット(PASSL)およびパス・クーリングユニット(PASSR・COL)を介してそれぞれi線UV照射ユニット(i−UV)96およびカセットステーション(C/S)14と基板Gを1枚単位で受け渡しできるだけでなく、補助搬送空間38内のシャトル40とも基板Gを1枚単位で受け渡しできるようになっている。
【0041】
インタフェースステーション(I/F)18は、隣接する露光装置12と基板Gのやりとりを行うための搬送装置104を有し、その周囲にバッファ・ステージ(BUF)106、エクステンション・クーリングステージ(EXT・COL)108および周辺装置110を配置している。バッファ・ステージ(BUF)106には定置型のバッファカセット(図示せず)が置かれる。エクステンション・クーリングステージ(EXT・COL)108は、冷却機能を備えた基板受け渡し用のステージであり、プロセスステーション(P/S)16側と基板Gをやりとりする際に用いられる。周辺装置110は、たとえばタイトラー(TITLER)と周辺露光装置(EE)とを上下に積み重ねた構成であってよい。搬送装置104は、基板Gを保持できる手段たとえば搬送アーム104aを有し、隣接する露光装置12や各ユニット(BUF)106、(EXT・COL)108、(TITLER/EE)110と基板Gの受け渡しを行えるようになっている。
【0042】
図3に、この塗布現像処理システムにおける処理の手順を示す。先ず、カセットステーション(C/S)14において、搬送機構22が、ステージ20上のいずれかのカセットCの中から1つの基板Gを取り出し、プロセスステーション(P/S)16の洗浄プロセス部24のエキシマUV照射ユニット(e−UV)41に搬入する(ステップS1)。
【0043】
エキシマUV照射ユニット(e−UV)41内で基板Gは紫外線照射による乾式洗浄を施される(ステップS2)。この紫外線洗浄では主として基板表面の有機物が除去される。紫外線洗浄の終了後に、基板Gは、カセットステーション(C/S)14の搬送機構22によって洗浄プロセス部24のスクラバ洗浄ユニット(SCR)42へ移される。
【0044】
スクラバ洗浄ユニット(SCR)42では、上記したように基板Gをコロ搬送またはベルト搬送により水平姿勢でプロセスラインA方向に平流しで搬送しながら基板Gの上面(被処理面)にブラッシング洗浄やブロー洗浄を施すことにより、基板表面から粒子状の汚れを除去する(ステップS3)。そして、洗浄後も基板Gを平流しで搬送しながらリンス処理を施し、最後にエアーナイフ等を用いて基板Gを乾燥させる。
【0045】
スクラバ洗浄ユニット(SCR)42内で洗浄処理の済んだ基板Gは、第1の熱的処理部26の上流側オーブンタワー(TB)44内のパスユニット(PASSL)50に平流しで搬入される。
【0046】
第1の熱的処理部26において、基板Gは搬送機構46により所定のシーケンスで所定のオーブンユニットに順次移送される。たとえば、基板Gは、最初にパスユニット(PASSL)50から加熱ユニット(DHP)52,54の1つに移され、そこで脱水処理を受ける(ステップS4)。次に、基板Gは、冷却ユニット(COL)62,64の1つに移され、そこで一定の基板温度まで冷却される(ステップS5)。しかる後、基板Gはアドヒージョンユニット(AD)56に移され、そこで疎水化処理を受ける(ステップS6)。この疎水化処理の終了後に、基板Gは冷却ユニット(COL)62,64の1つで一定の基板温度まで冷却される(ステップS7)。最後に、基板Gは下流側オーブンタワー(TB)48内のパスユニット(PASSR)60に移される。
【0047】
このように、第1の熱的処理部26内では、基板Gが、搬送機構46を介して上流側の多段オーブンタワー(TB)44と下流側のオーブンタワー(TB)48との間で任意に行き来できるようになっている。なお、第2および第3の熱的処理部30,36でも同様の基板搬送動作が行なわれる。
【0048】
第1の熱的処理部26で上記のような一連の熱的または熱系の処理を受けた基板Gは、下流側オーブンタワー(TB)48内のパスユニット(PASSR)60から塗布プロセス部28のレジスト塗布ユニット(CT)82へ移される。
【0049】
レジスト塗布ユニット(CT)82において、基板Gは、後述するように長尺型のレジストノズルを用いるスピンレス法により基板上面(被処理面)にレジスト液を塗布される。次いで、基板Gは、下流側隣の減圧乾燥ユニット(VD)84で減圧による乾燥処理を受ける(ステップS8)。
【0050】
上記のようなレジスト塗布処理を受けた基板Gは、減圧乾燥ユニット(VD)84から隣の第2の熱的処理部30の上流側オーブンタワー(TB)88内のパスユニット(PASSL)に搬入される。
【0051】
第2の熱的処理部30内で、基板Gは、搬送機構90により所定のシーケンスで所定のユニットに順次移送される。たとえば、基板Gは、最初にパスユニット(PASSL)から加熱ユニット(PREBAKE)の1つに移され、そこでプリベーキングの加熱処理を受ける(ステップS9)。次に、基板Gは、冷却ユニット(COL)の1つに移され、そこで一定の基板温度まで冷却される(ステップS10)。しかる後、基板Gは下流側オーブンタワー(TB)92側のパスユニット(PASSR)を経由して、あるいは経由せずにインタフェースステーション(I/F)18側のエクステンション・クーリングステージ(EXT・COL)108へ受け渡される。
【0052】
インタフェースステーション(I/F)18において、基板Gは、エクステンション・クーリングステージ(EXT・COL)108から周辺装置110の周辺露光装置(EE)に搬入され、そこで基板Gの周辺部に付着するレジストを現像時に除去するための露光を受けた後に、隣の露光装置12へ送られる(ステップS11)。
【0053】
露光装置12では基板G上のレジストに所定の回路パターンが露光される。そして、パターン露光を終えた基板Gは、露光装置12からインタフェースステーション(I/F)18に戻されると(ステップS11)、先ず周辺装置110のタイトラー(TITLER)に搬入され、そこで基板上の所定の部位に所定の情報が記される(ステップS12)。しかる後、基板Gはエクステンション・クーリングステージ(EXT・COL)108に戻される。インタフェースステーション(I/F)18における基板Gの搬送および露光装置12との基板Gのやりとりは搬送装置104によって行われる。
【0054】
プロセスステーション(P/S)16では、第2の熱的処理部30において搬送機構90がエクステンション・クーリングステージ(EXT・COL)108より露光済の基板Gを受け取り、プロセスラインB側のオーブンタワー(TB)92内のパスユニット(PASSR)を介して現像プロセス部32へ受け渡す。
【0055】
現像プロセス部32では、該オーブンタワー(TB)92内のパスユニット(PASSR)から受け取った基板Gを現像ユニット(DEV)94に搬入する。現像ユニット(DEV)94において基板GはプロセスラインBの下流に向って平流し方式で搬送され、その搬送中に現像、リンス、乾燥の一連の現像処理工程が行われる(ステップS13)。
【0056】
現像プロセス部32で現像処理を受けた基板Gは下流側隣の脱色プロセス部34へ平流しで搬入され、そこでi線照射による脱色処理を受ける(ステップS14)。脱色処理の済んだ基板Gは、第3の熱的処理部36の上流側オーブンタワー(TB)98内のパスユニット(PASSL)に搬入される。
【0057】
第3の熱的処理部36において、基板Gは、最初に該パスユニット(PASSL)から加熱ユニット(POBAKE)の1つに移され、そこでポストベーキングの加熱処理を受ける(ステップS15)。次に、基板Gは、下流側オーブンタワー(TB)102内のパスクーリング・ユニット(PASSR・COL)に移され、そこで所定の基板温度に冷却される(ステップS16)。第3の熱的処理部36における基板Gの搬送は搬送機構100によって行われる。
【0058】
カセットステーション(C/S)14側では、搬送機構22が、第3の熱的処理部36のパスクーリング・ユニット(PASSR・COL)から塗布現像処理の全工程を終えた基板Gを受け取り、受け取った基板Gをステージ20上のいずれかのカセットCに収容する(ステップS1)。
【0059】
この塗布現像処理システム10においては、塗布プロセス部28のレジスト塗布ユニット(CT)82に本発明を適用することができる。以下、図4〜図21を参照して本発明をレジスト塗布ユニット(CT)82に適用した実施形態を説明する。
【0060】
図4に示すように、塗布プロセス部28は、支持台112の上にレジスト塗布ユニット(CT)82と減圧乾燥ユニット(VD)84とをX方向に(プロセスラインAに沿って)一列に配置している。X方向に延びる一対のガイドレール114,114が支持台112の両端部に平行に敷設され、両ガイドレール114,114に案内されて移動する一組または複数組の搬送アーム116,116により、レジスト塗布ユニット(CT)82から減圧乾燥ユニット(VD)84へ基板Gを転送できるようになっている。さらに、搬送アーム116,116により、隣接するオーブンタワー(TB)48のパスユニット(PASSR)から塗布処理前の基板Gをレジスト塗布ユニット(CT)82に搬入し、減圧乾燥ユニット(VD)84から隣接するオーブンタワー(TB)88のパスユニット(PASSL)へ塗布処理済みの基板Gを搬出するようになっている。
【0061】
レジスト塗布ユニット(CT)82は、基板Gを水平に載置して保持するためのステージ118と、このステージ118上に載置される基板Gの上面(被処理面)に長尺型のレジストノズル120を用いてスピンレス法でレジスト液を塗布するための塗布処理部122と、塗布処理を行わない間にレジストノズル120のレジスト液吐出機能を回復して次に備えるためのノズルリフレッシュ部124等を有する。レジスト塗布ユニット(CT)82内の各部の構成および作用は図5〜図21を参照して後に詳述する。
【0062】
減圧乾燥ユニット(VD)84は、上面が開口しているトレーまたは底浅容器型の下部チャンバ126と、この下部チャンバ126の上面に気密に密着または嵌合可能に構成された蓋状の上部チャンバ(図示せず)とを有している。下部チャンバ126はほぼ四角形で、中心部には基板Gを水平に載置して支持するためのステージ128が配設され、底面の四隅には排気口130が設けられている。各排気口130は排気管(図示せず)を介して真空ポンプ(図示せず)に通じている。下部チャンバ126に上部チャンバを被せた状態で、両チャンバ内の密閉された処理空間を該真空ポンプにより所定の真空度まで減圧できるようになっている。
【0063】
図5に、レジスト塗布ユニット(CT)82における塗布処理部122の構成を示す。塗布処理部122は、レジストノズル120を含むレジスト液供給機構132と、塗布処理時にレジストノズル120をステージ118の上方でX方向に水平移動させるノズル移動機構134とを有する。レジスト液供給機構132において、レジストノズル120は、ステージ118上の基板Gを一端から他端までカバーできる長さでY方向に延びる長尺型のノズルであり、後述するレジストポンプ150(図6)から引かれている吐出管136に接続されている。ノズル移動機構134は、レジストノズル120を水平に支持する逆さコ字状または門形の支持体138と、この支持体138をX方向で双方向に直進移動させる直進駆動部140とを有する。この直進駆動部140は、たとえばガイド付きのリニアモータ機構またはボールねじ機構で構成されてよい。また、レジストノズル120の高さ位置を変更または調節するためのガイド付きの昇降機構135が、たとえば支持体138とレジストノズル120とを接続するジョイント部142に設けられている。昇降機構135がレジストノズル120の高さ位置を調節することで、レジストノズル120の下端または吐出口120aとステージ118上の基板Gの上面(被処理面)との間の距離間隔つまりギャップの大きさを任意に設定または調整することができる。
【0064】
この実施形態では、レジストノズル120の両端部に一対のジョイント部142L,142Rを接続し、レジストノズル120の高さ調整を左右両端で独立的に制御できるようになっている。ここで、塗布処理時の進行方向を基準として、レジストノズル120の左側端部に接続されるジョイント部142Lを左ジョイント部とし、反対側(レジストノズル120の右側端部)に接続されるジョイント部142Rを右ジョイント部とする。昇降機構135は、左ジョイント部142L側の左Z軸機構135Lと、右ジョイント部142R側の右Z軸機構135Rとで構成される。左右の両Z軸機構135L,135Rはそれぞれ独立した案内部と駆動部とを有している。
【0065】
レジストノズル120は、たとえばステンレス鋼等の対錆性と加工性に優れた金属からなり、下端の吐出口120aに向って先細りのテーパ面120b,120c(図19)を有している。ここで、一方のテーパ面120bは塗布処理時の進行方向で前方を向く前面であり、他方のテーパ面120cは塗布処理時の進行方向で後方を向く背面である。吐出口120aは、ノズル長手方向に延びるスリット型であってよく、あるいは微細径の吐出孔をノズル長手方向に一定ピッチで配列した多孔型であってもよい。
【0066】
図6に、レジスト液供給機構132の全体構成を示す。このレジスト液供給機構132は、レジスト液Rを貯留するボトル146より吸入管148を介して少なくとも塗布処理1回分(基板1枚分)のレジスト液Rをポンプ150に予め充填しておき、塗布処理時にポンプ150よりレジスト液を吐出管136を介してレジストノズル134に所定の圧力で圧送し、レジストノズル136から基板G上にレジスト液Rを所定の流量で吐出するようになっている。
【0067】
ボトル146は密閉されており、ボトル内の液面に向けてガス管144より圧送ガスたとえばN2ガスが一定の圧力(たとえば大気圧を基準とするゲージ圧力で3kPa)で供給されるようになっている。ガス管144には、たとえばエアオペレートバルブからなる開閉弁152が設けられている。
【0068】
吸入管148の途中には、フィルタ154、脱気モジュール156および開閉弁158が設けられている。フィルタ154はボトル146から送られてくるレジスト液R中の異物(ごみ類)を除去し、脱気モジュール156はレジスト液中の気泡を除去する。開閉弁158は、たとえばエアオペレートバルブからなり、コントローラ160の制御の下で吸入管148におけるレジスト液Rの流れをオン(全開導通)またはオフ(遮断)するようになっている。
【0069】
ポンプ150は、好ましくはピストンポンプからなり、ポンプ室を有するポンプ本体150aと、ポンプ室の容積を任意に変えるためのピストン150bと、このピストン150bを往復運動させるためのポンプ駆動部150cとを有している。ここで、ポンプ駆動部150cは、動力源としてフィードバック制御用の電気モータたとえばサーボモータを有し、コントローラ160の制御の下で吸入・吐出動作のためのピストン駆動を行うとともに、残圧調整または待機圧力制御のためのピストン駆動も行えるようになっている。
【0070】
吐出管136の途中には、流体機器として開閉弁162だけが設けられ、フィルタやサックバックバルブ等は一切設けられていない。開閉弁162は、たとえばエアオペレートバルブからなり、コントローラ160の制御の下で吐出管136におけるレジスト液Rの流れをオン(全開導通)またはオフ(遮断)するようになっている。
【0071】
吐出管136には、ポンプ150と開閉弁162との間の適当な位置に圧力センサ164が取り付けられている。この圧力センサ164は、ゲージ圧力計からなり、大気圧を基準としてセンサ取付位置における吐出管136内のレジスト液Rの圧力を測り、測定圧力をゲージ圧力で現す電気信号(圧力検出信号)を出力する。この圧力検出信号は制御部160に与えられる。
【0072】
コントローラ160は、マイクロコンピュータからなり、たとえば光ディスク等の記憶媒体に格納されているレジスト液供給プログラムおよびその他のプログラムを主メモリにロードして実行し、プログラムされたシーケンスおよび各種設定値にしたがってレジスト塗布ユニット(CT)82内の各部、特にレジスト液供給機構132の各開閉弁152,158,162、ポンプ150やノズル移動機構134、昇降機構135等を制御する。
【0073】
図7および図8に、レジスト液供給機構132におけるポンプ150の一構成例を示す。このポンプ150は、レジスト液Rを貯留または充填するポンプ室を容積可変の弾力的なチューブフラム166で構成し、ポンプ本体150a内でチューブフラム166を囲む圧力媒体室172に固定配管170を介してベローズ168を接続し、ベローズ168をピストン150bで伸縮させるようにしている。チューブフラム166は、一端(入口)が吸入管148に接続され、他端(出口)が吐出管136に接続されている。
【0074】
ベローズ168、固定配管170および圧力媒体室172は相互に連通しており、それらの内部に一定量の圧力媒体たとえばシリコンオイルSが封入されている。ポンプ駆動部150cは、回転トルクを発生するサーボモータ174と、このサーボモータ174の回転駆動力をピストン150bの直進駆動力に変換する伝動装置176とを有する。この伝動装置176は、たとえばボールネジ機構や直進ガイド部等で構成されてよい。ピストン150bの先端部はベローズ168の一端(可動端)に結合されている。ベローズ168の他端(固定端)は固定配管170に結合されている。
【0075】
サーボモータ174がたとえば正方向に回転してピストン150bを前進または往動させると、ベローズ168の可動端が固定端に接近する方向に移動してベローズ168が縮まり、ベローズ168からシリコンオイルSが固定配管170を通って圧力媒体室172へ送り込まれ、チューブフラム166に加わる圧力が増大する。この時、吸入管148の開閉弁158が閉まって吐出管136の開閉弁162が開いていると、チューブフラム166は収縮してレジスト液Rを吐出管136側へ吐き出す。吐出圧力はピストン150bの移動(往動)速度に比例し、吐出量はピストン150bの往動距離(往動ストローク)に比例する。塗布処理の吐出動作では、ピストン150bの先端(ベローズ168の可動端)が図7の位置(Ha)から図8の位置(Hb)へ設定ストロークLだけ往動するようになっている。
【0076】
サーボモータ174が逆方向に回転してピストン150bを後退または復動させると、ベローズ168の可動端が固定端から遠ざかる方向に移動してベローズ168が伸長し、圧力媒体室172からシリコンオイルSが固定配管170を通ってベローズ168へ吸い取られ、チューブフラム166に加わる圧力が減少する。この時、吸入管148の開閉弁158が開いて吐出管136の開閉弁162が閉まっていると、チューブフラム166は膨張してタンク146側からレジスト液Rを吸入する。吸入圧力はピストン150bの移動(復動)速度に比例し、吸入量はピストン150bの復動距離(復動ストローク)に比例する。塗布処理後の吸入または充填動作では、ピストン150bの先端が図8の位置(Hb)から図7の位置(Ha)へ設定ストロークLだけ復動するようになっている。
【0077】
ポンプ駆動部150cのサーボモータ174は、コントローラ160からの制御信号によって回転動作する。この実施形態では、サーボモータ174または伝動装置176にサーボモータ174の回転量(回転速度)またはピストン150bの移動距離(移動速度)を検出するためのエンコーダ178が設けられており、吸入・吐出動作時にはエンコーダ178とコントローラ160とサーボモータ174との間で移動距離/移動速度フィードバック・ループが形成されるようになっている。さらに、上記のようにポンプ150と開閉弁162との間で吐出管136内の圧力を検出する圧力センサ164が設けられており、吸入動作後の残圧調整時には圧力センサ164とコントローラ160とポンプ150(ポンプ駆動部150c,ピストン150b,ポンプ本体150a)との間で圧力フィードバック・ループが形成されるようになっている。
【0078】
図9に、この実施形態におけるコントローラ160のポンプ150に対するフィードバック制御系の構成を示す。
【0079】
移動距離/移動速度フィードバック・ループは、速度設定部180、ストローク設定部182、微分回路184、比較器186,188および吸入・吐出制御信号生成部190を有する。ここで、速度設定部180は、吸入・吐出動作におけるピストン150bの移動速度またはサーボモータ174の回転速度を設定し、速度設定値を速度指令値として比較器186に与える。ストローク設定部182は、吸入・吐出動作におけるピストン150bの移動距離(ストローク)またはサーボモータ174の回転量を設定し、ストローク設定値を位置指令値として比較器188に与える。微分回路184は、ポンプ150に取り付けられているエンコーダ178の出力信号を微分して、ピストン移動速度(モータ回転速度)を現す速度検出信号を生成する。
【0080】
比較器186は、微分回路184からの移動速度検出信号を速度設定部180からの速度指令値と比較して速度誤差または偏差を求める。比較器188は、エンコーダ178からの移動距離(回転量)検出信号をストローク設定部182からの位置指令値と比較して位置誤差または偏差を求める。吸入・吐出制御信号生成部190は、両比較器186,188より与えられる誤差の値に応じてポンプ150のサーボモータ174に対する制御信号を生成する。
【0081】
圧力フィードバック・ループは、圧力設定部192、比較器194および待機圧力制御信号生成部196を有する。圧力設定部192は、残圧調整のための残圧または基準待機圧力を設定し、圧力設定値Psを圧力指令値として比較器194に与える。比較器194は、圧力センサ164からの圧力検出信号Pxを圧力設定値Psと比較し、比較誤差または差圧値ΔPを求める。待機圧力制御信号生成部196は、比較器194より与えられる差圧値ΔPに応じてポンプ150のサーボモータ174に対する制御信号を生成する。通常、基準待機圧力または圧力設定値Psは、ノズル120の吐出口120aの外圧つまり大気圧に等しい値(ゲージ圧力で0kPa)に設定されてよい。
【0082】
シーケンス制御部198は、レジスト塗布ユニット(CT)82内の各部ないし全体の動作をシーケンス面で制御するもので、レジスト液供給機構132内のポンプ・フィードバック制御系に対しては移動距離/移動速度フィードバック・ループと圧力フィードバック・ループとを所定のタイミングで選択的に切り替えて動作させる。しきい値設定部200および判定部202は、残圧調整時に圧力フィードバック・ループの動作を止めるタイミングを決めるためのものである。判定部202が、圧力比較器194より得られる差圧値ΔPをしきい値設定部200からの設定値またはしきい値Aと比較し、ΔP≦Aになった時点で所定の判定信号またはモード終了信号をシーケンス制御部198に向けて出力するようになっている。なお、判定部202は、差圧値ΔPを積分または平均化してしきい値Aと比較してもよい。
【0083】
図10〜図13に、このレジスト塗布ユニット(CT)82において基板Gに対するレジスト液供給機構132の主要な動作の手順(コントローラ160の制御手順)をフローチャートで示す。図10は全体動作の手順を示し、図11、図12および図13は図10の各動作(ステップA2,A3,A4)の詳細手順を示す。また、図14に、各部の時間的な特性を波形図で示す。
【0084】
コントローラ160は、基板Gがユニット(CT)82内に搬入されステージ118上に載置されると(ステップA1)、ノズル移動機構134にノズル120を塗布開始位置に付けさせてから、レジスト液供給機構132においてレジスト吐出(塗布)動作を実行する(ステップA2)。レジスト液供給機構132では、レジスト吐出動作を開始する直前に、ポンプ150が図7に示すような状態になっている。すなわち、ピストン150bは復動位置または待機位置Laに位置し、ポンプ本体150aのポンプ室またはチューブフラム166はレジスト液Rを所定量充填した状態になっている。また、吸入用の開閉弁158および吐出用の開閉弁162のいずれも閉状態になっている。
【0085】
レジスト吐出動作(ステップA2)において、コントローラ160は、図14の(A),(C)に示すように、ポンプ150の運転開始に先立って吐出用の開閉弁162を閉状態から開状態に切り替える(ステップB1)。この実施形態においては、後述する残圧調整(ステップA4)によりポンプ内圧が基準待機圧力Psつまり大気圧(0kPa)に等しい圧力に保持されているため、開閉弁162を開けてもポンプ150とノズル120の吐出口120aとの間で、つまり吐出管136内で、レジスト液Rはほとんど静止したままで移動(流動)することはない。このことにより、ノズル120の吐出口120aからレジスト液Rが噴き出すこともなければ、ノズル120の吐出口120aの奥にレジスト液Rが引っ込んでレジスト液R中に気泡が混入することもない。
【0086】
こうして開閉弁162が開いて所定時間Δt1を経過してから、ポンプ150において吐出のためのピストン150bの往動運動を開始する(ステップB2)。このピストン往動運動では、上記の移動距離/移動速度フィードバック・ループ(図9)が動作し、吸入・吐出制御信号生成部190よりたとえばPID(比例・時間微分・時間積分)方式の制御信号をポンプ150のサーボモータ174に与える。
【0087】
ピストン150bの往動が開始すると、ポンプ150の圧力(吐出圧力)が立ち上がり、ポンプ150からノズル120へのレジスト液Rの圧送が開始され、ノズル120から基板G上へのレジスト液Rの吐出が開始される。吐出管136にフィルタやサックバックバルブ等が設けられておらず、しかも上記のように吐出開始時のポンプ内圧が基準待機圧力Psに等しい圧力で常に一定しているため、図14の(A)に示すようにポンプ圧力は一定の立ち上がり特性で所定の吐出圧力までスムースに立ち上がり、レジスト液Rの吐出流量も安定に立ち上がる。
【0088】
一方で、コントローラ160は、レジスト液供給機構132における吐出動作の開始と相俟ってノズル移動機構124においてノズル120の移動または走査を開始させる。ポンプ圧力の立ち上がり開始直後はレジスト液Rの吐出流量もまだ立ち上がらないため、図14の(A)、(B)、(E)に示すように、ピストン150bの往動開始から所定時間Δt2だけ遅れてノズル走査を開始するのが好ましく、ポンプ圧力が設定吐出圧力に到達する頃にノズル移動速度を設定走査速度に到達させるのが好ましい。
【0089】
上記のような移動距離/移動速度フィードバック・ループの働きによりピストン150bは所定の定速度で往動運動する。これによって、ポンプ150からレジスト液Rが一定の吐出圧力(たとえばゲージ圧力で5kPa)でノズル120側に圧送され、一定速度で走査移動するノズル120からレジスト液Rが一定の流量で帯状に吐出され、基板G上にあたかもじゅうたんを敷くように所定の膜厚でレジスト液Rが塗布される。
【0090】
そして、往動ストロークが設定値Lに達したところで、コントローラ160は、ピストン150bの往動運動を止め(ステップB3,B4)、吐出用の開閉弁162を閉めて(ステップB5)、レジスト吐出動作(ステップA2)を終了する。この時点で、ポンプ150は図7に示すような状態になっている。すなわち、ピストン150bが往動位置Hbに位置し、ポンプ本体150aのポンプ室またはチューブフラム166は設定量(基板1枚分)のレジスト液Rを吐き出した状態になっている。また、吸入用の開閉弁158および吐出用の開閉弁162のいずれも閉状態になっている。
【0091】
次に、コントローラ160は、上記のようなレジスト吐出動作(ステップA2)を終了してから少し間(時間Δt3)を置いて、レジスト吸入動作(ステップA3)を実行する。レジスト吸入動作では、図14の(B)、(D)に示すように、吸入用の開閉弁158を開けるのとほぼ同時にピストン150bの復動を開始する(ステップC1,C2)。このピストン復動運動でも、上記の移動距離/移動速度フィードバック・ループが動作し、吸入・吐出制御信号生成部190(図9)よりPID方式の制御信号をポンプ150のサーボモータ174に与える。これにより、ピストン150bは所定の定速度で復動運動し、タンク146側からレジスト液Rが一定の吸入圧力(たとえばゲージ圧力で−2kPa)で吸入される。こうしてレジスト液供給機構132にレジスト吸入動作を行わせている間に、コントローラ160は、ノズル移動機構134にレジストノズル120を塗布終了位置から塗布開始位置付近またはノズルリフレッシュ部124へ戻す動作を行わせてもよい。
【0092】
やがてポンプ150において復動ストロークが設定値Lに達すると、コントローラ160は、ピストン150bの復動運動を止め(ステップC3,C4)、吸入用の開閉弁158を閉めて(ステップC5)、レジスト吸入動作(ステップA3)を終了する。この時点で、ポンプ150は図7に示すような状態になっている。すなわち、ピストン150bが原位置Ha付近に戻り、ポンプ本体150aのチューブフラム166は所定量のレジスト液Rを再充填した状態になっている。また、吸入用の開閉弁158および吐出用の開閉弁162のいずれも閉状態になっている。しかし、ポンプ150の出側の圧力が基準待機圧力Psに戻っているかどうかは不確定である。むしろ、再現性が低いのが実際であり、従来技術の問題点でもあった。
【0093】
この実施形態では、コントローラ160が、レジスト吸入動作(ステップA3)を終了すると、その直後あるいは少し間(Δt4)を置いて残圧調整(ステップA4)を実行する。この残圧調整(ステップA4)では、上記の圧力フィードバック・ループ(図9)が動作し、圧力センサ164の測定する圧力をフィードバックして待機圧力制御信号生成部196よりたとえばI(時間積分)方式の制御信号をポンプ150のサーボモータ174に与える(ステップD1,D2)。こうして、ポンプ150の出側の圧力または内圧は、圧力フィードバック制御によって迅速かつ正確に基準待機圧力Psに収束ないし一致するようになる(ステップD3,D4→D1‥)。コントローラ160は、誤差または差圧ΔPがしきい値A以下になったところで、残圧調整(ステップA4)を終了する。以後、次の基板Gに対する塗布処理を実行するまで、レジスト液供給機構132内の各部はホールド状態に置かれ、ポンプ150の内圧は基準待機圧力Psに保持される。
【0094】
上記のように、この実施形態では、1枚の基板に対する塗布処理を終えた後に、レジスト液供給機構132においてポンプ150に次の塗布処理のためのレジスト液をタンク146から補給または再充填するための吸入動作を行わせ、この吸入動作に続けて吸入側の開閉弁158と吐出側の開閉弁162とを閉めた状態の下でポンプ150の出側の圧力または内圧を圧力フィードバック制御によって基準待機圧力Psに一致させるようにしている。このことによって、次の基板に対して塗布処理を開始する際に、レジストノズル120おいてぼた落ちや気泡の混入を確実に防止できるとともに、ポンプ圧力を一定の立ち上がり特性で所定の吐出圧力まで立ち上がらせることができる。その結果、レジスト塗布膜の膜厚制御が容易になり、膜厚均一性や再現性も大きく改善される。
【0095】
なお、残圧調整(ステップA4)を終了した後、次の基板Gに対する塗布処理を実行するまでの期間中にノズルリフレッシュ部124でレジストノズル120の背面120c下部にレジスト液を下塗りするプライミング処理を行うことも可能である。以下、この実施形態におけるプライミング処理について説明する。
【0096】
図15に、ノズルリフレッシュ部124に設けられるプライミング処理部210の構成を示す。このプライミング処理部210は、レジストノズル120の全長をカバーする長さでY方向に延びる円筒状または円柱状のプライミングローラ212を溶剤浴室214の中に配置している。溶剤浴室214内には、プライミングローラ212の下部が浸かる程度の液面レベルで溶剤または洗浄液(たとえばシンナー)が収容されている。プライミングローラ212は回転機構(図示せず)によって回転駆動されるようになっている。また、溶剤浴室214内の洗浄液よりも上方の位置でプライミングローラ212の外周面と擦接するワイパ216が設けられている。
【0097】
レジスト塗布ユニット(CT)82内に新たな基板Gが搬入され、ステージ118上で該基板Gのローディングが行われるのと並行して、プライミング処理部210でプライミング処理が行われる。このプライミング処理では、ノズル吐出口120aがプライミングローラ212の頂上部と微小なギャップを隔てて対向する位置までレジストノズル120を近接させ、そこでレジストノズル120にレジスト液Rを吐出させ、これと同時にプライミングローラ212を回転機構により一定方向(図15では反時計回り)に回転させる。そうすると、図16に拡大して示すように、レジストノズル120の吐出口120aより出たレジスト液Rがノズル背面120c側に回り込んでからプライミングローラ212の外周面に巻き取られる。レジスト液を巻き取ったプライミングローラ212の外周面は、直後に溶剤の浴に入ってレジスト液Rを洗い落とす。そして、溶剤浴から上がったプライミングローラ212の外周面は、ワイパ216により液を拭い取られ、清浄な面を回復してから再びレジストノズル120の吐出口120aの下を通過しそこでレジスト液を受け取る。なお、レジストノズル120の吐出口とプライミングローラ212との間に形成されるギャップの大きさ(距離)は、塗布処理時にレジストノズル120の吐出口とステージ118上の基板Gとの間に形成されるギャップと同一または近似した値(たとえば40〜150μm)に設定されてよい。
【0098】
このプライミング処理に際しては、上記のように塗布処理を開始する場合と同様に、先の残圧調整(ステップA4)によりポンプ150の内圧を基準待機圧力Ps(ゲージ圧力で0kPa)に保った状態から吐出動作を開始するので、レジストノズル120からプライミングローラ212上にレジスト液Rをスムースに吐出させ、ノズル背面120c側にレジスト液Rを再現性よく安定に回り込ませることができる。こうして、プライミング処理を終えた後も、図17に示すように、レジストノズル120の下端部に、特に吐出口120aからテーパ背面120cにかけてレジスト液の液膜RFが残る。
【0099】
なお、図15において、塗布処理部122側では、基板Gをステージ118上に載置するために、ステージ118の中から複数本のリフトピン218が上昇または突出して搬送アーム116,116(図4)から基板Gを受け取る。次いで、リフトピン218が基板Gを水平に担持したままステージ118の中へ下降または退避することにより、基板Gがステージ118の上面に移載される。リフトピン218は、水平駆動板220を介してシリンダ等のリフトピン・アクチエータ(図示せず)に結合されている。基板Gがステージ118上に載置されると、吸着固定部222で開閉弁224がオン(開状態)に切り換えられて、真空源(図示せず)からのバキューム力が負圧流路を介してステージ上面の吸引口226に与えられる。これにより、ステージ118上で基板Gは吸引口226より真空吸着力を受けて固定される。
【0100】
上記のようなプライミング処理を受けたレジストノズル120は、昇降機構135およびノズル移動機構134によってプライミング処理部210から塗布処理部122内に移送され、ステージ118上の基板Gの一端部に設定された塗布開始位置に位置決めされる。こうして、塗布開始位置において、水平姿勢のレジストノズル120の吐出口120aとステージ118上の基板Gとの間に設定距離Dのギャップが形成されるとともに、ノズル長手方向に一端(右端)から他端(左端)まで隙間なく液膜RFがギャップを塞いだ状態となる。この状態で塗布処理が開始される。
【0101】
この実施形態では、プライミング処理を終了してからステージ118上で塗布処理を開始するまでの合間に吸入動作(ステップA3)と残圧調整(ステップA4)とを再度実行することができる。これによって、ポンプ150の内圧を基準待機圧力Ps(ゲージ圧力で0kPa)に保った状態から吐出(塗布)動作を開始するので、図18に示すように、レジストノズル120の吐出口よりレジスト液がスムースに帯状に出てノズル背面下部に回り込んでノズル長手方向に一直線に延びる凸面状のメニスカスを形成することができる。塗布処理中も、図19および図20に示すように、このメニスカスの頂上ラインWLは水平一直線に安定する。これによって、レジスト塗布膜RM上に筋状の塗布ムラの生じる可能性が大幅に低減する。
【0102】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的思想の範囲内で種々の変形が可能である。たとえば、上記した実施形態では、残圧調整の圧力フィードバック・ループにおける基準待機圧力Psを大気圧に等しい値に設定した。しかし、待機中、つまり吐出用の開閉弁162を開ける前の期間中、レジストノズル120の吐出口付近の表面張力等に起因してノズル内のレジスト液の圧力が大気圧よりも高い状態になる場合は、基準待機圧力Psを大気圧より高めにオフセットした値に設定してもよい。あるいは、たとえば図21に示すように、レジストノズル120(または開閉弁162とレジストノズル120との間の吐出管136)に圧力センサ230を取り付け、この圧力センサ230で測定するノズル120内またはノズル120寄りの配管136内のレジスト液の圧力を基準待機圧力Psとすることも可能である。
【0103】
また、上記した実施形態では、塗布中のポンプ吐出圧力がピストン150bの往動速度によって律速されるようになっている。別の方式として、吸入・吐出動作においても圧力フィードバック・ループを働かせてポンプ吐出圧力を設定圧力に倣わせることも可能である。この場合、図9において、圧力設定部192は吸入または吐出動作用の設定圧力を比較器194に与え、吸入・吐出制御信号生成部190(図9)は、比較器186からの速度誤差に代えて比較器194からの圧力誤差に応じてポンプ150に対する制御信号を生成してよい。
【0104】
上記実施形態におけるチューブダイヤフラム型のピストンポンプ150の構成も一例であり、任意の型式・構成のピストンポンプあるいは往復動型ポンプを使用することができる。また、吸入用の開閉弁158をチェック弁で置き換えることも可能である。また、上記実施形態では基板またはステージを固定してノズルを移動させる走査方式であったが、ノズルを固定して基板またはステージを移動させる走査方式等も可能である。
【0105】
上記した実施形態はLCD製造の塗布現像処理システムにおけるレジスト塗布装置に係るものであったが、本発明は被処理基板上にノズルを用いて処理液を供給する任意の処理装置やアプリケーションに適用可能である。したがって、本発明における処理液としては、レジスト液以外にも、たとえば層間絶縁材料、誘電体材料、配線材料等の塗布液も可能であり、現像液やリンス液等も可能である。本発明における被処理基板はLCD基板に限らず、他のフラットパネルディスプレイ用基板、半導体ウエハ、CD基板、ガラス基板、フォトマスク、プリント基板等も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の適用可能な塗布現像処理システムの構成を示す平面図である。
【図2】実施形態の塗布現像処理システムにおける熱的処理部の構成を示す側面図である。
【図3】実施形態の塗布現像処理システムにおける処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】実施形態の塗布現像処理システムにおける塗布プロセス部の全体構成を示す平面図である。
【図5】実施形態のレジスト塗布ユニットにおける塗布処理部の構成を示す斜視図である。
【図6】実施形態のレジスト塗布ユニットにおけるレジスト液供給機構の構成を示すブロック図である。
【図7】実施形態のレジスト液供給機構におけるポンプ回りの構成(第1の状態)を示すブロック図である。
【図8】実施形態のレジスト液供給機構におけるポンプ回りの構成(第2の状態)を示すブロック図である。
【図9】実施形態におけるコントローラのポンプに対するフィードバック制御系の構成を示すブロック図である。
【図10】実施形態のレジスト液供給機構における全体動作の手順を示すフローチャート図である。
【図11】実施形態におけるレジスト吐出(塗布)動作の詳細な手順を示すフローチャート図である。
【図12】実施形態におけるレジスト吸入(充填)動作の詳細な手順を示すフローチャート図である。
【図13】実施形態における残圧調整の詳細な手順を示すフローチャート図である。
【図14】実施形態における各部の時間的な特性を示す波形図である。
【図15】実施形態におけるプライミング処理と基板ローディングとを示す一部断面側面図である。
【図16】図15のプライミング処理の要部を拡大して示す図である。
【図17】プライミング処理によってレジストノズルの下端部に形成される液膜状態を示す断面図である。
【図18】実施形態においてレジストノズルを塗布開始位置に付けて塗布処理を開始する時の状態を示す略正面図である。
【図19】実施形態において塗布処理中にレジストノズルの後方にレジスト塗布膜が形成されていく様子を示す略断面図である。
【図20】実施形態において塗布処理中にレジストノズルの後方にレジスト塗布膜が形成されていく様子を示す斜視図である。
【図21】実施形態の一変形例によるレジスト液供給機構の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0107】
10 プロセスステーション
28 塗布プロセス部
82 レジスト塗布ユニット(CT)
118 ステージ
120 レジストノズル
122 塗布処理部
124 ノズルリフレッシュ部
132 レジスト液供給機構
134 ノズル移動機構
136 吐出管
146 タンク
148 吸入管
150 ポンプ
150b ピストン
150c ポンプ駆動部
158 吸入用の開閉弁
160 コントローラ
162 吐出用の開閉弁
164,230 圧力センサ
174 サーボモータ
190 吸入・吐出制御信号生成部
192 圧力設定部
196 待機圧力制御信号生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板に対して所定の処理液を吐出するノズルと、
前記処理液を貯留する貯留部と、
前記貯留部より第1の配管を介して前記処理液を吸入し、前記処理液を前記ノズルに向けて第2の配管を介して圧送するポンプと、
前記第1の配管に設けられる第1の弁と、
前記第2の配管に設けられる第2の弁と、
前記ポンプが前記貯留部より前記処理液を吸入し終えた後に、前記第2の弁が閉まっている状態の下で前記ポンプと前記第2の弁との間の流路内に留まる前記処理液の圧力を予め設定した基準待機圧力に一致させるように圧力フィードバック方式で前記ポンプを制御する待機圧力制御部と
を有する処理装置。
【請求項2】
前記ポンプが、
前記処理液を収容する容積可変のポンプ室と、
前記ポンプ室の容積を変えるための所定の行路上で双方向に移動可能な往復動部材と、
前記待機圧力制御部より与えられる制御信号にしたがって前記往復動部材を移動させる駆動部と
を有する請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記往復動部材が、直線的な行路上で双方向に直進移動可能なピストンを有し、
前記駆動部が、電気モータと、この電気モータの回転駆動力を前記ピストンの直進駆動力に変換する伝動機構とを有する請求項2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記待機圧力制御部が、
前記ポンプと前記第2の弁との間で前記第2の配管内の前記処理液の圧力を測定する第1の圧力測定部と、
前記第1の圧力測定部により測定される前記処理液の圧力を前記基準待機圧力と比較して比較誤差を求める第1の比較部と、
前記駆動部に与える制御信号を前記比較誤差に基づいて生成する第1の制御信号生成部と
を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項5】
前記待機圧力制御部が、前記第1の比較部より得られる比較誤差を所定のしきい値と比較し、前記比較誤差が前記しきい値よりも小さくなった時点で前記ポンプに対するフィードバック制御を停止する請求項4に記載の処理装置。
【請求項6】
前記第1の圧力測定部が、前記処理液の圧力を大気圧に対する相対的な圧力として測定する請求項4または請求項5に記載の処理装置。
【請求項7】
前記基準待機圧力が大気圧に実質的に等しい請求項1〜6のいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項8】
前記基準待機圧力が、前記第2の弁と前記ノズルの吐出口との間の流路内に留まる前記処理液の圧力に実質的に等しい請求項1〜6のいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項9】
前記待機圧力制御部が、前記ノズル内または前記第2の弁と前記ノズルとの間の前記第2の配管内の前記処理液の圧力を前記基準待機圧力として測定する第2の圧力測定部を有する請求項8に記載の処理装置。
【請求項10】
前記基板上に前記処理液を塗布するために、前記第2の弁を閉状態から開状態に切り替えて前記ポンプを所定のストロークだけ往動させる請求項1〜9のいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項11】
前記ポンプより前記処理液を前記ノズルに向けて圧送する際に、前記ポンプの圧力が予め設定した基準吐出圧力に倣うように圧力フィードバック方式で前記ポンプを制御する吐出圧力制御部を有する請求項10に記載の処理装置。
【請求項12】
前記吐出圧力制御部が、
前記第1の圧力測定部により測定される前記処理液の圧力を前記基準吐出圧力と比較して比較誤差を求める第2の比較部と、
前記ポンプに与える制御信号を前記比較誤差に基づいて生成する第2の制御信号生成部と
を有する請求項11に記載の処理装置。
【請求項13】
前記基板上に前記処理液を塗布した後に、前記ポンプに前記処理液を再充填するために、前記第2の弁を開状態から閉状態に切り替えるとともに前記第1の弁を閉状態から開状態に切り替えて、前記ポンプを前記所定ストロークだけ復動させる請求項1〜12に記載の処理装置。
【請求項14】
前記基板上に前記処理液を塗布する際に、前記ポンプの往動運動と連動して前記ノズルを前記基板に対して所定の方向に相対的に移動させる走査部を有する請求項1〜13に記載の処理装置。
【請求項15】
前記走査部が、前記処理液の吐出を開始してから所定時間遅れて前記ノズルの相対移動を開始し、前記ポンプの圧力が立ち上がって安定値に到達するタイミングに合わせて前記ノズルの相対移動速度を設定速度まで立ち上げる請求項14に記載の処理装置。
【請求項16】
貯留部に貯留されている処理液を第1の弁が設けられている第1の配管を介してポンプに充填し、前記ポンプから第2の弁が設けられている第2の配管を介して前記処理液をノズルに圧送し、前記ノズルより前記処理液を吐出して被処理基板に供給する処理液供給方法であって、
前記第1の弁を開状態にするとともに前記第2の弁を閉状態にして、前記ポンプに所定ストロークの吸入動作を行わせ、前記貯留部より前記処理液を前記ストロークに応じた液量だけ前記ポンプに充填する第1のステップと、
前記第2の弁を閉状態に保ったまま前記第1の弁を開状態から閉状態に切り替えて、前記ポンプと前記第2の弁との間の流路内に留まる前記処理液の圧力を所望の基準待機圧力に一致させるように圧力フィードバック方式で前記ポンプを制御する第2のステップと、
前記第1の弁を閉状態に保ったまま前記第2の弁を閉状態から開状態に切り替えて、前記ポンプに所定ストロークの吐出動作を行わせ、前記ノズルより前記基板に向けて前記処理液を前記ストロークに応じた液量だけ吐出する第3のステップと
を有する処理液供給方法。
【請求項17】
貯留部に貯留されている処理液を第1の弁が設けられている第1の配管を介してポンプに充填し、前記ポンプから第2の弁が設けられている第2の配管を介して前記処理液をノズルに圧送し、前記ノズルより前記処理液を吐出して被処理基板に供給する処理液供給プログラムであって、
前記第1の弁を開状態にするとともに前記第2の弁を閉状態にして、前記ポンプに所定ストロークの吸入動作を行わせ、前記貯留部より前記処理液を前記ストロークに応じた液量だけ前記ポンプに充填する第1のステップと、
前記第2の弁を閉状態に保ったまま前記第1の弁を開状態から閉状態に切り替えて、前記ポンプと前記第2の弁との間の流路内に留まる前記処理液の圧力を所望の基準待機圧力に一致させるように圧力フィードバック方式で前記ポンプを制御する第2のステップと、
前記第1の弁を閉状態に保ったまま前記第2の弁を閉状態から開状態に切り替えて、前記ポンプに所定ストロークの吐出動作を行わせ、前記ノズルより前記基板に向けて前記処理液を前記ストロークに応じた液量だけ吐出する第3のステップと
を実行する処理液供給プログラム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−165305(P2006−165305A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−355294(P2004−355294)
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】