凹凸形成装置および入力装置
【課題】装置の部品点数が増加するのを抑制することが可能で、かつ、使用者の個人認証を適切に行うことが可能な入力装置を提供する。
【解決手段】このリモートコントローラ(入力装置)100は、互いに対向するように配置された下部電極21aおよび上部電極21bと、下部電極21aおよび上部電極21b間に電圧が印加されることにより凹凸形状が形成可能な凹凸形成部21(変形層23)とを含み、凹凸形成部21の凹凸形状に基づいて使用者が機器への操作内容を入力可能な凹凸形成パネル20と、使用者の指70により凹凸形成パネル20が押下された際の各凹凸形成部21の下部電極21aおよび上部電極21b間の距離Dの変化を検出することにより使用者の指70の形状を認識することに基づいて、使用者を識別する制御部61とを備える。
【解決手段】このリモートコントローラ(入力装置)100は、互いに対向するように配置された下部電極21aおよび上部電極21bと、下部電極21aおよび上部電極21b間に電圧が印加されることにより凹凸形状が形成可能な凹凸形成部21(変形層23)とを含み、凹凸形成部21の凹凸形状に基づいて使用者が機器への操作内容を入力可能な凹凸形成パネル20と、使用者の指70により凹凸形成パネル20が押下された際の各凹凸形成部21の下部電極21aおよび上部電極21b間の距離Dの変化を検出することにより使用者の指70の形状を認識することに基づいて、使用者を識別する制御部61とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、凹凸形成装置および入力装置に関し、特に、使用者を識別する凹凸形成装置および入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者を識別する入力装置などが知られている(たとえば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
上記特許文献1には、操作キーと感圧面センサとマイコンとを備えたリモコン装置が開示されている。このリモコン装置では、使用者が親指などを感圧面センサに押し当てることによって、マイコンは、感圧面センサが検出した使用者の親指の大きさ(面積)および押圧力に基づいて、使用者が大人であるか子供であるかを判断するように構成されている。そして、マイコンの判断結果に基づいて、操作キーによるリモコン装置の操作に制限を加えることが可能に構成されている。
【0004】
また、上記特許文献2には、基板に複数の電極が配列された電極アレイと、個体認証装置とを備えた入力装置が開示されている。この入力装置では、使用者が指を電極アレイの所定の位置に接触させることによって、個体認証装置が、個々の電極と指の皮膚との間に生じる電気抵抗値の分布に基づく指の形状データと、予めメモリに記憶されている指の形状データとを比較して使用者の識別を行うように構成されている。また、この入力装置では、電極アレイに接触する指の動きを検出してパソコンなどのモニタに表示されたカーソルを操作するポインティングデバイスの機能を有するように構成されている。なお、上記特許文献2に記載の入力装置では、電極アレイの部分が実質的に平坦な表面を有するので、通常、使用者が指を動かしてポインティングデバイスとして使用する際に、使用者に気付かれることなく個人認証が行われるように構成されている。
【0005】
また、上記特許文献3には、複数の温度センサおよび圧力センサを含む接触位置検出手段を備えた利用適格者認証用ポインティングデバイス、および、前記利用適格者認証用ポインティングデバイスと演算処理装置(コンピュータ)とを備えた利用適格者認証装置が開示されている。この利用適格者認証装置では、演算処理装置は、使用者のポインティングデバイス(マウス)の握り方を接触位置検出手段により検出するとともに、この握り方の特徴(温度および圧力分布)と、予めメモリに記憶されている利用適格者照合用データとを比較することによって、使用者の識別および認証を行うように構成されている。
【0006】
また、上記特許文献4には、使用者が機器への操作内容を入力する入力部と、複数の検出素子が行列状に配列された検出素子群と、制御部(指紋認証部)とを備えた情報入力装置が開示されている。この情報入力装置では、使用者が指を検出素子群に接触させることによって、制御部(指紋認証部)が、個々の検出素子と指の皮膚との間に発生する静電容量の分布から使用者の指紋を認識するとともに、予めメモリに記憶されている指紋データとの照合を行って使用者の識別および認証を行うように構成されている。なお、上記特許文献4に記載の情報入力装置では、使用者が入力部を操作して指紋認証モードを選択することにより、制御部が検出素子群を駆動させて使用者の個人認証を行うように構成されている。
【0007】
【特許文献1】特開2004−297468号公報
【特許文献2】特許第3494838号公報
【特許文献3】特開平11−119906号公報
【特許文献4】特開2002−297305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載のリモコン装置では、操作キー以外に使用者を識別するための感圧面センサを別途設ける必要があるために、装置の部品点数が増加するという問題点がある。
【0009】
また、上記特許文献2に記載の入力装置では、電極アレイの部分が実質的に平坦な表面を有するので、使用者が指を動かしてポインティングデバイスとして使用する際に、使用者に気付かれることなく個人認証を行うことが可能である一方、使用者が指を動かし続けた場合には、電極アレイ上の指の位置が定まらないため、個体認証装置は、個々の電極と指の皮膚との間に生じる電気抵抗値の分布に基づく指の形状データを確実に取得するのが困難な場合があると考えられる。この場合、使用者の個人認証を適切に行うことができないという問題点がある。
【0010】
また、上記特許文献3に記載の利用適格者認証用ポインティングデバイスおよび利用適格者認証装置では、ポインティングデバイス(マウス)の表面に、使用者を識別するための複数の温度センサおよび圧力センサを別途設ける必要があるために、装置の部品点数が増加するという問題点がある。
【0011】
また、上記特許文献4に記載の情報入力装置では、入力部以外に使用者の指紋を識別するための検出素子群を別途設ける必要があるために、装置の部品点数が増加するという問題点がある。
【0012】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、装置の部品点数が増加するのを抑制することが可能で、かつ、使用者の個人認証を適切に行うことが可能な凹凸形成装置および入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0013】
この発明の第1の局面による凹凸形成装置は、互いに対向するように配置された一対の電極と、一対の電極間に電圧が印加されることにより凹凸形状が形成可能な変形層とを含み、変形層の凹凸形状に基づいて使用者が機器への操作内容を入力可能な凹凸形成部と、使用者により凹凸形成部が押下された際の一対の電極間の距離の変化を検出することにより使用者の指を認識することに基づいて、使用者を識別する制御部とを備える。
【0014】
この第1の局面による凹凸形成装置では、上記のように、変形層の凹凸形状に基づいて使用者が機器への操作内容を入力可能な凹凸形成部と、電圧が印加された凹凸形成部の一対の電極間の距離の変化を検出することにより使用者の指を認識することに基づいて、使用者を識別する制御部とを備えることによって、機器に対する操作内容の入力部としての凹凸形成部を、使用者を識別する認証装置としても利用することができるので、装置に使用者を識別する専用のセンサなどを別途設ける場合と異なり、装置の部品点数が増加するのを抑制することができる。また、凹凸形成部が押下された際の一対の電極間の距離の変化を検出することにより使用者の指を認識して使用者を識別する制御部を備えることによって、制御部は、凹凸形成部を構成する変形層の機械的な変形状態から使用者の指の形状(特徴点)を確実に取得することができる。また、使用者側も凹凸形成部の押下に伴う変形を見て、使用者自身が個人認証中であることを認識することができる。これにより、使用者の個人認証を適切に行うことができる。
【0015】
上記第1の局面による凹凸形成装置において、好ましくは、凹凸形成部は複数設けられており、制御部は、使用者の指を認識する際に、複数の凹凸形成部の変形層を凸形状に変形させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、使用者が指で凹凸形成部を押下する際に、凹凸形成部の表面が凸形状の状態であるので、押下された部分の凹凸形成部は、指の形状に沿って窪む。この結果、凹凸形成部には、表面が凸形状が保持された領域と窪んだ領域との差が顕著に現れる。これにより、制御部は、使用者の指の形状をより確実に認識することができる。
【0016】
上記凹凸形成部が複数設けられる構成において、好ましくは、制御部は、使用者の指を認識する際に、複数の凹凸形成部の各々の一対の電極間の距離の変化を検出する制御を所定の複数回数繰り返すように構成されている。このように構成すれば、制御部は、各凹凸形成部の変形状態を複数回にわたって検出するので、使用者の指の形状をより一層確実に認識することができる。
【0017】
上記第1の局面による凹凸形成装置において、好ましくは、記憶部をさらに備え、制御部は、使用者の指を認識することに基づいて使用者を識別する制御に先立って、使用者の操作に基づいて使用者の指の形状に関する情報を記憶部に記憶させることにより、使用者を登録する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、制御部は、予め記憶部に登録されている使用者の指の形状に関する情報(データ)に基づいて、現在の使用者の個人認証を容易に行うことができる。
【0018】
上記第1の局面による凹凸形成装置において、好ましくは、制御部は、使用者の凹凸形成部の押下による一対の電極間の距離の変化の大きさを所定の整数からなる押圧レベルとして数値化して、使用者の指を認識する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、使用者の指が、所定の整数からなる押圧レベルにより簡素化された形状データとして認識される。これにより、予め凹凸形成装置に登録されている複数の使用者の指の形状データと現在識別中の使用者の指の形状データとを比較する際に、簡素化された形状データを扱うことにより制御部の処理速度が向上されるので、使用者の識別を迅速に行うことができる。
【0019】
上記第1の局面による凹凸形成装置において、好ましくは、表示画面部をさらに備え、制御部は、使用者の識別結果に基づいて、表示画面部に使用者に関連する情報を表示する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、制御部は、識別された使用者に関連した機器の操作内容を表示画面部を介して使用者に通知することができる。この結果、使用者は、機器に対する操作をより迅速に行うことができる。
【0020】
上記第1の局面による凹凸形成装置において、好ましくは、制御部は、使用者の識別結果に基づいて、使用者に対応する凹凸形状を有するように凹凸形成部の変形層を変形させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、制御部は、たとえば、使用者が過去に視聴したテレビ番組のうちの視聴頻度の高い操作ボタンなどを凹凸形成部に形成して、識別された使用者に関連した機器の操作内容を凹凸形成部を介して使用者に通知することができる。この結果、使用者は、機器に対する操作をより迅速に行うことができる。
【0021】
この発明の第2の局面による入力装置は、表示画面部と、互いに対向するように配置された一対の電極と、一対の電極間に電圧が印加されることにより凹凸形状が形成可能な変形層とを有し、変形層の凹形状に基づいて使用者が機器への操作内容を入力可能な凹凸形成部と、使用者により凹凸形成部が押下された際の一対の電極間の距離の変化を検出することにより使用者の指を認識することに基づいて、使用者を識別する制御部とを含む凹凸形成パネルとを備える。
【0022】
この発明の第2の局面による入力装置では、上記のように、変形層の凹凸形状に基づいて使用者が機器への操作内容を入力可能な凹凸形成部と、電圧が印加された凹凸形成部の一対の電極間の距離の変化を検出することにより使用者の指を認識することに基づいて、使用者を識別する制御部とを含む凹凸形成パネルを備えることによって、機器に対する操作内容の入力部としての凹凸形成パネルを、使用者を識別する認証装置としても利用することができるので、装置に使用者を識別する専用のセンサなどを別途設ける場合と異なり、装置の部品点数が増加するのを抑制することができる。また、凹凸形成パネルの凹凸形成部が押下された際の一対の電極間の距離の変化を検出することにより使用者の指を認識して使用者を識別する制御部を含むことによって、凹凸形成パネルの制御部は、凹凸形成部を構成する変形層の機械的な変形状態から使用者の指の形状(特徴点)を確実に取得することができる。また、使用者側も凹凸形成部の押下に伴う変形を見て、使用者自身が個人認証中であることを認識できる。これにより、使用者の個人認証を適切に行うことができる。
【0023】
上記第2の局面による入力装置において、好ましくは、制御部は、使用者の識別結果に基づいて、表示画面部に使用者に関連する情報を表示するとともに、使用者に対応する凹凸形状を有するように凹凸形成パネルの変形層を変形させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、制御部は、識別された使用者に関連した機器の操作内容を表示画面部を介して使用者に通知することができる。また、制御部は、たとえば、使用者が過去に視聴したテレビ番組のうちの視聴頻度の高い操作ボタンなどを凹凸形成パネルに形成して、識別された使用者に関連した機器の操作内容を凹凸形成パネルを介して使用者に通知することができる。この結果、使用者は、機器に対する操作をより迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1および図2は、本発明の一実施形態によるリモートコントローラの全体構成を示した斜視図である。図3〜図15は、図1に示した一実施形態によるリモートコントローラの詳細な構成を示した図である。図1〜図15を参照して、本発明の一実施形態によるリモートコントローラ100の構成について説明する。なお、本実施形態では、入力装置の一例であるリモートコントローラ100に本発明を適用した場合について説明する。
【0026】
本発明の一実施形態によるリモートコントローラ100は、図3に示すように、表示装置10上に、凹凸形成パネル20とディスプレイ部30とが一体的に形成された本体部40が、樹脂製の筐体90内に収納されている。また、凹凸形成パネル20の表面には、樹脂製の透明な表面保護膜50が設けられている。なお、ディスプレイ部30および本体部40は、それぞれ、本発明の「表示画面部」および「凹凸形成装置」の一例である。
【0027】
また、図1および図3に示すように、凹凸形成パネル20には、表面保護膜50の表面から上方に突出するように変形可能な複数の凹凸形成部21が形成されている。したがって、リモートコントローラ100は、凹凸形成パネル20の所定の領域を凸形状に変形させてボタン形状を形成することにより、たとえば、図2に示すように、テレビジョン装置のリモコンとして使用することが可能に構成されている。この場合、各ボタンには、表示装置10(図3参照)が表示する画像(チャンネル番号など)が映し出されるように構成されている。なお、表示装置10は、テレビジョン装置のリモコン以外の、たとえば、テンキーの画像や録画再生装置の再生/停止ボタンなどの画像など、操作対象となる機器に対応した画像が表示可能であるように構成されている。
【0028】
また、凹凸形成パネル20の複数の凹凸形成部21(8×8=64個)は、図4および図5に示すように、絶縁性を有するガラス製の基板22上にマトリクス状に配置されている。ここで、図4では、各凹凸形成部21の位置を示すために、X方向およびY方向にそれぞれ、X1〜X8およびY1〜Y8の符号を付している。したがって、図4では、図中左上の凹凸形成部21は凹凸形成パネル20の位置(X1、Y1)に配置されるとともに、図中右下の凹凸形成部21は凹凸形成パネル20の位置(X8、Y8)に配置されている。
【0029】
また、図7に示すように、基板22は、表示装置10により表示された画像の視認が可能な光透過率を有する。また、凹凸形成パネル20を覆う表面保護膜50は、表示装置10に表示された画像の視認が可能な光透過率を有する材料で、かつ、凹凸形成パネル20の凹凸形成部21が凸形状に変形するのに追従して弾性変形する材料により構成されている。
【0030】
また、個々の凹凸形成部21は、図6および図7に示すように、円環状の下部電極21a(図6では破線で示す)と、変形層23と、下部電極21aと対向して配置された複数の上部電極21bとがこの順に積層された構造を有する。また、図6に示すように、凹凸形成部21は、平面的に見て実質的に正方形の枠形状を有する側壁21cと、下部電極21aに接続される配線21dと、複数の上部電極21bに接続される伸縮可能な配線21e(6本)とを含んでいる。また、側壁21cは、変形層23を保持する役割を有している。なお、下部電極21aおよび上部電極21bは、それぞれ本発明の「電極」の一例である。
【0031】
また、図6および図7に示すように、凹凸形成部21の下部電極21aは、外縁部が側壁21cと接触しないように基板22上に固定されている。また、下部電極21aは、導電性を有し、かつ、表示装置10により表示された画像の視認が可能な光透過率を有する材料により構成されている。本実施形態では、たとえば、ITO(酸化インジウムスズ)やZnO(酸化亜鉛)などからなる透明導電膜が下部電極21aに用いられる。
【0032】
また、下部電極21aの上面上に設けられた変形層23は、図6および図7に示すように、平面的に見て側壁21cの内縁部と実質的に同じ形状を有した状態で側壁21cに固定されている。また、変形層23は、絶縁性を有し、外部からの押圧力などにより所定量の伸縮が得られる材料により構成されている。また、変形層23は、表示装置10により表示された画像の視認が可能な光透過率を有する材料により構成されている。本実施形態では、たとえば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂およびシリコン樹脂などが変形層23に用いられる。
【0033】
また、複数の上部電極21bは、図6に示すように、円環状の下部電極21aを円の中心に対して等角度(約60度)に分割された6つの上部電極21bによって構成されている。これにより、各上部電極21bの内側部21fはそれぞれ円弧状に形成されるとともに、上部電極21bはそれぞれ略同一の形状を有する。また、上部電極21bは、図6および図7に示すように、それぞれ下部電極21aと対応する位置よりも側壁21c寄り(外側)であり、かつ、同心円状に配置されるように変形層23の上面に接着されている。また、上部電極21bは、導電性を有し、かつ、表示装置10により表示された画像の視認が可能な光透過率を有する材料により構成されている。本実施形態では、たとえば、ITO(酸化インジウムスズ)やZnO(酸化亜鉛)などからなる透明導電膜が上部電極21bに用いられる。
【0034】
また、側壁21cは、絶縁性を有し、表示装置10により表示された入力用画像の視認が可能な光透過率を有する材料により構成されている。
【0035】
また、マトリクス状に設けられた複数の凹凸形成部21の下部電極21aおよび上部電極21b(6個)への電圧の印加方法は、いわゆるアクティブマトリクス方式を用いるように構成されている。
【0036】
具体的には、図4に示すように、基板22は、複数のTFT(薄膜トランジスタ)22aを有している。そして、図5に示すように、X方向に延びるゲート線22b(実線)およびY方向に延びるデータ線22c(破線)が、TFT22aを介して下部電極21a(図6参照)に接続されている。
【0037】
ここで、図5において、特定のゲート線22bにアドレス信号が印加されると、ゲート線22bに接続されるTFT22aは、オン状態となる。このとき、各々のデータ線22cに印加された電圧は、アドレス信号が印加されているゲート線22bと接続された下部電極21aに、オン状態のTFT22aを介して印加される。一方、アドレス信号が印加されていないゲート線22bに接続されるTFT22aはオフ状態なので、オフ状態のTFT22aに接続される下部電極21aには、データ線22cからの電圧が印加されない。したがって、任意のゲート線22bにアドレス信号を印加し、かつ、任意のデータ線22cに所定の電圧を印加することにより、マトリクス状に配置された複数の凹凸形成部21のうちの、特定の位置の下部電極21aにのみ電圧を印加することが可能に構成されている。また、複数の上部電極21b(図5参照)も下部電極21a側の電気回路と同様に構成されているので、複数の凹凸形成部21のうちの、特定の位置の上部電極21bに電圧を印加することが可能に構成されている。
【0038】
したがって、凹凸形成パネル20を構成する各凹凸形成部21は、図7に示すように、電圧の印加されていない時は平板形状を有している。一方、下部電極21aと上部電極21b(6個)との間に電圧を印加すると、下部電極21aと上部電極21bとの間に静電引力が働いて、下部電極21aと上部電極21bとが引き合わされる。この際、6個の上部電極21bは、それぞれ下部電極21aと対応する位置よりも側壁21c側に配置される一方、下部電極21aは基板22に固定されているので、6個の上部電極21bは下部電極21aとの距離を縮小しながら下部電極21aの中心に向かって引き寄せられる。これにより、6個の上部電極21bは、図6および図7に示すように、凹凸形成部21の中心に向かって内側斜め下方向(A方向)に一斉に移動する。
【0039】
この場合、図7に示すように、変形層23は上部電極21bによって内側斜め下方向(A方向)に押圧される一方、変形層23は側壁21cに固定されているので、変形層23は面方向(図6のX方向およびY方向)には変形が生じない。一方、図8に示すように、平面的に見て中央部近傍に移動した6個の上部電極21bによって略円形状の開口部21gが形成されるので、押圧された変形層23は、図9に示すように、開口部21gから上方向(Z2方向)に突出するように変形する。これにより、凹凸形成部21が凸形状を有するように形成される。
【0040】
なお、下部電極21aと上部電極21bとの間の電圧の印加を解除すると、下部電極21aおよび上部電極21bの間の静電引力が作用しなくなる。この結果、変形層23は元の形状に復元されるので、凹凸形成部21は、図7に示すような平板形状に戻る。このようにして、凹凸形成パネル20は個々の凹凸形成部21の形状を変化させて、図2に示すようなリモコンのボタン形状を形成することが可能に構成されている。
【0041】
また、リモートコントローラ100は、図10に示すように、凹凸形成パネル20を含む本体部40の動作を制御する制御回路部60を備えている。また、制御回路部60は、本体部40の制御を統括するCPUからなる制御部61と、ディスプレイ部30を制御する表示制御部62と、凹凸形成パネル20を制御する凹凸形成制御部63と、個人認証制御部64と、メモリ部65と、プログラム格納メモリ部66と、赤外線通信I/F部67と、電源部68とから構成されている。なお、メモリ部65は、本発明の「記憶部」の一例である。
【0042】
ここで、本実施形態では、制御部61は、通常のリモコン操作の制御に加えて、個人認証制御部64、凹凸形成制御部63および表示制御部62と相互に通信を行いながら、リモートコントローラ100を操作する使用者の個人認証機能を実行することが可能に構成されている。
【0043】
具体的には、図11に示すように、電圧の印加によって凸形状に形成された凹凸形成パネル20を使用者が指70で押圧した場合に、制御部61は、下方向(Z1方向)に押圧された変形層23が下部電極21aおよび上部電極21b間の間隔Dを上方向(Z2方向)に押し拡げる際に発生する静電容量の変化を検出することによって使用者の指70の形状を認識する制御を行うことが可能に構成されている。なお、図11では、1つの凹凸形成部21の変形層23の変形状態を示している一方、制御部61は、図3に示した全ての凹凸形成部21の静電容量の変化を前述のアクティブマトリクス方式を利用して検出する制御を行うことが可能に構成されている。
【0044】
たとえば、図12に示すように、使用者がリモートコントローラ100を手で掴んで凹凸形成パネル20に親指71を押し当てた場合、制御部61は、各凹凸形成部21の静電容量の変化を検出することにより、使用者の親指71の形状を把握するように構成されている。この場合、親指71の根元部分と指先との押圧力の違いや、親指71の幅方向の中心部と側端部との押圧力の違いが、押圧される個々の凹凸形成部21の窪む深さ(下部電極21aおよび上部電極21b間の間隔D)の違いとして現れるので、各凹凸形成部21の静電容量の変化量の違いから、制御部61は、図13に示すように、親指71(破線で示す)の形状を数値化(データ化)して認識することが可能に構成されている。
【0045】
また、本実施形態では、制御部61は、親指71の形状を数値化する際に、凹凸形成パネル20の全ての凹凸形成部21に電圧を印加して凹凸形成パネル20を凸形状にした状態を基準にするとともに、親指71が押圧した部分の凹凸形成部21の窪む深さに応じて、「0」〜「3」の4段階で数値化するデータ処理を行うように構成されている。この場合、図13に示すように、「0」で示される各位置(位置(X1、Y1)〜位置(X8、Y8)のうちの所定の領域)の凹凸形成部21には、静電容量の変化がほとんど生じていないことが示されている。すなわち、図13において「0」で示される凹凸形成部21の部分は、親指71が押下されていない領域であることが制御部61により認識される。
【0046】
また、図13において「1」、「2」および「3」で示される各位置(位置(X1、Y1)〜位置(X8、Y8)のうちの所定の領域)の凹凸形成部21には、数字の大きさに応じた静電容量の変化量が検出されていることが示されている。すなわち「1」、「2」および「3」で示される凹凸形成部21の部分は、親指71が押し当てられている領域であることが制御部61により認識される。また、この際、制御部61は、凹凸形成パネル20のうち、静電容量の変化量が最も大きい範囲に該当する凹凸形成部21の押圧レベルを「3」として数値化するとともに、静電容量の変化量が最も小さい範囲に該当する凹凸形成部21の押圧レベルを「1」として数値化する制御を行うように構成されている。また、押圧レベル「2」は、静電容量の変化量が「1」と「3」との略中間の大きさであるように数値化される。これにより、静電容量の変化量が「0」〜「3」の4段階で数値化されるので、個人認証時における使用者の指の形状データ(押圧位置および押圧レベル)の照合を、より迅速に行うことが可能に構成されている。
【0047】
また、本実施形態のリモートコントローラ100では、個人認証時の「認証キー」として、使用者の指の形状データを予めメモリ部65に記憶させる「認証キーの設定モード」と、使用者が凹凸形成パネル20に指を押し当てた際の指の形状データとメモリ部65に記憶されている指の形状データとを照合することによって使用者を特定する「個人認証モード」とがそれぞれ行われるように構成されている。
【0048】
また、本実施形態では、使用者が凹凸形成パネル20に触れた場合、制御部61によって、リモートコントローラ100は、図14に示すような状態に移行するように構成されている。すなわち、凹凸形成パネル20に一時的な操作キー80が形成されるとともに、ディスプレイ部30にメニュー画面31が表示されるように構成されている。したがって、使用者は、凹凸形成パネル20の操作キー80を操作しながらメニュー画面31内の「設定」ボタン31aなどを選択することにより、後述する「認証キーの設定モード」の操作、および、「個人認証モード」の操作が選択可能であるように構成されている。
【0049】
また、本実施形態では、個人認証が行われて使用者が特定された場合、リモートコントローラ100は、ディスプレイ部30と凹凸形成パネル20とによって、認証された使用者の過去の操作に関連した内容の情報を使用者に提供することが可能に構成されている。たとえば、図15に示すように、使用者が過去に視聴したテレビ番組の履歴がディスプレイ部30に表示されるとともに、使用者が過去に視聴したテレビ番組のうちの視聴頻度の高い操作ボタン81などが凹凸形成パネル20に優先的に形成されるように構成されている。したがって、使用者は、所望の情報(自己の趣味や嗜好に関連する情報)にアクセスしやすい環境下で、機器の操作を行うことが可能となる。
【0050】
また、図10に示すように、プログラム格納メモリ部66には、制御部61が実行する各種プログラムが格納されている。また、制御部61は、赤外線通信I/F部67を介して、操作対象となる機器に対する操作信号を送信することが可能に構成されている。また、制御部61は、電源部68から供給される電源電圧を使用して、凹凸形成パネル20を構成する凹凸形成部21の下部電極21aおよび上部電極21b間に電圧を印加する制御を行うように構成されている。
【0051】
図16〜図25は、本発明の一実施形態によるリモートコントローラの個人認証機能に関する動作を説明するための図である。次に、図4、図9、図10および図12〜図25を参照して、本実施形態によるリモートコントローラ100の個人認証機能に関する動作について説明する。
【0052】
まず、図4、図9、図10、図12〜図14および図16〜図21を参照して、リモートコントローラ100に、使用者を登録する場合の制御部61の制御内容について説明する。
【0053】
使用者が所定の時間放置されたリモートコントローラ100の凹凸形成パネル20の部分を触れた場合、制御部61(図10参照)は、凹凸形成パネル20とディスプレイ部30とを駆動させて、リモートコントローラ100を図14に示すような状態に移行させる。すなわち、リモートコントローラ100には、凹凸形成パネル20に一時的な操作キー80が形成されるとともに、ディスプレイ部30にメニュー画面31が表示される。
【0054】
そして、図16に示すように、まず、ステップS1では、使用者が操作キー80(図14参照)を操作してメニュー画面31の「設定」ボタン31a(図14参照)が選択されたか否かが制御部61により判断される。そして、「設定」ボタン31aが選択されていない場合には、「設定」ボタン31aが選択されるまでこの判断が繰り返される。ステップS1において、使用者により「設定」ボタン31aが選択されたと判断された場合には、ステップS2において、図17に示すように、メニュー画面31内に操作リスト32が表示される。
【0055】
その後、ステップS3では、操作リスト32内の「認証キーの設定」ボタン32a(図17参照)が操作キー80(図14参照)により選択されたか否かが制御部61によって判断される。「認証キーの設定」ボタン32aが選択されていない場合には、「認証キーの設定」ボタン32aが選択されるまで操作リスト32を表示し続けるとともにこの判断が繰り返される。ステップS3において、使用者により「認証キーの設定」ボタン32aが操作キー80(図14参照)により選択されたと判断された場合には、ステップS4において、制御部61は、リモートコントローラ100を「認証キーの設定モード」に移行させる。
【0056】
ここで、本実施形態では、ステップS4において、制御部61は、凹凸形成パネル20(図4参照)の凹凸形成部21(64個)を全て凸形状に変形させる。具体的には、図9に示すように、各凹凸形成部21の下部電極21aおよび上部電極21b間に所定の電圧を印加することにより、変形層23を変形させて凹凸形成パネル20の全ての領域が凸形状を有するように形成する。その後、ステップS5では、メニュー画面31内に「認証パネルに指をあててください」というメッセージ33a(図18参照)が表示される。これにより、使用者は、図12に示すように、自己の指(たとえば親指71)を凹凸形成パネル20に押し当てながら、凹凸形成パネル20の所定の領域を押下する。
【0057】
このとき制御部61は、ステップS6において使用者が指を凹凸形成パネル20に押し当てる時間を確保するために、所定時間が経過するまで待機する。ステップS6において所定時間が経過したと判断された場合には、ステップS7において、制御部61は、凹凸形成パネル20の各凹凸形成部21の凹凸形状を検出する制御を行う。
【0058】
ここで、本実施形態では、制御部61は、図4に示すように、凹凸形成パネル20の位置(X1、Y1)の凹凸形成部21から、位置(X8、Y8)までの凹凸形成部21の各々の静電容量の変化を順次計測する制御を行う。また、この際、ステップS8において、メニュー画面31内に「<認証キー設定中>・・・しばらくお待ちください」というメッセージ33b(図19参照)が表示される。これにより、使用者は、自己の指の形状をリモートコントローラ100に登録中であることを認識する。そして、ステップS9では、凹凸形成パネル20(図4参照)の位置(X1、Y1)から位置(X8、Y8)までの静電容量の変化量に基づいた各凹凸形成部21の押圧レベル(「0」〜「3」の4段階で数値化されたデータ)がメモリ部65(図10参照)に記憶される。
【0059】
この際、本実施形態では、図20に示すように、ステップS7からステップS9までの処理が10回繰り返される。すなわち、メモリ部65には、1回目の各凹凸形成部21(図13参照)の押圧レベルのデータ(64個)から10回目の各凹凸形成部21の押圧レベルのデータまでの合計640個のデータが蓄積される。
【0060】
また、本実施形態では、ステップS10において、ステップS7からステップS9までの処理が、所定の回数(10回)繰り返されたか否かが判断される。そして、ステップS10においてステップS7からステップS9までの処理が所定の回数(10回)繰り返されたと判断された場合には、ステップS11において、メニュー画面31内に「認証キーを登録しました」というメッセージ33c(図21参照)が表示される。そして、ステップS12では、図20に示すように、各凹凸形成部21(図13参照)の押圧レベルの平均値が計算されることにより、登録される使用者の指の形状データ(押圧位置および押圧レベル)が確定される。そして、ステップS13では、使用者の指の押圧位置および押圧レベルの平均値が指の形状データとしてメモリ部65に記憶されて本制御を終了する。
【0061】
このようにして、リモートコントローラ100に、使用者の指の形状データ(押圧位置および押圧レベル)が使用者の認証キーとして登録される。
【0062】
次に、図4、図9、図10、図13、図15、図18および図21〜図25を参照して、リモートコントローラ100が使用者の個人認証を行う場合の制御部61の制御内容について説明する。
【0063】
まず、図22に示すように、ステップS21では、使用者がリモートコントローラ100の凹凸形成パネル20の部分を触れたか否かが制御部61(図10参照)により判断される。そして、ステップS21において使用者が凹凸形成パネル20の部分を触れたと判断された場合には、ステップS22において、前回の操作時から所定の時間が経過したか否かが判断される。ステップS22において、前回の操作時から所定の時間が経過していない場合には、前回の使用者と同じ使用者が操作している可能性が高いと判断されて、本制御が終了される。
【0064】
また、ステップS22において、前回の操作時から所定の時間が経過したと判断された場合には、前回の使用者と異なる使用者が操作を開始した可能性が高いと判断されて、ステップS23において、制御部61は、リモートコントローラ100を「個人認証モード」に移行させる。
【0065】
ここで、本実施形態では、ステップS23において、制御部61は、凹凸形成パネル20(図4参照)の凹凸形成部21(64個)を全て凸形状に変形させる。具体的には、図9に示すように、各凹凸形成部21の上部電極21bおよび下部電極21a間に所定の電圧を印加することにより、変形層23を変形させて凹凸形成パネル20の全ての領域が凸形状を有するように形成する。その後、ステップS24では、メニュー画面31内にメッセージ33a(図18参照)が表示される。これにより、使用者は、図12に示すように、自己の指(たとえば親指71)を凹凸形成パネル20に押し当てながら、凹凸形成パネル20の所定の領域を押下する。
【0066】
このとき制御部61は、ステップS25において使用者が指を凹凸形成パネル20に押し当てる時間を確保するために、所定時間が経過するまで待機する。そして、ステップS25において所定時間が経過したと判断された場合には、ステップS26において、制御部61は、凹凸形成パネル20の各凹凸形成部21の凹凸形状を検出する制御を行う。
【0067】
ここで、本実施形態では、制御部61は、図4に示すように、凹凸形成パネル20の位置(X1、Y1)の凹凸形成部21から、位置(X8、Y8)までの凹凸形成部21の各々の静電容量の変化を順次計測する制御を行う。また、この際、ステップS27において、メニュー画面31内に「<認証キー確認中>・・・しばらくお待ちください」というメッセージ34a(図23参照)が表示される。これにより、使用者は、自己の指の形状がリモートコントローラ100によって認証中であることを認識する。そして、ステップS28では、凹凸形成パネル20(図4参照)の位置(X1、Y1)から位置(X8、Y8)までの静電容量の変化量に基づいた各凹凸形成部21の押圧レベル(「0」〜「3」の4段階で数値化されたデータ)がメモリ部65(図10参照)に記憶される。
【0068】
この際、本実施形態では、図20に示すように、ステップS26からステップS28までの処理が10回繰り返される。すなわち、メモリ部65には、1回目の各凹凸形成部21(図13参照)の押圧レベルのデータ(64個)から10回目の各凹凸形成部21の押圧レベルのデータまでの合計640個のデータが蓄積される。
【0069】
また、本実施形態では、ステップS29において、ステップS26からステップS28までの処理が、所定の回数(10回)繰り返されたか否かが判断される。そして、ステップS29においてステップS26からステップS28までの処理が所定の回数(10回)繰り返されたと判断された場合には、ステップS30において、図20に示すように、各凹凸形成部21の押圧レベルの平均値が計算されることにより、認証中の使用者の指の形状データ(押圧位置および押圧レベル)が認識される。
【0070】
その後、ステップS31において、現在認証中の指の形状データ(押圧位置および押圧レベル)とメモリ部65に登録されている指の形状データ(押圧位置および押圧レベル)との照合を行う。そして、照合の結果、認証中の指の形状データが、メモリ部65に登録されている指の形状データと一致したと判断された場合には、ステップS32において、メニュー画面31内に「認証キーが確認されました」というメッセージ34b(図24参照)が表示されるとともに、本制御を終了する。
【0071】
また、照合の結果、認証中の指の形状データが、メモリ部65に登録されている指の形状データと一致しないと判断された場合には、ステップS33において、メニュー画面31内に「該当する認証キーがありません」というメッセージ34c(図25参照)が表示されるとともに、本制御がステップS23に戻る。この場合、現在の使用者がリモートコントローラ100に予め登録されている使用者に該当しないため、現在の使用者は、リモートコントローラ100による機器の操作を行うことができない。
【0072】
また、個人認証の結果、現在の使用者がリモートコントローラ100に予め登録されている使用者に該当した場合、制御部61は、ステップS32において、凹凸形成パネル20とディスプレイ部30とを駆動させて、リモートコントローラ100をたとえば図15に示すような状態(リモコン操作待機状態)に移行させる。したがって、使用者は、所望の情報(自己の趣味や嗜好に関連する情報)にアクセスしやすい環境下で機器の操作を行うことが可能となる。このようにして、リモートコントローラ100に対する使用者の認証が行われる。
【0073】
本実施形態では、上記のように、凹凸形成部21(変形層23)の凹凸形状に基づいて使用者が機器への操作内容を入力可能な凹凸形成パネル20と、電圧が印加された凹凸形成部21の下部電極21aおよび上部電極21b間の距離D(図11参照)の変化から静電容量の変化量を検出することにより使用者の指70を認識することに基づいて、使用者を識別する制御部61とを備えることによって、機器に対する操作内容の入力部としての凹凸形成パネル20を、使用者を識別する認証装置としても利用することができるので、リモートコントローラ100に使用者を識別する専用のセンサなどを別途設ける場合と異なり、リモートコントローラ100の部品点数が増加するのを抑制することができる。また、凹凸形成パネル20が押下された際の凹凸形成部21の下部電極21aおよび上部電極21b間の距離D(図11参照)の変化を検出することにより使用者の指70を認識して使用者を識別する制御部61を備えることによって、制御部61は、凹凸形成パネル20の個々の凹凸形成部21を構成する変形層23の機械的な変形状態から使用者の指の形状(特徴点)を確実に取得することができる。また、使用者側も凹凸形成パネル20の押下に伴う変形を見て、使用者自身が個人認証中であることを認識することができる。これにより、使用者の個人認証を適切に行うことができる。
【0074】
また、本実施形態では、凹凸形成パネル20の凹凸形成部21は複数(64個)設けられており、制御部61を、使用者の指の形状を認識する際に、複数の凹凸形成部21の変形層23を全て凸形状に変形させる制御を行うように構成することによって、使用者が指で凹凸形成パネル20を押下する際に、凹凸形成パネル20の表面が凸形状の状態であるので、押下された部分の凹凸形成パネル20は、指の形状に沿って局所的に窪む。この結果、凹凸形成パネル20には、表面が凸形状が保持された領域と窪んだ領域との差が顕著に現れる。これにより、制御部61は、使用者の指の形状をより確実に認識することができる。
【0075】
また、本実施形態では、制御部61を、使用者の指の形状を認識する際に、複数の凹凸形成部21の各々の下部電極21aおよび上部電極21b間の距離D(図11参照)の変化を検出する制御を10回繰り返すように構成することによって、制御部61は、個々の凹凸形成部21の変形状態を複数回にわたって検出するので、使用者の指の形状をより一層確実に認識することができる。
【0076】
また、本実施形態では、メモリ部65を備えるとともに、制御部61を、使用者の指の形状を認識して使用者を識別する制御(「個人認証モード」)に先立って、使用者が凹凸形成パネル20を押下した際の、個々の凹凸形成部21の下部電極21aおよび上部電極21b間の距離D(図11参照)の変化に基づいて認識される使用者の指の形状データ(押圧位置および押圧レベル)をメモリ部65に記憶させることにより、使用者をリモートコントローラ100に登録する制御(「認証キーの設定モード」)を行うように構成することによって、制御部61は、予めメモリ部65に登録されている使用者の指の形状データに基づいて、現在の使用者の個人認証を容易に行うことができる。
【0077】
また、本実施形態では、制御部61を、使用者の凹凸形成パネル20の押下による複数の凹凸形成部21の各々の下部電極21aおよび上部電極21b間の距離Dの変化の大きさを「0」〜「3」の4段階の押圧レベルにより数値化して、使用者の指の形状を認識する制御を行うように構成することによって、使用者の指の形状(押圧位置および押圧力)が、凹凸形成パネル20内の各凹凸形成部21における「0」、「1」、「2」および「3」の4段階の数字により簡素化された形状データ(図13参照)として認識される。これにより、予めリモートコントローラ100のメモリ部65に登録されている複数の使用者の指の形状データ(押圧位置および押圧力)と現在識別中の使用者の指の形状データとを比較する際に、上記簡素化された指の形状データを扱うことにより制御部61の処理速度が向上されるので、使用者の個人認証を迅速に行うことができる。
【0078】
また、本実施形態では、ディスプレイ部30を備え、制御部61を、使用者の識別結果に基づいて、ディスプレイ部30に使用者に関連する情報(たとえば図15のディスプレイ部30に表示される内容など)を表示する制御を行うように構成することによって、制御部61は、識別された使用者に関連した機器の操作内容をディスプレイ部30を介して使用者に通知することができる。したがって、使用者は、所望の情報(自己の趣味や嗜好に関連する情報)にアクセスしやすい環境下で、機器の操作を行うことが可能となる。この結果、使用者は、機器に対する操作をより迅速に行うことができる。
【0079】
また、本実施形態では、制御部61を、使用者の識別結果に基づいて、使用者に対応する凹凸形状を有するように凹凸形成パネル20の変形層23を変形させる(たとえば図15の凹凸形成パネル20に操作ボタン81などが形成される)制御を行うように構成することによって、制御部61は、識別された使用者に関連した機器の操作内容を凹凸形成パネル20を介して使用者に通知することができる。この結果、上記効果と同様に、使用者は、機器に対する操作をより迅速に行うことができる。
【0080】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0081】
たとえば、上記実施形態では、本発明の入力装置の一例としてリモートコントローラ100を示したが、本発明はこれに限らず、リモートコントローラ以外の入力装置にも適用することが可能である。
【0082】
また、上記実施形態では、図3に示すように、凹凸形成パネル20とディスプレイ部30とが平面的に並んで表示装置10の上方に重ねて配置されている例について示したが、本発明はこれに限らず、表示装置10を、ディスプレイ部30に表示させる表示内容(メニュー画面など)を凹凸形成パネル20の所定の領域に表示させるとともに、凹凸形成パネル20の所定の領域の凹凸形状を変化させて操作ボタンを形成することにより、使用者が、凹凸形成パネル20内でメニュー画面を操作できるように構成してもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、制御部61を、電圧が印加された凹凸形成部21の下部電極21aおよび上部電極21b間の距離D(図11参照)の変化から静電容量の変化量を検出して使用者の指の形状を認識する制御を行うように構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、下部電極21aおよび上部電極21b間の距離Dの変化から凹凸形成部21に発生する起電力の変化量を検出して使用者の指の形状を認識する制御を行うようにしてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、制御部61が使用者の指の形状を認識する際に、凹凸形成パネル20の凹凸形成部21(変形層23)の変形に伴う静電容量の変化量を、個々の凹凸形成部21についてそれぞれ10回ずつ繰り返して検出する制御を行うように構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、上記静電容量の変化量を、個々の凹凸形成部21についてそれぞれ10回以外の回数繰り返して検出するようにしてもよいし、1回のみ検出するようにしてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、制御部61が使用者の指の形状を認識する際に、64個の凹凸形成部21の変形層23を全て凸形状に変形させる制御を行うように構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、凹凸形成部21の変形層23を凸形状に変形させないようにしてもよい。この変形例のように構成しても、使用者が凹凸形成パネル20を指で押圧することによって、下部電極21aおよび上部電極21bの間の距離D(図11参照)が変化するので、制御部61は、凹凸形成部21の変形に伴う静電容量の変化量を検出することが可能である。
【0086】
また、上記実施形態では、制御部61が、使用者の指の形状データを「0」〜「3」の4段階の押圧レベルで数値化して認識する制御を行うように構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、「0」〜「3」の4段階以外の押圧レベルで数値化して認識するようにしてもよい。この変形例の場合、個人認証の精度に応じて押圧レベルの数値化を適宜設定すればよい。すなわち、個人認証をより精度よく行う必要がある場合には、押圧レベルの数値化をより細かく(押圧レベルの段階を多く)設定するように構成すればよい。また、個人認証の精度をさほど要求しなくてもよい場合には、押圧レベルの数値化を粗く(押圧レベルの段階を少なく)設定するように構成すればよい。
【0087】
また、上記実施形態では、変形層23に、アクリル樹脂、エポキシ樹脂およびシリコン樹脂などを用いた例について示したが、本発明はこれに限らず、変形層23に電気活性型ポリマー(EAP)などを用いてもよい。この変形例のように構成すれば、EAPを挟む電極間に電圧を印加することによって、EAPの形状を変化させることが可能である。
【0088】
また、上記実施形態では、変形層23に、アクリル樹脂、エポキシ樹脂およびシリコン樹脂などを用いた例について示したが、本発明はこれに限らず、絶縁性を有し、電圧印加により所定量の伸びが得られるもので、表示装置10により表示された画像を視認することが可能な光透過率を有するものであればよく、たとえば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂およびシリコン樹脂以外の樹脂材料や樹脂材料以外の材料を用いてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、凹凸形成パネル20を64個の凹凸形成部21からなるように構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、凹凸形成パネル20を64個以外の凹凸形成部21からなるように構成してもよい。この変形例の場合、個人認証の精度に応じて、配置される凹凸形成部21の個数を適宜設定すればよい。すなわち、個人認証をより精度よく行う必要がある場合には、凹凸形成パネル20をより多くの凹凸形成部21により構成すればよい。また、個人認証の精度をさほど要求しなくてもよい場合には、凹凸形成部21の個数をより少なく配置して凹凸形成パネル20を構成することが可能である。
【0090】
また、上記実施形態では、凹凸形成パネル20をリモートコントローラ100の表面(上面)に設けた例について示したが、本発明はこれに限らず、凹凸形成パネル20を入力装置の側面部に設けてもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、凹凸形成部21の複数の上部電極21bが、中央部に小さな円状の穴を有する円状の電極からなる下部電極21aをリング状の円の中心に対して対称になるように均等に6分割したものからなる例について示したが、本発明はこれに限らず、複数の上部電極21bを2分割、3分割、4分割および8分割のような複数等分したものからなるようにしてもよいし、等分されていなくてもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、凹凸形成部21の下部電極21aが中央部に小さな円状の穴を有する例について示したが、本発明はこれに限らず、下部電極が穴を有しなくてもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、配置後の形状が円環状(円形状)に形成された下部電極21aおよび上部電極21bを用いた例について示したが、本発明はこれに限らず、矩形形状などの円形状などとは異なる形状を有するように形成された電極を用いてもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、下部電極21aおよび上部電極21bに、ITOやZnOなどからなる透明導電膜を用いた例について示したが、本発明はこれに限らず、導電性を有し、変形層23が凸形状に変形するのに伴って弾性変形可能な材料であり、かつ、表示装置10により表示された画像を視認することが可能な光透過率を有するものであればよい。たとえば、ITOやZnOなどの透明導電膜以外にPEDOT/PSS(ポリエチレンジオキシチオフェン)/(ポリスチレン・スルフォン酸)などの導電性有機材料を用いてもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、凹凸形成パネル20に凹凸形成部21を碁盤目配列をなすようにマトリクス状に配置した例について示したが、本発明はこれに限らず、凹凸形成部をマトリクス状以外のたとえば千鳥配列をなすように配置してもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、リモートコントローラ100を、ガラス製の基板22を用いた剛直な入力装置の一例として示したが、本発明はこれに限らず、入力装置のすべての部材を柔軟な材料で構成することにより、入力装置を曲げなどの変形が可能なように構成してもよい。この場合、凸形状を上部電極側に設けるために、下部電極、下部電極が設けられる基板および表示装置には、表面保護膜よりも柔軟性が低い(硬度が大きい)材料を用いる必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の一実施形態によるリモートコントローラの全体構成を示した斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態によるリモートコントローラの全体構成を示した斜視図である。
【図3】図1に示した一実施形態によるリモートコントローラの構成を示した分解斜視図である。
【図4】図1に示した一実施形態によるリモートコントローラの凹凸形成パネルの構成を示した平面図である。
【図5】図1に示した一実施形態によるリモートコントローラの凹凸形成パネルの構成を示した拡大平面図である。
【図6】図1に示した一実施形態によるリモートコントローラの凹凸形成部の変形前の状態を示した平面図である。
【図7】図6の300−300線に沿った断面図である。
【図8】図1に示した一実施形態によるリモートコントローラの凹凸形成部の変形後の状態を示した平面図である。
【図9】図8の400−400線に沿った断面図である。
【図10】図1に示した一実施形態によるリモートコントローラの制御回路部を示した図である。
【図11】図1に示した一実施形態によるリモートコントローラの凹凸形成部の変形時の状態を示した平面図である。
【図12】図1に示した一実施形態によるリモートコントローラの構成を示した図である。
【図13】図1に示した一実施形態によるリモートコントローラの構成を示した図である。
【図14】図1に示した一実施形態によるリモートコントローラの構成を示した図である。
【図15】図1に示した一実施形態によるリモートコントローラの構成を示した図である。
【図16】本発明の一実施形態によるリモートコントローラの認証キー設定時の制御フローを説明するための図である。
【図17】図16に示したリモートコントローラの認証キー設定時の際のディスプレイ内容を示した図である。
【図18】図16に示したリモートコントローラの認証キー設定時の際のディスプレイ内容を示した図である。
【図19】図16に示したリモートコントローラの認証キー設定時の際のディスプレイ内容を示した図である。
【図20】本発明の一実施形態によるリモートコントローラが使用者の指の形状を計測する際の概念図である。
【図21】図16に示したリモートコントローラの認証キー設定時の際のディスプレイ内容を示した図である。
【図22】本発明の一実施形態によるリモートコントローラの個人認証時の制御フローを説明するための図である。
【図23】図22に示したリモートコントローラの個人認証時の際のディスプレイ内容を示した図である。
【図24】図22に示したリモートコントローラの個人認証時の際のディスプレイ内容を示した図である。
【図25】図22に示したリモートコントローラの個人認証時の際のディスプレイ内容を示した図である。
【符号の説明】
【0098】
20 凹凸形成パネル
21 凹凸形成部
21a 下部電極(電極)
21b 上部電極(電極)
23 変形層
30 ディスプレイ部(表示画面部)
40 本体部(凹凸形成装置)
61 制御部
65 メモリ部(記憶部)
【技術分野】
【0001】
この発明は、凹凸形成装置および入力装置に関し、特に、使用者を識別する凹凸形成装置および入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者を識別する入力装置などが知られている(たとえば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
上記特許文献1には、操作キーと感圧面センサとマイコンとを備えたリモコン装置が開示されている。このリモコン装置では、使用者が親指などを感圧面センサに押し当てることによって、マイコンは、感圧面センサが検出した使用者の親指の大きさ(面積)および押圧力に基づいて、使用者が大人であるか子供であるかを判断するように構成されている。そして、マイコンの判断結果に基づいて、操作キーによるリモコン装置の操作に制限を加えることが可能に構成されている。
【0004】
また、上記特許文献2には、基板に複数の電極が配列された電極アレイと、個体認証装置とを備えた入力装置が開示されている。この入力装置では、使用者が指を電極アレイの所定の位置に接触させることによって、個体認証装置が、個々の電極と指の皮膚との間に生じる電気抵抗値の分布に基づく指の形状データと、予めメモリに記憶されている指の形状データとを比較して使用者の識別を行うように構成されている。また、この入力装置では、電極アレイに接触する指の動きを検出してパソコンなどのモニタに表示されたカーソルを操作するポインティングデバイスの機能を有するように構成されている。なお、上記特許文献2に記載の入力装置では、電極アレイの部分が実質的に平坦な表面を有するので、通常、使用者が指を動かしてポインティングデバイスとして使用する際に、使用者に気付かれることなく個人認証が行われるように構成されている。
【0005】
また、上記特許文献3には、複数の温度センサおよび圧力センサを含む接触位置検出手段を備えた利用適格者認証用ポインティングデバイス、および、前記利用適格者認証用ポインティングデバイスと演算処理装置(コンピュータ)とを備えた利用適格者認証装置が開示されている。この利用適格者認証装置では、演算処理装置は、使用者のポインティングデバイス(マウス)の握り方を接触位置検出手段により検出するとともに、この握り方の特徴(温度および圧力分布)と、予めメモリに記憶されている利用適格者照合用データとを比較することによって、使用者の識別および認証を行うように構成されている。
【0006】
また、上記特許文献4には、使用者が機器への操作内容を入力する入力部と、複数の検出素子が行列状に配列された検出素子群と、制御部(指紋認証部)とを備えた情報入力装置が開示されている。この情報入力装置では、使用者が指を検出素子群に接触させることによって、制御部(指紋認証部)が、個々の検出素子と指の皮膚との間に発生する静電容量の分布から使用者の指紋を認識するとともに、予めメモリに記憶されている指紋データとの照合を行って使用者の識別および認証を行うように構成されている。なお、上記特許文献4に記載の情報入力装置では、使用者が入力部を操作して指紋認証モードを選択することにより、制御部が検出素子群を駆動させて使用者の個人認証を行うように構成されている。
【0007】
【特許文献1】特開2004−297468号公報
【特許文献2】特許第3494838号公報
【特許文献3】特開平11−119906号公報
【特許文献4】特開2002−297305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載のリモコン装置では、操作キー以外に使用者を識別するための感圧面センサを別途設ける必要があるために、装置の部品点数が増加するという問題点がある。
【0009】
また、上記特許文献2に記載の入力装置では、電極アレイの部分が実質的に平坦な表面を有するので、使用者が指を動かしてポインティングデバイスとして使用する際に、使用者に気付かれることなく個人認証を行うことが可能である一方、使用者が指を動かし続けた場合には、電極アレイ上の指の位置が定まらないため、個体認証装置は、個々の電極と指の皮膚との間に生じる電気抵抗値の分布に基づく指の形状データを確実に取得するのが困難な場合があると考えられる。この場合、使用者の個人認証を適切に行うことができないという問題点がある。
【0010】
また、上記特許文献3に記載の利用適格者認証用ポインティングデバイスおよび利用適格者認証装置では、ポインティングデバイス(マウス)の表面に、使用者を識別するための複数の温度センサおよび圧力センサを別途設ける必要があるために、装置の部品点数が増加するという問題点がある。
【0011】
また、上記特許文献4に記載の情報入力装置では、入力部以外に使用者の指紋を識別するための検出素子群を別途設ける必要があるために、装置の部品点数が増加するという問題点がある。
【0012】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、装置の部品点数が増加するのを抑制することが可能で、かつ、使用者の個人認証を適切に行うことが可能な凹凸形成装置および入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0013】
この発明の第1の局面による凹凸形成装置は、互いに対向するように配置された一対の電極と、一対の電極間に電圧が印加されることにより凹凸形状が形成可能な変形層とを含み、変形層の凹凸形状に基づいて使用者が機器への操作内容を入力可能な凹凸形成部と、使用者により凹凸形成部が押下された際の一対の電極間の距離の変化を検出することにより使用者の指を認識することに基づいて、使用者を識別する制御部とを備える。
【0014】
この第1の局面による凹凸形成装置では、上記のように、変形層の凹凸形状に基づいて使用者が機器への操作内容を入力可能な凹凸形成部と、電圧が印加された凹凸形成部の一対の電極間の距離の変化を検出することにより使用者の指を認識することに基づいて、使用者を識別する制御部とを備えることによって、機器に対する操作内容の入力部としての凹凸形成部を、使用者を識別する認証装置としても利用することができるので、装置に使用者を識別する専用のセンサなどを別途設ける場合と異なり、装置の部品点数が増加するのを抑制することができる。また、凹凸形成部が押下された際の一対の電極間の距離の変化を検出することにより使用者の指を認識して使用者を識別する制御部を備えることによって、制御部は、凹凸形成部を構成する変形層の機械的な変形状態から使用者の指の形状(特徴点)を確実に取得することができる。また、使用者側も凹凸形成部の押下に伴う変形を見て、使用者自身が個人認証中であることを認識することができる。これにより、使用者の個人認証を適切に行うことができる。
【0015】
上記第1の局面による凹凸形成装置において、好ましくは、凹凸形成部は複数設けられており、制御部は、使用者の指を認識する際に、複数の凹凸形成部の変形層を凸形状に変形させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、使用者が指で凹凸形成部を押下する際に、凹凸形成部の表面が凸形状の状態であるので、押下された部分の凹凸形成部は、指の形状に沿って窪む。この結果、凹凸形成部には、表面が凸形状が保持された領域と窪んだ領域との差が顕著に現れる。これにより、制御部は、使用者の指の形状をより確実に認識することができる。
【0016】
上記凹凸形成部が複数設けられる構成において、好ましくは、制御部は、使用者の指を認識する際に、複数の凹凸形成部の各々の一対の電極間の距離の変化を検出する制御を所定の複数回数繰り返すように構成されている。このように構成すれば、制御部は、各凹凸形成部の変形状態を複数回にわたって検出するので、使用者の指の形状をより一層確実に認識することができる。
【0017】
上記第1の局面による凹凸形成装置において、好ましくは、記憶部をさらに備え、制御部は、使用者の指を認識することに基づいて使用者を識別する制御に先立って、使用者の操作に基づいて使用者の指の形状に関する情報を記憶部に記憶させることにより、使用者を登録する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、制御部は、予め記憶部に登録されている使用者の指の形状に関する情報(データ)に基づいて、現在の使用者の個人認証を容易に行うことができる。
【0018】
上記第1の局面による凹凸形成装置において、好ましくは、制御部は、使用者の凹凸形成部の押下による一対の電極間の距離の変化の大きさを所定の整数からなる押圧レベルとして数値化して、使用者の指を認識する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、使用者の指が、所定の整数からなる押圧レベルにより簡素化された形状データとして認識される。これにより、予め凹凸形成装置に登録されている複数の使用者の指の形状データと現在識別中の使用者の指の形状データとを比較する際に、簡素化された形状データを扱うことにより制御部の処理速度が向上されるので、使用者の識別を迅速に行うことができる。
【0019】
上記第1の局面による凹凸形成装置において、好ましくは、表示画面部をさらに備え、制御部は、使用者の識別結果に基づいて、表示画面部に使用者に関連する情報を表示する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、制御部は、識別された使用者に関連した機器の操作内容を表示画面部を介して使用者に通知することができる。この結果、使用者は、機器に対する操作をより迅速に行うことができる。
【0020】
上記第1の局面による凹凸形成装置において、好ましくは、制御部は、使用者の識別結果に基づいて、使用者に対応する凹凸形状を有するように凹凸形成部の変形層を変形させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、制御部は、たとえば、使用者が過去に視聴したテレビ番組のうちの視聴頻度の高い操作ボタンなどを凹凸形成部に形成して、識別された使用者に関連した機器の操作内容を凹凸形成部を介して使用者に通知することができる。この結果、使用者は、機器に対する操作をより迅速に行うことができる。
【0021】
この発明の第2の局面による入力装置は、表示画面部と、互いに対向するように配置された一対の電極と、一対の電極間に電圧が印加されることにより凹凸形状が形成可能な変形層とを有し、変形層の凹形状に基づいて使用者が機器への操作内容を入力可能な凹凸形成部と、使用者により凹凸形成部が押下された際の一対の電極間の距離の変化を検出することにより使用者の指を認識することに基づいて、使用者を識別する制御部とを含む凹凸形成パネルとを備える。
【0022】
この発明の第2の局面による入力装置では、上記のように、変形層の凹凸形状に基づいて使用者が機器への操作内容を入力可能な凹凸形成部と、電圧が印加された凹凸形成部の一対の電極間の距離の変化を検出することにより使用者の指を認識することに基づいて、使用者を識別する制御部とを含む凹凸形成パネルを備えることによって、機器に対する操作内容の入力部としての凹凸形成パネルを、使用者を識別する認証装置としても利用することができるので、装置に使用者を識別する専用のセンサなどを別途設ける場合と異なり、装置の部品点数が増加するのを抑制することができる。また、凹凸形成パネルの凹凸形成部が押下された際の一対の電極間の距離の変化を検出することにより使用者の指を認識して使用者を識別する制御部を含むことによって、凹凸形成パネルの制御部は、凹凸形成部を構成する変形層の機械的な変形状態から使用者の指の形状(特徴点)を確実に取得することができる。また、使用者側も凹凸形成部の押下に伴う変形を見て、使用者自身が個人認証中であることを認識できる。これにより、使用者の個人認証を適切に行うことができる。
【0023】
上記第2の局面による入力装置において、好ましくは、制御部は、使用者の識別結果に基づいて、表示画面部に使用者に関連する情報を表示するとともに、使用者に対応する凹凸形状を有するように凹凸形成パネルの変形層を変形させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、制御部は、識別された使用者に関連した機器の操作内容を表示画面部を介して使用者に通知することができる。また、制御部は、たとえば、使用者が過去に視聴したテレビ番組のうちの視聴頻度の高い操作ボタンなどを凹凸形成パネルに形成して、識別された使用者に関連した機器の操作内容を凹凸形成パネルを介して使用者に通知することができる。この結果、使用者は、機器に対する操作をより迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1および図2は、本発明の一実施形態によるリモートコントローラの全体構成を示した斜視図である。図3〜図15は、図1に示した一実施形態によるリモートコントローラの詳細な構成を示した図である。図1〜図15を参照して、本発明の一実施形態によるリモートコントローラ100の構成について説明する。なお、本実施形態では、入力装置の一例であるリモートコントローラ100に本発明を適用した場合について説明する。
【0026】
本発明の一実施形態によるリモートコントローラ100は、図3に示すように、表示装置10上に、凹凸形成パネル20とディスプレイ部30とが一体的に形成された本体部40が、樹脂製の筐体90内に収納されている。また、凹凸形成パネル20の表面には、樹脂製の透明な表面保護膜50が設けられている。なお、ディスプレイ部30および本体部40は、それぞれ、本発明の「表示画面部」および「凹凸形成装置」の一例である。
【0027】
また、図1および図3に示すように、凹凸形成パネル20には、表面保護膜50の表面から上方に突出するように変形可能な複数の凹凸形成部21が形成されている。したがって、リモートコントローラ100は、凹凸形成パネル20の所定の領域を凸形状に変形させてボタン形状を形成することにより、たとえば、図2に示すように、テレビジョン装置のリモコンとして使用することが可能に構成されている。この場合、各ボタンには、表示装置10(図3参照)が表示する画像(チャンネル番号など)が映し出されるように構成されている。なお、表示装置10は、テレビジョン装置のリモコン以外の、たとえば、テンキーの画像や録画再生装置の再生/停止ボタンなどの画像など、操作対象となる機器に対応した画像が表示可能であるように構成されている。
【0028】
また、凹凸形成パネル20の複数の凹凸形成部21(8×8=64個)は、図4および図5に示すように、絶縁性を有するガラス製の基板22上にマトリクス状に配置されている。ここで、図4では、各凹凸形成部21の位置を示すために、X方向およびY方向にそれぞれ、X1〜X8およびY1〜Y8の符号を付している。したがって、図4では、図中左上の凹凸形成部21は凹凸形成パネル20の位置(X1、Y1)に配置されるとともに、図中右下の凹凸形成部21は凹凸形成パネル20の位置(X8、Y8)に配置されている。
【0029】
また、図7に示すように、基板22は、表示装置10により表示された画像の視認が可能な光透過率を有する。また、凹凸形成パネル20を覆う表面保護膜50は、表示装置10に表示された画像の視認が可能な光透過率を有する材料で、かつ、凹凸形成パネル20の凹凸形成部21が凸形状に変形するのに追従して弾性変形する材料により構成されている。
【0030】
また、個々の凹凸形成部21は、図6および図7に示すように、円環状の下部電極21a(図6では破線で示す)と、変形層23と、下部電極21aと対向して配置された複数の上部電極21bとがこの順に積層された構造を有する。また、図6に示すように、凹凸形成部21は、平面的に見て実質的に正方形の枠形状を有する側壁21cと、下部電極21aに接続される配線21dと、複数の上部電極21bに接続される伸縮可能な配線21e(6本)とを含んでいる。また、側壁21cは、変形層23を保持する役割を有している。なお、下部電極21aおよび上部電極21bは、それぞれ本発明の「電極」の一例である。
【0031】
また、図6および図7に示すように、凹凸形成部21の下部電極21aは、外縁部が側壁21cと接触しないように基板22上に固定されている。また、下部電極21aは、導電性を有し、かつ、表示装置10により表示された画像の視認が可能な光透過率を有する材料により構成されている。本実施形態では、たとえば、ITO(酸化インジウムスズ)やZnO(酸化亜鉛)などからなる透明導電膜が下部電極21aに用いられる。
【0032】
また、下部電極21aの上面上に設けられた変形層23は、図6および図7に示すように、平面的に見て側壁21cの内縁部と実質的に同じ形状を有した状態で側壁21cに固定されている。また、変形層23は、絶縁性を有し、外部からの押圧力などにより所定量の伸縮が得られる材料により構成されている。また、変形層23は、表示装置10により表示された画像の視認が可能な光透過率を有する材料により構成されている。本実施形態では、たとえば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂およびシリコン樹脂などが変形層23に用いられる。
【0033】
また、複数の上部電極21bは、図6に示すように、円環状の下部電極21aを円の中心に対して等角度(約60度)に分割された6つの上部電極21bによって構成されている。これにより、各上部電極21bの内側部21fはそれぞれ円弧状に形成されるとともに、上部電極21bはそれぞれ略同一の形状を有する。また、上部電極21bは、図6および図7に示すように、それぞれ下部電極21aと対応する位置よりも側壁21c寄り(外側)であり、かつ、同心円状に配置されるように変形層23の上面に接着されている。また、上部電極21bは、導電性を有し、かつ、表示装置10により表示された画像の視認が可能な光透過率を有する材料により構成されている。本実施形態では、たとえば、ITO(酸化インジウムスズ)やZnO(酸化亜鉛)などからなる透明導電膜が上部電極21bに用いられる。
【0034】
また、側壁21cは、絶縁性を有し、表示装置10により表示された入力用画像の視認が可能な光透過率を有する材料により構成されている。
【0035】
また、マトリクス状に設けられた複数の凹凸形成部21の下部電極21aおよび上部電極21b(6個)への電圧の印加方法は、いわゆるアクティブマトリクス方式を用いるように構成されている。
【0036】
具体的には、図4に示すように、基板22は、複数のTFT(薄膜トランジスタ)22aを有している。そして、図5に示すように、X方向に延びるゲート線22b(実線)およびY方向に延びるデータ線22c(破線)が、TFT22aを介して下部電極21a(図6参照)に接続されている。
【0037】
ここで、図5において、特定のゲート線22bにアドレス信号が印加されると、ゲート線22bに接続されるTFT22aは、オン状態となる。このとき、各々のデータ線22cに印加された電圧は、アドレス信号が印加されているゲート線22bと接続された下部電極21aに、オン状態のTFT22aを介して印加される。一方、アドレス信号が印加されていないゲート線22bに接続されるTFT22aはオフ状態なので、オフ状態のTFT22aに接続される下部電極21aには、データ線22cからの電圧が印加されない。したがって、任意のゲート線22bにアドレス信号を印加し、かつ、任意のデータ線22cに所定の電圧を印加することにより、マトリクス状に配置された複数の凹凸形成部21のうちの、特定の位置の下部電極21aにのみ電圧を印加することが可能に構成されている。また、複数の上部電極21b(図5参照)も下部電極21a側の電気回路と同様に構成されているので、複数の凹凸形成部21のうちの、特定の位置の上部電極21bに電圧を印加することが可能に構成されている。
【0038】
したがって、凹凸形成パネル20を構成する各凹凸形成部21は、図7に示すように、電圧の印加されていない時は平板形状を有している。一方、下部電極21aと上部電極21b(6個)との間に電圧を印加すると、下部電極21aと上部電極21bとの間に静電引力が働いて、下部電極21aと上部電極21bとが引き合わされる。この際、6個の上部電極21bは、それぞれ下部電極21aと対応する位置よりも側壁21c側に配置される一方、下部電極21aは基板22に固定されているので、6個の上部電極21bは下部電極21aとの距離を縮小しながら下部電極21aの中心に向かって引き寄せられる。これにより、6個の上部電極21bは、図6および図7に示すように、凹凸形成部21の中心に向かって内側斜め下方向(A方向)に一斉に移動する。
【0039】
この場合、図7に示すように、変形層23は上部電極21bによって内側斜め下方向(A方向)に押圧される一方、変形層23は側壁21cに固定されているので、変形層23は面方向(図6のX方向およびY方向)には変形が生じない。一方、図8に示すように、平面的に見て中央部近傍に移動した6個の上部電極21bによって略円形状の開口部21gが形成されるので、押圧された変形層23は、図9に示すように、開口部21gから上方向(Z2方向)に突出するように変形する。これにより、凹凸形成部21が凸形状を有するように形成される。
【0040】
なお、下部電極21aと上部電極21bとの間の電圧の印加を解除すると、下部電極21aおよび上部電極21bの間の静電引力が作用しなくなる。この結果、変形層23は元の形状に復元されるので、凹凸形成部21は、図7に示すような平板形状に戻る。このようにして、凹凸形成パネル20は個々の凹凸形成部21の形状を変化させて、図2に示すようなリモコンのボタン形状を形成することが可能に構成されている。
【0041】
また、リモートコントローラ100は、図10に示すように、凹凸形成パネル20を含む本体部40の動作を制御する制御回路部60を備えている。また、制御回路部60は、本体部40の制御を統括するCPUからなる制御部61と、ディスプレイ部30を制御する表示制御部62と、凹凸形成パネル20を制御する凹凸形成制御部63と、個人認証制御部64と、メモリ部65と、プログラム格納メモリ部66と、赤外線通信I/F部67と、電源部68とから構成されている。なお、メモリ部65は、本発明の「記憶部」の一例である。
【0042】
ここで、本実施形態では、制御部61は、通常のリモコン操作の制御に加えて、個人認証制御部64、凹凸形成制御部63および表示制御部62と相互に通信を行いながら、リモートコントローラ100を操作する使用者の個人認証機能を実行することが可能に構成されている。
【0043】
具体的には、図11に示すように、電圧の印加によって凸形状に形成された凹凸形成パネル20を使用者が指70で押圧した場合に、制御部61は、下方向(Z1方向)に押圧された変形層23が下部電極21aおよび上部電極21b間の間隔Dを上方向(Z2方向)に押し拡げる際に発生する静電容量の変化を検出することによって使用者の指70の形状を認識する制御を行うことが可能に構成されている。なお、図11では、1つの凹凸形成部21の変形層23の変形状態を示している一方、制御部61は、図3に示した全ての凹凸形成部21の静電容量の変化を前述のアクティブマトリクス方式を利用して検出する制御を行うことが可能に構成されている。
【0044】
たとえば、図12に示すように、使用者がリモートコントローラ100を手で掴んで凹凸形成パネル20に親指71を押し当てた場合、制御部61は、各凹凸形成部21の静電容量の変化を検出することにより、使用者の親指71の形状を把握するように構成されている。この場合、親指71の根元部分と指先との押圧力の違いや、親指71の幅方向の中心部と側端部との押圧力の違いが、押圧される個々の凹凸形成部21の窪む深さ(下部電極21aおよび上部電極21b間の間隔D)の違いとして現れるので、各凹凸形成部21の静電容量の変化量の違いから、制御部61は、図13に示すように、親指71(破線で示す)の形状を数値化(データ化)して認識することが可能に構成されている。
【0045】
また、本実施形態では、制御部61は、親指71の形状を数値化する際に、凹凸形成パネル20の全ての凹凸形成部21に電圧を印加して凹凸形成パネル20を凸形状にした状態を基準にするとともに、親指71が押圧した部分の凹凸形成部21の窪む深さに応じて、「0」〜「3」の4段階で数値化するデータ処理を行うように構成されている。この場合、図13に示すように、「0」で示される各位置(位置(X1、Y1)〜位置(X8、Y8)のうちの所定の領域)の凹凸形成部21には、静電容量の変化がほとんど生じていないことが示されている。すなわち、図13において「0」で示される凹凸形成部21の部分は、親指71が押下されていない領域であることが制御部61により認識される。
【0046】
また、図13において「1」、「2」および「3」で示される各位置(位置(X1、Y1)〜位置(X8、Y8)のうちの所定の領域)の凹凸形成部21には、数字の大きさに応じた静電容量の変化量が検出されていることが示されている。すなわち「1」、「2」および「3」で示される凹凸形成部21の部分は、親指71が押し当てられている領域であることが制御部61により認識される。また、この際、制御部61は、凹凸形成パネル20のうち、静電容量の変化量が最も大きい範囲に該当する凹凸形成部21の押圧レベルを「3」として数値化するとともに、静電容量の変化量が最も小さい範囲に該当する凹凸形成部21の押圧レベルを「1」として数値化する制御を行うように構成されている。また、押圧レベル「2」は、静電容量の変化量が「1」と「3」との略中間の大きさであるように数値化される。これにより、静電容量の変化量が「0」〜「3」の4段階で数値化されるので、個人認証時における使用者の指の形状データ(押圧位置および押圧レベル)の照合を、より迅速に行うことが可能に構成されている。
【0047】
また、本実施形態のリモートコントローラ100では、個人認証時の「認証キー」として、使用者の指の形状データを予めメモリ部65に記憶させる「認証キーの設定モード」と、使用者が凹凸形成パネル20に指を押し当てた際の指の形状データとメモリ部65に記憶されている指の形状データとを照合することによって使用者を特定する「個人認証モード」とがそれぞれ行われるように構成されている。
【0048】
また、本実施形態では、使用者が凹凸形成パネル20に触れた場合、制御部61によって、リモートコントローラ100は、図14に示すような状態に移行するように構成されている。すなわち、凹凸形成パネル20に一時的な操作キー80が形成されるとともに、ディスプレイ部30にメニュー画面31が表示されるように構成されている。したがって、使用者は、凹凸形成パネル20の操作キー80を操作しながらメニュー画面31内の「設定」ボタン31aなどを選択することにより、後述する「認証キーの設定モード」の操作、および、「個人認証モード」の操作が選択可能であるように構成されている。
【0049】
また、本実施形態では、個人認証が行われて使用者が特定された場合、リモートコントローラ100は、ディスプレイ部30と凹凸形成パネル20とによって、認証された使用者の過去の操作に関連した内容の情報を使用者に提供することが可能に構成されている。たとえば、図15に示すように、使用者が過去に視聴したテレビ番組の履歴がディスプレイ部30に表示されるとともに、使用者が過去に視聴したテレビ番組のうちの視聴頻度の高い操作ボタン81などが凹凸形成パネル20に優先的に形成されるように構成されている。したがって、使用者は、所望の情報(自己の趣味や嗜好に関連する情報)にアクセスしやすい環境下で、機器の操作を行うことが可能となる。
【0050】
また、図10に示すように、プログラム格納メモリ部66には、制御部61が実行する各種プログラムが格納されている。また、制御部61は、赤外線通信I/F部67を介して、操作対象となる機器に対する操作信号を送信することが可能に構成されている。また、制御部61は、電源部68から供給される電源電圧を使用して、凹凸形成パネル20を構成する凹凸形成部21の下部電極21aおよび上部電極21b間に電圧を印加する制御を行うように構成されている。
【0051】
図16〜図25は、本発明の一実施形態によるリモートコントローラの個人認証機能に関する動作を説明するための図である。次に、図4、図9、図10および図12〜図25を参照して、本実施形態によるリモートコントローラ100の個人認証機能に関する動作について説明する。
【0052】
まず、図4、図9、図10、図12〜図14および図16〜図21を参照して、リモートコントローラ100に、使用者を登録する場合の制御部61の制御内容について説明する。
【0053】
使用者が所定の時間放置されたリモートコントローラ100の凹凸形成パネル20の部分を触れた場合、制御部61(図10参照)は、凹凸形成パネル20とディスプレイ部30とを駆動させて、リモートコントローラ100を図14に示すような状態に移行させる。すなわち、リモートコントローラ100には、凹凸形成パネル20に一時的な操作キー80が形成されるとともに、ディスプレイ部30にメニュー画面31が表示される。
【0054】
そして、図16に示すように、まず、ステップS1では、使用者が操作キー80(図14参照)を操作してメニュー画面31の「設定」ボタン31a(図14参照)が選択されたか否かが制御部61により判断される。そして、「設定」ボタン31aが選択されていない場合には、「設定」ボタン31aが選択されるまでこの判断が繰り返される。ステップS1において、使用者により「設定」ボタン31aが選択されたと判断された場合には、ステップS2において、図17に示すように、メニュー画面31内に操作リスト32が表示される。
【0055】
その後、ステップS3では、操作リスト32内の「認証キーの設定」ボタン32a(図17参照)が操作キー80(図14参照)により選択されたか否かが制御部61によって判断される。「認証キーの設定」ボタン32aが選択されていない場合には、「認証キーの設定」ボタン32aが選択されるまで操作リスト32を表示し続けるとともにこの判断が繰り返される。ステップS3において、使用者により「認証キーの設定」ボタン32aが操作キー80(図14参照)により選択されたと判断された場合には、ステップS4において、制御部61は、リモートコントローラ100を「認証キーの設定モード」に移行させる。
【0056】
ここで、本実施形態では、ステップS4において、制御部61は、凹凸形成パネル20(図4参照)の凹凸形成部21(64個)を全て凸形状に変形させる。具体的には、図9に示すように、各凹凸形成部21の下部電極21aおよび上部電極21b間に所定の電圧を印加することにより、変形層23を変形させて凹凸形成パネル20の全ての領域が凸形状を有するように形成する。その後、ステップS5では、メニュー画面31内に「認証パネルに指をあててください」というメッセージ33a(図18参照)が表示される。これにより、使用者は、図12に示すように、自己の指(たとえば親指71)を凹凸形成パネル20に押し当てながら、凹凸形成パネル20の所定の領域を押下する。
【0057】
このとき制御部61は、ステップS6において使用者が指を凹凸形成パネル20に押し当てる時間を確保するために、所定時間が経過するまで待機する。ステップS6において所定時間が経過したと判断された場合には、ステップS7において、制御部61は、凹凸形成パネル20の各凹凸形成部21の凹凸形状を検出する制御を行う。
【0058】
ここで、本実施形態では、制御部61は、図4に示すように、凹凸形成パネル20の位置(X1、Y1)の凹凸形成部21から、位置(X8、Y8)までの凹凸形成部21の各々の静電容量の変化を順次計測する制御を行う。また、この際、ステップS8において、メニュー画面31内に「<認証キー設定中>・・・しばらくお待ちください」というメッセージ33b(図19参照)が表示される。これにより、使用者は、自己の指の形状をリモートコントローラ100に登録中であることを認識する。そして、ステップS9では、凹凸形成パネル20(図4参照)の位置(X1、Y1)から位置(X8、Y8)までの静電容量の変化量に基づいた各凹凸形成部21の押圧レベル(「0」〜「3」の4段階で数値化されたデータ)がメモリ部65(図10参照)に記憶される。
【0059】
この際、本実施形態では、図20に示すように、ステップS7からステップS9までの処理が10回繰り返される。すなわち、メモリ部65には、1回目の各凹凸形成部21(図13参照)の押圧レベルのデータ(64個)から10回目の各凹凸形成部21の押圧レベルのデータまでの合計640個のデータが蓄積される。
【0060】
また、本実施形態では、ステップS10において、ステップS7からステップS9までの処理が、所定の回数(10回)繰り返されたか否かが判断される。そして、ステップS10においてステップS7からステップS9までの処理が所定の回数(10回)繰り返されたと判断された場合には、ステップS11において、メニュー画面31内に「認証キーを登録しました」というメッセージ33c(図21参照)が表示される。そして、ステップS12では、図20に示すように、各凹凸形成部21(図13参照)の押圧レベルの平均値が計算されることにより、登録される使用者の指の形状データ(押圧位置および押圧レベル)が確定される。そして、ステップS13では、使用者の指の押圧位置および押圧レベルの平均値が指の形状データとしてメモリ部65に記憶されて本制御を終了する。
【0061】
このようにして、リモートコントローラ100に、使用者の指の形状データ(押圧位置および押圧レベル)が使用者の認証キーとして登録される。
【0062】
次に、図4、図9、図10、図13、図15、図18および図21〜図25を参照して、リモートコントローラ100が使用者の個人認証を行う場合の制御部61の制御内容について説明する。
【0063】
まず、図22に示すように、ステップS21では、使用者がリモートコントローラ100の凹凸形成パネル20の部分を触れたか否かが制御部61(図10参照)により判断される。そして、ステップS21において使用者が凹凸形成パネル20の部分を触れたと判断された場合には、ステップS22において、前回の操作時から所定の時間が経過したか否かが判断される。ステップS22において、前回の操作時から所定の時間が経過していない場合には、前回の使用者と同じ使用者が操作している可能性が高いと判断されて、本制御が終了される。
【0064】
また、ステップS22において、前回の操作時から所定の時間が経過したと判断された場合には、前回の使用者と異なる使用者が操作を開始した可能性が高いと判断されて、ステップS23において、制御部61は、リモートコントローラ100を「個人認証モード」に移行させる。
【0065】
ここで、本実施形態では、ステップS23において、制御部61は、凹凸形成パネル20(図4参照)の凹凸形成部21(64個)を全て凸形状に変形させる。具体的には、図9に示すように、各凹凸形成部21の上部電極21bおよび下部電極21a間に所定の電圧を印加することにより、変形層23を変形させて凹凸形成パネル20の全ての領域が凸形状を有するように形成する。その後、ステップS24では、メニュー画面31内にメッセージ33a(図18参照)が表示される。これにより、使用者は、図12に示すように、自己の指(たとえば親指71)を凹凸形成パネル20に押し当てながら、凹凸形成パネル20の所定の領域を押下する。
【0066】
このとき制御部61は、ステップS25において使用者が指を凹凸形成パネル20に押し当てる時間を確保するために、所定時間が経過するまで待機する。そして、ステップS25において所定時間が経過したと判断された場合には、ステップS26において、制御部61は、凹凸形成パネル20の各凹凸形成部21の凹凸形状を検出する制御を行う。
【0067】
ここで、本実施形態では、制御部61は、図4に示すように、凹凸形成パネル20の位置(X1、Y1)の凹凸形成部21から、位置(X8、Y8)までの凹凸形成部21の各々の静電容量の変化を順次計測する制御を行う。また、この際、ステップS27において、メニュー画面31内に「<認証キー確認中>・・・しばらくお待ちください」というメッセージ34a(図23参照)が表示される。これにより、使用者は、自己の指の形状がリモートコントローラ100によって認証中であることを認識する。そして、ステップS28では、凹凸形成パネル20(図4参照)の位置(X1、Y1)から位置(X8、Y8)までの静電容量の変化量に基づいた各凹凸形成部21の押圧レベル(「0」〜「3」の4段階で数値化されたデータ)がメモリ部65(図10参照)に記憶される。
【0068】
この際、本実施形態では、図20に示すように、ステップS26からステップS28までの処理が10回繰り返される。すなわち、メモリ部65には、1回目の各凹凸形成部21(図13参照)の押圧レベルのデータ(64個)から10回目の各凹凸形成部21の押圧レベルのデータまでの合計640個のデータが蓄積される。
【0069】
また、本実施形態では、ステップS29において、ステップS26からステップS28までの処理が、所定の回数(10回)繰り返されたか否かが判断される。そして、ステップS29においてステップS26からステップS28までの処理が所定の回数(10回)繰り返されたと判断された場合には、ステップS30において、図20に示すように、各凹凸形成部21の押圧レベルの平均値が計算されることにより、認証中の使用者の指の形状データ(押圧位置および押圧レベル)が認識される。
【0070】
その後、ステップS31において、現在認証中の指の形状データ(押圧位置および押圧レベル)とメモリ部65に登録されている指の形状データ(押圧位置および押圧レベル)との照合を行う。そして、照合の結果、認証中の指の形状データが、メモリ部65に登録されている指の形状データと一致したと判断された場合には、ステップS32において、メニュー画面31内に「認証キーが確認されました」というメッセージ34b(図24参照)が表示されるとともに、本制御を終了する。
【0071】
また、照合の結果、認証中の指の形状データが、メモリ部65に登録されている指の形状データと一致しないと判断された場合には、ステップS33において、メニュー画面31内に「該当する認証キーがありません」というメッセージ34c(図25参照)が表示されるとともに、本制御がステップS23に戻る。この場合、現在の使用者がリモートコントローラ100に予め登録されている使用者に該当しないため、現在の使用者は、リモートコントローラ100による機器の操作を行うことができない。
【0072】
また、個人認証の結果、現在の使用者がリモートコントローラ100に予め登録されている使用者に該当した場合、制御部61は、ステップS32において、凹凸形成パネル20とディスプレイ部30とを駆動させて、リモートコントローラ100をたとえば図15に示すような状態(リモコン操作待機状態)に移行させる。したがって、使用者は、所望の情報(自己の趣味や嗜好に関連する情報)にアクセスしやすい環境下で機器の操作を行うことが可能となる。このようにして、リモートコントローラ100に対する使用者の認証が行われる。
【0073】
本実施形態では、上記のように、凹凸形成部21(変形層23)の凹凸形状に基づいて使用者が機器への操作内容を入力可能な凹凸形成パネル20と、電圧が印加された凹凸形成部21の下部電極21aおよび上部電極21b間の距離D(図11参照)の変化から静電容量の変化量を検出することにより使用者の指70を認識することに基づいて、使用者を識別する制御部61とを備えることによって、機器に対する操作内容の入力部としての凹凸形成パネル20を、使用者を識別する認証装置としても利用することができるので、リモートコントローラ100に使用者を識別する専用のセンサなどを別途設ける場合と異なり、リモートコントローラ100の部品点数が増加するのを抑制することができる。また、凹凸形成パネル20が押下された際の凹凸形成部21の下部電極21aおよび上部電極21b間の距離D(図11参照)の変化を検出することにより使用者の指70を認識して使用者を識別する制御部61を備えることによって、制御部61は、凹凸形成パネル20の個々の凹凸形成部21を構成する変形層23の機械的な変形状態から使用者の指の形状(特徴点)を確実に取得することができる。また、使用者側も凹凸形成パネル20の押下に伴う変形を見て、使用者自身が個人認証中であることを認識することができる。これにより、使用者の個人認証を適切に行うことができる。
【0074】
また、本実施形態では、凹凸形成パネル20の凹凸形成部21は複数(64個)設けられており、制御部61を、使用者の指の形状を認識する際に、複数の凹凸形成部21の変形層23を全て凸形状に変形させる制御を行うように構成することによって、使用者が指で凹凸形成パネル20を押下する際に、凹凸形成パネル20の表面が凸形状の状態であるので、押下された部分の凹凸形成パネル20は、指の形状に沿って局所的に窪む。この結果、凹凸形成パネル20には、表面が凸形状が保持された領域と窪んだ領域との差が顕著に現れる。これにより、制御部61は、使用者の指の形状をより確実に認識することができる。
【0075】
また、本実施形態では、制御部61を、使用者の指の形状を認識する際に、複数の凹凸形成部21の各々の下部電極21aおよび上部電極21b間の距離D(図11参照)の変化を検出する制御を10回繰り返すように構成することによって、制御部61は、個々の凹凸形成部21の変形状態を複数回にわたって検出するので、使用者の指の形状をより一層確実に認識することができる。
【0076】
また、本実施形態では、メモリ部65を備えるとともに、制御部61を、使用者の指の形状を認識して使用者を識別する制御(「個人認証モード」)に先立って、使用者が凹凸形成パネル20を押下した際の、個々の凹凸形成部21の下部電極21aおよび上部電極21b間の距離D(図11参照)の変化に基づいて認識される使用者の指の形状データ(押圧位置および押圧レベル)をメモリ部65に記憶させることにより、使用者をリモートコントローラ100に登録する制御(「認証キーの設定モード」)を行うように構成することによって、制御部61は、予めメモリ部65に登録されている使用者の指の形状データに基づいて、現在の使用者の個人認証を容易に行うことができる。
【0077】
また、本実施形態では、制御部61を、使用者の凹凸形成パネル20の押下による複数の凹凸形成部21の各々の下部電極21aおよび上部電極21b間の距離Dの変化の大きさを「0」〜「3」の4段階の押圧レベルにより数値化して、使用者の指の形状を認識する制御を行うように構成することによって、使用者の指の形状(押圧位置および押圧力)が、凹凸形成パネル20内の各凹凸形成部21における「0」、「1」、「2」および「3」の4段階の数字により簡素化された形状データ(図13参照)として認識される。これにより、予めリモートコントローラ100のメモリ部65に登録されている複数の使用者の指の形状データ(押圧位置および押圧力)と現在識別中の使用者の指の形状データとを比較する際に、上記簡素化された指の形状データを扱うことにより制御部61の処理速度が向上されるので、使用者の個人認証を迅速に行うことができる。
【0078】
また、本実施形態では、ディスプレイ部30を備え、制御部61を、使用者の識別結果に基づいて、ディスプレイ部30に使用者に関連する情報(たとえば図15のディスプレイ部30に表示される内容など)を表示する制御を行うように構成することによって、制御部61は、識別された使用者に関連した機器の操作内容をディスプレイ部30を介して使用者に通知することができる。したがって、使用者は、所望の情報(自己の趣味や嗜好に関連する情報)にアクセスしやすい環境下で、機器の操作を行うことが可能となる。この結果、使用者は、機器に対する操作をより迅速に行うことができる。
【0079】
また、本実施形態では、制御部61を、使用者の識別結果に基づいて、使用者に対応する凹凸形状を有するように凹凸形成パネル20の変形層23を変形させる(たとえば図15の凹凸形成パネル20に操作ボタン81などが形成される)制御を行うように構成することによって、制御部61は、識別された使用者に関連した機器の操作内容を凹凸形成パネル20を介して使用者に通知することができる。この結果、上記効果と同様に、使用者は、機器に対する操作をより迅速に行うことができる。
【0080】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0081】
たとえば、上記実施形態では、本発明の入力装置の一例としてリモートコントローラ100を示したが、本発明はこれに限らず、リモートコントローラ以外の入力装置にも適用することが可能である。
【0082】
また、上記実施形態では、図3に示すように、凹凸形成パネル20とディスプレイ部30とが平面的に並んで表示装置10の上方に重ねて配置されている例について示したが、本発明はこれに限らず、表示装置10を、ディスプレイ部30に表示させる表示内容(メニュー画面など)を凹凸形成パネル20の所定の領域に表示させるとともに、凹凸形成パネル20の所定の領域の凹凸形状を変化させて操作ボタンを形成することにより、使用者が、凹凸形成パネル20内でメニュー画面を操作できるように構成してもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、制御部61を、電圧が印加された凹凸形成部21の下部電極21aおよび上部電極21b間の距離D(図11参照)の変化から静電容量の変化量を検出して使用者の指の形状を認識する制御を行うように構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、下部電極21aおよび上部電極21b間の距離Dの変化から凹凸形成部21に発生する起電力の変化量を検出して使用者の指の形状を認識する制御を行うようにしてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、制御部61が使用者の指の形状を認識する際に、凹凸形成パネル20の凹凸形成部21(変形層23)の変形に伴う静電容量の変化量を、個々の凹凸形成部21についてそれぞれ10回ずつ繰り返して検出する制御を行うように構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、上記静電容量の変化量を、個々の凹凸形成部21についてそれぞれ10回以外の回数繰り返して検出するようにしてもよいし、1回のみ検出するようにしてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、制御部61が使用者の指の形状を認識する際に、64個の凹凸形成部21の変形層23を全て凸形状に変形させる制御を行うように構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、凹凸形成部21の変形層23を凸形状に変形させないようにしてもよい。この変形例のように構成しても、使用者が凹凸形成パネル20を指で押圧することによって、下部電極21aおよび上部電極21bの間の距離D(図11参照)が変化するので、制御部61は、凹凸形成部21の変形に伴う静電容量の変化量を検出することが可能である。
【0086】
また、上記実施形態では、制御部61が、使用者の指の形状データを「0」〜「3」の4段階の押圧レベルで数値化して認識する制御を行うように構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、「0」〜「3」の4段階以外の押圧レベルで数値化して認識するようにしてもよい。この変形例の場合、個人認証の精度に応じて押圧レベルの数値化を適宜設定すればよい。すなわち、個人認証をより精度よく行う必要がある場合には、押圧レベルの数値化をより細かく(押圧レベルの段階を多く)設定するように構成すればよい。また、個人認証の精度をさほど要求しなくてもよい場合には、押圧レベルの数値化を粗く(押圧レベルの段階を少なく)設定するように構成すればよい。
【0087】
また、上記実施形態では、変形層23に、アクリル樹脂、エポキシ樹脂およびシリコン樹脂などを用いた例について示したが、本発明はこれに限らず、変形層23に電気活性型ポリマー(EAP)などを用いてもよい。この変形例のように構成すれば、EAPを挟む電極間に電圧を印加することによって、EAPの形状を変化させることが可能である。
【0088】
また、上記実施形態では、変形層23に、アクリル樹脂、エポキシ樹脂およびシリコン樹脂などを用いた例について示したが、本発明はこれに限らず、絶縁性を有し、電圧印加により所定量の伸びが得られるもので、表示装置10により表示された画像を視認することが可能な光透過率を有するものであればよく、たとえば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂およびシリコン樹脂以外の樹脂材料や樹脂材料以外の材料を用いてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、凹凸形成パネル20を64個の凹凸形成部21からなるように構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、凹凸形成パネル20を64個以外の凹凸形成部21からなるように構成してもよい。この変形例の場合、個人認証の精度に応じて、配置される凹凸形成部21の個数を適宜設定すればよい。すなわち、個人認証をより精度よく行う必要がある場合には、凹凸形成パネル20をより多くの凹凸形成部21により構成すればよい。また、個人認証の精度をさほど要求しなくてもよい場合には、凹凸形成部21の個数をより少なく配置して凹凸形成パネル20を構成することが可能である。
【0090】
また、上記実施形態では、凹凸形成パネル20をリモートコントローラ100の表面(上面)に設けた例について示したが、本発明はこれに限らず、凹凸形成パネル20を入力装置の側面部に設けてもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、凹凸形成部21の複数の上部電極21bが、中央部に小さな円状の穴を有する円状の電極からなる下部電極21aをリング状の円の中心に対して対称になるように均等に6分割したものからなる例について示したが、本発明はこれに限らず、複数の上部電極21bを2分割、3分割、4分割および8分割のような複数等分したものからなるようにしてもよいし、等分されていなくてもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、凹凸形成部21の下部電極21aが中央部に小さな円状の穴を有する例について示したが、本発明はこれに限らず、下部電極が穴を有しなくてもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、配置後の形状が円環状(円形状)に形成された下部電極21aおよび上部電極21bを用いた例について示したが、本発明はこれに限らず、矩形形状などの円形状などとは異なる形状を有するように形成された電極を用いてもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、下部電極21aおよび上部電極21bに、ITOやZnOなどからなる透明導電膜を用いた例について示したが、本発明はこれに限らず、導電性を有し、変形層23が凸形状に変形するのに伴って弾性変形可能な材料であり、かつ、表示装置10により表示された画像を視認することが可能な光透過率を有するものであればよい。たとえば、ITOやZnOなどの透明導電膜以外にPEDOT/PSS(ポリエチレンジオキシチオフェン)/(ポリスチレン・スルフォン酸)などの導電性有機材料を用いてもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、凹凸形成パネル20に凹凸形成部21を碁盤目配列をなすようにマトリクス状に配置した例について示したが、本発明はこれに限らず、凹凸形成部をマトリクス状以外のたとえば千鳥配列をなすように配置してもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、リモートコントローラ100を、ガラス製の基板22を用いた剛直な入力装置の一例として示したが、本発明はこれに限らず、入力装置のすべての部材を柔軟な材料で構成することにより、入力装置を曲げなどの変形が可能なように構成してもよい。この場合、凸形状を上部電極側に設けるために、下部電極、下部電極が設けられる基板および表示装置には、表面保護膜よりも柔軟性が低い(硬度が大きい)材料を用いる必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の一実施形態によるリモートコントローラの全体構成を示した斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態によるリモートコントローラの全体構成を示した斜視図である。
【図3】図1に示した一実施形態によるリモートコントローラの構成を示した分解斜視図である。
【図4】図1に示した一実施形態によるリモートコントローラの凹凸形成パネルの構成を示した平面図である。
【図5】図1に示した一実施形態によるリモートコントローラの凹凸形成パネルの構成を示した拡大平面図である。
【図6】図1に示した一実施形態によるリモートコントローラの凹凸形成部の変形前の状態を示した平面図である。
【図7】図6の300−300線に沿った断面図である。
【図8】図1に示した一実施形態によるリモートコントローラの凹凸形成部の変形後の状態を示した平面図である。
【図9】図8の400−400線に沿った断面図である。
【図10】図1に示した一実施形態によるリモートコントローラの制御回路部を示した図である。
【図11】図1に示した一実施形態によるリモートコントローラの凹凸形成部の変形時の状態を示した平面図である。
【図12】図1に示した一実施形態によるリモートコントローラの構成を示した図である。
【図13】図1に示した一実施形態によるリモートコントローラの構成を示した図である。
【図14】図1に示した一実施形態によるリモートコントローラの構成を示した図である。
【図15】図1に示した一実施形態によるリモートコントローラの構成を示した図である。
【図16】本発明の一実施形態によるリモートコントローラの認証キー設定時の制御フローを説明するための図である。
【図17】図16に示したリモートコントローラの認証キー設定時の際のディスプレイ内容を示した図である。
【図18】図16に示したリモートコントローラの認証キー設定時の際のディスプレイ内容を示した図である。
【図19】図16に示したリモートコントローラの認証キー設定時の際のディスプレイ内容を示した図である。
【図20】本発明の一実施形態によるリモートコントローラが使用者の指の形状を計測する際の概念図である。
【図21】図16に示したリモートコントローラの認証キー設定時の際のディスプレイ内容を示した図である。
【図22】本発明の一実施形態によるリモートコントローラの個人認証時の制御フローを説明するための図である。
【図23】図22に示したリモートコントローラの個人認証時の際のディスプレイ内容を示した図である。
【図24】図22に示したリモートコントローラの個人認証時の際のディスプレイ内容を示した図である。
【図25】図22に示したリモートコントローラの個人認証時の際のディスプレイ内容を示した図である。
【符号の説明】
【0098】
20 凹凸形成パネル
21 凹凸形成部
21a 下部電極(電極)
21b 上部電極(電極)
23 変形層
30 ディスプレイ部(表示画面部)
40 本体部(凹凸形成装置)
61 制御部
65 メモリ部(記憶部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向するように配置された一対の電極と、前記一対の電極間に電圧が印加されることにより凹凸形状が形成可能な変形層とを含み、前記変形層の前記凹凸形状に基づいて使用者が機器への操作内容を入力可能な凹凸形成部と、
前記使用者により前記凹凸形成部が押下された際の前記一対の電極間の距離の変化を検出することにより前記使用者の指を認識することに基づいて、前記使用者を識別する制御部とを備える、凹凸形成装置。
【請求項2】
前記凹凸形成部は複数設けられており、
前記制御部は、前記使用者の指を認識する際に、複数の前記凹凸形成部の前記変形層を凸形状に変形させる制御を行うように構成されている、請求項1に記載の凹凸形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記使用者の指を認識する際に、複数の前記凹凸形成部の各々の前記一対の電極間の距離の変化を検出する制御を所定の複数回数繰り返すように構成されている、請求項2に記載の凹凸形成装置。
【請求項4】
記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記使用者の指を認識することに基づいて前記使用者を識別する制御に先立って、前記使用者の操作に基づいて前記使用者の指の形状に関する情報を前記記憶部に記憶させることにより、前記使用者を登録する制御を行うように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の凹凸形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記使用者の前記凹凸形成部の押下による前記一対の電極間の距離の変化の大きさを所定の整数からなる押圧レベルとして数値化して、前記使用者の指を認識する制御を行うように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の凹凸形成装置。
【請求項6】
表示画面部をさらに備え、
前記制御部は、前記使用者の識別結果に基づいて、前記表示画面部に前記使用者に関連する情報を表示する制御を行うように構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の凹凸形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記使用者の識別結果に基づいて、前記使用者に対応する凹凸形状を有するように前記凹凸形成部の前記変形層を変形させる制御を行うように構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の凹凸形成装置。
【請求項8】
表示画面部と、
互いに対向するように配置された一対の電極と、前記一対の電極間に電圧が印加されることにより凹凸形状が形成可能な変形層とを有し、前記変形層の前記凹凸形状に基づいて使用者が機器への操作内容を入力可能な凹凸形成部と、前記使用者により前記凹凸形成部が押下された際の前記一対の電極間の距離の変化を検出することにより前記使用者の指を認識することに基づいて、前記使用者を識別する制御部とを含む凹凸形成パネルとを備える、入力装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記使用者の識別結果に基づいて、前記表示画面部に前記使用者に関連する情報を表示するとともに、前記使用者に対応する凹凸形状を有するように前記凹凸形成パネルの前記変形層を変形させる制御を行うように構成されている、請求項8に記載の入力装置。
【請求項1】
互いに対向するように配置された一対の電極と、前記一対の電極間に電圧が印加されることにより凹凸形状が形成可能な変形層とを含み、前記変形層の前記凹凸形状に基づいて使用者が機器への操作内容を入力可能な凹凸形成部と、
前記使用者により前記凹凸形成部が押下された際の前記一対の電極間の距離の変化を検出することにより前記使用者の指を認識することに基づいて、前記使用者を識別する制御部とを備える、凹凸形成装置。
【請求項2】
前記凹凸形成部は複数設けられており、
前記制御部は、前記使用者の指を認識する際に、複数の前記凹凸形成部の前記変形層を凸形状に変形させる制御を行うように構成されている、請求項1に記載の凹凸形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記使用者の指を認識する際に、複数の前記凹凸形成部の各々の前記一対の電極間の距離の変化を検出する制御を所定の複数回数繰り返すように構成されている、請求項2に記載の凹凸形成装置。
【請求項4】
記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記使用者の指を認識することに基づいて前記使用者を識別する制御に先立って、前記使用者の操作に基づいて前記使用者の指の形状に関する情報を前記記憶部に記憶させることにより、前記使用者を登録する制御を行うように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の凹凸形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記使用者の前記凹凸形成部の押下による前記一対の電極間の距離の変化の大きさを所定の整数からなる押圧レベルとして数値化して、前記使用者の指を認識する制御を行うように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の凹凸形成装置。
【請求項6】
表示画面部をさらに備え、
前記制御部は、前記使用者の識別結果に基づいて、前記表示画面部に前記使用者に関連する情報を表示する制御を行うように構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の凹凸形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記使用者の識別結果に基づいて、前記使用者に対応する凹凸形状を有するように前記凹凸形成部の前記変形層を変形させる制御を行うように構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の凹凸形成装置。
【請求項8】
表示画面部と、
互いに対向するように配置された一対の電極と、前記一対の電極間に電圧が印加されることにより凹凸形状が形成可能な変形層とを有し、前記変形層の前記凹凸形状に基づいて使用者が機器への操作内容を入力可能な凹凸形成部と、前記使用者により前記凹凸形成部が押下された際の前記一対の電極間の距離の変化を検出することにより前記使用者の指を認識することに基づいて、前記使用者を識別する制御部とを含む凹凸形成パネルとを備える、入力装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記使用者の識別結果に基づいて、前記表示画面部に前記使用者に関連する情報を表示するとともに、前記使用者に対応する凹凸形状を有するように前記凹凸形成パネルの前記変形層を変形させる制御を行うように構成されている、請求項8に記載の入力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2009−271721(P2009−271721A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121484(P2008−121484)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]