説明

分離先端構成を有するカテーテルを製造する方法

分離先端カテーテルを製造する方法は、以下のステップ:型の空洞の中に第1および第2のコアを位置付けるステップであって、空洞は、実質的に細長い形状を有し、第1の末端部分と、第2の末端部分とを含み、第1および第2のコアは、実質的に互に平行に配向される、ステップと、空洞の第1の末端部分を横切って成形材料よりも高い溶融温度を有する材料のシートを配置するステップと、成形材料を型の空洞の中に注入するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、カテーテルを製造する方法、具体的には、分離先端構成を有するカテーテルを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは、体腔、導管、および血管から、ならびに体腔、導管、および血管への、流体の採取および導入を促進する可撓性の医療デバイスである。カテーテルアセンブリは、血液が、治療のために血管から採取され、その後、循環のために血管に戻される血液透析処置において、特定の適用を有し得る。既知の血液透析カテーテルは、カテーテル内の双方向の流体流動を可能にし、それによって、一方の管腔が、体内血管からの血液の採取専用であり、かつ他方の管腔が、処理された血液を血管に戻す専用である、二重管腔または三重管腔カテーテル等の複数の管腔を含む。例示的な血液透析処置中、複数の管腔カテーテルが身体の中に挿入され、血液は、カテーテルの動脈管腔を通して採取される。除去された血液は、血液から老廃物および毒素を除去するために、血液を透析または浄化する血液透析装置に誘導される。透析された血液は、カテーテルの静脈管腔を通して患者に戻される。
【0003】
カテーテルを、例えば、押し出しを含む種々の技法を用いて製造することができる。例えば、いくつかのカテーテルは、均一の外径を有するカテーテルを生成することができる押し出しダイスを通して、溶融ポリマーを押し出すことによって形成される。しかしながら、カテーテルへの分離先端構成の追加は、これらの製造技法を複雑にしている。
【0004】
したがって、医療分野において、より単純で費用効率の高い分離先端構成を有するカテーテルを製造する方法の継続的必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、分離先端構成を有するカテーテルを製造する方法に関する。一実施形態において、本方法は、型の空洞の中に第1および第2のコアを位置付けるステップであって、空洞は、実質的に細長い形状を有し、かつ第1の末端部分および第2の末端部分を含み、第1および第2のコアは、実質的に互に平行に配向される、ステップと、空洞の第1の末端部分を横切って成形材料よりも高い溶融温度を有する材料のシートを配置するステップと、成形材料を型の空洞の中に注入するステップとを含む。一実施形態において、シートは、成形材料を型の空洞の中に注入する間、緊張状態で維持される。シートは、第1のコアと第2のコアとの間に位置付けられ得る。
【0006】
第1および第2のコアの各々は、縦孔および1つ以上の細孔を規定し得る。1つ以上の細孔を通るか、あるいは1つ以上の細孔の中への成形材料の流動を制限するように、成形材料を注入する前に、コアを、例えば、被覆膜で被覆し得る。型からのシートならびに/または第1および第2のコアの除去を促進するために、媒体が、シートに沿って供給され得る。型は、空洞を共同で規定する第1および第2の半分を含み得る。成形材料を冷却した後に、型の第1の側と第2の側とを分離し得る。成形材料を型の中に注入する前に、第1および第2のコアのうちの少なくとも1つを加熱し得る。成形材料を型の空洞の中に注入する前に、型を加熱し得る。
【0007】
成形材料を型の中に注入する前に、第1および第2のコアのたわみを最小限化するように、第1および第2のコアを、1つ以上の後退可能なピンアセンブリで保持し得る。各々の後退可能なピンアセンブリは、型の空洞の外側の後退位置と、第1のコアまたは第2のコアと係合する係合位置との間で、型の空洞に対して横方向に移動可能な1つ以上の後退可能なピンを含む。少なくとも1つの後退可能なピンを、第1のコアと第2のコアとの間に位置付け得る。少なくとも1つの後退可能なピンは、第1のコアまたは2のコアの外面と係合する。一実施形態において、各々の後退可能なアセンブリは、互に対して実質的に平行に配向される3つの後退可能なピンを有する。本方法はさらに、3つの後退可能なピンのうちの少なくとも1つを、第1のコアと第2のコアとの間に規定される間隙の中に移動させるステップを含み得る。一実施形態において、本方法はさらに、1つ以上の後退可能なピンを、第1のコアまたは第2のコアの外面に係合させるステップを含み得る。
【0008】
粘度調整剤を成形材料に付加し得る。成形材料は、ポリウレタンまたは粘性ポリウレタンスラリーであり得る。
【0009】
本開示は、さらに、分離先端構成を有するカテーテルを製造するための代替方法に関する。本方法は、成形材料を溶融するステップと、第1および第2のコアを、型の空洞の中に挿入するステップであって、空洞は、カテーテルの外面を形成するための形状を有し、かつ第1の末端部分および第2の末端部分を含み、第1および第2のコアは、カテーテル中の管腔を規定するための形状を有する、ステップと、空洞の第1の末端部分を横切って、かつ第1のコアと第2のコアとの間に、成形材料よりも高い溶融温度を有する材料のシートを配置するステップと、成形材料を型の空洞の中に注入するステップ中に、シートを緊張状態で維持するステップとを含む。成形材料は、ポリウレタンであり得る。第1および第2のコアを、互に対して平行配向に位置付け得る。
【0010】
成形材料を型の中に注入する前に、第1および第2のコアのたわみを最小限化するように、第1および第2のコアを、1つ以上の後退可能なピンアセンブリで保持し得る。各々の後退可能なピンアセンブリは、型の空洞の外側の後退位置と、第1のコアまたは第2のコアと係合する係合位置との間で、型の空洞に対して横方向に移動可能な1つ以上の後退可能なピンを含む。少なくとも1つの後退可能なピンを、第1のコアと第2のコアとの間に位置付け得る。少なくとも1つの後退可能なピンは、第1のコアまたは第2のコアの外面と係合する。一実施形態において、各々の後退可能なアセンブリは、互に対して実質的に平行に配向される3つの後退可能なピンを有する。本方法は、3つの後退可能なピンのうちの少なくとも1つを、第1のコアと第2のコアとの間に規定される間隙の中に移動させるステップをさらに含み得る。一実施形態において、本方法は、1つ以上の後退可能なピンを、第1のコアまたは第2のコアの外面に係合させるステップをさらに含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示のカテーテルおよび製造アセンブリならびに方法の種々の実施形態は、添付図面を参照して本明細書に記載され、
【図1】図1は、分離先端構成を有するカテーテルの斜視図である。
【図2】図2は、図1に示されるカテーテルを作製するための製造アセンブリの上面図である。
【図3】図3は、図2の製造アセンブリの側面図である。
【図4A】図4Aは、図2に示される製造アセンブリのある実施形態に従う型の垂直断面図である。
【図4B】図4Bは、図2に示される製造アセンブリのある実施形態に従う型斜視図である。
【図5】図5は、図2に示される製造アセンブリの第1の末端部分の拡大斜視図である。
【図6】図6は、図2の製造アセンブリの側面図であり、後退可能なピンアセンブリを示す。
【図7】図7は、図2の製造アセンブリの正面図であり、後退位置にある後退可能なピンを示す。
【図8】図8は、図2の製造アセンブリの正面図であり、係合位置にある後退ピンを示す。
【図9】図9は、図2の製造アセンブリの側面図であり、本開示の別の実施形態に従う後退可能なピンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の製造アセンブリおよび方法の実施形態は、これから図面を参照して詳細に説明され、同様の参照数字は、いくつかの図の各々において、類似または同一の要素を特定する。以下に続く議論において、「近位」または「垂下」という用語は、ユーザにより近い構造の部分を指し、一方、「遠位」または「先導」という用語は、ユーザからより遠い構造の部分を指す。本明細書で使用される「対象」という用語は、ヒト患者または動物を指す。「臨床医」という用語は、医師、看護師、または他の介護人を指し、かつ援助要員を含み得る。
【0013】
図1は、分離先端構成を有するカテーテル10を示す。本明細書で使用される分離先端構成は、カテーテルの遠位端が、互に対して移動するか、あるいは移動させられることができるように切り離された第1および第2の先端部材を含むことを意味する。概して、カテーテル10は、近位端部分14および遠位端部分16を有する細長い本体12を含む。細長い本体12は、細長い本体12の長さを延長する第1および第2の管腔18、20を規定する。示される実施形態において、細長い本体12は、円筒形状を有し、各管腔18、20は、半円形またはD形断面を特徴とする。あるいは、細長い本体12および管腔18、20は、任意の好適な形状または構成を有し得る。細長い本体12は、第1および第2の管腔18、20を分離する隔膜(図示せず)をさらに含む。カテーテル10は、互から分離した第1の先端部材22aおよび第2の先端部材22bを含む、カテーテル10の遠位端部分16に隣接した分離先端部分24を含む。本開示は、図1に示されるようなカテーテル10を作製するための製造過程を説明する。
【0014】
カテーテル10を、任意の好適な生体適合性材料で作製し得る。ある特定の実施形態において、カテーテル10は、ポリウレタンで形成される。さらにより具体的には、カテーテル10を、脂肪族または芳香族ポリウレタンで形成し得る。しかしながら、カテーテル10を、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、フッ素ポリマー(等のフッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、フッ化ビニリデン樹脂(PVDF))、ポリ塩化ビニル(PVC)、シリコーン(ポリジメチルシロキサン)等の任意の好適なポリマー、ならびに前述のうちの少なくとも1つを含む組み合わせ(すなわち、ポリマーブレンド、コポリマー、合金等)で作製し得る。
【0015】
カテーテル10を作製するために、いくつかの製造アセンブリおよび手順を採用し得る。例えば、成形材料を加熱し、それを型の中に注入することによって、熱可塑性もしくは熱硬化性プラスチック、金属、またはセラミック材料を利用し、物体を形成する製造過程である射出成形で、カテーテル10を作製し得る。射出成形中、成形材料または樹脂は、所望の部品もしくは物体を形成するよう成形される。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、およびエラストマーを含む大部分のポリマーを、成形材料として用い得る。
【0016】
図2〜4Bを参照すると、製造アセンブリ1000は、型100または200(図4Aおよび4B)、コアアセンブリ116、ならびに型100または200内で成形材料140を二分するためのシートまたは膜102を含む。コアアセンブリ116は、型100または200内で受け取られ、製造過程中、カテーテル10の第1および第2の管腔18、20(図1)の形成を促進する。以下でさらに詳細に議論されるように、シート102は、カテーテル10の分離先端部分24(図1)を形成するために、型100または200の内側の成形材料140を分離するよう構成される。
【0017】
図4Aは、第1および第2の半分100a、100bを含む型100のある実施形態を示す。示される実施形態において、第1および第2の半分100a、100bは、実質的に左右対称である。あるいは、第1および第2の半分100a、100bは、非対称であり得る。それらの対称性(またはその欠如)に関係なく、型100の第1および第2の半分100a、100bは、成形材料140(図2および3)を保持するための空洞134を共同で規定する。空洞134は、細長い形状を有し、かつカテーテル10の外表面を形成することができる形状を規定する。一実施形態において、他の空洞形状は、例えば、長円形、正方形、長方形等が想定されるが、空洞134は、実質的に円筒形状を有する。第1の末端部分104および第2の末端部分106を含む空洞134は、コアアセンブリ116の成形材料140およびコア112、114(図3)を受け取るよう構成される。本実施形態において、空洞134の第1の末端部分104は、型100の第2の半分100bに配置され、かつ空洞134の第2の末端部分106は、型100の第1の半分100aに配置される。型100の第1の半分100aは、空洞134の第2の末端部分106と連通して配置されるスロット136を規定する。スロット136は、製造過程中、シート102(図2)を受け取るよう寸法決定される。型100の第2の半分100bは、溶融した成形材料140(図2)の空洞134への通過を可能にするためのスプルー138を含む。示される実施形態において、スプルー138は、空洞136の第1の末端部分104と流体連通して配置される。しかしながら、その位置が、空洞134と溶融した成形材料源との間の流体連通を可能にする限り、スプルー138を、型100の任意の部分上に配置し得る。
【0018】
引き続き図4Aを参照すると、型100の第1の半分100aは、第1および第2の孔146、148を規定し、それらは、実質的に互に平行に配向され、かつ各々が、それぞれ、第1および第2のコア112、114(図5)を受け取るよう寸法決定される。各孔146、148は、空洞134の第2の末端部分106と連通して配置される。型100の第2の半分100bは、第1および第2の孔150、152を規定し、それらは、実質的に互に平行に配向され、かつ、それぞれ、第1および第2のコア112、114(図5)を受け取るよう寸法決定される。各孔150、152は、空洞134の第1の末端部分104と連通して配置される。
【0019】
図4Bは、第1および第2の半分200a、200bを含む型200の別の実施形態を示す。示される実施形態において、第1および第2の半分200a、200bは、非対称であり得ることが想定されるが、型200の第1および第2の半分200a、200bは、実質的に左右対称である。型200の第1および第2の半分200a、200bは、成形材料140(図2および3)を保持するための空洞234を共同で規定する。空洞234は、細長い形状を有し、かつカテーテル10の外表面を形成することができる形状を規定する。一実施形態において、他の形状が想定されるが、空洞234は、実質的に円筒形状を有する。空洞234は、成形材料140およびコアアセンブリ116のコア112、114(図3)を受け取るよう構成される。本実施形態において、型200の第1および第2の半分200a、200bは、連帯して、空洞234の第1の末端部分204および第2の末端部分206を規定する。型200は、空洞234の第2の末端部分106と連通して配置されるスロット236をさらに規定する。スロット236は、製造過程中、シート102(図2)を受け取るよう寸法決定される。加えて、型200は、溶融した成形材料140(図2)の空洞234への通過を可能にするために、空洞236と流体連通して配置されるスプルー238を規定する。図4Bは、空洞236の第1の末端部分204に隣接して位置付けられるスプルー238を示すが、その位置が、空洞234と溶融した成形材料源との間の流体連通を可能にする限り、スプルー238を、型200の任意の部分上に配置し得る。
【0020】
引き続き図4Bを参照すると、型200の第1および第2の半分200a、200bは、第1および第2の孔246、248を一緒に規定し、それらは、実質的に互に平行に配向され、かつ空洞234の第2の末端部分206に隣接して位置付けられる。第1および第2の孔246、248は、それぞれ、第1および第2のコア112、114(図5)を受け取るよう寸法決定され、かつ空洞234と連通して配置される。型200の第1および第2の半分200a、200bは、第3および第4の孔250、252も規定し、それらは、実質的に互に平行に配向され、かつ空洞234の第1の末端部分204に隣接して位置付けられる。第3および第4の管腔250、252は、それぞれ、第1および第2のコア112、114(図5)を受け取るよう寸法決定され、かつそれぞれ、空洞234と連通して配置される。
【0021】
図2〜5に見られるように、コアアセンブリ116は、カテーテル10の管腔18、20を形成するための第1および第2のコア112、114、ならびに、第1および第2のコア支持構造126、128を含む。図示されないが、第1および第2のコアを、一体化して形成するか、またはさもなければ1つの末端に接続することができる。一実施形態において、第1および第2のコア112、114は、第1および第2のコア支持構造126、128のうちの少なくとも一方に固定して取り付けられ、かつ第1および第2のコア支持構造126、128の他方に解放可能に連結される。操作中、操作者は、第1および第2のコア112、114を、空洞134または234の中に配置することができる。さらに、コア支持構造は、第1および第2のコア112、114に張力を与えることが可能であり得、それは、材料140が、空洞134、234の中に注入される時に、コアのたわみを制限し得る。さらに、コア支持構造は、第1および第2のコア112、114に張力を与えることが可能であり得、それは、材料140が、空洞134、234の中に注入される時に、コアのたわみを制限し得る。
【0022】
図5に示されるように、第1および第2のコア112、114は、それぞれ、縦孔120、122を規定し、かつそこを通る液体または気体媒体の通過を可能にするための細孔124を含み得る。細孔124を、レーザ切断、掘削、または他の既知の技法で形成し得る。操作中、操作者は、射出成形過程後、縦孔120、122および細孔124に液体媒体を通し、冷却された成形材料140からのコア112、114の分離を促進し得る。射出成形中に、溶融した成形材料140(図5)が細孔124の中に入るか、あるいは細孔124を貫流するのを制限するように、成形過程中、被覆膜(図示せず)を、第1および第2のコア112、114上に配置し得る。例えば、被覆膜は、成形の前に、別々に、第1および第2のコア112、114上で適用された熱収縮管類であり得る。さらに、被覆膜それ自体が、成形材料140からの第1および第2のコア112、114の除去を可能にする場合もある。例えば、コアが成形材料140から除去されることを可能にするように、フッ素ポリマー収縮管(例えば、FEP)を、第1および第2のコア112、114上に組み立て得る。加えて、第1および第2のコア112、114は、カテーテル10(図1)の分離先端部分24を形成するように、シート102を受け取るよう寸法決定された間隙118(図5)を一緒に規定する。さらに、第1および第2のコア112、114を除去する追加の方法が利用可能であることは、ポリマー射出成形および材料の分野における当業者には明らかであるはずである。例えば、成形材料140は、溶媒中で膨張し得、あるいは成形材料は、細長くされネックダウンされ、それによって、コアを容易に除去するようにその外周を縮小させるアセタール押出を利用する等、使い捨てであり得る。
【0023】
図2および3を参照すると、一実施形態において、製造アセンブリ1000は、シート102に取り付けられる、図5に図式的に示されるスライド302、304を含む。射出成形過程中、スライド302、304は、シート102を緊張状態で維持する。1つの例示的な方法では、スライド(302または304)は、シート102の各側面に取り付けられ、かつスライド302、304は、シート102に張力を作成するよう反対方向に移動される。シート102は、成形材料よりも高い融点を有する、成形材料を二分するのに好適な任意の材料で作製される。スライド302、304は、型100または200上に動作可能に支持され得る。
【0024】
図6〜8に見られるように、製造アセンブリ1000は、後退位置(図7)と係合位置(図8)との間でコア112、114に対して横方向に移動するよう構成される後退可能なピン132を含む、少なくとも1つの後退可能なピンアセンブリ130を含み得る。一実施形態において、後退可能なピンアセンブリ130を、型100(図4)の第1の半分100aに動作可能に連結し得る。あるいは、後退可能なピンアセンブリ130は、型100の第2の半分100bに動作可能に連結し得る。型100は、各々の後退可能なピンアセンブリ130のピン132を受け取るよう寸法決定される1つ以上の孔142を含む。型100の各孔142は、空洞134に至り、かつ空洞134に対して横方向に配向される。後退可能なピンアセンブリ130が後退位置にある時、後退可能なピン132は、空洞表面を形成するように、空洞134または234を包囲し、かつ第1および第2のコア112、114と係合しない。あるいは、後退可能なピン132は、後退位置で配置される時、空洞134または234の外側に位置付けられる。後退可能なピンアセンブリ130が係合位置にある時、後退可能なピン132は、型100または200の空洞134または234の内側に、少なくとも部分的に位置付けられ、かつ少なくとも1つの後退可能なピン132は、製造過程中、第1および第2のコア112、114のたわみを制御または阻止するように、第1および第2のコア112、114と係合する。図6〜7に示される実施形態において、製造アセンブリ1000は、3つの後退可能なピンアセンブリ130を含む。しかしながら、製造アセンブリ1000は、より多いか、あるいはより少ない後退可能なピンアセンブリ130を含み得ることが想定される。複数のピンおよび/またはピンアセンブリの使用を、第1および第2のコア112、114のたわみを減少させる任意の様式で修正することができることは、当業者には明らかであるはずである。
【0025】
図7および8に示される実施形態において、各々の後退可能なピンアセンブリ130は、3つのピン132を含む。1つの後退可能なピン132aは、射出成形過程中、第1および第2のコア112、114の間の分離を維持するために、その前進位置で、第1および第2のコア112、114の間の間隙118(図8)の中に位置付けられる。別のピン132bは、第1のコア114の外面と係合するよう適合される。さらなるピン132cは、第2のコア112の外面と係合するよう構成される。後退ピンアセンブリ130に安定性をもたらすために、全ての後退可能なピン132を、互に隣接して位置付けることができる。
【0026】
図9に見られるように、製造アセンブリ1000(図2)は、互に整列されない後退可能なピン132a、132b、132cを含み得る。図9が8つの後退可能なピン132a〜cを示す一方で、製造アセンブリ1000(図2)は、より少ないか、あるいはより多い後退可能なピンを含み得る。図9に示される実施形態において、後退可能なピン132aは、型100または200の空洞表面を形成する後退位置と、第1および第2のコア112、114を支持する係合位置との間で、型100または200に対して移動するよう構成される。係合位置において、後退可能なピン132aは、射出成形過程中、第1および第2のコア112、114の間の分離を維持するために、第1および第2のコア112、114の間の間隙118(図5)の中に配置される。後退可能なピン132bは、型100または200の空洞表面を形成する後退位置と、第1のコア114の外面と係合する係合位置との間で、型100または200に対して移動するよう構成される。後退可能なピン132cは、型100または200の空洞表面を形成する後退位置と、第2のコア112の外面と係合する係合位置との間で、型100または200に対して移動するよう適合される。
【0027】
一実施形態において、成形材料140が、型100または200の空洞134または234の中に注入される時に、製造アセンブリ1000は、後退可能なピンアセンブリ130を機械的に作動、例えば、前進および/または後退することができる制御装置および/またはセンサ(図示せず)を含み得る。本実施形態において、成形材料140が型100または200の空洞134または234の中に注入される時に、後退可能なピンアセンブリ130の後退可能なピン132a〜cは、後退位置から係合位置に自動的に移動する。成形材料140のうちの少なくとも一部が型100または200の中に注入された後ではあるが、成形材料140が後退ピン132a〜cの後退によって作成される空間を満たすように十分に流動することができる時点よりも前に、後退可能なピン132a〜cを後退することができることも想定される。一実施例において、ピンが「パックアウト」の直前に後退されるように、型100または200が成形材料140で約95%満たされた時に、後退ピン132a〜cを後退することができ、ここで「パックアウト」とは、型が約99%満たされる時点を指し、かつ空洞134を完全に満たすために、追加の圧が溶融した成形材料140に及ぼされる。
【0028】
後退可能なピン132は、カテーテル10の表面に、突起部、空間、またはパンチマークを残す場合もある。しかしながら、成形材料140は、これらの突起部、空間、またはパンチマークを除去する二次過程を受け得る。例えば、製造者は、成形材料140から第1および第2のコア112、114を除去する前であるが、型100または200から成形材料140を除去した後に、カテーテル10の表面に近接した突起部を削除し、かつ熱収縮管類(図示せず)を成形材料140周囲に配置し得る。熱収縮管類に熱を適用し、突起部を流動させ、滑らかなカテーテル10表面を形成し、および/または後退可能なピン132によって作成された空間もしくはパンチマークを満たすことが可能である。あるいは、製造者は、型100または200から最終生成物を除去した後に、後退可能なピン132によって作成された穴部またはパンチマークを除去するように、カテーテル10を加熱したダイスに通し得る。1つの例示的な過程において、カテーテル10を、ノンスティック表面を含む加熱した開口部を通して引き出すことができ、カテーテル10が加熱した開口部の表面と接触する時に、カテーテル10の最外表面が加熱され、成形材料140を軟化し、最終的に流動させる。本過程の結果として、カテーテル10の外面が滑らかになり、空間またはパンチマークは、平坦化および/または被覆される。
【0029】
製造アセンブリ1000の使用において、製造者は、例えば、射出成形機の留め具を用いて、型100もしくは200の第1および第2の半分100a、100b、または200a、200bを一緒に固定する(図4Aおよび4Bを参照のこと)。型100もしくは200の第1および第2の型半分100a、100b、または200a、200bが分離されている間に、第1および第2のコア112、114を、それぞれ、型100または200の空洞134または234の中に配置することができる。加えて、後退可能なピンアセンブリ130は、後退可能なピン132が空洞134または234内に位置付けられるように、係合位置に移動する(図8を参照のこと)。後退可能なピンアセンブリ130が係合位置に位置付けられる時に、少なくとも1つの後退可能なピン132は、第1および第2のコア112、114と係合し、かつ第1および第2のコア112、114のたわみの程度を阻止するか、あるいは少なくとも最小限化する。次に、空洞の第2の末端部分に分割を作成するように、シート102は、型100または200のスロット136または236を通って、空洞134の第2の末端部分106または206の中に挿入される(図1、4A、4B、および5を参照のこと)。次いで、型100もしくは200の第1および第2の型半分100a、100b、または200a、200bは一緒にされ、そのような行為は、図5に見られるように、第1および第2のコア112、114を固定し、かつスライド302、304がシート102に張力を与えることを引き起こす。
【0030】
圧力によって作動される時に成形材料140が流動することができるように、十分な熱が成形材料140に適用されていると、加熱された成形材料140は、それぞれ、スプルー138または238を通して、型100または200の空洞134または234の中に注入される(図4Aおよび4Bを参照のこと)。溶融した成形材料140が空洞134または234の中に注入される時に、成形材料140は、細長い本体12に沿って空洞134または234を満たし、かつ空洞134または234の第2の末端部分106または206においてシート102で二分される。第1および第2のコア112、114のたわみを最小限化するように、射出成形過程中、高い溶融温度(例えば、脂肪族ポリウレタンにおいて華氏415度)および低い射出圧力(例えば、射出装置において500psiの射出圧力)を採用することができる。さらに、コアのたわみを最小限化するように、注入中、1つ以上の入り口を利用して、空洞の充填を最適化することができる。一実施形態において、成形材料140を空洞134の中に注入する前に、第1および第2のコア112、114のたわみを最小限化するように、コアアセンブリ116および/または型100もしくは200をオーブンの中で加熱する。任意の好適な過程または手段を用いて、コアアセンブリ116および型100または200を加熱し得ることが想定される。
【0031】
次に、成形材料140が、空洞134または234を開放することができ、かつカテーテル10を空洞134または234から取り出すか、またはさもなければ除去することができる温度に達するまで、溶融した成形材料140は、空洞134または234の中に留まることができる。好適な温度は、材料の溶融温度(Tm)未満である。空洞134または234は、概して、冷却を早めるために、液体媒体で内部冷却される。その後、製造者は、空洞134から第1および第2のコア112、114を除去し、最終生成物、すなわち、カテーテル10を解放するために、型100もしくは200の第1および第2の半分100a、100b、または200a、200bを留め具から外す(図4Aおよび4Bを参照のこと)。任意で、カテーテル10からの除去を容易にするように、離型剤(例えば、シリコーン)を、第1および第2のコア112、114に塗布することができる。さらに、第1および第2のコア112、114を潤滑化し、かつ型100または200の空洞134または234からの最終生成物の除去を助けるために、離型剤を、シート102および/または空洞134もしくは234に塗布することができる。さらに、成形材料140からの第1および第2のコア112、114の分離を助けるために、気体または液体等の媒体が、第1および第2のコア112、114の孔120、122および細孔124の中に入ることを強いられ得る(図5を参照のこと)。
【0032】
成形材料の粘度を低減するために、粘度調整剤を成形材料に付加し得ることが企図され、ゆえに、成形材料の処理を助ける。ある特定の実施形態において、製造者は、粘度を低減するために、溶媒も採用するか、あるいは溶媒を単独で採用し得る。例えば、粘性の高い成形スラリーを、ポリウレタンとメチルエチルケトンを混合することによって形成し得、これを、射出成形中に、第1および第2のコア112、114のたわみを最小限化し、かつ熱の使用を最小限化するために、型100または200の中に注入することができる。このような実施例において、成形材料の流体流動を達成するのに、熱を必要としない場合もある。さらに、スラリーを採用する適用において、後退可能なピンアセンブリ130を必要としない場合もあり、スラリーの流体流動をもたらすのに、溶融した成形材料130と比較して、より小さい力しか必要としない場合もある。
【0033】
本開示の具体的な特徴がいくつかの図面に示され、他の図面には示されないが、これは、利便性のためだけであり、本開示に従って、各々の特徴を他の特徴のうちのいずれかまたは全てと合わせてもよい。
【0034】
本開示の締付けアセンブリの実施形態に対して種々の修正が行われてもよいことが理解される。したがって、上の説明を、制限的であると解釈すべきでなく、単に実施形態の例示として解釈すべきである。当業者は、本開示の範囲および精神の範囲内で他の修正を想定する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離先端構成を有するカテーテルを製造する方法であって、
型の空洞の中に第1のコアおよび第2のコアを位置付けるステップであって、該空洞は、実質的に細長い形状を有し、第1の末端部分と、第2の末端部分とを含み、該第1のコアおよび該第2のコアは、実質的に互に平行に配向される、ステップと、
該空洞の第1の末端部分を横切って成形材料よりも高い溶融温度を有する材料のシートを配置するステップと、
該成形材料を該型の該空洞の中に注入するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記空洞の第1の末端部分を横切ってシートを配置するステップは、前記シートを前記第1のコアと前記第2のコアとの間に位置付けるステップと、該シートを緊張するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のコアおよび前記第2のコアは、互に接続されており、前記型の空洞の中に第1のコアおよび第2のコアを位置付けるステップは、前記型の空洞の中に該第1のコアおよび該第2のコアを同時に位置付けるステップをさらに含む、請求項1〜請求項2のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のコアおよび前記第2のコアの各々は、縦孔および1つ以上の細孔を規定し、前記方法は、前記成形材料からの該第1のコアおよび該第2のコアの分離を促進するために、該縦孔および該1つ以上の細孔を通して流体を注入するステップをさらに含む、請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の細孔の中への成形材料の流動を制限するために、前記成形材料を注入するステップの前に、該細孔を被覆膜で被覆するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記成形材料からの前記第1のコアおよび前記第2のコアの除去を容易にするために、離型剤を該第1のコアおよび該第2のコアに塗布するステップをさらに含む、請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記成形材料を型の中に注入するステップの前に、前記第1のコアおよび前記第2のコアのうちの少なくとも1つのたわみを最小限化するために、該第1のコアおよび該第2のコアのうちの少なくとも1つに張力を与えるステップをさらに含む、請求項1〜請求項6のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記成形材料を型の中に注入するステップの前に、前記第1のコアおよび前記第2のコアのうちの少なくとも1つを加熱するステップをさらに含む、請求項1〜請求項7のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記成形材料を型の中に注入するステップの前に、前記第1のコアおよび前記第2のコアのたわみを最小限化するために、該第1のコアおよび該第2のコアを1つ以上の後退可能なピンで保持するステップをさらに含み、該保持するステップは、後退位置と、該第1のコアまたは該第2のコアの外面と係合された係合位置との間で、前記型の空洞に対して該1つ以上の後退可能なピンを移動させるステップを含む、請求項1〜請求項8のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上の後退可能なピンのうちの少なくとも2つは、互に整列されない、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記成形材料の粘度を溶媒で低減するステップをさらに含む、請求項1〜請求項10のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記成形材料は、ポリウレタンおよび粘性ポリウレタンスラリーから成る群より選択される、請求項1〜請求項11のうちのいずれか一項に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2012−531949(P2012−531949A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517841(P2012−517841)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/040295
【国際公開番号】WO2011/002734
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】