説明

分離法及びそれに用いられる色素

本発明は、二次元電気泳動にかけられるタンパク質を前標識するのに特によく適したローダミン化合物を記載する。正味電荷が中性であるか又は電荷がない色素の異性体の精製と合成は、等電点電気泳動分離による妨害を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2002年5月6日出願の米国仮特許出願第60/380,085号の優先権を主張するものであり、この明細書の記載は本願明細書に含まれるものとする。
発明の分野
本発明は、一般的には、分離科学、特に電気泳動又は膜分離の前にタンパク質又はタンパク質混合物を前標識するための化合物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
複合タンパク質の混合物の分離には、一般に二次元電気泳動が用いられている。2つの別個の特徴に基づく特定のタンパク質混合物の分解能により、かなりの可撓性とタンパク質混合物から個々のタンパク質成分を効率よく分離する能力が得られる。従来の電気泳動分離の特徴は、電荷に基づく分離に続いて分子量に基づく分離や第一ゲル濃度の分離に続いて第二ゲル濃度の分離を含んでいる。更に、pH、孔サイズ、タンパク質可溶化剤の濃度又は緩衝液のような観点について分離方向が変化する勾配をもつ電気泳動ゲルが通常作られている。分離を行うのに利用できる広範囲の変数においては、細胞タンパク質、細菌タンパク質、リボソームタンパク質、リボ核酸タンパク質とリボソームタンパク質の混合物、血清タンパク質を含む多くのタイプの生物学的に関連した混合物が通常分離されている。
対象分子に光吸収や蛍光を与えるために、タンパク質や核酸のような生物分子の色素分子への結合が定期的になされている。色素結合は可視化や蛍光画像化に役立つ。二次元電気泳動に作用的な蛍光色素は、対象分子に制御された内容で結合する性質をもち、既知の電荷をもち、明るく蛍光を発し、異なるスポットパターンを得なければならない。膜分離にも同様の性質が必要とされる。
【0003】
アミン反応性タンパク質標識化に共通のタンパク質結合色素は、スルホローダミン101、スルホローダミンB型色素として既知のローダミンのスルホニルハライド誘導体である。従来のスルホローダミン色素は、一般的には、量子収量が許容でき且つ良好なスポットパターンを形成すると考えられるが、従来のスルホローダミン色素の他の特徴が2つの二次元電気泳動においてこれらの色素の有効性を制限した。スルホローダミン101の酸クロリドは、非常に反応性であるスルホニルハライド基をもつので、タンパク質結合の前に容易に加水分解した。更に、スルホニル基の反応性は、標識したタンパク質の中の標的アミン基だけでなく、競合的反応経路によってゲル媒体や緩衝系に見られるもののようなオブザーバ化学種が偶然に標識され、よって電気泳動スポットを拡散させる際に蛍光バックグラウンドが増大する。従来のスルホローダミン色素のスルホニルハライド基の高反応性は、標識化プロセスの間、速度支配が悪いので、混合速度、温度、スペクテータ化学種の同一性等の変数が標識化プロセスに影響することを意味する。
【0004】
二次元電気泳動におけるスルホローダミン色素の使用は、タンパク質混合物の中の複合タンパク質の固有の電荷に基づき分離を妨害する実効電荷を生成する色素の電荷特性によって制限されてきた。更に、スルホローダミン101の市販の供給源は、典型的には、スルホニルクロリドとスルホネートとの間に2位と4位の異性体の混合物を含有している。アルキルスペーサをスルホニルクロリドに付加すると、ベースのスルホローダミン101より安定で蛍光性の色素を生じることがわかった。米国特許第5,798,276号には、そのリンカーの使用が詳述されている。しかしながら、優れた感受性、異性体純度、等電点電気泳動の過程で過剰の色素を排除してタンパク質ゲル二次元電気泳動によってタンパク質画像化を更に高める能力をもつ色素がなお求められている。
【発明の開示】
【0005】
発明の概要
二次元電気泳動又は膜分離のような分離は、色素の電荷が中性であるか又は電荷がない少なくとも1種のタンパク質を含有する混合物を前標識することを含む方法により行われる。タンパク質のリンカー基を色素にカップリングすることによりタンパク質を前標識して前標識したタンパク質を形成する。前標識したタンパク質を二次元電気泳動条件下で混合物から分離する。この方法に活性な色素は下記化合物である。
【0006】
【化1】

【0007】
[式中、Yはスルホニルハライド、SO2-、又は存在しないであり; ZはNR3-又は存在しないであり; R1は各々独立して水素、C1-C30アルキル基、スルホネート、ヒドロキシル、スルフヒドリル、置換アミン及び第四級アミンからなる群より選ばれた置換基を有するC0-C4アルキル基であり、いずれか2つの隣接したR1又はR1とR5、R6、R7又はR8の基の1つが融合して環構造を形成し、その環構造は、任意により、その中にヘテロ原子を有してもよく、また、それから伸びているペンダント基を有してもよく、そのペンダント基は各々独立して水素、C1-C8アルキル、スルホネート、ヒドロキシル、スルフヒドリル、置換アミン及び第四級アミンからなる群より選ばれた置換基を有するC0-C4アルキル基より選ばれ; R3はH、単環式脂肪族炭化水素、炭水化物、C1-C6アルキル又はC1-C6アシルであり; R2は存在しない、単環式脂肪族炭化水素、炭水化物、アリール、(CH2)m(ここで、mは1〜12の整数である。)の形のアルキル鎖、R4((CH2)nO)oR4(ここで、nは1〜6の整数であり、oは1〜4の整数であり、R4は各々独立してC1-C6アルキル又は存在しないである。)の形のポリアルキレングリコール鎖、又はR2の不活性置換基含有誘導体(ここで、不活性置換基はC1-C6アルキル、カルボニル、アミン及びスルフヒドリルからなる群より選ばれ、又はすべて存在しない。)であり、AはNR3-又は存在しないであり、ここで、基Y、Z、R2、Aの少なくとも1つは存在し、R5、R6、R7、R8の各々は独立してH又はC1-C6アルキルであり、Lはタンパク質リンカー基である。]
本発明の化合物は、下記式を有する。






【0008】
【化2】

【0009】
[式中、YはSO2-であり; ZはNR3-であり; R1は各々独立して水素、C1-C30アルキル基、スルホネート、ヒドロキシル、スルフヒドリル、置換アミン及び第四級アミンからなる群より選ばれた置換基を有するC0-C4アルキル基であり、いずれか2つの隣接したR1又はR1とR5、R6、R7又はR8の基の1つが融合して環構造を形成し、その環構造は、任意により、その中にヘテロ原子を有してもよく、また、それから伸びているペンダント基を有してもよく、そのペンダント基は各々独立して水素、C1-C8アルキル、スルホネート、ヒドロキシル、スルフヒドリル、置換アミン及び第四級アミンからなる群より選ばれた置換基を有するC0-C4アルキル基より選ばれ; R3はH、単環式脂肪族炭化水素、炭水化物、C1-C6アルキル又はC1-C6アシルであり; R2は存在しない、単環式脂肪族炭化水素、炭水化物、アリール、R4((CH2)nO)oR4(ここで、nは1〜6の整数であり、oは1〜4の整数であり、R4は各々独立してC1-C6アルキル又は存在しないである。)の形のポリアルキレングリコール鎖、又はR2の不活性置換基含有誘導体(ここで、不活性置換基はC1-C6アルキル、カルボニル、アミン及びスルフヒドリルからなる群より選ばれる。)であり、AはNR3-、又は存在しないであり、ここで、基Y、Z、R2、Aの少なくとも1つは存在し、R5、R6、R7、R8の各々は独立してH又はC1-C6アルキルであり、Lはタンパク質リンカー基である。]
【0010】
これらの化合物はタンパク質を標識するのに用いられる。二次元電気泳動又は膜分離を行う前のタンパク質の前標識は、本発明の化合物の具体的な用途である。タンパク質を前標識するのに用いられる色素を異性体的に精製し、次にタンパク質をタンパク質又は膜二次元分離に供することにより従来技術より改善される。有効成分として本発明の化合物を含有するコマーシャルパッケージがタンパク質標識化色素としてのその使用説明書と共に開示される。
【0011】
好適実施態様の詳細な説明
本発明は、一般的には、あらゆる二次元分離に適用でき、等電点電気泳動細片又はゲルのような最初の電荷に基づく分離と、ポリアクリルアミドスラブゲルのような二次元目での他の分離を含む手順で最も用いられる。本発明は、水性溶媒系や非水性溶媒系での膜分離に等しく適用できる。一次元目の分離は、例えば、乾燥又は膨潤した未変性ゲル、担体の両性電解質を含有するゲル、清浄剤又は尿素のような他のタンパク質変性剤であることが理解される。二次元目は、例えば、膜又はゲルと、例えば、ポリアクリルアミドの固定濃度又は勾配濃度と変性剤を含むタンパク質の分離に特に配合された緩衝系であり得る。
タンパク質二次元電気泳動又は膜分離のような分離を行う本発明の方法は、タンパク質を中性電荷をもつ色素で前標識することを含み、例えば、同数の第四級アミン基と遊離スルホネート基、同数のあらゆる正と負に荷電した基、又は荷電した基を有しない色素を含有する。本明細書に用いられる“前標識”とは、電気泳動分離手順の開始前に色素と対象分子との間の共有結合の形成を意味する。
【0012】
本発明によれば、次に、前標識したタンパク質をタンパク質性混合物から二次元電気泳動条件下で分離する。前標識タンパク質の本発明の方法は、本発明の色素が中性の電荷であり且つ十分に定義されたタンパク質スポットパターンを生じるので電荷に基づく分離に特によく適する。或いは、一次元目分離は、二次元目分離の前の一次元目分離マトリックスの中であるが、前標識されていないタンパク質や続いて標識されるタンパク質を分離することにより完了することができる。
広くは、本発明の色素の特徴は、中性の正味電荷又は無電荷を含み、中性の正味電荷は、例えば、色素構造の中に、又は色素とタンパク質に対する結合基の中に同数の第四級アミンと遊離スルホネート部分をもつことにより生成される。好ましくは、色素は結合した多環芳香族環構造と関連がある顕著な蛍光を有する。更に、色素は切断できる部分を含有することができる。切断可能部分は、ゲルから回収した後にタンパク質又はぺプチドを色素から化学分離又は酵素分離することを可能にする。二次元電気泳動システムの一次元目が等電点電気泳動分離である場合、タンパク質を前標識していない色素は、電気泳動分離を行う前に又は一次元目又は二次元目に沿って掃討(mop-up)試薬によって部分的に、完全に又は大幅に分離マトリックスから排除される。
【0013】
本明細書に用いられる“掃討”試薬は、タンパク質に結合されない色素分子を吸収、分解、固定化、結合又は電荷のような物理的性質を変化させる物質を含むように定義される。
本明細書で作用的な掃討試薬としては、説明的にはトリス[2-カルボキシエチル]ホスフィン(TCEP)、固定化TCEP、Cys-Arg-Arg、Arg-Ser-Arg-Ser-Arg-Cys、トリス[N-エチルスルホン酸3-プロピオンアミド]ホスフィン、2-メルカプトエタンスルホン酸、2-メルカプトエチルアミン、2-ジメチルアミノエタンチオールが挙げられる。
本発明の色素は、下記一般式を有する。
【0014】
【化3】

【0015】
[式中、Yはスルホニルハライド、SO2-、又は存在しないであり; ZはNR3-又は存在しないであり; R1は各々独立して水素、C1-C30アルキル基、スルホネート、ヒドロキシル、スルフヒドリル、置換アミン及び第四級アミンからなる群より選ばれた置換基を有するC0-C4アルキル基であり、いずれか2つの隣接したR1が融合して環構造を形成し、その環構造は、任意により、その中にヘテロ原子を有してもよく、また、それから伸びているペンダント基を有してもよく、そのペンダント基は各々独立して水素、C1-C8アルキル、スルホネート、ヒドロキシル、スルフヒドリル、置換アミン及び第四級アミンからなる群より選ばれた置換基を有するC0-C4アルキル基より選ばれ; R3はH、単環式脂肪族炭化水素、炭水化物、C1-C6アルキル又はC1-C6アシルであり; R2は存在しない、単環式脂肪族炭化水素、炭水化物、アリール、(CH2)m(ここで、mは1〜12の整数である。)の形のアルキル鎖、R4((CH2)nO)oR4(ここで、nは1〜6の整数であり、oは1〜4の整数であり、R4は各々独立してC1-C6アルキル又は存在しないである。)の形のポリアルキレングリコール鎖、又はR2の不活性置換基含有誘導体(ここで、不活性置換基はC1-C6アルキル、カルボニル、アミン及びスルフヒドリルからなる群より選ばれ、又はすべて存在しない。)であり、AはNR3-又は存在しないであり、ここで、基Y、Z、R2、Aの少なくとも1つは存在し、ここで、基Z、R2、R3、Aの少なくとも1つは、任意によりR4((CH(OH)CH(OH))nR4(ここで、nは1〜6の整数であり、R4は各々独立してC1-C6アルキル又は存在しないである。)の形の隣接ジオール鎖又は多隣接ジオール鎖のような化学的又は酵素的に切断できる部分、又はプロテアーゼ認識部位を有するぺプチドを含有し、Lはタンパク質リンカー基である。]
或いは、本発明の反応性色素は下記一般式を有する。
【0016】
【化4】

【0017】
[式中、Yはスルホニルハライド、SO2-、又は存在しないであり; ZはNR3-又は存在しないであり; R1は各々独立して水素、C1-C30アルキル基、スルホネート、ヒドロキシル、スルフヒドリル、置換アミン及び第四級アミンからなる群より選ばれた置換基を有するC0-C4アルキル基であり、いずれか2つの隣接したR1又はR1とR5、R6、R7又はR8の基の1つとが融合して環構造を形成し、その環構造は、任意により、その中にヘテロ原子を有してもよく、また、それから伸びているペンダント基を有してもよく、そのペンダント基は各々独立して水素、C1-C8アルキル、スルホネート、ヒドロキシル、スルフヒドリル、置換アミン及び第四級アミンからなる群より選ばれた置換基を有するC0-C4アルキル基より選ばれ; R3はH、単環式脂肪族炭化水素、炭水化物、C1-C6アルキル又はC1-C6アシルであり; R2は存在しない、単環式脂肪族炭化水素、炭水化物、アリール、(CH2)m(ここで、mは1〜12の整数である。)の形のアルキル鎖、R4((CH2)nO)oR4(ここで、nは1〜6の整数であり、oは1〜4の整数であり、R4は各々独立してC1-C6アルキル又は存在しないである。)の形のポリアルキレングリコール鎖、又はR2の不活性置換基含有誘導体(ここで、不活性置換基はC1-C6アルキル、カルボニル、アミン及びスルフヒドリルからなる群より選ばれ、又はすべて存在しない。)であり、AはNR3-又は存在しないであり、ここで、基Y、Z、R2、Aの少なくとも1つは存在し、ここで、基Z、R2、R3、Aの少なくとも1つは、任意により、隣接したジオール又はR5、R6、R7、R8の各々が独立してH又はC1-C6アルキルであるプロテアーゼ認識部位のような化学的又は酵素的に切断できる部分を有し、Lはタンパク質リンカー基である。]
【0018】
式Iと式IIの双方の色素について、タンパク質リンカー基Lはぺプチド部分に共有結合することができる親電子部分であることが好ましい。本明細書に用いられるぺプチド部分は、ポリぺプチドから伸びている部分を意味するものであり、その部分は天然に存在するもの又は合成するものであり、合成ぺプチドはα又はβアミノ酸である。本発明のタンパク質リンカーLとしては、説明的には酸ハライド、C1-C12エステル、アジ化アシル、ハロアセトアミド、マレイミド、マレイミジルベンズアミド、マレイミジルC1-C5アルキルアミド、アジドベンズアミド、アジドペルフルオロベンズアミドが挙げられ、ここで、ハライド又はハロ部分はCl、Br又はIである。マレイミド又はハロアセトアミド、又は特にヨードアセトアミド又はブロモアセトアミドが好ましい化学リンカーLである。
【0019】
タンパク質二次元電気泳動を行う本発明の色素を調製する際に、化学リンカーLの末端鎖に遊離スルホネートで誘導体化されたフェニル環の中に異性化があることはしばしばである。これは、特に、Yが本発明の色素に対する前駆物質においてスルホン酸基又はスルホニルクロリド基を構成する場合である。本発明の好適実施態様においては、驚くべきことに、本発明の色素の式の4位から伸びている化学リンカーLと比べて、リンカーLが反応性色素の2位から伸びていると二次元電気泳動分離条件下で性質がかなり異なることがしばしばであることを発見した。結果として、タンパク質二次元電気泳動を行う本発明の方法が異性体的に精製した色素を用いることが好ましい。同様の異性体の差が上記2位と4位の置換色素について詳述した同様の方法で2位と3位に置換されたフェニル環にも言及されることが理解される。本発明の前標識タンパク質における種々の色素異性体の電気泳動性能の差は完全に理解されていないが、種々の異性体の相対的効力は制御された電気泳動実験において種々の精製異性体の同時試験によって慣用の手段で異性体分離後に容易に求められる。本発明の色素構造の多環式部分と関連がある異性体態様はタンパク質標識化時に電気泳動条件下で色素特性を変性させることができることは理解される。
本発明は、また、従来の色素と比べて、二次元電気泳動分離条件下で優れた性能を示す新規な色素構造を含んでいる。本発明の化合物は、下記一般式
【0020】
【化5】

【0021】
又は下記一般式







【0022】
【化6】

【0023】
[式中、YはSO2-であり; ZはNR3-であり; R1は各々独立して水素、C1-C30アルキル基、スルホネート、ヒドロキシル、スルフヒドリル、置換アミン及び第四級アミンからなる群より選ばれた置換基を有するC0-C4アルキル基であり、いずれか2つの隣接したR1が融合して環構造を形成し、その環構造は、任意により、その中にヘテロ原子を有してもよく、また、それから伸びているペンダント基が有してもよく、そのペンダント基は各々独立して水素、C1-C8アルキル、スルホネート、ヒドロキシル、スルフヒドリル、置換アミン及び第四級アミンからなる群より選ばれた置換基を有するC0-C4アルキル基より選ばれ; R3はH、単環式脂肪族炭化水素、炭水化物、C1-C6アルキル又はC1-C6アシルであり; R2は存在しない、単環式脂肪族炭化水素、炭水化物、アリール、R4((CH2)nO)oR4(ここで、nは1〜6の整数であり、oは1〜4の整数であり、R4は各々独立してC1-C6アルキル又は存在しないである。)の形のポリアルキレングリコール鎖、又はR2の不活性置換基含有誘導体(ここで、不活性置換基はC1-C6アルキル、カルボニル、アミン及びスルフヒドリルからなる群より選ばれる。)であり、AはNR3-又は存在しないであり、ここで、基Y、Z、R2、Aの少なくとも1つは存在し、R5、R6、R7、R8の各々は独立してH又はC1-C6アルキルであり、Lはタンパク質リンカー基である。]
を有する。
本発明の新規な化合物について、タンパク質リンカー基Lは上記の通りのものである。好ましくは、R2はR4(CH2CH2O)nR4である。R2の特に好ましい実施態様は、CH2(CH2CH2O)n(CH2)3である。
本発明から生じる利点を十分証明するために、次に実施例を示す。次の実施例は例としてのみ示され、本発明の範囲を制限するものでないことは理解すべきである。
【0024】
実施例 1 - スルホローダミン B (a) 2-、(b) 4-、及び(c) 2,4-ビススルホンアミド-dPEG3-ブロモアセトアミド色素の合成
図 1に示されるように、25 mlの丸底フラスコに磁気撹拌バーと1.0 g (1.8ミリモル)のスルホローダミンB(I)を添加する。この固形物に4.0 ml (42.9ミリモル)のオキシ塩化リンを添加する。このフラスコに乾燥チューブを付加し、その反応混合物を室温で18時間撹拌する。その反応混合物を50 gの氷に注意して注ぎ、15分間撹拌する。その水溶液をクロロホルム(3×50 ml)で抽出する。合わせた有機相を氷冷水(3×50 ml)で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、250 mlの丸底フラスコへろ過して(II)(a)2位がスルホニルクロリド-4位がスルホネート; (b)2位がスルホネート-4位がスルホニルクロリド; (c)2位も4位もスルホニルクロリドであるフェニル環のスルホニルクロリド置換基(II)の暗青色溶液を得る。
反応フラスコに圧力均等添加漏斗を取付け、クロロホルム溶液を0℃に冷却する。冷却した反応混合液に30 mlのクロロホルム中の500 mg (1.56ミリモル)のモノ-N-t-boc-アミド-dPEG3-アミン(V)と1.0 mlのトリエチルアミンの溶液を25分間かけて添加する。その反応混合液を室温に温め、更に18時間撹拌する。その反応混合液を水洗(3×75 ml)し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥する。暗赤色の溶液をろ過し、溶媒を減圧下で除去して(a)-(c)の各々のスルホニルクロリドから形成されたスルホンアミド-dPEG3-アミド-t-BOCs (III)の混合物を得る。
【0025】
スルホンアミド(III)を40 mlのアセトニトリルに溶解する。この暗赤色の混合液に水溶液中の40 mlの50%トリフルオロ酢酸を添加する。得られた溶液を室温で18時間撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、残留物を150 mlのクロロホルムに溶解する。その溶液を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過する。この溶液に7.0 ml (40ミリモル)のジイソプロピルエチルアミンを撹拌しながら添加する。5分後、3.0 ml (34ミリモル)のブロモアセチルブロミドを添加し、この溶液を遮光し、室温で2時間撹拌する。反応混合液を100 mlのクロロホルムで希釈し、水洗(3×100 ml)する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して(a)-(c)に対して各々のスルホンアミド-dPEG3-アミド-t-BOCsから形成されるスルホンアミド-dPEG3-アミノアセチルブロミド(IV)の粗混合物を得る。生成物をフラッシュクロマトグラフィーで精製してスルホンアミド(IV)を暗赤色固形物として得る。
【0026】
実施例 2 - スルホローダミン 101 (a) 2-、(b) 4-、及び(c) 2, 4-ビススルホノアミド-dPEG3-ブロモアセトアミドの合成
図 2に示されるように、25 mlの丸底フラスコに磁気撹拌バーと1.0 g (1.65ミリモル)のスルホローダミン101(VI)を添加する。この固形物に4.0 ml (42.9ミリモル)のオキシ塩化リンを添加する。このフラスコに乾燥チューブを付加し、その反応混合物を室温で18時間撹拌する。その反応混合物を50 gの氷に注意して注ぎ、15分間撹拌する。その水溶液をクロロホルム(3×50 ml)で抽出する。合わせた有機相を氷冷水(3×50 ml)で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、250 mlの丸底フラスコへろ過して(II)(a)2位がスルホニルクロリド-4位がスルホネート; (b)2位がスルホネート-4位がスルホニルクロリド; (c)2位も4位もスルホニルクロリドであるフェニル環のスルホニルクロリド置換基(VII)の暗青色溶液を得る。
反応フラスコに圧力均等添加漏斗を取付け、クロロホルム溶液を0℃に冷却する。冷却した反応混合液に30 mlのクロロホルム中の500 mg (1.56ミリモル)のモノ-N-t-boc-アミド-dPEG3-アミン(V)と1.0 mlのトリエチルアミンの溶液を25分間かけて添加する。その反応混合液を室温に温め、更に18時間撹拌する。その反応混合液を水洗(3×75 ml)し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥する。暗赤色の溶液をろ過し、溶媒を減圧下で除去して(a)-(c)の各々のスルホニルクロリドから形成されたスルホンアミド-dPEG3-アミド-t-BOCs (VIII)の混合物を得る。
【0027】
スルホンアミド(VIII)を40 mlのアセトニトリルに溶解する。この暗赤色の混合液に水溶液中の40 mlの50%トリフルオロ酢酸を添加する。得られた溶液を室温で18時間撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、残留物を150 mlのクロロホルムに溶解する。その溶液を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過する。この溶液に7.0 ml (40ミリモル)のジイソプロピルエチルアミンを撹拌しながら添加する。5分後、3.0 ml (34ミリモル)のブロモアセチルブロミドを添加し、この溶液を遮光し、室温で2時間撹拌する。反応混合液を100 mlのクロロホルムで希釈し、水洗(3×100 ml)する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して(a)-(c)に対して各々のスルホンアミド-dPEG3-アミド-t-BOCsから形成されるスルホンアミド-dPEG3-アミノアセチルブロミド(IX)の粗混合物を得る。生成物をフラッシュクロマトグラフィーで精製してスルホンアミド(IX)を暗赤色固形物として得る。
【0028】
実施例 3〜10 - 追加の本発明のスルホローダミン 101
モノ-N-t-boc-アミド-dPEG3アミンを等モル量のH2NR8N-t-BOCに置き換え、BrCH2C(O)BrをR9Xに置き換えて実施例 1の手順を繰り返す。結果を表1に纏める。
実施例 11〜18
モノ-N-t-boc-アミド-dPEG3-アミンを等モル量のH2NR8N-t-bocに置き換え、BrCH2C(O)BrをR9Xに置き換えて実施例 2の手順を繰り返す。結果を表1に纏める。













































【0029】
【表1】

【0030】
実施例 19 -スルホローダミン 101 (a) 2-、(b) 4-、及び(c) 2,4-ビススルホンアミド-dPEG3-ブロモアセトアミドの精製
スルホンアミド(IX a-c)を最少量のクロロホルムに溶解し、シリカゲルカラム(フラッシュグレード、〜20 wt. 当量)に装填する。基質をクロロホルム/メタノール勾配で溶離し、溶出液を画分で集める。生成物に対応する画分を合わせ、溶媒を減圧下で除去して暗赤色固形物を得る。
【0031】
実施例 20 -異性体的に精製したスルホローダミン B (a) 2-、及び(b) 4-スルホノアミド-dPEG3-ブロモアセトアミドによるタンパク質混合物の標識化
シグママークVII (SDS7)マーカータンパク質 (Sigma、ミズーリ州セントルイス)を次のように調製する。バイアル中のタンパク質に400μlの9.0 M尿素、50 mM酢酸ナトリウム緩衝液、pH 5.0、23℃、10 mM EDTA Na2を添加し、湿らす。10分後、40μlの20% (w/v) CHAPS, 8.25 M尿素を添加し、十分に混合してタンパク質を溶解する。10μlのこの標品を3つのバイアルの各々に移す。各バイアル1μlの0.7 Mビストリス pH 6.5緩衝液と1μlの1/10TCEP希釈液(Pierce、イリノイ州ロックフォード)を添加し、バイアルを撹拌して混合し、30℃で1時間インキュベートし、次に4℃で一晩放置する。化合物IVa、IVb、IVaとIVbの混合物(各々0.5 mg)を5.6μlのDMSOで各々再構成する。各タンパク質試料に1.5μlの各化合物を添加し、30℃で1時間インキュベートする。試料を100μlの試料充填緩衝液で希釈し、5μl又は1μl/ウェルを装填することにより12%ポリアクリルアミドゲルによる電気泳動にかけ、ゲルをProXPRESSプロテオミックイメージングシステム(PerkinElmer Life Sciences、マサチューセッツ州ボストン)で画像化する。図 3に示されるように、バンドの強度は、異性体IVaが異性体IVbよりはるかに強い蛍光を発することを示している。
【0032】
実施例 21 - スルホローダミン 101、2-スルホンアミド-1-n-ペンチル-3-ブロモアセトアミドによる酵母ライゼートの標識化と2D電気泳動
酵母ライゼートを次のように調製する。50 mgのパン酵母を50μlの 9 M尿素、50 mM酢酸ナトリウムpH 5.0、10 mM EDTA; 500μl 20% CHAPS、8.25 M尿素; 6.25μlのプロテアーゼインヒビター反応混液セットIII (Calbiochem、カリフォルニア州サンディエゴ); 50μl TCEP (Pierce Biotechnology Inc.、イリノイ州ロックフォード)の1/10希釈液と混合する。その混合液を1分間撹拌してから周囲温度で1時間撹拌する。次に、周囲温度で16,000 X gで5分間遠心する。上清を取り出し-80℃で貯蔵する。
酵母ライゼート(50μl、100μg)をボンドブリーカーTCEP (Pierce Biotechnology Inc.、イリノイ州ロックフォード)で処理し、5μlの1.0 M ビストリスHCl緩衝液、pH 6.5と10μl (1μモル/DMSO)の1H,5H,11H,15H-キサンテノ[2,3,4-ij:5,6,7-i'j']ジキノリジン-18-ニウム、9-[4-[[[5-[(ブロモアセチル)アミノ]ペンチル]アミノ]スルホニル]-2-スルホフェニル]-2,3,6,7,12,13,16,17-オクタヒドロ-、分子内塩(スルホローダミン101,2-スルホンアミド-1-n-ペンチル-3-ブロモアセトアミド)とインキュベートし、30℃で60分間インキュベートする。インキュベートした後、1μモルのメルカプトエタンスルホン酸を添加し、30℃で30分間インキュベートする。
【0033】
IPG細片再水和緩衝液(8 M尿素、2% CHAPS、0.01 M DTT、2% IPG緩衝液(Amersham Biosciences、ニュージャージー州ピスカタウェイ)、0.01%ブロモフェノールブルーをライゼートに添加し、24 cmのpH 4-7 IPG細片を混合液中周囲温度で一晩再水和する。次に、試料を103,000ボルト時間、6,000最大ボルトの等電点電気泳動にかける。
等電点電気泳動後、細片を2回15分間それぞれ6 M尿素、15%グリセロール、1X NuPAGE LDS試料緩衝液(Invitrogen、カリフォルニア州カールズバッド)、20 mMメルカプトエタンスルホン酸で平衡にする。二次元目ゲルを12% (w/v)アクリルアミドと0.32% (w/v)ビスアクリルアミドを用いて24 cm Ettan II低蛍光ガラスプレート(Amersham Biosciences、ニュージャージー州ピスカタウェイ)に注型する。二次元目ゲルの電極緩衝液はNuPAGEプレキャストミニゲル緩衝液(Invitrogen)である。
等電点電気泳動細片を二次元目ゲルの上に置き、2ワット/ゲル、最大600ボルトで15.5時間、続いて12.5ワット/ゲル、最大600ボルトで5.5時間二次元目の電気泳動にかける。次に、ゲルを図 4に示されるようにProXPRESSプロテオミックイメージングシステム(PerkinElmer Life and Analytical Sciences、マサチューセッツ州ボストン)で画像化する。
【0034】
本明細書に引用した特許や文献は、本発明が関係する当該技術のレベルを示している。これらの特許や文献は、それぞれが個別に且つ詳細に含まれるのと同様の程度で本明細書に含まれるものとする。
当業者は、本発明の真意から逸脱することなく本明細書に記載された本発明の修正や変更を容易に理解する。本明細書に記載された実施例、手順、個々の化合物は、現在の好適実施態様を示し、例示的であり、添えられた特許請求の範囲で定義された本発明の範囲を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明のスルホローダミンB色素の合成の反応スキームである。
【図2】本発明のスルホローダミン101色素の合成の反応スキームである。
【図3】異性体の蛍光強度の差を示す1D電気泳動ゲルである。
【図4】本発明による酵母ライゼートのタンパク質スポット像を示す2D電気泳動ゲルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質二次元電気泳動を行う方法であって、
少なくとも1種のタンパク質を含有する混合物を正味電荷が中性であるか又は電荷がない色素で前標識する工程であって、前記タンパク質が前記色素のタンパク質リンカー基にカップリングして前標識したタンパク質を形成することにより前標識される、前記工程; 及び
前記前標識したタンパク質を前記混合物から二次元電気泳動条件下で分離する工程
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記色素の電荷が中性である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記色素が同数の第四級アミン基と遊離スルホネート基を有する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記色素が
【化1】

[式中、Yはスルホニルハライド、SO2-、又は存在しないであり; ZはNR3-又は存在しないであり; R1は各々独立して水素、C1-C30アルキル基、スルホネート、ヒドロキシル、スルフヒドリル、置換アミン及び第四級アミンからなる群より選ばれた置換基を有するC0-C4アルキル基であり、いずれか2つの隣接したR1が融合して環構造を形成し、その環構造は、任意により、その中にヘテロ原子を有してもよく、また、それから伸びているペンダント基を有してもよく、そのペンダント基は各々独立して水素、C1-C8アルキル、スルホネート、ヒドロキシル、スルフヒドリル、置換アミン及び第四級アミンからなる群より選ばれた置換基を有するC0-C4アルキル基より選ばれ; R3はH、単環式脂肪族炭化水素、炭水化物、C1-C6アルキル又はC1-C6アシルであり; R2は存在しない、単環式脂肪族炭化水素、炭水化物、アリール、(CH2)m(ここで、mは1〜12の整数である。)の形のアルキル鎖、R4((CH2)nO)oR4(ここで、nは1〜6の整数であり、oは1〜4の整数であり、R4は各々独立してC1-C6アルキル又は存在しないである。)の形のポリアルキレングリコール鎖、又はR2の不活性置換基含有誘導体(ここで、不活性置換基はC1-C6アルキル、カルボニル、アミン及びスルフヒドリルからなる群より選ばれ、又は存在しないである。)であり、AはNR3-又は存在しないであり、ここで、基Y、Z、R2、Aの少なくとも1つは存在し、Lはタンパク質リンカー基である。]
である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記色素が
【化2】

[式中、Yはスルホニルハライド、SO2-、又は存在しないであり; ZはNR3-又は存在しないであり; R1は各々独立して水素、C1-C30アルキル基、スルホネート、ヒドロキシル、スルフヒドリル、置換アミン及び第四級アミンからなる群より選ばれた置換基を有するC0-C4アルキル基であり、いずれか2つの隣接したR1又はR1とR5、R6、R7又はR8の基の1つとが融合して環構造を形成し、その環構造は、任意により、その中にヘテロ原子を有してもよく、また、それから伸びているペンダント基を有してもよく、そのペンダント基は各々独立して水素、C1-C8アルキル、スルホネート、ヒドロキシル、スルフヒドリル、置換アミン及び第四級アミンからなる群より選ばれた置換基を有するC0-C4アルキル基より選ばれ; R3はH、単環式脂肪族炭化水素、炭水化物、C1-C6アルキル又はC1-C6アシルであり; R2は存在しない、単環式脂肪族炭化水素、炭水化物、アリール、(CH2)m(ここで、mは1〜12の整数である。)の形のアルキル鎖、R4((CH2)nO)oR4(ここで、nは1〜6の整数であり、oは1〜4の整数であり、R4は各々独立してC1-C6アルキル又は存在しないである。)の形のポリアルキレングリコール鎖、又はR2の不活性置換基含有誘導体(ここで、不活性置換基はC1-C6アルキル、カルボニル、アミン及びスルフヒドリルからなる群より選ばれ、又はすべて存在しない。)であり、AはNR3-又は存在しないであり、ここで、基Y、Z、R2、Aの少なくとも1つは存在し、R5、R6、R7、R8 の各々が独立してH又はC1-C6アルキルであり、Lはタンパク質リンカー基である。]
である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
分離が一次元目電気泳動の等電点電気泳動を含んでいる、請求項1記載の方法。
【請求項7】
一次元目電気泳動の等電点電気泳動の前に試薬を導入して前記前標識したタンパク質から独立している前記色素を排除する工程を更に含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記色素が異性体的に精製される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
Lが親電子部分である、請求項4記載の方法。
【請求項10】
Lがハロアセトアミドであり、AがNR3‐である、請求項4記載の方法。
【請求項11】
Lが酸ハライド、C1-C12エステル、アシルアジド、ピリジルジスルフィド、ハロアセトアミド、マレイミド、マレイミジルベンズアミド、マレイミジルC1-C5アルキルアミド、アジドベンズアミド、アジドペルフルオロベンズアミドであり、ハライド又はハロ部分がCl、Br又はIである、請求項4記載の方法。
【請求項12】
Lがハロアセトアミドである、請求項4記載の方法。
【請求項13】
SO3-がフェニルの2位に結合し、Y-Z-R2-A-Lがフェニルの4位に結合している、請求項4記載の方法。
【請求項14】
SO3-がフェニルの4位に結合し、Y-Z-R2-A-Lがフェニルの2位に結合している、請求項4記載の方法。
【請求項15】
Lが親電子部分である、請求項5記載の方法。
【請求項16】
Lがハロアセトアミドであり、AがNR3-である、請求項5記載の方法。
【請求項17】
Lが酸ハライド、C1-C12エステル、アシルアジド、ピリジルジスルフィド、ハロアセトアミド、マレイミド、マレイミジルベンズアミド、マレイミジルC1-C5アルキルアミド、アジドベンズアミド、アジドペルフルオロベンズアミドであり、ハライド又はハロ部分がCl、Br又はIである、請求項5記載の方法。
【請求項18】
Lがハロアセトアミドである、請求項5記載の方法。
【請求項19】
SO3-がフェニルの2位に結合し、Y-Z-R2-A-Lがフェニルの4位に結合している、請求項5記載の方法。
【請求項20】
SO3-がフェニルの4位に結合し、Y-Z-R2-A-Lがフェニルの2位に結合している、請求項5記載の方法。
【請求項21】
下記式を有する化合物。
【化3】

[式中、YはSO2-であり; ZはNR3-であり; R1は各々独立して水素、C1-C30アルキル基、スルホネート、ヒドロキシル、スルフヒドリル、置換アミン及び第四級アミンからなる群より選ばれた置換基を有するC0-C4アルキル基であり、いずれか2つの隣接したR1が融合して環構造を形成し、その環構造は、任意により、その中にヘテロ原子を有してもよく、また、それから伸びているペンダント基を有してもよく、そのペンダント基は各々独立して水素、C1-C8アルキル、スルホネート、ヒドロキシル、スルフヒドリル、置換アミン及び第四級アミンからなる群より選ばれた置換基を有するC0-C4アルキル基より選ばれ; R3はH、単環式脂肪族炭化水素、炭水化物、C1-C6アルキル又はC1-C6アシルであり; R2は存在しない、単環式脂肪族炭化水素、炭水化物、アリール、R4((CH2)nO)oR4(ここで、nは1〜6の整数であり、oは1〜4の整数であり、R4は各々独立してC1-C6アルキル又は存在しないである。)の形のポリアルキレングリコール鎖、又はR2の不活性置換基含有誘導体(ここで、不活性置換基はC1-C6アルキル、カルボニル、アミン及びスルフヒドリルからなる群より選ばれる。)であり、AはNR3-であり、Lはタンパク質リンカー基である。]
【請求項22】
R3がHである、請求項21記載の化合物。
【請求項23】
R2がis R4(CH2CH2O)nR4である、請求項21記載の化合物。
【請求項24】
R2がCH2(CH2CH2O)n(CH2)3である、請求項23記載の化合物。
【請求項25】
SO3-がフェニルの2位に結合し、Y-Z-R2-A-Lがフェニルの4位に結合している、請求項21記載の化合物。
【請求項26】
SO3-がフェニルの4位に結合し、Y-Z-R2-A-Lがフェニルの2位に結合している、請求項21記載の化合物。
【請求項27】
Lが親電子部分である、請求項21記載の化合物。
【請求項28】
Lが酸ハライド、C1-C12エステル、アシルアジド、ピリジルジスルフィド、ハロアセトアミド、マレイミド、マレイミジルベンズアミド、マレイミジルC1-C5アルキルアミド、アジドベンズアミド、アジドペルフルオロベンズアミドであり、ハライド又はハロ部分がCl、Br又はIである、請求項21記載の化合物。
【請求項29】
Lがハロアセトアミドである、請求項21記載の化合物。
【請求項30】
下記式を有する化合物。
【化4】

[式中、YはSO2-であり; ZはNR3-であり; R1は各々独立して水素、C1-C30アルキル基、スルホネート、ヒドロキシル、スルフヒドリル、置換アミン及び第四級アミンからなる群より選ばれた置換基を有するC0-C4アルキル基であり、いずれか2つの隣接したR1又はR1とR5、R6、R7又はR8の基の1つが融合して環構造を形成し、その環構造は、任意により、その中にヘテロ原子を有してもよく、また、それから伸びているペンダント基を有してもよく、そのペンダント基は各々独立して水素、C1-C8アルキル、スルホネート、ヒドロキシル、スルフヒドリル、置換アミン及び第四級アミンからなる群より選ばれた置換基を有するC0-C4アルキル基より選ばれ; R3はH、単環式脂肪族炭化水素、炭水化物、C1-C6アルキル又はC1-C6アシルであり; R2は存在しない、単環式脂肪族炭化水素、炭水化物、アリール、R4((CH2)nO)oR4(ここで、nは1〜6の整数であり、oは1〜4の整数であり、R4は各々独立してC1-C6アルキル又は存在しないである。)の形のポリアルキレングリコール鎖、又はR2の不活性置換基含有誘導体(ここで、不活性置換基はC1-C6アルキル、カルボニル、アミン及びスルフヒドリルからなる群より選ばれる。)であり、AはNR3-、又は存在しないであり、ここで、基Y、Z、R2、Aの少なくとも1つは存在し、R5、R6、R7、R8の各々は独立してH又はC1-C6アルキルであり、Lはタンパク質リンカー基である。]
【請求項31】
R3がHである、請求項30記載の化合物。
【請求項32】
R2がR4(CH2CH2O)nR4である、請求項30記載の化合物。
【請求項33】
R2がCH2(CH2CH2O)n(CH2)3である、請求項32記載の化合物。
【請求項34】
SO3-がフェニルの2位に結合し、Y-Z-R2-A-Lがフェニルの4位に結合している、請求項30記載の化合物。
【請求項35】
SO3-がフェニルの4位に結合し、Y-Z-R2-A-Lがフェニルの2位に結合している、請求項30記載の化合物。
【請求項36】
Lが親電子部分である、請求項30記載の化合物。
【請求項37】
Lが酸ハライド、C1-C12エステル、アシルアジド、ピリジルジスルフィド、ハロアセトアミド、マレイミド、マレイミジルベンズアミド、マレイミジルC1-C5アルキルアミド、アジドベンズアミド、アジドペルフルオロベンズアミドであり、ハライド又はハロ部分がCl、Br又はIである、請求項30記載の化合物。
【請求項38】
Lがハロアセトアミドである、請求項30記載の化合物。
【請求項39】
タンパク質二次元電気泳動を行う改良法であって、混合物がタンパク質を含有し、該タンパク質が一次元電気泳動法によって該混合物から部分的に分離され、ここで、改良が該タンパク質を異性体的に精製した色素で前標識することにある、前記改良法。
【請求項40】
前記異性体的に精製した色素が、電荷が中性か又は電荷がない色素である、請求項39記載の改良法。
【請求項41】
前記中性の色素が同数の第四級アミン基と遊離スルホネート基を含有している、請求項40記載の改良法。
【請求項42】
前記異性体的に精製した色素が請求項21記載の化合物である、請求項39記載の改良法。
【請求項43】
前記異性体的に精製した色素が請求項30記載の化合物である、請求項39記載の改良法。
【請求項44】
有効成分として請求項21記載の化合物をタンパク質標識化色素としてその使用説明書と共に含むコマーシャルパッケージ。
【請求項45】
有効成分として請求項30記載の化合物をタンパク質標識化色素としてその使用説明書と共に含むコマーシャルパッケージ。
【請求項46】
タンパク質を標識するための請求項21記載の化合物の使用。
【請求項47】
タンパク質を標識するための請求項30記載の化合物の使用。
【請求項48】
本質的に本明細書の実施例のいずれかに記載された請求項21記載の化合物。
【請求項49】
本質的に本明細書の実施例のいずれかに記載された請求項30記載の化合物。
【請求項50】
前記色素が切断可能部分を含有している、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
基Z、R1、R2、Aの少なくとも1つが切断可能部分を含有している、請求項21〜38のいずれか1項に記載の化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−505767(P2006−505767A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−501025(P2004−501025)
【出願日】平成15年5月6日(2003.5.6)
【国際出願番号】PCT/US2003/014476
【国際公開番号】WO2003/092848
【国際公開日】平成15年11月13日(2003.11.13)
【出願人】(504006010)パーキネルマー ラス インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】