説明

別個の入射エネルギ・スペクトルによる検出

【課題】エネルギ識別型診断イメージング・システムでのフォトン計数の制限の影響の低減を促進する。
【解決手段】高周波電磁エネルギ源(14)は、撮像対象(22)に向けて1又は複数の高周波電磁エネルギ・ビーム(16)を放出する。検出アセンブリ(18)は、同じ投影経路にあり複数の別個の入射エネルギ・スペクトルに対応する複数の投影データを測定する。検出アセンブリ(18)は、1又は複数の高周波電磁エネルギ源(14)によって放出される高周波電磁エネルギを受光する1若しくは複数のエネルギ識別型(ED)検出器(302)及び/又は1若しくは複数のエネルギ積算型(EI)検出器(304)を含んでいる。データ取得システム(DAS)(32)は、1若しくは複数のED検出器(302)及び/又は1若しくは複数のEI検出器(304)に接続されて動作する。コンピュータ(36)は、DAS(32)に接続されて動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には、診断撮像に関し、さらに具体的には、エネルギ識別型(ED)診断イメージング・システムにおいて欠落した投影データを復元する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
診断装置の例として、X線システム、磁気共鳴(MR)システム、超音波システム、計算機式断層写真法(CT)システム、陽電子放出断層写真法(PET)システム、及び他の形式のイメージング・システム等が挙げられる。医用撮像では、物質特有の情報を得るためには同じ減弱経路を異なる入射X線スペクトルによって少なくとも2回測定する必要があることは十分に理解されている。エネルギ識別型CTシステムについて別個の入射スペクトルを生成するためのアプローチの例としては、(i)同じ対象を異なる管キロボルト電位(kVp)において撮像するアプローチ、(ii)エネルギ感知型検出器を用いて、同じ入射エネルギ・スペクトルを幾つかの分割スペクトルに分割するアプローチ、及び(iii)各々の検出器層が異なるX線エネルギ・スペクトルを感知するような成層型検出器アセンブリを用いるアプローチ等が挙げられる。かかるCTシステムは、従来のハンスフィールド単位(HU)値と、物質組成についての何らかのレベルの情報とを算出する能力を有する。目的物質の組成についての情報は典型的には、「基底物質分解(basis material decomposition、BMD)」を介して得られる。例示的なBMDでは、測定された二重スペクトル投影データを、2種類の基底物質に対応する積算密度投影データに再写像する。
【0003】
典型的には、CTイメージング・システムでは、X線源が患者又は手荷物のような被検体又は物体に向けてファン形状(扇形)のX線を放出する。以下では、「被検体」及び「対象」との用語は、撮像が可能な任意の物体を含むものとする。ビームは、被検体によって減弱された後に、放射線検出器のアレイに入射する。検出器アレイで受光される減弱後のビーム放射線の強度は典型的には、被検体によるX線の減弱に依存する。検出器アレイの各々の検出器素子が、各々の検出器素子によって受光された減弱後のビームを示す別個の電気信号を発生する。電気信号はデータ処理システムへ伝送されて解析され、解析から最終的に画像が形成される。
【0004】
一般的には、X線源及び検出器アレイは、撮像平面内で被検体を中心としてガントリ開口の周りで回転する。X線源は典型的には、焦点においてX線ビームを放出するX線管を含んでいる。X線検出器は典型的には、検出器で受光されるX線ビームをコリメートするコリメータと、コリメータに隣接して設けられておりX線を光エネルギへ変換するシンチレータと、隣接するシンチレータから光エネルギを受け取ってここから電気信号を発生するフォトダイオードとを含んでいる。
【0005】
典型的には、シンチレータ・アレイの各々のシンチレータがX線を光エネルギへ変換する。各々のシンチレータが、隣接するフォトダイオードに向けて光エネルギを発射する。各々のフォトダイオードが光エネルギを検出して対応する電気信号を発生する。次いで、フォトダイオードの出力はデータ処理システムへ伝送されて画像再構成を施される。
【特許文献1】米国特許第6813333号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
CTシステムの具現化形態の一例として、エネルギ積算型(EI)CTシステムがある。EICTシステムでは、検出器が、X線ビームに曝射されたピクセルの面積の積分、曝射時間、及びピクセルに入射したエネルギ加重後スペクトルの積分に比例した電荷を得る。EI検出器はこれら三つを同時に積算して単一の電荷を与え、次いでこの電荷をCT画像へ変換する。
【0007】
CTシステムのもう一つの具現化形態の例として、エネルギ識別型(ED)CTシステムがある。例示的なフォトン計数及びED型検出器では、計数率が限定されている。限定された計数率未満であれば、ED検出器は、入射フォトンのエネルギすなわち「エネルギ・ビン」としばしば呼ばれる所与のエネルギ領域に対応する積算計数を記録することができる。ED検出器によって与えられる多数のエネルギ・ビンが存在することができ、これらのビンの各々が入射X線フォトンの一定の標的エネルギ領域をカバーしている。これらの検出器を医療応用又は他の高線束CT応用に用いるためには、CTシステムは、入来するX線フォトンの計数率がED検出器の限度を上回った場合に生ずるED検出器読み出し値の欠損を扱わなければならない。
【0008】
CTシステムのもう一つの具現化形態の一例は、各々が関連のX線管を備えた主検出器及び二次検出器を含んでいる。主検出器は視野(FOV)をカバーし、二次検出器は限定されたFOVを有する。このシステムは、上述の管を同じkVpで動作させつつ時間分解能を改善する。二次検出器の欠落データは、主検出器からのデータでパッチ修正される。物質分解のために管を異なるkVpで動作させる場合には、二次検出器での欠落データは、kVp不一致のため主検出器からのデータで直接パッチ修正されることはできない。二重kVp手法での実効FOVは、データ復元アルゴリズムが不十分なパッチを与えるので、二次検出器によって制限されている。
【0009】
従って、ED診断イメージング・システムでのフォトン計数の制限の影響の低減を促進することができると望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は一具現化形態では、CTシステムを包含する。このCTシステムは、1又は複数の高周波電磁エネルギ源、検出アセンブリ、データ取得システム(DAS)、及びコンピュータを含んでいる。1又は複数の高周波電磁エネルギ源は、撮像対象に向けて1又は複数の高周波電磁エネルギ・ビームを放出する。検出アセンブリは、同じ投影経路にあり複数の別個の入射エネルギ・スペクトルに対応する複数の投影データを測定することが可能である。検出アセンブリは、1又は複数の高周波電磁エネルギ源によって放出される高周波電磁エネルギを受光する1若しくは複数のエネルギ識別型(ED)検出器及び/又は1若しくは複数のエネルギ積算型(EI)検出器を含んでいる。データ取得システム(DAS)は、1若しくは複数のED検出器及び/又は1若しくは複数のEI検出器に接続されて動作する。コンピュータは、DASに接続されて動作する。
【0011】
本発明のもう一つの具現化形態は、CTシステムを包含する。このCTシステムは、検出アセンブリ、データ取得システム(DAS)、及びコンピュータを含んでいる。検出アセンブリは、同じ投影経路にあり複数の別個の入射エネルギ・スペクトルに対応する複数の投影データを測定することが可能である。検出アセンブリは、1又は複数の高周波電磁エネルギ・ビームを撮像対象に向けて放出する1又は複数の高周波電磁エネルギ源によって放出される高周波電磁エネルギを受光する1若しくは複数のエネルギ識別型(ED)検出器及び/又は1若しくは複数のエネルギ積算型(EI)検出器を含んでいる。データ取得システム(DAS)は、1若しくは複数のED検出器及び/又は1若しくは複数のEI検出器に接続されて動作する。コンピュータは、DASに接続されて動作し、上述の複数の別個の入射エネルギ・スペクトルの一つの入射エネルギ・スペクトルにあり同じ投影経路にある上述の複数の投影データの欠落データをパッチ修正するようにプログラムされている。
【0012】
本発明のさらにもう一つの具現化形態は、CTシステムを包含する。このCTシステムは、検出アセンブリ、データ取得システム(DAS)、及びコンピュータを含んでいる。検出アセンブリは、同じ投影経路にあり複数の別個の入射エネルギ・スペクトルに対応する複数の投影データを測定することが可能である。検出アセンブリは、1又は複数の高周波電磁エネルギ・ビームを撮像対象に向けて放出する1又は複数の高周波電磁エネルギ源によって放出される高周波電磁エネルギを受光する1若しくは複数のエネルギ識別型(ED)検出器及び/又は1若しくは複数のエネルギ積算型(EI)検出器を含んでいる。データ取得システム(DAS)は、1若しくは複数のED検出器及び/又は1若しくは複数のEI検出器に接続されて動作する。コンピュータは、DASに接続されて動作し、異なるスペクトルにおいて取得された2以上の投影の間の相関関数を利用を介して同じ投影経路にある上述の複数の投影データの欠落データをパッチ修正するようにプログラムされている。
【0013】
本発明のその他様々な特徴、目的及び利点は、以下の詳細な説明及び図面から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図面は、本発明を実施するために現状で思量される好ましい一実施形態を示している。
【0015】
診断装置の例として、X線システム、磁気共鳴(MR)システム、超音波システム、計算機式断層写真法(CT)システム、陽電子放出断層写真法(PET)システム、及び他の形式のイメージング・システム等が挙げられる。X線源の応用例としては、イメージング、医療、保安、及び産業検査の各応用が挙げられる。具現化形態の一例の動作環境は、64スライス型のCTシステムを含んでいる。しかしながら、当業者は、具現化形態の例がシングル・スライス又は他のマルチ・スライス構成と共に用いるように応用可能であることを認められよう。さらに、具現化形態の一例は、X線の検出及び変換に利用可能である。しかしながら、当業者はさらに、具現化形態の一例が他の高周波電磁エネルギの検出及び変換にも利用可能であることを認められよう。具現化形態の一例は、「第三世代」CTスキャナ及び/又は他のCTシステムに利用可能である。
【0016】
図1〜図3には、計算機式断層写真法(CT)イメージング・システム10が、「第三世代」CTスキャナに典型的なガントリ12を含むものとして示されている。CTイメージング・システム10は一例では、検出器構成及び/又は検出アセンブリ18としてエネルギ識別型(ED)検出器302及びエネルギ積算型(EI)検出器304を含むハイブリッドCTイメージング・システムを含んでいる。ガントリ12はX線源14を有しており、X線源14は、X線ビーム16をガントリ12の対向する側に設けられている検出器アセンブリ18に向けて投射する。検出器アセンブリ18は複数の検出器20によって形成されており、検出器20は一括で、患者22を透過した投射X線を感知する。各々の検出器20が、入射するX線ビームの強度を表わし、従って患者22を透過して減弱したビームの強度を表わす電気信号を発生する。検出器20は一例では、例えばED検出器302及びEI検出器304のそれぞれのアレイとして構成されている。検出アセンブリ18についてのさらに他の例示的な記載は本書に掲げられる。X線投影データを取得するための1回の走査の間に、ガントリ12、及びガントリ12に装着されている構成部品が回転中心24の周りを回転する。
【0017】
ガントリ12の回転及びX線源14の動作は、CTシステム10の制御機構26によって制御される。制御機構26はX線制御器28とガントリ・モータ制御器30とを含んでおり、X線制御器28はX線源14に電力信号及びタイミング信号を供給し、ガントリ・モータ制御器30はガントリ12の回転速度及び位置を制御する。制御機構26内に設けられているデータ取得システム(DAS)32が検出器20からのアナログ・データをサンプリングして、後続の処理のためにこれらのデータをディジタル信号へ変換する。画像再構成器34が、サンプリングされてディジタル化されたX線データをDAS32から受け取って高速再構成を実行する。再構成された画像はコンピュータ36への入力として印加され、コンピュータ36は大容量記憶装置38に画像を記憶させる。
【0018】
コンピュータ36はまた、キーボードを有するコンソール40を介して操作者から指令及び走査用パラメータを受光する。付設されている陰極線管表示器42によって、操作者は再構成された画像及びコンピュータ36からのその他のデータを観測することができる。操作者が供給した指令及びパラメータはコンピュータ36によって用いられて、DAS32、X線制御器28及びガントリ・モータ制御器30に制御信号及び情報を供給する。加えて、コンピュータ36は、電動テーブル46を制御するテーブル・モータ制御器44を動作させて、患者22及びガントリ12を配置する。具体的には、テーブル46は患者22の各部分をガントリ開口48を通して移動させる。
【0019】
図3は、高周波電磁エネルギ・ビームを受光する検出アセンブリ18のED検出器302及びEI検出器304の部分切断模式図である。ED検出器302は一例では、X線ビーム16の受光についてEI検出器304の上流側に位置している。ED検出器302は、X線ビーム16の受光についてEI検出器304の上流側に位置している。例えば、ED検出器302の位置をEI検出器304の上流側にすると、ED検出器302が、X線ビーム16からの低エネルギ内容を含む非減弱内容を有することが可能になる。もう一つの例では、ED検出器302は、X線ビーム16の受光についてEI検出器304の下流側に位置する。ED検出器302及びEI検出器304は実質的に隣接しており、X線ビーム16の受光について同じ広がりを有している。ED検出器302及び/又はEI検出器304用の電子回路は、軸方向にも及び/又は半径方向にも装着され得る。
【0020】
図4を参照すると、例示的なプロット402が、高周波電磁エネルギ・ビームからED検出器302によって受光される高周波電磁エネルギ・スペクトル及びEI検出器304によって受光される高周波電磁エネルギ・スペクトルを示している。例示的なプロット402は、X線ビーム16からED検出器302によって受光されるX線スペクトル404及びX線ビーム16からEI検出器304によって受光されるX線スペクトル406を示している。スペクトル分布は一例では、X線源14のX線管に加えられる電圧電位、及びX線源14のX線管を駆動するのに印加される電流によって決定される。
【0021】
ED検出器302は一例では、X線ビーム16からED読み出し値を得る。EI検出器304は一例では、X線ビーム16からEI読み出し値を得る。具現化形態の一例は、ED読み出し値と同時に投影のEI読み出し値を得るか、又はED読み出し値が存在しない状態で投影のEI読み出し値を得る。EI304検出器からの読み出し値は一例では、ED検出器302が飽和した任意の個々のEDエネルギ・ビンにある対応する投影をパッチ修正するために用いられる。
【0022】
ED検出器302及びEI検出器304は、X線ビーム16の実質的に同時の測定を実行する。例示的な通常動作条件では、ED検出器302は、各々の入来するフォトンのエネルギを記録して、フォトンのエネルギが納まった適正なエネルギ・ビンの計数を増加させる。各々が限定されたエネルギ範囲をカバーする幾つかのエネルギ・ビンが存在し得る。ED検出器302の例示的な出力は、入射スペクトルの特定のエネルギ領域及び/又は標的エネルギ領域に対応する積算フォトン数を含んでいる。ED検出器302は、フォトン飽和のためX線ビーム16から可能な全てのデータを測定することができる訳ではない。EI検出器304は、ED検出器302を通過した後のX線ビーム16からEI検出器304について可能な全てのデータを測定する。
【0023】
X線ビーム16のスペクトルの低エネルギ部においてED検出器302が飽和すると、ED検出器302単独ではデータの一部が欠損する。EI検出器304はED検出器302を補って、ED検出器302によって失われたデータを実質的に及び/又は部分的に補償し、測定し、及び/又は復元する。EI検出器304の援護がなければ、ED検出器302は画像アーティファクトを生ずるデータを供給する。例えば、EI検出器304によるED検出器302に対する援護があると、フォトン束の管理における要請が軽減する。
【0024】
例示的なアプローチは、失われたデータを復元するものであり、失われたデータとしては、例えばCTシステム10としてのハイブリッドEDCTシステムにおけるED検出器302での計数データ飽和、又は二次検出器(図示されていない)での欠落した投影データ、又は他のCTシステムで一つの入射エネルギ・スペクトルについて部分的な投影しか測定されなかった場合等がある。この例示的なアプローチは、もう一つの入射エネルギ・スペクトルにおいて測定された対応する投影を変換することにより、欠落した投影データを算出するものである。この変換は、当業者には認められるように、相関関数によるものである。
【0025】
医用X線CTでは、生体の物質成分及び広く用いられている造影剤ヨードは、2種の物質の組み合わせによって表わされることができ、これら2種の物質を基底物質と呼ぶ。基底物質は一例では、X線ビーム16によってカバーされる実効エネルギ領域においてk−エッジ吸収を有しない任意の2種の物質を含む。水及び骨が一例では基底物質の役割を果たす。例示的なエネルギ識別型CTシステムは、同じ投影経路を少なくとも2種の別個の入射X線スペクトルで測定して、対応する投影データ(p1,p2)を与える。ここで、p1及びp2は一例では、ビーム内に対象が存在しているときといないときとの測定値の比を対数化した結果を含む。投影データ(p1,p2)は、当業者には認められるように、スペクトル補正を施されて投影データ(s1,s2)を得る。投影データs1及びs2は、異なる入射スペクトルに対応しているが同じ経路にある投影データを含んでいる。投影データs1及びs2は、水の厚みに対して線形化される。
【0026】
物質分解方法をデータ対(s1,s2)に適用して、新たなデータ対(L1,L2)を得ることができる。ここでL1及びL2は、元の投影s1又はs2と同じ投影経路に沿った基底物質の積算密度である。データ集合(s1,s2,L1,L2)の中で、2個のパラメータのみが独立である。従って、s1=F(s2,Lb)という特性を有するF()についての関数を必ず求めることができる。Lbは、データ対(L1,L2)における1種の基底物質の投影内容を含んでいる。例えば、Lbは骨に対応している。
【0027】
図6は、2種の異なる入射スペクトルにおいて測定された部分投影によって欠落した投影をパッチ修正するロジック例の図である。ステップ604は、投影データ相関関数を構築する。例えば、相関関数はs1〜s2の間で確立される。以下、s1/s2相関関数を求める例示的なアプローチについて、説明の目的で述べる。基底物質を水及び骨と選択することにより、水(Lwater)及び骨(Lb)の基底物質の様々な厚みを介した二重スペクトル投影s1及びs2が算出され(例えばシミュレーション)又は測定され(例えばシステム較正)、一定数のデータ集合(Lwater,Lb,s1,s2)を得る。ここで、s1はデータ対(s2,Lb)の関数として表現され得る。データ対(s2,Lb)を、多項式の項又は他の関数形態によってs1にフィッティングさせる。一例では、四次多項式を用いてよい。もう一つの例では、s1のデータ対(s2,Lb)に対する相関からルックアップ・テーブルを構築する。
【0028】
ステップ606は、標的物質の投影経路における分解内容の初期推定を行なう。物質は、分解に用いられる任意の物質及び/又は1種の特定の物質型を含み得る。例えば、物質は骨を含み得る。ステップ608は、データ相関関数を、スペクトル2において測定された投影s2からの対応するデータ及び標的物質分解内容と共に用いて、スペクトル1による失われた投影データを推定する。s1は、相関関数s1=F(s2,Lb)を用いて得ることができる。当業者には認められるように、Lb=0である場合には、s1及びs2は適正なスペクトル較正による補正済みの投影であるためs1=s2となる。スペクトル較正は一例では、s1及びs2が両方とも水の厚みに対して線形化されている場合には「水較正」と呼ぶことができる。Lbは、s2画像を標的物質について切り取って、切り取られた画像を順投影することにより推定することができる。例示的な切り取りでは、画像のピクセルで値が予め設定されている値よりも小さいものをゼロに設定する。新たな投影に適正なスケーリング・ファクタを適用して、初期推定された骨密度積分Lbを形成する。
【0029】
ステップ610は、基底物質分解(BMD)を実行する。例えば、BMDは、(s1,s2)と(p1,p2)との間に一対一写像が存在するとの事実から、例えば(s1,s2)又は(p1,p2)に基づいて構成され得る。例えば、BMDは、(s1,s2)を用いて標的物質の密度投影を得ることにより実行され得る。ステップ612は、標的物質分解画像を形成し、これらの画像は、二重スペクトル投影(s1,s2)に基づいてBMDが生成した投影から再構成される。この例示的なアプローチを「投影空間BMD」と呼ぶことができる。画像はまた、投影s1及びs2から再構成される2枚の画像に基づいて動作するBMDによって得ることもできる。このさらなる例示的なアプローチを「画像空間BMD」と呼ぶことができる。ステップ614は、標的物質画像を新たなLbに再投影する。ステップ616は一例では、ステップ608からステップ614までを数回繰り返す。例示的な研究によれば、調査したシステムの殆どで2回乃至3回の繰り返しで十分であることが判明した。
【0030】
具現化形態の一例では、エネルギ識別型計算機式断層写真法(EDCT)システムにおいて欠落した投影データを復元する。例示的なアルゴリズムは、欠落データを有する多様な二重X線スペクトル・システムに適用され得る。例示的なアプローチは、ED読み出し値と同時に投影のEI読み出し値を得るか、又はED読み出し値が存在しない状態で投影のEI読み出し値を得る。EI検出器からの読み出し値は、ED検出が飽和した任意の個々のEDエネルギ・ビンにある対応する投影をパッチ修正するために用いられ得る。
【0031】
具現化形態の一例は、同じ投影経路に対応しているが異なる入射エネルギ・スペクトルにおいて取得された二つの投影の一方の欠落データをパッチ修正する。例示的な従来の二重エネルギ撮像では、二重エネルギ撮像の利益を享受するためには、異なる入射X線スペクトルによる全ての投影対が同時に存在していなければならない。具現化形態の一例は、異なるスペクトルにおいて取得された二つの投影の間の相関関数、及び投影経路の大部分は両方のスペクトルからの有効な投影データを有するとの事実を利用して、二重エネルギ投影の一方の欠落データを実効的にパッチ修正して、欠落した投影データを伴うイメージング・システムでの物質分解を可能にする。
【0032】
例示的なアプローチは、物質組成を得るために多数のスペクトル投影が測定されるようなCTシステムの欠落データを復元する。例示的なED/EIシステムは、多重スペクトル投影を生成することができるが、欠落データを有する場合が間々ある。例示的なアプローチは、高周波電磁エネルギの多数のスペクトルにおいて測定された投影による高周波電磁エネルギ・システムでのデータ復元を提供する。
【0033】
図7を参照すると、小荷物/手荷物検査システム100が、小荷物又は手荷物を通過させることのできる開口704を内部に有する回転式ガントリ702を含んでいる。回転式ガントリ702は、X線及び/又は高周波電磁エネルギの発生源706と、シンチレータ・セルで構成されたシンチレータ・アレイを有する検出器アセンブリ708とを収容している。また、コンベヤ・システム710が設けられており、コンベヤ・システム710は、構造714によって支持されており走査のために開口704を通して小荷物又は手荷物716を自動的に且つ連続的に通過させるコンベヤ・ベルト712を含んでいる。物体716をコンベヤ・ベルト712によって開口704内に送り込み、次いで撮像データを取得し、コンベヤ・ベルト712によって開口704から小荷物716を除去することを、制御された連続的な態様で行なう。結果として、郵便物検査官、手荷物積み降ろし員及び他の保安人員が、小荷物716の内容物を爆発物、刃物、銃及び密輸品等について非侵襲的に検査することができる。
【0034】
具現化形態の一例は、撮像対象22に向けて1又は複数の高周波電磁エネルギ・ビーム16を放出する1又は複数の高周波電磁エネルギ源14を含んでいる。検出アセンブリ18が、同じ投影経路にあり複数の別個の入射エネルギ・スペクトルに対応する複数の投影データを測定することが可能である。検出アセンブリ18は、1又は複数の高周波電磁エネルギ源14によって放出される高周波電磁エネルギを受光する1若しくは複数のエネルギ識別型(ED)検出器302及び/又は1若しくは複数のエネルギ積算型(EI)検出器304を含んでいる。データ取得システム(DAS)32が、1若しくは複数のED検出器302及び/又は1若しくは複数のEI検出器304に接続されて動作する。コンピュータ36が、DAS32に接続されて動作する。
【0035】
同じ投影経路にある複数の投影データの中で、上述の複数の別個の入射エネルギ・スペクトルの特定の入射エネルギ・スペクトルに対応する投影データの少なくとも一つが、1又は複数のED検出器302の一つのED検出器302によって得られたか1又は複数のEI検出器304の一つのEI検出器304によって得られたかを問わず有効となる。1又は複数のED検出器302の一つのED検出器302及び1又は複数のEI検出器304の一つのEI検出器304は、実質的に隣接しており、1又は複数の高周波電磁エネルギ・ビーム16の1本の高周波電磁エネルギ・ビーム16の受光について同じ広がりを有する。1又は複数のED検出器302の一つのED検出器302及び1又は複数のEI検出器304の一つのEI検出器304は、1又は複数の高周波電磁エネルギ・ビーム16の1本の高周波電磁エネルギ・ビーム16の実質的に同時の測定を実行する。
【0036】
1又は複数のED検出器302の一つのED検出器302は、1又は複数のEI検出器304の一つのEI検出器304が高周波電磁エネルギ・ビーム16を受光する前に1又は複数の高周波電磁エネルギ・ビーム16の1本の高周波電磁エネルギ・ビーム16の低エネルギ部をフィルタリングする。コンピュータ36は、予め決められたエネルギ・ビンにある1若しくは複数のED検出器302の一つのED検出器302、又は1若しくは複数のEI検出器304の一つのEI検出器304によって受光される高周波電磁エネルギ・スペクトルからの対数型投影をスペクトル的に補正するようにプログラムされている。コンピュータ36は、1又は複数のED検出器302の一つのED検出器302によって受光される高周波電磁エネルギ・スペクトル及び1又は複数のEI検出器304の一つのEI検出器304によって受光される高周波電磁エネルギ・スペクトルからスペクトル補正を施した対数型投影を決定するようにプログラムされている。コンピュータ36は、二つの別個の入射スペクトルにあるスペクトル補正を施した対数型投影に基づいて撮像対象22について基底物質分解(BMD)を実行するようにプログラムされている。
【0037】
具現化形態の一例は、同じ投影経路にあり複数の別個の入射エネルギ・スペクトルに対応する複数の投影データを測定することが可能な検出アセンブリ18を含んでいる。検出アセンブリ18は、撮像対象22に向けて1又は複数の高周波電磁エネルギ・ビーム16を放出する1又は複数の高周波電磁エネルギ源14によって放出される高周波電磁エネルギを受光する1若しくは複数のエネルギ識別型(ED)検出器302及び/又は1若しくは複数のエネルギ積算型(EI)検出器304を含んでいる。データ取得システム(DAS)32が、1若しくは複数のED検出器302及び/又は1若しくは複数のEI検出器304に接続されて動作する。コンピュータ36が、DAS32に接続されて動作し、上述の複数の別個の入射エネルギ・スペクトルの一つの入射エネルギ・スペクトルにあり同じ投影経路にある複数の投影データの欠落データをパッチ修正するようにプログラムされている。コンピュータ36は、異なるスペクトルにおいて取得された2以上の投影の間の相関関数を利用を介して欠落データをパッチ修正するようにプログラムされている。
【0038】
コンピュータ36は、1又は複数のED検出器302の一つのED検出器302によって受光された高周波電磁エネルギ・スペクトル及び1又は複数EI検出器304の一つのEI検出器304によって受光された高周波電磁エネルギ・スペクトルからスペクトル補正を施した対数型投影を決定するようにプログラムされている。コンピュータ36は、同じ投影経路にあり異なる入射エネルギ・スペクトルによるスペクトル補正を施した対数型投影の間の投影データ相関関数を確立するようにプログラムされている。コンピュータ36は、対数型投影、及び特定の物質に対応するBMD密度投影を投影データ相関関数への入力として用いるようにプログラムされている。
【0039】
コンピュータ36は、一つの入射スペクトルにある投影、又は一つの入射エネルギ・スペクトルにある投影の大部分及び異なる入射エネルギ・スペクトルにある投影の小部分によって再構成された計算機式断層写真法画像を切り取って、切り取られた画像を得て、この切り取られた画像を順投影して特定の物質についての投影を形成することによりBMD密度投影を得るようにプログラムされている。
【0040】
コンピュータ36は、複数の別個の入射エネルギ・スペクトルの一つのエネルギ・スペクトルにあり同じ投影経路にある複数の投影データの一つの投影データ、及び特定の物質に対応するBMD密度投影を入力とした投影データ相関関数を用いて、複数の別個の入射エネルギ・スペクトルのもう一つのエネルギ・スペクトルにある欠落した投影データをデータ復元のために算出するようにプログラムされている。コンピュータ36は、欠落した投影データを同じ投影経路について投影空間における既存の投影データと滑らかに繋ぎ合わせるように欠落した投影データを補正するようにプログラムされている。
【0041】
コンピュータ36は、相関関数の利用を介して一つのエネルギ・スペクトルにある実質的に全ての欠落した投影データを得た後に、BMDアルゴリズムを二つの別個の入射エネルギ・スペクトルにあるデータ対に施して特定の物質密度に対応する初期投影集合を得るようにプログラムされている。コンピュータ36は、特定の物質密度に対応する初期投影集合を用いて対象22の画像を再構成するようにプログラムされている。コンピュータ36は、対象22の画像を順投影して特定の物質密度の新たな投影集合を形成するようにプログラムされている。コンピュータ36は、初期投影集合に代わる新たな投影集合の代用を介して欠落データを復元するようにプログラムされている。コンピュータ36は、初期投影集合及び新たな投影集合について値を得ることを少なくとも2回繰り返すようにプログラムされている。
【0042】
具現化形態の一例は、同じ投影経路にあり複数の別個の入射エネルギ・スペクトルに対応する複数の投影データを測定することが可能な検出アセンブリ18を含んでいる。検出アセンブリ18は、撮像対象22に向けて1又は複数の高周波電磁エネルギ・ビーム16を放出する1又は複数の高周波電磁エネルギ源14によって放出される高周波電磁エネルギを受光する1若しくは複数のエネルギ識別型(ED)検出器302及び/又は1若しくは複数のエネルギ積算型(EI)検出器304を含んでいる。データ取得システム(DAS)32が、1若しくは複数のED検出器302及び/又は1若しくは複数のEI検出器304に接続されて動作する。コンピュータ36が、DAS32に接続されて動作し、上述の複数の別個の入射エネルギ・スペクトルの一つの入射エネルギ・スペクトルにあり同じ投影経路にある複数の投影データの欠落データをパッチ修正するようにプログラムされている。コンピュータ36は、異なるスペクトルにおいて取得された2以上の投影の間の相関関数を利用を介して同じ投影経路にある複数の投影データの欠落データをパッチ修正するようにプログラムされている。
【0043】
システム10及び/又は100の具現化形態は一例では、電子的構成要素、ハードウェア構成要素、及び/又はコンピュータ・ソフトウェア構成要素の1又は複数のような複数の構成要素を含んでいる。多数のかかる構成要素をシステム10及び/又は100の具現化形態において結合し又は分割することができる。システム10及び/又は100の具現化形態の例示的な構成要素は、当業者には認められるように、多数のプログラミング言語の任意のもので書かれ又は具現化された一組の及び/又は一連のコンピュータ命令を用い及び/又は含んでいる。システム10及び/又は100の具現化形態は一例では、任意の(例えば水平、斜方又は垂直)配向を含んでおり、本書の記載及び図面は、説明の目的でシステム10及び/又は100の具現化形態の例示的な配向を示している。
【0044】
システム10及び/又はシステム100の具現化形態は一例では、物品を包含している。物品は、コンピュータ読み取り可能な信号を担持した1又は複数の媒体を含んでいる。物品は、望ましい作用を果たすための手段を1又は複数の媒体として含んでいる。
【0045】
システム10及び/又はシステム100の具現化形態は一例では、コンピュータ読み取り可能な信号を担持した1又は複数の媒体を用いている。コンピュータ読み取り可能な信号を担持した媒体は一例では、1又は複数の具現化形態の1又は複数の部分を実行するソフトウェア、ファームウェア及び/又はアセンブリ言語を記憶している。システム10及び/又はシステム100の具現化形態のためのコンピュータ読み取り可能な信号を担持した媒体の一例は、画像再構成器34の記録可能なデータ記憶媒体、及び/又はコンピュータ36の大容量記憶装置38を含んでいる。システム10及び/又はシステム100の具現化形態のためのコンピュータ読み取り可能な信号を担持した媒体は一例では、磁気的、電気的、光学的、生物学的、及び/又は原子的なデータ記憶媒体の1又は複数を含んでいる。例えば、コンピュータ読み取り可能な信号を担持した媒体の具現化形態は、フレキシブル・ディスク、磁気テープ、CD−ROM、DVD−ROM、ハード・ディスク・ドライブ、及び/又は電子メモリを含んでいる。もう一つの例では、コンピュータ読み取り可能な信号を担持した媒体の具現化形態は、システム10及び/又はシステム100の具現化形態に含まれるか又はかかる具現化形態に結合されたネットワークを介して伝送される変調された担体信号を含んでおり、かかるネットワークとしては、例えば電話網、閉域網(「LAN」)、広域網(「WAN」)、インターネット、及び/又は無線網の1又は複数がある。
【0046】
本書に記載したステップ又は動作は例である。これらのステップ又は動作に対し、本発明の真意から逸脱することなく変形を加えることができる。例えば、ステップを異なる順序で実行したり、ステップを追加、削除又は変更したりすることができる。
【0047】
本発明は好適実施形態に関して説明されており、明示的に記載したもの以外の均等構成、代替構成及び改変も可能であり、特許請求の範囲内に含まれることを認められたい。また、図面の符号に対応する特許請求の範囲中の符号は、単に本願発明の理解をより容易にするために用いられているものであり、本願発明の範囲を狭める意図で用いられたものではない。そして、本願の特許請求の範囲に記載した事項は、明細書に組み込まれ、明細書の記載事項の一部となる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】CTイメージング・システムの見取り図である。
【図2】図1に示すシステムのブロック模式図である。
【図3】図1のシステムにおいて高周波電磁エネルギ・ビームを受光するエネルギ識別型(ED)検出器及びエネルギ積算型(EI)検出器を検出器構成に含む例示的な検出器の部分切断模式図である。
【図4】図3のもののように高周波電磁エネルギ・ビームからED検出器によって受光される高周波電磁エネルギ・スペクトル及び同じくEI検出器によって受光される高周波電磁エネルギ・スペクトルの例示的なプロットである。
【図5】例示的な物質を通過する図4からのもののような高周波電磁エネルギ・スペクトルを示す図である。
【図6】2種の異なる入射スペクトルにおいて測定された部分投影によって欠落した投影をパッチ修正するロジック例の図である。
【図7】非侵襲型小荷物検査システムと共に用いられるCTシステムの見取り図である。
【符号の説明】
【0049】
10 計算機式断層写真法(CT)イメージング・システム
12 ガントリ
18 検出器構成及び/又は検出アセンブリ
14 X線源
16 X線ビーム
20 複数の検出器
22 患者
24 回転中心
26 制御機構
28 X線制御器
30 ガントリ・モータ制御器
32 データ取得システム(DAS)
34 画像再構成器
36 コンピュータ
38 大容量記憶装置
40 コンソールを介した操作者
42 陰極線管表示器
44 テーブル・モータ制御器
46 電動テーブル
48 ガントリ開口
302 エネルギ識別型(ED)検出器
304 エネルギ積算型(EI)検出器
402 例示的なプロット
404、406 X線スペクトル
604、606、608、610、612、614、616 ステップ
100 小荷物/手荷物検査システム
702 回転式ガントリ
704 開口
706 X線及び/又は高周波電磁エネルギの発生源
708 検出器アセンブリ
710 コンベヤ・システム
712 コンベヤ・ベルト
714 構造
716 小荷物又は手荷物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像対象(22)に向けて1又は複数の高周波電磁エネルギ・ビーム(16)を放出する1又は複数の高周波電磁エネルギ源(14)と、
同じ投影経路にあり複数の別個の入射エネルギ・スペクトルに対応する複数の投影データを測定することが可能な検出アセンブリ(18)であって、前記1又は複数の高周波電磁エネルギ源(14)により放出される高周波電磁エネルギを受光する1若しくは複数のエネルギ識別型(ED)検出器(302)及び/又は1若しくは複数のエネルギ積算型(EI)検出器(304)を含んでいる検出アセンブリ(18)と、
前記1若しくは複数のエネルギ識別型検出器(302)及び/又は前記1若しくは複数のエネルギ積算型検出器(304)に接続されて動作するデータ取得システム(DAS)(32)と、
前記データ取得システム(32)に接続されて動作するコンピュータ(36)と
を備えた計算機式断層写真法(CT)システム。
【請求項2】
前記同じ投影経路にある前記複数の投影データの中で、前記複数の別個の入射エネルギ・スペクトルの特定の入射エネルギ・スペクトルに対応する前記投影データの少なくとも一つは、前記1又は複数のエネルギ識別型検出器(302)の一つのエネルギ識別型検出器(302)により得られたか前記1又は複数エネルギ積算型検出器(304)の一つのエネルギ積算型検出器(304)により得られたかを問わず有効となる、請求項1に記載の計算機式断層写真法システム。
【請求項3】
前記1又は複数のエネルギ識別型検出器(302)の一つのエネルギ識別型検出器(302)及び前記1又は複数エネルギ積算型検出器(304)の一つのエネルギ積算型検出器(304)は、実質的に隣接しており、前記1又は複数の高周波電磁エネルギ・ビーム(16)の1本の高周波電磁エネルギ・ビーム(16)の受光について同じ広がりを有する、請求項1に記載の計算機式断層写真法システム。
【請求項4】
前記1又は複数のエネルギ識別型検出器(302)の一つのエネルギ識別型検出器(302)及び前記1又は複数エネルギ積算型検出器(304)の一つのエネルギ積算型検出器(304)は、前記1又は複数の高周波電磁エネルギ・ビーム(16)の1本の高周波電磁エネルギ・ビーム(16)の実質的に同時の測定を実行する、請求項1に記載の計算機式断層写真法システム。
【請求項5】
前記1又は複数のエネルギ識別型検出器(302)の一つのエネルギ識別型検出器(302)は、前記1又は複数エネルギ積算型検出器(304)の一つのエネルギ積算型検出器(304)が前記高周波電磁エネルギ・ビーム(16)を受光する前に前記1又は複数の高周波電磁エネルギ・ビーム(16)の1本の高周波電磁エネルギ・ビーム(16)の低エネルギ部をフィルタリングする、請求項1に記載の計算機式断層写真法システム。
【請求項6】
前記コンピュータ(36)は、予め決められたエネルギ・ビンにある前記1若しくは複数のエネルギ識別型検出器(302)の一つのエネルギ識別型検出器(302)、又は前記1若しくは複数エネルギ積算型検出器(304)の一つのエネルギ積算型検出器(304)により受光される高周波電磁エネルギ・スペクトルからの対数型投影をスペクトル的に補正するようにプログラムされている、請求項1に記載の計算機式断層写真法システム。
【請求項7】
前記コンピュータ(36)は、前記1又は複数のエネルギ識別型検出器(302)の一つのエネルギ識別型検出器(302)により受光される高周波電磁エネルギ・スペクトル及び前記1又は複数エネルギ積算型検出器(304)の一つのエネルギ積算型検出器(304)により受光される高周波電磁エネルギ・スペクトルからスペクトル補正を施した対数型投影を決定するようにプログラムされている、請求項1に記載の計算機式断層写真法システム。
【請求項8】
前記コンピュータ(36)は、二つの別個の入射スペクトルにある前記スペクトル補正を施した対数型投影に基づいて前記撮像対象(22)について基底物質分解(BMD)を実行するようにプログラムされている、請求項7に記載の計算機式断層写真法システム。
【請求項9】
前記コンピュータ(36)は、異なるスペクトルにおいて取得された2以上の投影の間の相関関数の利用を介して前記同じ投影経路にある前記複数の投影データの欠落データをパッチ修正するようにプログラムされている、請求項1に記載の計算機式断層写真法システム。
【請求項10】
前記コンピュータ(36)は、前記複数の別個の入射エネルギ・スペクトルの一つの入射エネルギ・スペクトルにあり前記同じ投影経路にある前記複数の投影データの欠落データをパッチ修正するようにプログラムされている、請求項1に記載の計算機式断層写真法システム。
【請求項11】
前記コンピュータ(36)は、前記1又は複数のエネルギ識別型検出器(302)の一つのエネルギ識別型検出器(302)により受光された高周波電磁エネルギ・スペクトル及び前記1又は複数エネルギ積算型検出器(304)の一つのエネルギ積算型検出器(304)により受光された高周波電磁エネルギ・スペクトルからスペクトル補正を施した対数型投影を決定するようにプログラムされており、
前記コンピュータ(36)は、前記同じ投影経路にあり異なる入射エネルギ・スペクトルによる前記スペクトル補正を施した対数型投影の間の投影データ相関関数を確立するようにプログラムされており、
前記コンピュータ(36)は、対数型投影、及び特定の物質に対応する基底物質分解密度投影を前記投影データ相関関数への入力として用いるようにプログラムされている、
請求項9に記載の計算機式断層写真法システム。
【請求項12】
前記コンピュータ(36)は、
一つの入射スペクトルにある投影、又は一つの入射エネルギ・スペクトルにある投影の大部分及び異なる入射エネルギ・スペクトルにある投影の小部分により、再構成された計算機式断層写真法画像を切り取って、切り取られた画像を得て、
該切り取られた画像を順投影して前記特定の物質についての投影を形成する
ことにより前記基底物質分解密度投影を得るようにプログラムされている、請求項11に記載の計算機式断層写真法システム。
【請求項13】
前記コンピュータ(36)は、前記複数の別個の入射エネルギ・スペクトルの一つのエネルギ・スペクトルにあり前記同じ投影経路にある前記複数の投影データの一つの投影データ、及び前記特定の物質に対応する前記基底物質分解密度投影を入力とした前記投影データ相関関数を用いて、前記複数の別個の入射エネルギ・スペクトルのもう一つのエネルギ・スペクトルにある欠落した投影データをデータ復元のために算出するようにプログラムされている、請求項11に記載の計算機式断層写真法システム。
【請求項14】
前記コンピュータ(36)は、前記欠落した投影データを前記同じ投影経路について投影空間における既存の投影データと滑らかに繋ぎ合わせるように前記欠落した投影データを補正するようにプログラムされている、請求項13に記載の計算機式断層写真法システム。
【請求項15】
前記コンピュータ(36)は、相関関数の利用を介して一つのエネルギ・スペクトルにある実質的に全ての欠落した投影データを得た後に、基底物質分解アルゴリズムを二つの別個の入射エネルギ・スペクトルにあるデータ対に施して特定の物質密度に対応する初期投影集合を得るようにプログラムされている、請求項9に記載の計算機式断層写真法システム。
【請求項16】
前記コンピュータ(36)は、前記特定の物質密度に対応する前記初期投影集合を用いて前記対象(22)の画像を再構成するようにプログラムされている、請求項15に記載の計算機式断層写真法システム。
【請求項17】
前記コンピュータ(36)は、前記対象(22)の前記画像を順投影して前記特定の物質密度の新たな投影集合を形成するようにプログラムされている、請求項16に記載の計算機式断層写真法システム。
【請求項18】
前記コンピュータ(36)は、前記初期投影集合に代わる前記新たな投影集合の代用を介して前記欠落データを復元するようにプログラムされている、請求項17に記載の計算機式断層写真法システム。
【請求項19】
前記コンピュータ(36)は、前記初期投影集合及び前記新たな投影集合について値を得ることを少なくとも2回繰り返すようにプログラムされている、請求項18に記載の計算機式断層写真法システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−104878(P2008−104878A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−274554(P2007−274554)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】