説明

利用権限管理システム、利用権限管理装置、及び画像処理装置

【課題】スキーマを変更することなく、複合機が有する新たな機能の利用をユーザに応じて許可又は禁止するシステムを構成することができる利用権限管理システムを提供する。
【解決手段】画像処理に関する複数の機能を有する複合機2と、複合機2の各機能の利用が許可又は禁止されたグループにユーザが所属することを示すグループ属性情報を含むユーザエントリを記憶する記録装置11を有する利用権限管理装置1とを備え、複合機2は、利用権限管理装置1から送信されたグループ属性情報を受信し、受信したグループ属性情報に基づいて、各機能の利用を許可するか否かを判定するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置が有する機能、例えばコピー機能、ファクシミリ機能などの利用権限を管理する利用権限管理システム、該利用権限管理システムを構成する利用権限管理装置、及び画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像処理装置、例えばコピー機能、ファクシミリ機能、及びスキャナ機能を有する複合機、コピー機、並びにファクシミリの各機能の利用を、ユーザに応じて禁止又は許可する利用権限管理システムが実現されている。
利用権限管理システムは、各画像処理装置、及びユーザの利用権限に関する情報を記憶している利用権限管理装置からなり、各画像処理装置は、ユーザに応じた各機能の利用権限の有無を利用権限管理装置に問い合わせることで、各機能の利用をユーザに許可するか否かを判定するように構成されている。
【0003】
利用権限管理装置は、ユーザ又は複合機などのオブジェクトに関する複数の属性情報を有するエントリを、所定の規則に従って階層的に分類して記憶したディレクトリサーバ、例えばLDAP(Lightweight Directory Access Protocol)サーバである。
ユーザに係るエントリは、ユーザID、パスワード、グループなどの属性情報を有しており、複合機に係るエントリは、該複合機が有する機能のユーザに対する利用権限を示す属性情報を有している。各エントリは、所定の属性型を有するオブジェクトクラスに分類されている。
【0004】
図8は、複合機に係るエントリが有する属性情報を示す図表である。
複合機に係るエントリは、図8の上図に示すように、コピー機能、ファクシミリ機能及びスキャナ機能の利用権限を示す属性情報を有している。該属性情報は、機能毎に、該機能の利用が禁止又は許可されている1又は複数のユーザを示す属性値である。
【0005】
そして、利用権限管理装置は、複合機の求めに応じて、ユーザ及び複合機の属性情報に基づいて、ユーザの認証及び利用権限の有無の判定を行い、認証結果、及び利用権限の有無を示すデータを送信するように構成されている。
【0006】
このように構成される利用権限管理装置においては、各画像処理装置、例えば複合機は、ユーザの認証、利用権限の有無を、利用権限管理装置に問い合わせることで、コピー機能、ファクシミリ機能、又はスキャナ機能をユーザに提供すべきか否かを判定し、利用が許可されている機能のみをユーザに提供することができる。
【特許文献1】特開2000−357064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の利用権限管理システムにおいては、システム設計時に想定されていなかった機能を有する複合機を導入する場合、利用権限管理装置が記憶するデータ構造を規定したスキーマを変更する必要があり、システム管理者に高度な技術が要求されるという問題があった。
具体的には、システム管理者は、図8の下図に示すように新たな機能、例えばカラーコピー機能の利用権限に関する属性が追加された属性型を有するオブジェクトクラス、前記複合機に係るエントリを作成する必要があり、更にスキーマと利用権限管理装置を利用している他の装置との関係を考慮しつつ、スキーマを再設計する必要がある。
【0008】
また、スキーマの変更により、利用権限管理装置を利用している他の装置の異常を招く虞があるという問題があった。
【0009】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、画像処理装置が有する機能の利用が許可又は禁止されたグループにユーザが所属することを示す情報を、ユーザに係るエントリが有する属性情報、つまり属性値として記憶する利用権限管理装置を備え、該属性情報に基づいて、利用権限の有無を判定するように構成することにより、利用権限管理装置のスキーマを変更することなく、システム設計時に想定されていなかった機能を有する画像処理装置を導入し、該画像処理装置の利用権限を管理することができる利用権限管理システム、該利用権限管理システムを構成する利用権限管理装置、及び画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明に係る利用権限管理システムは、画像処理に関する複数の機能を有する画像処理装置と、該画像処理装置のユーザに対する各機能の利用権限に関する情報を記憶している利用権限管理装置とを備え、該利用権限管理装置は、前記情報を前記画像処理装置へ送信するようにしてある利用権限管理システムにおいて、前記利用権限管理装置は、ユーザが前記画像処理装置の各機能の利用が許可又は禁止されたグループに所属していることを示すユーザの属性情報を記憶する記憶手段と、該記憶手段が記憶している属性情報を送信する送信手段とを備え、前記画像処理装置は、前記送信手段が送信した属性情報を受信する受信手段と、該受信手段が受信した属性情報に基づいて、各機能の利用を許可するか否かを判定する手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
第2発明に係る利用権限管理装置は、複数の機能を有する外部装置のユーザに対する各機能の利用権限に関する情報を記憶している利用権限管理装置において、ユーザが外部装置の各機能の利用が許可又は禁止されたグループに所属していることを示すユーザの属性情報を記憶する記憶手段と、該記憶手段が記憶している属性情報を前記外部装置へ送信する手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
第3発明に係る画像処理装置は、画像処理に関する複数の機能を有する画像処理装置において、各機能の利用が許可又は禁止されたグループにユーザが所属していることを示すユーザの属性情報を受信する受信手段と、該受信手段が受信した属性情報に基づいて、各機能の利用を許可するか否かを判定する手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
第1乃至第3発明にあっては、利用権限管理装置の記憶手段が、ユーザの属性情報を記憶している。ユーザの属性情報は、画像処理装置が有する機能の利用が許可又は禁止されているグループに前記ユーザが所属しているか否かを示しており、利用権限管理装置は、前記属性情報を画像処理装置へ送信するように構成されている。
画像処理装置は、利用権限管理装置から送信された属性情報を受信し、受信した属性情報に基づいて、前記機能の利用を許可するか否かを判定する。
このように構成される利用権限管理システムに、システム設計時に想定されていなかった新たな機能を有する画像処理装置を導入する場合、該機能の利用が許可又は禁止されているグループにユーザが属しているか否かを示す情報を、前記属性情報に追加、つまり属性情報の属性値を変更することにより、画像処理装置は、ユーザに応じて前記機能の利用を許可又は禁止することができる。つまり、利用権限管理装置のデータ構造を規定したスキーマを変更することなく、属性情報の値を変更するだけで、新たに導入される画像処理装置の利用権限を管理することができる。
【発明の効果】
【0014】
第1乃至第3発明によれば、利用権限管理装置のスキーマを変更することなく、システム設計時に想定されていなかった機能を有する画像処理装置を導入し、該画像処理装置の利用権限を管理、つまりユーザに応じて前記機能の利用を許可又は禁止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は、本発明の実施の形態に係る利用権限管理システムを示すブロック図である。
【0016】
図中1は、利用権限管理装置であり、利用権限管理装置1は、LAN6を介して互いに接続されている複合機2、ファクシミリ3、コピー機4、及びスキャナ5と共に利用権限管理システムを構成している。
【0017】
利用権限管理装置1は、複合機2、ファクシミリ3、コピー機4、又はスキャナ5を利用するユーザに関する情報を有するユーザエントリを記憶している記録装置11、及びCPUを有する制御部10を備えており、制御部10は、バス17を介して、記録装置11に記録されたユーザエントリの検索、読み出し、比較などを行うように構成されている。
【0018】
ユーザエントリは、各機器を利用するユーザのユーザ名を示すユーザ名属性情報、ユーザIDを示すID属性情報、該ユーザのパスワードを示すパスワード属性情報、各機器が有する機能の利用が許可又は禁止されたグループに前記ユーザが所属していることを示すグループ属性情報などを有している。
【0019】
図2は、記録装置11が記憶しているユーザのグループ属性情報を示す図表である。
「コピーグループ」、「ファクシミリグループ」、及び「スキャナグループ」は、夫々複合機2のコピー機能、ファクシミリ機能、及びスキャナ機能の利用が許可又は禁止されたグループを示す属性値であり、ユーザ1及びユーザ3のグループ属性情報は、「コピーグループ」、「ファクシミリグループ」、及び「スキャナグループ」の属性値を含む。ユーザ2のグループ属性情報は、「スキャナグループ」の属性値を含む。
【0020】
同様にして、記録装置11は、ファクシミリ3、スキャナ5、コピー機4、及びスキャナ5が有する機能の利用が許可又は禁止されたグループにユーザが所属していること示すグループ属性情報を記憶している。
【0021】
バス17には、各機器が有する機能の利用の許可又は禁止に関する処理を実行するためのプログラムを記憶しているROM12及びRAM13が接続されており、制御部10は、ROM12から前記プログラムをRAM13に読み出して実行することにより、ユーザの認証、グループ属性情報の送信などの処理を実行する。
【0022】
また、バス17には、LANインタフェース15が接続されており、制御部10は、LANインタフェース15を介して、外部の複合機2、ファクシミリ3、コピー機4、及びスキャナ5から送信される認証、及びグループ属性情報の要求を受信し、受信した要求に応じて、ユーザの認証を行い、認証の成否を示す認証結果及びグループ属性情報を要求元の各機器へ送信するように構成されている。
【0023】
また、利用権限管理装置1は、ユーザID、パスワード、グループ属性情報などを入力するための入力装置16、及び液晶ディスプレイ、CRTなどの表示装置14を備えている。
【0024】
図3は、複合機2の構成を示すブロック図である。
複合機2は、原稿を読み取り、原稿の画像データを取得する読取部22、取得した画像データを一時的に蓄積する画像メモリ25、及び画像メモリ25に蓄積された画像データに基づいて、画像を用紙に記録、つまり印刷するプリンタ部24、及びCPUを備える制御部20を備えており、制御部20は、バス33を介して画像データの取得及び記録を制御することで、コピー機能を実現するように構成されている。
【0025】
バス33には、ROM29及びRAM27が接続されている。ROM29は、フラッシュメモリからなり、複合機2の動作に必要な各種制御プログラムを格納している。制御部20は、ROM29に格納されている制御プログラムをRAM27に読み出して実行することにより、複合機2のコピー機能、ファクシミリ機能などの各種機能を実現する。
【0026】
読取部22は、原稿に光を照射する光源、原稿で反射された反射光を電気信号に変換するラインCCDなどの光学素子を備えており、ラインCCDが変換した電気信号に基づいて原稿の画像データを取得する。そして、読取部22は、取得した画像データを画像メモリ25に与える。
【0027】
プリンタ部24は、感光ドラム、定着器などを備える電子写真方式のプリンタ装置であって、印刷処理用のプログラムを格納した図示しないフラッシュROMを備えており、フラッシュROMに格納されたプログラムに従って、画像データに係る画像を用紙に印刷する。
【0028】
また、複合機2は、ファクシミリ通信により画像データを送受信するためのNCU(Network Control Unit)21及びモデム23、並びに送受信される画像データを所定の符号化方式、例えばMH,MR,MMRなどの符号化方式に従って符号化及び復号化する符号化・復号化部31を備えており、制御部20は、画像データの送受信、原稿の読み取り、画像の印刷を制御することで、ファクシミリ機能を実現する。
【0029】
モデム23は、バス33に接続されており、公衆電話回線網(PSTN:Public Switched Telephone Network)から入力されたアナログの画像データをデジタルの画像データに復調し、また制御部20の制御によってバス33を介して画像メモリ25から与えられた画像データをアナログの信号に変調する機能を備えている。
【0030】
NCU21は、公衆電話回線網との回線34の閉結及び開放の動作を行うハードウェアであり、制御部20の制御に応じてモデム23とPSTNとを接続する。
【0031】
符号化・復号化部31は、制御部20の制御に応じて、読取部22が読み取った画像データを符号化して、符号化した画像データをモデム23に与える。また、符号化・復号化部31は、ファクシミリ通信によって受信した画像データを復号化して、画像メモリ25に与える。
【0032】
更に複合機2は、LANインタフェース30を備えている。LANインタフェース30は、LAN6を介して、画像データ、ユーザの認証に関するデータなどを外部機器と送受信するためのインタフェースである。
【0033】
また、バス33には、複合機2が有する機能と該機能に対応するグループとの対応関係、及び該グループが、前記機能の利用を許可するグループ又は前記機能の利用を禁止するグループのいずれかであることを記憶した記憶部32を備えている。
例えば、複合機2のコピー機能には、「コピーグループ」で示されるグループが対応しており、該グループは、コピー機能が許可されたグループであることを記憶している。同様に、複合機2のファクシミリ機能及びスキャナ機能は、夫々「ファクシミリグループ」及び「スキャナグループ」で示されるグループが対応しており、各グループは、ファクシミリ機能及びスキャナ機能が許可されたグループであることを記憶している。
【0034】
更に、バス33には、複合機2を操作するための操作部28、及び表示部26が接続されている。
表示部26は、複合機2の動作状態、複合機2を操作するためのソフトキーを表示する液晶ディスプレイを備えている。
操作部28は、表示部26に対向配置された抵抗膜方式、又は静電容量方式のタッチパネルであり、表示部26に表示されたソフトキーの操作を受け付け、制御部20がタッチパネルの操作状態を検出することができるように構成されている。
また、操作部28は、押しボタン式のキー、例えば印刷部数の設定、ユーザID、パスワードを受け付けるためのテンキー、印刷部数などの各種設定を初期化するためのリセットキーなどを備えている。
【0035】
図4及び図5は、複合機2が有する機能の利用権限管理処理に係る制御部10,20の処理手順を示すフローチャートである。
電源が投入された場合、複合機2の制御部20は、ログイン画面、つまりユーザの認証を受け付けている旨を示す画像を表示部26に表示させ、(ステップS1)、ユーザID及びパスワードを受け付ける(ステップS2)。
【0036】
次いで、制御部20は、受け付けたユーザID及びパスワードの情報と、認証及びグループ属性情報を要求する旨の情報とを利用権限管理装置1へ送信する(ステップS3)。
【0037】
利用権限管理装置1の制御部10は、複合機2からの情報の送信を監視しており、利用権限管理装置1から送信されたユーザID及びパスワードの情報と、認証及びグループ属性情報を要求する旨の情報とを受信する(ステップS21)。
【0038】
そして、制御部10は、受信したユーザID及びパスワードの情報と、記録装置11に記録してあるユーザエントリ、特にユーザID属性情報及びパスワード属性情報とを比較することで、認証の成否を判定する(ステップS22)。
【0039】
次いで、制御部10は、受信したユーザIDのID属性情報を有するユーザエントリのグループ属性情報を検索して、読み出す(ステップS23)。
【0040】
そして、制御部10は、ステップS22の処理で得た認証結果の情報、及びステップS23で読み出したグループ属性情報を複合機2へ送信する(ステップS24)。
【0041】
複合機2の制御部20は、ステップS3の処理を終えた場合、利用権限管理装置1からの情報の送信を監視しており、利用権限管理装置1から送信された認証結果の情報及びグループ属性情報を受信する(ステップS4)。
【0042】
ステップS4の処理を終えた場合、制御部20は、受信した認証結果の情報に基づいて、ユーザの認証に成功したか否かを判定する(ステップS5)。認証に成功したと判定した場合(ステップS5:YES)、制御部20は、操作部28の操作状態を検出することで、操作部28が操作されたか否かを判定する(ステップS6)。認証に失敗したと判定した場合(ステップS5:NO)、制御部20は、処理をステップS1へ戻す。
【0043】
ステップS6で操作部28が操作されたと判定した場合(ステップS6:YES)、制御部20は、操作された機能に対応するグループが、該機能の利用が許可されたグループを示しているか否かを判定する(ステップS7)。ステップS7の判定は、記憶部32が記憶している情報に基づいて行われる。
【0044】
機能の利用が許可されたグループを示していると判定した場合(ステップS7:YES)、制御部20は、ステップS4で受信したグループ属性情報に基づいて、認証されたユーザが、機能の利用が許可されたグループに所属しているか否かを判定する(ステップS8)。
【0045】
ステップS7で、機能の利用が許可されたグループを示していないと判定した場合(ステップS7:NO)、つまり機能の利用が禁止されたグループを示していると判定した場合、制御部20は、ステップS4で受信したグループ属性情報に基づいて、認証されたユーザが、機能の利用が禁止されたグループに所属しているか否かを判定する(ステップS9)。
【0046】
ステップS9で操作された機能の利用が禁止されたグループに所属していないと判定した場合(ステップS9:NO)、又はステップS8で操作された機能の利用が許可されたグループに所属していると判定した場合(ステップS8:YES)、制御部20は、操作された機能に係る処理を実行する(ステップS10)。
【0047】
ステップS10の処理を終えた場合、操作された機能の利用が許可されたグループに所属していないと判定した場合(ステップS8:NO)、ステップS9で操作された機能の利用が禁止されたグループに所属していると判定した場合(ステップS9:YES)、又はステップS6で操作部28が操作されていないと判定した場合(ステップS6:NO)、制御部20は、操作部28の操作状態を検出することで、ログアウトを受け付けたか否かを判定する(ステップS11)。
【0048】
ログアウトを受け付けたと判定した場合(ステップS11:YES)、制御部20は、ログアウト処理を実行し、処理を終える。ログアウトを受け付けていないと判定した場合(ステップS11:NO)、制御部20は処理をステップS6へ戻す。
【0049】
以下、実施の形態に係る利用権限管理システムの動作について説明する。
実施の形態に係る複合機2を利用するユーザが、複合機2の操作部28を操作することでユーザID及びパスワードを入力した場合、複合機2は、ステップS3及びステップS4の処理によって、ユーザID及びパスワードを送信し、利用権限管理装置1から送信されたユーザの認証結果及びユーザのグループ属性情報を受信する。
そして、複合機2は、ステップS8又はステップS9の処理によって、ユーザが操作する機能に対応するグループに、ユーザが所属しているか否かを判定し、判定結果に応じて、コピー機能、ファクシミリ機能、又はスキャナ機能に係る処理を実行する。
つまり、制御部20は、各種機能の利用が許可されたグループにユーザが所属している場合、又は各機能の利用が禁止されたグループにユーザが所属していない場合、前記機能に係る処理を実行し、各種機能の利用が許可されたグループにユーザが所属していない場合、又は機能の利用が禁止されたグループに所属していると判定した場合、前記機能に係る処理を実行しない。
【0050】
従って、複合機2は、ユーザに応じて、コピー機能、ファクシミリ機能、又はスキャナ機能の利用を許可又は禁止することができる。
【0051】
次に、上述の利用権限管理システムに、カラーコピー機能を有する複合機2を導入する方法を説明する。
【0052】
図6は、新たな機能を有する複合機2の導入方法を示すフローチャートである。
【0053】
まず、新たに追加されるカラーコピー機能の利用が許可又は禁止されたユーザのグループを、利用権限管理装置1に作成させ(ステップS31)、作成されたグループの属性値を、カラーコピー機能の利用を許可又は禁止するユーザのグループ属性情報に追加することで、所定ユーザを前記グループに所属させる(ステップS32)。つまり、所定ユーザのグループ属性情報の属性値を変更する。
【0054】
そして、前記グループに所属するユーザがカラーコピー機能の利用が許可されたグループ又は利用が禁止されたグループのいずれであるかを、複合機2の記憶部32に記憶させる(ステップS33)。
【0055】
図7は、新たな複合機2を導入した後の利用権限管理装置1の記録装置11が記憶しているユーザのグループ属性情報を示す図表である。
図7に示すように、ユーザ3のグループ属性情報は、カラーコピー機能の利用が許可されたグループを示す属性値「カラーコピーグループ」を含む。
【0056】
図2及び図7に示すように、新たな機能を有する複合機2を導入する場合、利用権限管理装置1の記録装置11に記録されている情報のスキーマを変更することなく、既存のグループ属性情報に属性値「カラーコピーグループ」を追加するのみで、前記複合機2の利用権限を簡易に管理することができる。
従って、システム管理者に高度な技術が要求されることはない。
【0057】
また、利用権限管理装置1の記録装置11に記録されている情報のスキーマを変更しないため、利用権限管理装置1を利用する他の装置がスキーマの変更によって異常動作する虞はない。
【0058】
なお、LDAPサーバを備える利用権限管理装置を説明したが、ユーザのグループ属性情報を記憶し、該グループ属性情報を複合機、ファクシミリ、コピー機、又はスキャナ装置へ提供することができるように構成されていれば、他の構成、例えばRDBMS(Relational DataBase Manegement System)を備えるように構成しても良い。
【0059】
また、複合機のコピー機能、ファクシミリ機能、スキャナ機能、及びカラーコピー機能の利用権限を管理する利用権限管理システムを説明したが、他の外部装置が有する機能の利用権限を管理するように構成しても良い。
【0060】
更に、複合機が有する機能の利用が許可又は禁止されたグループにユーザが所属していることを示す情報を、ユーザエントリのグループ属性情報に記録及び追加するように構成してあるが、ユーザエントリの他の既存の属性情報に、前記情報を記録及び追加するように構成しても良い。
【0061】
更にまた、ステップS7乃至ステップS9で、複合機が有する機能の利用が許可されたグループに所属するか否か、及び利用が禁止されたグループに所属するか否かを判定するように構成されているが、いずれか一方を判定するように構成しても良い。
つまり、ステップS6の処理で操作部が操作されたと判定した場合、ステップS8又はステップS9の処理のいずれか一つを実行するように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施の形態に係る利用権限管理システムを示すブロック図である。
【図2】記録装置が記憶しているユーザのグループ属性情報を示す図表である。
【図3】複合機の構成を示すブロック図である。
【図4】複合機が有する機能の利用権限管理処理に係る制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】複合機が有する機能の利用権限管理処理に係る制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】新たな機能を有する複合機の導入方法を示すフローチャートである。
【図7】新たな複合機を導入した後の利用権限管理装置の記録装置が記憶しているユーザのグループ属性情報を示す図表である。
【図8】複合機に係るエントリが有する属性情報を示す図表である。
【符号の説明】
【0063】
1 利用権限管理装置
2 複合機
3 ファクシミリ
4 コピー機
5 スキャナ
6 LAN
10 制御部
11 記録装置
12 ROM
13 RAM
14 表示装置
15 LANインタフェース
16 入力装置
17 バス
20 制御部
21 NCU
22 読取部
23 モデム
24 プリンタ部
25 画像メモリ
26 表示部
27 RAM
28 操作部
29 ROM
30 LANインタフェース
31 符号化・復号化部
32 記憶部
33 バス
34 回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理に関する複数の機能を有する画像処理装置と、該画像処理装置のユーザに対する各機能の利用権限に関する情報を記憶している利用権限管理装置とを備え、該利用権限管理装置は、前記情報を前記画像処理装置へ送信するようにしてある利用権限管理システムにおいて、
前記利用権限管理装置は、
ユーザが前記画像処理装置の各機能の利用が許可又は禁止されたグループに所属していることを示すユーザの属性情報を記憶する記憶手段と、
該記憶手段が記憶している属性情報を送信する送信手段と
を備え、
前記画像処理装置は、
前記送信手段が送信した属性情報を受信する受信手段と、
該受信手段が受信した属性情報に基づいて、各機能の利用を許可するか否かを判定する手段と
を備えることを特徴とする利用権限管理システム。
【請求項2】
複数の機能を有する外部装置のユーザに対する各機能の利用権限に関する情報を記憶している利用権限管理装置において、
ユーザが外部装置の各機能の利用が許可又は禁止されたグループに所属していることを示すユーザの属性情報を記憶する記憶手段と、
該記憶手段が記憶している属性情報を前記外部装置へ送信する手段と
を備えることを特徴とする利用権限管理装置。
【請求項3】
画像処理に関する複数の機能を有する画像処理装置において、
各機能の利用が許可又は禁止されたグループにユーザが所属していることを示すユーザの属性情報を受信する受信手段と、
該受信手段が受信した属性情報に基づいて、各機能の利用を許可するか否かを判定する手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−104608(P2007−104608A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−295727(P2005−295727)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】