説明

制御システム、制御装置及び方法

【課題】濃縮装置、濃縮汚泥供給ポンプ及び脱水装置を制御して、脱水装置から排出される濃縮汚泥の脱水性を一定にする、濃縮装置及び脱水装置の制御システム、制御装置及び方法
【解決手段】汚泥原液が高分子凝集剤により凝集及び撹拌され、流量一定で供給される凝集汚泥を濾過し、濃縮汚泥を生成する濃縮装置101と、濃縮汚泥を一時的に貯留して、貯留した濃縮汚泥の位置を計測する液位計測装置102と、濃縮汚泥を排出する濃縮汚泥供給ポンプ103と、濃縮汚泥の圧力を計測する圧力計104と、濃縮汚泥供給ポンプ103から圧入供給される濃縮汚泥を脱水する脱水装置105と、液位計測装置102が計測する液位、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数及び圧力計104が計測する濃縮汚泥による脱水装置105への圧入圧力に基づいて、濃縮装置101、濃縮汚泥供給ポンプ103及び脱水装置105を制御する制御装置106とを備える

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一定流量の汚泥原液を連続的に濃縮及び脱水する、濃縮装置及び脱水装置の制御システム、制御装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下水、し尿、あるいは食品生産加工排水等の有機性汚泥に高分子凝集剤を添加して、凝集槽内で撹拌及び混合し、凝集フロックを生成させている。濃度の低い有機性汚泥を直接脱水装置で濃縮脱水させると脱水装置の汚泥注入側では、汚泥濃度が低いため、濃縮ゾーンの外筒スクリーンでは固形物負荷よりも水負荷が大きく、外筒スクリーンから多量の水が排出される。したがって、脱水装置による水負荷を軽減させるために、この凝集フロックを更に濃縮装置により濃縮して濾過脱水する方法がとられている。これらの濃縮装置は、例えば1%の濃度の汚泥を4〜5%に濃縮し、この濃縮汚泥を脱水装置で濾過及び脱水している。
【0003】
ここで、濃縮装置として、外筒スクリーンに内設したスクリュー軸を回転させ、目詰まりし易い濾過面を再生しながら濃縮する回転濃縮機が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、脱水装置として、円筒スクリーンとその内側で回転自在なスクリュー軸とを備え、このスクリュー軸の駆動回転で濃縮汚泥を搬送しながら固液分離する脱水装置において、この脱水装置に汚泥等を供給する濃縮汚泥供給ポンプと、脱水装置に供給される濃縮汚泥の圧入圧力を検出する圧力検出器を設け、圧力検出器で検出される圧入圧力がほぼ一定になるように、濃縮汚泥供給ポンプの供給流量を制御する方法も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。さらに、外筒スクリーンとスクリュー軸を差速回転させながら、汚泥を濃縮する差速回転濃縮機の濃縮汚泥濃度を制御する方法として、濃縮汚泥の汚泥受槽に電力検出器を配設し、電力検出器が検出した濃縮汚泥濃度の電気信号を判別して、凝集剤添加率、スクリュー軸回転数及び外筒スクリーン回転数を制御する技術も提案されている(例えば、特許文献3。)。さらにまた、濃縮機能付凝集混和槽と標準的な凝集混和槽を直列に配設し、一定流量の汚泥原液を濃縮機能付凝集混和槽に供給し、脱水装置に圧入する濃縮汚泥の圧入圧力を一定に保ちながら、濃縮機能付凝集混和槽のタンク内圧の変動に伴い、濃縮機能付凝集混和槽に添加する高分子凝集剤の凝集剤添加率を変化させて、濃縮汚泥の汚泥濃度を調整し、脱水装置に供給する前に凝集混和槽の一定の圧入圧力で固形物処理量を調整する技術も提案されている(例えば、特許文献4。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−181216号公報
【特許文献2】特開2008−55450号公報
【特許文献3】特開2006−289308号公報
【特許文献4】特開2007−136347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、濃縮汚泥を脱水する場合は、濃縮装置で濃縮した汚泥を一旦貯留槽に入れ、それを原液として、再度凝集させて脱水する方式をとる。この場合、処理手順や時間的な制約の関係で、濃縮汚泥貯留槽に長時間滞留することになり、その結果、濃縮汚泥の腐敗が進行する。そのため、濃縮汚泥に対する脱水効率が上がらないばかりか、逆に脱水性が低下するなどの現象が発生することがある。したがって、濃縮汚泥を脱水する場合は、濃縮後、直ちに脱水することが望まれる。また、濃縮後に脱水するためには、濃縮装置及び脱水装置だけでなく、濃縮汚泥貯留槽が必要となり、大きな設置面積を必要とした。
【0006】
従来の脱水装置は、濾過性の良い汚泥に対しては、スクリュー軸の回転数を制御することにより、過負荷防止と、均一な含水率のケーキが得られるものであるが、難濾過性の汚泥に対しては、濾過室の容積を減少させて圧搾脱水すると、早期に外筒スクリーンの濾過面が目詰まりする。あるいは、急激に圧搾すると、汚泥が濾液と共に外筒スクリーンから排出され、濾液が懸濁する恐れがある。従来の脱水装置の運転制御方法では、脱水装置卯休される原液の圧入圧力を一定に制御するために、脱水装置に供給される原液の供給流量を制御すべく原液供給ポンプの供給流量を制御するものである。しかし、実際には、原液の濃度や脱水性の変動により、処理量が変動する。例えば、原液濃度が小さいときは供給流量が多くなり、原液濃度が大きい時は供給流量が少なくなる。そのために、供給流量が変動することになるという問題点があった。
【0007】
また、差速回転濃縮機において、凝集剤添加率、スクリュー軸回転数及び外筒スクリーン回転数を制御し、濃縮汚泥濃度を一定に保つ技術は、濃縮後の汚泥濃度が安定し、濃縮後の処理工程の管理が容易になるものである。しかし、汚泥性状の変動により濃縮汚泥量にバラつきが生じ、濃縮装置及び濃縮装置に連結された脱水装置との間で処理量における連続性の確保が困難となる。濃縮汚泥を一時貯留する場合は、濃縮汚泥貯留槽が必要となり、大きな設置面積が必要であった。また、標準的な凝集混和槽の上流に濃縮機能付凝集混和槽を設置した脱水装置の制御方法は、原液汚泥濃度や原液汚泥の固形物処理量の変動に対しては、濃縮機能付凝集混和槽と凝集混和槽のタンク内圧を検知して、凝集混和槽のタンク内圧を一定に維持しながら、一段目の濃縮機能付凝集混和槽の高分子凝集剤の添加量を調節して濃縮率を改善し、脱水性を改善することにより、脱水装置での負荷を均等化するものである。
【0008】
しかし、濃縮機能付凝集混和槽では、せいぜい1.5〜2倍の濃縮が通常運転可能範囲であるため、急激に変動する汚泥濃度や汚泥性状に対しては対応できる能力に限界がある。
【0009】
上記問題点を鑑み、本発明は、一定流量の汚泥原液を連続的に濃縮及び脱水するよう制御するため、濃縮装置及び濃縮装置の下流に連結した脱水装置のスクリュー軸を制御する制御システム、制御装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の一様態は、(イ)汚泥原液が高分子凝集剤により凝集及び撹拌され、流量一定で供給される凝集汚泥を濾過し、濃縮汚泥を生成する濃縮装置と、(ロ)濃縮装置が排出する濃縮汚泥を一時的に貯留して、貯留した濃縮汚泥の位置を計測する液位計測装置と、(ハ)液位計測装置が一時的に貯留した濃縮汚泥を排出する濃縮汚泥供給ポンプと、(ニ)濃縮汚泥供給ポンプが排出した濃縮汚泥の圧力を計測する圧力計と、(ホ)濃縮汚泥供給ポンプから圧入供給される濃縮汚泥を脱水する脱水装置と、(ヘ)液位計測装置が計測する液位、濃縮汚泥供給ポンプの回転数及び圧力計が計測する濃縮汚泥による脱水装置への圧入圧力に基づいて、濃縮装置、濃縮汚泥供給ポンプ及び脱水装置を制御する制御装置とを備えることを要旨とする。
【0011】
本発明の別の様態は、汚泥原液が高分子凝集剤により凝集及び撹拌され、流量一定で供給される凝集汚泥を濾過し、濃縮汚泥を生成する濃縮装置と、濃縮装置が排出する濃縮汚泥を一時的に貯留して、貯留した濃縮汚泥の位置を計測する液位計測装置と、液位計測装置が一時的に貯留した濃縮汚泥を排出する濃縮汚泥供給ポンプと、濃縮汚泥供給ポンプが排出した濃縮汚泥の圧力を計測する圧力計と、濃縮汚泥供給ポンプから圧入供給される濃縮汚泥を脱水する脱水装置とを制御する制御装置に関する。すなわち、本発明の様態に係る制御装置は、液位計測装置が計測する液位、濃縮汚泥供給ポンプの回転数及び圧力計が計測する濃縮汚泥による脱水装置への圧入圧力に基づいて、濃縮装置、濃縮汚泥供給ポンプ及び脱水装置を制御することを要旨とする。
【0012】
本発明のさらに別の様態は、(イ)濃縮装置が、汚泥原液が高分子凝集剤により凝集及び撹拌され、流量一定で供給される凝集汚泥を濾過し、濃縮汚泥を生成するステップと、(ロ)液位計測装置が、濃縮装置が排出する濃縮汚泥を一時的に貯留して、貯留した濃縮汚泥の位置を計測するステップと、(ハ)濃縮汚泥供給ポンプが、液位計測装置が一時的に貯留した濃縮汚泥を排出するステップと、(ニ)圧力計が、濃縮汚泥供給ポンプが排出した濃縮汚泥の圧力を計測するステップと、(ホ)脱水装置が、濃縮汚泥供給ポンプから圧入供給される濃縮汚泥を脱水するステップと、(へ)制御装置が、液位計測装置が計測する液位、濃縮汚泥供給ポンプの回転数及び圧力計が計測する濃縮汚泥による脱水装置への圧入圧力に基づいて、濃縮装置、濃縮汚泥供給ポンプ及び脱水装置を制御するステップとを含むことをを要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一定流量の汚泥原液を連続的に濃縮及び脱水するよう制御するため、濃縮装置及び濃縮装置の下流に連結した脱水装置のスクリュー軸を制御する制御システム、制御装置及び方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る制御システムのブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る制御システムの機器構成の概略図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る濃縮装置の断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る脱水装置の断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る脱水装置の濃縮汚泥供給側における概略図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る脱水装置の濃縮汚泥排出側における概略図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る制御方法のフローチャート図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る制御方法のフローチャート図である。
【図9】本発明の実施の形態の変形例に係る制御方法のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、装置やシステムの構成等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な構成は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの構成の異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0016】
また、以下に示す本発明の実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0017】
(実施の形態)
<制御システムの機能構成>
本発明の実施の形態に係る制御システムは、図1に示すように、汚泥原液が高分子凝集剤により凝集及び撹拌され、流量一定で供給される凝集汚泥を濾過し、濃縮汚泥を生成する濃縮装置101と、濃縮装置101が排出する濃縮汚泥を一時的に貯留して、貯留した濃縮汚泥の位置を計測する液位計測装置102と、液位計測装置102が一時的に貯留した濃縮汚泥を排出する濃縮汚泥供給ポンプ103と、濃縮汚泥供給ポンプ103が排出した濃縮汚泥の圧力を計測する圧力計104と、濃縮汚泥供給ポンプから圧入供給される濃縮汚泥を脱水する脱水装置105と、液位計測装置102により計測される濃縮汚泥の液位に基づいて、濃縮装置101が有する濃縮スクリュー軸の回転と、圧力計104により計測される濃縮汚泥の圧入圧力及び濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数に基づいて、脱水装置105が有する脱水スクリュー軸の回転とを制御する制御装置106とを備える。
【0018】
濃縮装置101は、汚泥原液が所定の汚泥濃度になるよう濃縮する。
【0019】
液位計測装置102は、濃縮装置101から継続的に排出される濃縮汚泥を一時的に貯留し、貯留した濃縮汚泥の液位を検知、検出及び計測する。濃縮汚泥の液位は汚泥性状の変動、例えば、濃縮汚泥の濾過性の影響による。濾過性が低下することで汚泥の液位は上昇する。
【0020】
濃縮汚泥供給ポンプ103は、液位計測装置102から排出された濃縮汚泥を供給される流速以上で排出するよう、濃縮汚泥に流通方向へ圧力を加える。
【0021】
圧力計104は、後述する脱水装置105の供給口において、濃縮汚泥供給ポンプ103から排出された濃縮汚泥の圧力を計測する。
【0022】
脱水装置105は、濃縮汚泥から水分を絞り出すことで、含水率を下げる。
【0023】
濃縮汚泥を濾過することで脱水する。脱水装置105には、スクリュープレス、羽根車回転型加圧脱水機、ベルトプレス、真空脱水機及び遠心脱水機を適用することが可能である。本発明の実施の形態に係る脱水装置105は、外筒回転型のスクリュープレスを適用する。
【0024】
制御装置106は、液位計測装置102が計測する濃縮汚泥の液位に基づいて、濃縮装置101が備えるスクリュー軸の回転数を制御する。また、制御装置106は、圧力計104が計測する脱水装置105の供給口における濃縮汚泥の圧入圧力に基づいて、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数を制御し、更に濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数に基づいて、脱水装置105が備えるスクリュー軸の回転数を制御する。
【0025】
すなわち、制御装置106は、液位計測装置102が計測する濃縮汚泥の液位である計測汚泥液位を、予め設定した基準液位範囲と比較する。比較の結果に基づいて(濃縮汚泥の液位と基準液位範囲との関係により)、制御装置106は、濃縮装置制御係数αの値を決定する。ここでαは、濃縮装置101が有するスクリュー軸の回転数と濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数とを適切に調整する制御パラメータであり、汚泥の液位、脱水装置105の供給口における濃縮汚泥圧力及び濃縮汚泥性状等に基づいて経験的に定められる。
【0026】
すなわち、濃縮汚泥の液位が基準液位範囲よりも高い場合、αの値を増加させ、濃縮汚泥の液位が基準液位範囲内である場合、αの値は変更せず、濃縮汚泥の液位が基準液位範囲よりも低い場合、αの値を減少させる。つづいて、制御装置106は、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数である計測ポンプ回転数と、予め設定した濃縮汚泥供給ポンプの基準回転数であるポンプ基準回転数範囲にαを乗じた値であるα基準回転数範囲とを比較する。比較の結果に基づいて、制御装置106は、計測ポンプ回転数がα基準回転数範囲よりも大きい場合、濃縮装置101が備える濃縮スクリュー軸の回転数を増加させ、計測ポンプ回転数がα基準回転数範囲内である場合、濃縮装置101が備える濃縮スクリュー軸の回転数を維持し、計測ポンプ回転数がα基準回転数範囲範囲よりも小さい場合、濃縮装置101が備える濃縮スクリュー軸の回転数を減少させる。
【0027】
ここで、以上における濃縮装置101の制御は、次のロジックに基づく。濃縮装置101が備えるスクリュー軸の回転数を増加させると、濾過室内でスクリュー羽根による搬送速度が上がり、濃縮汚泥量が増加し、濃縮装置101が備えるスクリュー軸の回転数を減少させると、濾過室内でスクリュー羽根による搬送速度が下がり、濃縮汚泥量が減少する。
【0028】
つぎに、制御装置106は、圧力計104が計測する脱水装置105の供給口における圧入圧力である計測圧入圧力と予め設定した基準圧入圧力範囲とを比較する。ここで、基準圧入圧力範囲は、適切な汚泥処理を実現するに適した経験的な値である。比較の結果に基づいて、制御装置106は、計測圧入圧力が基準圧入圧力範囲よりも大きい場合、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数を減少させ、計測圧入圧力が基準圧入圧力範囲内である場合の濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数を維持し、計測圧入圧力が基準圧入圧力範囲よりも小さい場合、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数を増加させる。
【0029】
つづいて、制御装置106は、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数である測定ポンプ回転数と、予め設定したポンプ基準回転数範囲とを比較する。比較の結果に基づいて、制御装置106は、測定ポンプ回転数が基準回転数範囲よりも大きい場合、脱水装置105が備える脱水スクリュー軸の回転数を減少させ、測定ポンプ回転数が基準回転数範囲内である場合、脱水装置105が備える脱水スクリュー軸の回転数を維持し、測定ポンプ回転数が基準回転数範囲よりも小さい場合、脱水装置105が備える脱水スクリュー軸の回転数を増加させる。
【0030】
以上説明したように、制御システムに対して流量一定で供給される、汚泥原液及び高分子凝集剤が混合及び撹拌された凝集汚泥を、濃縮装置101で濃縮し、一時的に貯留する液位計測装置102の濃縮汚泥液位が一定となるように、濃縮装置101、を制御装置106が制御する。すなわち、制御装置106は、液位計測装置102の計測結果と濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数に基づいて濃縮装置101が備える濃縮スクリュー軸の回転数を制御する。また、濃縮汚泥供給ポンプ103により脱水装置105へ供給される濃縮汚泥を、脱水装置105における圧入圧力が一定となるように、濃縮汚泥供給ポンプ103を制御装置106が制御すると共に、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数が一定となるように脱水装置105を制御装置106が制御する。すなわち、制御装置106は、圧力計104の計測結果に基づいて、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数を制御すると共に、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数に基づいて、脱水装置105が備える脱水スクリュー軸の回転数を制御する。
【0031】
したがって、制御装置106は、液位計測装置102及び圧力計104の計測結果に基づいて濃縮装置101が備える濃縮スクリュー軸の回転数及び脱水装置105が備える脱水スクリュー軸の回転数をそれぞれ別個独立に制御する。
【0032】
<制御システムの機器構成>
つぎに、本発明の実施の形態に係る制御システムの機器構成を図2を用いて説明する。
【0033】
制御システム100は、図2に示すように、汚泥貯留槽(図示せず)に貯留されている汚泥等の処理原液は、原液供給ポンプ1により原液流量(供給流量)で原液供給管2を通して凝集装置3に供給される。原液供給管2には高分子凝集剤を供給する高分子供給ポンプ4の凝集剤供給管5が接続されている。なお、凝集剤供給管5は直接、凝集装置3に接続することもできる。高分子凝集剤は原液流量に対して一定の割合で供給されており、高分子供給ポンプ4の回転数は制御装置60により原液供給ポンプ1の回転数と共に比例制御されている。
【0034】
凝集装置3は、原液供給ポンプ1と高分子供給ポンプ4からそれぞれ凝集装置3に供給された汚泥及び高分子凝集剤を撹拌機で撹拌混合して、凝集フロックを生成させるものであり、撹拌槽6内に流入した原液と高分子凝集剤が撹拌駆動機7で回転駆動される撹拌羽根8で撹拌される構成をとる。凝集装置3で撹拌及び凝集された凝集汚泥は凝集汚泥供給管9を経て濃縮機10に供給される。
【0035】
なお、図1に示す濃縮装置101、液位計測装置102、濃縮汚泥供給ポンプ103、圧力計104、脱水装置105及び制御装置106は、図2に示す濃縮機10、濃縮汚泥管26に配設される液位計28、濃縮汚泥供給ポンプ27、圧力計PS、脱水機30及び制御装置60にそれぞれ該当する。
【0036】
<濃縮装置の機器構成>
本発明の実施の形態係る濃縮装置は、回転濃縮機を適用する。回転濃縮機11は、図3に示すように、周部に濾過面を有する外筒スクリーン12の内部に、スクリュー羽根13を巻き掛けたスクリュー軸14を配設する。外筒スクリーン12の端部には入口フランジ15と出口フランジ16が嵌着する。入口フランジ15をスクリュー軸14に軸支して、出口フランジ16に連結した外筒駆動軸17を濾液受槽18に支架した軸受19に軸支している。スクリュー軸14に連結したスクリュー駆動軸20が外筒駆動軸17に挿通する。
【0037】
スクリュー軸14の先端部に汚泥の供給路21が設けてあり、外筒スクリーン12の始端部に複数個の供給口21aを開口し、出口フランジ16に複数の排出口16aが設けてある。外筒スクリーン12とスクリュー軸14との間には濾過室22が形成される。外筒スクリーン12の外筒駆動軸17とスクリュー軸14のスクリュー駆動軸20に外筒駆動機23及びスクリュー駆動機24とが個別に連動連結してあり、外筒スクリーン12とスクリュー軸14とを逆方向に差速回転させる。回転濃縮機11は、外筒スクリーン12とスクリュー軸14とを逆回転させながら、スクリュー軸14の供給路21から濾過室22に供給した汚泥を、外筒スクリーン12を通して濾液と分離する。回転濃縮機11が濃縮した汚泥は、出口フランジ16の排出口16aから排出される。
【0038】
外筒スクリーン12とスクリュー軸14とを差速回転させることにより、相対的にスクリュー羽根13の回転数を高め、外筒スクリーン12の濾過面の摺接回数を増加させる。回転濃縮機11は、運転中に目詰まりする外筒スクリーン12の濾過面を再生することで、濾液の排出を促進させ、濃度の低い汚泥の大量処理を実現する。なお、図3に示す洗浄水管25は、外筒スクリーン12に沿って配設され、目詰まりした外筒スクリーン12のスクリーン面に高圧水を噴射して濾過面の目詰まりを解消させる。また、濾液受槽18に分離排出される濾液の一部を濃縮汚泥管26内へ供給することにより、濃縮汚泥管26内の濃縮汚泥のブリッジを防止し、濃縮汚泥供給ポンプ27へスムーズに供給することが可能となる。
【0039】
回転濃縮機11で濾液を分離された濃縮汚泥は、濃縮汚泥管26を経て濃縮汚泥供給ポンプ27に供給される。濃縮汚泥管26は回転濃縮機11から排出される濃縮汚泥を所定の容量で貯留できる容積を有しており、貯留量を計測する液位計28を配設する。濃縮汚泥は、濃縮汚泥供給ポンプ27により濃縮汚泥供給管29を通して脱水機30に圧入供給される。濃縮汚泥供給管29は脱水機30に圧入供給される濃縮汚泥の圧入圧力を計測するための圧力計PSを配設する。
【0040】
<脱水装置の機器構成>
本発明の実施の形態に係る脱水装置は、連続的に濃縮汚泥を脱水処理できるスクリュープレスを適用する。スクリュープレス31は近傍に回転濃縮機11を載置する。例えば、回転濃縮機11の吐出側に立設した濃縮汚泥管26を配設し、濃縮汚泥管26の排出側に濃縮汚泥供給ポンプ27を配設し、濃縮汚泥供給ポンプ27の排出側にスクリュープレス31を配設する。脱水装置に濃縮装置を載置するため、濃縮汚泥を貯留槽に長時間滞留させる必要がなく、腐敗による脱水効果が低下することがない。また、濃縮装置、濃縮汚泥貯留槽及び脱水設備の大きな設置面積も必要としない。したがって、下水、し尿処理、集落排水及び工場等の排水処理施設に設置すれば、省スペースの濃縮節水設備となる。
【0041】
スクリュープレス31は、図4に示すように、周部に濾過面を有する外筒スクリーン32にスクリュー羽根33を巻き掛けたスクリュー軸34が内設する。スクリュー軸34は、汚泥の供給側からケーキの排出側に向かって紙面上下方向に拡大しており、外筒スクリーン32とスクリュー軸34との間の濾過室35は供給側から排出側に向かって紙面上下方向に縮小する。
【0042】
スクリュープレス31の供給側における構成を、図5を用いて説明する。スクリュープレス31は、外筒スクリーン32の供給側に嵌着した入口フランジ36にスプロケット37を外嵌し、フレーム38に載置した正逆転可能な外筒駆動機39に連動連結している。スクリュー軸34に凝集スラリーの供給路41が設けてあり、濾過室35の始端部に供給孔41aを開口して、スクリュー軸34の延設部と濃縮汚泥供給管29が連結している。供給孔41aから濾過室35内に圧入される濃縮汚泥がスクリュー軸34に巻き掛けたスクリュー羽根33の間から供給するように構成されており、凝集された軟弱な汚泥等の濃縮汚泥がスクリュー羽根33の影響を受けないように配設される。
【0043】
スクリューブレス31の排出側における構成を、図6を用いて説明する。スクリュープレス31は、外筒スクリーン32の排出側に連結した回転板42をフレーム43に支架してあり、外筒スクリーン32に内設したスクリュー軸34にスクリュー駆動軸44が連結している。濾過室35の排出口35aに対設した背圧調整用のプレッサー45がフレーム43に配設した移動軸46に摺動自在に支架している。
【0044】
スクリュー軸34に連結したスクリュー駆動軸44は、図3に示すように、フレーム43の架台48に設けた軸受49に軸支している。スクリュー駆動軸44に、スプロケット50が嵌着しており、フレーム43に載置するスクリュー駆動機51に連動連結する。スクリュー軸34のスクリュー駆動機51を作動させ、スクリュー軸34の供給部41から濾過室35に濃縮汚泥を供給し、濃縮汚泥をスクリュー羽根33で移送しながら、外筒スクリーン32から濾液を分離する。
【0045】
プレッサー45で濾過室35の排出口35aの開口量を調節し、濾過室35に背圧を加えながら固液分離を促進させて脱水ケーキを排出する。外筒スクリーン32に沿って洗浄管52が配設され、洗浄時は洗浄管52から洗浄水を外筒スクリーン32に噴射すると共に、外筒スクリーン32を外筒駆動機39により回転させることによって外筒スクリーン32の全面を洗浄する。なお、外筒スクリーン32の紙面下方に濾液トラフ53が配設され、スクリュープレス31の終端部において濾液トラフ53に隣接し、脱水ケーキを受溜するケーキ受槽が配設される。
【0046】
<制御システムの汚泥処理における運転制御方法>
つぎに、本発明の実施の形態に係る制御システムが濃縮装置101及び脱水装置105を制御する方法について、図7及び8のフローチャートを参照しながら説明する。制御システム100は、図1に示すように、濃縮装置101から脱水装置105までの経路において、脱水装置105への濃縮汚泥による圧入圧力が一定になるよう制御する。制御装置106は、濃縮装置101が有するスクリュー軸の回転及び濃縮汚泥供給ポンプ103の回転を制御することで、所定の回転数を維持するよう制御し、濃縮汚泥の流量が一定となるよう調整する。また、制御システム100は、図1に示すように、濃縮汚泥供給ポンプ103〜脱水装置105までの経路において、濃縮汚泥の流量が一定になるよう制御する。制御装置106は、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転及び脱水装置105が有するスクリュー軸の回転を制御することで、所定の回転数を維持するよう制御し、濃縮汚泥の圧入圧力が一定となるよう調整する。その結果、脱水装置105から排出される脱水汚泥は、脱水性が一定となる高品質の汚泥ケーキとして生成される。
【0047】
まず、図1に示す濃縮汚泥供給ポンプ103に流入する濃縮汚泥の流量が一定となるように、制御装置106は濃縮装置101のスクリュー軸を制御する。
【0048】
(イ)ステップS101において、制御装置106は、液位計測装置102が計測する濃縮汚泥の液位である計測汚泥液位と予め設定した基準液位範囲とを比較する。ここで、基準液位範囲とは、濃縮装置101から排出される濃縮汚泥を一時的に貯留した液位であって、濃縮装置101、濃縮汚泥供給ポンプ103及び脱水装置105を制御してもシステム全体として問題なく運転を続けることのできる液位の範囲である。ステップS101において、計測汚泥液位が基準液位範囲よりも高い場合、ステップS102において、制御装置106は、濃縮装置制御係数αの値を増加させる。ステップS101において、計測汚泥液位が基準液位範囲内の場合、ステップS103において、制御装置106は、濃縮装置制御係数αの値を維持する。ステップS101において、計測汚泥液位が基準液位範囲よりも低い場合、ステップS104において、制御装置106は、濃縮装置制御係数αの値を減少させる。
【0049】
(ロ)ステップS105において、制御装置106は、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数である計測ポンプ回転数と、予め設定した濃縮汚泥供給ポンプ103の基準回転数であるポンプ基準回転数範囲に濃縮装置制御係数αを乗じた値であるα基準回転数範囲とを比較する。ステップS105において、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数がα基準回転数範囲よりも大きい場合、ステップS106において、制御装置106は、濃縮装置101が有する濃縮スクリュー軸の回転数を増加させる。ステップS105において、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数がα基準回転数範囲内の場合、ステップS107において、制御装置106は、濃縮装置101が有する濃縮スクリュー軸の回転数を維持する。ステップS105において、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数がα基準回転数範囲よりも小さい場合、ステップS108において、制御装置106は、濃縮装置101が有する濃縮スクリュー軸の回転数を減少させる。
【0050】
つぎに、図1に示す脱水装置105に流入する濃縮汚泥の圧入圧力が一定となるように、制御装置106は、脱水装置105が有する脱水スクリュー軸を制御する。
【0051】
(イ)ステップS201において、制御装置106は、圧力計104が計測する濃縮汚泥の圧入圧力である計測圧入圧力と予め設定した基準圧入圧力範囲とを比較する。ここで、基準圧入圧力範囲とは、圧力計104が計測する濃縮汚泥による脱水装置105への圧入圧力であって、脱水装置105による脱水効率が最も良い圧力の範囲である。ステップS201において、計測圧入圧力が基準圧入圧力範囲よりも大きい場合、ステップS202において、制御装置106は、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数を減少させる。ステップS201において、計測圧入圧力が基準圧入圧力内の場合、ステップS203において、制御装置106は、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数を維持する。ステップS201において、計測圧入圧力が基準圧入圧力範囲よりも小さい場合、ステップS204において、制御装置106は、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数を増加させる。
【0052】
(ロ)ステップS205において、制御装置106は、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数である計測ポンプ回転数と予め設定したポンプ基準回転数範囲とを比較する。ステップS205において、計測ポンプ回転数がポンプ基準回転数範囲よりも大きい場合、ステップS206において、制御装置106は、脱水装置105が有する脱水スクリュー軸の回転数を減少させる。ステップS205において、計測ポンプ回転数がポンプ基準回転数範囲内の場合、ステップS207において、制御装置106は、脱水装置105が有する脱水スクリュー軸の回転数を維持する。ステップS205において、計測ポンプ回転数がポンプ基準回転数範囲よりも小さい場合、ステップS208において、制御装置106は、脱水装置105が有する脱水スクリュー軸の回転数を増加させる。
【0053】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る制御システムは、脱水装置(スクリュープレス)105の圧入圧力に基づいて、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数を制御するため、脱水装置105内の濾過脱水圧力を常時一定に制御することができ、安定した脱水運転が可能となる。また、制御システムは、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数に予め基準値を設定し、その基準値に基づいて脱水装置(スクリュープレス)105が有する脱水スクリュー軸の回転数及び濃縮装置101が有する濃縮スクリュー軸の回転数を独立して並列に制御するため、制御システム全体として処理流量を安定させることができる。なお、上述の基準値は、脱水装置105及び濃縮装置101それぞれのスクリュー軸に適した範囲を別個独立に設定することが可能である。
【0054】
さらに、脱水装置105及び濃縮装置101を近接設置することで、脱水装置105による圧入圧力への反応が早く、圧入圧力の変化に対して迅速に対応でき、一定処理の安定性も向上する。さらにまた、濃縮装置101及び脱水装置105を近接設置し、連続的に濃縮汚泥を流通させることで、脱水装置105の上流に濃縮汚泥を貯留するための貯留槽を必要としない。また、液位計測装置102に一時的に貯留する濃縮汚泥の液位も制御するため、脱水装置105の空運転及び液位計測装置(ホッパー)102からの濃縮汚泥による溢れ等を防止することができる。
【0055】
このようにして、脱水装置105の内圧を一定に保つことにより、濃縮汚泥の脱水性を一定にし、品質の良い汚泥ケーキを生成することが可能となる。
【0056】
(実施の形態の変形例)
本発明の実施の形態の変形例に係る制御システムは、液位計測装置102が計測する濃縮汚泥の液位に基づいて、濃縮装置101が備える外筒スクリーン12の回転数を制御する制御装置106を備える。本発明の実施の形態に係る制御システムは、液位計測装置102が計測する濃縮汚泥の液位に基づいて、濃縮装置101が備える濃縮スクリュー軸の回転数を制御する制御装置106を備えるため、外筒スクリーン12と濃縮スクリュー軸とで制御対象が異なる。すなわち、制御装置106は、液位計測装置102が計測する濃縮汚泥の液位を、予め設定した基準液位範囲と比較する。比較の結果に基づいて(濃縮汚泥の液位と基準液位範囲との関係により)、制御装置106は、濃縮装置101が備える外筒スクリーン12の回転数を制御する。すなわち、制御装置106は、計測汚泥液位と基準液位範囲とを比較して濃縮装置制御係数αの値を決定する。つづいて、制御装置106は、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数である計測ポンプ回転数と、予め設定した濃縮汚泥供給ポンプの基準回転数であるポンプ基準回転数範囲にαを乗じた値であるα基準回転数範囲とを比較する。比較の結果に基づいて、制御装置106は、計測ポンプ回転数がα基準回転数範囲よりも大きい場合、濃縮装置101が備える外筒スクリーン12の回転数を減少させ、計測ポンプ回転数がα基準回転数範囲内である場合、濃縮装置101が備える外筒スクリーン12の回転数を維持し、計測ポンプ回転数がα基準回転数範囲よりも小さい場合、濃縮装置101が備える外筒スクリーン12の回転数を増加させる。
【0057】
<制御システムの汚泥処理における運転制御方法>
つぎに、本発明の実施の形態の変形例に係る制御システムが、濃縮装置101及び脱水装置105を制御する方法について、図9のフローチャートを参照しながら説明する。
【0058】
<制御システムの汚泥処理における運転制御方法>
つぎに、本発明の実施の形態の変形例に係る制御システムが濃縮装置101及び脱水装置105を制御する方法について、図9及び8のフローチャートを参照しながら説明する。制御システム100は、図1に示すように、濃縮装置101から脱水装置105までの経路において、脱水装置105への濃縮汚泥による圧入圧力が一定になるよう制御する。制御装置106は、濃縮装置101が有する外筒スクリーン12の回転及び濃縮汚泥供給ポンプ103の回転を制御することで、所定の回転数を維持するよう制御し、濃縮汚泥の流量が一定となるよう調整する。また、制御システム100は、図1に示すように、濃縮汚泥供給ポンプ103〜脱水装置105までの経路において、濃縮汚泥の流量が一定になるよう制御する。制御装置106は、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転及び脱水装置105が有するスクリュー軸の回転を制御することで、所定の回転数を維持するよう制御し、濃縮汚泥の圧入圧力が一定となるよう調整する。その結果、脱水装置105から排出される脱水汚泥は、脱水性が一定となる高品質の汚泥ケーキとして生成される。
【0059】
まず、図1に示す濃縮汚泥供給ポンプ103に流入する濃縮汚泥の流量が一定となるように、制御装置106は濃縮装置101の外筒スクリーン12を制御する。
【0060】
(イ)ステップS301において、制御装置106は、液位計測装置102が計測する濃縮汚泥の液位である計測汚泥液位と予め設定した基準液位範囲とを比較する。ここで、基準液位範囲とは、濃縮装置101から排出される濃縮汚泥を一時的に貯留した液位であって、濃縮装置101、濃縮汚泥供給ポンプ103及び脱水装置105を制御してもシステム全体として問題なく運転を続けることのできる液位の範囲である。ステップS301において、計測汚泥液位が基準液位範囲よりも高い場合、ステップS302において、制御装置106は、濃縮装置制御係数αの値を増加させる。ステップS101において、計測汚泥液位が基準液位範囲内の場合、ステップS303において、制御装置106は、濃縮装置制御係数αの値を維持する。ステップS301において、計測汚泥液位が基準液位範囲よりも低い場合、ステップS304において、制御装置106は、濃縮装置制御係数αの値を減少させる。
【0061】
(ロ)ステップS305において、制御装置106は、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数である計測ポンプ回転数と、予め設定した濃縮汚泥供給ポンプ103の基準回転数であるポンプ基準回転数範囲に濃縮装置制御係数αを乗じた値であるα基準回転数範囲とを比較する。ステップS305において、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数がα基準回転数範囲よりも大きい場合、ステップS306において、制御装置106は、濃縮装置101が有する外筒スクリーン12の回転数を減少させる。ステップS305において、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数がα基準回転数範囲内の場合、ステップS307において、制御装置106は、濃縮装置101が有する外筒スクリーン12の回転数を維持する。ステップS305において、濃縮汚泥供給ポンプ103の回転数がα基準回転数範囲よりも小さい場合、ステップS308において、制御装置106は、濃縮装置101が有する外筒スクリーン12の回転数を増加させる。
【0062】
つぎに、図1に示す脱水装置105に流入する濃縮汚泥の圧入圧力が一定となるように、制御装置106は、脱水装置105が有する脱水スクリュー軸を制御する。この制御についての説明は先述の記載及び図8と同様である。
【0063】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は本発明の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0064】
100…制御システム
101…濃縮装置、
102…液位計測装置、
103…濃縮汚泥供給ポンプ、
104…圧力計、
105…脱水装置、
106…制御装置、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥原液が高分子凝集剤により凝集及び撹拌され、流量一定で供給される凝集汚泥を濾過し、濃縮汚泥を生成する濃縮装置と、
前記濃縮装置が排出する前記濃縮汚泥を一時的に貯留して、前記貯留した濃縮汚泥の位置を計測する液位計測装置と、
前記液位計測装置が一時的に貯留した前記濃縮汚泥を排出する濃縮汚泥供給ポンプと、
前記濃縮汚泥供給ポンプが排出した濃縮汚泥の圧力を計測する圧力計と、
前記濃縮汚泥供給ポンプから圧入供給される前記濃縮汚泥を脱水する脱水装置と、
前記液位計測装置が計測する液位、前記濃縮汚泥供給ポンプの回転数及び前記圧力計が計測する前記濃縮汚泥による前記脱水装置への圧入圧力に基づいて、前記濃縮装置、前記濃縮汚泥供給ポンプ及び前記脱水装置を制御する制御装置
とを備えることを特徴とする制御システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記液位計測装置が計測する前記濃縮汚泥の液位である計測汚泥液位と、前記濃縮汚泥が一定に流通するよう調整可能なパラメータである予め設定した基準液位範囲とを比較し、前記計測汚泥液位の値が前記基準液位範囲の値よりも高い場合、前記液位計測装置及び前記濃縮汚泥供給ポンプの処理状態と汚泥性状とに基づいて決定される予め設定した濃縮装置制御係数の値を増加させ、前記計測汚泥液位の値が前記基準液位範囲内の場合、前記濃縮装置制御係数の値を維持し、前記計測汚泥液位の値が前記基準液位範囲の値よりも低い場合、前記濃縮装置制御係数の値を減少させ、
前記濃縮汚泥供給ポンプの回転数である計測ポンプ回転数と、前記濃縮汚泥が一定に流通するよう調整可能なパラメータである予め設定した汚泥濃縮供給ポンプの基準回転数であるポンプ基準回転数範囲に前記濃縮装置制御係数を乗じた値であるα基準回転数範囲とを比較し、前記濃縮汚泥供給ポンプの回転数の値が前記α基準回転数範囲の値よりも大きい場合、前記濃縮装置が有する濃縮スクリュー軸の回転数を増加させ、前記濃縮汚泥供給ポンプの回転数の値が前記α基準回転数範囲内の場合、前記濃縮スクリュー軸の回転数を維持し、前記濃縮汚泥供給ポンプの回転数の値が前記α基準回転数範囲の値よりも小さい場合、前記濃縮スクリュー軸の回転数を減少させることを特徴とする請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記液位計測装置が計測する前記濃縮汚泥の液位である計測汚泥液位と、前記濃縮汚泥が一定に流通するよう調整可能なパラメータである予め設定した基準液位範囲とを比較し、前記計測汚泥液位の値が前記基準液位範囲の値よりも高い場合、前記液位計測装置及び前記濃縮汚泥供給ポンプの処理状態と汚泥性状とに基づいて決定される予め設定した濃縮装置制御係数の値を増加させ、前記計測汚泥液位の値が前記基準液位範囲内の場合、前記濃縮装置制御係数の値を維持し、前記計測汚泥液位の値が前記基準液位範囲の値よりも低い場合、前記濃縮装置制御係数の値を減少させ、
前記濃縮汚泥供給ポンプの回転数である計測ポンプ回転数と、前記濃縮汚泥が一定に流通するよう調整可能なパラメータである予め設定した前記濃縮汚泥供給ポンプの基準回転数であるポンプ基準回転数範囲に前記濃縮装置制御係数を乗じた値であるα基準回転数範囲とを比較し、前記濃縮汚泥供給ポンプの回転数の値が前記α基準回転数範囲の値よりも大きい場合、前記濃縮装置が有する外筒スクリーンの回転数を増加させ、前記濃縮汚泥供給ポンプの回転数の値が前記α基準回転数範囲内の場合、前記外筒スクリーンの回転数を維持し、前記濃縮汚泥供給ポンプの回転数の値が前記α基準回転数範囲の値よりも小さい場合、前記外筒スクリーンの回転数を減少させることを特徴とする請求項1に記載の制御システム。
【請求項4】
前記制御装置は、更に、前記圧力計が計測する前記濃縮汚泥の圧入圧力である計測圧入圧力と、前記濃縮汚泥の圧入圧力が一定となるよう調整可能なパラメータである予め設定した基準圧入圧力範囲とを比較し、前記計測圧入圧力の値が前記基準圧入圧力範囲の値よりも大きい場合、前記濃縮汚泥供給ポンプの回転数を減少させ、前記計測圧入圧力が前記基準圧入圧力範囲内の場合、前記濃縮汚泥供給ポンプの回転数を維持し、前記計測圧入圧力の値が前記基準圧入圧力範囲の値よりも小さい場合、前記濃縮汚泥供給ポンプの回転数を増加させ、
前記濃縮汚泥供給ポンプの回転数である計測ポンプ回転数と前記ポンプ基準回転数範囲とを比較し、前記計測ポンプ回転数の値が前記ポンプ基準回転数範囲の値よりも大きい場合、前記脱水装置が有する脱水スクリュー軸の回転数を減少させ、前記計測ポンプ回転数の値が前記ポンプ基準回転数範囲内の場合、前記脱水スクリュー軸の回転数を維持し、前記計測ポンプ回転数の値が前記ポンプ基準回転数範囲の値よりも小さい場合、前記脱水スクリュー軸の回転数を増加させることを特徴とする請求項2又は3に記載の制御システム。
【請求項5】
汚泥原液が高分子凝集剤により凝集及び撹拌され、流量一定で供給される凝集汚泥を濾過し、濃縮汚泥を生成する濃縮装置と、前記濃縮装置が排出する前記濃縮汚泥を一時的に貯留して、前記貯留した濃縮汚泥の位置を計測する液位計測装置と、前記液位計測装置が一時的に貯留した前記濃縮汚泥を排出する濃縮汚泥供給ポンプと、前記濃縮汚泥供給ポンプが排出した濃縮汚泥の圧力を計測する圧力計と、前記濃縮汚泥供給ポンプから圧入供給される前記濃縮汚泥を脱水する脱水装置とを制御する制御装置であって、
前記液位計測装置が計測する液位、前記濃縮汚泥供給ポンプの回転数及び前記圧力計が計測する前記濃縮汚泥による前記脱水装置への圧入圧力に基づいて、前記濃縮装置、前記濃縮汚泥供給ポンプ及び前記脱水装置を制御することを特徴とする制御装置。
【請求項6】
前記液位計測装置が計測する前記濃縮汚泥の液位である計測汚泥液位と、前記濃縮汚泥が一定に流通するよう調整可能なパラメータである予め設定した基準液位範囲とを比較し、前記計測汚泥液位の値が前記基準液位範囲の値よりも高い場合、前記液位計測装置及び前記濃縮汚泥供給ポンプの処理状態と汚泥性状とに基づいて決定される予め設定した濃縮装置制御係数の値を増加させ、前記計測汚泥液位の値が前記基準液位範囲内の場合、前記濃縮装置制御係数の値を維持し、前記計測汚泥液位の値が前記基準液位範囲の値よりも低い場合、前記濃縮装置制御係数の値を減少させ、
前記濃縮汚泥供給ポンプの回転数である計測ポンプ回転数と、前記濃縮汚泥が一定に流通するよう調整可能なパラメータである予め設定した前記濃縮汚泥供給ポンプの基準回転数であるポンプ基準回転数範囲に前記濃縮装置制御係数を乗じた値であるα基準回転数範囲とを比較し、前記濃縮汚泥供給ポンプの回転数の値が前記α基準回転数範囲の値よりも大きい場合、前記濃縮装置が有する濃縮スクリュー軸の回転数を増加させ、前記濃縮汚泥供給ポンプの回転数の値が前記α基準回転数範囲内の場合、前記濃縮スクリュー軸の回転数を維持し、前記濃縮汚泥供給ポンプの回転数の値が前記α基準回転数範囲の値よりも小さい場合、前記濃縮スクリュー軸の回転数を減少させることを特徴とする請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記液位計測装置が計測する前記濃縮汚泥の液位である計測汚泥液位と、前記濃縮汚泥が一定に流通するよう調整可能なパラメータである予め設定した基準液位範囲とを比較し、前記計測汚泥液位の値が前記基準液位範囲の値よりも高い場合、前記液位計測装置及び前記濃縮汚泥供給ポンプの処理状態と汚泥性状とに基づいて決定される予め設定した濃縮装置制御係数の値を増加させ、前記計測汚泥液位の値が前記基準液位範囲内の場合、前記濃縮装置制御係数の値を維持し、前記計測汚泥液位の値が前記基準液位範囲の値よりも低い場合、前記濃縮装置制御係数の値を減少させ、
前記濃縮汚泥供給ポンプの回転数である計測ポンプ回転数と、前記濃縮汚泥が一定に流通するよう調整可能なパラメータである予め設定した前記濃縮汚泥供給ポンプの基準回転数であるポンプ基準回転数範囲に前記濃縮装置制御係数を乗じた値であるα基準回転数範囲とを比較し、前記濃縮汚泥供給ポンプの回転数の値が前記α基準回転数範囲の値よりも大きい場合、前記濃縮装置が有する外筒スクリーンの回転数を増加させ、前記濃縮汚泥供給ポンプの回転数の値が前記α基準回転数範囲内の場合、前記外筒スクリーンの回転数を維持し、前記濃縮汚泥供給ポンプの回転数の値が前記α基準回転数範囲の値よりも小さい場合、前記外筒スクリーンの回転数を減少させることを特徴とする請求項5に記載の制御装置。
【請求項8】
更に、前記圧力計が計測する前記濃縮汚泥の圧入圧力である計測圧入圧力と、前記濃縮汚泥の圧入圧力が一定となるよう調整可能なパラメータである予め設定した基準圧入圧力範囲とを比較し、前記計測圧入圧力の値が前記基準圧入圧力範囲の値よりも大きい場合、前記濃縮汚泥供給ポンプの回転数を減少させ、前記計測圧入圧力が前記基準圧入圧力範囲内の場合、前記濃縮汚泥供給ポンプの回転数を維持し、前記計測圧入圧力の値が前記基準圧入圧力範囲の値よりも小さい場合、前記濃縮汚泥供給ポンプの回転数を増加させ、
前記濃縮汚泥供給ポンプの回転数である計測ポンプ回転数と前記ポンプ基準回転数範囲とを比較し、前記計測ポンプ回転数の値が前記ポンプ基準回転数範囲の値よりも大きい場合、前記脱水装置が有する脱水スクリュー軸の回転数を減少させ、前記計測ポンプ回転数の値が前記ポンプ基準回転数範囲内の場合、前記脱水スクリュー軸の回転数を維持し、前記計測ポンプ回転数の値が前記ポンプ基準回転数範囲の値よりも小さい場合、前記脱水スクリュー軸の回転数を増加させることを特徴とする請求項6又は7に記載の制御装置。
【請求項9】
濃縮装置が、汚泥原液が高分子凝集剤により凝集及び撹拌され、流量一定で供給される凝集汚泥を濾過し、濃縮汚泥を生成するステップと、
液位計測装置が、前記濃縮装置が排出する前記濃縮汚泥を一時的に貯留して、前記貯留した濃縮汚泥の位置を計測するステップと、
濃縮汚泥供給ポンプが、前記液位計測装置が一時的に貯留した前記濃縮汚泥を排出するステップと、
圧力計が、前記濃縮汚泥供給ポンプが排出した濃縮汚泥の圧力を計測するステップと、
脱水装置が、前記濃縮汚泥供給ポンプから圧入供給される前記濃縮汚泥を脱水するステップと、
制御装置が、前記液位計測装置が計測する液位、前記濃縮汚泥供給ポンプの回転数及び前記圧力計が計測する前記濃縮汚泥による前記脱水装置への圧入圧力に基づいて、前記濃縮装置、前記濃縮汚泥供給ポンプ及び前記脱水装置を制御するステップ
とを含むことを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−230019(P2011−230019A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100205(P2010−100205)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000197746)株式会社石垣 (116)
【Fターム(参考)】