説明

制御干渉候補検出装置及び制御干渉候補検出方法

【課題】 統合制御システム全体の中から、不整合を引き起こす制御の組合せを検出することができ、問題のある箇所の発見を効率よく行なうことができると共に、設計者による検出漏れを防止することができる制御干渉候補検出装置及び制御干渉候補検出方法を提供する。
【解決手段】 制御干渉候補検出装置10は、複数の制御部を統合的に実行する統合制御システムのうち、一の信号が並列に複数の制御部にそれぞれ入力される段を検出する複数入力段検出手段5と、統合制御システムのうち複数の制御部から出力される信号が単一の制御部に入力される段を検出する単一出力段検出手段4と、前記一の信号による前記単一の制御部までの経路を干渉候補として検出する干渉候補検出手段6とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の制御部を統合的に実行する統合制御による制御システム(以下、統合制御システムと称す)の構成を企画又は検討する作業において、特定の電気信号を起点とした処理の流れを経て、矛盾した命令信号を発生させる可能性のある箇所(以下、制御干渉候補と称す)を、設計者に通知するための制御干渉候補検出装置及び制御干渉候補検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、統合制御システムの構成を企画又は検討する作業では、制御する機器の接続図(機器単位又は機器を構成する部品単位)を作成したうえで、信号の流れを検証する場合が多い。
また、ソフトウェアによる制御を用いる場合は、ソフトウェアの処理概要を追記して検証する方法と、ソフトウェアの処理フロー図を別途用意して検証する方法とがある。
【0003】
なお、各制御をモデル化し、信号の流れをシミュレーションすることは可能であるが、現時点では、大規模なモデル化に時間がかかるうえに、モデル化時の設計者の考慮漏れを防ぐ手段がない。
【0004】
特に、近年、市場に流通している様々な機器は、機械部品だけでなく、ソフトウェアで制御されている。制御対象の機器が複雑になると、統合制御システムも複雑になり、同一の事象に対する制御が矛盾したものになる場合がある。
【0005】
例えば、自動車の場合は、走行中の自動車がカーブに差し掛かったことを、カーナビゲーションシステム(car navigation system:以下、カーナビと称す)が検知して、速度制御部及びパワーステアリング(power steering:以下、パワステと称す)制御部に制御信号を出力する。速度制御部は、この制御信号に基づき、自動車の速度を落とすため、エンジンの出力を下げる制御信号をエンジン出力制御部に出力する。これに対し、パワステ制御部は、ハンドル操作に備えて、エンジンの出力を上げる制御信号をエンジン出力制御部に出力する。
【0006】
このように、自動車の制御においては、エンジンの回転数を上げる要求信号と回転数を下げる要求信号とが同時に発生するなどの同一の事象に対する制御が矛盾したものになる場合がある。
【0007】
これに対し、制御プログラムが、同一のモジュールとして作成される場合や同一のハードウェア内で動作する場合には、ソフトウェア全体の設計書により制御の不整合を確認することも可能であるが、制御の規模が大きく、複数のハードウェアで分散して制御する場合には、問題のある箇所(制御干渉候補)の検出が容易ではない。
【0008】
なお、従来の制御プログラム分析装置は、プログラム要素のフローに関する関係データを収集するコントロールフロー関係データ収集装置と、コントロールフロー関係データ収集装置で収集したデータよりコントロールフローネット図を作成するコントロールフローネット生成装置と、プログラム要素から分離した別の要素関係からデータフロー関係を収集するデータフロー関係収集装置と、データフロー関係収集装置の内容からコントロールフローネット生成装置とを備えている。すなわち、従来の制御プログラム分析装置は、制御プログラムを分析し、制御プログラムの流れを示すコントロールフローネット図以外に、データがどの処理(命令)で利用され変更されるかを示すデータフローネット図を生成するものである(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
また、従来のソフトウェア開発支援システムは、デバイス名と属性と起きる可能性がある故障パターンとを記述したデバイスと、デバイス間で伝達されるキャリアと、デバイスとキャリアの関連を示すデバイスダイアグラムと、デバイス上で処理されるプロセスと該プロセスの条件とを示すプロセスダイアグラムと、デバイスダイアグラムとプロセスダイアグラムとの間の関連を表す矢印とからなる情報フローダイアグラムが入力されると、演算処理装置内の分析機能部が組込みシステムの機能面での障害を情報フローダイアグラムの参照により取得し、当該障害に基づいたシナリオをソフトウェアの仕様を決める情報として表示装置のような出力手段を介して提示する処理を行なう。すなわち、従来のソフトウェア開発支援システムは、統合制御システム(デバイスと信号)の接続図を図式化し、特定のデバイスが故障(すなわち、出力信号が固定化)した場合を仮設定したうえで、処理の流れを分析し、対応する処理が含まれているかを検証するものであり、信号の固定化に関わらず、制御系が遷移し、同デバイスに処理が戻るケースを検出する(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開昭62−248039号公報
【特許文献2】特開2007−206977号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の制御プログラム分析装置は、設計した統合制御システムの構成における不整合が発生する箇所(制御干渉候補)を、実際に特定するための手段が開示されていない。このため、統合制御システムの接続図を図式化した後に、設計者が、図式化した統合制御システムの接続図を目視にて検証する必要がある。すなわち、多数の制御から構成される複雑な統合制御システムにおいては、信号の流れを漏れなく確認することが困難であり、検証に長時間を要するという問題点があった。
【0011】
なお、従来のソフトウェア開発支援システムは、統合制御システムの構成が正常である場合に、障害(異常事象)に対する信号処理が制御に組み込まれているかを検査するものであり、正常な統合制御システムの構成に対する検査が終了していることが前提となっている。すなわち、設計した統合制御システムの構成における信号の衝突(干渉)を検出するものではない。
【0012】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、統合制御システム全体の中から、不整合を引き起こす制御の組合せを検出することができ、問題のある箇所(制御干渉候補)の発見を効率よく行なうことができると共に、設計者による検出漏れを防止することができる制御干渉候補検出装置及び制御干渉候補検出方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この制御干渉候補検出装置は、統合制御システムのうち、一の信号が並列に複数の制御部にそれぞれ入力される段を検出する複数入力段検出手段と、前記統合制御システムのうち、複数の制御部から出力される信号が単一の制御部に入力される段を検出する単一出力段検出手段と、前記一の信号による前記単一の制御部までの経路を干渉候補として検出する干渉候補検出手段とを備えているものである。
【発明の効果】
【0014】
この制御干渉候補検出装置は、統合制御システムのうち、一の信号が並列に複数の制御部にそれぞれ入力される段を検出する複数入力段検出手段と、前記統合制御システムのうち、複数の制御部から出力される信号が単一の制御部に入力される段を検出する単一出力段検出手段と、前記一の信号による前記単一の制御部までの経路を干渉候補として検出する干渉候補検出手段とを備えることにより、設計した統合制御システムにおける不整合を引き起こす制御の組合せを検出することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
ここで、本発明は多くの異なる形態で実施可能である。したがって、下記の実施形態の記載内容のみで解釈すべきではない。また、下記の実施形態では、主にシステムについて説明するが、いわゆる当業者であれば明らかな通り、本発明はコンピュータで使用可能なプログラム、方法としても実施できる。また、本発明は、ハードウェア、ソフトウェア、又は、ソフトウェア及びハードウェアの実施形態で実施可能である。プログラムは、ハードディスク、CD−ROM、DVD−ROM、光記憶装置又は磁気記憶装置などの任意のコンピュータ可読媒体に記録できる。さらに、プログラムはネットワークを介した他のコンピュータに記録することができる。
【0016】
(本発明の第1の実施形態)
図1は本実施形態に係る制御干渉候補検出システムの概略構成を示すブロック図、図2は本実施形態に係る構成要素情報の一例を説明するための説明図、図3(a)は対象統合制御システムの制御干渉候補を検出するための条件である複数入力段を説明するための説明図、図3(b)は対象統合制御システムの制御干渉候補を検出するための条件である単一出力段を説明するための説明図、図4は図1に示す制御干渉候補検出システムによる処理手順を示すフローチャート、図5は図4に示すフローチャートの続きを示すフローチャート、図6は図5に示すフローチャートの続きを示すフローチャート、図7は対象統合制御システムの一例を示したブロック図、図8は図7に示す対象統合制御システムのブロック図に制御干渉候補を表示した状態の一例を説明するための説明図である。
【0017】
以下の説明においては、本発明の理解を容易にするために、本実施形態に係る制御干渉候補検出システム100による制御干渉候補の検出対象である統合制御システム(以下、対象統合制御システムと称す)として、自動車のエンジンの出力を制御する制御構成を例に挙げて説明する。
【0018】
例えば、図7に示すように、対象統合制御システムは、定速走行制御を含む速度制御部と、パワステ制御部と、カーブ方向にライトを向けるためのライト制御部及びライト方向制御部とを備え、速度制御部は、エンジン出力制御部により自動車の速度を制御している。特に、カーナビを搭載した自動車において、カーブに接近した情報を活用する制御としてカーブ検知制御部を組み込むことを企画したものを想定する。なお、実際の自動車の制御では、シフトの制御などを含む複雑な系であるが、説明を簡略化するために、図示及び説明を省略する。
【0019】
ここで、図7に示す対象統合制御システムは、カーナビがカーブに接近したことを検知して制御信号を発した場合に、まず、速度制御部が、事前に速度を落とすような制御をすることが考えられる。また、パワステ制御部が、ハンドル操作の負担を軽減するために、エンジンからステアリングへのパワーを出力するような制御をすることが考えられる。
すなわち、エンジン出力制御部は、出力を低下させる要求と、出力を上昇させる要求が与えられえるような制御構成になっていることがわかる。
【0020】
以下、本実施形態においては、設計者が対象統合制御システムのブロック図における制御干渉候補を目視により検出するのではなく、制御干渉候補を自動的に検出することができる制御干渉候補検出システム100について説明する。なお、対象統合制御システムは、自動車のエンジン出力制御に限られるものではなく、家庭用電気機器などの制御であっても、本実施形態に係る制御干渉候補検出システム100を使用することができる。
【0021】
統合制御システムは、センサ、スイッチ(SW)、機械や装置などを目的とする状態に保つために適当な操作を加える制御部、又は動力を与えて動かす駆動部などの構成要素と、複数の構成要素間で信号を伝送するための配線とが主な構成である。
【0022】
統合制御システムを表わす情報は、各構成要素を識別する情報(ここでは、構成要素の名称に関する情報)である構成要素識別情報、各構成要素に入力(Input)される入力信号を識別する情報(ここでは、入力信号の名称に関する情報)である入力信号識別情報、各構成要素から出力(Output)される出力信号を識別する情報(ここでは、出力信号の名称に関する情報)である出力信号識別情報を含んでいる。特に、入力信号識別情報及び出力信号識別情報を総称して、信号識別情報とする。
【0023】
図1において、構成要素情報21は、構成要素識別情報を基準にして、統合制御システム全体を表わす情報を分解し、入力信号及び出力信号を構成要素毎に定義した情報である。
【0024】
構成要素情報21は、例えば、図2に示すように、構成要素識別情報が「速度制御部」であれば、入力信号識別情報として「定速制御On/Off」、「第1の接近信号」及び「第2の走行速度」を対応付け、出力信号識別情報として「第1の出力指示」を対応付けてテーブル化したものである。
【0025】
制御干渉候補検出装置10は、構成要素情報21及び入力装置30による選択情報が入力され、対象統合制御システムに対して制御干渉候補を検出し、検出結果を出力装置40に出力する。
【0026】
複数入力段検出手段5は、対象統合制御システムのうち、一の信号が並列に複数の制御部にそれぞれ入力される段(以下、複数入力段と称す)を検出する。なお、この複数入力段は、図3(a)に示すように、構成要素Aからの出力信号が、制御部B1、制御部B2、・・・、制御部Bm(m>=2)からなる複数の制御部にそれぞれ入力される対象統合制御システムの一部分である。
【0027】
単一出力段検出手段4は、対象統合制御システムのうち、複数の制御部から出力される信号が単一の制御部に入力される段(以下、単一出力段と称す)を検出する。なお、この単一出力段は、図3(a)に示すように、制御部C1、制御部C2、・・・、制御部Cn(n>=2)からなる複数の制御部からの出力信号が、単一の制御部Dに入力される対象統合制御システムの一部分である。
【0028】
干渉候補検出手段6は、複数入力段における一の信号による単一出力段における単一の制御部までの経路を干渉候補として検出する。すなわち、対象統合制御システムのうち、上流側に複数入力段及び下流側に単一出力段を検出した場合に、複数入力段にある始端である構成要素と、複数入力段及び単一出力段(複数入力段及び単一出力段間に他の段を介する場合には当該他の段も含む)にある構成要素間の信号とを制御干渉候補として検出する。
制御手段7は、複数入力段検出手段5、単一出力段検出手段4及び干渉候補検出手段6によって検出した制御干渉候補を、検出結果として出力装置40に出力する。
【0029】
なお、制御干渉候補の検出結果は、構成要素情報21に基づき、各構成要素間の信号の向きを矢印で示したブロック図を作成し、ディスプレイに表示する(図7参照)。そして、ブロック図における該当する入力信号及び出力信号の矢印並びに構成要素のブロックを、該当しない入力信号及び出力信号の矢印並びに構成要素のブロックに対して、色彩、線幅若しくは線種又はその組合せを変えて表示することで(図8参照)、制御干渉候補の位置を容易に特定することができる。
【0030】
出力装置40は、ディスプレイやプリンタなどであり、後述する制御干渉候補の検出処理における検出結果を出力するための出力手段である。なお、本実施形態においては、出力装置40としてディスプレイを用いて説明するが、出力装置40はディスプレイに限られるものではない。
【0031】
つぎに、本実施形態に係る制御干渉候補検出システム100による処理手順を、図4乃至図6を用いて説明する。
まず、制御干渉候補検出システム100の操作者は、入力装置30であるマウスやキーボードを用いて、対象統合制御システムを構成するのに必要な構成要素を選択する。これにより、演算手段9は、構成要素情報21を取得する(ステップS101)。
【0032】
演算手段9は、取得した構成要素情報21のうち、入力信号識別情報が存在しない一つの構成要素識別情報を抽出する(ステップS102)。
そして、演算手段9は、抽出した構成要素識別情報に対応付けられた出力信号識別情報が複数存在するか否かを判断する(ステップS103)。
【0033】
ステップS103において、一つの構成要素識別情報に対応付けられた出力信号識別情報が複数存在すると判断した場合には、当該複数の出力信号識別情報に対して、当該同一の構成要素識別情報に対応付けられていることを示す共通の識別コードと当該複数の出力信号識別情報間を区別する識別コードとからなる識別コードを付与すると共に、当該識別コードを付与した出力信号識別情報に共通する入力信号識別情報に対して同一の識別コードを付与する(ステップS104)。例えば、構成要素識別情報「速度センサ」の出力信号識別情報は、「第1の走行速度」、「第2の走行速度」及び「第3の走行速度」であり、共通の識別コードとして「c」を付与し、当該複数の出力信号識別情報間を区別する識別コードとして、「1」、「2」又は「3」をそれぞれ付与する。特に、出力信号識別情報「第1の走行速度」の識別コード「c1」は、構成要素識別情報「カーブ検知制御部」の入力信号識別情報「第1の走行速度」の識別コード「c1」でもある。
【0034】
また、ステップS103において、一つの構成要素識別情報に対応付けられた出力信号識別情報が複数存在しないと判断した場合には、単独の識別コードを付与すると共に、当該識別コードを付与した出力信号識別情報に共通する入力信号識別情報に対して同一の識別コードを付与し(ステップS105)、後述するステップS106に進む。例えば、構成要素識別情報「定速SW」の出力信号識別情報は、「定速制御On/Off」であり、単独の識別コードとして「a」を付与する。特に、出力信号識別情報「定速制御On/Off」の識別コード「a」は、構成要素識別情報「速度制御部」の入力信号識別情報「定速制御On/Off」の識別コード「a」でもある。
【0035】
演算手段9は、ステップS102で抽出した構成要素識別情報に対応付けられた全ての出力信号識別情報に対して、識別コードを付与したか否かを判断する(ステップS106)。
ステップS106において、識別コードを付与していないと判断した場合には、ステップS104に戻る。
【0036】
また、ステップS106において、識別コードを付与したと判断した場合には、演算手段9は、入力信号識別情報が存在しない全ての構成要素識別情報に対応する出力信号識別情報に識別コードを付与したか否かを判断する(ステップS107)。
ステップS107において、識別コードを付与していないと判断した場合には、ステップS102に戻る。
【0037】
また、ステップS107において、識別コードを付与したと判断した場合には、演算手段9は、非選択の構成要素識別情報のうち、全ての入力信号識別情報に識別コードが付与された一つの構成要素識別情報が存在するか否かを判断する(ステップS108)。
【0038】
ステップS108において、構成要素識別情報が存在しないと判断した場合には、対象統合制御システムが不完全なために、ステップS101に戻り、新たな構成要素識別情報を取得する。
【0039】
ステップS108において、構成要素識別情報が存在すると判断した場合には、演算手段9は、非選択の構成要素識別情報のうち、全ての入力信号識別情報に識別コードが付与された一つの構成要素識別情報を抽出する(ステップS109)。
演算手段9は、当該構成要素識別情報に対応付けられた出力信号識別情報が複数存在するか否かを判断する(ステップS110)。
【0040】
ステップS110において、出力信号識別情報が複数存在すると判断した場合には、当該複数の出力信号識別情報に対して、当該構成要素識別情報に対応付けられた入力信号識別情報の識別コードに関連付けた識別コードと当該複数の出力信号識別情報間を区別する識別コードとからなる識別コードを付与すると共に、当該識別コードを付与した出力信号識別情報に共通する入力信号識別情報に対して同一の識別コードを付与する(ステップS111)。例えば、構成要素識別情報「カーブ検知制御部」は、入力信号識別情報「位置」及び「第1の走行速度」の識別コードがそれぞれ「b」及び「c1」であり、入力信号識別情報の識別コードに関連付けた識別コードとして「b+c1」を付与し、当該複数の出力信号識別情報間を区別する識別コードとして、「1」、「2」又は「3」をそれぞれ付与する。
【0041】
また、ステップS110において、出力信号識別情報が複数存在しないと判断した場合には、当該複数の出力信号識別情報に対して、当該構成要素識別情報に対応付けられた入力信号識別情報の識別コードに関連付けた識別コードを付与すると共に、当該識別コードを付与した出力信号識別情報に共通する入力信号識別情報に対して同一の識別コードを付与し(ステップS112)、後述するステップS113に進む。例えば、構成要素識別情報「速度制御部」は、入力信号識別情報「定速On/Off」、「第2の走行速度」及び「第1の接近信号」の識別コードがそれぞれ「a」、「c2」及び「(b+c1)1」であり、入力信号識別情報の識別コードに関連付けた識別コードとして「a+c2+(b+c1)1」を出力信号識別情報「第1の出力指示」に付与する。特に、出力信号識別情報「第1の出力指示」の識別コード「a+c2+(b+c1)1」は、構成要素識別情報「エンジン出力制御部」の入力信号識別情報「第1の出力指示」の識別コード「a+c2+(b+c1)1」でもある。
【0042】
演算手段9は、ステップS109で抽出した構成要素識別情報に対応付けられた全ての出力信号識別情報に対して、識別コードを付与したか否かを判断する(ステップS113)。
ステップS113において、識別コードを付与していないと判断した場合には、ステップS111に戻る。
【0043】
また、ステップS113において、識別コードを付与したと判断した場合には、演算手段9は、全ての構成要素識別情報に対応する出力信号識別情報に識別コードを付与したか否かを判断する(ステップS114)。
ステップS114において、識別コードを付与していないと判断した場合には、ステップS109に戻る。
【0044】
また、ステップS114において、識別コードを付与したと判断した場合には、複数入力段検出手段5は、複数の出力信号識別情報が対応付けられた構成要素識別情報及び当該出力信号識別情報の識別コードを検出する(ステップS115)。
【0045】
なお、図7に示す対象統合制御システムにおいては、該当する構成要素識別情報として、「速度センサ」、「舵角センサ」及び「カーブ検知制御部」を検出することになる。また、構成要素識別情報「速度センサ」に対応付けられた出力信号識別情報の識別コードとして、「c1」、「c2」及び「c3」を検出することになる。また、構成要素識別情報「舵角センサ」に対応付けられた出力信号識別情報の識別コードとして、「d1」及び「d2」を検出することになる。さらに、構成要素識別情報「カーブ検知制御部」に対応付けられた出力信号識別情報の識別コードとして、「(b+c1)1」、「(b+c1)2」及び「(b+c1)3」を検出することになる。
【0046】
また、単一出力段検出手段4は、複数の入力信号識別情報が対応付けられた構成要素識別情報及び出力信号識別情報の識別コードを検出する(ステップS116)。
【0047】
なお、図7に示す対象統合制御システムにおいては、該当する構成要素識別情報として、「カーブ検知制御部」、「速度制御部」、「パワステ制御部」、「ライト制御部」及び「エンジン出力制御部」を検出することになる。また、構成要素識別情報「カーブ検知制御部」に対応付けられた出力信号識別情報の識別コードとして、「(b+c1)1」、「(b+c1)2」及び「(b+c1)3」を検出することになる。また、構成要素識別情報「速度制御部」に対応付けられた出力信号識別情報の識別コードとして、「a+c2+(b+c1)1」を検出することになる。さらに、構成要素識別情報「パワステ制御部」に対応付けられた出力信号識別情報の識別コードとして、「(b+c1)2+c3+d1」を検出することになる。また、構成要素識別情報「エンジン出力制御部」に対応付けられた出力信号識別情報の識別コードとして、「a+c2+(b+c1)1」及び「(b+c1)2+c3+d1」を検出することになる。
【0048】
そして、干渉候補検出手段6は、ステップS115において検出した出力信号識別情報の識別コードであって、一つの構成要素識別情報に対応付けられた複数の出力信号識別情報のうち、少なくとも二つの出力信号識別情報の識別コードが、ステップS116において検出した出力信号識別情報の識別コードであって、一つの構成要素識別情報に対応付けられた単一の出力信号識別情報の識別コードに包含されているか否かを判断する(ステップS117)。図7に示す対象統合制御システムにおいては、(b+c1)及びcが包含されていると判断されることになる。
【0049】
ステップS117において、包含されていないと判断した場合には、制御干渉候補が存在しないことを意味し、処理を終了する。
ステップS117において、包含されていると判断した場合には、干渉候補検出手段6は、当該包含されている識別コードが付与された出力信号識別情報に対応付けられた構成要素識別情報を始端とし、当該識別コードを包含する識別コードが付与された出力信号識別情報に対応付けられた構成要素識別情報を終端とする、当該始端及び終端、並びに当該始端及び終端に識別コードによって対応付けられた構成要素識別情報及び信号情報識別情報からなる制御干渉候補を検出する(ステップS118)。
【0050】
なお、図7に示す対象統合制御システムにおいては、始端として「速度センサ」及び「カーブ検知制御部」を検出し、終端として「エンジン制御部」を検出することになる。また、始端及び終端に識別コードによって対応付けられた構成要素識別情報は「カーブ検知制御部」、「速度制御部」及び「パワステ制御部」であり、信号情報識別情報は「第1の走行速度」、「第2の走行速度」、「第3の走行速度」、「第1の接近信号」、「第2の接近信号」、「第1の出力指示」及び「第2の出力指示」である。
【0051】
そして、出力装置40であるディスプレイによって表示される対象統合制御システムのブロック図に対して、ステップS115において検出された制御干渉候補のうち、始端である構成要素識別情報に該当する構成要素のブロックを強調すると共に、入力信号識別情報に該当する矢印を強調して、制御干渉候補をディスプレイに表示する(ステップS119)。そして、処理を終了する。
【0052】
(本発明の第2の実施形態)
図9は本実施形態に係る制御干渉候補検出システムの概略構成を示すブロック図、図10(a)は本実施形態に係る構成要素情報テーブルに格納された構成要素単位の定義例を説明するための説明図、図10(b)は本実施形態に係る制御グループ情報テーブルに格納された制御グループの定義例を説明するための説明図、図11は本実施形態に係る構成要素一覧の一例を説明するための説明図、図12は本実施形態に係る構成要素関係テーブルの一例を説明するための説明図、図13は本実施形態に係る検出信号一覧の一例を説明するための説明図、図14は本実施形態に係る検出構成要素一覧の一例を説明するための説明図、図15は図1に示す制御干渉候補検出システムによる処理手順を示すフローチャート、図16は図15に示すフローチャートの続きを示すフローチャート、図17は対象統合制御システムの一例を示したブロック図、図18は図17に示す対象統合制御システムのブロック図に制御干渉候補を表示した状態の一例を説明するための説明図である。図9乃至図18において、図1乃至図8と同じ符号は、同一または相当部分を示し、その説明を省略する。
【0053】
図9において、構成要素情報20は、入力信号識別情報と出力信号識別情報とを基準にして、統合制御システム全体を表わす情報を分解し、一の出力信号を算出するための入力信号を構成要素毎に定義した情報である。
【0054】
すなわち、1個の構成要素識別情報と1(又は0)個の出力信号識別情報に対してM(M>=0)個の入力信号識別情報の対応を整理してデータ化したものである。なお、制御信号を伝送する始端である構成要素(例えば、センサやSWなど)に対しては、入力信号がなく、出力信号のみが存在するために、入力信号識別情報の個数が0となる。また、制御信号が伝送される終端である構成要素(例えば、駆動部)に対しては、出力信号がなく、入力信号のみが存在するために、出力信号識別情報の個数が0個となる。なお、構成要素の外部からの入出力の有無に関わらず、構成要素の内部信号としての入出力の単位で分解してもよい。
【0055】
構成要素情報20は、例えば、図10(a)に示すように、構成要素識別情報が「速度制御部」であれば、入力信号識別情報として「定速制御On/Off」、「接近信号」及び「走行速度」を対応付け、出力信号識別情報として「出力指示」を対応付けてテーブル化した、構成要素情報テーブル20aとする。なお、構成要素識別情報が「速度制御部」である場合について説明したが、統合制御システムを構成する他の構成要素識別情報に対しても同様に、入力信号識別情報及び出力信号識別情報を対応付けた構成要素情報が存在し、構成要素情報テーブル20aに格納されている。
【0056】
ここで、対象統合制御システムに対する制御干渉候補検出システム100による後述する処理においては、制御干渉候補検出システム100の操作者が、構成要素情報テーブル20aから必要な構成要素識別情報をマウスやキーボードなどの入力装置30によって選択する。この場合に、対象統合制御システムとして大規模な(多数の構成要素から構成される)システムを対象にするのであれば、多大な選択操作が必要となる。
【0057】
これに対し、対象統合制御システムを構成する制御部のうち、複数の制御部により一定の制御を行なうであれば、当該複数の制御部の構成要素識別情報を制御グループ識別情報に対応付けてグループ化し、データ化することも考えられる。ここで、制御グループ識別情報は、制御グループを識別する情報(ここでは、制御グループの名称に関する情報)である。
【0058】
この場合に、構成要素情報20は、例えば、図10(b)に示すように、制御グループ識別情報が「エンジン制御」であれば、構成要素識別情報として「速度制御部」及び「エンジン出力制御部」を対応付けてテーブル化した、制御グループ情報テーブル20bとする。なお、制御グループ識別情報が「エンジン制御」である場合について説明したが、複数の制御部により一定の制御を行なう他の制御グループが存在するのであれば、当該他の制御グループ識別情報に対しても同様に、複数の制御部の構成要素識別情報を対応付けた制御グループ情報が存在し、制御グループ情報テーブル20bに格納されている。
【0059】
このように、複数の制御部の構成要素識別情報を制御グループ識別情報に対応付けてグループ化することで、1つの制御グループ識別情報を選択すると、複数の制御部の構成要素識別情報を選択することができる。このため、対象の構成要素の全てを容易に(選択回数を減少させて)選択することができ、制御干渉候補検出システム100の操作性を向上させることができる。
【0060】
構成要素一覧作成手段1は、操作者が入力装置30によって選択した構成要素に対応する構成要素情報20を、構成要素情報テーブル20a及び制御グループ情報テーブル20bから読出し、対象統合制御システムの各構成要素に対する信号識別情報を、構成要素識別情報に対応付けた構成要素一覧1aをメモリである記憶手段8上に作成する。
【0061】
なお、構成要素一覧1aは、図17に示す対象統合制御システムに対して、例えば、図11に示すように各識別情報が対応付けられる。すなわち、構成要素一覧1aは、1個の構成要素識別情報と1(又は0)個の出力信号識別情報に対して、M(M>=0)個の入力信号識別情報の対応付けられている。
【0062】
構成要素関係テーブル作成手段2は、構成要素一覧1aに基づき、各構成要素の構成要素識別情報に一の入力信号又は一の出力信号の信号識別情報を信号の種別(ここでは、入力又は出力を表わすIn/Out)を示す信号種別情報と共に対応付け、信号識別情報が同一である複数の入力信号及び出力信号の各信号識別情報に同一の識別情報(ここでは、信号番号)を対応付け、信号識別情報が異なる複数の入力信号及び出力信号の各信号識別情報に異なる識別情報(信号番号)を対応付けた、構成要素関係テーブル2aを記憶手段8上に作成する。
【0063】
なお、構成要素関係テーブル2aは、図17に示す対象統合制御システムに対して、例えば、図12に示すように各識別情報が対応付けられる。すなわち、構成要素関係テーブル2aは、図11に示す構成要素一覧1aにおける異なる列にある入力信号識別情報及び出力信号識別情報を、同一の列となるように並び替えている。また、同一の列となった入力信号識別情報及び出力信号識別情報のうち同一の信号識別情報には同一の信号番号を付与し、異なる信号識別情報には異なる信号番号を付与している。
【0064】
干渉候補一覧作成手段3は、構成要素関係テーブル2aに基づき、信号識別情報が同一である複数の出力信号の各信号識別情報に対応付けられた同一の識別情報を抽出し、当該抽出した識別情報に対応する入力信号の信号識別情報を起点として、構成要素関係テーブル2aに基づき、対応する構成要素の構成要素識別情報及び入力信号の入力信号識別情報を順次検出し、検出した入力信号の入力信号識別情報からなる検出信号一覧3a及び構成要素の構成要素識別情報からなる検出構成要素一覧3bを記憶手段8上に作成する。
【0065】
単一出力段検出手段4は、前述した第1の実施形態で説明したが、特に、本実施形態においては、検出信号一覧3aの信号識別情報のうち起点である入力信号の信号識別情報、検出構成要素一覧3bの構成要素識別情報うち当該起点である入力信号の信号識別情報に対応付けられた構成要素識別情報、及び構成要素関係テーブル2aの構成要素識別情報のうち当該起点である入力信号の信号識別情報に対応付けられた構成要素識別情報から構成される段を検出して、干渉候補検出手段6に出力する。
【0066】
複数入力段検出手段5は、前述した第1の実施形態で説明したが、特に、本実施形態においては、検出信号一覧3aの入力信号の信号識別情報のうち重複して検出した入力信号の信号識別情報、検出構成要素一覧3bの構成要素識別情報のうち当該重複して検出した入力信号の信号識別情報に対応付けられた構成要素識別情報、及び構成要素関係テーブル2aの構成要素識別情報のうち当該重複して検出した入力信号の信号識別情報に対応付けられた構成要素識別情報から構成される段を検出して、干渉候補検出手段6に出力する。
【0067】
干渉候補検出手段6は、前述した第1の実施形態で説明したが、特に、本実施形態においては、単一出力段検出手段4により検出された段及び複数入力段検出手段5により検出された段、並びに検出信号一覧3a及び検出構成要素一覧3bに基づき、干渉候補を検出する。
【0068】
制御手段7は、前述した第1の実施形態で説明したが、特に、本実施形態においては、干渉候補一覧作成手段3により作成した検出信号一覧3a及び検出構成要素一覧3bに基づき、制御干渉候補の検出結果を出力装置40に出力する。
【0069】
なお、制御干渉候補の検出結果は、図13(c)及び図14(c)に示すような表として出力してもよいが、構成要素関係テーブル2aに基づき、各構成要素間の信号の向きを矢印で示したブロック図を作成し、ディスプレイに表示する(図17参照)。そして、検出信号一覧3a及び検出構成要素一覧3bに基づき、ブロック図における該当する入力信号及び出力信号の矢印並びに構成要素のブロックを、該当しない入力信号及び出力信号の矢印並びに構成要素のブロックに対して、色彩、線幅若しくは線種又はその組合せを変えて表示することで(図18参照)、制御干渉候補の位置を容易に特定することができるので好ましい。
【0070】
つぎに、本実施形態に係る制御干渉候補検出システム100による処理手順を、図15及び図16を用いて説明する。
まず、制御干渉候補検出システム100の操作者は、入力装置30であるマウスやキーボードを用いて、対象統合制御システムを構成するのに必要な構成要素又は制御グループを選択する。これにより、構成要素一覧作成手段1は、構成要素情報テーブル20aから構成要素識別情報又は制御グループ情報テーブル20bから制御グループ識別情報を取得する(ステップS1)。
【0071】
構成要素一覧作成手段1は、制御グループの指定(制御グループ識別情報の取得)があったか否かを判断する(ステップS2)。
ステップS2において、制御グループの指定があったと判断した場合には、構成要素一覧作成手段1は、指定された制御グループ識別情報に基づき、制御グループ情報テーブル20b(図10(b)参照)から、当該制御グループ識別情報に対応付けられた構成要素識別情報を取得する(ステップS3)。
【0072】
構成要素一覧作成手段1は、取得した構成要素識別情報に基づき、構成要素情報テーブル20a(図10(a)参照)から、当該構成要素識別情報に対応付けられた入力信号識別情報及び出力信号識別情報を取得して、構成要素一覧1aに格納する(ステップS4)。
【0073】
また、ステップS2において、制御グループの指定がなかったと判断した場合には、ステップS4に進む。そして、構成要素一覧作成手段1は、ステップS1において取得した構成要素識別情報に基づき、構成要素情報テーブル20aから、当該構成要素識別情報に対応付けられた入力信号識別情報及び出力信号識別情報を取得して、構成要素一覧1aに格納する。
そして、構成要素又は制御グループの選択が終了したか否かを判断する(ステップS5)。
【0074】
ステップS5において、構成要素又は制御グループの選択が終了していないと判断した場合には、ステップS1に戻る。
【0075】
また、ステップS5において、構成要素又は制御グループの選択が終了したと判断した場合には、構成要素一覧1a(図11参照)が作成できたことを意味し、構成要素関係情報作成処理に入る。
【0076】
まず、構成要素関係テーブル作成手段2は、構成要素一覧1aから、一連の構成要素識別情報、入力信号識別情報及び出力信号識別情報を取得する(ステップS6)。
【0077】
構成要素関係テーブル作成手段2は、取得した一連の構成要素識別情報、入力信号識別情報及び出力信号識別情報に基づき、構成要素識別情報と信号識別情報(入力信号識別情報又は出力信号識別情報)とを信号の種別(In/Out)を示す信号種別情報(IO情報)と共に一組(図12における一行)として、構成要素関係テーブル2aに格納する(ステップS7)。
そして、構成要素関係テーブル作成手段2は、構成要素関係テーブル2aにおける第N行目の信号識別情報を取得する(ステップS8)。
【0078】
また、構成要素関係テーブル作成手段2は、前出の信号識別情報と同一か否かを判断する(ステップS9)。なお、前出の信号識別情報とは、図12に示す構成要素関係テーブル2aにおいて、構成要素関係テーブル作成手段2が、第1行目、第2行目、・・・、第N行目と上から順番に信号識別情報を取得していく場合には、第1行目〜第N−1行目で取得した信号識別情報である。
【0079】
ステップS9において、前出の信号識別情報と同一であると判断した場合には、構成要素関係テーブル作成手段2は、同一である前出の信号識別情報に対応付けられた識別情報(信号番号)を構成要素関係テーブル2aに設定する(ステップS10)。例えば、図12に示す構成要素関係テーブル2aにおいて、第6行目の信号識別情報「位置」は、前出の第2行目の信号識別情報「位置」と同一であるために、第2行目の信号識別情報「位置」に対応付けられた識別情報「2」を、第6行目の識別情報に「2」を設定することになる。
そして、構成要素関係テーブル作成手段2は、全ての行に対して識別情報(信号番号)の設定が終了したか否かを判断する(ステップS11)。
【0080】
ステップS11において、全ての行に対して識別情報の設定が終了していないと判断した場合には、ステップS8に戻る。
【0081】
また、ステップS11において、全ての行に対して識別情報(信号番号)の設定が終了したと判断した場合には、構成要素関係テーブル2a(図12参照)が作成できたことを意味し、制御干渉候補検出処理に入る。
ここで、構成要素における必要な出力を得るために入力が不足する場合には、この段階で、信号の不足を検出することができる。
【0082】
また、構成要素関係テーブル2aは、構成要素をブロックとして、ブロックの左側を構成要素の入力側とし、ブロックの右側を構成要素の出力側とすることで、回路図と同等の図面(ブロック図)として、図17のように図示することができる。
【0083】
なお、ステップS9において、前出の信号識別情報と同一でない(異なる)と判断した場合には、構成要素関係テーブル作成手段2は、新規の識別情報(信号番号)を構成要素関係テーブル2aに設定し、ステップ11に戻る(ステップS12)。
【0084】
つぎに、制御干渉候補検出処理においては、まず、演算手段9は、構成要素関係テーブル2aの全ての行に対して、識別情報(信号番号)が同一であり、信号種別情報が出力信号(Out)である複数の行の存在確認が終了したか否かを判断する(ステップS13)。
【0085】
ステップS13において、存在確認が終了したと判断した場合には、制御干渉候補検出処理を終了する。
また、ステップS13において、存在確認が終了していないと判断した場合には、干渉候補一覧作成手段3は、構成要素関係テーブル2aにおける存在確認が終了していない第N行目の識別情報(信号番号)を取得する(ステップS14)。
【0086】
そして、干渉候補一覧作成手段3は、取得した識別情報(信号番号)と同一の識別情報(信号番号)である行を構成要素関係テーブル2aから抽出する(ステップS15)。
干渉候補一覧作成手段3は、ステップS15で抽出した行のうち、信号種別情報が出力信号(Out)である行の数が1つであるか否かを判断する(ステップS16)。
【0087】
ステップS16において、信号種別情報が出力信号(Out)である行の数が1つであると判断した場合には、ステップS13に戻る。
また、ステップS16において、信号種別情報が出力信号(Out)である行の数が1つでない(複数である)と判断した場合には、干渉候補一覧作成手段3は、当該信号種別情報が出力信号(Out)である行の構成要素識別情報を検出構成要素一覧3bに格納する(ステップS17)。なお、後述するステップS21を経た場合には、後述するステップS20で抽出した信号識別情報のうち、新たに検出した信号識別情報に共通する信号識別情報を出力信号(Out)とする行の構成要素識別情報を検出構成要素一覧3bに格納する。
【0088】
ここでは、干渉候補一覧作成手段3がステップS15で抽出した行が、図12に示す構成要素関係テーブル2aにおいて、第8行目、第12行目及び第20行目であり、これらの行のうち、信号種別情報が出力信号(Out)である行(第8行目、第12行目)の構成要素識別情報(「速度制御部」、「パワステ制御部」)を検出構成要素一覧3b(図14(a)参照)に格納する。
【0089】
また、干渉候補一覧作成手段3は、ステップ15で抽出した行のうち信号種別情報が出力信号(Out)である行の信号識別情報又は後述するステップS20で抽出した信号識別情報を検出信号一覧3aに格納する(ステップS18)。
【0090】
ここでは、干渉候補一覧作成手段3がステップS15で抽出した行が、図12に示す構成要素関係テーブル2aにおいて、第8行目、第12行目及び第20行目であり、これらの行のうち、信号種別情報が出力信号(Out)である行(第8行目、第12行目)の信号識別情報(「出力指示」)を検出信号一覧3a(図13(a)参照)に格納する。
【0091】
ここで、単一出力段検出手段4は、検出信号一覧3a(ここでは、図13(a))及び検出構成要素一覧3b(ここでは、図14(a))並びに構成要素関係テーブル2aに基づき、入力信号及び出力信号の信号識別情報並びに構成要素の構成要素識別情報から構成される段を検出することができる。
【0092】
そして、干渉候補一覧作成手段3は、ステップ15で抽出した行のうち信号種別情報が出力信号(Out)である行の信号識別情報又は後述するステップS20で抽出した信号識別情報に共通する信号識別情報を出力信号(Out)とする行の構成要素識別情報を、構成要素関係テーブル2aから抽出する(ステップS19)。
【0093】
ここでは、干渉候補一覧作成手段3がステップ15で抽出した行のうち信号種別情報が出力信号(Out)である行が、図12に示す構成要素関係テーブル2aにおいて、第8行目及び第12行目であり、これらの行の信号識別情報が「出力指示」である。このため、この入力信号識別情報(「出力指示」)を出力信号(Out)とする構成要素識別情報は、「速度制御部」(第8行目)及び「パワステ制御部」(第12行目)である。
【0094】
また、干渉候補一覧作成手段3は、ステップS19で抽出した構成要素識別情報(ここでは、「速度制御部」、「パワステ制御部」)に対応付けられた入力信号識別情報(信号種別情報を「In」とする信号識別情報)を構成要素関係テーブル2aから抽出する(ステップS20)。
【0095】
ここでは、構成要素識別情報「速度制御部」(第8行目)に対応付けられた入力信号識別情報は、「定速制御On/Off」(第9行目)、「接近信号」(第10行目)及び「走行速度」(第11行目)である。
【0096】
また、構成要素識別情報「パワステ制御部」(第12行目)に対応付けられた入力信号識別情報は、「接近信号」(第13行目)、「走行速度」(第14行目)及び「角度」(第15行目)である。
【0097】
そして、干渉候補一覧作成手段3は、ステップS20で入力信号識別情報を抽出できたか否かと、入力信号識別情報を抽出できた場合には、抽出した入力信号識別情報が、新たに検出した入力信号識別情報であるか否か(既に検出している入力信号識別情報であるか)とを判断する(ステップS21)。なお、抽出した入力信号識別情報が、新たに検出した入力信号識別情報であって、重複して抽出した入力信号識別情報については、後述するステップS22の処理も行なうこととする。
【0098】
ステップS21において、新たに検出した入力信号識別情報であると判断した場合には、ステップS17に戻る。
ここでは、ステップS20で抽出した入力信号識別情報が「定速制御On/Off」、「接近信号」、「走行速度」、「接近信号」、「走行速度」及び「角度」であり、新たに検出した入力信号識別情報であるために、ステップS17に戻る。また、「接近信号」及び「走行速度」については、重複して検出しているために、後述するステップS22の処理も行なう。
【0099】
また、ステップS21において、新たに検出した入力信号識別情報ではない(既に検出している入力信号識別情報である)と判断した場合には、干渉候補一覧作成手段3は、制御干渉候補として、ステップS19で抽出した構成要素識別情報のうち、重複して検出した構成要素識別情報に対応する検出構成要素一覧3bの構成要素識別情報にフラグを設定し(ステップS22)、ステップS13に戻る。また、ステップS20で抽出した入力信号識別情報のうち、重複して検出した入力信号識別情報に対応する検出信号一覧3aの信号識別情報にフラグを設定する。
【0100】
また、ステップS21において、入力信号識別情報を抽出できなかったと判断した場合には、干渉候補検出手段6は、検出構成要素一覧3b及び検出信号一覧3aにおけるフラグの設定の有無から、制御干渉候補が存在しているか否かを判断する(ステップS23)。
【0101】
ステップS23において、制御干渉候補が存在していないと判断した場合には、ステップS13に戻る。
また、ステップS23において、制御干渉候補が存在していると判断した場合には、干渉候補検出手段6は、構成要素関係テーブル2aに基づき、出力装置40であるディスプレイによって表示される対象統合制御システムのブロック図に対して、検出構成要素一覧3bにおけるフラグが設定された構成要素識別情報に該当する構成要素のブロックを強調すると共に、検出信号一覧3aにおける入力信号識別情報に該当する矢印を強調して、制御干渉候補をディスプレイに表示する(ステップS24)。そして、ステップ13に戻る。
【0102】
そして、ステップS13〜ステップS24の処理を、構成要素関係テーブル2aの全ての行に対して、識別情報(信号番号)が同一であり、信号種別情報が出力信号(Out)である複数の行の存在確認が終了する(ステップS13にて「Yes」という判断となる)まで繰り返す。
【0103】
なお、図17に示す統合制御システムを対象統合制御システムとして制御干渉候補を検出する場合には、前述したステップS21の続きとして、以下のように処理することになる。
ステップS21において、新たに検出した入力信号識別情報であると判断されたために、ステップS17に戻る。
【0104】
干渉候補一覧作成手段3は、ステップS20で抽出した信号識別情報(「定速制御On/Off」、「接近信号」、「走行速度」、「接近信号」、「走行速度」、「角度」)のうち、新たに検出した信号識別情報に共通する信号識別情報を出力信号(Out)とする行(第1行目、第5行目、第3行目、第4行目)の構成要素識別情報(「定速SW」、「カーブ検知制御部」、「速度センサ」、「舵角センサ」)を検出構成要素一覧3b(図14(b)参照)に格納する(ステップS17a)。なお、ステップS20で抽出した信号識別情報のうち、「接近信号」及び「走行速度」については、重複して検出しているために、対応する構成要素識別情報である「カーブ検知制御部」及び「速度センサ」は、ステップ22aにおいて、検出構成要素一覧3bの構成要素識別情報にフラグを設定する。
【0105】
また、干渉候補一覧作成手段3は、ステップS20で抽出した信号識別情報(「定速制御On/Off」、「接近信号」、「走行速度」、「接近信号」、「走行速度」、「角度」)を検出信号一覧3a(図13(b)参照)に格納する(ステップS18a)。
【0106】
そして、干渉候補一覧作成手段3は、ステップS20で抽出した信号識別情報(「定速制御On/Off」、「接近信号」、「走行速度」、「接近信号」、「走行速度」、「角度」)に共通する信号識別情報を出力信号(Out)とする行(第1行目、第5行目、第3行目、第4行目)の構成要素識別情報(「定速SW」、「カーブ検知制御部」、「速度センサ」、「舵角センサ」)を、構成要素関係テーブル2aから抽出する(ステップS19a)。
【0107】
また、干渉候補一覧作成手段3は、ステップS19aで抽出した構成要素識別情報(「定速SW」、「カーブ検知制御部」、「速度センサ」、「舵角センサ」)に対応付けられた入力信号識別情報(「位置」(第6行目)、「走行速度」(第7行目))を構成要素関係テーブル2aから抽出する(ステップS20a)。
【0108】
そして、干渉候補一覧作成手段3は、ステップS20aで入力信号識別情報を抽出できたか否かと、入力信号識別情報を抽出できた場合には、抽出した入力信号識別情報が新たに検出した入力信号識別情報であるか否かと、を判断する(ステップS21a)。
【0109】
ここでは、ステップS20aで入力信号識別情報(「位置」、「走行速度」)を抽出できた場合であり、抽出した入力信号識別情報(「位置」)が新たに検出した入力信号識別情報であると判断するために、ステップS17に戻る。
【0110】
干渉候補一覧作成手段3は、ステップS20aで抽出した信号識別情報(「位置」、「走行速度」)のうち、新たに検出した信号識別情報(「位置」)に共通する信号識別情報を出力信号(Out)とする行(第2行目)の構成要素識別情報(「GPSセンサ」)を検出構成要素一覧3b(図14(c)参照)に格納する(ステップS17b)。なお、ステップS20aで抽出した信号識別情報のうち、「走行速度」については、既に検出しているために、対応する構成要素識別情報である「速度センサ」は、ステップ22bにおいて、検出構成要素一覧3bの構成要素識別情報にフラグを設定する。
【0111】
また、干渉候補一覧作成手段3は、ステップS20aで抽出した信号識別情報(「位置」、「走行速度」)を検出信号一覧3a(図13(c)参照)に格納する(ステップS18b)。
【0112】
そして、干渉候補一覧作成手段3は、ステップS20aで抽出した信号識別情報(「位置」、「走行速度」)に共通する信号識別情報を出力信号(Out)とする行(第2行目、第3行目)の構成要素識別情報(「GPSセンサ」、「速度センサ」)を、構成要素関係テーブル2aから抽出する(ステップS19b)。
【0113】
また、干渉候補一覧作成手段3は、ステップS19bで抽出した構成要素識別情報(「GPSセンサ」、「速度センサ」)に対応付けられた入力信号識別情報(ここでは、存在しない)を構成要素関係テーブル2aから抽出する(ステップS20b)。
【0114】
そして、干渉候補一覧作成手段3は、ステップS20bで入力信号識別情報を抽出できたか否かと、入力信号識別情報を抽出できた場合には、抽出した入力信号識別情報が新たに検出した入力信号識別情報であるか否かと、を判断する(ステップS21b)。
【0115】
ここでは、ステップS20bで入力信号識別情報を抽出できなかった場合であり、ステップS23に進む。
そして、干渉候補検出手段6は、検出構成要素一覧3b及び検出信号一覧3aにおけるフラグの設定の有無から、制御干渉候補が存在しているか否かを判断する(ステップS23b)。
【0116】
ここでは、制御干渉候補が存在していると判断した場合であり、干渉候補検出手段6は、構成要素関係テーブル2aに基づき、出力装置40であるディスプレイによって表示される対象統合制御システムのブロック図(図17参照)に対して、検出構成要素一覧3bにおけるフラグが設定された構成要素識別情報(「カーブ検知制御部」、「速度センサ」)に該当する構成要素のブロックを強調すると共に、検出信号一覧3aにおける入力信号識別情報(「出力指示」、「定速制御On/Off」、「接近信号」、「走行速度」、「角度」、「位置」)に該当する矢印を強調して、制御干渉候補をディスプレイに表示する(ステップS24b)。
【0117】
なお、ディスプレイに表示する例としては、例えば、図14(c)に示す検出構成要素一覧3bにおけるフラグが設定された構成要素識別情報に対応するブロックの枠内を着色し、図13(c)に示す検出信号一覧3aにおける入力信号識別情報に該当する矢印の線幅を太くした、図18に示すようなブロック図を表示することが考えられる。
【0118】
そして、ステップ13に戻り、構成要素関係テーブル2aの全ての行に対して、識別情報(信号番号)が同一であり、信号種別情報が出力信号(Out)である複数の行の存在確認が終了したために、制御干渉候補検出処理を終了する。
【0119】
ここで、複数入力段検出手段5は、検出構成要素一覧3b(図14(c)参照)における構成要素識別情報のうち、重複して検出した構成要素識別情報(「カーブ検知制御部」)、当該検出した構成要素識別情報に対応する構成要素関係テーブル2a(図12参照)における出力信号の信号識別情報(「接近信号」)、並びに当該出力信号の信号識別情報に共通する入力信号の識別情報に対応する構成要素の構成要素識別情報(「速度制御部」、「パワステ制御部」及び「ライト制御部」)から構成される段を検出することができる。また、複数入力段検出手段5は、検出構成要素一覧3b(図14(c)参照)における構成要素識別情報のうち、重複して検出した構成要素識別情報(「速度センサ」)、当該検出した構成要素識別情報に対応する構成要素関係テーブル2a(図12参照)における出力信号の信号識別情報(「走行速度」)、並びに当該出力信号の信号識別情報に共通する入力信号の識別情報に対応する構成要素の構成要素識別情報(「カーブ検知制御部」、「速度制御部」及び「パワステ制御部」)から構成される段を検出することができる。
【0120】
なお、図18に示すブロック図を検証したところ、この対象統合制御システムは、自動車が特定の速度である場合と自動車がカーブに接近した場合に、エンジン出力に対して矛盾した出力指示の信号が発生する可能性があることがわかる。
【0121】
また、本実施形態においては、信号識別情報(信号名)を用いて説明したが、信号識別情報(信号名)をさらに細分化した「出力Up要求」及び「出力Down要求」のように、定義してもよい。この場合は、同種の信号としてグループ化を行ない、グループ名を信号名に置き換えて前述した処理を行なうことになる。
【0122】
以上のように、本実施形態に係る制御干渉候補検出装置10においては、対象統合制御システム全体の中から、制御の不整合を引き起こす制御の組合せを検出することにより、問題箇所の発見を効率的に行なえると共に、設計者が目視にて検証する場合に起こり得る検出漏れを防ぐことができるという作用効果を奏する。
【0123】
[付記] 以上の実施例1を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 複数の制御部を統合的に実行する統合制御システムの各制御部による干渉候補を検出する制御干渉候補検出装置において、前記統合制御システムのうち、一の信号が並列に複数の制御部にそれぞれ入力される段を検出する複数入力段検出手段と、前記統合制御システムのうち、複数の制御部から出力される信号が単一の制御部に入力される段を検出する単一出力段検出手段と、前記一の信号による前記単一の制御部までの経路を干渉候補として検出する干渉候補検出手段とを備えていることを特徴とする制御干渉候補検出装置。
【0124】
(付記2) 前記統合制御システムの各構成要素に対する入力信号及び/又は出力信号を識別する情報である信号識別情報を、当該各構成要素を識別する情報である構成要素識別情報に対応付けた構成要素一覧を作成する構成要素一覧作成手段と、前記構成要素一覧に基づき、前記各構成要素識別情報に一の入力信号又は一の出力信号の信号識別情報を信号の種別を示す信号種別情報と共に対応付け、前記信号識別情報が同一である複数の入力信号及び出力信号の各信号識別情報に同一の識別情報を対応付け、前記信号識別情報が異なる複数の入力信号及び出力信号の各信号識別情報に異なる識別情報を対応付けた、構成要素関係テーブルを作成する構成要素関係テーブル作成手段と、前記構成要素関係テーブルに基づき、前記信号識別情報が同一である複数の出力信号の各信号識別情報に対応付けられた同一の識別情報を抽出し、当該抽出した識別情報に対応する入力信号の信号識別情報を起点として、前記構成要素関係テーブルに基づき、対応する構成要素識別情報及び入力信号の信号識別情報を順次検出し、検出した入力信号の信号識別情報からなる検出信号一覧及び構成要素識別情報からなる検出構成要素一覧を作成する干渉候補一覧作成手段とを備えていることを特徴とする制御干渉候補検出装置。
【0125】
(付記3) 前記単一出力段検出手段が、前記検出信号一覧の信号識別情報のうち起点である入力信号の信号識別情報、前記検出構成要素一覧の構成要素識別情報うち当該起点である入力信号の信号識別情報に対応付けられた構成要素識別情報、及び前記構成要素関係テーブルの構成要素識別情報のうち当該起点である入力信号の信号識別情報に対応付けられた構成要素識別情報から構成される段を検出することを特徴とする制御干渉候補検出装置。
【0126】
(付記4) 前記複数入力段検出手段が、前記検出信号一覧の入力信号の信号識別情報のうち重複して検出した入力信号の信号識別情報、前記検出構成要素一覧の構成要素識別情報のうち当該重複して検出した入力信号の信号識別情報に対応付けられた構成要素識別情報、及び前記構成要素関係テーブルの構成要素識別情報のうち当該重複して検出した入力信号の信号識別情報に対応付けられた構成要素識別情報から構成される段を検出することを特徴とする制御干渉候補検出装置。
【0127】
(付記5) 前記構成要素関係テーブルに基づき、前記各構成要素間の信号の向きを矢印で示したブロック図を作成し、ディスプレイに表示する制御手段を備えることを特徴とする制御干渉候補検出装置。
【0128】
(付記6) 前記制御手段が、前記検出信号一覧及び検出構成要素一覧に基づき、前記ブロック図における該当する前記入力信号及び出力信号の矢印並びに構成要素のブロックを、該当しない前記入力信号及び出力信号の矢印並びに構成要素のブロックに対して、色彩、線幅若しくは線種又はその組合せを変えて表示することを特徴とする制御干渉候補検出装置。
【0129】
(付記7) 複数の制御部を統合的に実行する統合制御システムの各制御部による干渉候補を検出する制御干渉候補検出方法において、前記統合制御システムの各構成要素に対する入力信号及び/又は出力信号を識別する情報である信号識別情報を、当該各構成要素を識別する情報である構成要素識別情報に対応付けた構成要素一覧を作成する第1のステップと、前記構成要素一覧に基づき、前記構成要素識別情報に一の入力信号又は一の出力信号の信号識別情報を信号の種別を示す信号種別情報と共に対応付け、前記信号識別情報が同一である複数の入力信号及び出力信号の各信号識別情報に同一の識別情報を対応付け、前記信号識別情報が異なる複数の入力信号及び出力信号の各信号識別情報に異なる識別情報を対応付けた、構成要素関係テーブルを作成する第2のステップと、前記構成要素関係テーブルに基づき、前記信号識別情報が同一である複数の出力信号の各信号識別情報に対応付けられた同一の識別情報を抽出し、当該抽出した識別情報に対応する入力信号の信号識別情報及び構成要素識別情報を検出し、当該検出した入力信号の信号識別情報を検出信号一覧に格納すると共に、当該検出した構成要素識別情報を検出構成要素一覧に格納する第3のステップと、前記第3のステップにより検出構成要素一覧に格納した構成要素識別情報に基づき、前記構成要素関係テーブルから当該構成要素識別情報に対応する入力信号の信号識別情報を検出し、当該検出した入力信号の信号識別情報を前記検出信号一覧に格納する第4のステップと、前記第4のステップにより検出信号一覧に格納した入力信号の入力信号識別情報に基づき、前記構成要素関係テーブルから当該入力信号の入力信号識別情報に対応する構成要素識別情報を検出し、当該検出した構成要素識別情報を前記検出構成要素一覧に格納する第5のステップと、前記第4のステップにおける前記入力信号の信号識別情報を検出することができなくなるまで、前記第4のステップ及び第5のステップを交互に繰り返す第6のステップとを有することを特徴とする制御干渉候補検出方法。
【0130】
(付記8) 前記構成要素関係テーブルに基づき、前記各構成要素間の信号の向きを矢印で示したブロック図を作成し、ディスプレイに表示する共に、前記検出信号一覧における入力信号の信号識別情報及び検出構成要素一覧における重複して格納した構成要素識別情報に基づき、前記ブロック図における該当する信号を示す矢印及び構成要素を示すブロックを、該当しない前記入力信号及び出力信号の矢印並びに構成要素のブロックに対して、色彩、線幅若しくは線種又はその組合せを変えて表示するステップを有することを特徴とする制御干渉候補検出方法。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本実施形態に係る制御干渉候補検出システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る構成要素情報の一例を説明するための説明図である。
【図3】(a)は対象統合制御システムの制御干渉候補を検出するための条件である複数入力段を説明するための説明図であり、(b)は対象統合制御システムの制御干渉候補を検出するための条件である単一出力段を説明するための説明図である。
【図4】図1に示す制御干渉候補検出システムによる処理手順を示すフローチャートである。
【図5】図4に示すフローチャートの続きを示すフローチャートである。
【図6】図5に示すフローチャートの続きを示すフローチャートである。
【図7】対象統合制御システムの一例を示したブロック図である。
【図8】図7に示す対象統合制御システムのブロック図に制御干渉候補を表示した状態の一例を説明するための説明図である。
【図9】本実施形態に係る制御干渉候補検出システムの概略構成を示すブロック図である。
【図10】(a)は本実施形態に係る構成要素情報テーブルに格納された構成要素単位の定義例を説明するための説明図であり、(b)は本実施形態に係る制御グループ情報テーブルに格納された制御グループの定義例を説明するための説明図である。
【図11】本実施形態に係る構成要素一覧の一例を説明するための説明図である。
【図12】本実施形態に係る構成要素関係テーブルの一例を説明するための説明図である。
【図13】本実施形態に係る検出信号一覧の一例を説明するための説明図である。
【図14】本実施形態に係る検出構成要素一覧の一例を説明するための説明図である。
【図15】図1に示す制御干渉候補検出システムによる処理手順を示すフローチャートである。
【図16】図15に示すフローチャートの続きを示すフローチャートである。
【図17】対象統合制御システムの一例を示したブロック図である。
【図18】図17に示す対象統合制御システムのブロック図に制御干渉候補を表示した状態の一例を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0132】
1 構成要素一覧作成手段
1a 構成要素一覧
2 構成要素関係テーブル作成手段
2a 構成要素関係テーブル
3 干渉候補一覧作成手段
3a 検出信号一覧
3b 検出構成要素一覧
4 単一出力段検出手段
5 複数入力段検出手段
6 干渉候補検出手段
7 制御手段
8 記憶手段
9 演算手段
10 制御干渉候補検出装置
20,21 構成要素情報
20a 構成要素情報テーブル
20b 制御グループ情報テーブル
30 入力装置
40 出力装置
100 制御干渉候補検出システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の制御部を統合的に実行する統合制御システムの各制御部による干渉候補を検出する制御干渉候補検出装置において、
前記統合制御システムのうち、一の信号が並列に複数の制御部にそれぞれ入力される段を検出する複数入力段検出手段と、
前記統合制御システムのうち、複数の制御部から出力される信号が単一の制御部に入力される段を検出する単一出力段検出手段と、
前記一の信号による前記単一の制御部までの経路を干渉候補として検出する干渉候補検出手段と
を備えていることを特徴とする制御干渉候補検出装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の制御干渉候補検出装置において、
前記統合制御システムの各構成要素に対する入力信号及び/又は出力信号を識別する情報である信号識別情報を、当該各構成要素を識別する情報である構成要素識別情報に対応付けた構成要素一覧を作成する構成要素一覧作成手段と、
前記構成要素一覧に基づき、前記各構成要素識別情報に一の入力信号又は一の出力信号の信号識別情報を信号の種別を示す信号種別情報と共に対応付け、前記信号識別情報が同一である複数の入力信号及び出力信号の各信号識別情報に同一の識別情報を対応付け、前記信号識別情報が異なる複数の入力信号及び出力信号の各信号識別情報に異なる識別情報を対応付けた、構成要素関係テーブルを作成する構成要素関係テーブル作成手段と、
前記構成要素関係テーブルに基づき、前記信号識別情報が同一である複数の出力信号の各信号識別情報に対応付けられた同一の識別情報を抽出し、当該抽出した識別情報に対応する入力信号の信号識別情報を起点として、前記構成要素関係テーブルに基づき、対応する構成要素識別情報及び入力信号の信号識別情報を順次検出し、検出した入力信号の信号識別情報からなる検出信号一覧及び構成要素識別情報からなる検出構成要素一覧を作成する干渉候補一覧作成手段と
を備えていることを特徴とする制御干渉候補検出装置。
【請求項3】
前記請求項2に記載の制御干渉候補検出装置において、
前記単一出力段検出手段が、前記検出信号一覧の信号識別情報のうち起点である入力信号の信号識別情報、前記検出構成要素一覧の構成要素識別情報うち当該起点である入力信号の信号識別情報に対応付けられた構成要素識別情報、及び前記構成要素関係テーブルの構成要素識別情報のうち当該起点である入力信号の信号識別情報に対応付けられた構成要素識別情報から構成される段を検出することを特徴とする制御干渉候補検出装置。
【請求項4】
前記請求項2又は3に記載の制御干渉候補検出装置において、
前記複数入力段検出手段が、前記検出信号一覧の入力信号の信号識別情報のうち重複して検出した入力信号の信号識別情報、前記検出構成要素一覧の構成要素識別情報のうち当該重複して検出した入力信号の信号識別情報に対応付けられた構成要素識別情報、及び前記構成要素関係テーブルの構成要素識別情報のうち当該重複して検出した入力信号の信号識別情報に対応付けられた構成要素識別情報から構成される段を検出することを特徴とする制御干渉候補検出装置。
【請求項5】
前記請求項2乃至4のいずれかに記載の制御干渉候補検出装置において、
前記構成要素関係テーブルに基づき、前記各構成要素間の信号の向きを矢印で示したブロック図を作成し、ディスプレイに表示する制御手段を備えることを特徴とする制御干渉候補検出装置。
【請求項6】
前記請求項5に記載の制御干渉候補検出装置において、
前記制御手段が、前記検出信号一覧及び検出構成要素一覧に基づき、前記ブロック図における該当する前記入力信号及び出力信号の矢印並びに構成要素のブロックを、該当しない前記入力信号及び出力信号の矢印並びに構成要素のブロックに対して、色彩、線幅若しくは線種又はその組合せを変えて表示することを特徴とする制御干渉候補検出装置。
【請求項7】
複数の制御部を統合的に実行する統合制御システムの各制御部による干渉候補を検出する制御干渉候補検出方法において、
前記統合制御システムの各構成要素に対する入力信号及び/又は出力信号を識別する情報である信号識別情報を、当該各構成要素を識別する情報である構成要素識別情報に対応付けた構成要素一覧を作成する第1のステップと、
前記構成要素一覧に基づき、前記構成要素識別情報に一の入力信号又は一の出力信号の信号識別情報を信号の種別を示す信号種別情報と共に対応付け、前記信号識別情報が同一である複数の入力信号及び出力信号の各信号識別情報に同一の識別情報を対応付け、前記信号識別情報が異なる複数の入力信号及び出力信号の各信号識別情報に異なる識別情報を対応付けた、構成要素関係テーブルを作成する第2のステップと、
前記構成要素関係テーブルに基づき、前記信号識別情報が同一である複数の出力信号の各信号識別情報に対応付けられた同一の識別情報を抽出し、当該抽出した識別情報に対応する入力信号の信号識別情報及び構成要素識別情報を検出し、当該検出した入力信号の信号識別情報を検出信号一覧に格納すると共に、当該検出した構成要素識別情報を検出構成要素一覧に格納する第3のステップと、
前記第3のステップにより検出構成要素一覧に格納した構成要素識別情報に基づき、前記構成要素関係テーブルから当該構成要素識別情報に対応する入力信号の信号識別情報を検出し、当該検出した入力信号の信号識別情報を前記検出信号一覧に格納する第4のステップと、
前記第4のステップにより検出信号一覧に格納した入力信号の入力信号識別情報に基づき、前記構成要素関係テーブルから当該入力信号の入力信号識別情報に対応する構成要素識別情報を検出し、当該検出した構成要素識別情報を前記検出構成要素一覧に格納する第5のステップと、
前記第4のステップにおける前記入力信号の信号識別情報を検出することができなくなるまで、前記第4のステップ及び第5のステップを交互に繰り返す第6のステップと
を有することを特徴とする制御干渉候補検出方法。
【請求項8】
前記請求項7に記載の制御干渉候補検出方法において、
前記構成要素関係テーブルに基づき、前記各構成要素間の信号の向きを矢印で示したブロック図を作成し、ディスプレイに表示する共に、前記検出信号一覧における入力信号の信号識別情報及び検出構成要素一覧における重複して格納した構成要素識別情報に基づき、前記ブロック図における該当する信号を示す矢印及び構成要素を示すブロックを、該当しない前記入力信号及び出力信号の矢印並びに構成要素のブロックに対して、色彩、線幅若しくは線種又はその組合せを変えて表示するステップを有することを特徴とする制御干渉候補検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−163333(P2009−163333A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−340012(P2007−340012)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】