説明

制御装置、画像形成装置および印刷システム

【課題】 主制御回路が復帰するまでに時間を要する場合であっても印刷処理を確実に実行することができる制御装置、画像形成装置および印刷システムを提供する。
【解決手段】 PC1から送信される画像データが、印刷の対象とならない不要データ部を有し、USBインターフェイスLSI11によって、メインCPU6が待機状態から復帰するまでの時間に不要データの受信処理と破棄処理とを行う。メインCPU6が復帰した後は、印刷対象となる画像データをメインCPU6へと送信する。不要データの破棄処理時間を、メインCPU6が待機状態から印刷可能状態に復帰するまでの時間に対応させることで、タイムアウトによる印刷処理の失敗を回避し、印刷処理を確実に実行することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理端末装置から送信された画像データを受信し、受信した画像データを印刷装置に対して送信して印刷出力させる制御装置、画像形成装置および印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置であるデジタル複合機は、消費電力を低減するための省電力機能を備えており、省電力機能の1つとして、印刷要求などが入力されず一定期間動作が行われない場合、待機状態に動作状態を移行する機能がある。
【0003】
待機状態では、必要な一部の回路にのみ電力を供給し、大部分の回路に対しては電力供給を停止して消費電力を抑えるものである。待機状態中に印刷要求が入力されると、自動復帰して各回路に電力供給を再開し、印刷を実行することができるように構成されている。
【0004】
従来の画像形成装置では、待機状態からの印刷要求時の自動復帰を実現するために、主制御部(メインCPU)を電力の一部供給先としている。
【0005】
デジタル複合機に搭載される主制御部は、多量のデータを高速に処理する必要がある為、高性能CPU、大規模高速画像処理LSI、大容量高速メモリ、高速データバス等、処理を行っていない待機状態においても、無視できない電力を消費する機能を搭載している。主制御部(メインCPU)を電力の一部供給先とした場合、待機状態からの印刷要求時の復帰には対応できるが、待機状態の消費電力を十分に低減できない。
【0006】
待機状態での消費電力を抑えるために、待機状態では主制御部への電力供給を停止する必要がある。しかし、主制御部への電力供給を停止してしまうと、印刷要求後に主制御部が起動するまでの待ち時間の間に、受信した印刷データを蓄積することができず、情報処理端末装置がその起動までの待ち時間を許容できない場合には、印字エラーを起こしてしまう。
【0007】
特許文献1記載のネットワークプリンティングシステムは、端末からの印刷要求があると、代行サーバーがスリープ状態のプリンタを起動させ、起動開始後から起動完了まで代行サーバーがプリントデータの受信を行い、プリンタが起動完了したのち、代行サーバーからプリンタへプリントデータの転送を行う。
【0008】
【特許文献1】特開2002−297337号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1記載のシステムでは、プリンタ以外に代行サーバーが必須となる。
消費電力削減およびコスト削減の為、USB IF系には画像メモリは置かず、画像データの保存および印刷データの展開を主制御部で行うと、端末装置からの印刷要求が有った際、主制御部を起動した後に、端末装置からの画像データを受信することが可能となるが、主制御部の起動には、相当な時間を要する。主制御部の起動手順は、電源の立ち上げ、動作クロックを生成するPLLのロック時間を含む各演算回路の初期化、インターフェイスの初期化が必要である。
【0010】
たとえば、画像処理LSIとのインターフェイスが、PCI Expressであった場合には、PLLのロック待ち、リンク待ち、コンフィグレーション待ち時間がそれぞれ発生する。さらに、たとえば、起動(ブート)以外の各種プログラムが画像処理LSIにシリアルATAで接続されたハードディスクドライブであった場合には、シリアルATAの初期化、ハードディスクドライブの初期化等の時間が加算される。さらに、DRAMインターフェイスの初期化も必要となる。
【0011】
このような印刷要求後の、主制御部起動までの待ち時間を、端末装置側が許容すれば問題ないが、許容できない場合、タイムアウト、すなわち印刷処理の失敗となる。この場合、ユーザーの操作による再印刷の要求指示を入力することが必要になり、画像形成装置として望ましい操作仕様とは言えない。
【0012】
本発明の目的は、主制御回路が復帰するまでに時間を要する場合であっても印刷処理を確実に実行することができる制御装置、画像形成装置および印刷システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、情報処理端末装置から送信された画像データを受信し、受信した画像データを印刷装置に対して送信して印刷出力させる制御装置であって、
情報処理端末装置から送信される画像データが、印刷の対象とならない不要データ部を有し、
主制御回路が待機状態から復帰するまでの時間に前記不要データの受信処理と破棄処理とを行い、主制御回路が復帰した後に印刷対象となる画像データを主制御回路へと送信するインターフェイス部を備えることを特徴とする制御装置である。
【0014】
また本発明は、前記インターフェイス部は、前記不要データの破棄処理の処理速度を変更可能に構成されることを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記インターフェイス部は、前記主制御部が起動していた場合、前記不要データの破棄処理の処理速度を高速化することを特徴とする。
【0016】
また本発明は、前記インターフェイス部は、前記主制御部の待機状態が複数種類ある場合、待機状態に応じて前記不要データの破棄処理の処理速度を変更することを特徴とする。
【0017】
また本発明は、前記インターフェイス部は、前記主制御部の待機状態から復帰中に、前記不要データの破棄処理の処理速度を変更することが可能に構成されることを特徴とする。
【0018】
また本発明は、前記制御装置を備えることを特徴とする画像形成装置である。
また本発明は、印刷用の画像データを送信する情報処理端末装置と、
前記画像形成装置とで構成されることを特徴とする印刷システムである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、情報処理端末装置から送信される画像データが、印刷の対象とならない不要データ部を有し、インターフェイス部によって、主制御回路が待機状態から復帰するまでの時間に前記不要データの受信処理と破棄処理とを行い、主制御回路が復帰した後に印刷対象となる画像データを主制御回路へと送信する。
【0020】
不要データの破棄処理時間を、主制御回路が待機状態から印刷可能状態に復帰するまでの時間に対応させることで、タイムアウトによる印刷処理の失敗を回避し、印刷処理を確実に実行することができる。
【0021】
また本発明によれば、前記インターフェイス部は、前記不要データの破棄処理の処理速度を変更可能であるので、情報処理端末装置の機能や、画像形成装置の機能に応じて最適な破棄処理を行うことができる。
【0022】
また本発明によれば、前記インターフェイス部は、前記主制御部が起動していた場合、前記不要データの破棄処理の処理速度を高速化する。
これにより、1ページ目の印刷出力を早くすることができる。
【0023】
また本発明によれば、前記インターフェイス部は、前記主制御部の待機状態が複数種類ある場合、待機状態に応じて前記不要データの破棄処理の処理速度を変更するので、最適な破棄処理を行うことができる。
【0024】
また本発明によれば、前記インターフェイス部は、前記主制御部の待機状態から復帰中に、前記不要データの破棄処理の処理速度を変更することが可能に構成される。
これにより、1ページ目の印刷出力を早くすることができる。
【0025】
また本発明によれば、上記の制御装置を備えることで、タイムアウトによる印刷処理の失敗を回避し、印刷処理を確実に実行することができる画像形成装置を提供できる。
【0026】
また本発明によれば、印刷用の画像データを送信する情報処理端末装置と、上記の画像形成装置とで構成されるので、タイムアウトによる印刷処理の失敗を回避し、印刷処理を確実に実行することができる印刷システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は、本発明の実施の一形態である制御装置5を含む画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【0028】
制御装置5は、デジタル複合機などの画像形成装置に備えられ、電源ユニット4から電源の供給を受けて、パーソナルコンピュータ(PC)1などの情報処理端末装置からの印刷データを展開、または、スキャナー2で読み取られた印刷データに画像処理を施し、印刷装置3に送信する。送信された印刷データは印刷装置3により印字出力される。その他、制御装置5は、スキャナー2からの画像データに対して画像処理を施し、PC1に送信してスキャン画像データを得たり、電源ユニット4に対して、電源のオン、オフ制御を行う機能も有する。
【0029】
PC1は、ユーザーからの指示により印刷データを作成し、USBバスを経由して制御装置5に作製した印刷データを送信する。スキャナー2は、コピーモード、スキャンモードにおいて、原稿を読み取り、制御装置5に読み取った画像データを送信する。印刷装置3は、制御装置5から印刷データを受信し、インクジェット方式、電子写真方式などの各種印刷方式にて印刷する。電源ユニット4は、制御装置5に電力を供給する。詳細には後述するが、制御装置5が、2つの電源系統を有しておりそれぞれの系統に対して電力供給を行う。
【0030】
制御装置5は、PC1から送信される印刷データを展開し、画像処理を施して印刷装置3に送信する、スキャナー2からの読み取り画像データに、画像処理を施してPC1または印刷装置3に送信する、ユーザー操作、一定時間の動作状態を監視して、電源ユニット4のオン、オフ制御を行う。
【0031】
制御装置5は、メインCPU6、ROM7,13、DRAM8,10、画像処理LSI9、USBインターフェイスLSI11、サブCPU12、電源用IC14を含んで構成される。
【0032】
メインCPU6は、制御装置5全体を制御する制御回路であり、デジタル複合機においては、高速に大量のデータを処理する必要があるため、大規模高速なCPUが採用される。ROM7は、メインCPU6が動作するための各種制御プログラムなどを記憶する。DRAM8は、メインCPU6のワークメモリであり、演算に必要なデータを一時的に記憶する。また、画像データを格納してもよい。
【0033】
画像処理LSI9は、PC1から送信される印刷データを展開して画像処理を施し、スキャナー2からの読み取り画像データに画像処理を施す。メインCPU6と同様に、デジタル複合機においては、大規模、かつ高速なLSIが使用される。DRAM10は、画像処理LSI9のワークメモリであり、印刷データ、画像処理の途中経過データを一時的に記憶する。
【0034】
USBインターフェイスLSI11は、PC1との印刷データおよびスキャンデータの送受信を行うためのインターフェイスであり、低消費電力化の為、最小限の規模および機能であることが望ましい。サブCPU12は、USBインターフェイスLSI11の制御を行う。ROM13は、サブCPU12が動作するための各種制御プログラムなどを記憶する。電源IC14は、メインCPU6およびサブCPU12からの要求により、電源のオン、オフ制御を行い、待機状態への遷移の制御を行う。
【0035】
オペレーションパネル15は、ユーザーからのコピー要求、スキャン要求などの要求指示の入力を受け付ける操作パネルである。
【0036】
制御装置5は、2つの電源系統(電源Aおよび電源B)に分けられ、それぞれの系統ごとにオン、オフ制御が可能である。本実施形態では、第1の系統である電源Aには、USBインターフェイスLSI11、サブCPU12、ROM13、電源用IC14が含まれ、第2の系統である電源Bには、メインCPU6、ROM7、DRAM8,10、画像処理LSI9が含まれる。
【0037】
図2は、USBインターフェイスLSI11の詳細な構成を示すブロック図である。USBインターフェイスLSI11は、物理的インターフェイス(PHY)16、USBコントローラ17、FIFOメモリ18、ヘッダー保存メモリ19、CPUインターフェイス20を含んで構成される。
【0038】
PHY16は、PC1とのUSB接続における物理インターフェイスである。USBバスは差動シリアルバスであるので、送信データを差動シリアル信号に変換し、受信データを差動からパラレル信号に変換する。
【0039】
USBコントローラ17は、USBケーブルの挿抜などPC1との接続状態の変化を検知し、サブCPU12に対して割り込みをかける。
【0040】
USBコントローラ17は、PCとの接続(USB1.1規格およびUSB2.0規格)を確立させ、USB仕様に沿ってPC1とのデータの送受信を行う。PC1から印刷用の画像データを受信し、FIFOメモリ18に格納してサブCPU12に受信割り込みをかける。
【0041】
また、サブCPU12からの指示により、受信した画像データのヘッダー部の保存と、不要データの破棄を行う。不要データの破棄については、後述する。画像処理LSI9およびメインCPU6からの送信データをPC1に送信する。サブCPU12およびメインCPU6からの指示により、画像処理LSI9に接続されているDRAM10に対して、印刷データの送受信を行う。
【0042】
FIFOメモリ18は、送受信データを格納するための先入れ先出し型メモリである。一般的には、エンドポイント毎に、USBのパケットサイズ(USB2.0規格のBULK転送時のエンドポイントの場合、512Byte×2など)に合わせて準備する。
【0043】
ヘッダー保存メモリ19は、後述する画像データのヘッダー部分など、記憶しておく必要があるデータを保存する。CPUインターフェイス20は、サブCPU12と通信を行うためのインターフェイスである。
【0044】
サブCPU12は、USBコントローラ17を制御してPC1との接続を確立させる。上記のようにUSBコントローラ17からの受信割り込みを受け、後述する画像データのヘッダー部分、ページ区切り部分を認識し、読み捨てる領域を判定し、USBコントローラ17に対して、ヘッダー部分の保存指示、読み捨て指示を行う。USBインターフェイスLSI11と同様に、低消費電力化のため、機能を実現する上で最小限の規模であることが望ましい。
【0045】
図3は、PC1から送信される印刷用画像データのデータ形式を説明するための模式図である。
【0046】
本例で示す印刷データの形式は、複数ページ(ページ数がN)の印刷データである。
印刷データは、ヘッダー部21、不要データ部22および印刷対象データ部23から構成される。
【0047】
ヘッダー部21は、印刷データのページ数、両面印刷か片面印刷か、印刷データを作成したユーザー名、ファイル名称などの印刷ジョブ全体に関わる情報部分であり、あらかじめ印刷方式により記載内容が決まっている。
【0048】
不要データ部22および印刷対象データ部23のデータ構成は、基本的に同じであり、ページスタート24、ページエンド25およびデータ領域26で構成される。ページスタート24、ページエンド25は、ページ毎のデータの区切りを示す情報である。データ領域26は、実際に印字出力される画像データであり、各種形式があり、圧縮されている場合もある。
【0049】
不要データ部22は、印字出力の対象とされず、出力される必要がないページであり、この不要データ部22は、読み捨てられることになる。この読み捨てに必要な破棄処理時間を、デジタル複合機が待機状態から印刷可能状態に復帰するまでの時間(以下では「復帰時間」という)に対応させることで、タイムアウトによる印刷処理の失敗を回避することができる。復帰時間は、たとえば、1秒間にA4サイズで27枚印刷可能な中速機の場合、メインCPU6が電源オフされた待機状態から印刷可能状態(レディ状態)になるまでに30秒間かかる。このとき、メインCPU6は、PC1からの印刷データを受け取れる様になるのに約25秒間かかる。したがって、ヘッダー部21の後に、処理に25秒間必要となるだけのデータ量(たとえば、1ページ分)をページスタート24からページエンド25までのデータ領域26に割り当て不要データ部22とする。なお、不要データの大きさは、印刷を実行するデジタル複合機に応じて変更可能に構成される。
【0050】
図4は、メインCPU6、画像処理LSI9、サブCPU12およびUSBインターフェイスLSI11の動作を示すフローチャートである。
【0051】
USBインターフェイスLSI11の動作がステップA1〜A14で示され、サブCPU12の動作がステップB1〜B8で示され、メインCPU6および画像処理LSI9の動作がステップC1〜C6で示される。
【0052】
電源Aの系統が電源オン、電源Bの系統が電源オフで、メインCPU6の電源がオフである待機状態中に(ステップC1)、USBインターフェイスLSI11がPC1から印刷の要求を検出すると(ステップA1)、USBインターフェイスLSI11が、サブCPU12に対して受信割り込みをアサートする(ステップA2)。
【0053】
サブCPU12は、この割り込みを受けて、電源IC14に対して電源Bの系統をオンする、すなわちメインCPU6を起動するように要求し(ステップB1)、メインCPU6の起動が開始される(ステップC2)。このときPC1からは、ヘッダー部21のデータが順次転送される。
【0054】
サブCPU12は、受信されるデータがヘッダー部21のデータか否かを判定し(ステップB1)、ヘッダー部21のデータであれば、USBインターフェイスLSI11がヘッダー保存メモリ19にヘッダー部21のデータを保存する(ステップA3)。
【0055】
このような保存処理をヘッダー部21の受信が終了するまで繰り返す(ステップA4,B2,A5)。
【0056】
図3に示すように、ヘッダー部21は、受信するデータの先頭から不要データ部22のページスタート24直前までとなっているので、サブCPU12が判定を行うことは容易である。
【0057】
ヘッダー部21のデータ受信終了直後のページスタート24からページエンド25までのデータ領域26は、不要データ部22であるので、サブCPU12は、USBインターフェイスLSI11に対して、受信データを破棄するよう指示する(ステップA6,B3,A7)。
【0058】
このような破棄処理を不要データ部22の受信が終了するまで繰り返す(ステップA8,B5,A9)。
【0059】
メインCPU6の起動が完了し(ステップC3)、メインCPU6から起動完了を示す通知を、サブCPU12が受け取った場合には、ヘッダー保存メモリ19に格納済みのヘッダー部21のデータをメインCPU6に送信するよう、サブCPU12が、USBインターフェイスLSI11に対して指示する(ステップB6)。指示を受けたUSBインターフェイスLSI11は、ヘッダー部21のデータをメインCPU6に送信し(ステップA10)、メインCPU6は、これを受信する(ステップC4)。
【0060】
なお、図4に示すように、不要データ部22を破棄する破棄処理Aと、ヘッダー部21をメインCPU6に送信する送信処理Bとは並列処理することも可能である。
【0061】
不要データ部22の破棄処理が終了すると(ステップA11,B7,A12)、サブCPU12からUSBインターフェイスLSI11に対して、印刷対象データ部23の画像データをメインCPU6、画像処理LSI9に対して送信するよう指示し(ステップA13,B8)、USBインターフェイスLSI11からメインCPU6、画像処理LSI9に対して印刷対象データ部23の画像データが送信され(ステップA14)、メインCPU6、画像処理LSI9はこれを受信する(ステップC5)。
【0062】
その後、画像処理LSI9などにより画像処理が施され、印刷装置3に対して印刷データを送信して印刷を実行する(ステップC6)。
【0063】
このような処理により、復帰時間中に不要データ部22の破棄処理を行うため、待機状態においてメインCPU6を含む電源系統の電源をオフにし、かつ、待機状態中の印刷要求に対して、PC1側のタイムアウトエラーを発生させること無く印刷を実現できる。
【0064】
以下では、不要データ部22の読み捨て処理について、処理速度を遅くする手段、早くする手段について説明する。
【0065】
図5は、PC1と制御装置5とのデータ通信を示すシーケンス図である。
USB2.0規格においては、PC1側からのPING信号、DATA信号に対して、制御装置5側から、ACK信号、NYET信号、NACK信号を返すことでフロー制御が行われる。
【0066】
サブCPU12が、FIFOメモリ18に受信したデータの処理をする速度を遅くしても、USBバス上ではこのようなフロー制御が行われているため、エラーにはならない。したがって、FIFOメモリ18の状態がFULLの状態であった場合には、USBインターフェイスLSI11が、PC1からのDATA信号およびPING信号に対して、次のパケットデータが受信できないことを示すNYET信号、NACK信号をそれぞれ返すように動作させることで不要データ部22の破棄処理速度を遅くすることが可能になる。
【0067】
図6は、本発明の他の実施形態であるUSBインターフェイスLSI30の構成を示すブロック図である。
【0068】
USBインターフェイスLSI30は、図2に示したUSBインターフェイスLSI11と類似の構成を有しており、USBインターフェイスLSI11と同様の動作を行う部位については、図2と同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0069】
USBインターフェイスLSI30の構成で、USBインターフェイスLSI11と異なる構成は、USBコントローラ31の詳細な構成である。
【0070】
USBコントローラ31は、レジスタ32、オートコントローラ33、比較器34、バッファ35を備える。
【0071】
レジスタ32は、サブCPU12から設定するレジスタメモリであり、印刷用画像データのページスタートの値、ページエンドの値、自動モードイネーブルの設定を行う。ここで、自動モードとは、印刷データの受信開始からページスタートまでのデータをUSBインターフェイスLSI30がCPUの介在無しにヘッダー部21を保存する、あるいは、ページエンドまでのデータを破棄する動作を意味する。オートコントローラ33は、上記自動モードを制御する。比較器34は、バッファ35のデータと、ページスタートの値、ページエンドの値とを比較し、オートコントローラ33に伝える。
【0072】
図7は、自動モードにおいて、印刷データの先頭から最初のページスタートまでのヘッダー部21の自動保存を示すフローチャートである。
【0073】
サブCPU12が、印刷データの形式からページスタートの値をレジスタに設定し(ステップD1)、自動モード開始を指示する(ステップD2)。USBインターフェイスLSI30はPC1からのデータをFIFOメモリ18に受信後(ステップD3)、バッファ35にデータを読み出し(ステップD4)、比較器で、ページスタート値とバッファデータの値を比較する(ステップD5)。
【0074】
不一致の場合にはヘッダー部21であると判定して、バッファデータをヘッダー部保存メモリ19に格納し(ステップD7)、FIFOメモリ18が空であればステップD3に戻り、空でなければステップD4に戻る。
【0075】
以降、バッファデータがページスタートの位置にくるまでこれを繰り返し、ページスタートの位置に来た場合には、ヘッダー部21の受信終了と判定し、サブCPU12に対して自動モードの終了割り込みをアサートする(ステップD6)。
【0076】
図8は、自動モードにおいて、不要データ部22の自動破棄を示すフローチャートである。
【0077】
サブCPU12が、印刷データの形式からページエンドの値をレジスタに設定し(ステップE1)、自動モード開始を指示する(ステップE2)。USBインターフェイスLSI30はPC1からのデータをFIFOメモリ18に受信後(ステップE3)、バッファ35にデータを読み出し(ステップE4)、比較器で、ページエンド値とバッファデータの値を比較する(ステップE5)。
【0078】
不一致の場合には不要データ部22であると判定して、バッファデータを破棄し(ステップE7)、FIFOメモリ18が空であればステップE3に戻り、空でなければステップE4に戻る。
【0079】
以降、バッファデータがページエンドの位置にくるまでこれを繰り返し、ページエンドの位置に来た場合には不要データ部22の受信終了と判定し、サブCPU12に対して自動モードの終了割り込みをアサートする(ステップE6)。
【0080】
以上のような自動保存処理および自動破棄処理により、CPUの介在なしに、ヘッダー部21の保存および不要データ部22の破棄を行うことで、高速に処理を行うことが可能になる。
【0081】
なお本発明は、PC1が、デジタル複合機が待機状態にあるかどうかを認識できない場合を前提としているが、装置内のメインCPU6系の立ち上がりに応じて決定した不要データ部22を印刷データに挿入すると、不要データ22の処理時間が必要となるため、一枚目の印刷主力を得るまでの時間が遅くなる懸念がある。
【0082】
メインCPU6が起動している場合には、不要データ部22は、即時に破棄したほうが、より1枚目の印刷結果出力までが早くなるので、不要データ部22を早く破棄し、1枚目の印刷結果を早く得ることが好ましい。
【0083】
デジタル複合機によっては、消費電力を抑える待機状態モードが、複数ある場合がある。そのモード情報を、予めサブCPU12が認識しておき、メインCPU6を含む系統の立ち上がり完了が速いモードの待機状態である場合には、破棄処理を早くする。
【0084】
サブCPU12は、メインCPU6の起動が確認できた後は、破棄処理の速度を速めるようにしてもよい。
【0085】
また、USB1.1規格とUSB2.0規格では、通信速度が40倍異なる。USB1.1規格で接続された場合には、受信速度が遅くなると予想される為、破棄処理の速度を速めることが好ましい。
【0086】
ユーザーにて、デジタル複合機が待機状態を使用しないように設定がされている場合、または、デジタル複合機が待機状態にあるかどうかが目視可能で明らかに待機状態でない場合には、不要データ部22を挿入することは、ユーザーにとって無駄でしかないので、PC1側の設定にて、不要データ部22の挿入の有無をユーザーにて選択可能とする。
【0087】
また、PC1側の設定にて、不要データ部22のデータ量を調整可能としておき、PC1側での設定により、破棄処理時間をデジタル複合機の復帰時間との関係を最適化できるように調整する。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施の一形態である制御装置5を含む画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】USBインターフェイスLSI11の詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】PC1から送信される印刷用画像データのデータ形式を説明するための模式図である。
【図4】メインCPU6、画像処理LSI9、サブCPU12およびUSBインターフェイスLSI11の動作を示すフローチャートである。
【図5】PC1と制御装置5とのデータ通信を示すシーケンス図である。
【図6】本発明の他の実施形態であるUSBインターフェイスLSI30の構成を示すブロック図である。
【図7】自動モードにおいて、印刷データの先頭から最初のページスタートまでのヘッダー部21の自動保存を示すフローチャートである。
【図8】自動モードにおいて、不要データ部22の自動破棄を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0089】
5 制御装置
6 メインCPU
7,13 ROM
8,10 DRAM
9 画像処理LSI
11 USBインターフェイスLSI
12 サブCPU
14 電源用IC
16 物理的インターフェイス(PHY)
17 USBコントローラ
18 FIFOメモリ
19 ヘッダー保存メモリ
20 CPUインターフェイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理端末装置から送信された画像データを受信し、受信した画像データを印刷装置に対して送信して印刷出力させる制御装置であって、
情報処理端末装置から送信される画像データが、印刷の対象とならない不要データ部を有し、
主制御回路が待機状態から復帰するまでの時間に前記不要データの受信処理と破棄処理とを行い、主制御回路が復帰した後に印刷対象となる画像データを主制御回路へと送信するインターフェイス部を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記インターフェイス部は、前記不要データの破棄処理の処理速度を変更可能に構成されることを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記インターフェイス部は、前記主制御部が起動していた場合、前記不要データの破棄処理の処理速度を高速化することを特徴とする請求項2記載の制御装置。
【請求項4】
前記インターフェイス部は、前記主制御部の待機状態が複数種類ある場合、待機状態に応じて前記不要データの破棄処理の処理速度を変更することを特徴とする請求項2記載の制御装置。
【請求項5】
前記インターフェイス部は、前記主制御部の待機状態から復帰中に、前記不要データの破棄処理の処理速度を変更することが可能に構成されることを特徴とする請求項2記載の制御装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の制御装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
印刷用の画像データを送信する情報処理端末装置と、
請求項6記載の画像形成装置とで構成されることを特徴とする印刷システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−69801(P2010−69801A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−241678(P2008−241678)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】