説明

刺繍データ作成装置、刺繍データ作成プログラム、及び刺繍データ作成プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】針落ち点の密集を調整する刺繍データ作成装置、刺繍データ作成プログラム、及び刺繍データ作成プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。
【解決手段】針落ち点の密集しやすい基準点Sの周囲(基準点中心、半径Rの円領域内)に存在する折返点t2,t5,t8,t11,t14,t17のうち、その折返点(t11)を中心とし、半径R/3の円領域F内に他の針落ち点がある折返点を、基準点から遠くなる方向に移動させたり、間引いたりする。したがって、基準点の周囲の針落ち点が密集した状態から適度な密度の状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刺繍データ作成装置、刺繍データ作成プログラム、及び刺繍データ作成プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものであり、詳細には、針落ち点の密度を調整する刺繍データ作成装置、刺繍データ作成プログラム、及び刺繍データ作成プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、刺繍ミシンによる刺繍縫いの縫い方の1つに、所定の領域内を刺繍糸により縫い潰したい際に、所定領域の対向する1組の輪郭線の間を縫い目で繋いでゆく縫い方があった。図19に示す模式図900に示す例では、台形abcd内を刺繍糸により縫い潰すために、対向する輪郭線ab,cdの間を縫い目で繋いでいる。このような縫い方では、輪郭線ab上の針落ち点と輪郭線cd上の針落ち点との数はほぼ同数(始点及び終点が片方の輪郭線上にある場合にはその輪郭線上の針落ち点数が「1」だけ多くなる)となる。そこで、例えば、図19の輪郭線cdと輪郭線abとの長さの差が大きい場合、短い方の輪郭線上において針落ち点の密度が適度となるような輪郭線間の折り返し数であると、長い方の輪郭線上の針落ち点の密度が疎となって領域内を縫い潰せなくなり、縫い上がりの刺繍模様の見栄えを損なって縫製品質を低下させてしまうという問題点があった。
【0003】
また、逆に、長い方の輪郭線上の針落ち点の密度が適度となるような折り返し数とすると、短い方の輪郭線上で針落ち点が密集して刺繍糸が団子状になってしまい、縫い上がりの刺繍模様の見栄えを損なって縫製品質を低下させてしまうという問題点があった。特に、図20に示す模式図950のように、一方の輪郭線が極めて短いような場合や点であるような場合には、上記の問題が顕著であった。
【0004】
そこで、このような問題点を解決するために、特許文献1に記載の刺繍ミシン用針落ちデータ作成装置では、1組の輪郭線の長さの差に応じた折り返し本数を決定し、長さの短い方の輪郭線上に配置すべき針落ち点を、輪郭線上でなく、縫い潰しの領域内に設定された中落ち点に配置している。この中落ち点は、領域内の糸密度がほぼ同一となるように設定されている。
【特許文献1】特開平4−261699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の刺繍ミシン用針落ちデータ作成装置では、中落ち点の算出の演算処理が煩雑であるという問題点がある。また、針落ち点の位置、すなわち縫い目の経路は縫い潰す領域の形状に依存するので、中落ち点の位置が領域形状に依存し、領域形状ごとに糸密度の補正にばらつきが発生する場合があるという問題点がある。
【0006】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであり、針落ち点の密集を調整する刺繍データ作成装置、刺繍データ作成プログラム、及び刺繍データ作成プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明の刺繍データ作成装置では、刺繍ミシンで刺繍を行うための刺繍データを作成する刺繍データ作成装置において、刺繍の縫い目の始点又は終点である針落ち点の座標を記憶した刺繍座標記憶手段と、当該刺繍座標記憶手段に前記座標の記憶されている前記針落ち点が、当該針落ち点が終点となる先の縫い目と、当該針落ち点が始点となる後の縫い目とが成す角度が所定量より小さい針落ち点である折返点であるか否かを判定する折返点判断手段と、当該折返点判断手段により前記折返点であると判断された前記針落ち点から少なくとも1つの基準点を決定する基準点決定手段と、当該基準点決定手段により前記基準点であると決定された前記針落ち点を中心とし、当該刺繍の糸密度、糸の太さ及び縫い目のピッチ長のうちの少なくとも一つに基づいた所定領域を決定する領域決定手段と、前記折返点が前記領域決定手段で決定された前記所定領域内にあるか否かを判断する領域内折返点判断手段と、当該領域内折返点判断手段により前記所定領域内にあると判断された場合に、当該折返点と前記刺繍座標記憶手段に座標が記憶されている他の前記針落ち点との座標位置関係に基づいて、当該折返点の座標を変更しない方法、又は、当該折返点の座標を変更する方法、又は、当該折返点を削除する方法のうちのいずれか1つの方法を選択する調整方法選択手段と、前記調整方法選択手段により当該折返点の座標を変更する方法が選択された場合には、当該折返点の座標と当該折返点に隣接する2つの前記針落ち点の座標とに基づいて当該折返点の新たな座標を算出し、前記調整方法選択手段により当該折返点を削除する方法が選択された場合には、当該折返点を削除する調整制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明の刺繍データ作成装置では、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記調整方法選択手段は、当該調整方法選択手段により調整方法の選択が行われる前記折返点と前記刺繍座標記憶手段に前記座標の記憶されている他の前記針落ち点との位置関係に基づいて、当該選択が行われる前記折返点に対して座標を変更しない方法を選択する否変更選択制御手段と、当該調整方法選択手段により調整方法の選択が行われる前記折返点に対して前記否変更選択制御手段により座標を変更しない方法が選択されなかった場合に、当該選択が行われる前記折返点と、当該選択が行われる前記折返点に隣接する針落ち点との位置関係に基づいて、当該折返点の座標を変更する方法、又は、当該折返点を削除する方法を選択する変更削除選択制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る発明の刺繍データ作成装置では、請求項2に記載の発明の構成に加えて、前記調整方法選択手段は、当該刺繍の糸密度、糸の太さ及び縫い目のピッチ長のうちの少なくとも一つに基づいて第一基準距離を算出する第一基準距離算出手段と、当該刺繍の糸密度、糸の太さ及び縫い目のピッチ長のうちの少なくとも一つに基づいて第二基準距離を算出する第二基準距離算出手段とを備え、前記否変更選択制御手段は、前記刺繍座標記憶手段に前記座標の記憶されている前記針落ち点のうち、当該調整方法選択手段により調整方法の選択が行われる前記折返点からの距離が前記第一基準距離未満である針落ち点がない場合に、当該選択が行われる前記折返点に対して座標を変更しない方法を選択し、前記変更削除選択制御手段は、当該選択が行われる前記折返点と、当該選択が行われる前記折返点に隣接する針落ち点との距離が前記第二基準距離以上である場合には、当該折返点の座標を変更する方法を選択し、前記第二基準距離以上でない場合には、当該折返点を削除する方法を選択することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る発明の刺繍データ作成装置では、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記領域内折返点判断手段により前記所定領域内にあると判断された前記折返点である領域内折返点のうち、前記調整方法選択手段により当該折返点の座標を変更する方法、又は、当該折返点を削除する方法が選択された前記折返点の数を計数する調整数計数手段と、前記調整数計数手段により計数される数が所定数より少なくなるまで、前記領域内折返点判断手段により前記所定領域内にあると判断されたすべての前記領域内折返点に対して前記調整方法選択手段及び前記調整制御手段を繰り返し実施する繰返調整制御手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に係る発明の刺繍データ作成装置では、請求項4に記載の発明の構成に加えて、前記繰返調整制御手段は、前記領域内折返点に対して、前記刺繍座標記憶手段に記憶されている順序に基づいた順序で前記調整方法選択手段及び前記調整制御手段を実施し、前記否変更選択制御手段は、前記刺繍座標記憶手段に記憶されている針落ち点を、前記刺繍座標記憶手段に記憶されている順序が当該選択の行われる前記折返点よりも前であるグループと後であるグループとに分類し、すでに前記調整方法選択手段及び前記調整制御手段が実施された前記折返点が含まれるグループに属する針落ち点についてのみ、当該選択の行われる前記折返点までの距離と前記第一基準距離との比較を行うことを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に係る発明の刺繍データ作成装置では、請求項4又は5に記載の発明の構成に加えて、前記繰返調整制御手段は、前記刺繍座標記憶手段に記憶されている前記針落ち点を少なくとも2つのグループに分類し、各々のグループごとに当該グループに属する前記領域内折返点について、前記調整方法選択手段及び前記調整制御手段を繰り返し実施することを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に係る発明の刺繍データ作成装置では、請求項1乃至6いずれかに記載の発明の構成に加えて、前記調整制御手段は、前記折返点の新たな座標を算出する際に、当該折返点に隣接する2つの前記針落ち点を結ぶ直線の中点と当該折返点とを結んだ線分である中線上の点である内分点の座標を当該折返点の新たな座標とすることを特徴とする。
【0014】
また、請求項8に係る発明の刺繍データ作成装置では、請求項7に記載の発明の構成に加えて、前記中線に対する前記内分点の分割比が複数設けられており、前記調整制御手段は、前記折返点の新たな座標を算出するごとに前記複数の分割比から1つの分割比を順に選択して、前記内分点の座標を決定することを特徴とする。
【0015】
また、請求項9に係る発明の刺繍データ作成プログラムでは、請求項1乃至8のいずれかに記載の刺繍データ作成装置としてコンピュータを動作させる。
【0016】
また、請求項10に係る発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体では、請求項9に記載の刺繍データ作成プログラムを記録している。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明の刺繍データ作成装置では、刺繍座標記憶手段は、刺繍の縫い目の始点又は終点である針落ち点の座標を記憶し、折返点判断手段は、刺繍座標記憶手段に座標の記憶されている針落ち点が、針落ち点が終点となる先の縫い目と、針落ち点が始点となる後の縫い目とが成す角度が所定量より小さい針落ち点である折返点であるか否かを判定し、基準点決定手段は、折返点判断手段により折返点であると判断された針落ち点から少なくとも1つの基準点を決定し、領域決定手段は、基準点決定手段により基準点であると決定された針落ち点を中心とし、刺繍の糸密度、糸の太さ及び縫い目のピッチ長のうちの少なくとも一つに基づいた所定領域を決定し、領域内折返点判断手段は、折返点が領域決定手段で決定された所定領域内にあるか否かを判断し、調整方法選択手段は、領域内折返点判断手段により所定領域内にあると判断された場合に、折返点と刺繍座標記憶手段に座標が記憶されている他の針落ち点との座標位置関係に基づいて、折返点の座標を変更しない方法、又は、折返点の座標を変更する方法、又は、折返点を削除する方法のうちのいずれか1つの方法を選択し、調整制御手段は、調整方法選択手段により折返点の座標を変更する方法が選択された場合には、折返点の座標と折返点に隣接する2つの針落ち点の座標とに基づいて折返点の新たな座標を算出し、調整方法選択手段により折返点を削除する方法が選択された場合には、折返点を削除することができる。したがって、基準点の周囲に針落ち点が密集している場合に、それらの針落ち点を他の針落ち点との位置関係に基づいて座標を変更したり、削除したり、そのままの位置としたりすることができ、基準点の周囲の針落ち点の密度を下げることができる。よって、針落ち点が密集して刺繍糸が団子状になってしまい、縫い上がりの刺繍模様の見栄えを損なって縫製品質を低下させてしまうという問題を解消することができる。
【0018】
また、請求項2に係る発明の刺繍データ作成装置では、請求項1に記載の発明の効果に加えて、調整方法選択手段の否変更選択制御手段は、調整方法選択手段により調整方法の選択が行われる折返点と刺繍座標記憶手段に座標の記憶されている他の針落ち点との位置関係に基づいて、選択が行われる折返点に対して座標を変更しない方法を選択し、変更削除選択制御手段は、調整方法選択手段により調整方法の選択が行われる折返点に対して否変更選択制御手段により座標を変更しない方法が選択されなかった場合に、選択が行われる折返点と、選択が行われる折返点に隣接する針落ち点との位置関係に基づいて、折返点の座標を変更する方法、又は、折返点を削除する方法を選択することができる。したがって、隣接する針落ち点との位置関係に基づいて、針落ち点の調整方法が選択されるので、周囲の針落ち点とのバランスを考慮して、調整方法を選択することができる。
【0019】
また、請求項3に係る発明の刺繍データ作成装置では、請求項2に記載の発明の効果に加えて、調整方法選択手段の第一基準距離算出手段は、刺繍の糸密度、糸の太さ及び縫い目のピッチ長のうちの少なくとも一つに基づいて第一基準距離を算出し、第二基準距離算出手段は、刺繍の糸密度、糸の太さ及び縫い目のピッチ長のうちの少なくとも一つに基づいて第二基準距離を算出することができる。そして、否変更選択制御手段は、刺繍座標記憶手段に座標の記憶されている針落ち点のうち、調整方法選択手段により調整方法の選択が行われる折返点からの距離が第一基準距離未満である針落ち点がない場合に、選択が行われる折返点に対して座標を変更しない方法を選択し、変更削除選択制御手段は、選択が行われる折返点と、選択が行われる折返点に隣接する針落ち点との距離が第二基準距離以上である場合には、折返点の座標を変更する方法を選択し、第二基準距離以上でない場合には、折返点を削除する方法を選択することができる。したがって、近くに他の針落ち点が存在しない針落ち点については調整を行わず、近くに他の針落ち点が存在する針落ち点についてのみ調整を行うことができるので、針落ち点が密でない部分には調整が行われず、密な部分についてのみ調整が行われる。さらに、調整を行う際には、隣の針落ち点に近ければ当該針落ち点を削除して針落ち点の密度を下げ、隣の針落ち点が第二基準距離より遠い場合には針落ち点を移動させて調整が行われるので、より針落ち点が密な場所では針落ち点が間引かれ、そうでない場所では針落ち点を移動させるだけなので、必要以上に針落ち点の密度が疎になってしまうことがない。
【0020】
また、請求項4に係る発明の刺繍データ作成装置では、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、調整数計数手段は、領域内折返点判断手段により所定領域内にあると判断された折返点である領域内折返点のうち、調整方法選択手段により折返点の座標を変更する方法、又は、折返点を削除する方法が選択された折返点の数を計数し、繰返調整制御手段は、調整数計数手段により計数される数が所定数より少なくなるまで、領域内折返点判断手段により所定領域内にあると判断されたすべての領域内折返点に対して調整方法選択手段及び調整制御手段を繰り返し実施することができる。調整数が少なければ、少ないほど、基準点の周囲において調整の必要がある針落ち点が少ない、すなわち、針落ち点の密度が適切であるということである。したがって、1回の調整の処理だけでなく、基準点の周囲の針落ち点の密度が適切になるまで調整の処理が繰り返されるので、何度も調整の処理を実行する手間がかからない。
【0021】
また、請求項5に係る発明の刺繍データ作成装置では、請求項4に記載の発明の効果に加えて、繰返調整制御手段は、領域内折返点に対して、刺繍座標記憶手段に記憶されている順序に基づいた順序で調整方法選択手段及び調整制御手段を実施し、否変更選択制御手段は、刺繍座標記憶手段に記憶されている針落ち点を、刺繍座標記憶手段に記憶されている順序が選択の行われる折返点よりも前であるグループと後であるグループとに分類し、すでに調整方法選択手段及び調整制御手段が実施された折返点が含まれるグループに属する針落ち点についてのみ、選択の行われる折返点までの距離と第一基準距離との比較を行うことができる。調整済みである針落ち点の周囲よりも、未調整の針落ち点の周囲の方が針落ち点の密度が密になっている。したがって、調整済みの針落ち点に対して、当該選択の行われる折返点までの距離が第一基準距離と比較されるので、必要以上に針落ち点の座標を移動したり、針落ち点を削除したりしてしまうことがない。
【0022】
また、請求項6に係る発明の刺繍データ作成装置では、請求項4又は5に記載の発明の効果に加えて、繰返調整制御手段は、刺繍座標記憶手段に記憶されている針落ち点を少なくとも2つのグループに分類し、各々のグループごとにグループに属する領域内折返点について、調整方法選択手段及び調整制御手段を繰り返し実施することを特徴とすることができる。したがって、否変更選択制御手段により第一基準距離との距離を比較する針落ち点の数が、すべての針落ち点と比較するよりも少なくなり、処理が効率的となる。
【0023】
また、請求項7に係る発明の刺繍データ作成装置では、請求項1乃至6いずれかに記載の発明の効果に加えて、調整制御手段は、折返点の新たな座標を算出する際に、折返点に隣接する2つの針落ち点を結ぶ直線の中点と折返点とを結んだ線分である中線上の点である内分点の座標を折返点の新たな座標とすることができる。したがって、新たな座標は、折返点と隣接点とで形成される三角形内に決定されるので、適切な位置に折返点を移動させることができる。
【0024】
また、請求項8に係る発明の刺繍データ作成装置では、請求項7に記載の発明の効果に加えて、調整制御手段は、折返点の新たな座標を算出するごとに複数の分割比から1つの分割比を順に選択して、内分点の座標を決定することができる。したがって、折返点の移動先が一定の場所に集まることなく適切な位置に分散される。
【0025】
また、請求項9に係る発明の刺繍データ作成プログラムでは、請求項1乃至8のいずれかに記載の刺繍データ作成装置としてコンピュータを動作させるので、請求項1乃至8のいずれかに記載の発明の効果と同様の効果を得ることができる。
【0026】
また、請求項10に係る発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体では、請求項9に記載の刺繍データ作成プログラムを記録しているので、したがって、当該記録媒体に記録された刺繍データ作成プログラムをコンピュータに読み込ませ、動作させることにより、請求項1乃至8のいずれかに記載の発明の効果と同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る刺繍データ作成装置1の一実施の形態について、図面を参照して説明する。本実施の形態の刺繍データ作成装置1は、画像データに表された図柄を刺繍ミシン3による刺繍によって出力するための刺繍データを画像データに基づいて作成するものである。まず、刺繍ミシン3について説明する。図1は、刺繍ミシン3の外観図である。
【0028】
図1に示すように、刺繍ミシン3は、縫い針34を装着する針棒35を上下駆動する針棒機構(図示外)、天秤機構(図示外)及び釜機構(図示外)を備えている。また、ミシンベッド30上に配置された刺繍を施そうとする加工布(図示外)を保持する刺繍枠31を、キャリッジカバー32内に収容され刺繍ミシン3の前後方向(紙面の前後方向)に移送するY方向駆動機構(図示外)と、本体ケース33内に収容されY方向駆動機構を刺繍ミシン3の左右方向(紙面の左右方向)に移送するX方向駆動機構(図示外)とを備えている。このY方向駆動機構とX方向駆動機構とによって刺繍枠31を移動させながら、針棒機構、天秤機構及び釜機構の協働による縫製動作を行うことにより、その加工布に所定の図柄の刺繍を施すようになっている。前記針棒機構、天秤機構、及び釜機構を駆動するミシンモータ(図示外)と、前記Y方向駆動機構及びX方向駆動機構を駆動する夫々のモータ(図示外)は、刺繍ミシン3に内蔵されたマイクロコンピュータ等から構成される制御装置により駆動が制御される。また、刺繍ミシン3の脚柱部36の側面にはメモリカードスロット37が搭載されており、刺繍データが記憶されたメモリカード115をメモリカードスロット37に装着することにより、刺繍データ作成装置1で作成された刺繍データが供給される。また、この刺繍ミシン3と刺繍データ作成装置1とをケーブルで接続可能に構成し、メモリカード等の記憶媒体を介さずに、直接刺繍データが供給されるようにしてもよい。
【0029】
次に、図2乃至図5を参照して刺繍データ作成装置1について説明する。図2は、刺繍データ作成装置1の物理的構成を示す全体構成図であり、図3は、刺繍データ作成装置1の電気的構成を示すブロック図であり、図4は、RAM12の構成を示す模式図であり、図5は、調整配列記憶エリア122の構成を示す模式図である。
【0030】
図2に示すように、この刺繍データ作成装置1は、所謂パーソナルコンピュータである装置本体10と、この装置本体10に接続されるマウス21、キーボード22、メモリカードコネクタ23、ディスプレイ24及びイメージスキャナ装置25から構成されている。なお、装置本体10、マウス21、キーボード22、メモリカードコネクタ23、ディスプレイ24、イメージスキャナ装置25の形状は図2に示すものに限らない。例えば、装置本体10はタワー型のものに限らず、横置きのものであってもよく、装置本体10とディスプレイ24とキーボード22とが一体化したノート型であってもよい。また、装置本体10は所謂パーソナルコンピュータでなく、専用機であってもよいことはいうまでもない。
【0031】
次に、図3のブロック図を参照して、刺繍データ作成装置1の電気的構成について説明する。図3に示すように、刺繍データ作成装置1には、刺繍データ作成装置1の制御を司るコントローラとしてのCPU11が設けられ、CPU11には、各種のデータを一時的に記憶するRAM12と、BIOS等を記憶したROM13と、データの受け渡しの仲介を行うI/Oインタフェイス14とが接続されている。I/Oインタフェイス14には、ハードディスク装置140が接続され、当該ハードディスク装置140には、刺繍座標配列記憶エリア141と、設定情報記憶エリア142と、刺繍データ記憶エリア143と、プログラム記憶エリア144と、その他の情報記憶エリア145とが少なくとも設けられている。
【0032】
尚、刺繍座標配列記憶エリア141には、刺繍データを作成するための針落ち点の座標が一次元配列で記憶されている。以下、この一次元配列の5番目に記憶されている値を指す際には「刺繍座標配列(5)」と記すこととする。また、針落ち点とは縫い針34が加工布を貫通する点であって、上糸と下糸が交絡して縫い目が形成される点である。ここでは、実際に刺繍が行われる順に針落ち点の座標が記憶されている。すなわち、刺繍座標配列(1)には刺繍の開始点の座標が記憶されており、刺繍座標配列(1)に記憶されている座標と刺繍座標配列(2)に記憶されている座標とを結んだ線分が1つめの縫い目に相当する。
【0033】
そして、設定情報記憶エリア142には、糸密度、糸の太さ、縫い目のピッチ長など刺繍データを作成する際に使用される設定値が記憶されている。これらの設定方法は本発明の要部でないので詳述しないが、図示外の設定画面にユーザが入力することにより設定情報記憶エリア142に記憶されるように刺繍データ作成プログラムにより制御されている。そして、刺繍データ記憶エリア143には、刺繍データ作成プログラムにより作成され、刺繍ミシン3に読み込まれる刺繍データが記憶される。そして、プログラム記憶エリア144にはCPU11で実行される刺繍データ作成プログラムが記憶されている。その他の情報記憶エリア145には、刺繍データ作成装置1で使用されるその他の情報が記憶されている。なお、刺繍データ作成装置1がハードディスク装置140を備えていない専用機の場合は、ROMにプログラムが記憶される。
【0034】
また、I/Oインタフェイス14には、マウス21と、ビデオコントローラ106と、キーコントローラ107と、CD−ROMドライブ108と、メモリカードコネクタ23と、イメージスキャナ装置25とが接続されている。ビデオコントローラ106にはディスプレイ24が接続され、キーコントローラ107にはキーボード22が接続されている。なお、CD−ROMドライブ108に挿入されるCD−ROM114には、刺繍データ作成装置1の制御プログラムである刺繍データ作成プログラムが記憶されており、導入時には、制御プログラムは、CD−ROM114から、ハードディスク装置140にセットアップされてプログラム記憶エリア144に記憶される。また、メモリカードコネクタ23では、メモリカード115の読み取りや書き込みが可能となっている。
【0035】
次に、図4を参照して、RAM12に設けられている記憶エリアについて説明する。RAM12には、基準点座標記憶エリア121,調整配列記憶エリア122,針落ち点数記憶エリア123,領域距離記憶エリア124,ループ変数記憶エリア125,調整点数カウンタ記憶エリア126等が設けられている。
【0036】
基準点座標記憶エリア121には、本発明の要部である針落ち点の調整を行う際に基準となる針落ち点(以下「基準点」という)の座標が記憶される。基準点が複数ある場合にはすべての基準点の座標が記憶される。そして、調整配列記憶エリア122は、調整対象となる針落ち点へのマーキングを行うために使用される。この調整配列記憶エリア122については図5を参照して後述する。そして、針落ち点数記憶エリア123には、刺繍座標配列記憶エリア141に記憶されている針落ち点の数が記憶される。すなわち、ハードディスク装置140の刺繍座標配列記憶エリア141の一次元配列の配列数である。なお、以下、この針落ち点数記憶エリア123に記憶されている値を「max」と記すこととする。
【0037】
そして、領域距離記憶エリア124には、針落ち点の調整の際の基準となる領域に関する値が記憶される。具体的には、この領域は基準点から半径Rの円内の領域であり、ここには半径Rの値が記憶される。ループ変数記憶エリア125は、針落ち点調整の処理を行う刺繍データ作成プログラムにおいて使用される種々の変数のための記憶エリアであり、調整点数カウンタ記憶エリア126は、針落ち点調整の処理において調整された針落ち点の数を計数するために使用される調整点数カウンタを記憶する記憶エリアである。
【0038】
次に、図5を参照して、調整配列記憶エリア122について説明する。調整配列記憶エリア122は、刺繍座標配列記憶エリア141に記憶されている座標の数と同数、すなわちすべての針落ち点の数の一次元配列となっている。そして、それぞれの針落ち点について、調整を行うか否かの検討対象となる針落ち点であるかどうかの情報が「マークレベル」として記憶されている。初期値としてすべての配列に「0」が記憶され、調整の検討が行われる場合には「1」以上の値が記憶される。つまり、調整の検討が行われない場合には「0」が記憶されていることになる。具体的には、1回目の調整処理が行われる前の段階で検討対象とされた針落ち点には「1」が記憶され、1回目の調整処理の中で新たに検討対象とされた針落ち点には「2」が記憶され、2回目の調整処理の中で新たに検討対象とされた針落ち点には「3」が記憶されるというように、調整処理の実施回数が上がると共に記憶される値も大きくなる。なお、この調整配列の3番目の針落ち点に記憶エリアを「調整配列(3)」と示すこととする。つまり、調整処理の回数が増すほど、記憶される値、つまり、マークレベルが上がることとなる。
【0039】
次に、図6乃至図12を参照して、本発明の要部である針落ち点の調整方法について説明する。図6は、調整前の針落ち点及び縫い目を示す模式図300であり、図7は、調整対象となる針落ち点を決定する際の領域Eを示した模式図301であり、図8は、折返点t5を調整するか否かの判断を行う領域Fを示した模式図302であり、図9は、折返点t5をどのように調整するかの判断を行う領域Gを示した模式図303であり、図10は、折返点t5を移動先点t105へ移動させて調整を行った状態を示す模式図304である。そして、図11は、折返点t51をどのように調整するかの判断を行う領域Gを示した模式図400であり、図12は、折返点t51を削除して調整した状態を示す模式図401である。図6乃至図12では、実線は縫い目を示し、縫い目の端の丸が針落ち点を示している。
【0040】
図6に示すような針落ち点t1〜t18により、その一部が形成される刺繍座標配列を考える。このような刺繍座標配列において、針落ち点t2,t5,t8,t11,t14,t17のように、前後の縫い目により成される角度が所定角度よりも狭い針落ち点、つまり、縫い目が折り返している針落ち点を「折返点」と呼ぶこととする。そして、これらの針落ち点の中から1つの基準点が決定される。本例では、図7に示すように、折返点t2を基準点Sとする。そして、基準点Sを中心として半径Rの円が、調整対象となる針落ち点を決定するための領域Eである。この領域E内に存在する折返点t5,t8,t11,t14,t17が調整の対象となる「領域内折返点」とされる。なお、半径Rは刺繍の糸密度、糸の太さ及び縫い目のピッチ長のうちの少なくとも一つに基づいて決定される値であり、本実施の形態では「2×10/糸密度」とする。糸密度とは、1mm当たりに配置される糸の本数(本/mm)であり、本実施の形態では1〜7本/mmで設定可能であり、設定された値はハードディスク装置140の設定情報記憶エリア142に記憶されている。
【0041】
ここで、図8を参照して、領域内折返点t11を例に調整をするか否かの判断について説明する。ここでは、調整の判断が行われる領域内折返点t11を中心として、半径R/3の円が、調整するか否かの判断を行う領域Fとされる。図8に示す例では、領域内折返点t8,t14,t17が領域F内に存在し、調整を行う折返点であるとされる。一方、領域F内に他の針落ち点が1つも存在しない場合には、その領域内折返点は調整を行わないとされる。この半径R/3が「第一基準距離」に該当する。
【0042】
次に、図9を参照して、調整を行うと判断された領域内折返点t11をどのように調整するかの判断について説明する。本実施の形態では、領域内折返点t11を移動させる(座標を変更する)方法、領域内折返点t11を削除する方法のいずれかで調整が行われる。図9に示すように、判断が行われる領域内折返点t11を中心とした半径P/3の円が、調整方法決定のための領域Gとされる。なお、半径P/3を与えるPとは、設定情報記憶エリア142に記憶されているピッチ長(基本となる縫い目の長さ)の値であり、刺繍データを作成する際に予めユーザにより設定される。この半径P/3が「第二基準距離」に該当する。
【0043】
領域内折返点t11の隣の針落ち点、すなわち、領域内折返点t11が終点となる縫い目の始点である針落ち点t10と、領域内折返点t11が始点となる縫い目の終点である針落ち点t12とを隣接点t10,t12とする。そこで、領域G内に隣接点t10が存在しない場合には、領域内折返点t11を移動させると判断される。そして、図10に示すように、領域内折返点t11は折返点t111の位置へ移動される。この折返点t111は、領域内折返点t11,隣接点t10,t12の3点からなる三角形において、折返点t11から対辺t10−t12の中点へ直線が引かれる(中線)。点t111はこの中線上の点であり、本実施の形態では中線を1:1に内分する点(内分点)としている。
【0044】
ここで、領域G内に隣接点が存在して、領域内折返点を削除する例について図11及び図12を参照して説明する。ここでは、図11に示す領域内折返点t51について、どちらの方法で調整するかを判断する。そこで、領域内折返点t51を中心とする円である領域Gをみると、隣接点t50が領域G内に存在するので、領域内折返点t51は削除される。そして、図12に示すように、針落ち点t50を始点とする縫い目の終点はt52とされる。
【0045】
次に、図13乃至図15のフローチャートを参照して、針落ち点の調整の具体的処理について説明する。図13は、針落ち点の調整を行うメイン処理のフローチャートであり、図14は、メイン処理の中で行われる第一処理のフローチャートであり、図15は、メイン処理の中で行われる第二処理のフローチャートである。刺繍データを作成する際に、メイン処理は、例えば、刺繍データを編集する際に使用される刺繍データ作成画面(図示外)において、表示されている刺繍結果の刺繍データの作成が指示された際に、刺繍ミシン5へ読み込ませる刺繍データを作成する前処理として実行される。なお、RAM12の各記憶エリアの値はメイン処理が開始される際に初期化されて、すべて「0」が記憶される。
【0046】
図13に示すように、メイン処理では、まず基準点が決定され、基準点座標記憶エリア121にその座標が記憶される(S1)。具体的には、刺繍ステッチの最初の針落ち点、最初の折返点、最後の折返点、最後の針落ち点が基準点とされる。最初の針落ち点の座標は、刺繍座標配列(1)に記憶されている座標であり、最後の針落ち点の座標は、刺繍座標配列(max)に記憶されている値である。そして、最初の折返点は、刺繍座標配列(2)から順に刺繍座標配列(3)へと、折返点であるか否かの判断が行われ探索される。刺繍座標配列(2)に座標が記憶されている2番目の針落ち点が折返点であるかの判断は、刺繍座標配列(1),刺繍座標配列(2),刺繍座標配列(3)の3点で、刺繍座標配列(2)を頂点として作られる角の角度が算出され、その角度が45度以下であるか否かにより判断される。そして、最初に折返点であると判断された針落ち点の座標が基準点として基準点座標記憶エリア121に記憶される。また、最後の折返点は、刺繍座標配列(max−1)から順に刺繍座標配列(max−2)へと探索され、最初に折返点であると判断された針落ち点の座標が基準点として基準点座標記憶エリア121に記憶される。なお、ここで、領域距離Rも算出されて領域距離記憶エリア124に記憶される。この領域距離Rは、本実施の形態では「2×10/糸密度」とし、すべての基準点について、それぞれの基準点と当該針落ち点との距離が算出される。
【0047】
S1において基準点が決定されたら、刺繍座標の添字として使用する添字変数iに初期値の「0」が記憶される(S2)。そして、S3〜S7の処理が繰り返されて、刺繍座標配列(i)について、その座標の針落ち点を調整の検討対象とするか否かの判定が行われ、調整対称とされる場合にはマーキングが行われる。
【0048】
具体的には、まず、添字変数iに「1」が加算され「1」となる(S3)。そして、添字変数iの値が針落ち点数より「1」少ない値よりも大きくなったか否かの判断が行われる(S4)。これは、刺繍座標配列の最後より一つ前の値、つまり、最後の針落ち点の前の針落ち点までマーキングが終了したかを判断している。最後の針落ち点については、調整を行わないので、マーキングの必要がない。添字変数iは「1」であるので、針落ち点数より「1」少ない値よりも大きくないと判断され(S4:NO)、刺繍座標配列(i)に座標が記憶されている針落ち点が折返点であるか否かの判断が行われる(S5)。前述したように、折返点であるか否かの判断は、自身の針落ち点と前後の針落ち点との3点で形成される角の角度が45度以下である場合に折返点であると判断される。ここでは、刺繍座標配列(i−1),刺繍座標配列(i),刺繍座標配列(i+1)の3点で形成される針落ち点iを頂点とした角の角度が用いられる。なお、以下、刺繍座標配列(i)に記憶されている座標の針落ち点を針落ち点iと示すこととする。
【0049】
針落ち点iが折返点であると判断されれば(S5:YES)、S6へ進む。一方、折返点であると判断されなければ(S5:NO)、調整検討対象とはされずに、S3へ戻り、次の針落ち点についての処理が行われる。なお、i=1の場合には当該針落ち点は始点であり、角を形成できないので、折返点であるとは判断されず(S5:NO)、調整検討対象とはされずに、S3へ戻る。例えば、図6に示す例では、針落ち点t2,t5,t8,t11,t14,t17は折返点であると判断され、針落ち点t1,t3,t4,t6,t7,t9,t10,t12,t13,t15,t16,t18は折返点であるとは判断されない。
【0050】
そして、S5において針落ち点iが折返点であると判断された場合には(S5:YES)、針落ち点iと基準点との距離が領域距離記憶エリア124に記憶されている領域距離R未満であるか否かにより、領域E内に当該針落ち点が存在するか否かの判断が行われる(S6)。ここでは、基準点が複数ある場合にはすべての基準点について、それぞれの基準点に対して算出された領域距離Rと比較され、1つでも針落ち点iと基準点との距離の方が小さい領域距離Rがあれれば、領域E内に存在すると判断され(S6:YES)、調整配列(i)に「1」が記憶されて、調整検討対象とされる(S7)。そして、S3へ戻り、次の針落ち点についての処理が行われる。また、すべての基準点について、基準点までの距離が領域距離Rよりも大きければ(S6:NO)、調整検討対象とはされずにS3へ戻る。例えば、図7に示す例では、針落ち点t2,t5,t8,t11,t14,t17について、領域Eに存在するか否かの判断が行われるが、すべての針落ち点について領域内に存在すると判断される。
【0051】
そして、S3へ戻ったら、添字変数iに「1」が加算され「2」とされ(S3)、針落ち点数より「1」少ない値よりも大きくないと判断され(S4:NO)、2番目の針落ち点について、調整検討対象とするか否かの判定が行われる(S5〜S7)。そして、繰り返しS3〜S7の処理が行われ、最後の針落ち点を除くすべての針落ち点について、調整検討対象とするか否かの判定が行われ、調整検討対象とされた針落ち点については調整配列(i)に「1」が記憶されたら、添字変数iの値が針落ち点数より「1」少ない値よりも大きくなるので(S4:YES)、S11へ進む。
【0052】
S11では、マークレベル変数jに初期値の「0」が記憶される。このマークレベル変数jは調整配列記憶エリア122に記憶されている調整配列のマークレベルと比較するための値である。1回目の調整処理(S13,S14)においては、マークレベルが「0」でなく且つ「1」以下のマークがされている針落ち点について調整が行われ、2回目の調整処ではマークレベル「2」以下のマークがされている針落ち点について調整が行われるためである。次いで、マークレベル変数jに「1」が加算されて「1」となる(S12)。つまり、マークレベルが「0」でなく且つ「1」以下の調整対象の針落ち点について調整処理(S13,S14)が行われることを意味する。
【0053】
そして、第一調整処理(S13)、第二調整処理(S14)が行われる。本実施の形態では、針落ち点が2つのグループに分割されて調整処理が行われる。具体的には、刺繍座標配列の1番目の針落ち点から「max/2」番目の針落ち点の第一グループ、「max/2」番目の針落ち点から最後の針落ち点の第二グループである。そして、第一グループの針落ち点については第一調整処理(S13)で調整が行われ、第二グループの針落ち点については第二調整処理(S14)で調整が行われる。ここで、図16に記載の例で説明する。図16は、m1〜m30までの針落ち点を結んだ刺繍結果の模式図700である。ここでは、簡単のために針落ち点を30個としている。図16の模式図700の例では、第一グループはm1〜m15、第二グループはm15〜m30とされる。
【0054】
次に、図14のフローチャートを参照して、第一調整処理について説明する。この第一調整処理では、刺繍座標配列について、max/2番目の針落ち点から順に「max/2−1」番目の針落ち点、「max/2−2」番目の針落ち点と処理を進め、1番目の針落ち点までの調整の検討及び調整の実施が行われる。図16に示す例では、針落ち点m15,針落ち点m14,針落ち点m13,・・・,針落ち点m3,針落ち点m2,針落ち点m1の順で処理が行われる。以下、図16の例を参照して、max=30として、第一調整処理について説明する。図16に示す例では、折返点はm3,m8,m13.m18,m23,m28であり、メイン処理のS6において、すべての折返点が調整検討対象であると判断され、調整配列には「1」が記憶されており、他の針落ち点の調整配列には「0」が記憶されているとする。
【0055】
まず、添字変数kに初期値の「max/2=15」が記憶される(S31)。添字変数kの値は刺繍座標配列の添字である。次いで、添字変数kの値が「1」より小さいか否かの判断が行われる(S33)。すなわち、本第一調整処理で行われるべき最後の針落ち点までの処理が終了したか否かの判断が行われる。まだ、「15」であるので、「1」より小さくなく(S33:NO)、針落ち点kが調整検討対象であるか否かの判断が行われる(S34)。具体的には、針落ち点kにマークされている値が「0」でなく且つマークレベル変数j以下、すなわち「1」以下の値がマークされているか否か、調整配列(k)の値が「0」でなく且つマークレベル変数jの値「1」以下であるか否かの判断が行われる。調整配列(k)の値が「0」であり、調整検討対象でないと判断され(S34:NO)、次の針落ち点についての処理を行うために、kから「1」が減算されて(S45)、S33へ戻る。
【0056】
図16の例では、m15(k=15)は、調整検討対象でなく調整配列(15)には「0」が記憶されているので(S34:NO)、添字変数kの値から「1」減算されて「14」とされる(S45)。そして、S33では、「1」よりも小さくないと判断され(S33:NO)、針落ち点m14(k=14)について、調整検討対象であるか否かの判断がされるが、調整配列(14)には「0」が記憶されているので(S34:NO)、添字変数kの値から「1」減算されて「13」とされ(S45)、S33へ戻る。そして、S33では、「1」よりも小さくないと判断され(S33:NO)、針落ち点m13(k=13)について、調整検討対象であるか否かの判断がされる(S34)。調整配列(13)には「1」が記憶されているので「0」でなく「1」以下であり、調整検討対象であると判断される(S34:YES)。
【0057】
調整配列(k)の値が「1」であり、「0」でなくマークレベル変数jの値「1」以下である場合には、調整検討対象であるとされ(S34:YES)、調整の検討及び調整が行われる(S35〜S44)。そこで、まず、添字変数xに初期値として、添字変数kの値が記憶される(S35)。この添字変数xは、調整検討対象であると判断された針落ち点kから第一基準距離「R/3」未満の距離の領域、すなわち針落ち点kを中心として半径「R/3」の円である領域Fに針落ち点が存在するか否かを検証するためのものである。
【0058】
本実施の形態では、第一グループに属する針落ち点を2つのグループに分割する。そして、針落ち点kの進行順序に従って、針落ち点kよりも順序が前の針落ち点の前グループと、針落ち点kよりも順序が後の針落ち点の後グループとに分割する。本第一処理では、添字変数kは「max/2」から「1」へ進行するので、添字変数kの値が「13(max/2>13>1)」であれば、「max/2」〜「14」の前グループと「12」〜「1」の後グループとに分割されることになる。そして、添字変数xはこの前グループに属する針落ち点のみを指し示す値を取る。つまり、「14」〜「max/2」の値をとる。
【0059】
具体的には、初期値として添字変数kの値「13」が記憶された後(S35)、添字変数に「1」が加算される(S36)。そして、添字変数xの値が「2/max」よりも大きいか否かの判断が行われる(S37)。添字変数xの値が「2/max」よりも大きくなければ(S37:NO)、針落ち点kと針落ち点xとの距離が算出されて、第一基準距離「R/3」と比較され、領域F内に針落ち点xが存在するか否かの判断が行われる(S38)。針落ち点kと針落ち点xとの距離が第一基準距離「R/3」未満でなければ、領域F内に針落ち点xは存在せず(S38:NO)、他の針落ち点が領域Fにあるか否かの探索を継続する必要がある。そこで、S36へ戻り、次の針落ち点xについて領域F内に存在するか否かの判断が行われる(S36、S37,S38)。
【0060】
一方、針落ち点kと針落ち点xとの距離が第一基準距離「R/3」未満であれば、領域F内に針落ち点xは存在し(S38:YES)、針落ち点kは調整対象とされる。そこで、調整点数カウンタに「1」が加算される(S39)。そして、どの方法で調整を行うかの判断が行われる(S40)。具体的には、針落ち点kと針落ち点k+1との距離が算出され、第二基準距離「P/3」と比較される。針落ち点kと針落ち点k+1との距離が第二基準距離「P/3」以上であれば(S40:YES)、針落ち点kを移動させる(座標を変更する)方法が選択される。そこで、まず、調整配列(k)に「マークレベル変数jの値+2」が記憶される(S41)。現在、マークレベル変数jの値は「1」なので「3」が記憶される。そして、針落ち点k−1,k,k+1の3点の内分点が算出され、刺繍座標配列(k)に記憶される(S42)。すなわち、針落ち点kの位置が移動される。なお、内分点の算出方法については、図17を参照して後述する。そして、次の針落ち点についての処理を行うために、kから「1」が減算されて(S45)、S33へ戻る。
【0061】
一方、針落ち点kと針落ち点k+1との距離が第二基準距離「P/3」以上でなければ(S40:YES)、針落ち点kを削除する方法が選択される。そこで、まず、針落ち点kに隣接する針落ち点k−1,k+1と、針落ち点kとの距離がそれぞれ算出され、針落ち点kとの距離が近い方の針落ち点に対して、調整配列に「マークレベル変数jの値+2」が記憶される。つまり、針落ち点k−1の方が近い場合には調整配列(k−1)に「マークレベル変数jの値+2」が記憶され、針落ち点k+1の方が近い場合には調整配列(k+1)に「マークレベル変数jの値+2」が記憶される。そして、針落ち点kが削除される(S43)。具体的には、刺繍座標配列(k+1)〜刺繍座標配列(max)の値が、刺繍座標配列(k)〜刺繍座標配列(max−1)に記憶され、刺繍座標配列(max)には針落ち点の座標の取り得ない値、例えば「99999」などが記憶される。そして、針落ち点数記憶エリア123に記憶されている針落ち点数maxから「1」が減算される。次の針落ち点についての処理を行うために、kから「1」が減算されて(S45)、S33へ戻る。
【0062】
そして、繰り返しS36〜S38の処理が行われ、添字変数xの値が「2/max」よりも大きくなったら(S37:YES)、領域F内に他の針落ち点が存在しなかったことになるので、折返点の座標が変更されない方法が選択されたことになり、調整は行われずに、添字変数kから「1」が減算されて(S45)、S33へ戻り、次の針落ち点kについての処理が行われる。
【0063】
図16に示す例では、添字変数k=13なので、初期値として添字変数kの値「13」が記憶された後(S35)、添字変数xに「1」が加算され「14」となる(S36)。そして、添字変数xの値「14」は「2/Max=15」よりも大きくないので(S37:NO)、針落ち点m13と針落ち点m14との距離と第一基準距離R/3との関係(S38)、針落ち点m13と針落ち点m14との距離と第二基準距離P/3との関係(S40)に基づいて、他の針落ち点を探す(S38:NO)、針落ち点m13を削除する方法(S38:YES,S40:NO)、針落ち点m13を移動させる方法(S38:YES,S40:YES)のいずれかが選択され、それぞれに応じた処理が行われる(変更しない方法では何もせずにS36へ、削除する方法ではS43,S44の後S45へ、移動させる方法ではS41、S42の後S45へ)。
【0064】
そして、他の針落ち点を探す場合には(S38:NO)、S36へ戻り、添字変数xに「1」が加算されて「15」となり(S36)、添字変数xの値「15」は「2/Max=15」よりも大きくないので(S37:NO)、針落ち点m13と針落ち点m14との距離と第一基準距離R/3との関係(S38)、針落ち点m13と針落ち点m14との距離と第二基準距離P/3との関係(S40)に基づいて、それぞれの処理が行われる。そして、更に他の針落ち点を探す場合には(S38:NO)、S36へ戻り、添字変数xに「1」が加算されて「16」となり(S36)、添字変数xの値「16」は「2/Max=15」よりも大きいので(S37:YES)、領域F内には他の針落ち点は見つからなかったこととなり、針落ち点m13は座標を変更しない方法が選択され、添字変数kから「1」が減算されて「13」となり(S45)、S33へ戻り、次の針落ち点kについての処理が行われる。
【0065】
このようにして、S33〜S45の処理が繰り返し実施され、max/2番目の針落ち点から順に1番目の針落ち点までの調整の検討及び調整の実施が行われる。図16に示す例では、針落ち点m13,m8,m3について、調整配列に「1」が記憶されているので、S35〜S44の処理が行われる。なお、針落ち点m8では、針落ち点m9,m10,m11,m12,m13,m14,m15の順に、第一基準距離よりも距離の短い針落ち点が出現するまでS38の第一基準処理との距離の比較が行われる。つまり、すでに調整の行われた前グループの針落ち点に対して第一基準距離との比較が行われる。したがって、調整するか否かの判断が行われるので、すでに調整が行われて、針落ち点が密でない状態、糸密度が低くなった状態の針落ち点に対して比較が行われることになる。よって、まだ調整が行われていない後グループの針落ち点に比べて、針落ち点は疎となっているので、必要以上に針落ち点を調整してしまうことがない。
【0066】
そして、図13に示すように、メイン処理では、第一調整処理が終了すると(S13)、第二調整処理が行われる(S14)。第二調整処理では、刺繍座標配列について、max/2番目の針落ち点から順に「max/2+1」番目の針落ち点、「max/2+2」番目の針落ち点と処理を進め、「max」番目の針落ち点までの調整の検討及び調整の実施が行われる。図16に示す例では、針落ち点m15,針落ち点m16,針落ち点m17,・・・,針落ち点m28,針落ち点m29,針落ち点m30の順で処理が行われる。
【0067】
図14に示すように、まず、添字変数kに初期値の「max/2=15」が記憶される(S51)。次いで、添字変数kの値が「max」より大きいか否かの判断が行われる(S53)。すなわち、本第一調整処理で行われるべき最後の針落ち点までの処理が終了したか否かの判断が行われる。まだ、「15」であるので、「30」より大きくないので(S53:NO)、針落ち点kが調整検討対象であるか否かの判断が行われる(S54)。具体的には、針落ち点kにマークされている値が「0」でなく且つマークレベル変数jの値以下、すなわち「0」でなく「1」以下の値がマークされているか否かの判断が行われる。調整配列(k)の値が「0」であり、調整検討対象でないと判断され(S54:NO)、次の針落ち点についての処理を行うために、kに「1」加算されて(S65)、S53へ戻る。
【0068】
図16の例では、m15(k=15)は、調整検討対象でなく調整配列(1)には「0」が記憶されているので(S54:NO)、添字変数kに「1」加算されて「16」とされる(S65)。そして、S53では、「max」より大きくないと判断され(S53:NO)、針落ち点m16(k=16)について、調整検討対象であるか否かの判断がされるが、調整配列(16)には「0」が記憶されているので(S54:NO)、添字変数kの値に「1」加算されて「17」とされ(S65)、S53へ戻る。そして、S53では、「max」より大きくないと判断され(S53:NO)、針落ち点m18(k=18)について、調整検討対象であるか否かの判断がされる(S54)。調整配列(18)には「1」が記憶されているので「1」以上であり、調整検討対象であると判断される(S54:YES)。
【0069】
調整配列(k)の値が「1」であり、マークレベル変数jの値「1」以下且つ「0」でない場合には、調整検討対象であるとされ(S54:YES)、調整の検討及び調整が行われる(S55〜S56)。そこで、まず、添字変数xに初期値として、添字変数kの値が記憶される(S55)。この添字変数xは、第一調整処理と同様に、調整検討対象であると判断された針落ち点kから第一基準距離「R/3」未満の距離の領域、すなわち針落ち点kを中心として半径「R/3」の円である領域Fに針落ち点が存在するか否かを検証するためのものである。
【0070】
本実施の形態では、第二グループに属する針落ち点を2つのグループに分割する。そして、針落ち点kの進行順序に従って、針落ち点kよりも順序が前の針落ち点の前グループと、針落ち点kよりも順序が後の針落ち点の後グループとに分割する。本第一処理では、添字変数kは「max/2」から「max」へ進行するので、添字変数kの値が「18(max/2<18<max)」であれば、「max/2」〜「17」の前グループと「19」〜「max」の後グループとに分割されることになる。そして、添字変数xはこの前グループに属する針落ち点のみを指し示す値をとる。つまり、「max/2」〜「17」の値をとる。
【0071】
具体的には、初期値として添字変数kの値「18」が記憶された後(S55)、添字変数xから「1」減算される(S56)。そして、添字変数xの値が「2/max」よりも小さいか否かの判断が行われる(S57)。添字変数xの値が「2/max」よりも小さいなければ(S57:NO)、針落ち点kと針落ち点xとの距離が算出されて、第一基準距離「R/3」と比較され、領域F内に針落ち点xが存在するか否かの判断が行われる(S58)。針落ち点kと針落ち点xとの距離が第一基準距離「R/3」未満でなければ、領域F内に針落ち点xは存在せず(S58:NO)、他の針落ち点が領域Fにあるか否かの探索を継続する必要がある。そこで、S56へ戻り、次の針落ち点xについて領域F内に存在するか否かの判断が行われる(S56、S57,S58)。
【0072】
一方、針落ち点kと針落ち点xとの距離が第一基準距離「R/3」未満であれば、領域F内に針落ち点xは存在し(S58:YES)、針落ち点kは調整対象とされる。そこで、調整点数カウンタに「1」が加算される(S59)。そして、どの方法で調整を行うかの判断が行われる(S60)。具体的には、針落ち点kと針落ち点k−1との距離が算出され、第二基準距離「P/3」と比較される。針落ち点kと針落ち点k−1との距離が第二基準距離「P/3」以上であれば(S60:YES)、針落ち点kを移動させる(座標を変更する)方法が選択される。そこで、まず、調整配列(k)に「マークレベル変数jの値+2」が記憶される(S61)。現在、マークレベル変数jの値は「1」なので「3」が記憶される。そして、針落ち点k−1,k,k+1の3点の内分点が算出され、刺繍座標配列(k)に記憶される(S62)。すなわち、針落ち点kの位置が移動される。次の針落ち点についての処理を行うために、kに「1」加算されて(S65)、S53へ戻る。
【0073】
一方、針落ち点kと針落ち点k+1との距離が第二基準距離「P/3」以上でなければ(S60:YES)、針落ち点kを削除する方法が選択される。そこで、まず、針落ち点kに隣接する針落ち点k−1,k+1と、針落ち点kとの距離がそれぞれ算出され、針落ち点kとの距離が近い方の針落ち点に対して、調整配列に「マークレベル変数jの値+2」が記憶される。つまり、針落ち点k−1の方が近い場合には調整配列(k−1)に「マークレベル変数jの値+2」が記憶され、針落ち点k+1の方が近い場合には調整配列(k+1)に「マークレベル変数jの値+2」が記憶される。そして、針落ち点kが削除される(S63)。具体的には、刺繍座標配列(k+1)〜刺繍座標配列(max)の値が、刺繍座標配列(k)〜刺繍座標配列(max−1)に記憶され、刺繍座標配列(max)には針落ち点の座標の取り得ない値、例えば「99999」などが記憶される。そして、針落ち点数記憶エリア123に記憶されている針落ち点数maxから「1」が減算される。次の針落ち点についての処理を行うために、kに「1」加算されて(S65)、S53へ戻る。
【0074】
そして、繰り返しS56〜S58の処理が行われ、添字変数xの値が「2/max」よりも小さくなったら(S57:YES)、領域F内に他の針落ち点が存在しなかったことになるので、折返点の座標が変更されない方法が選択されたことになり、調整は行われずに、添字変数kに「1」加算されて(S65)、S53へ戻り、次の針落ち点kについての処理が行われる。
【0075】
図16に示す例では、添字変数k=18なので、初期値として添字変数kの値「18」が記憶された後(S55)、添字変数xから「1」減算され「17」となる(S56)。そして、添字変数xの値「17」は「2/Max=15」よりも小さくないので(S57:NO)、針落ち点m18と針落ち点m17との距離と第一基準距離R/3との関係(S58)、針落ち点m18と針落ち点m17との距離と第二基準距離P/3との関係(S60)に基づいて、他の針落ち点を探す(S58:NO)、針落ち点m18を削除する方法(S58:YES,S60:NO)、針落ち点m18を移動させる方法(S58:YES,S60:YES)のいずれかが選択され、それぞれに応じた処理が行われる(変更しない方法では何もせずにS56へ、削除する方法ではS63,S64の後S65へ、移動させる方法ではS61、S62の後S65へ)。
【0076】
そして、他の針落ち点を探す場合には(S58:NO)、S56へ戻り、添字変数xから「1」減算され「16」となる(S56)。そして、添字変数xの値「16」は「2/Max=15」よりも小さくないのでS57:NO)、針落ち点m18と針落ち点m16との距離と第一基準距離R/3との関係(S58)、針落ち点m18と針落ち点m16との距離と第二基準距離P/3との関係(S60)に基づいて、それぞれの処理が行われる。そして、更に他の針落ち点を探す場合には(S58:NO)、S56へ戻り、添字変数xから「1」減算され「15」となる(S56)。そして、添字変数xの値「15」は「2/Max=15」よりも小さくないのでS57:NO)、針落ち点m18と針落ち点m15との距離と第一基準距離R/3との関係(S58)、針落ち点m18と針落ち点m15との距離と第二基準距離P/3との関係(S60)に基づいて、それぞれの処理が行われる。そして、更に他の針落ち点を探す場合には(S58:NO)、S56へ戻り、添字変数xから「1」減算され「14」となる(S56)。添字変数xの値「14」は「2/Max=15」よりも小さいので(S57:YES)、添字変数kに「1」加算されて「19」となり(S65)、S53へ戻り、次の針落ち点kについての処理が行われる。
【0077】
このようにして、S53〜S65の処理が繰り返し実施され、max/2番目の針落ち点から順に1番目の針落ち点までの調整の検討及び調整の実施が行われる。図16に示す例では、針落ち点m18,m23,m28について、調整配列に「1」が記憶されているので、S55〜S64の処理が行われる。なお、針落ち点m23では、針落ち点m22,m21,m20,m19,m18,m17,m16,m15の順に、第一基準距離よりも距離の短い針落ち点が出現するまでS58の第一基準処理との距離の比較が行われる。つまり、すでに調整の行われた前グループの針落ち点に対して第一基準距離との比較が行われる。したがって、調整するか否かの判断が行われるので、すでに調整が行われて、針落ち点が密でない状態、糸密度が低くなった状態の針落ち点に対して比較が行われることになる。よって、まだ調整が行われていない後グループの針落ち点に比べて、針落ち点は疎となっているので、必要以上に針落ち点を調整してしまうことがない。
【0078】
そして、図13に示すように、メイン処理では、第二調整処理が終了すると(S14)、調整点数カウンタの値が「5」よりも小さいか否かの判断が行われる(S15)。「5」よりも小さければ(S15:YES)、調整された針落ち点の数が十分に小さくなった、つまり、基準点の周囲にある針落ち点は適度に疎になったと判断され、メイン処理は終了する。
【0079】
しかしながら、カウンタの値が「5」より小さくなければ(S15:NO)、さらに針落ち点を調整する必要があるので、針落ち点数カウンタの値が「0」にクリアされ(S16)、S12へ戻る。そして、マークレベル変数jに「1」が加算され「2」となる(S12)。これにより、第一調整処理のS34、第二調整処理のS54において、今回の調整において調整が行われる調整対象であるか否かの判断が行われる際に、調査検討対象である針落ち点kの調整配列(k)の値がマークレベル変数jの値以下且つ「0」以外の値であるか否かの判断が行われている。ここではマークレベル変数jは「2」となっているが、1回目の調整処理(S12、S13)において、調整された針落ち点kについては、マークレベル変数j(1)に「2」が加算されて「3」が記憶されているので、この2回目の調整処理で調整が行われることはない。すなわち、調整が行われた針落ち点については、次回の調整では調整は行われない。なお、針落ち点kが削除された場合については、削除後代替として針落ち点k+1又は針落ち点k−1の調整配列(k+1)又は調整配列(k−1)に「3」が記憶されているが、これも同様に次回の調整では調整は行われない。しかし、次々回の調整処理では、マークレベル変数jは「4」となっているので、第一調整処理のS34、第二調整処理のS54において、「4」以下且つ「0」でないと判断され、調査対象とされる。これにより、同じ針落ち点が何度も調整されてしまい、刺繍結果に隙間ができることを避けることができる。
【0080】
そして、S12において、マークレベル変数jに「1」が加算されたら、第一調整処理(S13)、第二調整処理(S14)が行われ、調整点数カウンタの値が「5」との比較が行われ(S15)、「5」より小さくなければ(S15:NO)、S12へ戻る。このようにして、S12〜S16の処理が、調整点数カウンタの値が「5」より小さくなり(S15:YES)、すべての基準点の周囲の針落ち点が十分に疎になれば、糸密度も十分に低くなったとされて、メイン処理は終了する。そして、刺繍座標配列に記憶されている座標値が用いられて、刺繍データが作成される。
【0081】
ここで、第一調整処理(図14)のS42、第二調整処理(図15)のS62で行われる内分点の算出について、図17を参照して説明する。図7は、3つの針落ち点k−1,k,k+1による内分点eを示す模式図である。3点k−1,k,k+1からなる三角形において、頂点kと、対辺(針落ち点k−1とk+1とを結ぶ直線)を二等分する点f(対辺の中点)とを結ぶ直線を考える。これを中線という。そして、この中線kfを所定の比率で内分する点を求める内分点eとする。図17に示す例では、中線kfを「ke:ef=1:1」に内分する点が示されている。
【0082】
なお、この中線kfに対する内分点の比率は必ずしも1:1である必要はなく、「ke:ef=1:2」,「ke:ef=2:3」,「ke:ef=4:3」等他の比率であってもよいことはいうまでもない。また、この比率は1種類でなく複数設けてもよい。例えば、図18に示すように、点e1,e2,e3と3つの内分点を設けてもよい。図18に示す例では、「ke1:e1f=1:2」,「ke2:e2f=1:1」,「ke3:e4f=1:3」とされている。このような場合、1回目の針落ち点の移動先は内分点e1,次の針落ち点の移動先は内分点e2,次の針落ち点の移動先は内分点e3,次の針落ち点の移動先は内分点e1,・・・と言うように順に選択するようにしてもよい。こうすることにより、移動先の針落ち点の座標が分散することとなる。また、この内分点の出現割合は一定でなくともよく、内分点e1,内分点e2,内分点e3,内分点e1,内分点e2,内分点e1,内分点e2,内分点e1,内分点e2,内分点e3,内分点e1・・・というように、出現割合の低い内分点があってもよい。しかし、同じ内分点が続けて選択されると移動先の針落ち点の位置が近くになり上手く分散しないので、何度も続けて同じ内分点が出現しないような順序とした方がよい。
【0083】
以上のようにして、針落ち点の密集しやすい基準点の周囲(基準点中心、半径Rの円領域E内)に存在する折返点のうち、近く(折返点中心、半径R/3の円領域F内)に他の針落ち点がある折返点を、基準点から遠くなる方向に移動させたり(折返点の内分点への移動)、間引いたり(折返点の削除)することにより、基準点の周囲の針落ち点の密度を疎にし、糸密度も疎にすることができる。どの基準点に対しても同様に、その周囲の針落ち点の密度を調整するので、刺繍により縫い潰す領域の形状に左右されない。すでに作成されている刺繍座標配列に対して、針落ち点の密度を調整するので、刺繍座標配列を1から作成する必要がなく、手間がなく、処理も煩雑でない。
【0084】
上記実施の形態の刺繍座標配列記憶エリア141が「刺繍座標記憶手段」に該当する。そして、図13に示すメイン処理のS1において折返点であるか否かの判断をするCPU11、S5の処理を行うCPU11が「折返点判断手段」に相当し、S1の処理を行うCPU11が「基準点決定手段」に相当する。そして、S1において、それぞれの基準点と当該針落ち点との距離の比較対照である領域距離Rの値「2×10/糸密度」の演算を行うCPU11が「領域決定手段」に相当し、S6においてそれぞれの基準点と当該針落ち点との距離と領域距離Rとを比較し、それぞれの基準点と当該針落ち点との距離が領域距離Rよりも小さい場合に領域内に存在すると判断するCPU11が「領域内折返点判断手段」に相当する。
【0085】
そして、図14に示す第一調整処理のS35〜S44、図15に示す第二調整処理のS55〜S64の処理を行うCPU11が「調整方法選択手段」及び「調整制御手段」に相当する。そして、図14に示す第一調整処理のS35〜S38、図15に示す第二調整処理のS55〜S58の処理を行うCPU11が「否変更選択制御手段」に相当し、図14に示す第一調整処理のS40〜S44、図15に示す第二調整処理のS60〜S66の処理を行うCPU11が「変更削除選択制御手段」に相当する。そして、図14に示す第一調整処理のS38、図15に示す第二調整処理のS58の処理において、「R/3」すなわち「2×10/糸密度/3」を演算するCPU11が「第一基準距離算出手段」に相当し、図14に示す第一調整処理のS40、図15に示す第二調整処理のS60の処理において、「P/3」を演算するCPU11が「第二基準距離算出手段」に相当する。
【0086】
そして、図14に示す第一調整処理のS39、図15に示す第二調整処理のS59の処理を行うCPU11が「調整数計数手段」に相当し、図13に示すメイン処理のS12〜S16の処理を行うCPU11が「繰返調整制御手段」に相当する。
【0087】
尚、本発明の刺繍データ作成装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。上記実施の形態では、基準点を最初の針落ち点、最初の折返点、最後の折返点、最後の針落ち点としたが、これらのすべての点に限らない。また、ユーザが指定するようにしてもよい。また、折返点であるか否かの判断は、自身の針落ち点と前後の針落ち点との3点で形成される角の角度が45度以下である場合に折返点であると判断したが、この角度は、45度に限定することなく適宜設定してもよい。
【0088】
また、上記実施の形態では調整点数カウンタの値が「5」より小さくなった場合に、処理を終了させたが(メイン処理、S15:YES)、調整点数カウンタの値と比較する値は「5」に限らず、それ以上であっても未満であってもよい。また、ユーザに設定させてもよいし、設定情報記憶エリア142に記憶されている糸密度に基づいて決定してもよい。例えば、糸密度が「4」である場合には「5」、糸密度が「5」である場合には「7」など、予め糸密度に応じた値を記憶させておく。
【0089】
また、基準点からの基準領域として、基準点を中心とした距離R(2×10/糸密度)の円を例に挙げたが、基準領域はこれに限らない。距離Rを算出する際に「2×10/糸密度」としているが、距離Rの算出方法もこれに限らず、糸の太さやピッチ長を加味した値としてもよい。例えば、糸の太さごとに糸太さ係数を予め定めておき、「2×10/糸密度×糸太さ係数」とする。糸太さ係数は、例えば、75デニール未満の糸では「0.8」、75デニール以上150デニール未満の糸では「1.0」、150デニール以上の糸では「1.2」とする。また、基準領域の形状は円に限らず、長方形等の多角形や楕円であってもよい。
【0090】
また、第一基準距離として「R/3」を用いているがこの値はこれに限らない。「R/4」や「R/2」であってもよい。この距離Rについても基準領域の場合と同様に、糸の太さやピッチ長を加味した値としてもよい。また、第二基準距離として「P/3」を用いているがこの値もこれに限らない。ピッチ長だけでなく、糸密度や糸の太さを加味した値としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】刺繍ミシン3の外観図である。
【図2】刺繍データ作成装置1の物理的構成を示す全体構成図である。
【図3】刺繍データ作成装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】RAM12の構成を示す模式図である。
【図5】調整配列記憶エリア122の構成を示す模式図である。
【図6】調整前の針落ち点及び縫い目を示す模式図300である。
【図7】調整対象となる針落ち点を決定する際の領域Eを示した模式図301である。
【図8】折返点t5を調整するか否かの判断を行う領域Fを示した模式図302である。
【図9】折返点t5をどのように調整するかの判断を行う領域Gを示した模式図303である。
【図10】折返点t5を移動先点t105へ移動させて調整を行った状態を示す模式図304である。
【図11】折返点t51をどのように調整するかの判断を行う領域Gを示した模式図400である。
【図12】折返点t51を削除して調整した状態を示す模式図401である。
【図13】針落ち点の調整を行うメイン処理のフローチャートである。
【図14】メイン処理の中で行われる第一処理のフローチャートである。
【図15】メイン処理の中で行われる第二処理のフローチャートである。
【図16】m1〜m30までの針落ち点を結んだ刺繍結果の模式図700である。
【図17】3つの針落ち点k−1,k,k+1による内分点eを示す模式図である。である。
【図18】3つの針落ち点k−1,k,k+1による内分点e1,e2,e3を示す模式図である。である。
【図19】領域を縫い潰す縫い方を示す模式図900である。
【図20】針落ち点が密集した縫い目及び針落ち点を示す模式図950である。
【符号の説明】
【0092】
1 刺繍データ作成装置
3 刺繍ミシン
11 CPU
12 RAM
121 基準点座標記憶エリア
122 調整配列記憶エリア
123 針落ち点数記憶エリア
124 領域距離記憶エリア
126 調整点数カウンタ記憶エリア
140 ハードディスク装置
141 刺繍座標配列記憶エリア
142 設定情報記憶エリア
143 刺繍データ記憶エリア
E 領域
F 領域
G 領域
e 内分点
e1,e2,e3 内分点
m1〜m30 針落ち点
max 針落ち点数
t1〜t18 針落ち点
t50〜t52 針落ち点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刺繍ミシンで刺繍を行うための刺繍データを作成する刺繍データ作成装置において、
刺繍の縫い目の始点又は終点である針落ち点の座標を記憶した刺繍座標記憶手段と、
当該刺繍座標記憶手段に前記座標の記憶されている前記針落ち点が、当該針落ち点が終点となる先の縫い目と、当該針落ち点が始点となる後の縫い目とが成す角度が所定量より小さい針落ち点である折返点であるか否かを判定する折返点判断手段と、
当該折返点判断手段により前記折返点であると判断された前記針落ち点から少なくとも1つの基準点を決定する基準点決定手段と、
当該基準点決定手段により前記基準点であると決定された前記針落ち点を中心とし、当該刺繍の糸密度、糸の太さ及び縫い目のピッチ長のうちの少なくとも一つに基づいた所定領域を決定する領域決定手段と、
前記折返点が前記領域決定手段で決定された前記所定領域内にあるか否かを判断する領域内折返点判断手段と、
当該領域内折返点判断手段により前記所定領域内にあると判断された場合に、当該折返点と前記刺繍座標記憶手段に座標が記憶されている他の前記針落ち点との座標位置関係に基づいて、当該折返点の座標を変更しない方法、又は、当該折返点の座標を変更する方法、又は、当該折返点を削除する方法のうちのいずれか1つの方法を選択する調整方法選択手段と、
前記調整方法選択手段により当該折返点の座標を変更する方法が選択された場合には、当該折返点の座標と当該折返点に隣接する2つの前記針落ち点の座標とに基づいて当該折返点の新たな座標を算出し、前記調整方法選択手段により当該折返点を削除する方法が選択された場合には、当該折返点を削除する調整制御手段とを備えたことを特徴とする刺繍データ作成装置。
【請求項2】
前記調整方法選択手段は、
当該調整方法選択手段により調整方法の選択が行われる前記折返点と前記刺繍座標記憶手段に前記座標の記憶されている他の前記針落ち点との位置関係に基づいて、当該選択が行われる前記折返点に対して座標を変更しない方法を選択する否変更選択制御手段と、
当該調整方法選択手段により調整方法の選択が行われる前記折返点に対して前記否変更選択制御手段により座標を変更しない方法が選択されなかった場合に、当該選択が行われる前記折返点と、当該選択が行われる前記折返点に隣接する針落ち点との位置関係に基づいて、当該折返点の座標を変更する方法、又は、当該折返点を削除する方法を選択する変更削除選択制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の刺繍データ作成装置。
【請求項3】
前記調整方法選択手段は、
当該刺繍の糸密度、糸の太さ及び縫い目のピッチ長のうちの少なくとも一つに基づいて第一基準距離を算出する第一基準距離算出手段と、
当該刺繍の糸密度、糸の太さ及び縫い目のピッチ長のうちの少なくとも一つに基づいて第二基準距離を算出する第二基準距離算出手段とを備え、
前記否変更選択制御手段は、前記刺繍座標記憶手段に前記座標の記憶されている前記針落ち点のうち、当該調整方法選択手段により調整方法の選択が行われる前記折返点からの距離が前記第一基準距離未満である針落ち点がない場合に、当該選択が行われる前記折返点に対して座標を変更しない方法を選択し、
前記変更削除選択制御手段は、当該選択が行われる前記折返点と、当該選択が行われる前記折返点に隣接する針落ち点との距離が前記第二基準距離以上である場合には、当該折返点の座標を変更する方法を選択し、前記第二基準距離以上でない場合には、当該折返点を削除する方法を選択することを特徴とする請求項2に記載の刺繍データ作成装置。
【請求項4】
前記領域内折返点判断手段により前記所定領域内にあると判断された前記折返点である領域内折返点のうち、前記調整方法選択手段により当該折返点の座標を変更する方法、又は、当該折返点を削除する方法が選択された前記折返点の数を計数する調整数計数手段と、
前記調整数計数手段により計数される数が所定数より少なくなるまで、前記領域内折返点判断手段により前記所定領域内にあると判断されたすべての前記領域内折返点に対して前記調整方法選択手段及び前記調整制御手段を繰り返し実施する繰返調整制御手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の刺繍データ作成装置。
【請求項5】
前記繰返調整制御手段は、前記領域内折返点に対して、前記刺繍座標記憶手段に記憶されている順序に基づいた順序で前記調整方法選択手段及び前記調整制御手段を実施し、
前記否変更選択制御手段は、前記刺繍座標記憶手段に記憶されている針落ち点を、前記刺繍座標記憶手段に記憶されている順序が当該選択の行われる前記折返点よりも前であるグループと後であるグループとに分類し、すでに前記調整方法選択手段及び前記調整制御手段が実施された前記折返点が含まれるグループに属する針落ち点についてのみ、当該選択の行われる前記折返点までの距離と前記第一基準距離との比較を行うことを特徴とする請求項4に記載の刺繍データ作成装置。
【請求項6】
前記繰返調整制御手段は、前記刺繍座標記憶手段に記憶されている前記針落ち点を少なくとも2つのグループに分類し、各々のグループごとに当該グループに属する前記領域内折返点について、前記調整方法選択手段及び前記調整制御手段を繰り返し実施することを特徴とする請求項4又は5に記載の刺繍データ作成装置。
【請求項7】
前記調整制御手段は、前記折返点の新たな座標を算出する際に、当該折返点に隣接する2つの前記針落ち点を結ぶ直線の中点と当該折返点とを結んだ線分である中線上の点である内分点の座標を当該折返点の新たな座標とすることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の刺繍データ作成装置。
【請求項8】
前記中線に対する前記内分点の分割比が複数設けられており、
前記調整制御手段は、前記折返点の新たな座標を算出するごとに前記複数の分割比から1つの分割比を順に選択して、前記内分点の座標を決定することを特徴とする請求項7に記載の刺繍データ作成装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の刺繍データ作成装置としてコンピュータを動作させる刺繍データ作成プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の刺繍データ作成プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−22992(P2008−22992A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−197306(P2006−197306)
【出願日】平成18年7月19日(2006.7.19)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】