説明

前生物的活性な植物抽出物

本発明は、皮膚において前生物的効果を有する植物抽出物、該植物抽出物を含有する局所化粧品および医薬品組成物、ならびに、該植物抽出物および組成物の使用、特に皮膚を処置するための使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、皮膚において前生物的効果を有する植物抽出物、該植物抽出物を含んでなる局所化粧品および医薬品組成物、ならびに、該植物抽出物および組成物の使用である。
【背景技術】
【0002】
皮膚炎は、皮膚に永続的に存在し、特定の条件下で激しく増殖し、そして例えば「不潔な皮膚」または座瘡を導く有害細菌(例えば、Propionibacterium acnes)によって引き起こされる。即ち、この場合には、我々は、病原性と分類される微生物(細菌および菌類)を主に取り扱っている。
【0003】
また、存在する皮膚細菌叢は、他の細菌種からも構成され、これら細菌種は、損傷を与えないだけでなく、むしろ増殖したときに、危険な微生物を阻止し、これによって重要な保護機能を発揮する。これらには、主にコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(例えば、S.epidermidis)が含まれる。一般に、用語「腐生菌」は、良性の望ましい皮膚微生物のためにも使用される。しかし、現行の分類によれば「腐生」皮膚微生物に属するとされない、望ましくない皮膚微生物も存在し、また、恐らくは望ましいが「病原性」と分類される微生物も存在するので、「望ましい」と「望ましくない」の間の区別は、「腐生菌」と「病原菌」の間の区別と一致しない。特に、例えば良性の皮膚友好的な微生物が、あまりに大きい増殖によって病原菌になりうることにも注意すべきである。このように、病原菌としての細菌の分類は、皮膚微生物叢の組成に依存する。
【0004】
非選択的な抗菌剤、例えば、市販の化粧品において座瘡に対抗し防止するために使用される抗菌剤は、望ましくない皮膚微生物を死滅させるだけでなく、望ましい皮膚微生物をも死滅させ、従って、生物学的平衡を攪乱し、種々の望ましくない結果を与える。
【0005】
従って、適用された皮膚領域において、皮膚細菌叢の望ましくない微生物の増殖および/または生存とは対照的に、皮膚細菌叢の望ましい微生物の増殖および/または生存を選択的に促進する製剤が必要とされている。このような物質を、「前生物的」とも称する。
【0006】
物質の前生物的効果の証拠は、主に腸に限定されていた。即ち、望ましい腸細菌の増殖を促進する物質の使用が、種々の刊行物に記載されている。Ahnら(1990)[Microbial Ecology in Health and Disease 3、223-229]は、特に、このための朝鮮人参抽出物の使用をも記載している。
【0007】
現在まで、皮膚についての唯一の報告は、オリゴ糖が前生物的効果を有することであった[Solabia Group(仏国)からのBioEcoliaに関する宣伝用パンフレット]。即ち、それが好ましくは腐生細菌において選択的に利用されうることであった。使用されるオリゴ糖が、Staphylococcus aureusの増殖と比較して、また、Corynebakterium xerosisの増殖と比較して、Micrococcus kristinaeの増殖を促進することがそこに示されていた。
【0008】
さらに欧州特許EP1050300において、ファルネソールとキシリトールの混合物が、S.aureusに対抗して選択的に作用し、従って競争相手であるS.epidermidisの増殖の増大を可能にするので、この混合物を前生物的物質として使用しうることが報告された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、皮膚または皮膚細菌叢において前生物的活性であるさらなる物質を探索することであった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、ここに、皮膚において前生物的効果を有し、従って皮膚の処置に有利に使用しうる植物抽出物を見い出した。
【0011】
本発明によれば、「前生物的効果」とは、望ましい(特に皮膚友好的な)皮膚微生物またはミクロ細菌叢の増殖および/または生存が、望ましくない(特に皮膚友好的ではない)皮膚微生物またはミクロ細菌叢の増殖および/または生存よりも促進されることを意味するものと解される。これは、望ましくない皮膚微生物の増殖に直接的に影響を及ぼすことなく望ましい皮膚微生物の増殖に有利に作用する活性成分によって、ならびに、望ましい皮膚微生物の増殖に直接的に影響を及ぼすことなく望ましくない皮膚微生物の増殖を抑制する活性成分によって達成することができる。しかし、本発明の特に好ましい特に驚くべき態様においては、活性成分は、望ましい皮膚微生物の増殖に対して有利に作用し、それと同時に、望ましくない皮膚微生物の増殖を抑制する。
【0012】
本発明によれば、用語「皮膚」とは、好ましくは皮膚それ自体(特にヒト皮膚)だけでなく、粘膜および皮膚付属器(それが生細胞を含んでいる限り)、特に毛包、毛根、毛球、爪床の腹側上皮層(lectulus)ならびに脂腺および汗腺をも意味するものと解される。
【0013】
従って、本発明の対象は、望ましい皮膚微生物の増殖を促進するための、局所化粧品皮膚処置剤における前生物的活性な植物抽出物(主に皮膚において前生物的活性である)の使用である。ここで、該望ましい皮膚微生物は、好ましくは良性の、および/または非病原性の、および/または皮膚友好的な、および/または腐生性の皮膚微生物、および/またはコアグラーゼ陰性のブドウ球菌、特にS.epidermidis、S.hominis、S.warneri、S.saprophyticus、S.xylosus、S.capitisもしくはS.simulans、特に好ましくはS.epidermidisもしくはS.warneri、および/または皮膚友好的な桿菌、特にBacillus licheniformisである。
【0014】
従って、本発明の対象はさらに、望ましくない皮膚微生物の増殖を抑制するための、局所化粧品皮膚処置剤における前生物的活性な植物抽出物(主に皮膚において前生物的活性である)の使用である。ここで、該望ましくない皮膚微生物は、好ましくは皮膚友好的ではない微生物、および/または病原性微生物、および/またはコアグラーゼ陽性のブドウ球菌、特にS.aureus、またはPropionibacterium acnes、Candida albicans、Malassezia furfur、Corynebacterium spp.もしくはPeptostreptococcus spp.からなる群から選択される微生物、主にPropionibacterium acnesである。
【0015】
本発明の特に好ましい態様において、前生物的活性な植物抽出物は、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(特に、S.epidermidisまたはS.warneri)の増殖および/または皮膚友好的な細菌(特にBacillus licheniformis)の増殖を促進し、それと同時に、Propionibacterium acnesの増殖を抑制する抽出物である。
【0016】
有利には、皮膚において前生物的活性である本発明に係る植物抽出物は、皮膚細菌叢の天然の健康な微生物平衡を回復または安定化するのに適する。
【0017】
本発明のさらなる対象は、荒れた、乾燥した、または油ぎった皮膚の処置のための、ならびに、菌類皮膚感染またはふけの処置のための、特に座瘡の処置のための、局所化粧品皮膚処置剤における、前生物的活性な植物抽出物(主に皮膚において前生物的活性である)の使用である。この処置は、まさに他の適用領域に対するように、予防的であることができる。
【0018】
本発明のさらなる対象は、前生物的活性な植物抽出物(主に皮膚において前生物的活性である)を含んでなる化粧品または医薬品組成物であり、ここで、該化粧品または医薬品組成物は好ましくは局所皮膚処置剤である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
前生物的活性な植物抽出物は、組成物中に、組成物の全重量を基準に、好ましくは0.01〜20重量%、特に好ましくは0.05〜10重量%、特に0.1〜5重量%、とりわけ0.5〜2重量%の量で含まれる。
【0020】
本発明に係る前生物的活性な植物抽出物は、好ましくは針葉樹抽出物、特にPinaceaeの群からの抽出物、またはSapindaceae、Araliaceae、LamiaceaeもしくはSaxifragaceaeの群からの抽出物、またはこれらの混合物である。
【0021】
植物抽出物は、特に好ましくは、Picea spp.の抽出物、特にPicea excelsa(同義語 Picea abies、トウヒ)もしくはPicea glauca(ドイツトウヒ)の抽出物、Pinus sp.の抽出物、特にPinus sylvestrisの抽出物、Paullinia sp.(ガラナ)の抽出物、特にPaullinia cubanaの抽出物、Panax sp.の抽出物、特にPanax ginseng(朝鮮人参)の抽出物、Lamium sp.の抽出物、特にLamium album(白イラクサ)の抽出物、またはRibes sp.の抽出物、特にRibes nigrum(クロフサスグリ)の抽出物、またはこれらの混合物である。
【0022】
前生物的活性な植物抽出物は、当業者に既知である任意の方法により、任意の植物組織および任意の抽出剤を用いて製造することができる。即ち、植物抽出物を、例えば、全植物から、花、葉、種子、根から、および/または、植物の分裂組織から抽出することができる。
【0023】
上記した植物抽出物の製造に使用する抽出剤は、例えば、水、アルコールならびにこれらの混合物であってよい。代表的なアルコールは、低級アルコール(例えば、エタノールおよびイソプロパノール)、特にポリヒドロキシアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびブチレングリコール)であり、これらは唯一の抽出剤であるか、または水性混合物の形態にある。即ち、例えば水/プロピレングリコール(1:10〜10:1の比率にある)に基づく植物抽出物が、特に適することがわかった。例えば、抽出を、蒸気蒸留によって行うことができる。所望により、乾燥抽出を行うこともできる。
【0024】
本発明の好ましい態様において、ムクロジ科植物、特にガラナの抽出物は、種子からの乾燥抽出物である。
針葉樹抽出物、特にマツ科(pinaceae)からの抽出物については、本発明に係る抽出物は、好ましくは針状葉または樹皮からのものである。水/プロピレングリコール抽出物が、Picea abiesまたはPicea excelsaの抽出物のために好ましく、水/エタノール抽出物がP.glaucaのために好ましい。
【0025】
Araliaceaeからの抽出物、特に朝鮮人参からの抽出物は、好ましくは根の抽出物である。
Lamiaceaeからの抽出物、特に白イラクサからの抽出物は、好ましくは水/プロピレングリコール抽出物である。
Saxifragaceaeからの抽出物、特にクロフサスグリからの抽出物は、好ましくは水/プロピレングリコール抽出物であり、主に葉からの抽出物である。
【0026】
本発明によれば、皮膚において前生物的活性である植物抽出物を、純粋な形態および希釈した形態で使用することができる。抽出物を希釈形態で使用するときには、通常、抽出物は約2〜80重量%の活性物質を含有し、溶媒は、その製造に使用した抽出剤または抽出剤混合物である。抽出剤の選択に依存して、可溶化剤の添加によって植物抽出物を安定化するのが好ましいこともある。適する可溶化剤は、例えば、所望により水素化した植物油および動物油のエトキシル化生成物である。好ましい可溶化剤は、4〜50個のエチレンオキシド単位を含むC8-22脂肪酸のエトキシル化モノ、ジおよびトリグリセリドであり、例えば、エトキシル化した水素化ヒマシ油、オリーブ油エトキシレート、アーモンド油エトキシレート、ミンク油エトキシレート、ポリオキシエチレングリコールカプリル酸グリセリド、ポリオキシエチレングリコールカプリン酸グリセリド、ポリオキシエチレン グリセリン モノラウレートおよびポリオキシエチレングリコールヤシ油脂肪酸グリセリドである。
【0027】
本発明の化粧品または医薬品組成物は、任意の所望の提供形態、例えば、石鹸、ローション、スプレー、クリーム、ゲル、エマルジョン、洗浄液または洗浄ミルク、脱臭剤、発汗防止剤、軟膏、毛髪コンディショナーまたはシャンプーの形態であることができ、また、任意の記載した形態または他の提供形態中に、例えばバンドエイド中に、特にゲル蓄積バンドエイドまたはマトリックスバンドエイド中に含有させることもできる。
【0028】
適用領域は、あらゆる身体部分の皮膚、特に顔面皮膚、頭皮、手足の皮膚、腋下の皮膚ならびに膣粘膜であることができる。
【0029】
また、本発明の化粧品または医薬品組成物は、追加の成分を含有することもできる。好ましい態様において、該組成物は、以下に列挙する物質の少なくとも1つを含有する。また、該組成物は、以下に列挙する物質の任意の所望の組合せを含有することもできる。
【0030】
好ましい態様において、本発明の組成物は、ビタミンB群のビタミン、プロビタミンもしくはビタミン前駆体またはその誘導体ならびに2-フラノンの誘導体から選択される少なくとも1つの物質を含有する。
【0031】
ビタミンB群またはビタミンB複合体には、特に、以下に挙げるものが含まれる:
・ビタミンB、慣用名 チアミン、化学名 3-[(4'-アミノ-2'-メチル-5'-ピリミジニル)-メチル]-5-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチルチアゾリウム クロリド。チアミン塩酸塩は、全組成物を基準に、好ましくは0.05〜1重量%の量で添加される。
・ビタミンB、慣用名 リボフラビン、化学名 7,8-ジメチル-10-(1-D-リビチル)-ベンゾ[g]プテリジン-2,4(3H,10H)-ジオン。リボフラビンは、例えば乳漿において遊離状態で見い出され、他のリボフラビン誘導体は、細菌および酵母から単離することができる。リボフラビンの立体異性体(これも本発明に従って適する)はリオキソフラビンであり、これは、魚粉または肝臓から単離することができ、D-リビチル基の代わりにD-アラビチル基を有する。リボフラビンまたはその誘導体は、全組成物を基準に、好ましくは0.05〜1重量%の量で添加される。
・ビタミンB。化合物ニコチン酸およびニコチンアミド(ニアシナミド)は、この名称のもとに包含されることが多い。本発明によれば、ニコチンアミドが好ましく、本発明の組成物中に、全組成物を基準に、0.05〜1重量%の量で含まれる。
【0032】
・ビタミンB(パントテン酸およびパンテノール)。パンテノールを添加するのが好ましい。本発明に従って使用しうるパンテノールの誘導体は、特に、パンテノールのエステルおよびエーテルならびに陽イオン性の誘導体化パンテノールである。本発明のさらに好ましい態様において、以下の一般構造式(I)で示される2-フラノンの誘導体を、パントテン酸またはパンテノールの代わりに、またはそれに加えて添加することもできる:
【化1】


好ましい2-フラノン誘導体は、置換基R〜Rが、互いに独立して、水素原子、ヒドロキシ基、メチル、メトキシ、アミノメチルもしくはヒドロキシメチル基、飽和または1個もしくは2個不飽和の直鎖もしくは分岐鎖のC-C炭化水素基、飽和または1個もしくは2個不飽和の直鎖もしくは分岐鎖のモノ、ジもしくはトリヒドロキシC-C炭化水素基、あるいは、飽和または1個もしくは2個不飽和の直鎖もしくは分岐鎖のモノ、ジもしくはトリアミノC-C炭化水素基である誘導体である。また、特に好ましい誘導体は、市販物質であるジヒドロ-3-ヒドロキシ-4,4-ジメチル-2(3H)-フラノン[慣用名 パントラクトン(Merck)を有する]、4-ヒドロキシメチル-γ-ブチロラクトン(Merck)、3,3-ジメチル-2-ヒドロキシ-γ-ブチロラクトン(Aldrich)および2,5-ジヒドロ-5-メトキシ-2-フラノン(Merck)である(ここで、全ての立体異性体が明らかに包含される)。本発明によれば、非常に好ましい2-フラノン誘導体は、パントラクトン[ジヒドロ-3-ヒドロキシ-4,4-ジメチル-2(3H)-フラノン]である。これは、式(I)において、Rがヒドロキシ基であり、Rが水素原子であり、RおよびRがメチル基であり、RおよびRが水素原子である。立体異性体である(R)-パントラクトンは、パントテン酸の分解によって得られる。
本発明の組成物は、記載したビタミンB型の化合物および2-フラノン誘導体を、全組成物を基準に、0.05〜10重量%の合計量で含有するのが好ましい。0.1〜5重量%の合計量が特に好ましい。
【0033】
・ビタミンBは、純粋物質を意味しないものと解され、むしろ5-ヒドロキシメチル-2-メチルピリジン-3-オールの既知の誘導体と解され、慣用名 ピリドキシン、ピリドキサミンおよびピリドキサールを有する。本発明の組成物は、ビタミンBを0.0001〜1.0重量%の量、特に0.001〜0.01重量%の量で含有するのが好ましい。
・ビタミンB(ビオチン)は、ビタミンHとも称される。ビオチンは、(3aS,4S,6aR)-2-オキソヘキサヒドロチエノール[3,4-d]-イミダゾール-4-吉草酸である。本発明の組成物は、ビオチンを0.0001〜1.0重量%の量、特に0.001〜0.01重量%の量で含有するのが好ましい。
【0034】
本発明によれば、パンテノール、パントラクトン、ニコチンアミドおよびビオチンが特に好ましい。
【0035】
本発明のさらなる対象は、前生物的植物抽出物、およびさらに、少なくとも1つのさらなる植物抽出物を含んでなる化粧品または医薬品皮膚処置剤である。このさらなる植物抽出物は、例えば、全植物の抽出によって、あるいは、専ら花および/または葉および/または種子および/または植物の他の部分の抽出によって製造することができる。本発明によれば、好ましいさらなる植物抽出物は、主に、分裂組織からの、即ち分割しうる植物組織からの抽出物、ならびに、特別な植物の抽出物である。これら特別な植物は、例えば、緑茶、マンサク、カモミール、カレンジュラ、パンジー、ボタン、アロエ、マロニエ、セージ、ヤナギ樹皮、シナモンの木、菊、オーク樹皮、イラクサ、ホップ、ゴボウの根、スギナ、サンザシ、シナノキの花、アーモンド、ビャクダン、ジュニパー、ココナツ、キーウィ、グアバ、ライム、マンゴー、アプリコット、コムギ、メロン、オレンジ、グレープフルーツ、アボカド、ローズマリー、カバノキ、ブナノキの芽、アオイ、タネツケバナ、ノコギリソウ、野生タイム、タイム、レモンバーム、レストハロー(rest-harrow)、マシュマロ(althaea)、アオイ(ウスベニアオイ)、スミレ、フキタンポポ、キジムシロ(creeping cinquefoil)、ジンジャーおよびサツマイモである。また、藻類抽出物を有利に添加することもできる。本発明において使用する藻類抽出物は、緑藻類、褐藻類、紅藻類または藍藻類(藍色細菌)に由来する。抽出に使用する藻類は、天然起源のものならびに生物工学的課程を経たものの両方であってよく、必要なら、その天然状態から修飾されていてもよい。生物の修飾は、遺伝的であるか、品種改良によるか、または選択した栄養素を豊富化した原料中での栽培によるものであってよい。好ましい藻類抽出物は、海草、藍藻類、緑藻類 Codium tomentosumならびに褐藻類 Fucus vesiculosusに由来する。特に好ましい藻類抽出物は、マグネシウムを豊富化した培地において栽培したSpirulina種の藍藻類に由来する。
【0036】
さらに、特に好ましい植物抽出物は、スピルリナ、緑茶、アロエ、分裂組織、マンサク、アプリコット、カレンジュラ、グアバ、サツマイモ、ライム、マンゴー、キーウィ、ガーキン、アオイ、マシュマロおよびスミレからの抽出物である。本発明の組成物は、数種類の、特に2種類の異なる植物抽出物の混合物を、さらなる植物抽出物として含有することもできる。
【0037】
上記したさらなる植物抽出物の製造に使用する抽出剤は、前生物的活性な植物抽出物の製造に使用した抽出剤であってよく、例えば、水、アルコールならびにこれらの混合物であってよい。代表的な好ましいアルコールは、低級アルコール(例えば、エタノールおよびイソプロパノール)、特にポリヒドロキシアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびブチレングリコール)であり、これらは唯一の抽出剤であるか、または水性混合物の形態にある。水/プロピレングリコール(1:10〜10:1の比率にある)に基づく植物抽出物が、特に適することがわかった。本発明によれば、蒸気蒸留が好ましい抽出方法である。しかし、抽出を、乾燥抽出として行うこともできる。
【0038】
本発明によれば、植物抽出物を、純粋な形態および希釈した形態で使用することができる。抽出物を希釈形態で使用するときには、通常、抽出物は、約2〜80重量%の活性物質を含有し、溶媒は、その製造に使用した抽出剤または抽出剤混合物である。抽出剤の選択に依存して、可溶化剤の添加によって植物抽出物を安定化するのが好ましいこともある。適する可溶化剤は、例えば、所望により水素化した植物油および動物油のエトキシル化生成物である。好ましい可溶化は、4〜50個のエチレンオキシド単位を含むC8-22脂肪酸のエトキシル化モノ、ジおよびトリグリセリドであり、例えば、エトキシル化した水素化ヒマシ油、オリーブ油エトキシレート、アーモンド油エトキシレート、ミンク油エトキシレート、ポリオキシエチレングリコールカプリル酸グリセリド、ポリオキシエチレングリコールカプリン酸グリセリド、ポリオキシエチレン グリセリン モノラウレートおよびポリオキシエチレングリコールヤシ油脂肪酸グリセリドである。
【0039】
さらに、数種類の、特に2種類の異なる植物抽出物の混合物を、前生物的活性な植物抽出物に添加するのが好ましいこともある。
【0040】
本発明に従って使用しうる植物抽出物に関連して、さらに、化粧品中の成分の告知のための指針(Leitfadens zur Inhaltsstoffdeklaration kosmetischer Mittel)[German Cosmetic、Toiletry、Perfumery and Detergent Association e.V.(IKW)による刊行物、フランクフルト]の第3版の第44頁から始まる表に列挙されている抽出物が参考になる。
【0041】
本発明のさらなる対象は、前生物的植物抽出物ならびに少なくとも1つのMMP-1阻害物質[フォトリアーゼおよび/またはT4エンドヌクレアーゼV、没食子酸プロピル、プレコセン(precocene)、6-ヒドロキシ-7-メトキシ-2,2-ジメチル-(2H)-1-ベンゾピラン、3,4-ジヒドロ-6-ヒドロキシ-7-メトキシ-2,2-ジメチル-(2H)-1-ベンゾピラン(市販製品 Lipochroman 6としてLipotec SAから入手可能)およびこれらの混合物から選択される]を含んでなる化粧品または医薬品皮膚処置剤である。プレコセンは、植物において天然に存在する既知のホルモンであるクロメン誘導体である(メルクインデックス、第12版、Merck & Co.、1996)。これら物質のMMP-1阻害作用は、独国特許出願公開DE100116016A1に記載されている。これらは、それぞれ全組成物を基準に、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.5〜2重量%の量で添加される。
【0042】
特に好ましい態様において、本発明の皮膚処置剤はさらに、少なくとも1つのC2-18カルボン酸のレチノール(ビタミンA1)エステルを含有する。好ましいレチノールエステルは、酢酸レチニルおよびパルミチン酸レチニルであり、パルミチン酸レチニルが特に好ましい。レチノールエステルは、それぞれ全組成物を基準に、0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜2重量%の量で添加される。
【0043】
さらに好ましい態様において、本発明の皮膚処置剤は、特にエマルジョンまたは界面活性剤含有溶液として、主に洗剤として使用するときには、少なくとも1つの界面活性物質を、乳化剤または分散剤として含有する。乳化剤は、界面相において、水または油安定性の吸着層を生じるように働く(この吸着層が、分散した小滴をその合体から保護し、これによってエマルジョンを安定化する)。従って、乳化剤は、界面活性剤と同様に、疎水性および親水性の分子部分から構成される。親水性乳化剤は、好ましくはO/W型エマルジョンを形成し、疎水性乳化剤は、好ましくはW/O型エマルジョンを形成する。親水性乳化剤の不存在下で安定化されるW/O型エマルジョンが、独国特許出願公開DE19816665A1およびDE19801593A1に開示されている。エマルジョンとは、界面活性剤で安定化された界面層をもたらすようにエネルギー入力を行って、ある液体を小滴の形態で別の液体中に分散させることを意味するものと解される。この乳化性の界面活性剤または乳化剤の選択は、分散される物質およびそれぞれの外部相ならびにエマルジョンの微細性に依存する。
【0044】
本発明に従って使用しうる乳化剤の例は、以下の通りである:
・直鎖C-C22脂肪アルコールへの、C12-C22脂肪酸への、およびC-C15アルキルフェノールへの、4〜30モルのエチレンオキシドおよび/または0〜5モルのプロピレンオキシドの付加生成物;
・C-Cポリオールへの、特にグリセリンへの1〜30モルのエチレンオキシドの付加生成物のC12-C22脂肪酸モノおよびジエステル;
・メチルグルコシド脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミドおよび脂肪酸グルカミドへの、エチレンオキシドおよびポリグリセリン付加生成物;
・C-C22アルキル モノおよびオリゴグリコシドならびにそのエトキシル化類似体(ここで、オリゴマー化度は1.1〜5、特に1.2〜2.0であり、グルコースが糖成分として好ましい);
・アルキル(オリゴ)グルコシドと脂肪アルコールの混合物(例えば、市販製品 Montanov 68);
・ヒマシ油および水素化ヒマシ油への、5〜60モルのエチレンオキシドの付加生成物;
・3〜6個の炭素原子を含むポリオールとC-C22脂肪酸との部分エステル;
・ステロール(ステリン);ステロールとは、ステロイド骨格の炭素原子3にヒドロキシル基を保持し、動物組織(動物ステロール)および植物脂肪(植物ステロール)の両方から単離されるステロイドの群を意味するものと解される;動物ステロールの例は、コレステロールおよびラノステロールであり、適する植物ステロールの例は、β-シトステロール、スチグマステロール、カンペステロールおよびエルゴステロールである;また、ステロール、いわゆる菌類ステロールも、菌類および酵母から単離される;
・リン脂質、主にグルコース-リン脂質;これは、例えば卵黄または植物種子(例えばダイズ豆)から、例えばレシチンまたはホスファチジルコリンとして得られる;
・糖および糖アルコール(例えばソルビトール)の脂肪酸エステル;
・ポリグリセリンおよびポリグリセリン誘導体、好ましくは、ポリグリセリル-2-ジポリヒドロキシステアレート(市販製品 Dehymuls PGPH)およびポリグリセリル-3-ジイソステアレート(市販製品 Lameform TGI);
・直鎖および分岐鎖のC-C30脂肪酸ならびにそのNa、K、アンモニウム、Ca、MgおよびZn塩。
【0045】
本発明の組成物は、乳化剤を、全組成物を基準に、0.1〜25重量%、特に0.5〜15重量%の量で含有するのが好ましい。
【0046】
特に好ましい態様において、HLB値が8またはそれ以下である少なくとも1つの非イオン乳化剤が含まれる[Roempp-Lexikon Chemie (編者:J.Falbe、M.Regitz)、第10版、Georg Thieme Verlag Stuttgart、ニューヨーク、(1997)、第1764頁に示されているHLB値の定義に従う]。代表的なこの種の適する乳化剤は、一般式:R-O-Rで示される化合物である[式中、Rは、20〜30個の炭素原子を含む第1級の直鎖アルキル、アルケニルまたはアシル基であり、Rは、水素、式:-(C2nO)-Hで示される基(ここで、x=1または2およびn=2〜4)、または4〜6個の炭素原子および2〜5個のヒドロキシ基を含むポリヒドロキシアルキル基である]。式:R-O-Rで示される特に好ましい乳化剤は、Rが、22個の炭素原子を含む第1級の直鎖アルキル、アルケニルまたはアシル基であるベヘニルまたはエルシル誘導体である。
【0047】
HLB値が8またはそれ以下であるさらに好ましい適する乳化剤は、ベヘニルアルコール、エルシルアルコール、アラキジルアルコールへの、あるいは、ベヘン酸またはエルカ酸への、1または2モルのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドの付加生成物である。C16-C30脂肪酸とポリオール(例えば、ペンタエリトリトール、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、ソルビトール、グルコースまたはメチルグルコースなど)とのモノエステルも、適しており、かつ好ましい。このような生成物の例は、例えば、ソルビトールモノベヘネートまたはペンタエリトリトールモノエルケートである。
【0048】
別の同様に特に好ましい態様において、陰イオン性、双性イオン性、両性および陽イオン性の乳化剤から選択される、少なくとも1つのイオン性の乳化剤が含まれる。
好ましい陰イオン界面活性剤は、アルキルスルフェート、アルキルポリグリコール エーテルスルフェートおよびエーテルカルボン酸(アルキル基に10〜18個の炭素原子を含み、分子中に12個までのグリコールエーテル基を含む)、スルホコハク酸モノおよびジアルキルエステル(アルキル基に8〜18個の炭素原子を含む)およびスルホコハク酸モノ-アルキルポリオキシエチルエステル(アルキル基に8〜18個の炭素原子および1〜6個のオキシエチレン基を含む)、モノグリセリドスルフェート、アルキルおよびアルケニルエーテルホスフェートならびにタンパク質と脂肪酸の縮合物である。
【0049】
双性イオン乳化剤は、少なくとも1つの第4級アンモニウム基および少なくとも1つの-COOまたは-SO基を分子中に保持する。特に適する双性イオン乳化剤は、いわゆるベタイン、例えば、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、N-アシル-アミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネートおよび2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチル-イミダゾリン(それぞれ、アルキルまたはアシル基に8〜18個の炭素原子を含む)、ならびに、ヤシ油アシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。
【0050】
両性乳化剤は、C-C24アルキルまたはアシル基は別として、少なくとも1つの遊離アミノ基および少なくとも1つのCOOHまたはSOH基を分子中に含み、内部塩を形成することができる。適する両性乳化剤の例は、N-アルキルグリシン、N-アルキルアミノプロピオン酸、N-アルキルアミノ酪酸、N-アルキルイミノジプロピオン酸、N-ヒドロキシエチル-N-アルキルアミドプロピルグリシン、N-アルキルタウリン、N-アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸(それぞれ、アルキル基に約8〜24個の炭素原子を含む)である。
【0051】
これらイオン性の乳化剤は、全組成物を基準に、0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%、特に好ましくは0.1〜1重量%の量で含まれる。
【0052】
さらに、本発明の組成物は、発泡性の非イオン性、双性イオン性、陰イオン性および陽イオン性の界面活性剤を含有することができる。
【0053】
非イオン界面活性剤の例は、以下の通りである:
・式:RCO-(OCHCHR)ORで示されるアルコキシル化した脂肪酸アルキルエステル[式中、RCOは、6〜22個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖の飽和および/または不飽和のアシル基であり、Rは、水素またはメチルであり、Rは、1〜4個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であり、xは、1〜20の数である];
・脂肪酸アルカノールアミドおよび脂肪アミンへの、エチレンオキシドの付加生成物;
・脂肪酸N-アルキルグルカミド;
・C〜C22アルキルアミン-N-オキシド;
・一般式:RO-(Z)で示されるアルキルポリグリコシド[式中、Rは、C〜C16アルキルであり、Zは糖であり、xは糖単位の数である]。
【0054】
本発明に従って使用するアルキルポリグリコシドは、規定のアルキル基Rを単純に含んでいてよい。しかし、通常、これらの化合物は、天然の脂肪および油または鉱油から製造される。このような場合、アルキル基Rは、出発化合物または処理した化合物のそれぞれに対応する混合物として存在する。Rが実質的に、CおよびC10アルキル基、C12およびC14アルキル基、C〜C16アルキル基またはC12〜C16アルキル基であるアルキルポリグリコシドが特に好ましい。
【0055】
任意の単糖またはオリゴ糖を、糖構成成分Zとして加えることができる。通常は、5または6個の炭素原子を含む糖ならびに対応するオリゴ糖、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノース、リボース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、タロースおよびスクロースを加える。好ましい糖構成成分は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノースおよびスクロースである。グルコースが特に好ましい。本発明に従って使用しうるアルキルポリグリコシドは、平均して1.1〜5個、好ましくは1.1〜2.0個、特に好ましくは1.1〜1.8個の糖単位を含有する。また、記載したアルキルポリグリコシドのアルコキシル化同族体を、本発明に従って使用することもできる。これらの同族体は、アルキルグリコシド単位あたりに、平均して10個までのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド単位を含有することができる。
【0056】
双性イオン界面活性剤は、少なくとも1つの第4級アンモニウム基および少なくとも1つの-COO(−)またはSO(−)基を分子中に保持する界面活性化合物と表される。特に適する双性イオン界面活性剤は、いわゆるベタイン、例えばN-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えばヤシ油アルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えばヤシ油アシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート、および2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリン(それぞれのアルキルまたはアシル基に8〜18個の炭素原子を含む)、ならびに、ヤシ油アシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。好ましい双性イオン界面活性剤は、INCI名称 ココアミドプロピルベタインのもとで知られる脂肪酸アミド誘導体である。
【0057】
本発明の調製物に適する陰イオン界面活性剤は、ヒト身体での使用に適するあらゆる陰イオン性の界面活性物質である。これらは、水可溶化性の陰イオン基(例えば、カルボキシレート、スルフェート、スルホネートまたはホスフェート基など)および親油性アルキル基(約8〜30個の炭素原子を含む)によって特徴付けられる。さらに、この分子は、グリコールまたはポリグリコールエーテル基、エステル、エーテルおよびアミド基ならびにヒドロキシル基を含有することができる。代表的かつ適する発泡性の陰イオン界面活性剤は、それぞれ、ナトリウム、カリウムおよびアンモニウム塩ならびにモノ、ジおよびトリアルカノールアンモニウム塩(アルカノール基に2〜4個の炭素原子を含む)の形態にある以下の物質である:
【0058】
・以下の式(II)で示されるアシルグルタメート:
【化2】

[式中、RCOは、6〜22個の炭素原子および0、1、2または3個の二重結合を含む直鎖もしくは分岐鎖のアシル基であり、Xは、水素、アルカリおよび/またはアルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウムまたはグルクアンモニウムである]、例えば、6〜22個、好ましくは12〜18個の炭素原子を含む脂肪酸(例えば、C12/14またはC12/18ヤシ油脂肪酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸および/またはステアリン酸など)から導かれるアシルグルタメート、特に、N-ココイルおよびN-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム;
【0059】
・以下の一般式(III)で示されるヒドロキシ置換されたジまたはトリカルボン酸のエステル:
【化3】

[式中、XはHまたは-CHCOOR基であり、YはHまたは-OHであり、ただしXが-CHCOORであるときにはYはHであり、R、RおよびRは、互いに独立して、水素原子、アルカリまたはアルカリ土類金属カチオン、アンモニウム基、アンモニウム有機塩基のカチオン、あるいは、エーテル化した(C-C18)アルキル多糖(1〜6個のモノマー糖単位を含む)および/またはエーテル化した脂肪族(C-C16)ヒドロキシアルキルポリオール(2〜16個のヒドロキシル基を含む)の群から選択されるポリヒドロキシル化有機化合物から導かれるZ基であり、ただしR、RおよびR基の少なくとも1つはZ基である];
【0060】
・以下の一般式(IV)で示されるスルホコハク酸のエステル:
【化4】

[式中、RおよびRは、互いに独立して、水素原子、アルカリまたはアルカリ土類金属カチオン、アンモニウム基、アンモニウム有機塩基のカチオン、あるいは、エーテル化した(C-C18)アルキル多糖(1〜6個のモノマー糖単位を含む)および/またはエーテル化した脂肪族(C-C16)ヒドロキシアルキルポリオール(2〜16個のヒドロキシル基を含む)の群から選択されるポリヒドロキシル化有機化合物から導かれるZ基であり、ただしRまたはR基の少なくとも1つはZ基である];
【0061】
・スルホコハク酸モノおよびジアルキルエステル(アルキル基に8〜24個の炭素原子を含む)およびスルホコハク酸モノアルキルポリオキシエチルエステル(アルキル基に8〜24個の炭素原子および1〜6個のエトキシ基を含む);
・酒石酸およびクエン酸とアルコール(8〜22個の炭素原子を含む脂肪アルコールへの約2〜15分子のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの付加生成物)とのエステル;
・8〜30個の炭素原子を含む直鎖および分岐鎖の脂肪酸(石鹸);
・式:R-O-(CH-CHO)-CH-COOHで示されるエーテルカルボン酸[式中、Rは8〜30個の炭素原子を含む直鎖アルキル基であり、xは0または1〜16である];
【0062】
・6〜22個の炭素原子および0、1、2または3個の二重結合を含む直鎖もしくは分岐鎖アシル基を有するアシルサルコシネート;
・6〜22個の炭素原子および0、1、2または3個の二重結合を含む直鎖もしくは分岐鎖アシル基を有するアシルタウレート;
・6〜22個の炭素原子および0、1、2または3個の二重結合を含む直鎖もしくは分岐鎖アシル基を有するアシルイセチオネート;
・8〜24個の炭素原子を含む直鎖アルカンスルホネート;
・8〜24個の炭素原子を含む直鎖α-オレフィンスルホネート;
・8〜30個の炭素原子を含む脂肪酸のα-スルホ脂肪酸メチルエステル;
【0063】
・式:R-O(CH-CHO)-SOXで示されるアルキルスルフェートおよびアルキルポリグリコールエーテルスルフェート[式中、Rは、好ましくは8〜30個の炭素原子、特に好ましくは8〜18個の炭素原子を含む直鎖アルキル基であり、zは0または1〜12、特に好ましくは3であり、Xは、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛、アンモニウムイオンまたはモノアルカノール、ジアルカノールもしくはトリアルカノールアンモニウムイオン(アルカノール基に2〜4個の炭素原子を含む)であり、特に好ましい例は、ココイルエーテル硫酸亜鉛(z=3のエトキシル化度を有する)である];
【0064】
・界面活性なヒドロキシスルホネートの混合物(独国特許出願公開DE-A-3725030に記載);
・スルフェート化したヒドロキシアルキルポリエチレンおよび/またはヒドロキシアルキレンプロピレングリコールエーテル(独国特許出願公開DE-A-3723354に記載);
・スルホネート化した8〜24個の炭素原子および1〜6個の二重結合を含む不飽和脂肪酸(独国特許出願公開DE-A-3926344に記載);
【0065】
・以下の式(V)で示されるアルキルおよび/またはアルケニルエーテルホスフェート:
【化5】

[式中、Rは、好ましくは、8〜30個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基であり、Rは、水素、(CHCHO)基またはXであり、nは1〜10の数であり、Xは、水素、アルカリもしくはアルカリ土類金属またはNRであり、R〜Rは、互いに独立して、C〜C炭化水素基である];
【0066】
・式:RCO(AlkO)SOMで示されるスルフェート化した脂肪酸アルキレングリコールエステル[式中、RCOは、6〜22個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖脂肪族の飽和および/または不飽和のアシル基であり、Alkは、CHCH、CHCHCHおよび/またはCHCHCHであり、nは0.5〜5の数であり、Mは、独国特許出願公開DE-OS19736906.5に記載されているようなカチオンである];
【0067】
・以下の式(VI)で示されるモノグリセリドスルフェートおよびモノグリセリドエーテルスルフェート:
【化6】

[式中、RCOは、6〜22個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖のアシル基であり、x、yおよびzの合計は0であるか、または1〜30の数、好ましくは2〜10の数であり、Xはアルカリまたはアルカリ土類金属である];本発明において、適するモノグリセリド(エーテル)スルフェートの代表例は、ラウリン酸モノグリセリド、ココア脂肪酸モノグリセリド、パルミチン酸モノグリセリド、ステアリン酸モノグリセリド、オレイン酸モノグリセリドおよび獣脂脂肪酸モノグリセリドならびにこれらのエチレンオキシド付加物と、三酸化イオウまたはクロロスルホン酸との反応生成物である(これらのナトリウム塩の形態にある);RCOが8〜18個の炭素原子を含む直鎖アシル基である式(VI)のモノグリセリドスルフェートを加えるのが好ましい。
【0068】
さらに好ましい態様において、本発明の化粧品組成物は、少なくとも1つの有機または無機または修飾された無機の光安定剤を含有する。光安定剤は、UV放射を吸収することができ、吸収したエネルギーを長波長放射(例えば熱)の形態で放つことができる、室温で液体または結晶性の物質である。UV-AフィルターとUV-Bフィルターは区別される。また、UV-AおよびUV-Bフィルターを、混合物として添加することもできる。本発明によれば、フィルターの混合物を添加するのが好ましい。
【0069】
本発明に従って使用する有機UVフィルターは、ジベンゾイルメタン、桂皮酸エステル、ジフェニルアクリル酸エステル、ベンゾフェノン、ショウノウ、p-アミノ安息香酸エステル、o-アミノ安息香酸エステル、サリチル酸エステル、ベンズイミダゾール、対称または非対称の置換1,3,5-トリアジン、モノマーおよびオリゴマーの4,4-ジアリールブタジエン-カルボン酸エステルおよび-カルボン酸アミド、ケトトリシクロ(5.2.1.0)デカン、ベンザルマロン酸エステルの誘導体ならびに列挙した成分の任意の混合物から選択される。
【0070】
有機UVフィルターは、油溶性または水溶性であることができる。
本発明によれば、特に好ましい油溶性UVフィルターは、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン(Parsol 1789)、1-フェニル-3-(4'-イソプロピルフェニル)プロパン-1,3-ジオン、3-(4'-メチルベンジリデン)-D,L-ショウノウ、4-(ジメチルアミノ)安息香酸 2-エチルヘキシルエステル、4-(ジメチルアミノ)安息香酸 2-オクチルエステル、4-(ジメチルアミノ)安息香酸アミルエステル、4-メトキシ桂皮酸 2-エチルヘキシルエステル、4-メトキシ桂皮酸プロピルエステル、4-メトキシ桂皮酸イソペンチルエステル、2-シアノ-3,3-フェニル桂皮酸 2-エチルヘキシルエステル(octocrylene)、サリチル酸 2-エチルヘキシルエステル、サリチル酸 4-イソプロピルベンジルエステル、サリチル酸ホモメンチルエステル(サリチル酸 3,3,5-トリメチルシクロヘキシル)、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4'-メチルベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、4-メトキシベンズマロン酸 ジ-2-エチルヘキシルエステル、2,4,6-トリアニリノ-(p-カルボ-2'-エチル-1'-ヘキシルオキシ)-1,3,5-トリアジン(オクチル triazone)およびジオクチルブタミドトリアゾン(Uvasorb HEB)ならびに列挙した成分の任意の混合物である。
【0071】
好ましい水溶性UVフィルターは、2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸ならびにそのアルカリ、アルカリ土類、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウムおよびグルクアンモニウム塩;ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、好ましくは2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸およびその塩;3-ベンジリデンショウノウのスルホン酸誘導体、例えば4-(2-オキソ-3-ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸および2-メチル-5-(2-オキソ-3-ボルニリデン)スルホン酸およびこれらの塩である。
【0072】
ある種の油溶性UVフィルターは、他のUVフィルターのための溶媒または可溶化剤として働くことができる。即ち、例えばUVフィルター 1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン(例えば、Parsol 1789)の溶液を、種々のUV-Bフィルターにおいて調製することができる。従って、さらに好ましい態様において、本発明の組成物は、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオンを、少なくとも1つのUV-Bフィルター(4-メトキシ桂皮酸2-エチルヘキシルエステル、2-シアノ-3,3-フェニル桂皮酸2-エチルヘキシルエステル、サリチル酸2-エチルヘキシルエステルおよびサリチル酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシルから選択される)と組合せて含有する。これらの組合せにおいて、UV-Bフィルターと1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオンとの重量比は、1:1〜10:1、好ましくは2:1〜8:1であり、これに対応してモル比は、0.3〜3.8、好ましくは0.7〜3.0である。
【0073】
本発明に従って好ましい無機の光安定剤顔料は、微細に分割されたか、またはコロイド状に分散された金属酸化物および金属塩、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、ケイ酸塩(タルク)および硫酸バリウムである。ここで、これら粒子は、100nm未満、好ましくは5〜50nm、特に15〜30nmの平均直径を有すべきであり、いわゆるナノ顔料であるべきである。これら粒子は球形であってよいが、楕円形または他の形状の粒子を使用することもできる。また、これら顔料は、表面処理、即ち、親水性化または疎水性化されていてもよい。代表的な例は、被覆された二酸化チタン、例えば、Titandioxid T805 (Degussa)またはEusolex T2000 (Merck)などである。疎水性の被覆剤には、好ましくは、トリアルコキシオクチルシランまたはシメチコーン(Simethicone)が含まれる。二酸化チタンおよび酸化亜鉛が特に好ましい。
【0074】
さらに、本発明の皮膚処置剤は、少なくとも1つのタンパク質加水分解物またはその誘導体を含有しているのが、特に有利であることがわかった。本発明によれば、添加されるタンパク質加水分解物は、植物起源ならびに動物起源の両方のものであってよい。動物タンパク質加水分解物は、例えば、エラスチン、コラーゲン、ケラチン、絹および乳タンパク質加水分解物である(これらは、その塩の形態で存在することもできる)。本発明によれば、植物起源のタンパク質加水分解物、例えば、ダイズ、コムギ、アーモンド、エンドウ、ジャガイモおよびコメのタンパク質加水分解物が好ましい。対応する市販製品は。例えば、DiaMin(Diamalt)、Gluadin(Cognis)、Lexein(Inolex)およびCrotein(Croda)である。
【0075】
タンパク質加水分解物の代わりに、第1に他の方法で得られるアミノ酸混合物、第2に個々のアミノ酸ならびにその生理学的に許容しうる塩を添加することもできる。本発明に従って好ましいアミノ酸には、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、アスパラギン、グルタミン、ピログルタミン酸、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、メチオニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニンおよびヒスチジンならびに列挙したアミノ酸の亜鉛塩および酸付加塩が含まれる。
【0076】
同様に、タンパク質加水分解物の誘導体(例えば、その脂肪酸縮合生成物の形態にある)を添加することもできる。対応する市販製品は、例えば、Lamepon(Cognis)、Gluadin(Cognis)、Lexein(Inolex)、CrolastinまたはCrotein(Croda)である。
【0077】
本発明によれば、陽イオン性のタンパク質加水分解物を使用することもできる。この場合、タンパク質加水分解物の基礎は、動物、植物、海洋生命体または生物工学起源のタンパク質加水分解物に由来することができる。基礎タンパク質が100〜25000ダルトン、好ましくは250〜5000ダルトンの分子量を有する陽イオン性タンパク質加水分解物が好ましい。さらに、陽イオン性タンパク質加水分解物は、第4級化したアミノ酸およびその混合物を包含すると解される。また、陽イオン性タンパク質加水分解物は、さらに誘導体化されていてもよい。本発明に係る陽イオン性タンパク質加水分解物および誘導体の代表例は、以下の市販製品ならびに「International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook」[第7版 1997、The Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Association 1101 17th Street、N.W.、Suite 300、Washington、DC 20036-4702)]に挙げられているものである:ココジモニウム(cocodimonium) ヒドロキシプロピル 加水分解コラーゲン、ココジモニウム ヒドロキシプロピル 加水分解カゼイン、ステアルジモニウム(steardimonium) ヒドロキシプロピル 加水分解コラーゲン、ステアルジモニウム ヒドロキシプロピル 加水分解毛髪ケラチン、ラウリルジモニウム(lauryldimonium) ヒドロキシプロピル 加水分解ケラチン、ココジモニウム ヒドロキシプロピル 加水分解コメタンパク質、ココジモニウム ヒドロキシプロピル 加水分解絹、ココジモニウム ヒドロキシプロピル 加水分解ダイズタンパク質、ココジモニウム ヒドロキシプロピル 加水分解コムギタンパク質、ココジモニウム ヒドロキシプロピル 絹アミノ酸、ヒドロキシプロピル アルギニン ラウリル/ミリスチルエーテルHCl、ヒドロキシプロピルトリモニウム ゼラチン。植物に基づく陽イオン性タンパク質加水分解物および誘導体が特に好ましい。
【0078】
本発明の組成物は、タンパク質加水分解物およびその誘導体あるいはアミノ酸およびその誘導体を、全組成物を基準に0.01〜10重量%の量で含有する。0.1〜5重量%、特に0.1〜3重量%の量が、特に好ましい。
【0079】
さらに、本発明の皮膚処置剤は、少なくとも1つの単糖、オリゴ糖もしくは多糖またはその誘導体を含有しているのが、特に有利であることがわかった。
【0080】
本発明によれば、適する単糖は、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノース、リボース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドースおよびタロース、デソキシ糖であるフコースおよびラムノースならびにアミノ糖、例えばグルコサミンまたはガラクトサミンなどである。グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノースおよびフコースが好ましい。グルコースが特に好ましい。
【0081】
本発明によれば、適するオリゴ糖は、2〜10個の単糖単位、例えば、サッカロース、ラクトースまたはトレハロースから構成される。サッカロースが特に好ましいオリゴ糖である。また、主にグルコースおよびサッカロースからなる蜂蜜の使用も特に好ましい。
【0082】
本発明によれば、適する多糖は、10個以上の単糖単位から構成される。好ましい多糖は、α-D-グルコース単位に基づくデンプンならびにデンプン分解生成物(例えば、アミロース、アミロペクチンおよびデキストリン)である。本発明によれば、化学的および/または熱的に修飾されたデンプン、例えば、ヒドロキシプロピルデンプンホスフェート、ジヒドロキシプロピルジデンプンホスフェートまたは市販製品 Dry Floが、特に有利である。デキストランならびにその誘導体、例えばデキストランスルフェートも好ましい。非イオン性セルロース誘導体、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロース、ならびに、陽イオン性セルロース誘導体、例えば市販製品 CelquatおよびPolymer JR、好ましくはCelquat H100、Celquat L200およびPolymer JR 400(Polyquaternium-10)ならびにPolyquaternium-24も同様に好ましい。さらに好ましい例は、フコース単位に由来する多糖、例えば市販製品 Fucogelである。アミノ糖単位に基づく多糖、特にキチンおよびその脱アセチル化した誘導体、キトサン、およびムコ多糖が特に好ましい。本発明に従って好ましいムコ多糖には、ヒアルロン酸およびその誘導体、例えば、ヒアルロン酸ナトリウムまたはヒアルロン酸ジメチルシラノール、ならびに、コンドロイチンおよびその誘導体、例えば、硫酸コンドロイチンが含まれる。
【0083】
特に有利な態様において、本発明の皮膚処置剤は、陽イオン性、陰イオン性、両性荷電性または非イオン性でありうる天然および合成ポリマーから選択される、少なくとも1つの皮膜形成性、エマルジョン安定化、増粘性または粘着性のポリマーを含有する。
本発明によれば、陽イオン性、陰イオン性ならびに非イオン性ポリマーが好ましい。
【0084】
好ましい陽イオン性ポリマーには、第4級基を含むポリシロキサン、例えば、市販製品 Q2-7224(Dow Corning)、Dow Corning 929 Emulsion[アモジメチコーン(amodimethicone)を含む]、SM-2059(General Electric)、SLM-55067(Wacker)ならびにAbil-Quat 3270および3272(Th.Goldschmidt)が含まれる。
【0085】
本発明に従って使用する活性成分の作用を助けることができる好ましい陰イオン性ポリマーは、カルボキシレート基および/またはスルホネート基を含有し、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、無水マレイン酸および2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸をモノマーとして含有する。ここで酸性基は、完全にまたは部分的に、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、モノまたはトリエタノールアンモニウム塩として存在することができる。好ましいモノマーは、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸およびアクリル酸である。特に好ましい陰イオン性ポリマーは、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸を唯一のモノマーまたはコモノマーとして含有し、この場合、スルホン酸基は、完全にまたは部分的に塩として存在することができる。この態様において、少なくとも1つの陰イオン性モノマーと少なくとも1つの非イオン性モノマーのコポリマーを使用するのが好ましい。陰イオン性モノマーに関しては、上記した物質が参照される。好ましい非イオン性モノマーは、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルピロリドン、ビニルエーテルおよびビニルエステルである。好ましい陰イオン性コポリマーは、アクリル酸-アクリルアミドコポリマー、特にポリアクリルアミドコポリマー(スルホン酸基を含有するモノマーを含む)である。特に好ましい陰イオン性コポリマーは、70〜55モル%のアクリルアミドと30〜45モル%の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸からなり、ここでスルホン酸基は、完全にまたは部分的に、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、モノまたはトリエタノールアンモニウム塩として存在することができる。また、このコポリマーは架橋していてもよい。ここで、好ましい架橋剤には、ポリオレフィン性の不飽和化合物、例えば、テトラアリルオキシエタン、アリルスクロース、アリルペンタエリトリトールおよびメチレンビスアクリルアミドが含まれる。このようなポリマーは、SEPPIC社からの市販製品 Sepigel 305中に含まれる。本発明の教示において、このコンパウンドの使用が特に有利であることがわかった。また、アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー[イソヘキサデカンおよびポリソルベート80(polysorbate 80)とのコンパウンドとして商標名 Simulgel 600のもとで市販されている]が、本発明によれば特に有効であることがわかった。
【0086】
さらに、特に好ましい陰イオン性ホモポリマーおよびコポリマーは、未架橋および架橋したポリアクリル酸である。ここで、好ましい架橋剤は、ペンタエリトリトールの、スクロースの、およびプロピレンのアリルエーテルであってよい。市販製品 Carbopolが、このような化合物の例である。特に好ましい陰イオン性コポリマーは、モノマーとして、80〜98%の、不飽和の所望により置換されたC3-6カルボン酸またはその無水物、ならびに、2〜20%の、飽和C10-30カルボン酸の、所望により置換されたアクリル酸エステルを含有する(ここで、このコポリマーは上記した架橋剤により架橋されていてもよい)。対応する市販製品は、PemulenおよびCarbopolのタイプ954、980、1342およびETD 2020(B.F.Goodrich)である。
【0087】
適する非イオン性ポリマーは、例えば、部分的に鹸化されていてもよいポリビニルアルコール(例えば、市販製品 Mowiol)、ならびに、ビニルピロリドン/ビニルエステルコポリマーおよびポリビニルピロリドン[例えば、商標名 Luviskol(BASF)のもとで市販されている]である。
【0088】
本発明のさらに好ましい態様において、本発明の組成物の作用を、脂肪によりさらに最適化することができる。適する脂肪の例は、以下の通りである:
・植物油、例えば、ヒマワリ油、オリーブ油、ダイズ油、ナタネ油、アーモンド油、ホホバ油、オレンジ油、コムギ胚種油、モモ種油およびココナツ油の液体部分;
・液体パラフィン油、イソパラフィン油および合成炭化水素、例えば、1,3-ジ-(2-エチルヘキシル)-シクロヘキサン(Cetiol S)またはポリデセン;
・合計して12〜36個、特に12〜24個の炭素原子を含むジ-n-アルキルエーテル、例えば、ジ-n-オクチルエーテル(Cetiol OE)、n-ヘキシルn-オクチルエーテルおよびn-オクチルn-デシルエーテル;
【0089】
・脂肪酸、特に、直鎖および/または分岐鎖の飽和および/または不飽和のC8-30脂肪酸;C10-22脂肪酸が好ましい;その例は、イソステアリン酸およびイソパルミチン酸、例えば、商標名 Edenorのもとで市販されている脂肪酸である;このような脂肪酸のさらなる代表例は、カプロン酸、カプリル酸、2-エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ペトロセリン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸、ガドレイン酸、ベヘン酸およびエルカ酸ならびにこれらの工業用混合物である;通常は、ココナツ油およびパーム油から得られる脂肪酸分画が特に好ましい;ステアリン酸の添加が特に好ましい;
【0090】
・脂肪アルコール、特に、6〜30個、好ましくは10〜22個、特に好ましくは12〜22個の炭素原子を含む、飽和、モノまたはポリ不飽和の分岐鎖または直鎖の脂肪アルコール;本発明の範囲内において、デカノール、オクタノール、オクテノール、ドデセノール、デセノール、オクタジエノール、ドデカジエノール、デカジエノール、オレイルアルコール、エルシルアルコール、リシノリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、アラキジルアルコール、カプリルアルコール、カプリンアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコールおよびベヘニルアルコール、ならびに、ゲルベ(Guerbet)アルコール、例えば2-エチルヘキサノールが適する例である(ここに挙げたものは、例示を意図するものであり、限定を意図するものではない);
【0091】
・エステル油、即ち、C6-30脂肪酸とC2-30脂肪アルコールとのエステル;脂肪酸と2〜24個の炭素原子を含むアルコールとのモノエステルが好ましい;上記した物質を、エステル油のアルコールおよび酸成分として使用することができる;本発明によれば、イソプロピルミリステート、イソノナン酸C16-18アルキルエステル、2-エチルヘキシルパルミテート、ステアリン酸2-エチルヘキシルエステル、セチルオレエート、グリセリントリカプリレート、ヤシ油脂肪アルコール カプリネート/カプリレート、n-ブチルステアレート、オレイルエルケート、イソプロピルパルミテート、オレイルオレエート、ラウリン酸ヘキシルエステル、ジ-n-ブチルアジペート、ミリスチルミリステート、セテアリルイソノナノエートおよびオレイン酸デシルエステルが特に好ましい;
【0092】
・ヒドロキシカルボン酸アルキルエステル;ここで、完全にエステル化されたグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸またはクエン酸が好ましいが、β-ヒドロキシプロピオン酸、タルトロン酸、D-グルコン酸、糖酸、粘液酸またはグルコロン酸のエステルも適している;特に好ましくは、C12-C15脂肪アルコールのエステル、例えば、市販製品 Cosmacol(Enichem, Augusta Industriale)である;
【0093】
・ジカルボン酸のエステル、例えば、ジ-n-ブチルアジペート、ジ-(2-エチルヘキシル)アジペート、ジ-(2-エチルヘキシル)スクシネートおよびジ-イソトリデシルアセテート、ならびに、ジオールのエステル、例えば、エチレングリコール ジオレエート、エチレングリコール ジイソトリデカノエート、プロピレングリコール ジ(2-エチルヘキサノエート)、プロピレングリコール ジイソステアレート、プロピレングリコール ジペラルゴネート、ブタンジオール ジイソステアレート、ネオペンチルグリコール ジカプリレート;
【0094】
・二酸化炭素と脂肪アルコールとの対称、非対称または環式エステル、例えば、グリセリンカーボネートまたはジカプリリルカーボネート(Cetiol CC);
・飽和および/または不飽和の直鎖および/または分岐鎖の脂肪酸とグリセリンとのモノ、ジおよびトリ脂肪酸エステル、例えば、Monomuls 90-O18、Monomuls 90-L12またはCutina MD;
【0095】
・ワックス、特に昆虫ワックス、例えば蜜蝋およびクマバチ蝋、植物ワックス、例えばカンデリラワックスおよびカルナウバワックス、果実ワックス、地蝋、ミクロワックス、セレシン、パラフィン、飽和および所望によりヒドロキシル化したC16-30脂肪酸のトリグリセリド、例えば、水素化トリグリセリド油脂(水素化パーム油、水素化ココナツ油、水素化ヒマシ油)、グリセリル トリベヘネートまたはグリセリル トリ(12-ヒドロキシステアレート)、脂肪酸とグリコール(例えば、Syncrowachs)または2〜6個の炭素原子を含むポリオールとの合成全エステル、所望によりヒドロキシル化したC2-4カルボン酸とラノリンアルコールおよびC12-18脂肪アルコールとのエステル、C10-30脂肪酸のコレステロールエステルまたはラノステロールエステル、エトキシル化したC12-20脂肪酸グリコールエステル、C12-22アシル基およびC2-4アルカノール基を含む脂肪酸モノアルカノールアミド、合成の脂肪酸-脂肪アルコールエステル、例えば、ステアリルステアレートまたはセチルパルミテート、ならびに、天然起源の脂肪酸および合成のC20-40脂肪アルコールからのエステルワックス(INCI表示 C20-40アルキルステアレート);
【0096】
・デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンおよびシリコーンポリマー(所望により架橋されていてもよい)、例えば、ポリジアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、エトキシル化ポリジアルキルシロキサンから選択されるシリコーン化合物;好ましくは、INCI表示 ジメチコーン コポリオールを有する物質ならびにポリジアルキルシロキサン(アミンおよび/またはヒドロキシ基を含む)。
【0097】
油脂含量は、それぞれの場合に組成物の全重量を基準に、0.1〜50重量%、好ましくは0.1〜20重量%、特に好ましくは0.1〜15重量%である。
【0098】
本発明のさらに好ましい態様において、皮膚処置剤は、少なくとも1つのα-ヒドロキシカルボン酸もしくはα-ケトカルボン酸またはこれらのエステル、ラクトンまたは塩を含有する。適するα-ヒドロキシカルボン酸またはα-ケトカルボン酸は、乳酸、酒石酸、クエン酸、2-ヒドロキシブタン酸、2,3-ジヒドロキシプロパン酸、2-ヒドロキシペンタン酸、2-ヒドロキシヘキサン酸、2-ヒドロキシヘプタン酸、2-ヒドロキシオクタン酸、2-ヒドロキシデカン酸、2-ヒドロキシドデカン酸、2-ヒドロキシテトラデカン酸、2-ヒドロキシヘキサデカン酸、2-ヒドロキシオクタデカン酸、マンデル酸、4-ヒドロキシマンデル酸、リンゴ酸、メソ-酒石酸、酒石酸、グルカル酸、ガラクタル酸、糖酸、グラル酸、2-ヒドロキシ-2-メチルコハク酸、グルコン酸、ピルビン酸、グルクロン酸およびガラクツロン酸から選択される。これら列挙した酸のエステルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、アミル、ペンチル、ヘキシル、2-エチルヘキシル、オクチル、デシル、ドデシルおよびヘキサデシルエステルから選択される。α-ヒドロキシカルボン酸もしくはα-ケトカルボン酸またはこれらの誘導体は、それぞれ全組成物を基準に、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%の量で含まれる。
【0099】
本発明の製剤中に含まれていてよい追加の活性物質、補助剤および添加剤の例は、以下の通りである:
・A、C、EおよびF群のビタミン、プロビタミンおよびビタミン前駆体、特に、3,4-ジデヒドロレチノール(ビタミンA)、β-カロテン(ビタミンAのプロビタミン)、アスコルビン酸(ビタミンC)、ならびに、パルミチン酸のエステル、アスコルビン酸のグルコシドまたはホスフェート、トコフェロール、特にα-トコフェロールおよびそのエステル、例えば、アセテート、ニコチネート、ホスフェートおよびスクシネート;さらに、ビタミンF(これは、必須脂肪酸を意味すると解される)、特に、リノール酸、リノレン酸およびアラキドン酸;
・アラントイン;
・ビサボロール;
【0100】
・酸化防止剤、例えば、イミダゾール(例えばウロカニン酸)およびその誘導体、ペプチド、例えば、D,L-カルノシン、D-カルノシン、L-カルノシンおよびこれらの誘導体(例えばアンセリン)、クロロゲン酸およびその誘導体、リポン酸およびその誘導体(例えばジヒドロリポン酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよび他のチオール(例えば、チオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミンならびにこれらのグリコシル-、n-アセチル-、メチル-、エチル-、プロピル-、アミル-、ブチル-、ラウリル-、パルミトイル-、オレイル-、γ-リノレイル-、コレステリル-、およびグリセリル-エステル)ならびにこれらの塩、ジラウリル チオジプロピオネート、ジステアリル チオジプロピオネート、チオジプロピオン酸およびこれらの誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)、ならびに、スルホキシイミン化合物(例えば、ブチオニンスルホキシイミン、ホモシステインスルホキシイミン、ブチオニンスルホン、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-チオニン スルホキシイミン)(非常に少ない適合用量で、例えば、pモル〜μモル/kgで)、さらに(金属)-キレート(例えば、α-ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、フミン酸、没食子酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびこれらの誘導体、不飽和脂肪酸およびその誘導体(例えば、γ-リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、葉酸およびその誘導体、ユビキノン、ユビキノールおよびこれらの誘導体、安息香酸樹脂のコニフェリルベンゾエート、ルチン酸およびその誘導体、α-グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤク樹脂酸、ノルジヒドログアヤク酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸およびその誘導体、カタラーゼ、スーパーオキシド-ジスムターゼ、亜鉛およびその誘導体(例えば、ZnO、ZnSO)、セレンおよびその誘導体(例えば、セレン-メチオニン)、スチルベンおよびその誘導体(例えば、スチルベンオキシド、トランス-スチルベンオキシド)、ならびに、これら活性物質の酸化防止剤として適する誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質);
【0101】
・セラミドおよび擬似セラミド;
・トリテルペン、特にトリテルペン酸、例えばウルソル酸、ロスマリン酸、ベツリン酸、ボスウェル酸およびブリオノル酸;
・モノマーカテキン、特にカテキンおよびエピカテキン、ロイコアントシアニジン、カテキンポリマー(カテキン-タンニン)ならびにガロタンニン;
・増粘剤、例えばゼラチン、植物ゴム、例えば寒天、グアールゴム、アルギネート、キサンタンゴム、アラビカゴム、カラヤゴム、イナゴマメ粉末、天然および合成の粘土、例えばベントナイト、ヘクトライト、モンモリロナイトまたはLaponite、全合成の親水コロイド、例えばポリビニルアルコール、さらに、脂肪酸のCa、MgまたはZn塩;
・植物グリコシド;
・構造剤、例えば、マレイン酸および乳酸;
・ジメチルイソソルビト;
・α-、β-およびγ-シクロデキストリン(特にレチノールを安定化するため);
【0102】
・溶媒、膨潤剤および浸透剤、例えば、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、グリセリンおよびジエチレングリコール、炭酸塩、炭酸水素塩、グアニジン、尿素、ならびに、第1級、第2級および第3級ホスフェート;
・芳香油、顔料および着色剤(製剤を染色するため);
・pH調節剤、例えば、α-およびβ-ヒドロキシカルボン酸;
・キレート化剤、例えば、EDTA、NTA、β-アラニン二酢酸およびホスホン酸;
・不透明剤、例えば、ラテックス、スチレン/PVPコポリマーおよびスチレン/アクリルアミドコポリマー;
・真珠色化剤、例えば、エチレングリコール モノステアレートおよびジステアレートならびにPEG-3-ジステアレート;
・発泡剤、例えば、プロパン-ブタン混合物、NO、ジメチルエーテル、COおよび空気。
【0103】
好ましい態様において、本発明の皮膚処置剤は、液体または固体、水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、多重エマルジョン、ミクロエマルジョン、PIT-エマルジョンまたはピッカーリング(Pickering)エマルジョン、ヒドロゲル、リポゲル、単相または多相溶液、フォーム、粉末または適する薬用接着剤となる少なくとも1つのポリマーとの混合物の形態で存在する。また、これら製剤は、無水状態で、例えば、油またはバルサム中に存在することもできる。このための担体は、植物油もしくは動物油、鉱油、合成油またはこのような油の混合物であってよい。
【0104】
特定の態様において、本発明の製剤は、ミクロエマルジョンとして存在する。本発明において、ミクロエマルジョンとは、熱力学的に安定なミクロエマルジョンならびにいわゆる「PIT」エマルジョンの両方を意味するものと解される。これらのエマルジョンは、水、油および乳化剤の3つの成分を含む系であり、室温において水中油型エマルジョンとして存在する。加熱したときに、これらの系は、特定の温度範囲(相反転温度または「PIT」として知られる)においてミクロエマルジョンを形成し、さらに加熱すると、油中水型(W/O)エマルジョンに変換される。次いで冷却すると、再びO/Wエマルジョンを与えるが、これは室温において、ミクロエマルジョンまたは微細分散したエマルジョン(平均粒径 400nm以下、特に約100〜300nmを有する)として存在する。本発明によれば、約200nmの平均粒径を有するこのようなミクロエマルジョンまたは「PIT」エマルジョンが好ましい。「PITエマルジョン」の詳細は、例えば、刊行物 Angew.Chem. 97、655-669 (1985)中に見ることができる。
【0105】
本発明の態様において、発汗防止活性成分を、発汗防止剤として含有させることができる。本発明によれば、水溶性の収斂剤またはタンパク質凝固性の金属塩が、発汗防止剤のための活性成分として適する。これら活性成分は、特に、アルミニウム、ジルコニウム、亜鉛およびチタンの無機または有機塩ならびにこれら塩の任意の混合物である。本発明によれば、水溶性とは、20℃において100gの溶液あたり少なくとも4gの活性物質の溶解性を意味すると解される。本発明に従って使用しうる例は、ミョウバン[KAl(SO)・12HO]、硫酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ナトリウム-アルミニウム クロロヒドロキシラクテート、アルミニウム クロロヒドロキシアラントイネート、アルミニウムクロロヒドレート、アルミニウムスルホカルボレート、アルミニウム-ジルコニウムクロロヒドレート、塩化亜鉛、亜鉛スルホカルボレート、硫酸亜鉛、ジルコニウムクロロヒドレート、アルミニウム-ジルコニウム-クロロヒドレート-グリシン-複合体および塩基性の塩化アルミニウムとプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールとの複合体である。活性成分の液体調製物は、好ましくは、収斂性アルミニウム塩、特にアルミニウムクロロヒドレート、および/またはアルミニウム-ジルコニウム化合物を含有する。アルミニウムクロロヒドレートは、例えば、粉末形態でMicro Dry Ultrafineとして、または活性化された形態でReach 501またはReach 103としてReheisから、ならびに、水溶液の形態でLocron LとしてClariantから、またはChlorhydrolとしてReheisから市販されている。アルミニウムセスキクロロヒドレートは、Reheisにより商標名 Reach 301のもとで提供されている。また、本発明によれば、アルミニウム-ジルコニウム トリまたはテトラクロロヒドレート-グリシン-複合体(これは、例えば、Reheisにより商標名 Rezal 36Gのもとで市販されている)の使用が、特に有利である。
【0106】
発汗抑制活性成分は、本発明の組成物中に、全組成物中の活性物質の量を基準に、0.01〜40重量%、好ましくは2〜30重量%、特に5〜25重量%の量で含まれる。
【0107】
本発明の態様において、脱臭活性成分を、脱臭剤として含有させることができる。本発明によれば、芳香剤、抗微生物剤、抗菌剤または微生物抑制剤、酵素阻害剤、酸化防止剤および臭気吸着剤が適する脱臭活性成分である。
【0108】
適する抗微生物、抗菌または微生物抑制物質は、特に、C-Cアルカノール、C-Cアルカンジオール、有機ハロゲン化合物、ならびに、有機ハロゲン化物、第4級アンモニウム化合物、一連の植物抽出物および亜鉛化合物である。
【0109】
さらに好ましい態様において、本発明の組成物は、水溶性のジオール、トリオールおよび高級ポリヒドロキシアルコールならびにポリエチレングリコールから選択される少なくとも1つの水溶性ポリオールを含有する。適するジオールには、C-C12ジオール、特に、1,2-プロピレングリコール、ブチレングリコール、例えば1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールおよび1,4-ブチレングリコール、ペンタンジオール、例えばペンタン-1,2-ジオール、ならびに、ヘキサンジオール、例えばヘキサン-1,6-ジオールが含まれる。さらに、グリセリンおよび工業用オリゴグリセリン混合物(1.5〜10の自己縮合度を有する)、例えば工業用ジグリセリン混合物(40〜50重量%のジグリセリン含量を有する)またはトリグリセリン、さらにヘキサン-1,2,6-トリオールならびに100〜1000ダルトンの平均分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)、例えばPEG-400、PEG-600またはPEG-1000が好ましく、かつ適している。さらなる適する高級ポリヒドロキシアルコールは、C-、C-およびC-単糖ならびに対応する糖アルコール、例えば、マンニトールまたはソルビトールである。
【0110】
本発明の組成物は、水溶性ポリオールを、それぞれの場合に全組成物を基準に、1〜50重量%、好ましくは1〜15重量%、特に好ましくは1〜5重量%の量で含有する。
【実施例】
【0111】
以下に挙げる実施例は、本発明の明確化を意図するものであり、いかなる意味においても限定のためのものではない。
実施例1:Staphylococcus warneriおよびPropionibacterium acnesの増殖に対する植物抽出物の影響
光学密度OD(620nm)が0.05であるLB培地中の培養物を、S.warneriおよびP.Acnesの液体出発培養物から播種した。対照(細胞または抽出物を添加しない)と平行して、2つの培養物にそれぞれ1%植物抽出物を加え、増殖を、OD測定により30時間にわたって記録した。30時間後に、抽出物を添加した培養物と、対応する対照(抽出物を添加しない;細胞を含まない値に対して調整した)とのODの差を求めた。Ribes nigrumとPinus sylvestrisの混合抽出物[Epica、Rahn(独国)]ならびにPicea glauca、Paullinia cupana(ガラナ)、Panax ginseng(朝鮮人参)、Lamium album(白イラクサ)およびRibes nigrum(クロフサスグリ)の抽出物は、S.warneriに対して増殖促進効果を有し、それと同時にP.acnesを抑制した。これらの抽出物は、Rahn Company(独国)から入手した。
【表1】

【0112】
配合例
データは、それぞれ重量%での含量を示す。
【表2】

【0113】
【表3】

【0114】
【表4】

【0115】
【表5】

【0116】
【表6】

【0117】
【表7】

【0118】
4.水中油型エマルジョン
4.1.実施例系列:
【表8】

【0119】
4.2.実施例系列:
【表9】

【0120】
4.3.実施例系列:
【表10】

【0121】
4.4.実施例系列:
【表11】

【0122】
4.5.実施例系列:
【表12】

【0123】
5.油中水型エマルジョン
【表13】

【0124】
6.洗浄調製物
6.1.実施例系列:
【表14】

【0125】
6.2.実施例系列:
【表15】

【0126】
7.シリコーン中水型エマルジョン
【表16】

【0127】
使用原料:
【表17】

【0128】
使用原料(続き):
【表18】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
望ましい皮膚微生物の増殖を促進するための、局所化粧品皮膚処置組成物における、皮膚において前生物的効果を有する植物抽出物の使用。
【請求項2】
望ましい皮膚微生物が腐生性皮膚微生物である請求項1に記載の使用。
【請求項3】
望ましい皮膚微生物がコアグラーゼ陰性ブドウ球菌である請求項1に記載の使用。
【請求項4】
コアグラーゼ陰性ブドウ球菌がS.epidermidisまたはS.warneriである請求項3に記載の使用。
【請求項5】
望ましい皮膚微生物が皮膚友好的な桿菌である請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
皮膚友好的な桿菌がBacillus licheniformisである請求項5に記載の使用。
【請求項7】
皮膚において前生物的効果を有する植物抽出物が、望ましくない皮膚微生物の増殖を同時抑制する請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
望ましくない皮膚微生物の増殖を抑制するための、局所化粧品皮膚処置組成物における、皮膚において前生物的効果を有する植物抽出物の使用。
【請求項9】
望ましくない微生物が病原性微生物である請求項7または8に記載の使用。
【請求項10】
望ましくない微生物がコアグラーゼ陽性ブドウ球菌である請求項7〜9のいずれかに記載の使用。
【請求項11】
望ましくない微生物がPropionibacterium acnesである請求項7〜9のいずれかに記載の使用。
【請求項12】
荒れた、乾燥した、または脂ぎった皮膚を処置するための請求項1〜11のいずれかに記載の使用。
【請求項13】
座瘡を処置するための請求項12に記載の使用。
【請求項14】
皮膚菌類またはふけを処置するための請求項1〜11のいずれかに記載の使用。
【請求項15】
皮膚の前生物的処置のための局所化粧品または医薬品組成物を製造するための、皮膚において前生物的効果を有する植物抽出物の使用。
【請求項16】
前生物的効果が、望ましい微生物の増殖の促進によってもたらされる請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前生物的効果が、望ましくない微生物の増殖の抑制によってもたらされる請求項15に記載の使用。
【請求項18】
植物抽出物が、針葉樹抽出物、特にPinaceaeの群からの抽出物、またはSapindaceae、Araliaceae、LamiaceaeもしくはSaxifragaceaeの群からの抽出物、またはこれらの混合物である請求項1〜17のいずれかに記載の使用。
【請求項19】
植物抽出物が、Picea spp.、Pinus sp.、Paullinia sp.、Panax sp.、Lamium sp.もしくはRibes sp.の抽出物またはこれらの混合物である請求項18に記載の使用。
【請求項20】
皮膚処置を予防的に行う請求項1〜19のいずれかに記載の使用。
【請求項21】
植物抽出物が、組成物の全重量を基準に、0.01〜20重量%の量で含まれる請求項1〜20のいずれかに記載の使用。
【請求項22】
皮膚において前生物的効果を有する植物抽出物を含んでなる化粧品または医薬品組成物。
【請求項23】
組成物が局所皮膚処置剤である請求項22に記載の化粧品または医薬品組成物。
【請求項24】
植物抽出物が、針葉樹抽出物、特にPinaceaeの群からの抽出物、またはSapindaceae、Araliaceae、LamiaceaeもしくはSaxifragaceaeの群からの抽出物、またはこれらの混合物である請求項22または23に記載の化粧品または医薬品組成物。
【請求項25】
植物抽出物が、Picea spp.、Pinus sp.、Paullinia sp.、Panax sp.、Lamium sp.もしくはRibes sp.の抽出物またはこれらの混合物である請求項24に記載の化粧品または医薬品組成物。
【請求項26】
組成物が、以下の群:
・有機、無機および修飾された無機の光保護フィルター;
・ビタミンB群のビタミン、プロビタミンもしくはビタミン前駆体またはその誘導体ならびに2-フラノン、パンテノール、パントラクトン、ニコチンアミドおよびビオチンの誘導体;
・追加の植物抽出物;
・MMP-1阻害物質;
・レチノール(ビタミンA)とC2-18カルボン酸とのエステル;
の少なくとも1つから選択される少なくとも1つの追加の物質を含有する請求項22〜25のいずれかに記載の化粧品または医薬品組成物。
【請求項27】
組成物が、以下の群:
・乳化剤または分散剤としての界面活性物質;
・アミノ酸ならびにその亜鉛塩およびその酸付加塩;
・皮膜形成性および/またはエマルジョン安定化および/または増粘性および/または粘着性ポリマー;
・脂肪、界面活性剤、発汗防止剤およびポリオール;
・有機、無機および修飾された無機の光保護フィルター;
・タンパク質加水分解物およびその誘導体;
・単糖、オリゴ糖および多糖ならびにその誘導体;
・α-ヒドロキシカルボン酸およびα-ケトカルボン酸ならびにそのエステル、ラクトンまたは塩;
の少なくとも1つから選択される少なくとも1つの追加の物質を含有する請求項22〜26のいずれかに記載の化粧品または医薬品組成物。
【請求項28】
組成物が、石鹸、ローション、エマルジョン、スプレー、クリーム、シャンプーまたは膏薬中に含まれる請求項22〜27のいずれかに記載の化粧品または医薬品組成物。

【公表番号】特表2006−528143(P2006−528143A)
【公表日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520728(P2006−520728)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007708
【国際公開番号】WO2005/011716
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(391008825)ヘンケル・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチエン (309)
【氏名又は名称原語表記】HENKEL KOMMANDITGESELLSCHAFT AUF AKTIEN
【住所又は居所原語表記】40191 Dusseldorf,Henkelstrasse 67,Germany
【Fターム(参考)】