説明

剥離用テープ供給装置、及び支持板剥離装置

【課題】搬送経路における剥離用テープの取り廻しを不要にして、粘着性の剥離用テープの補充作業の容易化を図る。
【解決手段】剥離用テープ供給装置100は、支持体111及び112、ハンドル113、リンク114及び115を備える。支持体111は、供給ロール101から送り出された後の剥離用テープ206の粘着面に全幅にわたって接離動作自在にされている。支持体112は、巻取ロール102に回収される前の剥離用テープ206の粘着面に全幅にわたって接離動作自在にされている。ハンドル113に対する操作力が、リンク114及び115を介して支持体111及び112に同時に伝達される。支持体111及び112のそれぞれに貼着した位置で剥離用テープ206を切断すると、供給ロール101から巻取軸ロール102までの間の搬送経路に剥離用テープ206が滞留した状態が維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、支持板貼付用の接着剤を半導体ウェハから除去するための剥離用テープを供給する剥離用テープ供給装置、及びこの剥離用テープ供給装置を備えた支持板剥離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の高性能化及び小型化に伴って、半導体ウェハの薄型化の要請が高まっている。通常、半導体ウェハを薄型化する際には、薄型化加工される半導体ウェハに対してサポートガラス等の支持板をUV硬化型接着剤によって貼り合せ、半導体ウェハにおける張り合わせ面とは反対側の面を研磨する手法が用いられている。この手法によれば、薄型化加工された半導体ウェハに支持板が張り合わされていることから、薄型化加工された半導体ウェハの搬送及び加工時に強度の低下に起因する割れや反り等の不具合の発生を防止できるとされていた。
【0003】
半導体ウェハに貼り付けられた支持板及び用いられた接着剤は、ダイシング工程に移行する前に取り除く必要がある。このため、従来、半導体ウェハから支持板及び接着剤を除去する技術について様々な開発が為されている。そのような従来技術の中には、溶剤を用いて支持板を半導体ウェハから剥離するとともに、洗浄液及びプラズマを用いて接着剤を半導体ウェハから除去するように構成されるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
特許文献1の技術では、洗浄液を用いて半導体ウェハから接着剤を除去し、その後にプラズマによるドライ処理を行っている。しかし、支持板剥離装置の構成の簡素化や支持板剥離装置における処理の高速化を考慮すると、完全なドライ状況下で接着剤の除去処理を行うことが好ましい。
【0005】
また、ドライ状況下において物理的に接着剤を除去する際には、半導体ウェハに対して物理的力が作用することによる半導体ウェハの破損等の不具合の発生を防止することが重要である。
【0006】
そこで、粘着性の剥離用テープを用いて接着剤の除去処理を行う装置が提案されている。支持板が剥離された半導体ウェハの接着剤の塗布面に剥離用テープを一旦張り付けた後に引き剥がすことで、半導体ウェハ上の接着剤を剥離用テープに移動させ、半導体ウェハから接着剤を除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−3748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
接着剤の除去処理を効率的に行うためには、ロール状の未使用の剥離用テープを一定張力下で供給ロールから半導体ウェハに連続して供給し、使用済みの剥離用テープを巻取ロールに巻き取るべきであるが、粘着性を有する剥離用テープは取り扱いが容易でない。例えば、剥離用テープをその粘着面が搬送ローラの周面に接触しないように搬送するためには、張力を作用させるテンションローラを含む多数の搬送ローラを配置する必要があり、搬送経路が複雑になる。このため、供給ロールに対する未使用の剥離用テープの補充後には、剥離用テープを供給ロールから複雑な搬送経路を経由して巻取ロールまで取り廻す作業が必要になる。この作業は、剥離用テープが粘着性を有するために煩雑になる。
【0009】
この発明の目的は、搬送経路における剥離用テープの取り廻しを不要にして、粘着性の剥離用テープの補充作業を容易に行うことができる剥離用テープ供給装置、及びこの剥離用テープ供給装置を備えた支持板剥離装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る剥離用テープ供給装置は、供給ロール、巻取ロール、第1及び第2の支持体、並びに伝達機構を備え、支持板が剥離された半導体ウェハの上面から接着剤を除去する際に、第1面に粘着性を有する剥離用テープを半導体ウェハの上面を経由する所定の搬送経路に沿って搬送する。供給ロールは、ロール状の未使用の剥離用テープを回転自在に支持する。巻取ロールは、使用済みの剥離用テープを巻回して回収する。第1の支持体は、供給ロールから送り出された後の剥離用テープの第1面に全幅にわたって接離動作自在にされている。第2の支持体は、巻取ロールに回収される前の剥離用テープの第1面に全幅にわたって接離動作自在にされている。伝達機構は、操作部材を含み、操作部材に対する操作力を接離動作に変換して第1の支持体及び第2の支持体に同時に伝達する。
【0011】
この構成では、操作部材に操作力を作用させると、第1及び第2の支持体がそれぞれ供給ロールから送り出された後の剥離用テープ及び巻取ロールに回収される前の剥離用テープの第1面に全幅にわたって接離動作する。第1及び第2の支持体を剥離用テープの第1面に全幅にわたって接触させると、粘着性を有する剥離用テープの第1面が第1及び第2の支持体に貼着する。第1及び第2の支持体に貼着した部分で剥離用テープを全幅にわたって切断すると、供給ロールに残留している剥離用テープ及び巻取ロールに巻回された剥離用テープは、搬送経路に滞留している剥離用テープから分離される。
【0012】
一例として、供給ロールに残留している剥離用テープを取り外して新たなロール状の剥離用テープを供給ロールに配置するとともに、供給ロールに残留していた剥離用テープを巻取ロールに配置する。この後、新たな剥離用テープ及び残留していた剥離用テープをそれぞれ第1及び第2の支持体上で搬送経路に存在している剥離用テープに接合し、操作部材に反対方向の操作力を作用させて第1及び第2の支持体を剥離用テープの第1面から離間させる。これによって、搬送経路内に新たな剥離用テープを取り回す作業を必要とすることなく、新たな剥離用テープが補充される。
【0013】
この構成において、搬送経路における第1の支持体の下流側と第2の支持体の上流側とのそれぞれで剥離用テープに所定の張力を作用させる第1及び第2のテンション部材を備えることが好ましい。第1及び第2の支持体に剥離用テープの第1面が弛みを生じることなく貼着し、剥離用テープの切断及び接合を容易に行うことができる。
【0014】
第1及び第2のテンション部材は、それぞれ周面が剥離用テープの第2面に接触する第1及び第2のテンションローラを含むとともに供給ロール及び巻取ロールのそれぞれに接近及び離間するように昇降自在に支持されたものとし、第1及び第2の固定部材をさらに備えることが好ましい。第1及び第2の固定部材は、第1及び第2のテンション部材をそれぞれ第1及び第2の支持体に近接した所定の固定位置で選択的に固定する。剥離用テープにおける第1及び第2の支持体が接触する部分における弛みをより確実に除去できる。
【0015】
伝達部材は、操作部材に対する操作力を固定手部材による第1及び第2のテンション部材の固定動作に変換して伝達する連動機構を含むものとすることが好ましい。単一の操作部材に操作力を作用させることで、第1及び第2の支持体、並びに第1及び第2の固定部材を同時に動作させることができる。
【0016】
供給ロール及び巻取ロールを個別に回転及び停止させる第1及び第2の駆動機構と、供給ロール及び巻取ロールにおける剥離用テープの巻取量を検出するテープ検出手段と、第1及び第2のテンション部材の位置を検出する位置検出手段と、検出手段の検出結果に基づいて駆動機構の動作を制御する制御手段と、をさらに備えることが好ましい。供給ロールにおける剥離用テープの残量又は巻取り軸における剥離用テープの巻取量に基づいて蹴りされたタイミングで、供給ロール及び巻取ロールを選択的に回転させて第1及び第2のテンション部材を固定位置に移動させることで、剥離用テープの補充作業を適正なタイミングで行うことができる。
【0017】
テープ検出手段は、供給ロール及び巻取ロールのそれぞれに巻回された剥離用テープの外周面に上方から当接する第1の当接部及び第2の当接部を一体的に備えた揺動部材を揺動自在に支持し、第1の当接部及び第2の当接部のそれぞれの揺動位置に基づいて、供給ロール及び巻取ロールにおける剥離用テープの巻回量を検出するものとすることが好ましい。供給ロールにおける未使用の剥離用テープの収納量が所定量以下に減少したこと、及び巻取ロールにおける使用済みの剥離用テープの巻回量が所定量以上に増加したことのそれぞれを、単一のテープ検出手段で個別に検出できる。
【0018】
揺動部材は、剥離用テープの搬送に伴って回転する回転体の周面における回転方向が下向きの位置に下方から係合する係合部を備えることが好ましい。揺動部材を供給ロールに対する新たな剥離用テープの補充の障害とならない位置に固定できるとともに、剥離用テープの供給開始に伴う回転体の回転によって回転体の周面に対する棒体の係合を自動的に解除できる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、供給ロール及び巻取ロールの近傍で第1及び第2の支持体に貼着した剥離用テープを切断及び接合することで、供給ロールと巻取ロールとの間の搬送経路における剥離用テープの滞留状態を維持することができ、粘着性の剥離用テープの補充作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る剥離用テープ供給装置が適用されるデマウンタの概略の平面図である。
【図2】(A)及び(B)は、同デマウンタの正面図及び側面図である。
【図3】(A)及び(B)は、デマウンタのピールユニットにおける接着剤除去処理を示す図である。
【図4】(A)〜(C)は、同剥離用テープ供給装置の支持部の平面図、正面図及び側面図である。
【図5】(A)及び(B)は、同剥離用テープ供給装置のセンサ部の平面図及び正面図である。
【図6】同デマウンタの制御部のブロック図である。
【図7】同制御部の処理手順の一部を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る剥離用テープ供給装置100が適用される支持板剥離装置であるデマウンタ10は、ウェハに張り合わされたサポートガラス、及び貼り合わせに用いた接着剤(例えば、紫外線硬化型接着剤)をウェハから取り除く。このため、デマウンタ10は、アライメント部12、ステージチャック14、レーザ照射ユニット16、剥離ユニット18、ピールユニット20及び制御部50を備える。制御部50は、ステージチャック14、レーザ照射ユニット16、剥離ユニット18、ピールユニット20等の動作を統括的に制御するように構成されている。
【0022】
アライメント部12は、デマウンタ10に導入されたウェハの配置角度及び中心位置を調整可能に構成される。デマウンタ10に導入されるウェハは、下面側にダイシングテープ及びダイシングフレームが取り付けられ、上面側に接着剤を介してサポートガラスが取り付けられている。
【0023】
ステージチャック14は、アライメント部12の近傍に配置されており、上面にウェハ及びダイシングフレームを吸着支持する。ステージチャック14は、矢印302で示す方向に配置された図示しないガイドに沿って、ピールユニット20の処理位置とレーザ照射ユニット16の処理位置との間を往復移動する。
【0024】
レーザ照射ユニット16は、レーザ光照射装置及びレーザフード162を備えている。レーザ光照射装置は、インジウムガリウムヒ素等のレーザダイオードから照射されたレーザ光をレーザ照射ユニット16の処理位置に搬送されたウェハの全面に走査しつつ照射可能に構成されている。レーザ光照射装置は、一般にレーザマーカとして用いられる通常のレーザ光照射装置を用いることが可能である。サポートガラスに塗布された熱発泡型樹脂は、レーザ光の照射によって発泡し、サポートガラスがウェハから剥離する。
【0025】
レーザフード162は、第1のフード部材164及び第2のフード部材166を備えている。第1のフード部材164は、レーザ照射ユニット16の処理位置の上方の所定位置にて固定される。第2のフード部材166は、昇降可能に支持されている。第2のフード部材166は、レーザ照射ユニット16の非処理時においては最上位置に配置されている。レーザ照射ユニット16の処理時には、第2のフード部材166は最下位置まで降下する。第2のフード部材166が最下位置まで降下すると、第2のフード部材166によってダイシングフレームの全体が押さえつけられるとともに、ウェハ上方のレーザ照射空間が閉塞されてレーザ光が外部に漏れないようになる。
【0026】
剥離ユニット18は、リフト装置182、アジャスト装置186、及びガラスカセット184を備える。リフト装置182は、レーザ照射ユニット16及びガラスカセット184の間において揺動可能な剥離アーム183を備える。
【0027】
リフト装置182は、レーザ照射ユニット16によってレーザ光が照射されウェハから剥離したサポートガラスを剥離アーム183によって持ち上げる。リフト装置182は、ガラスを持ち上げた後に剥離アーム183を回動させ、ガラスカセット184の上方の空間まで搬送する。
【0028】
アジャスト装置186は、ガラスカセット184の上方の空間にて、剥離アーム183に保持されたサポートガラスを、真空吸着パッド185を介して受け取るように構成される。アジャスト装置186は、剥離アーム183から受け取ったサポートガラスを、水平を保つように調整しつつ、ガラスカセットの所定位置に載置する。なお、カセット184に積載されたサポートガラスは、図示しないリサイクルコータで洗浄された後に熱発泡型樹脂を塗布され、その後に再びマウンタで別のウェハに貼付される。
【0029】
図1並びに図2(A)及び(B)に示すように、ピールユニット20は、剥離用テープ供給装置100、スライドベース214、吸着アーム部202及びピールローラ204を備えている。スライドベース214は、ガイド218及び220に沿って矢印300で示す方向に往復移動する。吸着アーム部202は、メカシリンダを介して昇降可能に構成される。吸着アーム部202は、アライメント部12及びステージチャック14上のウェハを吸着可能に構成されており、アライメント部12及びステージチャック14の間でウェハを双方向に搬送する。
【0030】
図3に示すように、ピールユニット20は、レーザ照射ユニット16でサポートガラスが取り除かれたウェハの上面から接着剤を取り除く。まず、図3(A)に示すように、ウェハがピールユニット20の処理位置に配置されると、ピールローラ204が降下し、ウェハの上面端部に接触する。その後、ピールユニット20はピールローラ204を介してウェハを加圧しつつ、ピールローラ204がウェハ上面を転がるようにしてウェハの上面の全面に残留した接着剤を剥離させて回収する。
【0031】
ピールローラ204は、図3(B)に示すように、ウェハを加圧しつつ、ウェハ上面を転がるようにしてウェハ上面における反対側の端部まで到達する。その間、ピールローラ204に張架された剥離用テープ206の第1面が順次的にウェハ上面に貼り付けられ、接着剤がウェハ上面から剥離用テープ206の第1面に移っていく。ウェハ上面に貼り付いた剥離用テープ206は、水平面と垂直面とが連続するように配置されたピールブロック210に沿って略垂直に持ち上げられてウェハ上面から剥離する。その後、剥離用テープ206における接着剤を吸着した部分は、巻取ロール102に回収される。
【0032】
なお、ウェハが剥離用テープ206とともに持ち上げられてしまうことを防止するために、ピールブロック210における水平面と垂直面との接合部分の半径を0.2mm程度に抑えることで、剥離用テープ206とウェハとが分離し易くなるようにしている。
【0033】
図2(A)及び(B)に示すように、剥離用テープ供給装置100は、供給ロール(供給ロール)101、巻取ロール(供給ロール)102、支持部110、第1テンション部材120、第2テンション部材130、テープセンサ140を備えている。剥離用テープ供給装置100は、供給ロール101に巻回された未使用の剥離用テープ206をピールローラ204に供給し、使用済みの剥離用テープ206を巻取ロール102に巻回して回収する。
【0034】
ピールローラ204には、ウェハに付着した接着剤を剥離するための剥離用テープ206が張架される。ピールユニット20には、供給ロール101からピールローラ204を含む複数のローラを経由して巻取ロール102に至る剥離用テープ206の搬送経路が構成されている。
【0035】
剥離用テープ206は、粘着性を有する粘着面(第1面)を内側にして供給ロール101に巻回されている。剥離用テープ206は、剥離用テープ供給装置100内で、供給ロール101から下方に繰り出され、第1テンションロール121に粘着面を外側にして略半周巻回される。この後、搬送ロール103によって供給ロール101及び巻取ロール102の上方を経由してピールローラ204に導かれる。剥離用テープ206は、ピールローラ204から、搬送ロール104及びガイドロール105を経て剥離用テープ供給装置100内に戻り、第2テンションロール131に粘着面を外側にして略半周巻回した後、巻取ロール102に巻き取られる。
【0036】
第1テンション部材120は、第1テンションロール121を軸支する本体123の下方にウェイト122を保持しており、第1テンションロール121を介して剥離用テープ206に張力を付与する。第2テンション部材130は、第2テンションロール131を軸支する本体133の下方にウェイト132を保持しており、第2テンションロール131を介して剥離用テープ206に張力を付与する。第1テンション部材120及び第2テンション部材130は、主に剥離用テープ206の繰り出し量及び巻取り量に応じて、剥離用テープ供給装置100内で昇降する。
【0037】
第1テンション部材120及び第2テンション部材130の上下方向の位置は、それぞれ第1センサ部材106及び第2センサ部材107によって検出される。第1テンション部材120の本体123には、2カ所に孔部1201が形成されている。孔部1201には、後述する固定ピン117が嵌入する。第2テンション部材130の本体133にも、後述する固定ピン118が嵌入する孔部1301が形成されているが、図2には現れない。なお、ウェイト122,132の質量は、所定範囲で増減自在にされている。
【0038】
供給ロール101及び巻取ロール102は、それぞれ個別のモータ1011,1021から変速機1012,1022を介して正逆両方向の回転が供給される。なお、モータ1021及び変速機1022は、図2(B)には現れない。
【0039】
この実施形態では、剥離用テープ206としてポリエステル製テープを用いているが、これに限定されるものではない。
【0040】
図4(A)〜(C)に示すように、支持部110は、剥離用テープ206の補充に際して搬送経路に滞留している剥離用テープ206を取り除くことなく、供給ロール101及び巻取ロール102を交換できるようにするものである。このため、支持部110は、第1の支持体111、第2の支持体112、ハンドル113、第1のリンク114、第2のリンク115、ベース116、第1の固定ピン117、第2の固定ピン118、スプリング119を備えている。
【0041】
ベース116は、剥離用テープ供給装置100の底板108に取り付けられた支柱1091,1092の上端に固定されている(図2参照。)。ハンドル113は、この発明の操作部材であり、ベース116の中央部に軸支された回転軸1131周りに図4(A)中実線で示す第1の位置から同図中二点鎖線で示す第2の位置までの所定範囲内で回転自在にされている。スプリング119は、張力によってハンドル113を第1の位置又は第2の位置の何れかに固定する。なお、第1センサ部材106及び第2センサ部材107は、それぞれ支柱1091及び1092に固定されている。
【0042】
第1の支持体111及び第2の支持体112は、それぞれスライダ1111及び1121上で下端部を支点にして図4(A)中実線で示す退避位置と同図中二点鎖線で示す露出位置との間に揺動自在に支持されている。スライダ1111及び1121は、ベース116上で水平方向に沿って互いに接近及び離間する方向に移動自在にされている。スライダ1111及び1121には、下部にそれぞれ第1の固定ピン117及び第2の固定ピン118が固定されている。
【0043】
ハンドル113には、第1のリンク114及び第2のリンク115のそれぞれの第1の端部が部分球面を介して係合している。第1のリンク114及び第2のリンク115のそれぞれの第2の端部は、それぞれ部分球面を介して第1の支持体111及び第2の支持体112に係合している。ハンドル113の図4(A)中実線で示す位置と二点鎖線で示す位置との間の回転動作は、リンク114及び115を介して、第1の支持体111及び第2の支持体112、並びにスライダ111A及び112Aに伝達される。
【0044】
ハンドル113が図4(A)中実線で示す位置にある場合には、支持体111及び112、並びに固定ピン117及び118は、図4(A)中実線で示す退避位置に位置している。ハンドル113を図4(A)中二点鎖線で示す位置に回転させると、支持体111及び112、並びに固定ピン117及び118は、図4(A)中二点鎖線で示す露出位置に移動する。
【0045】
固定ピン117及び118は、上下方向の移動範囲における上限位置にあるテンション部材120及び130のそれぞれの孔部1201及び1301に嵌入し、テンション部材120及び130の下方への移動を規制する。なお、この発明の所定の固定位置は、テンション部材120及び130の移動範囲の上限位置に限るものではない。したがって、固定ピン117及び118は、テンション部材120及び130の下降を規制することを条件に、上限位置にあるテンション部材120及び130に係合するものに限らない。
【0046】
支持体111及び112は、それぞれ支持台1112及び1122を備えている。支持台1112は、支持体111が露出位置にあるときに、供給ロール101から繰り出された直後の剥離用テープ206の粘着面に圧接する。支持台1122は、支持体112が露出位置にあるときに、巻取ロール102に巻き取られる直前の剥離用テープ206の粘着面に圧接する。供給ロール101から繰り出された直後の剥離用テープ206及び巻取ロール102に巻き取られる直前の剥離用テープ206には、それぞれテンション部材120及び130から十分な張力が作用している。このため、支持台1112及び1122には、剥離用テープ206が貼着する。
【0047】
図2に示すように、この発明のテープ検出手段であるテープセンサ140は、供給ロール101及び巻取ロール102の上方に配置されている。テープセンサ140は、この発明の棒体であるアーム141の変位により、供給ロール101における未使用の剥離用テープ206の残量、及び巻取ロール102における使用済みの剥離用テープ206の巻取量を検出する。
【0048】
図5に示すように、テープセンサ140は、揺動板141、回転軸142、アーム143、接触片144、第1検出片145、第2検出片146、フォトカプラ147、ベース148を備えている。ベース148は、回転軸142及びフォトカプラ147を前面側に延出させて固定しており、供給ロール101及び巻取ロール102の上方で剥離用テープ供給装置100に取り付けられている。
【0049】
揺動板141は、上端部を回転軸142に軸支されている。アーム143は、第1の端部に係止片1431が取り付けられ、第2の端部を揺動板141に固定されている。接触片144は揺動板141の下端部から前面側に延出している。第1の検出片145及び第2の検出片146は、揺動板141から互いに異なる回転角度位置で回転軸142の半径方向に延出している。フォトカプラ147は、揺動板141が互いに異なる第1又は第2の回転角度まで回転した時に第1の検出片145又は第2の検出片146を検出する。
【0050】
この発明の第1の当接部であるアーム143は、弾性変形可能な樹脂又は金属線材等で構成されており、自重により中間部で供給ロール101に巻回されている未使用の剥離用テープ206の外周面に当接する。供給ロール101における剥離用テープ206の巻回量が減少していくと、アーム143の中間部と剥離用テープ206の外周面との当接位置が下降し、アーム143は揺動板141と一体的に回転軸142を中心に図5(A)中反時計方向に回転する。供給ロール101における剥離用テープ206の巻回量が所定量以下になると、揺動板141が第1の回転角度まで回転し、フォトカプラ148が第1の検出片145を検出する。
【0051】
この発明の第2の当接片である接触片144は、巻取ロール102における使用済みの剥離用テープ206の巻回量が一定量を超えた時に、巻取ロール102に巻回されている剥離用テープ206の外周面に当接する。巻取ロール102における剥離用テープ206の巻回量がさらに増加していくと、接触片144は揺動板141とともに図5(A)中時計方向に回転する。巻取ロール102における剥離用テープ206の巻回量が所定量以上になると、揺動板141が第2の回転角度まで回転し、フォトカプラ148が第2の検出片146を検出する。このとき、アーム143は、一部を供給ロール101に巻回されている未使用の剥離用テープ206の外周面に当接させた状態で弾性変形する。
【0052】
供給ロール101における未使用の剥離用テープ206の巻回量が所定量以下になったこと及び巻取ロール102における使用済みの剥離用テープ206の巻回量が所定量以上になったことを、単一のテープセンサ140で検出することができる。これによって、未使用の剥離用テープ206の残量が不十分になった状態だけでなく、使用済みの剥離用テープ206の巻回可能量が不十分になった状態を、単一のテープセンサ140によって検出できる。
【0053】
アーム143の第1の端部に取り付けられた係止片1431は、搬送ロール103の周面において剥離用テープ206が接触しない部分であって剥離用テープ206の搬送時に上方から下方に移動する部分に、下方から係合する。係止片1431には、上部に係合ロール1432が軸支されている。係止片1431を搬送ロール103の周面に係合させることで、アーム143を継続的に上方に退避させておくことができ、供給ロール101の交換を容易に行うことができる。
【0054】
係止片1431が搬送ロール103の周面に係合している状態で剥離用テープ206の搬送を開始すると搬送ロール103が回転し、係止片1431には搬送ロール103の周面から下向きに回転力が作用する。この回転力の作用によって、係止片1431は搬送ロール103との係合を解除して下方に落下する。したがって、供給ロール102の交換後に作業者が係止片1431を搬送ロール103の周面から外し忘れても、剥離用テープ206の搬送開始時にはアーム143を供給ロール101に巻回されている剥離用テープ206の外周面に当接させることができる。
【0055】
図6に示すように、制御部50は、ROM502及びRAM503を備えたCPU501に、第1センサ部材106及び第2センサ部材107、テープセンサ140、モータドライバ504及び505、表示コントローラ506等を含む入出力機器を接続して構成されている。CPU501は、ROM502に予め格納されたプログラムに従って各入出力機器を統括して制御する。
【0056】
テープセンサ140は、フォトカプラ148による検出片145又は146の検出信号をCPU501に出力する。第1センサ部材106及び第2センサ部材107は、それぞれ上下方向に沿って複数のセンサを備えており、テンション部材120及び130のそれぞれの昇降範囲における上限位置及び下限位置を含む複数の位置における検出信号をCPU501に出力する。
【0057】
CPU501は、テープセンサ140、センサ部材106及び107の検出信号に基づいて、表示器504、モータ1011及び1021を駆動する。また、CPU501は、デマウンタ10の動作中における所定のタイミングでモータ1011及び1021を駆動し、剥離用テープ206を供給ロール101からピールローラ24を経路して巻取ロール102に巻き取る。
【0058】
モータドライバ504及び505には、それぞれモータ1011及び1021が接続されている。モータドライバ504及び505は、CPU501から出力される駆動データに基づいてモータ1011及び1021を駆動する。
【0059】
表示コントローラ506には、表示器510が接続されている。表示コントローラ506は、CPU501から出力される表示データに基づいて表示器510を駆動する。
【0060】
なお、この実施形態では剥離用テープ供給装置100の動作をデマウンタ10の制御部50によって制御しているが、剥離用テープ供給装置100に専用の制御部を備えることもできる。
【0061】
図7に示すように、CPU501は、デマウンタ10によるウェハからの支持板の剥離処理中に、モータ1011及び1021を適宜駆動し(S1)、剥離用テープ206をピールローラ24に供給する。この間にテープセンサ140から検出片145又は146の検出信号が出力されると(S2)、モータ1011及び1021の駆動とともにデマウンタ10における動作を停止する(S3,S4)。そして、CPU501は、表示器510にデマウンタ10の動作を停止した旨の表示を行う(S5)。
【0062】
この後、CPU501は、センサ部材106及び107からテンション部材120及び130が上限位置にある旨の検出信号が出力されるまでモータ1011及び1021を駆動する(S6〜S8)。ステップS6では、CPU501は、モータ1011及び1021をデマウンタ10の動作中における駆動方向と逆方向に駆動する。これによって、供給ロール101とテンション部材120との間に位置していた剥離用テープ206、及び巻取ロール102とテンション部材130との間に位置していた剥離用テープ206が、それぞれ供給ロール101及び巻取ロール102に巻き取られる。そして、テンション部材120及び130は、昇降範囲における上限位置に向かって上昇する。
【0063】
テンション部材120及び130が上限位置に達したことをセンサ部材106及び107が検出すると、CPU501は、表示器510に表示する(S9)。作業者がハンドル113を図4(A)中実線で示す位置から二点鎖線で示す位置に回転させると、支持体111及び112、並びに固定ピン117及び118が露出位置に移動する。まず、支持体111及び112が露出位置に達することで剥離用テープ206の粘着面に圧接し、支持台1111及び1121に剥離用テープ206が貼着する。次いで、固定ピン117及び118が露出位置に達してテンション部材120及び130の孔部1201及び1301にそれぞれ嵌入し、テンション部材120及び130は上限位置に固定されて自重による下方への移動を規制される。
【0064】
支持台1111及び1121に貼着した剥離用テープ206を切断しても、テンション部材120及び130が下降することがない。このため、テンション部材120からピールローラ204を経由してテンション部材130までの間の搬送経路に滞留する剥離用テープ206が移動することもない。新たな供給ロール101を装着後に、新たな供給ロール101に剥離用テープ206の繰り出した部分を、支持台1111に貼着している剥離用テープ206に接着させる。また、使用済みの供給ロール101を巻取ロール102と交換して新たな巻取ロール102とし、新たな巻取ロール102に巻回されている剥離用テープ206から引き出した部分を支持台1121に貼着している剥離用テープ206に接着する。
【0065】
この作業により、テンション部材120からピールローラ204を経由してテンション部材130までの間の搬送経路に剥離用テープ206を取り廻し直す作業を行うことなく、供給ロール101及び巻取ロール102を交換することができる。
【0066】
供給ロール101と巻取ロール102とは、必ずしも同時に交換する必要はない。巻取ロール102に巻回される使用済みの剥離用テープ206には半導体ウェハから剥離した接着剤が付着している。このため、供給ロール101における未使用の剥離用テープ206の巻回量の減少速度と巻取ロール102における使用済みの剥離用テープ206の巻回量の増加速度とが一致せず、供給ロール101及び巻取ロール102の交換タイミングに差異を生じ得る。この実施形態に係る剥離用テープ供給装置100では、センサ部140が供給ロール101及び巻取ロール102のそれぞれにおける剥離用テープ206の巻回量を個別に検出できる。したがって、供給ロール101又は巻取ロール102の何れか一方が交換タイミングを迎えた場合にも、上述の処理によって適正に対応することができる。
【0067】
なお、支持部110にモータを配置し、作業者のハンドル113の手動操作に代えて、CPU501によるモータの駆動制御によって支持体111及び112、並びに固定ピン117及び118を退避位置と露出位置との間に移動させるようにしてもよい。
【0068】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0069】
10−デマウンタ(支持板剥離装置)
100−剥離用テープ供給装置
101−供給ロール
102−巻取ロール
110−支持部
111−第1の支持体
112−第2の支持体
113−ハンドル
114−第1のリンク(伝達機構)
115−第2のリンク(伝達機構)
117−第1の固定ピン(第1の固定部材)
118−第2の固定ピン(第2の固定部材)
120−第1テンション部材
130−第2テンション部材
140−センサ部(テープ検出手段)
141−揺動板
143−アーム(第1の当接部)
144−接触片(第2の当接部)
1111−第1の支持台
1121−第2の支持台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持板が剥離された半導体ウェハの上面から接着剤を除去する際に、第1面に粘着性を有する剥離用テープを半導体ウェハの上面を経由する所定の搬送経路に沿って搬送する剥離用テープ供給装置であって、
ロール状の未使用の剥離用テープを回転自在に支持する供給ロールと、
使用済みの剥離用テープを巻回して回収する巻取ロールと、
前記供給ロールから送り出された後の剥離用テープの前記第1面に全幅にわたって接離動作自在にされた第1の支持体と、
前記巻取ロールに回収される前の剥離用テープの前記第1面に全幅にわたって接離動作自在にされた第2の支持体と、
操作部材を含み、前記操作部材に対する操作力を前記接離動作に変換して前記第1の支持体及び前記第2の支持体に同時に伝達する伝達機構と、
を備えた剥離用テープ供給装置。
【請求項2】
前記搬送経路における前記第1の支持体の下流側で剥離用テープに所定の張力を作用させる第1テンション部材と、
前記搬送経路における前記第2の支持体の上流側で剥離用テープに所定の張力を作用させる第2テンション部材と、
をさらに備えた請求項1に記載の剥離用テープ供給装置。
【請求項3】
前記第1テンション部材及び前記第2テンション部材は、それぞれ周面が剥離用テープの第2面に接触する第1テンションローラ及び第2テンションローラを含むとともに前記供給ロール及び前記巻取ロールのそれぞれに接近及び離間するように昇降自在に支持され、
前記第1テンション部材及び前記第2テンション部材を前記第1の支持体及び前記第2の支持体のそれぞれに近接した所定の固定位置で選択的に固定する第1の固定部材及び第2の固定部材をさらに備えた請求項2に記載の剥離用テープ供給装置。
【請求項4】
前記伝達部材は、前記操作部材に対する操作力を前記第1の固定部材及び前記第2の固定部材による前記第1テンション部材及び前記第2テンション部材の固定動作に変換して伝達する連動機構を含む請求項3に記載の剥離用テープ供給装置。
【請求項5】
前記供給ロール及び前記巻取ロールを個別に回転及び停止させる第1及び第2の駆動機構と、
前記供給ロールにおける剥離用テープの残量及び前記巻取ロールにおける剥離用テープの巻取量を検出するテープ検出手段と、
前記第1テンション部材及び前記第2テンション部材を前記固定位置で検出する位置検出手段と、
前記テープ検出手段及び前記位置検出手段の検出結果に基づいて前記駆動機構の動作を制御する制御手段と、
をさらに備えた請求項4に記載の剥離用テープ供給装置。
【請求項6】
前記テープ検出手段は、前記供給ロール及び前記巻取ロールのそれぞれに巻回された剥離用テープの外周面に上方から当接する第1の当接部及び第2の当接部を一体的に備えた揺動部材を揺動自在に支持し、前記第1の当接部及び前記第2の当接部のそれぞれの揺動位置に基づいて、前記供給ロール及び前記巻取ロールにおける剥離用テープの巻回量を検出する請求項5に記載の剥離用テープ供給装置。
【請求項7】
前記揺動部材は、剥離用テープの搬送に伴って回転する回転体の周面における回転方向が下向きの位置に下方から係合する係合部を備えた請求項6に記載の剥離用テープ供給装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかに記載の剥離用テープ供給装置を備え、
半導体ウェハに接着剤を介して貼り付けられた支持板を剥離した後に、前記剥離用テープ供給装置から供給された剥離用テープを介して半導体ウェハから接着剤を取り除くように構成された支持板剥離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−94735(P2012−94735A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241745(P2010−241745)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000108753)タツモ株式会社 (73)
【Fターム(参考)】