説明

加工方法およびそれに用いられる加工機

【課題】複雑な制御部を必要とせず、極めて簡単に、より高い安定した加工精度と作業操作性に優れた加工方法およびそれに用いられる加工機を提供する。
【解決手段】基材10(加工対象物)の所定部位にレーザー光LBを照射して所定形状の穿孔部(局所的切断)16を設ける加工方法であって、基材10の所定の部位に、光エネルギーを吸収して光エネルギーを熱エネルギーに変換する熱エネルギー変換層12を形成する変換層形成工程、および、熱エネルギー変換層12の部位と、熱エネルギー変換層12の近傍で、光エネルギーが熱エネルギーに変換されない部位14とに、連続してレーザー光LBを照射する照射工程を含み、照射工程により、レーザー光LBが照射された熱エネルギー変換層12を有する基材10の部位だけが穿孔されて、基材10の所定の部位に穿孔部(局所的切断)16が配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、加工方法およびそれに用いられる加工機に関し、たとえば樹脂材料,紙材料からなるフィルム状ないしシート状の加工対象物の所定の部位にレーザー光を照射することにより、当該加工対象物の所定の部位に所定形状の穿孔(局部的切断)を施すのに用いられる加工方法およびそれに用いられる加工機に関する。特に、本願発明に係る加工方法およびそれに用いられる加工機は、PETボトル等のプラスチックボトル、ガラス瓶、缶等の容器、コンビニエンスストア等の店頭で陳列・販売されるインスタント食品、弁当、各種食品の容器、その他、各種被包装物品のシュリンク包装に適用されるシュリンクフィルムの所定の部位に、ミシン目を形成するのに用いられて好適な加工方法およびそれに用いられる加工機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本願発明の背景となる従来技術としては、種々の態様を有するミシン目が、シュリンク包装材となるシュリンクラベル(熱収縮性フィルムチューブ)等のフィルム表面に、アルゴンレーザー,YAGレーザー,炭酸ガスレーザー等のレーザービームを断続照射することによって形成されるものがあった(例えば、特許文献1,特許文献2,特許文献3,特許文献4)。フィルム表面の微小領域にレーザービームが照射されると、当該微小領域は瞬時に溶解または蒸発してミシン目の貫通孔が生成される。
これらの従来技術では、レーザービームの照射施工(切取り線の形成)が、長尺フィルムの移送ライン、例えばスリットライン(広幅フィルムの幅サイズ調整)又はセンターシールライン(チューブ成形工程)等において、フィルムロールから送り出される長尺フィルムの連続移送下に行なわれる。一定速度で移送される長尺フィルムの表面に向けて、レーザービームの照射量を、裁断間隔に対応させて周期的に変化させながら、フィルム表面が走査される。レーザービームの照射量の制御は、長尺フィルムの裁断位置を検出する等してレーザービームのON/OFFおよび出力の高/低等を調整することにより行なわれる。このように制御されたレーザービームの照射施工により、長尺フィルムの長手方向に沿って、各種の態様を有するミシン目が形成される。
【0003】
また、本願発明の背景となる従来技術には、レーザービームをパルス発振するためのレーザー光源と、レーザービームをシート上へ導くための導光部と、シートの移動速度の変化に応じてレーザー光源の時間出力特性を制御するための制御部とを備え、所定方向に沿って連続的に移動する連続用紙等のシートに縦ミシン目を形成するミシン目形成装置およびミシン目形成方法があった(例えば、特許文献5参照)。この従来技術では、可変速度にしたがって連続的に移動する連続用紙に対して良好な性状の縦ミシン目を形成することができるとしている。
【0004】
さらに、本願発明の背景となる従来技術には、たとえば供給ロールから一定の送り速度で送られてくる長尺の紙や樹脂のように、ある幅を持つ加工対象物に、幅方向にミシン目を形成するミシン目加工方法として、レーザ発振器で発生されるミシン目加工用のパルス状のレーザ光を、加工対象物の幅方向の一端側から反対端側に向けてガルバノミラーによりスキャンさせ、このスキャンの間は加工対象物の送り速度に応じてレーザ光の照射位置を、加工対象物の送り方向と平行な方向に移動させることにより、加工対象物の幅方向にミシン目を形成できるようにしたことを特徴とするレーザによるミシン目加工方法があった(例えば、特許文献6参照)。この従来技術では、レーザ光を利用することでミシン目を形成する際にくずが生じることが無く、ミシン目の形成中に加工対象物の送り速度が変化しても、所定の間隔で加工対象物の幅方向にミシン目加工を行うことができる。
【0005】
【特許文献1】特開2002−337880号公報
【特許文献2】特開2003−26127号公報
【特許文献3】特開2003−95225号公報
【特許文献4】特開2003−104330号公報
【特許文献5】特開2001−259876号公報
【特許文献6】特開2001−269791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜特許文献4に示すような従来技術では、一定速度で移送される長尺フィルムの表面に向けて、レーザービームの照射量を、長尺フィルムの裁断間隔に対応させて周期的に変化させながら当該フィルム表面を走査する必要があり、その照射量の制御は、長尺フィルムの裁断位置を検出する等してレーザービームのON/OFF、出力の高/低等のレーザービームの照射条件を調整することにより行なわれる。レーザービームの照射条件の具体的な制御は、フィルムの材質や厚み、形成しようとするミシン目の孔の形状、孔径、孔間距離(ピッチ)等のミシン目の態様、あるいはハーフカットのカット深さ等によっても異なり制御が複雑なものとなっている。
【0007】
特許文献5に示すような従来技術では、ミシン目のカット部分は、パルス発振がONのときに形成され、且つ、カットされない非カット部分は、パルス発振がOFFのときに形成されるので、所望のカットパターン(カット部分と非カット部分との繰り返しパターン)に応じて、パルス発振のON・OFFが制御される。さらに、レーザー光源の時間出力特性(出力強度、パルス幅、デューティ比など)は、連続用紙の移動速度の変化に応じて制御部により制御される。この従来技術においても、複雑な制御部が必要なものとなっている。
【0008】
特許文献6に示すような従来技術では、ミシン目加工用のパルス状のレーザ光を発生するためのレーザ発振器と、レーザ光を紙の幅方向に振らせるためのガルバノミラーを搭載して、このガルバノミラーを変位させるための回転ステージ機構と、レーザ発振器からのレーザ光をガルバノミラーに導くための光学経路と、ガルバノミラーと回転ステージ機構とを制御するための制御装置とを備えている。そして、紙の送り速度の変化をも考慮して、スキャンに際しては紙の送り速度の変化量に応じてレーザ光の照射位置を、紙の送り方向と平行な方向に移動させるように回転ステージを制御するようにしている。この従来技術においても、複雑な制御装置が必要なものとなっている。また、この従来技術では、ガルバノミラーの変位を制御装置により制御させているものの、ミシン目形成の際にレーザ光の照射タイミングのズレが生じる恐れも否めない。そのため、加工精度にバラツキが発生する恐れがあり、その場合、安定したミシン目形成が望めない。
すなわち、特許文献1〜特許文献6に示すような従来技術では、上記したように、加工対象物の材質や厚み、ミシン目の態様、加工対象物の搬送速度に対応し得るように、レーザー発振器側において、レーザービームを断続照射するためのON/OFFの制御、レーザービームの照射条件および/または走査を制御する複雑な制御部(制御装置)などが必要となって、装置自体が複雑化しメンテナンスに手間が掛かりランニングコストも高くつくものであった。
【0009】
それゆえに、この発明の主たる目的は、複雑な制御部を必要とせず、極めて簡単に、より高い加工精度と作業操作性に優れた加工方法およびそれに用いられる加工機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1にかかる本願発明は、合成樹脂材料および/または紙材料からなるフィルム状ないしシート状の加工対象物の所定の部位にレーザー光を照射することにより、当該加工対象物の所定の部位を所定形状に穿孔してなる切断部を配設する加工方法であって、加工対象物の所定の部位に、光エネルギーを吸収して当該光エネルギーを熱エネルギーに変換する熱エネルギー変換層を形成する変換層形成工程と、熱エネルギー変換層の部位と、熱エネルギー変換層の近傍で、光エネルギーが熱エネルギーに変換されない部位とに、連続してレーザー光を照射する照射工程とを含み、照射工程により、レーザー光が照射された熱エネルギー変換層を有する加工対象物の部位だけが穿孔されて、加工対象物の所定の部位に切断部が配設されることを特徴とする、加工方法である。
請求項1にかかる本願発明では、変換層形成工程により、加工対象物の所定の部位に形成された熱エネルギー変換層が、光エネルギーを吸収して当該光エネルギーを熱エネルギーに変換する作用を有する。そのため、照射工程により、熱エネルギー変換層の部位と、熱エネルギー変換層の近傍で光エネルギーが熱エネルギーに変換されない部位とに連続してレーザー光が照射されると、レーザー光が照射された熱エネルギー変換層を有する部位だけに光エネルギーが集中的に吸収される。この場合、当該レーザー光が照射された熱エネルギー変換層を有する加工対象物の部位だけが、局所的・選択的に且つ集中的に効率良く加熱(発熱)されることによって溶融、気化される。そのため、当該レーザー光が照射された熱エネルギー変換層を有する加工対象物の所定の部位に、穿孔(局部的切断)が施されて切断部が設けられることとなる。
請求項1にかかる本願発明では、加工対象物の所定の部位において、局部的に切断されて穿孔される部位に熱エネルギー変換層が形成される。一方、加工対象物の熱エネルギー変換層が形成されていない部位は、光エネルギーが殆ど吸収されないために殆ど加熱(発熱)されることがない。そのため、熱エネルギー変換層が形成されていない加工対象物の部位には、レーザー光が照射されても穿孔(局部的切断)が施されないものとなる。
すなわち、請求項1にかかる本願発明では、熱エネルギー変換層の部位と、熱エネルギー変換層の近傍で光エネルギーが熱エネルギーに変換されない部位とに連続してレーザー光が照射されるため、本願発明の背景となる従来技術と比べて、加工対象物の材質や厚み、ミシン目の態様、加工対象物の搬送速度に対応し得るように、レーザー発振器側において、レーザービームを断続照射するためのON/OFFの制御、レーザービームの照射条件および/または走査を制御する複雑な制御部(制御装置)などを必要とせず、極めて簡単に、より高い加工精度と作業操作性に優れた加工方法を提供することが可能となっている。
請求項2にかかる本願発明は、請求項1にかかる発明に従属する発明であって、加工対象物は、合成樹脂フィルムおよび/または用紙を含み、熱エネルギー変換層は、加工対象物の所定の部位に、赤外線吸収色素を含有したインクが塗布ないし印刷されて形成された線,文字,記号,図形等の形象部を含み、照射工程により、レーザー光が照射された熱エネルギー変換層の形象部の部位だけが穿孔されて、加工対象物の所定の部位に切断部が配設されることを特徴とする、加工方法である。
請求項2にかかる本願発明では、変換層形成工程により、合成樹脂フィルムおよび/または用紙の所定の部位に、熱エネルギー変換層として、赤外線吸収色素が含有されたインクを塗布ないし印刷して形成された線,文字,記号,図形等の形象部が配設される。照射工程により、形象部が形成された部位と、形象部が形成されていない部位とに連続してレーザー光が照射されると、レーザー光が照射された形象部の部位だけに光エネルギーが集中的に吸収される。つまり、レーザー光が照射された形象部の部位だけが局所的・選択的に且つ集中的に効率良く加熱(発熱)されることによって溶融、気化される。そのため、レーザー光が照射された形象部の部位には、たとえば線,文字,記号,図形の形態に対応した穿孔(局部的切断)が施される。この場合、合成樹脂フィルムおよび/または用紙の所定の部位に、当該線,文字,記号,図形の形態に対応した切断部が配設されることとなる。
請求項3にかかる本願発明は、請求項1にかかる発明に従属する発明であって、加工対象物は、シュリンク包装に適用されるシュリンクフィルムを含み、形象部は、シュリンクフィルムの所定の部位に、間隔を隔てて設けられるミシン目の切断部となる切断予定部とミシン目の非切断部となる非切断予定部とを有する、ミシン目パターン予定部を含み、熱エネルギー変換層は、切断予定部が赤外線吸収色素を含有したインキを印刷することで形成され、照射工程により、レーザー光が照射されたミシン目パターン予定部の切断予定部の部位だけが穿孔されて、シュリンクフィルムの所定の部位にミシン目が配設されることを特徴とする、加工方法である。
請求項3にかかる本願発明では、変換層形成工程により、シュリンクフィルムの所定の部位に、熱エネルギー変換層として、赤外線吸収色素が含有されたインクを印刷して形成されたミシン目パターン予定部が配設される。ミシン目パターン予定部は、シュリンクフィルムの所定の部位に、間隔を隔てて設けられるミシン目の切断部となる切断予定部とミシン目の非切断部となる非切断予定部とを有するものであり、当該切断予定部が赤外線吸収色素を含有したインクの印刷により形成されるものとなっている。照射工程により、ミシン目パターン予定部の切断予定部と非切断予定部とに連続してレーザー光が照射されると、当該レーザー光が照射された切断予定部だけに光エネルギーが集中的に吸収され、当該切断予定部の部位だけが局所的・選択的に且つ集中的に効率良く加熱(発熱)されることによって溶融、気化される。そのため、ミシン目パターン予定部の切断予定部の部位だけが穿孔されて、シュリンクフィルムの所定の部位にミシン目が配設される。
請求項4にかかる本願発明は、請求項1〜請求項3のいずれかにかかる加工方法に用いられる加工機であって、所定の位置に配置され、レーザー光を照射するレーザー装置と、レーザー装置の下方に配置され、加工対象物を所定の方向に搬送する搬送装置とを含み、搬送装置は、レーザー装置からのレーザー光が、加工対象物の熱エネルギー変換層の部位と熱エネルギーに変換されない部位とに連続して照射されるように、加工対象物を所定の搬送速度で搬送することを特徴とする、加工機である。
請求項4にかかる本願発明では、所定の位置に固定して配置されたレーザー装置がレーザー光を照射する。搬送装置は、レーザー装置の下方に配置され、加工対象物を所定の方向に搬送する。この場合、搬送装置は、レーザー装置からのレーザー光が、加工対象物の熱エネルギー変換層の部位と熱エネルギーに変換されない部位とに連続して照射されるように、加工対象物を所定の搬送速度で搬送する。そのため、加工対象物の所定の部位において、レーザー光が照射された熱エネルギー変換層の部位だけに光エネルギーが集中的に吸収される。すなわち、当該レーザー光が照射された熱エネルギー変換層の部位だけが局所的・選択的に且つ集中的に効率良く加熱(発熱)されることによって溶融、気化される。そのため、当該レーザー光が照射された熱エネルギー変換層の部位には穿孔(局部的切断)が施され、加工対象物の所定の部位に切断部が配設される。
【発明の効果】
【0011】
本願発明よれば、複雑な制御部を必要とせず、極めて簡単に、より高い安定した加工精度と作業操作性に優れた加工方法およびそれに用いられる加工機が得られる。
【0012】
本願発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための最良の形態の説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本願発明にかかる加工方法は、加工対象物の所定の部位に、光エネルギーを吸収して当該光エネルギーを熱エネルギーに変換する熱エネルギー変換層を形成する変換層形成工程、および、熱エネルギー変換層の部位と、熱エネルギー変換層の近傍で、光エネルギーが熱エネルギーに変換されない部位とに、連続してレーザー光を照射する照射工程によって、熱エネルギー変換層の部位だけに穿孔(局部的切断)を施すことで、複雑な制御部を必要とせず、極めて簡単に、より高い加工精度と作業操作性に優れた加工方法を提供するという目的を達成するものである。
【0014】
図1は、本願発明にかかる加工方法の基本的考えを示す断面図解図であって、変換層形成工程で加工対象物の所定の部位に形成された熱エネルギー変換層に、照射工程により当該熱エネルギー変換層に穿孔(局部的切断)が施されて切断部が配設された状態を示す断面図解図である。
本願発明にかかる発明者は、ポリスチレン(PS),ポリエチレンテレフタレート(PET)等の透明合成樹脂フィルムで形成された基材10(加工対象物)の表面に、光エネルギーを吸収して当該光エネルギーを熱エネルギーに変換する熱エネルギー変換層12を形成した後、基材10の熱エネルギー変換層12の部位と熱エネルギーに変換されない部位14とに連続してレーザー光LB(Laser Beam)が照射されるように、基材10(加工対象物)を所定の搬送速度で搬送させると、当該熱エネルギー変換層12の部位だけが集中的に効率良く加熱(発熱)されることにより溶融、気化されて当該熱エネルギー変換層12が設けられた部位の基材10に、切断部としての穿孔部(局部的切断部)16が配設されることを見出した。
【0015】
レーザー光は、レーザー発振器等のレーザー装置100により照射される。基材10は、たとえば無端環状の搬送ベルトないし搬送テーブル200を含む搬送装置(図示せず)によって、レーザー装置100の下方に搬送されるものとなっている。なお、基材10は、当該基材10をロール状に保持した保持ロール(図示せず)から所定の搬送速度で送り出されるようにした搬送装置(図示せず)によって、レーザー装置100の下方に搬送される構成としてもよい。
【0016】
本願発明にかかる発明者の実験によれば、光エネルギーを熱エネルギーに変換する熱エネルギー変換層12としては、赤外線を吸収する赤外線吸収材料、特に、黒色インキ等の赤外線吸収色素を含有するものが好ましいことを見出した。この場合、赤外線領域の内、特に、たとえば780nm〜3,000nmの範囲の吸収波長が好ましく、最も好ましい最大吸収波長は、900nmであることが判明した。そのため、レーザー装置100から照射されるレーザー光LBの波長としては、赤外線吸収材料の吸収波長780nm〜3,000nmの範囲が好ましく、上記した最大吸収波長を主要な発振波長とするレーザー光LBが最も好ましいことが判明した。また、レーザー装置100の出力としては、20W〜1,000Wの範囲が好ましく、レーザー装置100の下方に搬送される基材10(加工対象物)の搬送速度は、50mm/sec〜3,500mm/secの範囲が好ましいことが見出された。
【0017】
図2は、本願発明にかかる加工方法の実験例を示す平面図解図であって、図2の(A)は加工対象物の所定の部位に穿孔(局部的切断)を施す前の状態をマイクロスコープ(デジタル顕微鏡)で観察した平面図解図であり、図2の(B)は加工対象物の所定の部位に穿孔(局部的切断)を施した後の状態をマイクロスコープ(デジタル顕微鏡)で観察した平面図解図である。図2の(A),(B)は、それぞれ、マイクロスコープ(デジタル顕微鏡)を用いてたとえば50倍に拡大して観察した平面図解図である。
【0018】
本実験例では、先ず、ポリスチレン(PS),ポリエチレンテレフタレート(PET)等の透明合成樹脂フィルムで形成された厚みがたとえば0.03mmの基材20(加工対象物)の表面に、赤外線吸収色素を含有する赤外線吸収材料としての黒色インキにより、たとえば1mmの格子柄のパターンを印刷してなる印刷層22を形成した(変換層形成工程)。すなわち、当該印刷層22は、光エネルギーを熱エネルギーに変換する熱エネルギー変換層としての機能を有するものとなる。この場合、基材20の表面の印刷層22が施されていない部位24は、熱エネルギー変換層の機能を有しない部位となっている。また、この印刷層22は、格子柄のパターンを備えた形象部としての機能も有するものである。
次に、その表面に印刷層22を形成した基材20は、搬送装置(たとえばソニー株式会社製のX−Y走査テーブル、図示せず)のテーブル(図示せず)上に保持される。
【0019】
一方、所定の位置にレーザー装置(たとえば浜松ホトニクス株式会社製の半導体レーザー加熱装置:図示せず)が配置される。このレーザー装置の仕様では、レーザー光の発振波長が940nm、最大出力が150W、集光スポット径が1.6mmとなっている。
そして、当該レーザー装置の下方に、搬送装置によって基材20をたとえば20mm/secの搬送速度で搬送させた。基材20の印刷層22の部位(熱エネルギー変換層)と印刷層22が施されていない部位24(熱エネルギーに変換されない部位)とに、レーザー装置からのレーザー光LBの集光スポット26が連続して照射されるように、基材20を搬送させた。この場合、当該レーザー装置の出力は、2W〜100Wの範囲で種々の出力によりレーザー光LBを照射するようにした(照射工程)。
その結果、当該レーザー装置の出力が6W〜15Wの範囲で、基材20には、特に、図2の(B)に示すように、印刷層22が形成された当該基材20の部位だけに、穿孔部(局部的切断部)28を形成できることが判明した。
【0020】
なお、その表面に格子柄のパターンが印刷されていない基材20に対して、当該レーザー装置からのレーザー光LBを最大出力(150W)で照射した場合、当該基材20表面に穿孔部(局部的切断部)は設けられず、何らのダメージも発生しないことが確認された。また、印刷層22を藍色のインキにより印刷形成した基材20を用いて上述の実験例と同様の実験をした場合には、当該藍色のインキにより印刷層22を形成した基材20に穿孔部(局部的切断部)28を形成することはできなかった。
【0021】
図3は、本願発明にかかる加工方法の他の実験例を示す平面図解図であって、図3の(A)は加工対象物の所定の部位に穿孔(局部的切断)を施す前の状態をマイクロスコープ(デジタル顕微鏡)で観察した平面図解図であり、図3の(B)は加工対象物の所定の部位に穿孔(局部的切断)を施した後の状態をマイクロスコープ(デジタル顕微鏡)で観察した平面図解図である。図3の(A),(B)は、それぞれ、マイクロスコープ(デジタル顕微鏡)を用いてたとえば50倍に拡大して観察した平面図解図である。
本実験例では、上述した実験例と比べて、特に、基材に照射されるレーザー光LBの数および集光スポットの集光スポット径が相違している。
【0022】
図2に示す実験例では、照射されるレーザー光LBの数が1つであり、平面視円形の集光スポット26の集光スポット径(φ)が、印刷層22の幅1mmよりも大きい1.6mmとなっている。そのため、レーザー光LBの照射によって基材20に配設される穿孔部(局部的切断部)28は、たとえば平面視十字形のパターンが基材20の搬送方向に沿って1列に連続的に配列された態様となっている。それに対して、図3に示す実験例では、照射されるレーザー光LBの数が2つであり、平面視円形の2つの集光スポット36の集光スポット径(φ)が、印刷層32の幅1mmよりも小さい0.8mmとなっている。そのため、レーザー光LBの照射によって基材30に配設される穿孔部(局部的切断部)38は、平面視円形のパターンが基材30の搬送方向に沿って、且つ、搬送方向と直交する方向に所定の間隔を隔てて、2列に断続的に配列された態様となっている。
【0023】
すなわち、加工対象物に照射されるレーザー光LBの数、集光スポットの平面視形状、集光スポットの大きさ、熱エネルギー変換層のパターン形状等によって、加工対象物の所定の部位に配設される穿孔部(局所的切断部)の数、配列および平面視形状等の態様が種々変更され得るものとなっている。
【0024】
図4は、本願発明にかかる実施形態の一例を示す斜視図解図である。また、図5は、図4に示す実施形態例の要部を示す平面図解図であり、図6は、図4に示す実施形態例の他の要部を示す断面図解図である。さらに、図7は、図4に示す実施形態例の加工方法により加工された加工対象物の使用例を示す斜視図解図である。本実施形態例にかかる加工方法は、PETボトル等のプラスチックボトル、ガラス瓶、缶等の容器、コンビニエンスストア等の店頭で陳列・販売されるインスタント食品、弁当、各種食品の容器、その他、各種物品のシュリンク包装に適用されるシュリンクフィルムの所定の部位に、切り取り線となるミシン目を形成するのに用いられて好適な加工方法である。この切り取り線は、シュリンク包装された各種物品を廃棄処分する場合に、当該物品とシュリンクフィルムとを分別回収を容易にするためのものである。
【0025】
本実施形態例にかかる加工方法では、先ず、PETボトル等のプラスチックボトルのシュリンク包装に適用される、ポリエステル、ポリスチレン(PS),ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱収縮性を有するシュリンクフィルム40が、加工対象物として準備される。シュリンクフィルム40は、所定の方向に延伸された長尺帯状のフィルム基材40Aを扁平チューブに成形したものである。この場合、シュリンクフィルム40は、縦若しくは横方向だけ又は縦横2方向に延伸されたものが、使用用途に応じて、適宜、用いられ得る。
【0026】
シュリンクフィルム40の所定の部位には、変換層形成工程によって、光エネルギーを吸収して当該光エネルギーを熱エネルギーに変換する熱エネルギー変換層が形成される。すなわち、このシュリンクフィルム40の上面には、図5に示すように、当該シュリンクフィルム40の幅方向の中間部の所定の部位に、赤外線吸収色素を含有する赤外線吸収材料としての黒色インキを印刷することによって、ミシン目64,66(図4参照)となるたとえば2本のミシン目パターン予定部42,44が形成される。[変換層形成工程]
【0027】
ミシン目パターン予定部42,44は、それぞれ、間隔を隔てて設けられるミシン目64,66の切断部となる切断予定部42a,44aと、ミシン目64,66の非切断部となる非切断予定部42b,44bとで構成されている。この場合、ミシン目パターン予定部42,44の切断予定部42a,44aが、赤外線吸収色素を含有した黒色インキで印刷され、熱エネルギー変換層として形成されている。
また、このシュリンクフィルム40の上面には、赤外線吸収色素を含有していない緑色等の着色インキで印刷された印刷部46および他の印刷部48が表示部として形成されている。なお、印刷部46は、たとえば「お茶」の文字を表示し、印刷部48は、シュリンクフィルム40をPETボトル等のプラスチックボトルWにシュリンク包装した際に、切り取り線72,74の位置を表示する表示部としての役割を担うものである(図7参照)。
【0028】
そして、ミシン目パターン予定部42,44が形成されたシュリンクフィルム40は、図4に示すように、保持ロール50に保持される。
一方、たとえば2つのレーザー装置100,120が、所定の間隔を隔てて、所定の位置に固定した状態で配備される。レーザー装置100,120から照射されるレーザー光LBの波長としては、赤外線吸収材料の吸収波長が780nm〜3,000nmの範囲に設定され、特に、最大吸収波長900nmを主要な発振波長としている。
【0029】
また、保持ロール50に保持されたシュリンクフィルム40は、たとえばフィードローラ,吸引ローラ,テンションローラ,巻き取りローラ等を含む搬送装置(図示せず)によって、当該保持ロール50から引き出され、図4に示すように、2つのレーザー装置100,120の下方を通過するように所定の搬送速度で搬送される。この場合、シュリンクフィルム40は、2つのレーザー装置100および120からのレーザー光LBのたとえば平面視円形の集光スポットSが、それぞれ、搬送されてくるシュリンクフィルム40のミシン目パターン予定部42および44に照射されるように、当該シュリンクフィルム40が2つのレーザー装置100,120の下方を通過するように搬送される。[搬送工程]
【0030】
したがって、2つのレーザー装置100,120からレーザー光LBを下方に向けて照射させながら、搬送装置(図示せず)によってシュリンクフィルム40を2つのレーザー装置100,120の下方に通過させると、一方のレーザー装置100からのレーザー光LBは、ミシン目パターン予定部42の切断予定部42aと非切断予定部42bとに連続してレーザー光LBが照射されると同時に、他方のレーザー装置120からのレーザー光LBは、ミシン目パターン予定部44の切断予定部44aと非切断予定部44bとに連続してレーザー光LBが照射されるものとなる。[照射工程]
この場合、2つのレーザー装置100,120から照射されたレーザー光LBの集光スポットSは、1つの切断予定部42a,44aが当該集光スポットSのエリア内(スポット径内)に収まるように、集光スポットSのスポット径が設定されている。
【0031】
このとき、当該レーザー光LBが照射されたミシン目パターン予定部42,44の切断予定部42a,44aだけに光エネルギー(赤外線)が集中的に吸収され、当該切断予定部42a,44aの部位だけが局所的・選択的に且つ集中的に効率良く加熱(発熱)される。そのため、ミシン目パターン予定部42,44の切断予定部42a,44aの部位を有するシュリンフィルム40の基材40Aは、溶融、気化されて、図6に示すように、穿孔されて、ミシン目64,66の切断部となる穿孔部(局所的切断部)60が設けられる。この場合、シュリンクフィルム40は、プラスチックをガラス転移点以上融点以下で、所定の延伸方向に延伸して分子配向を与え、再加熱によって収縮する特性を付与したフィルムであるため、赤外線吸収色素を含有した黒色インキが印刷された部位、すなわち、ミシン目パターン予定部42,44の切断予定部42a,44aにレーザー光LBが照射されて当該切断予定部42a,44aが集中的に加熱(発熱)される。このとき、当該切断予定部42a,44aの周縁部もある程度加熱されるので、当該切断予定部42a,44aの周縁部のシュリンクフィルム40の部位には、当該シュリンクフィルム40の熱収縮によって、所定の延伸方向に収縮力が作用する。そのため、本実施形態例のように加工対象物がシュリンクフィルムの場合、熱収縮性を有しないプラスチックフィルムに比べて、穿孔部(局所的切断部)60をより一層効果的に設けることができる。
【0032】
一方、ミシン目パターン予定部42,44の非切断予定部42b,44bには、赤外線吸収色素を含有した黒色インキで印刷されてなる熱エネルギー変換層が形成されていないため、当該非切断予定部42b,44bにレーザー光LBが照射されても、光エネルギー(赤外線)が殆ど吸収されないために殆ど加熱(発熱)されることがない。したがって、熱エネルギー変換層が形成されていない非切断予定部42b,44bの部位には、図6に示すように、レーザー光LBが照射されても穿孔部(局部的切断部)60が設けられず、ミシン目64,66の非切断部62となる。
【0033】
すなわち、上述したように、搬送装置(図示せず)によるシュリンクフィルム40の搬送工程と、2つのレーザー装置100,120によるレーザー光LBの照射工程との協働作用によって、シュリンクフィルム40の所定の部位には、ミシン目64,66が配設されるものとなる。
【0034】
ミシン目64,66が設けられたシュリンクフィルム40は、図4に示すように、当該シュリンクフィルム40の搬送方向に所定の間隔を隔てた切断線CL−CL(Cut Line)の位置で、当該シュリンクフィルム40を所定の長さに切断されることによって、所定の長さを有する扁平筒状のシュリンク包装材70として形成される。
そして、当該シュリンク包装材70は、シュリンク包装機(図示せず)等に装着されて、たとえば図7に示すように、PETボトル等のプラスチックボトルWの胴部にシュリンク包装される。この場合、シュリンク包装材70に配設されたミシン目64,66の切断部となる穿孔部(局所的切断部)60は、シュリンク包装する際の熱収縮反応による熱変形によって、若干拡大して丸孔状に変形し、それぞれ、切り取り線72,74として構成される。
【0035】
本実施形態例にかかる加工方法では、従来技術と比べて、加工対象物の材質や厚み、ミシン目の態様、また、加工対象物の搬送速度に対応し得るように、レーザー発振器側において、レーザービームを断続照射するためのON/OFFの制御、レーザービームの照射条件および/または走査を制御する複雑な制御部(制御装置)などを必要とせず、2つのレーザー装置100,120からのレーザー光LBの集光スポットSが、それぞれ、搬送されてくるシュリンクフィルム40のミシン目パターン予定部42,44の切断予定部44aと非切断予定部44bとに連続してレーザー光LBが照射に照射されるように、当該シュリンクフィルム40を2つのレーザー装置100,120の下方に通過させるだけで、極めて簡単に当該切断予定部44aだけを選択的に穿孔することができる。この場合、従来技術のように、レーザー光の照射タイミングのズレが生じて、加工精度にバラツキが発生する等の恐れを回避することができ、安定したミシン目を形成することができる。すなわち、本実施形態例にかかるミシン目の加工方法では、極めて簡単に、より高い加工精度と作業操作性に優れたミシン目64,66をシュリンクフィルム40の所定の部位に形成することができる。
【0036】
図4〜図7で示した実施形態例では、ミシン目パターン予定部42,44の切断予定部44aが平面視矩形状に形成され、非切断予定部44bとの間隔も一定した配列となっているが、当該ミシン目パターン予定部42,44の切断予定部44aの平面視形状および非切断予定部44bとの間隔はこれに限定されるものではなく、切断予定部は、図8に示すように、たとえば縦長長円状の1つの切断予定部76と平面視円形のたとえば2つの切断予定部78とが交互に所定の間隔を隔てて配列されるようにしてもよい。そして、シュリンクフィルム40を2つのレーザー装置100,120の下方に通過させるだけで、極めて簡単に当該切断予定部76,78だけを選択的に穿孔して穿孔部(局所的切断部)80を形成することができる。この場合、レーザー光LBの集光スポットSは、図8(A)に示すように、平面視縦長長円状に形成され、1つの切断予定部76,78が当該集光スポットSのエリア内(スポット径内)に収まるものとなっている。
また、図4〜図7で示した実施形態例では、2本のミシン目64,66を形成したが、ミシン目としては、ミシン目64,66の内、どちらが一方のミシン目だけ形成するようにしても良い。
【0037】
さらに、図4〜図7で示した実施形態例では、加工対象物(シュリンフィルム40)の所定の部位に、ミシン目64,66を形成するために、ミシン目パターン予定部42,44の切断予定部44aを熱エネルギー変換層として形成したが、本願発明にかかる加工方法では、図9に示すように、加工対象物90に設けられる熱エネルギー変換層が、A,B,C,X,Y,Z等の文字92、○,△,□,●,▲,■等の図形94、〜(波形),逆V形等の記号96、あるいは、その他の種々の態様の形象部を示すものであってもよい。そして、当該形象部を示す熱エネルギー変換層が形成された加工対象物90を2つのレーザー装置100,120の下方に通過させるだけで、極めて簡単に当該形象部に対応する穿孔部(局所的切断部)98を形成することができる。この場合、レーザー光LBの集光スポット(図示せず)は、1つの形象部が当該集光スポットのエリア内(スポット径内)に収まるような形状,大きさに設定されていればよく、当該形象部の態様に応じて、種々の平面視形状,大きさのものが採用され得る。
【0038】
なお、本願発明にかかる加工方法では、レーザー光LBとしては、炭酸ガスレーザー、アルゴンレーザー、半導体レーザ、ヘリウム・ネオンレーザ、ヨウ素レーザ、YAGレーザー等が適用され得る。
また、赤外線吸収材料としては、発熱効率のよい、780nm〜3,000nmの波長を吸収するものが最も好ましものであり、例えば、フタロシアニン系色素、トリアリルメタン系色素、ナフトキノン系色素、ポリメチン系色素、(ジ)インモニウム系色素、ミアニン色素、チオニールニッケル錯体、スクアリウム色素等が好ましい。
また、この赤外線吸収材料を加工対象物の表面に定着させるためのバインダ成分としては、溶剤型、紫外線硬化型、酸化重合乾燥型等、種々のオーバープリントワニスが採用され得るもので、それ以外にも、ポリビニルアルコール等の水性バインダも適用可能である。このようにして得られた赤外線吸収材料は、一般的な印刷手段、印刷方式をもって、加工対象物の表面に印刷されて熱エネルギー変換層が形成され得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本願発明にかかる加工方法の基本的考えを示す断面図解図であって、変換層形成工程で加工対象物の所定の部位に形成された熱エネルギー変換層に、照射工程により当該熱エネルギー変換層に穿孔(局部的切断)が施されて切断部が配設された状態を示す断面図解図である。
【図2】本願発明にかかる加工方法の実験例を示す平面図解図であって、図2の(A)は加工対象物の所定の部位に穿孔(局部的切断)を施す前の状態をマイクロスコープ(デジタル顕微鏡)で観察した平面図解図であり、図2の(B)は加工対象物の所定の部位に穿孔(局部的切断)を施した後の状態をマイクロスコープ(デジタル顕微鏡)で観察した平面図解図である。
【図3】本願発明にかかる加工方法の他の実験例を示す平面図解図であって、図3の(A)は加工対象物の所定の部位に穿孔(局部的切断)を施す前の状態をマイクロスコープ(デジタル顕微鏡)で観察した平面図解図であり、図3の(B)は加工対象物の所定の部位に穿孔(局部的切断)を施した後の状態をマイクロスコープ(デジタル顕微鏡)で観察した平面図解図である。
【図4】本願発明にかかる実施形態の一例を示す斜視図解図である。
【図5】図4に示す実施形態例の要部を示す平面図解図である。
【図6】図4に示す実施形態例の他の要部を示す断面図解図である。
【図7】図4に示す実施形態例の加工方法により加工された加工対象物の使用例を示す斜視図解図である。
【図8】本願発明にかかる実施形態の他の例を示す平面図解図であって、図8の(A)は加工対象物の所定の部位に穿孔(局部的切断)を施す前の状態を示す要部平面図解図であり、図8の(B)は加工対象物の所定の部位に穿孔(局部的切断)を施した後の状態を示す要部平面図解図である。
【図9】本願発明にかかる加工方法により加工対象物の所定の部位に穿孔(局部的切断)を施すことで設けられ得る切断部の各種態様(形態)例を示す平面図解図であって、図9の(A)は、変換層形成工程によって、熱エネルギー変換層として形成される形象部の各種態様(形態)例を示す平面図解図であり、図9の(B)は、照射工程によって、当該熱エネルギー変換層に穿孔(局部的切断)を施した後の状態を示す平面図解図である。
【符号の説明】
【0040】
10,20,30 基材
12 熱エネルギー変換層
14 熱エネルギーに変換されない部位
16,28,38,60,98 穿孔部(局所的切断部)
22,32 印刷層
24,34 印刷層が施されていない層
26,36 集光スポット
40 シュリンクフィルム
40A フィルム基材
42,44 ミシン目パターン予定部
42a,44a,76,78 切断予定部
42b,44b 非切断予定部
46 印刷部
48 他の印刷部
50 保持ロール
62 非切断部
64,66 ミシン目
70 シュリンク包装材
72,74 切り取り線
92 文字
94 図形
96 記号
100,120 レーザー装置
200 搬送テーブル
LB レーザー光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂材料および/または紙材料からなるフィルム状ないしシート状の加工対象物の所定部位にレーザー光を照射することにより、当該加工対象物の所定の部位を所定形状に穿孔してなる切断部を配設する加工方法であって、
前記加工対象物の所定の部位に、光エネルギーを吸収して当該光エネルギーを熱エネルギーに変換する熱エネルギー変換層を形成する変換層形成工程、および
前記熱エネルギー変換層の部位と、前記熱エネルギー変換層の近傍で、光エネルギーが熱エネルギーに変換されない部位とに、連続して前記レーザー光を照射する照射工程を含み、
前記照射工程により、前記レーザー光が照射された前記熱エネルギー変換層を有する前記加工対象物の部位だけが穿孔されて、前記加工対象物の所定の部位に前記切断部が配設されることを特徴とする、加工方法。
【請求項2】
前記加工対象物は、合成樹脂フィルムおよび/または用紙を含み、
前記熱エネルギー変換層は、前記加工対象物の所定の部位に、赤外線吸収色素を含有したインクが塗布ないし印刷されて形成された線,文字,記号,図形等の形象部を含み、
前記照射工程により、前記レーザー光が照射された前記熱エネルギー変換層の前記形象部の部位だけが穿孔されて、前記加工対象物の所定の部位に前記切断部が配設されることを特徴とする、請求項1に記載の加工方法。
【請求項3】
前記加工対象物は、シュリンク包装に適用されるシュリンクフィルムを含み、
前記形象部は、前記シュリンクフィルムの所定の部位に、間隔を隔てて設けられるミシン目の切断部となる切断予定部とミシン目の非切断部となる非切断予定部とを有する、ミシン目パターン予定部を含み、
前記熱エネルギー変換層は、前記切断予定部が赤外線吸収色素を含有したインキを印刷することで形成され、
前記照射工程により、前記レーザー光が照射された前記ミシン目パターン予定部の前記切断予定部の部位だけが穿孔されて、前記シュリンクフィルムの所定の部位にミシン目が配設されることを特徴とする、請求項1に記載の加工方法。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の加工方法に用いられる加工機であって、
所定の位置に配置され、レーザー光を照射するレーザー装置、および
前記レーザー装置の下方に配置され、前記加工対象物を所定の方向に搬送する搬送装置を含み、
前記搬送装置は、前記レーザー装置からのレーザー光が、前記加工対象物の前記熱エネルギー変換層の部位と前記熱エネルギーに変換されない部位とに連続して照射されるように、前記加工対象物を所定の搬送速度で搬送することを特徴とする、加工機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−36197(P2010−36197A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−199124(P2008−199124)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(300032949)日新シール工業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】