説明

加熱機能を備えたコンベア

【目的】ワーク基板を加熱しながら移送する加熱機能付きコンベアにおいて、ワーク基板の縦横サイズの変更に対応するための加熱機能付きコンベアの縦横サイズの変更を極めて柔軟に且つ低コストで行うことができ、移送中のワーク基板に対してワーク基板全体を均一に加熱することができる、加熱機能を備えたコンベアを提供する。
【構成】ワーク基板の移動方向に延びる支持フレームと、アルミ押出材が所望の長さで切断されて成る切断済み押出材と、前記複数個の各切断済み押出材の間にそれぞれ配置され、前記ワーク基板の下面に接触して前記ワーク基板を移動させるための回転体とを備えており、前記各切断済み押出材には、その内部の空洞部内に、その長手方向と平行な方向に延びる筒状パイプであって棒状ヒーターが挿入可能な一つ又は複数の筒状パイプが一体に形成されているねことを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置や有機EL表示装置などに使用されるガラス製又は樹脂製のワーク基板を加熱しながら移送するための、加熱機能を備えたコンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、テレビやパソコン用のディスプレイに使用されるガラス製又は樹脂製のワーク基板を移送するためのコンベアが利用されている。例えば、特許文献1は、ガラス製などの大型のワーク基板の下方にワーク基板を乾燥や焼成などの目的で加熱するためのヒーターなどを含む下加熱板を配置し、この下加熱板の側方に前記ワーク基板を移送するためのローラを備えた加熱乾燥装置を開示している。なお、この特許文献1の装置においては、前記ワーク基板の上方にも上加熱板を配置しているので、この特許文献1の装置によれば、ワーク基板を移送しながら、同時にワーク基板の上下両面を加熱することができるようになっている。特許文献2もほぼ同様である。
【特許文献1】特開平7−225080号公報
【特許文献2】特開平11−152575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1などに示す従来のワーク基板を加熱しながら移送する装置においては、前記下加熱板をヒーターで加熱された一個の金属板により構成し、この加熱された1個の金属板から放射される熱によりワーク基板を加熱するようにしていたので、技術革新などに伴ってワーク基板の縦横サイズが変更されたときは、その度に、前記のサイズが変更されたワーク基板に対応する縦横サイズの1個の金属板を別個に新しく製造する必要があった。そして、その場合は、前述のような金属板は縦横サイズが異なる毎に新規に特注する必要があったため、全体として加熱機能付きコンベアの製造コストが高くなってしまう、という問題があった。
【0004】
また、前記の従来の加熱機能付きコンベアにおいては、前述のように下加熱板を1個の金属板により構成していたため、前記1個の金属板をヒーターなどで加熱するとき、その金属板に反りや撓みなどの変形が生じてしまい、その結果、ワーク基板全体への均一な加熱が難しくなってしまう、という問題があった。
【0005】
また、前記の従来の加熱機能付きコンベアにおいては、前述のように下加熱板を1個の金属板により構成していたため、下加熱板の重量が大きくなってしまうので、加熱機能付きコンベアの設置などの際に作業者に大きな負担を掛けてしまう、という問題があった。
【0006】
また、前記の従来の加熱機能付きコンベアにおいては、前述のように下加熱板を1個の金属板により構成していたため、前記1個の金属板を加熱するために多くの熱量を必要とし、ヒーターの駆動電力が多量に消費されてしまう、という問題があった。
【0007】
本発明はこのような従来技術の問題点に着目してなされたものであって、ワーク基板を乾燥や熱処理などのために加熱しながら移送する加熱機能付きコンベアにおいて、ワーク基板の縦横サイズの変更に対応するための加熱機能付きコンベアの縦横サイズの変更を、極めて柔軟に且つ低コストで行うことができ、移送中のワーク基板に対してその全体を均一に加熱することができ、前記加熱機能付きコンベア全体の重量を軽量化して作業者の負担を軽減することができ、前記加熱機能付きコンベア全体の消費電力を節減することができる、加熱機能を備えたコンベアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上のような課題を解決するための本発明による加熱機能を備えたコンベアは、ガラス製又は樹脂製のワーク基板(ロール状基板を含む)を所定の移動方向に移動させるためのコンベアであって、前記移動方向と平行に延びる支持フレームと、アルミ押出材が所定の長さで切断されて成り、前記切断された各切断面が略長方形状の外側枠体を含んでおり、その内部が空洞となっている、複数個の切断済み押出材であって、それぞれの長手方向が前記移動方向と直交するように且つそれぞれが互いに所定の間隔を介するように前記支持フレームの上に配置されている、複数個の切断済み押出材と、前記各切断済み押出材の間にそれぞれ配置され、前記切断済み押出材の上方に位置する前記ワーク基板の下面に接触して前記ワーク基板を移動させるための回転体と、を備えた加熱機能を備えたコンベアであって、前記各切断済み押出材の各空洞部内には、前記各切断済み押出材の長手方向と平行な方向に延びる一つ又は複数の筒状パイプが一体に形成されており、前記各筒状パイプの少なくとも一つの中には、棒状ヒーターなどの全体が細長い形状の細長ヒーターが挿入されており、前記各筒状パイプと前記外側枠体との間には、前記細長ヒーターからの熱を前記外側枠体に伝えるための帯状接続部が一体に形成されている、ことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明による加熱機能を備えたコンベアにおいては、前記各切断済み押出材の外側枠体の前記切断面から見て左右の各側板部の途中部分に、それぞれ前記各切断済み押出材の長手方向と平行に延びる筒状パイプが一体に形成されている、ことが望ましい。
【0010】
また、本発明による加熱機能を備えたコンベアにおいては、前記各回転体は、前記移動方向と直交する方向に延びる回転軸とこの回転軸の複数箇所に突設されているローラとを備えており、前記各切断済み押出材の間の隙間の前記ワーク基板と対向する側(上側)には、前記隙間であって前記ローラが突出している部分を除く隙間の上方を塞ぐための上カバーが備えられており、前記各切断済み押出材の外側枠体の前記切断面から見て左右の各上端部には、前記各切断済み押出材の長手方向と直交する方向に突出し且つ前記各切断済み押出材の長手方向と平行に延びる上カバー支持用突出片であって前記上カバーの一端を載置するための上カバー支持用突出片が一体に形成されている、ことが望ましい。
【0011】
また、本発明による加熱機能を備えたコンベアにおいては、前記各切断済み押出材の間の隙間の前記ワーク基板と反対の側(下側)には、前記隙間の下方を塞ぐための断面略円弧状の下カバーが備えられており、前記各切断済み押出材の外側枠体の前記切断面から見て左右の各下端部には、前記各切断済み押出材の長手方向と直交する方向に突出し且つ前記各切断済み押出材の長手方向と平行に延びる下カバー支持用突出片であって前記下カバーの一端を載置するための下カバー支持用突出片が一体に形成されている、ことが望ましい。
【0012】
さらに、本発明による加熱機能を備えたコンベアにおいては、前記各切断済み押出材の各切断面には、前記各切断面の開口部を塞ぐための切断面用カバーが取り付けられている、ことが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、従来より一般的に極めて安価に製造されているアルミ押出材が所望の長さで切断されて成る切断済み押出材と、各切断済み押出材の間にそれぞれ配置された回転体と、により加熱機能付きコンベアを構成している。よって、本発明によれば、ワーク基板の縦横サイズが技術革新などにより変更する必要が生じたために加熱機能付きコンベアの縦横サイズも変更する必要が生じた場合でも、「前述のようなアルミ押出材を切断して前記切断済み押出板を形成するときの前記切断する長さを変更すると共にこのようにして切断されて成る切断済み押出板の個数を増減する」という極めて低コストの部品調達や作業を行うだけで、加熱機能付きコンベアの縦横サイズの変更を行うことができる(従来より前記アミ押出材は極めて低コストで製造でき前記切断作業なども極めて低コストで行うことができる)。よって、本発明によれば、ワーク基板の縦横サイズが変更された場合にそれに対応するための前記加熱機能付きコンベアの縦横サイズの変更を、極めて柔軟に且つ低コストで行うことができるようになる。
【0014】
また、本発明においては、加熱機能付きコンベアを、「アルミ押出材が所望の長さで切断されて成る切断済み押出材を、複数個、所定の間隔を介して並べること」により構成し、前記細長ヒーターにより前記各切断済み押出板を加熱するようにしているので、従来のようにワーク基板の加熱機構を1個の金属板により構成する場合と異なって、加熱機構全体が熱によって反りや撓みなどの変形が生じてしまうことが抑制されるので、加熱機能付きコンベアに対向しているワーク基板の全体を均一に加熱することができる。
【0015】
特に、本発明においては、前記細長ヒーターの熱は前記帯状接続部を介して前記外側枠体の上側に伝熱されて前記外側枠体の上面全体から熱が放射されて前記ワーク基板を面状に加熱するので、前記細長ヒーターにより直接ワーク基板を加熱する場合(この場合はワーク基板の中の前記細長ヒーターに対向する線状部分だけが他の部分より強く加熱されてしまうので加熱にムラが生じてしまう)と比較して、ワーク基板全体をより均一に加熱できるようになる。
【0016】
また、本発明において、前記各切断済み押出材の空洞部内に一つ又は複数の前記筒状パイプを一体に形成すると共に、前記各切断済み押出材の外側枠体の左右の各側板部の途中部分に前記筒状パイプを一体に形成したときは、少なくとも3本以上の細長ヒーターを内部に含ませて前記外側枠体の上面から面状に且つ効率的に前記ワーク基板を加熱することができる。また、このように前記左右の各側板部の途中部分に前記筒状パイプを形成するときは、前記各側板部を介して前記細長ヒーターの熱が前記外側枠体の上面に伝導されるので、いちいち帯状の接続部を形成する必要がなく製造コストを低減できる。
【0017】
また、本発明において、前記各切断済み押出材の外側枠体の左右各上端部に上カバー支持用突出片を一体に形成し、この上カバー支持用突出片を利用して、前記各切断済み押出材の間の隙間の前記ワーク基板に対向する側(上側)に、前記隙間(前記の突出しているローラの部分を除く隙間)の上方を塞ぐための上カバーを備えるようにしたときは、前記細長ヒーターからの熱が前記隙間から逃げることを防止できるので、前記ワーク基板への加熱がより効率的に行えるようになる。
【0018】
また、本発明において、前記各切断済み押出材の外側枠体の左右各下端部に下カバー支持用突出片を一体に形成し、この下カバー支持用突出片を利用して、前記各切断済み押出材の間の隙間の前記ワーク基板と反対側(下側)に、前記隙間の下方を塞ぐための下カバーを備えるようにしたときは、前記細長ヒーターからの熱が前記隙間から逃げることを防止できるので、前記ワーク基板への加熱がより効率的に行えるようになる。
【0019】
また、本発明において、前記各切断済み押出材の前記各切断面に切断面用カバーを取り付けるようにしたときは、前記細長ヒーターからの熱が前記切断面の開口部から逃げることを防止できるので、前記ワーク基板への加熱がより効率的に行えるようになる。
【0020】
また、本発明においては、加熱機能付きコンベアを、「アルミ押出材が所望の長さで切断されて成る切断済み押出材を、複数個、所定の間隔を介して並べること」により構成しているので、加熱機能付きコンベアの全体を軽量化することができ、コンベア設置時の作業員の負担を軽減させることができる。
【0021】
さらに、本発明においては、加熱機能付きコンベアを、「アルミ押出材が所望の長さで切断されて成る切断済み押出材を、複数個、所定の間隔を介して並べること」により構成しているので、加熱機能付きコンベアを構成する前記切断済み押出材を加熱するために必要な熱量を低減でき、加熱機能付きコンベアによる加熱のための消費電力を節減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明を実施するための最良の形態は、以下の実施例1について述べるような形態である。
【実施例1】
【0023】
以下、本発明の実施例1による加熱機能付きコンベアを説明する。図1(a)は本実施例1を構成する部品の一つである切断済み押出材の切断面を示す正面図、図1(b)は前記切断済み押出材の斜視図である。図1において、1は切断済み押出材を示している。この切断済み押出材1は、断面が略長方形状に形成され内部が空洞になっているアルミ押出材(長手方向の両端が開口された細長い箱状体)が、所定の長さ(例えば約6mなど)で切断されて成るものである。また図1において、2は前記切断済み押出材1の内部の空洞部、3は前記切断済み押出材1の図示上側の面を構成する上板部であってワーク基板(図示せず)との対向面を構成する上板部、4は前記切断済み押出材1の図示下側の面を構成する下板部、5は前記切断済み押出材1の図示右側及び左側の側部をそれぞれ構成する側板部、6は前記空洞部2内に前記切断済み押出材1の長手方向と平行に延びるように一体的に形成された筒状パイプ、7は前記筒状パイプ6の図示上側部分と前記上板部3とを接続するために前記切断済み押出材1の長手方向と平行に延びるように帯状に形成された上側接続部、8は前記筒状パイプ6の図示下側部分と前記下板部4とを接続するために前記切断済み押出材1の長手方向と平行に延びるように帯状に形成された下側接続部、9は前記切断済み押出材1の図示左右の各側板部5の途中部分に一体的に形成された筒状パイプ、10は前記切断済み押出材1の図示左右各下端部にそれぞれ一体的に形成され後述の下カバーを支持するための下カバー支持用の下側突出片、11は前記切断済み押出材1の図示左右各上端部にそれぞれ一体的に形成され後述の上カバーを支持するための上カバー支持用の上側突出片、である。
【0024】
本実施例1では、前記各切断済み押出材1と一体に形成されている前記の計3つの筒状パイプ6,9の中の一つ又は複数の中に、棒状ヒーター(図示せず)が挿入されている。本実施例1では、前記3つの筒状パイプ6,9の中の中央の筒状パイプ6のみに棒状ヒーターを挿入するようにしてもよいし、前記3つの筒状パイプ6,9の中の2つに又は3つ全てに棒状ヒーターを挿入するようにしてもよい。
【0025】
また、本実施例1では、図2に示すように、ワーク基板の移動方向(矢印P参照)と平行に延びるように配置された支持フレーム20の上に、複数の前記切断済み押出材1を前記移動方向Pと直交する方向に、互いに所定間隔を介して並べている。また、前記各切断済み押出材1の間には後述のローラ(後述)が配置される。
【0026】
図3は、複数の前記切断済み押出材1とローラとを使用した本実施例1による加熱機能付きコンベアの一部を示す部分正面図、図4は同部分平面図である。なお、図3,図4においては、図2の支持フレームは図示を省略している。
【0027】
本実施例1においては、図3に示すように、各切断済み押出材1の間に図示しないモーターにより駆動される回転軸21とこの回転軸21の複数箇所に突設・固定されたローラ22が配置されている。前記ローラ22は、図3に示すように、前記切断済み押出材1の上面よりも所定距離だけ上方(ワーク基板Wに近づく方向)に突出するように配置されている。
【0028】
また、本実施例1においては、図4に示すように、前記切断済み押出材1の間の隙間(空間)の上方(ワーク基板Wの側)であって前記ローラ22が突出していない部分の隙間の上方を塞ぐための例えば金属製の板状の上カバー(蓋)23が配置されている。この上カバー23は、図3に示すように、その両端部がそれぞれ前記切断済み押出材1の前記上側突出片11上に載置・支持されることにより、前述のように配置されている。前記上カバー23は、前記棒状ヒーターからの熱が前記隙間から逃げないようにして前記ワーク基板Wへの加熱効率を向上させるために設置されている。
【0029】
また、本実施例1においては、図3に示すように、前記切断済み押出材1の間の隙間(空間)の下方(ワーク基板Wと反対の側)を塞ぐための例えば金属製の断面略円弧状の下カバー24が配置されている。この下カバー24は、図3に示すように、その両端部がそれぞれ前記切断済み押出材1の前記下側突出片10上に載置・支持されることにより、前述のように配置されている。前記下カバー24は、前記棒状ヒーターからの熱が前記隙間から逃げないようにして前記ワーク基板Wへの加熱効率を向上させるために設置されている。
【0030】
また、前記切断済み押出材1の両端部(前記アルミ押出材の各切断面)には、前述のように、空洞部2や筒状パイプ6,9などの開口部が存在している(図1参照)。そこで、本実施例1では、図5に示すように、前記の各開口部を塞ぐための例えば金属製の切断面用カバー25が前記各両端部(切断面)にネジ(図示せず)などで固定されている。前記切断面用カバー25は、前記棒状ヒーターからの熱が前記両端部(切断面)の開口部から逃げないようにして前記ワーク基板Wへの加熱効率を向上させるためのものである。また、前記切断面用カバー25には、前記棒状ヒーターを前記筒状パイプ6,9の中に通過させるための抜き穴25a,25bが形成されている。
【0031】
また、図6(a)は本実施例1による加熱機能付きコンベアの一部を示す部分平面図、図6(b)はそのA−A線断面図である。本実施例1では、図6(b)に示すように、前記ワーク基板Wの上面を加熱するための上側加熱板26が、前記切断済み押出材1の上方に並べて配置されている。図6(b)では、前記上側加熱板26は1個のみしか図示されているが、実際には前記上側加熱板26が、複数個、ワーク基板Wの全体に対向するように並べて配置されている。前記上側加熱板26は、例えば金属製の内部が空洞に形成された板状部材であって内部に棒状ヒーター(図示せず)が挿入されている。
【0032】
次に、本実施例1の動作を説明する。図7はワーク基板Wが移送されているときの状態を示す本実施例1の側面図である(図7では図6の上側加熱板26は図示を省略している)。本実施例1では、図7に示すように、ワーク基板Wの移動方向Pと平行に、前記切断済み押出材1とローラ22とが交互に配置されている。そして、前記切断済み押出材1の内部に挿入されている棒状ヒーターの熱が伝導されて前記切断済み押出材1の上面から面状に放射される。よって、本実施例1によれば、複数のワーク基板Wが、順次、前記切断済み押出材1により加熱されながら同時に前記ローラ22により移送される。この場合、技術革新などにより前記ワーク基板Wの縦横サイズを変更する必要が生じた場合でも、前記切断済み押出材1のアルミ押出材からの切断長さを変更すると共に前記切断済み押出材1の配置個数を変更するだけで、極めて柔軟に且つ安価に、前記変更に対応することができる。
【0033】
次に、図8(a)は本実施例1によるワーク基板Wの加熱と移送の動作を模式的に示す図、図8(b)は比較例によるワーク基板Wの加熱と移送の動作を模式的に示す図である。図8(a)において、符号27は前記切断済み押出材1の各筒状パイプ6又は9内に挿入される棒状ヒーターを模式的に示すものである。本実施例1を使用してワーク基板Wを移送するときは、前記棒状ヒーター27からの熱が前記帯状の上側接続部(図1の符号7参照)などを介して前記切断済み押出材1の上面に伝導されるので、ワーク基板Wは前記切断済み押出材1の上面から面状に加熱され、ワーク基板Wの全体が均一に加熱されるようになる。これに対して図8(b)に示すような比較例においては、各ローラ22の間に棒状ヒーター27がそのまま配置されているだけであり、前記棒状ヒーター27からの熱は線状にワーク基板Wを加熱するだけでなので、ワーク基板Wに加熱ムラが生じてしまう恐れがある(ワーク基板Wに反りや歪みが生じてしまう原因となってしまう恐れがある)。
【0034】
以上のように、本実施例1においては、前記切断済み押出材1と各ローラ22(及び回転軸21)とにより加熱機能付きコンベアを構成しているので、ワーク基板Wの縦横サイズが変更されために加熱機構付きコンベアの縦横サイズを変更する必要が生じた場合でも、前記アルミ押出材を切断して前記切断済み押出板を形成するときの切断する長さを変更すると共にこのようにして切断されて成る切断済み押出板1の個数を増減するだけで、前記加熱機構付きコンベアの縦横サイズの変更を行うことができる(しかも従来より前記アミ押出材は極めて低コストで製造でき前記切断作業なども極めて低コストで行うことができる)ので、前記ワーク基板Wの縦横サイズの変更に対して、極めて容易に且つ低コストで対応することができる。
【0035】
また、本発明においては、加熱機構付きコンベアを、それぞれが棒状ヒーターを含む複数の切断済み押出材1を所定の間隔を介して並べることにより構成するようにし、前記棒状ヒーターの熱は前記帯状の上側接続部7を介して前記上板部3に伝熱されて前記上板部3の全体から熱が面状に放射されて前記ワーク基板Wを面状に加熱するようにしているので、前記棒状ヒーターにより直接ワーク基板Wを加熱する場合(この場合はワーク基板Wの中の前記棒状ヒーターに対向する線状部分だけが他の部分より強く加熱されてしまうのでワーク基板Wに加熱ムラなどが生じてしまう)と比較して、ワーク基板W全体をより均一に加熱できるようになる。
【0036】
また、本実施例1において、前記空洞部2内に前記筒状パイプ6を一体に形成すると共に前記各切断済み押出材1の側板部5の途中部分に前記筒状パイプ9を一体に形成したときは、3本の棒状ヒーターを内部に含ませて、これらの3本の棒状ヒーターからの熱により前記上板部3から面状に且つ強力に前記ワーク基板Wを加熱することができる。
【0037】
また、本実施例1において、前記各切断済み押出材1の左右各上端部に上側突出片11を一体に形成し、この上側突出片11を利用して、前記各切断済み押出材1の間の隙間(前記ローラ22が突出している部分を除く)のワーク基板W側(上側)を塞ぐための上カバー23を備えるようにしたときは、前記棒状ヒーターからの熱が前記隙間から逃げることを防止できるので、前記ワーク基板Wへの加熱がより効率的に行えるようになる。
【0038】
また、本実施例1において、前記各切断済み押出材1の左右各下端部に下側突出片10を一体に形成し、この下側突出片10を利用して、前記各切断済み押出材1の間の隙間の前記ワーク基板Wと反対側(下側)を塞ぐための下カバー24を備えるようにしたときは、前記棒状ヒーターからの熱が前記隙間から逃げることを防止できるので、前記ワーク基板Wへの加熱がより効率的に行えるようになる。
【0039】
さらに、本実施例1において、前記各切断済み押出材1の各切断面に切断面用カバー25を取り付けるようにしたときは、前記棒状ヒーターからの熱が前記切断面の開口部(空洞部2や筒状パイブ6,9の開口部など)から逃げることを防止できるので、前記ワーク基板Wへの加熱がより効率的に行えるようになる。
【0040】
また、本実施例1によれば、加熱機構付きコンベアを前記切断済み押出材1を複数個並べることにより構成しているので、加熱機構付きコンベアの全体を軽量化することができると共に、加熱機構付きコンベアによるワーク基板Wの加熱のための消費電力を節減することができる。
【0041】
以上、本発明の各実施例について説明したが、本発明は前記の各実施例として述べたものに限定されるものではなく、様々な修正及び変更が可能である。例えば、前記実施例1においては前記各切断済み押出材1の空洞部2内に一つの筒状パイプ6のみを一体に形成するようにしている(前記各切断済み押出材1の側板部5の途中部分には他の筒状パイプ9も形成している)が、本発明ではこれに限られるものではなく、前記空洞部2内に複数の筒状パイプ6を一体に形成するようにしてもよい。また、逆に、前記実施例1においては前記各切断済み押出材1の空洞部2内に一つの筒状パイプ6を形成すると共に前記各切断済み押出材1の左右の各側板部5の途中部分に筒状パイプ9を形成することにより前記各切断済み押出材1に全体として計3つの筒状パイプを形成するようにしているが、本発明ではこれに限られるものではなく、前記各切断済み押出材1に全体として少なくとも一つの筒状パイプを形成するものでもよい。また、前記実施例1においては、前記筒状パイプ6などに挿入する細長ヒーターとして棒状ヒーターを使用しているが、本発明においては、前記筒状パイプ6などに挿入できるヒーターであればどのような形状でもよく、例えばコイル状のニクロム線を前記筒状パイプ6などに挿入できるように全体を細長く形成したものなどでもよいことはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1(a)は本実施例1を構成する切断済み押出材の切断面を示す正面図、図1(b)はその斜視図。
【図2】本実施例1における支持フレームと切断済み押出材を説明するための斜視図。
【図3】本実施例1における切断済み押出材と回転軸及びローラとの位置関係を説明するための正面図(切断済み押出材の切断面の方向から見たときの図)。
【図4】本実施例1における切断済み押出材と回転軸及びローラとの位置関係を説明するための平面図。
【図5】本実施例1における切断済み押出材と切断面用カバーとを説明するための斜視図。
【図6】図6(a)は本実施例1によるコンベアの一部を示す部分平面図、図6(b)はそのA−A線断面図。
【図7】ワーク基板Wが移送されているときの状態を示す本実施例1の側面図。
【図8】図8(a)は本実施例1によるワーク基板Wの加熱と移送の動作を模式的に示す図、図8(b)は比較例によるワーク基板Wの加熱と移送の動作を模式的に示す図。
【符号の説明】
【0043】
1 切断済み押出材
2 空洞部
3 上板部
4 下板部
5 側板部
6,9 筒状パイプ
7 上側接続部
8 下側接続部
10 下側突出片
11 上側突出片
20 支持フレーム
21 回転軸
22 ローラ
23 上カバー
24 下カバー
25 切断面用カバー
25a,25b 抜き穴
26 上側加熱板
27 棒状ヒーター
P 移動方向
W ワーク基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス製又は樹脂製のワーク基板(ロール状基板を含む)を所定の移動方向に移動させるためのコンベアであって、
前記移動方向と平行に延びる支持フレームと、
アルミ押出材が所定の長さで切断されて成り、前記切断された各切断面が略長方形状となっておりその内部が空洞部となっている外側枠体を含む、複数個の切断済み押出材であって、それぞれの長手方向が前記移動方向と直交するように且つそれぞれが互いに所定の間隔を介して並べられるように前記支持フレームの上に配置されている、複数個の切断済み押出材と、
前記各切断済み押出材の間にそれぞれ配置され、前記切断済み押出材の上方に位置する前記ワーク基板の下面に接触して前記ワーク基板を移動させるための回転体と、
を備えた加熱機能を備えたコンベアであって、
前記各切断済み押出材の各空洞部内には、前記各切断済み押出材の長手方向と平行な方向に延びる一つ又は複数の筒状パイプが一体に形成されており、
前記各筒状パイプの少なくとも一つの中には、棒状ヒーターなどの全体が細長い形状の細長ヒーターが挿入されており、
前記各筒状パイプと前記外側枠体との間には、前記細長ヒーターからの熱を前記外側枠体に伝えるための帯状接続部が一体に形成されている、ことを特徴とする、加熱機能を備えたコンベア。
【請求項2】
請求項1において、前記各切断済み押出材の外側枠体の前記切断面から見て左右の各側板部の途中部分には、それぞれ、前記各切断済み押出材の長手方向と平行な方向に延びる筒状パイプであって細長ヒーターが挿入可能な筒状パイプが一体に形成されている、ことを特徴とする、加熱機能を備えたコンベア。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記各回転体は、前記移動方向と直交する方向に延びる回転軸とこの回転軸の複数箇所に突設されており前記ワーク基板の下面に当接するローラとを備えており、
前記各切断済み押出材の間の隙間の前記ワーク基板と対向する側には、前記隙間であって前記ローラが突出している部分を除く隙間の上方を塞ぐための上カバーが備えられており、
前記各切断済み押出材の外側枠体の前記切断面から見て左右の各上端部には、前記各切断済み押出材の長手方向と直交する方向に突出し且つ前記各切断済み押出材の長手方向と平行な方向に延びる上カバー支持用突出片であって前記上カバーの一端を載置するための上カバー支持用突出片が一体に形成されている、ことを特徴とする、加熱機能を備えたコンベア。
【請求項4】
請求項1,2,又は3において、
前記各切断済み押出材の間の隙間の前記ワーク基板と反対の側には、前記隙間の下方を塞ぐための断面略円弧状の下カバーが備えられており、
前記各切断済み押出材の外側枠体の前記切断面から見て左右の各下端部には、前記各切断済み押出材の長手方向と直交する方向に突出し且つ前記各切断済み押出材の長手方向と平行な方向に延びる下カバー支持用突出片であって前記下カバーの一端を載置するための下カバー支持用突出片が一体に形成されている、ことを特徴とする、加熱機能を備えたコンベア。
【請求項5】
請求項1,2,3,又は4において、
前記各切断済み押出材の各切断面には、前記各切断面の開口部の前記

を塞ぐための切断面用カバーが取り付けられている、ことを特徴とする、加熱機能を備えたコンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−37046(P2010−37046A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−201574(P2008−201574)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【特許番号】特許第4249252号(P4249252)
【特許公報発行日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(501341163)株式会社幸和 (4)
【Fターム(参考)】