加熱溶融処理装置および加熱溶融処理方法
【課題】処理対象物を直接的に冷却することができ、別途の冷却板を設置する必要がない加熱溶融処理装置を提供する。
【解決手段】
本発明の加熱溶融処理装置は、半田を含む処理対象物100についてカルボン酸蒸気を含む雰囲気中で加熱溶融処理する加熱溶融処理装置1であって、加熱溶融処理した処理対象物100を載せて搬送するためのハンド部4を冷却板として兼用する。
【解決手段】
本発明の加熱溶融処理装置は、半田を含む処理対象物100についてカルボン酸蒸気を含む雰囲気中で加熱溶融処理する加熱溶融処理装置1であって、加熱溶融処理した処理対象物100を載せて搬送するためのハンド部4を冷却板として兼用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半田を含む処理対象物を加熱溶融処理するための加熱溶融処理装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半田付け処理装置や半田ボールの成形装置などのように、半田を含む処理対象物を加熱溶融処理するための加熱溶融処理装置が広く用いられている。特に、フラックスを用いることなく半田付け処理や半田ボール成形処理を可能とするために、ギ酸その他のカルボン酸を用いる加熱溶融処理装置が知られている(特許文献1、2)。
【0003】
これらの加熱溶融処理装置では、半田が溶融してから冷却するまでの時間を短縮することが、作業速度の向上の見地から要求される。この点、特許文献1に記載の装置では、加熱手段を備えている熱板の下方に、冷却板を昇降可能に設け、冷却時には、冷却板を熱板の下面に密着させることによって、半田付け基板を強制冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−233934号公報
【特許文献2】特開2001−244618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来の加熱溶融処理装置では、半田付け基板など処理対象物自体に冷却板を密着させるのではなく、加熱手段が設けられた熱板に冷却板を密着させるものにすぎない。
【0006】
したがって、この従来技術の加熱溶融処理装置は、熱板を介して間接的に処理対象物を冷却できるにすぎず、処理対象物自体を直接的に冷却することができないという問題がある。さらに、処理対象物をチャンバ内に出し入れするための搬送手段のほかに、別途の冷却板を移動可能に設置する必要があるという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、処理対象物を直接的に冷却することができ、別途の冷却板を設置する必要がない加熱溶融処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の加熱溶融処理装置は、半田を含む処理対象物についてカルボン酸蒸気を含む雰囲気中で加熱溶融処理する加熱溶融処理装置であって、前記加熱溶融処理した処理対象物を載せて搬送するためのハンド部を冷却板として兼用することを特徴とする。
【0009】
本発明の加熱溶融処理方法は、半田を含む処理対象物についてカルボン酸蒸気を含む雰囲気中で加熱溶融処理する段階と、前記加熱溶融処理した処理対象物を、冷却板として兼用されるハンド部に載せて搬送する段階と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、加熱手段を備えた熱板を介して処理対象物を間接的に冷却する場合に比べて、急速冷却が可能となり、作業速度を高めて生産性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態の半田付け処理装置を示す断面図である。
【図2】図1の半田付け処理装置のハンド部を示す平面図である。
【図3】図1の半田付け処理装置による半田付け処理の工程を示す断面図である。
【図4】図3に後続する工程を示す断面図である。
【図5】図4に後続する工程を示す断面図である。
【図6】図5に後続する工程を示す断面図である。
【図7】図6に後続する工程を示す断面図である。
【図8】図7に後続する工程を示す断面図である。
【図9】図8に後続する工程を示す断面図である。
【図10】図1の半田付け処理装置による昇降温特性を示す図である。
【図11】比較例の半田付け処理装置による昇降温特性を示す図である。
【図12】図10および図11の昇降温特性の温度分布測定位置を示す図である。
【図13】図10および図11の昇降温特性の測定の際のプロセス条件を示す図である。
【図14】加熱状態を維持したまま、処理対象物を受け渡す場合における図1の半田付け処理装置による昇降温特性を示す図である。
【図15】第2の実施形態の半田付け処理装置の内部を上方から見た概略平面図である。
【図16】本発明の変形例における昇温特性の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の第1の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0013】
図1は、本発明の加熱溶融処理装置を半田付け処理装置として適用した場合の第1の実施形態を示している。半田付け処理装置1は、第1チャンバ2と、第2チャンバ3とを有し、これらの間で処理対象物たる半田付け基板を載せて搬送するハンド部4を冷却板としても兼用するものである。
【0014】
ここで、第1チャンバ2と第2チャンバ3とは、開閉可能なゲートバルブ5を介して連結されている。第1チャンバ2は、半田を含む処理対象物である半田付け基板100を半田付けするための処理室をなし、第2チャンバ3は、半田付け基板100を投入するためのロードロック室をなす。なお、半田付け基板100は、表面に複数の半田バンプが形成されているチップを少なくとも含む一対のチップであってもよく、この場合、前記半田付け処理として、前記一対のチップを前記半田バンプ同士または前記半田バンプと電極とを介して積層して接合するフリップチップボンディング処理が実行される。つまり、フリップチップボンディング処理を採用する場合は、第1のチップと第2のチップの双方の表面に半田バンプが形成され、これら半田バンプ同士を介して第1のチップと第2のチップとが半田接合されてもよく、第1のチップの表面に半田バンプが形成される一方、第2のチップの表面に電極部が形成され、第1のチップの半田バンプと第2のチップの電極部とを介して第1のチップと第2のチップとが半田接合されてもよい。
【0015】
以上の説明では、第1のチップと第2のチップの双方を半田接合する場合について述べたが、これ以外に、表面に複数の半田バンプが形成されているチップとウェハーの相互を半田接合すること、または、表面に複数の半田バンプが形成されている複数のウェハー同士を相互に半田接合することも考えられる。
【0016】
<給排気系について>
まず、第1チャンバ2および第2チャンバ3へ接続される給排気系について説明する。第1チャンバ2および第2チャンバ3には、それぞれバルブ6、7を介して排気ポンプ(真空ポンプ)8が接続されている。この排気ポンプ8は、第1チャンバ内および第2チャンバ内を減圧するための排気手段である。なお、本実施形態では、第1チャンバ2および第2チャンバ3用の排気手段として、1つの排気ポンプ8が設けられているが、本実施形態と異なり、それぞれのチャンバ2、3に別個独立した排気ポンプを設けてもよい。
【0017】
また、第1チャンバ2には、フラックスなしで半田付けを可能とするためにカルボン酸蒸気の供給系(カルボン酸供給手段)9がバルブ10を介して接続される。カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブチリック酸、バレリック酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、アクリル酸、サリチル酸、乳酸等を用いることができる。
【0018】
カルボン酸蒸気の供給系9は、水素、一酸化炭素のような還元性ガス、または窒素のような不活性ガス等のキャリアガスをカルボン酸蒸気に混合して第1チャンバ2内に導入する。カルボン酸蒸気の供給系9は、カルボン酸の液体を収容した密閉容器11を有し、その密閉容器11には、バルブ12を介してキャリアガスを供給するキャリアガス供給管13が接続されている。キャリアガス供給管13は、容器11内において気泡を発生(バブリング)させるためのバブリング部14に接続される。なお、容器11の周辺には、カルボン酸の液体を温めるためのヒータを設けてもよい。ヒータは、カルボン酸の液体を一定の温度に保つ。このように、キャリアガスを併用することにより、第1チャンバ2内へのカルボン酸蒸気の導入が容易になり、かつ十分に気化していない状態のカルボン酸が処理対象物上に付着して残渣を生じさせることを防止することができる。
【0019】
なお、本実施形態と異なり、キャリアガスを用いることなく、カルボン酸の液体を収容した密閉容器11を第1チャンバ2に連通させることにより、その蒸気を第1チャンバ2内に導入するようにしてよい。また、カルボン酸の液体を収容した密閉容器11を第1チャンバ2に連通させる途中でキャリアガスを混合するようにしてもよい。これらの場合、その蒸発量は、第1チャンバ2内のガス圧力に依存する。
【0020】
また、第1チャンバ2内にカルボン酸を加熱して気化させるカルボン酸加熱手段(不図示)を設けておき、カルボン酸の液体を供給管(不図示)を介して前記第1チャンバ内のカルボン酸加熱手段に供給することもできる。この場合、第1チャンバ2内でカルボン酸加熱手段が、液体のカルボン酸を加熱して気化することによって、カルボン酸蒸気雰囲気が提供されることになる。
【0021】
次に、カルボン酸回収部について説明する。本実施形態の半田付け処理装置1は、排気ポンプ8の吸気又は排気側に設けられ又は取り付けられて、気化したカルボン酸を回収するカルボン酸回収部(回収機構)15を有する。カルボン酸回収部15は、排気ポンプ8の吸気側または排気側に取り付けられるフィルタであってもよく、排気側に取り付けられるスクラバであってもよい。フィルタとしては、Ca(OH)2などの混合物を用いたアルカリ固形物による中和方式のフィルタやカルボン酸を熱分解する熱分解方式のフィルタを採用することができる。また、カルボン酸を捕捉するモレキュラーシーブを用いた吸着方式のフィルタ、または触媒分解反応を用いた触媒反応方式などその他の方式のフィルタを採用することもできる。一方、スクラバとしては、カルボン酸を液体処理により中和する方式のスクラバ、または気化したカルボン酸を溶液に溶かして回収する方式のスクラバを採用することができる。気化したカルボン酸を溶液に溶かして回収する方式のスクラバは、排気ポンプの排気側に連結された第1の排気管を液槽内の溶液に挿入するとともに、液槽の上部に第2の排気管を接続する構成を有する。
【0022】
さらに、第1チャンバ2には、内部を窒素雰囲気に置換(パージ)するための窒素供給管16がバルブ17を介して接続されており、第2チャンバ3には、同様に窒素供給管18がバルブ19を介して接続されている。
<加熱手段について>
次に、第1チャンバ2内に設けられる加熱手段について説明する。
【0023】
第1チャンバ2内には、加熱手段としての熱板20が設けられている。熱板20の上面には、半田付け基板100が載せられ加熱される。しかしながら、半田付け基板100の個数が多い場合などは、金属、セラミックその他の材料で形成されたトレー板110を介して半田付け基板100を熱板20上に配置することもできる。図1では、トレー板110を介して半田付け基板100が配置される場合を例示する。したがって、以下の説明では、説明の便宜上、半田付け基板100のみならずトレー板110を処理対象物と称する場合がある。
【0024】
なお、熱板20としては、ヒータが附設された金属、セラミックスその他の材料で構成することができ、ヒータとしてはシーズヒータのような電気抵抗発熱体を採用することができる。しかしながら、より好適には、耐食性を向上する見地から、熱板20をカーボン板状体で形成し、このカーボン板状体20自体に通電することによって、熱板20自体を発熱させて処理対象物を加熱することが望ましい。
<搬送部などについて>
次に、本実施形態の半田付け処理装置における搬送部について説明する。
【0025】
第2チャンバ3には、処理対象物を出し入れするめの蓋21が設けられている。そして、半田付け処理装置1は、投入された処理対象物を第1チャンバ2と第2チャンバ3との間で搬送する搬送部(搬送手段)22を具える。
【0026】
搬送部22は、ハンド部4と、ハンド部4を進退自在に移動するための移動機構(移動手段)23とを有する。ここで、本出願において、「ハンド部」とは、処理対象物を搬送する際に、この処理対象物を載せる部分を意味する。本実施形態では、ハンド部4は、板状体をしている。しかしながら、この場合に限られるものではなく、種々の形状のハンド部4を採用することができる。また、冷却効率を高める見地からは、ハンド部4の上面は、基板100あるいはトレー板110などの下面に密着できるように平坦に形成されることが望ましい。ハンド部4は、金属、セラミックその他の材料で形成することができる。
【0027】
図2は、ハンド部の一例を示す。ハンド部4は、冷却用媒体が内部を流通する流通路24を有する。図2に示す例では、ハンド部4の内部に流通路を設けてもよい。たとえば、ハンド部は、流通路をなす溝が形成されたハンド部本体と、ハンド部本体に接合される蓋部とを有し、ハンド部本体に蓋部を接合することで流通路が完成するようにしてもよい。流通路24は、ハンド部4の広い範囲を冷却するべく面内で蛇行するように設けられることが望ましい。なお、本実施形態と異なり、基板100やトレー板100を載せる面と反対側の面である下面側に流通路24を外付けしてもよい。流通路24内を流れる冷却用媒体は、液体でも気体でもよい。しかしながら、冷却効率の観点からは液体であることが望ましく、特に取り扱いの便宜の見地からは水が望ましい。流通路24の流入口25および流出口26は、好ましくは、可撓性を有する管(不図示)を介して第2チャンバの外部に延びて外部の冷媒循環装置(不図示)に接続される。
【0028】
このようなハンド部4は、移動機構23に取り付けられている。移動機構23は、第1チャンバ2と第2チャンバ3との間で前記ハンド部4を進退自在に移動するものである。図1では、移動機構23は、レール27(27a、27b、27c)と、当該レール27上をモータ動力で移動する移動ステージ28とを有する。レール27は、第1チャンバ2内に位置する第1レール部27aと、第2チャンバ3内に位置する第2レール部27bと、それらの間にある第3レール部27cとを有する。なお、第3レール部27cは、ゲートバルブ5の上部に取り付けられており、第1チャンバ2と第2チャンバ3との間のゲートバルブ5の開閉動作に連動して移動し、ゲートバルブ5が開いた状態で、第1レール部27aと第2レール部27bとを連結して全体のレール27を完成させる。
【0029】
なお、本実施形態では、レール27と移動ステージ28とを移動機構23として用いたが、移動機構は、この場合に限られず、ハンド部4を第1チャンバ2と第2チャンバ3との間で移動可能であるものである限り、一軸または多軸のロボットアームなどその他の各種機構であってもよい。
【0030】
次に、第1チャンバ2内において、ハンド部4との間で処理対象物を受け渡すために処理対象物を昇降する昇降機構について説明する。図1に示すように、昇降機構29、29は、基板100やトレー板110を支持しつつ昇降動作をするための機構である。昇降機構29、29は、基板100や基板100が載せられたトレー板110など処理対象物を熱板20(加熱手段)の上面に置かれた状態から離間させるように上昇移動させることができる。また、逆に熱板20から離間した状態で処理対象物を受け取った後、熱板20の上面に処理対象物を載置する状態となるまで処理対象物を下降移動させることができる。本実施形態では、棒形状の昇降桿を昇降機構29、29として用いる場合を説明したが、この場合に限られない。処理対象物などを支持しつつ上下方向に昇降動作することが可能である限り、昇降機構として採用することができる。
【0031】
次に、以上のように構成される本実施形態の半田付け処理装置1の動作について説明する。
【0032】
まず、図3に示されるように、第2チャンバ3の蓋21が開かれて、処理対象物である基板100が第2チャンバ3内に投入される。本実施形態では、複数の基板100が、トレー板110に載せられた状態で投入される。投入されたトレー板110は、ハンド部4の上面に載せられる。
【0033】
次いで、図4に示されるように、蓋21が閉じられる。バルブ6、7が開かれて排気ポンプ8が駆動され、第1チャンバ2および第2チャンバ3内が真空排気される。真空度は、適宜に決定することができるが、たとえば、10000Pa(≒80Torr)よりも高真空にすることが望ましい、さらに好もしくは10Pa(≒8×10−2Torr)よりも高真空にすることが望ましい。本実施形態では、真空度を、6.6Pa(5×10−2Torr)としている。
【0034】
次に、図5に示されるように、ゲートバルブ5を開く。そして、搬送部22が第2チャンバ3から第1チャンバ2へとトレー板110を搬送する。具体的には、ゲートバルブ5が開かれるのに連動して、第1レール部27a、第2レール部27b、第3レール部27cが繋がった状態となり、レール27が完成する。そして、移動ステージ28のモータ動力がオンされレール27に沿ってハンド部4を第1チャンバ2内へと移動させる。移動ステージ28は、ハンド部4が熱板20の上方に位置するまで移動を続ける。たとえば、移動ステージ28は、熱板20と接触しないように熱板20を跨ぐような形状をしている。
【0035】
次いで、図6に示されるように、昇降機構29、29が上昇してハンド部4上のトレー板110を受け取る。トレー板110を昇降機構29,29に受け渡した後、移動ステージ28は、ハンド部4を第2チャンバ3内へ戻す。
【0036】
次いで、図7に示されるように、昇降機構29、29が降下して、トレー板110を熱板20上に載置する。これとともに、ゲートバルブ5が閉じられて、第1チャンバ2と第2チャンバ3との間が閉鎖された状態となる。
【0037】
この状態で、カルボン酸蒸気の供給系9は、水素、一酸化炭素のような還元性ガス、または窒素のような不活性ガス等のキャリアガスをカルボン酸蒸気に混合して第1チャンバ2内に導入する。具体的には、バルブ12を開いてキャリアガスを密閉容器9内に導入してバブリングし、バルブ10を調整しつつ開いて、キャリアガスとともにカルボン酸蒸気を第1チャンバ2内に導入する。本実施形態では、カルボン酸としてギ酸を用いている。
【0038】
第1チャンバ2内の圧力は、カルボン酸蒸気およびキャリアガスの導入に伴って、たとえば、所定の圧力まで導入する。具体的には、カルボン酸蒸気およびキャリアガスの圧力は、処理対象物の表面の酸化の程度を考慮して、数Pa〜1×105Paまでの広い範囲の中から選択される。カルボン酸蒸気およびキャリアガスの圧力は、バルブ10およびバルブ6の開度などを調整することによって設定することができる。なお、排気ポンプ8(排気手段)によって排気されたカルボン酸蒸気は、排気手段の吸気又は排気側に設けられ又は取り付けられて、気化したカルボン酸を回収するカルボン酸回収部(回収機構)15によって回収されて、無害化される。
【0039】
このようなカルボン酸蒸気およびキャリアガスの導入に並行して熱板4により基板100の加熱がなされる。熱板20をカーボン板状体で形成した場合には、このカーボン板状体20自体に通電することによって、熱板20自体を発熱させることが可能である。カーボン板状体200自体を発熱させる構成によれば、カルボン酸に侵されにくくすることができ、耐食性を向上させることができる。熱板4は、基板100の半田の融点以上の温度となるまで、基板100を加熱する。たとえば、半田がSn−3.5Ag(融点221℃)である場合には、半田付けに適した230℃〜250℃程度まで加熱する。Pb−5Sn(融点314℃)である場合には、半田付けに適した330℃〜360℃程度まで加熱する。なお、ボイドを防止する観点からは、カルボン酸蒸気は、基板100の温度が融点に達する前には少なくとも導入することが望ましい。
【0040】
たとえば、所定時間(たとえば、5分〜10分程度)が経過すると、熱板20への通電を停止する。そして、バルブ10、12を閉めてカルボン酸蒸気の供給を停止する。次いで、バルブ15を閉じて排気ポンプ8の運転を停止し、バルブ17、19を開いて窒素ガスを導入して第1チャンバ1、2の内部を窒素ガスで置換する。
【0041】
次に、図8に示されるように、ゲートバルブ5を開く。これに伴ってレール27が完成する。そして、第1チャンバ2内においては、昇降機構29、29が上昇する。昇降機構29、29は、熱板20上のトレー板110を支持しつつトレー板110を熱板20から離間させる。これに連動して、移動ステージ28が、第2チャンバ3内から第1チャンバ2内へとレール27上を走行する。そして、昇降機構29、29によってトレー板110(あるいは、基板100が複数でないならば、基板100自身でもよい)が熱板20の上面から離間された状態で、移動ステージ(移動手段)28は、ハンド部4をトレー板110と熱板20との間に挿入する。このとき、ハンド部4は、熱板20自身には接触しない。
【0042】
次いで、昇降機構29、29が下降し、トレー板110をハンド部4上に受け渡す。ハンド部4は、流通路24が設けられており、その流通路24の内部を水その他の冷却用媒体が循環している。したがって、ハンド部4上にトレー板110(あるいは基板100)が載置された時点で、既に基板100の冷却が開始される。しかも、ハンド部4は、熱板20を介して基板100を間接的に冷却するのではなく、基板100自体あるいはトレー板110を直接に冷却するので、急速に冷却することができる。
【0043】
次いで、図9に示されるように、搬送部22は、第1チャンバ2から第2チャンバ3へとトレー板110を搬送する。すなわち、第1チャンバ2と第2チャンバ3との間で処理対象物を搬送する際に処理対象物を載せるハンド部4が、冷却板としても兼用されるので、処理対象物を搬送しつつ、その搬送時間も強制冷却を継続することができる。第2チャンバ3内にトレー板110が戻ると、ゲートバルブ5を閉じられる。そして、蓋21を開いて半田付けを終わった基板100をトレー板110ごと取り出す。そして、次に処理する基板100があれば、図4の状態に戻り、基板100を載せたトレー板110をハンド部4上に投入し、半田付け操作を繰り返す。
【0044】
以上のような処理を行う半田付け処理装置を用いた効果について説明する。図10は、本実施形態の半田付け処理装置1を用いた場合の昇降温特性であり、図11は、比較例として、ヒータを備える熱板に冷却板を密着させる従来のタイプの半田付け処理装置を用いた場合の昇降温特性である。なお、測定は、図12に示すように、カーボン板状体の熱板(カーボンヒータ)上に、300×300mmで厚さ5mmのカーボンのトレー板110を載せ、トレー板110の点1〜点11の各点で温度を測定した。また、プロセス条件としては、本実施形態の半田付け処理装置の場合も比較例の半田付け処理装置の場合も、図13に示すような同一の条件を採用した。
【0045】
図11に示されるように、従来のタイプの半田付け処理装置では、トレー板110上の温度が250℃から50℃になるまでに16分程度の時間が必要であったのに対し、本実施形態の半田付け処理装置では、トレー板110上の温度が250℃から50℃になるまで3分程度の時間で足りた。また、カーボン板状体を採用して、カーボン板状体への通電によってカーボン板状体自体を発熱させることができるので、測定点1〜11の各温度分布が均一であった。
【0046】
このように、本実施形態の半田付け処理装置によれば、処理対象物を急速冷却する際に、加熱手段を備えた熱板を介して処理対象物を間接的に冷却する必要がないので、さらに急速冷却が可能となる。つまり、降温時間を短縮することにより、作業速度を高めて生成性を高めることができることがわかる。
【0047】
なお、上述した条件では、室温から昇温を開始する場合を説明したが、本実施形態の半田処理装置によれば、冷却板として機能するハンド部4が熱板20に接触せず、熱板20を冷却する必要がない。したがって、熱板20自体の温度を所定温度以上、たとえば、70℃〜300℃程度に維持したまま、次の処理対象物の処理を行うことができる。したがって、必要に応じて、昇温時間についても短縮することもできる。つまり、上述した特許文献1に記載されているような従来の方法によれば、処理対象物を冷却するために熱板を冷却する必要がある。つまり、処理対象物における半田の酸化を防止したり、オペレータの火傷などを防止したりする見地から処理対象物を冷却する必要があるが、従来の方法によれば、熱板までも冷却する必要がある。この結果、従来の方法によれば、熱板を常温(JIS規格によれば20±15℃)近くまで下降する必要があったが、本実施形態の半田処理装置によれば、熱板20を常温近くまで下降する必要がない。したがって、たとえば、加熱手段として機能する熱板20の温度を、予め70℃以上の温度範囲に上げておくことで、昇温時間を短縮することができる。
【0048】
図14は、熱板20自体を270℃程度の温度に維持したまま、冷却板として機能するハンド部4により処理対象物を受け渡す場合における昇降温特性を示している。図14の縦軸は温度(℃)を示し、横軸は経過時間(分)を示している。なお、図14において、点線は熱板20の温度を示し、各実線は、図12に示すトレー板(処理対象物)の点1〜点12の各点での温度を示す。図14では、目標温度は、半田付けに適した230℃〜250℃に設定することが望ましく、本実施例では、250℃に設定している。図14に示される例では、処理対象物が載せられていない場合にも、熱板20は通電を維持して加熱状態を保つ。そして、熱板20自体を目標温度よりも高い設定温度である270℃程度に維持したまま、トレー板(処理対象物)が載せられる。このトレー板を載せた瞬間は、トレー板に熱が奪われるので、熱板20の温度は一旦は230℃程度まで低下する。しかし、その後の温度制御により再び設定温度に復帰する。
【0049】
図14に示されるように、熱板20自体の温度を目標温度付近(好ましくは、目標温度より高い温度領域)に維持したまま処理対照物を受け渡すことにより、非対称物の処理温度を室温付近から目標温度(250℃)まで昇温するのに要する時間を短縮することができる。図14に示す場合には、室温から目標温度(250℃)までに昇温するのに要する時間は、1分程度に抑えられている。なお、図11のように熱板20自体の温度を昇降する制御をする場合には室温付近から目標温度まで昇温するのに5分程度かかっていることと比較すると、図14に示すように、熱板20自体の温度を目標温度付近(好ましくは、目標温度より高い温度)に維持したまま処理対照物を受け渡すことによって、大幅な処理時間の短縮が可能であることがわかる。
【0050】
また、図14に示されるように、熱板20自体の温度を目標温度付近(好ましくは、目標温度より高い温度)に維持したまま処理対照物を受け渡す場合には、図11に示されるように熱板20自体の温度の昇降する場合と比べて、熱板20の温度がオーバーシュートすることがない。したがって、制御も容易になる。
【0051】
以上、図14に示したように、本実施形態の半田付け処理装置は、処理対象物を急速冷却する際に、加熱手段を備えた熱板を介して処理対象物を間接的に冷却する必要がないので、さらに急速冷却が可能となる。つまり、降温時間を短縮することにより、作業速度を高めて生成性を高めることができることがわかる。
【0052】
以上のように本実施形態の半田付け処理装置は、以下の効果を奏する。
(1)処理対象物を急速冷却する際に、加熱手段を備えた熱板を介して処理対象物を間接的に冷却する場合に比べて、降温時間を短縮することができる。
(2)熱板20自体の温度を高いまま維持しつつ、次の処理対象物の処理を行うことができる。したがって、必要に応じて、昇温時間についても短縮することもできる。
(3)搬送手段の構成部分であるハンド部4を冷却板として兼用することができるので、搬送時間をも強制冷却期間として利用することができる。また、搬送系と冷却系とを別々の機械構成として設ける必要がなくなる。
(4)熱板20として、カーボン板状体を採用して、カーボン板状体への通電によってカーボン板状体自体を発熱させることができるので、耐腐食性を向上することができる。
<第2の実施形態>
上記の第1の実施形態では、冷却用液体が内部を流通する流通路を有するハンド部4を用いる場合を説明した。第2の実施形態では、ハンド部4は、冷却用液体が内部を流通する流通路を有しない。
【0053】
図15は、第2の実施形態の半田付け処理装置の内部を上方から見た概略平面図を示す。なお、第1の実施形態と同様の構成について説明を省略する。本実施形態の半田付け装置のハンド部4は、銅(398 W・m−1・K−1)などのように熱伝導率が大きい物質で形成されることが望ましく、好ましくは熱伝導率が100W・m−1・K−1以上の物質で形成されることが望ましい。そして、本実施形態では、ハンド部4自体は、冷却用液体が流通する流通路を有しない。
【0054】
図15に示されるように、第2チャンバ3内には、ハンド部4を強制冷却する冷却部(強制冷却手段)30を有する。冷却部30は、たとえば、第1の実施形態におけるハンド部のように冷却用液体が流通する冷却路を有しており常に冷却されていてもよく、また、空冷されていてもよく、ペルチェ冷却など他の手段により冷却されていてもよい。
【0055】
移動機構(図15では、レール部27のみを示している)は、第1チャンバ2(特に、熱板20)と第2チャンバ3との間でハンド部4を進退自在に移動させるのみならず、ハンド部4を冷却部30上に当接させるように移動させる。
【0056】
本実施形態の半田付け処理装置は、以下のような動作を行う。まず、移動機構は、ハンド部4を冷却部30上に移動させて、冷却部30に当接させる。冷却部30に当接されることによって、ハンド部4は強制冷却される。そして、移動機構は、ハンド部4を冷却部30から離間させる。そして、第2チャンバ3から第1チャンバ2へと移動し、次いで、第1チャンバ2において基板100や基板100が載せられたトレー板110を受け取り、ハンド部4は、第1チャンバ2から前記第2チャンバ3へと処理対象物を載せて搬送する。そして、加熱済みの処理対象物を載せて搬送することによって温度が高まってしまったハンド部4は、ハンド部4を冷却部30上に移動されて強制冷却される。つまり、ハンド部4は、加熱された処理対象物を第1チャンバ2から取り出した後、加熱された処理対象物を第1チャンバ2から取り出すまでの間に、少なくとも1回は、冷却部30により強制冷却されることとなる。なお、新たに投入された処理対象物を加熱処理するために第2チャンバ3から第1チャンバ2へ搬入する場合にもハンド部4を用いることはできるが、このように第2チャンバ3から第1チャンバ2への搬入には冷却板として兼用されるハンド部4を用いる必要はないので、搬入用の別のハンド部を用意しておき、冷却板として兼用されるハンド部4は、別のハンド部による搬入処理の間も、次の取り出しに備えて冷却部30により強制冷却を継続することもできる。なお、処理対象物の受け取りと搬送は、図8および図9を参照しつつ説明した第1の実施形態の場合と同様であるので、詳しい説明を省略する。
【0057】
以上のように本実施形態の半田付け処理装置も、強制冷却した後のハンド部4を用いて処理対象物を搬送するので、搬送時間をも強制冷却期間として利用することができるという効果を奏する。したがって、上記の第1の実施形態の場合と同様の効果を奏する。また、ハンド部4自体には、冷却用液体を循環させる必要がなく、移動する部分には冷却用液体の管を配置する必要がない。したがって、設備のメンテナンスが容易である。
<変形例>
第1の実施形態の昇温過程では、(ア)第1チャンバ2および第2チャンバ3内を真空排気し、(イ)第1チャンバ2内に、キャリアガスをカルボン酸蒸気に混合して第1チャンバ2内に導入しつつ、キャリアガスとカルボン酸蒸気の雰囲気中で基板の加熱をし、還元処理をしつつ半田の融解をした。また、第1の実施形態の降温過程では、(ウ)第1チャンバ2内からカルボン酸蒸気とキャリアガスの混合ガスを排気して、(エ)第1チャンバ2および第3チャンバ3内を窒素ガスで置換した後、窒素ガス雰囲気中で、第1チャンバ2から第2チャンバ3へ処理対象物を搬出した。また、図13に示すように、昇温過程において温度を常に上昇する場合を例にとって説明した。
【0058】
しかし、本発明は、この場合に限られない。熱板は、図16に示されるように、処理対象物を半田の融点よりも低い還元処理温度(好ましくは130℃以上、特に好ましくは150℃以上)に数分程度の間、保持するようにしてもよい。このように還元処理温度に保持することによって、十分に半田の還元処理をすることができる。このように還元処理が促進される還元処理温度に保持する場合においても、本発明によれば、冷却板として機能するハンド部4が熱板20に接触せず、熱板20を冷却する必要がない。したがって、熱板20自体の温度を常に、還元処理温度に保持しておくこともできる。
【0059】
また、還元処理する前の時点では、カルボン酸蒸気の雰囲気中で昇温する必要は必ずしもない。たとえば、還元処理温度になるまでの間は、真空中で昇温加熱してもよく、窒素など不活性ガス雰囲気中で昇温加熱してもよい。これらの場合、還元処理温度に達した後に、第1チャンバ2内にカルボン酸を導入すればよい。窒素など不活性ガス雰囲気中で昇温する場合には、昇温速度を高める点で有利である。
【0060】
さらに、第1の実施形態では、第1チャンバ2内をキャリアガスとカルボン酸蒸気の雰囲気とする前に、一旦、真空排気する場合を説明した。確かに、第1チャンバ2内の酸素を低減するためには、一旦、真空排気することが望ましいが、必要に応じて、真空排気処理を省略することもできる。たとえば、窒素などの不活性ガスにより第1チャンバ2内を十分に置換し、還元処理が促進される温度に到達する時点で、カルボン酸蒸気をチャンバ内に導入することもできる。この場合、半田付け装置は、真空排気手段に代えて、第1チャンバ2内および/または第2チャンバ3内に不活性ガスを供給するための不活性ガス供給手段を有することになる。
【0061】
また、降温過程においても、第1実施形態のように、カルボン酸雰囲気を排気した後、第1チャンバ2および第3チャンバ3内を窒素ガスで置換し、窒素ガス雰囲気中で降温して処理対象物を取り出す場合に限られるわけではない。確かに、窒素ガス雰囲気中で降温して処理対象物を取り出すことは、降温することは降温速度を速める見地からは好ましいが、必要に応じて表面の酸化を避けるべく真空中で降温してもよく、カルボン酸雰囲気を排気しないまま第1チャンバ2から第2チャンバ3へと処理対象物を取り出すようにすることもできる。
【0062】
以上のように本発明の実施形態および変形例について説明したが、これらに本発明は限定されるものではない。
【0063】
たとえば、上記の説明では、処理対象物として半田付け基板を例にとるとともに、加熱溶融処理装置として半田付け処理装置を例にとって説明したが、本発明は、この場合に限られない。本発明は、半田を含む処理対象物について半田の加熱溶融処理するものである限り適用することができる。たとえば、半田を溶融して半田ボールなどを成形する半田ボール成形装置、その他の加熱溶融処理装置に利用することができる。また、基板は、半田付け基板に限られない。
【0064】
また、以上の説明では、第1チャンバと第2チャンバとを有する加熱溶融処理装置を説明したが、本発明はこの場合に限れない。半田を含む処理対象物についてカルボン酸蒸気を含む雰囲気中で加熱溶融処理する加熱溶融処理装置において、第1チャンバから装置外部に搬送して取り出す搬送手段のハンド部を冷却板として兼用することもできる。また、加熱溶融処理装置は、3つ以上のチャンバを有していてもよい。たとえば、加熱処理前の処理対象物を第1チャンバ内に投入するための投入側チャンバと、加熱処理後の処理後の処理対象物を第1チャンバ内から搬出するための搬出側チャンバとを有していてもよい。この場合も、複数のハンド部のうち、加熱後の処理対象物を搬送するためのハンド部を冷却板として兼用することもできる。
【0065】
すなわち、半田を含む処理対象物についてカルボン酸蒸気を含む雰囲気中で加熱溶融処理する加熱溶融処理装置であって、前記加熱溶融処理した処理対象物を載せて搬送するためのハンド部を冷却板として兼用するものであれば、本発明を適用することができる。 本発明は、特許請求の範囲から逸脱しない範囲で追加、削除、変更などが可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 半田付け処理装置、
2 第1チャンバ、
3 第2チャンバ、
4 ハンド部、
5 ゲートバルブ(開閉可能なバルブ)、
8 排気ポンプ(排気手段)、
9 カルボン酸蒸気の供給系(供給手段)、
10 原稿読取部、
11 密閉容器、
13 キャリアガス供給管、
14 バブリング部、
15 カルボン酸回収部(回収機構)、
20 熱板(加熱手段)、
21 入力装置
22 搬送部(搬送手段)、
23 移動機構、
24 流通路、
29 昇降機構、
100 基板、
110 トレー板。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半田を含む処理対象物を加熱溶融処理するための加熱溶融処理装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半田付け処理装置や半田ボールの成形装置などのように、半田を含む処理対象物を加熱溶融処理するための加熱溶融処理装置が広く用いられている。特に、フラックスを用いることなく半田付け処理や半田ボール成形処理を可能とするために、ギ酸その他のカルボン酸を用いる加熱溶融処理装置が知られている(特許文献1、2)。
【0003】
これらの加熱溶融処理装置では、半田が溶融してから冷却するまでの時間を短縮することが、作業速度の向上の見地から要求される。この点、特許文献1に記載の装置では、加熱手段を備えている熱板の下方に、冷却板を昇降可能に設け、冷却時には、冷却板を熱板の下面に密着させることによって、半田付け基板を強制冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−233934号公報
【特許文献2】特開2001−244618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来の加熱溶融処理装置では、半田付け基板など処理対象物自体に冷却板を密着させるのではなく、加熱手段が設けられた熱板に冷却板を密着させるものにすぎない。
【0006】
したがって、この従来技術の加熱溶融処理装置は、熱板を介して間接的に処理対象物を冷却できるにすぎず、処理対象物自体を直接的に冷却することができないという問題がある。さらに、処理対象物をチャンバ内に出し入れするための搬送手段のほかに、別途の冷却板を移動可能に設置する必要があるという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、処理対象物を直接的に冷却することができ、別途の冷却板を設置する必要がない加熱溶融処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の加熱溶融処理装置は、半田を含む処理対象物についてカルボン酸蒸気を含む雰囲気中で加熱溶融処理する加熱溶融処理装置であって、前記加熱溶融処理した処理対象物を載せて搬送するためのハンド部を冷却板として兼用することを特徴とする。
【0009】
本発明の加熱溶融処理方法は、半田を含む処理対象物についてカルボン酸蒸気を含む雰囲気中で加熱溶融処理する段階と、前記加熱溶融処理した処理対象物を、冷却板として兼用されるハンド部に載せて搬送する段階と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、加熱手段を備えた熱板を介して処理対象物を間接的に冷却する場合に比べて、急速冷却が可能となり、作業速度を高めて生産性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態の半田付け処理装置を示す断面図である。
【図2】図1の半田付け処理装置のハンド部を示す平面図である。
【図3】図1の半田付け処理装置による半田付け処理の工程を示す断面図である。
【図4】図3に後続する工程を示す断面図である。
【図5】図4に後続する工程を示す断面図である。
【図6】図5に後続する工程を示す断面図である。
【図7】図6に後続する工程を示す断面図である。
【図8】図7に後続する工程を示す断面図である。
【図9】図8に後続する工程を示す断面図である。
【図10】図1の半田付け処理装置による昇降温特性を示す図である。
【図11】比較例の半田付け処理装置による昇降温特性を示す図である。
【図12】図10および図11の昇降温特性の温度分布測定位置を示す図である。
【図13】図10および図11の昇降温特性の測定の際のプロセス条件を示す図である。
【図14】加熱状態を維持したまま、処理対象物を受け渡す場合における図1の半田付け処理装置による昇降温特性を示す図である。
【図15】第2の実施形態の半田付け処理装置の内部を上方から見た概略平面図である。
【図16】本発明の変形例における昇温特性の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の第1の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0013】
図1は、本発明の加熱溶融処理装置を半田付け処理装置として適用した場合の第1の実施形態を示している。半田付け処理装置1は、第1チャンバ2と、第2チャンバ3とを有し、これらの間で処理対象物たる半田付け基板を載せて搬送するハンド部4を冷却板としても兼用するものである。
【0014】
ここで、第1チャンバ2と第2チャンバ3とは、開閉可能なゲートバルブ5を介して連結されている。第1チャンバ2は、半田を含む処理対象物である半田付け基板100を半田付けするための処理室をなし、第2チャンバ3は、半田付け基板100を投入するためのロードロック室をなす。なお、半田付け基板100は、表面に複数の半田バンプが形成されているチップを少なくとも含む一対のチップであってもよく、この場合、前記半田付け処理として、前記一対のチップを前記半田バンプ同士または前記半田バンプと電極とを介して積層して接合するフリップチップボンディング処理が実行される。つまり、フリップチップボンディング処理を採用する場合は、第1のチップと第2のチップの双方の表面に半田バンプが形成され、これら半田バンプ同士を介して第1のチップと第2のチップとが半田接合されてもよく、第1のチップの表面に半田バンプが形成される一方、第2のチップの表面に電極部が形成され、第1のチップの半田バンプと第2のチップの電極部とを介して第1のチップと第2のチップとが半田接合されてもよい。
【0015】
以上の説明では、第1のチップと第2のチップの双方を半田接合する場合について述べたが、これ以外に、表面に複数の半田バンプが形成されているチップとウェハーの相互を半田接合すること、または、表面に複数の半田バンプが形成されている複数のウェハー同士を相互に半田接合することも考えられる。
【0016】
<給排気系について>
まず、第1チャンバ2および第2チャンバ3へ接続される給排気系について説明する。第1チャンバ2および第2チャンバ3には、それぞれバルブ6、7を介して排気ポンプ(真空ポンプ)8が接続されている。この排気ポンプ8は、第1チャンバ内および第2チャンバ内を減圧するための排気手段である。なお、本実施形態では、第1チャンバ2および第2チャンバ3用の排気手段として、1つの排気ポンプ8が設けられているが、本実施形態と異なり、それぞれのチャンバ2、3に別個独立した排気ポンプを設けてもよい。
【0017】
また、第1チャンバ2には、フラックスなしで半田付けを可能とするためにカルボン酸蒸気の供給系(カルボン酸供給手段)9がバルブ10を介して接続される。カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブチリック酸、バレリック酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、アクリル酸、サリチル酸、乳酸等を用いることができる。
【0018】
カルボン酸蒸気の供給系9は、水素、一酸化炭素のような還元性ガス、または窒素のような不活性ガス等のキャリアガスをカルボン酸蒸気に混合して第1チャンバ2内に導入する。カルボン酸蒸気の供給系9は、カルボン酸の液体を収容した密閉容器11を有し、その密閉容器11には、バルブ12を介してキャリアガスを供給するキャリアガス供給管13が接続されている。キャリアガス供給管13は、容器11内において気泡を発生(バブリング)させるためのバブリング部14に接続される。なお、容器11の周辺には、カルボン酸の液体を温めるためのヒータを設けてもよい。ヒータは、カルボン酸の液体を一定の温度に保つ。このように、キャリアガスを併用することにより、第1チャンバ2内へのカルボン酸蒸気の導入が容易になり、かつ十分に気化していない状態のカルボン酸が処理対象物上に付着して残渣を生じさせることを防止することができる。
【0019】
なお、本実施形態と異なり、キャリアガスを用いることなく、カルボン酸の液体を収容した密閉容器11を第1チャンバ2に連通させることにより、その蒸気を第1チャンバ2内に導入するようにしてよい。また、カルボン酸の液体を収容した密閉容器11を第1チャンバ2に連通させる途中でキャリアガスを混合するようにしてもよい。これらの場合、その蒸発量は、第1チャンバ2内のガス圧力に依存する。
【0020】
また、第1チャンバ2内にカルボン酸を加熱して気化させるカルボン酸加熱手段(不図示)を設けておき、カルボン酸の液体を供給管(不図示)を介して前記第1チャンバ内のカルボン酸加熱手段に供給することもできる。この場合、第1チャンバ2内でカルボン酸加熱手段が、液体のカルボン酸を加熱して気化することによって、カルボン酸蒸気雰囲気が提供されることになる。
【0021】
次に、カルボン酸回収部について説明する。本実施形態の半田付け処理装置1は、排気ポンプ8の吸気又は排気側に設けられ又は取り付けられて、気化したカルボン酸を回収するカルボン酸回収部(回収機構)15を有する。カルボン酸回収部15は、排気ポンプ8の吸気側または排気側に取り付けられるフィルタであってもよく、排気側に取り付けられるスクラバであってもよい。フィルタとしては、Ca(OH)2などの混合物を用いたアルカリ固形物による中和方式のフィルタやカルボン酸を熱分解する熱分解方式のフィルタを採用することができる。また、カルボン酸を捕捉するモレキュラーシーブを用いた吸着方式のフィルタ、または触媒分解反応を用いた触媒反応方式などその他の方式のフィルタを採用することもできる。一方、スクラバとしては、カルボン酸を液体処理により中和する方式のスクラバ、または気化したカルボン酸を溶液に溶かして回収する方式のスクラバを採用することができる。気化したカルボン酸を溶液に溶かして回収する方式のスクラバは、排気ポンプの排気側に連結された第1の排気管を液槽内の溶液に挿入するとともに、液槽の上部に第2の排気管を接続する構成を有する。
【0022】
さらに、第1チャンバ2には、内部を窒素雰囲気に置換(パージ)するための窒素供給管16がバルブ17を介して接続されており、第2チャンバ3には、同様に窒素供給管18がバルブ19を介して接続されている。
<加熱手段について>
次に、第1チャンバ2内に設けられる加熱手段について説明する。
【0023】
第1チャンバ2内には、加熱手段としての熱板20が設けられている。熱板20の上面には、半田付け基板100が載せられ加熱される。しかしながら、半田付け基板100の個数が多い場合などは、金属、セラミックその他の材料で形成されたトレー板110を介して半田付け基板100を熱板20上に配置することもできる。図1では、トレー板110を介して半田付け基板100が配置される場合を例示する。したがって、以下の説明では、説明の便宜上、半田付け基板100のみならずトレー板110を処理対象物と称する場合がある。
【0024】
なお、熱板20としては、ヒータが附設された金属、セラミックスその他の材料で構成することができ、ヒータとしてはシーズヒータのような電気抵抗発熱体を採用することができる。しかしながら、より好適には、耐食性を向上する見地から、熱板20をカーボン板状体で形成し、このカーボン板状体20自体に通電することによって、熱板20自体を発熱させて処理対象物を加熱することが望ましい。
<搬送部などについて>
次に、本実施形態の半田付け処理装置における搬送部について説明する。
【0025】
第2チャンバ3には、処理対象物を出し入れするめの蓋21が設けられている。そして、半田付け処理装置1は、投入された処理対象物を第1チャンバ2と第2チャンバ3との間で搬送する搬送部(搬送手段)22を具える。
【0026】
搬送部22は、ハンド部4と、ハンド部4を進退自在に移動するための移動機構(移動手段)23とを有する。ここで、本出願において、「ハンド部」とは、処理対象物を搬送する際に、この処理対象物を載せる部分を意味する。本実施形態では、ハンド部4は、板状体をしている。しかしながら、この場合に限られるものではなく、種々の形状のハンド部4を採用することができる。また、冷却効率を高める見地からは、ハンド部4の上面は、基板100あるいはトレー板110などの下面に密着できるように平坦に形成されることが望ましい。ハンド部4は、金属、セラミックその他の材料で形成することができる。
【0027】
図2は、ハンド部の一例を示す。ハンド部4は、冷却用媒体が内部を流通する流通路24を有する。図2に示す例では、ハンド部4の内部に流通路を設けてもよい。たとえば、ハンド部は、流通路をなす溝が形成されたハンド部本体と、ハンド部本体に接合される蓋部とを有し、ハンド部本体に蓋部を接合することで流通路が完成するようにしてもよい。流通路24は、ハンド部4の広い範囲を冷却するべく面内で蛇行するように設けられることが望ましい。なお、本実施形態と異なり、基板100やトレー板100を載せる面と反対側の面である下面側に流通路24を外付けしてもよい。流通路24内を流れる冷却用媒体は、液体でも気体でもよい。しかしながら、冷却効率の観点からは液体であることが望ましく、特に取り扱いの便宜の見地からは水が望ましい。流通路24の流入口25および流出口26は、好ましくは、可撓性を有する管(不図示)を介して第2チャンバの外部に延びて外部の冷媒循環装置(不図示)に接続される。
【0028】
このようなハンド部4は、移動機構23に取り付けられている。移動機構23は、第1チャンバ2と第2チャンバ3との間で前記ハンド部4を進退自在に移動するものである。図1では、移動機構23は、レール27(27a、27b、27c)と、当該レール27上をモータ動力で移動する移動ステージ28とを有する。レール27は、第1チャンバ2内に位置する第1レール部27aと、第2チャンバ3内に位置する第2レール部27bと、それらの間にある第3レール部27cとを有する。なお、第3レール部27cは、ゲートバルブ5の上部に取り付けられており、第1チャンバ2と第2チャンバ3との間のゲートバルブ5の開閉動作に連動して移動し、ゲートバルブ5が開いた状態で、第1レール部27aと第2レール部27bとを連結して全体のレール27を完成させる。
【0029】
なお、本実施形態では、レール27と移動ステージ28とを移動機構23として用いたが、移動機構は、この場合に限られず、ハンド部4を第1チャンバ2と第2チャンバ3との間で移動可能であるものである限り、一軸または多軸のロボットアームなどその他の各種機構であってもよい。
【0030】
次に、第1チャンバ2内において、ハンド部4との間で処理対象物を受け渡すために処理対象物を昇降する昇降機構について説明する。図1に示すように、昇降機構29、29は、基板100やトレー板110を支持しつつ昇降動作をするための機構である。昇降機構29、29は、基板100や基板100が載せられたトレー板110など処理対象物を熱板20(加熱手段)の上面に置かれた状態から離間させるように上昇移動させることができる。また、逆に熱板20から離間した状態で処理対象物を受け取った後、熱板20の上面に処理対象物を載置する状態となるまで処理対象物を下降移動させることができる。本実施形態では、棒形状の昇降桿を昇降機構29、29として用いる場合を説明したが、この場合に限られない。処理対象物などを支持しつつ上下方向に昇降動作することが可能である限り、昇降機構として採用することができる。
【0031】
次に、以上のように構成される本実施形態の半田付け処理装置1の動作について説明する。
【0032】
まず、図3に示されるように、第2チャンバ3の蓋21が開かれて、処理対象物である基板100が第2チャンバ3内に投入される。本実施形態では、複数の基板100が、トレー板110に載せられた状態で投入される。投入されたトレー板110は、ハンド部4の上面に載せられる。
【0033】
次いで、図4に示されるように、蓋21が閉じられる。バルブ6、7が開かれて排気ポンプ8が駆動され、第1チャンバ2および第2チャンバ3内が真空排気される。真空度は、適宜に決定することができるが、たとえば、10000Pa(≒80Torr)よりも高真空にすることが望ましい、さらに好もしくは10Pa(≒8×10−2Torr)よりも高真空にすることが望ましい。本実施形態では、真空度を、6.6Pa(5×10−2Torr)としている。
【0034】
次に、図5に示されるように、ゲートバルブ5を開く。そして、搬送部22が第2チャンバ3から第1チャンバ2へとトレー板110を搬送する。具体的には、ゲートバルブ5が開かれるのに連動して、第1レール部27a、第2レール部27b、第3レール部27cが繋がった状態となり、レール27が完成する。そして、移動ステージ28のモータ動力がオンされレール27に沿ってハンド部4を第1チャンバ2内へと移動させる。移動ステージ28は、ハンド部4が熱板20の上方に位置するまで移動を続ける。たとえば、移動ステージ28は、熱板20と接触しないように熱板20を跨ぐような形状をしている。
【0035】
次いで、図6に示されるように、昇降機構29、29が上昇してハンド部4上のトレー板110を受け取る。トレー板110を昇降機構29,29に受け渡した後、移動ステージ28は、ハンド部4を第2チャンバ3内へ戻す。
【0036】
次いで、図7に示されるように、昇降機構29、29が降下して、トレー板110を熱板20上に載置する。これとともに、ゲートバルブ5が閉じられて、第1チャンバ2と第2チャンバ3との間が閉鎖された状態となる。
【0037】
この状態で、カルボン酸蒸気の供給系9は、水素、一酸化炭素のような還元性ガス、または窒素のような不活性ガス等のキャリアガスをカルボン酸蒸気に混合して第1チャンバ2内に導入する。具体的には、バルブ12を開いてキャリアガスを密閉容器9内に導入してバブリングし、バルブ10を調整しつつ開いて、キャリアガスとともにカルボン酸蒸気を第1チャンバ2内に導入する。本実施形態では、カルボン酸としてギ酸を用いている。
【0038】
第1チャンバ2内の圧力は、カルボン酸蒸気およびキャリアガスの導入に伴って、たとえば、所定の圧力まで導入する。具体的には、カルボン酸蒸気およびキャリアガスの圧力は、処理対象物の表面の酸化の程度を考慮して、数Pa〜1×105Paまでの広い範囲の中から選択される。カルボン酸蒸気およびキャリアガスの圧力は、バルブ10およびバルブ6の開度などを調整することによって設定することができる。なお、排気ポンプ8(排気手段)によって排気されたカルボン酸蒸気は、排気手段の吸気又は排気側に設けられ又は取り付けられて、気化したカルボン酸を回収するカルボン酸回収部(回収機構)15によって回収されて、無害化される。
【0039】
このようなカルボン酸蒸気およびキャリアガスの導入に並行して熱板4により基板100の加熱がなされる。熱板20をカーボン板状体で形成した場合には、このカーボン板状体20自体に通電することによって、熱板20自体を発熱させることが可能である。カーボン板状体200自体を発熱させる構成によれば、カルボン酸に侵されにくくすることができ、耐食性を向上させることができる。熱板4は、基板100の半田の融点以上の温度となるまで、基板100を加熱する。たとえば、半田がSn−3.5Ag(融点221℃)である場合には、半田付けに適した230℃〜250℃程度まで加熱する。Pb−5Sn(融点314℃)である場合には、半田付けに適した330℃〜360℃程度まで加熱する。なお、ボイドを防止する観点からは、カルボン酸蒸気は、基板100の温度が融点に達する前には少なくとも導入することが望ましい。
【0040】
たとえば、所定時間(たとえば、5分〜10分程度)が経過すると、熱板20への通電を停止する。そして、バルブ10、12を閉めてカルボン酸蒸気の供給を停止する。次いで、バルブ15を閉じて排気ポンプ8の運転を停止し、バルブ17、19を開いて窒素ガスを導入して第1チャンバ1、2の内部を窒素ガスで置換する。
【0041】
次に、図8に示されるように、ゲートバルブ5を開く。これに伴ってレール27が完成する。そして、第1チャンバ2内においては、昇降機構29、29が上昇する。昇降機構29、29は、熱板20上のトレー板110を支持しつつトレー板110を熱板20から離間させる。これに連動して、移動ステージ28が、第2チャンバ3内から第1チャンバ2内へとレール27上を走行する。そして、昇降機構29、29によってトレー板110(あるいは、基板100が複数でないならば、基板100自身でもよい)が熱板20の上面から離間された状態で、移動ステージ(移動手段)28は、ハンド部4をトレー板110と熱板20との間に挿入する。このとき、ハンド部4は、熱板20自身には接触しない。
【0042】
次いで、昇降機構29、29が下降し、トレー板110をハンド部4上に受け渡す。ハンド部4は、流通路24が設けられており、その流通路24の内部を水その他の冷却用媒体が循環している。したがって、ハンド部4上にトレー板110(あるいは基板100)が載置された時点で、既に基板100の冷却が開始される。しかも、ハンド部4は、熱板20を介して基板100を間接的に冷却するのではなく、基板100自体あるいはトレー板110を直接に冷却するので、急速に冷却することができる。
【0043】
次いで、図9に示されるように、搬送部22は、第1チャンバ2から第2チャンバ3へとトレー板110を搬送する。すなわち、第1チャンバ2と第2チャンバ3との間で処理対象物を搬送する際に処理対象物を載せるハンド部4が、冷却板としても兼用されるので、処理対象物を搬送しつつ、その搬送時間も強制冷却を継続することができる。第2チャンバ3内にトレー板110が戻ると、ゲートバルブ5を閉じられる。そして、蓋21を開いて半田付けを終わった基板100をトレー板110ごと取り出す。そして、次に処理する基板100があれば、図4の状態に戻り、基板100を載せたトレー板110をハンド部4上に投入し、半田付け操作を繰り返す。
【0044】
以上のような処理を行う半田付け処理装置を用いた効果について説明する。図10は、本実施形態の半田付け処理装置1を用いた場合の昇降温特性であり、図11は、比較例として、ヒータを備える熱板に冷却板を密着させる従来のタイプの半田付け処理装置を用いた場合の昇降温特性である。なお、測定は、図12に示すように、カーボン板状体の熱板(カーボンヒータ)上に、300×300mmで厚さ5mmのカーボンのトレー板110を載せ、トレー板110の点1〜点11の各点で温度を測定した。また、プロセス条件としては、本実施形態の半田付け処理装置の場合も比較例の半田付け処理装置の場合も、図13に示すような同一の条件を採用した。
【0045】
図11に示されるように、従来のタイプの半田付け処理装置では、トレー板110上の温度が250℃から50℃になるまでに16分程度の時間が必要であったのに対し、本実施形態の半田付け処理装置では、トレー板110上の温度が250℃から50℃になるまで3分程度の時間で足りた。また、カーボン板状体を採用して、カーボン板状体への通電によってカーボン板状体自体を発熱させることができるので、測定点1〜11の各温度分布が均一であった。
【0046】
このように、本実施形態の半田付け処理装置によれば、処理対象物を急速冷却する際に、加熱手段を備えた熱板を介して処理対象物を間接的に冷却する必要がないので、さらに急速冷却が可能となる。つまり、降温時間を短縮することにより、作業速度を高めて生成性を高めることができることがわかる。
【0047】
なお、上述した条件では、室温から昇温を開始する場合を説明したが、本実施形態の半田処理装置によれば、冷却板として機能するハンド部4が熱板20に接触せず、熱板20を冷却する必要がない。したがって、熱板20自体の温度を所定温度以上、たとえば、70℃〜300℃程度に維持したまま、次の処理対象物の処理を行うことができる。したがって、必要に応じて、昇温時間についても短縮することもできる。つまり、上述した特許文献1に記載されているような従来の方法によれば、処理対象物を冷却するために熱板を冷却する必要がある。つまり、処理対象物における半田の酸化を防止したり、オペレータの火傷などを防止したりする見地から処理対象物を冷却する必要があるが、従来の方法によれば、熱板までも冷却する必要がある。この結果、従来の方法によれば、熱板を常温(JIS規格によれば20±15℃)近くまで下降する必要があったが、本実施形態の半田処理装置によれば、熱板20を常温近くまで下降する必要がない。したがって、たとえば、加熱手段として機能する熱板20の温度を、予め70℃以上の温度範囲に上げておくことで、昇温時間を短縮することができる。
【0048】
図14は、熱板20自体を270℃程度の温度に維持したまま、冷却板として機能するハンド部4により処理対象物を受け渡す場合における昇降温特性を示している。図14の縦軸は温度(℃)を示し、横軸は経過時間(分)を示している。なお、図14において、点線は熱板20の温度を示し、各実線は、図12に示すトレー板(処理対象物)の点1〜点12の各点での温度を示す。図14では、目標温度は、半田付けに適した230℃〜250℃に設定することが望ましく、本実施例では、250℃に設定している。図14に示される例では、処理対象物が載せられていない場合にも、熱板20は通電を維持して加熱状態を保つ。そして、熱板20自体を目標温度よりも高い設定温度である270℃程度に維持したまま、トレー板(処理対象物)が載せられる。このトレー板を載せた瞬間は、トレー板に熱が奪われるので、熱板20の温度は一旦は230℃程度まで低下する。しかし、その後の温度制御により再び設定温度に復帰する。
【0049】
図14に示されるように、熱板20自体の温度を目標温度付近(好ましくは、目標温度より高い温度領域)に維持したまま処理対照物を受け渡すことにより、非対称物の処理温度を室温付近から目標温度(250℃)まで昇温するのに要する時間を短縮することができる。図14に示す場合には、室温から目標温度(250℃)までに昇温するのに要する時間は、1分程度に抑えられている。なお、図11のように熱板20自体の温度を昇降する制御をする場合には室温付近から目標温度まで昇温するのに5分程度かかっていることと比較すると、図14に示すように、熱板20自体の温度を目標温度付近(好ましくは、目標温度より高い温度)に維持したまま処理対照物を受け渡すことによって、大幅な処理時間の短縮が可能であることがわかる。
【0050】
また、図14に示されるように、熱板20自体の温度を目標温度付近(好ましくは、目標温度より高い温度)に維持したまま処理対照物を受け渡す場合には、図11に示されるように熱板20自体の温度の昇降する場合と比べて、熱板20の温度がオーバーシュートすることがない。したがって、制御も容易になる。
【0051】
以上、図14に示したように、本実施形態の半田付け処理装置は、処理対象物を急速冷却する際に、加熱手段を備えた熱板を介して処理対象物を間接的に冷却する必要がないので、さらに急速冷却が可能となる。つまり、降温時間を短縮することにより、作業速度を高めて生成性を高めることができることがわかる。
【0052】
以上のように本実施形態の半田付け処理装置は、以下の効果を奏する。
(1)処理対象物を急速冷却する際に、加熱手段を備えた熱板を介して処理対象物を間接的に冷却する場合に比べて、降温時間を短縮することができる。
(2)熱板20自体の温度を高いまま維持しつつ、次の処理対象物の処理を行うことができる。したがって、必要に応じて、昇温時間についても短縮することもできる。
(3)搬送手段の構成部分であるハンド部4を冷却板として兼用することができるので、搬送時間をも強制冷却期間として利用することができる。また、搬送系と冷却系とを別々の機械構成として設ける必要がなくなる。
(4)熱板20として、カーボン板状体を採用して、カーボン板状体への通電によってカーボン板状体自体を発熱させることができるので、耐腐食性を向上することができる。
<第2の実施形態>
上記の第1の実施形態では、冷却用液体が内部を流通する流通路を有するハンド部4を用いる場合を説明した。第2の実施形態では、ハンド部4は、冷却用液体が内部を流通する流通路を有しない。
【0053】
図15は、第2の実施形態の半田付け処理装置の内部を上方から見た概略平面図を示す。なお、第1の実施形態と同様の構成について説明を省略する。本実施形態の半田付け装置のハンド部4は、銅(398 W・m−1・K−1)などのように熱伝導率が大きい物質で形成されることが望ましく、好ましくは熱伝導率が100W・m−1・K−1以上の物質で形成されることが望ましい。そして、本実施形態では、ハンド部4自体は、冷却用液体が流通する流通路を有しない。
【0054】
図15に示されるように、第2チャンバ3内には、ハンド部4を強制冷却する冷却部(強制冷却手段)30を有する。冷却部30は、たとえば、第1の実施形態におけるハンド部のように冷却用液体が流通する冷却路を有しており常に冷却されていてもよく、また、空冷されていてもよく、ペルチェ冷却など他の手段により冷却されていてもよい。
【0055】
移動機構(図15では、レール部27のみを示している)は、第1チャンバ2(特に、熱板20)と第2チャンバ3との間でハンド部4を進退自在に移動させるのみならず、ハンド部4を冷却部30上に当接させるように移動させる。
【0056】
本実施形態の半田付け処理装置は、以下のような動作を行う。まず、移動機構は、ハンド部4を冷却部30上に移動させて、冷却部30に当接させる。冷却部30に当接されることによって、ハンド部4は強制冷却される。そして、移動機構は、ハンド部4を冷却部30から離間させる。そして、第2チャンバ3から第1チャンバ2へと移動し、次いで、第1チャンバ2において基板100や基板100が載せられたトレー板110を受け取り、ハンド部4は、第1チャンバ2から前記第2チャンバ3へと処理対象物を載せて搬送する。そして、加熱済みの処理対象物を載せて搬送することによって温度が高まってしまったハンド部4は、ハンド部4を冷却部30上に移動されて強制冷却される。つまり、ハンド部4は、加熱された処理対象物を第1チャンバ2から取り出した後、加熱された処理対象物を第1チャンバ2から取り出すまでの間に、少なくとも1回は、冷却部30により強制冷却されることとなる。なお、新たに投入された処理対象物を加熱処理するために第2チャンバ3から第1チャンバ2へ搬入する場合にもハンド部4を用いることはできるが、このように第2チャンバ3から第1チャンバ2への搬入には冷却板として兼用されるハンド部4を用いる必要はないので、搬入用の別のハンド部を用意しておき、冷却板として兼用されるハンド部4は、別のハンド部による搬入処理の間も、次の取り出しに備えて冷却部30により強制冷却を継続することもできる。なお、処理対象物の受け取りと搬送は、図8および図9を参照しつつ説明した第1の実施形態の場合と同様であるので、詳しい説明を省略する。
【0057】
以上のように本実施形態の半田付け処理装置も、強制冷却した後のハンド部4を用いて処理対象物を搬送するので、搬送時間をも強制冷却期間として利用することができるという効果を奏する。したがって、上記の第1の実施形態の場合と同様の効果を奏する。また、ハンド部4自体には、冷却用液体を循環させる必要がなく、移動する部分には冷却用液体の管を配置する必要がない。したがって、設備のメンテナンスが容易である。
<変形例>
第1の実施形態の昇温過程では、(ア)第1チャンバ2および第2チャンバ3内を真空排気し、(イ)第1チャンバ2内に、キャリアガスをカルボン酸蒸気に混合して第1チャンバ2内に導入しつつ、キャリアガスとカルボン酸蒸気の雰囲気中で基板の加熱をし、還元処理をしつつ半田の融解をした。また、第1の実施形態の降温過程では、(ウ)第1チャンバ2内からカルボン酸蒸気とキャリアガスの混合ガスを排気して、(エ)第1チャンバ2および第3チャンバ3内を窒素ガスで置換した後、窒素ガス雰囲気中で、第1チャンバ2から第2チャンバ3へ処理対象物を搬出した。また、図13に示すように、昇温過程において温度を常に上昇する場合を例にとって説明した。
【0058】
しかし、本発明は、この場合に限られない。熱板は、図16に示されるように、処理対象物を半田の融点よりも低い還元処理温度(好ましくは130℃以上、特に好ましくは150℃以上)に数分程度の間、保持するようにしてもよい。このように還元処理温度に保持することによって、十分に半田の還元処理をすることができる。このように還元処理が促進される還元処理温度に保持する場合においても、本発明によれば、冷却板として機能するハンド部4が熱板20に接触せず、熱板20を冷却する必要がない。したがって、熱板20自体の温度を常に、還元処理温度に保持しておくこともできる。
【0059】
また、還元処理する前の時点では、カルボン酸蒸気の雰囲気中で昇温する必要は必ずしもない。たとえば、還元処理温度になるまでの間は、真空中で昇温加熱してもよく、窒素など不活性ガス雰囲気中で昇温加熱してもよい。これらの場合、還元処理温度に達した後に、第1チャンバ2内にカルボン酸を導入すればよい。窒素など不活性ガス雰囲気中で昇温する場合には、昇温速度を高める点で有利である。
【0060】
さらに、第1の実施形態では、第1チャンバ2内をキャリアガスとカルボン酸蒸気の雰囲気とする前に、一旦、真空排気する場合を説明した。確かに、第1チャンバ2内の酸素を低減するためには、一旦、真空排気することが望ましいが、必要に応じて、真空排気処理を省略することもできる。たとえば、窒素などの不活性ガスにより第1チャンバ2内を十分に置換し、還元処理が促進される温度に到達する時点で、カルボン酸蒸気をチャンバ内に導入することもできる。この場合、半田付け装置は、真空排気手段に代えて、第1チャンバ2内および/または第2チャンバ3内に不活性ガスを供給するための不活性ガス供給手段を有することになる。
【0061】
また、降温過程においても、第1実施形態のように、カルボン酸雰囲気を排気した後、第1チャンバ2および第3チャンバ3内を窒素ガスで置換し、窒素ガス雰囲気中で降温して処理対象物を取り出す場合に限られるわけではない。確かに、窒素ガス雰囲気中で降温して処理対象物を取り出すことは、降温することは降温速度を速める見地からは好ましいが、必要に応じて表面の酸化を避けるべく真空中で降温してもよく、カルボン酸雰囲気を排気しないまま第1チャンバ2から第2チャンバ3へと処理対象物を取り出すようにすることもできる。
【0062】
以上のように本発明の実施形態および変形例について説明したが、これらに本発明は限定されるものではない。
【0063】
たとえば、上記の説明では、処理対象物として半田付け基板を例にとるとともに、加熱溶融処理装置として半田付け処理装置を例にとって説明したが、本発明は、この場合に限られない。本発明は、半田を含む処理対象物について半田の加熱溶融処理するものである限り適用することができる。たとえば、半田を溶融して半田ボールなどを成形する半田ボール成形装置、その他の加熱溶融処理装置に利用することができる。また、基板は、半田付け基板に限られない。
【0064】
また、以上の説明では、第1チャンバと第2チャンバとを有する加熱溶融処理装置を説明したが、本発明はこの場合に限れない。半田を含む処理対象物についてカルボン酸蒸気を含む雰囲気中で加熱溶融処理する加熱溶融処理装置において、第1チャンバから装置外部に搬送して取り出す搬送手段のハンド部を冷却板として兼用することもできる。また、加熱溶融処理装置は、3つ以上のチャンバを有していてもよい。たとえば、加熱処理前の処理対象物を第1チャンバ内に投入するための投入側チャンバと、加熱処理後の処理後の処理対象物を第1チャンバ内から搬出するための搬出側チャンバとを有していてもよい。この場合も、複数のハンド部のうち、加熱後の処理対象物を搬送するためのハンド部を冷却板として兼用することもできる。
【0065】
すなわち、半田を含む処理対象物についてカルボン酸蒸気を含む雰囲気中で加熱溶融処理する加熱溶融処理装置であって、前記加熱溶融処理した処理対象物を載せて搬送するためのハンド部を冷却板として兼用するものであれば、本発明を適用することができる。 本発明は、特許請求の範囲から逸脱しない範囲で追加、削除、変更などが可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 半田付け処理装置、
2 第1チャンバ、
3 第2チャンバ、
4 ハンド部、
5 ゲートバルブ(開閉可能なバルブ)、
8 排気ポンプ(排気手段)、
9 カルボン酸蒸気の供給系(供給手段)、
10 原稿読取部、
11 密閉容器、
13 キャリアガス供給管、
14 バブリング部、
15 カルボン酸回収部(回収機構)、
20 熱板(加熱手段)、
21 入力装置
22 搬送部(搬送手段)、
23 移動機構、
24 流通路、
29 昇降機構、
100 基板、
110 トレー板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半田を含む処理対象物についてカルボン酸蒸気を含む雰囲気中で加熱溶融処理する加熱溶融処理装置であって、
前記加熱溶融処理した処理対象物を載せて搬送するためのハンド部を冷却板として兼用することを特徴とする加熱溶融処理装置。
【請求項2】
半田を含む前記処理対象物を加熱溶融処理するための第1チャンバと、
前記第1チャンバとの間で開閉可能なバルブを介して連結される第2チャンバと、
前記第1チャンバ中に前記カルボン酸を供給するカルボン酸供給手段と、
前記処理対象物を加熱するために前記第1チャンバ中に設けられた加熱手段と、
前記第1チャンバと前記第2チャンバとの間で前記処理対象物を搬送する際に前記処理対象物を載せる前記ハンド部を有しており当該ハンド部が冷却板として兼用される搬送手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載の加熱溶融処理装置。
【請求項3】
前記ハンド部は、冷却用液体が内部を流通する流通路を有することを特徴とする請求項2に記載の加熱溶融処理装置。
【請求項4】
前記第2チャンバ内に設けられて、当接された前記ハンド部を強制冷却する強制冷却手段を有し、
強制冷却手段によって冷却された後のハンド部が、前記第1チャンバから前記第2チャンバへと前記処理対象物を載せて搬送することを特徴とする請求項2に記載の加熱溶融処理装置。
【請求項5】
前記搬送手段は、前記ハンド部を進退自在に移動するための移動機構を含むことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の加熱溶融処理装置。
【請求項6】
前記加熱手段は、前記処理対象物が載置されるカーボン板状体であり、当該カーボン板状体への通電によって前記処理対象物を加熱することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の加熱溶融処理装置。
【請求項7】
前記加熱手段の上面に載置された前記処理対象物を昇降する昇降機構を有し、
前記ハンド部は、前記昇降機構によって前記処理対象物が前記加熱手段の上面から離間された状態で、前記処理対象物と前記加熱手段との間に挿入されることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の加熱溶融処理装置。
【請求項8】
前記カルボン酸供給手段は、
カルボン酸の液体を収容する容器と、
前記容器において生じたカルボン酸蒸気と混合されるキャリアガスを供給するために前記容器に連通される供給管とを備えることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の加熱溶融処理装置。
【請求項9】
前記カルボン酸供給手段は、
カルボン酸の液体を前記第1チャンバ内に供給する供給管と、
前記第1チャンバ内に設けられて前記カルボン酸の液体を気化させるカルボン酸加熱手段と、を有することを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の加熱溶融処理装置。
【請求項10】
さらに、前記第1チャンバ内および前記第2チャンバ内を減圧するための一または複数の排気手段を有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の加熱溶融処理装置。
【請求項11】
さらに、前記排気手段の吸気又は排気側に設けられ又は取り付けられて、気化したカルボン酸を回収する回収機構を有することを特徴とする請求項10に記載の加熱溶融処理装置。
【請求項12】
さらに、前記第1チャンバ内および/または前記第2チャンバ内に不活性ガスを供給するための不活性ガス供給手段を有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の加熱溶融処理装置。
【請求項13】
前記処理対象物は、半田付け基板であり、
前記加熱溶融処理は、半田付け処理であることを特徴とする請求項2〜12のいずれか1項に記載の加熱溶融処理装置。
【請求項14】
前記半田付け基板は、表面に複数の半田バンプが形成されているチップを少なくとも含む一対のチップであり、
前記半田付け処理は、前記一対のチップを前記半田バンプ同士または前記半田バンプと電極とを介して接合するフリップチップボンディング処理であることを特徴とする請求項13に記載の加熱溶融処理装置。
【請求項15】
前記半田付け基板は、表面に複数の半田バンプが形成されているチップとウェハー、または、表面に複数の半田バンプが形成されている複数のウェハー同士であることを特徴とする請求項14に記載の加熱溶融処理装置。
【請求項16】
前記冷却板として兼用される前記ハンド部は、前記加熱手段に触れることなく前記処理対象物を載せるものであり、
昇温時間を短くするために、予め加熱手段の温度を70℃以上の温度に上げておくことを特徴とする請求項2〜9のいずれか1項に記載の加熱溶融処理装置。
【請求項17】
半田を含む処理対象物についてカルボン酸蒸気を含む雰囲気中で加熱溶融処理する段階と、
前記加熱溶融処理した処理対象物を、冷却板として兼用されるハンド部に載せて搬送する段階と、を有することを特徴とする加熱溶融処理方法。
【請求項1】
半田を含む処理対象物についてカルボン酸蒸気を含む雰囲気中で加熱溶融処理する加熱溶融処理装置であって、
前記加熱溶融処理した処理対象物を載せて搬送するためのハンド部を冷却板として兼用することを特徴とする加熱溶融処理装置。
【請求項2】
半田を含む前記処理対象物を加熱溶融処理するための第1チャンバと、
前記第1チャンバとの間で開閉可能なバルブを介して連結される第2チャンバと、
前記第1チャンバ中に前記カルボン酸を供給するカルボン酸供給手段と、
前記処理対象物を加熱するために前記第1チャンバ中に設けられた加熱手段と、
前記第1チャンバと前記第2チャンバとの間で前記処理対象物を搬送する際に前記処理対象物を載せる前記ハンド部を有しており当該ハンド部が冷却板として兼用される搬送手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載の加熱溶融処理装置。
【請求項3】
前記ハンド部は、冷却用液体が内部を流通する流通路を有することを特徴とする請求項2に記載の加熱溶融処理装置。
【請求項4】
前記第2チャンバ内に設けられて、当接された前記ハンド部を強制冷却する強制冷却手段を有し、
強制冷却手段によって冷却された後のハンド部が、前記第1チャンバから前記第2チャンバへと前記処理対象物を載せて搬送することを特徴とする請求項2に記載の加熱溶融処理装置。
【請求項5】
前記搬送手段は、前記ハンド部を進退自在に移動するための移動機構を含むことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の加熱溶融処理装置。
【請求項6】
前記加熱手段は、前記処理対象物が載置されるカーボン板状体であり、当該カーボン板状体への通電によって前記処理対象物を加熱することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の加熱溶融処理装置。
【請求項7】
前記加熱手段の上面に載置された前記処理対象物を昇降する昇降機構を有し、
前記ハンド部は、前記昇降機構によって前記処理対象物が前記加熱手段の上面から離間された状態で、前記処理対象物と前記加熱手段との間に挿入されることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の加熱溶融処理装置。
【請求項8】
前記カルボン酸供給手段は、
カルボン酸の液体を収容する容器と、
前記容器において生じたカルボン酸蒸気と混合されるキャリアガスを供給するために前記容器に連通される供給管とを備えることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の加熱溶融処理装置。
【請求項9】
前記カルボン酸供給手段は、
カルボン酸の液体を前記第1チャンバ内に供給する供給管と、
前記第1チャンバ内に設けられて前記カルボン酸の液体を気化させるカルボン酸加熱手段と、を有することを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の加熱溶融処理装置。
【請求項10】
さらに、前記第1チャンバ内および前記第2チャンバ内を減圧するための一または複数の排気手段を有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の加熱溶融処理装置。
【請求項11】
さらに、前記排気手段の吸気又は排気側に設けられ又は取り付けられて、気化したカルボン酸を回収する回収機構を有することを特徴とする請求項10に記載の加熱溶融処理装置。
【請求項12】
さらに、前記第1チャンバ内および/または前記第2チャンバ内に不活性ガスを供給するための不活性ガス供給手段を有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の加熱溶融処理装置。
【請求項13】
前記処理対象物は、半田付け基板であり、
前記加熱溶融処理は、半田付け処理であることを特徴とする請求項2〜12のいずれか1項に記載の加熱溶融処理装置。
【請求項14】
前記半田付け基板は、表面に複数の半田バンプが形成されているチップを少なくとも含む一対のチップであり、
前記半田付け処理は、前記一対のチップを前記半田バンプ同士または前記半田バンプと電極とを介して接合するフリップチップボンディング処理であることを特徴とする請求項13に記載の加熱溶融処理装置。
【請求項15】
前記半田付け基板は、表面に複数の半田バンプが形成されているチップとウェハー、または、表面に複数の半田バンプが形成されている複数のウェハー同士であることを特徴とする請求項14に記載の加熱溶融処理装置。
【請求項16】
前記冷却板として兼用される前記ハンド部は、前記加熱手段に触れることなく前記処理対象物を載せるものであり、
昇温時間を短くするために、予め加熱手段の温度を70℃以上の温度に上げておくことを特徴とする請求項2〜9のいずれか1項に記載の加熱溶融処理装置。
【請求項17】
半田を含む処理対象物についてカルボン酸蒸気を含む雰囲気中で加熱溶融処理する段階と、
前記加熱溶融処理した処理対象物を、冷却板として兼用されるハンド部に載せて搬送する段階と、を有することを特徴とする加熱溶融処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−67864(P2011−67864A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254255(P2009−254255)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(392012951)アユミ工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(392012951)アユミ工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
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