説明

加熱調理器

【課題】地絡していない正常時においてアース接続検知ができるようにすること。
【解決手段】少なくとも一部は導電体である外郭2と、商用電源1に接続する加熱部3と、商用電源1に両端子を接続されるYコンデンサ(回路インピーダンス)4と、外郭を接地するための接続手段5と、回路インピーダンス4の他端子と外郭2または外郭2を接地するための接続手段5との接続手段である機能アース6と、外郭2を接地するための接続手段5に流れる電流を検知する第1のアース電流検知手段7を有する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導加熱調理器や、電気魚焼き器などの加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、従来の加熱調理器の例として、図3に基づいて説明する。
【0003】
図3は従来の加熱調理器の回路構成を示す図である。商用電源1は片側を接地されて加熱調理器に接続される。加熱調理器は金属からなる外郭2を有し、外郭2は接地する。商用電源は零相変流器11を介して、さらに開閉手段8を介して加熱部3に接続される。調理を開始するときに開閉手段8を閉じ、加熱部に商用電源を印加して加熱し、調理するものである。
【0004】
以上のように構成された加熱調理器において、加熱部3が絶縁不良になるなど地絡した場合には零相変流器11に不平衡電流が発生し地絡したことを検知して開閉手段8を開放して地絡部である加熱部3を切り離し仮に外郭2が接地されていなくても感電を防止するものである。
【特許文献1】特開2000−19211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の構成では、地絡していない正常時においてアース接続検知をすることが困難であるという課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、容易な構成で地絡していない正常時においてアース接続検知ができる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の加熱調理器は、少なくとも一部は導電体である外郭と、商用電源に接続される加熱部と、前記商用電源に両端子を接続される回路インピーダンスと、前記外郭を接地するための接続手段と、前記回路インピーダンスの他端子と前記外郭または前記外郭を接地するための接続手段との接続手段である機能アースと、前記外郭を接地するための接続手段に流れる電流を検知する第1のアース電流検知手段とを備えた構成とした。
【0008】
この構成により、地絡していない正常時においてアース接続検知することができる加熱調理器とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の加熱調理器は、地絡していない正常時においてアース接続検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明は、少なくとも一部は導電体である外郭と、商用電源に接続される加熱部と、前記商用電源に両端子を接続される回路インピーダンスと、前記外郭を接地するための接続手段と、前記回路インピーダンスの他端子と前記外郭または前記外郭を接地するための接続手段との接続手段である機能アースと、前記外郭を接地するための接続手段に流れる電流を検知する第1のアース電流検知手段とを備えた構成とすることにより、地絡していない正常時においてアース接続検知することができる。
【0011】
第2の発明は、少なくとも一部は導電体である外郭と、商用電源に接続される加熱部と、前記商用電源に両端子を接続される回路インピーダンスと、前記外郭を接地するための接続手段と、前記回路インピーダンスの他端子と前記外郭または前記外郭を接地するための接続手段との接続手段である機能アースと、前記機能アースに流れる電流を検知する第2のアース電流検知手段を備えた構成とすることにより、より容易に地絡していない正常時においてアース接続検知することができる。
【0012】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、回路インピーダンスはYコンデンサとすることにより、容易な構成で地絡していない正常時においてアース接続検知することができる。
【0013】
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明において、少なくとも1つの加熱部は誘導加熱方式とすることにより、容易な構成で地絡していない正常時においてアース接続検知することができる。
【0014】
第5の発明は、特に、第1〜第4のいずれか1つの発明において、アース電流検知手段(第1または第2のアース電流検知手段)により検知する電流が第1の所定値以下であれば加熱部の加熱を停止する構成とすることにより、使用者の安全を確保することができる。
【0015】
第6の発明は、特に、第1〜第4のいずれか1つの発明において、報知手段を備え、アース電流検知手段(第1または第2のアース電流検知手段)により検知する電流が第1の所定値以下であれば報知する構成とすることにより、使用者に不安全に対する注意を喚起することができる。
【0016】
第7の発明は、特に、第5または第6の発明において、少なくとも1つの加熱部は誘導加熱方式であり、第1の所定値は誘導加熱周波数に応じて変化させることにより、容易な構成で地絡していない正常時においてアース接続検知することができる。
【0017】
第8の発明は、特に、第5〜第7のいずれか1つの発明において、第1のアース電流検知手段により検知する電流が第2の所定値以上であれば加熱部の加熱を停止する構成とすることにより、より使用者の安全を確保できる。
【0018】
第9の発明は、特に、第5〜第7のいずれか1つの発明において、報知手段を備え、第1のアース電流検知手段により検知する電流が第2の所定値以上であれば報知する構成とすることにより、使用者の安全をより確保することができる。
【0019】
第10の発明は、特に、第8または第9の発明において、少なくとも1つの加熱部は誘導加熱方式であり、第1のアース電流検知手段により検知する第2の所定値は誘導加熱周波数に応じて変化させる構成とすることにより、地絡していない正常時においてアース接続検知して使用者の安全をより確保することができる。
【0020】
第11の発明は、特に、第1〜第10のいずれか1つの発明において、商用電源と加熱部の電気的接続を切り離す開閉手段を備えた構成とすることにより、使用者の安全をより確保することができる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の回路構成図である。
【0023】
図1において、商用電源1は200V商用電源であり本実施の形態では単相2線式としている。外郭2は金属からなり外郭を接地するための接続手段5であるリード線により接地されている。商用電源1には図示しないインバータと加熱コイルからなる誘導加熱式の加熱部が接続され、加熱コイルに対向して載置される鍋を加熱する。さらに商用電源1には開閉手段8を介してシーズヒーターである加熱部3が接続されている。調理開始時に開閉手段8を閉じて加熱部3に通電し加熱調理を行うものである。商用電源1にノイズ低減のため回路インピーダンス4であるYコンデンサを接続し、Yコンデンサの他端は機能アース6により外郭に接続されている。外郭を接地するための接続手段5にはカレントトランスからなる第1のアース電流検知手段7を設置している。
【0024】
以上の構成により接地されていると外郭を接地するための接続手段5に電流が流れることからカレントトランスからなる第2のアース電流検知手段は電流が流れていることを検知できる。したがって、接地されていることが確認できるものである。
【0025】
しかしながら、工事の不備などにより接地がされていない場合には外郭を接地するための接続手段5には電流は流れない。よって回路インピーダンスと商用電源の電圧によって規定される接地されている場合の電流値と0との間に第1の所定値を設け第1の所定値以下であれば加熱を停止するとともに開閉手段を開として切り離しかつ、図示しない報知手段によって接地に不備があることを使用者に周知させ、感電危険を防止するものである。
【0026】
また、加熱部3が絶縁不良などにより外郭にリークするとリーク電流が外郭を接地するための接続手段5に流れる。このリーク電流より小さい第2の所定値より外郭を接地するための接続手段5に流れる電流が大きい場合には地絡異常であるとして加熱を停止するとともに開閉手段を開として切り離しかつ、図示しない報知手段によって地絡しており危険であることを使用者に周知させ、感電や火災危険を防止するものである。
【0027】
(実施の形態2)
図2は本発明の第2の実施の形態における加熱調理器の回路構成図である。
【0028】
図2において、商用電源1は200V商用電源であり本実施の形態では単相2線式としている。外郭2は金属からなり外郭を接地するための接続手段5であるリード線により接地されている。商用電源1には図示しないインバータと加熱コイルからなる誘導加熱式の加熱部が接続され、加熱コイルに対向して載置される鍋を加熱する。さらに商用電源1には開閉手段8を介してシーズヒーターである加熱部3が接続されている。調理開始時に開閉手段8を閉じて加熱部3に通電し加熱調理を行うものである。商用電源1にノイズ低減のため回路インピーダンス4であるYコンデンサを接続し、Yコンデンサの他端は機能アース6により外郭を接地するための接続手段5に接続されている。機能アース6にはカレントトランスからなる第1のアース電流検知手段7を設置している。
【0029】
以上の構成により接地されていると機能アース6に電流が流れることからカレントトランスからなる第1のアース電流検知手段は電流が流れていることを検知できる。したがって、接地されていることが確認できるものである。
【0030】
しかしながら、工事の不備などにより接地がされていない場合には機能アース6には電流は流れない。よって回路インピーダンスと商用電源の電圧によって規定される接地されている場合の電流値と0との間に第1の所定値を設け第1の所定値以下であれば加熱を停止するとともに開閉手段を開として切り離しかつ、図示しない報知手段によって接地に不備があることを使用者に周知させ、感電危険を防止するものである。
【0031】
なお、本実施の形態1、2では単相2線式としたが単相3線式など他の配電方法でも本発明の効果が得られることは言うまでもない。
【0032】
また、誘導加熱式は負荷によって誘導加熱周波数を変えることがありその場合誘導加熱式の加熱部から回路インピーダンスは、機能アースに流れる電流は周波数に応じて変化する、たとえば、回路インピーダンスがYコンデンサの場合には周波数が高くなるとインピーダンスが小さくなり、Yコンデンサを通して機能アースに流れる電流は周波数に応じて大きくなるので第1の所定値や第2の所定値を周波数に応じて大きくするものである。回路インピーダンスが他の部品で構成された場合も、予め使用する周波数による機能アースに流れる電流の変化を確認して前記第1の所定値や第2の所定値を周波数に応じて変化させ、電流が変化しても周波数に応じて変化させることで前記の所望の動作をさせ感電や火災危険を防止するものである。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上のように、本発明にかかる加熱調理器は、システム化しても動作することが可能となるので、業務用複合加熱調理機器等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の回路構成図
【図2】本発明の第2の実施の形態における加熱調理器の回路構成図
【図3】従来の加熱調理器の回路構成図
【符号の説明】
【0035】
1 商用電源
2 外郭
3 加熱部
4 Yコンデンサ(回路インピーダンス)
5 外郭を接地するための接続手段
6 機能アース
7 第1のアース電流検知手段
8 開閉手段
9 第2のアース電流検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部は導電体である外郭と、商用電源に接続される加熱部と、前記商用電源に両端子を接続される回路インピーダンスと、前記外郭を接地するための接続手段と、前記回路インピーダンスの他端子と前記外郭または前記外郭を接地するための接続手段との接続手段である機能アースと、前記外郭を接地するための接続手段に流れる電流を検知する第1のアース電流検知手段とを備えたことを特徴とした加熱調理器。
【請求項2】
少なくとも一部は導電体である外郭と、商用電源に接続される加熱部と、前記商用電源に両端子を接続される回路インピーダンスと、前記外郭を接地するための接続手段と、前記回路インピーダンスの他端子と前記外郭または前記外郭を接地するための接続手段との接続手段である機能アースと、前記機能アースに流れる電流を検知する第2のアース電流検知手段とを備えたことを特徴とした加熱調理器。
【請求項3】
回路インピーダンスはYコンデンサであることを特徴とした請求項1または2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
少なくとも1つの加熱部は誘導加熱方式である請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
アース電流検知手段(第1または第2のアース電流検知手段)により検知する電流が第1の所定値以下であれば加熱部の加熱を停止する請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項6】
報知手段を備え、アース電流検知手段(第1または第2のアース電流検知手段)により検知する電流が第1の所定値以下であれば報知する請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項7】
少なくとも1つの加熱部は誘導加熱方式であり、第1の所定値は誘導加熱周波数に応じて変化させることを特徴とした請求項5または6に記載の加熱調理器。
【請求項8】
第1のアース電流検知手段により検知する電流が第2の所定値以上であれば加熱部の加熱を停止する請求項5〜7のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項9】
報知手段を備え、第1のアース電流検知手段により検知する電流が第2の所定値以上であれば報知する請求項5〜7のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項10】
少なくとも1つの加熱部は誘導加熱方式であり、第1のアース電流検知手段により検知する第2の所定値は誘導加熱周波数に応じて変化させることを特徴とした請求項8または9に記載の加熱調理器。
【請求項11】
商用電源と加熱部の電気的接続を切り離す開閉手段を備えたことを特徴とした請求項1〜10のいずれか1項に記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−293763(P2008−293763A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−137430(P2007−137430)
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】