説明

包装容器

【課題】菓子の形状を損なうことなく安全に搬送することができるとともに、包装容器から菓子を容易に取り出すことが可能な包装容器を提供する。
【解決手段】菓子6を収納する包装容器1において、所定形状の菓子6を一列に複数、等間隔Xに配列した状態で、当該列方向の左右の側面の半分の菓子6の形状61a、61bに符合する内側形状21a、21bを備えた2つの内枠2a、2bと、前記2つの内枠2a、2bで前記一列の菓子6を左右方向から挟んだ時の、当該2つの内枠2a、2bの外形に符合する外ケース3とを備えることを特徴とする包装容器1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、菓子を収納する包装容器に関し、詳しくは、菓子の形状を損なうことなく安全に搬送することができるとともに、包装容器から菓子を容易に取り出すことが可能な包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、菓子を収納(包装)する包装容器には、従来から様々な形状、タイプ、大きさのものが提案されているが、最近では低廉で製造コストが低く、又、輸送や持ち運びの際に加わる外力に対して耐久性のある合成樹脂製のものが主流を占めている。
【0003】
例えば、合成樹脂製の包装容器では、菓子等を収容した状態の包装容器が工場からトラックなどで店舗(例えば、デパート、コンビニエンスストア等)へ輸送され、そのまま店頭のショーケース等に陳列される。包装容器の蓋体は透明な合成樹脂材で形成されるため、消費者(需要者)が、内部に収容される商品の状態を視認した上で購入を行うことが出来る。
【0004】
しかしながら、従来の菓子等の包装容器では、被蓋状態で両フランジ部を貼着テープやステープルで止めなければならず、その分、工場での作業コストが余分にかかり、購入後における消費者の蓋体の取外し作業が面倒となり、ステープル針が容器内部に混入する可能性があるという問題が存在した。
【0005】
又、複数個の包装容器を、段積みした状態で輸送又は運搬する場合に、上部側に配設される包装容器の荷重により、下部側の包装容器の蓋体に下方に湾曲する弾性変形が生じ、例えば、包装容器本体に収容される菓子が、変形した蓋体によりつぶされるという問題が存在した。蓋材が変形して菓子がつぶれると、当然、菓子の見栄えが悪くなる。又、菓子の上部にショートケーキ等のデコレーションが設けられている場合、変形した蓋体裏面にクリームが付着し、収容される菓子の商品性が損なわれるという二次的問題が発生した。
【0006】
更に、包装容器の本体上面に縦横に備えられる区画突条は、本体上で同じ高さに設定されるため、一度、菓子が包装容器に収容されると、被蓋された包装容器の本体内での空気の移動が少なくなり、当該包装容器が冷蔵ショーケース等に載置された場合、蓋体の表面に曇りが発生し易いという問題も存在した。
【0007】
このような問題を解決する技術として、特開平11−91783号公報(特許文献1)には、合成樹脂製の函状の容器本体にあって塊状の菓子類をその内部上面に複数個載置して区画収容し、該容器本体の上部を合成樹脂製の蓋体にて被蓋する菓子類の包装容器が開示されている。この菓子類の包装容器は、容器本体は菓子類を載置して収容する内底部の周縁に、本体側壁部を斜め外方に連続して立ち上げることとし、該立ち上げた本体側壁部の先端部には周縁部の外方に突出する本体フランジ部を備えるとともに、蓋体は上面中心側に一定面積の略平坦面を備え、該平坦面の周縁には平坦面の周縁から垂下あるいは斜め外方に垂下させる蓋側壁部を連続して備えるとともに、該連続する蓋側壁部の先端部には容器本体の上部に蓋体を被蓋する状態で、上記本体側壁部の本体フランジ部に上方より被さり、嵌合し、周縁部外方に突出する蓋フランジ部を備える。当該構成により、内部に収容する菓子類に輸送中や運搬中に加わる外力が及ぶことなく、確実に区画収容し、安全かつ衛生的で操作性に優れた包装容器を提供することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−91783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、菓子の上面と蓋体の下面との間にどうしても空間が生じてしまうため、搬送による振動等に対してある程度耐久性を有するものの、包装容器が激しく振動した場合や複数の包装容器が上方に山済みになっている場合等では、菓子の上面が蓋体の下面(内面、内壁)に接触し、菓子の上面が変形して、上述したように、菓子の商品性が失われるという問題が未だに存在する。つまり、菓子をより安全に収納することが出来ないという問題がある。
【0010】
又、特許文献1に記載の技術では、包装容器の搬送中に問題がなかったとしても、消費者が包装容器から菓子を取り出す際に、蓋体を開いて菓子の上面を掴んで取り出す必要がある。そのため、菓子の上面の変形を避けることが出来ず、包装容器から取り出された菓子の上面は崩れてしまい、その結果、消費者が菓子を食する際には、収納時の菓子の外観形状を楽しむことが出来ないという問題がある。特に、菓子の上面は、他の面と比較して商品価値を高めるための特殊なデコレーションがなされる場合が多く、当該デコレーションが崩れると、菓子の商品性が大きく損なわれるという問題がある。更に、包装容器から菓子を取り出す際に、消費者が、例えば、菓子の上面を手で掴んで菓子を取り出す場合、手が汚れてしまうという問題もある。
【0011】
そこで、本発明は、前記問題を解決するためになされたものであり、本発明者が鋭意研究を行った結果、画期的なアイデアに基づき、菓子の形状を損なうことなく安全に搬送することができるとともに、包装容器から菓子を容易に取り出すことが可能な包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し目的を達成するために、菓子を収納する包装容器を前提とする。
【0013】
前記包装容器において、所定形状の菓子を一列に複数、等間隔に配列した状態で、当該列方向の左右の側面の一部分と残りの部分の菓子の形状に符合する内側形状を備えた2つの内枠と、前記2つの内枠で前記一列の菓子を左右方向から挟んだ時の、当該2つの内枠の外形に符合する外ケースとを備える。
【0014】
ここで、列方向の左右の側面の一部分の菓子の形状と、残りの部分の菓子の形状とは、必ずしも列方向の左右対称である必要はない。つまり、一部分の菓子の形状と、残りの部分の菓子の形状とは、表面積又は体積を基準として同等である必要はない。又、前記2つの内枠に備えられた内側形状は、列方向の左右の側面の一部分と残りの部分との菓子の形状に符合すれば、列方向の左右の側面半分の菓子の形状に符合するように構成することができる。又、前記内側形状は、列方向の左右の側面半分の菓子の形状の全部に符合する必要はないし、列方向の左右の側面半分の菓子の形状のいずれかの部分に付符合しても構わない。例えば、菓子の形状が楕円柱形状であれば、内枠の内側形状は、楕円柱形の周側面半分の菓子の形状に符合しても、楕円柱形状の周端縁の半分の菓子の形状に符合しても構わない。又、内枠は、内容器に相当するものであってもよい。尚、列方向の左右の側面の一部分(又は残りの部分)の菓子の形状を側面凸部とすると、内枠の内側形状は側面凹部に相当する。
【0015】
前記内枠の個数が2つに設定されると、菓子の形状によるものの、2つの内枠の形状を左右対称又は列方向の前後対称に構成すればよい場合もあるため、内枠の製造が容易となり、好ましい。
【0016】
前記2つの内枠の内側形状を、対応する列方向の左右の側面半分の菓子の形状にそれぞれ符合させた状態は、当該2つの内枠が相互に重なり合わない状態に対応する。
【0017】
前記外ケースは、前記2つの内枠で前記一列の菓子を左右方向から挟んだ時の、当該2つの内枠の外形に符合すれば、どのような形状でも構わない。ここで、外ケースが前記2つの内枠の外形に符合するとは、当該外ケースの寸法が必ずしも2つの内枠の外形と合致するように設計される必要はない。前記2つの内枠の外形に応じて外ケースの形状は適宜設計変更されるものの、当該外ケースの形状は、例えば、球形、円形、楕円形、三角形、四角形、長方形、正方形、多角形等の形状が挙げられる。又、前記2つの内枠の外形と符合する外ケースの内形状(内面)と当該外ケースの外形(外面)との間に緩衝材等を備えるよう構成してもよい。又、外ケースは、包装箱に相当するものであってもよい。
【0018】
前記内枠及び前記外ケースは、どのような素材から構成されても構わない。例えば、紙、合成樹脂、天然樹脂等からなるフィルム、紙とフィルムとの積層フィルム、異種フィルムからなる積層フィルムの素材が挙げられる。
【0019】
前記内枠が、可撓性のシートで形成されると好ましい。当該構成とすると、内枠に弾力が生じ、搬送中の衝撃、振動等をある程度吸収して緩和することが可能となる。更に、前記内枠が、透明性のシートで形成されると更に好ましい。当該構成とすると、2つの内枠に挟まれた菓子を一目で認識することが可能となる。前記シートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)の合成樹脂が挙げられる。尚、内枠は、成形品であっても構わない。前記外ケースは、紙から構成されると好ましい。当該構成とすると、安価に製作することが可能となる。
【0020】
更に、前記複数の菓子の上下に配置されるシートを備えるよう構成することができる。当該構成とすると、菓子の上下に特別な枠を必要とせずに菓子を包装することが可能となる。
【0021】
又、前記包装容器に収納される菓子の個数が少なくとも1個であるよう構成することができる。
【0022】
前記包装容器の包装方法であって、2つの内枠が取り外された外ケースの底面に、前記菓子を一列に、等間隔に配列させるステップと、配列された前記一列の菓子を前記2つの内枠で左右方向から挟むステップと、前記2つの内枠で前記一列の菓子を挟んだ状態で、前記外ケースを組み立てることによって、前記2つの内枠の外形に外ケースを符合するステップと、前記2つの内枠で前記一列の菓子を左右方向から挟んだ状態で、前記外ケースを組み立てることによって、当該外ケースを前記2つの内枠の外形に符合するステップとを含むよう構成することができる。
【0023】
当該構成とすると、前記一列の菓子を前記2つの内枠で確実に固定することが可能となるとともに、当該2つの内枠を外ケースの内部で固定することが可能となる。
【0024】
又、菓子を収納する包装容器に用いられる内枠において、所定形状の菓子を一列に、複数、等間隔で配列した状態で、当該列方向の左右の側面半分の菓子の形状に符合する内側形状を備えるよう構成することができる。
【0025】
又、前記2つの内枠で前記一列の菓子を左右方向から挟んだ時の、当該2つの内枠の外形の一面に貼り付けたシートを備えるよう構成することができる。
【0026】
前記2つの内枠の外形の一面にシートを貼り付ける場合、当該2つの内枠を相互に繋ぎ止めることが出来れば、2つの内枠の外形のいずれの面に接着(接合)されても構わない。
【0027】
当該構成とすると、2つの内枠を菓子の形状からそれぞれ取り外したとしても、シートにより全ての内枠が繋ぎ止められているため、内枠を紛失することがなく、再度、当該内枠を、対応する菓子の形状に符合させることが可能となる。つまり、当該シートにより2つの内枠を、対応する菓子の外形にそれぞれ容易に符合させることが可能となる。そのため、包装容器を何回でも再利用することが可能となり、例えば、収納される複数の菓子のうち、一部の菓子を包装容器に収納させたままにしておきたい場合であっても、再度、菓子の外形に2つの内枠を符合させて一部の菓子を包装容器に収納させておくことが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る包装容器によれば、菓子を収納する包装容器において、所定形状の菓子を一列に複数、等間隔に配列した状態で、当該列方向の左右の側面半分の菓子の形状に符合する内側形状を備えた2つの内枠と、前記2つの内枠で前記一列の菓子を左右方向から挟んだ時の、当該2つの内枠の外形に符合する外ケースとを備える。
【0029】
これにより、2つの内枠の内側形状を、対応する菓子の形状にそれぞれ符合させた状態で、外ケースを組み立てると、外ケースは当該2つの内枠の外形に符合することとなるため、2つの内枠が外ケース内に確実に固定されると同時に菓子を外ケース内で固定することとなる。そのため、菓子を収納した外ケースが搬送中に激しく振動したり外部から衝撃を受けたりしたとしても、菓子が外ケース内で激しく移動することがなく、菓子の形状の変形を防止することが可能となる。その結果、菓子の形状を維持したまま搬送することが可能となり、菓子の商品性を維持することが可能となる。更に、2つの内枠の外形が外ケースと符合するため、包装容器自身の強度を強めて、複数の包装容器が上方に山済みにされたとしても、下段の包装容器が上段の包装容器の重量により潰れることなく、安全に搬送先へ搬送することが可能となる。
【0030】
又、外ケースから菓子を取り出す場合、2つの内枠の内側形状を、菓子の外形の側面半分からそれぞれ取り外せば、菓子の形状が外部に現れることになるため、消費者は包装容器から菓子を容易に取り出すことが可能となる。即ち、従来の包装容器であれば、菓子の上面近傍のみが外部に現れていたため、菓子の上面近傍を手で掴んだりして取り出す必要があったが、本発明の包装容器であれば、菓子の形状が外部に現れるため、菓子の上面近傍を手で掴んだりする必要がなく、例えば、菓子の側面近傍を手で掴んで外ケースから取り出すことが可能となる。そのため、菓子の形状、つまり、菓子の商品性を損なうことなく菓子を外ケースから取り出すことが可能となり、消費者は、菓子の外観形状を楽しみながら菓子を食することが可能となる。特に、菓子の上面に特殊なデコレーションが施されている場合、当該デコレーションを崩さずに菓子を食することが可能となる。
【0031】
更に、菓子の上面に、2つの内枠の内側形状が符合することはないため、菓子の上面に特殊なデコレーションが施されている場合、当該デコレーションが内枠の内側形状に接触して損なわれることがない。そして、2つの内枠の内側形状が菓子の形状の側面半分にそれぞれ符合するため、搬送中の振動による菓子の左右方向の移動、前後方向の移動を確実に防止するとともに、菓子の形状の側面半分と2つの内枠の内側形状との符合から生じる摩擦力により菓子の上下方向の移動も防止することが可能となる。その結果、菓子の形状を確実に維持したまま、安全に搬送先へ搬送することが可能となる。又、菓子を外ケースから取り出す際も、内枠が二つしかないため、内枠の内側形状を菓子の形状の側面半分から取り外しやすく、消費者への利便性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る包装容器を示す第一の斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係る包装容器を示す第二の斜視図である。
【図3】本発明の第一の実施形態に係る包装容器を示す第三の斜視図である。
【図4】本発明の第一の実施形態に係る包装容器を示す第四の斜視図である。
【図5】本発明の第二の実施形態に係る包装容器を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に本発明の実施形態に係る包装容器を図面に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0034】
<第一の実施形態>
まず、本発明の第一の実施形態に係る包装容器の構成について説明する。
【0035】
図1は、本発明の第一の実施形態に係る包装容器を示す第一の斜視図である。図2は、本発明の第一の実施形態に係る包装容器を示す第二の斜視図である。尚、図1、図2に示す上下方向の矢印が、本発明の第一の実施形態に係る包装容器の上下方向に対応し、図1、図2に示す前後方向の矢印が、本発明の第一の実施形態に係る包装容器の前後方向に対応し、図1、図2に示す左右方向の矢印が、本発明の第一の実施形態に係る包装容器の左右方向に対応する。
【0036】
本発明の第一の実施形態に係る菓子等の包装容器1は、図1、図2に示すように、内部に5個の楕円柱形状の菓子6を前後方向一列に並べて収納するための容器である。すなわち、前記包装容器1は、所定形状の菓子6を一列に複数、等間隔Xに配列した状態で、当該列方向の左右の側面半分の菓子の形状61(61a、61b)に符合する内側形状21(21a、21b)を備えた2つの内枠2(2a、2b)と、前記2つの内枠2で前記一列の菓子6を左右方向から挟んだ時の、当該2つの内枠2の外形に符合する外ケース3と、2つの内枠2の上面に覆い被さる上面シート4と、2つの内枠2の底面に敷かれる下面シート5とを備える。
【0037】
前記内枠2は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の可撓性と透明性とを有する合成樹脂からなり、前後方向を長手方向とした略長方形状の函状に形成され、当該函状の底面に対応する面(図1に示す左方の内枠2aであれば、右方の側面)には、5個の内側形状21が一方向(図1に示す内枠2であれば、前後方向)に等間隔に設けられている。前記間隔Xは、収納される菓子6の形状、個数、大きさ、外ケース3の大きさ等に応じて、並べられる菓子6相互が接触しない程度に適宜設計され、例えば、図1に示す内枠2であれば、下面シート5に前後方向に並べられた5個の菓子6相互の間隔Xに対応している。
【0038】
前記内枠2に設けられた内側形状21は、列方向(前後方向)の左右の側面半分の菓子6の形状61に符合(合致、嵌合)する形状である。具体的には、2つの内枠2のうち、左方の内枠2aには、列方向の左の側面半分の菓子6の形状61aに符合する右方内側形状21aが、菓子6の個数に対応して5つ設けられ、右方の内枠2bには、列方向の右の側面半分の菓子6の形状61bに符合する左方内側形状21bが、菓子6の個数に対応して5つ設けられる。図1に示すように、前記2つの内枠2は、前後方向と左右方向とに対称な形状となる。
【0039】
ここで、左方の内枠2aと右方の内枠2bとの間に位置する菓子6を左方の内枠2aと右方の内枠2bとで挟みながら、左方の内枠2aの右方内側形状21aと右方の内枠2bの左方内側形状21bとが向かい合った状態となって、右方内側形状21aと左方内側形状21bとが丁度菓子6の周側面の形状に符合する(図2)。これにより、2つの内枠2が菓子6を位置決めし固定することになる。ここで、菓子6は、通常、包装紙によって周側面が覆われた状態で市場に流通していることがほとんどであるため、2つの内枠2の内側形状21が、菓子6の周側面の形状に符合すると、当該2つの内枠2が菓子6の形状に直接的に接触することなく菓子6を固定することが可能となるため、好ましい。尚、左方の内枠2aの右方内側形状21aと右方の内枠2bの左方内側形状21bとが、列方向の左右の側面半分の菓子6の形状61にそれぞれ符合した状態を、以下では、2つの内枠2の符合状態と称する。
【0040】
次に、内枠2の構造について詳細に説明する。2つの内枠2のうち、左方の内枠2aは、上下方向の側面22a及び前後方向の側面23aが、函状の底面に対応する右方の側面から左方の側面に向かって漸次広がる傾斜面とされている。そして、左方の内枠2aの左方の側面は、開口面とされる。これにより、例えば、左方の内枠2aの右方内側形状21aが左の側面半分の菓子6の形状61aに符合した状態で、当該左方の内枠2aが外ケース3で覆われたとしても、左方の内枠2aの傾斜面と外ケース3の内面(内壁)との間に、多少のクリアランスが生じることになり、搬送中の振動や衝撃が外ケース3から左方の内枠2aに直接伝播されることを防止する。更に、当該クリアランスにより、外ケース3を展開(開放)した場合、左方の内枠2aが外ケース3から脱離(開放)されやすくする。
【0041】
又、左方の内枠2aは、左方の開口面(左方の側面)の周縁部が上下方向及び前後方向に向かって延出したフランジ24aとされており、当該フランジ24aの左方の周縁面は、組み立てられた外ケース3の側面(図1に示す左方の側面32)と符合(当接)するよう構成されている。これにより、外ケース3で左方の内枠2aが覆われた際に、前記フランジ24aの左方の周縁面と外ケース3の側面との符合により、当該フランジ24aが左方の内枠2aを外ケース3内で位置決めし固定することになる。
【0042】
尚、右方の内枠2bも、左方の内枠2aと左右方向に対称となる形状であり、左方の内枠2aと同様の傾斜面(前後方向及び上下方向における側面22b、23b)とフランジ24bとを備える。右方の内枠2bが備える傾斜面とフランジ24bの作用効果については、左方の内枠2aと同様であるため、その説明を省略する。
【0043】
次に、2つの内枠2を包装する外ケース3について説明する。前記外ケース3は、図1に示すように、紙等のシートに切れ目a(実線)と折り目b(一点鎖線)とが入れられて、前後方向を長手方向とした長方形の底面31が区画され、当該底面31の四周に、左右方向の2枚の側面32、33と、前後方向の2枚の側面34、35とが設けられる。更に、右方の側面33の右方端部には、蓋材に対応する、折り目bによって菓子6の上面を覆う向きに折り曲げられる上面36が設けられる。
【0044】
ここで、2つの内枠2の符合状態における左右方向、前後方向、上下方向の寸法に対応させて、外ケース3の各面の寸法が調整されて、各面が区画される。具体的には、外ケース3の底面31の寸法は、2つの内枠2の符合状態における当該2つの内枠2の底面が丁度当該底面31に載置される(置かれる)ように調整される。又、外ケース3の左方の側面32の寸法は、左方の内枠2aにおけるフランジ24aの左方の周縁面と当該左方の側面32とが符合するように調整される。そして、外ケース3の右方の側面33の寸法は、右方の内枠2bにおけるフランジ24bの右方の周縁面と当該右方の側面33とが符合するように調整される。更に、外ケース3の後方の側面34の寸法は、2つの内枠2の符合状態における当該2つの内枠2の後側面を当該後方の側面34が覆うように調整され、前方の側面35の寸法は、2つの内枠2の符合状態における当該2つの内枠2の前側面を当該前方の側面35が覆うように調整される。そして、包装箱の上面36の寸法は、2つの内枠2の符合状態における当該2つの内枠2の上面を当該上面36が丁度覆うように調整される。これにより、2つの内枠2の符合状態において外ケース3を組み立てると、組み立てられた外ケース3が、当該2つの内枠2の外形に符合し(同等の寸法となり)、2つの内枠2が外ケース3内で固定される。
【0045】
次に、外ケース3の構造について詳細に説明する。左方の側面32の左方端部には、折り目bによって2つの内枠2の上面を覆う向きに折り曲げられる第一の舌片部32aが設けられ、更に、上面36の右方の中央先端部には、第一の舌片部32aに形成されたスリット32bに挿入される閉止フラップ36aが設けられる。これにより、上面36の先端近傍を第一の舌片部32aに当接した状態で、閉止フラップ36aをスリット32bに挿入すれば、上面36と左方の側面32とを確実に閉めることが可能となる。
【0046】
更に、後方の側面34の左方端部に、左方の内枠2aにおけるフランジ24aの左方の周縁面を覆う第一の内側フラップ34aが設けられ、前方の側面35の左方端部に、当該フランジ24aの左方の周縁面を覆う第二の内側フラップ35aが設けられる。これにより、外ケース3を組み立てた場合に、第一の内側フラップ34aと第二の内側フラップ35aとが、左方の側面32とともに二重で左方の内枠2aのフランジ24aを覆うことになるので、外ケース3の左方の側面32の強度を高めるとともに、搬送中に生じる振動等を緩和させることが可能となる。特に、外ケース3が組み立てられると、左方の内枠2aにおけるフランジ24aの左方の周縁面は、第一の内側フラップ34aと第二の内側フラップ35aとを介して、外ケース3の左方の側面32に当接(接触)するため、搬送中の振動や衝撃が伝播され易い。そのため、外ケース3の左方の側面32の強度を高めると、搬送中の振動等が左方の内枠2aに伝播し難くなり、好ましい。
【0047】
尚、第一の内側フラップ34aと第二の内側フラップ35aと同様に、後方の側面34の右方端部に、右方の内枠2bにおけるフランジ24bの右方の周縁面を覆う第三の内側フラップ34bが設けられ、前方の側面35の右方端部に、右方の内枠2bにおけるフランジ24bの右方の周縁面を覆う第四の内側フラップ35bが設けられる。この第三の内側フラップ34bと第四の内側フラップ35bとの作用効果については、上述した第一の内側フラップ34aと第二の内側フラップ35aと同様であるため、その説明を省略する。
【0048】
又、第三の内側フラップ34bの先端部には、下方から上方へ向かって切られた第一の切欠部34dが設けられ、第四の内側フラップ35bの先端部には、上方から下方へ向かって切られた第二の切欠部35dが設けられている。更に、第一の切欠部34dは、起立した右方の側面33の中央近傍に対応する第三の内側フラップ34bの位置に設けられ、第二の切欠部35dは、起立した右方の側面33の中央近傍に対応する第四の内側フラップ35bの位置に設けられ、当該第一の切欠部34dと当該第二の切欠部35dとは、相互に差込可能である。これにより、第一の切欠部34dと第二の切欠部35dとが相互に差し込まれると、第三の内側フラップ34bと第四の内側フラップ35bとが右方の側面33と当接して結合されるとともに、当該第三の内側フラップ34bと第四の内側フラップ35bとが後方の側面34と前方の側面35とをそれぞれ底面31に対して垂直に起立した状態で固定する。そのため、搬送中の振動等による外ケース3の形崩れを防止することが可能となる。
【0049】
更に、後方の側面34の上方端部に、折り目bによって2つの内枠2の上面を覆う向きに折り曲げられる第二の舌片部34cが設けられ、前方の側面35の上方端部に、折り目bによって2つの内枠2の上面を覆う向きに折り曲げられる第三の舌片部35cが設けられる。これにより、上述した第一の舌片部32aと第二の舌片部34cと第三の舌片部35cとが2つの内枠2の上面に覆われた後に、包装箱3の上面36が覆われれば、下方に位置する各舌片部が外ケース3の上面36を支持することとなる。そのため、仮に、複数の包装容器1が上方に積み上げられて、下段の包装容器1の上面に上段の包装容器1の重量が圧し掛かったとしても、上述した各舌片部が下段の外ケース3の上面36を支持し、その結果、外ケース3の上面36が下方へ撓んで、上面36の内面が菓子6の上面に接触することを防止する。
【0050】
さて、上面シート4は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂からなり、前後方向を長手方向とした長方形状に形成され、上面シート4の大きさは、外ケース3の上面36の大きさよりもやや小さく形成される。又、下面シート5は、上面シート4と同様に、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂からなり、前後方向を長手方向とした長方形状に形成され、下面シート5の大きさは、外ケース3の底面31の大きさよりもやや小さく形成される。
【0051】
次に、本発明の第一の実施形態に係る包装容器1の使用態様(包装方法)について説明する。図3は、本発明の第一の実施形態に係る包装容器を示す第三の斜視図である。図4は、本発明の第一の実施形態に係る包装容器を示す第四の斜視図である。尚、図3、図4に示す上下方向の矢印が、本発明の第一の実施形態に係る包装容器の上下方向に対応し、図3、図4に示す前後方向の矢印が、本発明の第一の実施形態に係る包装容器の前後方向に対応し、図3、図4に示す左右方向の矢印が、本発明の第一の実施形態に係る包装容器の左右方向に対応する。尚、上記で使用した図1、図2も適宜使用しながら使用態様について説明する。
【0052】
まず、菓子を収納する製造業者(又は、菓子収納用装置)は、外ケース3から2つの内枠2を取り外して、当該外ケース3を展開する(ステップ1)。次に、製造業者は、外ケース3を展開した状態で、当該外ケース3の底面31に下面シート5を敷き、当該下面シート5の上に5つの菓子6を底面31の長手方向一列(図1に示す前後方向一列)に、等間隔で配列させる(ステップ2)。配列された菓子6は、内枠2に設けられる内側形状21の所定間隔Xに対応して整列される(図1、図3)。
【0053】
次に、製造業者は、配列された前記一列の菓子6を左方の内枠2aと右方の内枠2bとで左右方向から挟む(ステップ3)。左方の内枠2aと左方の内枠2bとを左右方向で付き合わせて、左方の内枠2aの右方内側形状21aが左の側面半分の菓子6の形状61aに符合するとともに、右方の内枠2aの左方内側形状21bが、右の側面半分の菓子6の形状61bに符合する。すると、菓子6の形状の周側面の左右半分が2つの内枠2の内側形状21にそれぞれ符合した状態となり、5つの菓子6が2つの内枠2に収納される(図2)。
【0054】
そして、製造業者は、前記一列の菓子6を前記2つの内枠2で左右方向から挟んだ状態で、当該2つの内枠2の上面に上面シート4を乗せて、外ケース3の各側面を折り目bに沿って折りまげて組み立てる(ステップ4)。具体的には、後方の側面34を起立させて、後方の側面34を2つの内枠2の後側面に符合するとともに、前方の側面35を起立させて、前方の側面35を2つの内枠2の前側面に符合する。更に、第一の内側フラップ34aと第二の内側フラップ35aとを左方の内枠2aのフランジ24aに当てる。そして、第三の内側フラップ34bと第四の内側フラップ35bとを右方の内枠2bのフランジ24bに当てながら、第一の切欠部34dと第二の切欠部35dとを相互に差し込んで固定する。これにより、後方の側面34と前方の側面35とがそれぞれ起立した状態で固定される。
【0055】
次に、左方の側面32を起立させて、第一の内側フラップ34aと第二の内側フラップ35aとに当接させるとともに、右方の側面33を起立させて、第三の内側フラップ34bと第四の内側フラップ35bとに当接させる。そして、後方の側面34の第一の舌片部34cと前方の側面35の第二の舌片部35cとを2つの内枠2の上面に向かって折り曲げてから、左方の側面32の第三の舌片部32aを第一の舌片部34cと第二の舌片部35cとに重ねながら2つの内枠2の上面に向かって折り曲げる。更に、右方の側面33に連設された上面36を2つの内枠2の上面に向かって折り曲げて、閉止フラップ部36aを左方の側面32のスリット32bに挿入すれば、外ケース3の組み立てが完了し、菓子6が包装される(図4)。
【0056】
菓子が包装された外ケース3は、2つの内枠2の符合状態における当該2つの内枠2の外形に符合するため、2つの内枠2が外ケース3の内部で固定された状態となる。そのため、搬送中に振動が生じても2つの内枠2は内部で大きく移動したりすることがない。更に、収納された5つの菓子6は、相互に付き合わされた2つの内枠2の内側形状21によって固定(位置決め)されているため、搬送中の振動により菓子は内部で大きく移動したり外ケース3の内面に衝突したりすることがなく、菓子の形状はそのまま保たれることになる。
【0057】
さて、菓子6が包装された包装容器1は、上下に複数個積み上げられて、各店(売店、コンビニエンスストア等)に搬送されることになるが、包装容器1の上方に、複数の包装容器1が積み上げられたとしても、付き合わされた2つの内枠2の外形が外ケース3と符合しているため、丁度2つの内枠2が外ケース3を内部から支持することとなり、上段の包装容器1の重量が下段の包装容器1に圧しかかっても、下段の包装容器1が潰されることはない。
【0058】
そして、消費者が、一の包装容器1を購入して当該包装容器1の内部の菓子6を取り出す場合、外ケース3の閉止フラップ36aをスリット32bから外し、外ケース3の上面36を開いて外ケース3の各側面を展開すると、上面シート4と2つの内枠2と下面シート5とに覆われた5つの菓子が現れる。そこで、消費者が、上面シート4を取り除いて左方の内枠2aと右方の内枠2bとが付き合わされた状態から両者を開放すると、5つの菓子6と2つの内枠2との符合状態が解消され、2つの内枠2の内側形状21に覆われていた菓子6の周側面が外部に現れて、菓子6の形状が外部に露出した状態となる(図1、図3)。
【0059】
このように、菓子6の形状が外部に露出すると、消費者は外部に現れた周側面の一部を手で掴んだり、フォーク等を挿入したりして、菓子6の上面を傷つけることなく菓子6を下面シート5の上から皿等に運ぶことが可能となる。特に、菓子6は、通常、包装紙によって周側面が覆われた状態で市場に流通していることがほとんどであるため、消費者は、菓子6に直接手で触れることなく、包装紙を介して菓子6を持ち運ぶことが可能となる。その結果、消費者は、菓子6の上面を掴んだりする必要がないため、消費者が手を汚すことなく衛生的に菓子6を取り出すことが可能となるとともに、菓子6の上面のデコレーション等を損なわずに、菓子6の形状を楽しみながら菓子6を食することが可能となる。
【0060】
以上のように、本発明の第一の実施形態に係る包装容器1は、所定形状の菓子6を一列に複数、等間隔に配列した状態で、当該列方向の左右の側面半分の菓子6の形状61に符合する内側形状21を備えた2つの内枠2と、前記2つの内枠2で前記一列の菓子6を左右方向から挟んだ時の、当該2つの内枠2の外形に符合する外ケース3とを備える。
【0061】
これにより、2つの内枠2の内側形状21を、対応する菓子6の形状61にそれぞれ符合させた状態で、外ケース3を組み立てると、外ケース3は当該2つの内枠2の外形に符合することとなるため、2つの内枠2が外ケース3内に確実に固定されると同時に菓子6を外ケース3内で固定することとなる。そのため、菓子6を収納した外ケース3が搬送中に激しく振動したり外部から衝撃を受けたりしたとしても、菓子6が外ケース3内で激しく移動することがなく、菓子6の形状の変形を防止することが可能となる。その結果、菓子6の形状を維持したまま搬送することが可能となり、菓子6の商品性を維持することが可能となる。更に、2つの内枠2の外形が外ケース3と符合するため、包装容器1自身の強度を強めて、複数の包装容器1が上方に山済みにされたとしても、下段の包装容器1が上段の包装容器1の重量により潰れることなく、安全に搬送先へ搬送することが可能となる。
【0062】
又、外ケース3から菓子6を取り出す場合、2つの内枠2の内側形状21を、菓子6の外形の側面半分61からそれぞれ取り外せば、菓子6の形状が外部に現れることになるため、消費者は包装容器3から菓子6を容易に取り出すことが可能となる。即ち、従来の包装容器であれば、菓子の上面近傍のみが外部に現れていたため、菓子の上面近傍を手で掴んだりして取り出す必要があったが、本発明の包装容器1であれば、菓子6の形状が外部に現れるため、菓子6の上面近傍を手で掴んだりする必要がなく、例えば、菓子6の側面近傍を手で掴んで外ケース3から取り出すことが可能となる。そのため、菓子6の形状、つまり、菓子6の商品性を損なうことなく菓子6を外ケース3から取り出すことが可能となり、消費者は、菓子6の外観形状を楽しみながら菓子6を食することが可能となる。特に、菓子6の上面に特殊なデコレーションが施されている場合、当該デコレーションを崩さずに菓子6を食することが可能となる。
【0063】
更に、菓子6の上面に、2つの内枠2の内側形状21が符合することはないため、菓子6の上面に特殊なデコレーションが施されている場合、当該デコレーションが内枠2の内側形状21に接触して損なわれることがない。そして、2つの内枠2の内側形状21が菓子6の形状の側面半分61にそれぞれ符合するため、搬送中の振動による菓子6の左右方向の移動、前後方向の移動を確実に防止するとともに、菓子6の形状の側面半分61と2つの内枠2の内側形状21との符合から生じる摩擦力により菓子6の上下方向の移動も防止することが可能となる。その結果、菓子6の形状を確実に維持したまま、安全に搬送先へ搬送することが可能となる。又、菓子6を外ケース3から取り出す際も、内枠2が二つしかないため、内枠2の内側形状21を菓子6の形状の側面半分61から取り外しやすく、消費者への利便性を向上させることが可能となる。
【0064】
尚、本発明の第一の実施形態に係る一の内枠2の寸法は、前後方向において28cm、左右方向において4cm、上下方向において5cmである。又、内枠の内側形状21については、平面視における内側形状21を楕円形状の半分とすると、左右方向において長軸が3cm、前後方向において短軸が2cmである。又、本発明の第一の実施形態に係る外ケース3の寸法は、組立時での前後方向において約28cm、左右方向において約8cm、上下方向において約5cmである。もちろん、上面シート4及び下面シート5の寸法は、上述した内枠2と外ケース3とに応じて調整される。又、上述した内枠2及び外ケース3の寸法は、収納される菓子6の大きさ、数等に応じて、適宜設計変更される。
【0065】
<第二の実施形態>
図5は、本発明の第二の実施形態に係る2つの内枠2を示す斜視図である。尚、図5に示す上下方向の矢印が、本発明の第二の実施形態に係る包装容器の上下方向に対応し、図5に示す前後方向の矢印が、本発明の第二の実施形態に係る包装容器の前後方向に対応し、図5に示す左右方向の矢印が、本発明の第二の実施形態に係る包装容器の左右方向に対応する。
【0066】
第一の実施形態と比較して、第二の実施形態の異なる点は、前記2つの内枠2で前記一列の菓子6を左右方向から挟んだ時の、当該2つの内枠2の外形の一面に貼り付けたシート7を備える点である。その他の点については、第一の実施形態と同様である。
【0067】
本発明の第二の実施形態に係る包装容器1は、図5に示すように、2つの内枠2の内側形状21が菓子6の周側面の形状61にそれぞれ脱着可能となるように、当該2つの内枠2を相互に繋ぎ止めるシート7を備えている。
【0068】
前記シート7は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂からなり、前後方向を長手方向とした長方形状に形成され、当該シート7の大きさは、2つの内枠2の符合状態における前後方向の大きさと左右方向の大きさとに合わされている。更に、シート7の左右方向の両端部71、72が、2つの内枠2の符合状態における2つの内枠2の下方の両端部25a、25bとそれぞれ接合されている。具体的には、前記シート7の左方の端部71が、左方の内枠2aにおけるフランジ24aの下端部25aに接合され、当該シート7の右方の端部72が、右方の内枠2bにおけるフランジ24bの下端部25bに接合される。接合方法は、例えば、接着剤を使用する方法や熱融着法等が挙げられる。これにより、例えば、前記シート7の上に菓子6を前後方向一列に所定の間隔Xで5つ並べて、2つの内枠2を付き合せる(閉じる)と、2つの内枠2の内側形状21が、列方向の左右の側面半分の菓子6の形状61にそれぞれ丁度符合して、菓子6を適切に収納することが可能となる。又、2つの内枠2を脱離させる(開く)と、5つの菓子6と2つの内枠2との符合状態が解消され、菓子6の周側面が外部に現れ、容易に菓子6を取り出すことが可能となる。菓子6の収納、取り出しを、2つの内枠2の開閉により行なえるため、消費者の利便性を更に向上させる。そして、シート7により2つの内枠2が離散することがないため、内枠2の紛失を防止し、2つの内枠2を繰返し利用することが可能となる。特に、複数の菓子6のうち、菓子6の一部を再度包装容器1に収納して保存・保管したい場合等は、好適である。
【0069】
又、シート7を下面シート5の代わりに用いると、2つの内枠2の符合状態において菓子6の置かれたシート7が2つの内枠2を繋ぎ止めると同時に、繋ぎ止めた2つの内枠2で菓子6を固定することとなるため、搬送中の振動等によって2つの内枠2が聊か移動したとしても、当該2つの内枠2を繋ぎ止めるシート7と、当該シート7上に置かれた菓子6とが併せて移動することとなり、2つの内枠2と菓子6との間の位置がずれることなく、菓子6の形状を確実に保護することが可能となる。
【0070】
尚、図5では、シート7の左右方向の両端部71、72が、2つの内枠2の符合状態における2つの内枠2の下方の両端部25a、25bとそれぞれ接合されるよう構成したが、2つの内枠2の符合状態における当該2つの内枠2の外形の一面に貼り付けられれば、他の構成でも構わない。例えば、シート7の大きさを、2つの内枠2の符合状態における左右方向の大きさと上下方向の大きさとに合わせ、2つの内枠2の内側形状21を付き合わした状態で、2つの内枠2の一側面(例えば、後側面又は前側面)の両端に、シート7の左右方向の両端部又は上下方向の両端部をそれぞれ接合するよう構成しても構わない。
【0071】
又、本発明の第一の実施形態乃至第二の実施形態では、2つの内枠2のそれぞれに5つの内側形状21を備えるよう構成したが、収納する菓子6の個数、外ケース3の寸法等に応じて、内側形状21の個数を適宜変更しても構わない。
【0072】
又、本発明の第一の実施形態乃至第二の実施形態では、外ケース3と2つの内枠2と上面シート4と下面シート5とを備えるよう構成したが、収納する菓子6の種類に応じて、上面シート4と下面シート5とは無くても構わない。例えば、菓子の上面に既に包装紙が置かれている場合や、菓子の底面に既に包装紙が敷かれている場合では、上面シートや下面シートは不要であるため、外ケース3と2つの内枠2とで菓子を収容することが可能となる。
【0073】
又、本発明の第一の実施形態乃至第二の実施形態では、2つの内枠2の内側形状21を菓子6の周側面の形状61にそれぞれ合致させた状態における当該2つの内枠の外形に符合する外ケース3を用意したが、当該外ケース3は、2つの内枠2の外形と厳密に同等となって符合する必要は無く、2つの内枠2の位置を固定する程度に当該2つの内枠2の外形に符合すればよい。
【0074】
又、本発明の第一の実施形態乃至第二の実施形態の内枠2の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、外ケース3の寸法、菓子6の寸法に応じて厚肉にも薄肉にも構成することが出来る。内枠2の厚みに薄肉を採用する場合、例えば、厚さが0.3〜1.0mmの範囲であると好ましい。当該構成とすると、内枠2の形状が外部の振動や重量により容易に変形することがない程度の剛性を有するとともに、内枠2全体の重量を軽量化することが可能となる。
【0075】
又、本発明の第一の実施形態乃至第二の実施形態の内枠2の材質は、合成樹脂を採用したが、特に限定されるものではなく、例えば、紙、アルミニウム等の金属等を採用することが出来る。内枠2の材質に合成樹脂を採用する場合、可撓性を有する合成樹脂であると好ましい。当該構成とすると、内枠に弾力があり、搬送中に振動が生じた場合、内枠2が撓んで衝撃や振動を吸収、緩和することが可能となる。又、内枠2の材質に合成樹脂を採用する場合、透明性を有する合成樹脂であると更に好ましい。当該構成とすると、外ケース3を展開した場合、収納された菓子6全体を容易に視認することが可能となる。
【0076】
尚、前記内枠2の材質が合成樹脂である場合、例えば、合成樹脂から構成されるフィルム又はシート材を真空成形法や圧空成形法等により熱成形したり、合成樹脂を直接射出成形したりして内枠2を量産することができる。合成樹脂としては、例えば、塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂各種の熱可塑性樹脂を主材とする材料を使用することができる。
【0077】
又、本発明の第一の実施形態乃至第二の実施形態では、二つの内枠2により5つの菓子を収容するよう構成したが、内枠2における内側形状毎に当該内枠2を更に分割して、各菓子6毎に分割された一組の内枠2をそれぞれ用意するよう構成しても構わない。
【0078】
又、本発明の第一の実施形態乃至第二の実施形態の外ケース3の材質は、紙を採用したが、特に限定されるものではなく、例えば、板紙、段ボール、板紙にフィルムをラミネートしたもの、段ボールにフィルムをラミネートしたもの、合成樹脂、金属等を採用することが出来る。外ケース3の材質にフィルムをラミネートした板紙を採用すると、紙にロゴや菓子の写真等の画像を付することが出来るとともに、雨等の防水効果を有するため、好ましい。
【0079】
又、本発明の第一の実施形態乃至第二の実施形態の菓子は、楕円柱形状の菓子としたが、当該菓子は所定形状を有する菓子であれば、どのような菓子でも構わない。例えば、菓子として、洋生菓子、デコレーションケーキ、ショートケーキ、ロールケーキ、チョコレートケーキ、カステラ、タルト、プリン、ゼリー、アイスクリーム、スフレ、バウムクーヘン等の洋菓子は、もちろん、大福、饅頭、わらび餅、団子、羊羹、きんつば、ういろう等の和菓子であっても構わない。
【0080】
又、本発明の第一の実施形態に係る包装容器1の使用態様(包装方法)では、まず、菓子を収納する製造業者は、外ケース3から2つの内枠2を取り外して、当該外ケース3を展開する(ステップ1)よう構成したが、本発明の目的を損なわない範囲で、他の構成でも構わない。例えば、前記ステップ1を実行する前に、製造業者が、外ケース3に設けられた折り目bに従って一度折り曲げて当該外ケース3を折り曲げ容易とした後に、当該ステップ1を実行するよう構成しても構わない。当該構成とすると、後続のステップが円滑に実行されるようになり、好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上のように、本発明に係る包装容器は、菓子の形状を損なうことなく安全に搬送することができるとともに、包装容器から菓子を容易に取り出すことが可能な包装容器として有用である。
【符号の説明】
【0082】
1 包装容器
2 内枠
3 外ケース
4 上面シート
5 下面シート
6 菓子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
菓子を収納する包装容器において、
所定形状の菓子を一列に複数、等間隔に配列した状態で、当該列方向の左右の側面の一部分と残りの部分の菓子の形状に符合する内側形状を備えた2つの内枠と、
前記2つの内枠で前記一列の菓子を左右方向から挟んだ時の、当該2つの内枠の外形に符合する外ケースと、
を備えることを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記内枠が、可撓性のシートで形成されたことを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
更に、前記複数の菓子の上下に配置されるシートを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記包装容器に収納される菓子の個数が少なくとも1個であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の包装容器。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の包装容器の包装方法であって、
2つの内枠が取り外された外ケースの底面に、前記菓子を一列に、等間隔に配列させるステップと、
配列された前記一列の菓子を前記2つの内枠で左右方向から挟むステップと、
前記2つの内枠で前記一列の菓子を左右方向から挟んだ状態で、前記外ケースを組み立てることによって、当該外ケースを前記2つの内枠の外形に符合するステップと、
を含むことを特徴とする包装容器の包装方法。
【請求項6】
菓子を収納する包装容器に用いられる内枠において、
所定形状の菓子を一列に、複数、等間隔で配列した状態で、当該列方向の側面半分の菓子の形状に符合する内側形状を備えたことを特徴とする内枠。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−73745(P2011−73745A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227718(P2009−227718)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(592091471)株式会社ハタダ (3)
【Fターム(参考)】