説明

包装装置および薬剤分包装置

【課題】包装シートに無理な力をかけることなく、包装シートのヒートシール時に皺や弛みが生じるのを確実に防止する。
【解決手段】長手方向に送給される帯状の包装シートに対し被包装物を投入してヒートシールすることにより個々に区画された包装体を形成する包装装置であって、熱シール手段の熱板30および受け板42に隣接して分包紙挟持体34,46を設け、熱シール手段により分包紙6がヒートシールされるのに先立って該分包紙6を押さえるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長手方向に送給される帯状の包装シートに対し被包装物を投入してヒートシールすることにより個々に区画された包装体を形成する包装装置と、その包装装置を備える薬剤分包装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、病院や調剤薬局等においては、医師の処方箋に基づき、各服用毎に薬剤を分包する薬剤分包装置が多く用いられている。この薬剤分包装置は、分包紙ロール体から包装シート(分包紙)を繰り出し、繰り出された包装シートをガイドバーによって案内しつつ印刷ヘッドにより表面に所定の印刷を施した後、包装シート内にホッパーもしくはノズルから薬剤を投入し、薬剤投入後に包装シートの所定部をヒートシールすることにより個々に区画された包装体を形成するように構成されている。
【0003】
この種の薬剤分包装置において、帯状の包装シートは下端で2つ折り(半折り)されて上端が開口した断面略V字状とされ、この包装シートの上端開口からホッパー(ノズル)が挿入されて薬剤が投入される。この際、ホッパーの挿入によって包装シートが膨らんだ状態となり、また、投入される薬剤の種類や量によっては包装シートが膨らんだ状態となることから、包装シートに皺や弛みが発生し易く、このように皺等が生じたままヒートシールされると、包装状態が不良となって密封性に劣り、薬剤に悪影響を及ぼすという問題点があった。
【0004】
このような問題点に対処することを目的とした従来技術として、特許文献1にて提案されているものがある。この特許文献1に記載の技術は、熱シール手段により溶着される包装シートの上端開口を閉じる方向にその包装シートにテンションを加えるテンション付与手段を設け、これによって包装シートの熱溶着時に皺が生じるのを防止するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4159349号公報
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の薬剤供給装置では、熱板と受け板との当接面の上流側において、その当接面である包装シートのペーパーラインを超えて、テンション付与手段の移動部材を移動させるように構成されているために、包装シートに無理な曲げ力が作用し、また、熱板と受け板とによって包装シートを挟み付けた後にもその包装シートに無理な引っ張り力が作用することから、包装シートを傷めてしまうという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前述のような問題点を解消するためになされたもので、包装シートに無理な力をかけることなく、包装シートのヒートシール時に皺や弛みが生じるのを確実に防止することのできる包装装置および薬剤分包装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、第1発明による包装装置は、
長手方向に送給される帯状の包装シートに対し被包装物を投入してヒートシールすることにより個々に区画された包装体を形成する包装装置であって、
被包装物が投入された包装シートの所要部をヒートシールする熱板と受け板とよりなる熱シール手段と、
前記熱シール手段に隣接して設けられ、該熱シール手段により前記包装シートがヒートシールされるのに先立って該包装シートを押さえる先押さえ手段とを備える
ことを特徴とするものである。
【0009】
本発明において、前記先押さえ手段は、前記包装シートの両側部をヒートシールする前記熱シール手段の縦熱板または縦受け板の包装シート送給方向の上流側と下流側とに設けられる(第2発明)。また、前記先押さえ手段は、前記包装シートを両側から同時に押さえて挟み付けるものであるのが好ましい(第3発明)。また、前記先押さえ手段は、前記熱シール手段を支持する加熱部本体上および受け部本体上に設けられるのが好適である(第4発明)。
【0010】
また、第5発明による薬剤包装装置は、前記第1発明〜第4発明のいずれかの包装装置を備え、前記被包装物が薬剤であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、包装シートがヒートシールされるのに先立って該包装シートが押さえられて保持され、この保持された状態で熱シール手段によってヒートシールされるので、包装シートに無理な曲げ力や引っ張り力が作用することがなく、しかも包装シートに皺や弛みが発生することなく、確実にヒートシールすることができる。したがって、密封性不足による薬剤への悪影響を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る薬剤包装装置の全体概略斜視図
【図2】第1の実施形態の分包動作を表す模式図
【図3】第1の実施形態の熱シール装置の駆動機構を示す要部側面図
【図4】第1の実施形態の熱シール装置における加熱部の斜視図
【図5】第1の実施形態の熱シール装置における受け部の斜視図
【図6】第1の実施形態の先押さえレバーの断面図(図4のA−A断面図)
【図7】第1の実施形態の分包紙挟持体の作動説明図
【図8】本発明の第2の実施形態に係る熱シール装置における受け部の斜視図
【図9】図8のB−B断面図
【図10】本発明の第3の実施形態に係る熱シール装置における受け部の斜視図
【図11】本発明の第4の実施形態に係る熱シール装置における加熱部の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明による包装装置および薬剤分包装置の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
〔第1の実施形態〕
図1には、本発明の第1の実施形態に係る薬剤包装装置の全体概略斜視図が示され、図2には、分包動作を表す模式図が示されている。
【0015】
本実施形態の薬剤包装装置(薬剤分包機)1は、横長のキャビネット構造にされた装置本体2の上面に錠剤分割部3が配され、この錠剤分割部3の前面側に段下がり状に散剤分割部4が配され、これら錠剤分割部3および散剤分割部4の下方に包装部5が配されて構成されている。
【0016】
前記包装部5は、下端で半折り状に折られて断面略V字状にされた長尺の分包紙(包装シート)6がロール状に巻かれてなる分包紙ロール体7を支持する支持軸8と、この分包紙ロール体7から分包紙6を繰り出す駆動ローラ(送りローラ)9と、分包紙6の上端開口から薬剤を投入するホッパー10と、支持軸8の上方に配され、繰り出された分包紙6をホッパー10へ向けて案内するガイドバー11と、このガイドバー11の下方に配され、分包紙6に所要の張力を付与する張力付与機構12と、この張力付与機構12の上方に配され、分包紙6の表面に日付、処方データ等の印刷を施す印刷ユニット13(図2には図示が省略されている。)と、ホッパー10の下流側に配され、分包紙6に対してヒートシールを行い個々に区画された包装体14を形成する熱シール装置15とを備えている。
【0017】
ここで、前記張力付与機構12は、弾性復元力を付与されたテンションバー12aを中間部に有し、下流側の分包紙6にかかる張力に応じてそのテンションバー12aが左右に揺動することで、分包紙6に所要の張力が付与されるようになっている。
【0018】
こうして、駆動ローラ9の駆動力により分包紙ロール体7から上方へ繰り出された分包紙6は、張力付与機構12により所要の張力を付与されつつ、印刷ユニット13により表面に所要の印刷が施された後、ガイドバー11により斜め下方へ方向転換される。次いで、分包紙6の上端開口よりホッパー10から放出された薬剤(錠剤および/または散剤)が投入され、熱シール装置15により分包紙6が縦シール部14aおよび横シール部14bにて熱溶着(ヒートシール)されることで一包毎に区画され、分包完了後の包装体14は装置本体2の前側部に配された収納ケース16内に収納される。
【0019】
次に、本実施形態における熱シール装置15の詳細構造について、図3〜図6を参照しつつ説明する。図3は、熱シール装置の駆動機構を示す要部側面図、図4は、熱シール装置における加熱部の斜視図、図5は、熱シール装置における受け部の斜視図、図6は、先押さえレバーの断面図(図4のA−A断面図)である。
【0020】
図3に示されるように、本実施形態の熱シール装置15は、分包紙6が挿通されるケーシング(図示せず)の一方の側壁側(図1で紙面の奥側、図3で左側)に設けられる加熱部20と、他方の側壁側(図1で紙面の手前側、図3で右側)に設けられる受け部21とを備え、これら加熱部20と受け部21とが分包紙6を挟んで互いに対向配置されて、接近、離間するように構成されている。
【0021】
前記加熱部20は、本体フレーム(加熱部本体)22と、この本体フレーム22の背面側(側壁側)に配されるカム23を備え、本体フレーム22の背面部に回転自在に取り付けられた複数個のローラ24がカム23のカム面23aに沿って転動するように構成されている。同様に、受け部21は、本体フレーム(受け部本体)25と、この本体フレーム25の前面側(側壁側)に配されるカム26を備え、本体フレーム25の前面部に回転自在に取り付けられた複数個のローラ27がカム26のカム面26aに沿って転動するように構成されている。
【0022】
両本体フレーム22,25はスプリング(図示せず)等の手段によって相互に離間する方向に向けて付勢されている。したがって、各カム23,26が図示されないモータの駆動力によって相互に連動して上下動されると、各カム面23a,26aに当接されるローラ24,27を介して各本体フレーム22,25が相互に近接する方向に向けて押圧され、また、元の離間位置に復元される。こうして、各本体フレーム22,25の近接時に加熱部20の熱板30および受け部21の受け板42(いずれも後述する。)によって挟圧される分包紙6がヒートシールされる。
【0023】
図4に示されるように、前記加熱部20において、本体フレーム22は正面視で略T字形状とされ、この本体フレーム22の表面(図4で上面)に、包装体14の縦シール部14a(図2参照)を形成するための縦シール部形成用熱板(以下、「縦熱板」という。)28と、横シール部14b(図2参照)を形成するための横シール部形成用熱板(以下、「横熱板」という。)29とよりなる略T字状の熱板(熱シール手段)30が配されている。縦熱板28および横熱板29はヒーターを内蔵しており、本体フレーム22に支持されている。また、縦熱板28の中央部には溝部31が形成され、この溝部31内に、受け部21に設けられたミシン刃の刃先が挿通されるようになっている。
【0024】
縦熱板28の側方であって、分包紙6の送給方向上流側には本体フレーム22上に支持ブラケット32が固定されている。この支持ブラケット32には、縦熱板28の長手方向に延設されるように支持軸33が固着され、この支持軸33の外周面に沿って回動自在に第1の分包紙挟持体(本発明の「先押さえ手段」に相当する。)34が支持されている。この第1の分包紙挟持体34は、支持軸33に巻回された捩りコイルスプリング35によって分包紙6の送給経路(ペーパーライン)に向けて(図6で矢印P方向に)回動付勢され、断面円弧状に形成された先端部34aのその円弧面を分包紙6の送給経路に向けて縦熱板28より前方(分包紙6の送給経路に直交する方向)に突き出すように配されている。
【0025】
また、縦熱板28の側方であって、分包紙6の送給方向下流側には、第2の分包紙挟持体(先押さえ手段)55が支持されている。この第2の分包紙挟持体55は、背面側に配される図示されないスプリングによって分包紙6の送給経路(ペーパーライン)に向けて付勢され、前面(図4で上面)を分包紙6の送給経路に向けて縦熱板28より前方(分包紙6の送給経路に直交する方向)へ突き出すように配されている。
【0026】
また、第2の分包紙挟持体55の直下流側であって、横熱板29に近接した位置には本体フレーム22上に空気抜き用の押圧レバー36が配されている。この押圧レバー36は、分包紙6の送給経路に向けてスプリングによって回動付勢され、分包紙挟持体34と同様、その先端部を分包紙6の送給経路に向けて縦熱板28より前方に突き出すように配されている。押圧レバー36は、分包紙6を熱板30から遠ざけるという機能をも有し、これによって分包紙6をヒートシールするとき以外は、分包紙6への熱の移動を防ぐことができる。
【0027】
一方、図5に示されるように、前記受け部21において、本体フレーム25は正面視で略T字形状とされ、この本体フレーム25の表面(図5で上面)に、前記加熱部20の縦熱板28および横熱板29とそれぞれ対向する縦受け板40および横受け板41よりなる略T字状の受け板(熱シール手段)42が固定されている。これら縦受け板40および横受け板41には前面側にゴム板が固着されている。また、縦受け板40の中央部には、縦熱板28の溝部31と対向する位置に溝部43が形成され、この溝部43内には、熱板30によるヒートシール時に縦熱板29の上面より刃先が僅かに突出するようにしてミシン刃(図示せず)が嵌め込まれている(図9の「ミシン刃54」参照)。
【0028】
また、加熱部20の支持ブラケット32に対向する位置には支持ブラケット44が固定されている。この支持ブラケット44には、加熱部20と同様、支持軸45が固着され、この支持軸45に捩りコイルスプリング47を介して第3の分包紙挟持体(先押さえ手段)46が支持されている。この第3の分包紙挟持体46も、その先端部46aの円弧面が縦受け板40より前方へ突き出すように配され、前記第1の分包紙挟持体34と協働して分包紙6を挟持する役目をする。
【0029】
さらに、加熱部20の第2の分包紙挟持体55に対向する位置には第4の分包紙挟持体(先押さえ手段)56が支持されている。この第4の分包紙挟持体56は、背面側に配される図示されないスプリングによって分包紙6の送給経路(ペーパーライン)に向けて付勢され、前面(図5で上面)を分包紙6の送給経路に向けて縦受け板40より前方へ突き出すように配されている。この第4の分包紙挟持体56は、前記第2の分包紙挟持体55と協働して分包紙6を挟持する役目をする。
【0030】
次に、このような構成よりなる熱シール装置15により、分包紙6にて薬剤を包装する際の作動について、図2および図7(a)〜(c)(分包紙挟持体の作動説明図)を用いて説明する。
【0031】
分包紙ロール体7から繰り出された分包紙6は駆動ローラ9によって間欠的に搬送される。ホッパー10からの薬剤が分包紙6内に充填されると、分包紙6の送りが停止し、熱シール装置15が作動する。すなわち、分包紙6が所定の位置で停止すると(図7(a)参照)、各カム23,26が図3の位置から下動されることにより、各カム面23a,26aに当接されるローラ24,27を介して各本体フレーム22,25が相互に近接する方向に向けて押圧される。これにより加熱部20側の第1の分包紙挟持体34および第2の分包紙挟持体55と、受け部21側の第3の分包紙挟持体46および第4の分包紙挟持体56とが、本体フレーム22,25の移動に合わせて押し出され、両方の分包紙挟持体34,46;55,56が分包紙6に対して接近し、第1の分包紙挟持体34と第3の分包紙挟持体46とが協働して、また、第2の分包紙挟持体55と第4の分包紙挟持体56とが協働して、分包紙6を両側から同時に押さえて挟み付ける(図7(b)参照)。これにより、ヒートシールされる直前の分包紙6は下流側の駆動ローラ9と互いに対をなす分包紙挟持体34,46;55,56とに保持されて所要の張力が付与されて皺や弛みが除かれた状態となる。なお、このとき分包紙6の送給経路(ペーパーライン)は一定の経路を保持している。
【0032】
この状態から各本体フレーム22,25が更に相互に近接すると、分包紙挟持体34,46;55,56はそれぞれ捩りコイルスプリング35,47等の付勢力に抗しつつ押圧され、分包紙6を挟持しながら撓んでいき、縦熱板28および横熱板29よりなる略T字状の熱板30と、それに対向する縦受け板40および横受け板41よりなる略T字状の受け板42とが分包紙6を挟んで相互に押圧されて、縦シール部14aおよび横シール部14bが同時にヒートシールされる(図7(c)参照)。また、このヒートシールと同時に、ミシン刃によって縦シール部14aの中央部にミシン目が入れられる。また、ヒートシールの直前に、押圧レバー36によって分包紙6が押圧されることにより、分包紙6内の不必要な空気が脱気される。
【0033】
こうして、ヒートシール工程が終了すると、各カム23,26が上動されることにより、各本体フレーム22,25がスプリングの付勢力によって相互に離間する方向に移動し、分包紙挟持体34,46;55,56および熱板30がスプリングの付勢力により元の位置に復帰する。この後、駆動ローラ9の駆動によって分包紙6が1ピッチだけ送られ、以下同様のヒートシール工程が繰り返し行われ、順次包装体14が形成されていく。
【0034】
このように、本実施形態の熱シール装置15においては、縦熱板28および縦受け板40の直上流側に分包紙挟持体34,46が配されるとともに、直下流側に分包紙挟持体55,56が配されていて、これら分包紙挟持体34,46;55,56によって、分包紙6がヒートシールされるのに先立って押さえられて挟持され、これら分包紙挟持体34,46;55,56と下流側の駆動ローラ9とによって分包紙6が引っ張られた状態で保持される。そして、この保持された状態で熱板30と受け板42とによって所要部がヒートシールされるので、分包紙6に皺や弛みが発生することなく、確実にヒートシールすることができる。したがって、皺等の発生による密封性不足の問題を解消することができ、薬剤への悪影響を回避することができる。また、分包紙挟持体34,46;55,56による分包紙6の保持および熱板30と受け板42とによるヒートシールの一連の操作時に、分包紙6のペーパーラインは維持されたままであるので、分包紙6に無理な曲げ力や引っ張り力が作用することはない。
【0035】
〔第2の実施形態〕
図8には、本発明の第2の実施形態に係る熱シール装置における受け部の斜視図が示されている。なお、本実施形態において、第1の実施形態と共通する部分には図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略することとする(以下の実施形態についても同様)。
【0036】
前記第1の実施形態においては、縦熱板28および縦受け板40の上流側の分包紙挟持体34,46と、下流側の分包紙挟持体55,56とを分離するとともに、各分包紙挟持体を別構造のものとした例について説明したが、本実施形態においては、上流側および下流側の分包紙挟持体を一体形成したものである。なお、図8は、受け部21Aの構成を示しているが、加熱部についても同様の構成である。
【0037】
本実施形態では、受け部21Aにおける縦熱板40の両側面と端面とを覆う平面視コ字形状の箱型の分包紙挟持体50を設け、この分包紙挟持体50を、背面のコーナー部にそれぞれ配置されたコイルスプリング51によって分包紙6の送給経路(ペーパーライン)に向けて付勢するように構成したものである。この分包紙挟持体50は、常態においては、その前面(表面)が縦受け板40の前面(表面)よりも前方に突出された状態にある。勿論、加熱部側の分包紙挟持体についても同様の構成である。ここで、図9において、符号52にて示されるのは、縦受け板40を支持する支柱であり、符号53にて示されるのは、縦受け板40を支柱52に対して弾性的に支持するコイルスプリングである。また、符号54にて示されるのは、縦受け板40の中央部に設けられた溝部43内に嵌め込まれたミシン刃である。
【0038】
本実施形態の熱シール装置によれば、分包紙挟持体50によって縦受け板40の上流側および下流側の分包紙6が両側から同時に押さえて挟み付けられる。このため、ヒートシールされる直前の分包紙6は、これら分包紙挟持体50と下流側の駆動ローラ9とにより所要の張力が付与されて保持されるので、皺や弛みが除かれ、この状態で熱板30と受け板42とによって所要部がヒートシールされることになる。したがって、前記実施形態と同様、分包紙6に無理な曲げ力等を加えることなく、皺、弛みをなくして確実にヒートシールすることができる。
【0039】
〔第3の実施形態〕
図10には、本発明の第3の実施形態に係る熱シール装置における受け部の斜視図が示されている。
【0040】
前記各実施形態では、加熱部および受け部にそれぞれ配される分包紙挟持体を、縦熱板および縦受け板の上流側と下流側とに設けるものとした。これに対して、本実施形態では、分包紙挟持体を縦熱板および縦受け板の上流側のみに設けるように構成している。また、第1の実施形態の分包紙挟持体46は、支持軸45に捩りコイルスプリング47を介して支持されることによって、分包紙6をペーパーラインに向けて回動付勢されているものを説明したが、本実施形態の受け部21Bにおいては、縦受け板40の側方に固定される支持ブラケット44Aにゴム等の弾性体よりなる分包紙挟持体46Aが取り付けられている。また、この受け部21Bに対向する加熱部に設けられる分包紙挟持体も、同様の構成のものとされている。
【0041】
本実施形態によれば、分包紙6がヒートシールされるのに先立って分包紙挟持体46Aによって分包紙6が押さえられて挟持され、分包紙挟持体46Aと下流側の駆動ローラ9とによって分包紙6が引っ張られた状態で保持される。そして、この保持された状態で熱板30と受け板42とによって所要部がヒートシールされるので、分包紙6に皺や弛みが発生することなく、確実にヒートシールすることができる。したがって、前記各実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0042】
〔第4の実施形態〕
図11には、本発明の第4の実施形態に係る熱シール装置における加熱部の斜視図が示されている。
【0043】
本実施形態では、加熱部20Aにおける縦熱板28の下流側にのみ分包紙挟持体55を設け、この分包紙挟持体55を、図示されないコイルスプリングによって分包紙6の送給経路(ペーパーライン)に向けて付勢するように構成したものである。なお、図示省略されているが、加熱部20Aに対向する受け部においても同様の分包紙挟持体が配されている。
【0044】
このように、縦熱板28の直下流側のみに分包紙挟持体55を配置した場合であっても、ヒートシールされる直前の分包紙6は分包紙挟持体55と下流側の駆動ローラ9とに保持されて所要の張力が付与される。また、分包紙挟持体55は縦熱板28の直下流に配されているので、ヒートシールされる箇所の皺や弛みを確実に取り除いた状態にすることができる。したがって、皺や弛みが発生することなく、熱板30と受け板42とによって綺麗にヒートシールすることが可能となる。
【0045】
前記各実施形態においては、熱板30および受け板42が略T字状のものについて説明したが、本発明は、これら熱板および受け板がL字状のものに対しても適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の熱シール装置は、病院や調剤薬局等において薬剤を分包するのに用いられる薬剤分包装置に用いて好適である。
【符号の説明】
【0047】
1 薬剤包装装置
5 包装部
6 分包紙
7 分包紙ロール体
9 駆動ローラ
10 ホッパー
14 包装体
15 熱シール装置
20,20A 加熱部
21,21A,21B 受け部
28 縦シール部形成用熱板(縦熱板)
29 横シール部形成用熱板(横熱板)
30 熱板
34,46,50,55、56 分包紙挟持体
36 押圧レバー
40 縦受け板
41 横受け板
42 受け板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に送給される帯状の包装シートに対し被包装物を投入してヒートシールすることにより個々に区画された包装体を形成する包装装置であって、
被包装物が投入された包装シートの所要部をヒートシールする熱板と受け板とよりなる熱シール手段と、
前記熱シール手段に隣接して設けられ、該熱シール手段により前記包装シートがヒートシールされるのに先立って該包装シートを押さえる先押さえ手段とを備える
ことを特徴とする包装装置。
【請求項2】
前記先押さえ手段は、前記包装シートの両側部をヒートシールする前記熱シール手段の縦熱板または縦受け板の包装シート送給方向の上流側と下流側とに設けられる請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
前記先押さえ手段は、前記包装シートを両側から同時に押さえて挟み付けるものである請求項1または2に記載の包装装置。
【請求項4】
前記先押さえ手段は、前記熱シール手段を支持する加熱部本体上および受け部本体上に設けられる請求項1〜3のいずれかに記載の包装装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の包装装置を備え、前記被包装物が薬剤であることを特徴とする薬剤分包装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−235170(P2010−235170A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86544(P2009−86544)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(593129342)高園産業株式会社 (232)
【Fターム(参考)】