説明

化合物半導体基板の平坦化加工装置および平坦化加工方法

【課題】 サファイア基板裏面を高スループットで研削加工、ラップ研磨加工し、基板を薄肉化・平坦化することができる異物の付着が少ないサファイア基板を製造する平坦化加工装置の提供。
【解決手段】 基板のローディング/アンローディングステージ室W1、基板ラップ研磨ステージ室W3、基板の研削加工ステージ室W2内に各々の機械要素を収納した平坦化加工装置1であって、研削加工ステージで1枚の基板を研削加工し、その研削加工基板を多関節型基板搬送ロボットで基板ラップ研磨ステージ室にインライン化し、その基板ラップ研磨ステージ室内で同時に2枚の基板をラップ研磨加工するように設計したフットプリントの小さい平坦化加工装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(Light Emitted Diode)やレーザ半導体チップに使用される化合物半導体基板の表面を研削加工して基板の厚みを減らし、更に、ラップ研磨加工して表面粗さRaが数ナノ〜数十ナノの精密仕上げの基板を得るのに使用する化合物半導体基板の平坦化加工装置およびその装置を用いて化合物半導体基板の表面を平坦化加工する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオードは、サファイアやSCなどの脆弱な化合物半導体基板の表面にバッファ層(例えばAlN)を介して厚み20〜250ナノの単結晶薄膜を形成させたものであり、単結晶薄膜としてGaAs、InP、InAs、GaN、InGaNなどが使用されている。
【0003】
最近の単結晶薄膜形成技術では、5〜60ナノの厚みの単結晶薄膜が得られる。よって、サファイア基板についても、その表面粗さRaが数ナノ〜数十ナノの精密仕上げが要求される。基板の精密仕上げ加工方法としては、基板面と硬い定盤面に砥粒が挟まれ、両者面が相互に回転運動するときに砥粒が転がり運動するラッッピング加工(表面粗さ0.1〜2μm)、基板面と研磨パッド定盤面に砥粒が挟まれ、両者面が相互に回転運動するときに砥粒が研磨パッド定盤面に固定されてその切れ刃で微小切削を行うポリッシング加工(表面粗さ0.01〜1μm)、石英ガラスやABS樹脂定盤を用いるMCP(Mechano-Chemical Polishing)加工(表面粗さ0.001〜0.1μm)、発泡ポリウレタンや不織布定盤を用いるCMP(Chemical Mechanical Polishing)加工(表面粗さ0.001〜0.1μm)、ポリウレタンゴム微粒子駆動工具を用いるEEM(Elastic Emission Machining)加工(表面粗さ〜0.002μm)が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
特開2005−205542号公報(特許文献1)は、サファイア基板を平均粒径0.6μmのα型アルミナをエポキシ樹脂結合剤で結合した研磨砥石を用い、片面ポリッシング加工する方法を提案する。
【0005】
また、特開2001−18160号公報(特許文献2)は、図3、図4に示すポリシャを有する水平方向に回転可能なラップ盤4、該ラップ盤のポリシャ上に設けられたラップ盤ポリシャ面3のコンディショニングを行なうコンディショナーリング10、該コンディショナーリングの位置決め機構11および回転駆動機構12、前記コンディショナーリングならびにコンディショナーリングの位置決め機構および回転駆動機構の配列に対して対称の位置に設けられた一対のワーク(例えば、LEDガラス基板、半導体シリコンウエハ、セラミック基板)の加工ステーション位置決め機構13、治具に取り付けられたワークに荷重をかけ、かつ、ポリシャ面上でワークを保持する一対の加工ステーション14、前記ワークの加工ステーション位置決め機構13をポリシャ面3上で往復移動(揺動)させる駆動機構15、およびポリシャ上に研磨剤をポンプ16aで供給する研磨剤供給機構16を具備する平面ラップ装置1を開示する。
【0006】
特開2008−211040号公報(特許文献3)は、セラミック固定具に貼り付けたサファイア基板をアルミナ砥粒5〜30重量%の割合で固定した金属定盤で研磨したところ、算術平均表面粗さRaが0.0002〜0.001μmのサファイア基板が得られたと開示する。
【0007】
特開2008−311404号公報(特許文献4)は、表面が保護テープ貼着で保護されたLED基板のサファイア基板裏面を研削砥石で研削してその厚みを減らす方法を開示する。
【0008】
特開2009−28814号公報(特許文献5)は、研磨剤スラリーを用い、サファイア基板をCMP加工してRaが0.2nm程度の基板が得られたと報告する。
【0009】
この平坦化加工装置の前記切削手段(回転ブレード)は、特許文献1の平坦化加工装置では研削加工、研磨加工や基板移送中に基板がチッピングを起こす機会が多く、加工基板のロス率が高いので、この回転ブレードにより前記基板の外縁部の全体を切削除去して基板の周縁部に生ずるチッピングや半導体基板の割れを抑制する効果がある。
【0010】
前記非特許文献1に記載される種々のナノ精密仕上げ加工方法では、基板の厚みを減ずる加工時間が長く要するので、実際には、基板研削装置を用いて基板を研削加工して薄肉化した後に前記ナノ精密仕上げ加工を施こしている。
【0011】
米国特許第7,238,087号明細書(特許文献6)は、図5に示すように基板研削装置20と研磨装置70を多関節型アーム搬送ロボット40と回動式吸着パッド17を用いてインライン化した平坦化装置1を開示する。収納カセットK内に収納された基板は、基板研削装置20により半導体基板裏面のシリコン基盤を研削加工したのち、研磨装置70によりCMP研磨加工してシリコン基盤面を薄肉化し、0.1μm程度の表面粗さRaを有するシリコン基盤面が得られたと開示する。
【0012】
さらに、セリア粒子を分散させた表面研削砥石を用いてバキュームチャックに固定されているサファイア基板をドライポリッシュしたところ、数百ナノの表面粗さの鏡面を有するサファイア基板が得られたとの報告も基板加工メーカーから聞いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【非特許文献1】超精密加工編集委員会著、「超精密加工の基礎と実際」、日刊工業新聞社発行、106−110頁、2006年2月28日刊。
【特許文献2】特開2005−205542号公報
【特許文献3】特開2001−18160号公報
【特許文献4】特開2008−211040号公報
【特許文献5】特開2008−311404号公報
【特許文献6】特開2009−28814号公報
【特許文献6】米国特許第7,238,087号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
サファイア基板のナノ精密仕上げ加工方法としては、研磨剤液をサファイア基板とラップ定盤のポリッシャ面間に供給しつつ、サファイア基板をラップ定盤のポリッシャ面に押圧しつつラップ研磨加工することが発明者らの追試で確認できた。この確認が正しいことは、前記特許文献3記載のデータと他の特許文献記載のデータを比較しても裏付けられている。
【0015】
よって、前記米国特許第7,238,087号明細書(特許文献6)に開示の研削装置20に特開2001−18160号公報(特許文献2)に開示の平面ラップ装置を用い、多関節型基板搬送ロボット14の替わりに吸着パッドおよび反転機能を有する搬送アームを供える多関節型基板搬送ロボットを用いてインライン化した基板平坦化加工装置を組み立て、サファイア基板の平坦化加工を行ったところ、次の問題点が見出された。
【0016】
1)枚葉の研削加工された薄いサファイア基板は反り易いので、研削加工されたサファイア基板をラップ装置のチャック機構(テンプレート14b)に受け渡し(貼付)するのが困難である。2)ラップ装置では同時に2枚の基板をラップ研磨加工するため、仮置台が1基不足する。3)基板平坦化加工されたサファイア基板に付着した研削加工屑やラップ加工屑を洗浄装置で0.1μm径以下の不純物の数が10個以下に落とすことが困難である。
【0017】
本発明は、ラップ装置の押圧可能なチャック機構(テンプレート)14bを通気性の優れるポーラステンプレート板を使用した吸着チャックとし、かつ、振り子揺動できる吸着チャック機構に替え、この吸着チャック機構に研削加工されたサファイア基板を受け渡す基板搬送ロボットTとして吸着パッドおよび反転機能を有する搬送アームを供える多関節型基板搬送ロボットを用いることにより前述の1)の問題点を解決する。仮置台を1基追加することにより前述の2)の問題点を解決する。基板収納カセットKより研削装置据付位置をラップ装置据付位置よりも更に遠ざけるとともに、研削加工されたサファイア基板の第一洗浄装置、ラップ加工されたサファイア基板の第二洗浄装置、ラップ装置の第一チャック機構の第一洗浄装置、ラップ装置の第二チャック機構の第二洗浄装置、および多関節型基板搬送ロボットの吸着パッドの縦型洗浄装置を設けることにより前述の3)の問題点を解決することができる平坦化加工装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1の発明は、平坦化加工装置を据え付ける部屋を屋外に基板の収納カセットの複数が据え付けられている前方部より左側部にギリシャ文字のΓ字状の基板のローディング/アンローディングステージ室を、右側部の基板のラップ加工ステージ室および奥部の基板の研削加工ステージ室の3室に仕切り壁で区分けし、前記各ステージ室間の仕切り壁には隣接するステージ室に通じる基板を出し入れできる開口部が設けられ、前記ローディング/アンローディングステージ室の前方左側部壁には前記複数の基板の収納カセットに通じるロードポートを設けた化合物半導体基板の平坦化加工装置であって、
前記基板のローディング/アンローディングステージ室内には前記ロードポート背後より室内奥方向に向って、第二基板洗浄機と第二仮置台を併設、研磨剤液供給機構と吸着パッドおよび反転機能を有する搬送アームを供える多関節型基板搬送ロボットを併設、縦型吸着パッド洗浄機と第一仮置台を併設、および第一基板洗浄機と回動式吸着パッドを併設し、
前記基板のラップ加工ステージ室内には、中央部にラップ定盤ポリシャ面のコンディショニングを行なうコンディショナーリングを搭載するラップ定盤を設け、このラップ定盤の前方に吸着機構を有するテンプレートと振り子揺動および上下移動可能な第二基板吸着チャック機構と前記吸着機構を有するテンプレートを洗浄する第二基板吸着チャック洗浄機構を、かつ、前記ラップ定盤の後方に吸着機構を有するテンプレートと振り子揺動および上下移動可能な第一基板吸着チャック機構と前記吸着機構を有するテンプレートを洗浄する第一基板吸着チャック洗浄機構を設け、
前記基板の研削加工ステージ室内には、1台のインデックス型ターンテーブルに3組の基板吸着チャックテーブルを同一円周上に等間隔に回転可能に設けた基板吸着チャック定盤を設け、前記3組の基板吸着チャックテーブルをローディング/アンローディングステージチャック(s)、基板粗研削ステージチャック(s)、基板仕上げ研削チャック(s)位置であると数値制御装置にインデックス記憶し、および、前記ローディング/アンローディングステージチャック(s)の上方にブラシ洗浄機器およびチャック洗浄機器を横方向移動、上下移動可能および回転可能に設け、前記基板粗研削ステージチャック(s)の上方にカップホイール型粗研削砥石を上下昇降移動および回転可能に設け、かつ、前記基板仕上げ研削ステージチャック(s)の上方にカップホイール型仕上げ研削砥石を上下昇降移動および回転可能に設け、
前記ローディング/アンローディングステージ室内の中央部に設けられた多関節型基板搬送ロボットの吸着パッドにより、収納カセット内に収納されていた基板を吸着し、第一駆台上へ搬送、第一仮置台上の基板を研削加工ステージ室内のローディング/アンローディングステージチャック(s)上へ搬送、第一基板洗浄機上の基板を吸着してラップ加工ステージ室内の第一基板吸着チャック機構へ搬送し受け渡し、第一基板洗浄機上の基板を吸着してラップ加工ステージ室内の第二基板吸着チャック機構へ搬送し受け渡し、第一基板吸着チャック機構に吸着されていた基板を受け取り第二基板洗浄機へ搬送、第二基板吸着チャック機構に吸着されていた基板を受け取り第二基板洗浄機へ搬送、第二基板洗浄機上の基板を吸着し第二仮置台上へ搬送、第二仮置台上の基板を吸着し基板収納カセットへ搬送する作業を行い、
前記ローディング/アンローディングステージ室内の回動式吸着パッドを用いてローディング/アンローディングステージチャック(s)上の化合物半導体基板を吸着し、回動させて第一基板洗浄機上へ化合物半導体基板を移送する、
ことを特徴とする化合物半導体基板の平坦化加工装置を提供するものである。
【0019】
請求項2の発明は、請求項1に記載の化合物半導体基板の平坦化加工装置を用い、次の工程を経て化合物半導体基板の平坦化加工を行うことを特徴とする化合物半導体基板の平坦化加工方法を提供するものである。
(1)ローディング用の基板収納カセットに収納された化合物半導体基板を多関節型基板搬送ロボットの吸着パッドに吸着したのち、第一仮置台上へ搬送する。
(2)第一仮置台上で基板の芯出しを行った後、第一仮置台上の基板を研削加工ステージ室内のローディング/アンローディングステージチャック(s)上へ搬送する。
(3)その研削加工ステージ室内のインデックス型ターンテーブルを逆時計廻り方向に120度回転させて前記ローディング/アンローディングステージチャック(s)を基板粗研削ステージチャック(s)位置へと移動させる。
(4)その基板粗研削ステージチャック(s)位置で、カップホイール型砥石を用いて化合物半導体基板の裏面を粗研削加工する。
(5)前記インデックス型ターンテーブルを逆時計廻り方向に120度回転させて前記基板粗研削ステージチャック(s)を基板仕上げ研削ステージチャック(s)位置へと移動させる。
(6)その基板仕上げ研削ステージチャック(s)位置でカップホイール型砥石を用いて粗研削加工された化合物半導体基板の裏面を仕上げ研削加工して化合物半導体基板の裏面を薄肉化する。
(7)前記インデックス型ターンテーブルを逆時計廻り方向に120度回転、または時計廻り方向に240度回転させて前記基板仕上げ研削ステージチャック(s)をローディング/アンローディングステージチャック(s)位置へと移動させる。
(8)ローディング/アンローディングステージ室内の回動式吸着パッドを用い、ローディング/アンローディングステージチャック(s)上の化合物半導体基板を吸着し、回動させて第一基板洗浄機上へ化合物半導体基板を移送する。
(9)第一基板洗浄機上で化合物半導体基板をスピン洗浄する。
(10)多関節型基板搬送ロボットの吸着パッドで第一基板洗浄機上の化合物半導体基板を吸着し、吸着パッドを反転させた後、ラップ加工ステージ室内の第二基板吸着チャック機構へ搬送し受け渡す。
(11)多関節型基板搬送ロボットの吸着パッドで第一基板洗浄機上の新たに洗浄された別の化合物半導体基板を吸着し、吸着パッドを反転させた後、ラップ加工ステージ室内の第一基板吸着チャック機構へ搬送し受け渡す。
(12)ラップ定盤を回転させ、かつ、前記第一基板吸着チャック機構および第二基板吸着チャック機構を振り子揺動させて前記ラップ定盤の研磨剤液が供給されているポリシャ面上方に移動させたのち、第一基板吸着チャック機構および第二基板吸着チャック機構を下降させて吸着されている化合物半導体基板をラップ定盤のポリシャ面に押圧して荷重をかけ、ラップ研磨加工を開始する。ラップ定盤の回転および前記第一基板吸着チャック機構および第二基板吸着チャック機構のポリシャ面上での振り子揺動および下降による基板への荷重を継続させ、化合物半導体基板のラップ研磨加工を行う。
(13)化合物半導体基板のラップ研磨加工の終了後、前記第一基板吸着チャック機構および第二基板吸着チャック機構を振り子揺動させて第一基板吸着チャック洗浄機構および第二基板吸着チャック洗浄機構の上方に移動させた後、下降させ、ついで、第一基板吸着チャック洗浄機構および第二基板吸着チャック洗浄機構で前記第一基板吸着チャック機構に吸着および第二基板吸着チャック機構に吸着されている化合物半導体基板のラップ研磨加工面を洗浄する。
(14)多関節型基板搬送ロボットの吸着パッドで第二基板吸着チャック機構に吸着されている化合物半導体基板を吸着し、ついで第二基板洗浄機上へ搬送し、受け渡す。
(15)第二基板洗浄機で化合物半導体基板を洗浄する。
(16)多関節型基板搬送ロボットの吸着パッドで第二基板洗浄機上の洗浄された化合物半導体基板を吸着し、第二仮置台上へ化合物半導体基板を移送し、ついで、化合物半導体基板の芯出しを行う。
(17)多関節型基板搬送ロボットの吸着パッドで第二仮置台上の化合物半導体基板を吸着し、アンローディング用の基板収納カセット内に化合物半導体基板を移送する。
(18)多関節型基板搬送ロボットの吸着パッドで第一基板吸着チャック機構に吸着されている化合物半導体基板を吸着し、ついで第二基板洗浄機上へ搬送し、受け渡す。
(19)第二基板洗浄機で化合物半導体基板を洗浄する。
(20)多関節型基板搬送ロボットの吸着パッドで第二基板洗浄機上の洗浄された化合物半導体基板を吸着し、第二仮置台上へ化合物半導体基板を移送し、ついで、化合物半導体基板の芯出しを行う。
(21)多関節型基板搬送ロボットの吸着パッドで第二仮置台上の化合物半導体基板を吸着し、アンローデヂィング用の基板収納カセット内に化合物半導体基板を移送する。
【0020】
なお、上述の(10)工程と(11)工程の吸着チャック機構への基板の受け渡し、および、(14)と(18)工程の吸着チャック機構から第二基板洗浄機への基板の受け渡しは、第一基板吸着チャック機構での化合物半導体基板の受け渡しを優先し、次いで、第二基板吸着チャック機構での化合物半導体基板の受け渡しを行うように変更してもよい。
【0021】
また、前記(21)工程の後に、(22)多関節型基板搬送ロボットの吸着パッドを垂直に回転し、次いで縦型吸着パッド洗浄機内の洗浄液に浸漬し、吸着パッドを超音波洗浄して付着した研磨屑や砥粒残滓を洗い落とした後、吸着パッドを待機位置へ戻す工程が行われる。
【発明の効果】
【0022】
化合物半導体基板裏面のラップ研磨加工が行われる前に基板裏面の研削加工を行うので、化合物半導体基板裏面の薄肉化、nano精密表面加工のスループット時間を短縮できる。
【0023】
基板収納カセットより研削装置据付位置をラップ装置据付位置よりも更に遠ざけるとともに、研削加工されたサファイア基板の第一洗浄装置、ラップ加工されたサファイア基板の第二洗浄装置、ラップ装置の第一チャック機構の第一洗浄装置、ラップ装置の第二チャック機構の第二洗浄装置、および多関節型基板搬送ロボットの吸着パッドの縦型洗浄装置を設けることにより、平坦化加工されたサファイア基板に付着する0.1μm未満径の異物の数が2個/100mm以下と極度に減らすことができた。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は化合物半導体基板の平坦化加工装置の平面図である。
【図2】図2は化合物半導体基板の平坦化加工装置の要部を示す左側面図である。
【図3】図3は平面ラップ装置の平面図である。(公知)
【図4】図4は平面ラップ装置の一部を切り欠いた側面図である。(公知)
【図5】図5は基板の平坦化加工装置の平面図である。(公知)
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図1と図2を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
図1に示す化合物半導体基板裏面の平坦化加工装置1は周壁Wに囲綾され、大きく3部屋に仕切られている。正面前方部より左側部にギリシャ文字のΓ字状の基板のローディング/アンローディングステージ室W1を、正面右側部に基板のラップ加工ステージ室W3を、および、奥部に基板の研削加工ステージ室W3を仕切り壁で3部屋に区分けし、前記各ステージ室間の仕切り壁には隣接するステージ室に通じる基板を出し入れできる開口部が設けられ、前記ローディング/アンローディングステージ室の前方左側部壁にはローディング用基板収納カセットKおよびアンローディング用基板収納カセットKに通じるロードポートが設けられている。
【0026】
基板の平坦化加工中、前記研磨加工ステージ室W2の室内圧力は、前記研削加工ステージ室W3の室内圧力より高く設定される。
【0027】
前記基板収納カセットKは、多関節型基板搬送ロボットの吸着パッド直径が基板収納カセット内に出し入れできる大きさであるときは、市販の収納カセット単独で用いてもよいが、多関節型基板搬送ロボットの吸着パッド径が基板収納カセット内に出し入れできる大きさよりも大きい直径であるときは、特開昭61−230853号公報に記載される基板搬送用ベルトとその搬送用ベルト幅調整機構を備える搬送用ベルト装置kを備え付けた収納カセットKを用いる。図1中、kは係止板であり、左側の基板収納カセットKがローディング用の基板収納カセット、右側の基板収納カセットKがアンローディング用の基板収納カセットである。図2では基板収納カセットKは図略されており、符号Bはベースである。
【0028】
前記基板のローディング/アンローディングステージ室内W1には前記壁に設けられたロードポート背後より室内奥方向に向って、第二基板洗浄機52と第二仮置台42を併設、研磨剤液供給機構16と液吸着パッド40aおよび反転機能を有する搬送アーム40bを供える多関節型基板搬送ロボット40を併設、縦型吸着パッド洗浄機53と第一仮置台41を併設、および、第一基板洗浄機51と回動式吸着パッド17を併設する。
【0029】
図1に示すように吸着パッド40aおよび反転機能を有する搬送アーム40bを供える多関節型基板搬送ロボット40は、吸着パッド40aおよび搬送アー40bを実線および仮想線で示すように、吸着パッドが収納カセット内に収納されていた基板を吸着し、第一駆台41上へ搬送、第一仮置台上の基板を研削加工ステージ室内のローディング/アンローディングステージチャックt(s)上へ搬送、第一基板洗浄機51上の基板を吸着してラップ加工ステージ室内の第一基板吸着チャック機構14aへ搬送し受け渡し、第一基板洗浄機上の基板を吸着してラップ加工ステージ室内の第二基板吸着チャック機構14bへ搬送し受け渡し、第一基板吸着チャック機構に吸着されていた基板を受け取り第二基板洗浄機へ搬送、第二基板吸着チャック機構に吸着されていた基板を受け取り第二基板洗浄機61bへ搬送、第二基板洗浄機上の基板を吸着し第二仮置台42上へ搬送、第二仮置台上の基板を吸着し基板収納カセットKへ搬送する作業を行う。
【0030】
前記基板洗浄機器51,52は、化合物半導体基板の加工面を洗浄するスピン方式の基板洗浄機器で、洗浄液供給ノズルから基板面に供給される洗浄液としては、蒸留水、深層海水、脱イオン交換水などの純水、界面活性剤含有純水、過酸化水素水、オゾン水等が使用される。
【0031】
第一基板吸着チャック洗浄機構61aと第二基板吸着チャック洗浄機構61bは、純水を吸着パッド40aおよび吸着パッドに吸着されている基板面に向けて高圧ジェット噴水して吸着パッド40aの吸着面または基板加工面に付着した異物を洗い流すものである。
【0032】
縦型吸着パッド洗浄機53は、超音波振動により洗浄水を振動させて吸着パッド40aに付着した異物を洗い流す形式の洗浄機が好ましい。
【0033】
前記基板のラップ研磨加工ステージ室内W3には、中央部にラップ盤ポリシャ3面のコンディショニングを行なうコンディショナーリング10を搭載するラップ定盤4を設け、このラップ定盤4の前方に吸着機構を有するテンプレートと振り子揺動および上下移動可能な第二基板吸着チャック機構14bと前記吸着機構を有するテンプレートを洗浄する第二基板吸着チャック洗浄機構61bを、かつ、前記ラップ定盤の後方に吸着機構を有するテンプレートと振り子揺動および上下移動可能な第一基板吸着チャック機構14aと前記吸着機構を有するテンプレートを洗浄する第一基板吸着チャック洗浄機構61aを設ける。
【0034】
第一基板吸着チャック機構14aと第二基板吸着チャック機構14bの基板吸着テンプレートは、回転軸14c廻りに振り子揺動できるよう設けられる。また、前記コンディショナーリング10は位置決め機構11によりポリシャ面上の位置を決められ、回転駆動機構12によりポリシャ面上で回転運動される。
【0035】
ラップ定盤4の素材としては、ケメット、鋳鉄、鋼、錫、セラミック、エンジニアリングプラスチック(PEEK、ナイロン6,10、ポリアセタール、芳香族エポキシ樹脂など)、ラップ定盤4のポリシャ面3をナノ無機充填剤(合成ダイヤモンド、シリカ、セリア、α型アルミナなど)が0.1〜3重量%の割合で分散埋め込み固定されたエンジニアリングプラスチックが挙げられる。サファイア基板にはケメット、α型アルミナ植え込みエポキシ樹脂が好ましい。
【0036】
基板と接するラップ定盤4のポリシャ面3には研磨液供給機構16のポンプ16aの稼動により研磨剤液が供給される。研磨剤液としては純水が好ましいが、数ナノから数十アノ粒子を分散させたコロイダルセリア、コロイダルシリカを用いてもよい。
【0037】
定盤4の回転数は、1〜5min−1、基板吸着チャック機構14のラップ定盤4へのラップ荷重は0.5〜2kgf、コンディショナーリング10の回転数は5〜20min−1、基板吸着チャック機構14の揺動幅は5〜20mm、研磨剤液の供給量は20〜600cc/分が好ましい。
【0038】
前記基板の研削加工ステージ室内W2には、1台のインデックス型ターンテーブルTに3組の基板吸着チャックテーブルを同一円周上に等間隔に回転可能に設けた基板吸着チャック定盤を設け、前記3組の基板吸着チャックテーブルt,t,tをローディング/アンローディングステージチャック(s)、基板粗研削ステージチャック(s)、基板仕上げ研削チャック(s)位置であると数値制御装置にインデックス記憶する。および、前記ローディング/アンローディングステージチャック(s)の上方に米国特許第7,238,087号明細書に記載のブラシ洗浄機器38aおよびチャック洗浄機器38bを固定する滑走板38fが案内ガイド38g上に横方向に移動可能に設けられ、仮想線で示された位置までの距離横移動可能である。ブラシ洗浄機器38aのブラシおよびチャック洗浄機器38bの砥石棹はモータによりそれぞれ回転可能に設けられ、かつ、シリンダー100により上下移動可能となっている。
【0039】
前記基板粗研削ステージチャック(s)の上方にカップホイール型粗研削砥石90aを軸承する砥石軸90bを、砥石軸を固定する滑走板90cをモータ90dでボールネジ駆動させて案内ガイド90e面を下昇降移動および前記砥石軸をビルトインモータ(図示されていない)回転駆動により回転可能に設ける。90tは2点式インゲージ厚み測定器、90sは研削液供給機構である。
【0040】
前記基板仕上げ研削ステージチャック(s)の上方にカップホイール型仕上げ研削砥石91aを軸承する砥石軸91bを、砥石軸を固定する滑走板91cをモータ91dでボールネジ駆動させて案内ガイド91e面を下昇降移動および前記砥石軸をビルトインモータ91mで回転駆動により回転可能に設ける。91tは2点式インゲージ厚み測定器、91sは研削液供給機構である。
【0041】
図2に示す91zは砥石軸を前後方向に傾斜させる機構、91xは、特公平1−52148号公報に開示の砥石軸を前後方向に傾斜させる機構であり、モータ91m,91mの作動により基板の水平面に直角の鉛直面に対し、砥石軸91bを0度から5度傾斜させることができる。砥石軸を傾斜させることにより砥石の切刃と基板との接触面積を小さくすることができるので基板の砥石焼けを防ぐことができる。なお、砥石軸90bに対してもこれらの砥石軸傾斜機構が備え付けられている。
【0042】
前記粗研削砥石90aとしては、砥番300〜2,000のダイヤモンドカップホイール型粗研削砥石が好ましく、仕上げ研削砥石としては、砥番500〜20,000のダイヤモンドカップホイール型粗研削砥石が好ましい。
【0043】
粗研削加工ステ−ジ(s)の基板チャックtの回転速度は8〜300rpm(min−1)、カップホイール型粗研削砥石90aの回転速度は1,000〜4,000min−1、基板面への研削液供給量は100〜2,000cc/分である。仕上げ研削加工ステ−ジ(s)基板チャックtの回転速度は5〜80min−1、カップホイール型仕上げ研削砥石91aの回転速度は400〜3,000min−1、基板面への研削液供給量は100〜2,000cc/分である。
【0044】
前記ダイヤモンドカップホイール型研削砥石90a,91aと基板が当接する研削加工点に供給される研削液としては、純水、セリア粒子水分散液、フュームドシリカ水分散液、コロイダルシリカ水分散液、あるいは、これら研削液にテトラメチルアンモニウム、エタノールアミン、苛性カリ、イミダゾリウム塩等が配合されたものが使用できる。
【0045】
前記チャック洗浄機器38はブラシ38aおよび回転式チャッククリーナ砥石38bおよび純水供給ノズルを備える。回転している前記ローディング/アンローディングステージ(s)のチャックt表面に純水供給ノズルより純水を供給しながら回転しているブラシ38aを下降させて当接、摺擦させ、チャック30a面に付着している研削残滓や砥粒屑を除去した後、ブラシを上昇させ、ついで、回転している回転式チャッククリーナ砥石38bを下降させてチャックt表面に当接、摺擦させ、純水供給ノズルより供給される純水とともにポーラスセラミックチャクtに突き刺さっている研削残滓を取り除く。さらに、前記ポーラスセラミックチャクtの背面より加圧水を噴出させてポーラスセラミックチャクtに突き刺さっている研削残滓をポーラスセラミックチャクt内より噴出して完全に取り去る。
【0046】
基板粗研削ステージチャックtおよび基板仕上げ研削チャックtの傍らのベースB上には基板の厚みを測定する2点式厚みインジケータ91t,91tが設けられている。この半導体基板の厚みを測定する厚み測定機器は、特開2009−88073号公報に開示されるレーザ光投光器と受光器を備えるセンサヘッドの外周に気体を供給できる流体通路を設けたセンサヘッド保持具とコントロールユニットとデータ解析手段を備える非接触式厚み測定器を用いてもよい。
【0047】
かかる市販のレーザ光の反射率を利用する厚み測定器としては、近赤外光(波長1.3μm)をレーザビームスポット径1.2〜250μmψで計測ステージ上のシリコン基板の片面に照射し、その反射光を受光器により検知し、シリコン基板の厚みを算出するシリコン基板厚さ測定器として、プレサイズゲージ株式会社よりLTM1001の商品名で、ホトジェニック株式会社より厚み測定装置C8125の商品名で、米国FRONTIER SEMICONDUCTOR社からFSM413-300の商品名で入手できる。また、650nm〜1,700nm波長の近赤外光をビームスポット径100〜1,000μmψで利用する反射率分光法を用いる非接触光学式厚み測定器として、米国FILMETRICS,INC.社から非接触光学式厚み測定器F20−XTの商品名で、大塚電子株式会社よりインライン膜厚測定器MCPD5000の商品名で入手できる。
【0048】
前記研磨加工ステージ室内W3の半導体基板のラップ研磨加工作業は、前記研削加工ステージ20における研削加工作業の約2倍の時間を要する。それゆえ、ラップ研磨加工ステージでは同時に2枚の化合物半導体基板のラップ研磨加工作業が実施できるように構成されている。
【0049】
図1に示す化合物半導体基板の平坦化加工装置1を用い、基板裏面を薄肉化・平坦化加工する作業は、以下の工程を経て行われる。
【0050】
(1)ローディング用の基板収納カセットKに収納された化合物半導体基板をベルト搬送補助手段の助けを借りてカセット外へ搬出し、ついで、化合物半導体基板を多関節型基板搬送ロボット40の吸着パッド40aに吸着したのち、第一仮置台上へ搬送する。
【0051】
(2)第一仮置台41上で基板の芯出しを行った後、第一仮置台上の基板を研削加工ステージ室内のローディング/アンローディングステージチャック(s)t上へ搬送する。
【0052】
(3)その研削加工ステージ室内のインデックス型ターンテーブルTを逆時計廻り方向に120度回転させて前記ローディング/アンローディングステージチャックt(s)を基板粗研削ステージチャックt位置(s)へと移動させる。
【0053】
(4)その基板粗研削ステージチャック(s)位置で、カップホイール型砥石90aを用いて化合物半導体基板の裏面を粗研削加工する。
【0054】
(5)前記インデックス型ターンテーブルTを逆時計廻り方向に120度回転させて前記基板粗研削ステージチャック(s)を基板仕上げ研削ステージチャックt位置(s)へと移動させる。
【0055】
(6)その基板仕上げ研削ステージチャックt(s)位置でカップホイール型砥石を用いて粗研削加工された化合物半導体基板の裏面を仕上げ研削加工して化合物半導体基板の裏面を薄肉化する。
【0056】
(7)前記インデックス型ターンテーブルTを逆時計廻り方向に120度回転、または時計廻り方向に240度回転させて前記基板仕上げ研削ステージチャックt(s)をローディング/アンローディングステージチャック位置(s)へと移動させる。
【0057】
(8)ローディング/アンローディングステージ室内の回動式吸着パッド17を用い、ローディング/アンローディングステージチャック(s)上の化合物半導体基板を吸着パッド17aで吸着し、パッド17aのアームを回動させて第一基板洗浄機51上へ化合物半導体基板を移送する。
【0058】
(9)第一基板洗浄機51上で化合物半導体基板をスピン洗浄する。
【0059】
(10)多関節型基板搬送ロボット40の吸着パッド40aで第一基板洗浄機51上の化合物半導体基板を吸着し、吸着パッド40aを反転させた後、ラップ加工ステージ室内の第二基板吸着チャック機構14bへ搬送し基板を受け渡す。
【0060】
(11)多関節型基板搬送ロボットの吸着パッド40aで第一基板洗浄機51上の新たに洗浄された別の化合物半導体基板を吸着し、吸着パッドを反転させた後、ラップ加工ステージ室内の第一基板吸着チャック機構14aへ搬送し受け渡す。
【0061】
(12)ラップ定盤4を回転させ、かつ、前記第一基板吸着チャック機構14aおよび第二基板吸着チャック機構14bをモータ駆動で振り子揺動させて前記ラップ定盤4の研磨剤液が供給されているポリシャ面4上方に移動させたのち、第一基板吸着チャック機構14aよび第二基板吸着チャック機構14bを下降させて吸着されている化合物半導体基板をラップ定盤のポリシャ面4に約1kgfの荷重で押圧し、ラップ研磨加工を開始する。ラップ定盤の回転および前記第一基板吸着チャック機構および第二基板吸着チャック機構14bのポリシャ面4上での振り子揺動および基板への荷重負荷を継続させ、化合物半導体基板のラップ研磨加工を行う。
【0062】
(13)化合物半導体基板のラップ研磨加工の終了後、前記第一基板吸着チャック機構14aおよび第二基板吸着チャック機構14bを振り子揺動させて第一基板吸着チャック洗浄機構61aおよび第二基板吸着チャック洗浄機構61bの上方に移動させた後、下降させ、ついで、第一基板吸着チャック洗浄機構61aおよび第二基板吸着チャック洗浄機構61bで前記第一基板吸着チャック機構14aに吸着および第二基板吸着チャック機構14bに吸着されている化合物半導体基板のラップ研磨加工面に1.2〜4kgf/cmの高圧ジェット噴水を吹き付けて基板の洗浄を行う。
【0063】
(14)多関節型基板搬送ロボットの吸着パッド40aで第二基板吸着チャック機構14bに吸着されている化合物半導体基板を吸着し、ついで第二基板洗浄機61b上へ搬送し、受け渡す。
【0064】
(15)第二基板洗浄機52で化合物半導体基板をスピン洗浄する。第二基板吸着チャック洗浄機構61b上では、第二基板吸着チャック機構14bのテンプレートのジェット洗浄が行われる。
【0065】
(16)多関節型基板搬送ロボットの吸着パッド40aで第二基板洗浄機52上の洗浄された化合物半導体基板を吸着し、第二仮置台42上へ化合物半導体基板を移送し、ついで、化合物半導体基板の芯出しを行う。
【0066】
(17)多関節型基板搬送ロボットの吸着パッド40aで第二仮置台52上の化合物半導体基板を吸着し、アンローディング用の基板収納カセットK内に化合物半導体基板をベルト搬送の補助kのもとに移送する。
【0067】
(18)多関節型基板搬送ロボットの吸着パッド40aで第一基板吸着チャック機構14aに吸着されている化合物半導体基板を吸着し、ついで第二基板洗浄機52上へ搬送し、受け渡す。
【0068】
(19)第二基板洗浄機52で化合物半導体基板をスピン洗浄する。第一基板吸着チャック洗浄機構61a上では、第一基板吸着チャック機構14aのテンプレートのジェット洗浄が行われる。
【0069】
(20)多関節型基板搬送ロボットの吸着パッド40aで第二基板洗浄機上の洗浄された化合物半導体基板を吸着し、第二仮置台42上へ化合物半導体基板を移送し、ついで、化合物半導体基板の芯出しを行う。
【0070】
(21)多関節型基板搬送ロボットの吸着パッド40aで第二仮置台42上の化合物半導体基板を吸着し、アンローデヂィング用の基板収納カセットK内に化合物半導体基板を化合物半導体基板をベルト搬送の補助kのもとに移送する。
【0071】
(22)多関節型基板搬送ロボットの吸着パッド40a面が垂直となるようにアーム40bを回転し、次いで縦型吸着パッド洗浄機53内の洗浄液に浸漬し、吸着パッドを超音波洗浄して付着した研磨屑や砥粒残滓を洗い落とした後、吸着パッド40a位置を待機位置へ戻す。
【0072】
以下、上記(1)工程から(22)の工程が繰り返えされ、化合物半導体基板2枚の裏面平坦化加工が継続される。
【0073】
なお、上述の(10)工程と(11)工程の吸着チャック機構への基板の受け渡し、および、(14)と(18)工程の吸着チャック機構から第二基板洗浄機への基板の受け渡しは、第一基板吸着チャック機構での化合物半導体基板の受け渡しを優先し、次いで、第二基板吸着チャック機構での化合物半導体基板の受け渡しを行うように変更してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の化合物半導体基板の平坦化加工装置は、基板裏面の研削・ラップ研磨加工を高スループットで行うことが可能である。また、異物の付着個数の少ない極薄の化合物半導体基板を製造することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 基板の平坦化加工装置
B ベース
K 収納カセット
T インデックス型ターンテーブル
W1 ローディング/アンローディングステージ室
W2 基板のラップ研磨加工ステージ室
W3 基板の研削加工ステージ室
基板のローディング/アンローディングステージ
基板の粗研削加工ステージ
基板の仕上げ研削加工ステージ
3 ラップ定盤
4 ポリシャ面
14 吸着チャック機構
16 研磨剤液供給機構
17 回動式吸着パッド
40 多関節型基板搬送ロボット
40a 吸着パッド
41,42 仮置台
51 基板洗浄機
61 吸着パッドの縦型洗浄機
90a 粗研削砥石
91a 仕上げ研削砥石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦化加工装置を据え付ける部屋を屋外に基板の収納カセットの複数が据え付けられている前方部より左側部にギリシャ文字のΓ字状の基板のローディング/アンローディングステージ室を、右側部の基板のラップ加工ステージ室および奥部の基板の研削加工ステージ室の3室に仕切り壁で区分けし、前記各ステージ室間の仕切り壁には隣接するステージ室に通じる基板を出し入れできる開口部が設けられ、前記ローディング/アンローディングステージ室の前方左側部壁には前記複数の基板の収納カセットに通じるロードポートを設けた化合物半導体基板の平坦化加工装置であって、
前記基板のローディング/アンローディングステージ室内には前記ロードポート背後より室内奥方向に向って、第二基板洗浄機と第二仮置台を併設、研磨剤液供給機構と吸着パッドおよび反転機能を有する搬送アームを供える多関節型基板搬送ロボットを併設、縦型吸着パッド洗浄機と第一仮置台を併設、および第一基板洗浄機と回動式吸着パッドを併設し、
前記基板のラップ加工ステージ室内には、中央部にラップ定盤ポリシャ面のコンディショニングを行なうコンディショナーリングを搭載するラップ定盤を設け、このラップ定盤の前方に吸着機構を有するテンプレートと振り子揺動および上下移動可能な第二基板吸着チャック機構と前記吸着機構を有するテンプレートを洗浄する第二基板吸着チャック洗浄機構を、かつ、前記ラップ定盤の後方に吸着機構を有するテンプレートと振り子揺動および上下移動可能な第一基板吸着チャック機構と前記吸着機構を有するテンプレートを洗浄する第一基板吸着チャック洗浄機構を設け、
前記基板の研削加工ステージ室内には、1台のインデックス型ターンテーブルに3組の基板吸着チャックテーブルを同一円周上に等間隔に回転可能に設けた基板吸着チャック定盤を設け、前記3組の基板吸着チャックテーブルをローディング/アンローディングステージチャック(s)、基板粗研削ステージチャック(s)、基板仕上げ研削チャック(s)位置であると数値制御装置にインデックス記憶し、および、前記ローディング/アンローディングステージチャック(s)の上方にブラシ洗浄機器およびチャック洗浄機器を横方向移動、上下移動可能および回転可能に設け、前記基板粗研削ステージチャック(s)の上方にカップホイール型粗研削砥石を上下昇降移動および回転可能に設け、かつ、前記基板仕上げ研削ステージチャック(s)の上方にカップホイール型仕上げ研削砥石を上下昇降移動および回転可能に設け、
前記ローディング/アンローディングステージ室内の中央部に設けられた多関節型基板搬送ロボットの吸着パッドにより、収納カセット内に収納されていた基板を吸着し、第一駆台上へ搬送、第一仮置台上の基板を研削加工ステージ室内のローディング/アンローディングステージチャック(s)上へ搬送、第一基板洗浄機上の基板を吸着してラップ加工ステージ室内の第一基板吸着チャック機構へ搬送し受け渡し、第一基板洗浄機上の基板を吸着してラップ加工ステージ室内の第二基板吸着チャック機構へ搬送し受け渡し、第一基板吸着チャック機構に吸着されていた基板を受け取り第二基板洗浄機へ搬送、第二基板吸着チャック機構に吸着されていた基板を受け取り第二基板洗浄機へ搬送、第二基板洗浄機上の基板を吸着し第二仮置台上へ搬送、第二仮置台上の基板を吸着し基板収納カセットへ搬送する作業を行い、
前記ローディング/アンローディングステージ室内の回動式吸着パッドを用いてローディング/アンローディングステージチャック(s)上の化合物半導体基板を吸着し、回動させて第一基板洗浄機上へ化合物半導体基板を移送する、
ことを特徴とする化合物半導体基板の平坦化加工装置。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物半導体基板の平坦化加工装置を用い、次の工程を経て化合物半導体基板の平坦化加工を行うことを特徴とする化合物半導体基板の平坦化加工方法。
(1)ローディング用の基板収納カセットに収納された化合物半導体基板を多関節型基板搬送ロボットの吸着パッドに吸着したのち、第一仮置台上へ搬送する。
(2)第一仮置台上で基板の芯出しを行った後、第一仮置台上の基板を研削加工ステージ室内のローディング/アンローディングステージチャック(s)上へ搬送する。
(3)その研削加工ステージ室内のインデックス型ターンテーブルを逆時計廻り方向に120度回転させて前記ローディング/アンローディングステージチャック(s)を基板粗研削ステージチャック(s)位置へと移動させる。
(4)その基板粗研削ステージチャック(s)位置で、カップホイール型砥石を用いて化合物半導体基板の裏面を粗研削加工する。
(5)前記インデックス型ターンテーブルを逆時計廻り方向に120度回転させて前記基板粗研削ステージチャック(s)を基板仕上げ研削ステージチャック(s)位置へと移動させる。
(6)その基板仕上げ研削ステージチャック(s)位置でカップホイール型砥石を用いて粗研削加工された化合物半導体基板の裏面を仕上げ研削加工して化合物半導体基板の裏面を薄肉化する。
(7)前記インデックス型ターンテーブルを逆時計廻り方向に120度回転、または時計廻り方向に240度回転させて前記基板仕上げ研削ステージチャック(s)をローディング/アンローディングステージチャック(s)位置へと移動させる。
(8)ローディング/アンローディングステージ室内の回動式吸着パッドを用い、ローディング/アンローディングステージチャック(s)上の化合物半導体基板を吸着し、回動させて第一基板洗浄機上へ化合物半導体基板を移送する。
(9)第一基板洗浄機上で化合物半導体基板をスピン洗浄する。
(10)多関節型基板搬送ロボットの吸着パッドで第一基板洗浄機上の化合物半導体基板を吸着し、吸着パッドを反転させた後、ラップ加工ステージ室内の第二基板吸着チャック機構へ搬送し受け渡す。
(11)多関節型基板搬送ロボットの吸着パッドで第一基板洗浄機上の新たに洗浄された別の化合物半導体基板を吸着し、吸着パッドを反転させた後、ラップ加工ステージ室内の第一基板吸着チャック機構へ搬送し受け渡す。
(12)ラップ定盤を回転させ、かつ、前記第一基板吸着チャック機構および第二基板吸着チャック機構を振り子揺動させて前記ラップ定盤の研磨剤液が供給されているポリシャ面上方に移動させたのち、第一基板吸着チャック機構および第二基板吸着チャック機構を下降させて吸着されている化合物半導体基板をラップ定盤のポリシャ面に押圧して荷重をかけ、ラップ研磨加工を開始する。ラップ定盤の回転および前記第一基板吸着チャック機構および第二基板吸着チャック機構のポリシャ面上での振り子揺動および下降による基板への荷重を継続させ、化合物半導体基板のラップ研磨加工を行う。
(13)化合物半導体基板のラップ研磨加工の終了後、前記第一基板吸着チャック機構および第二基板吸着チャック機構を振り子揺動させて第一基板吸着チャック洗浄機構および第二基板吸着チャック洗浄機構の上方に移動させた後、下降させ、ついで、第一基板吸着チャック洗浄機構および第二基板吸着チャック洗浄機構で前記第一基板吸着チャック機構に吸着および第二基板吸着チャック機構に吸着されている化合物半導体基板のラップ研磨加工面を洗浄する。
(14)多関節型基板搬送ロボットの吸着パッドで第二基板吸着チャック機構に吸着されている化合物半導体基板を吸着し、ついで第二基板洗浄機上へ搬送し、受け渡す。
(15)第二基板洗浄機で化合物半導体基板を洗浄する。
(16)多関節型基板搬送ロボットの吸着パッドで第二基板洗浄機上の洗浄された化合物半導体基板を吸着し、第二仮置台上へ化合物半導体基板を移送し、ついで、化合物半導体基板の芯出しを行う。
(17)多関節型基板搬送ロボットの吸着パッドで第二仮置台上の化合物半導体基板を吸着し、アンローディング用の基板収納カセット内に化合物半導体基板を移送する。
(18)多関節型基板搬送ロボットの吸着パッドで第一基板吸着チャック機構に吸着されている化合物半導体基板を吸着し、ついで第二基板洗浄機上へ搬送し、受け渡す。
(19)第二基板洗浄機で化合物半導体基板を洗浄する。
(20)多関節型基板搬送ロボットの吸着パッドで第二基板洗浄機上の洗浄された化合物半導体基板を吸着し、第二仮置台上へ化合物半導体基板を移送し、ついで、化合物半導体基板の芯出しを行う。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−171324(P2011−171324A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30873(P2010−30873)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(391011102)株式会社岡本工作機械製作所 (161)
【Fターム(参考)】