説明

化学増幅ポジ型レジスト組成物及びパターン形成方法

【課題】ラインエッジラフネスの低減、温度変化に対しての線幅変動低減、また高解像性の化学増幅ポジ型レジスト組成物、及びこれを用いたパターン形成方法を提供する。
【解決手段】芳香環を側鎖に有する特定の繰り返し単位と、窒素原子を側鎖に有する特定の繰り返し単位を含む高分子化合物(PB)、及び、スルホン酸のスルホニウム塩を側鎖に有する特定の繰り返し単位と、酸分解性保護基で保護された酸性側鎖を有する繰り返し単位を含有する高分子化合物(PA)を含有する化学増幅ポジ型レジスト組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体やフォトマスク等の加工に使用する、紫外線、遠紫外線、電子線、極端紫外線(EUV)、X線、γ線、シンクロトロン放射線などの高エネルギー線に感応する化学増幅ポジ型レジスト組成物に関し、特に電子線、EUV、遠紫外線をはじめとする高エネルギー線のビーム照射による露光工程に使用する化学増幅ポジ型レジスト組成物、及びそれを用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、集積回路の高集積化に伴いより微細なパターン形成が求められ、0.2μm以下のパターンの加工ではもっぱら酸を触媒とした化学増幅型レジスト組成物が使用されている。また、この際の露光源として紫外線、遠紫外線、電子線などの高エネルギー線が用いられるが、特に超微細加工技術として利用されている電子線リソグラフィーは、半導体製造用のフォトマスクを作製する際のフォトマスクブランクの加工方法としても不可欠となっている。
【0003】
一般的に、電子線による描画は電子線ビームにより行われ、マスクを用いず、ポジ型の場合、レジスト膜の残したい領域以外の部分を、微細面積の電子線ビームで順次照射していくという方法が採られる。そこで、加工面の微細に区切った全領域上を送引していくという作業となるため、フォトマスクを用いる一括露光に比べ時間がかかり、スループットを落とさないためにはレジストが高感度であることが求められる。また描画時間が長くかかるため、初期に描画された部分と後期に描画された部分の差が生じ易く、露光部分の真空中での経時安定性は重要な性能要求項目である。更に、特に重要な用途であるマスクブランクスの加工では、フォトマスク基板に成膜された酸化クロムをはじめとするクロム化合物膜など、化学増幅型レジスト膜のパターン形状に影響を与え易い表面材料を持つものも有り、高解像性やエッチング後の形状を保つためには基板の種類に依存せず、レジストのパターンプロファイルを矩形に保つことも重要な性能の一つとなっている。
【0004】
ところで、上記のようなレジスト感度やパターンプロファイルの制御はレジスト組成物に使用する材料の選択や組み合わせ、プロセス条件等によって種々の改善がなされてきた。その改良の一つとして、化学増幅型レジスト膜の解像性に重要な影響を与える酸の拡散の問題がある。フォトマスク加工では、上述のように得られるレジストパターンの形状が、露光後、露光後加熱までの時間に依存して変化しないことが求められているが、時間依存性変化の大きな原因は露光により発生した酸の拡散である。この酸の拡散の問題は、フォトマスク加工に限らず、一般のレジスト膜においても感度と解像性に大きな影響を与えることから多くの検討がされてきている。
【0005】
特に、特許文献1(特開平9−325497号公報)で開示された、露光により発生するスルホン酸をレジスト膜に使用する樹脂に結合させることにより拡散を抑制する方法は、塩基を用いて制御する方法とは異なるメカニズムによる制御方法として注目される。より微細なパターンの形成が求められるに従い、この方法を用いる改良が種々行われているが、特許文献2(特開2008−133448号公報)は、酸の強度の改良を図った例として、有用である。
【0006】
また、上述の酸の拡散を抑制するためのもう一つの重要な材料である塩基性化合物についても多くの改良が報告されている。例えば、露光時にレジスト膜上に水の膜を形成してArFエキシマレーザー光を用いて露光を行うArF液浸露光法に用いるレジスト組成物用として、レジスト膜に接触した水相に塩基性化合物が移動、拡散してレジスト表面領域の解像性が変化しないよう、ポリマーに塩基性化合物を結合させたものを使用する方法が提案されている(特許文献3:特開2008−133312号公報)。
【0007】
酸拡散を抑止するための目的ではないが、ポリマー中に窒素原子を含む部分構造を持たせる例が、特許文献4(特開2009−86310号公報)にヘテロ環を持つポリマーを用いたレジスト組成物の例として開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−325497号公報
【特許文献2】特開2008−133448号公報
【特許文献3】特開2008−133312号公報
【特許文献4】特開2009−86310号公報
【特許文献5】特開2008−102383号公報
【特許文献6】特開2004−115630号公報
【特許文献7】特開2005−8766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、化学増幅ポジ型レジスト技術の開発以来、レジスト感度やパターンプロファイルの制御は、上述のような用いる高分子化合物や酸発生剤の改良だけでなく、使用する材料の選択や組み合わせ、プロセス条件等によって種々の改善がなされてきた。
例えば、定在波やラインエッジラフネスといった問題は、初期には成膜後のレジスト膜中に残存させる塗布溶剤の制御等により、酸の拡散距離を大きめに取ることによって解決されたり、又は露光後加熱の温度を制御することにより解決されてきた。しかし、より高い解像性を求めた場合、酸の拡散は解像性を低下させる原因となる可能性があるため、プロセス条件による調整は限られた範囲でしか用いることができない。
特にフォトマスク加工で必要とされるラインエッジラフネスの低減、温度変化に対しての線幅変動低減という問題と高解像性の追求は、トレードオフになり易く、上述のような酸の拡散を制御する技術が注目されたが、完全な解決には至っていない。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、ラインエッジラフネスの低減、温度変化に対しての線幅変動低減、また高解像性の化学増幅ポジ型レジスト組成物、及びこれを用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意検討を重ね、酸の拡散の制御を行った場合にも、特許文献2(特開2008−133448号公報)に示されたように塩基性物質の添加が必要であり、塩基性物質の拡散も同時に制御することを試みた。
そして、下記一般式(1)及び(2)で示される繰り返し単位を有する塩基性高分子化合物が化学増幅ポジ型レジスト組成物に含まれることで、ラインエッジラフネス、温度依存性の低減、更に解像性が向上することを見出し、本発明をなすに至った。
【0012】
即ち、本発明は、下記一般式(1)及び(2)
【化1】

(式中、Aは単結合、又は鎖の中間にエーテル性酸素原子を含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基を示す。R1はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、R2はそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を示す。B1、B2及びB3はそれぞれ独立に単結合、又はエーテル性酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、エーテル性酸素原子を介していてもよい炭素数5〜10の2価の脂環式基、及びエーテル性酸素原子を介していてもよい炭素数6〜14の2価の芳香族基より選ばれる1種又は2種以上の組み合わせよりなる結合鎖である。Z1及びZ2は単結合、−CO−O−又は−O−CO−を示す。但し、B1、B2及びB3にエーテル性酸素原子が含まれる場合は、−O−O−構造となることはなく、Z2が−CO−O−又は−O−CO−である場合は、B3が単結合になることはない。R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜10のヘテロ原子を含んでもよい1価の炭化水素基を示す。但し、R3、R4は同時に水素原子であることはない。R3及びR4は互いに結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成していてもよく、その場合、炭素数2〜12のヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を示す。また、B3とR3又はB3とR4が結合して、これらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、その場合、該窒素原子を含む環は5〜7員環であるが、該窒素原子の孤立電子対が該窒素原子を含む環に芳香族性を与える構造の環となることはなく、また、該窒素原子を含む環が芳香環となることはない。aは0〜4の整数、bは1〜5の正の整数である。p、qはそれぞれ独立に0又は1を示し、tは0〜2の整数を示す。但し、qが0であるとき、B1の主鎖炭素と結合する原子は、エーテル性酸素原子又は芳香環の一部をなす炭素原子であり、更にqが0かつZ1及びZ2が単結合である場合には、B1、B2及びB3の一部には必ずアルキレン基に由来する2つ以上の連続する炭素原子又は芳香族基が含まれる。)
で示される繰り返し単位を有する高分子化合物(PB)、及び、下記一般式(3)
【化2】

(式中、Cは単結合、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリーレン基を示し、Dは単結合、又は一部もしくは全部の水素原子がフッ素原子に、もしくは一部のメチレン基がエーテル性酸素原子もしくはカルボニルオキシ基に置換されていてもよい炭素数1〜15の2価の炭化水素基を示す。R1は上記定義と同じである。R5、R6及びR7はそれぞれ独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アルケニル基又はオキソアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示す。また、R5、R6及びR7のうちのいずれか2つは、相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。vは0又は1を示すが、0の場合にはCとDが同時に単結合となることはない。)
で示される繰り返し単位と、酸分解性保護基で保護された酸性側鎖を有する繰り返し単位を含有する高分子化合物(PA)を含有することを特徴とする化学増幅ポジ型レジスト組成物である(請求項1)。
【0013】
好ましくは、上記高分子化合物(PB)は、更に下記一般式(4)
【化3】

(式中、Eは単結合又はエーテル性酸素原子を含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基を示す。R1は水素原子又はメチル基を示す。R8はそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を示す。Xはdが1の場合には酸不安定基を、dが2以上の場合には水素原子又は酸不安定基を示すが、少なくとも1つは酸不安定基である。aは0〜4の整数である。cは0又は1であり、dは1〜3の整数である。sは0又は1を示す。wは0〜2の整数を示す。)
で示される単位を含有する(請求項2)。
【0014】
更に好ましくは、上記高分子化合物(PB)は、下記一般式(5)及び(6)
【化4】

(式中、eは0〜4の整数であり、R9はそれぞれ独立に、水酸基、酸不安定基で保護された水酸基、ハロゲン原子、炭素数2〜7のハロゲン置換されていてもよいアシルオキシ基、炭素数1〜6のハロゲン置換されていてもよいアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン置換されていてもよいアルコキシ基、又は炭素数2〜7のハロゲン置換されていてもよいアルコキシカルボニル基を示す。)
で示される単位から選ばれる1以上の単位を含有する(請求項3)。
【0015】
また、本発明は、被加工基板上に上述の化学増幅ポジ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、高エネルギー線をパターン照射する工程、アルカリ性現像液を用いて現像してレジストパターンを得る工程を含むパターン形成方法である(請求項4)。
【0016】
上記高エネルギー線が、EUV又は電子線の場合に特に有用である(請求項5)。
また、上記被加工基板の最表面が、クロムを含む材料からなる場合において特に有用である。クロムを含む材料が表面をなす被加工基板では、パターン形状の制御が難しく、本発明が特に有効である。
【0017】
本発明のパターン形成方法が好ましく適用される被加工基板は、フォトマスクブランクである(請求項6)。フォトマスクの加工には電子線による露光が好ましく用いられ、本発明の効果が特に有用である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、超微細パターンを要求されるレジストパターンの形成において、上記に示す塩基性高分子化合物を含有する化学増幅ポジ型レジスト組成物を用いることで、塩基の分布をより均一にすると共に拡散を制御することができ、ラインエッジラフネスの改善、更には温度依存性の抑制ができ、高解像度が期待できる化学増幅ポジ型レジスト組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のレジスト組成物の調製に使用する高分子化合物成分は、添加する塩基性物質の拡散を制御すべく高分子化合物に結合されたアミン構造をもつ高分子化合物(PB)と、高エネルギー線が照射された際に発生する酸の拡散を制御すべく高分子化合物中に結合されたスルホン酸のスルホニウム塩構造を持つ高分子化合物(PA)とを含有する。
【0020】
高分子化合物(PB)は、分子中に極性を持つことによって高分子化合物に密着性を与える単位と、塩基性を有する単位を有し、即ち、下記一般式(1)及び(2)で示される繰り返し単位を含有する。
【化5】

(式中、Aは単結合、又は鎖の中間にエーテル性酸素原子を含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基を示す。R1はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、R2はそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を示す。B1、B2及びB3はそれぞれ独立に単結合、又はエーテル性酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、エーテル性酸素原子を介していてもよい炭素数5〜10の2価の脂環式基、及びエーテル性酸素原子を介していてもよい炭素数6〜14の2価の芳香族基より選ばれる1種又は2種以上の組み合わせよりなる結合鎖である。Z1及びZ2は単結合、−CO−O−又は−O−CO−を示す。但し、B1、B2及びB3にエーテル性酸素原子が含まれる場合は、−O−O−構造となることはなく、Z2が−CO−O−又は−O−CO−である場合は、B3が単結合になることはない。R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜10のヘテロ原子を含んでもよい1価の炭化水素基を示す。但し、R3、R4は同時に水素原子であることはない。R3及びR4は互いに結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成していてもよく、その場合、炭素数2〜12のヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を示す。また、B3とR3又はB3とR4が結合して、これらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、その場合、該窒素原子を含む環は5〜7員環であるが、該窒素原子の孤立電子対が該窒素原子を含む環に芳香族性を与える構造の環となることはなく、また、該窒素原子を含む環が芳香環となることはない。aは0〜4の整数、bは1〜5の正の整数である。p、qはそれぞれ独立に0又は1を示し、tは0〜2の整数を示す。但し、qが0であるとき、B1の主鎖炭素と結合する原子は、エーテル性酸素原子又は芳香環の一部をなす炭素原子であり、更にqが0かつZ1及びZ2が単結合である場合には、B1、B2及びB3の一部には必ずアルキレン基に由来する2つ以上の連続する炭素原子又は芳香族基が含まれる。)
【0021】
上記式(1)で示される繰り返し単位は、エッチング耐性を与えると共に、基板に対する密着性を与える繰り返し単位である。この繰り返し単位は、上述の先行技術を含め、既に多くのKrFエキシマレーザー用レジスト組成物や電子線用レジスト組成物で用いられている。
【0022】
上記式(1)中、Aは単結合、又は鎖の中間にエーテル性酸素原子(エーテル結合)を含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基を示す。
好ましいアルキレン基の例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、及び分岐又は環構造を持つ炭素骨格の構造異性体等が挙げられ、エーテル性酸素原子を含む場合には、上記式(1)中のpが1である場合には、エステル酸素に対してα位の炭素とβ位の炭素の間を除くいずれの箇所に入ってもよい。また、pが0である場合には、主鎖と結合する原子がエーテル性酸素原子となり、該エーテル性酸素原子に対してα位の炭素とβ位の炭素の間を除くいずれの箇所に第2のエーテル性酸素原子が入ってもよい。なお、上記アルキレン基の炭素数が10を超える場合はアルカリ性現像液に対する溶解性が低くなり、好ましくない。
【0023】
2はそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を示す。炭素数1〜6のアルキル基の好ましい例として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、及び分岐又は環構造を持つ炭素骨格の構造異性体等が挙げられる。なお、炭素数が6を超えると、アルカリ性現像液に対する溶解性が低くなり、好ましくない。
【0024】
aは0〜4の整数、bは1〜5の正の整数であるが、tが0の場合、好ましくはaは0〜3の整数、bは1〜3の正の整数であり、tが1又は2の場合、好ましくはaは0〜4の整数、bは1〜5の正の整数である。
tは0〜2の整数を示し、0の場合はベンゼン骨格、1の場合はナフタレン骨格、2の場合はアントラセン骨格をそれぞれ示す。
【0025】
上記式(1)で示される繰り返し単位のうち、pが0かつAが単結合である場合、つまり芳香環が高分子化合物の主鎖に直接結合した、即ちリンカーのない場合の繰り返し単位は、ヒドロキシスチレン単位に代表される、水酸基が置換された芳香環にα−位置換又は非置換のビニル基が結合されたモノマーに由来する単位であるが、好ましい具体例としては、3−ヒドロキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン、5−ヒドロキシ−2−ビニルナフタレン、6−ヒドロキシ−2−ビニルナフタレン等を挙げることができる。
また、pが1である場合、つまりリンカーとしてエステル骨格を有する場合の繰り返し単位は、(メタ)アクリル酸エステルに代表される、カルボニル基が置換したビニルモノマー単位である。
【0026】
(メタ)アクリル酸エステル由来のリンカー(−CO−O−A−)を持つ場合の上記式(1)の好ましい具体例を以下に示す。
【化6】

【0027】
上記式(2)で示される繰り返し単位は、塩基性活性点として異なる炭素2つが結合した2級アミノ基、又は異なる炭素が3つ結合した3級アミノ基を持つ側鎖を有する繰り返し単位である。Z2が−O−CO−である場合、B3が単結合になることはないため、上記式(2)中にNで示された窒素原子はアミド性窒素となることはなく、また、ピリジン環やピロール環に含まれる窒素とは異なることからプロトンを強く捕捉する能力を有する。また、上記式(2)で示される繰り返し単位の側鎖は、エステル構造を有する場合は、又はエステル構造を持たない場合でも、上記式(2)中のB1、B2又はB3で示された基は、部分構造として2炭素以上のアルキレン基や芳香族基に由来する自由回転可能な2つ以上の単結合を有する結合鎖を含むことから、窒素原子はプロトンを捕捉するために十分な熱運動能を持つ。特に、エステル構造を持つ場合や、上記式(2)中のB1、B2又はB3で示された基が部分構造としてアルキレン基に由来する2つ以上の連続する炭素原子を含む場合には、前記Nで示された窒素原子は高い熱運動能を持つことから有利な酸捕捉能を有する。つまり、上記式(2)中のNで示された窒素原子は、十分な熱運動能をもち有利な酸捕捉能を有する。
【0028】
なお、特許文献4(特開2009−86310号公報)に、ポリマー中にピロール環、ピリジン環に由来する窒素原子や、主鎖との相対位置において自由度の低い窒素原子を持つヘテロ環を持たせたポリマーを使用した例が挙げられているが、特許文献4(特開2009−86310号公報)に示されたレジスト組成物は、塩基性化合物を別に添加するものである。その実施例データを見ると、窒素原子を持つポリマーの感度は窒素原子を持たないポリマーの感度よりも低くなる傾向を示しておらず、特許文献4(特開2009−86310号公報)に挙げられたポリマー中の窒素はプロトン捕捉能が低く、本発明の上記式(2)で示された繰り返し単位とは異なる機能を果たしていることが分かる。
【0029】
上記式(2)中、B1、B2及びB3はそれぞれ独立に単結合、又はエーテル性酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、エーテル性酸素原子を介していてもよい炭素数5〜10の2価の脂環式基、及びエーテル性酸素原子を介していてもよい炭素数6〜14の2価の芳香族基より選ばれる1種又は2種以上の組み合わせよりなる結合鎖である。また、Z1及びZ2は単結合、−CO−O−又は−O−CO−を示す。但し、B1、B2及びB3にエーテル性酸素原子が含まれる場合は、−O−O−構造となることはなく、Z2が−CO−O−又は−O−CO−である場合は、B3が単結合になることはない。
【0030】
1、B2及びB3を構成することができる好ましいアルキレン基の例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、及び分岐構造を持つこれらの構造異性体等が挙げられ、更に上記アルキレン基は中間にエーテル性酸素原子を含んでいてもよい。好ましい具体例としては、エステル酸素側より、エチレンオキシメチレン基、エチレンオキシエチレン基、エチレンオキシ−1,2−プロピレン基、エチレンオキシ−1,3−プロピレン基、1,2−プロピレンオキシメチレン基、1,2−プロピレンオキシエチレン基、1,2−プロピレンオキシ−1,2−プロピレン基、1,2−プロピレンオキシ−1,3−プロピレン基、1,3−プロピレンオキシメチレン基、1,3−プロピレンオキシエチレン基、1,3−プロピレンオキシ−1,2−プロピレン基、1,3−プロピレンオキシ−1,3−プロピレン基等が挙げられる。また、好ましい脂環式基としては、1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基、2,3−ノルボルニレン基、2,5−ノルボルニレン基、2,6−ノルボルニレン基、1,3−アダマンチレン基等が挙げられる。好ましい芳香族基としては、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基等が挙げられる。
【0031】
1、B2及びB3は、それぞれ上記例示した基等を1種単独で又は2種以上を組み合わせて炭素数が14、好ましくは10を超えないように選択可能である。なお、炭素数が14を超える場合は、アルカリ性現像液に対する溶解性が低くなり、好ましくない。
【0032】
上記式(2)中、qは0又は1を示す。qが0である場合には、B1の主鎖炭素と結合する原子が、エーテル性酸素原子又は芳香環の一部をなす炭素原子であることにより、重合時の繰り返し単位(2)を得るための材料モノマーを、他の繰り返し単位との間で容易に共重合させ得る。qが1である場合、上記式(2)で示される単位は(メタ)アクリル酸エステル由来の繰り返し単位である。また、qが0かつZ1及びZ2が単結合である場合には、B1、B2及びB3の一部には必ずアルキレン基に由来する2つ以上の連続する炭素原子、又は芳香族基が含まれる。
【0033】
3、R4はそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜10のヘテロ原子を含んでもよい1価の炭化水素基を示し、但し、R3、R4は同時に水素原子であることはない。また、R3、R4は互いに結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成していてもよく、その場合、炭素数2〜12のヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を示す。
【0034】
好ましくは炭化水素基としてメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられ、エーテル結合を含む炭化水素基としては、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−プロポキシエチル基、2−イソプロポキシエチル基、2−メトキシプロピル基、2−エトキシプロピル基、2−プロポキシプロピル基、2−イソプロポキシプロピル基、3−メトキシプロピル基、3−エトキシプロピル基、3−プロポキシプロピル基等が挙げられる。互いに環を形成する場合は、好ましくは5員環又は6員環である。上記ヘテロ原子としては、酸素、窒素、硫黄等が挙げられ、より好ましくは酸素である。
【0035】
また、B3とR3又はB3とR4が結合して、これらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、その場合、該窒素原子を含む環は5〜7員環であり、好ましくは5員環又は6員環である。但し、B3とR3又はB3とR4が結合して、これらが結合する窒素原子と共に環を形成する場合、上記一般式(2)中のNで示された窒素原子の孤立電子対が該窒素原子を含む環に芳香族性を与える構造の環となることはなく、また、該窒素原子を含む環が芳香環となることはない。このような除かれる構造の環としては、ピロール環、ピリジン環等が挙げられる。
【0036】
(メタ)アクリル酸エステルに由来する、即ちqが1であり、B1及びB2が単結合、Z1及びZ2が単結合、B3がアルキレン基の場合の好ましい具体例を以下に示す。なお、下記式中、R1は上記の通りであり、Meはメチル基を示す(以下、同様)。
【0037】
【化7】

【0038】
【化8】

【0039】
【化9】

【0040】
【化10】

【0041】
qが1であり、B1及びB2が単結合、Z1及びZ2が単結合、B3が脂環式基の場合の好ましい具体例を以下に示す。
【化11】

【0042】
qが1であり、B1及びB2が単結合、Z1及びZ2が単結合、B3がエーテル性酸素原子を含むアルキレン基の場合の好ましい具体例を以下に示す。
【化12】

【0043】
qが1であり、B1及びB2が単結合、Z1及びZ2が単結合、B3が芳香族基の場合の好ましい具体例を以下に示す。
【化13】

【0044】
qが1であり、B1が単結合、Z1が単結合、B2が脂環式基、Z2が−O−CO−又は−CO−O−、B3がアルキレン基の場合の好ましい具体例を以下に示す。
【化14】

【0045】
【化15】

【0046】
qが1であり、B1が単結合、Z1が単結合、B2がアルキレン基、Z2が−CO−O−、B3がアルキレン基の場合の好ましい具体例を以下に示す。
【化16】

【0047】
qが0であり、B1が単結合、Z1が単結合、B2が芳香族基、Z2が単結合、B3が単結合、アルキレン基又はエーテル性酸素原子を含むアルキレン基の場合の好ましい具体例を以下に示す。
【化17】

【0048】
【化18】

【0049】
【化19】

【0050】
qが0であり、B1が単結合、Z1が単結合、B2が芳香族基であり、Z2が−CO−O−、B3がアルキレン基の場合の好ましい具体例を以下に示す。
【化20】

【0051】
qが0であり、B1が芳香族基、Z1が−CO−O−、B2が脂環式基、Z2が−CO−O−又は−O−CO−、B3がアルキレン基の場合の好ましい具体例を以下に示す。
【化21】

【化22】

【0052】
更にqが0であり、B1及びB2が単結合、Z1及びZ2が単結合、B3がエーテル性酸素原子を含有するアルキレン基である場合の好ましい具体例を以下に示す。
【化23】

【0053】
ところで、ポジ型レジスト膜の機械構造機能及び溶解性変化機能を果たすレジスト高分子化合物は、高分子化合物全体として、アルカリ性現像液に不溶性であり、酸の作用により可溶性に変化する必要がある。しかし、混合する一部の高分子化合物は、単体としては酸の作用がなくてもアルカリ性現像液に対して可溶性である場合や、酸が作用しても単体としてはアルカリ性現像液に対して不溶性である場合もあり、混合物としてレジスト膜を形成した場合、酸発生剤より発生する酸の作用を受ける前はアルカリ性現像液に不溶性であり、酸の作用を受けると、一部又は全部の高分子化合物が持つ酸分解性保護基が脱離して、高分子化合物混合物としてアルカリ性現像液に対して可溶性になればよい。そこで、上記高分子化合物(PB)が、それ自体はアルカリ性現像液に可溶性であってもよく、また、酸の作用を受けた後も高分子化合物(PB)自体はアルカリ性現像液に不溶性であってもよいが、後者の場合には、現像後のスカムの原因となる可能性が生じるため、酸処理後にもアルカリ不溶性となることを避ける設計が好ましく採られる。一方、前者である場合にも、組み合わせる高分子化合物の制限が大きくなることから、上記高分子化合物(PB)は、更に酸分解性保護基で保護された酸性官能基を持つ繰り返し単位を有する高分子化合物であることが好ましい。
【0054】
上記酸分解性保護基で保護された酸性官能基を持つ繰り返し単位は、フェノール性水酸基を保護したものや、ビニル安息香酸や(メタ)アクリル酸由来等のカルボキシル基を保護したものを例示するまでもなく多数が公知であり、それらのものは基本的には全て適用可能である。
【0055】
本発明に使用する高分子化合物に用いる、酸不安定基により保護され、酸の作用によりアルカリ可溶性となる単位の最も好ましいものとして、下記一般式(4)で示される単位を挙げることができる。
【化24】

(式中、Eは単結合又はエーテル性酸素原子を含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基を示す。R1は水素原子又はメチル基を示す。R8はそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を示す。Xはdが1の場合には酸不安定基を、dが2以上の場合には水素原子又は酸不安定基を示すが、少なくとも1つは酸不安定基である。aは0〜4の整数である。cは0又は1であり、dは1〜3の整数である。sは0又は1を示す。wは0〜2の整数を示す。)
【0056】
上記式(4)中、Eは単結合又はエーテル性酸素原子を含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基を示す。好ましいアルキレン基としては、上記Aとして例示したものと同様の基を挙げることができる。R8はそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を示す。好ましいアルキル基としては、上記R2として例示したものと同様の基を挙げることができる。
【0057】
上記式(4)中、Xはdが1の場合には酸不安定基を、dが2以上の場合には水素原子又は酸不安定基を示すが、少なくとも1つは酸不安定基である。即ち、上記式(4)で示される単位は、上記式(1)で示される単位の芳香環に置換したフェノール性水酸基の少なくとも1つを酸不安定基に置換したもの、又はフェノール性水酸基がカルボキシル基に置換され、カルボン酸が酸不安定基で保護されたものであり、上記酸不安定基としては、既に公知の多数の化学増幅型レジスト組成物で用いられてきた、酸によって脱離して酸性基を与えるものを、基本的にはいずれも使用することができる。
【0058】
上記のフェノール性水酸基、カルボキシル基のいずれの場合にも、特に酸不安定基の選択として、3級アルキル基による保護は、レジスト膜厚を10〜100nmといった薄膜で、例えば45nm以下の線幅を持つような微細パターンを形成した場合にも、エッジラフネス(パターンの端部が不整形状になる現象)が小さなパターンを与えるため好ましい。更に、その際使用される3級アルキル基としては、得られた重合用のモノマーを蒸留によって得るために、炭素数4〜18のものであることが好ましい。また、該3級アルキル基の3級炭素が有するアルキル置換基としては、炭素数1〜15の、一部エーテル結合やカルボニル基のような酸素含有官能基を含んでいてもよい、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を挙げることができ、置換基間で結合し、環を形成していてもよい。
【0059】
上記3級アルキル基の3級炭素の好ましい置換基としては、酸素官能基を持っていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を挙げることができ、3級炭素の置換アルキル基同士が結合して環を形成していてもよい。好ましい置換基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラヒドロフラン−2−イル基、7−オキサノルボルナン−2−イル基、シクロペンチル基、2−テトラヒドロフリル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、8−エチル−8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、3−メチル−3−テトラシクロ[4.4.0.12,5,17,10]ドデシル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5,17,10]ドデシル基、3−オキソ−1−シクロヘキシル基等を挙げることができ、また、3級アルキル基として具体的には、t−ブチル基、t−ペンチル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1−アダマンチル−1−メチルエチル基、1−メチル−1−(2−ノルボルニル)エチル基、1−メチル−1−(テトラヒドロフラン−2−イル)エチル基、1−メチル−1−(7−オキサノルボルナン−2−イル)エチル基、1−メチルシクロペンチル基、1−エチルシクロペンチル基、1−プロピルシクロペンチル基、1−シクロペンチルシクロペンチル基、1−シクロヘキシルシクロペンチル基、1−(2−テトラヒドロフリル)シクロペンチル基、1−(7−オキサノルボルナン−2−イル)シクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−シクロペンチルシクロヘキシル基、1−シクロヘキシルシクロヘキシル基、2−メチル−2−ノルボルニル基、2−エチル−2−ノルボルニル基、8−メチル−8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、8−エチル−8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、3−メチル−3−テトラシクロ[4.4.0.12,5,17,10]ドデシル基、3−エチル−3−テトラシクロ[4.4.0.12,5,17,10]ドデシル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−メチル−3−オキソ−1−シクロヘキシル基、1−メチル−1−(テトラヒドロフラン−2−イル)エチル基、5−ヒドロキシ−2−メチル−2−アダマンチル基、5−ヒドロキシ−2−エチル−2−アダマンチル基等を例示できるが、これらに限定されない。
【0060】
また、下記一般式(J)
【化25】

(式中、R16は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、Yは炭素数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状(多環式のものを含む)のアルキル基を示す。)
で示されるアセタール基はよく利用され、比較的パターンと基板の界面が矩形であるパターンを安定して与える酸不安定基として有用な選択肢である。特に、より高い解像性を得るためには、炭素数7〜30の多環式アルキル基が含まれることが好ましい。また、Yが多環式アルキル基を含む場合、該多環式環構造を構成する2級炭素とアセタール酸素との間で結合を形成していることが好ましい。なぜなら、環構造の3級炭素上で結合している場合、高分子化合物が不安定な化合物となり、レジスト組成物として保存安定性に欠け、解像力も劣化することがあるためである。逆に、Yが炭素数1以上の直鎖状のアルキル基を介在した1級炭素上で結合した場合、高分子化合物のガラス転移温度(Tg)が低下し、現像後のレジストパターンがベークにより形状不良を起こすことがある。
【0061】
なお、式(J)で示されるアセタール基の具体例としては、下記のものを例示することができる。
【化26】

【0062】
なお、R16は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であるが、酸に対する分解性基の感度の設計に応じて適宜選択される。例えば、比較的高い安定性を確保した上で強い酸で分解するという設計であれば水素原子が選択され、比較的高い反応性を用いてpH変化に対して高感度化という設計であれば直鎖状のアルキル基が選択される。レジスト組成物に配合する酸発生剤や塩基性化合物との組み合わせにもよるが、上述のような末端に比較的大きなアルキル基が置換され、分解による溶解性変化が大きく設計されている場合には、R16としてアセタール炭素との結合を持つ炭素が2級炭素であるものが好ましい。2級炭素によってアセタール炭素と結合するR16の例としては、イソプロピル基、sec−ブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基等を挙げることができる。
【0063】
その他の酸不安定基の選択としては、フェノール性水酸基に−CH2COO−(3級アルキル基)を結合させるという選択を行うこともでき、これそのものは水酸基の保護基ではない点で酸不安定基の例外的構造である。この場合に使用する3級アルキル基は、上述のフェノール性水酸基の保護に用いる3級アルキル基と同じものを使用することができる。
【0064】
本発明のレジスト組成物に使用する高分子化合物の主要構成単位として加えることができる単位として、下記一般式(5)及び/又は(6)は有用である。
【化27】

(式中、eは0〜4の整数であり、R9はそれぞれ独立に、水酸基、酸不安定基で保護された水酸基、ハロゲン原子、炭素数2〜7のハロゲン置換されていてもよいアシルオキシ基、炭素数1〜6のハロゲン置換されていてもよいアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン置換されていてもよいアルコキシ基、又は炭素数2〜7のハロゲン置換されていてもよいアルコキシカルボニル基を示す。)
【0065】
上記R9において、これがハロゲン原子を示す場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。また、アルコキシ基及びアルコキシカルボニル基のアルコキシ基としては、炭素数1〜6、特に1〜4のものが好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基等が挙げられ、好ましくは、メトキシ基、イソプロポキシ基等である。置換可アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、及びこれらのアルキル基の水素原子の1個又は複数個をハロゲン原子等で置換した置換アルキル基が挙げられる。また、アシルオキシ基としては、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、プロピルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、ペンチルカルボニルオキシ基、ヘキシルカルボニルオキシ基及びその構造異性体、シクロペンチルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等や、これらの基の水素原子の一部がハロゲン原子に置換されたものを好ましく用いることができる。なお、ハロゲン置換される場合には、塩素原子又はフッ素原子で置換されていることが好ましい。また、R9が酸不安定基で保護された水酸基を示す場合、該酸不安定基は、上記式(4)のXで示したものに用いることができるものが、いずれも使用できる。
【0066】
上記式(5)及び/又は(6)で示される繰り返し単位を構成単位として使用した場合には、芳香環が持つエッチング耐性に加えて、主鎖に環構造が加わることによるエッチングやパターン検査の際の電子線照射耐性を高めるという効果を得ることができる。
【0067】
本発明における高分子化合物(PB)は、上記式(1)及び(2)で示される繰り返し単位を必須構成単位とし、主要構成単位、即ち高分子化合物(PB)を構成する全繰り返し単位中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、特に好ましくは85モル%以上が上記式(1)、(2)、(4)、(5)及び(6)で示される繰り返し単位より選ばれる。
【0068】
上記分子中に極性を有する上記式(1)で示される繰り返し単位は、極性の強さにもよるが、一般的には高分子化合物(PB)を構成する全繰り返し単位中、好ましくは30モル%以上、特に40モル%以上含有することで、基板に対する好ましい密着性と現像時の好ましいパターン形状を得ることができる。30モル%未満になる場合には、パターン倒壊や、パターン形状不良を生じる危険性がある。なお、その上限については、本発明のレジスト組成物に用いる高分子化合物全体を合わせた場合のアルカリ性現像液に対する溶解速度を元に行う設計に基づくものであり、組み合わせる高分子化合物によって大きく異なる。上記ポリマー(PB)における繰り返し単位(1)の上限という意味では、上記ポリマー(PB)以外のポリマーのブレンド比が高い場合には、上記繰り返し単位(1)が非常に高含有比であってもよく、上記ポリマー(PB)を構成する繰り返し単位として、後述の繰り返し単位(2)を除いた全てが繰り返し単位(1)で占められてもよい。
【0069】
また、塩基性を有する上記式(2)で示される繰り返し単位の含有量は、レジスト膜を構成するレジスト組成物に含まれる高分子化合物全体に対する割合と、単体としての高分子化合物中の構成比との2つ間で設計することが必要である。本発明の効果を得るためには、レジスト膜を構成する高分子化合物全体における合計の繰り返し単位中、上記式(2)で示される繰り返し単位の含有率が、好ましくは0.005〜10モル%、より好ましくは0.01〜3モル%、更に好ましくは0.1〜1.5モル%となるように設計される。そこで、上述するように高分子化合物(PB)が上記式(3)で示される繰り返し単位をも含み、高分子化合物(PA)でもあり、かつ用いられる高分子化合物が単一材料である場合には、塩基性を有する上記式(2)で示される繰り返し単位の含有率は、好ましくは0.005〜10モル%、より好ましくは0.01〜3モル%、更に好ましくは0.1〜1.5モル%となる。
【0070】
また、複数種の高分子化合物をブレンドして用いる場合には、ブレンド後の使用高分子化合物全体に対する含有率が上記範囲となるようにするため、上記範囲とは異なる構成比を持つ高分子化合物を配合することがある。高分子化合物(PB)として上記繰り返し単位(2)を最大に含ませるためには、上記式(1)で示される繰り返し単位の必要量以外を全て上記繰り返し単位とすることができるが、一般的には好ましくは60モル%以下、より好ましくは50モル%以下として配合することで、レジストパターン形成における良好なクエンチ効果を得ることができる。また、この場合、上記式(2)で示される繰り返し単位は1種のみが用いられても、複数種が混合されて用いられてもよい。
【0071】
上記式(4)で示される繰り返し単位は、レジスト膜をアルカリ不溶性とし、酸の作用によって可溶性に変化させる繰り返し単位であるが、この単位は、1成分として高分子化合物(PB)ではない高分子化合物が用いられ、これによって現像液に対する溶解性が制御される場合には、高分子化合物(PB)の必須繰り返し単位ではない。しかし、高分子化合物間のブレンドを行う際の自由度を確保する上では上記繰り返し単位(4)が含まれることが好ましい。上記繰り返し単位(4)が含まれる場合、含有率は、好ましくは0より大きく65モル%以下、より好ましくは5〜50モル%であり、更に好ましくは10〜45モル%である。また、この場合、上記式(4)で示される繰り返し単位は1種のみが用いられても、複数種が混合されて用いられてもよい。
【0072】
上記式(5)や(6)で示される繰り返し単位は、主鎖に環構造を与え、エッチング耐性を向上させる単位であり、1種のみでも、複数種を組み合わせて使用してもよく、エッチング耐性を向上させるという効果を得るためには高分子化合物を構成する全繰り返し単位中、5モル%以上の導入が好ましい。また、上記式(5)や(6)中の官能基が、極性を持ち基板への密着性を与える単位であるか、置換基が上述の酸不安定基により保護され、酸の作用によりアルカリ可溶性となる単位である場合の導入率は、上述のそれぞれの好ましい範囲に合算され、官能基を持たない場合や、官能基がそのいずれでもない場合には、上記導入率は30モル%以下であることが好ましい。官能基を持たない場合や、官能基がそのいずれでもない場合の導入率が30モル%を超えると、現像欠陥の原因となることがある。
【0073】
また、場合によっては本発明の塩基成分を含有する高分子化合物(PB)中に、更に上記式(3)で示される繰り返し単位を導入することができる。この場合、高分子化合物(PB)は同時に高分子化合物(PA)の機能を持ち、即ち、側鎖にスルホン酸を有する単位を高分子化合物中に導入することで、塩基のみでなく、光照射による酸発生時の酸の拡散も同時に行うことができるため、今後の更なる微細化における高エネルギー線照射によるパターン忠実性、特にラインエッジラフネスの低下が格段に向上する可能性がある。上記式(3)で示される繰り返し単位の導入率を、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下に制御することで、特にレジストパターンの剥がれ等を生じ易い基板上でレジストパターン形成を行った際にも、パターン剥がれの生じにくい信頼性の高いパターン形成を実現することができる。
【0074】
更に上記式(1)〜(6)以外の繰り返し単位としては、常用される酸不安定基で保護された(メタ)アクリル酸エステル単位や、ラクトン構造等の密着性基を持つ(メタ)アクリル酸エステル単位を使用してもよい。これらのその他の繰り返し単位によってレジスト膜の特性の微調整を行ってもよいが、これらの単位を含まなくてもよい。
【0075】
本発明のレジスト組成物に用いる上記繰り返し単位を含有する高分子化合物は、公知の方法によって、それぞれの単量体を必要に応じて保護、脱保護反応を組み合わせ、共重合を行って得ることができる(例えば特許文献1:特開平9−325497号公報、特許文献2:特開2008−133448号公報参照)。共重合反応は特に限定されるものではないが、異なる繰り返し単位をなるべくランダムに入れる方法としてラジカル重合は有利な方法である。
【0076】
上記高分子化合物(PB)の重量平均分子量は、一般的な方法としてポリスチレンを標準サンプルとしてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した場合、好ましくは1,000〜50,000であり、より好ましくは2,000〜20,000である。重量平均分子量が1,000より小さいと、従来知られているように、パターンの頭が丸くなって解像力が低下すると共に、ラインエッジラフネスが劣化することがある。一方、上記分子量が必要以上に大きくなった場合、解像するパターンにもよるが、ラインエッジラフネスが増大する傾向を示し、特にパターン線幅が100nm以下のパターンを形成する場合には、上記分子量を20,000以下に制御することが好ましい。
【0077】
更に、本発明に用いる上記高分子化合物(PB)においては、分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜2.0、特に1.0〜1.8と狭分散であることが好ましい。分子量分布が広い場合には、現像後、パターン上に異物が生じたり、パターンの形状が悪化することがある。
【0078】
本発明に使用する側鎖に酸発生剤を有する高分子化合物(PA)は、下記一般式(3)で示される繰り返し単位と、酸分解性保護基で保護された酸性側鎖を有する繰り返し単位を含有する高分子化合物であり、アルカリ不溶性であり、かつ高エネルギー線の照射により該高分子化合物(PA)の主鎖に結合されたスルホン酸を発生する機能を持ち、更に発生したスルホン酸によりアルカリ可溶性となると共に、レジスト膜中に共存する高分子化合物が有する酸分解性保護基で保護された酸性側鎖の保護基の脱保護を行う機能を持つ。
【0079】
【化28】

(式中、Cは単結合、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリーレン基を示し、Dは単結合、又は一部もしくは全部の水素原子がフッ素原子に、もしくは一部のメチレン基がエーテル性酸素原子もしくはカルボニルオキシ基に置換されていてもよい炭素数1〜15の2価の炭化水素基を示す。R1は上記定義と同じである。R5、R6及びR7はそれぞれ独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アルケニル基又はオキソアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示す。また、R5、R6及びR7のうちのいずれか2つは、相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。vは0又は1を示すが、0の場合にはCとDが同時に単結合となることはない。)
【0080】
上記式(3)中、Cは単結合、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリーレン基を示すが、好ましく用いることができるものとしては、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセニル基、フェナントレニル基等を挙げることができ、これらの水素原子の一部又は全部が、ハロゲン、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等で置換されていてもよい。
【0081】
また、上記式(3)中、Dは単結合、又は一部もしくは全部の水素原子がフッ素原子に、もしくは一部のメチレン基がエーテル性酸素原子もしくはカルボニルオキシ基に置換されていてもよい炭素数1〜15の2価の炭化水素基であるが、v=0の場合にはCとDが同時に単結合となることはない。また、上記Dが、一部のメチレン基がエーテル性酸素原子又はカルボニルオキシ基に置換されていてもよい2価の炭化水素基である場合、スルホ基の硫黄原子と直接結合を形成する炭素原子がフッ素原子を置換基として有すると、高エネルギー線の照射により発生するスルホン酸の酸強度が高くなり、高いコントラストを得る際に有利である。
【0082】
上記式(3)で示される繰り返し単位の好ましい例を下記に例示する。なお、式中Mは水素原子もしくはメチル基を示し、対イオンであるスルホニウムは省略した形で示す。
まず、Cが単結合でない場合の例を例示する。
【0083】
Cが置換又は非置換の芳香環構造である繰り返し単位例を示す。
【化29】

【0084】
【化30】

【0085】
【化31】

【0086】
次にCが単結合であり、Dが一部もしくは全部の水素原子がフッ素原子に、又は一部のメチレン基がエーテル性酸素原子もしくはカルボニルオキシ基に置換されていてもよい炭素数1〜15の2価のアルキレン基である場合の繰り返し単位例を示す。
【化32】

【0087】
また、上記スルホン酸アニオンの対イオンであるスルホニウムカチオンの好ましい例を下記に例示する。
【化33】

【0088】
上記カチオンの内、フェノキサチインより誘導されたカチオンを用いた繰り返し単位を有する高分子化合物は、好ましい溶剤溶解性を持ち、有利に使用し得る。
【0089】
上記式(3)で示される繰り返し単位の含有量は、レジスト膜を構成するレジスト組成物に含まれる高分子化合物全体に対する割合と、単体としての高分子化合物中の構成と比の2つ間で設計することが必要である。本発明の効果を得るためにはレジスト膜を構成する高分子化合物全体における合計の繰り返し単位中、上記式(3)で示される繰り返し単位の含有率が、好ましくは0.5〜10モル%、より好ましくは1〜5モル%となるように設計される。そこで、上述したように高分子化合物(PA)が上記式(1)及び(2)で示される繰り返し単位をも含み、高分子化合物(PB)でもあり、かつ用いられる高分子化合物が単一材料である場合には、上記式(3)で示される単位の含有率は好ましくは0.5〜10モル%、より好ましくは1〜5モル%となる。
【0090】
また、複数種の高分子化合物をブレンドして用いる場合には、ブレンド後の使用高分子化合物全体に対する含有率が上記範囲となるようにするため、上記範囲とは異なる構成比を持つ高分子化合物を配合することがある。高分子化合物(PA)として上記繰り返し単位(3)を最大に含ませるためには、下記のように現像液に対する溶解性や基板密着性に対して必要な、例えば、繰り返し単位(1)の必要量以外を全て上記繰り返し単位とすることができるが、一般的には好ましくは60モル%以下、より好ましくは50モル%以下として配合することで、レジストパターン形成における良好な酸拡散効果を得ることができる。また、この場合、上記繰り返し単位(3)は1種のみが用いられても、複数種が混合されて用いられてもよい。
【0091】
側鎖に酸発生単位を有する高分子化合物(PA)に含有できる好ましい繰り返し単位として、密着性単位が挙げられるが、これは、上記(PB)と同様、上記式(1)で示される繰り返し単位を用いることができる。高分子化合物(PA)全体における上記式(1)で示される繰り返し単位の含有率は、高分子化合物(PB)と同様な設計思想を適用できるが、一般的にはより好ましくは35モル%以上、特に40モル%以上含有することで、基板への密着性や、現像時の好ましい形状のパターンを得ることができる。35モル%以下になる場合には、パターン倒壊や、好ましくないパターン形状の形成が生じることがある。なお、その上限については、高分子化合物(PB)の場合と同様、本発明のレジスト組成物に用いる高分子化合物全体を合わせた場合のアルカリ性現像液に対する溶解速度を元に行う設計に基づくものであり、組み合わせる高分子化合物によって大きく異なる。上記ポリマー(PA)における繰り返し単位(1)の上限という意味では、上記ポリマー(PA)以外のポリマーのブレンド比が高い場合には、上記繰り返し単位(1)が非常に高含有比であってもよく、上記ポリマー(PA)を構成する繰り返し単位として、繰り返し単位(3)を除いた全てが繰り返し単位(1)で占められてもよい。
【0092】
上述のように高分子化合物(PA)が高分子化合物(PB)としても機能することにより単一の高分子化合物を使用する場合や、ポリマーブレンドをする場合にも、ブレンドの設計の自由度を上げるためには、酸不安定基により保護され、酸の作用によりアルカリ可溶性となる単位を高分子化合物(PA)に持たせることが好ましく、上記式(4)で示される繰り返し単位、又は下記一般式(7)
【化34】

[式中、R1は水素原子又はメチル基を示す。Zは酸脱離基を示す。酸脱離基の構造は下記一般式(8−1)〜(8−8)に示す。
【化35】

(式中、破線は結合手を示す。R17、R18、R19、R20はそれぞれ独立に炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示す。R21は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基、シクロペンチル基、又はシクロヘキシル基を示す。fは1又は2である。gは1又は2である。)]
で示される繰り返し単位を好ましく用いることができる。この場合、酸不安定基により保護され、酸の作用によりアルカリ可溶性となる単位は1種のみでも、複数種を組み合わせて使用してもよい。酸脱離性単位の導入率としては、5〜70モル%、より好ましくは10〜50モル%にすることで、微細な線幅及びラインエッジラフネスの小さいパターン形状を得ることができる。
【0093】
上記高分子化合物(PB)について記述したような、主鎖に環構造を与え、エッチング耐性を向上させる単位として、上記式(5)及び/又は(6)で示される繰り返し単位を、高分子化合物(PA)にも好ましく用いることができる。この場合、1種のみでも、複数種を組み合わせて使用してもよく、エッチング耐性を向上させるという効果を得るためには高分子化合物を構成する全モノマー単位に対して5モル%以上の導入が好ましい。また、上記式(5)や(6)中の官能基が、極性を持ち基板への密着性を与える単位であるか、置換基が上述の酸不安定基により保護され、酸の作用によりアルカリ可溶性となる単位である場合の導入率は、上述のそれぞれの好ましい範囲に合算され、官能基を持たない場合や、官能基がそのいずれでもない場合には、30モル%以下であることが好ましい。官能基を持たない場合や、官能基がそのいずれでもない場合の導入率が30モル%を超えると、現像欠陥の原因となることがある。
【0094】
上記高分子化合物(PA)は、上記式(3)で示される繰り返し単位を必須構成単位とし、主要構成単位、即ち高分子化合物(PA)を構成する全繰り返し単位中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、特に好ましくは85モル%以上が上記式(1)〜(7)で示される繰り返し単位から選ばれる。また、上記式(1)〜(7)で示される繰り返し単位以外の繰り返し単位としては、常用される酸不安定基で保護された(メタ)アクリル酸エステル単位や、ラクトン構造等の密着性基を持つ(メタ)アクリル酸エステル単位を使用してもよい。これらのその他の繰り返し単位によってレジスト膜の特性の微調整を行ってもよいが、これらの単位を含まなくてもよい。
【0095】
高分子化合物(PA)の好ましい具体例として、下記に示すものが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、上記酸発生剤を側鎖に含有する高分子化合物(PA)は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0096】
【化36】

【0097】
【化37】

【0098】
【化38】

【0099】
【化39】

【0100】
【化40】

【0101】
【化41】

【0102】
【化42】

【0103】
【化43】

【0104】
【化44】

【0105】
本発明の塩基成分含有高分子化合物(PB)と、側鎖に酸発生単位を有する高分子化合物(PA)は、上述の通り、場合によっては単一高分子化合物によって同時に双方を満たす場合もあるが、別途配合する場合には、上述のような各機能を持つ構成単位の全高分子化合物に対する好ましい後述のような構成比を満たすように設計してやればよく、配合比(PA/PB)は、好ましくは99.5/0.5〜0.5/99.5、より好ましくは99/1〜1/99の範囲であり、これにより塩基の拡散と酸の拡散が適度に制御され、ラインエッジラフネスの小さい良好なパターン形状を得ることができる。
【0106】
また、本発明のレジスト組成物は、更に、上記塩基成分含有高分子化合物(PB)と、側鎖に酸発生単位を有する高分子化合物(PA)以外に、上記式(2)で示される繰り返し単位と上記式(3)で示される繰り返し単位のいずれをも持たない高分子化合物を含有していてもよい。前述のような、高分子化合物(PA)と高分子化合物(PB)を別途配合するレジスト組成や、上述の高分子化合物(PA)でも高分子化合物(PB)でもない高分子化合物の混合は、ミクロにみた場合には塩基性機能を持つ単位の局在化となり、ラフネスの増大の原因となる可能性がある。そこで、理論的には本発明の効果を最大限に実現するためには、上述の高分子化合物(PA)でも高分子化合物(PB)でもない高分子化合物は用いず、上記式(2)で示される繰り返し単位と上記式(3)で示される繰り返し単位を同時に持つ高分子化合物を使用することが望ましいことになる。しかし、塩基性物質による酸拡散防止機能については、分子量1,000以下の低分子量の塩基性物質を用いた場合に生じる、レジスト膜成膜時の溶剤蒸発や基板やレジスト表面の表面エネルギーによる塩基性物質の望ましくない拡散現象は、塩基性物質の高分子量化によって防止されるものと思われ、事実としてかなりの量の高分子化合物(PB)ではない高分子化合物を加えたレジスト組成物を用いても、そのレジスト組成物を用いたレジスト膜より得られるレジストパターンのラフネスの低減効果が確認される。また、高分子化合物(PA)についても同様の結果が得られる。
【0107】
そこで、上記高分子化合物(PA)と上記高分子化合物(PB)及び上記いずれでもない高分子化合物を混合する場合、高分子化合物全体を100質量%とした場合の高分子化合物(PA)の含有率は少なくとも0.5質量%、好ましくは1質量%以上であり、同様に高分子化合物(PB)の含有率は少なくとも0.5質量%、好ましくは1質量%以上とされるが、上記式(2)で示される繰り返し単位と上記式(3)で示される繰り返し単位をより多く局在化させた場合には解像性の劣化やラフネスの増大が起きる可能性がある。
【0108】
なお、上記塩基成分含有高分子化合物(PB)と、側鎖に酸発生単位を有する高分子化合物(PA)以外に、上記式(2)で示される繰り返し単位と上記式(3)で示される繰り返し単位のいずれをも持たない、即ち、高分子化合物(PA)及び高分子化合物(PB)のいずれでもない高分子化合物を用いる場合、該いずれでもない高分子化合物は、高分子化合物(PA)、高分子化合物(PB)とよく相溶する必要があり、用いる上記いずれでもない高分子化合物の構成単位は、上述した高分子化合物(PA)及び高分子化合物(PB)に用いる繰り返し単位として説明した繰り返し単位のうち、上記式(2)で示される繰り返し単位と上記式(3)で示される繰り返し単位を除いた繰り返し単位の組み合わせであることが好ましく、即ち、上記繰り返し単位(1)と上記繰り返し単位(4)の組み合わせ、更に上記繰り返し単位(5)及び/又は上記繰り返し単位(6)を組み合わせて全構成単位の70モル%以上とし、上述の溶解特性を満たすようにした高分子化合物の使用が好ましい。
【0109】
なお、本発明のレジスト組成物に含まれる高分子化合物は、単独材料として高分子化合物(PA)と高分子化合物(PB)を同時に満たすものであっても、高分子化合物(PA)と高分子化合物(PB)のブレンド、更に、上述のように高分子化合物(PA)でも高分子化合物(PB)でもないその他の高分子化合物を更にブレンドしたものでも良いが、レジスト組成物が含有する高分子化合物は、全体として、化学増幅ポジ型レジスト組成物用高分子化合物に必要なアルカリ性現像液に対する溶解性変化や基板密着性を有するように、繰り返し単位が適切な組成比を持つように設計される。この場合、上記繰り返し単位(2)及び上記繰り返し単位(3)が含まれる好ましい組成比については上述の通りであるが、レジスト組成物が含有する高分子化合物全体として主に上記繰り返し単位(1)〜(7)で構成される場合、上記繰り返し単位(1)のレジスト組成物が含有する高分子化合物全体を構成する全繰り返し単位における割合は、好ましくは30〜90モル%、より好ましくは40〜80モル%、繰り返し単位(4)と繰り返し単位(7)の合計の組成比は、レジスト組成物が含有する高分子化合物全体に対して、5〜50モル%、より好ましくは10〜45モル%であり、かつ、上記繰り返し単位(1)と上記繰り返し単位(3)及び上記繰り返し単位(7)の合計は40モル%以上となるよう設計することが好ましい。また、上記繰り返し単位(5)や(6)中のR9で示される官能基が水酸基又は酸不安定基で保護された水酸基でない場合の合計の含有率は30モル%以下であることが好ましい。一方、上記繰り返し単位(5)又は(6)中のR9で示される官能基が水酸基や酸不安定基で保護された水酸基である場合には、上記繰り返し単位(1)や上記繰り返し単位(3)の好ましい範囲に合算して設計される。
【0110】
上記高分子化合物(PA)とは別に添加する高分子化合物の繰り返し成分に含まれない酸発生剤(低分子酸発生剤)は、調整を行いたい物性に応じて適宜公知の酸発生剤(特許文献1:特開平9−325497号公報、特許文献2:特開2008−133448号公報、特許文献3:特開2008−133312号公報、特許文献4:特開2009−86310号公報、特許文献5:特開2008−102383号公報にも多くの例が挙げられている。)を参考にして選択される。低分子酸発生剤は基本的には添加する必要がないが、わずかなラフネスの改善等のパターン形状の微調整用として用いることができる。その配合量は、本発明のレジスト組成物に配合される全高分子化合物100質量部に対し、5質量部以上の添加は本発明の高分子化合物に結合された酸発生剤による効果を損なうため、5質量部未満、特に3質量部以下が好ましい。特に、分子量の小さなスルホン酸、例えば、炭素数が6以下のスルホン酸を発生する酸発生剤の場合には、2質量部以下とすることが好ましい。また、上記用途で低分子酸発生剤を用いる場合には、0.1質量部以上とすることで、パターン形状に変化を与えられる。
【0111】
塩基性化合物は、発生酸単位が高分子化合物に結合されていない化学増幅型レジスト組成物では事実上必須構成成分であるが、本発明のレジスト組成物においては、高分子化合物中に塩基成分が含まれているため、塩基性化合物を改めて加える必要はない。しかし、高解像性を得るため、又は適正感度に調整を行うために、塩基性化合物を添加してもよい。その添加量は、上記高分子化合物100質量部に対し、0.01〜3質量部、特に0.03〜1質量部が好ましい。また、用いることができる塩基性化合物は多数が知られており(特許文献1:特開平9−325497号公報、特許文献2:特開2008−133448号公報、特許文献3:特開2008−133312号公報、特許文献4:特開2009−86310号公報、特許文献5:特開2008−102383号公報のいずれにも開示がある。)、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシル基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド類、イミド類、カーバメート類、アンモニウム塩類等が知られている。これらの具体例は特許文献2(特開2008−133448号公報)に多数例示されているが、基本的にはこれらの全てを使用することができ、また2つ以上の塩基性化合物を選択し、混合して使用することもできる。
特に好ましく配合される塩基性化合物としては、トリス(2−(メトキシメトキシ)エチル)アミン N−オキサイド、モルホリン誘導体、イミダゾール誘導体などが挙げられる。
【0112】
また、パターン形成時に、パターンが基板界面で溶解しにくくなる現象、いわゆる裾引き形状になり易い基板上、これはクロム系化合物による表面を持つ基板に特に特徴的であるが、このような基板上でパターンを形成する場合、カルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素に共有結合する水素を含有しないアミン化合物又はアミンオキシド化合物(アミン及びアミンオキシドの窒素原子が芳香環の環構造に含まれるものを除く。)を用いると、パターン形状の改善を図ることができる。
【0113】
上述のカルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素に共有結合する水素を含有しないアミン化合物又はアミンオキシド化合物は、下記一般式(10)〜(12)で示される少なくともカルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素に共有結合する水素を含有しないアミン化合物又はアミンオキシド化合物が好ましいが、これに限られるものではない。
【0114】
【化45】

(式中、R10、R11はそれぞれ炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜10のアルコキシアルキル基、炭素数2〜10のアシルオキシアルキル基、又は炭素数2〜10のアルキルチオアルキル基のいずれかである。またR10とR11が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環構造を形成してもよい。R12は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜10のアルコキシアルキル基、炭素数2〜10のアシルオキシアルキル基、炭素数2〜10のアルキルチオアルキル基、又はハロゲン基のいずれかである。R13は単結合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、又は炭素数6〜20のアリーレン基である。R14は炭素数2〜20の直鎖状又は分岐状の置換可アルキレン基であり、但し、アルキレン基の炭素−炭素間にカルボニル基(−CO−)、エーテル基(−O−)、エステル基(−COO−)、スルフィド(−S−)を1個又は複数個含んでいてもよい。また、R15は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、又は炭素数6〜20のアリーレン基である。)
【0115】
上記の炭素数6〜20のアリール基として具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、ナフタセニル基、フルオレニル基等を、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、デシル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、デカヒドロナフタレニル基等を、炭素数7〜20のアラルキル基として具体的には、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、アントラセニルメチル基等を、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基として具体的には、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等を、炭素数2〜10のアルコキシアルキル基として具体的には、メトキシメチル基、2−メトキシエチル基、エトキシメチル基、2−エトキシエチル基、プロポキシメチル基、2−プロポキシエチル基、ブトキシメチル基、2−ブトキシエチル基、アミロキシメチル基、2−アミロキシエチル基、シクロヘキシルオキシメチル基、2−シクロヘキシルオキシエチル基、シクロペンチルオキシメチル基、2−シクロペンチルオキシエチル基及びそのアルキル部の異性体等を、炭素数2〜10のアシルオキシアルキル基として具体的には、ホルミルオキシメチル基、アセトキシメチル基、プロピオニルオキシメチル基、ブチリルオキシメチル基、ピバロイルオキシメチル基、シクロヘキサンカルボニルオキシメチル基、デカノイルオキシメチル基等を、炭素数2〜10のアルキルチオアルキル基として具体的には、メチルチオメチル基、エチルチオメチル基、プロピルチオメチル基、イソプロピルチオメチル基、ブチルチオメチル基、イソブチルチオメチル基、t−ブチルチオメチル基、t−アミルチオメチル基、デシルチオメチル基、シクロヘキシルチオメチル基等を、それぞれ例示できるが、これらに限定されない。
【0116】
上記式(10)で示されるカルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素に共有結合する水素原子を含有しないアミン化合物を以下に具体的に例示するが、これらに限定されない。
【0117】
即ち、o−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸、m−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジエチルアミノ安息香酸、p−ジプロピルアミノ安息香酸、p−ジブチルアミノ安息香酸、p−ジペンチルアミノ安息香酸、p−ジヘキシルアミノ安息香酸、p−ジエタノールアミノ安息香酸、p−ジイソプロパノールアミノ安息香酸、p−ジメタノールアミノ安息香酸、2−メチル−4−ジエチルアミノ安息香酸、2−メトキシ−4−ジエチルアミノ安息香酸、3−ジメチルアミノ−2−ナフタレン酸、3−ジエチルアミノ−2−ナフタレン酸、2−ジメチルアミノ−5−ブロモ安息香酸、2−ジメチルアミノ−5−クロロ安息香酸、2−ジメチルアミノ−5−ヨード安息香酸、2−ジメチルアミノ−5−ヒドロキシ安息香酸、4−ジメチルアミノフェニル酢酸、4−ジメチルアミノフェニルプロピオン酸、4−ジメチルアミノフェニル酪酸、4−ジメチルアミノフェニルリンゴ酸、4−ジメチルアミノフェニルピルビン酸、4−ジメチルアミノフェニル乳酸、2−(4−ジメチルアミノフェニル)安息香酸、2−(4−(ジブチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸等が挙げられる。
【0118】
上記式(11)で示されるカルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素に共有結合する水素原子を含有しないアミン化合物は、上記の具体的に例示されたアミン化合物を酸化したものであるが、これらに限定されない。
【0119】
上記式(12)で示されるカルボキシル基を有し、かつ塩基性中心である窒素に共有結合する水素原子を含有しないアミン化合物を以下に具体的に例示するが、これらに限定されない。
【0120】
即ち、1−ピペリジンプロピオン酸、1−ピペリジン酪酸、1−ピペリジンリンゴ酸、1−ピペリジンピルビン酸、1−ピペリジン乳酸等が挙げられる。
【0121】
上記式(11)で示されるアミンオキシド構造は、既存物質又は新規化合物であり、これらアミンオキシド構造を有する化合物は、化合物の構造に応じた最適な方法を選択して製造される。例として、窒素含有化合物の酸化剤を使用した酸化反応を用いる方法、含窒素化合物の過酸化水素水希釈溶液中での酸化反応を用いる方法等を例示できるが、これらに限定されない。以下、詳しく説明する。
【0122】
窒素含有アルコール化合物のエステル化反応による製造法は、例えば下記に示す通りであり、上記式(11)で示される化合物の合成へも適用可能である。
【0123】
【化46】

(上記式中、R10〜R13は上記の通りである。)
【0124】
上記反応は酸化剤(m−クロロ過安息香酸)を用いたアミンの酸化反応であり、酸化反応の常法となる他の酸化剤を用いて反応を行うこともできる。反応後は、反応混合物を必要に応じて蒸留、クロマトグラフフィー、再結晶などの常法により精製することができる(詳細は特許文献5:特開2008−102383号公報参照)。
【0125】
本発明のレジスト組成物には、塗布性を向上させるために慣用されている界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤を用いる場合、特許文献1〜5(特許文献1:特開平9−325497号公報、特許文献2:特開2008−133448号公報、特許文献3:特開2008−133312号公報、特許文献4:特開2009−86310号公報、特許文献5:特開2008−102383号公報)にも多数の例が記載されているように多数のものが公知であり、それらを参考にして選択することができる。
【0126】
なお、界面活性剤の添加量は、レジスト組成物中の全高分子化合物100質量部に対して2質量部以下、特に1質量部以下が好ましく、配合する場合は0.01質量部以上とすることが好ましい。
【0127】
本発明のレジスト組成物の調製に使用される有機溶剤としては、全高分子化合物、酸発生剤、その他の添加剤等が溶解可能な有機溶剤であればいずれでもよい。このような有機溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、メチル−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。本発明では、これらの有機溶剤の中でもレジスト成分中の酸発生剤の溶解性が最も優れている乳酸エチルやプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びこれらの混合溶剤が好ましく使用される。
【0128】
有機溶剤の使用量は、全高分子化合物100質量部に対して1,000〜10,000質量部、特に2,000〜9,700質量部が好適である。このような濃度に調整することにより、回転塗布法を用い、膜厚が10〜200nmのレジスト膜を安定して平坦度よく得ることができる。
【0129】
本発明のレジスト組成物を使用してパターンを形成するには、公知のリソグラフィー技術を採用して行うことができる。一般論としては、集積回路製造用の基板(表層の材料がSi、SiO2、SiN、SiON、TiN、WSi、BPSG、SOG、有機反射防止膜等であるシリコンウエハー等)、又はマスク回路製造用の基板(表層の材料がCr、CrO、CrON、MoSi等である石英基板等)にスピンコーティング等の手法で膜厚が0.05〜2.0μmとなるように塗布し、これをホットプレート上で60〜150℃、1〜10分間、好ましくは80〜140℃、1〜5分間プリベークする。次いで目的のパターンを形成するためのマスクを用い、又はビーム露光により、遠紫外線、EUV、エキシマレーザー、X線等の高エネルギー線又は電子線を露光量1〜200mJ/cm2、好ましくは10〜100mJ/cm2となるように照射する。露光は通常の露光法のほか、場合によってはマスクとレジスト膜の間を液浸するImmersion法を用いることも可能である。その場合には水に不溶な保護膜を用いることも可能である。次いで、ホットプレート上で、60〜150℃、1〜5分間、好ましくは80〜140℃、1〜3分間ポストエクスポージャーベーク(PEB)する。更に、0.1〜5質量%、好ましくは2〜3質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像して、基板上に目的のパターンが形成される。
【0130】
なお、本発明のレジスト組成物は、特に高いエッチング耐性を持ち、かつ露光後、露光後加熱までの時間が延長された場合にもパターン線幅の変化が小さいことが要求される条件で使用される際に有用である。このことから、特にパターン露光に長い時間を必要とする電子線リソグラフィーによるフォトマスクブランクの加工に有効である。
【実施例】
【0131】
以下、合成例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例中、Meはメチル基を示す。また、共重合組成比はモル比であり、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量を示す。
【0132】
[高分子化合物合成例1]
窒素雰囲気下、200mLの滴下シリンダーに、4−ヒドロキノンモノメタクリレート22.3g、アセナフチレン5.7g、4−アミロキシスチレン21.4g、下記構造モノマー(Z−1)0.55g、ジメチル−2,2’−アゾビス−(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工業社製、商品名V601)を5.1g、溶媒としてメチルエチルケトンを64g加えた溶液を調製した。更に窒素雰囲気下とした別の300mL重合用フラスコに、メチルエチルケトンを53g加え、80℃に加温した状態で、上記で調製した溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、重合温度を80℃に維持しながら16時間撹拌を続け、次いで室温まで冷却した。得られた重合液を1,000gのヘキサンに滴下し、析出した共重合体を濾別した。濾別した共重合体をヘキサン200gで二回洗浄を行い、更に得られた濾別体をメチルエチルケトン120gに溶解し、0.02μmのナイロンフィルターを通したメチルエチルケトン溶液をヘキサン1,000gに滴下し、析出した共重合体を濾別した。濾別した共重合体をヘキサン200gで二回洗浄を行い、乾燥して白色の共重合体を48g得た(ポリマー1:Mw=3,730(Mw/Mn=1.62))。
【0133】
【化47】

【0134】
[高分子化合物合成例2]
窒素雰囲気下、200mLの滴下シリンダーに、4−(1−エトキシエトキシ)スチレン25.6g、アセナフチレン4.1g、4−アミロキシスチレン19.8g、上記構造モノマー(Z−1)0.53g、ジメチル−2,2’−アゾビス−(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工業社製、商品名V601)を4.9g、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルを64g加えた溶液を調製した。更に窒素雰囲気下とした別の300mL重合用フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルを53g加え、80℃に加温した状態で、上記で調製した溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、重合温度を80℃に維持しながら20時間撹拌を続け、次いで室温まで冷却した。得られた重合液に、メタノール18g、シュウ酸二水和物を0.85g加え、50℃で3時間撹拌した。得られた反応液を1,620gの水と30gのメタノール混合溶媒に滴下し、析出した共重合体を濾別した。濾別した共重合体を水490gとメタノール10g混合溶媒で二回洗浄し、乾燥を行って白色のヒドロキシスチレン共重合体を36.0g得た(ポリマー2:Mw=5,470(Mw/Mn=1.64))。
【0135】
[高分子化合物合成例3]
ヒドロキシスチレン単位を導入する上で、まず上述した処方により各単量体の種類、配合比を変えた以外は、高分子化合物合成例2と同様の手順で得られた高分子化合物を塩基性条件下で1−クロロ−1−メトキシ−2−メチルプロパンを反応させることでアセタール修飾体高分子化合物を得た(ポリマー3:Mw=5,860(Mw/Mn=1.65))。
【0136】
ポリヒドロキシスチレン誘導体の脱保護と保護に関しては特開2004−115630号公報(特許文献6)、特開2005−8766号公報(特許文献7)などに詳しい。
【0137】
[高分子化合物合成例4]
窒素雰囲気下、200mLの滴下シリンダーに、4−ヒドロキノンモノメタクリレート21.2g、アセナフチレン5.6g、4−アミロキシスチレン18.9g、上記構造モノマー(Z−1)0.53g、下記構造モノマー(Z−2)3.7g、ジメチル−2,2’−アゾビス−(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工業社製、商品名V601)を4.9g、溶媒としてメチルエチルケトンを64g加えた溶液を調製した。更に窒素雰囲気下とした別の300mL重合用フラスコに、メチルエチルケトンを53g加え、80℃に加温した状態で、上記で調製した溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、重合温度を80℃に維持しながら16時間撹拌を続け、次いで室温まで冷却した。得られた重合液を1,000gのヘキサンに滴下し、析出した共重合体を濾別した。濾別した共重合体をヘキサン200gで二回洗浄を行い、更に得られた濾別体をメチルエチルケトン120gに溶解し、0.02μmのナイロンフィルターを通したメチルエチルケトン溶液をヘキサン1,000gに滴下し、析出した共重合体を濾別した。濾別した共重合体をヘキサン200gで二回洗浄を行い、乾燥して白色の共重合体を48g得た(ポリマー4:Mw=4,400(Mw/Mn=1.61))。
【0138】
【化48】

【0139】
[高分子化合物合成例5〜34]
各単量体の種類、配合比を変えた以外は、高分子化合物合成例1,2又は3と同様の手順により、表1に示した樹脂を製造した。表1中、各単位の構造を表2に示す。なお、下記表1において、導入比はモル比を示す。
【0140】
【表1】

【0141】
【表2】

【0142】
[実施例、比較例]
ポジ型レジスト組成物の調製
上記で合成した高分子化合物(ポリマー1〜34)、下記式で示されるポリマーM、ポリマーN、ポリマーP、ポリマーQ、酸発生剤(PAG−A)、塩基性化合物(Base−1)を表3〜5に示す組成で有機溶剤中に溶解してレジスト組成物を調合し、更に各組成物を0.02μmサイズのナイロン又はUPEフィルターで濾過することにより、ポジ型レジスト組成物の溶液をそれぞれ調製した。
【0143】
【化49】

【0144】
【化50】

【0145】
【化51】

【0146】
なお、上記ポリマーNは、下記方法に従って合成した。
【0147】
[ポリマーNの合成例]
窒素雰囲気下、1000mLの滴下シリンダーに、4−(1−エトキシエトキシ)スチレン170.39g、アセナフチレン15.42g、トリフェニルスルホニウム−1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−メタクリロイルオキシプロパン−1−スルホネート14.19g、ジメチル−2,2’−アゾビス−(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工業社製、商品名V601)を18.66g、溶媒としてメチルエチルケトンを180g加えた溶液を調製した。更に窒素雰囲気下とした別の2,000mL重合用フラスコに、メチルエチルケトンを120g加え、80℃に加温した状態で、上記で調製した溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、重合温度を80℃に維持しながら20時間撹拌を続け、次いで室温まで冷却した。得られた重合液にメタノール200g、シュウ酸二水和物を4.00g加え、50℃で5時間撹拌した。室温まで冷却後、ピリジンを4g加え中和を行った。得られた反応溶液を濃縮後、濃縮物を酢酸エチル500gに溶解し、水200gを加えて、水洗分液を6回行った。分液終了後、有機層である酢酸エチル溶液から酢酸エチルを濃縮し、アセトン350gに溶解させ、得られたアセトン溶液を8Lの水に滴下し、析出した共重合体を濾別した。濾別したポリマーを2Lの水で二回洗浄を行い、得られた共重合体を50℃で24時間乾燥を行って、ベースポリマー1を140g得た。
(ベースポリマー1:Mw=4,848(Mw/Mn=1.46))
【化52】

【0148】
窒素雰囲気下、100mLの反応容器に、得られたベースポリマー1を10g、THFを40g加え、濃縮を行った。得られた濃縮物を再度THF30gに溶解し、触媒量(0.6g)のメタンスルホン酸を加え、0〜5℃に温度管理した窒素雰囲気にて、酸性条件下で、下記式
【化53】

で示される8−(2’−メチルプロペニルオキシ)−トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン4.76gを滴下装置を用いて滴下した。滴下終了後、そのまま6時間熟成を行い、反応終了後、トリエチルアミンを0.66g加え中和を行った。得られた反応溶液をヘキサン240gに滴下し、析出したポリマーを濾別した。濾別したポリマーをヘキサン50gで2回洗浄を行い、酢酸エチル35gに溶解し、水20gを加えて、水洗分液を6回行った。分液終了後、有機層である酢酸エチル溶液から酢酸エチルを濃縮し、アセトン20gに溶解させ、得られたアセトン溶液を400gの水に滴下し、析出したアセタール体ポリマーを濾別した。濾別したアセタール体ポリマーを2Lの水で二回洗浄を行い、40℃で24時間乾燥してアセタール修飾体ポリマーNを9g得た。
(ポリマーN Mw=5,010(Mw/Mn=1.40))
【0149】
表3〜5中の有機溶剤は、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、EL(乳酸エチル)、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)である。
また、各組成物には、界面活性剤としてPF−636(OMNOVA SOLUTIONS製)をポリマー80質量部に対し、0.075質量部添加した。
【0150】
【表3】

【0151】
【表4】

【0152】
【表5】

【0153】
電子ビーム描画評価
上記調製したポジ型レジスト組成物(実施例1〜59、比較例1,2)をACT−M(東京エレクトロン(株)製)を用いて、152mm角の最表面が酸化窒化クロム膜であるマスクブランク上にスピンコーティングし、ホットプレート上で、110℃で600秒間プリベークして60nmのレジスト膜を作製した。得られたレジスト膜の膜厚測定は、光学式測定器ナノスペック(ナノメトリックス社製)を用いて行った。測定はブランク外周から10mm内側までの外縁部分を除くブランク基板の面内81箇所で行い、膜厚平均値と膜厚範囲を算出した。
【0154】
更に、電子線露光装置((株)ニューフレアテクノロジー製、EBM−5000plus、加速電圧50kV)を用いて露光し、110℃で600秒間ベーク(PEB:post exposure bake)を施し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で現像を行うと、ポジ型のパターンを得ることができた。更に得られたレジストパターンを次のように評価した。
【0155】
作製したパターン付きウエハーを上空SEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、200nmの1:1のラインアンドスペースを1:1で解像する露光量を最適露光量(μC/cm2)とし、200nmのラインアンドスペースを1:1で解像する露光量における最小寸法を解像度とし、100nmLSのエッジラフネスをSEMで測定した。パターン形状については、矩形か否かを目視にて判定した。電子ビーム描画における本発明のレジスト組成物及び比較用のレジスト組成物の評価結果を表6〜8に示す。
【0156】
【表6】

【0157】
【表7】

【0158】
【表8】

【0159】
上記表6〜8に示す通り、本発明のレジスト組成物は、比較例1,2に挙げられたレジスト組成物と比較して、解像性、ラインエッジラフネスに優れていた。よって、本発明によれば、特に超LSI製造用の電子線リソグラフィーによる微細パターン形成材料、マスクパターン形成材料として好適な化学増幅ポジ型レジスト組成物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)及び(2)
【化1】

(式中、Aは単結合、又は鎖の中間にエーテル性酸素原子を含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基を示す。R1はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、R2はそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を示す。B1、B2及びB3はそれぞれ独立に単結合、又はエーテル性酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、エーテル性酸素原子を介していてもよい炭素数5〜10の2価の脂環式基、及びエーテル性酸素原子を介していてもよい炭素数6〜14の2価の芳香族基より選ばれる1種又は2種以上の組み合わせよりなる結合鎖である。Z1及びZ2は単結合、−CO−O−又は−O−CO−を示す。但し、B1、B2及びB3にエーテル性酸素原子が含まれる場合は、−O−O−構造となることはなく、Z2が−CO−O−又は−O−CO−である場合は、B3が単結合になることはない。R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜10のヘテロ原子を含んでもよい1価の炭化水素基を示す。但し、R3、R4は同時に水素原子であることはない。R3及びR4は互いに結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成していてもよく、その場合、炭素数2〜12のヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を示す。また、B3とR3又はB3とR4が結合して、これらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、その場合、該窒素原子を含む環は5〜7員環であるが、該窒素原子の孤立電子対が該窒素原子を含む環に芳香族性を与える構造の環となることはなく、また、該窒素原子を含む環が芳香環となることはない。aは0〜4の整数、bは1〜5の正の整数である。p、qはそれぞれ独立に0又は1を示し、tは0〜2の整数を示す。但し、qが0であるとき、B1の主鎖炭素と結合する原子は、エーテル性酸素原子又は芳香環の一部をなす炭素原子であり、更にqが0かつZ1及びZ2が単結合である場合には、B1、B2及びB3の一部には必ずアルキレン基に由来する2つ以上の連続する炭素原子又は芳香族基が含まれる。)
で示される繰り返し単位を有する高分子化合物(PB)、及び、下記一般式(3)
【化2】

(式中、Cは単結合、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリーレン基を示し、Dは単結合、又は一部もしくは全部の水素原子がフッ素原子に、もしくは一部のメチレン基がエーテル性酸素原子もしくはカルボニルオキシ基に置換されていてもよい炭素数1〜15の2価の炭化水素基を示す。R1は上記定義と同じである。R5、R6及びR7はそれぞれ独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アルケニル基又はオキソアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示す。また、R5、R6及びR7のうちのいずれか2つは、相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。vは0又は1を示すが、0の場合にはCとDが同時に単結合となることはない。)
で示される繰り返し単位と、酸分解性保護基で保護された酸性側鎖を有する繰り返し単位を含有する高分子化合物(PA)を含有することを特徴とする化学増幅ポジ型レジスト組成物。
【請求項2】
上記高分子化合物(PB)は、更に下記一般式(4)
【化3】

(式中、Eは単結合又はエーテル性酸素原子を含んでもよい炭素数1〜10のアルキレン基を示す。R1は水素原子又はメチル基を示す。R8はそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を示す。Xはdが1の場合には酸不安定基を、dが2以上の場合には水素原子又は酸不安定基を示すが、少なくとも1つは酸不安定基である。aは0〜4の整数である。cは0又は1であり、dは1〜3の整数である。sは0又は1を示す。wは0〜2の整数を示す。)
で示される単位を含有する請求項1に記載の化学増幅ポジ型レジスト組成物。
【請求項3】
上記高分子化合物(PB)は、更に下記一般式(5)及び(6)
【化4】

(式中、eは0〜4の整数であり、R9はそれぞれ独立に、水酸基、酸不安定基で保護された水酸基、ハロゲン原子、炭素数2〜7のハロゲン置換されていてもよいアシルオキシ基、炭素数1〜6のハロゲン置換されていてもよいアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン置換されていてもよいアルコキシ基、又は炭素数2〜7のハロゲン置換されていてもよいアルコキシカルボニル基を示す。)
で示される単位から選ばれる1以上の単位を含有する請求項1又は2に記載の化学増幅ポジ型レジスト組成物。
【請求項4】
被加工基板上に請求項1乃至3のいずれか1項に記載の化学増幅ポジ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、高エネルギー線をパターン照射する工程、アルカリ性現像液を用いて現像してレジストパターンを得る工程を含むパターン形成方法。
【請求項5】
上記高エネルギー線が、EUV又は電子線である請求項4に記載のパターン形成方法。
【請求項6】
上記被加工基板が、フォトマスクブランクである請求項4又は5に記載のパターン形成方法。

【公開番号】特開2011−191742(P2011−191742A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16377(P2011−16377)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】