説明

化粧板の製造方法

【課題】 植林木合板等の合板と木質繊維板とを複合した木質複合板の表面に化粧シート材を貼着した化粧板の製造方法で、製造時並びに使用時に反り、ねじれ等の変形が生じず、また合板の抜け節や硬い晩材部の跡が表面に浮き上がらない化粧板を、生産性よく製造できる化粧板の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 厚さ0.7〜4.0mmで含水率を5〜10重量%に調整した比重0.6〜0.9の木質繊維板と、含水率を8〜14重量%に調整した合板とをホットメルト樹脂接着剤を介して積層し、該積層物を上記ホットメルト樹脂接着剤が溶融状態にあるうちにロールプレスで押圧することにより、表面側に木質繊維板が一体に接着された木質複合板に形成し、該木質複合板の表面に化粧シート材を貼着することにより、反りやねじれ、浮き上がりのない化粧板Bを生産性良く製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等建築物の床材や壁材等に用いるに好適な化粧板の製造方法に関し、特に、反りやねじれなどの変形、及び合板基材の抜け節等の表面性状が浮き出し現象となって表面に生じることのない化粧板を生産性良く製造することができる化粧板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特許文献1に記載のあるように、合板の表面に硬度の高いMDF等の木質繊維板を貼着した木質複合板は良く知られている。そして、このような木質複合板は、通常、合板の表面に尿素樹脂や尿素−メラミン樹脂接着剤などの水系接着剤を塗布し、この上にMDF等の木質繊維板を載置積層し、この積層物をホットプレス装置により熱圧し、接着一体化して製造されている。
【0003】
しかしながら、上記木質複合板の製造時に、木質繊維板と合板とを尿素−メラミン樹脂接着剤などの水系接着剤を用いてホットプレス装置で熱圧すると、接着剤中の水分が合板表面や木質繊維板裏面に移行し、或いは熱圧によって木質繊維板表面の水分が放散して収縮する結果、木質複合板にその裏面側を凸とする反りやねじれなどの変形が生じ易いという問題を有していた。
【0004】
このため、特許文献1では、表裏の単板の繊維方向を長手方向とし、表面側単板の厚さを裏面側単板の厚さより厚くなるように設定する等により、ホットプレス装置による熱圧時に反りやねじれ等の変形が発生しないように工夫している。
【0005】
しかしながら、このような特許文献1の方法では、得られる木質複合板の構成が極めて限定されてしまうという問題を有していた。さらに、ホットプレス装置で熱圧接着することを前提としているため、大掛りな生産設備を必要とし、またバッチ的処理のため生産性が良くないという問題を有していた。
【0006】
一方、従来合板を構成する単板には、早材、晩材の差がほとんどなく均質でしかも抜け節等の欠点のないラワン材等の南洋産広葉樹が広く使用されていたが、近年の資源の枯渇化と地球環境保護の観点から、カラマツ、エゾマツなど早晩材の差が明瞭な針葉樹や、ラジアータパイン、トドマツ等抜け節等の欠点が多く軽質な植林木からなる単板で構成される合板を複合板の基板として使いこなすことが望まれている。
【0007】
しかしながら、例えば特許文献2に記載のあるように、早材と晩材の差が大きかったり、抜け節等の欠点のある針葉樹材単板や、軽質なためホットプレス装置による熱圧で早材部が変形し易い植林木単板からなる合板を用いた木質複合板を基材として化粧板を製造した場合には、図3および図4に例示するような現象を生じ、化粧板の外観を著しく損なうという問題を有していた。
【0008】
即ち、図3において、図3(a)は、合板21の表面に接着剤を介して木質繊維板22を載置積層した状態を示し、23は単板の抜け節部分を示している。図3(b)は、この積層物24をホットプレスによって熱圧した状態を示し、この熱圧によって抜け節23部分上部の木質繊維板22が下方に押し出されたように変形した状態を示す。図3(c)は、熱圧状態を解除し放置した場合を示し、抜け節23部分の変形が元に戻ろうとして、木質複合板29の表面に僅かな膨らみ25が生じた状態を示す。そして、図3(d)は、この木質複合板29の表面に、突板や合成樹脂化粧シートからなる化粧シート材31を貼着したもので、上記抜け節23の跡が表面に浮き出して、化粧板の外観を著しく損なうものであった。
【0009】
図4において、図4の(a)は、合板21の表面に接着剤を介して木質繊維板22を載置積層した状態を示し、26は単板の硬質な晩材部分を、27は単板の軟質な早材部分を示している。図4(b)は、この積層物28をホットプレスによって熱圧した状態を示し、この熱圧によって晩材部分26に較べ早材部分27が強く圧縮された状態を示す。図4(c)は、熱圧状態を解除し放置した場合を示し、晩材部分26の上部の強く圧縮された木質繊維板が元に戻ろうとして、晩材部分26の形状に沿って木質複合板30の表面に晩材部分26に起因する木目状の僅かな膨らみ32が生じた状態を示す。そして、図4(d)は、この木質複合板30の表面に、突板や合成樹脂化粧シートからなる化粧シート材31を貼着したもので、上記僅かな膨らみ32の跡が表面に浮き出して、化粧板の外観を著しく損なうものであった。
【0010】
このため、形成した木質複合板の表面を研削してから化粧シート材を貼着して化粧板に形成することも考えられるが、個々の膨らみ25や32の程度に合わせるのではなく可能性のある最大の膨らみを想定して研削する必要が生じるので、歩留まりや生産性が非常に悪くなるという問題を有し、さらに得られる木質複合板も、折角の木質繊維板表面の硬質部分が研削されてしまう結果、その表面の硬度が不十分となるという問題を有していた。
【特許文献1】特開2006−192817号
【特許文献2】特開2002−187103号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記問題に鑑みなされたもので、合板の表面に木質繊維板を貼着一体化して形成した木質複合板の表面に化粧シート材を貼着した化粧板を、製造時に反りやねじれ等の変形が発生することなく、また、化粧板表面に上記浮き出し現象を生じることなく生産性良く製造することができる化粧板の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、木質複合板の基材としての合板に、早材と晩材の硬さの差が大きな針葉樹単板や、抜け節の多い木材からなる単板、或いは軽質な植林木単板を用いた場合で、且つ木質複合板表面の研削工程を省いた場合でも上記浮き出し現象の生じない化粧板を生産性良く製造することができる化粧板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような目的を達成するために、請求項1に係る発明の化粧板の製造方法は、厚さ0.7〜4.0mmで含水率を5〜10重量%に調整した比重0.6〜0.9の木質繊維板と、含水率を8〜14重量%に調整した合板とをホットメルト樹脂接着剤を介して積層し、該積層物を上記ホットメルト樹脂接着剤が溶融状態にあるうちにロールプレスで押圧することにより、表面側に木質繊維板が一体に接着された木質複合板に形成し、該木質複合板の表面に化粧シート材を貼着することを特徴とする。
【0014】
このように、木質複合板に形成する前の木質繊維板と合板の含水率を予め調整しておくことにより、製造時に水分の影響によって反りやねじれ等の変形が木質複合板に生じるのを抑制することができ、また、水分を含まないホットメルト樹脂接着剤を用いているので、製造時に接着剤中の水分が木質繊維板や合板に移行して反りやねじれを引き起こす原因になることもない。また、ホットメルト樹脂接着剤が溶融状態にあるうちに連続的にロールプレスで押圧するので、従来のホットプレスによる生産に較べて生産性が非常によい。さらに加熱による木質繊維板表面からの水分の放散を生じないようにして、反りやねじれが発生しない木質複合板を生産性よく製造することができる。このため、反りやねじれのない化粧板を生産性良く製造することができる。
【0015】
また、合板を構成する単板に、早材と晩材の硬さの差が大きな針葉樹材や抜け節のある材、或いは軽質な植林木を用いた場合にも、単板の晩材や抜け節に相当する部分が、化粧板表面に浮き上がってくることがなく装飾性の良い化粧板に形成できる。
【0016】
請求項2に係る発明の化粧板の製造方法は、請求項1に記載の発明において木質複合板の表面を研削することなく化粧シート材を貼着することを特徴とする。
【0017】
これによれば、木質複合板の表面を研削することなく化粧シート材を貼着して化粧板に形成した場合でも、化粧板表面に前記合板の晩材部や抜け節が浮き上がる現象を防止することができるので、研削工程が不要であり、化粧板の生産を一層良好に行なうことができる。
【0018】
請求項3に係る発明の化粧板の製造方法は、請求項1又は2に記載の発明において、合板の含水率が木質繊維板の含水率よりも高いことを特徴とする。
【0019】
このように合板の含水率を木質繊維板の含水率よりも常に高めになるように設定しておくことによって、製造時だけでなく化粧板の使用時においても、木質複合板表面の木質繊維板が含水率の影響を受けて変形し、化粧板に反りやねじれが生じるのを一層良好に防止することができる。
【0020】
請求項4に係る発明の化粧板の製造方法は、木質複合板の表面にホットメルト樹脂接着剤を塗布した後、該接着剤塗布面に化粧シート材を載置し、ホットメルト樹脂接着剤が溶融状態にあるうちにその表面をロールプレスにより押圧して、木質複合板の表面に化粧シート材を貼着することを特徴とする。
【0021】
これによれば、木質複合板の表面に化粧シート材を貼着する場合にも、水分と熱の影響を排除することができ、一層反りやねじれ等の変形のない化粧板を生産性良く製造することができる。
【0022】
請求項5に係る発明の化粧板の製造方法は、木質複合板の表面にメラミン樹脂系接着剤を塗布した後、該接着剤塗布面に化粧シート材を載置し、その表面をホットプレスにより熱圧して木質複合板の表面に化粧シート材を貼着することを特徴とする。これによれば、化粧シート材として突板を用いた場合に、木質複合板の表面に突板を確実に貼着させることができる。
【発明の効果】
【0023】
このように本発明は、製造時に反りやねじれなどの変形を生じることがなく、また、合板の晩材部や抜け節が表面に浮き上がることのない化粧板を生産性良く製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態である化粧板Bの製造方法を、図1、図2に基づき説明する。尚、本発明は本実施形態の記載内容に限られるものではない。
【0025】
図1は、化粧板Bの基板として用いる木質複合板Aの製造工程を示し、図2は、得られた木質複合板Aの表面に化粧シート材を貼着して化粧板Bを製造する化粧板Bの製造工程を示す。
【0026】
図1より、図1(a)において、1は木質複合板Aの基材である合板であり、3〜15mmの厚さで、含水率が8〜14重量%のものを用いることができる。合板1の厚さが3mm未満となると曲げ強度等の強度が弱くなるので好ましくなく、また15mmを超えると重量が重くなるとともにコストも高くなるので好ましくない。木質複合板Aを住宅の床・壁等の内装建材の基材として用いる場合には、上記強度や重さ、コストなどの観点から、合板1の厚さを7〜12mm程度の範囲とするのが最も望ましい。
【0027】
また、合板1の含水率は8〜14重量%に調整されているのが好ましい。上記含水率が8重量%未満となると、使用状態で湿気を吸収して膨張し易くなり、また14重量%を超えると湿気を放散して収縮し易くなるためであり、複合化した時に後述する木質繊維板2との膨張、収縮の釣りあいを良好に保ち、木質複合板Aに反りやねじれが発生するのを防止するためである。
【0028】
また、合板1を構成する単板の樹種は特に限定されず種々のものを用いることができる。特に本発明においては、軽質で硬度のない樹種、反りやねじれを生じ易い樹種、抜け節等の欠点が多い樹種、早晩材の硬度差の大きな樹種など、その使用範囲が限定されていた針葉樹や早生植林木、例えば、国産トドマツ、カラマツ、エゾマツ、ラジアータパイン、北洋カラマツ、ポプラ、アカシアハイブリッド、アカシアマンギュウーム、ファルカタ、ユーカリ、ラジアータパイン、ゴム等の樹種からなる単板を、合板1を構成する単板として、或いは合板1の一部を構成する単板として用いることができる。
【0029】
図1(a)の2は、上記合板1の表面に接着される木質繊維板であり、その厚さが0.7〜4.0mmで、含水率を5〜10重量%に調整した比重0.6〜0.9のものを好適に用いることができる。
【0030】
この木質繊維板2の厚さが0.7mm未満となると硬度等の強度が不十分となって好ましくなく、また4.0mmを超えると木質繊維板2の影響が大きくなりすぎて木質複合板Aに反り等の変形が生じ易くなるので好ましくない。特に合板1を構成する単板として植林木のように軽質で硬度が低く、また抜け節等の欠点のあるものを用いた場合でも、良好な硬度を付与でき、且つ反り等の変形を防止できるという観点から、木質繊維板2の厚さは、1.0〜3.0mmであるのが最も好ましい。
【0031】
また、木質繊維板2の含水率が5重量%未満となると、使用環境下で水分を吸収して膨張し易くなり、10重量%を超えると水分を放散して収縮し易くなって、いずれの場合も木質複合板Aに反りなどの変形を生じさせることがあるので好ましくない。このような観点から木質繊維板2の含水率は、6〜8重量%であるのが最も好ましい。
【0032】
さらに木質繊維板2の含水率は、合板1の含水率よりも低くなるように調整されていることが好ましい。このようにすることによって、木質複合板Aがその使用時においても、表面の木質繊維板2の影響を受けて反りやねじれを生じるのを一層良好に防止することができる。
【0033】
さらに木質繊維板2の比重が0.6未満となると、硬度が低くなって表面に傷が付き易くなるので好ましくなく、また0.9を超えると加工性が悪くコストが高くなるので好ましくない。
【0034】
また、木質繊維板2は、厚さが2mm未満の薄いものを経済的に且つ安定して製造するのは難しいので、例えば3.0mm厚さの木質繊維板2をその厚み方向で2分割して略1.5mm厚に形成したもの等、厚み方向で2分割、或いは3分割したものを用いることができる。
【0035】
次に、このようにして調整した合板1の表面、または木質繊維板2の裏面のいずれか一方、またはその両方にホットメルト樹脂接着剤塗布装置4を用いて溶融状態のホットメルト樹脂接着剤3を、塗布量は特に限定されないが、通常80〜100g/cm程度塗布する。尚、図1(b)では、木質繊維板2の裏面にホットメルト樹脂接着剤3を塗布した例を示している。即ち、裏面側を上向きにして搬送しながら、ホットメルト樹脂接着剤塗布装置4の塗布ロールにより、この木質繊維板2の裏面に溶融状態のホットメルト樹脂接着剤3を塗布する例を示している。尚、これに限らずホットメルト樹脂接着剤3を合板1の表面に塗布することもでき、また木質繊維板1の裏面と合板1の表面の双方に塗布することもできる。
【0036】
ここにおいて、ホットメルト樹脂接着剤3としては、種々のものを用いることができ、例えば湿気硬化型ウレタン樹脂系ホットメルト接着剤(PURホットメルト接着剤)を好適に用いることができる。このようなホットメルト樹脂接着剤3は、通常この種用途に用いられる水系尿素−メラミン樹脂接着剤等とは異なって水分が含まれていないので、合板1と木質繊維板2とを接着複合化する時に接着剤中の水分が合板1の表面や木質繊維板2の裏面に浸透することがなく、合板1の表面や木質繊維板2の裏面の含水率に影響を与えることがないので好ましい。
【0037】
次に、図1(c)に示すように、裏面にホットメルト樹脂接着剤3を塗布した木質繊維板2の該裏面を上向きにして載置し、この裏面に合板1の表面が当接するように合板1を載置して積層物5とする。
【0038】
そして、図1(d)に示すように、この積層物5を連続的に搬送しながら、ホットメルト樹脂接着剤3が柔らかい状態にあるうちに、1基乃至連続的に設置された複数基のロールプレス装置6により積層物5を押圧し、合板1と木質繊維板2とを接着一体化した後、養生、反転して、図1(e)に示すような木質複合板Aを製造する。
【0039】
ここにおいて、ロールプレス装置6による積層物5の押圧条件は特に限定されるものではないが、例えば積層物5を送り速度5〜40m/minで搬送し、ロールプレス装置6によってこの積層物5を15〜23kg/cm、好ましくは18〜20kg/cmで少し面圧がかかるように押圧することにより、連続的して生産性よく、図1(e)に示す木質複合板Aを製造することができる。
【0040】
このように、上記ロールプレス装置6による押圧を常温で行なっているので、従来行なわれているようなホットプレス等による高温下の熱圧のように合板1や木質繊維板2の水分の放散を生じることはなく、このため、製造された木質複合板Aに反り等の変形が生じることがない。また、加熱設備を省略化し、生産スピードよく生産することができるという利点も加わる。尚、ロールプレス装置6による押圧は、上記木質複合板Aに反り等の変形が大きく生じない程度であれば、加熱ロールを用いて行なうこともできる。
【0041】
また、合板1を構成する単板に、トドマツ等のように比較的軽質で、早材と晩材の硬さの差を有し、且つ抜け節のあるような針葉樹植林木を用いた場合でも、このような単板を用い且つ含水率調整した合板1と木質繊維板2とを、水分を含まないホットメルト樹脂接着剤3を用いてロールプレス装置6により押圧し接着一体化しているので、合板1を構成する単板の晩材の跡や抜け節の跡が、木質複合板Aの表面に僅かな膨らみとなって浮き出すことはない。
【0042】
このような浮き出し現象の抑制効果は、合板1および木質繊維板2の含水率を事前にそれぞれ14重量%以下、10重量%以下にしてその圧縮変形性を少なくしていること、また水分を含まないホットメルト樹脂接着剤3を用いることで、従来のように接着剤中の水分が合板1や木質繊維板2に移行しないので圧縮変形性が増大しないこと、ホットプレスのように時間をかけた熱圧ではなくロールプレスによる瞬時の加圧であるため、圧縮変形が非常に小さくてすむことから、圧縮された早材の跡や抜け節の跡が解圧後に戻る現象も非常に小さくなり、それに起因する表面の木質繊維板層への浮き出す現象もほとんど生じることがない。
【0043】
従って、得られた木質複合板Aは、反り、ねじれ等の変形がなく、また合板1を構成する単板の晩材の跡や抜け節の跡が表面に浮き出していないので、表面を研削する必要がなく、次工程において、木質複合板Aに化粧シート材を生産性良く良好に貼着することができる。
【0044】
図2より、図2(a)は、上記木質複合板Aの製造工程で得られた木質複合板Aである。また、図2(b)は、この木質複合板Aの表面にホットメルト樹脂接着剤塗布装置8によりホットメルト樹脂接着剤7を塗布している状態を示す。ここにおいて、ホットメルト樹脂接着剤7としては、種々のものを用いることができるが、例えば湿気硬化型ウレタン樹脂系ホットメルト接着剤(PURホットメルト接着剤)を好適に用いることができる。その塗布量は特に限定されないが、80〜100g/cm程度塗布するのがよい。
【0045】
次に、図2(c)は、上記ホットメルト樹脂接着剤7を塗布した木質複合板Aの接着剤塗布面に、化粧シート材10を載置し、ホットメルト樹脂接着剤7が溶融状態にあるうちに上下1対の加圧ロールを備えたロールプレス装置9により押圧して化粧シート材10を木質複合板Aの表面に貼着する状態を示し、図2(d)は、このようにして製造された化粧板Bを示す。
【0046】
ここにおいて、化粧シート材10としては、突板、合成樹脂化粧シート、印刷紙等を用いることができる。また、この化粧板Bの表面には、更に透明性合成樹脂塗料を塗布して表面保護層を形成しておくのが好ましい。
【0047】
尚、特に化粧シート材10が突板の場合には、木質複合板Aと突板10とを水系尿素−メラミン樹脂接着剤を用いてホットプレス装置により熱圧接着することにより、木質複合板Aに突板を確実に接着することができる。
【0048】
このようにして得られた化粧板Bは、その表面に合板の節や晩材部に起因する浮き上がりがなく、また反り等の変形がない良好な外観を有していた。また、木質複合板Aの表面の木質繊維板2の硬質層を研削することなく化粧シート材10を貼着することができるので、表面硬度がある化粧板Bを煩わしい研削工程を省略して生産性良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態である化粧板Bの製造方法における木質複合板Aの製造工程を説明する説明図。
【図2】本発明の実施形態である化粧板Bの製造方法における化粧シート材貼着工程を説明する説明図。
【図3】従来の方法において生じる浮き上がりの説明図。
【図4】従来の方法において生じる浮き上がりの説明図。
【符号の説明】
【0050】
A 木質複合板
B 化粧板
1 合板
2 木質繊維板
3、7 ホットメルト樹脂接着剤
4、8 ホットメルト樹脂塗布装置
5 積層物
6、9 ロールプレス装置
10 化粧シート材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ0.7〜4.0mmで含水率を5〜10重量%に調整した比重0.6〜0.9の木質繊維板と、含水率を8〜14重量%に調整した合板とをホットメルト樹脂接着剤を介して積層し、該積層物を上記ホットメルト樹脂接着剤が溶融状態にあるうちにロールプレスで押圧することにより、表面側に木質繊維板が一体に接着された木質複合板に形成し、該木質複合板の表面に化粧シート材を貼着することを特徴とする化粧板の製造方法。
【請求項2】
木質複合板の表面を研削することなく化粧シート材を貼着することを特徴とする請求項1に記載の化粧板の製造方法。
【請求項3】
合板の含水率が木質繊維板の含水率よりも高いことを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧板の製造方法。
【請求項4】
木質複合板の表面にホットメルト樹脂接着剤を塗布した後、該接着剤塗布面に化粧シート材を載置し、ホットメルト樹脂接着剤が溶融状態にあるうちにその表面をロールプレスにより押圧して、木質複合板の表面に化粧シート材を貼着することを特徴とする請求項1乃至3に記載の化粧板の製造方法。
【請求項5】
木質複合板の表面にメラミン樹脂系接着剤を塗布した後、該接着剤塗布面に化粧シート材を載置し、その表面をホットプレスにより熱圧して木質複合板の表面に化粧シート材を貼着することを特徴とする請求項1乃至3に記載の化粧板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−254397(P2008−254397A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−101813(P2007−101813)
【出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)
【Fターム(参考)】