説明

化粧板

【課題】 寸法変化が少なく、クラックや反りが低減された化粧板を得る。また、溶剤やホルムアルデヒドを使用せず、環境にやさしいものづくりが可能で、シックハウス症候群の原因となることがなく、大気汚染、更に環境に悪影響を及ぼさない。
【解決手段】 硬化性を有する常温で固形の結晶性オリゴマーと、無機充填材としての炭酸塩、水酸化アルミニウム、シリカ、タルク、フライアッシュからなる群から選ばれる少なくとも1種を必須成分とするスラリーが繊維質基材に塗布されたプリプレグを単独、或いは複数枚積層し、熱圧成型する。さらにプリプレグを単独或いは複数枚積層し、樹脂含浸パターン紙とともに積層し、熱圧一体化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硬化性を有する常温で固形の結晶性化合物を含んだ組成物を利用した化粧板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまでより化粧層としてメラミン樹脂含浸紙、コア層としてクラフト紙にフェノール樹脂含浸紙を含浸したフェノール樹脂含浸紙を用いて熱圧一体化したメラミン樹脂化粧板が知られている。このメラミン樹脂化粧板は厚み0.8〜1.4mmが主流で、その優れた物性から洗面カウンター、机、テーブルなどの水平面、壁面、柱などの垂直面に使用されている。また、近年では、耐衝撃性を向上させる目的で厚みを3〜10mmにした厚物化粧板も知られ、通常フェノール樹脂含浸紙を15〜50枚用いて、メラミン樹脂と積層し熱圧成型される。
【特許文献1】特開平5−318640号公報
【特許文献2】特開平9−164645号公報
【特許文献3】特開平9−254331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、これらのメラミン化粧板は水系の樹脂と紙とからできている為に、成型後も水分の吸放出があり、温度、湿度の影響による寸法変化が大きく、使用環境によっては、クラックや反りによる剥れといった不具合が発生していた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はかかる状況に鑑み検討されたもので、硬化性を有する常温で固形の結晶性オリゴマーと、無機充填剤とを含む組成物が繊維質基材に塗布されたプリプレグを単独、或いは複数枚積層し、場合によっては樹脂含浸化粧紙と、熱圧一体化してなることを特徴とする化粧板である。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、結晶化オリゴマーと炭酸カルシウム等の骨材からなる樹脂をガラス不織布やポリエステル不織布等に含浸したプリプレグをコア紙として、熱圧成形することで、寸法変化が少なく、クラックや反りが低減された化粧板を製造することができる。また、溶剤やホルムアルデヒドを使用せず、環境にやさしいものづくりが可能である。また、樹脂に顔料を混ぜる等して着色することで、パターン紙なしでも、これらの特徴をもった化粧板を製造することが可能である。更に無溶剤で、しかもフェノールを含有しないものであるため、シックハウス症候群の原因となることがなく、大気汚染、更に環境に悪影響を及ぼさない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明について詳細に説明する。硬化性を有し常温において固形の結晶性オリゴマーには、ウレタン(メタ)アクリレート、アリルウレタン、ビニルエーテルウレタン、エポキシ(メタ)アクリレート、不飽和ポリエステルなどが挙げられる。これらは、常温において固形であって、室温においてベトつかず、取り扱い性が良好であることから使用上好都合である。
【0007】
硬化性を有し常温において固形の結晶性オリゴマーを合成する一例として、水酸基を有する重合性化合物と、イソシアネート基を持つ化合物とを反応させてウレタン(メタ)アクリレート、アリルウレタン、ビニルエーテルウレタンを得る方法がある。また、エポキシ樹脂にカルボキシル基を含有する(メタ)アクリル酸などを反応させてエポキシ(メタ)アクリレートを得る方法、あるいはフマル酸とヘキサメチレングリコールを重縮合させてなる不飽和ポリエステルなどが挙げられる。
【0008】
水酸基を有する重合性化合物と、イソシアネート基を有する化合物とを反応させる方法の例について述べると、水酸基を有する重合性化合物として2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1、4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレートなどのアクリル系モノマーおよびオリゴマー類、エチレングリコールモノアリルエーテル、アリルアルコール、ポリエチレングリコールモノアリルエーテルなどのアリル系モノマーおよびオリゴマー類、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどビニルエーテル系モノマーおよびオリゴマー類が例示される。
【0009】
イソシアネート基を有する化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、4、4‘−ジフエニルメタンジイソシアネート、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、2、4−トルエンジイソシアネート、2、6−トルエンジイソシアネート、2、4−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1、5−ナフチレンジイソシアネート、トランスシクローキサン1、4−ジイソシアネート、2、4−キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、などが挙げられる。好ましくはジイソシアネート基間が直鎖状炭化水素構造、左右対称直線構造のものが得られる化合物の結晶性の点で優れている。
【0010】
硬化性を有し常温において固形の結晶性オリゴマーの合成例について説明すれば、攪拌装置、温度計、コンデンサー、滴下装置を備えたフラスコに、水酸基を持つ重合性化合物を仕込み、生成させる結晶性オリゴマーの融点まで昇温したのち、イソシアネート基を有する化合物を滴下し、重合固化しない温度条件に保持しながらウレタン化反応させることにより、硬化性を有し常温において固形の結晶性オリゴマーが得られる。
【0011】
カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル酸などを反応させてエポキシ(メタ)アクリレートを得る合成に使用されるエポキシ樹脂としては、常温で固体、好ましくは融点が50〜120℃で、1分子あたり2個以上のエポキシ基を有するものがあり、具体例として脂肪族ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂肪族ジグリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂肪族トリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、酸ペンダントエポキシ(メタ)アクリレート、あるいはリン酸塩含有エポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0012】
スラリー中に含まれる無機充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、炭酸ベリリウム、炭酸亜鉛などの炭酸塩、水酸化アルミニウム、シリカ、タルク、フライアッシュからなる群から選ばれる少なくとも1種を採用し、平均粒子径が0.5〜200μmの範囲のものを採用すると繊維質基材への含浸適正が優れる。中でも含浸適正、製品の平滑性の面から炭酸カルシウムが好ましい。
【0013】
炭酸カルシウムとしては特に制約はなく、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム(沈降性炭酸カルシウム)などを用いることができる。平均粒子径が0.05〜10μm、より好ましくは1〜5μmの重質炭酸カルシウムが好ましく、下限に満たないと二次凝集しやすく塊ができ含浸適正が悪くなりやすく、上限を超えると熱硬化性樹脂化粧板の表面が平滑にならず、外観不良となる。尚、軽質炭酸カルシウムとは石灰石を焼成し化学的に製造される炭酸カルシウムをいい、重質炭酸カルシウムとは白色結晶質石灰石を乾式又は湿式粉砕して造った微粉炭酸カルシウムをいう。
【0014】
結晶性オリゴマーと無機充填材の配合割合は固形分比で1:1〜10とするのが好ましく、無機充填材が下限に満たないと、熱圧成型時に樹脂のはみ出しが起こり、上限を超えると化粧板の耐水性、強度が低下し、また樹脂が増粘し塗工が困難となる。より好適には平均粒子径の異なるものを複数種用いて最密充填するのが好ましく、例えば、平均粒子径が1〜2μmのものと平均粒子径が4〜5μmものを80〜50:20〜50の割合で用いると充填率が向上し、コア層が強固なものとなり、防湿性能が向上する。この配合比率以外では炭酸カルシウム粒子間で凝集を起こし、繊維質基材に対する含浸性が低下する。
【0015】
コア紙に用いる繊維質基材としては、例えば、未晒しクラフト紙、晒しクラフト紙などの他、リンター紙、ガラス繊維、ロックウール、炭素繊維などの無機繊維からなる織布、不織布、ポリエチレン、ポリプロピレン、ビニロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン等やこれらの変成物およびエチレン−酢酸ビニル共重合体などに代表される各種共重合体からなる有機繊維およびこれらの混合物か、さらにはこれらの重合体からなる複合繊維などが挙げられる。
【0016】
基材への結晶性オリゴマーと無機充填材を必須成分とするスラリーの含浸率は数1で示される算出方法で500〜2000%とするのが好ましく、含浸率が上限を超えると固形分の脱落が多くなり取り扱いにくく、また下限に満たないと層間剥離しやすくなる。
【0017】
【数1】

【0018】
パターン紙に適用する樹脂組成物はアミノ−ホルムアルデヒド樹脂やジアリルフタレート樹脂が好適に用いられる。また、前述の結晶性オリゴマーと不飽和ポリエステルを必須成分としたものを用いても良い。不飽和ポリエステルは不飽和二塩基酸及び/又はその酸無水物と必要に応じて用いられるその他の飽和酸及び/又はその酸無水物とを含む酸成分と、多価アルコールとを窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で160〜230℃程度、好ましくは210〜230℃で常法に従い脱水縮合反応させたものが用いられる。
【0019】
不飽和二塩基酸及びその酸無水物としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸などが挙げられ、単独で用いても2種以上を併用しても良い。不飽和二塩基酸及びその酸無水物は、酸成分中50〜100mol%使用されることが好ましく、特に60〜100mol%使用されることが好ましい。
【0020】
必要に応じて用いられるその他の飽和酸及び/又はその酸無水物としては、無水フタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバチン酸などの飽和二塩基酸などが挙げられ、これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。飽和酸の配合量は、酸成分中0〜50mol%、好ましくは0〜40mol%の範囲とされる。
【0021】
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3―ブタンジオール、1,4―ブタンジオール、2,3―ブタンジオール、1,5―ペンタジオール、1,6―ヘキサンジオール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの二価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの三価アルコール、ペンタエリスリトールなどの四価アルコールなどが挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用しても良い。配合量は全酸成分100に対して100〜110molの範囲が良い。
【0022】
結晶性オリゴマーの固形分100重量部に対する不飽和ポリエステルの配合割合は5〜400重量部とするのが好ましく、下限に満たないと成型後、ピンホール等ができ外観不良となる。上限を超えると樹脂粘度が高くなり、塗工が困難となり、また表面硬度が得られない。
【0023】
また、結晶性オリゴマーと不飽和ポリエステルの混合物には結晶化を促進させ、かつ取扱い時のべたつきを防止するために、ヒュームドシリカ等の無機微粉末、炭酸カルシウム等の充填剤、保存安定性を向上させるためハイドロキノン等の重合禁止剤が配合可能である。結晶性オリゴマーの固形分100重量部に対する無機微粉末の配合割合は1〜10重量部とするのが好ましく、下限に満たないと、べたつき防止に効果が無く、上限を超えると樹脂粘度が高くなり塗工が困難
となる。
【0024】
結晶性オリゴマーを硬化させる為には重合開始剤の塗布が必要である。重合開始剤はプリプレグの裏面に塗布し、場合によってはジアリルフタレートモノマーのどに溶解させて塗布しても良い。重合開始剤には、加熱によって融解した硬化性を有する結晶性オリゴマー、さらには反応性モノマー等の重合を引き起こすものであれば、いずれも使用できる。具体例として、ケトンパーオキサイド系、パーオキシケタール系、ジアルキルパーオキサイド系、ジアシルパーオキサイド系、パーオキシエステル系、パーオキシジカーボネート系などの有機過酸化物ならびにアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。
【0025】
スラリーに顔料を配合して着色してもよく、顔料としては、カーボンブラック、黒鉛、酸化チタン、ベンガラ、紺青などの無機顔料、或いはアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、ペリレン系、イソインドリノン系などのうち発ガン性のない有機顔料が挙げられる。顔料の平均粒子径は0.1〜100μm程度が好ましく、下限に満たないとスラリー粘度が上昇し塗工が困難になる。上限を超えるとスラリーの繊維質基材への浸透が悪くなり、成型品の強度低下を招く。スラリー中にはスラリーの固形分100重量部に対して0.1〜10重量部配合する。下限に満たないと着色効果がなく、上限を超えると含浸時に顔料が脱落しやすくなる。
【0026】
合成例1 結晶性オリゴマー(A)(ウレタンメタアクリレート)
攪拌装置、温度計、留分凝縮冷却管(コンデンサー)、滴下装置を備えた2リットルのセパラブルフラスコに2−ヒドロキシエチルメタアクリレート260g(2モル)及びウレタン化触媒であるジn−ブチルスズラウレート0.13gを加え攪拌して70℃に昇温した。内温が90℃以下になるようにヘキサメチレンジイソシアネートの滴下速度を調整しながら168g(1モル)を添加した。滴下終了後、内温を80℃に保ちながら、反応液をサンプリングし、FTIRにてイソシアネート基にもとづく2275cm−1の吸収ピークが消失したことを確認した時点で、冷却バットに反応液を移送し、結晶化固化した結晶性オリゴマー(A)を得た。DTA測定(昇温速度・毎分10℃)による吸熱ピーク先端温度の測定法で融点78℃であった。
【0027】
合成例2 結晶性オリゴマー(B)(アリルウレタン)
攪拌装置、温度計、留分凝縮冷却管(コンデンサー)、滴下装置を備えた2リットルのセパラブルフラスコにアリルアルコール116g(2モル)及びウレタン化触媒であるジn−ブチルスズラウリレート0.13gを加え攪拌して70℃に昇温した。内温が90℃以下になるようにヘキサメチレンジイソシアネートの滴下速度を調整しながら168g(1モル)を添加した。滴下終了後、内温を80℃に保ちながら、反応液をサンプリングし、FTIRにてイソシアネート基にもとづく2275cm−1の吸収ピークが消失したことを確認した時点で、留分冷却器を留分追い出し用冷却管にかえ、減圧20mmHg条件下にして未反応のアリルアルコールを留去させた。さらに極微量のアリルアルコールを除去するためにイソシアネート基を有するオリゴマーであるコロネートHX(日本ポリウレタン工業株式会社 製品名)を8g添加した。冷却バットに反応液を移送し、結晶化固化した結晶性オリゴマー(B)を得た。DTA測定(昇温速度・毎分10℃)による吸熱ピーク先端温度の測定法で融点74℃であった。
【実施例1】
【0028】
コア層
78g/mのガラス繊維不織布に、合成例1で調製した結晶性オリゴマー(A)30部に対して、平均粒子径2μmの炭酸カルシウム48部、平均粒子径5μmの炭酸カルシウム22部を配合したスラリーを、ホットロールコーターにて、数1に示す含浸率が1200%となるように塗布してプリプレグを得た。しかる後、ジアリルフタレートモノマーにベンゾイルパーオキサイドを10重量%溶解させた硬化剤溶液をプリプレグの裏面に20g/m塗布した。
化粧層
合成例1で調整した結晶性オリゴマー(A)90部に対し、不飽和ポリエステル10部、ヒュームドシリカ7部、離型剤2部配合して得られた樹脂組成物を、坪量100g/mの無地柄の化粧紙に、ホットロールコーターを用いて、数1で示す含浸率が100%となるように塗布して結晶性オリゴマー塗工化粧紙を得た。
しかる後、ジアリルフタレートにベンゾイルパーオキシドを10重量%溶解させた硬化剤溶液を結晶性オリゴマー塗工化粧紙の裏面に20g/m塗布した。
不飽和ポリエステル;昭和高分子株式会社製
ヒュームドシリカ;商品名ファインシールX‐70B 平均粒径2.0μm 株式会社トクヤマ製)
離型剤(商品名セパール326 中京油脂株式会社製)
熱硬化性樹脂化粧板
下から順に、プリプレグを2枚、結晶性オリゴマー塗工化粧紙を1枚積層して、ダブルベルトプレス機に挿入し、温度140℃、圧力10kg/cmの条件で熱圧成型して化粧板を得た。
【実施例2】
【0029】
実施例1において、プリプレグの配合を結晶性オリゴマー(A)10部に対して、平均粒子径2μmの炭酸カルシウム62部、平均粒子径5μmの炭酸カルシウム28部とした以外は同様に実施した。
【実施例3】
【0030】
実施例1において、プリプレグの配合を結晶性オリゴマー(A)50部に対して、平均粒子径2μmの炭酸カルシウム34部、平均粒子径5μmの炭酸カルシウム16部とした以外は同様に実施した。
【実施例4】
【0031】
実施例1において、合成例2で調製した結晶化オリゴマー(B)を用いた以外は同様に実施した。
【実施例5】
【0032】
実施例1において結晶性オリゴマー塗工化粧紙を用いず、プリプレグを5枚積層し成形した以外は同様に実施した。
【実施例6】
【0033】
化粧層
坪量120g/mの無地柄の化粧紙に、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を数1で示す含浸率が100%となるように含浸してメラミン樹脂含浸化粧紙を得た。
【0034】
比較例1
実施例1において、プリプレグの配合を結晶性オリゴマー(A)5部に対して、平均粒子径2μmの炭酸カルシウム65部、平均粒子径5μmの炭酸カルシウム35部とした以外は同様に実施した。
【0035】
比較例2
実施例1において、プリプレグの配合を結晶性オリゴマー(A)60部に対して、平均粒子径2μmの炭酸カルシウム27部、平均粒子径5μmの炭酸カルシウム13部とした以外は同様に実施した。
【0036】
比較例3
コア層
フェノールに対するホルムアルデヒドのモル比が1.3のレゾールタイプのフェノール樹脂を、水酸化ナトリウム触媒で反応し、メタノールを添加して樹脂分50重量%の未変性のフェノール樹脂液を得、次いで、フェノール含浸樹脂液に坪量200g/mのクラフト紙に数1で示す含浸率が150%となるように含浸、乾燥して、フェノール樹脂含浸紙を作製した。
【0037】
熱硬化性樹脂化粧板
実施例6のメラミン樹脂含浸化粧紙1枚と、フェノール樹脂含浸紙5枚とを積層し、130℃、70kg/cm、60分間の加熱加圧条件にて成形した。
評価結果を表1に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
評価方法は以下の通リとした。
耐煮沸性;JIS K 6902;1998(熱硬化性樹脂高圧化粧板試験方法)に基づいて測定した。
寸法変化率;JIS K 6902;1998(熱硬化性樹脂高圧化粧板試験方法)に基づいて測定した。
耐クラック性;化粧板の繊維方向を縦とし、縦×横=50mm×150mmのサイズにカットし、試験片の横方向中央片端より幅2.2mm、長さ15mmの切り欠きを入れ、試験片とする。この試験片を40℃、90%RHの恒温恒湿槽に入れ、24時間静置する。次に専用の金属治具に固定し、80℃の恒温器中に入れ、5時間静置する。試験片を取り出し、すみやかに治具より取り外し、切り欠き部からのクラックの長さを計測した。
スラリー粘度; BM粘度計を用いて測定した。(温度90℃、回転数60rpm、ローターNo.4)
成型時の樹脂モレ;加熱加圧成型時に樹脂が漏れ出したものを×、漏れ出さなかったものを〇とした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性を有する常温で固形の結晶性オリゴマーと、無機充填材としての炭酸塩、水酸化アルミニウム、シリカ、タルク、フライアッシュからなる群から選ばれる少なくとも1種を必須成分とするスラリーが繊維質基材に塗布されたプリプレグを単独、或いは複数枚積層し、熱圧成型してなる事を特徴とする化粧板。
【請求項2】
前記プリプレグを単独或いは複数枚積層し、樹脂含浸パターン紙とともに積層し、熱圧一体化されてなることを特徴とする化粧板。


【公開番号】特開2009−61588(P2009−61588A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−228633(P2007−228633)
【出願日】平成19年9月4日(2007.9.4)
【出願人】(000100698)アイカ工業株式会社 (566)
【Fターム(参考)】