説明

医療用画像形成のためのシステム

【課題】2Dおよび3D画像を提供することができ、かつある範囲の最小限の侵襲性外科処置に使用することのできる、縮小寸法の内視鏡の提供。
【解決手段】ワイヤレス画像形成装置40を含む、医療用画像形成のためのシステムであって、前記画像形成装置40が以下のものを含むことを特徴とするシステム:複数の光源50、及びワイヤレス通信リンク56を通してデータを送信するためのトランスミッタ;前記トランスミッタから受信したデータを処理して、参照画像に基づいて及び前記トランスミッタから受信した入力画像に基づいて、各光源50の強度を計算するための処理装置;及び各光源50の計算された強度に基づいて前記複数の光源50の各光源50をワイヤレス制御するための制御ユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はイメージセンサに関し、さらに詳しくは、制約された空間内からの2次元および3次元光学処理、およびそれを使用する内視鏡に関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
内視鏡検査は、内視鏡の使用を含み、非常に小さい切開を通して身体の内部構造の画像を見るための外科的技術である。
【0003】
内視鏡手術は数十年間、胆嚢切除術、卵管結紮術、および膝の手術をはじめとする多数の様々な処置で使用され、かつ近年は美容および再建処置の両方を含む形成外科で使用されるようになった。
【0004】
内視鏡は、5つの基本的部品すなわち管状プローブ、小型カメラヘッド、カメラ制御ユニット、明るい光源、および光ファイバケーブルを含むことのできるケーブルセットから成る剛性または可撓性内視鏡とすることができる。内視鏡は小さい切開を通して挿入され、身体の内部構造の伝送された画像を拡大する表示スクリーンに接続される。
【0005】
手術中に、外科医は、手術領域内で内視鏡の管を動かしながらスクリーンを観察することによって、手術領域を見ることができる。
【0006】
内視鏡を使用する典型的な外科処置では、内視鏡プローブおよび他の器具を挿入するために、各々長さ1インチ未満の少数の小さい切開が必要なだけである。豊胸など一部の処置では、わずか2つの切開が必要になるだけかもしれない。ひたいのしわ切除など他の場合、3つまたは4つの短い切開が必要になるかもしれない。内視鏡カメラの小さい目は、外科医が手術部位を見ることを可能にする。
【0007】
内視鏡を使用するときに可能になる短い切開の利点は、手術による患者の身体の損傷が低減されることである。特に、神経の損傷による感覚喪失の危険性は低下する。しかし、ほとんどの現行の内視鏡は、平坦な2次元画像を提供するだけであり、それは外科手術の要件にとっては必ずしも充分ではない。その出力に3次元情報を提供する内視鏡の能力は、外科手術内の内視鏡の使用分野を拡張するであろう。
【0008】
内視鏡内の3D画像化能力の必要性は、過去に取り扱われてきた。2つの異なる光路を使用することによって立体画像を提供する多数の解決策が、特許US 5944655、US 5222477、US 4651201、US 5191203、US 5122650、US 5471237、JP 7163517A、US 5673147、US 6139490、US 5603687、WO 9960916A2、およびJP 63244011Aに開示されている。
【0009】
米国特許US 5728044およびUS 5575754によって提示された別の方法は、画像点の位置測定を提供する追加センサを利用する。特許JP 8220448Aは、光学組立体を使用して画像を分割して2つのセンサに偏向させる、単眼内視鏡用の立体アダプタを開示している。US 6009189に開示されたさらなる方法は、1つまたはそれ以上のカメラを使用して異なる方向からの画像収集を使用する。2つの光源を使用して3D情報を得ようとする試みが、2つの光源を使用して影に基づく立体画像の錯覚を与える米国特許第4714319号に開示された。JP 131622Aは、交互に点灯する2つの光源を使用することによって、立体画像の錯覚を達成するための方法を開示している。
【0010】
現行の内視鏡の追加的問題は、画像化のための対象の照明の問題である。身体の内部空間は、画像化するために照明しなければならず、したがって内視鏡は一般的に照明源を含む。照明すべき観察視野の様々な部分は照明源から異なる距離にあり、相対反射率は照明源との相対距離に強く依存する。しかし、相対距離は非常に大きい。典型的な外科手術の観察視野では、距離は容易に2cmから20cmの範囲に及ぶことがあり、1:10の距離比になる。その場合対応する輝度比は1:100になり、目くらましを生じたり、より遠い物体が全く見えなくなることがある。
【0011】
1つの参考文献JP 61018915Aは、液晶シャッタ要素を使用して透過光を低減することによって、不均等な照明の問題を解決することを示唆している。照明レベルの一般的規制を論じた他の引例として、US 4967269、JP 4236934A、JP 8114755A、およびJP 8024219Aがある。
【0012】
一般的に、内視鏡のサイズを縮小し、かつ同時に画像品質を改善することが望ましい。さらに、内視鏡などの複雑な電子品目の滅菌はそれ自体厄介であると理解されており、使い捨て内視鏡を生産し、こうして滅菌の必要性を回避することが望ましい。
【0013】
新しいヘッドアーキテクチャを設計する努力は主として、センサ、一般的にCCDを利用したセンサの遠端に光学的素子を組み込むことに集中してきた。そのような組込みの例はUS 4604992、US 4491865、US 4692608、JP 6025815A、US 4746203、US 4720178、US 5166787、US 4803562、US 5594497およびEP 434793B1に開示されている。内視鏡の遠端の全体的寸法の縮小は、米国特許第5376960号および第4819065号、ならびに日本国特許出願第7318815A号および第70221A号で取り扱われている。内視鏡に超音波および光学コヒーレンストモグラフィ(optical coherence tomography)など他の形の画像化を組み込むことは、US 4869256、US 6129672、US 6099475、US 6039693、US 55022399、US 6134003、およびUS 6010449に開示されている。
【0014】
血管内の適用例は上述の特許の幾つかに開示されており、内視鏡は超音波センサ、または他のデータ収集装置を組み込んである。不透明な流体内の視認性を可能にするための方法を開示する特許はUS 4576146、US 4827907、US 5010875、US 4934339、US 6178346およびUS 4998972である。
【0015】
内視鏡をはじめとする様々な装置の滅菌の問題はWO 9732534A1、US 5792045およびUS 5498230に開示されている。特に、JP 3264043Aは、内視鏡を滅菌する必要性を克服するために開発されたスリーブを開示している。
【0016】
しかし上述の解決策は不完全であり、かつ上記の全ての問題に対して最適化された単一の内視鏡に組み込むことが難しい。
【発明の概要】
【0017】
本発明の目的は、単一の内視鏡に組み込むことのできる、上記の問題の解決策を提供することである。
【0018】
実施形態の目的は、現行内視鏡より小さいが、対応する光学処理能力の低下が無い内視鏡を提供することである。
【0019】
本実施形態のさらなる目的は、縮小サイズ内視鏡に組み込むことのできる3D画像化機能を提供することである。
【0020】
本実施形態のさらなる目的は、例えば光源の個別制御によって高対比問題を受けない物体照明を提供することである。
【0021】
本実施形態のさらなる目的は、製造が単純でありかつ費用効果が高く、したがって使い捨て品目として扱うことのできる変形内視鏡を提供することである。
【0022】
本発明の実施形態は、反射光強度の測光測定に基づいて物体の3D画像化をもたらす。そのような方法は比較的効率的かつ正確であり、内視鏡の制約された寸法内で実現することができる。
【0023】
本発明の第1態様では、制約された空間内の挿入のためにピキシレーテッド(pixilated)イメージセンサを提供し、該センサは選択された画像ゆがみパターンに配設された複数の画素を備えており、前記画像ゆがみパターンは、画像の解像度のレベルを維持して前記制約された空間より大きい画像を前記制約された空間内に投影するように選択される。
【0024】
画像ゆがみパターンは前記画像を2つの部分に分割し、前記ピキシレーテッドイメージセンサは2つの不連続部分に配設された前記画素を備えることが好ましい。
【0025】
不連続部分は連続する長さに配設されることが好ましい。
【0026】
制約された空間は内視鏡の長手方向内壁であり、前記不連続部分は前記長手方向内壁の連続する長さに配設されることが好ましい。
【0027】
制約された空間は内視鏡の長手方向内壁であり、前記不連続部分は前記長手方向内壁の連続する長さに配設されることが好ましい。
【0028】
ゆがみパターンは非点収差画像ゆがみであることが好ましい。
【0029】
ゆがみパターンは、前記制約された空間内に適合するように予め決定された寸法を持つ矩形の形状への画像の投影であることが好ましい。
【0030】
好適な実施形態は、CMOSをベースとする画素センサおよびCCDをベースとする画素センサを含むグループの1つを含む。
【0031】
好適な実施形態は、各照明源に対して均一な照明画像を生成するために、交互画像照明源と協働するように制御可能である。
【0032】
本発明の第2態様では、制約された寸法を持ち、少なくとも1つのイメージギャザラ(image gatherer)、少なくとも1つのイメージディストータ(image distorter)、および前記制約された空間内に適合するように成形された少なくとも1つのイメージセンサを備えた内視鏡を提供し、前記イメージディストータは、画像が前記成形されたイメージセンサで実質的に原画像解像度レベルで感知可能であるように、前記イメージギャザラから受け取った画像をゆがめるように動作可能である。
【0033】
イメージディストータは、前記画像を2つの部分画像に分割するように動作可能なイメージスプリッタを備えていることが好ましい。
【0034】
イメージセンサは、前記内視鏡の長手方向壁に沿って各々別個に配設された2つのセンサ部分を備えることが好ましい。
【0035】
前記2つの部分は前記内視鏡の対向する長手方向壁に沿って連続する長さに配設することが好ましい。
【0036】
ディストータは非点収差イメージディストータであることが好ましい。
【0037】
非点収差イメージディストータはイメージレクタンギュレータ(image rectangulator)であり、前記イメージセンサは、前記イメージレクタンギュレータによる前記画像の矩形化を補足するように再配設した感知画素を備えていることが好ましい。
【0038】
イメージディストータは少なくとも1つのレンズを備えていることが好ましい。
【0039】
イメージディストータは少なくとも1つの画像ゆがみミラーを備えていることが好ましい。
【0040】
イメージディストータは、像光を実質的に前記レンズから前記イメージセンサへ誘導する光ファイバを備えることが好ましい。
【0041】
イメージディストータは第2レンズを備えていることが好ましい。
【0042】
イメージディストータは少なくとも第2画像ゆがみミラーを備えていることが好ましい。
【0043】
イメージディストータは少なくとも1つの平面光学プレートを備えていることが好ましい。
【0044】
好適な実施形態は、物体を照明するために少なくとも1つの光源を備えており、前記光源は予め定められた時間に閃光を発生するように制御可能である。
【0045】
好適な実施形態は第2光源を備えており、前記第1および第2光源は閃光を発生するように各々別個に制御可能である。
【0046】
第1光源は白色光源であり、前記第2光源はIR源であることが好ましい。
【0047】
好適な実施形態では、1つの光源は物体を第1側から照明するための右側光源であり、他の光源は前記物体を第2側から照明するための左側光源である。
【0048】
好適な実施形態では、1つの光源は第1分光感度の光を備え、他の光源は第2分光感度の光を備えている。
【0049】
好適な実施形態はさらに、前記光ギャザラに関連付けられるカラーフィルタをさらに備え、前記像からの光を左右像に分割し、それぞれ左右距離測定器に供給し、3次元画像の構築のための左右距離測定値を得ることを含む。
【0050】
好適な実施形態では、前記光源は交互にまたは同時に閃光を発生するように構成される。
【0051】
好適な実施形態は、それぞれ左右照明源を使用して前記物体の点の相対輝度を得るための相対輝度測定器をさらに備え、それによってその3次元画像の構築用の前記物体の3次元距離情報を推定することをさらに含む。
【0052】
好適な実施形態は、第2イメージギャザラおよび第2イメージセンサをさらに備える。
【0053】
第1および第2イメージセンサは前記内視鏡内で長手方向に前後に配設されることが好ましい。
【0054】
第1および第2イメージセンサは前記内視鏡に沿って長手方向に連続的に配設されることが好ましい。
【0055】
第1および第2イメージセンサは前記内視鏡の長手方向壁に沿って配設されることが好ましい。
【0056】
好適な実施形態は、照明される物体の前記内視鏡からの距離の変化による輝度差を識別し、かつ前記輝度差を実質的に解消するように動作可能な輝度アベレージャを備えている。
【0057】
好適な実施形態は、制御可能な幅の光パルスで物体を照明するための少なくとも1つの照明源をさらに備え、前記輝度アベレージャは前記幅を制御することによって前記輝度差を解消するように動作可能である。
【0058】
好適な実施形態は、少なくとも2つの制御可能な照明源を有し、1つの照明源は非可視(すなわちIRまたはUV)光を放出して対応する分光感度画像を生成し、前記内視鏡は可視および非可視画像の所望の比を生じるように制御可能である。
【0059】
本発明の第3態様では、内視鏡およびコントローラを備えた内視鏡システムであって、前記内視鏡が
少なくとも1つのイメージギャザラと、
少なくとも1つのイメージディストータと、
前記内視鏡の制約された寸法内に適合するように形作られた少なくとも1つのイメージセンサと
を備え、
画像が画像解像度を保持しながら前記形作られたイメージセンサで感知可能となるように、前記イメージディストータが前記イメージギャザラから受け取った画像をゆがめるように動作可能であり、
前記コントローラが前記内視鏡の画像出力を処理するための専用画像プロセッサを備えている
内視鏡システムを提供する。
【0060】
専用画像プロセッサは、前記画像出力からモーションビデオを生成するように動作可能なモーションビデオプロセッサであることが好ましい。
【0061】
専用画像プロセッサは、前記画像出力から3Dモデルを生成するための3Dモデラを備えていることが好ましい。
【0062】
前記専用画像プロセッサは、前記3Dモデルから立体表示を生成するように動作可能な3Dイメージャをさらに備えていることが好ましい。
【0063】
好適な実施形態は、イメージングを記録するためのイメージレコーダを備えている。
【0064】
好適な実施形態は、前記システムの遠隔制御および遠隔観察のための制御および表示通信リンクを備えている。
【0065】
イメージディストータは、前記画像を2つの部分画像に分割するように動作可能なイメージスプリッタを備えていることが好ましい。
【0066】
イメージセンサは、前記内視鏡の長手方向壁に沿って各々別個に配設された2つのセンサ部を備えていることが好ましい。
【0067】
前記2つの部分は、前記内視鏡の対向する長手方向壁に沿って連続する長さに配設することが好ましい。
【0068】
ディストータは非点収差イメージディストータであることが好ましい。
【0069】
非点収差イメージディストータはイメージレクタンギュレータであり、前記イメージセンサは前記イメージレクタンギュレータによる前記画像の矩形化を補足するように再配設された感知画素を備えることが好ましい。
【0070】
イメージディストータは少なくとも1つのレンズを備えていることが好ましい。
【0071】
イメージディストータは少なくとも1つの画像ゆがみミラーを備えていることが好ましい。
【0072】
イメージディストータは、像光を実質的に前記レンズから前記イメージセンサに誘導する光ファイバを備えていることが好ましい。
【0073】
イメージディストータは第2レンズを備えていることが好ましい。
【0074】
イメージディストータは少なくとも第2画像ゆがみミラーを備えていることが好ましい。
【0075】
イメージディストータは少なくとも1つの平面光学板を備えていることが好ましい。
【0076】
好適な実施形態は物体を照明するための少なくとも1つの光源をさらに備えていることが好ましい。
【0077】
好適な実施形態は第2光源を備えており、前記第1および第2光源は閃光を発生するように各々別個に制御可能である。
【0078】
第1光源は白色光源であり、前記第2光源は不可視光源であることが好ましい。
【0079】
好適な実施形態では、1つの光源は第1側から物体を照明するための右側光源であり、他の光源は第2側から前記物体を照明するための左側光源である。
【0080】
好適な実施形態では、1つの光源は第1分光感度の光を含み、他の光源は第2分光感度の光を含む。
【0081】
好適な実施形態は、前記光ギャザラに関連付けられるカラーフィルタをさらに備え、前記像からの光を左右画像に分離し、それぞれ左右距離測定器に供給し、3次元画像の構築のための左右距離測定値を得る。
【0082】
光源は交互にまたは同時に閃光を発生するように構成することが好ましい。
【0083】
好適な実施形態は、それぞれ左右照明源を使用して前記物体の点の相対輝度を得、それによってその3次元画像の構築に使用するために前記物体の3次元距離情報を推定するための相対輝度測定器をさらに備えている。
【0084】
好適な実施形態は、第2イメージギャザラおよび第2イメージセンサをさらに備えている。
【0085】
第1および第2イメージセンサは、前記内視鏡内に長手方向に前後に配設することが好ましい。
【0086】
第1および第2イメージセンサは、前記内視鏡に沿って長手方向に連続的に配設されることが好ましい。
【0087】
第1および第2イメージセンサは、前記内視鏡の長手方向壁に沿って配設されることが好ましい。
【0088】
好適な実施形態は、照明される物体の前記内視鏡からの距離の変化による輝度差を識別し、かつ前記輝度差を実質的に低減するように動作可能な輝度アベレージャを備えている。
【0089】
本発明の第5実施形態では、観察視野の像を内部で生成するための内視鏡であって、前記画像は前記内視鏡の断面積より大きい面積を占め、
前記観察視野から受け取った光を小型の形状にゆがめるためのイメージディストータと、
前記ゆがめられた光を受け取ってそこに画像を形成するための前記小型の形状に配設されたイメージセンサと
を備えている内視鏡を提供する。
【0090】
好適な実施形態は長手方向壁を備え、前記イメージセンサは前記長手方向壁に沿って配設され、内視鏡は、前記光を前記イメージセンサに向かって発散させるための光発散器をさらに備えている。
【0091】
イメージセンサは2つの部分を備え、前記ディストータは前記像を2つの部分に分割するためのイメージスプリッタを備え、前記光発散器は各画像部分の光を前記イメージセンサのそれぞれの部分に送るように配設されることが好ましい。
【0092】
センサ部分は、前記内視鏡の前記長手方向壁の内側の対向する長さに整列されることが好ましい。
【0093】
センサ部分は、前記内視鏡の前記壁の1つの内側に沿って長手方向に連続的に整列されることが好ましい。
【0094】
イメージディストータの好適な実施形態は、正方形画像を実質的に同等の面積の長方形画像にゆがめるように形成された非点収差レンズを備えている。
【0095】
好適な実施形態は、前記観察視野内の物体の距離差による高い対比差を補償するために対比イコライザをさらに備えている。
【0096】
好適な実施形態は、前記観察視野を照明するために2つの照明源を備えている。
【0097】
好適な実施形態では、照明源は交互に照明するように制御可能であり、前記イメージセンサは前記照明源と同期して画像を集め、それによって独立して照明された画像を得るように制御可能である。
【0098】
好適な実施形態では、各照明源は異なる予め定められた分光感度を有する。
【0099】
前記イメージセンサの好適な実施形態は画素を備え、各画素は前記予め定められた分光感度の1つに応答する。
【0100】
イメージセンサの好適な実施形態は、白色光に応答する複数の画素を備えている。
【0101】
好適な実施形態では、前記イメージセンサは、異なる波長の光に応答する複数の画素を備えている。
【0102】
好適な実施形態では、使用する波長は赤色光、緑色光、青色光、および赤外光のうちの少なくとも3つを備えている。
【0103】
好適な実施形態では、第2イメージセンサは、前記観察視野から得られる光から第2画像を形成する。
【0104】
好適な実施形態では、前記第2イメージセンサは前記内視鏡の長手方向軸にわたって前記第1イメージセンサと前後関係に配置される。
【0105】
好適な実施形態では、第2イメージセンサは前記内視鏡の長手方向壁に沿って前記第1イメージセンサと端と端を付き合わせた関係に配置される。
【0106】
好適な実施形態では、第2イメージセンサは前記内視鏡の対向する長手方向壁上に前記第1イメージセンサから筋かいに配置される。
【0107】
本発明の第6実施形態では、観察視野の3次元画像を生成するための小型内視鏡であって、第1光路を通して前記観察視野のビューを受け取るための第1イメージセンサと、第2光路を通して前記観察視野のビューを受け取るための第2イメージセンサとを備えており、前記第1および第2イメージセンサが前記内視鏡の長手方向軸に沿って前後に配置されて成る小型内視鏡を提供する。
【0108】
本発明の第7実施形態では、観察視野の3次元画像を生成するための小型内視鏡であって、第1光路を通して前記観察視野のビューを受け取るための第1イメージセンサと、第2光路を通して前記観察視野のビューを受け取るための第2イメージセンサとを備えており、前記第1および第2イメージセンサが前記内視鏡の長手方向壁に沿って端と端を付き合わせて配置されて成る小型内視鏡を提供する。
【0109】
本発明の第8実施形態では、観察視野の3次元画像を生成するための小型内視鏡であって、前記観察視野を照明するための2つの照明源と、前記照明源の各々を介して照明される前記観察視野のビューを受け取るためのイメージセンサと、各ビュー間を差分化するための差分器とを備えた小型内視鏡を提供する。
【0110】
差分器は前記照明源の順次動作を提供するためのシーケンシャル制御であることが好ましい。
【0111】
照明源はそれぞれ異なる分光感度で照明を生成するように各々動作可能であり、前記差分器は前記それぞれ異なる分光感度で光を差分的に感知するために前記イメージセンサに一連のフィルタを備えていることが好ましい。
【0112】
イメージディストータは、受け取った像の部分を前記ゆがみパターンに従って前記イメージセンサに誘導するために複数の光ファイバを備えていることが好ましい。
【0113】
本発明の第9実施形態では、小型内視鏡を製造する方法であって、
照明源を設けるステップと、
イメージディストータを設けるステップと、
画像光線分割器を設けるステップと、
前記イメージディストータに組み込まれたゆがみに対応するように変形された形状を持つイメージセンサを設けるステップであって、前記イメージセンサの少なくとも一方向の寸法を、感知される非ゆがみバージョンのそれより小さくなるように低減させるように前記ゆがみが選択されるようにしたステップと、
前記イメージディストータ、前記画像光線分割器、および前記イメージセンサを組み立てて、内視鏡内に光路を形成するステップと
を含む方法を提供する。
【0114】
本発明の第10実施形態では、内視鏡画像を得る方法であって、
観察視野を照明するステップと、
少なくとも一方向の寸法が前記非ゆがみ画像の同等の方向の寸法に比較して低減された前記観察視野のゆがんだ像を形成するように、前記観察視野から反射する光をゆがませるステップと、
同等にゆがめた少なくとも1つのイメージセンサを使用して、前記光を前記内視鏡内で感知するステップと
を含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0115】
本発明のよりよい理解のため、かつ、本発明をどのように実施するかを示すために、純粋に例として添付の図面を今から参照する。
【図1】図1は、本発明の実施形態を適用することができる内視鏡システムの簡易ブロック図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態に係る内視鏡システムの簡易ブロック図である。
【図3】図3は、図2の内視鏡のワイヤレス変形例の簡易ブロック図である。
【図4】図4は、本発明の好適な実施形態に係る内視鏡の簡易略ブロック図である。
【図5】図5は、本発明の好適な実施形態に係る内視鏡内の光路を示す簡易光線図である。
【図6】図6は、図5の実施形態の異なる角度からの光線図である。
【図7】図7は、本発明の好適な実施形態に係る光学組立体の代替的構成を示す光線図である。
【図8】図8は、本発明の好適な実施形態に係る光学的組立体のさらなる代替的構成を示す光線図である。
【図9】図9は、本発明の好適な実施形態に係る光学的組立体のさらなる代替的構成を示す光線図である。
【図10】図10は、本発明の図9の実施形態の正面から取った光線図である。
【図11】図11は、本発明の好適な実施形態に係る光学的組立体のさらなる代替的構成を示す光線図である。
【図12】図12は、本発明の実施形態に係るイメージセンサの簡易平面図である。
【図13】図13は、本発明の好適な実施形態に係る立体モード用の内視鏡を示す簡易光線図である。
【図14】図14は、図13の実施形態から得られる3Dモデルをいかに使用して観察視野の立体画像を構築するかを示す簡易光線図である。
【図15】図15Aは、本発明の好適な実施形態に係る立体内視鏡内のイメージセンサの構成を示す簡易断面図である。図15Bは、図15Aの構成の一端からの図である。
【図16】図16は、本発明の好適な実施形態に係る観察視野の立体画像を得るためのセンサの代替的構成を示す簡易光線図である。
【図17】図17は、本発明の好適な実施形態に使用可能なネットワーク携帯内視鏡および関連ハードウェアの簡易ブロック図である。
【図18】図18は、最小限の侵襲性手術を実行するように適応され、本発明の好適な実施形態に使用可能な内視鏡内の簡易ブロック図である。
【図19】図19は、研究用の強化内視鏡システムの簡易ブロック図である。
【図20】図20は、本発明の好適な実施形態に使用可能な、立体画像を得るための内視鏡システムの構成の簡易ブロック図である。
【図21】図21は、血管内処置用のシステムの簡易ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0116】
本実施形態は、最小限の侵襲性診断および外科処置のため、および特にアクセス条件が小寸法の観察装置の使用を余儀なくする他の医療および非医療観察用途のための診断および手術システムを提供する。
【0117】
今、図1を参照すると、これは本発明の第1実施形態に係る内視鏡の基本的構成の基本ブロック図である。この図は、相互接続を含む内視鏡システムの基本的構成を示す。該構成は、ワイヤ接続20によって処理装置30、一般的にPCに取り付けられた、以下で単に内視鏡と呼ぶミニアチュア内視鏡前部10を備えており、PCは、内視鏡の出力の画像処理を実行するための適切なソフトウェアを有する。ワイヤ接続20は光学的接続とすることができ、あるいはRFまたは類似のワイヤレス通信手段を使用できることを、当業者は理解されるであろう。ミニアチュア内視鏡前端10は、いずれかの標準的PC入力(例えばUSB入力)に接続するように設計することができる。
【0118】
処理装置30に含まれるソフトウェアは、ミニアチュア内視鏡前端10の出力を処理する。ソフトウェアは一般的に、PC30のモニタへの画像の伝送、および後述する通り立体情報に基づく3Dモデリングのステップを含むモニタ上のそれらの表示を制御することができ、かつ、同じく後述する通り光の強度および自動利得制御(AGC)をはじめとする内視鏡前端10の内部機能を制御することができる。
【0119】
今、図2を参照すると、これは本発明の好適な実施形態に係る内視鏡の内部ブロック図である。ミニアチュア内視鏡40はワイヤ42によってアダプタ44に接続される。内視鏡40は、一般的にCMOSまたはCCDまたは類似のセンシング技術、光学組立体48、照明源50、通信イメージスプリッタ52、およびコントローラ54を備え、イメージセンサ46を備えている。図2のワイヤ接続されたユニットは電圧調整器56を含むことが好ましい。
【0120】
以下でより詳しく説明する通り、イメージセンサ46は長手方向側壁の長さに沿って(すなわち壁に実質的に平行に、かつ少なくともそれに対して垂直にならずに)内視鏡40が整列配置される。そのような整列配置は、内視鏡の半径方向の寸法をイメージセンサ46の対角線以上に低減させることを可能にする。センサは、後述する通り2つの部分に分けて配設することが好ましい。
【0121】
今、図3を参照すると、これは、図2の実施形態のワイヤレスの等価物の内部ブロック図である。上に示したものと同一の部品は同一参照番号が付与されており、本実施形態の理解に必要なものを除いては、再び言及しない。図3の実施形態では、ワイヤ42は、IRなどのワイヤレスリンク56、または適切なセンサ付きRFリンク、およびバッテリパック58に置き換えられている。
【0122】
今、図4を参照すると、これは本発明の好適な実施形態に係るミニアチュア内視鏡の略ブロック図である。上に示したものと同一の部品は同一参照番号が付与されており、本実施形態の理解に必要なものを除いては、再び言及しない。光学組立体48は、観察される物体から矢印60によって示される光を受け取る。光は、後述する通り光学組立体48によって処理されてイメージセンサ46に到着し、そこでそれは光子から電気信号に変換される。電気信号はデジタル化され、送信装置62、例えばLVDSトランスミッタに渡され、それは通信リンク20およびアダプタ44を通して処理装置30にデータを送る。
【0123】
内視鏡40の動作出力は、アダプタ44を通して電圧調整器56に提供されることが好ましい。前端の制御は、上述の通り処理装置30によって実行することが好ましい。処理装置30からの制御データは内視鏡40で受信装置64によって受け取ることが好ましく、それは一般的にLVDSレシーバとすることができる。ハードワイヤード論理66は、到来制御データをセンサ46および光源50の両方を制御するための信号に変換するためにインタフェースとして働くことが好ましい。
【0124】
光源50は、LEDなどの1つまたはそれ以上の光伝達装置、一般的に左光源68および右光源70を備えることが好ましい。左および右光源はドライバ72を介して制御可能である。上記構成部品の各々の機能について、以下でさらに詳しく説明する。当業者には分かりであろうが、CMOSおよび同様の技術をセンサに使用すると、センサ46、送信装置62、受信装置64、ハードワイヤード論理66、ドライバ72、および電圧調整器56を単一半導体集積回路に統合することが可能になり、そのような統合は小型設計の内視鏡を達成するのに特に有利である。
【0125】
光源50をより詳しく考察すると、それは、後述する通り任意選択的にIR光源(LED)が混合された可視光範囲のエネルギ放出を持つ幾つかの白色光源(例えばLED)の一体化配列を備えることが好ましい。実際、任意の組合せの分光感度を使用することができ、特に好適な組合せは赤+IR、および緑+青である。光源の一体化配列は、書く光源の個別制御を可能にし、以下の機能を助長する。
【0126】
システムは、白色光源およびIR光源を順次点灯してN個(ユーザ決定)の標準白色画像毎に、以下で図12に関連して説明するセンサ構成による検出のためにIR画像を生成することができる。
【0127】
画像化される物体は一般的に、光源から異なる距離または被写界深度に位置しており、したがって不均一に照明される。視野内で遠い領域が多ければ多いほど暗くなり、ほとんど見えなくなる一方、近い領域は明るく、飽和状態になることがある。視野全体の不均一な照明強度を補償するために、システムは各光源の強度の制御を個別に行ない、それによって物体の反射強度を補償することが好ましい。照明配列の制御のためのアルゴリズムの一例を次に挙げる。
【0128】
カメラヘッド内の照明配列におけるN個の個別光源を前提として、各光源用に格納すべき基準画像、好ましくは均質な白色の物体を生成するために、初期化プロセスが実行される。格納された基準画像(行列)は以下でRIiによって識別される。ここでi=1,2,...Nである。
【0129】
初期化に続いて、画像化が実行され、観察視野の入力画像(行列IIによって示される)は、M>NとなるようにM個の領域に分割される。画像領域は以下ではSjによって識別される。j=1,2,...Mである。
【0130】
上記画像化段階に続いて、II行列を取り、領域SjでRIi行列との行列乗算を実行し、結果の行列の要素を加算する結果得られる内積行列の要素Tijが内積を反映するように、内積行列が計算される。
【0131】
結果的に得られる内積行列はTによって与えられる。ここで
【数1】

であり、かつ
【数2】

である。ここで
Pijは、領域jで光源iから得られる、(xp,yp)に位置する画素の強度である。
Rjは、領域jで入力画像から得られる、(xp,yp)に位置する画素の強度である。
Sjは、領域jにおける全画素である。
xp,ypは、領域jにおける画素座標である。
【0132】
次に、次の条件を満足するベクトルvが決定される。
【数3】

ここでvは、各光源の強度のベクトルであり、
kは、所望の共通強度のベクトルであり、この要件の解法は、次式によって与えられる。
=(T・T)−1・T
【0133】
中央制御装置は上記アルゴリズムを使用してデータを後処理し、画像の自然な外観を再構築し、それによって輝度の不均一性を補償することが好ましい。
【0134】
LEDを光源として使用する場合、その高速応答時間は、可変積分時間(variable integration time)(またはAGC)の必要性に代わって、それらが「制御可能なフラッシュモード」で動作することを可能にする。
【0135】
今、イメージセンサ46について述べると、図2に関して上で観察した通り、先行技術の内視鏡では、センサのサイズが内視鏡の横方向直径に限界を与えている。したがって、本実施形態では、この限界を取り除くために、センサは内視鏡の長手方向壁に沿って、再び好ましくは実質的に壁に平行に、ただし少なくともそれに垂直にならないように、配置される。長手方向壁の使用は、内視鏡の横方向の直径の低減により大きい自由を与えるだけでなく、センサの長さの増加にも自由を与え、したがって水平方向の画像の解像度が増加する。
【0136】
後述する通り、各々以下で詳述するそれぞれの設計の光学組立体に関連付けられる、再編成センサの2つの特定の実施形態がある。
【0137】
上述の幾何学的再編成に加えて、センサは、診断目的のためまたは再び以下で詳述する3D画像化のため、IR画像の捕捉を可能にするカラーフィルターを供給することができる。
【0138】
今、センサの幾何学的設計に言及すると、理解される通り、センサは画像収集フィールド全体に一列に配列された画素のフィールドを含む。第1の特定の実施形態は、センサにおける画素の再配置を含む。例として、センサ幅は例えば2つの部分に分割することができ、その場合2つの部分を端と端を長さ方向に突き合わせて配置することができる。したがって、例えば、10×10ミクロンの画素寸法を持つ512×512画素のセンサを各々幅256画素の2つのセクションに分割し、端と端を突き合わせて配置すると、2.56mm×10.24mmの全画像化面積を持つ256×1024画素のセンサが得られる。内視鏡の長さ方向の寸法に沿って長い寸法を配置することが好ましく、こうして直径が縮小され、それに対応する画像の精度レベルの低下が生じない内視鏡が可能になる。
【0139】
第2の特定の実施形態は同様に、画素の幾何学的再編成に関連する。先行技術のイメージセンサは、円形または正方形のオーバオールセンサまたはピキシレーテッド面積を有するが、元のセンサと同一面積を持つが高さおよび幅が自由に選択される長方形として配設された場合、幅は同等の先行技術のセンサの幅より小さくなるように選択することができる。さらに詳しくは、10×10ミクロンの画素寸法を有する模範的な512×512画素のセンサの場合、標準的な先行技術のセンサ(5.12mmの幅を持つ)は、前の特定の実施形態の場合と同様に同一の総感知面積を持つが、2.56mm×10.24mmの特定の幅および高さ寸法を持つ長方形センサに置換することができ、したがって内視鏡により容易に適合するようになる。
【0140】
今、図5を参照すると、これは内視鏡内の光路を上から見た簡易光線図である。理解される通り、上述した特定の実施形態のイメージセンサが、ゆがまないように再形成することのできる画像を生成するために、各センサは、画素の再構成に従って画像の部分の方向付けを変更することのできる光学組立体に関連付けることが好ましい。
【0141】
図5は、イメージセンサの2つの特定の実施形態のうちの第1のもの用に設計されたバージョンの光学組立体48、すなわち幅方向の画素の移動を含むものを示す。同じ光学組立体の側面図が図6に示されている。図5は、そこからの光が2つのレンズ82および84に達する点源物体80を示す。2つのレンズは、光を前面ミラー86に達する2つの部分に分割するように選択され配設される。前面ミラーは像の各部分をセンサ46の異なる部分に送り、像の復元は、原画像の形状を復元するための適切な配線またはセンサ画素のアドレス指定によって可能である。
【0142】
今、図7を参照すると、これは、再びイメージセンサの第1の特定実施形態用に設計された光学組立体48の代替バージョンを示す光線図である。単レンズ86が2枚の前面鏡88および90と共に、物体80からの鏡への光が偏向するように配置される。2枚の前面鏡は各々、画像の半分をセンサ46の上部または下部にそれぞれ伝達する。
【0143】
今、図8を参照すると、これは、今度は第2の特定実施形態のイメージセンサ46用の光学組立体48の第3実施形態、すなわち正方形の画素がより小さい幅を持つ長方形に縮小された実施形態を示す光線図である。非対称または非点収差レンズ92は、光を前面鏡94に焦点を結ぶように配設される。光は、長方形のセンサ46によって画像に導入されたゆがみを解消するようにレンズ92によってゆがめられ、次いでそれは鏡94によってセンサ46の表面に反射する。
【0144】
今、図9を参照すると、これはさらなる実施形態の光学組立体48を示す側面からの構成図である。図8の実施形態は鏡の比較的複雑な設計を必要とし、そのような複雑さを回避するために、追加的光学設計を示す。図9に示す通り、同じ非点収差レンズ92は、鏡の前ではなく、むしろ各々対角横断面を備えた一連の平面光学板96.1...96.nの前に配置され、該板は各々それぞれの板を介してセンサ46の表面に光を反射する。
【0145】
さらに図10を参照すると、これは図9の一連の光学板96の前から取った光線図である。図9および図10の斜視図間の比較は、内視鏡に対する板の配置を示す。
【0146】
今、図11を参照すると、これはさらなる実施形態の光学組立体48を示す簡易光線図である。図11の実施形態では、物体80からの光を点線で示す面100に集束するように単レンズ98を使用することが好ましい。光をイメージセンサ46の表面の所望の部分に誘導するために、面100の表面上に一連の光ファイバ102が並んでいる。ファイバ102は光を希望通りに向かわせることができ、したがって希望するどんな配列のセンサ画素とも組合せて使用することができる。
【0147】
イメージセンサ46の構造に戻って、今、図12を参照すると、これはイメージセンサ46の実施形態の感知面上の画素の配置を示す配置図である。図12には、赤r、緑g、青b、および赤外IRの4種類の画素を含む配列が示されている。画素は等間隔に配置され、白色光と共に使用するとカラー画像、IR源と共に使用するとIR画像を捕獲することができる。
【0148】
多くの場合、重要な医学的情報はIR波長に含まれる。IR画像の捕獲を可能にするために、センサは、上述の通り、かつ、とりわけ画素IRフィルタ、すなわちIR波長で通過する帯域を持つカラーフィルタを使用して設計することが好ましい。センサは可視光源および赤外光源のいずれか一方または両方に関連して内視鏡内に配置される。2つの光源のうち適切な1つを使用して、希望通りカラーフレームまたはIRフレームのいずれかを捕獲することができる。1つの好適な実施形態では、カラーおよびIR光源を一緒に動作させて、各画素にそれ用に設計された周波帯をピックアップさせることによって、IRおよびカラーフレームが同時に得られる。別の好適な実施形態では、カラーおよびIR光源を別個に動作させる。一般的に1つのIRフレームが作成され、幾つかのカラーフレームの全てのために送信される。
【0149】
今、図13を参照すると、これは内視鏡をいかにして立体モードで使用できるかを示す簡易光線図である。立体モードは3Dイメージの生成を可能にする。前の図と同様に、光線図は単点から発出する光線を示しており、いかに全画像に補外するかを当業者は理解されるであろう。
【0150】
図13では、内視鏡は、内視鏡の正面開口の両側に配置された、それぞれ左光源110および右光源112である2つの別個の白色光源110および112を備えている。2つの白色光源は、順番に連続して短く瞬間的に点灯して物体114を照明するように制御される。物体114によって反射した光は内視鏡に戻り、そこでそれは正面開口に配置されたレンズ115に衝突し、それはセンサ46の面上に焦点を結ぶ。センサは照明レベルを検出し、それは左右の光ビーム間で異なる。以下でさらに詳述する通り、照明レベルの比を使用して物体の位置を計算し、それによって3D距離データベースを形成することができる。
【0151】
上述の通り、立体モードでは左右光源を順次使用する。左右の照明像間の比較により3Dデータベースを構築することができ、シーンの立体表示が可能になる。本実施形態では、像間の比較は測光測定値に基づく。図13では、物体114の像116は、センサ46の検出面上の一連の活性化されたx,y位置を含むとみなすことができる。センサ46上に像116を形成するx,y位置の各々について、右照明像(RII)および左照明像(LII)間の比を識別することができる。検出される比は、それぞれの場合におけるそれぞれの光源の物体114までの距離の関数であるので、像全体で異なるかもしれない。左光源110および右光源112は、dを矢印117の長さとして、それらの間にdの2倍の距離を持ち、レンズは1/fの焦点距離を持つ。ここでfは矢印118の長さである。レンズ115から物体114の面までの距離はZで表わされ、矢印120によって示される。
【0152】
したがって左ビーム長(LBL)は次式:
【数4】

によって表わすことができ、右ビーム長(RBL)は次式:
【数5】

によって与えられる。式中、
X=xZf
である。
【0153】
したがって、距離LBL/RBLの逆二乗でる左右光源間の光の強度の比は、次のように表わすことができる。
左対右比=(LBL/RBL)(−2)
【0154】
上述したように得られる像116は、今、3Dモデルによって格納することができる。3Dモデルは、そこから2つの立体画像を構築することによって3D画像として表示されることが好ましい。変換は次のような変換式を使用して実行することができる。
yl=yr=−Y/(Zf)
xl=(−X−D/2)/(Zf)
xr=(−X+D/2)/(Zf)
【0155】
図13はこうして、物体の像を3Dデータベースとして格納することができるかを示す。物体の3Dデータは上述のように得られ、データベースとして格納される。
【0156】
今、図14を参照すると、これは、図13の3Dモデルまたはデータベースをいかに使用して観察者の目で3D効果を得ることができるかを光線によって示す、さらなる簡易光線図である。標準2Dディスプレイ(モニタ)を使用して3D情報を表示するために、データベースは2つの別個の立体画像に変換され、表示装置を使用して異なる目に各々1つの立体画像を表示する。例えば、装置はそれぞれの目に制御可能なシャッタを有する1対の眼鏡とすることができる。
【0157】
図14で、X、Y、114およびZ120は、前の図で格納された画像116に対応する画像119で使用される3次元を表わし、物体は、観察者の2つの目の各々に画像の異なる投影を示すことによって、画像の3次元性を再現する。
【0158】
線122は、左画像における投影位置を表わす。
【0159】
線124は、右画像に現れる同じ投影位置を表わす。
【0160】
1/f118は焦点距離(増幅率)である。
【0161】
D126はレンズ128(目を表わす)間の距離である。
【0162】
内視鏡を使用して3Dモデルを生成するための好適な実施形態は、白色光源の代わりに異なる色の左右光源を使用する。したがって、両側から物体を順次照明する代わりに、両光源を使用して画像を同時に照明し、適切なフィルタを使用して左右輝度情報を分割することができる。例えば、左照明源110は緑色とすることができ、右照明源112は赤+青の組合せとすることができる。そのような2色の実施形態は、制御が簡単であり、2つの別個の画像の捕獲間の時間遅れによる画像ゆがみの問題が回避されるので、有利である。
【0163】
1つの代替実施形態では、光源110、112の1つが可視光源であり、第2光源がIR光源である。IR光源の場合、センサにおけるカラーフィルタはIR通過フィルタを含むことが好ましい。上述の通りIR、赤、緑、および青の検出器の配列を持つ図12のセンサを使用することができる。
【0164】
今、図15Aおよび15Bを参照すると、これらは後述する通り二重センサ立体画像化を得るための本発明の好適な実施形態に係る内視鏡を示す簡易略図である。図15Aは側面図であり、図15Bは正面図である。
【0165】
図15Aの実施形態では、2つのイメージセンサ140および142が内視鏡144の中心軸の面に沿って前後に配置される。各イメージセンサ140および142は、レンズ150および152ならびに鏡154および156を含むそれぞれの光学組立体に関連付けられる。それぞれの光源146、148は、上述の通り観察視野全体を照明し、光はレンズによって集められ、鏡によってセンサに向けられる。センサは単一PCB158に装着することが好ましい。
【0166】
図15Bは、図15Aの内視鏡の正面からの図である。第3光学光源158が示されていることに気付かれるであろう。画像の立体的態様は、異なる光源および異なる物体光路を使用した前の実施形態とは異なり、2つの画像光路の使用から得られるので、今は所望の色(またはIR)情報を生成するために希望する数の光源を自由に使用することができる。
【0167】
内視鏡144の中心軸に沿ったセンサ140および142の背中合わせの配設は、内視鏡の寸法を長さ方向および半径方向の両方で最小化することを確実にする。
【0168】
今、図16を参照すると、これは二重センサ立体画像化を得るための内視鏡の代替実施形態である。内視鏡160は、内視鏡の1つの長手方向壁に沿って、再び上述の通り壁に平行に、かつ少なくともそれに直交せずに、頭と尾が向かい合った構成に配設された2つのイメージセンサ162および164を備えている。照明源166および168は、内視鏡の正面端170に配置され、かつその周囲に配置される。2つのレンズ172および174は観察視野から受け取った光をそれぞれの鏡176および178へ反射し、各々の鏡は光をセンサの1つに偏向させるように配設されている。したがって各イメージセンサ162および164は観察視野のわずかに異なる画像を提供する。
【0169】
上記の構成では2つのフルサイズイメージセンサを使用することができるので、二重センサ構成は全体的画像解像度を低下しないことを強調しておく。
【0170】
上述した二重センサ立体画像化を得るための内視鏡の2つのバージョンは、カラーフィルタ付きまたは無しのどちらのイメージセンサも使用することができる。しかし、上記の実施形態のどちらでもセンサの一方または両方に、図12のセンサを使用することができる。
【0171】
さらなる好適な実施形態は、2つのイメージセンサの1つにモノクロームセンサを、第2のイメージセンサにカラーセンサを使用する。ユニットにおける1つのモノクロームセンサと1つのカラーフィルタセンサのそのような組合せは、画像全体の解像度ならびに内視鏡の感度およびダイナミックレンジを改善する。
【0172】
上記実施形態は、図1に示した一般的内視鏡レイアウトに従って説明した。以下では、代替的内視鏡システム構成を説明する。
【0173】
今、図17を参照すると、これはネットワークポータブル内視鏡および関連ハードウェアの簡易ブロック図である。上に示したものと同一の部品には同一参照番号を付与し、本実施形態の理解に必要なものを除き、再度は言及しない。内視鏡10は中央制御装置180に接続され、そこで専用画像処理が行われる。制御装置180は、内視鏡によって発せられた信号からフルモーションビデオを生成することができる。制御装置は局所表示装置182に接続される。追加的または代替的に、遠隔制御および表示リンク183を使用して、内視鏡の遠隔モニタリングおよび制御が可能である。内視鏡10はポータブル装置であることが好ましく、バッテリパック184から電源を供給することができる。
【0174】
今、図18を参照すると、これは最小限の侵襲性手術(MIS)を実行するように適応した内視鏡の簡易ブロック図である。上に示したものと同一の部品には同一参照番号を付与し、本実施形態の理解に必要なものを除き、再度は言及しない。内視鏡システムの最も一般的な用途は、手術室における外科医によるMIS処置の実行である。上記実施形態に係る縮小サイズの内視鏡は、極小寸法の手術器具が重要な新しい処置の実行を可能にする。図18で、内視鏡10はラック190に接続される。ラックは、例えば中央制御装置180、高品質モニタ182、吸入器186等、手術室で内視鏡の使用の過程で必要になるかもしれない全範囲の器具用の設備を含む。
【0175】
図18の構成は、制御装置180を備えた専用画像処理のおかげで、光ファイバおよびカメラヘッドケーブルを必要とせずに、フルモーションビデオを提供する。
【0176】
今、図19を参照すると、これは研究用の内視鏡の増強バージョンを示す簡易ブロック図である。上に示したものと同一の部品には同一参照番号を付与し、本実施形態の理解に必要なものを除き、再度は言及しない。システムは、通信リンク20を介して高度集積PCを利用した中央制御ユニット200に接続されたミニアチュア内視鏡前端10を備えている。
【0177】
中央制御ユニットは専用画像処理を使用し、したがって、局所的に表示装置182に、または制御および表示リンク183を介して遠隔的に表示可能なフルモーションビデオが可能である。任意選択的プリンタ202は、内視鏡を介して取られる画像をはじめ、病理または処置の段階の文書および画像を印刷するために設けられる。システムは、内視鏡によって生成される映像を記録するためのVCR204、および画像全体のアーカイビングを可能にするデジタル格納装置206を含むことが好ましい。上述の通り、システムは、授業のため、あるいは医療ヘルプおよびガイダンスを使用するために、遠隔制御および表示リンク183を介して遠隔地に接続することもできる。病院や手術室では、通常の手術手順に加えて研究が実施されている。研究処置は一般的に追加的な文書化および通信機能を必要とする。これらの要求をサポートするために、高度制御装置200によって、高い文書化および通信能力を持つPCを利用したシステムが得られる。外部装置に加えて、画像強調ソフトウェアパッケージを使用して、画像の高品質ハードコピーの生成が可能になる。
【0178】
今、図20を参照すると、これは立体(3D)画像を得るための内視鏡の構成を示す簡易ブロック図である。上に示したものと同一の部品には同一参照番号を付与し、本実施形態の理解に必要なものを除き、再度は言及しない。ミニアチュア内視鏡10は、前と同様、通信リンク20を介して3D中央処理装置210に接続される。これは、内視鏡によって提供される画像情報から3Dモデルを構築する追加能力を持つことを除いては、前の制御装置200と同じである。次いで3Dモデルを投影して、3D立体表示システム212上に3D画像を形成することができる。図20の構成は、上で言及した実施形態のいずれかから取った機能と組み合わせることができる。
【0179】
最近、立体(3D)表示を必要とする新しい手術処置が開発された。特に、そのような用途は最小限の侵襲性心臓および脳処置に関係する。多重光源に基づく画像化および二重光路画像化に分類することのできる上述の3D画像化の実施形態は、シーンの3Dモデルを構築し、そこから立体画像を生成するために必要な情報を与えることができる。
【0180】
今、図21を参照すると、これは血管内処置用の内視鏡システムの変形を示す簡易ブロック図である。上に示したものと同一の部品には同一参照番号を付与し、本実施形態の理解に必要なものを除き、再度は言及しない。システムは長く、可撓性であり、薄く、かつ好ましくは使い捨てのカテーテル220、バルーン/ステント222、内視鏡イメージングヘッド224、X線管226、X線イメージングシステム228、映像表示システム230、および注入ユニット232を含む。
【0181】
血管内処置は医療分野で広く使用されている。様々な血管内処理の中で、心臓カテーテル法は、毎日何千回も行われている非常に一般的な診断試験である。処置中に、カテーテル220が鼠蹊または腕の動脈内に挿入される。カテーテルは逆行しながら心臓および心筋に血液を供給する冠動脈の起点まで送られる。対比物質(「染料」)がカテーテルを通して注入される。X線管および内視鏡を染料と共に使用することにより、心腔および冠動脈の画像を得ることができる。結果として得られる画像は、X線カメラおよび/または上述の通り内視鏡システムを使用して記録することができる。1つまたはそれ以上の冠動脈に閉塞が検出された場合、当業者には知られている通り、バルーンを挿入してそれを膨らませる(PTCA)かステントを挿入するなどの技術を使用して、閉塞を除去し、動脈を再開通することができる。
【0182】
血管内操作では一般的に、血液の存在下で血管内画像を収集するために2、3の方法を使用することができる。1つの方法は、特定の近IR波長が血液中の観察を可能にするという事実に基づく。したがって、該方法は、上述の通りIR照明源およびIRフィルタ付きセンサの使用を含む。別の方法は、画像化の前に血液を薄めるために、血管内への透明な生理学的溶液の制御された注入を使用する。さらに別の方法は、血液を血管の壁に「押しつけ」、こうして血液を含まない頃を拡大することによって視認性を改善するために、円錐ドーム、バルーン、または他の剛性または可撓性かつ膨張可能な透明な構造物を使用する。視認性を改善する別の方法は、画像の収集が行なわれた後に事後処理アルゴリズムを使用することによる。事後処理アルゴリズムは、受け取った画像からのパラメータの抽出、および逆算におけるこれらのパラメータの使用に基づいて画像を改善する。
【0183】
こうして、2Dおよび3D画像を提供することができ、かつある範囲の最小限の侵襲性外科処置に使用することのできる、縮小寸法の内視鏡が提供される。
【0184】
分かりやすくするために別個の実施形態の文脈で説明した本発明の特定の特徴は、単一の実施形態に組み合わせて設けることもできることを理解されたい。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で説明した本発明の様々な特徴を、別々に、または適切な部分組合せとして設けることもできる。
【0185】
本発明が、特に図示しかつ上で説明したものに限定されないことを当業者は理解されるであろう。むしろ、本発明の範囲は、請求の範囲の記載によって定義され、上述した様々な特徴の組合せおよび部分組合せの両方のみならず、上記の説明を読んで当業者が思いつくその変形および変化をも含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス画像形成装置を含む、医療用画像形成のためのシステムであって、前記画像形成装置が以下のものを含むことを特徴とするシステム:
複数の光源、及びワイヤレス通信リンクを通してデータを送信するためのトランスミッタ;
前記トランスミッタから受信したデータを処理して、参照画像に基づいて及び前記トランスミッタから受信した入力画像に基づいて、各光源の強度を計算するための処理装置;及び
各光源の計算された強度に基づいて前記複数の光源の各光源をワイヤレス制御するための制御ユニット。
【請求項2】
制御ユニットが各光源の強度を制御することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
制御ユニットが各光源の光パルス幅を制御することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
モニタを含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
制御ユニットが外部ユニットであることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
制御ユニットがデータを後処理して画像の自然な外観を再構築し、それにより輝度の不均一性を補償することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2011−120916(P2011−120916A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278712(P2010−278712)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【分割の表示】特願2001−573976(P2001−573976)の分割
【原出願日】平成13年4月4日(2001.4.4)
【出願人】(504051803)シー2キュア インコーポレイテッド (5)
【出願人】(509280408)ギヴン イメージング リミテッド (1)
【Fターム(参考)】