説明

医薬化合物

【化46】


式(I)
(Aはチオフェンもしくはフラン環を表し;nは0、1または2であり;Rは式(式中、mは0または1であり;R30はHまたはC−Cアルキルであり;RおよびRは、結合されているN原子と一緒になって、N、S、およびOから選択される0または1個の更なるヘテロ原子を含み、ベンゼン環に縮合され得、ならびに非置換もしくは置換される5もしくは6員の飽和N含有複素環基を形成するか;もしくはR4およびR5の一方はアルキルであり、他方は上記に定義した5もしくは6員の飽和N含有複素環基または上記に定義した5もしくは6員の飽和N含有複素環基により置換されるアルキル基である)の基であり;Rは1、2、3もしくは4個の環窒素原子と、O、N、およびSから選択される0、1もしくは2個の更なるヘテロ原子を含有し、単環もしくは双環であり、ならびに非置換もしくは置換されるヘテロアリール基であり;ならびにR3は(a)式(式中、Bは非置換もしくは置換されるフェニル環であり、Zは、H、−OR、−SR、CH2OR、−COR、CFOH、CH(CF)OH、C(CFOH、−(CHOR、−(CHNR、−C(O)N(R)、−NR、−NRC(O)R、−S(O)N(R)、−OC(O)R、OC(O)N(R)、−NRS(O)R、−RC(O)N(R)、CN、ハロゲンおよび−NO(各RはH、C−Cアルキル、C−C10シクロアルキル、および5−から12員のアリールもしくはヘテロアリール基から独立に選択され、基は非置換もしくは置換され、mは1または2であり、qは0、1または2である)から選択される)の基;(b)1、2、3もしくは4個の環窒素原子と、O、およびSから選択される0、1もしくは2個の更なるヘテロ原子を含有し、単環もしくは双環であり、ならびに非置換もしくは置換されるヘテロアリール基;および(c)非置換もしくは置換され、上記に定義したようなヘテロアリール基に縮合しているベンゼン環を含む基から選択される)の縮合ピリミジン;およびこれらの医薬的に許容可能な塩は、PBKの阻害剤として活性を有し、したがってPI3キナーゼに関連する異常な細胞成長、機能もしくは挙動から生じる疾患および障害、例えば癌、免疫障害、心臓血管疾患、ウイルス感染、炎症、代謝/内分泌障害、および神経障害を処置するのに使用され得る。この化合物を合成するための方法も述べられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピリミジン誘導体およびホスファチジリノシトール3−キナーゼ(PI3K)の阻害剤としてのこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ホスファチジリノシトール(本明細書では以下「PI」と省略する)は細胞膜中に見出される多数のリン脂質の一つである。近年、細胞内シグナル伝達においてPIが重要な役割を果たすということが明らかになった。1980年代後半において、PI3キナーゼ(PI3K)は、ホスファチジリノシトールのイノシトール環の3位をリン酸化する酵素であるということが見出された(D.Whitman et al,1988,Nature,332,664)。
【0003】
PI3Kは、最初は単一の酵素であると考えられたが、今では複数のサブタイプがPI3Kに存在するということが明らかにされた。各サブタイプは、活性を調節するのにそれ自体の機構を有する。これらのインビトロの基質特異性に基づいて3つの主要なPI3Kの類が同定されている(B.Vanhaesebroeck,1997,Trend in Biol.Sci,22,267)。類IPI3Kに対する基質は、PI、PI4−ホスフェート(PI4P)およびPI4,5−ビホスフェート(PI(4,5)P2)である。類IPI3Kは、それらの活性化機構に関して類Iaおよび類Ibの2つの群に更に分類される。類IaPI3Kは、チロシンキナーゼ共役受容体からのシグナルを伝達する、PI3Kp110α、p110β、およびp110δサブタイプを含む。類IbPI3Kは、Gタンパク質共役受容体により活性化される、p110γサブタイプを含む。PIおよびPI(4)Pは、類IIPI3Kに対する基質として公知である。類IIPI3Kは、C末端においてC2ドメインを含有することが特徴づけられる、PI3K C2α、C2β、およびC2γサブタイプを含む。類IIIPI3Kに対する基質はPIのみである。
【0004】
PI3Kサブタイプ中で、類Iaサブタイプが今まで最も広範に研究されてきた。類Iaの3つのサブタイプは、触媒110kDaサブユニットのヘテロダイマーと、85kDaまたは55kDaの調節サブユニットである。この調節サブユニットはSH2ドメインを含み、チロシンキナーゼ活性または癌遺伝子産物を含む成長因子受容体によりリン酸化されるチロシン残基に結合し、それによりその脂質基質をリン酸化するp110触媒サブユニットのPI3K活性を誘起する。このようにして、類Iaサブタイプは、細胞増殖および発癌性と関連すると考えられる。
【0005】
WO01/083456は、PI3Kの阻害剤として活性を有し、癌細胞成長を抑制する一連の縮合ヘテロアリール誘導体を記載している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
今日では新規な縮合ピリミジン化合物類が薬剤様の物理化学的および薬物動態的特性を持つPI3Kの有効な阻害剤であるということが見出された。この化合物は、類Ibよりも類IaPI3Kに対する選択性を呈する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明は、式(I)
【化11】

(式中、
Aはチオフェンもしくはフラン環を表し;
nは0、1または2であり;
は式
【化12】

(式中、
mは0または1であり;
30はHまたはC−Cアルキルであり;
およびRは、結合されているN原子と一緒になって、N、S、およびOから選択される0または1個の更なるヘテロ原子を含み、ベンゼン環に縮合されてよく、ならびに非置換もしくは置換された5もしくは6員の飽和N含有複素環基を形成するか;もしくは
およびRの一方はアルキルであり、他方は上記に定義したような5もしくは6員の飽和N含有複素環基または上記に定義したような5もしくは6員の飽和N含有複素環基により置換されるアルキル基である)
の基であり;
は1、2、3もしくは4個の環窒素原子と、O、N、およびSから選択される0、1もしくは2個の更なるヘテロ原子を含有し、単環もしくは双環であり、ならびに非置換もしくは置換されるヘテロアリール基であり;ならびに
は(a)以下の式
【化13】

(式中、Bは非置換もしくは置換されるフェニル環であり、Zは、H、−OR、−SR、CHOR、−COR、CFOH、CH(CF)OH、C(CFOH、−(CHOR、−(CHNR、−C(O)N(R)、−NR、−NRC(O)R、−S(O)N(R)、−OC(O)R、OC(O)N(R)、−NRS(O)R、−RC(O)N(R)、CN、および−NO(各RはH、C−Cアルキル、C−C10シクロアルキル、および5−から12員のアリールもしくはヘテロアリール基から独立に選択され、基は非置換もしくは置換され、mは1または2であり、qは0、1または2である)から選択される)
の基;
(b)1、2、3もしくは4個の環窒素原子と、O、およびSから選択される0、1もしくは2個の更なるヘテロ原子を含有し、単環もしくは双環であり、ならびに非置換もしくは置換されるヘテロアリール基;および
(c)非置換もしくは置換され、上記に定義したようなヘテロアリール基に縮合しているベンゼン環を含む基
から選択される)
の縮合ピリミジンである化合物;またはこれらの医薬的に許容可能な塩を提供する。
【0008】
本発明は、PI3キナーゼの阻害剤として使用するための式(I’)
【化14】

(式中、
Aはチオフェンもしくはフラン環を表し;
nは0、1または2であり;
は式
【化15】

(式中、
mは0または1であり;
30はHまたはC−Cアルキルであり;
およびRは、結合するN原子と一緒になって、N、S、およびOから選択される0または1個の更なるヘテロ原子を含み、ベンゼン環に縮合されてよく、ならびに非置換もしくは置換された5もしくは6員の飽和N含有複素環基を形成するか;もしくはRおよびRの一方はアルキルであり、他方は上記に定義した5もしくは6員の飽和N含有複素環基または上記に定義した5もしくは6員の飽和N含有複素環基により置換されるアルキル基である)
の基であり;
は1、2、3もしくは4個の環窒素原子と、O、N、およびSから選択される0、1もしくは2個の更なるヘテロ原子を含有し、単環もしくは双環であり、ならびに非置換もしくは置換されるヘテロアリール基であり;ならびに
は(a)以下の式
【化16】

(式中、Bは非置換もしくは置換されるフェニル環であり、Zは、H、−OR、−SR、CHOR、−COR、CFOH、CH(CF)OH、C(CFOH、−(CHOR、−(CHNR、−C(O)N(R)、−NR、−NRC(O)R、−S(O)N(R)、−OC(O)R、OC(O)N(R)、−NRS(O)R、−RC(O)N(R)、CN、ハロゲン、および−NO(各RはH、C−Cアルキル、C−C10シクロアルキル、および5−から12員のアリールもしくはヘテロアリール基から独立に選択され、基は非置換もしくは置換でされ、mは1または2であり、qは0、1または2である)から選択される)
の基;
(b)1、2、3もしくは4個の環窒素原子と、O、およびSから選択される0、1もしくは2個の更なるヘテロ原子を含有し、単環もしくは双環であり、ならびに非置換もしくは置換されるヘテロアリール基;および
(c)非置換もしくは置換され、上記に定義したようなヘテロアリール基に縮合しているベンゼン環を含む基
から選択される)
の縮合ピリミジンである化合物;またはこれらの医薬的に許容可能な塩を更に提供する。
【0009】
本発明は、また、
異常な細胞成長、機能もしくは挙動から生じる疾患または障害の処置で使用するための、上記に定義した式(I’)の縮合ピリミジン、またはこれらの医薬的に許容可能な塩である化合物;
上記で定義した式(I’)の縮合ピリミジン、またはこれらの医薬的に許容可能な塩である化合物をこれらを必要とする患者に投与することを含む、異常な細胞成長、機能または挙動から生じる疾患または障害を処置する方法;
異常な細胞成長、機能または挙動から生じる疾患または障害を処置するための薬剤の製造における、上記で定義した式(I’)の縮合ピリミジン、またはこれらの医薬的に許容可能な塩である化合物の使用
も提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
式(I)中のチオフェンもしくはフラン環Aは、2個の利用可能な位置化学的配向のいずれかをとる。したがって、式(I)は、位置異性体、すなわちチエノピリミジン(X=イオウ)またはフロピリミジン(X=酸素)環系中の原子Xの配置で異なる化合物を網羅する。式(I)により包含される環系の4個の可能な位置異性体の形態は、
【化17】

チエノ[3,2−d]ピリミジン
【化18】

チエノ[2,3−d]ピリミジン
【化19】

フロ[3,2−d]ピリミジン
【化20】

フロ[2,3−d]ピリミジン
である。
【0011】
したがって、本発明は、式(Ia)もしくは(Ib)
【化21】

(式中、RからRの各々およびnは上記に定義した通りであり、XはSまたはOである)
の縮合ピリミジンである化合物を更に提供する。
【0012】
本発明の化合物においては、パラメーターnは通常0であり、その場合にはフランもしくはチオフェン環は非置換される。パラメーターnが1または2である場合には、nが2である場合所与の化合物中で同一であるか、もしくは異なる基Rは、チオフェンもしくはフラン環上の2個の利用可能な環位置のいずれか、もしくは両方に結合してよい。したがって、上記の構造(Ia)および(Ib)をnが1である場合の例として参照すると、フランもしくはチオフェン環は、2位または3位においてRにより一置換される。nが2である場合には、チオフェンもしくはフラン環は、2位および3位においてRにより二置換される。
【0013】
本明細書で特定する場合、アルキル基は、非置換もしくは置換される、直鎖もしくは分岐鎖の飽和炭化水素ラジカルである。通常、これは、C−C20アルキル、例えばC−C10アルキル、例えばC−Cアルキルである。C−Cアルキルは、通常C−Cアルキルである。これは、例えば、メチル(Me、−CH)、エチル(Et、−CHCH)、1−プロピル(n−Pr、n−プロピル、−CHCHCH)、2−プロピル(i−Pr、i−プロピル、−CH(CH)、1−ブチル(n−Bu、n−ブチル、−CHCHCHCH)、2−メチル−1−プロピル(i−Bu、i−ブチル、−CHCH(CH)、2−ブチル(s−Bu、s−ブチル、−CH(CH)CHCH)、2−メチル−2−プロピル(t−Bu、t−ブチル、−C(CH)、1−ペンチル(n−ペンチル、−CHCHCHCHCH)、2−ペンチル(−CH(CH)CHCHCH)、3−ペンチル(−CH(CHCH)、2−メチル−2−ブチル(−C(CHCHCH)、3−メチル−2−ブチル(−CH(CH)CH(CH)、3−メチル−1−ブチル(−CHCHCH(CH)、2−メチル−1−ブチル(−CHCH(CH)CHCH)、1−ヘキシル(−CHCHCHCHCHCH)、2−ヘキシル(−CH(CH)CHCHCHCH)、3−ヘキシル(−CH(CHCH)(CHCHCH))、2−メチル−2−ペンチル(−C(CHCHCHCH)、3−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CH(CH)CHCH)、4−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CHCH(CH)、3−メチル−3−ペンチル(−C(CH)(CHCH)、2−メチル−3−ペンチル(−CH(CHCH)CH(CH)、2,3−ジメチル−2−ブチル(−C(CHCH(CH)、または3,3−ジメチル−2−ブチル(−CH(CH)C(CH)であってもよい。
【0014】
アルキル基が置換される場合、通常、ハロゲン、アルコキシ、炭素環、上記に定義した5もしくは6員の飽和N含有複素環基、OH、SR、CN、ニトロ、NR、−COOR、−C(O)R、S(O)R、および−CONR(各Rは、H、非置換アルキルまたはC−C10シクロアルキルであり、mは1または2である)から選択される、1個以上の置換基R20を担持する。これは、例えば、ハロアルキル基または基−alk−N(R)(R)(alkはアルキレン鎖であり、RおよびRは、結合されるN原子と一緒になって、N、S、およびOから選択される0もしくは1個の更なるヘテロ原子を含み、ベンゼン環に縮合してよく、ならびに非置換もしくは置換される、5もしくは6員の飽和N含有複素環基を形成する)である。
【0015】
通常、R20は、ハロゲン、アルコキシ、炭素環、上記に定義したような5もしくは6員の飽和N含有複素環基、OH、CN、NR、−COOR、および−CONR(各RはHまたは上記に定義した非置換アルキルである)から選択される。これは、例えば、ハロアルキル基または基−alk−N(R)(R)(alkはアルキレン鎖であり、RおよびRは、結合するN原子と一緒になって、上記に定義した5もしくは6員の飽和N含有複素環基を形成する)である。
【0016】
アルキレン基は、非置換もしくは置換された、直鎖もしくは分岐鎖飽和二価炭化水素基である。通常、C−Cアルキレン、例えばC−Cアルキレンである。好ましくは、C−Cアルキレン、例えばC−Cアルキレン、例えばメチレン、エチレン、i−プロピレン、n−プロピレン、t−ブチレン、s−ブチレンまたはn−ブチレンである。ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、およびこれらの種々の分岐鎖異性体でもあってもよい。アルキレン基を置換する場合には、通常、上記に定義した基R20により置換される。
【0017】
アルケニル基は、1個以上の二重結合を有する非置換もしくは置換された、直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素ラジカルである。それは、通常、C−Cアルケニル、例えばC−Cアルケニル、例えばアリル、ブテニル、ブタジエニル、ペンテニルまたはヘキセニルである。アルケニル基を置換する場合には、通常、上記に定義した基R20により、もしくは非置換のもしくは上記に定義した基R20により置換されたアルキルにより置換される。
【0018】
アルキニル基は、1個以上の三重結合を有する、非置換もしくは置換された、直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素基である。通常、C−Cアルキニル、例えばC−Cアルキニル、例えばエチニル、プロピニルまたはブチニルである。アルキニル基を置換する場合には、通常、上記に定義した基R20により、もしくは非置換のもしくは上記に定義した基R20により置換されたアルキルにより置換される。
【0019】
ハロアルキル基は、1個以上のハロゲン原子により置換された、上記に定義したような、アルキル基である。これは、ペルハロアルキル基、例えばトリフルオロメチルまたはペルフルオロヘキシルであることができる。
【0020】
ハロゲンは塩素、フッ素、臭素またはヨウ素である。通常、臭素またはヨウ素である。
【0021】
アルコキシ基は、通常、C−Cアルコキシ、例えばC−Cアルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、n−プロポキシ、t−ブトキシ、n−ブトキシまたはs−ブトキシである。非置換されるか、もしくは、例えば上記に定義した基R20により、もしくは非置換の、もしくは上記に定義した基R20により置換されるアルキルにより、もしくは非置換のもしくは上記に定義した、基R20により置換されるアルキルにより置換される。通常、炭素環、モルホリノ、OH、CN、NR、−COORまたは−CONR(各RはHまたは上記に定義した非置換アルキルである)により置換される。
【0022】
炭素環基は、通常3から10個の炭素原子、例えば5〜7個の炭素原子を有する、非芳香族の飽和もしくは不飽和単環炭化水素環である。したがって、5、6もしくは7員の炭素環基であってもよい。C−Cシクロアルキル基、またはC−C10シクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルであってもよい。あるいは、シクロアルケニル基、通常C−Cシクロアルケニル、例えばシクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプテニル、シクロヘプタジエニル、シクロオクテニルまたはシクロオクタジエニルであってもよい。炭素環基は、非置換されるか、もしくは例えば上記に定義した基R20により、もしくは非置換されるかもしくは上記に定義した基R20により置換されるアルキルにより置換されてもよい。通常、アルコキシ、モルホリノ、OH、CN、NR、−COOR、および−CONR(各RはHまたは上記に定義した非置換アルキルである)により置換される。
【0023】
5、6もしくは7員の飽和複素環基は、N、S、およびOから選択される0もしくは1個の更なるヘテロ原子を含み、ベンゼン環に縮合してよく、ならびに非置換もしくは置換される、5もしくは6員の飽和N含有複素環基であってもよい。通常、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、チオモルホリン、キノリン、イソキノリン、ジアゼパン、オキサゼパン、およびチアゼパンから選択される。
【0024】
上記に定義した5もしくは6員の飽和N含有複素環基が置換される場合には、1個以上の置換基、例えば1、2もしくは3の置換基により、通常1もしくは2個の置換基により通常置換される。通常、この置換基は、非置換もしくは置換されるアルキル、非置換もしくは置換されるアルコキシ、−NR、−N(R’’’)−alk−OR、−alk−OR、−O−alk−OR、−alk−C(O)NR、−C(O)NR、−alk−Het、−N(R)−Het、−O−Het、−N(R)−C(O)−alk−OR、−C(O)−N(R)−alk−OR、−alk−S(O)R、−N(R)−alk−OR、−alk−NR’R”、−N(R’’’)−S(O)R、S(O)R’’’、−alk−N(R)−alk−OR、−S(O)−alk−OR、上記に定義した第2の5もしくは6員の飽和N含有複素環基、非置換もしくは置換され、ベンゼン環に縮合してよい5もしくは6員のN含有ヘテロアリール基、−COOR、−CONR、オキソ(=O)、−SONR、−SO−alk−NR、および−CO−alk−OR(alkは上記に定義したアルキレン鎖であり;Hetは非置換もしくは置換される、上記に定義した5もしくは6員のN含有ヘテロアリール基であり;RはHまたはアルキルであるかもしくは、2個の基RはNに結合する場合には、N原子と一緒になって、非置換もしくは置換される、本明細書に定義した飽和の5もしくは6員のN含有複素環基を形成してよく;R’およびR”の各々は独立にH、アルキルまたはアルコキシであり;ならびにR’’’は非置換の、もしくは、例えばCF、NR、OR、本明細書に定義した5もしくは6員の飽和N含有複素環基により、もしくは本明細書に定義した5もしくは6員のN含有ヘテロアリール基により置換されるアルキルであり、前記複素環およびヘテロアリール基は非置換もしくは置換される)から選択される。上記に定義した基R20により、もしくは非置換されるか、もしくは上記に定義した基R20により置換されるアルキルにより置換してもよい。
【0025】
通常、上記に定義した5もしくは6員の飽和N含有複素環基は、非置換もしくは置換されたアルキル、非置換もしくは置換されたアルコキシ、上記に定義した第2の5もしくは6員の飽和N含有複素環基、非置換もしくは置換され、ならびにベンゼン環に縮合してよい5もしくは6員のN含有ヘテロアリール基、−COOR、−CONR、−CONR、オキソ(=O)、OH、−NSOR、−SONRまたは−CO(CHOR(RはHまたはアルキル、−NR’R”(R’およびR”の各々は独立にH、アルキルまたはアルコキシである)、および−SOR’’’(R’’’は非置換もしくは置換されるアルキルである)から選択される基により、例えばNRまたは上記に定義した5もしくは6員の飽和N含有複素環基により置換される。
【0026】
更に通常、5もしくは6員の飽和N含有複素環基は、非置換もしくは置換される(例えば上記に定義したR20により)、上記に定義したアルキル、上記に定義したハロアルキル、非置換もしくは置換された上記に定義したアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、CN、ニトロ、アミノ、オキソ(=O)、および−NR’R”(R’およびR”の各々は独立にHまたはアルキルである)から選択される、1個以上の置換基により置換される。
【0027】
N、S、およびOから選択される1または2個のヘテロ原子を含有し、非置換もしくは置換される5、6もしくは7員の飽和複素環基は、通常、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、テトラヒドロフラン、およびテトラヒドロチオフランから選択される。
【0028】
N、S、およびOから選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有する5、6もしくは7員の飽和複素環基は、置換される場合には、5もしくは6員の飽和N含有複素環基に対して上記に特定されるように置換されてもよい。
【0029】
1、2、3もしくは4環の窒素原子と、O、N、およびSから選択される0、1もしくは2個の更なるヘテロ原子を含有するヘテロアリール基は、単環もしくは双環であり、ならびに非置換もしくは置換される。通常、5−から12員環である。更に、単環であるヘテロアリール基は、通常、5から7員の環、例えば5もしくは6員環である。ヘテロアリール基の例として、ピロール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、インダゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、インドール、イソインドール、1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン、ピリジン−2−オン、ピリジン、ピリジン−3−オル、イミダゾール、1,3−ジヒドロ−ベンズイミダゾロン、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ピラゾロピリジン、アミノピラゾリノン、イミダゾピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、およびイサチン基を含まれる。Rの定義におけるヘテロアリールに対する通常の例として、ピリジン、ピリミジン、イミダゾール、およびピラゾール基が含まれる。Rの定義におけるヘテロアリールに対する通常の例は、インダゾール、インドール、ピラゾール、およびテトラゾール基が含まれる。
【0030】
ヘテロアリール基は、いかなる利用可能な環炭素もしくはヘテロ原子によっても連結されてもよい。このようにして、例えば、ピリミジンは、ピリミジン−1−イル、ピリミジン−2−イル、ピリミジン−3−イルまたはピリミジン−4−イルとして連結されてもよい。ピリジンは、ピリジン−1−イル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イルまたはピリジン−4−イルとして連結されてもよい。ピロールは、ピロール−1−イル、ピロール−2−イルまたはピロール−3−イルとして連結されてもよい。イミダゾールは、イミダゾール−1−イル、イミダゾール−2−イル、イミダゾール−3−イル、イミダゾール−4−イルまたはイミダゾール−5−イルとして連結されてもよい。
【0031】
の定義におけるヘテロアリール基の具体的な例は、
【化22】

(式中、各Wは、独立に−CHまたはNであり;
YはN、OまたはSであり;および
Bは5、6もしくは7員の飽和もしくは不飽和炭素環もしくは複素環である)
の通りである。
【0032】
ヘテロアリール基は、非置換されてもよいか、もしくは例えば上記に定義した基R20により、もしくは非置換されるかもしくは上記に定義した基R20により置換されるアルキルにより置換されてもよい。置換基の通常の例は、オキソ(=O)、ハロゲン、−NR、OH、CNおよび−CONRを含む。
【0033】
ベンゼン環に縮合されてよい5もしくは6員のN含有ヘテロアリール基は、通常、ピロール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、インダゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、インドール、イソインドール、1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン、ピリジン−2−オン、ピリジン、ピリジン−3−オル、イミダゾール、1,3−ジヒドロ−ベンズイミダゾロン、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ピラゾロピリジン、アミノピラゾリノン、イミダゾピリジン、ピリミジン、ピリダジン、およびピラジンから選択される。このようなヘテロアリール基は、置換される場合には、上記に定義した基R20により、もしくは非置換されるかもしくは上記に定義した基R20により置換されるアルキルにより置換されてもよい。
【0034】
においては、mは0または1であり、通常1である。R30は通常Hである。RおよびRは、通常、結合するN原子と一緒になって、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、キノリン、イソキノリン、ジアゼパン、オキサゼパンおよびチアゼパンから選択される飽和N含有複素環基を形成する。RおよびRにより形成される複素環基は、非置換されるか、または、例えば上記に列挙した置換基の例、例えば上記に定義した基R20により、もしくは非置換されるかもしくは上記に定義した基R20により置換されるアルキルにより置換される。
【0035】
に対する定義(a)においては、フェニル環Bは非置換(基Zとは別に)であるか、もしくは置換される。非置換される場合には、基Zは単独の置換基である。置換される場合には、これは、基Zに加えて、通常、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、CN、NO、OR’、SR’、NR’、C(O)R’、SOR’、SOR’、SONR’、NC(O)R’、およびCOR’(各R’は独立にHまたはC−Cアルキルである)から選択される、1個以上の置換基を含む。
【0036】
基Zは、フェニル環B上のいかなる利用可能な環位置にも結合する。このようにして、フェニル環の2、3、4、5もしくは6位に位置してもよい。通常、これは3もしくは4位において結合する。Zは、通常H以外であり、部分−BZは置換フェニル環である。Zの通常の例は、上記に定義した基OR、特にOHである。本実施形態においては、OR基、またはOH基は、通常、フェニル環Bの環位置3もしくは4において結合する。通常、−BZは、非置換もしくは置換されるインドールもしくはインダゾール基以外の3−ヒドロキシフェニルもしくは4−ヒドロキシフェニル基、またはこれらの等量式である。
【0037】
等量式は、本明細書で使用される時には、3−ヒドロキシフェニルもしくは4−ヒドロキシフェニル基と式(I)の構造のコンテキスト(context)で同一もしくは類似の結合する性質を有する官能基である。3−ヒドロキシフェニルおよび4−ヒドロキシフェニル基の等量式は、Rに対する上記の定義(b)および(c)内に包含される。
【0038】
に対する定義(b)において、ヘテロアリール基は非置換されるかもしくは置換される。置換される場合には、これは、基Z、上記に定義したR20、非置換されるかもしくは上記に定義したR20により置換されるアルキル、フェニル環B上の更なる置換基として上記に特定した任意の基、およびオキソ基(=O)から選択される、1個以上の置換基により置換されてもよい。通常、置換される場合には、ヘテロアリール基は、OH、NHもしくはオキソ基により置換される。一つの実施形態においては、このヘテロアリール基は非置換される。
【0039】
に対する定義(c)において、ベンゼン環は非置換されるかもしくは置換される。置換される場合には、基Z、上記に定義したR20、非置換されるかもしくは上記に定義したR20により置換されたアルキル、およびフェニル環B上の更なる置換基として上記に特定した基のいずれかから選択される1個以上の置換基により置換されてもよい。ベンゼン環が縮合しているヘテロアリール基は、それ自身非置換されるか、もしくは例えば基Z、非置換されるかもしくはR20または上記に定義した基R20により置換されるアルキルにより;フェニル環B上の更なる置換基に対する選択肢として上記に特定した任意の基により;もしくはオキソ基(=O)により置換される。一つの実施形態においては、ベンゼン環とヘテロアリール基は両方とも非置換である。
【0040】
に対する定義(b)および(c)に含まれる基の例は、インダゾール、インドール、ピロール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、イソインドール、1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン、ピリジン−2−オン、ピリジン、ピリジン−3−オル、イミダゾール、1,3−ジヒドロ−ベンズイミダゾロン、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ピラゾロピリジン、アミノピラゾリノン、イミダゾピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、およびイサチン基を含む。好ましい例は、インダゾール、インドール、ピラゾール、およびテトラゾール基を含む。これらの基は、非置換であるかもしくは例えば基Z、非置換であるかもしくはR20または上記に定義した基R20により置換されるアルキルにより置換されてもよい。通常、これらの基は等量式である。
【0041】
特に、Rに対する定義(b)および(c)に含まれる上記に定義した基は、通常、上記に定義した等量式である、以下の構造
【化23】

【化24】

【化25】

(式中、各R10はH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアシル、−C(O)NR’R”、−S(O)NR’R”、アリール、ヘテロアリール、スルホニル、およびハロゲン(R’およびR”は各々独立にHまたはC−Cアルキルであり、tは1または2である)から独立に選択され;
各R11は−OR10および−N(R10(R10は上記に定義した通りである)から独立に選択され;
各R12は独立にH、F、またはCFであり;
各WはCR10およびN(R10は上記に定義した通りである)から独立に選択され;および
W’はO、S、およびNR12(R12は上記に定義した通りである)から選択される)
を含む。
【0042】
本発明の化合物の具体的な例は、次の表に列挙されるもの、およびこれらの医薬的に許容可能な塩を含む。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【0043】
式(I)の化合物は、置換基の種類に依って幾何異性体または互変異性体の形態で存在してよく、これらの分離された形態または混合物のこれらの異性体は本発明で使用されてもよい。化合物が不斉炭素原子を有する場合には、光学異性体の形態は、このような炭素原子に基づいて存在してよい。これらの光学異性体の混合物および単離された形態のすべては、すべて本発明で使用されてもよい。
【0044】
nが0である本発明の化合物は、パラジウムで仲介されたスズキカップリング反応を最終段階として含む方法により製造されてもよい。したがって、本発明は、式(II)
【化26】

(式中、AおよびRは上記に定義した通りである)の化合物をPd触媒の存在下でボロン酸または式RB(OR15のこれらのエステル(Rは上記に定義した通りであり、各R15はHまたはC−Cアルキルであるか、もしくは2個の基OR15は結合するホウ素原子と一緒になって、ピナコラトボロネートエステル基を形成する)により処理することを含む、nが0である上記に定義した式(I)の縮合ピリミジンを製造するための方法を提供する。
【0045】
上記に定義した式(II)の化合物は、式(III)
【化27】

(式中、Aは上記に定義した通りである)の化合物をPd触媒の存在下でボロン酸または式RB(OR15のこれらのエステル(Rは上記に定義した通りであり、各R15はHまたはC−Cアルキルであるか、もしくは2個の基OR15は結合するホウ素原子と一緒になって、ピナコラトボロネートエステル基を形成する)により処理することを含む方法により製造されてもよい。
【0046】
式(III)の化合物は、XがSである化合物に対して参照例1で述べられている方法により、もしくはこのような方法との類推により製造されてもよい。
【0047】
nが0であり、Rが3−ヒドロキシフェニル基である、本発明の化合物は、式(IV)
【化28】

の化合物(Aは上記に定義した通りであり、R’はHまたはヒドロキシ保護基である)
を、Pd触媒の存在下でボロン酸または式RB(OR15のこれらのエステル(Rは上記に定義した通りであり、各R15はHまたはC−Cアルキルであるか、もしくは2個の基OR15は結合するホウ素原子と一緒になって、ピナコラトボロネートエステル基を形成する)
により処理することを含む方法により製造されてもよい。
【0048】
R’がヒドロキシ保護基である場合には、この方法は、いかなる好適な手段によっても保護基を除去する工程を更に含む。例えば、保護基は、t−ブチルジメチルシリル基である場合には、通常、テトラヒドロフラン中で保護された化合物をTBAFによって処理することにより除去される。
【0049】
XがSである化合物に対して参照例2で述べられている方法により、もしくはこのような方法の類推により、式(IV)の化合物を製造してもよい。
【0050】
式(I)の化合物(nは1または2であり、mは1である)
を製造するための好適な合成戦略は、式(II’)
【化29】

(式中、AおよびRは上記に定義した通りである)の前駆体カルボキサルデヒドを使用する。この前駆体から出発して、この合成は、パラジウムで仲介される(スズキタイプ)交差カップリング反応と還元的アミノ化をいかなる順序であれ行うことを含む。したがって、本発明は、
(a)式(II’)
【化30】

の化合物(AおよびRは上記に定義した通りである)をPd触媒の存在下でボロン酸または式RB(OR15のこれらのエステル(Rは上記に定義した通りであり、各R15はHまたはC−Cアルキルであるか、もしくは2個の基OR15は結合するホウ素原子と一緒になって、ピナコラトボロネートエステル基を形成する)
により処理し;ならびに式(III’)
【化31】

の得られる化合物(A、RおよびRは上記に定義した通りである)を好適な還元剤の存在下で式NHRのアミン(RおよびRは上記に定義した通りである)により処理し;もしくは
(b)上記に定義した式(II’)の化合物を好適な還元剤の存在下で式NHRのアミン(RおよびRは上記に定義した通りである)により処理し;ならびに式(V)
【化32】

の得られる化合物(A、R、RおよびRは上記に定義した通りである)をPd触媒の存在下でボロン酸または式RB(OR15のこれらのエステル(Rは上記に定義した通りであり、各R15はHまたはC−Cアルキルであるか、もしくは2個の基OR15は結合するホウ素原子と一緒になって、ピナコラトボロネートエステル基を形成する)により処理することを含む、mが1である、上記に定義した式(I)の化合物を製造するための方法を更に提供する。
【0051】
上述した方法においては、アミノ化段階とPdで仲介される交差カップリング段階は両方とも慣用の条件下で行われる。このパラジウム触媒は、スズキタイプの交差カップリングに通常使用されるいかなるもの、例えばPdCl(PPhであってもよい。この還元剤は、通常、ボロヒドリド、例えばNaBH(OAc)、NaBHまたはNaCNBH、特にNaBH(OAc)である。
【0052】
本発明は、(a)式(VI)
【化33】

(式中、OR’は結合しているフェニル環の3もしくは4位で結合し、R’はヒドロキシ保護基であり、ならびにAおよびRは上記に定義した通りである)
の化合物を好適な還元剤の存在下で式NHRのアミン(RおよびRは上記に定義した通りである)により処理する工程と、
(b)ヒドロキシ保護基を除去する工程とを含む、nが1または2であり、mは1であり、かつRは3もしくは4−ヒドロキシフェニル基である、式(I)の化合物を製造するための方法を更に提供する。
【0053】
この還元剤は、通常、例えば上記に特定したボロヒドリドである。
【0054】
ヒドロキシ保護基の例は、例えば「Protective Groups for Organic Chemistry」,Third Edition,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,John Wiley & Sons,1999で述べられているように、当分野で公知である。例えば、ヒドロキシ基は、アセタール、置換アセタール、エステル、キサンテート、エーテルまたはシリルエーテルとして保護可能である。このアセタールは、好ましくはテトラヒドロピランである。このシリルエーテルは、好ましくはトリメチルシリルエーテル、t−ブチルジメチルシリルエーテル、トリイソ−プロピルシリルエーテルまたはt−ブチルジフェニル−シリルエーテルである。これらの保護基は従来技術により除去される。
【0055】
上記に定義した式(VI)の化合物は、式(VII)
【化34】

(式中、A、R、およびR’は上記に定義した通りである)
の化合物をリチウム化剤により処理し、続いてN,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)により処理することを含む方法により製造されてもよい。この反応は、通常、非極性有機溶媒、例えば炭化水素溶媒、例えばヘキサン中のリチウム化剤の溶液を有機溶媒、例えばテトラヒドロフラン(THF)中の式(VI)の化合物の懸濁液に添加することにより行われる。THFを使用する場合には、添加は約−78℃の低温で行われる。このリチウム化剤は、通常、アルキルリチウム、例えばn−ブチルリチウムである。
【0056】
上記に定義した式(VII)の化合物は、式(II)
【化35】

(式中、AおよびRは上記に定義した通りである)の化合物を式(VIII)
【化36】

(式中、R’およびR15は上記に定義した通りである)のボロン酸によりパラジウム触媒の存在下で処理する工程を含む方法により製造されてもよい。この反応は、例えば上述したスズキタイプの交差カップリング反応に対する従来の条件下で行われる。
【0057】
nが1または2であり、mが0である上記に定義した式(I)の化合物を、ブッフバルトタイプのパラジウムで仲介される窒素挿入反応により調製してもよい。このような方法は、式(XIV)
【化37】

(式中、A、RおよびRは上記に定義した通りであり、WはBrおよびIから選択されるハロ基である)の化合物をパラジウム触媒の存在下で式NHRのアミン(RおよびRは上記に定義した通りである)
により処理する工程を含んでもよい。
【0058】
式(XIV)の化合物は、式(XV)
【化38】

(式中、A、RおよびRは上記に定義した通りである)
の化合物をリチウム化剤および臭素とヨウ素から選択されるハロゲンにより処理することにより製造されてもよい。このリチウム化剤は、通常、アルキルリチウム、例えばブチルリチウムである。このハロゲンは、通常ヨウ素であり、WがIである式(XIV)の化合物を生じる。
【0059】
nが1または2であり、mが0である、上記に定義した式(I)の化合物は、例えばD.Prim and G.Kirsch in Tetrahedron 55(21),6511-6526,1999で述べられている条件下でSNAr置換反応によっても調製されてもよい。このような方法は、上記に定義した式(XIV)の化合物(WはBrである)をHO中で還流下で12時間式NHRのアミン(RおよびRは上記に定義した通りである)により処理することを含む。
【0060】
別法としては、nが1または2であり、mが0である、上記に定義した式(I)の化合物は、上記に定義した式(XIV)の化合物(WはIである)を1,4−ジオキサン中でCuI/EnおよびKPOの存在下で式NHRのアミン(RおよびRは上記に定義した通りである)により処理することにより調製されてもよい。この反応は約110℃で24時間行われる。この手順はKang S-K et al in Syn lett,(3),427-430,2002によって述べられている。
【0061】
本発明の縮合ピリミジンの医薬的に許容可能な塩は、従来技術を用いて調製されてもよい。通常、この方法は、上記に定義した式(I)のチエノピリミジンを好適な溶媒中で好適な酸により処理することを含む。同様に、塩は、従来の方法より遊離の化合物に転換されてもよい。
【0062】
医薬的に許容可能な塩の例は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、およびリン酸;ならびに有機酸、例えばメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、エタンスルホン酸、アスパラギン酸、およびグルタミン酸との塩を含む。通常、この塩は、メシレート、ヒドロクロリド、ホスフェート、ベンゼンスルホネートまたはサルフェートである。最も典型的には、この塩はメシレートまたはヒドロクロリドである。
【0063】
この塩、例えば上述の無機酸または有機酸のいずれかとの塩は、モノ塩またはビス塩でもよい。このようにして、例えば、メシレート塩は、モノ−メシレートまたはビス−メシレートでもよい。
【0064】
本発明の縮合ピリミジンおよびこれらの塩は、水和物または溶媒和物として存在してもよい。
【0065】
本発明の化合物は、生物学的試験においてPI3キナーゼの阻害剤であることを見出した。この化合物は、通常、類Ibよりも類IaPI3キナーゼに対して選択的である。したがって、本発明の化合物は、PI3キナーゼ、特に類IaPI3キナーゼの阻害剤として使用されてもよい。したがって、本発明の化合物は、異常な細胞成長、機能、もしくは挙動から生じる疾患または障害の処置に使用可能である。このような異常な細胞成長、機能、もしくは挙動は、通常、PI3キナーゼと関連する。このような疾患および障害の例は、Drees et al in Expert Opin.Ther.Patents(2004)14(5):703-732で議論されている。これらは、癌、免疫障害、心臓血管疾患、ウイルス感染、炎症、代謝/内分泌障害、および神経障害を含む。代謝/内分泌障害の例は、糖尿および肥満を含む。
【0066】
処置するために本発明の化合物が使用可能な癌の例として、白血病、脳腫瘍、腎臓癌、胃癌、および皮膚、膀胱、乳房、子宮、肺、結腸、前立腺、卵巣、および膵臓の癌が含まれる。したがって、免疫障害、癌、心臓血管疾患、ウイルス感染、炎症、代謝/内分泌障害または神経障害を患うヒトもしくは動物の患者は、上記に定義した本発明の化合物をこれらに投与することを含む方法により処置されてもよい。患者の病態は、それによって改善もしくは緩和されさてもよい。
【0067】
本発明の方法にしたがって処置可能な疾患および病態は、限定ではないが、癌、卒中、糖尿病、肝腫張、心臓血管疾患、アルツハイマー病、嚢胞性線維症、ウイルス疾患、自己免疫疾患、アテローム性動脈硬化、再狭窄、乾癬、アレルギー障害、炎症、神経障害、ホルモン関連疾患、臓器移植と関連する病態、免疫不全障害、破壊性骨障害、増殖性障害、感染症、細胞死と関連する病態、トロンビン誘起血小板凝集、慢性骨髄性白血病(CmL)、肝疾患、T細胞活性化を伴う病的免疫病態、および患者におけるCNS障害を含む。一つの実施形態においては、ヒトの患者は、上記に定義した本発明の化合物、および医薬的に許容可能なキャリアー、補助剤またはビヒクルにより処置され、この場合、本発明の前記化合物はPI3キナーゼ活性を検出可能な程度で阻害する量で存在する。
【0068】
本発明の方法にしたがって処置可能な癌は、限定ではないが、乳房、卵巣、子宮頚部、前立腺、睾丸、尿生殖路、食道、喉頭、膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、胃、皮膚、ケラトアカントーマ、肺、類表皮癌、大細胞癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞癌、肺腺癌、骨、結腸、腺腫、膵臓、腺癌、甲状腺、濾胞腺癌、未分化癌、乳頭癌、セミノーマ、黒色腫、肉腫、膀胱癌、肝癌および胆道、腎癌、骨髄性障害、リンパ障害、ヘアリー細胞、口腔および咽頭(経口)、唇、舌、口、咽頭、小腸、結腸−直腸、大腸、直腸、脳および中枢神経系、ホジキン病および白血病を含む。
【0069】
本発明の方法にしたがって処置可能な心臓血管疾患は、限定ではないが、再狭窄、心肥大、アテローム性動脈硬化、心筋梗塞、および鬱血性心不全を含む。
【0070】
本発明の方法にしたがって処置可能な神経変性疾患は、限定ではないが、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、および脳虚血、および外傷、グルタミン酸神経毒性、および低酸素症により引き起こされる神経変性疾患を含む。
【0071】
本発明の方法にしたがって処置可能な炎症疾患は、限定ではないが、関節リウマチ、乾癬、接触皮膚炎、および遅延型過敏反応を含む。
【0072】
本発明の化合物は、種々の投与形態で、例えば錠剤、カプセル、糖または被膜で被覆された錠剤、液体溶液または懸濁液の形態など経口的に、もしくは非経口的に、例えば筋肉内、静脈内もしくは皮下に投与可能である。したがって、この化合物は注射または注入により与えてよい。
【0073】
投与量は、患者の年齢、体重、および病態、および投与経路を含む種々の要因に依存する。一日の投与量は広い範囲内で変わることができ、各具体的事例における個人の要求に合わせて調整される。しかしながら、通常、投与の各経路に対して採用される投与量は、化合物を成人に単独で投与する場合には、0.0001から50mg/kg体重であり、最も一般的には0.001から10mg/kgの、例えば0.01から1mg/kgの範囲にある。このような投与量は、例えば毎日1から5回与えられてもよい。静脈内注射に対しては、好適な一日量は、0.0001から1mg/kg体重、好ましくは0.0001から0.1mg/kg体重である。一日量は、単一投与として、もしくは分割された投与スケジュールにしたがって投与可能である。
【0074】
通常、ヒト患者を処置するための投与量は、本発明の化合物の約10mgから約1000mgの範囲にあってもよい。通常の投与量はこの化合物の約100mgから約300mgであってもよい。投与は、特定の化合物の吸収、分布、代謝、および排泄を含む薬力学的および薬物動態学的特性に依って、1日に1回(QID)、1日に2回(BID)もしくは更に頻繁に投与されてもよい。加えて、毒性因子は投与量と投与計画に影響を及ぼしてもよい。経口投与される場合、このピル、カプセルまたは錠剤は、特定の期間毎日もしくは更に低頻度で摂取されてもよい。投与計画は、多数の治療サイクルに対して繰り返されてもよい。
【0075】
化合物は、医薬的もしくは獣医学的に許容可能なキャリアーもしくは希釈剤も含む医薬組成物または獣医学的組成物として使用するのに製剤される。この組成物は、通常、従来の方法にしたがって調製され、医薬的もしくは獣医学的に好適な形態で投与される。この化合物は、例えば次のように任意の従来の形態で投与されてもよい。
A)例えば、経口的な方法。例えば、錠剤、被覆錠剤、糖衣錠、トローチ、ロゼンジ、水性もしくは油性懸濁液、液体溶液、分散性粉末もしくは顆粒、エマルション、硬質もしくは軟カプセルまたはシロップまたはエリキシル。経口使用に意図される組成物は、医薬組成物の製造の分野で公知のいかなる方法によって調製してもよく、このような組成物は、医薬的に的確で、口当たりのよい製剤を提供するために、甘味剤、芳香剤、着色剤、および保存剤からなる群から選択される1個以上の剤を含有してよい。
【0076】
錠剤は、錠剤の製造に好適な非毒性の医薬的に許容可能な賦形剤との混和物で活性成分を含有する。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、デキストロース、サッカロース、セルロース、とうもろこし(corn)でんぷん、ジャガイモでんぷん、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム;顆粒化剤および崩壊剤、例えば、トウモロコシ(maize)でんぷん、アルギン酸、アルギネートまたはナトリウムでんぷんグリコレート;結合剤、例えばでんぷん、ゼラチンまたはアカシア;潤滑剤、例えばシリカ、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム、ステアリン酸またはタルク;発泡性混合物;染料、甘味剤、湿潤剤、例えばレシチン、ポリソルベートまたは硫酸ラウリルであってもよい。胃腸管中での崩壊および吸着を遅らせ、それにより長時間にわたって持続した作用をもたらすのに、この錠剤は、非被覆であるか、もしくは公知の技術により被覆してもよい。例えば、時間遅延材料、例えばグリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートが使用されてもよい。このような製剤は、公知の方法で、例えば混合、顆粒化、錠剤化、糖衣もしくは膜被覆法により製造されてもよい。
【0077】
経口使用の製剤は、活性成分を不活性な固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合する硬ゼラチンカプセルとして、もしくは活性成分をそのまま存在させるか、もしくは水または油媒体、例えば、ピーナッツ油、流動パラフィンまたはオリーブ油と混合する軟ゼラチンカプセルとしても提示されてもよい。
【0078】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に好適な賦形剤と混和した活性材料を含有する。このような賦形剤は、懸濁剤、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、ナトリウムアルギネート、ポリビニルピロリドンガムトラガカント、およびガムアカシアであり;分散剤または湿潤剤は、天然のホスファチド、例えばレシチン、またはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えばポリオキシエチレンステアレートまたはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノールまたはエチレンオキシドと脂肪酸とヘキシトール由来の部分エステルとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートまたはエチレンオキシドと脂肪酸とヘキシトール無水物由来の部分エステルとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであってもよい。
【0079】
前記水性懸濁液は、1個以上の保存剤、例えば、エチルp−ヒドロキシベンゾエートまたはn−プロピルp−ヒドロキシベンゾエート、1個以上の着色剤、例えばスクロースまたはサッカリン、を含有してもよい。
【0080】
油性懸濁液は、活性成分を植物油、例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油またはココナッツ油中に、もしくは鉱物油、例えば流動パラフィン中に懸濁することにより、製剤してもよい。この油性懸濁液は、増粘剤、例えば蜜ろう、固形パラフィンまたはセチルアルコールを含有してもよい。
【0081】
口当たりのよい経口剤を提供するのに、例えば上記に示したものなどの甘味剤、および芳香剤が添加されてもよい。これらの組成物は、酸化防止剤、例えばアスコルビン酸を添加することにより保存されてもよい。水の添加により水性懸濁液を調製するのに好適な分散性粉末および顆粒は、分散剤または湿潤剤、懸濁剤、および1個以上の保存剤と混和して活性成分を提供する。好適な分散剤または湿潤剤、および懸濁剤は、上記に既に記述したものにより例示される。更なる賦形剤、例えば甘味剤、芳香剤、および着色剤も存在してよい。
【0082】
本発明の医薬組成物は、水中油エマルションの形態のものであってもよい。油相は、植物油、例えばオリーブ油またはラッカセイ油、もしくは鉱物油、例えば流動パラフィンまたはこれらの混合物であってもよい。好適な乳化剤は、天然のガム、例えばガムアカシアまたはガムトラガカント、天然のホスファチド、例えば大豆レシチン、およびエステルまたは脂肪酸とヘキシトール無水物由来の部分エステル、例えばソルビタンモノオレエート、および前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであってもよい。このエマルションは、甘味剤および芳香剤も含有してよい。甘味剤、例えばグリセロール、ソルビトールまたはスクロースによってシロップおよびエリキシルが製剤されてもよい。特に、糖尿病患者用のシロップは、グルコースに代謝しないか、もしくは極めて少量をグルコースに代謝するのみである製品、例えばソルビトールのみをキャリアーとして含有することができる。
【0083】
このような製剤は、粘滑剤、保存剤と芳香剤、および着色剤も含有してもよい。
B)非経口的な方法。無菌の注射用水性もしくは油性の懸濁液の形態のものにおける、皮下的、もしくは静脈内、もしくは筋肉内、もしくは胸骨内の方法、もしくは注入法。この懸濁液は、上記に挙げた湿潤剤および懸濁剤の好適な分散剤を用いる公知の技術にしたがって製剤されてもよい。無菌の注射用製剤は、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液として非毒性の非経口で許容可能な希釈剤もしくは溶媒中の無菌の注射用溶液もしくは懸濁液でもあってもよい。
【0084】
許容可能なビヒクルと、使用されてよい溶媒には、水、リンガー溶液、および等張性塩化ナトリウム溶液がある。加えて、無菌の固定油は、溶媒または懸濁媒体として慣用的に使用される。この目的で合成モノ−もしくはジグリセリドを含むいかなる無菌性の固定油も使用されてもよい。加えて、脂肪酸、例えばオレイン酸は、注射液の調製において用途を見出す。
C)吸入による方法。ネブライザー用のエアロゾルまたは溶液の形態のもの。
D)直腸経由の方法。常温で固体であるが、直腸温度で液体であり、したがって直腸中で融解して、薬剤を放出する好適な非刺激性の賦形剤と薬剤を混合することにより調製される坐薬の形態のもの。このような材料はココアバターおよびポリエチレングリコールである。
E)局所的な方法。クリーム、軟膏、ゼリー、洗眼液、溶液または懸濁液の形態のもの。
F)膣経由の方法。活性成分に加えて、当分野で適切であることが公知であるキャリアーを含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたはスプレー製剤の形態のもの。
【0085】
本発明の化合物の徐放性製剤が調製されてもよい。徐放性製剤の好適な例は、式IaもしくはIbの化合物を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスを含み、マトリックスは、成形物品、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態のものである。徐放性マトリックスの例として、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸とγ−エチル−L−グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン−ビニルアセテート、分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOT(商標)(乳酸−グリコール酸コポリマーと酢酸ロイプロリドからなる注射用ミクロスフェア)、およびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が含まれる。
【0086】
本発明の化合物は、本明細書で述べられている疾患または障害、例えば過剰増殖性障害(例えば、癌)を処置するために、単独で、もしくは他の療法剤との組み合わせで使用されてもよい。ある実施形態においては、本発明の化合物は、併用製剤または併用療法としての投薬計画において、抗過剰増殖性を有するか、もしくは過剰増殖性障害(例えば、癌)の処置に有用である第2の化合物と組み合わされる。医薬併用製剤または投薬計画の第2の化合物は、好ましくは本発明の化合物に相補的な活性を有し、相互に悪影響を及ぼさない。好適には、このような化合物は、組み合わせとして意図された目的のために有効である量で存在する。一つの実施形態においては、本発明の組成物は、例えば本明細書で述べられている化学療法剤との組み合わせで本発明の化合物を含む。
【0087】
併用療法は、同時、もしくは順次的な投与計画として投与されてもよい。順次投与の場合には、併用は、2回またはそれ以上の投与で与えられてもよい。併用投与は、別々の製剤または単一の医薬製剤を用いる同時投与、およびいずれの順序であれ連続投与を含み、この場合、好ましくは両方の(もしくはすべての)活性剤が生物学的活性に同時に影響を及ぼす期間が存在する。
【0088】
上記の同時投与された薬剤のいずれかに対する好適な投与量は、現在使用されているものであり、新しく同定された薬剤と、他の化学療法剤の組み合わされた作用(相乗作用)または処置により低いことがあってもよい。
【実施例】
【0089】
以下の実施例で本発明を更に説明する。
【0090】
参照例1:2,4−ジクロロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン
【化39】

メチル3−アミノ−2−チオフェンカルボキシレート(20)(13.48g、85.85ミリモル)と尿素(21)(29.75g、5当量)の混合物を190℃で2時間加熱した。次に、熱い反応混合物を水酸化ナトリウム溶液上に注ぎ、いかなる不溶性材料も濾過により除去した。次に、この混合物を酸性(HCl、2N)化して、1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオン(22)を白色沈殿物として取得し、これを濾過により集め、風乾した(9.49g、66%)。
【0091】
1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオン(22)(9.49g、56.49ミリモル)とオキシ塩化リン(150mL)の混合物を6時間還流で加熱した。次に、この反応混合物を冷却し、激しく攪拌しながら氷/水上に注いで、沈殿を得た。次に、この混合物を濾過して、2,4−ジクロロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン、(IIIa)を白色固体(8.68g、75%)として得た。
【0092】
参照例2:3−(4−ブロモ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール
【化40】

24:3−(3−メトキシ−ベンゾイルアミノ)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル
【0093】
アセトニトリル(100mL)中のメチル−3−アミノ−2−チオフェンカルボキシレート、20、(8.0g)の溶液に炭酸カリウム(7.73g)と、続いてm−アニソイルクロリド、23、(7.51mL)を添加した。この反応混合物を還流まで加熱し、次に冷却し、水により希釈した。引き続いて、3−(3−メトキシ−ベンゾイルアミノ)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル、24、(12.78g)を白色固体として集めた。
H NMR(400MHz,CDCl)3.89(s,3H)、3.93(s,3H)、7.12(dd,1H,J=2.2、8.4)、7.42(t,1H,J=7.9)、7.54(d,1H,J=5.5)、7.58(m,1H)、8.29(d,1H,J=5.5)、11.17(brs,1H)。
【0094】
25:2−(3−メトキシ−フェニル)−3H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン
3−(3−メトキシ−ベンゾイルアミノ)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル、24、(12.78g)をアンモニアにより予め飽和したメタノール(200mL)に添加した。この混合物をボンベ反応器に入れ、100°で2日間加熱した。次に、溶媒を真空中で除去し、得られる残渣をイソプロパノール(250mL)中で懸濁し;次に、2M水酸化ナトリウム溶液(83mL)を添加し、混合物を還流まで5時間加熱した。次に、反応混合物を冷却し、pH1まで酸性化した。2−(3−メトキシ−フェニル)−3H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン、25、(12.16g)を白色固体として集めた。
H NMR(400MHz,d−DMSO)3.86(s,3H)、7.14(dd,1H,J=2.2,8.2)、7.45(m,2H)、7.70(s,1H)、7.74(d,1H,J=7.8)、8.22(d,1H,J=5.2)、12.70(brs,1H)
【0095】
26:2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−3H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン
酢酸(75mL)と臭化水素酸(48%水溶液、75mL)中の2−(3−メトキシ−フェニル)−3H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン、25、(12.59g、48.7ミリモル)の攪拌した混合物を還流温度で3日間加熱した。冷却した反応混合物を氷(500mL)上に注ぎ、氷がすべて融解するまで攪拌した。得られる沈殿物を濾過により集め、真空中で乾燥して、2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−3H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン、26、を灰色固体として得た(10.95g、92%)。
H NMR(400MHz,d−DMSO)6.87(m,1H)、7.23(t,1H,J=8.0)、7.36(d,1H,J=5.2)、7.45(m,2H)、8.13(d,1H,J=5.2)、9.67(brs,1H)、12.52(brs,1H)。
【0096】
27:酢酸3−(4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェニルエステル
MeCN(150mL)中の2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−3H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン、26、(10.95g、44.8ミリモル)、KOAc(6.6g、67.2ミリモル)、およびAcO(16.5mL、0.175モル)の混合物を還流温度で24時間加熱した。冷却した反応混合物を水(500mL)上に注ぎ、得られる沈殿物を濾過により集めた。次に、これを水により洗浄し、乾燥して、酢酸3−(4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェニルエステル、27を灰色固体として得た(10.87g、85%)。
H NMR(400MHz,d−DMSO)2.32(s,3H)、7.36(dd,1H,J=2.0,8.0)、7.47(d,1H,J=5.2)、7.59(d,1H,J=8.0)、7.93(s,1H)、8.04(d,1H,J=7.9)、8.22(d,1H,J=5.2)、12.75(brs,1H)。
【0097】
IVa:3−(4−ブロモ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール
窒素雰囲気下のMeCN(25mL)中の酢酸3−(4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェニルエステル、27、(1.72g、6.0ミリモル)の攪拌した混合物にPOBr(8.6g、30ミリモル)を添加し、得られる混合物を還流で2.5時間加熱した。この反応混合物を氷水(200mL)上に注ぐことによりクエンチし、固体のNaHCOを添加することにより水層を中和した。形成される沈殿物を濾過により集め、乾燥した。得られる褐色固体(1.6g)をTHF/MeOH(1:1v/v、20mL)に溶解した。KCO(1.76g、12.8ミリモル)を添加し、混合物を室温で3.5時間攪拌した。反応混合物をHO(20mL)により希釈し、2M HClによりpH3〜4まで酸性化し、EtOAc(2×100mL)により抽出した。組み合わされた有機抽出物を乾燥(MgSO)し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィ(溶離液として70:30ヘキサン/EtOAc)により精製して、表題化合物IVaを無色固体として得た(0.76g;41%)。
【0098】
参照例3:4−ブロモ−2−[3−(1,1,2,2−テトラメチル−プロピルシラニルオキシ)−フェニル]−チエノ[3,2−d]ピリミジン
参照例2で述べたように作製した化合物(IVa)のヒドロキシ保護された誘導体を次のように調製した。
【0099】
N,N−ジメチルホルムアミド(3mL)中の3−(4−ブロモ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール、IVa、(240mg)の溶液にTBDMSCl(350mg)と、続いてイミダゾール(180mg)を添加した。この反応混合物を50℃で16時間加熱した。冷却後、この混合物を水により希釈し、エーテルの中に抽出し、乾燥(MgSO)し、溶媒を真空中で除去した。フラッシュクロマトグラフィを用いて残渣を精製して、表題化合物を得た(278mg)。
【0100】
参照例4:4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−インダゾール
がインダゾール基であり、2個の基OR15が一緒になってピナコラト基を形成する式RB(OR15のボロン酸エステルを次の2個の合成戦略により作製した。
工程1
【化41】

【0101】
酢酸(60mL)中の2−メチル−3−ニトロアニリン(2.27g、14.91ミリモル)の溶液に水(5mL)中の亜硝酸ナトリウム(1.13g、1.1当量)の溶液を添加した。2時間後、深赤色溶液を氷/水上に注ぎ、沈殿物を濾過により集めて、4−ニトロ−1H−インダゾールを得た(1.98g、81%)。
【0102】
4−ニトロ−1H−インダゾール(760mg、4.68ミリモル)、パラジウム担持チャコール(10%、触媒)、およびエタノール(30mL)の混合物を水素バルーンの下で4時間攪拌した。次に、この反応混合物をセライトにより濾過し、溶媒を真空中で除去して、1H−インダゾール−4−イルアミン(631mg、100%)を得た。
【0103】
水(2mL)中の亜硝酸ナトリウム(337mg、4.89ミリモル)の水溶液を6M塩酸(7.2mL)中の1H−インダゾール−4−イルアミン(631mg、4.74ミリモル)の懸濁液に0℃以下で滴加した。30分間攪拌後、ナトリウムテトラフルオロボレート(724mg)を添加した。この反応混合物は極めて粘稠となり、これを濾過し、水により簡単に洗浄して、1H−インダゾール−4−ジアゾニウム、テトラフルオロボレート塩(218mg、20%)を深赤色固体として得た。
【0104】
乾燥メタノール(4mL)をアルゴンにより5分間パージした。これに1H−インダゾール−4−ジアゾニウム、テトラフルオロボレート塩(218mg、0.94ミリモル)、ビス−ピナコラトジボロン(239mg、1.0当量)、および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)クロリド(20mg)を添加した。この反応混合物を5時間攪拌し、次にセライトにより濾過した。フラッシュクロマトグラフィを用いてこの残渣を精製して、所望の表題化合物(117mg)を得た。
【0105】
工程2
【化42】

クロロホルム(50mL)中の3−ブロモ−2−メチルアニリン(5.0g、26.9ミリモル)の溶液に酢酸カリウム(1.05当量、28.2ミリモル、2.77g)を添加した。氷水で同時冷却しながら酢酸無水物(2.0当量、53.7ミリモル、5.07mL)を添加した。次に、この混合物を室温で10分間攪拌した。その後白色ゼラチン質の固体を形成した。次に、18−クラウン−6(0.2当量、5.37ミリモル、1.42g)と、続いて亜硝酸イソアミル(2.2当量、59.1ミリモル、7.94mL)を添加し、この混合物を還流下で18時間加熱した。この反応混合物を冷却し、クロロホルム(3×100mL)と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)の間で分配した。この組み合わされた有機抽出物を塩水(100mL)により洗浄し、分離し、乾燥(MgSO)した。
【0106】
この粗生成物をシリカ上に蒸発し、20%→40%のEtOAc−ペトロールにより溶離するクロマトグラフィにより精製して、1−(4−ブロモ−インダゾール−1−イル)−エタノン(A)(3.14g、49%)を橙色固体として、ならびに4−ブロモ−1H−インダゾール(B)(2.13g、40%)を淡橙色固体として得た。
A:H NMR(400MHz,CDCl)2.80(3H,s)、7.41(1H,t,J=7.8Hz)、7.50(1H,d,J=7.8Hz)、8.15(1H,s)、8.40(1H,d,J=7.8Hz)。
B:H NMR(400MHz,CDCl)7.25(1H,t,J=7.3Hz)、7.33(1H,d,J=7.3Hz)、7.46(1H,d,J=7.3Hz)、8.11(1H,s)、10.20(1H,brs)。
【0107】
MeOH(50mL)中の1−(4−ブロモ−インダゾール−1−イル)−エタノン(3.09g、12.9ミリモル)の溶液に6N HCl水溶液(30mL)を添加し、この混合物を室温で7時間攪拌した。MeOHを蒸発し、混合物をEtOAc(2×50mL)と水(50mL)の間で分配した。組み合わされた有機層を塩水(50mL)により洗浄し、分離し、乾燥(MgSO)した。溶媒を減圧下での蒸発により除去して、4−ブロモ−1H−インダゾール(2.36g、93%)を得た。
【0108】
DMSO(20mL)中の4−ブロモ−1H−インダゾール(500mg、2.54ミリモル)およびビス(ピナコラト)ジボロン(1.5当量、3.81ミリモル)の溶液に酢酸カリウム(3.0当量、7.61ミリモル、747mg;乾燥ピストルで乾燥)とPdCl(dppf)(3モル%、0.076ミリモル、62mg)を添加した。混合物をアルゴンにより脱気し、80℃で40時間加熱した。反応混合物を冷却し、水(50mL)とエーテル(3×50mL)の間で分配した。組み合わされた有機層を塩水(50mL)により洗浄し、分離し、乾燥(MgSO)した。この粗材料を30%→40%のEtOAc−ペトロールにより溶離するクロマトグラフィにより精製して、4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−インダゾール(369mg、60%)とインダゾール(60mg、20%)の非分離の3:1混合物を取得し;これを放置時固化する黄色ガムとして単離して、オフホワイト固体を得た。
た。
H NMR(400MHz,d−DMSO)1.41(12H,s)、7.40(1H,dd,J=8.4Hz,6.9Hz)、7.59(1H,d,J=8.4Hz)、7.67(1H,d,J=6.9Hz)、10.00(1H,brs)、8.45(1H,s)、およびインダゾール:7.40(1H,t)、7.18(1H,t,J=7.9Hz)、7.50(1H,d,J=9.1Hz)、7.77(1H,d,J=7.9Hz)、8.09(1H,s)。不純物1.25。
【0109】
実施例1:3−(4−ピリジン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール
4−ブロモ−2−[3−(1,1,2,2−テトラメチル−プロピルシラニルオキシ)−フェニル]−チエノ[3,2−d]ピリミジン、(72mg)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−ピリジン(52mg)、炭酸ナトリウム(57mg)、PdCl(PPh(0.1当量)、トルエン(2mL)、エタノール(1mL)、および水(0.5mL)の混合物を130℃で5分間マイクロ波照射下で加熱した。この反応混合物を冷却し、クロロホルムにより希釈し、塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、溶媒を真空中で除去した。フラッシュクロマトグラフィを用いて残渣を精製して、4−ピリジン−4−イル−2−[3−(1,1,2,2−テトラメチル−プロピルシラニルオキシ)−フェニル]−チエノ[3,2−d]ピリミジン(67mg)を得た。
【0110】
この残渣をTHFに溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオリド(THF中の0.1M溶液、0.22mL)を添加した。1時間後、この反応混合物を真空中で還元し、フラッシュクロマトグラフィを用いて精製して、表題化合物(1)(11mg)を得た。
【0111】
実施例2:3−(4−イミダゾール−1−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール
【化43】

(イミダゾール(2.2当量)
n−BuOH、還流)

n−ブタノール(2mL)中の3−(4−ブロモ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール(92mg;0.3ミリモル)およびイミダゾール(45mg;0.66ミリモル)の攪拌した溶液を105℃で3日間加熱した。その時点で白色固体を沈殿した。この固体を濾過により集め、水(2mL)、MeOH(2mL)で洗浄し、次に乾燥して、表題化合物(2)を白色固体として得た(63mg;71%)。
NMR:(DMSO):6.95(1H,dd,J=8.0および1.8)、7.34−7.38(2H,m)、7.80(1H,d,J=5.4)、7.99−8.02(2H、m)、8.17(1H,s)、8.67(1H,d,J=5.4)、8.79(1H,s)、9.64(1H,br)。
MS:(ESI+):MH+295(38%)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ6.95(1H,d,J=8.0Hz)、7.48(1H,t,J=8.0Hz)、7.81(1H,d,J=3.5Hz)、8.04−8.07(2H,m)、8.22(2H,d,J=4.5Hz)、8.63(1H,d,J=3.5Hz)、8.93(2H,d,J=4.5Hz)、9.62(1H,s)。(ESI+):MH+306
【0112】
実施例3:本発明の更なる化合物
3−(4−ブロモ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノールからであることを除いて、適切なボロン酸/ボロニレート(boronylate)エステルを用いて、次の化合物を実施例1の化合物と同一の方法で調製した。下記に述べる化合物の合成においては、TBAFを含む、実施例1の化合物の調製における最終段階を使用しなかった。
【0113】
5:3−(4−ピリジン−3−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ6.92−6.95(1H,m)、7.36(1H,t,J=7.8Hz)、7.72−7.75(1H,m)、7.80(1H,d,J=5.5Hz)、8.03−8.05(2H,m)、8.61−8.65(2H,m)、8.85−8.86(1H,m)、9.44−9.45(1H,m)、9.61(1H,br)。(ESI+):MH+306。
【0114】
3:3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール
4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−ピラゾール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを用いてこの化合物を調製し;スズキ交差カップリング段階時にBOC保護基の除去を行った。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ6.90(1H,dd)、7.32(1H,t,J=6.5Hz)、7.69(1H,d,J=5.4Hz)、8.03−8.06(2H,m)、8.50(1H,d,J=5.5Hz)、8.45−8.63(2H,br)、9.55(1H,br)、13.60(1H,br)。(ESI+):MH+295。
【0115】
8:3−(4−ピリミジン−5−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ6.93−6.96(1H,m)、7.36(1H,t,J=8.1Hz)7.82(1H,d,J=5.5Hz)、8.04−8.06(2H,m)、8.66(1H,d,J=5.5Hz)、9.47(1H,s)、9.61(1H,br)、9.62(2H,s)。(ESI+):MH+307。
【0116】
9:3−[4−(2−フルオロ−ピリジン−4−イル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ6.93−6.96(1H,m)、7.37(1H,t,J=8.1Hz)、7.83(1H,d,J=5.5Hz)、7.94(1H,s)、8.03−8.05(2H,m)、8.15−8.17(1H,m)、8.60(1H,d,J=5.3Hz)、8.66(1H,d,J=5.5Hz)、9.63(1H,br)。(ESI+):MH+324。
【0117】
11:3−[4−(3−クロロ−ピリジン−4−イル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ6.91−6.93(1H,m)、7.32−7.36(1H,m)、7.81(1H,d,J=5.4Hz)、7.86(1H,d,J=4.9Hz)、7.93−7.95(2H,m)、8.61(1H,d,J=5.4Hz)、8.81(1H,d,J=4.9Hz)、8.96(1H,s)、9.59(1H,s)。(ESI+):MH+322。
【0118】
14:3−[4−(2−クロロ−ピリジン−4−イル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ6.95(1H,d、J=8.3Hz)、7.38(1H,t,J=8.1Hz)、7.82(1H,d,J=5.5Hz)、8.01−8.04(2H,m)、8.20−8.22(1H,m)、8.26(1H,s)、8.67(1H,d,J=5.5Hz)、8.78(1H,d,J=5.2Hz)、9.62(1H、s)。(ESI+):MH+340。
【0119】
実施例4:前の実施例の化合物の誘導体化
前の実施例で述べた化合物を誘導体化することにより、次の化合物を調製した。
【0120】
4:4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル]−1H−ピリジン−2−オン
3−[4−(2−フルオロ−ピリジン−4−イル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール、(60mg)、HCl水溶液(2M、2mL)、および1,4−ジオキサン(2mL)の混合物を24時間還流まで加熱した。冷却時、沈殿物を形成し;これを濾過により集め、水とエーテルで洗浄して、表題化合物(50mg)を得た。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ6.92−6.98(2H,m)、7.11(1H,s)、7.36(1H,t,J=7.8Hz)、7.68(1H,d,J=6.6Hz)、7.80(2H,1H,d,J=5.5Hz)、8.00−8.03(2H,m)、8.61(1H,d,J=5.5Hz)、9.61(1H,s)、12.00(1H,br)
(ESI+):MH+322。
【0121】
13:5−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル]−ピリジン−2−オル
上記の4に類似の方法で、5−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル]−ピリジン−2−オルを3−[4−(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノールから作製した。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ6.63(1H,d,J=9.5Hz)、6.91(1H,d,J=9.5Hz)、7.35(1H,t,J=7.9Hz)、7.72(1H,d,J=5.4Hz)、7.98−8.02(2H,m)、8.38−8.42(2H,m)、8.53(1H,d,J=3.5Hz)、9.56(1H,s)、12.20(1H,br)。(ESI+):MH+322。
【0122】
12:3−[4−(2−ジメチルアミノ−ピリジン−4−イル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール
3−[4−(2−フルオロ−ピリジン−4−イル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール、(60mg)、ジメチルアミンヒドロクロリド(151mg)、トリエチルアミン(0.31mL)、および1,4−ジオキサン(3mL)の混合物を封管中で130℃まで加熱した。24時間加熱後、この反応混合物を冷却し、クロロホルムにより希釈し、塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、溶媒を真空中で除去した。フラッシュクロマトグラフィを用いてこの残渣を精製して、表題化合物(40mg)を得た。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ3.16(6H,s)、6.91−6.95(1H,m)、7.31−7.39(3H,m)、7.79(1H,d,J=3.5Hz)、8.01−8.03(2H,m)、8.38(1H,d,J=5.5Hz)、8.60(1H,d,J=5.5Hz)、9.60(1H、s)。(ESI+):MH+349。
【0123】
15:3−[4−(6−アミノ−ピリジン−3−イル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール
12と類似の方法で、封管中で3−[4−(6−フルオロ−ピリジン−3−イル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノールをアンモニア水溶液により処置することにより、3−[4−(6−アミノ−ピリジン−3−イル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノールを調製した。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ6.69(1H,d,J=8.8Hz)、6.73(2H,br.s)、6.91(1H,d,J=8.5Hz)、7.32(1H,t,J=7.8Hz)、7.70(1H,d,J=5.5Hz)、8.00−8.03(2H,m)、8.36(1H,dd,J=8.8Hz,2.5Hz)、8.50(1H,d,J=5.5Hz)、8.95(1H,d,J=2.5Hz)、9.55(1H,s)。(ESI+):MH+321。
【0124】
10:3−[4−(2−アミノ−ピリジン−4−イル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール
類似の方法で、封管中で3−[4−(2−フルオロ−ピリジン−4−イル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノールをアンモニア水溶液により処置することにより、3−[4−(2−アミノ−ピリジン−4−イル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノールを調製した。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ6.35(2H,br)、6.93−6.95(1H,m)、7.25−7.28(2H,m)、7.34−7.38(1H,m)、7.77、(1H,d,J=5.5Hz)、8.01−8.03(2H,m)、8.20(1H,d,J=5.2Hz)、8.59(1H,d,J=5.5Hz)、9.61(1H,br)。(ESI+):MH+322。
【0125】
16:4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル]−ピリジン−2−カルボニトリル
3−[4−(2−クロロ−ピリジン−4−イル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール(90mg)、シアン化ナトリウム(26mg)、臭化ニッケル(II)(58mg)、およびNMPの混合物をマイクロ波照射下で200℃で30分間加熱した。この混合物を冷却し、水により希釈し、沈殿物を濾過により集めた。次のフラッシュカラムクロマトグラフィ(31mg)にしたがってこの表題化合物を単離した。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ6.95(1H,d,J=8.0Hz)、7.38(1H,t,J=7.8Hz)、7.84(1H,d,J=5.5Hz)、8.04−8.09(2H,m)、8.51(1H,d,J=5.0Hz)、8.70(1H,d,J=5.5Hz)、8.79(1H,s)、9.10(1H,d,J=5.2)、9.62(1H,s)。(ESI+):MH+331。
【0126】
17:4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル]−ピリジン−2−カルボン酸アミド
4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル]−ピリジン−2−カルボニトリル、(48mg)、水酸化ナトリウム(1M、0.3mL)、および過酸化水素水(30%、0.1mL)の混合物をメタノール(3mL)中室温で攪拌した。一晩攪拌後、この反応混合物を真空中で濃縮し、HCl(2M)により中和し、水により希釈して、沈殿物を得た。これを濾過により集め、フラッシュクロマトグラフィを用いて精製して、表題化合物(29mg)を得た。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ6.94−6.98(1H,m)、7.38(1H,t,J=8.0Hz)、7.30−7.36(2H,m)、8.04−8.08(2H,m)、8.30(1H,br)、8.43(1H,dd)、8.67(1H,d,J=5.5Hz)、8.87(1H,s)、9.00(1H,d,J=5.1Hz)、9.69(1H,s)。(ESI+):MH+349。
【0127】
実施例5:本発明の更なる化合物
化合物14に類似の方法で次の化合物を2−クロロ−4−ピリジン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジンと適切なボロン酸/ボロニレート(borony1ate)エステルから調製した。
【0128】
6:2−(1H−インダゾール−4−イル)−4−ピリジン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン
H NMR(400MHz,MeOD,CDCl)δ7.58(1H,t,J=8.2Hz)、7.69(1H,d,J=8.3Hz)、7.78(1H,d,J=5.4Hz)、8.12(1H,d,J=5.4Hz)、8.22(2H,d,J=4.5Hz)、8.57(1H,d,J=7.4Hz)、8.92(2H,d,J=4.4Hz)、9.21(1H,s)、10.20(1H,br)。(ESI+):MH+330。
【0129】
7:2−(1H−インドール−4−イル)−4−ピリジン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.36−7.41(2H,m)、7.59(1H,d,J=7.9Hz)、7.75−7.78(2H,m)、8.04(1H,d,J=5.6Hz)、8.22(2H,d,J=4.5Hz)、8.35(1H,br)、8.48(1H,d,J=7.9Hz)、8.92(2H,d,J=4.5Hz)。(ESI+):MH+329。
【0130】
実施例6:3−(4−チアゾール−5−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール(18)
無水DMA(4mL)中の3−(4−ブロモ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール(150mg、0.49ミリモル)、5−トリブチルスタニル−チアゾール(275mg、0.735ミリモル)、およびPd(PPh(28mg、0.0245ミリモル)の懸濁液をマイクロ波中150℃で15分間加熱した。この反応物を酢酸エチルの中に抽出し、有機層をMgSOの上で乾燥する前に、塩水と水で洗浄した。1:1酢酸エチル/ペトロールを溶離液として用いるフラッシュカラムクロマトグラフィによりこの粗材料を精製した。得られる固体をジクロロメタンにより磨砕して、表題化合物を灰白色の固体(22mg、14%)として得た。
NMR(DMSO,400MHz)、6.94(1H,dd,J=1.6,0.7)、7.37(1H,t,J=8)、7.79(1H,d,J=5.5)、7.97−7.99(2H,m)、8.63(1H,d,J=5.5)、8.87(1H,s)、9.48(1H,s)、9.68(1H,s)。MS:(ESI+):MH+=312(M+MeCN)=353。
【0131】
実施例7:3−[4−(2−アミノ−チアゾール−5−イル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール(19)
無水DMA(4mL)中の3−(4−ブロモ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール(128mg、0.42ミリモル)、(5−トリブチルスタニル−チアゾール−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(306mg、0.63ミリモル)、およびPd(PPh(25mg、0.021ミリモル)の懸濁液をマイクロ波中150℃で15分間加熱した。この反応物をシリカ上に吸収させ、酢酸エチル中の10%メタノールを溶離液として用いて精製し、表題化合物を灰白色の固体(30mg、22%)を得た。
NMR(DMSO,400MHz)、6.97(1H,dd,J=7,2.3)、7.38(1H,t,J=8)、7.73(1H,d,J=5.5)、7.96−8.0(4H,m)、8.1(1H,s)、8.52(1H,d,J=5.4)、9.65(1H,s)。
MS:(ESI+):MH+=368。
【0132】
実施例8:生物学的試験
先行する実施例で述べたように調製された本発明の化合物をPI3K生化学スクリーニングアッセイにかけた。
【0133】
精製した組み換え酵素とATPを1uMの濃度で用いる放射アッセイでPI3Kの化合物阻害を定量した。すべての化合物を100%DMSO中で連続的に希釈した。キナーゼ反応を室温で1時間インキュベートし、PBSを添加することによりこの反応を停止した。用量反応S字曲線へのフィッティング(可変勾配)を用いて、IC50値を引き続いて定量した。試験した化合物はすべて50μM以下のPI3Kに対するIC50を有した。
【0134】
実施例9:錠剤組成物
各々0.15gの秤量で、25mgの本発明の化合物を含有する錠剤を次のように製造した。
【0135】
10,000個の錠剤用の組成物
活性化合物(250g)
ラクトース(800g)
とうもろこしでんぷん(415g)
タルク粉末(30g)
ステアリン酸マグネシウム(5g)
【0136】
この活性化合物、ラクトース、およびとうもろこしでんぷんの半分を混合する。次に、この混合物を篩の0.5mmメッシュの大きさに通す。とうもろこしでんぷん(10g)を温水(90mL)に懸濁する。得られるペーストを用いて、粉末を顆粒化する。この顆粒を乾燥し、1.4mmメッシュの大きさの篩上で小さな破片に破砕する。でんぷん、タルク、およびマグネシウムの残量を添加し、注意深く混合し、錠剤に加工する。
【0137】
実施例10:注射用製剤
製剤A
活性化合物 200mg
塩酸溶液0.1Mまたは水酸化ナトリウム溶液0.1M適量 pH4.0から7.0まで
無菌水適量 10mLまで
【0138】
本発明の化合物を大部分の水(35°40℃)に溶解し、pHを4.0〜7.0の間に塩酸または水酸化ナトリウムにより適宜調整する。次に、このバッチを水により所定の容積とし、無菌のミクロポアフィルターにより濾過し、無菌の10mLの琥珀色ガラスバイアル(タイプ1)の中に入れ、無菌の栓とオーバーシールにより封止する。
【0139】
製剤B
活性化合物 125mg
無菌の、発熱物質を含まないpH7のリン酸緩衝液適量 25mLまで
活性化合物 200mg
ベンジルアルコール 0.10g
グリコフロール75 1.45g
注射用水適量 3.00mLまで
【0140】
この活性化合物をグリコフロールに溶解する。次に、ベンジルアルコールを添加し、溶解し、水を3mLまで添加する。次に、この混合物を無菌のミクロポアフィルターにより濾過し、無菌の3mLガラスバイアル(タイプ1)中に封止する。
【0141】
実施例11:シロップ製剤
活性化合物 250mg
ソルビトール溶液 1.50g
グリセロール 2.00g
安息香酸ナトリウム 0.005g
芳香剤 0.0125mL
純水適量 5.00mLまで
【0142】
本発明の化合物をグリセロールと大部分の純水の混合物に溶解する。次に、安息香酸ナトリウムの水溶液をこの溶液に添加し、続いてソルビトール溶液と、最終的に芳香剤を添加する。容積を純水により合わせ、よく混合する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

(式中、
Aはチオフェンもしくはフラン環を表し;
nは0、1、または2であり;
は式
【化2】

(式中、
mは0または1であり;
30はHまたはC−Cアルキルであり;
およびRは、結合されているN原子と一緒になって、N、S、およびOから選択される0もしくは1個の更なるヘテロ原子を含み、ベンゼン環に縮合してもよく、ならびに非置換もしくは置換される5もしくは6員の飽和N含有複素環基を形成するか;またはRおよびRの一方はアルキルであり、他方は上記に定義した5もしくは6員の飽和N含有複素環基もしくは上記に定義した5もしくは6員の飽和N含有複素環基により置換されるアルキル基である)
の基であり;
は1、2、3、または4個の環窒素原子と、O、N、およびSから選択される0、1、または2個の更なるヘテロ原子とを含有するヘテロアリール基であり、ヘテロアリール基は、単環または双環であり、非置換または置換され;ならびに

(a)以下の式
【化3】

(式中、Bは非置換または置換されるフェニル環であり、Zは、H、−OR、−SR、CHOR、−COR、CFOH、CH(CF)OH、C(CFOH、−(CHOR、−(CHNR、−C(O)N(R)、−NR、−NRC(O)R、−S(O)N(R)、−OC(O)R、OC(O)N(R)、−NRS(O)R、−RC(O)N(R)、CN、および−NO(各RはH、C−Cアルキル、C−C10シクロアルキル、および5−から12員のアリールまたはヘテロアリール基から独立に選択され、非置換または置換され、mは1または2であり、qは0、1、または2である)から選択される)
の基と;
(b)1、2、3、または4個の環窒素原子と、OおよびSから選択される0、1、または2個の更なるヘテロ原子とを含有し、単環または双環であり、非置換もしくは置換されるヘテロアリール基と;
(c)非置換もしくは置換され、上記に定義したようなヘテロアリール基に縮合しているベンゼン環を含む基と、から選択される)
の縮合ピリミジンである化合物;またはこれらの医薬的に許容可能な塩。
【請求項2】
縮合ピリミジンが式(Ia)
【化4】

(式中、XはOまたはSであり、R、R、R、およびnは請求項1に記載の通りである)
のものである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
縮合ピリミジンが式(Ib)
【化5】

(式中、XはOまたはSであり、R、R、R、およびnは請求項1に記載の通りである)
のものである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
3−(4−ピリジン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール;
3−(4−イミダゾール−1−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール;
3−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル]−1H−ピリジン−2−オン;
3−(4−ピリジン−3−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール;
2−(1H−インダゾール−4−イル)−4−ピリジン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン;
2−(1H−インドール−4−イル)−4−ピリジン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン;
3−(4−ピリミジン−5−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール;
3−[4−(2−フルオロ−ピリジン−4−イル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
3−[4−(2−アミノ−ピリジン−4−イル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
3−[4−(3−クロロ−ピリジン−4−イル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
3−[4−(2−ジメチルアミノ−ピリジン−4−イル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
5−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル]−ピリジン−2−オル;
3−[4−(2−クロロ−ピリジン−4−イル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
3−[4−(6−アミノ−ピリジン−3−イル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル]−ピリジン−2−カルボニトリル;および
4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル]−ピリジン−2−カルボン酸アミド;
3−(4−チアゾール−5−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール;および
3−[4−(2−アミノ−チアゾール−5−イル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;および
上述の遊離の化合物の医薬的に許容可能な塩、から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
式(II)
【化6】

(式中、AおよびRは請求項1に記載の通りである)
の化合物をボロン酸または式RB(OR15(Rは請求項1に記載の通りであり、各R15はHまたはC−Cアルキルであるか、もしくは2個の基OR15は結合するホウ素原子と一緒になって、ピナコラトボロネートエステル基を形成する)のこれらのエステルにより、Pd触媒の存在下で処理することを含む、nが0である、請求項1に記載の化合物を製造するための方法。
【請求項6】
式(IV)
【化7】

(式中、Aは請求項1に記載の通りであり、R’はHまたはヒドロキシ保護基である)
の化合物をボロン酸または式RB(OR15(Rは請求項1に記載の通りであり、各R15はHもしくはC−Cアルキルであるか、または2個の基OR15は結合するホウ素原子と一緒になってピナコラトボロネートエステル基を形成する)のこれらのエステルによりPd、触媒の存在下で処理することを含む、nが0であり、Rが3−ヒドロキシフェニル基である、請求項1に記載の化合物を製造するための方法。
【請求項7】
R’が保護基であり、保護基を除去する工程を更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
請求項1に記載の式(I)の縮合ピリミジンを好適な溶媒中で好適な酸により処理する工程含む、請求項1に記載の医薬的に許容可能な塩を製造するための方法。
【請求項9】
酸が塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、エタンスルホン酸、アスパラギン酸、およびグルタミン酸から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
酸がメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、塩酸、リン酸、および硫酸から選択される、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
医薬的に許容可能なキャリアーまたは希釈剤と、活性成分として請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物とを含む医薬組成物。
【請求項12】
経口投与用に製剤されている、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
ヒトもしくは動物の体を治療により処置する方法で使用するための請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
PI3キナーゼの阻害剤として使用するための式(I’)
【化8】

(式中、
Aはチオフェンもしくはフラン環を表し;
nは0、1、または2であり;
は式
【化9】

(式中、
mは0または1であり;
30はHまたはC−Cアルキルであり;
およびRは、結合されているN原子と一緒になって、N、S、およびOから選択される0もしくは1個の更なるヘテロ原子を含み、ベンゼン環に縮合されてよく、ならびに非置換もしくは置換される5もしくは6員の飽和N含有複素環基を形成するか;またはRおよびRの一方はアルキルであり、他方は上記に定義した5もしくは6員の飽和N含有複素環基もしくは上記に定義した5もしくは6員の飽和N含有複素環基により置換されるアルキル基である)
の基であり;
は1、2、3または4個の環窒素原子と、O、N、およびSから選択される0、1、または2個の更なるヘテロ原子とを含有するヘテロアリール基であり、ヘテロアリール基は、単環または双環であり、非置換または置換され;ならびに

(a)以下の式
【化10】

(式中、Bは非置換もしくは置換されるフェニル環であり、Zは、H、−OR、−SR、CHOR、−COR、CFOH、CH(CF)OH、C(CFOH、−(CHOR、−(CHNR、−C(O)N(R)、−NR、−NRC(O)R、−S(O)N(R)、−OC(O)R、OC(O)N(R)、−NRS(O)R、−RC(O)N(R)、CN、ハロゲン、および−NO(各RはH、C−Cアルキル、C−C10シクロアルキル、および5−から12員のアリールまたはヘテロアリール基から独立に選択され、非置換または置換され、mは1または2であり、qは0、1または2である)から選択される)
の基と;
(b)1、2、3、または4個の環窒素原子と、OおよびSから選択される0、1、または2個の更なるヘテロ原子とを含有し、単環または双環であり、非置換または置換されるヘテロアリール基と;
(c)非置換もしくは置換され、上記に定義したようなヘテロアリール基に縮合しているベンゼン環を含む基と、
から選択される)
の縮合ピリミジンである化合物;またはこれらの医薬的に許容可能な塩。
【請求項15】
異常な細胞成長、機能、または挙動から生じる疾患または障害の処置で使用するための、請求項14に記載の式(I’)の縮合ピリミジンまたはこれらの医薬的に許容可能な塩である化合物。
【請求項16】
異常な細胞成長、機能、または挙動から生じる疾患または障害を処置するための薬剤の製造における、請求項14に記載の式(I’)の縮合ピリミジンまたはこれらの医薬的に許容可能な塩である化合物の使用。
【請求項17】
異常な細胞成長、機能、もしくは挙動がPI3キナーゼと関連する、請求項15に記載の化合物または請求項16に記載の使用。
【請求項18】
疾患または障害が癌、免疫障害、心臓血管疾患、ウイルス感染、炎症、代謝/内分泌障害、および神経障害から選択される、請求項15に記載の化合物または請求項16に記載の使用。
【請求項19】
癌が結腸、乳房、脳、肝臓、卵巣、消化管、肺、および頭および首の固形腫瘍から選択される、請求項18に記載の化合物または使用。
【請求項20】
癌が膠芽細胞腫、黒色腫、前立腺、子宮内膜、卵巣、乳房、肺、頭および首、肝細胞、および甲状腺癌から選択される、請求項18に記載の化合物または使用。
【請求項21】
癌が乳房、卵巣、子宮頚部、前立腺、睾丸、尿生殖路、食道、喉頭、膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、胃、皮膚、ケラトアカントーマ、肺、類表皮癌、大細胞癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞癌、肺腺癌、骨、結腸、腺腫、膵臓、腺癌、甲状腺、濾胞腺癌、未分化癌、乳頭癌、セミノーマ、黒色腫、肉腫、膀胱癌、肝癌および胆道、腎癌、骨髄性障害、リンパ障害、ヘアリー細胞、口腔および咽頭(経口)、唇、舌、口、咽頭、小腸、結腸−直腸、大腸、直腸、脳および中枢神経系、ホジキン病、および白血病から選択される、請求項18に記載の化合物または使用。
【請求項22】
請求項14に記載の式(I’)の縮合ピリミジンまたはこれらの医薬的に許容可能な塩である化合物を、これらを必要とする患者に投与することを含む、異常な細胞成長、機能または挙動から生じる疾患または障害を処置する方法。
【請求項23】
異常な細胞成長、機能、または挙動がPI3キナーゼと関連する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
疾患または障害が癌、免疫障害、心臓血管疾患、ウイルス感染、炎症、代謝/内分泌障害、および神経障害からなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
癌が膠芽細胞腫、黒色腫、前立腺、子宮内膜、卵巣、乳房、肺、頭および首、肝細胞、および甲状腺癌から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
癌が乳房、卵巣、子宮頚部、前立腺、睾丸、尿生殖路、食道、喉頭、膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、胃、皮膚、ケラトアカントーマ、肺、類表皮癌、大細胞癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞癌、肺腺癌、骨、結腸、腺腫、膵臓、腺癌、甲状腺、濾胞腺癌、未分化癌、乳頭癌、セミノーマ、黒色腫、肉腫、膀胱癌、肝癌および胆道、腎癌、骨髄性障害、リンパ障害、ヘアリー細胞、口腔および咽頭(経口)、唇、舌、口、咽頭、小腸、結腸−直腸、大腸、直腸、脳および中枢神経系.ホジキン病、および白血病から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
請求項1に記載の化合物を医薬的に許容可能なキャリアーと組み合わせることを含む、医薬組成物を製造するための方法。
【請求項28】
(a)請求項14に記載の化合物を含む第1の医薬組成物;および
(b)使用説明書
を含む、PI3K仲介の病態を処置するためのキット。
【請求項29】
(c)抗過剰増殖性活性を有する第2の化合物を含む第2の医薬組成物を更に含む、請求項28に記載のキット。
【請求項30】
前記第1および第2医薬組成物を、これらを必要とする患者に、同時、順次、または独立に投与するための説明書を更に含む、請求項29に記載のキット。
【請求項31】
前記第1および第2の医薬組成物が別々の容器に収められている、請求項29もしくは30に記載のキット。
【請求項32】
前記第1および第2の医薬組成物が同一の容器に収められている、請求項29もしくは30に記載のキット。
【請求項33】
癌の予防的または治療的処置において、独立、同時、または順次投与するための、
(a)請求項14に記載の化合物と、
(b)抗過剰増殖性活性を有する化合物と、
を含む製品。

【公表番号】特表2009−535390(P2009−535390A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508465(P2009−508465)
【出願日】平成19年5月4日(2007.5.4)
【国際出願番号】PCT/GB2007/001644
【国際公開番号】WO2007/132171
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】