説明

医薬組成物

【課題】優れたGlyT2阻害作用を有する化合物を有効成分としてなる医薬組成物を提供する。
【解決手段】下式〔I〕で示されるノルバリン誘導体又はその薬理的に許容しうる塩を有効成分として含有する医薬組成物。


〔X:−CH−、−O−、−S− 又は単結合
Ar:置換されていてもよいアリール又は置換されていてもよい低級シクロアルキル
n:0〜2の整数
、R、R、R
(i)各々独立して水素原子又は低級アルキル;
(ii)RとRが一体となって低級アルキレンを形成する;等。
R:−N(R5)(R6)又は −OR7
5、R6
(i)各々独立して、ヒドロキシル基で置換されていてもよい低級アルキル又は水素原子;
(ii)R5とR6が隣接する窒素原子と一体となって、置換されていてもよい含窒素脂肪族5-6員複素環式基を形成する;等。
7:低級アルキル〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリシントランスポータータイプ2(Glysine transporter type2: GlyT2)に対する優れた阻害作用を有し、医薬として有用な新規ノルバリン誘導体及びその製法及び用途に関する。
【背景技術】
【0002】
グリシンは、抑制性に働く神経伝達物質(inhibitory neurotransmitter)の一つである。グリシンは、脊椎動物の脊髄(spinal cord)及び脳幹(brain stem)において、ストリキニーネ感受性グリシン受容体(strychnine-sensitive glycine receptor; ssGlyR)を介して知覚神経に対し抑制的に働いている。
【0003】
脊髄腔内へのglycineの投与により、痛覚閾値が上昇し、グリシン受容体拮抗作用を有するストリキニーネを脊髄腔内へ投与することにより痛覚閾値が低下することが報告されている。これらの結果は、脊髄において、ストリキニーネ感受性グリシン受容体がグリシンで刺激されることにより疼痛閾値が一定以上に保持されていることを示すものである。
【0004】
一方、多くの神経伝達物質には、細胞内への再取込み機構(reuptake system)が存在する。これら再取込み機構には、特異的な輸送体(トランスポーター)が関与しており、これらによって神経伝達物質の濃度が調節されている。
グリシンの特異的トランスポーターとしては、グリシントランスポータータイプ1(glycine transporter type1; GlyT1)(サブタイプとしてGlyT1a,GlyT1b,GlyT1cが存在)及びグリシントランスポータータイプ2(glycine transporter type2; GlyT2)(サブタイプとしてGlyT2a,GlyT2bが存在)の2つのクラスが知られており、これらの遺伝子が1990年代に相次いでクローニングされている
〔Guastella et al., Proc.Natl. Acad. Sci. USA, 1992, 89, 7189-7193(非特許文献1); Liu et al., FEBS Lett., 1992, 305, 110-114(非特許文献2); Smith et al., Neuron, 1992, 8, 927-935(非特許文献3); Borowsky et al., Neuron, 1993, 10, 851-863(非特許文献4)〕。
【0005】
これらグリシントランスポーターのうち、GlyT1は中枢神経系(Central nervous system; CNS)に広く分布し、主にグリアに存在して細胞外液におけるグリシン濃度を低く維持する働きを有していると考えられている。
【0006】
これに対し、GlyT2は脳幹や脊髄に局在している。GlyT2は、脳幹や脊髄において、神経伝達物質であるグリシンの再取込み機構を担っており、シナプス間隙(synaptic space)からグリシンを除去し、グリシン神経活性を不活性化する。また、GlyT2は、ストリキニーネ感受性グリシン受容体(strychnine-sensitive glycine receptor; ssGlyR)と同様の分布を示し、GlyT2はストリキニーネ感受性グリシン受容体を介した抑制系(inhibitory system)と密接に関連している。これらのことから、GlyT2の活性の阻害により、脊髄腔内のシナプスのグリシンのレベル(synaptic glycine level)を上昇させ、ssGlyRを発現している抑制性ニューロン(inhibitory neuron)の機能を活性化させて、痛覚関連(pain-related)の神経伝達(trasnmission)を抑制し得ると考えられている。そして、GlyT2の輸送活性を阻害する化合物(GlyT2阻害薬)は、
筋痙攣(muscle spasticity)、耳鳴(tinnitus)、癲癇(epilepsy)、神経因性疼痛 (neuropathic pain)などの治療のため、例えば、筋弛緩薬、麻酔薬、鎮痛薬として有用であると考えられている
〔Isaac et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 2001, 11,1371-1373(非特許文献5);WO2003/10132(AkzoNobel)(特許文献1); Caulfield et al., J. Med. Chem., 2001, 44, 2679-2682(非特許文献6); Ho et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 2004, 14, 545-548(非特許文献7); Friauf et al., J. Comp. Neurol., 1999, 412, 17-37(非特許文献8); Simpson et al., Neurochem. Res., 1996, 21, 1221-1226(非特許文献9); Huang et al., Neurol. Res., 2000, 22, 160-164(非特許文献10); Gomeza et al., Curr. Opin. Drug Discovery Dev., 2003, 6, 675-682(非特許文献11); Aragon., Eur. J. Pharmacol., 2003, 479, 249-262(非特許文献12)〕。
【0007】
また、実際に、GlyT2の輸送活性を阻害する化合物(GlyT2阻害薬)が、神経因性疼痛モデルにおいて痛覚閾値を上昇させて痛覚過敏を改善する効果を示すことが報告されている〔Houghton et al., 31st Society of Neuroscience Meeting Abstracts 2001, 27 (Abs 283.1)(非特許文献13)〕。
【0008】
また、GlyT2阻害薬は、泌尿器疾患(urological disorder)の治療のために有用であると考えられている〔WO2005/94808 (Bayer Healthcare)(特許文献2)〕。
【0009】
このようにGlyT2阻害薬については優れた医薬としての開発が期待されている。
特に、神経因性疼痛(Neuropathic pain syndromes)は、その治療が困難であり、既存の治療薬(μ−オピオイド等)は中枢性の副作用を呈することが多いため、
優れた治療薬の開発が強く望まれている。
【0010】
GlyT2の輸送活性を阻害する化合物(GlyT2阻害薬)については、以下のような報告がある。
【0011】
例えば、Isaacらの文献〔Bioorg. Med. Chem. Lett., 2001, 11, 1371-1373(非特許文献5)〕には、GlyT2阻害作用を有するアミノ酸誘導体が開示されている。
【0012】
また、WO2003/10132(AkzoNobel)(特許文献1)、Caulfield らの文献〔Journal of Medicinal Chemistry, 2001, 44, 2679-2682(非特許文献6)〕および Hoらの文献〔Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 2004, 14, 545-548(非特許文献7)〕には、ベンズアミド誘導体 (N-[(1-dimethylaminocycloalkyl)methyl]benzamide derivatives, 2-(aminomethyl)-benzamide derivatives)などが開示されている。
【0013】
また、Wolinらの文献〔Bioorganic & Medicinal Chemistry, 2004, 12, 4477-4492(非特許文献14);Bioorganic & Medicinal Chemistry, 2004, 12, 4493-4509(非特許文献15)〕及びWO2005/044810(Janssen Pharmaceutica)(特許文献3) には、α、β及びγアミノ酸誘導体が開示されている。
【0014】
また、Wolinらの文献〔Bioorganic & Medicinal Chemistry, 2004, 12, 4511-4532)(非特許文献16)〕及びWO2005/021525(Janssen Pharmaceutica) (特許文献4)には、アリールピペリジンアミド誘導体が開示されている。
【0015】
【特許文献1】WO2003/10132
【特許文献2】WO2005/94808
【特許文献3】WO2005/044810
【特許文献4】WO2005/021525
【非特許文献1】Guastella et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1992, 89, 7189-7193
【非特許文献2】Liu et al., FEBS Lett., 1992, 305, 110-114
【非特許文献3】Smith et al., Neuron, 1992, 8, 927-935
【非特許文献4】Borowsky et al., Neuron, 1993, 10, 851-863
【非特許文献5】Isaac et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 2001, 11, 1371-1373
【非特許文献6】Caulfield et al., Journal of Medicinal Chemistry, 2001, 44, 2679-2682
【非特許文献7】Ho et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 2004, 14, 545-548
【非特許文献8】Friauf et al., J. Comp. Neurol., 1999, 412, 17-37
【非特許文献9】Simpson et al., Neurochem. Res., 1996, 21, 1221-1226
【非特許文献10】Huang et al., Neurol. Res., 2000, 22, 160-164
【非特許文献11】Gomeza et al., Curr. Opin. Drug Discovery Dev., 2003, 6, 675-682
【非特許文献12】Aragon., Eur. J. Pharmacol., 2003, 479, 249-262
【非特許文献13】Houghton et al., 31st Society of Neuroscience Meeting Abstracts 2001, 27 (Abs 283.1)
【非特許文献14】Wolin et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry, 2004, 12, 4477-4492
【非特許文献15】Wolin et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry, 2004, 12, 4493-4509
【非特許文献16】Wolin et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry, 2004, 12, 4511-4532
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、グリシントランスポータータイプ2(Glysine transporter type2: GlyT2)に対する優れた阻害作用を有する新規化合物、その製造方法、その使用、並びに前記化合物を含有する医薬組成物等を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者等は、鋭意研究の結果、グリシントランスポータータイプ2(Glysine transporter type2: GlyT2)に対する優れた阻害作用を有するノルバリン誘導体を見出した。また、これを有効成分としてなる医薬組成物を創製して本発明を完成した。 すなわち、本発明は、一般式〔I〕
【0018】
【化1】

【0019】

〔式中の記号は、以下の意味を表す。
X: −CH− 、−O− 、 −S− 又は 単結合 を表す。
Ar: 置換されていてもよいアリール または 置換されていてもよい低級シクロアルキル を表す。
n:0〜2の整数を表す。
、R: 以下の(i)、(ii)又は(iii) を表す。
(i) 各々独立して水素原子又は低級アルキル;
(ii) RとRが一体となって低級アルキレンを形成する; 又は
(iii) Rが

【0020】
を表す場合において、Rが水素原子又は低級アルキルを表し、RがR又はRと一体となって低級アルキレンを形成する。

、R:以下の(i)、(ii)又は(iii) を表す。
(i) 各々独立して水素原子又は低級アルキル;
(ii) RとRが一体となって低級アルキレンを形成する; 又は
(iii) Rが

【0021】
を表す場合において、Rが水素原子又は低級アルキルを表し、
がR又はRと一体となって低級アルキレンを形成する。

R:

【0022】
又は −OR を表す。
、R: 以下の(i)、(ii)又は(iii) を表す。
(i) 各々独立して、ヒドロキシル基で置換されていてもよい低級アルキルまたは水素原子;
(ii) RとRが隣接する窒素原子と一体となって、置換されていてもよい含窒素脂肪族5〜6員複素環式基を形成する; 又は
(iii) Rがヒドロキシル基で置換されていてもよい低級アルキルまたは水素原子を表し、RがR又はRと一体となって低級アルキレンを形成する。
:低級アルキルを表す。
但、R及びRが隣接する窒素原子と一体となってモルホリン環を形成する時、
Arはハロゲン原子、メトキシ又はフェニル以外の置換基を少なくとも一つ有する。
また、Rが−OR であり かつ Xが単結合である時、
Arは、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいナフチル 又は 置換されていてもよい低級シクロアルキル である。〕
で示されるノルバリン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩に関する。

また、前記一般式[I]で示されるノルバリン誘導体又はその薬理的に許容しうる塩を有効成分としてなる医薬組成物に関する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の化合物〔I〕又はそのその薬理的に許容し得る塩はグリシントランスポータータイプ2(Glysine transporter type2: GlyT2)に対する優れた阻害作用を有する。本発明の化合物を有効成分として含有する医薬組成物は、グリシントランスポータータイプ2(Glysine transporter type2: GlyT2)の阻害により改善が見込まれる疾患もしくは症状(疼痛など)の治療又は予防のために有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の目的化合物[I]には、光学異性体が存在し得る。本発明は、これら異性体のいずれをも含み、また、その混合物をも含むものである。
【0025】
本発明において、低級アルキル基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルホニル基、低級アルコキシ基、低級アルキルアミノ基としては、炭素数1〜6(C1-6)の直鎖状または分岐鎖状のものが挙げられ、とりわけ炭素数1〜4(C1-4)のものが挙げられる。
また、低級アルカノイル基、低級アルカノイルアミノ基としては、炭素数2〜7(C2-7)のものが挙げられ、とりわけ炭素数2〜5(C2-5)のものが挙げられる。
低級アルカノイル基としては、低級アルキル−CO− 又は 低級シクロアルキル−CO−のいずれも含まれる。
低級シクロアルキル基、低級シクロアルケニル基としては、炭素数3〜8(C3-8)、のものが挙げられ、とりわけ炭素数3〜6(C3-6)のものが挙げられる。
低級アルキレン基としては、炭素数1〜6(C1-6)のものが挙げられ、とりわけ炭素数1〜4(C1-4)の直鎖状または分岐鎖状のものが挙げられる。
低級アルケニル基、低級アルケニレン基としては、炭素数2〜7(C2-7)のものが挙げられ、とりわけ炭素数2〜5(C2-5)のものが挙げられる。
さらにハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素等が挙げられる。
また、置換基を有していてもよいアミノ基としては、非置換アミノ基 及び 非環状のモノ又はジ置換アミノ基の他、環状アミノ基(具体的には、例えば、1−ピロリジニル、1−ピペリジル、1−ピペラジニル、モルホリン−4−イル等)が含まれる。
【0026】
本発明の目的化合物[I]において、Arで表される「置換されていてもよいアリール」のアリール部分としては、単環もしくは二環式のアリールが挙げられ、単環もしくは二環式の芳香族炭化水素基が含まれる他、単環もしくは二環式の芳香族複素環式基(ヘテロアリール)が含まれる。かかるアリールとしては、具体的には、例えば、フェニル、ナフチル などが挙げられる。
【0027】
Arで表される「置換されていてもよい低級シクロアルキル」の低級シクロアルキル部分としては、炭素数3〜8(C3-8)のものが挙げられ、このうち炭素数3〜6(C3-6)のものが好ましい。かかる低級シクロアルキルとしては、具体的には、例えば、シクロヘキシル などが挙げられる。
【0028】
Arで表される「置換されていてもよいアリール」または「置換されていてもよい低級シクロアルキル」における置換基は、1又は複数(好適には1〜3個)あっても良く、かかる置換基としては、ハロゲン原子(Cl、F等); ニトロ基; シアノ基; ヒドロキシル基;
置換されていてもよいアミノ基
(例えば、低級アルキル及びホルミルから選択される1又は2個の基で置換されていてもよいアミノ基等);
C1-7アルキル;
置換されていてもよいC1-12アルコキシ
〔例えば、ハロゲン原子、低級アルキル及びハロ低級アルキルから選択される基で置換されていてもよいフェニル等で置換されていてもよい低級アルコキシ等〕;
低級シクロアルコキシ;
低級アルキルチオ基;
置換されていてもよいフェニル
(例えば、ハロゲン原子、低級アルキルおよび低級アルコキシから選択される基で置換されていてもよいフェニル等);
置換されていてもよいピペリジル
(例えば、低級アルキルおよびフェニルから選択される基で置換されていてもよい1-ピペリジル等);
置換されていてもよいフェノキシ(例えば、ハロゲン原子等で置換されていてもよいフェノキシ等);
等が挙げられる。
【0029】
、R、R又はR で表される低級アルキルとしてはメチル等が挙げられる。
【0030】
とR 又は RとR が一体となって形成される低級アルキレンとしては、n-プロパン-1,3-ジイル、n-ブタン-1,4-ジイル などが挙げられる。
【0031】
とR、RとR、又は RとR が一体となって形成される低級アルキレンとしては、n-プロパン-1,3-ジイル、n-ブタン-1,4-ジイル などが挙げられる。
【0032】
又はRで表される「置換されていてもよい低級アルキル」の低級アルキル部分としては、メチル等が挙げられ、置換基は、1又は複数(好適には1〜3個)あっても良く、かかる置換基としては、ヒドロキシル基などが挙げられる。
【0033】
とRが隣接する窒素原子と一体となって形成する「置換されていてもよい含窒素脂肪族5〜6員複素環式基」の含窒素脂肪族5〜6員複素環部分としては、1−ピロリジニル、1−ピペリジル、1−ピペラジニル、モルホリン−4−イル 等が挙げられる。これらのうち、1−ピロリジニル、1−ピペリジル、1−ピペラジニルが好ましく、とりわけ1−ピロリジニルが好ましい。
「置換されていてもよい含窒素脂肪族5〜6員複素環式基」における置換基(環上の置換基)は、1又は複数(好適には1〜3個)あっても良く、かかる置換基としては、低級アルキル基(メチル等)が挙げられる。
で表される低級アルキルとしては、メチル等が挙げられる。
【0034】
本発明の化合物[I]のうち、好ましい化合物群としては、
一般式〔Ia〕
【0035】
【化2】

【0036】
〔式中の記号は、前記と同一意味を有する。〕
で示される化学構造を有する化合物群が挙げられる。

また、本発明の化合物[I]もしくは前記化合物群のうち、Xが−CH− である化合群が挙げられる。
また、本発明の化合物[I]もしくは前記化合物群のうち、Xが −O− である化合群が挙げられる。
また、本発明の化合物[I]もしくは前記化合物群のうち、Xが −S− である化合群が挙げられる。
また、本発明の化合物[I]もしくは前記化合物群のうち、Xが 単結合 である化合群が挙げられる。
また、本発明の化合物[I]もしくは前記化合物群のうち、Arが、置換フェニル及び置換ナフチルから選択される基である化合物群が挙げられる。
また、本発明の化合物[I]もしくは前記化合物群のうち、Rが

【0037】
である化合物群が挙げられる。
また、具体的には、後記製造例に示された各化合物のフリー体又はその薬理的に許容し得る塩が挙げられる。
【0038】
本発明の化合物[I]は、遊離の形でも、薬理的に許容し得る塩の形でもよい。 薬理的に許容しうる塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩又は臭化水素酸塩の如き無機酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩又はマレイン酸塩の如き有機酸塩等が挙げられる。また、カルボキシル基等の置換基を有する場合には塩基との塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩又はカルシウム塩の如きアルカリ土類金属塩)が挙げられる。
【0039】
本発明の化合物[I]又はその塩は、その分子内塩や付加物、それらの溶媒和物或いは水和物等をいずれも含むものである。
【0040】
本発明の目的化合物[I]又はその薬理的に許容しうる塩は、グリシントランスポータータイプ2(Glysine transporter type2: GlyT2)に対する優れた阻害作用を有する。またその作用はGlyT2に対して高い選択性を示す。
すなわち、グリシントランスポータータイプ1(GlyT1)(より詳細にはGlyT1b等)に対する阻害活性と比較してグリシントランスポータータイプ2(GlyT2)に対してより高い阻害活性を有する。
【0041】
また、本発明の目的化合物[I]又はその薬理的に許容しうる塩は、そのGlyT2に対する阻害作用を介して、種々の薬効を発揮する。従って、本発明の目的化合物[I]又はその薬理的に許容しうる塩、又はこれを有効成分として含有する医薬組成物は、GlyT2の阻害のために使用できる。また、該化合物または該医薬組成物は、GlyT2の阻害によって改善が見込まれる疾患や症状の治療又は予防のために使用できる。
【0042】
GlyT2の輸送活性に対する阻害作用を有する化合物(GlyT2阻害薬)は、脊椎動物の生体内に投与した場合、そのGlyT2阻害作用を通じて、脊髄のグリシン作動性神経終末におけるグリシンレベルを上昇させると考えられる。そして、GlyT2阻害薬は、そのGlyT2阻害作用を通じて、
筋痙攣(muscle spasticity)、耳鳴(tinnitus)、癲癇(epilepsy)、疼痛 (pain)などの治療のため、例えば、筋弛緩薬、麻酔薬、鎮痛薬として有用と考えられる
〔Isaac et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 2001, 11,1371-1373;
WO2003/10132(AkzoNobel);
Caulfield et al., J. Med. Chem., 2001,44:2679-2682;
Ho et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 2004, 14, 545-548;
Friauf et al., J. Comp. Neurol., 1999, 412, 17-37;
Simpson et al., Neurochem. Res., 1996, 21, 1221-1226;
Huang et al., Neurol. Res., 2000, 22, 160-164;
Gomeza et al., Curr. Opin. Drug Discovery Dev., 2003, 6, 675-682;
Aragon., Eur. J. Pharmacol., 2003, 479, 249-262〕。
【0043】
また、GlyT2阻害薬は、そのGlyT2阻害作用を通じて、泌尿器疾患(urological disorder)の治療のために有用と考えられる〔WO2005/94808(Bayer Healthcare)〕。
【0044】
従って、本発明の目的化合物[I]又はその薬理的に許容しうる塩、またはこれを有効成分として含有する医薬組成物は、そのGlyT2の輸送活性を阻害するために使用することができる。また、脊椎動物の生体内に投与して、そのGlyT2阻害作用を通じて、脊髄のグリシン作動性神経活性を高めるために使用できる。
【0045】
さらに、GlyT2に対する阻害により改善が見込まれるこれら疾患又は症状、すなわち、筋痙攣(muscle spasticity)、耳鳴(tinnitus)、癲癇(epilepsy)、疼痛 (pain)〔とりわけ炎症性疼痛(inflammatory pain)、神経因性疼痛 (neuropathic pain)等〕および泌尿器疾患(urological disorder)等の治療又は予防のために好適に使用できる。
【0046】
本発明の化合物[I]又はその薬理的に許容しうる塩の有効量を患者に投与する治療又は予防方法も、前記目的に適用され、本発明に含まれる。また、本発明の化合物[I]又はその薬理的に許容しうる塩の、医薬の製造のための使用も、前記目的に適用され、本発明に含まれる。
【0047】
本発明の化合物のGlyT2に対する阻害作用及び薬理学的効果は、以下のような既知方法もしくはそれらと同等の方法により確認できる。
【0048】
グリシントランスポーター(GlyT2及びGlyT1)に対する阻害作用は、
GlyT1あるいはGlyT2を発現した細胞を用いて検出できる。GlyT2に対する化合物の選択性については、GlyT2に対する阻害活性とGlyT1に対する阻害活性を比較することにより判定することができる。
GlyT2,GlyT1発現細胞によるグリシンの取込み阻害作用の検出は、文献
(Caulfield et al., J. Med. Chem., 2001, 44, 2679-2682;
Williams et al., Anal. Biochem., 2003, 321, 31-37;
Morrow et al., FEBS Letters, 1998, 439, 334-340;等)
記載の方法により実施できる。
【0049】
炎症性疼痛に対する作用は,マウスあるいはラットを用いた次のような試験系にて検出することができる。
・ホルマリン試験
(Bannon et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 1998, 285, 787-794)
・炎疼痛モデル
(Taniguchi et al., Br. J. Pharmacol., 1997, 122, 809-812;
Clayton et al., Pain, 2002, 96, 253-260;
Walker et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 2003, 304, 56-62)
・熱傷モデル
(Nozaki-Taguchi et al., Neurosci. Lett., 1998, 254, 25-28)
・術後痛モデル
(Brennan et al., Pain, 1996, 64, 493-501)

また、神経因性疼痛に対する作用は、マウスあるいはラットを用いた次のような試験系で検出することができる。
・絞扼性神経損傷モデル
(Bennett et al., Pain, 1988, 33, 87-107)
・脊髄神経結紮モデル
(Kim et al., Pain, 1992, 50, 355-363)
・坐骨神経部分結紮モデル
(Seltzers et al., Pain, 1990, 43, 205-218)
・糖尿病性神経障害モデル
(Bannon et al., Brain Res., 1998, 801, 158-163)

本発明の化合物[I]又はその薬理的に許容しうる塩を、有効成分として医薬用途に使用する場合、投与方法に応じた不活性な担体とともに用い、慣用の医薬製剤(錠剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤、溶液、懸濁液、乳液、注射剤、点滴剤等)として製剤化して用いることができる。かかる担体としては、例えば、一般的な医薬において許容される結合剤(アラビアゴム、ゼラチン、ソルビット、ポリビニルピロリドン等)、賦形剤(乳糖、砂糖、コーンスターチ、ソルビット等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール等)、崩壊剤(バレイショデンプン等)などが挙げられる。注射剤や点滴剤とする場合は、注射用蒸留水、生理的食塩水、ブドウ糖水溶液などを用いて製剤化することができる。
【0050】
本発明の化合物[I]又はその薬理的に許容しうる塩を、医薬用途に使用する場合の投与方法は、特に限定されず、一般的な経口もしくは非経口的な方法(静脈内、筋肉内、皮下、経皮、経鼻、その他経粘膜、経腸など)を適用することができる。
【0051】
本発明の化合物[I]又はその薬理的に許容し得る塩を、医薬用途に使用する場合の投与量は、有効成分とする化合物のポテンシーや特性に応じ、薬効を発現するのに十分な有効量の範囲で、適宜設定すればよい。投与量は、投与方法、患者の年令、体重、状態によっても異なるが、一般的な投与量、例えば1日当たり、0.001〜300mg/kgの範囲で適切な量に設定される。
【0052】
本発明の目的化合物[I]は、下記〔A法〕又は〔B法〕により製造することができるが、これらに限定されるものではない。
〔A法〕
【0053】
【化3】

【0054】

本発明の目的化合物[I]は、例えば以下のようにして製造することができる。
まず、一般式〔11〕
(式中、Qはアミノ基保護基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する。)
で示される化合物またはその塩を、一般式〔12〕
(式中、記号は前記と同一意味を有する。)
で示される化合物またはその塩と反応させ、
一般式〔13−a〕
(式中、記号は前記と同一意味を有する。)
で示される化合物又はその塩を得る。
化合物〔13−a〕又はその塩から、アミノ基保護基を除去することにより
一般式〔13−b〕
(式中、記号は前記と同一意味を有する。)
で示される化合物又はその塩を得る。
化合物〔13−b〕又はその塩を一般式〔14〕
(式中、記号は前記と同一意味を有する。)
で示される化合物又はその塩と反応させ、所望により生成物を薬理学的に許容し得る塩とすることにより目的化合物[I]を製造することができる。
【0055】
Qで表されるアミノ基保護基としては、t−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、トリフルオロアセチル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基等の慣用のアミノ基保護基をいずれも好適に使用できる。
【0056】
化合物〔11〕、〔12〕、〔13-a〕、〔13-b〕及び〔14〕の塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩等の無機酸との塩、あるいは、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩等が使用できる。
【0057】
前記A法における反応は、例えば以下のようにして実施することができる。
【0058】
化合物〔11〕又はその塩と化合物〔12〕又はその塩との反応は、適当な溶媒中、縮合剤の存在下、必要に応じ添加剤及び/又は塩基の存在下又は非存在下に実施することができる。
【0059】
縮合剤としては、EDC(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド)又はその塩酸塩、DCC(ジシクロへキシルカルボジイミド)、
1,3−ジイソプロピルカルボジイミド、DEPC(ジエチルリン酸シアニド)、
O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、クロロギ酸エステル類(例えば、クロロギ酸エチル、クロロギ酸イソブチル等)、2,4,6-トリクロロベンゾイルクロリド、カルボニルジイミダゾール等を好適に用いることができる。
【0060】
また、反応を促進させるか、或は、副反応(ラセミ化など)を防ぐために、
1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール、
3,4-ジヒドロ-3-ヒドロキシ-4-オキソ-1,2,3-ベンゾトリアジン、1−ヒドロキシスクシンイミド、ジメチルアミノピリジンなどの添加剤を上記縮合剤とともに添加することもできる。
【0061】
塩基としては、有機塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン等)、炭酸アルカリ金属(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、アルカリ金属(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)等を好適に用いることができる。
【0062】
本反応は、−20〜100℃、とりわけ 0〜40℃で好適に進行する。
溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよく、例えば、
アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、酢酸エチル、トルエン、塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロホルム、N,N-ジメチルアセトアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1-メチル-2-ピロリジノン、1,2-ジメトキシエタン、キシレン 又はこれらの混合溶媒を適宜用いることができる。
【0063】
化合物〔13-a〕又はその塩からのアミノ基保護基(Q)の除去は、常法により実施でき、例えば、適当な溶媒中又は無溶媒で、トリフルオロ酢酸などを用いた酸処理、塩基処理又は接触還元により実施することができる。
【0064】
化合物〔13-b〕又はその塩と化合物〔14〕又はその塩との反応は、
前記化合物〔11〕又はその塩と化合物〔12〕又はその塩との反応と同様にして実施できる。

〔B法〕
【0065】
【化4】

【0066】
本発明の目的化合物[I]は、例えば以下のようにして製造することもできる。
まず、一般式〔15〕
(式中、Yはカルボキシル基の保護基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する。)
で示される化合物またはその塩を、前記化合物〔14〕又はその塩と反応させ、
一般式〔16−a〕
(式中、記号は前記と同一意味を有する。)
で示される化合物又はその塩を得る。
化合物〔16−a〕又はその塩から、カルボキシル基保護基を除去することにより
一般式〔16−b〕
(式中、記号は前記と同一意味を有する。)
で示される化合物又はその塩を得る。
化合物〔16−b〕又はその塩を前記化合物〔12〕又はその塩と反応させ、
所望により生成物を薬理学的に許容し得る塩とすることにより目的化合物[I]を製造することができる。
【0067】
Yで表されるカルボキシル基の保護基としては、メチル基、ベンジル基、アリル基、t−ブチル基等の慣用のカルボキシル基保護基をいずれも好適に使用できる。
【0068】
化合物〔12〕及び〔14〕の塩としては、前記と同様の塩が使用でき、
化合物〔15〕、〔16-a〕及び〔16-b〕の塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩等の無機酸との塩、あるいは、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩等が使用できる。
【0069】
前記B法における反応は、例えば以下のようにして実施することができる。
化合物〔15〕又はその塩と化合物〔14〕又はその塩との反応は、前記化合物〔11〕又はその塩と化合物〔12〕又はその塩との反応と同様にして実施できる。
【0070】
化合物〔16-a〕又はその塩からのカルボキシル基保護基(Y)の除去は、常法により実施でき、例えば、適当な溶媒中、アルカリ加水分解を行うことにより実施できる。あるいは、適当な溶媒中又は無溶媒で、パラジウム触媒を用いた還元による加水素分解、トリフルオロ酢酸又は塩化水素などを用いた酸処理などにより実施することができる。
【0071】
化合物〔16-b〕又はその塩と化合物〔12〕又はその塩との反応は、前記化合物〔11〕又はその塩と化合物〔12〕又はその塩との反応と同様にして実施できる。
【0072】
前記A法およびB法における原料化合物は、既知方法及び/または後記参考例に記載の方法と同様にして製造できる。
【0073】
また、前記製造方法(A法またはB法)により製造される目的化合物〔I〕は、さらに、後記実施例に記載の方法及び/または既知方法又はそれらの組合せによって、別の目的化合物〔I〕に構造変換することができる。
【0074】
上記のようにして製造される本発明の化合物[I]もしくはその原料化合物は、遊離のままあるいはその塩として単離され、精製される。塩は、通常用いられる造塩処理に付すことにより製造できる。単離精製は、抽出、濃縮、結晶化、ろ過、再結晶、各種クロマトグラフィーなど通常の化学的操作を適用して実施できる。
【0075】
本発明化合物には、ラセミ体、光学活性体、ジアステレオマーなどの光学異性体が単独であるいは混合物として存在し得る。立体化学的に純粋な異性体は、立体化学的に純粋な原料化合物を用いるか、あるいは一般的なラセミ分割法にて光学異性体を分離することにより導くことができる。また、ジアステレオマーの混合物は、常法、例えば分別結晶化またはクロマトグラフィーなどにより分離できる。
【0076】
以下、実施例をもって本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。
【0077】
末尾の表A1、表A2、表B 及び 参考例表には、製造例および参考例の化合物の化学構造式および物性値などを示す。
【0078】
表中、MS・APCI(m/z)、MS・ESI(m/z)及びMS・EI(m/z)は、質量分析値を表す。
(APCI:大気圧化学イオン化マススペクトル、ESI:エレクトロスプレーイオン化マススペクトル、EI:電子イオン化マススペクトル)
また、本明細書中の略号
「Me」はメチル基、
「Et」はエチル基、
「Bu」はブチル基、
「Boc」はtert-ブトキシカルボニル基、
「Ts」はp−トルエンスルホニル基 を各々表す。
【実施例】
【0079】
実験例1 グリシン取込みアッセイ〔GlyT2及びGlyT1アッセイ〕
文献〔Caulfield ら(J. Med. Chem., 2001, 44, 2679-2682), Williams ら(Anal. Biochem., 2003, 321, 31-37等) 及び/又は Morrowら (FEBS Letters, 1998, 439: 334-340)〕に記載のように、GlyT2もしくはGlyT1を発現している細胞を用いたグリシン取込みアッセイにより、GlyT2及びGlyT1に対する阻害活性を測定した。
【0080】
アッセイは、概略、以下のように実施した。
ヒトGlyT2又はヒトGlyT1b遺伝子が恒常的にトランスフェクトされたHEK293細胞を用いた。これら細胞を、96穴シンチレーテイングマイクロプレート(商品名:Cytostar-T)中 (20,000-40,000 cells/well) にて、一晩培養した後、培養液を除去し、14Cで標識したグリシン(10μM)及び各種濃度の被験化合物を含むHEPES緩衝溶液を添加した。プレートを室温で2〜3時間インキュベートした後、プレートカウンターにてカウントした。シグモイド型用量反応曲線をあてはめることにより、データを解析してIC50値(50%阻害を生じる被験化合物の濃度)を得た。
【0081】
アッセイの結果、製造例1.026の化合物は、GlyT2に対して特異的な阻害活性を示した。すなわち、 GlyT2 アッセイにおけるIC50値は 10 nMより小さく、一方、 GlyT1 アッセイにおけるIC50値は、GlyT2 アッセイにおける値の100倍を超えていた。
【0082】
製造例1.001
(1)tert-ブトキシカルボニル-L-ノルバリン1.50g、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩1.99gおよび1-ヒドロキシベンゾトリアゾール933mgのクロロホルム20ml溶液に、N,N-ジメチルエチレンジアミン0.758mlおよびトリエチルアミン0.962mlを順次添加し、混合物を室温で16時間攪拌した。反応混合物に水30mlを加え、10分間激しく攪拌した後、有機相を分取した。水層から更にクロロホルムで抽出した。有機相を合わせ、1%炭酸カリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶媒:メタノール-クロロホルム(1:10)]で精製することにより、N2-(tert-ブトキシカルボニル)-N1-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-L-ノルバリンアミド1.67gを得た。
【0083】
MS-APCI(m/z): 288 [M+H]+
(2)前記(1)で得られた化合物1.67gのジオキサン5ml溶液に4規定の塩化水素ジオキサン溶液5mlを添加し、混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物にジエチルエーテルを加え、室温で更に30分間攪拌した。析出した粉末を濾取し、減圧下乾燥することにより、N1-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-L-ノルバリンアミド 2塩酸塩1.5gを得た。
【0084】
MS-APCI(m/z): 188 [M+H]+
(3)前記(2)で得られた化合物1.0g、4-ヘキシルオキシ安息香酸854mgおよび1-ヒドロキシベンゾトリアゾール513mgのN,N-ジメチルホルムアミド20ml溶液に、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩1.09gおよびトリエチルアミン2.1mlを順次添加し、混合物を室温で15時間攪拌した。反応混合物に水100mlを加え、10分間激しく攪拌した後、酢酸エチルで抽出した。有機相を水、1%炭酸カリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶媒:アンモニア水-メタノール-クロロホルム(1:2:20)]で精製した後、イソプロピルエーテルから再結晶することにより、N-[(1S)-1-[[[2-(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]カルボニル]ブチル]-4-(へキシルオキシ)ベンズアミド (後記表、製造例1.001) 845mgを得た。
【0085】
製造例1.002〜1.035
前記製造例1.001と同様に処理することにより、後記表、製造例 1.002〜1.035の化合物を得た。
【0086】
製造例1.036
(1)製造例1.001と同様にして、N-[(1S)-1-[[[1-(ジメチルアミノ)シクロペンチル]メチル]アミノ]カルボニル]ブチル]-4-(へキシルオキシ)-3-(ニトロ)ベンズアミドを得た。
【0087】
(2)前記(1)で得られた化合物207mgのメタノール12ml溶液に、10%パラジウム炭素触媒100mgを添加した。混合物を常圧にて接触水素添加した。5時間後、触媒を濾別し、濾液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[NH][溶媒:メタノール-クロロホルム(1:10)]で精製することにより、3-アミノ-N-[(1S)-1-[[[1-(ジメチルアミノ)シクロペンチル]メチル]アミノ]カルボニル]ブチル-4-(へキシルオキシ)ベンズアミド (後記表、製造例1.036)187mgを得た。
【0088】
製造例1.037〜1.081
製造例1.001と同様にして、後記表、製造例1.037〜1.081の化合物を得た。
【0089】
製造例1.082
N-[(1S)-1-[[[1-(ジメチルアミノ)シクロペンチル]メチル]アミノカルボニル]ブチル]-4-ヘキシルオキシ-3-メトキシメトキシベンズアミド(製造例1.001と同様に合成したもの)17mgのジオキサン3ml溶液に4N塩化水素ジオキサン溶液3mlを添加し、混合物を室温で2時間攪拌した。反応液を減圧濃縮した。残渣をジエチルエーテルで洗浄することにより、N-[(1S)-1-[[[1-(ジメチルアミノ)シクロペンチル]メチル]アミノカルボニル]ブチル]-4-ヘキシルオキシ-3-ヒドロキシベンズアミド塩酸塩(後記表、製造例1.082)15mgを得た。
【0090】
製造例2.001
原料化合物としてtert-ブトキシカルボニル-L-ノルバリンに代えて、
N-[(1,1-ジメチルエトキシ)カルボニル]-O-メチル-L-セリン
を用い、前記製造例1.001と同様に処理することにより、後記表、製造例 2.001の化合物を得た。
【0091】
製造例2.002〜2.010
製造例2.001と同様にして、後記表、製造例2.002〜2.010の化合物を得た。
【0092】
製造例2.011
(1) N-[(1,1-ジメチルエトキシ)カルボニル]-O-メチル-L-セリン
439mgと4-アミノ-1-ベンジルピペリジン381mgを製造例1.001(1)と同様に処理することにより、[(1S)-1-(メトキシメチル)-2-オキソ-2-[[1-(フェニルメチル)-4-ピペリジル]アミノ]エチル]-カルバミン酸 1,1-ジメチルエチルエステル を得た。
【0093】
MS-APCI(m/z): 392[M+H]+

(2) 前記(1)で得られた化合物815mgのメタノール15ml溶液に20%水酸化パラジウム−炭素触媒250mgを加えた。混合物を水素雰囲気下、2時間激しく攪拌した。反応液から触媒を濾別後、濾液を減圧濃縮した。残渣をジクロロメタン10mlに溶解し、氷浴で冷却した。激しく攪拌しながら、4規定水酸化ナトリウム水溶液1mlと2,2,2-トリクロロエチルクロロホルメート508mgのジクロロメタン1ml溶液を同時滴下した。更に30分間攪拌後、有機相を分取した。水槽からクロロホルムで抽出後、有機相を合わせ、水および飽和食塩水で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶媒:へキサン−酢酸エチル2:3]で精製することにより、4-[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(メトキシ)プロピオニルアミノ]ピペリジン-1-カルボン酸 2,2,2-トリクロロエチルエステル
840mgを得た。
【0094】
MS-APCI(m/z): 476/478[M+H]+

(3) 前記(2)で得られた化合物839mgを製造例1.001(2)と同様に処理することにより、
4-[(2S)-2-アミノ-3-(メトキシ)プロピオニルアミノ]ピペリジン-1-カルボン酸 2,2,2-トリクロロエチルエステル 塩酸塩594mgを得た。
【0095】
MS-APCI(m/z): 376/378[M+H]+

(4) 前記(3)で得られた化合物250mgと4-ベンジルオキシ-3,5-ジメトキシ安息香酸174mgを製造例1.001(3)と同様に処理することにより、
4-[(2S)-2-(4-ベンジルオキシ-3,5-ジメトキシ-ベンゾイルアミノ)-3-メトキシプロピオニルアミノ]ピペリジン-1-カルボン酸 2,2,2-トリクロロエチルエステル
367mgを得た。
【0096】
MS-APCI(m/z): 646/648[M+H]+

(5) 前記(4)で得られた化合物365mgのテトラヒドロフラン15ml溶液に、アセテートバッファー3mlおよび亜鉛末1.5gを加え、室温で4.5時間攪拌した。析出物を濾過にて除いた後、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣にクロロホルムと飽和重曹水を加え、有機相を分取した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[NH][溶媒:クロロホルム−メタノール 1:0〜20:1]で精製することにより、3,5-ジメトキシ-N-[(1S)-1-(メトキシメチル)-2-オキソ-2-(4-ピペリジルアミノ)エチル]-4-フェニルメトキシベンズアミド (後記表、製造例2.011)246mgを得た。
【0097】
製造例3.001
(1)L-ノルバリン メチルエステル 塩酸塩1.68g、4-ヘキシルオキシ安息香酸2.22gおよび1-ヒドロキシベンゾトリアゾール1.35gのクロロホルム30ml溶液に、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩2.87gおよびトリエチルアミン2.8mlを順次添加し、混合物を室温で5時間攪拌した。反応混合物に水30mlを加え、10分間激しく攪拌した後、有機相を分取した。水層から更にクロロホルムで抽出した。有機相を合わせ、1%塩酸、水、2%炭酸カリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶媒:酢酸エチル-へキサン(1:5)]で精製することにより、N-[4-(ヘキシルオキシ)ベンゾイル]-L-ノルバリン メチルエステル3.21gを得た。
【0098】
MS-APCI(m/z): 336 [M+H]+
(2)前記(1)で得られた化合物3.20gのメタノール20ml溶液を氷浴で冷却し、4規定の水酸化ナトリウム水溶液6mlを添加した。混合物を室温で1.5時間攪拌した。反応液を減圧濃縮後、残渣を水に溶解し、氷浴で冷却した。激しく攪拌しながら、10%塩酸を滴下した。混合溶液からクロロホルムで抽出した。有機相を水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶媒:メタノール-クロロホルム(1:10)]で精製することにより、N-[4-(ヘキシルオキシ)ベンゾイル]-L-ノルバリン 3.1gを得た。
【0099】
MS-ESI(m/z): 320 [M-H]-
(3)前記(2)で得られた化合物64mg、2-(1-メチルピロリジン-2-イル)エチルアミン0.030mlおよび1-ヒドロキシベンゾトリアゾール27mgのクロロホルム3ml溶液に、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩58mgおよびトリエチルアミン0.028mlを順次添加し、混合物を室温で15時間攪拌した。反応混合物に水3mlを加え、10分間激しく攪拌した後、酢酸エチルで抽出した。有機相を水、1%炭酸カリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[NH][溶媒:メタノール-クロロホルム(1:30)]で精製することにより、4-(ヘキシルオキシ)-N-[(1S)-1-[[[2-(1-メチル-2-ピロリジニル)エチル]アミノ]カルボニル]ブチル]ベンズアミド (後記表、製造例3.001)68mgを得た。
【0100】
製造例3.002〜3.003
前記製造例3.001と同様に処理することにより、後記表、製造例 3.002〜3.003の化合物を得た。
【0101】
製造例4.001〜4.003
原料化合物としてtert-ブトキシカルボニル-L-ノルバリンに代えて、
(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチルチオプロピオン酸を用い、
製造例1.001と同様にして、後記表、製造例4.001〜4.003の化合物を得た。
【0102】
製造例5.001〜5.005
原料化合物としてtert-ブトキシカルボニル-L-ノルバリンに代えて、
(2S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-n-ブタン酸を用い、
製造例1.001と同様にして、後記表、製造例4.001〜4.003の化合物を得た。
【0103】
参考例1.01
(1)バニリン酸エチルエステル589mgのアセトン15ml溶液に、炭酸カリウム828mgおよび1-ブロモへキサン0.632mlを順次添加した。混合物を24時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却後、反応混合物から析出物を濾別し、濾液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶媒:酢酸エチル-へキサン(1:5)]で精製することにより、4-ヘキシルオキシ-3-メトキシ安息香酸 エチルエステル840mgを得た。
【0104】
MS-APCI(m/z): 281 [M+H]+
(2)前記(1)で得られた化合物836mgのエタノール15ml溶液を氷浴で冷却し、4規定の水酸化ナトリウム水溶液3mlを添加した。混合物を室温で15時間攪拌した。反応液を減圧濃縮後、残渣を水に溶解し、氷浴で冷却した。激しく攪拌しながら、10%塩酸を滴下した。混合溶液からクロロホルムで抽出した。有機相を水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶媒:メタノール-クロロホルム(1:15)]で精製することにより、4-ヘキシルオキシ-3-メトキシ安息香酸 (後記表、参考例1.01)666mgを得た。
【0105】
参考例1.02〜1.07
前記参考例1.01と同様に処理することにより、後記表、参考例 1.02〜1.07の化合物を得た。
【0106】
参考例1.08
(1)4-ヒドロキシ-3,5-ジメチル安息香酸1.66gのN,N-ジメチルアセトアミド20ml溶液に、炭酸カリウム5.52gおよび1-ブロモへキサン4.2mlを順次添加し、混合物を100℃にて20時間激しく攪拌した。反応液を室温まで冷却後、水にあけ、酢酸エチルで抽出した。有機相を水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶媒:酢酸エチル-へキサン(1:5)]で精製することにより、4-へキシルオキシ-3,5-ジメチル安息香酸 ヘキシルエステル3.34gを得た。
【0107】
MS-APCI(m/z): 335 [M+H]+
(2)前記(1)で得られた化合物3.34gのメタノール40ml溶液に、4規定水酸化ナトリウム水溶液10mlを添加した。混合物を50℃にて24時間攪拌した。反応液を室温まで冷却後、反応混合物を減圧濃縮した。残渣を水に溶解し、氷浴で冷却した。激しく攪拌しながら、10%塩酸を滴下した。混合溶液からクロロホルムで抽出した。有機相を水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶媒:メタノール-クロロホルム(1:10)]で精製することにより、4-へキシルオキシ-3,5-ジメチル安息香酸 (後記表、参考例1.08)2.50gを得た。
【0108】
参考例1.09〜1.10
前記参考例1.08と同様に処理することにより、後記表、参考例 1.09〜1.10の化合物を得た。
【0109】
参考例1.11
(1)4-フェニル-1-ブタノール1.50gおよびピリジン3.2mlの塩化メチレン20ml溶液を氷浴にて冷却し、トシルクロリド2.86gの塩化メチレン10ml溶液を滴下した。混合物を2時間攪拌した。反応液を水、10%塩酸および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶媒:酢酸エチル-へキサン(1:5)]で精製することにより、4-フェニルブチル 4-メチルベンゼンスルホネート1.60gを得た。
【0110】
MS-EI(m/z): 304 [M]+
(2)前記(1)で得られた化合物及び4-ヒドロキシ安息香酸メチルエステルを用い、前記参考例1.01と同様に処理することにより、4-(4-フェニルブトキシ)安息香酸 (後記表、参考例1.11)を得た。


参考例1.12〜1.23
参考例1.01と同様にして、後記表、参考例1.12〜1.23の化合物を得た。
【0111】
参考例1.24〜1.27
参考例1.08と同様にして、後記表、参考例1.24〜1.27の化合物を得た。
【0112】
参考例1.28
(1) 4−フルオロ安息香酸メチルエステル500μlのジメチルアセトアミド5ml溶液にn-へキシルアミン635μlおよび炭酸カリウム0.8gを順次添加した。混合物を20時間80℃で攪拌した。反応液を室温まで冷却し、水を加えた。反応混合物から酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶媒:へキサン−酢酸エチル99:1〜9:1]で精製することにより、4−(へキシルアミノ)安息香酸メチルエステル439mgを得た。
【0113】
MS-APCI(m/z): 236[M+H]+

(2) 前記(1)で得られた化合物400mgのメタノール12ml溶液に4N水酸化ナトリウム水溶液2.1mlを加え、50℃で24時間攪拌した。反応液を室温まで冷却後、メタノールを減圧留去した。残渣の水溶液を氷浴にて冷却しながら、6N塩酸1.4mlを加え中和し、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶媒:へキサン−酢酸エチル9:1〜3:1]で精製することにより、4−(へキシルアミノ)安息香酸 (後記表、参考例1.28) 312mgを得た。
【0114】
参考例1.29〜1.30
参考例1.28と同様にして、後記表、参考例1.29〜1.30の化合物を得た。


参考例1.31
(1) 3,4-ジヒドロキシ安息香酸エチルエステルを、参考例1.01(1)と同様に処理することにより、4−へキシルオキシ−3−ヒドロキシ安息香酸エチルエステルを得た。
【0115】
(2) 前記(1)で得られた化合物100mgのクロロホルム5ml溶液を氷浴にて冷却し、クロロメチルメチルエーテル43μlおよびジイソプロピルエチルアミン96μlを順次添加した。混合物を室温で3日間攪拌した。反応液を水、飽和重曹水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶媒:へキサン−酢酸エチル99:1〜92:8]で精製することにより、4−へキシルオキシ−3−(メトキシメトキシ)安息香酸エチルエステル115mgを得た。
【0116】
MS-APCI(m/z): 328[M+NH4]+

(3) 前記(2)で得られた化合物100mgを参考例1.01(2)と同様に処理することにより、4−へキシルオキシ−3−(メトキシメトキシ)安息香酸 (後記表、参考例1.31) を得た。
【0117】
参考例1.32
(1) バニリン酸エチルエステル500mgのトリフルオロ酢酸5ml溶液にヘキサメチレンテトラミン179mgを加えた。混合物を19時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却し、減圧下濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解し、水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶媒:へキサン−酢酸エチル9:1〜4:1]で精製することにより、3−ホルミル−4−ヒドロキシ−5−メトキシ安息香酸エチルエステル177mgを得た。
【0118】
MS-ESI(m/z): 223[M−H]

(2) 前記(1)で得られた化合物150mgのメタノール15ml溶液に塩酸(1滴)および10%パラジウム−炭素触媒75mgを加えた。混合物を水素雰囲気下、1時間激しく攪拌した。反応液から触媒を濾別後、濾液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶媒:へキサン−酢酸エチル99:1〜95:5]で精製することにより、4−ヒドロキシ−3−メトキシ−5−メチル安息香酸エチルエステル129mgを得た。
【0119】
MS-APCI(m/z): 211[M+H]+

(3) 前記(2)で得られた化合物100mgを、参考例1.01と同様に処理することにより、4−へキシルオキシ−3−メトキシ−5−メチル安息香酸 (後記表、参考例1.32) を得た。
【0120】
参考例1.33
参考例1.32と同様にして、後記表、参考例1.33の化合物を得た。
【0121】
参考例1.34
(1) 4−ヒドロキシ−3−ニトロ安息香酸メチルエステルを参考例1.01(1)と同様に処理することにより、4−へキシルオキシ−3−ニトロ安息香酸メチルエステルを得た。
【0122】
(2) 前記(1)で得られた化合物615mgのメタノール15ml溶液に10%パラジウム炭素触媒150mgを加えた。混合物を水素雰囲気下、2時間激しく攪拌した。反応液から触媒を濾別後、濾液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶媒:へキサン−酢酸エチル5:1]で精製することにより、3−アミノ−4−へキシルオキシ安息香酸メチルエステル445mgを得た。
【0123】
MS-APCI(m/z): 252[M+H]+

(3) 前記(2)で得られた化合物100mgのクロロホルム3ml溶液に1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩159mgおよびギ酸30μlを加えた。混合物を室温で3.5時間攪拌した。反応液を水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶媒:へキサン−酢酸エチル9:1〜4:1]で精製することにより、3−(ホルミルアミノ)−4−へキシルオキシ安息香酸メチルエステル104mgを得た。
【0124】
MS-APCI(m/z): 297[M+NH4]+

(4) 前記(3)で得られた化合物を参考例1.01(2)と同様に処理することにより、3−(ホルミルアミノ)−4−へキシルオキシ安息香酸 (後記表、参考例1.34) を得た。
【0125】
参考例1.35
(1) 6-ブロモ-2-ナフタレンカルボン酸メチルエステル(3.0 g)、フェニルホウ酸(2.07 g)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム)(II) (793 mg)、2M炭酸ナトリウム水溶液(12 ml)およびジメトキシエタン(48 ml)の混合物をアルゴン雰囲気下、80℃で3.5時間攪拌した。反応液を室温に戻した後、酢酸エチルを加え、10時間激しく攪拌した。
【0126】
生じた析出物を濾過にて除去した。濾液を酢酸エチルで希釈し、水及び飽和食塩水で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。
残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶媒:クロロホルム−へキサン2:1]で精製する
ことにより、6-フェニル-2-ナフタレンカルボン酸メチルエステルを得た。
【0127】
MS-APCI(m/z): 263[M+H]+

(2) 前記(1)で得られた化合物410mgのメタノール-テトラヒドロフラン(1:1)20ml懸濁液に、4規定水酸化ナトリウム水溶液1.56mlを加え、80℃で12時間攪拌した。反応液を室温まで冷却後、水で希釈し、ジエチルエーテルで洗浄した。得られた水相に10%塩酸を適下した後、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた粉末状残渣をイソプロピルエーテルで洗浄し、減圧下乾燥することにより、6-フェニル-2-ナフタレンカルボン酸 158mg を得た(後記表 参考例1.35)。
【0128】
参考例1.36〜1.38
参考例1.35と同様にして、後記表、参考例1.36〜1.38の化合物を得た。
【0129】
参考例1.39
(1) 6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸メチルエステル7.0gの酢酸100ml懸濁液を氷浴で冷却し、濃硝酸52.5mlを滴下した。混合物を氷浴で冷却しながら30分間攪拌した。反応液を氷水にあけた後、酢酸エチルで抽出した。有機相を水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶媒:へキサン−酢酸エチル3:1]で精製することにより、6−ヒドロキシ−5−ニトロ−2−ナフタレンカルボン酸メチルエステル5.1gを得た。
【0130】
MS-ESI(m/z): 246[M−H]

(2) 前記(1)で得られた化合物2.93gのクロロホルム100ml溶液を氷浴で冷却し、ピリジン3.83mlおよび無水トリフルオロメタンスルホン酸3.99mlを順次添加した。混合物を室温で19時間攪拌した。反応液を水、5%塩酸および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣にクロロホルムおよびへキサンを加え攪拌後、析出物を濾取することにより、5−ニトロ−6−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)−2−ナフタレンカルボン酸メチルエステル3.51gを得た。
【0131】
MS-APCI(m/z): 397[M+NH4]+

(3) 前記(2)で得られた化合物260mgのジメトキシエタン6ml溶液に、フェニルホウ酸125mg、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウ80mgおよび2M炭酸ナトリウム水溶液を順次添加した。混合物を80℃で3時間攪拌した。反応液を室温まで冷却後、酢酸エチルおよび水を加え、1時間攪拌した。有機相を分取した後、水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶媒:へキサン−酢酸エチル4:1]で精製することにより、5−ニトロ−6−フェニル−2−ナフタレンカルボン酸メチルエステル175mgを得た。
【0132】
MS-APCI(m/z): 308[M+H]+

(4) 前記(3)で得られた化合物を参考例1.01(2)と同様に処理することにより、5−ニトロ−6−フェニル−2−ナフタレンカルボン酸 (後記表、参考例1.39) を得た。
【0133】
参考例1.40
(1) 5−ニトロ−6−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)−2−ナフタレンカルボン酸メチルエステル100mgのアセトにトリル5ml溶液にピペリジン80μlを加えた。混合物を2.5時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶媒:へキサン−酢酸エチル9:1]で精製することにより、5−ニトロ−6−ピペリジノ−2−ナフタレンカルボン酸メチルエステル83mgを得た。
【0134】
MS-APCI(m/z): 315[M+H]+

(2) 前記(1)で得られた化合物80mgをメタノール−テトラヒドロフラン溶液(1:1)6mlに溶解し、4N水酸化ナトリウム水溶液0.32mlを加えた。混合物を、室温で19時間攪拌した。反応液を減圧濃縮した。残渣を水に溶解し、氷浴で冷却しながら、6N塩酸0.215mlを滴下した。室温で1時間攪拌後、析出物を濾取、減圧乾燥することにより、5−ニトロ−6−ピペリジノ−2−ナフタレンカルボン酸 (後記表、参考例1.40) 58mgを得た。
【0135】
参考例1.41
(1) 6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸メチルエステル202mgのクロロホルム10ml溶液に、酢酸銅(II)218mg、モレキュラシーブス4A 200mg、4−フルオロフェニルホウ酸280mgおよびトリエチルアミン0.697mlを順次添加した。混合物を室温で22時間攪拌した。反応液に飽和重曹水を加え、室温で30分間攪拌した。有機相を分取した。水相から更にクロロホルムで抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶媒:へキサン−酢酸エチル9:1]で精製することにより、6−(4−フルオロフェニルオキシ)−2−ナフタレンカルボン酸メチルエステル119mgを得た。
【0136】
MS-APCI(m/z): 297[M+H]+

(2) 前記(1)で得られた化合物を参考例1.40(2)と同様に処理することにより、6−(4−フルオロフェニルオキシ)−2−ナフタレンカルボン酸 (後記表、参考例1.41) を得た。
【0137】
参考例2.01
(1) ジメチルアミン塩酸塩8.16gとアセトン5.81gの混合物を氷浴にて冷却し、青酸カリ6.52gの水50ml溶液を滴下した。混合物を室温で、22時間攪拌した。反応液から酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去することにより2−(ジメチルアミノ)−2−メチルプロピオニトリルを得た。
【0138】
(2) アルゴン雰囲気下、リチウムアルミニウムヒドリド10.36gのテトラヒドロフラン150ml懸濁液を氷浴で冷却し、硫酸13.4gのテトラヒドロフラン30ml溶液を滴下した。混合物をそのまま1時間攪拌した。前記(1)で得られた化合物のテトラヒドロフラン30ml溶液を反応液に滴下した。反応液を氷浴からはずし、1.5時間攪拌した。反応液を再度氷浴で冷却し、水10.4mlおよび4N水酸化ナトリウム水溶液31.2mlを順次滴下した。反応液を氷浴からはずし、12時間攪拌した。析出物を濾過にて除去し、濾液を減圧濃縮した。残渣をジオキサン10mlに溶解し、4N塩化水素ジオキサン溶液を加え、室温で30分間攪拌した。反応液を減圧濃縮した。残渣にエタノール100mlを加え、室温で30分間攪拌した。析出物を濾取、減圧乾燥することにより、2-ジメチルアミノ-2-メチルプロピルアミンニ塩酸塩 (後記表、参考例2.01) 9.7gを得た。


参考例2.02〜2.04
参考例2.01と同様にして、後記表、参考例2.02〜2.04の化合物を得た。
【0139】
参考例2.05
(1) 水素化ナトリウム2.96gのジエチルエーテル懸濁液を氷浴で冷却し、ジエチルシアノメチルホスホネート13.4gのジエチルエーテル30ml溶液を滴下した。続いて、シクロペンタノン5.65gのジエチルエーテル10ml溶液を滴下し、冷却しながら10分間攪拌した。反応液を室温まで昇温したの後、12時間攪拌した。反応液に水を加え、しばらく攪拌後、ジエチルエーテルで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去することによりシクロペンチリデンアセトニトリルを得た。
【0140】
(2) 前記(1)で得られた化合物1gに30%メチルアミン−メタノール溶液11mlを加えた。これを外浴60℃に加熱し封管中で19時間攪拌した。反応液を室温まで冷却後、減圧濃縮した。残渣に酢酸エチルと5%塩酸を加え、水相を分取した。水相を氷浴で冷却し、炭酸カリウムを加えた。水相を減圧濃縮し、残渣にメタノールを加え、不溶物を濾過にて除いた。濾液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[NH] [溶媒:クロロホルム]で精製することにより、(1−(メチルアミノ)シクロペンチル)アセトニトリル479mgを得た。
【0141】
MS-APCI(m/z): 139[M+H]+

(3) 前記(2)で得られた化合物479mgのジクロロメタン20ml溶液に、37%ホルマリン水溶液0.5ml、ナトリウムシアノボロヒドリド240mgおよび酢酸0.6mlを順次添加した。混合物を室温で4時間攪拌した。反応液に炭酸カリウム水溶液を加え、しばらく攪拌後、10%メタノール−クロロホルムで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶媒:クロロホルム−メタノール 10:1]で精製することにより、(1−(ジメチルアミノ)シクロペンチル)アセトニトリル458mgを得た。
【0142】
MS-APCI(m/z): 153[M+H]+

(4) 前記(3)で得られた化合物を参考例2.01(2)と同様に処理することにより、[1−(2−アミノエチル)シクロペンチル]ジメチルアミン ニ塩酸塩 (後記表、参考例2.05) を得た。
【0143】
【表1】

【0144】
【表2】

【0145】
【表3】

【0146】
【表4】

【0147】
【表5】

【0148】
【表6】

【0149】
【表7】

【0150】
【表8】

【0151】
【表9】

【0152】
【表10】

【0153】
【表11】

【0154】
【表12】

【0155】
【表13】

【0156】
【表14】

【0157】
【表15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式〔I〕


〔式中の記号は、以下の意味を表す。
X: −CH− 、−O− 、 −S− 又は 単結合 を表す。
Ar: 置換されていてもよいアリール または 置換されていてもよい低級シクロアルキル を表す。
n:0〜2の整数を表す。
、R: 以下の(i)、(ii)又は(iii) を表す。
(i) 各々独立して水素原子又は低級アルキル;
(ii) RとRが一体となって低級アルキレンを形成する; 又は
(iii) Rが

を表す場合において、Rが水素原子又は低級アルキルを表し、RがR又はRと一体となって低級アルキレンを形成する。

、R:以下の(i)、(ii)又は(iii) を表す。
(i) 各々独立して水素原子又は低級アルキル;
(ii) RとRが一体となって低級アルキレンを形成する; 又は
(iii) Rが

を表す場合において、Rが水素原子又は低級アルキルを表し、
がR又はRと一体となって低級アルキレンを形成する。

R:

又は −OR を表す。
、R: 以下の(i)、(ii)又は(iii) を表す。
(i) 各々独立して、ヒドロキシル基で置換されていてもよい低級アルキルまたは水素原子;
(ii) RとRが隣接する窒素原子と一体となって、置換されていてもよい含窒素脂肪族5〜6員複素環式基を形成する; 又は
(iii) Rがヒドロキシル基で置換されていてもよい低級アルキルまたは水素原子を表し、RがR又はRと一体となって低級アルキレンを形成する。
:低級アルキルを表す。
但、R及びRが隣接する窒素原子と一体となってモルホリン環を形成する時、
Arはハロゲン原子、メトキシ又はフェニル以外の置換基を少なくとも一つ有する。
また、Rが−OR であり かつ Xが単結合である時、
Arは、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいナフチル 又は 置換されていてもよい低級シクロアルキル である。〕
で示されるノルバリン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩を有効成分としてなる医薬組成物。
【請求項2】
一般式〔Ia〕

〔式中の記号は、前記と同一意味を有する。〕
で示される化学構造を有するものである請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
Xが −CH− である請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項4】
Xが −O− である請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項5】
Xが −S− である請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項6】
Xが 単結合 である請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項7】
Arが、置換されていてもよいフェニル 及び 置換されていてもよいナフチルから選択される基である
請求項1〜6のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項8】
Rが

である請求項1〜7のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項9】
とRが隣接する窒素原子と一体となって、形成される
置換されていてもよい含窒素脂肪族5〜6員複素環式基における
含窒素脂肪族5〜6員複素環部分が、1−ピロリジニル、1−ピペリジル または1−ピペラジニルである、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項10】
Arで表される置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよい低級シクロアルキルにおける置換基が、以下の群から選択されるものである、請求項1〜9のいずれか1項記載の医薬組成物。

ハロゲン原子; ニトロ基; シアノ基; ヒドロキシル基;
低級アルキル及びホルミルから選択される1又は2個の置換基を有していてもよいアミノ基; C1-7アルキル;
ハロゲン原子、低級アルキル及びハロ低級アルキルから選択される置換基を有していてもよいフェニルで置換されていてもよい低級アルコキシ;
低級シクロアルコキシ; 低級アルキルチオ基;
ハロゲン原子、低級アルキルおよび低級アルコキシから選択される基で置換されていてもよいフェニル;
低級アルキルおよびフェニルから選択される基で置換されていてもよい1-ピペリジル;
ハロゲン原子で置換されていてもよいフェノキシ。
【請求項11】
とRが隣接する窒素原子と一体となって形成される
「置換されていてもよい含窒素脂肪族5〜6員複素環式基」における置換基が 低級アルキル である、請求項1〜10のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項12】
後記の製造例に示された各化合物のフリー体又はその薬理的に許容し得る塩を有効成分としてなる医薬組成物。
【請求項13】
GlyT2の阻害のための医薬組成物、又は、GlyT2の阻害により改善が見込まれる疾患又は症状の治療又は予防のための医薬組成物である、請求項1〜12のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項14】
疼痛、筋痙攣、耳鳴、癲癇 または 泌尿器疾患の治療又は予防のためのものである、請求項1〜12のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項15】
炎症性疼痛 または 神経因性疼痛の治療又は予防のためのものである、請求項1〜12のいずれか1項記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2008−44933(P2008−44933A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−187893(P2007−187893)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(000002956)田辺三菱製薬株式会社 (225)
【Fターム(参考)】