説明

半導体パッケージの実装方法及び回路基板

【課題】半導体パッケージの発熱の熱歪による接続部の断線を防止でき、接続端子の寿命信頼性を確保できるプリント配線板の接続方法及び回路基板を提供する。
【解決手段】3層以上の銅箔配線層3,4,7,8を含む多層プリント配線板1に、ランドグリッドアレイ型の半導体パッケージ9を実装する半導体パッケージ9の実装方法であって、多層プリント配線板1に、銅箔配線層3,4,7,8のうち最外層7より内側の銅箔配線層3に達する非貫通孔を形成し、半導体パッケージ9の実装の際に、半導体パッケージ9の端子の一部を、非貫通孔内のはんだ16に接合させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に用いられているプリント配線板に半導体パッケージを実装する技術に関し、特にランドグリッドアレイ(以下、「LGA」という)型の半導体パッケージのはんだ付け信頼性を向上させる実装技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯型電子機器を始めとして機器の小型高機能化が進んできている。このようなことから、電子部品の実装には小型薄型化と高集積化とが求められており、半導体パッケージの下面に接続端子をグリッドアレイ状に配列してはんだで接続することにより、小型化を実現している。
【0003】
一方、これらの接続方法は、クワッドフラットパッケージなどのように、リードで接続する方法に比べて接続部の応力緩和が少ない。このため、半導体パッケージの発熱による熱歪による応力によって接続部が断線するといった品質劣化を引き起こし易いといった問題があった。
【0004】
そこで、最も応力のかかり易い4隅に、他の接続端子より大きい面積の補強用の接続端子を配置することにより、応力を分散して信頼性寿命を延ばす技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−162241号公報(第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記のような従来の技術では、補強ランドの面積を大きくすることにより応力緩和の効果が得られるが、半導体パッケージの内に補強ランドを形成する面積には限界がある。
【0006】
また、実装密度の向上に伴って高密度にはんだをマスク印刷する必要から、100ミクロン程度の厚さのステンシルを使うようになっているため、接続端子に供給されるはんだが非常に薄くなっている。このため、前記のような従来の構造では、接続端子にはんだボールを使わないLGA型の半導体パッケージは、マスク印刷で供給されたはんだのみで接続されるため、接続端子部のはんだ厚みが極端に薄くなってしまう。この構造では、はんだの歪変形量が小さいため、はんだによる応力緩和の効果が得られず接合部が破壊し易く、寿命信頼性を十分に確保できないという問題があった。
【0007】
本発明は、前記のような従来の問題を解決するものであり、半導体パッケージの発熱の熱歪による接続部の断線を防止でき、接続端子の寿命信頼性を確保できるプリント配線板の接続方法及び回路基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の半導体パッケージの実装方法は、3層以上の銅箔配線層を含む多層プリント配線板に、ランドグリッドアレイ型の半導体パッケージを実装する半導体パッケージの実装方法であって、前記多層プリント配線板に、前記銅箔配線層のうち最外層より内側の銅箔配線層に達する非貫通孔を形成し、前記半導体パッケージの実装の際に、前記半導体パッケージの端子の一部の端子を、前記非貫通孔内のはんだに接合させることを特徴とする。
【0009】
本発明の回路基板は、3層以上の銅箔配線層を含む多層プリント配線板に、ランドグリッドアレイ型の半導体パッケージが実装された回路基板であって、
前記多層プリント配線板に、前記銅箔配線層のうち最外層より内側の銅箔配線層に達する非貫通孔が形成されており、前記半導体パッケージの端子の一部の端子が、前記非貫通孔内のはんだに接合されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、LGA型半導体パッケージをプリント配線板に接続したときに、半導体パッケージの発熱の熱歪による接続部の断線を防止でき、接続端子の寿命信頼性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明によれば、半導体パッケージの端子と多層プリント配線板との接続部分のはんだの厚さを大きくした部分があるので、LGA型半導体パッケージをプリント配線板に接続したときに、半導体パッケージの発熱の熱歪による接続部の断線を防止でき、接続端子の寿命信頼性を確保することができる。
【0012】
前記本発明の半導体パッケージの実装方法においては、前記一部の端子は、前記半導体パッケージの4隅に設け、前記一部の端子以外の端子より面積を大きくした端子であることが好ましい。この構成によれば、接続端子の寿命信頼性をより高めることができる。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る多層プリント配線板の断面図を示している。図1に示した多層プリント配線板1は、絶縁性のコア樹脂層2を備えており、コア樹脂層2の両面には銅箔配線層3、4を張り合わせている。銅箔配線層3、4にはエッチングなどによって配線パターンが形成されている。コア樹脂層2の両面には、積層樹脂層5、6が配置されており、積層樹脂層5、6にはそれぞれ、銅箔配線層7、8が接着積層されている。銅箔配線層7、8にはエッチングなどによって配線パターンが形成される。
【0014】
図2は、本発明の一実施の形態に係る半導体パッケージの下面の接続端子部の平面図を示している。図2に示した半導体パッケージ9は、導体パターンにより複数の接続端子10が格子状に配列されて形成されている。半導体パッケージ9の4隅には、接続端子10より面積の大きい補強端子11が形成されている。
【0015】
図3は、図1に示した多層プリント配線板のはんだ印刷時の断面図を示している。半導体パッケージ9が実装される面の銅箔配線層7には接続端子10に合わせた接続ランド12が形成されている。また、補強端子11に対応する位置には、積層樹脂層5に非貫通孔である穴13が、レーザーなどによって形成されている。穴13は、はんだ16の充填前においては、銅箔配線層3に配線パターンで形成された補強ランド14が露出している。
【0016】
印刷マスク15は、一様な厚さの金属又は樹脂プレートに多層プリント配線板1の配線パターンに合わせて複数の貫通孔を設けたものである。印刷マスク15と配線パターンとを位置合わせして重ねて配置した後、スキージングによってペースト状のはんだ16を配置する。
【0017】
このとき、接続ランド12の位置には印刷マスク15の厚み分のはんだ16しか供給されないのに対して、補強ランド13の位置には印刷マスク15と積層樹脂層5とを合計した厚み分のはんだ16が供給されることになる。
【0018】
図4は、本発明の一実施の形態に係る回路基板の断面図を示している。本図に示した回路基板は、図2に示した半導体パッケージ9を図1に示した多層プリント配線板にはんだ付けにより実装したものである。図3の状態において、印刷マスク15を除去した後、半導体パッケージ9および他の電子部品を位置合わせして多層プリント配線板1の上に配置し、リフロー加熱する。このことにより、接続端子10と接続ランド12、及び補強端子11と補強ランド14とは、はんだ16を介して機械的及び電気的に接続されることになる。
【0019】
このようなはんだ付けによれば、補強端子11と補強ランド14との間のはんだ16の厚みを厚くすることができるため、半導体パッケージ9の発熱によって接合部にかかる熱歪の応力が緩和されることになる。このため、接続端子の断線が防止でき、寿命信頼性を向上させることができる。
【0020】
なお、前記実施の形態の例では、非貫通孔である穴13が、銅箔配線層3まで達している例で説明したが、さらに下側の銅箔配線層4又は8にまで達するようにしてもよい。
【0021】
また、多層プリント配線板の銅箔配線層が4層の例で説明したが、3層であってもよく、5層以上であってよい。すなわち、銅箔配線層は3層以上であればよく、非貫通孔である穴13は、最外層の銅箔配線層より内側の銅箔配線層に達するようにすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
以上のように、本発明は、半導体パッケージの発熱の熱歪による接続部の断線を防止でき、接続端子の寿命信頼性を確保した半導体パッケージの実装方法及び回路基板が提供できるため、LGA型半導体パッケージを用いた実装方法や回路基板に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施の形態に係る多層プリント配線板の断面図。
【図2】本発明の一実施の形態に係る半導体パッケージの下面の接続端子部の平面図。
【図3】図1に示した多層プリント配線板のはんだ印刷時の断面図。
【図4】本発明の一実施の形態に係る回路基板の断面図。
【符号の説明】
【0024】
1 多層プリント配線板
2 コア樹脂層
3,4,7,8 銅箔配線層
5,6 積層樹脂層
9 半導体パッケージ
10 接続端子
11 補強端子
12 接続ランド
13 穴
14 補強ランド
15 印刷マスク
16 はんだ




【特許請求の範囲】
【請求項1】
3層以上の銅箔配線層を含む多層プリント配線板に、ランドグリッドアレイ型の半導体パッケージを実装する半導体パッケージの実装方法であって、
前記多層プリント配線板に、前記銅箔配線層のうち最外層より内側の銅箔配線層に達する非貫通孔を形成し、
前記半導体パッケージの実装の際に、前記半導体パッケージの端子の一部の端子を、前記非貫通孔内のはんだに接合させることを特徴とする半導体パッケージの実装方法。
【請求項2】
前記一部の端子は、前記半導体パッケージの4隅に設け、前記一部の端子以外の端子より面積を大きくした端子である請求項1に記載の半導体パッケージの実装方法。
【請求項3】
3層以上の銅箔配線層を含む多層プリント配線板に、ランドグリッドアレイ型の半導体パッケージが実装された回路基板であって、
前記多層プリント配線板に、前記銅箔配線層のうち最外層より内側の銅箔配線層に達する非貫通孔が形成されており、
前記半導体パッケージの端子の一部の端子が、前記非貫通孔内のはんだに接合されていることを特徴とする回路基板。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−147775(P2006−147775A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−334654(P2004−334654)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】