説明

半導体レーザ及びその製造方法

【課題】実装の際にワイヤボンディングが不要で、かつ、オーミック抵抗が低い半導体レーザと、その製造方法を提供する。
【解決手段】第1導電型クラッド層20と、活性層30と、電流ブロック部40と、第2導電型クラッド層50と、コンタクト層60と、第1電極70と、第2電極80と、貫通電極90とを備えて構成される。活性層は第1導電型クラッド層の第1の主表面側に形成され、電流ブロック部は第1導電型クラッド層上の活性層の両側に形成されている。第2導電型クラッド層は活性層及び電流ブロック部上に形成され、コンタクト層は第2導電型クラッド層上に形成されている。第1電極は第1導電型クラッド層の第2の主表面上に形成され、第2電極はコンタクト層上に形成されている。貫通電極は、第1導電型クラッド層、電流ブロック部、第2導電型クラッド層及びコンタクト層を貫通する貫通孔内に形成され、第1電極及び第2電極のいずれか一方と電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体レーザ及びその製造方法に関するものであり、特に、オーミック電極を同一面側に設ける、半導体レーザ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体レーザは、例えば、n型基板の第1の主表面側に、下部クラッド層、活性層、p型の上部クラッド層及びコンタクト層を順に備えて構成される。また、n型基板の第2の主表面上と、コンタクト層上に、それぞれオーミック電極が形成され、さらに、オーミック電極上に、表面電極が形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
半導体レーザをキャリアに搭載する場合、上述したようにチップの両面に表面電極が形成されている構成では、一方の面の電極に対して、ワイヤボンディングが必要になる。ワイヤボンディングを用いると、チップの小型化が困難となり、さらに、ワイヤによる寄生リアクタンスの影響が大きく高速変調できないという問題がある。
【0004】
これに対し、半導体レーザのp電極及びn電極をチップの同一面側に設ける技術がある(例えば、特許文献2参照)。p電極及びn電極を同一面側に設けることにより、半導体レーザをコプレーナ線路に実装する際に、ワイヤボンディングが不要になる。このため、チップの小型化が容易になるとともに、ワイヤによる寄生リアクタンスが発生しないため、半導体レーザの高速変調も可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−246667号公報
【特許文献2】特開平7−193312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の従来例の電極をチップの同一面側に設ける半導体レーザでは、p型用のオーミック電極と、n型用のオーミック電極とが同一材料になってしまう場合がある。
【0007】
この場合、p型とn型の両者に対して最適な特性を示す材料の選択ができないため、オーミック抵抗が高くなってしまう。
【0008】
一方、p型とn型のオーミック電極を異なる材料で形成する場合、それぞれに対してフォトリソグラフィ工程が必要になるなど、製造工程が複雑になってしまう。
【0009】
この発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、この発明の目的は、チップの裏面側のオーミック電極と表面側の電極とを電気的に接続する貫通電極を設けることにより、実装の際にワイヤボンディングが不要で、かつ、オーミック抵抗が低い半導体レーザと、その製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成するために、この発明の半導体レーザは、第1導電型クラッド層と、活性層と、電流ブロック部と、第2導電型クラッド層と、コンタクト層と、第1電極と、第2電極と、貫通電極とを備えて構成される。
【0011】
活性層は、第1導電型クラッド層の第1の主表面側に形成されている。電流ブロック部は、第1導電型クラッド層上の、活性層の両側に形成されている。第2導電型クラッド層は、活性層及び電流ブロック部上に形成されている。コンタクト層は、第2導電型クラッド層上に形成されている。第1電極は、第1導電型クラッド層の第2の主表面上に形成されている。第2電極は、コンタクト層上に形成されている。
【0012】
貫通電極は、第1導電型クラッド層、電流ブロック部、第2導電型クラッド層及びコンタクト層を貫通する貫通孔内に形成されている。貫通電極は、第1電極及び第2電極のいずれか一方と電気的に接続されている。
【0013】
上述した半導体レーザの好適な実施形態によれば、第1電極が第1オーミック電極として構成され、第2電極が第2オーミック電極及び第2表面電極で構成され、貫通電極が第1電極と電気的に接続され、コンタクト層上に貫通電極と電気的に接続される貫通電極用表面電極を備え、第1オーミック電極と第2オーミック電極の材質が異なるのが良い。
【0014】
また、上述した目的を達成するために、この発明の半導体レーザの製造方法は、以下の工程を備えるのが良い。
【0015】
先ず、第1導電型基板を用意する。次に、第1導電型基板の第1の主表面上に前駆活性層及び前駆ストライプクラッド層を順次に形成する。次に、前駆ストライプクラッド層及び前駆活性層をパターニングすることにより、それぞれストライプクラッド層及び活性層を形成すると共に、第1導電型基板をメサエッチングしてメサ基板を形成する。次に、第1の主表面側のメサ基板上であって、ストライプクラッド層及び活性層の両側に電流ブロック部を形成する。次に、ストライプクラッド層及び電流ブロック部上に上部第2導電型クラッド層を形成して、ストライプクラッド層及び上部第2導電型クラッド層からなる第2導電型クラッド層を形成する。次に、第2導電型クラッド層上に、コンタクト層を形成する。次に、メサ基板、電流ブロック部、第2導電型クラッド層及びコンタクト層に開口を形成する。次に、開口の底面及び内壁面上と、コンタクト層上とに絶縁膜を形成した後、開口内を埋め込む貫通電極を形成する。次に、絶縁膜の一部を除去してコンタクト層の一部の領域を露出させ、露出したコンタクト層上に第2オーミック電極を形成した後、第2オーミック電極上に第2表面電極を形成し、及び、貫通電極上に貫通電極用表面電極を形成する。次に、メサ基板を第2の主表面側から薄層化処理を行うことにより第1導電型クラッド層を形成して、貫通電極を露出させる。次に、第1導電型クラッド層の第2の主表面側の表面上に、貫通電極と電気的に接続される第1オーミック電極を形成する。
【0016】
上述した半導体レーザの製造方法の好適な実施形態によれば、第1オーミック電極と第2オーミック電極を互いに異なる材質で形成するのが良い。
【発明の効果】
【0017】
この発明の半導体レーザ及びその製造方法によれば、ウエハの同一面側に実装の際に用いる表面電極が形成されているので、コプレーナ線路に対して、ワイヤボンディングを用いずに実装が可能となる。この結果、ワイヤに起因する寄生リアクタンスが発生しないので、半導体レーザの高速変調が期待できる。
【0018】
また、第1オーミック電極と第2オーミック電極をそれぞれ適切な材質で容易に形成できるので、オーミック抵抗を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】半導体レーザの構成例を説明するための斜視図である。
【図2】半導体レーザの構成例を説明するための切断端面図である。
【図3】半導体レーザの製造方法を説明するための工程図(1)である。
【図4】半導体レーザの製造方法を説明するための工程図(2)である。
【図5】半導体レーザの製造方法を説明するための工程図(3)である。
【図6】半導体レーザの製造方法を説明するための工程図(4)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係については、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の構成の範囲を逸脱せずにこの発明の効果を達成できる多くの変更又は変形を行うことができる。
【0021】
(半導体レーザ)
図1及び図2は、この発明の半導体レーザの構成例を説明するための概略図である。図1は斜視図であり、図2(A)及び(B)は、貫通電極を通る面に沿って切った、切断端面を示す図である。図1は、半導体レーザの一部を切り欠いて示している。図2(A)は、共振方向に沿って切った図であり、図2(B)は、共振方向に対して直交方向に沿って切った図である。
【0022】
半導体レーザ10は、第1導電型クラッド層20、活性層30、電流ブロック部40、第2導電型クラッド層50、コンタクト層60、第1電極70、第2電極80及び貫通電極90を備えて構成される。ここでは、第1導電型をn型とし、第2導電型をp型とした例について説明する。
【0023】
第1導電型(n型)クラッド層(下部クラッド層と称することもある。)20は、メサ構造を有するn−InP基板で構成される。下部クラッド層20は、厚みが100μm程度である基底部22と、基底部22上に、高さ2μm程度のメサ構造部24とを備えている。メサ構造部24は、n−InP基板の長手方向に延在して設けられている。
【0024】
以下の説明では、n−InP基板のメサ構造部24が形成された側の主表面を第1の主表面20aと称し、反対側の主表面を第2の主表面20bと称する。
【0025】
活性層30は、メサ構造部24上、すなわち、第1の主表面20a側の下部クラッド層20上に形成されている。活性層30は、厚みが0.15〜0.2μmのInGaAsPで形成されている。また、活性層30の幅は、メサ構造部24の幅と同一である。
【0026】
下部クラッド層20上の、活性層30の両側には、電流ブロック部40が形成されている。電流ブロック部40は、下部クラッド層20上に順に形成された、p−InP電流ブロック層42及びn−InP電流ブロック層44を備えて構成される。これらの電流ブロック層(電流狭窄層とも称する。)42及び44は、活性層30にキャリアを閉じ込める役割を担っている。
【0027】
活性層30及び電流ブロック部40上に、第2導電型(p型)クラッド層(上部クラッド層と称することもある。)50が形成されている。上部クラッド層50は、ストライプクラッド層52と、上部第2導電型(p型)クラッド層54とを備えている。ストライプクラッド層52は、活性層30上に、活性層30と同一の幅で形成されている。上部p型クラッド層54は、ストライプクラッド層52と電流ブロック部40上に形成されている。上部クラッド層50は、p−InPで形成されている。
【0028】
コンタクト層60は、上部クラッド層50上に形成される。コンタクト層60は、例えばp−InGaAsで形成されている。
【0029】
第1電極70は、下部クラッド層20の第2の主表面20b上に形成されている。第1電極70は、例えば、AuGeNi/Auを蒸着した後、合金化することでオーミック電極として形成されている。
【0030】
第2電極80は、第2オーミック電極82と第2表面電極84を備えて構成される。第2オーミック電極82は、コンタクト層60上に形成されている。第2オーミック電極82は、例えば、AuZn/Auを蒸着した後、合金化することで形成されている。
【0031】
コンタクト層60上には、絶縁膜102が形成されている。第2表面電極84は、第2オーミック電極82と絶縁膜102上に、例えば、Ti/Auで形成されている。
【0032】
この実施形態の半導体レーザ10には、下部クラッド層20、電流ブロック部40、上部クラッド層50及びコンタクト層60を貫通する貫通孔が設けられている。貫通孔の内壁面95a上にはシリコン酸化膜などの絶縁膜92が形成されている。貫通電極90は、絶縁膜92上に、貫通孔を埋め込む様に銅(Cu)で形成されている。
【0033】
上面側及び下面側のいずれに、実装の際に電気的な接続をとる表面電極を設けるかに応じて、第1オーミック電極70及び第2オーミック電極82のいずれか一方と電気的に接続されている。図1及び2では、貫通電極90は、第1オーミック電極70と電気的に接続されている例を示している。
【0034】
コンタクト層60上に形成された絶縁膜102上と、貫通電極90上には、貫通電極90と電気的に接続される貫通電極用表面電極94が設けられている。貫通電極用表面電極94及び第2表面電極84が同一面側に設けられており、これら、貫通電極用表面電極94及び第2表面電極84を介して、第1オーミック電極70及び第2オーミック電極82に所望の電圧が印加される。
【0035】
この発明の半導体レーザによれば、ウエハの同一面側に実装の際に用いる表面電極が形成されているので、コプレーナ線路に対して、ワイヤボンディングを用いずに実装が可能となる。この結果、ワイヤに起因する寄生リアクタンスが発生しないので、半導体レーザの高速変調が期待できる。
【0036】
また、この半導体レーザの実施形態によれば、第1オーミック電極70がAuGeNi/Auで構成され、第2オーミック電極82がAuZn/Auで構成されている。このように、第1オーミック電極と第2オーミック電極をそれぞれ適切な材質で容易に形成できるので、オーミック抵抗を低減することができる。
【0037】
(半導体レーザの製造方法)
図3〜図6を参照して、半導体レーザの製造方法について説明する。図3(A)〜(C)、図4(A)及び(B)、図5(A)及び(B)並びに図6(A)及び(B)は、半導体レーザの製造方法を説明するための工程図であって、各工程で得られた構造体の主要部の切断端面図で示している。これら各図は、図2(B)に対応する面での切断端面図である。
【0038】
先ず、第1導電型基板25として、例えば、350μm厚のn−InP基板を用意する。次に、第1導電型基板25の第1の主表面25a上に、前駆活性層35及び前駆ストライプクラッド層55を順次に形成する。前駆活性層35は、例えば、厚みが0.15〜0.20μmのInGaAsP層として形成される。また、前駆ストライプクラッド層55は、例えば、厚みが0.20μmのp−InPで形成される。これら、前駆活性層35及び前駆ストライプクラッド層55は、従来周知の有機金属気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いた、エピタキシャル成長により形成される(図3(A))。
【0039】
次に、前駆ストライプクラッド層55及び前駆活性層35をパターニングすることにより、それぞれストライプクラッド層52及び活性層30を形成する。このとき、第1導電型基板25のメサエッチングを合わせて行い、基底部23上にメサ構造部24を有するメサ基板26を形成する。以下の説明では、前駆ストライプクラッド層55及び前駆活性層35をパターニングする工程も含めてメサエッチングと称する。
【0040】
この工程では、先ず、前駆ストライプクラッド層55の表面上に、従来周知のCVD法により、シリコン酸化膜を300nm程度の厚みで形成する。次に、従来周知のフォトリソグラフィ法を用いてシリコン酸化膜上に、レジストパターン(図示を省略する。)を形成する。レジストパターンの幅は、設計に応じて定められるが、例えば、2.0μmとされる。次に、シリコン酸化膜に対して、レジストパターンをマスクとして、例えばCFガスを用いたRIE(Reactive Ion Etching)などのドライエッチングを行い、シリコン酸化膜マスク100を形成する。その後、シリコン酸化膜マスク100の形成に用いたレジストパターンをアッシング等の任意好適な方法で除去した後、シリコン酸化膜マスク100を用いてメサエッチングを行う(図3(B))。
【0041】
このメサエッチングは、Clガスを用いたRIE法と、HBr/HCl/H/HOの混合液を用いたウェットエッチングとで行われる。なお、ウェットエッチングに用いる混合液の容積混合比は、例えば、HBr:HCl:H:HO=15:75:3:200である。このRIE法により、メサエッチングの深さが制御される。また、ウェットエッチングにより、メサ構造部24、活性層30及びストライプクラッド層52をシリコン酸化膜マスク100に対してオーバーエッチングすることができ、メサ構造部24、活性層30及びストライプクラッド層52の幅が制御される。
【0042】
メサエッチングを行った後、第1の主表面26a側のメサ基板26上であって、ストライプクラッド層52及び活性層30の両側に電流ブロック部40を形成する。電流ブロック部40は、p−InP電流ブロック層42及びn−InP電流ブロック層44とで構成される。p−InP電流ブロック層42及びn−InP電流ブロック層44は、MOCVD法によるエピタキシャル成長で形成される(図3(C))。
【0043】
次に、シリコン酸化膜マスク100をHFを用いたウエットエッチングにより除去した後、ストライプクラッド層52及び電流ブロック部40上に、上部p型クラッド層54を形成する。上部p型クラッド層54は、例えば、MOCVD法によりp−InPを3.5μm程度の厚みでエピタキシャル成長させることで形成される。ストライプクラッド層52と上部p型クラッド層54とにより、第2導電型クラッド層50が構成される。
【0044】
次に、第2導電型クラッド層50上に、コンタクト層60を形成する。コンタクト層60は、MOCVD法によりp−InGaAsを0.2μm程度の厚みでエピタキシャル成長させることで形成される(図4(A))。
【0045】
次に、コンタクト層60の表面上に、フォトリソグラフィ法により貫通電極用レジストパターン(図示を省略する。)を形成する。貫通電極用レジストパターンは、コンタクト層60の表面上に任意好適なフォトレジストにより形成される。貫通電極用レジストパターンには、貫通電極を形成する領域に直径50μm程度の円形状の開口が設けられている。なお、貫通電極は、電流ブロック部40が形成された領域に形成される。
【0046】
次に、この貫通電極用レジストパターンを用いたDRIE(Deep RIE)法を用いて、メサ基板26、電流ブロック部40、第2導電型クラッド層50及びコンタクト層60に、例えば深さ110μmの開口95を形成する(図4(B))。
【0047】
次に、貫通電極用レジストパターンを除去した後、開口の95の底面95b及び内壁面95a上に、絶縁膜92を形成する。絶縁膜92は、例えばCVD法によりシリコン酸化膜として形成される。このとき、コンタクト層60上にも絶縁膜102が形成される(図5(A))。
【0048】
次に、スパッタ法により銅(Cu)膜を形成した後、メッキ法により開口95内にCuを充填させて、開口95内を埋め込む。その後、コンタクト層60の上側に形成されたCu膜をCMP(Chemical Mechanical Polishing)により除去し、貫通電極90を形成する(図5(B))。
【0049】
次に、絶縁膜102上にオーミック電極用レジストパターン(図示を省略する。)を形成する。このオーミック電極用レジストパターンには、活性層30の上側の領域に、幅1.0μmのストライプ状の開口が形成されている。次に、このオーミック電極用レジストパターンをマスクとしてHFを用いたウェットエッチングを行い、コンタクト層60の、活性層30の上側の領域部分を露出させる。次に、露出したコンタクト層60上にAuZn/Auを蒸着する。その後、リフトオフにより余分なAuZn/Auを除去した後、熱処理を行い合金化して第2オーミック電極82を形成する。さらに、スパッタ法によりTi/Au膜を形成した後、任意好適なフォトリソグラフィ及びエッチングによるパターニングを行って、第2オーミック電極82上に、第2表面電極84を形成するとともに、貫通電極90上に貫通電極用表面電極94を形成する(図6(A))。
【0050】
次に、メサ基板26に対して第2の主表面26b側から薄層化処理を行うことにより、第1導電型クラッド層20を形成して、貫通電極90を露出させる。
【0051】
この工程では、例えば、サファイア基板のような支持基板に、上述した図6(A)までの工程で形成された構造体を固定して、裏面研磨を行う。この構造体の固定は、ワックスなど任意好適な接着剤を用いて行われる。裏面研磨はいわゆる機械研磨とすることができ、メサ基板26を100μm程度の厚みに薄層化して、第1導電型クラッド層20とする。
【0052】
次に、第1導電型クラッド層20の裏面側である第2の主表面20b上に、第1電極70を形成する。
【0053】
この工程では、先ず、第1導電型クラッド層20の第2の主表面20b上に、AuGeNi/Auを蒸着した後、所望の形状にパターニングを行う。その後、熱処理を行い合金化して、第1電極70を第1オーミック電極として形成する。この第1オーミック電極70は、活性層30が形成されている領域から、貫通電極90が形成された領域に渡って形成され、貫通電極90と電気的に接続される。
【0054】
このようにして、図1及び図2を参照して説明した半導体レーザを製造することができる。
【符号の説明】
【0055】
10 半導体レーザ
20 第1導電型(n型)クラッド層(下部クラッド層)
22、23 基底部
24 メサ構造部
25 第1導電型基板
26 メサ基板
30 活性層
35 前駆活性層
40 電流ブロック部
42 p−InP電流ブロック層
44 n−InP電流ブロック層
50 第2導電型(p型)クラッド層(上部クラッド層)
52 ストライプクラッド層
54 上部第2導電型(p型)クラッド層
55 前駆ストライプクラッド層
60 コンタクト層
70 第1電極(第1オーミック電極)
80 第2電極
82 第2オーミック電極
84 第2表面電極
90 貫通電極
92、102 絶縁膜
94 貫通電極用表面電極
100 シリコン酸化膜マスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型クラッド層と、
前記第1導電型クラッド層の第1の主表面側に形成された活性層と、
前記第1導電型クラッド層上の、前記活性層の両側に形成された電流ブロック部と、
前記活性層及び前記電流ブロック部上に形成された第2導電型クラッド層と、
前記第2導電型クラッド層上に形成されたコンタクト層と、
前記第1導電型クラッド層の第2の主表面上に形成された第1電極と、
前記コンタクト層上に形成された第2電極と、
前記第1導電型クラッド層、前記電流ブロック部、前記第2導電型クラッド層及び前記コンタクト層を貫通する貫通孔内に形成され、前記第1電極及び前記第2電極のいずれか一方と電気的に接続された貫通電極と
を備えることを特徴とする半導体レーザ。
【請求項2】
前記第1電極が第1オーミック電極として構成され、
前記第2電極が第2オーミック電極及び第2表面電極で構成され、
前記貫通電極が前記第1電極と電気的に接続され、
前記コンタクト層上に前記貫通電極と電気的に接続される貫通電極用表面電極を備え、
前記第1オーミック電極と前記第2オーミック電極の材質が異なる
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ。
【請求項3】
第1導電型基板を用意する工程と、
前記第1導電型基板の第1の主表面上に前駆活性層及び前駆ストライプクラッド層を順次に形成する工程と、
前記前駆ストライプクラッド層及び前記前駆活性層をパターニングすることにより、それぞれストライプクラッド層及び活性層を形成すると共に、前記第1導電型基板をメサエッチングしてメサ基板を形成する工程と、
前記第1の主表面側の前記メサ基板上であって、前記ストライプクラッド層及び前記活性層の両側に電流ブロック部を形成する工程と、
前記ストライプクラッド層及び前記電流ブロック部上に上部第2導電型クラッド層を形成して、前記ストライプクラッド層及び前記上部第2導電型クラッド層からなる第2導電型クラッド層を形成する工程と、
前記第2導電型クラッド層上に、コンタクト層を形成する工程と、
前記メサ基板、前記電流ブロック部、前記第2導電型クラッド層及び前記コンタクト層に開口を形成する工程と、
前記開口の底面及び内壁面上と、前記コンタクト層上とに絶縁膜を形成した後、前記開口内を埋め込む貫通電極を形成する工程と、
前記絶縁膜の一部を除去して前記コンタクト層の一部の領域を露出させ、露出した前記コンタクト層上に第2オーミック電極を形成した後、前記第2オーミック電極上に第2表面電極を形成し、及び、前記貫通電極上に貫通電極用表面電極を形成する工程と、
前記メサ基板を第2の主表面側から薄層化処理を行うことにより第1導電型クラッド層を形成して、前記貫通電極を露出させる工程と、
前記第1導電型クラッド層の前記第2の主表面側の表面上に、前記貫通電極と電気的に接続される第1オーミック電極を形成する工程と
を備えることを特徴とする半導体レーザの製造方法。
【請求項4】
前記第1オーミック電極と前記第2オーミック電極を互いに異なる材質で形成する
ことを特徴とする請求項3に記載の半導体レーザの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−192635(P2010−192635A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−34779(P2009−34779)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】