説明

半導体レーザ

【課題】発振閾値電流までのプラズマ効果による発振波長の短波長化、又は発振後の温度上昇に伴う発振波長の長波長化が生じても、活性領域のブラッグモードが常に分布反射鏡領域の有効反射帯域から外れることなく、安定した良好な単一モード発振を得ることのできる、信頼性の高い半導体レーザを実現する。
【解決手段】第1の回折格子11を有する活性領域1と、第2の回折格子12を有する分布反射鏡領域2とを備え、第2の回折格子12は、第1の回折格子11から伝搬する光の波長に応じて光路を変更する第1の部分12Aと、第1の部分12Aから入射される光の波長に整合した格子周期を有する、例えば円弧形状の各格子を持つ第2の部分12Bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザに関し、特に光ファイバ伝送方式の光源に適用される。
【背景技術】
【0002】
近年では、インターネット需要の爆発的な増加に伴い、光通信・光伝送において超高速化と大容量化への取り組みが活発化している。なかでも、超高速光ファイバ伝送システム又はデータコム向けに、アンクールドで高速の直接変調が可能な半導体レーザが求められている。このような半導体レーザとして、いわゆるDFB(Distributed FeedBack)レーザが期待されている。
【0003】
基本的に、半導体レーザにおいては、活性層の体積をできるだけ小さくすることによって緩和振動周波数の値が大きくなり、直接変調可能なビットレートが上昇する。実際、NakaharaらはOFC/NFOEC 2006 講演番号OWC5 にてDFBレーザの共振器長を100μmと短くすることで、室温にて40Gb/sの変調が可能となることを示している。
【0004】
しかしながら、DFBレーザの共振器構造は、前端面無反射コート/後端面高反射コート(反射率90%程度)で位相シフトのない回折格子を用いているため、その単一縦モード発振歩留まりは、後端面における回折格子の位相に強く依存する。そして、回折格子の周期が約200nmと微細であり、DFBレーザを発光素子に劈開するときの端面の位置を精密に制御することは略不可能であるため、後端面での位相はランダムにならざるを得ない。従って、良好な単一縦モード発振が得られる素子の歩留まりを高くすることができないという問題がある。この問題に対処する構成の半導体レーザの一例が特許文献1,2に開示されている。この半導体レーザでは、後端面の反射鏡を高反射膜ではなく、活性領域の回折格子と同じ格子周期で位相が同期した回折格子を装荷し、電流を注入しない分布反射鏡を用いて活性領域への光帰還を行い、且つ回折格子にλ/4位相シフトを配置する。この構成により、単一縦モード発振の歩留まりを向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−48214号公報
【特許文献2】特開2002−353559号公報
【特許文献3】特開平1−293683号公報
【特許文献4】特開2004−356470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2と同等の半導体レーザを作製し、レーザ光の発振強度について調べた。その結果を図30に示す。図30では、閾値直前、閾値直後、5mWの出力時、及び135mAの駆動時における発振強度をそれぞれ示す。
このように、閾値近傍、及び注入電流を増加してゆくと、マルチモード発振又はモード跳びが生じることが確認された。
【0007】
この単一縦モード発振の歩留まりの劣化の原因について調べた。
閾値近傍におけるモード跳びの原因について調べた結果を図31に示す。図31では、(a)が注入電流のない場合、(b)が発振閾値の場合の発振強度をそれぞれ示す。
注入電流を増加してゆくと発生するモード跳びの原因ついて調べた結果を図32に示す。図32では、(a)が発振しきいの場合、(b)が注入電流を増加させた場合の発振強度をそれぞれ示す。
【0008】
図31の結果から、閾値近傍におけるモード跳びの原因は、以下の要因で発生することが判った。
活性領域への電子の注入に伴うプラズマ効果のために、活性領域の屈折率が低下し活性領域のブラッグ波長は短波側にシフトする。このとき、分布反射領域には電流が注入されないため、反射波長帯域は変化せず、ブラッグ波長が分布反射鏡の有効反射帯域から外れる。その結果、ブラッグモードの発振閾値が増大し、その一方で活性領域のストップバンドの長波側のモードが分布反射鏡の有効反射帯域に侵入して発振閾値が低下し、マルチモード発振が生じる。
【0009】
図32の結果から、駆動電流を増加してゆくと発生するモード跳びの原因は、以下の要因で発生することが判った。
活性領域への電流注入に伴って、活性領域の温度が上昇する。そのため、活性領域のブラッグ波長は長波側にシフトするが、分布反射領域には電流が注入されないので反射波長帯域は変化せず、ブラッグ波長が分布反射鏡の有効反射帯域から外れる。その結果、ブラッグモードの発振閾値が増大し、その一方で活性領域のストップバンドの短波側のモードが分布反射鏡の有効反射帯域に侵入して発振閾値が低下し、マルチモード発振が生じる。
【0010】
以上より、単一縦モード発振歩留まりを向上させるには、活性領域への電流注入に伴う活性領域の屈折率の低下が生じても、副モードの発振閾値が低下して発振に至らないようにする必要がある。更に、活性領域への電流注入に伴う活性領域の温度上昇による活性領域のブラッグ波長の長波化が生じても、分布反射鏡の有効反射帯域から外れない、即ち分布反射鏡の有効反射帯域を拡大する必要がある。分布反射鏡の有効反射帯域は略分布反射鏡領域の長さに反比例するため、分布反射鏡領域長を短くすれば有効反射帯域は拡大する。しかしながら、例えば分布反射鏡領域の長さを半分にすると、図33に示すように、反射率が半分以下に低下し、レーザ光の発振閾値の上昇を招く。これを補うためには、分布反射鏡領域の回折格子の結合係数を2倍近くに増大させれば良い。しかしながら、回折格子の深さを例えば2倍の200nm以上にした場合には、結晶成長時に欠陥が多数発生するため、素子特性が劣化するという問題が生じる。
【0011】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、発振閾値電流までのプラズマ効果による発振波長の短波長化、又は発振後の温度上昇に伴う発振波長の長波長化が生じても、活性領域のブラッグモードが常に分布反射鏡領域の有効反射帯域から外れることなく、安定した良好な単一モード発振を得ることのできる、信頼性の高い半導体レーザを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
半導体レーザの一態様は、第1の回折格子を有する活性領域と、第2の回折格子を有する分布反射鏡領域とを含み、前記第2の回折格子は、前記第1の回折格子から伝搬する光の波長に応じて光路を変更する第1の部分と、前記第1の部分から入射される光の波長に整合した格子周期を有する第2の部分とを備える。
【発明の効果】
【0013】
上記の態様によれば、発振閾値電流までのプラズマ効果による発振波長の短波長化、又は発振後の温度上昇に伴う発振波長の長波長化が生じても、活性領域のブラッグモードが常に分布反射鏡領域の有効反射帯域から外れることなく、安定した良好な単一モード発振を得ることのできる、信頼性の高い半導体レーザが実現する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態による半導体レーザの概略構成を示す模式図である。
【図2】第1の実施形態による半導体レーザにおいて、ブラッグモードの長波ドリフトが生じた場合を説明する模式図である。
【図3】図1の半導体レーザに、各格子周期及び各等価屈折率を付した模式図である。
【図4】算出された各値を、図1の半導体レーザに付した模式図である。
【図5】第1の実施形態による半導体レーザの製造方法を工程順に示す概略斜視図である。
【図6】図5に引き続き、第1の実施形態による半導体レーザの製造方法を工程順に示す概略斜視図である。
【図7】図6に引き続き、第1の実施形態による半導体レーザの製造方法を工程順に示す概略斜視図である。
【図8】図7に引き続き、第1の実施形態による半導体レーザの製造方法を工程順に示す概略斜視図である。
【図9】図8に引き続き、第1の実施形態による半導体レーザの製造方法を工程順に示す概略斜視図である。
【図10】図9に引き続き、第1の実施形態による半導体レーザの製造方法を工程順に示す概略斜視図である。
【図11】図10に引き続き、第1の実施形態による半導体レーザの製造方法を工程順に示す概略斜視図である。
【図12】図11に引き続き、第1の実施形態による半導体レーザの製造方法を工程順に示す概略斜視図である。
【図13】図12に引き続き、第1の実施形態による半導体レーザの製造方法を工程順に示す概略斜視図である。
【図14】図13に引き続き、第1の実施形態による半導体レーザの製造方法を工程順に示す概略斜視図である。
【図15】図14に引き続き、第1の実施形態による半導体レーザの製造方法を工程順に示す概略斜視図である。
【図16】第2の実施形態による半導体レーザの概略構成を示す模式図である。
【図17】図16の半導体レーザに、各格子周期及び各等価屈折率を付した模式図である。
【図18】算出された各値を、図16の半導体レーザに付した模式図である。
【図19】第2の実施形態による半導体レーザの製造方法を工程順に示す概略斜視図である。
【図20】図19に引き続き、第2の実施形態による半導体レーザの製造方法を工程順に示す概略斜視図である。
【図21】図20に引き続き、第2の実施形態による半導体レーザの製造方法を工程順に示す概略斜視図である。
【図22】図21に引き続き、第2の実施形態による半導体レーザの製造方法を工程順に示す概略斜視図である。
【図23】図22に引き続き、第2の実施形態による半導体レーザの製造方法を工程順に示す概略斜視図である。
【図24】図23に引き続き、第2の実施形態による半導体レーザの製造方法を工程順に示す概略斜視図である。
【図25】図24に引き続き、第2の実施形態による半導体レーザの製造方法を工程順に示す概略斜視図である。
【図26】図25に引き続き、第2の実施形態による半導体レーザの製造方法を工程順に示す概略斜視図である。
【図27】図26に引き続き、第2の実施形態による半導体レーザの製造方法を工程順に示す概略斜視図である。
【図28】図27に引き続き、第2の実施形態による半導体レーザの製造方法を工程順に示す概略斜視図である。
【図29】図28に引き続き、第2の実施形態による半導体レーザの製造方法を工程順に示す概略斜視図である。
【図30】特許文献2と同等の半導体レーザにおける発振強度を示す特性図である。
【図31】単一縦モード発振の歩留まりの劣化の原因について調べた結果を示す特性図である。
【図32】注入電流を増加してゆくと発生するモード跳びの原因ついて調べた結果を示す特性図である。
【図33】分布反射鏡領域の長さを半分にした場合の反射率を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、半導体レーザの諸実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
[半導体レーザの構成]
図1は、第1の実施形態による半導体レーザの概略構成を示す模式図である。
本実施形態による半導体レーザは、第1の回折格子11を有する活性領域(DFB領域)1と、第2の回折格子12を有する分布反射鏡領域2とを有して構成される。
【0017】
第1の回折格子11は、各格子11aが伝搬する光の光路と垂直に格子周期ΛDFBで並列して構成される。第1の回折格子11の中央部位には、位相がπラジアン(λ/4シフトに相当する。)の位相シフト11Aが配されている。
第2の回折格子12は、第1の回折格子11の一端と並んで配置される第1の部分12Aと、第1の部分12Aから所定角度で分岐する第2の部分12Bとを有して構成される。
第1の部分12Aは、第1の回折格子11から伝搬する光の波長に応じて光路を変更するものであり、各格子12Aaが第1の回折格子11における光路に対して斜め方向に格子周期ΛDBR1で並列して構成される。
【0018】
第2の部分12Bは、第1の部分12Aに対して凹状に湾曲した円弧形状の各格子12Baが、第1の部分12Aから入射される光の波長に整合した格子周期P1〜P2となるように並列して構成される。第2の部分12Bでは、当該第2の部分12Bを通過した光を反射して、当該反射光を第1の部分12Aを通って第1の回折格子11に戻す。
【0019】
この半導体レーザでは、第2の回折格子12の第1及び第2の部分12A,12Bにより、活性領域1における光の発振波長の変化に追随して光路が自動的に振り分けられる。振り分け先に相当する第2の部分12Bでは、その格子周期が変化した波長にマッチングする周期(格子周期P1〜P2)となるように、各格子12Baの配置間隔及び湾曲率が調節されている。
【0020】
図2は、第1の実施形態による半導体レーザにおいて、ブラッグモードの長波ドリフトが生じた場合を説明する模式図であり、(a)はブラッグ波長がλ1の場合、(b)はブラッグ波長がλ2(>λ1)の場合の発振強度を示す。
この場合、活性領域1の温度上昇に伴うブラッグモードの長波ドリフト(ブラッグ波長λ2)が生じても、ブラッグモードが常に最適な共鳴周期を有する分布反射領域2に導かれる。そのため、マルチモード発振及びモード跳びが抑制され、安定で良好な単一縦モード発振を維持することができる。
【0021】
本実施形態による半導体レーザにおける、第2の回折格子12の第2の部分12Bの格子周期P1,P2の決定方法について説明する。図3は、図1の半導体レーザに、各格子周期及び各等価屈折率を付した模式図である。
活性領域1の波長ドリフトがない状態でのDFB波長λDFB=1310nm、活性領域1の等価屈折率nDFB=3.275のとき、格子周期ΛDFBは、
ΛDFB=λDFB/2nDFB
より、ΛDFB=200nmとなる。
【0022】
θDBR1=30°より、第1の部分12Aへの入射角θinは、
θin=90°−θDBR1=60°
となる。第1の部分12Aの格子周期ΛDBR1=2517nm、等価屈折率nDBR1=3.275とすると、第1の部分12Aに波長λDFBの光が入射したときの回折角をθoutとすると、
DBR1・ΛDBR1(sinθin+sinθout)=λDFB
なる関係より、
θout=sin-1[(λDFB/nDBR1・ΛDBR1)−sinθin
であるから、値を代入することでθout=−45°となる。
【0023】
また、第2の部分12Bの格子周期をΛDBR2とすると、第2の部分12Bの等価屈折率nDBR2=3.293のとき、
DBR1・ΛDBR1(sinθin+sinθout)=λDFB=2nDBR2・ΛDBR2
であるから、
ΛDBR2=nDBR1・ΛDBR1(sinθin+sinθout)/2nDBR2
となる。
【0024】
よって、基本回折角θoutからの偏角をφとすると、第2の部分12Bの格子周期ΛDBR2は、偏角φを±5°とするとき、
φ=−5°→θout=−50°→ΛDBR2≒126nm
φ=−0°→θout=−45°→ΛDBR2≒200nm
φ=+5°→θout=−40°→ΛDBR2≒280nm
となる。
【0025】
図3には、第2の部分12Bの格子周期P1をΛDBR2(φ=5°)、格子周期P2をΛDBR2(φ=−5°)と記す。
図4は、上記のように算出された各値を、図1の半導体レーザに付した模式図である。
【0026】
[半導体レーザの製造方法]
以下、上記した半導体レーザの具体的な製造方法について説明する。
図5〜図15は、第1の実施形態による半導体レーザの製造方法を工程順に示す概略斜視図である。
【0027】
先ず、図5に示すように、n型InP基板101上にレジストマスク102を形成する。
n型不純物、例えば錫(Sn)をドープしたn型InP基板101上に、電子ビームレジスト(例えば、日本ゼオン社製の製品名ZEP520)を塗布し、電子ビーム露光法により電子ビームレジストを加工する。レジストマスク102は、レジストパターン102a〜102cからなる。
【0028】
レジストパターン102aは、活性領域の第1の回折格子(図1における活性領域1の第1の回折格子11に相当する。)を形成するためのマスクである。レジストパターン102aで形成する第1の回折格子は、活性領域長が125μm程度、中央部位に位相がπラジアン(λ/4シフトに相当する。)の位相シフトを有する回折格子である。
【0029】
レジストパターン102bは、分布反射鏡領域の第2の回折格子の第1の部分(図1における分布反射鏡領域2の第2の回折格子12の第1の部分12Aに相当する。)を形成するためのマスクである。レジストパターン102bで形成する第1の部分は、格子周期が2517nm程度で、稜線が導波路の軸方向に対して30°傾斜している回折格子である。
【0030】
レジストパターン102cは、分布反射鏡領域の第2の回折格子の第2の部分(図1における分布反射鏡領域2の第2の回折格子12の第2の部分12Bに相当する。)を形成するためのマスクである。レジストパターン102cで形成する第2の部分は、第1の回折格子の稜線の法線方向に対して45°の方向を中心として第1の回折格子に向かって凹形状とされた円弧状の回折格子である。第2の部分において、45°の延長線上では格子周期が200nm程度、40°の延長線上では格子周期が280nm程度、50°の延長線上では格子周期が126nm程度となる。
【0031】
続いて、図6に示すように、レジストパターン102a〜102cを転写する。
レジストマスク102を用いて、エタン/水素混合ガスによるリアクティブ・イオン・エッチング(RIE)により、n型InP基板101の表面にレジストパターン102a〜102cを転写する。このときのエッチング深さは100nm程度である。
レジストマスク102は、灰化処理等によりn型InP基板101上から除去される。
【0032】
本実施形態では、レジストパターン102a〜102cがn型InP基板101の表面に同一工程で転写される。そのため、活性領域の第1の回折格子、分布反射鏡領域の第2の回折格子の第1の部分、及び分布反射鏡領域の第2の回折格子の第2の部分は、n型InP基板101の表層に同一の深さに形成されることになる。
【0033】
続いて、図7に示すように、上記の各回折格子が形成されたn型InP基板101上に、ガイド層103、n型InP層104、量子井戸活性層105、及びクラッド層106を順次形成する。
n型不純物、例えばシリコン(Si)をドープしたGaInAsPを、有機金属気相成長法(MOVPE法)により、n型InP基板101上に組成波長1.20μm程度、厚み120nm程度に成長する。これにより、ガイド層103が形成される。
【0034】
引き続き、ガイド層103上に、n型InP層104、量子井戸活性層105、及びクラッド層106をMOVPE法により順次形成する。
n型InP層104は、n型不純物、例えばSiをドープしたInPを厚み20nm程度に成長することで形成される。
量子井戸活性層105は、厚み6nm程度、圧縮歪量1.2%程度のアンドープAlGaInAsの量子井戸層、及び組成波長1.05μm程度、厚み10nm程度のアンドープAlGaInAsのバリア層で構成される。量子井戸層の層数は15層であり、その発光波長は1310nm程度である。また、これら量子井戸/バリア層は波長1.05μm程度、厚み20nm程度のアンドープAlGaInAs・SCH層で挟まれている。
クラッド層106は、p型不純物、例えば亜鉛(Zn)をドープしたInPを厚み250nm程度に成長することで形成される。
【0035】
続いて、図8に示すように、活性領域となる部分を覆うエッチングマスク107を形成する。
クラッド層106上を覆うように、通常の化学気相堆積法(CVD法)により、シリコン酸化膜を厚み400nm程度に堆積する。このシリコン酸化膜をリソグラフィー及びドライエッチングで加工して、活性領域となる部分を覆うようにシリコン酸化膜を残す。これにより、活性領域となる部分を覆うエッチングマスク107が形成される。
【0036】
続いて、図9に示すように、n型InP層104の表面までエッチングする。
エッチングマスク107を用いて、クラッド層106及び量子井戸活性層105をエッチングする。これにより、活性領域となる部分以外の部分でn型InP層104の表面が露出する。
【0037】
続いて、図10に示すように、アンドープAlGaInAs層108及びアンドープInP層109を順次形成する。
MOVPE法により、組成波長1.15μmで厚み250nm程度のアンドープAlGaInAs層108、及び厚み250nm程度のアンドープInP層109を順次選択成長する。この選択成長では、エッチングマスク107上にはアンドープAlGaInAs層108及びアンドープInP層109は成長しない。エッチングによって除去された活性領域となる部分以外の部分にのみ、アンドープAlGaInAs層108及びアンドープInP層109が形成される。
エッチングマスク107は、フッ酸等を用いたウェットエッチング等により除去される。
【0038】
続いて、図11に示すように、クラッド層110及びコンタクト層111を順次形成する。
MOVPE法により、全面に、p型不純物、例えばZnをドープしたp型InPを厚み2μm程度に成長し、クラッド層110を形成する。引き続き、Znをドープしたp型GaInAsを厚み300nm程度に成長し、コンタクト層111を形成する。
【0039】
続いて、図12に示すように、エッチングマスク112を形成する。
CVD法により、全面に、シリコン酸化膜を厚み400nm程度に堆積し、シリコン酸化膜をリソグラフィー及びドライエッチングで加工して、エッチングマスク112を形成する。
【0040】
続いて、図13に示すように、n型InP基板101の表層までエッチングする。
エッチングマスク112を用いて、n型InP基板101を0.7μm程度掘り込んだ深さまで、コンタクト層111からn型InP基板101の表層までドライエッチングし、メサ形状に加工する。
【0041】
続いて、図14に示すように、電流狭窄層113を形成する。
MOVPE法により、メサ形状部分の側面に、Feをドープした半絶縁性InPを成長する。これにより、メサ形状部分をその側面で埋め込む電流狭窄層113が形成される。
エッチングマスク112は、フッ酸等を用いたウェットエッチング等により除去される。
【0042】
続いて、図15に示すように、パッシベーション膜114、p型電極115、n型電極116の形成の工程等を行う。
コンタクト層111の活性領域となる部分以外の部分のみを、リソグラフィー及びドライエッチングにより除去する。CVD法により、全面に、シリコン酸化膜を堆積してパッシベーション膜114を形成する。パッシベーション膜114の活性領域となる部分のみを、リソグラフィー及びドライエッチングにより除去する。しかる後、上面及び下面にp型電極115n型及び電極116を形成し、両端面に無反射コート117,118を形成する。以上のように共振器構造が形成され、半導体レーザが作製される。
【0043】
本実施形態によれば、発振閾値電流までのプラズマ効果による発振波長の短波長化、又は発振後の温度上昇に伴う発振波長の長波長化が生じても、活性領域1のブラッグモードが常に分布反射鏡領域2の有効反射帯域から外れることなく、安定した良好な単一モード発振を得ることのできる、信頼性の高い半導体レーザが実現する。
【0044】
(第2の実施形態)
本実施形態による半導体レーザは、第1の実施形態による半導体レーザと類似の構成を有するが、第2の回折格子の第1の部分が異なる点で第1の実施形態と相違する。なお、第1の実施形態による半導体レーザの構成部材等と同一のものについては同符号を付する。
【0045】
[半導体レーザの構成]
図16は、第2の実施形態による半導体レーザの概略構成を示す模式図である。
本実施形態による半導体レーザは、第1の回折格子11を有する活性領域(DFB領域)1と、第2の回折格子21を有する分布反射鏡領域20と、第3の回折格子31を有する他の分布反射鏡領域30とを有して構成される。
【0046】
第1の回折格子11は、各格子11aが伝搬する光の光路と垂直に格子周期ΛDFBで並列して構成される。第1の回折格子11の中央部位には、位相がπラジアン(λ/4シフトに相当する。)の位相シフト11Aが配されている。
【0047】
第2の回折格子21は、第1の回折格子11の一端と並んで配置される第1の部分21Aと、第1の部分21Aから所定角度で分岐する第2の部分21Bとを有して構成される。
第1の部分21Aは、第1の回折格子11から伝搬する光の波長に応じて光路を変更するものであり、各格子21Aaが格子周期ΛDBR1で並列して構成される。
第2の部分21Bは、第1の部分21Aに対して凹状に湾曲した円弧形状の各格子21Baが、第1の部分21Aから入射される光の波長に整合した格子周期P1〜P2となるように並列して構成される。第2の部分21Bでは、当該第2の部分21Bを通過した光を反射して、当該反射光を第1の部分21Aを通って第1の回折格子11に戻す。
【0048】
第3の回折格子31は、第1の回折格子11の他端と並んで配置されている。第3の回折格子31は、第1の回折格子11の各格子11aと同様に、各格子11aと連続して、各格子31aが伝搬する光の光路と垂直に格子周期ΛDFBで並列して構成される。
【0049】
本実施形態による半導体レーザにおける、第2の回折格子21の第2の部分21Bの格子周期P1,P2の決定方法について説明する。図17は、図16の半導体レーザに、各格子周期及び各等価屈折率を付した模式図である。
活性領域1の波長ドリフトがない状態でのDFB波長λDFB=1550nm、活性領域1の等価屈折率nDFB=3.23のとき、格子周期ΛDFBは、
ΛDFB=λDFB/2nDFB
より、ΛDFB=240nmとなる。
【0050】
θDBR1=30°より、第1の部分12Aへの入射角θinは、
θin=90°
となる。第1の部分21Aの格子周期ΛDBR1=960nm、等価屈折率nDBR1=3.3とすると、第1の部分21Aに波長λDFBの光が入射したときの回折角をθoutとすると、
DBR1・ΛDBR1(sinθin+sinθout)=λDFB
なる関係より、
θout=sin-1[(λDFB/nDBR1・ΛDBR1)−sinθin
であるから、値を代入することでθout=−30°となる。
【0051】
また、第2の部分21Bの格子周期をΛDBR2とすると、第2の部分21Bの等価屈折率nDBR2=3.25のとき、
DBR1・ΛDBR1(sinθin+sinθout)=λDFB=2nDBR2・ΛDBR2
であるから、
ΛDBR2=nDBR1・ΛDBR1(sinθin+sinθout)/2nDBR2
となる。
【0052】
よって、基本回折角θoutからの偏角をφとすると、第2の部分21Bの格子周期ΛDBR2は、偏角φを±5°とするとき、
φ=−5°→θout=−35°→ΛDBR2≒205nm
φ=−0°→θout=−30°→ΛDBR2≒240nm
φ=+5°→θout=−25°→ΛDBR2≒277nm
となる。
【0053】
図17には、第2の部分21Bの格子周期P1をΛDBR2(φ=5°)、格子周期P2をΛDBR2(φ=−5°)と記す。
図18は、上記のように算出された各値を、図16の半導体レーザに付した模式図である。
【0054】
[半導体レーザの製造方法]
以下、上記した半導体レーザの具体的な製造方法について説明する。
図19〜図29は、第2の実施形態による半導体レーザの製造方法を工程順に示す概略斜視図である。
【0055】
先ず、図19に示すように、n型InP基板201上にレジストマスク202を形成する。
n型不純物、例えば硫黄(S)をドープしたn型InP基板201上に、電子ビームレジスト(例えば、日本ゼオン社製の製品名ZEP520)を塗布し、電子ビーム露光法により電子ビームレジストを加工する。レジストマスク202は、レジストパターン202a,202bからなる。
【0056】
レジストパターン202aは、活性領域の第1の回折格子及び他の分布反射鏡領域の第3の回折格子を形成するためのマスクである。活性領域の第1の回折格子は、図16における活性領域1の第1の回折格子11に、他の分布反射鏡領域の第3の回折格子は、図16における他の分布反射鏡領域30の第3の回折格子31にそれぞれ相当する。レジストパターン202aで形成する第1の回折格子は、活性領域長が100μm程度、中央部位に位相がπラジアン(λ/4シフトに相当する。)の位相シフトを有する回折格子である。レジストパターン202aで形成する第3の回折格子は、第1の回折格子に連続して、領域長25μm程度の回折格子である。
【0057】
レジストパターン202bは、分布反射鏡領域の第2の回折格子の第2の部分(図16における分布反射鏡領域20の第2の回折格子21の第2の部分21Bに相当する。)を形成するためのマスクである。レジストパターン202bで形成する第2の部分は、導波路に垂直な法線方向に対して30°の方向を中心として導波路に向かって凹形状とされた円弧状の回折格子である。第2の部分において、30°の延長線上では格子周期が200nm程度、25°の延長線上では格子周期が280nm程度、35°の延長線上では格子周期が126nm程度となる。
【0058】
続いて、図20に示すように、レジストパターン202a,202bを転写する。
レジストマスク102を用いて、エタン/水素混合ガスによるRIEにより、n型InP基板201の表面にレジストパターン202a,202bを転写する。このときのエッチング深さは100nm程度である。
レジストマスク202は、灰化処理等によりn型InP基板201上から除去される。
【0059】
本実施形態では、レジストパターン202a,202bがn型InP基板201の表面に同一工程で転写される。そのため、活性領域の第1の回折格子、分布反射鏡領域の第2の回折格子の第2の部分、及び他の分布反射鏡領域の第3の回折格子は、n型InP基板201の表層に同一の深さに形成されることになる。
【0060】
続いて、図21に示すように、上記の各回折格子が形成されたn型InP基板201上に、ガイド層203、n型InP層204、量子井戸活性層205、及びクラッド層206を順次形成する。
n型不純物、例えばSiをドープしたGaInAsPを、MOVPE法により、n型InP基板201上に組成波長1.25μm程度、厚み120nm程度に成長する。これにより、ガイド層203が形成される。
【0061】
引き続き、ガイド層203上に、n型InP層204、量子井戸活性層205、及びクラッド層206をMOVPE法により順次形成する。
n型InP層204は、n型不純物、例えばSiをドープしたInPを厚み20nm程度に成長することで形成される。
量子井戸活性層205は、厚み5.1nm程度、圧縮歪量1.2%程度のアンドープAlGaInAsの量子井戸層、及び組成波長1.20μm程度、厚み10nm程度のアンドープAlGaInAsのバリア層で構成される。量子井戸層の層数は15層であり、その発光波長は1550nm程度である。また、これら量子井戸/バリア層は波長1.15μm程度、厚み20nm程度のアンドープAlGaInAs・SCH層で挟まれている。
クラッド層206は、p型不純物、例えばZnをドープしたInPを厚み250nm程度に成長することで形成される。
【0062】
続いて、図22に示すように、活性領域となる部分を覆うエッチングマスク207を形成する。
クラッド層206上を覆うように、CVD法により、シリコン酸化膜を厚み400nm程度に堆積する。このシリコン酸化膜をリソグラフィー及びドライエッチングで加工して、活性領域となる部分を覆うようにシリコン酸化膜を残す。これにより、活性領域となる部分を覆うエッチングマスク207が形成される。
【0063】
続いて、図23に示すように、n型InP層204の表面までエッチングする。
エッチングマスク207を用いて、クラッド層206及び量子井戸活性層205をエッチングする。これにより、活性領域となる部分以外の部分でn型InP層204の表面が露出する。
【0064】
続いて、図24に示すように、アンドープAlGaInAs層208及びアンドープInP層209を順次形成する。
MOVPE法により、組成波長1.35μmで厚み230nm程度のアンドープAlGaInAs層208、及び厚み250nm程度のアンドープInP層209を順次選択成長する。この選択成長では、エッチングマスク207上にはアンドープAlGaInAs層208及びアンドープInP層209は成長しない。エッチングによって除去された活性領域となる部分以外の部分にのみ、アンドープAlGaInAs層208及びアンドープInP層209が形成される。
エッチングマスク207は、フッ酸等を用いたウェットエッチング等により除去される。
【0065】
続いて、図25に示すように、クラッド層210及びコンタクト層211を順次形成する。
MOVPE法により、全面に、p型不純物、例えばZnをドープしたp型InPを厚み2μm程度に成長し、クラッド層210を形成する。引き続き、Znをドープしたp型GaInAsを厚み300nm程度に成長し、コンタクト層211を形成する。
【0066】
続いて、図26に示すように、エッチングマスク212を形成する。
CVD法により、全面に、シリコン酸化膜を厚み400nm程度に堆積し、シリコン酸化膜をリソグラフィー及びドライエッチングで加工して、エッチングマスク212を形成する。エッチングマスク212は、分布反射鏡領域の第2の回折格子の第1の部分(図16における分布反射鏡領域20の第2の回折格子21の第1の部分21Aに相当する。)を形成する目的も有するマスクである。エッチングマスク212で形成する第1の部分は、格子周期が960nm程度の回折格子である。
【0067】
続いて、図27に示すように、n型InP基板201の表層までエッチングする。
エッチングマスク212を用いて、n型InP基板201を0.7μm程度掘り込んだ深さまで、コンタクト層211からn型InP基板201の表層までドライエッチングし、メサ形状に加工する。
【0068】
本実施形態では、エッチングマスク212によりn型InP基板201に形成される、分布反射鏡領域の第2の回折格子の第1の部分は、第1の回折格子、第2の回折格子の第2の部分、及び第3の回折格子とは別工程で形成される。ここでは、第1の部分は、その深さ(0.7μm程度)が、第1の回折格子、第2の回折格子の第2の部分、及び第3の回折格子の深さ(100nm程度)とは異なるように形成される。
【0069】
続いて、図28に示すように、電流狭窄層213を形成する。
MOVPE法により、メサ形状部分の側面に、Feをドープした半絶縁性InPを成長する。これにより、メサ形状部分をその側面で埋め込む電流狭窄層213が形成される。
エッチングマスク212は、フッ酸等を用いたウェットエッチング等により除去される。
【0070】
続いて、図29に示すように、パッシベーション膜214、p型電極215、n型電極216の形成の工程等を行う。
コンタクト層211の活性領域となる部分以外の部分のみを、リソグラフィー及びドライエッチングにより除去する。CVD法により、全面に、シリコン酸化膜を堆積してパッシベーション膜214を形成する。パッシベーション膜214の活性領域となる部分のみを、リソグラフィー及びドライエッチングにより除去する。しかる後、上面及び下面にp型電極215n型及び電極216を形成し、両端面に無反射コート217,218を形成する。以上により、半導体レーザが形成される。
【0071】
本実施形態によれば、発振閾値電流までのプラズマ効果による発振波長の短波長化、又は発振後の温度上昇に伴う発振波長の長波長化が生じても、活性領域1のブラッグモードが常に分布反射鏡領域20の有効反射帯域から外れることなく、安定した良好な単一モード発振を得ることのできる、信頼性の高い半導体レーザが実現する。
【0072】
なお、上述した第1及び第2の実施形態では、高速変調動作化のために、量子井戸活性層105,205の量子井戸層の材料としてAlGaInAsを用いる場合を例示したが、AlGaInAsの代わりにGaInAsP系の化合物半導体を用いても良い。
また、量子井戸層の発光波長は第1の実施形態では1310nm程度、第2の実施形態では1550nm程度としたが、それぞれ逆の波長帯としても良い。
また、量子井戸活性層105,205の代わりに、バルク型の半導体で構成されていても、同様の横高次モード抑制効果が得られる。
【0073】
また、第1の実施形態では他の分布反射鏡領域はなく、第2の実施形態では他の分布反射鏡領域が設けられているが、第1の実施形態で他の分布反射鏡領域を設け、第2の実施形態で他の分布反射鏡領域を設けない構成としても良い。
また、第1及び第2の実施形態では、n型InP基板101,201を用いたが、p型の導電性を有する基板を用いて、第1及び第2の実施形態の場合と逆の導電性で構成される構造を用いても、同様の効果が得られる。
【0074】
また、第1及び第2の実施形態では、高速変調動作化のために半絶縁性材料を用いた電流狭窄層113を形成する場合を例示したが、例えばpnpnサイリスタ構造の電流狭窄構造を適用しても良い。
また、第1及び第2の実施形態では、回折格子の構造として表面回折格子構造を例示したが、埋め込み型の回折格子の構造を適用しても良い。
また第1及び第2の実施形態では、活性領域1に対してn型InP基板101,201側に回折格子の構造を装荷しているが、n型InP基板101,201と反対側に回折格子の構造を装荷しても同様の効果が得られる。
【0075】
また、第1及び第2の実施形態において、位相シフトの位置は活性領域1の中央に限られるものではなく、活性領域1内であれば設計の範囲内で活性領域1の中央以外の位置に配置することも可能である。
また、第1及び第2の実施形態において、活性領域1と分布反射領域2,20,30との結合係数が同値としているが、素子設計によっては異なっても良い。
また、第1及び第2の実施形態において、回折格子の山谷比が50%の構造を示しているが、素子設計によっては異なる山谷比であっても良い。
【0076】
以下、半導体レーザの諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0077】
(付記1)第1の回折格子を有する活性領域と、
第2の回折格子を有する分布反射鏡領域と
を含み、
前記第2の回折格子は、前記第1の回折格子から伝搬する光の波長に応じて光路を変更する第1の部分と、前記第1の部分から入射される光の波長に整合した格子周期を有する第2の部分とを備えることを特徴とする半導体レーザ。
【0078】
(付記2)前記第2の部分は、自身を構成する各格子が円弧形状に形成されていることを特徴とする付記1に記載の半導体レーザ。
【0079】
(付記3)前記第1の部分は、前記第1の回折格子の一端と並んで配置されることを特徴とする付記1又は2に記載の半導体レーザ。
【0080】
(付記4)前記第1の部分は、自身を構成する各格子が前記第1の回折格子における光路に対して斜め方向に配置されることを特徴とする付記3に記載の半導体レーザ。
【0081】
(付記5)前記第1の回折格子及び前記第2の回折格子が同一の深さに形成されていることを特徴とする付記4に記載の半導体レーザ。
【0082】
(付記6)第3の回折格子を有する他の分布反射鏡領域を更に含み、
前記第3の回折格子は、前記第1の回折格子の他端と並んで配置されることを特徴とする付記3に記載の半導体レーザ。
【0083】
(付記7)前記第1の回折格子、前記第2の部分、及び前記第3の回折格子が同一の第1の深さに形成されており、前記第1の部分が前記第1の深さと異なる第2の深さに形成されていることを特徴とする付記6に記載の半導体レーザ。
【符号の説明】
【0084】
1 活性領域
2 分布反射鏡領域
11 第1の回折格子
11A 位相シフト
11a,12Aa,12Ba 格子
12 第2の回折格子
12A 第1の部分
12B 第2の部分
101,201 n型InP基板
102,202 レジストマスク
102a〜102c,202a,202b レジストパターン
103,203 ガイド層
104,204 n型InP層
105,205 量子井戸活性層
106,206 クラッド層
107,112,207,212 エッチングマスク
108,208 アンドープAlGaInAs層
109,209 アンドープInP層
110,210 クラッド層
111,211 コンタクト層
113,213 電流狭窄層
114,214 パッシベーション膜
115,215 p型電極
116,216 n型電極
117,118,217,218 無反射コート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の回折格子を有する活性領域と、
第2の回折格子を有する分布反射鏡領域と
を含み、
前記第2の回折格子は、前記第1の回折格子から伝搬する光の波長に応じて光路を変更する第1の部分と、前記第1の部分から入射される光の波長に整合した格子周期を有する第2の部分とを備えることを特徴とする半導体レーザ。
【請求項2】
前記第2の部分は、自身を構成する各格子が円弧形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ。
【請求項3】
前記第1の部分は、前記第1の回折格子の一端と並んで配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体レーザ。
【請求項4】
前記第1の部分は、自身を構成する各格子が前記第1の回折格子における光路に対して斜め方向に配置されることを特徴とする請求項3に記載の半導体レーザ。
【請求項5】
第3の回折格子を有する他の分布反射鏡領域を更に含み、
前記第3の回折格子は、前記第1の回折格子の他端と並んで配置されることを特徴とする請求項3に記載の半導体レーザ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2012−151141(P2012−151141A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6372(P2011−6372)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「次世代高効率ネットワークデバイス技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】