説明

半導体回路

【課題】DCC回路を備えたDLL回路の消費電力を低減させる。
【解決手段】制御信号DCCENに基づいて活性化・非活性化が制御されるデューティ変更検出回路21であって、入力されたクロック信号に基づいて生成されたクロック信号のデューティとあらかじめ設定されたデューティとを比較しその結果を出力するデューティ変更検出回路21と、デューティ変更検出回路の出力が生成されたクロック信号のデューティがあらかじめ設定されたデューティである目標値近傍にあることを示すときにはデューティ変更検出回路21を非活性化する制御信号DCCENを出力すると共に目標値近傍に無いときにはデューティ変更検出回路21を活性化する制御信号DCCENを出力するデューティ判定回路23とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体回路に関し、特に、DLL(Delay Locked Loop)回路を備えた半導体回路に関する。
【背景技術】
【0002】
DLL回路は、遅延時間が可変に制御される遅延回路と、遅延回路の出力と遅延回路への入力信号とを比較する位相検出器と、位相検出器での位相比較結果出力に基づきカウントアップ又はカウントダウンするカウンタを備え、該カウンタのカウント値(又はそのデコード結果)に基づき、遅延回路の遅延時間を調整することで、遅延回路からの出力を入力信号に同期させるものである。このDLL回路として、遅延時間を相対的に粗い遅延分解能(遅延単位)で設定する可変遅延回路と、該可変遅延回路で生成された遅延時間の異なる二つの信号の位相差(遅延)を、設定された比率で合成することで可変遅延回路の遅延単位よりも分解能を上げた遅延信号を生成する合成回路(「補間回路(インターポレータ)」ともいう)を備え、可変遅延回路で遅延の粗調整、合成回路で遅延の微調整を行う構成が知られている。二つの信号の遅延を内分し中間の遅延の信号を出力する合成回路(インターポレータ)は、例えば所定ノードを予め所定電圧にプリチャージするプリチャージ回路と、第1、第2の入力信号のハイレベル期間にそれぞれオンし、設定された内分比x:(1−x)(但し、0≦x≦1)に応じた電流値xI、(1−x)Iで該プリチャージされたノードを放電する第1、第2の放電素子を備えて構成される。
【0003】
近時、半導体回路の動作周波数の向上は著しく、高速クロックの遅延を制御するDLL回路ではクロックのデューティずれ等が問題となる。そこでクロックのパルス幅が狭い場合、及び広い場合のいずれの場合においても、合成回路の誤動作を回避することを可能とし、動作周波数の高速化に対応可能とするDLL回路が本願発明者によって創案されている(特許文献2参照)。このDLL回路は、可変遅延回路から出力される遅延時間の異なる二つの遅延信号を、設定された比率で合成する合成回路(インターポレータ)の入力段に、遅延信号の所定の遷移に応答してワンショットパルスを生成する回路と、ワンショットパルスを受けてセットされ、合成回路(インターポレータ)の出力に基づきリセットされるラッチ回路を備え、ラッチ回路のセット時の出力信号を合成回路(インターポレータ)に入力するようにしている。
【0004】
また、デューティサイクル修正動作を行うことができ、かつ高周波動作で問題となる消費電力を低減させるDLL回路が特許文献2に開示されている。このDLL回路は、外部クロック信号を受け、クロック入力信号を出力するバッファと、前記クロック入力信号を受けると共に、第1比較信号及び第2比較信号を受けて、前記クロック入力信号を所定時間だけ遅延させた第1クロック信号及び第2クロック信号を生成する遅延ライン部と、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の反転信号を受けて、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の立下りエッジのうち、いずれが先行するかを示す位相感知信号を生成する位相感知部と、前記第1比較信号及び前記第2比較信号によってDLL固定されたか否かを決定し、DLL固定されたか否かによってオン/オフ信号を出力する混合制御部と、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号を受けて、これらを基に第1補償クロック信号を生成し、前記外部クロック信号を受けて前記第1補償クロック信号と比較して前記第1比較信号を生成する第1信号処理部と、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号を受けて、これらを基に第2補償クロック信号を生成し、前記外部クロック信号を受けて前記第2補償クロック信号と比較して前記第2比較信号を生成すると共に、前記オン/オフ信号によって活性化又は非活性化される第2信号処理部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−62937号公報
【特許文献2】特開2004−328721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下の分析は本発明において与えられる。
【0007】
DRAM等において、クロック生成回路として用いられるDLL回路は、入力される外部クロック信号(以下CK)の遅延量を可変制御することで所望の位相を持つクロック信号を発生する。このようなDLL回路は、DCC(Duty Cycle Corrector)機能を搭載している場合がある。DCC機能は、入力された外部クロック信号CKのデューティ(1周期に対するハイレベル期間の割合をいい、デューティ比ともいう)に関係なく、設定されたデューティ例えば50%のデューティの波形を作り、出力する機能である。
【0008】
このDCC機能は、入力された外部クロック信号CKのデューティが所望のデューティからずれている場合、すなわち外部クロック信号CKのデューティが崩れた場合には効果を発揮する。しかし、外部クロック信号CKのデューティが崩れていない場合、すなわちCKのデューティが所望のデューティ、例えばほぼ50%である場合には、DCC機能を用いなくても、DLL回路は、デューティ50%の波形を作り出すことが可能である。
【0009】
上述のDCC機能を使用している場合、当該機能を実現するための回路ブロックが動作するため、それに応じ、数mAの消費電流が発生する。このような数mAの消費電流は、消費電流をセーブする条件、例えばパワーダウンなどの条件においては、その影響・全体に占める割合は大きなものとなっている。
【0010】
しかしながら、このようなDCC機能を使用するか、使用しないかについては、従来、メタルヒューズなどで固定して設定しているため、外部クロック信号CKの実際のデューティに関係なく、使用可否が決定されている。したがって、外部クロック信号CKの実際のデューティが所望のデューティであったとしても、DCC機能の使用が設定されていると、無駄にDCC機能を用いることとなり、無駄に消費電力を増加させることになってしまうという問題が発生する。これとは逆に、DCC機能の使用が設定されていない場合に、デューティが崩れている外部クロック信号CKが入力されたとき、当然ながらDCC機能を働かせることが出来ないため、DLL回路からの出力クロック信号を受ける回路が正常に動作しないという問題が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1つのアスペクト(側面)に係る半導体回路は、入力された外部クロック信号を遅延させた出力クロック信号を生成し出力するDLL回路と、制御信号に基づいて活性化・非活性化が制御されるデューティ変更検出回路であって、出力クロック信号に基づいて生成されたクロック信号のデューティとあらかじめ設定されたデューティとを比較しその結果をデューティ変更信号として出力するデューティ変更検出回路と、出力クロック信号のデューティがあらかじめ設定されたデューティである目標値近傍にあることをデューティ変更信号が示すときにはデューティ変更検出回路を非活性化する制御信号を出力すると共に出力クロック信号のデューティがあらかじめ設定されたデューティである目標値近傍に無いことをデューティ変更信号が示すときにはデューティ変更検出回路を活性化する制御信号を出力するデューティ判定回路と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、出力クロック信号のデューティと目標のデューティとを比較しその結果を出力するデューティ変更検出回路を、出力クロック信号のデューティが目標のデューティと同じか近い場合には非活性化し、出力クロック信号のデューティが目標値からずれている場合には活性化する。これによって、デューティが目標値に近い場合には消費電力を低減させることができると共に、デューティが目標値からずれている場合にはデューティの補正を行うことができるというように、外部クロック信号のデューティに併せて動的にデューティ変更回路の活性化・非活性化を行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例に係るDLL回路の構成を示すブロック図。
【図2】デューティ判定回路の動作を表すタイミングチャート。
【図3】デューティがほぼ50%にある場合のデューティ判定回路の動作を表すタイミングチャート。
【図4】デューティが50%を下回る場合のデューティ判定回路の動作を表すタイミングチャート。
【図5】デューティが50%を上回る場合のデューティ判定回路の動作を表すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係る半導体回路は、入力された外部クロック信号を遅延させた出力クロック信号を生成し出力するDLL回路と、制御信号に基づいて活性化・非活性化が制御されるデューティ変更検出回路であって、出力クロック信号に基づいて生成されたクロック信号のデューティとあらかじめ設定されたデューティとを比較しその結果をデューティ変更信号として出力するデューティ変更検出回路(図1の21)と、出力クロック信号のデューティがあらかじめ設定されたデューティである目標値近傍にあることをデューティ変更信号が示すときにはデューティ変更検出回路を非活性化する制御信号を出力すると共に出力クロック信号のデューティがあらかじめ設定されたデューティである目標値近傍に無いことをデューティ変更信号が示すときにはデューティ変更検出回路を活性化する制御信号を出力するデューティ判定回路(図1の23)と、を備える。
【0015】
より具体的には、デューティ判定回路は、デューティ変更検出回路の現在の出力とひとつ前のタイミングの出力とを比較し、目標値をまたいだとき、すなわち、いずれか一方が目標値より小さく、他方が目標値よりも大きい場合に目標値近傍にあると判定する。
【0016】
さらに具体的には、入力した外部クロック信号の一方のエッジに対し、生成した出力クロック信号の一方のエッジが時間的に進んでいるか遅れているかに応じて出力クロック信号の一方のエッジの時間的位置を調整し、外部クロック信号の他方のエッジに対し、出力クロック信号の他方のエッジが時間的に進んでいるか遅れているかに応じて出力クロック信号の他方のエッジの時間的位置を調整して、目標となるデューティ比を有する出力クロック信号を出力するDLL回路であって、出力クロック信号のデューティ比と目標となるデューティ比とを比較していずれが大きいかを示すデューティ変更信号を出力するデューティ変更検出回路(図1の21)と、複数の異なるタイミングにおけるデューティ変更信号が同一か否かを表す比較結果信号を出力するデューティ判定回路(図1の23)と、出力クロック信号の一方のエッジの時間的位置を調整するために、比較結果信号が同一でないことを示す場合には外部クロック信号と出力クロック信号との位相比較結果を選択し、比較結果信号が同一であることを示す場合にはデューティ変更信号を選択する選択回路(図1の22)と、を備え、デューティ変更検出回路は、比較結果信号が同一でないことを示す場合に非活性化され、比較結果信号が同一であることを示す場合に活性化される。
【0017】
以上の通り、入力された外部クロック信号に基づいて生成された出力クロック信号のデューティと目標のデューティとを比較しその結果を出力するデューティ変更回路を、生成されたクロック信号のデューティが目標のデューティと同じか近い場合には非活性化し、生成されたクロック信号のデューティが目標値からずれている場合には活性化する。これによって、デューティが目標値に近い場合には消費電力を低減させることができると共に、デューティが目標値からずれている場合にはデューティの補正を行うことができるというように、生成された出力クロック信号のデューティに併せてデューティ変更回路の活性化・非活性化を行なうことが可能となる。
【0018】
より詳細には、デューティ変更検出回路は、比較結果信号が同一でないことを示す場合に非活性化される。すなわち、時間経過において、出力クロック信号のデューティ比と目標となるデューティ比との大小が反転する場合に、出力クロック信号のデューティ比と目標となるデューティ比とがほぼ一致していると判断して、デューティ変更検出回路を非活性化させる。デューティ変更検出回路が非活性化されることで消費電力をより低減させることができる。
【0019】
以下、図面を参照しながら、実施例についてさらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明の一実施例に係るDLL回路の構成を示すブロック図である。図1において、DLL回路は、入力回路(IN)11、可変遅延回路(Delay Line)12、可変遅延回路(Interpolator)10R、10F、合成回路13、位相検出器(P/D)14R、14F、立ち上がり遅延制御回路(Rise Control)15R、立ち下がり遅延制御回路(Fall Control)15F、立ち上がりカウンタ(Rise Counter)16R、立ち下がりカウンタ(Fall Counter)16F、プリデコーダ(Pre Dec)17R、17F、デジタルアナログ変換器(DAC)18R、18F、出力回路(OE)19、レプリカ回路(Replica)20、デューティ変更検出回路21、選択回路(Selector)22、デューティ判定回路23、タイミング生成回路24を備える。デューティ判定回路23は、ラッチ回路100、101、排他的論理和回路102を備える。
【0021】
入力回路(IN)11は、互いに相補となる外部クロック信号CK、CKBを入力し、CKと同相のクロック信号DLCLKAを可変遅延回路12にシングルエンド出力する。
【0022】
可変遅延回路12は、プリデコーダ17R、17Fのそれぞれのデコード結果を受け、連続して連なる遅延素子(Delay Line)の遅延量を決定する。クロック信号DLCKAの立ち上がり(Rise)に対応して、偶数番目(Even)と奇数番目(Odd)信号OUTRE、OUTROを生成し、クロック信号DLCKAの立ち下がり(Fall)に対応して、偶数番目(Even)と奇数番目(Odd)の信号OUTFE、OUTFOを出力する。可変遅延回路12は、Even/Oddの時間差を最小遅延単位として遅延調節を行う。Even/Oddの時間差は、例えばNAND回路2段分(単位遅延)に対応する。
【0023】
可変遅延回路10Rは、外部クロック信号CKの立ち上がり遷移から生成された、EvenとOddの遅延信号OUTRE、OUTROを入力し、バイアス電圧BIASRE、BIASROにしたがってOUTRE、OUTROを合成して出力する。すなわち、可変遅延回路10Rは、EvenとOddの遅延信号OUTRE、OUTROの立ち上がりエッジの遅延(位相差)を、バイアス電圧BIASRE、BIASROで規定される比率で内挿(インターポレート)した遅延で立ち上がる信号を出力する。例えば、Even側が100%、Odd側が0%の場合、OUTRE=100%、OUTRO=0%として波形を合成し、出力信号NRを生成する。すなわち、OUTREの遷移タイミング=NRの遷移タイミングとして出力される(回路内を通過する際の固有の遅延は除く)。Even側が50%、Odd側が50%の場合、入力信号のOUTRE=50%、OUTRO=50%として波形を合成するため、OUTREの遷移とOUTROの遷移の中間のタイミング(OUTREとOUTROの遷移タイミングの中間値+回路内通過時の固有の遅延)で出力される。
【0024】
可変遅延回路10Fは、外部クロック信号CKの立ち下がり遷移から生成された、EvenとOddの遅延信号OUTFE、OUTFOを入力し、バイアス電圧BIASFE、BIASFOにしたがってOUTFE、OUTFOを合成して出力する。すなわち、可変遅延回路10Fは、EvenとOddの遅延信号OUTFE、OUTFOの立ち下がりエッジの遅延(位相差)をバイアス電圧BIASFE、BIASFOで規定される比率で内挿(インターポレート)した遅延で立ち下がる信号を出力する。可変遅延回路10Fからの出力信号NFは、OUTFE、OUTFOのLowへの立ち下がりに応答して出力信号NFがHighに立ち上がる構成としてもよい。この場合、可変遅延回路10FにOUTFE、OUTFOの反転信号を入力する構成とすることで、可変遅延回路10Fは可変遅延回路10Rと同一の構成となる。
【0025】
可変遅延回路10R、10Fによって、可変遅延回路12の持つ最小遅延単位(例えばNAND2段分の絶対遅延時間値)よりも細かい時間分解能で遅延を調整することを可能としており、必要な時間分解能・精度を確保しつつ、高速動作周波数に対応可能としている。
【0026】
合成回路(シンセサイザ)13は、外部クロック信号CKの立ち上がり遷移に対応した可変遅延回路10Rからの出力信号NRと、外部クロック信号CKの立ち下がり遷移に対応した可変遅延回路10Fからの出力信号NFを受け、出力信号NRの立ち上がり遷移に対応して立ち上がり、出力信号NFの立ち下がり遷移に対応して立ち下がる出力信号である遅延された遅延クロック信号を生成する。なお、合成回路13は、入力と出力を相互に接続したインバータ2段の一般的なフリップフロップと等価な回路により構成される。
【0027】
遅延クロック信号を受けるレプリカ回路20は、合成回路13の出力から出力端子までの実際の信号ルートの遅延と等価の回路によって構成される。レプリカ回路20は、外部クロック信号CKに同相のRise側のクロック信号RCLKと、CKBに同相(RCLKと逆相)のFall側のクロック信号FCLKを出力する。
【0028】
出力回路19は、合成回路13から供給される遅延クロック信号の立ち上がりと立ち下がりに同期して、読み出しデータを出力端子DQからシリアルに出力する。出力回路19は、例えば二つの読み出しデータがパラレルに入力され、遅延クロック信号に応じて入力を出力端子DQに選択出力するマルチプレクサから構成される。
【0029】
デューティ変更検出回路21は、合成回路13の出力である遅延クロック信号を受け、デューティの変更のための情報であるデューティ変更信号DCCの生成を行い、選択回路22およびデューティ判定回路23に出力する。なお、デューティ変更検出回路21は、制御信号(以下、DCCイネーブル信号とも記す)DCCENによって活性化が制御され、制御信号DCCENがアクティブである場合、デューティ変更検出回路21は、動作を停止し、電流を消費しない状態となる。なお、本実施例においては、デューティ変更回路21は、あらかじめ目標となるデューティとして50%が設定され、当該50%の目標デューティと合成回路13から出力される遅延クロック信号のデューティとの大小関係を比較し、その結果を出力するものとして説明を行なうが、目標デューティは任意に設定可能であるものとする。
【0030】
デューティ判定回路23は、2つの異なるタイミングにおけるデューティ変更信号DCCが目標のデューティに対して同一の大小関係を持っている情報であるか否かを判定し、判定結果であるDCCイネーブル信号DCCENを選択回路22およびデューティ変更検出回路21に出力する。
【0031】
タイミング生成回路24は、外部クロック信号CK、リセット信号RSTに基づいてタイミング信号S1、S2を生成し、リセット後にデューティ判定回路23に対し供給する。
【0032】
選択回路22は、DCCイネーブル信号DCCENに基づき、位相検出器14Fの出力DLUP1F、又はデューティ変更検出回路21の出力であるデューティ変更信号DCCをいずれかを選択し、立ち下がり遅延制御回路15Fに供給する。
【0033】
位相検出器(PD)14Rは、外部クロック信号(CK)とレプリカ回路20のクロック信号RCLKとの立ち上がりエッジの位相を比較する。立ち上がり遅延制御回路15Rは、位相検出器14Rの位相比較結果出力DLUP1Rを受けて、立ち上がりカウンタ16Rにアップ又はダウン信号(CNTDIRR)を出力する。すなわち、立ち上がり遅延制御回路15Rは、位相検出器14Rでの位相比較結果を受け、RCLKの立ち上がりエッジの位相がCKよりも遅れている場合、RCLKの立ち上がりエッジの位相を進めるように制御し、RCLKの立ち上がりエッジの位相がCKよりも進んでいる場合、RCLKの立ち上がりエッジの位相を遅らせるように制御する信号CNTDIRRを生成し、立ち上がりカウンタ16Rに供給し、カウント動作を制御する。特に制限されないが遅延制御回路15Rは、バッファ回路(正転又は反転型バッファ)から構成される。
【0034】
立ち上がりカウンタ16Rの上位ビットは、プリデコーダ17Rでプリデコードされ、プリデコーダ17Rでのデコード結果は、可変遅延回路12に入力される。立ち上がりカウンタ16Rの下位ビットは、デジタルアナログ変換器18Rに入力され、Even(偶数番目)、Odd(奇数番目)用のバイアス電圧BIASRE/BIASROを生成する。
【0035】
位相検出器(PD)14Fは、外部クロック(CK)とレプリカ回路20の出力FCLKの立ち下がりエッジの位相を比較し、位相比較結果DLUP1Fを選択回路22に出力する。
【0036】
立ち下がり遅延制御回路15Fは、選択回路22の出力DLUP1DFを受けて、立ち下がりカウンタ16Fにアップ又はダウン信号(CNTDIRR)を出力する。例えば選択回路22で位相比較結果DLUP1Fが選択される場合、立ち下がり遅延制御回路15Fは、位相検出器14Fでの位相比較結果を受け、FCLKの立ち下がりエッジの位相がCKよりも遅れている場合、位相を進めるように制御し、FCLKの立ち下がりエッジの位相がCKよりも進んでいる場合、FCLKの立ち下がりエッジの位相を遅らせるように制御する信号CNTDIRFを生成し、立ち下がりカウンタ16Fに供給し、カウント動作を制御する。特に制限されないが遅延制御回路15Rは、バッファ回路(正転又は反転型バッファ)から構成される。
【0037】
立ち下がりカウンタ16Fの上位ビットは、プリデコーダ17Fでプリデコードされ、プリデコーダ17Fでのデコード結果は、可変遅延回路12に入力される。立ち下がりカウンタ16Fの下位ビットは、デジタルアナログ変換器18Fに入力され、デジタルアナログ変換器18Fは、2つのバイアス電圧BIASFE/BIASFOを生成する。
【0038】
次に、デューティ判定回路23について詳しく説明する。ラッチ回路100、101は、リセット信号RSTによってリセットされ、それぞれタイミング生成回路24から出力されるタイミング信号S1、S2によってデューティ変更信号DCCをラッチする。排他的論理和回路102は、ラッチ回路100、101のそれぞれの出力信号L1、L2の排他的論理和を求めてDCCイネーブル信号DCCENを生成し、選択回路22の選択情報およびデューティ変更検出回路21の活性化情報として出力する。
【0039】
ここで、デューティ判定回路23およびタイミング生成回路24は、DLL回路がスタートする前に起動するものとする。DLL回路がスタートするとは、位相検出器14Rと、位相検出器14F、もしくはデューティ変更検出回路21とを使用して、外部クロック信号CKに合成回路13から出力される遅延クロック信号の位相を合わせ込みにいくことを意味する。
【0040】
続いて、デューティ判定回路23の動作を表すタイミングチャートを図2を用いて説明する。
【0041】
まず、リセット直後において、デューティ判定回路23は、ラッチ回路100及び101がリセット信号RSTによってリセットされ、その出力を受ける排他的論理和回路102の出力がハイレベルとなるため、DCCイネーブル信号DCCENがオン(Hレベル)となっている。DCCイネーブル信号DCCENがハイレベルとなっているため、選択回路22は、デューティ変更検出回路21の出力結果であるデューティ変更信号DCCを選択して立ち下がり制御回路15Fに供給する。ラッチ回路100は、デューティを50%にするためにデューティ変更検出回路21から出力されたデューティ変更信号DCCを、タイミング信号S1(1stLatch信号)に応答して格納する。この結果、デューティ変更信号DCCは、デューティ変更検出回路21が付加されている側、すなわち立ち下がり制御回路15Fにより、立ち下がりカウンタ16Fに反映され、プリデコーダ17F、デジタルアナログ変換器18Fを使用して、可変遅延回路12、10Fの遅延を変更する。これによって、外部クロック信号CKのデューティに対して、立ち下がりカウンタ16Fを1回分更新した結果を反映させた遅延後のクロック信号が、デューティ変更検出回路21に入力されることになる。
【0042】
次に、ラッチ回路101は、デューティ変更検出回路21が立ち下がりカウンタ16Fを1回分更新した後の上記遅延後の遅延クロック信号のデューティと目標のデューティ50%を比較した結果に基づいて新たに生成したデューティ変更DCC信号を、タイミング信号S2(2ndLatch信号)に応答して格納する。この格納された信号L2と、先ほどのラッチ回路100に格納された信号L1とを入力とする排他的論理和回路102は、これら入力の値に基づいてデューティ変更検出回路21および選択回路22を制御するDCCイネーブル信号DCCENを出力する。
【0043】
排他的論理和回路102は、一方の入力が1回目の判定結果であるラッチ回路100に格納された値がカウンタUP(たとえば、Hレベル)であり、他方の入力が2回目の判定結果であるラッチ回路101に格納された値がカウンタDOWN(例えばLレベル)のとき、これらの入力の排他的論理和を採ってDCCイネーブル信号DCCENとしてLレベルを出力する。
【0044】
具体的に例を挙げると、カウンタ1回でデューティを3%動かせるDLL回路である場合、遅延後の遅延クロック信号のデューティが49%であれば、50%の方向に3%移動するため、52%となる。よって2回目の判定では、逆にデューティを減少するよう判定されるため、目標値である50%を跨ぐ位置に遅延後の遅延クロック信号のデューティがあることが分かり、遅延後の遅延クロック信号の元となっている外部クロック信号CKのデューティがほぼ50%であると判定される。したがって、デューティ変更検出回路21を非活性化しても問題なく、デューティ判定回路23は、排他的論理和回路102の出力に基づいてDCCイネーブル信号DCCENをLレベルとする(図3参照)。
【0045】
一方、排他的論理和回路102は、両方の入力、すなわち、ラッチ回路100からの出力及びラッチ回路101からの出力が共に、Lレベル又はHレベルの場合、これらの入力の排他的論理和を採ってDCCイネーブル信号DCCENとしてHレベルを出力する。
【0046】
具体的に例を挙げると、遅延後の遅延クロック信号のデューティが45%であれば、1回目の判定結果に基づいて3%動かしても、48%であって、50%を超えない。この場合、2つの判定が同じとなるため、CKのデューティが50%から大きく外れていると判定することになる。したがって、デューティ変更検出回路21を活性化する必要があり、デューティ判定回路23は、排他的論理和回路102の出力に基づいてDCCイネーブル信号DCCENをHレベルとする(図4参照)。
【0047】
また、同様に、遅延後の遅延クロック信号CKのデューティが55%であれば、3%動いても、52%であって、50%を超えている。この場合も、2つの判定が同じ値となるため、CKのデューティが50%から大きく外れていると判定する。したがって、デューティ変更検出回路21を活性化する必要があり、デューティ判定回路23は、排他的論理和回路102の出力に基づいてDCCイネーブル信号DCCENをHレベルとする(図5参照)。
【0048】
なお、以上の説明では、判定タイミングを「1回目のDCC動作の反映後」の1回としているが、1回に限定されるものではなく、目的とする遅延後の遅延クロック信号のデューティが50%に近いかを判定するため、少数の判定タイミングであることが望ましい。例えば、1回のDCC動作でデューティが1%しか動かないような場合には、複数にすることも可能である。一方、より高精度を狙うために、1回であっても良い。例えば1%しか動かない場合は、デューティの範囲が49〜51%のときのみDCC=OFFとなり、DCC=OFFによる電流削減効果は、対応可能なクロック信号のデューティの範囲が狭くなるものの、波形の品質(デューティの精度)は向上する。逆に、電流削減を優先したい場合には、敢えて±5%ぐらいにデューティの範囲を広げることも可能である。
【0049】
以上のように、本実施例のDLL回路において、デューティ変更検出回路21は、2つのタイミングでDCCイネーブル信号号DCCENが同一でないことを示す場合にLレベルのDCCイネーブル信号DCCENが供給されることによって非活性化される。詳細には、デューティ判定回路23は、時間経過において、遅延クロック信号のデューティ比と目標となるデューティ比との大小関係が反転する場合に、遅延クロック信号のデューティ比と目標となるデューティ比とがほぼ一致していると判断して、LレベルのDCCイネーブル信号を出力することによりデューティ変更検出回路21を非活性化させる。デューティ変更検出回路21は、非活性化されることで消費電力が最小となる。
【0050】
また、位相検出器14Fを使用するか、デューティ変更検出回路21を使用するかを自動判定する機能を実現するためデューティ判定回路23を新たに設けているが、当該デューティ判定回路23はラッチ回路100、101と排他的論理和回路102という、簡単な回路によって構成される。したがって、この機能の搭載に係る回路規模および消費電力の増大は、デューティ変更検出回路21を非活性化した結果減少する消費電力に比べ、無視することができる程度となる。
【0051】
なお、実施例中では、2つのラッチ回路及び排他的論理和によってデューティ判定回路を実現するものについて説明したが、異なるタイミングのデューティ変更検出回路21の出力を比較し、デューティが目標値近傍にあるか否かを判定することが出来る回路であれば、適宜変更可能であることはもちろんである。
【0052】
なお、本実施例では、目標となるデューティを50%として説明したが、当該デューティは、必要に応じて任意に設定可能であるものとする。
【0053】
なお、前述の特許文献等の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせ乃至選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0054】
10F、10R 可変遅延回路
11 入力回路
12 可変遅延回路
13 合成回路
14F、14R 位相検出器
15F 立ち下がり遅延制御回路
15R 立ち上がり遅延制御回路
16F 立ち下がりカウンタ
16R 立ち上がりカウンタ
17F、17R プリデコーダ
18F、18R デジタルアナログ変換器
19 出力回路
20 レプリカ回路
21 デューティ変更検出回路
22 選択回路
23 デューティ判定回路
24 タイミング生成回路
100、101 ラッチ回路
102 排他的論理和回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された外部クロック信号を遅延させた出力クロック信号を生成し出力するDLL回路と、
制御信号に基づいて活性化・非活性化が制御されるデューティ変更検出回路であって、前記出力クロック信号に基づいて生成されたクロック信号のデューティとあらかじめ設定されたデューティとを比較しその結果をデューティ変更信号として出力するデューティ変更検出回路と、
前記出力クロック信号のデューティがあらかじめ設定されたデューティである目標値近傍にあることを前記デューティ変更信号が示すときには前記デューティ変更検出回路を非活性化する前記制御信号を出力すると共に前記出力クロック信号のデューティが前記あらかじめ設定されたデューティである目標値近傍に無いことを前記デューティ変更信号が示すときには前記デューティ変更検出回路を活性化する前記制御信号を出力するデューティ判定回路と、
を備えることを特徴とする半導体回路。
【請求項2】
前記デューティ判定回路は、複数の異なるタイミングにおける前記デューティ変更信号が共に大きい又は共に小さいことを示すときには前記デューティ変更検出回路を活性化する前記制御信号を出力し、複数の異なるタイミングにおける前記デューティ変更信号が互いに異なるときには前記デューティ変更検出回路を非活性化する前記制御信号を出力することを特徴とする請求項1記載の半導体回路。
【請求項3】
前記DLL回路は、前記外部クロック信号の一方のエッジに対し、生成した前記出力クロック信号の一方のエッジが時間的に進んでいるか遅れているかに応じて前記出力クロック信号の一方のエッジの時間的位置を調整し、前記外部クロック信号の他方のエッジに対し、前記出力クロック信号の他方のエッジが時間的に進んでいるか遅れているかに応じて前記出力クロック信号の他方のエッジの時間的位置を調整して、前記出力クロック信号を出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体回路。
【請求項4】
前記出力クロック信号の一方のエッジの時間的位置を調整するために、前記制御信号が前記デューティ変更検出回路を非活性化することを示す場合には前記外部クロック信号と前記出力クロック信号との位相比較結果を選択し、前記制御信号が前記デューティ変更検出回路を活性化することを示す場合には前記デューティ変更信号を選択し、前記他方のエッジの時間位置を調整するための情報として前記DLL回路に供給する選択回路をさらに備えることを特徴とする請求項3記載の半導体回路。
【請求項5】
前記複数の異なるタイミングは、第1および第2のタイミングであって、前記第1および第2のタイミングに係るタイミング信号を前記外部クロック信号から生成して前記デューティ判定回路に出力するタイミング生成回路をさらに備えることを特徴とする請求項2記載の半導体回路。
【請求項6】
前記デューティ判定回路は、
前記第1のタイミングにおいて前記デューティ変更信号をラッチする第1のラッチ回路と、
前記第2のタイミングにおいて前記デューティ変更信号をラッチする第2のラッチ回路と、
前記第1および第2のラッチ回路のそれぞれの出力を入力とし、前記第1および第2のタイミングによって取り込まれた前記第1及び第2のラッチ回路からの出力の排他的論理和を採り前記制御信号として出力する排他的論理和回路と、
を備えることを特徴とする請求項5記載の半導体回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−223436(P2011−223436A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92087(P2010−92087)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】